05/04

2010

NPT運用検討会議で一般討論演説


NPT運用検討会議で日本政府代表団首席代表として、一般討論演説を英語で行いました。
すべての締約国が立場の違いを乗り越え、協働して対応できる基盤を構築する必要があるとの総理メッセージを披露した他、日豪共同提案に盛り込まれた具体的な核軍縮措置、IAEA追加議定書普遍化の推進、北朝鮮やイランの核問題の解決、原子力の平和利用のための国際協力に対する支持等を訴えました。

 

ステートメント(仮訳)は以下のとおりです。

 

2010年NPT運用検討会議 一般討論演説(仮訳)
平成22年5月4日 

(はじめに)
議長、
 私は、日本政府と国民を代表し、閣下の議長就任に心から祝意を表するとともに、議長の努力を最大限支援します。
 オバマ大統領のプラハ演説を始めとする米国のイニシアティブや新START条約の署名、更には核セキュリティ・サミットの成功を歓迎し、このような核軍縮・不拡散に向けた積極的な動きがこの会議の成果につながることを期待します。また、昨日、潘国連事務総長から提案された5つのベンチマークは我々を勇気づけるものです。

(2010年NPT運用検討会議の意義)
 まず、鳩山総理大臣の会議に寄せるメッセージを読ませていただきます。 
 この会合の結果について広島、長崎の市民は非常に強い関心を有しています。わずか2発の原子爆弾によって20万人以上の市民の生命が奪われ、60年以上たった今日もなお、大勢の人々が放射能の被害に苦しんでいます。
 核兵器の脅威は、人類が直面する最も深刻な問題の一つであり、核兵器の惨禍が二度と繰り返されてはなりません。私は、唯一の戦争被爆国である我が国は、核廃絶に向けて先頭に立って行動する道義的な責任を有していると信じ、非核三原則を堅持することを誓います。
 この会合では、NPTの相互に補強し合う三本柱、すなわち、核軍縮、核不拡散、原子力の平和的利用のそれぞれの分野について、将来を見据えた具体的措置に合意することを期待します。「平和のための原子力」を確保しつつ、「核兵器のない世界」の実現への道を切り開くためには、すべての締約国が立場の違いを乗り越えて、多国間主義の精神にのっとり、協働して対応できる共通の基盤を構築する必要があることを強調し、私からのメッセージとさせていただきます。 

(核軍縮)
議長、
 この会議に向けて、我が国は、核兵器保有国及び非核兵器国との間で対話を続け、「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」報告書から得られた有益な助言についても検討を重ねました。その成果として我が国は、豪州とともに作業文書として、核軍縮及び核不拡散措置に関する政策提言を提出しました。核軍縮の措置については、特に以下の4点を強調します。 
 第一に、すべての核兵器国が、核兵器の完全な廃絶を達成するとの明確な約束を再確認することを求めます。
 第二に、すべての核兵器保有国が核軍縮措置に係る二国間や多数国間の交渉を行い、かかる交渉妥結までの間の核兵器削減又は核兵器を増加させないことにつき早期にコミットすることを要請します。また、このような核軍縮措置に対し、不可逆性、検証可能性及び透明性の原則を適用することの重要性を強調します。この関連で、昨日、核兵器保有数及び削減規模に関する情報公開措置を発表した米国のイニシアティブを評価し、他の核保有国がこれに倣うことを要請します。
 第三に、すべての核兵器保有国が、核兵器の役割低減をコミットすること、NPTを遵守している非核兵器国に対して核兵器を使用しないという強化された消極的安全保証をできる限り早期に供与することを要請します。この観点から、米国による核態勢の見直しに関する報告書を評価し歓迎しており、その他の核兵器保有国にも同様のコミットをするよう求めます。
 第四に、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効を強く訴えます。昨日、インドネシアがCTBT批准プロセスの開始を表明したことを歓迎します。我が国としては、このような行動がCTBTの早期発効に向けたモメンタムを強化するものとして評価します。また、兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の早期交渉開始と妥結を強く訴えます。
 なお、我が国の米軍基地に関する昨日のイランの発言に関し、我が国は、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずとの非核三原則を堅持していくことを改めて強調します。

(核不拡散)
議長、
 核兵器の拡散は、国際社会の平和と安全に対する重大な脅威です。IAEAの保障措置を、核不拡散の最も有効な手段として強化し効率化することが重要です。我が国は、追加議定書を伴った包括的保障措置が、今日のIAEA保障措置の基準となるべきだと考えます。追加議定書を普遍化するため、保障措置を受け入れる途上国の法的・技術的基盤整備に対する支援を推進することが必要です。
 核実験を含む北朝鮮の一連の行動は、国際的な核不拡散体制への重大な脅威であり、断じて容認できません。北朝鮮に対し、2005年9月の六者会合共同声明及び関連の国連安全保障理事会決議に従い、すべての核兵器及び既存の核計画を放棄するための具体的行動をとることを強く求めます。
 また、イランの核問題の展開についての懸念も深めております。イランがIAEAと完全に協力し、累次の国連安全保障理事会決議の要求を速やかに履行し、国際社会の信頼を回復することを強く求めます。

(原子力の平和的利用)
議長、
 我が国は、すべての締約国にとって、原子力の平和的利用が奪い得ない権利であることを確認します。我が国は、原子力安全、核セキュリティ及び核不拡散についての最も高度な基準を満たすことによって、国際社会の信頼を勝ち得、原子力の平和的利用から最高水準の利益を享受しています。その経験を他のNPT締約国と共有するため、我が国は二国間で、また、IAEAを通じて国際協力を進めます。さらに、原子力の活用が人類の福祉に貢献できるよう、天野IAEA事務局長が優先課題としている放射線ガン治療、きれいな水と食の安全の確保といった途上国が直面するグローバルな問題への国際協力を支持します。

(NPTの普遍性)
 さらに、NPT未加入国に対し、非核兵器国としてのNPT加入を引き続き求め、NPTの普遍性を実現することが重要です。この観点から、G8外相は、中東決議の完全な実施に向けて実践的措置をとるために、すべての関心国とともに取り組むことで一致しています。

(被爆の経験の継承)
議長、
 この会議が開催されている間も、広島、長崎をはじめとする被爆者の方々が、この会議場の中で、或いはニューヨークの街頭で核兵器の悲惨さを訴えています。その思いを皆様にも是非共有していただきたいと思います。
 核兵器の惨禍の実相を将来の世代に継承していくことは、人類に対する我が国の責任であります。また、「核兵器のない世界」の実現という目標を共有する「ヒロシマ・ナガサキ議定書」等に表れている市民社会の熱意と関心も、核軍縮の機運を維持していく上で欠かすことができません。したがって、我が国は、各国及び市民社会と協力しつつ、軍縮・不拡散教育に関する取組をさらに推進していきます。

(おわりに)
議長、
 我々は、国際の平和と安全にとって最も重要な国際規範のひとつであるNPT体制の信頼回復と、将来に向けた前進のための方途について、真剣に議論すべき時を迎えています。我々の子孫の未来に対して、重大な責任を負っているのは、今ここに集まった我々自身であることを認識しなければなりません。様々な立場の違いを乗り越え、政治的意思を結集し、再び合意を形成するために最善を尽くすよう、各国に連帯と協力を呼びかけます。

御清聴ありがとうございました。



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