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2009

第171国会 参議院 予算委員会 2009年06月16日


中期目標・ポスト京都等

○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。久しぶりに環境委員会で質問をさせていただきます。どうかよろしくお願い申し上げます。
 まず冒頭、斉藤大臣におかれましては、日中韓の会議御苦労さまでございました。また、中国の解振華副主任との会談も私は非常に有効だったと思いますし、私も解副主任とはお目に掛かったことがありますが、会談もさせていただきましたが、非常にタフネゴシエーターという印象でございまして、大変専門的ですし、世界情勢のことについても造詣が深いと。また、中国の温暖化対策、省エネの技術化等についても陣頭指揮を執られている方でいらっしゃいますし、斉藤大臣がCOP15の前に解副主任と会談を持たれたことは非常に有り難いと思いますし、御苦労さまでございます。
 また、伊藤副大臣におかれましては、他の委員会でございますがお越しをいただきましてありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。
 早速質問に移らせていただきたいと思います。
 六月の十日、麻生総理が、待ちに待ったというか、やっと出てきたかというか、中期目標を発表されました。私は大変不服だったんですが、残念だったんですが、二〇二〇年に二〇〇五年度比一五%と。簡単に言うと、一九九〇年比で八%の削減にとどまる中期目標ということになりました。二〇〇五年に一四%削減ということが調整されていて一五に変わりましたから、一%だけが総理のリーダーシップかというふうに皮肉的にもとらえられますが、本当にこれでいいのかという思いでいっぱいでございます。
 私は、この中期目標の発表で、国際交渉はここからスタートすると思いますから、このポジションのまま日本が国際社会に対応していただけるとは思えないんですけれども、少なくとも三つの意味で日本はチャンスを失う可能性があるのではないかと思っています。チャンスを失ったとはさすがに私も申し上げませんが、失う可能性があるのではないかと。
 一つは、まさにグリーンニューディールを含めた温暖化対策と経済成長の両立の観点です。これはもう、政府もあるところではグリーンニューディールだと言いながら、あるところでは国民負担だと言って、どっちなのかよく分からないようなことをよく言われるわけですが、二十世紀は化石燃料で人類は発展をしてきました。経済成長もしてきました。そして、それを二十一世紀はまさに非化石燃料にチェンジをすることによって新たなマーケットやライフスタイルをつくると。そのための競争とモデルづくりがこれからの五十年間スタートしているんだと。これはもう斉藤大臣も同じ認識だと思います。
 ところが、日本はいろんな意味でこの京都議定書を含むポスト京都の議論、中期目標の議論に対して後ろ向きと取られかねない発言をたくさんしていると。そのことは、実は経済界の中ではいろんな御意見ありますが、明確に国が目標を示してくれて規制をこうするんだと言ってくれないと、経営目標も立たない、経営方針も立たない、そういった声も実態としてはあることも含めて、このポジションでは私は日本の将来的な経済成長の芽、それから技術革新の芽、それから世界のマーケットで日本の冠たる省エネ技術とかエコカーとかが普及をするためのチャンスを失うのではないかと。EU、アメリカは、もう確実にそのことに向けて競争を始めています。
 アメリカのオバマ政権がなぜ十年間のグリーンニューディールを政府の財政投資の規模まで言ってやっているかというと、それは、各企業に対して、こういう方向で政府は後押しをするから、それに沿って経営努力をしなさい、それに沿ってマーケットで技術革新でリードできるようにしなさいという意思表示です。
 日本のように、京都議定書の約束もままならない、そして二〇〇五年という突然ルールの違う基準を持ってきて、そして九〇年度比では八%程度のもので、一体、本当に経済に対してどのようなインパクトを与えるつもりなのか。私はそのチャンスを失いつつあると思っています。
 二〇〇五年に太陽光発電の補助金を打ち切って、そしてあっという間に、わずか三年でドイツや中国に日本の冠たる省エネ、太陽光の技術がシェアを奪われた事実はもう目の前にあったわけですから、その轍をまた踏もうというのかというのが私の今の率直な感想です。
 経済的手法について、極端な話で言うとクレジットの扱いについては、麻生政権は表明をされませんでした。簡単に言うと真水で一五だと、これは評価をされてもしかるべきことだと思いますが、しかしながら、実は世界は、途上国への投資も含めてクレジットをどう扱うかということによって炭素マーケットがどのぐらい広がるか、その炭素マーケットにどの国がどうコミットメントするかについての議論が始まっています。そのことについて何も言及をしないことについても、私はある意味で言うと非常に無責任ではないかと。
