02/13

2008

第169国会 参議院 行政監視委員会 2008年2月13日


地球温暖化問題(ダボス演説)

○福山哲郎君 民主党・新緑風会・国民新・日本の福山哲郎でございます。
 本日は、長年環境問題、一生懸命やってこられました加藤委員長を始め理事の方々の御尽力で、この行政監視委員会、まさに地球温暖化問題に関する件ということで時宜を得たものだと思っておりまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。
 また、各大臣におかれましても、衆議院の予算委員会の最中にこちらにお出ましをいただきまして、連日お忙しい中御答弁にお越しをいただきましたこと、心から感謝を申し上げたいというふうに思います。
 今日は五十五分でございますので、ゆっくり大臣と議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 まずは、去年のバリのCOP13からバリ・ロードマップが合意をいたしまして一月のダボス会議と、まさに温暖化の問題は次の段階に入っているかなという感じがいたします。ダボス会議での福田総理の演説も、私ここに全文持っておりますが、二〇二〇年前後へのピークアウトや主要排出国全員が参加する仕組みづくり、また国別の総量目標等、これまでの日本の政府のコメントからは考えられないぐらい福田総理も踏み込んだ発言をダボスでしていただきまして、非常に私も心強い限りでございます。関係省庁も含めて、恐らく大変な力添えをいただいた結果だと思います。非常に私はいいことだと思っております。
 ただし、その中でですが、鴨下大臣もダボスお疲れさまでございました、行かれたというふうに承っておりますが、総理が、各国の国別総量削減目標を掲げ取り組むと、それから世界で二〇五〇年に半減しなければならないと。これは安倍前政権からの続きでございますが、国別の総量削減目標を掲げ取り組むというのは非常に踏み込まれました。
 しかしながら、いつもながらですが、我が国自身の総量削減目標に対する言及はやはりダボスでもありませんでした。実はバリでもありませんでした。このことについてなぜ言及がなかったのか。どうしましょう。官房長官からまずお伺いをさせていただければよろしいでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) これから来年末に向けていろいろな会議が行われていく節目節目のものがあろうかと思います。昨年の十二月、バリというのは、そういう意味で大変重要な会議であったと思っておりますし、日本にとりましては一つの節目としてのサミットというものもあろうかと思います。
 来年末が一つの集約の時期なんだろうと思いますが、そういう中にあって、やっぱり一遍に何か結論を見出すということが容易ではないがゆえに何年も掛けて議論をしていくということになっているのは、委員御承知のとおりでございます。したがって私は、例えばバリで、やっぱりすべての主要排出国が何らかの形で参加をしていくんだというまず一つのボトムラインを確保した、そういう意味で意味があった。その上で、じゃ日本がどうするのか、世界はどうしたらいいのかというのを、やっぱりステップ・バイ・ステップで日本が考え方をはっきりさせていくということが私は日本外交のやり方として適切なんだろうと。
 総理もそういうお考えで今回、ダボス会議という今年言わば最初の大きな国際会議で、特にG8の議長国としての立場を踏まえながら日本としての今後の取り組む基本姿勢というものを表したものであると理解をしております。その辺を評価を福山委員にもしていただいたことを感謝をしているわけであります。
 この解決には、やはり今申し上げたすべての主要排出国が参加するというのが一つ重要なポイントだろうと思います。やっぱりアメリカやら、あるいは中国やらインドやら、もちろん先進国と発展途上国の違いはあるにしても、やはり一定の、やはりこの枠組みの中に参加をしてもらうということがなければ意味がないんだろうと思いますし、また目標設定にしても、やはりそこにみんながなるほどという納得なくして一つの数字をぽんと出して、さあこれでやろうと言っても、なぜそうなんですかというところについて理解がなければならない。
 そういう意味で、やはり公平な国際的に合意し得る目標設定、その目標、公平の基準は何なのかということもはっきりさせていく必要があるんだろうというふうに思っております。
 日本は、そういう中で、国別総量目標という言葉はバリでは使いませんでしたが、今回初めて日本も国別総量目標というものを掲げて取り組みますよという決意表明をしたわけでございます。
 そして、この国別総量目標の具体の数字は今後国内での作業というものを加速をしていかなければならないわけでありますが、その算出方法であるとか基準年次、例えばヨーロッパの幾つかの国々は一九九〇年というものを言わばアプリオリに置いているようでありますが、本当にそれが国際的に合理的なのか、公平なのか、それが意味あるものなのかという辺りも更に検証し議論をしていかなければならない、こう考えるわけでございまして、特にサミット議長国ということでありますから、いろんな国がいろんな意見を持っている、それをやっぱり取りまとめていく役割を日本も相当程度担っているんだということであろうかと思います。
 したがいまして、一遍に日本が数字をなぜ言わないのかと、こうおっしゃるけれども、一つはまだ作業中であるということもありますが、同時に、日本がこれこれという数字を出すことが果たして今言ったように、着実に来年の年末に向けて議論を積み上げていく際に、それは俗受けするかもしれませんが、そのことがかえって世界全体の議論、作業というものの阻害になってはならないわけでありまして、やっぱりいろんなまだ相当ばらつきがあるわけです。国によって相当まだまだばらつきがあるわけです。
