05/27

2008

第169国会 参議院 環境委員会 2008年5月27日


地球温暖化対策推進法改正案

○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の福山でございます。今日は四十分ですので、時間ありませんので早速質問させていただきたいと思います。
 大久保先生からも最後にお話がありましたけれども、環境大臣サミット、鴨下大臣、御苦労さまでございました。私は、野党の立場ですし、温暖化対策を推進するという立場でいつも申し上げますから、国際会議のたびに、日本のポジションはまだまだ足りないと、もっと頑張れというお話をさせていただくのが常でございまして、いつもその話をさせていただいて、今日も同じような話になりますが、まあ言い続けることも重要だと思いますので、大臣、そこはお許しをいただいてお聞き及びいただければと思います。
 私は、大臣のポジションはなかなか厳しいところで、経産、環境、官邸、いろんな思惑もあり、当日も、実は二十四日のステークホルダーとの対話でも、経団連さんと経済同友会さんがそれぞれ若干別のトーンで話をされたとかいろんな話が入ってきておりますし、国際会議ですからこちらの思うとおりにいかないのもそれも常でございます。
 その中で私は、まあ合意としては今でき得る鴨下大臣の範囲では非常に御健闘されたんだというふうに実は評価をしております。ただ、日本のポジション、ずっと言われてきたポジションから余り変化がないことも事実でございまして、今まで日本のポジションを言っていたことをもう一度確認をしたという評価もできると、ただ確認をしただけだという評価もできるということもあります。
 まず、大臣、今御答弁もいただきましたけれども、このG8の環境サミットに対する御自身の御評価をお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 自分の評価はなかなか難しいものですから、具体的に少しその経緯について申し上げます。
 G8のほか中国、インドなど合計十九の国、地域、環境大臣あるいは担当者が集まって、具体的には気候変動、そして生物多様性、3Rのこの三分野について議論をしたわけでありますけれども、今先生御指摘の気候変動に関しましては、これは二〇五〇年までに世界全体の排出量を少なくとも半減させる長期目標を洞爺湖サミットでの合意とすることに強い意思を表明した。また、低炭素の社会の研究ネットワークづくりなどについて、神戸イニシアチブと名付けた今次の会合のフォローアップのための活動と主要国の対話の提案について幅広い支持が得られたわけでございます。
 今先生おっしゃっていますように、日本の中にも各種異論のあるステークホルダーもおいでであります。そういう中で、我々は政府の一員として対外的にあるいは国内的にいろいろなメッセージをこの会合で発しようと、こういうような思いで臨ませていただきました。
 繰り返しになりますけれども、一つは洞爺湖での議長国としての使命、役割が果たせるように、環境分野においてある意味で我々環境の分野に携わっている人間の言わば合意をいかにつくっていくかということと、加えて、G8あるいはアウトリーチ国含めた皆さんとの議論の中では、COP15に向けての言わばすべての国が参加する新たな枠組み、これに対して貢献できるようにと、こういうようなことでございました。
 それぞれ御批判もあり、なおかつ不十分なところもあると思いますけれども、一歩でも二歩でも前に進めると、こういうようなことにおいては私はそれなりに前に進んだかなと、こういうふうには思っておりますけれども、まだまだこれはゴールにたどり着くには一合目、二合目かも分かりませんので、引き続き努力をしたいというふうに思っております。
○福山哲郎君 その中で長期の半減は何とか洞爺湖でという議論ですが、やっぱり各論の違いで明らかになったのは中期目標だというふうに承っております。中期目標の設定についてはどんな議論がされて、大臣としてはどんな思いだったのか、お聞かせをいただけますでしょうか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 中期目標については、もうかねてから申し上げていますけれども、ちょうど京都議定書におけるマイナス六%を日本がいつのタイミングで打ち出し、なおかつ、それについて国際的な批准に至るまでのプロセスというのはございましたけれども、この中期目標というのはある意味で私は全く同じ意味を持っているんだろうというふうに思っておりまして、この度の環境大臣会合においては、これはIPCCの科学的知見を考慮して実効的な目標を設定する必要があると、こういうような結論に至りました。