 排出量取引は、アメリカでは、御案内のように、ワクスマン・マーキー法でもうきっちりと議論をされ出しています。下院委員会は通過をいたしました。上院で秋までにどうなるかが世界中の焦点です。カナダ、オーストラリアでも準備を始めました。EUは御案内のとおりでございます。
 その中で、日本はいつまでぐずぐずしているんだと、そこで乗り遅れたときにどう対応していくんだというのが私の率直な思いで、これが一つ目のチャンスを失いつつあるのではないかということです。
 二つ目は、まさに政府の言われている、総理も言われました基本原則の全員参加です。

 私たちも、中国、インドを始め途上国、それからアメリカ、当然ポスト京都には枠組みに参加をいただかなければいけないと思っていますし、それこそ実効性が上がらないという認識で共通でございます。
 しかし、中国、インドを含めて途上国は、先進国に共通だが差異ある責任というものを求めていて、これはほぼ、まあある種の共通のみんなの理解です。そのときに、日本が一九九〇年度比八%削減という状況で、どうやって中国、インドに入ってこいというんでしょうか。どうやってそこで彼らは新しい枠組みに入って義務を、まあ義務ではないとしても目標かもしれませんが、それにコミットしようとするんでしょうか。
 アメリカは、御案内のように、土壌を含めて農地の吸収作用ということを新しいルールに入れようとしている。アメリカの今の水準で言えば、ひょっとすると国際交渉の中でもう少し前向きに排出の目標が出てくるかもしれない。そのときに、日本のポジションであっという間に取り残されたときに、国際社会にどう顔向けをするんでしょうか。
 総理はリーダーシップということを言われます。私は全くこの議論は逆だというふうに思っていまして、この状況で日本が標榜する全員参加が本当に実現できるのか、このスタートラインでどうやって日本は交渉でイニシアチブを取ろうとしているのか、私には全く見えない。日本のこの問題に対する交渉のリーダーシップを取る可能性、そういうチャンスも私は失いつつあると思います。
 三つ目は、麻生総理の会見の中で全く議論がなかったのは、温暖化対策を取らなかったときの損害や経済的損失に対する議論です。
 ツバルの議論は何かおまけのように出てまいりましたけれども、実際に温暖化対策を取らなかったときの生態系の破壊、それから作物の変動、いろんなもの、そういったものに対しての言及なくして、ただ単に、国民に負担を押し付けるんだ、押し付けるんだという議論は、全くもって私は誤解を与えるものだというふうに思っておりまして、そういう温暖化が進むことに対する被害を最小限にとどめて、そして、その中でいかに経済的なものをプラスにしていくかということが我々政治にとって課せられた私は責任だと思っておりまして、そういった、今のように温暖化が進んだことによる損害等を、目をつぶることによって、実はその損害、被害を最小限に食い止めるチャンスも私は失いつつあるというふうに思っています。
 環境大臣は、この中期目標の発表に至る段階において大変政府内で御努力をいただいたことを私は本当に感謝をしていますし、生意気ながら評価をさせていただいています。環境大臣が当初言われた九〇年度比一五%は可能だと、対外的には一五から二五%の幅のある数字を掲げるべきとの考えは、私はまさに全く同じ思いでございまして、例えば一五%を掲げたとしても、二五までの幅のところで国際交渉上いろんな弾力性を持って交渉できる。もっと言えば、そのところにクレジットに対する新たな考え方も導入できる。まさに、大臣のこれまでの主張は、私は非常に合理的かつ非常に国際的に信頼を持っていただけるコメント、御発言だと思っておりました。
 斉藤大臣も内心じくじたる思いかもしれませんが、この総理の中期目標について大臣はどう受け止めておられるのか。私は殊更ここで閣内不一致だなんと言って騒ぐ気は全くありませんが、残念ながら、大臣が今回、麻生総理の中期目標を了解をされた、その理由も併せてお答えをいただけませんでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 政府で結論を出す前に各大臣がそれぞれ自分の信ずるところを述べるということ、ここで各大臣の意見が違う、これはある意味で当然のことだと思います。そういう意味で、私も私の信ずるところを述べてまいりました。そして、それをまとめて総理が各方面の意見を聞き、我々大臣だけの意見ではございません、いろいろな各種団体の意見も聞き、総合的に総理が判断をされたことでございますので、私も閣僚としてそれを重く受け止めて、今後これが世界に理解をしていただけるように努力をするという今決意でございます。