 本当に最後まですべての国が参加できるかどうか、まだまだ確たる自信が持てる状況には遠いわけでございますから、だんだんだんだんだんだんこう、ちょっと表現はあれですが、投網を、何というか、絞ってくるような感じで、やっぱりすべての主要排出国がうまく参加できるような仕組みというものをつくっていくということに日本は特に意を用いてやっていかなければいけないんだろうと、こういうふうに考えているわけであります。
○福山哲郎君 大変御丁寧に御答弁いただいて、ありがとうございました。
 ただ、一つ、官房長官、申し訳ありません。私は、俗受けをするために削減目標を日本が掲げるべきだと申し上げている気は全くございません。現実に世界で異常気象が起こっていると。削減は世界総量としてやっていかなければいけないというのは、日本が去年のサミットで半減ということを提唱したと、その中で日本が個別の削減目標を提示するのはある意味必要だと思うと。
 ただ、官房長官の今の考え方は私は理解をしますが、申し訳ありませんが、俗受けをするために削減目標を掲げるとか掲げないという議論は少し私は言葉としては不穏当だと思いますので、そこだけは御訂正いただけませんか。
○国務大臣(町村信孝君) ごめんなさい。私は、福山さんが俗受けをねらってそういう主張をしていると言ったつもりはもとよりございません。
 ただ、やっぱり何となく、早々と数字を言うことが国際社会にアピールできていいんじゃないかみたいな、そういう論調というのが世の中結構あるものですから、やっぱりそれだけで物事を判断し、事を進めていってはいけないのではないかという思いを込めて申し上げたので、別に委員が俗受けをねらって云々と、もしそういうふうにお取りになったんだとすれば、それは大変私の言い方が不十分だったので、そこはきちんともう少し申し上げなきゃいけないと思います。
○福山哲郎君 いや、今の官房長官のお言葉で十分でございます。
 ただ、なぜ総量目標を設定しなければいけないのかという点でいえば、例えば国が総量目標を設定することによって実は政策的にいろんなプログラムが積み上がるわけです。更に言えば企業も、国が総量削減目標を掲げることによって、企業の将来設計、経営指針等についてCO2の排出というファクターが確実に入る形の中で実は総量削減目標が必要ではないかということを私は申し上げています。
 もちろん、異常気象を回避をするために基本的には二〇五〇年半減をしなければいけないんですが、もう少しミクロのレベルでも削減目標を設定をするということは、一般的に受けるとか、それで基本的な方向を指し示せばいいんじゃないかという抽象的な概念ではなくて、より具体的に政策のポリシーミックスができるという観点で私は申し上げていますので、そこは官房長官には御理解をいただきたいと思います。じゃ、御答弁いただきます。
○国務大臣(町村信孝君) さっき申し上げたように、私どもずっと日本の目標を言わないと言っているわけじゃございません。もとより、そういうことを今作業を関係者間でやっている最中でございまして、いずれ必要なタイミングにはきっちりと日本としてのそうした数字は申し上げる時期があると、またそうしなければいけないと思っております。
○福山哲郎君 私、官房長官とばかりやり合って、せっかく環境大臣も経産大臣もお越しいただいているんですけど、今官房長官が非常に踏み込んで、日本としてもきっちり出していくとおっしゃいました。
 洞爺湖サミットが、もう年限が切られています。今官房長官がおっしゃられた日本の国内の、国別の日本の削減目標は洞爺湖サミットの前に出されるおつもりなのか、それ以降なのか。そのことについては官房長官、どういうイメージで今答弁をされたのでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 私は余り知識も経験もないものでございますから、今この時点でいつということをちょっと申し上げるだけの知見がございませんが、洞爺湖サミットにおいて日本がやはり議長国として必要なイニシアチブを示せるような、そういうことを念頭に置きながら作業を加速化させていきたいと思っております。
○福山哲郎君 では、環境大臣にお伺いします。
 環境大臣が去年の十月の十六日、予算委員会の答弁の中で、福田総理が国別削減目標を作ると初めて国会の場でおっしゃいました、その後、大臣も、年内にできれば作りたいと非常に踏み込んだ発言をいただきました。別に、今それができていないことを私は責める気は全くございません。しかしながら、ダボス会議で、バリで言えなかった、ダボス会議でやっぱり国としてのある程度の方向性は出されるのではないかと私は正直言って期待をしました。福田総理もこの問題については随分踏み込んでおられるし、私は熱心だというふうに思っております。
 そういう面で、ダボス会議で総理が国別の削減目標に言及をされなかったことに対して環境大臣はどのようなお気持ちなのか、また、なぜなのか。官房長官と同じだとおっしゃると思いますが、お答えをいただければと思います。
○国務大臣(鴨下一郎君) 先生おっしゃるとおり、官房長官とほとんど同じでございますけれども、先ほどお話ありましたように、バリでの日本の目標というのは、ある意味でツートラックアプローチができるように、そしてコペンハーゲンでゴールができるように、こういうような枠組みをつくるということに我々は至上命題を掲げてやってまいりました。ある意味でそれは成功したというふうに思います。
 加えて、そのときの議論の中で、これはG8の役割として、例えば途上国支援そして先進国としてのより深掘りをしていくと、こういうようなことについては、多分、あの中での雰囲気はそうだったんだろうと思います。ですから、そういう意味でいうと、このG8に向けてのダボス会議の中で総理が国別の総量目標を言及したということは、私は非常に意義があったというふうに思います。