 また、今後十年から二十年の間に世界の排出量をピークアウトさせるためには、先進国が率先して国別総量目標を掲げ対応するとともに、特に排出量が急増している途上国は排出増加のスピードを抑制することが重要との結論を得ておりまして、これはある意味で特に途上国が排出増加のスピードを抑制すると、こういうようなことに中国、インドを始めとして参加した途上国がコミットしたと、こういうようなことは私はかなりの意味を持つことなんだろうと思います。特に、インドについては我々はまだ未知数でありましたけれども、今回インドの環境大臣からそういうような御発言があったと、こういうようなことは大きく評価ができることなんだろうというふうに思っております。
 また加えまして、これG8国で、これは議長サマリーですから合意文書じゃありませんけれども、今後十年から二十年間の間にピークアウト、こういうようなことを総理はかねてからダボス会議以降お話しになりましたけれども、これについてもG8で格段の異論がなかったと、こういうようなことも特筆するべきことなんだろうというふうに思っております。
 加えて、先生がかねてから御指摘いただいている中期目標については、その書きぶりについても随分いろいろと事務レベルあるいは大臣レベルでも議論があったわけでありますけれども、最終的に実効的な目標を設定すると、IPCCの科学的な知見を考慮してという前提に立ってですが。ですから、読みようによっては先生がかねてからおっしゃっているようなところに徐々にたどり着きつつあるのかなと、こういうふうに思っておりますので、是非、更に我々も頑張りたいというふうに思っております。
○福山哲郎君 大臣言われました、中期目標に半歩ぐらい前進だったということは、それは評価をしたいと思いますし、インドが本当に未知数だったところが、大臣おっしゃられましたように新たな計画を出すんだということを発表したことも一つの成果というか一歩だと思いますが、済みません、大臣、私が今聞き間違えたのかどうかはよく分かりませんが、少し最初のころに、今の発言の冒頭ですが、ちょっと確認しておかなければいけないような話をされたように気が付いたので、ちょっとだけ確認させてください。
 中期目標の議論は京都議定書の六%と同じような意味だとおっしゃいましたね。それは、済みません、ちょっと僕、そこは重要なところなので、ちょっと聞き捨てならないなと思ってもう一回確認をさせていただきたいんですが、大臣、もう一回お答えいただけますか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 私の前提の話として、国際交渉において中期目標というのは、かつて京都議定書のときの国際交渉の意味で、日本がマイナス六%を約束したわけですけれども、それと言わば同じような意味を持っているというような趣旨でありまして、中期目標とマイナス六%は何ら関係はありません。
○福山哲郎君 もちろん私もそう思っていますが、京都議定書の六%を、今回、二〇五〇年という大きい長期目標の中で議論している二〇二〇年と同じような意味合いだというふうにとらえられるのは、実は日本政府のポジションとしては大分後退をしているポジションだと思います。
 それはなぜかというと、あの六%に対して日本の政府はずっと、EUが有利だったとかあの六%は京都議定書の交渉上の失敗だったというような議論があります。その意味合いでとらえると、実は中期目標というのは日本としては余り有り難くないという空気にもなりますし、あの京都議定書のときには、まずは取りあえず各国で削減目標をつくりましょうと、第一約束期間はこれで設定しましょうということで、先の話が実はありませんでした。
 今回は、二〇五〇年世界半減という大きい目標があった中でのプロセスの中の中間的な意味での中期目標ですから、京都議定書の中の六%とは意味が僕は大分違うと思っていますし、それと同じ意味合いで位置付けをすると、中期目標の位置付けが非常に日本政府としてはネガティブな印象が残る。それは僕は余りいいことではないと思いますので、大臣、私が考え過ぎなんだったら考え過ぎだと、そんな意味合いではないというふうに否定していただくんだったら否定していただいても結構ですが、そこは少し、済みません、もう一度御答弁いただけますか。
○国務大臣(鴨下一郎君) そういう趣旨では、ちょっと例え方が、私の例え方が不適切だったのかも分かりません。
