06/17

2009

第171国会 参議院 国際・地球温暖化問題調査会 2009年06月17日


地球温暖化問題等

○会長(石井一君) これより質疑を行います。
 本日の質疑は、あらかじめ指名を待って御発言くださいますようお願い申し上げます。
 なお、通例どおり、三分程度の質疑をお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 福山哲郎君。
○福山哲郎君 民主党の福山でございます。
 お二人の参考人の先生方におかれましては、大変貴重な、元気になる意見をありがとうございました。
 小宮山先生におかれましては、いつも希望が持てるお話をいただきましてありがとうございました。日本の専門家と言われる学者さんに聞くと、できない話ばっかりよく聞かされるもので元気がしぼむんですが、先生のお話を聞くと元気になります。
 若干、先生に今後のことも含めてお伺いしたいのは、私自身は、先生が言われたように、日々の暮らしの省エネは、先生のやられたことを国が補助やインセンティブを与えれば、家庭と運輸に関しては非常に削減可能だと。
 もう一点。先生の円グラフでいえば、物づくりの部分は、私は、やはり排出の寄与度の高い工場に対してきっちりと排出量取引制度を導入していけば日本の削減幅というのは相当画期的に改善するというふうに思っておりまして、それが枝廣さんが言われました世界のモデルになり得る可能性というのは十分秘めていると思います。
 そこで問題なのは、いつも僕は、この場でも環境委員会でもどこでも申し上げているんですけど、日本のエネルギー効率に対する共通認識の情報のプラットホームみたいなものがないんですね。経産省が言う情報と環境省が言う情報と、国際的に共通で議論されているエネルギー効率の議論がいつもばらばらの基準で、ばらばらの指標で議論されているから、指標の取り方によっては、日本のエネルギー効率は圧倒的世界一だという議論と、いや、実は二〇〇〇年代に入って世界中は相当省エネ技術が進んでいて、日本の優位性というのは大分落ちてきているんじゃないかという議論とが両立していまして、ここはやっぱり共通の国内の情報のプラットホームが必要だと私自身は思っていまして、そのことについて小宮山先生はどうお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 例えば、中国のセメントが、これ、効率化せよというのは、先生の提示はそのとおりだと思いますが、恐らく中国のセメントというのは、一番中国でいうと今まだエネルギー効率が悪い部分であって、ここは日本との差が一番大きい部分ですが、鉄鋼も含めていろんな分野に関していうと、中国は相当私は改善しているというふうに思っていまして、去年も中国へ行きましたが、まあかなり自信満々な部分があって、そこも含めて、先生にちょっとその情報の開示とか数値の問題について御見識を賜れれば有り難いなと思います。
 枝廣さんのお話は、もうまさに我が意を得たりの部分がたくさんありまして、私は今回の中期目標の発表について三つのチャンスを失うとあちこちで言っているんですが、一つは、小宮山先生の言われた日本の新たな市場や産業技術の発展等についてのチャンスを失うこと。
 二点目は、あの二〇〇五年、一五%マイナスという数字で本当に中国、インドが新たなポスト京都の枠組みに乗ってくるのかどうか。逆に言うと、国際交渉上、中国とアメリカは今バイで相当密にやっていますし、EUはそれを横目で見ながら様子を見ていますので、中国とアメリカがある程度の交渉が、前提ができ上がり、EUと議論をしますと、日本は本当に国際交渉上取り残される可能性があって、まさに十二月に向けて、日本はリーダーシップどころか、ひょっとすると外されるのではないかという私は危惧を持っていまして、このチャンスも失うと。
 三つ目は、実は今日たまたま小宮山先生も枝廣先生も出なかった視点なんですが、いわゆる損害、自然災害や生態系の破壊によるマイナスの影響ですね。
 実は、さっき枝廣先生が言われたすごく重要な点は、意識が高まっても行動に移らないと。九七年のCOP3、京都議定書のときは、やはり危ないという議論の中でNPOや市民がわあっとあの京都議定書に注目をしていただいた経緯があります。ところが、ある程度ステージが上がってきて、そのことはある程度所与のものとしながら、次の具体的なシステムや国際協力はどういう制度設計でこの問題に対処するかという議論になってきたときに、どんどんどんどん物事が複雑化してきて市民にはダイレクトにそのことが伝わらないんですね。