 ただ、それに対してEUはまた違った思いがありますので、日本の総量目標とEUの間である種の摩擦が起こるということは、これは私は致し方がないというふうに思っていまして、最終的には、先ほど官房長官がおっしゃったように、このG8の洞爺湖でどこまでたどり着けるかというのは、これはアメリカの動向もあり、主要排出国である中国、インドの考えもあり、そしてEUが、日本が掲げる、例えば積み上げ型のある種のインベントリーの決め方、これについてどこまで歩み寄るかと、こういうようなこともあって、そういうようなことのトータルである程度整ってくれば、そのときが日本の数値目標を掲げるときだと、こういうふうに考えております。
○福山哲郎君 今の大臣の御発言は、洞爺湖サミットに向けてどういう形で削減目標を、それぞれの、EUにしてもアメリカにしても途上国にしても議論をしていくかという段階の中で、それぞれ削減目標を積み上げていく方式が、今アプローチが違うわけですね。そのアプローチをある程度すり合わせた上で、それぞれの国、それぞれの途上国も含めて提示をしていくのではないかというような方向だというふうに私は受け止めました。それはそれで私は結構だと思います。
 ただ、衆議院の予算委員会の議論の中で福田総理は、今年に入ってからなんですけど、二〇五〇年で半減でいいのかどうか、ほかの国が半減できないときには世界の全体の量は日本がその分頑張らなければいけないということもあるかもしれないし、他の国にそういうことを要請することもあるかもしれないと、そういう長期目標を掲げたということで、これから努力して合意を得ていくと答弁されました。
 これも実は随分踏み込まれて、日本は五〇%やるのは当然で、ほかの国ができないときには全体の量は日本がその分頑張らなければいけないとおっしゃったんです。
 これはなかなかの答弁でございまして、ということは二〇五〇年、日本の総量削減目標は五〇%が最低ラインだということを総理が自らある程度認められたということだというふうに思いますが、これは官房長官も環境大臣もお認めいただけるということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 総理の御発言をどう解釈をするのか、ちょっと私にも分からないところが率直に言ってありますが、心構えとして、積極的に日本はやっていくんだ、いくという姿勢を表したものかと思います。何しろ二〇五〇年ですからね、四十数年先のことでもありますけれども、いずれにしても日本としては諸外国に先駆けて一生懸命やっていくという趣旨のことをきっと言われたんではないだろうか。したがって、長期目標としてその最低ラインが半減であると、これが日本の提案であるということを何か国際的にコミットしたという性格ではないのではないか。
 いずれにしても、もしほかの国がなかなかうまくいかないという場合には、日本として可能な限り、仮に半減以上できるものならそれは大いにやっていこうという意欲の表れ、それが安倍前総理がクールアース50で言われた内容を確実にやっていこうということを提案国として意図を表したものだろうと思いますし、また二〇五〇年の話をすれば、それは相当革新的な技術開発をしなければいけないとか、幾つかのハードルといいましょうか、やらなければならないことが実際あるわけですね。今の技術だけでなかなか、五〇年半減というのは達成するのはほぼ不可能なんだろうと思います。
 そういう意味で、革新的な技術開発に一生懸命あとやっていくんですよ等々のことはダボスでも申し上げているとおりでありますし、日本も今環境エネルギー技術革新計画というのを取りまとめている最中でございますが、こういうことにも力を入れていくんですよ、そうしたことも含めて長期的な決意を表明したものと、このように私は受け止めております。
○福山哲郎君 年金の名寄せも公約だったのがいつの間にか姿勢を表した言葉に変わりましたし、今の官房長官も、最初の答弁に比べると今の答弁は急にトーンダウンされたと。
 環境大臣は多分違う思いだと私は思っておりますので、これは多分環境大臣はもう少しばしっとお答えをいただけると思いますが、この総理の答弁は、世界で半減はもちろん日本は提唱したと。総理が半減でいいのかどうかと、ほかの国が半減できなければ日本はその分もやると言ったことは、日本は二〇五〇年半減は最低ラインだという設定だと思っていいですね。
○国務大臣(鴨下一郎君) ハイリゲンダムで安倍前総理がクールアース50を言いました。そのときに、二〇五〇年に世界でCO2排出量を半減しなければ様々な問題が起こってくると、こういうようなことの趣旨だというふうに理解をしています。そういう中で、クールアース50を提言した日本が、じゃ世界各国が半減をする中で半減をすることができないというようなことにはならないんだろうなというふうに思っております。
 そして、これは、福田総理もこのところで五〇年に半減がするというようなことを前提に日本はどういう貢献をするかということでありますから、私はこれはすべての国が半減をある種約束をすると、こういう方向性を日本がリーダーシップを取っていくべきだと、こういうふうに理解をしています。
○福山哲郎君 私は、今の環境大臣の発言は、二〇五〇年はやはり日本としては半減、五〇%が最低の目標なんだろうと。それは設定しないと国際社会がある種許してもらえないんだろうというような環境大臣の意見の御答弁だったと思いますので、それで私はいいと思います。
 正直言って、先進国は五〇パーでは足りません。アメリカのリーバーマン・ウォーナー法案でも、二〇〇五年比でございますが、六三%削減の法律ができていますし、EUはもちろんそれ以上でございますし、大統領候補のクリントンさんは八〇%削減を言っておられますし、そこは、五〇%というのはほぼ最低ラインだと今環境大臣が設定をいただいたというふうに私は受け取らしていただきたいと思います。