 先生おっしゃるように、これから我々は中期目標については野心的にやっていかなければいけません。ですから、マイナス六%を決めたときと時代状況あるいは長期目標、こういうようなことについても全く違うわけですから、そういう意味においては私は先生と意見を共有しております。ただ、国際交渉という意味において日本がどういう目標を掲げるかと、こういうようなことでいえば、まああのときのマイナス六%と同じような意味で中期目標というのがあるんだと。ただ、中身については全く違います。
 それから、今おっしゃった先生の趣旨は、私はほぼ一〇〇%共有した上で話をさせていただきたいと思っています。
○福山哲郎君 それならば、大臣のお言葉を信用したいと思いますが、あのときの日本のポジションは元々はゼロ%、プラス・マイナス・ゼロ%のポジションで交渉に臨みました。結果として六%になったわけですが、その間に吸収源やCDMの議論もあって、日本としては実質的にはマイナス〇・六%というところのポジションに落ち着いたわけです。
 ただ、さっきから何回も申し上げていますように、日本政府の京都議定書に対する評価というのは非常にネガティブな評価が多いので、是非中期目標に関しては、余り京都議定書の六%を引き合いに出して議論を私はしていただきたくないと思いますので、大臣、そこは今の御答弁を信用しますが、よろしくお願いしたいと思います。
 また、排出量取引、税制上の問題について、経済的手法の問題についてですが、議長サマリーの中には、排出量取引、税制上のインセンティブ、パフォーマンスに基づいた規制、料金あるいは税及び消費者ラベル等の市場メカニズムは、炭素に価格を付け、価格シグナルを提供することを支援することが可能であるとともに、民間部門に対する長期的かつ確実な経済的インセンティブやCDMプロジェクトの推進のインセンティブを与える潜在力があり、一層の排出削減を進める上で効果的かつ有効な手法との認識が共有されたというふうにサマリーには述べられました。私は、これは日本の中で国論が二分している排出量取引についての評価としては非常に前向きな評価をサマリー上されたというふうに思っておりまして、これは大臣の強い意思の表れかなと思ってこれは大変評価をしています。
 しかし、問題はこの表現をいかに日本国内の排出量取引導入に対して反映をさせるかというのが重要なポイントだと思っておりまして、おとといでございます、まさに二十六日にG8の環境大臣サミットが終わったその日に例の官邸で行われている地球温暖化問題に関する懇談会において発表された排出量取引制度については、まさにこのサマリー、国際的なところで議論されたサマリーと国内での官邸での議論は全く逆のことが書いてあります。
 なぜかといいますと、両論併記があって、この点で欧米でも試行錯誤が続いており、当面は自主行動計画で対応し、予断を持たず慎重に検討すべきという意見とがあったと言って、世界の潮流であるという意見と慎重な意見があり、欧米の動向を注視しつつ我が国の実情を踏まえた国内排出量取引制度について更に検討を継続することとするというふうに先に送って両論併記をしたと。これまさに議長が御苦労された話と国内での議論が余りリンクをしていないと。
 日本のこの議論は、延々と私の記憶でも五年ぐらいこの議論を続けています。もうそろそろ国内の決着が必要だと思いますので、大臣はサマリーをまとめられたお立場ですから、その決意、いつもいただいておりますが、もう一度いただければと思います。
○国務大臣(鴨下一郎君) 我々も、低炭素の懇談会の中間取りまとめを意識しつつこの議長総括にも臨んでおりました。ですから、冒頭申し上げましたように、この議長サマリーを強く国内にインプットしていくというような趣旨もあったわけでありまして、この七パラのところの排出削減のための経済的手法の活用、こういうようなことで、多くのといいますか、ほとんどの国が炭素に価格を付けると、こういうようなことについては御賛同をいただいているわけでありますので、これは、国内のこの問題について多少消極的なステークホルダーの皆さんにもこのことをかみしめていただきたいというふうに私は思っております。