 福山委員がおっしゃった三点、非常に重要な点だと思います。それぞれについてこれからまた御議論があろうと思いますので、一つ一つ今ここで反論をいたしませんけれども、私の意見を申し述べませんが、一点だけ、今回の議論を通じて、いわゆる排出量取引悪玉論といいましょうか、それはマネーゲームであって、排出量取引そのものが悪いんだという議論がいかに社会に、そして議員の間に根強くなっているかということを痛感をいたしました。
 私は、排出量取引というのは、最も安いコストで二酸化炭素を排していく手段として非常に有用なものだと思っておりますし、これからまた国際貢献の中で大変重要な、国内での真水の削減と同等、またそれ以上に大事なもの、そういう認識で議論をしていかなければ世界から取り残されるということを痛感しまして、まず国内のそういう意識を変えていくということを最大限努力していかなきゃいけないんじゃないかなということを私自身、今回の議論を通じて感じたところでございます。
 そういう意味で、今やっております試行、排出権取引の国内試行、これが成功するように全力を挙げていきたいと思います。
○福山哲郎君 大臣のお立場では本当にそういうお答えになるんだと思います。
 ただ、信じるところは重要だと思います。まさにここが日本のブレークスルーの私はきっかけになると思っておりまして、現実に十二日までボンでCOP15に向けた準備会合が開かれていました。デ・ブア国連気候変動枠組条約事務局長は、日本の麻生総理が発表した中期目標についてコメントを求められたと、マスコミに。そのときに、アイ・ジャスト・ドント・ノウ・ホワット・トゥー・セイと。簡単に言うと、何を言っていいかよく分からないと述べられたと。条約事務局の事務局長でいらっしゃいますから政治的な発言はできないというふうに思いますけれども、何を言っていいかよく分からないというのは、私はそのときの空気からしても、出席者から聞きましたが、余りその中期目標を歓迎するような声ではないような気がします。
 また、今日委員会でお配りはできませんでしたが、これがボンで配られたNGOが出しているジョージ・W・麻生というアイコラのチラシ、ビラが出ました。確かに、NGOが出しているビラがすべての国際社会の中での空気を表しているとは私も思いません。しかし、いきなりこういう状態でこの中期目標が受け止められていること自身が私自身は残念だというふうに思います。
 先進国や途上国、出席をされている方からどのような評価が、反応があったのか、外務副大臣、もしよろしければ、国際会議の状況等について御披瀝をいただけませんでしょうか。
○副大臣(伊藤信太郎君) 六月十日の総理のスピーチを受けて、ドイツのボンで行われていた国連交渉の場において我が国の代表団より発言し、温室効果ガスの削減に関する我が国の中期目標の発表について紹介したわけでございます。この発表、我が国の中期目標発表に対する各国の反応でございますけれども、これは好意的なものから批判的なもの、あるいは更なる説明を求めるものなど様々でございます。
 外務省としては、今回の発表を受けて、国際的に日本の考えをしっかり説明していってこれから交渉に臨んでいくということでございます
○福山哲郎君 さっぱり分からないお答えですが、いろんな意見があるのはしようがないと思いますが、大臣はこういった、NGOからのこういうようなものが出たり、条約事務局長のコメントも含めて、率直に質問の声が上がっているというのは、多分大臣は国際会議の空気をよくお分かりだと思いますが、どんなふうにお感じいただいていますか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) NGOの方々から厳しい意見が表明されたということを報告を受けましたし、また報道でも見たところでございます。世界の気候変動に対して大変危機感を持っていらっしゃる方々のその危機感の表明と、このように受け止めさせていただいております。
 今後、今回の中期目標はこれからの国際交渉のスタート地点、第一歩ということでございますので、その点も含めて、日本の真意を御理解いただけるように私としても努力をしていきたいと思います。
○福山哲郎君 もう一点、先ほど私が申し上げた点ですが、大臣、主要排出国の全員参加でございますが、私は日本のこのポジションだとなかなか中国、インド、まず途上国を説得しにくいと。それは先進国の責任として、これでは多分IPCCの報告とも異なっているわけです。