 長期目標は長期目標でいいと。先ほど官房長官が言われましたように、二〇五〇年のことだから革新的な技術開発も要る、先のこともなかなか不透明だと。私もそのとおりだと思います。しかし、先ほど私が申し上げたように、なぜ目標が要るのかというと、それに合わせた社会システムをつくっていかなければいけないから目標値が要るんだと私は思っています。
 そうなると、二〇五〇年が余りにも遠い時期で不確実性が高いということになれば、やはり次の段階は中期目標が必要になるということになると思います。二〇二〇年ピークアウトをしなければいけないと福田総理はダボスでおっしゃいました。これも非常に踏み込んだ発言だと私は思っています。二〇二〇年ピークアウトのためにどういう中期目標を日本は設定するおつもりなのか、環境大臣、お答えをいただけますでしょうか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 十年から十五年でピークアウトを、まあ福田総理は十年から二十年というふうにお話しになりましたけれども、これはIPCCの第四次評価報告書の数字にのっとっているわけでありまして、それを準拠して考えると、おのずと日本の中期目標というのがどこぞ辺りにあるべきかというようなことは大体類推できるわけであります。
 今委員おっしゃったように、二〇五〇年に仮に日本が最大限努力して五〇%の削減が目標になれば、基準年、これはまた別の、いわゆるオールドAWGでの目標というのは、これは九〇年比でマイナス六%ですから、そうすると、それを連続の中でつないでいくと、まあ二〇二〇年ぐらいのところはどの辺りにあるかということが大体直線上に出てきます。それに加えて、総理が十年から二十年でピークアウトと、こういうようなことをおっしゃったというようなことを全部つなぎ合わせますと御想像が付くだろうというふうに思います。
○福山哲郎君 今の環境大臣の御答弁で、官房長官、ニュアンスとしてはそうだなという感じでよろしいでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) そうだなというのは、その中期目標を一定の幅のところで作ろうということですね。
 それはそうだなと私も思いますが、いずれにしても、これからまだまだ議論しなきゃならないこと、さっき幾つか申し上げました。例えば基準年一つ取っても、大分そこには意味が違います。また、ヨーロッパ、EUといっても、EUバブルという言葉があるように、先進国はほとんど何もしなくても、拡大されたEUというものの存在の結果、物すごく、本当に地球温暖化のガス、CO2等をあんまり努力しなくても簡単に実現できてしまう幾つかの国々があったりとか、本当の目的に照らして何がいいんだろうかと、何が必要なんだろうかということは、よほどよくそこを見極めないと数字の議論というものはなかなかしづらい、難しいところがあるんだろうと思います。
 だからそこは、みんなが納得できる公平な基準をどうやって作っていくのかと、そのところにこれから相当なエネルギーを傾注して国際的な合意をつくっていく。もちろんそこには、先進国と発展途上国の違い等々はもちろんあるんでしょうけれども、そういう性格のものとして今後中期的な目標というものを考えていかなければいけないんだろうと、かように私は受け止めております。
○福山哲郎君 官房長官のおっしゃるとおりだと思います。
 ただ、EUバブルの議論は、基準年のことは後でお伺いしますけれども、さはさりながら、その議論は、京都メカニズムの導入や吸収源の導入等も含めて、日本の主張は京都議定書の中では随分取り入れられたと私は思っています。
 なおかつでございますが、これはもう鴨下大臣とは環境委員会でやり取りしましたし、環境大臣は御理解をいただいておりますからあれなんですが、官房長官と経産大臣に確認をさしていただきたいのは、バリ・ロードマップで、先ほど環境大臣が言われたように二つのトラックが動き出しました。
 一つは、良かったなと私も思っていますが、先進国も途上国も含めたポスト京都議定書への一つのAWG、アドホック・ワーキング・グループというのが動き出した。これは今からスタートしますから、これから官房長官の言われたような仕組みや方法や効率性をどう導入していくかというような議論を詰めていけばいいと思います。これはオーケー。
 しかしながら、元々京都議定書の批准国の中の旧アドホック・ワーキング・グループの中では、二〇二〇年に二五から四〇%削減を認識しつつ取り組むという文言が入って、これも合意をしています。つまり、今温暖化の流れの中では、バリ・ロードマップという先進国も途上国も入った、アメリカも入ったこれからスタートするラインと、もう一つの日本が入っている批准国のラインがあって、この批准国のラインは確実に二五から四〇という文言がその合意の中に入っていると。なおかつ、それは将来的には収れんをしていくわけです、この二つのトラックは。
 そういう流れの中で、中期目標の設定というのは、先ほど環境大臣や官房長官が言われたように、二〇五〇年半減からバックキャスティングして後ろ向きにちゃんと、後ろ向きというか、そこから後ろ振り返ってやっていけば、自然と二〇二〇年どのぐらいの中期目標が要るのかというのは日本の削減目標として出てくると私は思っておりまして、それは早く作っていただいた方が早く準備ができて、早く実は企業も国も社会も対応できると思っておりまして、その中期目標の設定についても、先ほど言われた洞爺湖サミットの前後どちらか別ですが、長期目標とともに設定をしていただきたいとお願いをしたいんですが、これは環境大臣でも官房長官でもいいですが、じゃ、まず環境大臣、お願いします。