 ただ、やはりこの七パラの後ろの方の、後段のところに各国の事情をかんがみつつと書いてありますので、ここがその中間取りまとめと整合を取りつつまとめさせていただいた深い意味もあるわけでありまして、是非、我々としては積極的にこの議長総括、これは各国の言わば特段の異論のないところでまとめさせていただいたことでありますので、国内にも大いに参考にしていただきたいというふうに思っておりますし、私たちとしてもこの取りまとめた責任としてしっかりと国内にも働きかけてまいりたいというふうに思います。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 また、これも議論になっておりますセクトラルアプローチについてもサマリーにちゃんと表現をされました。私もセクトラルアプローチ、いつも申し上げているように、否定をするわけではございませんが、まさにこの議長サマリーに書かれていますように、ボトムアップアプローチによる削減ポテンシャルとトップダウンアプローチにより計算される必要な削減レベルとの間に生じ得るギャップは環境の十全性を確保するために埋められる必要があると。これらのギャップは政策措置、革新的技術や国民などによるライフスタイルの変革などによる更なる削減の模索によって埋めていくことが可能であると。セクター別アプローチは国別総量目標を設定するためのものでこれを代替するものではないことが明確化されたと。
 これサマリーに書かれていまして、これも大臣がこれまでどおり御議論いただいていたことを表現されたと思っておりますので、これも私自身は評価をしておりますが、ここで明らかに、セクター別アプローチというのは一つの国別総量目標を設定するための方法だと、手段だと。それは国別総量目標とは違う、代替するものではないんだと、はっきりとこれ書かれています。やはりこのことは非常に重要だと思いますので、そのことの再度の確認と、それから、例のギャップを埋めることの認識は重要なんですが、ここどうするんだというのが最大の課題でございまして、具体的な手法として。このギャップを埋める政策措置としてどう、何を考え得るのかということについて、大臣の現段階での御所見をお伺いできればと思います。
○国務大臣(鴨下一郎君) セクター別アプローチの有効性については、多くの国から御評価をいただいたというふうに考えています。特に、今先生おっしゃっているように、このセクター別アプローチは、削減ポテンシャルとトップダウンアプローチによる計算される必要な削減レベルとの間に生ずるギャップ、これが起こり得るんだという認識であります。そして、それは国別総量目標とを代替しないと、こういうようなことを明確に私たちは言わせていただきました。それに対して多くの国がこのことを理解したと、こういうことであります。
 ただ、今おっしゃったように、このギャップをどうするのかという話は、これはその前に議論されました経済的な手法の活用に尽きるわけであります。我々は、例えばサプライサイドの中には優れた環境技術たくさん日本は蓄積があります。それから、今度はデマンドサイドの中には大変環境に対して意識の高い国民の皆さんがいらっしゃいます。この間をつなぐことがいかに必要かと、こういうようなことがこの行間に書かれていると、こういうことでございまして、これは議長総括をばねに更に、今先生が御指摘いただいたことも含めて、我々としても働きを強めていくと。そして、一つのきっかけとして洞爺湖サミットというのが大きな節目になるんだろうと、こういうふうに考えております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 まさにそのギャップを埋めるのが経済的措置で、そのことの具体案を早く日本としてもやっていこうということで、民主党もこの間、実は地球温暖化対策基本法という議員立法の中間報告を出させていただいて、その場でも経済的措置について明確に述べさせていただいたところでございますが。
 本法案で、改正法で新しく新設されました二十一条というのがありまして、これは排出抑制等指針を公表することになっています。排出抑制等指針には、事業者向けに排出原単位の望ましい水準としてベンチマークが設定をされている予定みたいですが、この位置付けとか内容が非常に重要になります。それは一体どのようなものかと。
 それから、これは逆に言うと、ベンチマーク、排出原単位の望ましい水準を設定をするということは、国内版のセクター別アプローチというかベンチマークを作っていくということになります。このことは今後の排出量取引制度が例えば導入をされた場合にも非常に大きな要素になると思っているんですが、この改正法二十一条の指針というのは、将来的も含めて、こういった経済的措置に対して視野に入れ、なおかつ有効に活用できるようなものにしようとされるおつもりなのかどうか、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 恐縮です。技術的なことですので、私の方で答えさせていただきます。