 よく議論があるのは、中国やインド、アメリカと日本を同じに並べて、日本は頑張っているんだという議論がありますが、日本は少なくとも京都議定書の批准国です。アメリカはいいか悪いかは別に批准をしませんでした。それは国際的な責任は全く違います。それから、中国、インドは当時京都議定書ができたときは途上国の扱いで、中国ももちろんこんなに経済成長しているわけではないので義務がありませんでした。それを急に批准をしている責任のあるこの国が全部そういった、若干そのときの環境によって立場が違う国を横並びに並べて、日本はそれでも頑張っているんだというのはなかなかそこは説得力がないと思っているんですが、このポジションで、斉藤大臣自身は、解副主任に会われたこともそうなんですけれども、国際交渉上、全員参加をどう担保され、どう交渉を進めていくつもりなのか、お答えをいただけますでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) アメリカにつきましては京都議定書に入っておりませんが、先進国の一員として、また世界の二二%の二酸化炭素を出す国として、私は、今オバマ政権に入って一緒に我々と肩を並べて削減努力していかなくてはいけないと思っておりますし、またアメリカにもそのような自覚があると思います。そのアメリカが、オバマさんが二〇〇五年比で一四%減と、ヨーロッパは一三%減、そのほかの努力によってはプラス一〇%してもいいと、このように言っておりますけれども、また豪州、カナダなどいわゆる先進国、アンブレラグループの中期目標と比較しましても、また、今回真水だけだということを考え合わせると、決して日本が大きく劣っているということにはならないと思います。
 いずれにしましても、今後、このクレジットをどう考えるか。そして、解副主任とも話をして、中国は途上国への先進国の技術移転を大変大きな期待をしているということもございます。そういうこととある意味ではパッケージで考えて日本のリーダーシップを発揮していく、主要排出国、途上国の参加を促していくということが今後肝要かと思っています。
○福山哲郎君 斉藤大臣は分かっておられて言っておられるんでしょうが、EUの二〇〇五年一三%マイナスは一九九〇年度比でちゃんと減らした後のマイナスですから、日本のように増やし続けて、そして高いところのレベルの二〇〇五年を基準にしているのとはちょっと違いますので、一九九〇年度比では、EUは御案内のように三〇%まで削減すると言っています。ここは多分全然違っていて、そういう本質的な議論をやっぱりちゃんと伝えるべきだと思います。その結果でいいのかと。だって、それは国際社会に行けば全部分かっているわけです、それぞれの国は。その下で、本当にこれで全員参加が担保できるのかどうか、私は非常に危ういと思っているんですが。
 ボンで国際会議が開かれ、そして麻生総理が中期目標を発表している直後、さなかですが、十三日に、十二日か、十二日に、アメリカのトッド・スターン気候変動問題担当特使が中国に飛んで、中国と二国間でバイでこの温暖化の交渉をしています。
 私はやはり中国とアメリカというのはポイントだと思っておりまして、二か国で全世界の約四〇%を排出をしていると。この両国が新たな枠組みに入らなければ、実は新たな枠組みの意味がないということも私は重々承知していますが、少なくとも、中国とアメリカがバイでいろんな交渉をし出しているところで、日本がどういう立場で、どういう形でこのアメリカ、中国の動向をウオッチし、その状況をにらみながら自分のポジションをつくっていくのか、非常に重要だと思います。
 EUは御案内のように恐らくアメリカとは連携をそれなりにしていると私は推察をしますし、そのときに、日本がこのポジションで孤立をしないか、若しくは完全に国際交渉から取り残されないかということに非常に危惧をしているところでございます。
 この米中の温暖化交渉について、アメリカから何らかの報告なり情報を外務省としては受けているのか、環境省としても受けているのか、外務副大臣、それから大臣、お答えをいただけますでしょうか。
○副大臣(伊藤信太郎君) 委員御指摘のように、スターン米国気候変動特使は六月の七日から十日に中国を訪問し、気候変動問題について中国側と意見交換を行ったと承知しております。
 そして、この気候変動問題に関して、我が国は通常から、米国との間で平素より緊密に意見交換や協議を行ってきているところでございます。そして、今回のスターン米国気候変動特使の訪中に関しても、その概要等について米国より連絡を受けております。しかしながら、その詳細については、相手方といいますか、外交上のやり取りでもあり、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 一昨日、解振華副主任とお会いしたときも、トッド・スターンと長時間にわたりぎりぎりの議論をしたと、このような発言がありました。中身については話してくれませんでしたけれども、そういう意味で、米中は緊密にやっているということがよく分かります。日米そして日中、ここも本当にしっかり緊密に連携取らなきゃいけないなということを痛感して帰った次第です。
○福山哲郎君 今私は大臣に、解副主任との会談でそのことに言及ありましたかと聞こうと思ったらお答えいただいたので、ありがとうございます。
 いや、本当に実は、もう皆さん御案内のように、十二月のCOP15までもうわずかしか時間ありません。EUはメンツに懸けても何とかまとめたいと思っているでしょうし、そのためには中国を始め発展途上国の参加は不可欠ですから。