○国務大臣(鴨下一郎君) もう先生とはかねてからこの問題は議論をさせていただいていて、おっしゃったように、いわゆる京都議定書における附属書Ⅰ国、その中では先ほどの数字、例えば二五%から四〇%の削減が、二〇二〇年には一九九〇年比でそのぐらいの削減が必要と、こういうようなことをIPCCが科学的な知見として提言していますから、それをこのいわゆるオールドAWGの国は認識をすると、こういうようなことをスタートにしているというようなことは、これは本来は非常に重い話だろうというふうに思います。
 これは京都議定書に、アメリカが離脱するときに、科学的でないということを一つの大きなよすがにしたわけですけれども、現実にはそれが非常に科学的だというようなことで、もうだれしも認めるというようなことをこのオールドAWGが認識をしたわけでありますから、是非これは政府一丸となってそういう方向でさせていただきたいというふうに思っています。
○福山哲郎君 いや、今政府が認識をしているということで、重たいという発言は本当に僕は重要な発言だと思っておりますので、これは官房長官も経産大臣もそれぞれ御認識をいただければ非常に有り難いというふうに思います。
 それで、どうぞ官房長官。
○国務大臣(町村信孝君) 今環境大臣おっしゃったことを若干補足的に私なりの理解で申し上げれば、私も一応この合意文書というか全体を見ましたけれども、やはり記述があることをレコグナイズ、認識するということは、これで各国が完全合意をしたということではないということも我々は認識しておかなければいけないんだろうと、こう思うわけであります。
 貴重な指摘であることも事実だし、それに留意するということの趣旨は合意したけれども、各国の間でこれが将来の目標として合意された文書になったんだということではないということはあえて申し添えておきたいと思います。
○福山哲郎君 いや、私もそこの文言は分かっているつもりです。しかしながら、各国がIPCCの二五から四〇に対して認識をして、これまで批准国として動いてきたものを動かす、これから先もそれに準じてというか、それを前提に動かしていくということを認識したということですから、これは非常に重たいものでありまして、もちろん合意をしたとは思いませんが、それに応じて各国の削減目標について議論を進めていくということだと私は思っていますので、そこはよろしくお願いしたいと思います。
 先ほどの、官房長官からもお話ありました、基準年も見直されるべきですと総理は演説の中で言われました。じゃ、日本は一体いつ基準年にすればいいという認識でいらっしゃるのか、お答えをいただけますか。
○国務大臣(鴨下一郎君) これは、一九九〇年というようなことにおいては、京都議定書の中での様々な議論があったわけでありまして、EUはそこをスタートにしてこれから新しいバリ・ロードマップにおける新たな枠組みの中でもこれを基準にするべしと、こういうような話がありました。
 ただ、福田総理がダボスでの御発言の中には、これは基準年そのものも含めて新しい枠組みの中では議論をしましょうと、こういう提案をしたわけでありまして、それが私はある意味で適切な発言だったと思いますけれども、EUにとってみると余り面白くなかったと、こういうようなところがあると思います。
 ですから、そういう中で我が国にとって国益になり、なおかつ究極の目的である地球温暖化を防止すると、こういうような意味においてどこに基準年を置くべきか、あるいは基準年という概念をまた別の意味において考えるべきかと。こういうようなことについてはこれから、今、加速度的にですけれども、議論をしようと、こういうようなことになっているということだけ申し上げておきます。
○福山哲郎君 私は、別にEUにすべて従えと申し上げているわけではありません。しかしながら、九七年の京都議定書のときには実は九〇年の基準比の問題、そのときも議論がありました。先ほど官房長官が言われたEUバブルの問題もあったんですが、その分、吸収源や京メカというのを取り入れてスタートしました。現実に京都議定書の枠組みの中で九〇年以来ずっと議論をしてきたと。
 新たなポスト京都のときに基準年を見直せという発言は、実はこれ非常に重たい発言です。だって、今まで国際社会は九〇年度比でずっと議論を前提としてしてきたものに対して、日本の、特に洞爺湖で、温暖化が議題になると分かっている洞爺湖のサミットの直前に、議長国である日本の総理が基準年を見直すと言ったのは、これはルールを変えろと言っていることですから、これは単純な話では決してありません。
 つまり、それだけの覚悟があって基準年を見直せと言った限りは、日本は一体いつの基準年ならのめるのかと。これはやっぱり非常に重要な問題だと僕は思っているんですね。思い付きのように基準年を見直せみたいなことを言ったら、国際社会は今までの前提と違うことを日本の議長は言い出したと。これ、どれを前提に議論したらいいのかという話になるわけですから。それも、洞爺湖サミットの直前に一月のダボスで総理が言ったと。これはやっぱりそんな単純な話では僕はないと思っているんですね。
 いつなら日本としては基準年の話は、じゃコミットできるのかと。今の環境大臣の御答弁は、環境大臣のお立場では僕は理解はするつもりです。しかし、国際社会から見たら、おい、議長国がルールを変えろと言い出したぞというふうに見えるんじゃないですかと。それならそれなりの覚悟が要るんじゃないですかということを申し上げているんですが、環境大臣でも官房長官でもどちらでも結構です、お二人にお答えいただいても結構ですが、お答えいただけますか。
○国務大臣(鴨下一郎君) おっしゃるとおりに、その基準年を変えるというようなことは、多分、まあマスコミ等では余り大きくは報道されませんでしたけれども、極めて重要な提案の一つだったろうというふうに思います。むしろ、国別総量目標というようなことを皆さん御評価いただきましたけれども、場合によると基準年の方が重い発言だったかも分かりません。