 まず、この指針でございますけれども、望ましい水準でなければいけないということは当然でございます。具体的にその指針の中身としまして、各事業所、これは工場もございますし、オフィスもございます。また、各業種ごとにできるだけ分かりやすく細かく細分いたしまして、その中でどういう施設がどういう対策が可能なのか、施設の設置、それからその施設の管理方法、そういったことを国際的な水準も見ながら洗い出したいと。その上で、できる限り原単位という形のベンチマークの水準もお示ししていきたいと考えているところでございます。
 これは、当然ながら経済的な負担ということは考慮しますけれども、一般的な事業者が努力可能な範囲でできるだけ頑張っていただくと、そういったことを想定して作りたいということでございまして、そういったことの指導、助言によりまして相当対策の、どこまでやればいいのかということが多くの方に分かっていただけるということで、非常にブラックボックスがなくなると、そういったものにしたいと考えておるところでございます。
 ただ、当然ながらでございますけれども、私どもこの法案を検討する際には、その後の排出量取引についてとか様々な問題について併せて検討したわけではございませんので、それを想定した作業はしておりません。それにつきまして、当然ながら排出量取引の検討については、つい先日、環境省として大臣の御指示の下、四つの案をまとめたわけでございまして、その検討の際にも当然ながら排出の原単位ということが一つ大きなかぎになるということは入っておるところでございます。ただ、これが同じものになるのかどうかと今聞かれますと、私も実は答えようございませんけれども、いずれにしても、仮に排出量取引が可能になった場合に、それについてそれを検討する上での大きな一歩になるような原単位にしていきたいと考えております。
○福山哲郎君 仮の話に逆に大変積極的にお答えをいただいて感謝を申し上げます。
 いろんな材料を総合的に組み合わせてこれからの排出量取引なり経済的措置については議論していかなければいけませんでしょうし、そのことの総合的な判断がより公平なキャップを付けるときの議論につながると思いますので、有効に活用ができるようにこの排出抑制等指針の策定に当たっては御留意をいただければなというふうに思います。
 そこで、ちょっと事前質問にはなかったんですが、南川局長にお答えをいただきたいんですけれども、これ今、事業所とかいろんなところに対して指針を策定することによってより分かりやすく透明性を高めて頑張っていただきたいというような旨の発言がありました。これに対して、どうなんでしょう、何らかのインセンティブだとか国からの補助というようなことのイメージは将来的には可能なんでしょうか。ただ単に事業者それぞれが努力をしているところに負担だけしろという話もなかなかそこも厳しくて、そこは一体、今すぐ結論出なくてもいいですが、そんなこともやっぱり将来視野に入れた中での議論ということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 私ども、できるだけ望ましいレベルを目指すための指針でなくてはいけないと思います。その結果として、業者によりましては非常に負担が掛かるというところもあると思います。そういったことがなかなか強制的にできないということもあって、実はその指針ということで技術的な助言をやっていくということにとどまっているというのが残念ながら現状でございます。
 そういった現状でございまして、私ども環境省自身ができる支援策というのは非常に限られておりますけれども、是非関係省庁とも相談しながら、より高いレベルの対策が取れるような方策ということは今後の宿題として検討させていただきたいと思います。
○福山哲郎君 続いて、今回、自民党さん、公明党さんにも大変協力をいただきまして、衆議院側でこの法案、修正協議が調いました。そのことに関しては心から感謝を申し上げます。
 その修正協議の中で、いわゆる見える化、CO2の見える化についてですが、事業者による温室効果ガスの排出量等にかかわる情報に関して、製品等の利用に当たって情報を使う国民に対してどういうふうにその情報を分かりやすく提供していくかということが重要なんだというふうに思います。製品の製造や使用、廃棄に、総合的なライフサイクルの中で、どうCO2の排出量の情報を提供していくか、政府として何か具体的な考えがあればお聞かせをいただきたいと思いますし、製造段階でCO2排出量の少ない製品を消費者にどのように積極的に選んでいただくというようなことも含めて、何かあればお聞かせをいただければと思います。