 そこに僕は実は若干のギャップがあったと思っておりまして、過度に私は危険を誇張することはいいとは思いません。それは負担を過度に誇張している今の日本と同じことだと思いますから、そうは思わないんですが、ただ、要は、何も温暖化対策をしなかった方が何か経済も成長するんだとか、雇用も確保できるんだというあの中期検討委員会の数字みたいなのは全くもって今の世界の流れとは違うもので、そこでやっぱり対策を取らなかったときの生態系の破壊や食物の問題や農作物の問題みたいなものをちゃんと説明する必要があるのではないかと思っておりまして、そこも含めて、市民を巻き込む方法みたいなものに枝廣先生、先ほど若干言及をいただきましたが、何かコメントがあればいただければと思います。
 若干長くなりましたが、座長、ありがとうございます。済みません。
○参考人(小宮山宏君) データの話というのはいつも問題があって、そのデータをどういう基準でやったかという議論というのはとても大事な問題だと思います。
 日本のエネルギー効率が接近されてきているのではないかというのは、部分的にはそうです。おっしゃるとおりで、それは先ほど示したように、かなり理論的な限界に近づいてきておりますので、そこにいろんなところが接近してくるというのは当然のことで、私が先ほどセメントで示したのは一九九九年のデータです。二〇〇七年になってくると少し接近しています。それでもまだ、先ほど言ったような、中国で六〇ないし七〇%日本より多い、アメリカで五〇%ぐらい多いというような実態がそれほど変わるわけではない。鉄はもう少し、全体が熟しているために、一番悪いところと日本とでも一〇〇対一二〇ぐらいの差しかないと。そこら辺はとても重要な話で、データをきちんとそろえるというのはやらなくちゃいけないことだと思います。
 ただ、一番国の全体として言われる中で危ない議論というのは、アメリカのGDPやヨーロッパのGDPというのは非常に伸びたんですよ、金融危機の前ですね。これは実は金融で物すごく伸びているんです。それで、そのGDP当たりにすると、金融で伸びた分エネルギー消費の比率がGDP当たり下がりますので、これは相当大きいんですね。そのために、日本のエネルギー効率はそんなに良くないんではないかといったような間違った議論がされていた部分というのはあるんですね。それが今度解消されますね、ヨーロッパのGDPがごろっと減りますので。
 私があともう一つ申し上げたいことは、日本の物づくりももっと減らすべきではないかという議論というのは、してもいいんですけれども、そういったように、余り日本にとって得な議論ではないんですよ、日本全体にとって。やはり、日本の実情を考えて、どこがやれるのかということを考えるのが日本人にとって僕はとても大事だと思います。私はそういう意味で答えを申し上げたつもりです。どこで日本はやるべきなのか。そうすると、先ほど言ったように、五五%のデイリーライフでやるべきである。これは世界をリードすることになりますよ。
 断熱に関しては日本は良くありませんけれども、そのほかの、中のエアコンとかヒートポンプ給湯と申し上げましたね。例えば、今アメリカにガス湯沸器が物すごく売れているんですよ、日本の。これは、アメリカは電気でもってお湯を作ったりして、あるいはガスで燃やして、あとためておくんですね、貯湯式といって。その貯湯の断熱が悪いものだからすぐ冷めちゃうんですよ。今、日本の瞬間ガス湯沸器を入れると大体ガスの使用量が半分ぐらいになるんですね。ですから売れている。だけれども、私の家で使っているヒートポンプ給湯器というのはそれより二・五倍更にエネルギー効率が高いですから、アメリカがヒートポンプ給湯器を、要するに、ゴアだの、オバマさんも入れているかもしれないけれども、多分入れていないでしょう、アメリカの方がみんなこれを入れてくれれば、アメリカのお湯を沸かすガスのエネルギーが五分の一になるということですよ。これは日本にとっていいこと。というのは、今申し上げたようなヒートポンプ給湯器というのは今、日本でしか作れませんから、これは日本にとって有利になることなんですね。
 だから、我々は、もちろん反省したり、もう反省はし尽くしているじゃないですか、いろんなところで。僕は、反省しているばかりじゃなくて、日本の強みというのを発揮するためにどういう政策を取るべきかという意味で申し上げました。
○参考人(枝廣淳子君) 市民をどうやって巻き込んでいくかというのはとても大切なことで、日々いろいろ考えつつあるんですが、四つ今考えていることをお話ししたいと思います。
