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2009

コペンハーゲン合意、採択。


現地時間の2009年12月19日、一晩明かした朝の11時過ぎに長い長い交渉の末、「コペンハーゲン合意」が採択された。
この交渉はコンセンサス方式が原則のため、全会一致でなければ採択されない。明け方から午前にかけて、ほぼ大半の国が採択を主張しはじめ、涙ながらに採 択を訴える途上国も少なからず出てきた。一部の少数の国々(おそらく1ケタ)が反対のため、断続的に協議を続けた結果、「take note」という形になったが、結局採択されることになった。
採択された瞬間、多くの国が(もちろん日本も)思わず立ち上がって拍手。政府代表団のそれぞれとも固い握手をかわす。みんな一睡もしていない…。

<コペンハーゲン合意の主な内容は以下の通り。>
(1)中期目標には、先進国は削減目標、途上国は削減行動を来年の1月末までに提出することになった。これは第一歩としては重要。そしてMRVは満点では ないが、支援されていない行動についても国際的に報告し、協議を受け付けることとなり一定の前進を見た。
(2)いわゆる将来の包括的な枠組みに関しては、AWG-LCAの継続に合意し、COP16で結論を得ることになった。アメリカ、中国を含む将来の法的文 書につながるかどうかは今後の交渉次第だが、とにかくその端緒を開いた。多くの途上国が「法的文書を作成すべきだ」という日本の主張に賛同してくれてい た。
(3)資金については、短期で先進国全体で3年間で300億ドル。中長期では、2020年までに1000億ドル規模の資金を動員していくとの目標にコミッ ト。

長年、気候変動交渉を見てきた立場から、以下のような感想を持った。

○G77(いわゆる途上国)+中国を「途上国」とひとくくりに議論することの限界。経済成長をめざす中国・インド・ブ ラジル・アフリカの一部等々と、気候変動ですでに生存がかかっている国々とでは、全く状況が異なっており、今回も最終的には、中国・インド等と途上国との 間に多くの意見の相違が見られた。

○首脳外交のあり方の変化。これまで、事務方が詰め切れなかった一部の決断を各国首脳に求めて、決着に至るというプロ セスが一般的であったが、今回は全く異なる様相が出現した。鳩山総理をはじめ、オバマ大統領、サルコジ大統領、メルケル首相、ラッド首相など、先進国の リーダーが一堂に会し、途上国のリーダー(残念ながら、中国もインドも政治のリーダーは出席せず、事務のトップで対応)と直接、合意文書の内容をパラグラ フ毎に協議するという極めて異例の展開になり、多くの決定が首脳の決断に委ねられた。
鳩山総理の首脳会合出席は、なんと10時間以上にも及んだ。鳩山総理が会合中、「一つの政治的合意文書にまとめるべきだ!」と発言し、サルコジ大統領を はじめ各国から賛同の声が上がり、一つの流れを作ったことは間違いない。さらには、最終局面での、米中首脳会談前後のオバマ大統領の積極的な外交展開など もこれまでには見られない光景だった。
総じて、先進国(特に、米・豪・EU)と日本の連携は緊密に行われ、先進国の一枚岩を感じさせた。よく報道にある、米中陰謀説などは全くの見当違いであ る。現地で報道を見て、驚いた。

○日本の交渉団は、小沢環境相を先頭にとてもいいチームだった。文字通り「不眠不休」の奮闘に頭が下がる思いで一杯で ある。外務省だけでなく経産省、環境省、農水省・・、それぞれの役割をしっかりと果たしてくれた。そういうボクも4泊で6時間しか寝ていない…。

○長年、この交渉を野党の立場で見てきたボクにとって、政府代表の一人として、この場にいることの感謝と大きな責任を 痛感する数日間であった。最終日を越えて、明け方の4時頃に全体会議が紛糾、休憩に入った時は、これはダメかなと目の前が真っ暗になった。手ぶらでは、日 本に帰れない、そんな気持ちだった。採択の瞬間の安堵感は、言い様のない物だった。

○今回の会議は、今後の国際交渉において、新しいゲームが始まることを予感させる多くの示唆と厳しさがあったように思 う。自分なりにこれから整理していきたい。