○政府参考人(南川秀樹君) 私どもやはりこれから対策を進めていく上で、日常生活に伴うCO2などの排出減少、大事だと思います。今回、二十条の六の第二項で、特に事業者自らの排出削減以外に、事業者に協力をお願いして製造あるいは役務を提供する際に、そこから出てくるCO2などの削減についての協力をするんだということをお願いする条文を入れておるわけでございます。
 これを進めていく上では、例えば電気製品などでしたら、一年間どういう形で使えばどれだけCO2が出るかとかいうことを是非製品タイプごとに示していただくとか、同じ製品であればメーカーごとにそういう違いがはっきり出てまいります。それから、その使用方法によってどのような形の変化があるかということもできるだけ分かりやすく、例えばCO2はCO2の単位で示していきたいということで考えておりまして、それによりまして、今の消費者は非常に環境マインドが高うございますので効果があると思います。やりたいけれども何をやっていいか分からないとよく言われますので、そういったことも見える化の効果として非常に期待できると考えております。
○福山哲郎君 是非そこは積極的によろしくお願いします。
 先般、実は私、温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度に関する質問主意書を内閣に提出をさせていただきました。実はこの温室効果ガスの算定・報告・公表制度では、排出側の権利や競争上の地位やその他正当な利益が害されるおそれのある場合には、権利利益の保護請求という制度がありまして、CO2の排出量を開示をしなくてもよいケースがあります。
 実は今回、昨年なんですけれども、三十六件、その権利利益保護請求が認められて非開示になりました。また、八十五事業所においてはその同様の権利利益保護請求があったんですが、これは認められずに開示となりました。この非開示三十六事業所と開示になった八十五事業所の違いは一体何だったのか。そして、この非開示となったところで自治体の条例でもう既に公表されているところが、実は国では非開示になっているところがあります。これは何で自治体の条例では開示となっているのに国では非開示とされたのか、経産省、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(内山俊一君) お答えをいたします。
 今回、権利利益の保護に係る請求を認めた事業所につきましては、当該事業所の温室効果ガス排出量が公にされた場合、一般に入手可能なほかの情報と照合することなどによりましてエネルギーコストや製造原価が推測可能となり、企業の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがあるとして当該請求を認めたところでございます。
 一方で、経済産業省に権利利益保護請求がなされました事業所のうち八十四事業所につきましては、企業の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがないと判断をいたしました。
 権利利益の保護に係る請求を認めるに当たりましては、経済産業省としましては、各種の情報や企業の環境報告書などの調査を行うとともに、請求を行った事業者に対し、当該請求に係る温室効果ガス排出量に関する情報の公表の有無などに関するヒアリングを実施いたしました。その結果、当該調査及びヒアリングにおきましては、委員御指摘の地方自治体による公表の事実は確認できなかったことから、不開示請求を認めたところでございます。
○福山哲郎君 そうすると、自治体の条例に基づいて公表されている事実を認識していれば開示するということになったということですか。
○政府参考人(内山俊一君) お答えをいたします。
 不開示請求の認定に当たりましては、地方自治体による公表の事実は認識しておりませんでしたが、仮に、委員御指摘のように、そうした事実を認識していた場合には、当該公表の具体的内容について精査を行い、開示が適当かどうかの判断を行ったものと考えております。経済産業省といたしましてはそういうふうに考えておるところでございます。
○福山哲郎君 ということは、再度、その認識、自治体の条例による開示があったかどうかを確認される御意思はございますか。