 一つは、ある意味、機は熟しつつあるという実感を持っています。それは、はっきり説明できなくても、何かおかしい、このままでいいのかなと思う人がもうほとんどになっているんではないかと。そこで大事なのは、きちんとそれを、例えば温暖化だったら温暖化に関連付けて説明をするということですね。この点ではマスコミの役割が大きいと思います。
 一つ参考までにお話をすると、私のメンターでもあるレスター・ブラウンが教えてくれた話ですが、ワシントンでは毎月一回、科学者と政治家とマスコミの勉強会をしているんだと。そこに次々科学者を呼んで最新の情報を聞いたり、それを政治家も勉強するし、議員も勉強するし、そしてマスコミもそこで勉強してそれをちゃんと書いていくんだと。そういった意味でいうと、そういった場をつくっていくことは大事ではないかと思っています。
 もう一つは、巻き込むといったときに、意識を上げてもらわないで行動だけ巻き込む、これは先ほどお話をしたことですが、得する仕組みをつくると。エコポイントも、それ自体どうかというお話、先ほどしましたが、でも、あれをやった途端にたくさん売れたのは間違いないですから、あと、レジ袋も有料化した途端にマイバッグの持参率上がるのも証明済みですので、そういったことが一つ。
 三番目は、トロイの木馬作戦と私が呼んでいるのですが、多くの人々は、環境が第一の関心事項ではありません。ですから、環境を前面に行くのがいつもいい方法ではないんですね。私は、それを実感して自分でちょっと試してみたことがあるんです。
 私、本を何冊か出しているんですが、最初、環境の本を出したんですね。環境をやっている人には読んでもらうんですが、環境の本だという、タイトル見れば分かるので、環境をやっていない人は手にも取らないわけです。三冊目に作戦を変えて出したのが「朝二時起きで、なんでもできる」という本で、私、朝二時に起きるという変な生活をしていますので、そのライフスタイルと、どうやって二年間で同時通訳になったかという話を書いて、その中にちらっと私が楽しげにやっている活動として環境の話を書きました。これは、環境のコーナーではなくて、自己啓発とかビジネス書のコーナーに置かれますので、十万部ぐらい売れたんですね。それで、私の先ほど申し上げたメールニュースに登録した人が何千人も増えたという例があります。
 ですので、例えばファッションとかアートとか、若しくは同じ関心事でも、それこそアトピーとかぜんそくとか、いろいろな人々が関心あるところから行くというのが一つ。環境の正面に来てもらわなくてもいいというふうに思っています。
 四番目は、特に最近思うのですが、どういう切り口が人々に響くかというと、幸せというキーワードなんですね。
 私、企業の経営者でも企業の社内講演でも必ず最後その話をするんですが、GDPを追い求めてきたけれど、それが本当に幸せにつながっているんですかと。ブータンのGNHの話などをよくそういったときにします。かつては企業の人はそういった話にぴんとこなかったんですが、この一、二年、非常に響くみたいで、経営者から一般の方々まで非常にそれは響くみたいです。
 ですから、例えばCO2の話をするときも、CO2を減らさないとこうなりますという言い方ではなくて、身の回りを見たときに、幸せにつながっているCO2と、つながっていないCO2があります、それを見分ける力を付けましょうという言い方を私はします。
 例えば、一家団らんでみんなでテレビを見ているとしたら、そのテレビの電力やCO2は幸せにつながっている。だから、それは気にせず出したらいいと思う。でも、だれもいない部屋についているテレビはだれの幸せにもつながっていない。だれの幸せにもつながっていないCO2は減らしたらいい。そういう目をみんなで持つようになると、例えば、明るくなっても街灯がついているとか、昼間なのにJRの駅ではもう蛍光灯がついているとか、二十四時間コンビニの目の前で同じジュースを自販機で売っているとか、幸せにつながっていないCO2、たくさん見付かるんですね。そういうのを減らすだけでもかなり日本は減らせる。
 今言いましたように、みんなの意識、関心は高まっているということ、それをきちんと説明する仕組みをつくる必要があるということ、それから、意識を経ないで行動を変えるやり方もあるし、それからトロイの木馬作戦、そして恐らくキーワードは幸せかなと、今はそんなふうに思っています。


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