 それは、私は環境大臣ですから環境を一番優先するべきですけれども、そういう中でもやはり日本の立場あるいは日本のルール、こういうようなものも主張しつつ、なおかつ最終的に二〇五〇年には気候変動を止めるんだと、こういうようなことの目的のためにしっかりと日本がどういうふうな役割を演ずるかということなんだろうと思っていまして、必ずしも九〇年比でどのくらい削減していくということですべての国がコミットしてくれるかどうかというようなことについては、私も半信半疑です。
 例えばアメリカ、それから殊のほか重要なのは中国、インド、こういうような国が、果たしてそういうようなところで、本当にこの新たな枠組みの中でバリ・ロードマップがコペンハーゲンで出口を出られるかと、こういうようなことについては少し詳細に検討しなければいけないと、こういうような中での基準年も見直そうじゃないかと。
 まあ多分EUにとってみたら足下が崩れる話ですから、極めて重要な提言、提案だっただろうというふうに思いますけれども、そういう中でもう一度新たな枠組みをつくっていこうという野心的な提案だったというふうにも受け止めていただきたいというふうに思います。
○国務大臣(町村信孝君) 軽々にこの基準年のことをダボスで総理が言われたわけではございません。相当議論もし、考えてもみました。
 しかし、客観的に見ますと、一九九〇年、ちょうど冷戦構造が崩壊をした、あれは八九年ですか、ベルリンの壁が壊れたのは、九〇年ですか、それから拡大EUということでどんどんEUは拡大をしていった。そして、九〇年と比べて今の中国であるとかインドであるとか、ここまで急速に発展すると、九〇年のとき、また思いもしなかった国々が多分大部分であろうと。それだけ世界の経済構造も変わってきたときに、九〇年というのが未来永劫絶対的な水準というのも、やっぱり世の中の変化というものを余りにも表していないという見方もあろうと思います。
 他方、環境という観点からすると、いやいや、そうじゃないよと、もうそんなことを言うんだったらもっと前にさかのぼるかとか、いろんな議論があり得ると思います。
 したがって、先ほど申し上げましたように、すべての関係する主要な排出国が参加できるような基準年、そして、それはなるほどとみんなが思えるような基準年はいつなのかと。正直言ってまだ今、日本が何年がいいということを申し上げられる状況にはございませんけれども、だんだんこれも議論が深まる過程で日本としてもそこはいずれかの時点ではっきりとそれは言う必要があるんだろうと、こうは思っております。
○福山哲郎君 官房長官のおっしゃられたことは、一面、時代も変わる、社会システムも変わる、そのとおりだと思います。しかし、二酸化炭素の総量を削減しなければいけないという命題は変わらないわけです。そのときには、ある一定の年次で決めて、どこで削減していくかと決めない限りは、例えば経済が大きくなって二酸化炭素がどんどんどんどん排出しているときに、基準年をあるときずらした瞬間に全体の削減する量というのはその分だけ増えるわけですから、一体どれだけ減らすのかという議論がだんだんぼけてくるんですよ。
 このことは非常に重要なことで、私は、ルールを変えるというのは本当に大変勇気のある話でして、なおかつこれから議論をしていきましょうと。でも、官房長官、サミットまであと何か月なんですか。サミットのときに議長として日本は各国に対してこういう方向でいきましょうということを示す役割があるんです。
 ということは、今の話で総合すれば、基準年の問題も日本の国別削減目標の問題もある程度議長国として日本は洞爺湖サミットで提示をして、それに対してEUやほかの各国の反応を見ながらそこである程度状況をまとめていくための準備をしているということでいいわけですか。
○国務大臣(町村信孝君) さっきも申し上げましたように、サミットは一つの大きなモーメンタムを増すチャンスではあります。しかし、そこが唯一絶対のあれではありません。最終目標は来年の年末であります。それがまず第一点であります。
 それからもう一点は、確かに委員がおっしゃるように、どこかで基準年を設けなければ、あるいはいろんな意味で国々が発展をしていない九〇年というのがいいじゃないかという議論も、それはそれで一つの理屈だろうと思います。しかし、それが余りにも今の経済実態と懸け離れたところを基準に取るということが、どういうんでしょうか、そこからの削減量を考えるのか、あるいはもうちょっと新しい時点のものを決めて、そこから大きな削減、もしその間に、確かに増えているわけですから、そこから大きな削減量を決めてもいいわけですね。
 ある意味じゃ、その方が、それぞれの国の経済実態あるいはそれぞれの国の排出量のバランスというものを見て、どこを基準に取ったらば一番世界全体でそれを減らすことができるのかという建設的な議論にもつながってくるんだろうと思いますから、私は、九〇年が引き続き採択されるというか基準年になることも含めて、今こうでなければならないということを決め付けるのはいかにも時期尚早なのではないだろうかと。
 そこをまさに、みんなが納得できる公平な基準、公平な算出方法、公平な基準年はいつなんだろうかということをこれから来年の年末に向けて議論をしていこうということが今の日本の立っている現状ではないのかなと、こう思っているわけであります。
○福山哲郎君 今のお話は分からなくはないんですが、官房長官、別に言葉じりつかまえる気はありませんが、例えば基準年を変えて経済実態に合わせたと、それで二酸化炭素が増えたら、削減量をそのまま幅を上げればいいじゃないかとおっしゃいました。
 それだったら基準年同じでも一緒じゃないですか、九〇年でも。一緒じゃないですか。だって、世界全体で半減しなければいけないという総量は同じなんですよ。そうしたら、今官房長官が言われたみたいに、基準年を変えて排出量が増えて、それでまずいんだと、その分排出量の削減を大幅にすればいいじゃないかとおっしゃったら、結果は同じじゃないですか。これが一つです。