○政府参考人(内山俊一君) 経済産業省といたしましては、地方自治体による公表の事実を確認をし、当該公表の具体的内容について精査をしっかり行っていくということでございます。
○福山哲郎君 ということは、もう一回確認をされるということでよろしいんですね。いいんですね、今の答弁は。ちょっと最後、語尾が小さかったので。
○政府参考人(内山俊一君) 確認をいたしまして、開示が適当かどうかの判断を行っていきます。
○福山哲郎君 じゃ、確認をしていただいたらまた御報告をいただきたいと思います。
 実は、この今般の改正法では、地方自治体への役割に非常に強い期待をされまして、計画作りの義務化などが進められます。その義務化の中に実はこの開示制度がどの程度それぞれの自治体組み込まれるか分かりませんが、やはり排出量の、何というか、透明性、公明性というのは非常に重要だと思います。
 要は、この排出量の算出・報告・公表制度が充実をしていかないと、今後国内で議論される国内排出量取引制度の議論においても非常に、何といいますか、必要な制度として準備をしていかなければいけないと私自身は思っておりまして、別に、開示があったからといって、その多排出の事業所等について例えばやり玉に上げたり悪者扱いすることではなくて、そのことによって、どうやってその多排出事業所等について具体的に排出削減の方法が講じられるか等々をやっぱり議論していかなければいけないと思いますので、私は、今後の、先ほどまさに、議長サマリーにおいてこの国内排出量取引制度の有効性が確認されたことに合わせて、この国内排出の算出・報告・公表制度の拡充は不可欠だというふうに思っているんですが、環境大臣と経産省さん、お答えをいただけますでしょうか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 質問主意書の中身につきましては私も拝見をしまして、先生の趣旨は理解をしているつもりであります。
 特に、地方公共団体が自らの事務に関して自らの判断と責任で条例を定めることができると、こういうようなことについては、むしろ国よりも積極的になさるところもこれから出てくるんだろうと思っております。
 そして、算定・報告・公表制度におけるいわゆる権利利益が害されるおそれがあると、こういうようなことの有無の判断に当たりましては、これは厳正かつ公正、公平な判断を行うことを政府の基本方針としているわけでありますから、その判断に当たってどういう判断がされたのかということについての透明性が確保されると、これが重要なんだろうというふうに思っておりまして、環境省としては適切なる運用に努めてまいりたいというふうに考えます。
○政府参考人(伊藤元君) お答え申し上げます。
 温対法上の温室効果ガス算定・報告・公表制度に基づいて事業所ごとの排出量を開示することは、事業者が自主的に排出削減の取組を推進していく上で重要であると考えております。しかしながら、事業所ごとの排出量を開示することにより、事業者の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがある場合には例外的にその情報を不開示とすることが適当と考えております。ただし、そのような場合であっても、原則として企業単位の排出量を明らかにするなど、可能な限り排出量の情報の開示が行われていくものと思っております。
 今後とも、温室効果ガス算定・報告・公表制度の不開示認定につきましては、引き続き厳格な運用をしていくべきであるというふうに考えております。
○福山哲郎君 両省から積極的な答弁をいただいたというふうに一応判断をしますが、先ほども申し上げましたように、非開示、厳格な運用といいながら非開示だというふうに国が決めたところは、実は地方公共団体の条例でもう表に出しているものが国は非開示だという、非常に矛盾をした結果が起きていることもありますので、これはやはり非常に厳格で透明性な、大臣がおっしゃられたような形の開示の状況をたくさんつくって、たくさんというか充実をしていかないと、国内排出量取引制度のより実効性を上げるためにも私は必要な条件だと思いますので、是非今後も御努力をいただきたいと思います。
 まだまだ聞きたいのですが、あっという間に時間が来てしまいましたので、これで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。


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