 ですから、その中で本当に日本がどういうポジションになるのかなというのを私は本当に今不安になっていまして、先ほども申し上げましたが、クレジットの話について先ほど大臣からの答弁はいただきましたけれども、じゃ、そこで、日本のポジションははっきりしているのかと、クレジットについてこういうスタンスなんだと。現実の問題としては、排出量取引はまだ試行的な話ばかりではっきり決まっていない、炭素税も政府内ではまだ全く具体的な議論もないということで、それは大臣、政府部内で排出量取引の評価が低いというのは先ほど重々感じられたというのはお伺いをしましたが、ただ、少なくともこの半年の間にある程度クレジットに対するポジションは決めないと、交渉にならないですよね。
 逆に相手から日本にとって不利なルールを交渉で押し付けられる可能性がいっぱい出てくるわけで、そのことについては戦略的に対応できる用意があるかないかと聞いても大臣にはなかなか今の政府の空気からいうときついと思いますが、どんなふうに今お考えですか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 京都議定書では、いわゆるシンクやクレジットが五・四%分入っております。そして今、次期枠組みでの議論をしておりますと、途上国への技術支援とともに資金援助、これをどのように行っていくのか、そこ、資金援助と技術支援が途上国参加の一つの大きなキーになっている。そういうことを考えますと、それ相応の柔軟性措置やシンクを考えないとこれから国際交渉になっていかないだろうと、このように思っております。
 そういう意味で、柔軟性措置への国内の理解を深めること、そして、今それを怠っていると、世界のルールが先にできてしまって、非常に不利な条件で日本がそこに参加せざるを得なくなること等を環境省としてはしっかりと訴えていくことが国益にかなうことになると思っています。
○福山哲郎君 そこは是非お願いしたいと思います。
 経産省にお伺いしたいんですが、今回も国民の負担というのが非常に大きく強調されました。本当にそうなのか私は疑問に思っておりまして、あの内閣官房の作った中期検討委員会の六つのパターンですが、温暖化対策を何もしないと一・三%経済成長し続けるんですよね。それが一番経済成長するというモデルなんですね、何もしないと経済成長一番すると。温暖化対策をすると、その何もしないよりかは雇用も落ちる、経済成長率も落ちるという、そのことで雇用に影響があるというのがあの中期検討委員会のモデルでして、私はモデルの作り方自身に大変問題があると思いますが。
 今回も、そのこともあり、また会見でも、日本のエネルギー効率は既に世界一で、中国の八倍だという数字が麻生総理から出されました。このことも僕はこの委員会で何回も言っているんですが、それは一体いつの数字だと。二〇〇〇年の為替水準をそのままにして、中国の経済成長だとか為替の強さを全く無視した話をしているんじゃないのかと言っても、全く数字が新たなのが出てこなかったんですが。
 例えば、二〇〇六年のGDP当たりのCO2排出量を基準為替レートで換算した場合と購買力平価で比較した場合どういう状況になるのか、経産省、お答えいただけますか。
○政府参考人(西本淳哉君) お答え申し上げます。
 国際エネルギー機関それから世界銀行の統計に基づきまして試算をいたしますと、二〇〇五年の購買力平価を用いて二〇〇六年のGDP当たりの二酸化炭素排出量を比べますと、一ドル当たりで、日本は〇・三〇キログラムCO2に対しまして中国は〇・九二キログラムCO2ということになります。これは購買力平価で比較した数字でございます。それから、為替レートで比較した数字でございますけれども、日本が〇・二七に対しまして中国が二・五二ということになってございます。
○福山哲郎君 これ、片方は十倍近く、片方は三倍ぐらいになるわけです。
 これ、二〇〇五年の為替でやられた理由がよく分からないんですけど、要は、中国の為替はどんどん強くなっていますし、購買力平価で見て基本的な換算をするのが、これもある意味でいうと普通の議論になっているんですが、日本はいつまでたってもこの話を変更しないで十倍だ十倍だと議論をしています。各セクター別のエネルギーの、CO2の排出のエネルギー効率も、早く出してくれと言っているのになかなか出してくれません。
 私は、何度も申し上げますが、この環境委員会も経済産業委員会も共通の指標でみんな議論をしましょうと。都合のいい数字ばかりではなくて議論しないと、先ほどの負担の話も含めて国民に誤解を与えると思っておりまして、我々民主党としては、法案を国会に、参議院に提出しておりますので、是非審議をしていただきたいというふうに思いますし、温暖化の交渉はこれから半年間ずうっと続きますので、環境大臣には是非御健闘をいただきたいというふうに心からお願いを申し上げまして、時間になりましたので、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。


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