 二つ目は、何をおっしゃったかな、(発言する者あり)いや、来年の話の前にすごい重要なことをおっしゃったんですが、いいです、じゃ官房長官、まず答弁してください。
○国務大臣(町村信孝君) 国別にそれぞれの国が排出量を考えるときに、全く、まあ全くと言ってはいけませんよね、非常にまだ発展のペースがスローであった一九九〇年と、中国なりあるいはインドなりというのは今ここまで大きな国になってきておりますね。したがって、九〇年というものを基準にしてくださいよと言ったって、そんなこと言ったって、九〇年と今とこれだけ経済実態が異なっている。
 確かに、排出量は増えておりましょう。だからその分大きく減らすということはあるかもしれませんが、そこはやっぱり現実、今の姿というものを前提にしながら、どういう基準を設定したらば、それらの国々にもより大きな、そしてかつ到達可能な数字になるのかということが出てくるわけでありまして、例えば九〇年というより、多分中国にとっては低い、排出量の少ないところを基準にしてそこからまた減らすとか仮になれば、それはもうとても到達不可能だということになるじゃありませんか。だから、そんな非現実的なものには参加できないということになってしまっては元も子もないわけですね。
 だから、そこは現実というものを見据えながら、何が一番最終ゴールに向かって到達するのに合理的であり、かつ論理的であるのかということをこれからまさに議論しましょうと言っているのであって、私は別に、それならば例えば新しい年を基準にして、そして大きく切るなら前と同じじゃないかと。そこは違います。国々によって排出量が相当変わってきて、経済構造が変わってきたという現実をやっぱり私ども踏まえて、現実的な、かつ効果的な方法というものを考えましょうと言っているだけであります。
○福山哲郎君 いや、そのとおりなんですよ。それぞれの各国一律に削減目標が決まるわけじゃないじゃないですか、バリ・ロードマップでも。それぞれの国の事情に応じて決まるに決まっているじゃないですか。
 ただ、そのときに基準年がなければどういう議論になるんですかという話をしているのと、中国は、嫌でも、官房長官にここで代弁していただかなくても、国際社会の場で中国は嫌ほど自分たちの主張をします。それで途上国をどう入れていくか、参加をさせていくかというのが課題なわけです。別に、日本がわざわざ中国のことを心配して基準年のこと言う必要は、僕は逆に言うと、ないと思っております。逆に言うと、さっきの話、国別の削減目標もいつか分からない、あいまい。基準年は見直せと言っているけど、一体いつを基準年にしたらいいのかも日本ははっきりしない。これどうやって議長をやるというのか、私は実はちょっと不安になっています。
 更に申し上げれば、もうこれ別の話題になりますが、もう何回も私この場で言っていますアメリカのリーバーマン・ウォーナー法案、私、このぐらい分厚い中身、翻訳も含めて見ました。本当に詳細なことがきっちり詰まって議論できています。二〇五〇年までに六三%の削減という状況になっていて、排出権取引市場の仕組みも相当精緻にでき上がっています。罰則規定からオークションの仕組みから、何%オークションをして、そのお金を何に使うかまで決まっています。
 EUの排出権取引市場も、もうできて三年になりました。いろんな批判はありますが、今第二フェーズ、第三フェーズに入って動き出そうとしています。この間、私はイギリスの排出権取引の担当官と懇談をしましたら、その方は今からオーストラリアに行ってオーストラリアと協議をしてくる、その後アメリカに行ってアメリカの州政府と協議をしてくるとおっしゃっていました。これ間違いなく動き出しています。
 排出権取引市場について今どういう評価をされているのか、環境大臣と経産大臣、短めにお答えいただけますか。
○国務大臣(鴨下一郎君) この三月に新たな京都議定書の目標達成計画が閣議決定されます。それが産業界含めて、自主行動計画あるいは業務それから民生部分についてもより深掘りをして協力をいただくと、こういうようなことになっているわけでありますが、私は必ずしもそれだけでは十分ではないというふうに思っておりまして、加えて、新たなる行政手法、こういうようなものを、特に規制的な手法を何らかの形で入れていかなければいけないと、こういうふうに考えておりまして、その選択肢の一つの重要な方法だというふうに考えています。
○国務大臣(甘利明君) キャップ・アンド・トレードも一つの手法だとは思いますが、それには前提がありまして、公平なキャップをどうかぶせるかということ、それから空白地帯をつくらないで、まあつくると無キャップ地域に産業が流出するという危険性がありますから、全体にどう網を網羅するかと、それが公平なキャップであるかという点が前提だと思います。
○福山哲郎君 実は、公平なキャップという点でいうと、日本はやっぱりよくできているんです。
 日本は省エネルギー法で、各企業がどの程度省エネについて努力をしてきたか、全部経産省が資料を持っていただいているんです。つまり、経産省がそれだけの資料を持っている、情報を持っているということは、実は公平性、頑張って省エネ技術をやって工場の省エネ、二酸化炭素を減らしてきたところは、頑張ってきたからそこのところにはそんなに厳しいキャップを掛けないでいいじゃないか、今まで努力を怠ってきたところにはキャップを掛けるべきじゃないか、じゃないと不公平じゃないかと。逆に言うと、日本ほど公平性を担保できる、もうインフラが整っている国はないと私は思っています。
 逆にEUのEUETSが失敗した例というのは、そのデータがあいまいだったからだと私は思っていまして、先ほど経産大臣が言われた無キャップのところに流出をするというリスクも、実はコストとの兼ね合いです。その技術に、工場なり事業所なりに効率的にする、二酸化炭素を削減をするための技術を投資をして、それが回収できれば外へ出ていかなくてもいいわけで、それは制度設計のやり方次第だというふうに思っておりまして、環境大臣が今排出権取引市場も非常に重要な方策の一つだと思うという答弁をいただいたことというのは、私は大変心強く思っておりますし、一番気になるのは今日の日経新聞です。EUが温暖化対策に対してしっかり取組をしていないところの国の輸入に対して、ある意味での関税を掛けるというような話がありました。
 実はこれ、EUが出てくる前にどこに書いてあったかというと、先ほど申し上げましたアメリカのリーバーマン・ウォーナー法案に実はこの国境政策のことが出ています。つまり、二酸化炭素削減に対するきっちりとした対応を取っていないところについては輸入障壁が掛かると。我々は輸出産業を中心に頑張っているわけですから、そこは非常にリスクになる。
 更に言えば、先ほどから申し上げていますように、EUやアメリカでルール化されたときに、我が国のアメリカに出ている工場や我々のEUに出ている工場や事業所が、我が国のですよ、そこが実は制約が掛かる可能性が出てくる。さらには、輸出品に対しての制約が掛かる可能性が出てくる。それなら我々もちゃんと市場整備をして、国際ルールの共有化みたいなものにコミットするべきではないかと。
 私は、決して産業活動や経済活動をブレーキを掛けるために排出権取引市場を創設するべきだと申し上げているわけではありません。逆に言うと、省エネ、効率化、二酸化炭素低炭素企業をつくっていくためのインセンティブにするために私はこの制度が重要だというふうに思っています。
 御案内のように、一九七八年に日本は九割の排出ガス規制をやりました。これは経産省と環境省さんの御英断でやって、当時の自動車業界は悲鳴を上げたにもかかわらず、日本の企業はやり切って、それが日本の自動車産業の世界でのシェアをどれほど広げることに貢献をしたか。
 そういう観点で考えたときに、日本の技術力、日本の省エネ技術からいって、こういったものに対して、先ほど大臣、官房長官言われていますが、あいまいな形ではなくて、いち早く日本の意思決定をして、そして準備を始めた方がいいのではないかなというのが私の長年の主張でございます。現実問題として、今世界が動き出しています。そのことも含めて、是非お力添えをいただければ有り難いなというふうに思います。
 もうだんだん時間がなくなって、予定していた質問ほとんどできていないんですが、目達計画なんですけど、これ実際に目達計画の最終報告で自主行動計画、千九百万トンの削減量の増加を見込んでいます、新たに上乗せとして。でも、実際これ二〇〇六年度の排出の実績と比べたらどのぐらい削減されることになるのか、経産省、お答えいただけますか。
○国務大臣(甘利明君) その千九百万トンのCO2というのは、これは追加削減を要請をして達成をしてもらうという見通しが立ったということであります。それ以前の目達計画では、二千六百だったかな、二千六百だな、四千、当初の目達計画を構成する自主行動計画では、たしか四千二百でしたか、つまり産業界は当初の予定をクリアしてもらいました。
 ただ、よそがクリアできない分もっと頑張ってくれないかということで追加を乗せたわけでありまして、彼らが自主行動計画、つまり政府の目達計画の相当部分を構成する自主行動計画をクリアできないわけじゃなくて、クリアした上で、よそがまだ未達成の部分余計にやってくださいという分があの千九百万トンでありまして、これの削減見通しが立ったということであります。
○福山哲郎君 済みません、全然お答えをいただいてないんですが、時間がなくなったのは私の質問の仕方が悪いので謝りますが、是非、経産省さんと委員長、お願いがあります。
 私、質問項目全部お渡ししていますので、その御答弁、予定答弁を後でお教えいただければ有り難いと思いますので、是非、どういう答弁をされるおつもりだったのか、後で御提示をいただければ非常にうれしく思います。
 最後に、外務省来られていますか。
 高村外務大臣が排出権取引市場について非常に積極的な発言をされました。その真意についてお答えいただけますでしょうか。
○大臣政務官(小池正勝君) 御答弁申し上げます。
 高村大臣の御答弁でございますが、これは、待ったなしの状況にございます地球温暖化問題の解決に向けて、我が国といたしましても具体的な独自提案を準備しなければならないという御認識をお持ちでございまして、そういう御認識の下に中期目標の必要性や排出量取引について言及したものでございます。
 我が国は、国連における交渉の進展を実現するために、サミット議長国として国際的な議論を主導していきたいと考えております。このような観点から、福田総理はダボス会議に出席されてクールアース推進構想を表明されました。その中で、IPCCが地球全体の温室効果ガスの次の十年から二十年の間にピークアウトして、二〇五〇年には少なくとも半減しなければならないと警告していることに言及した上で、主要排出国とともに国別総量目標を掲げて温室効果ガスの排出削減に取り組む決意を総理が表明されたわけであります。この構想を受けまして、我が国自身の中期の総量目標策定に必要な作業を今現在、政府内で鋭意進めているところでございます。
 また、排出量取引についても、国際的な趨勢を見極めつつ、我が国の状況も勘案した上で、総合的な観点から検討を進めてまいりたいというふうに考えておる、そういう趣旨でございます。
○福山哲郎君 全く役人答弁で、高村大臣の発言の趣旨とは大分違うトーンでお答えいただいたので残念な思いをしております。
 時間がなくなりました。ありがとうございました。


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