08/16

2013

「東電福島第一原発を視察」


一昨日の8月14日、民主党の調査団として、東京電力福島第一原発(以下、「1F」と省略)の視察に訪れました。
メンバーは、福島県選出の増子輝彦参議院議員、全国比例の大島九州男参議院議員、私と民主党所属の福島県会議員4名です。
以下、視察の詳細をご報告します。

* * * * *

8月14日早朝、郡山のホテルの自室の線量は0.070μSv/h。
ホテルを出発し、バスでの移動。郡山市内は0.118~0.168μSv/h程度。
途中、差塩パーキングエリア(0.095μSv/h)で休憩。
広野インターチェンジ(0.261μSv/h)を通過。
8時10分過ぎ、約2時間弱でJビレッジに到着(0.246~0.423μSv/h)。
ここまでの道のりでは、当然だが、ほとんど線量は気にならない。

震災直後は、このJビレッジが事故対応作業の拠点として大変貴重な場となっていた。当時、福島第一原発での作業にあたる方々であふれていたという記憶があるが、現状は、「1F」内に入退域管理棟ができているとのことで、Jビレッジの機能はかなり縮小している。
Jビレッジ到着後、すぐにホールボディカウンター(WBC)を受検(写真)。

9時過ぎにJビレッジを出発。立地自治体を通り抜け、バスで陸前浜街道を「1F」へ向かう(写真:放射性廃棄物の仮置場の様子)。

9:18 楢葉町 0.341μSv/h
9:27 富岡町に入る 0.460μSv/h
9:32 富岡駅横 0.842μSv/h
富岡川 1.958μSv/h
富岡消防署 2.759~3.978μSv/h
9:38 大熊町に入る 4.252μSv/hとやや上昇
熊川橋 6.652μSv/h
9:41 大熊町役場・大野付近では2.4~3.1μSv/h程度とやや下降
9:43 「1F」に向かうために右折。
5.9μSv/h、6.523μSv/h、・・・ここで私の持参した線量計(Radi:堀場製作所)では測定不能、つまり、10μSv/h以上に。同乗していた東電の方によれば、その後「1F」に入るまでは、13.2~15.7μSv/h程度とのこと。
9:45 「1F」敷地内に入ると、線量はやや下がり、6.6~8.9μSv/h程度に。
9:50 入退域管理棟に到着。免震重要棟へ移動。

免震重要棟で、小野明所長から現状の概要説明を受ける(写真)。ご逝去された吉田昌郎さん、そして高橋毅さんに続く事故後3代目の所長である。

説明の概要は以下の通り。

1)原子炉は冷温停止状態で一定で安定。
2)水注入のための循環も一定の改善。1日400tを注水。
3)問題の汚染水は、冷却した際に発生した汚染水が原子炉建屋内に滞留しているものと、周辺地下水(山側から海側へ流れているもの)があり、現在対策に取り組んでいる。
①地下水バイパスを作り、いわゆるサブドレンを12本掘って、地下水を建屋の上流でくみ上げる
②プラント全体の陸側遮水壁の建設。現在、3分の1まで完成。
③汚染水からの放射性物質を除去するために多核種除去設備(ALPS)の設置。残念ながら、現在タンク漏れなどのトラブルが発生し、運転停止中。
④汚染水・処理水の貯蔵のためのタンクの増設。現在36~37万tの容量のうち、30万t以上たまっており、タンクの増設を継続的に実施。
4)4号機の使用済み燃料プールの冷却を継続しており、プール内の燃料の取り出しにむけた作業を2013年11月開始をめざして実施中。
5)約1000人の東電社員、約3000人の協力企業の社員が作業にあたっている。高線量、酷暑のなか、過酷な作業が続いており、現在は、熱中症対策のため、日中の時間帯を避けて作業をおこなっている。
小野所長もほぼ1週間の泊まり込み勤務を繰り返されており、食事も朝は菓子パン、昼夜は仕出し弁当とのことだが、これでも事故当時に比べればよくなったと言われていた。

その後、免震重要棟内で、所員の皆様にご挨拶。
あの事故当初、何度も映し出された、吉田所長が指揮をとられていた現場だ。吉田所長の遺影が飾られており、静かに合掌する。
増子議員、大島議員、私と、激励と感謝のご挨拶をする。室内の線量は0.437μSv/h。

そして、タイベックススーツ、全面マスク等を着装し、バスに乗り込む。
原発敷地内を移動。ここからは持参の線量計ではなく、東電社員の方からの報告を記載する。

まずは、多核種除去設備(ALPS)に向かう。想像以上に巨大な施設。バスから降りて、大きな白いテント内へ。(写真:3人のうち左が福山)
この設備で、汚染水の放射能除去を期待しているが、わずか3ヶ月で水漏れが発生し、現在、停止している状態・・・。早急に対応したいとのこと。

ALPSを離れ、徐々に原子炉建屋に近づく。1号機から4号機。あちこちに、いまだに津波による瓦礫がたくさん残っている。当時に比べてこれでもかなり除去されているはずであり、当時の作業の困難さは想像をはるかに超えている。

汚染水が海に流出している岸壁近くで降車。海の正面には2号機、3号機。
地下水のくみ上げ作業、止水作業の現場を確認。(写真)
この付近はまだまだ高線量。工事現場は、300~400μSv/h。海側の岸壁あたりで110~150μSv/h程度。

岸壁の作業現場から、バスで2号機に向かう。
2号機に近づくにつれ、800、900μSv/h、1.5、1.7mSv/hと線量があっという間に上昇。2号機の前で降車し、タービン建屋に入る。

建屋内に設置された原子炉注水ポンプを視察し、構造上の説明を受ける。(写真:右が福山)
7月から運用を開始。建屋内にポンプが移動し、ポンプ容量も増え、注水の安定性がより増したとのこと。さらに、このポンプは重要免震棟からの遠隔操作も可能になっている。
2号機建屋内、ポンプ周辺は300~400μSv/h程度。

号機建屋を出て、1号機の方にまわり、1号機の建屋カバーを見ながら、重要免震棟へ戻る。1号機の横にある事務棟のような建物は、窓ガラスが割れ、かなり荒れており、まだ水素爆発の傷跡が生々しく残った状態だった。

免震重要棟に戻った後、タイベックススーツ等を脱衣して、入退域管理棟へ移動。
私の積算線量は、0.60μSv。

汚染検査等をして再びJビレッジへ。福島第一原発の正門付近は、6.693μSv/h。
JビレッジでWBCを再び受検して解散となった。

以下に率直なコメントを記す。

1)作業にあたられている小野所長をはじめとする全ての方々にまずは感謝と敬意を表したい。
まだまだあの現場が日本に存在している事実を決して忘れてはならない。作業員の過酷さ、先の見えない長い闘い、次から次へと新しい課題が表出する状況。2011.3.11直後の状況と本質的にはあまり変わっていない。
汚染水の問題は、まだ解決に向かっているとは言い難い。なぜこういう事態になったのか、ロードマップのどこで齟齬が生じたのか、問題は深刻である。凍土方式も実効性はまだ明らかになっておらず、ALPSは停止している。
専門家の意見はもとより、国会の場で情報を開示した上での議論も必要になってくるだろう。

2)原発立地自治体をバスで通ったが、もちろん、まだ住民は帰還していない。除染地域などの一部では線量の低い地域も存在したが、実際はいまだに線量が高いところも多い。人が住まなければ町は荒れる。その状況も、まだ何も変わっていない。

3)いわゆる廃炉への道のりはもっと長い闘いだ。
4号機の燃料プールの燃料取り出しは、取り出し用カバー外壁設置等が順調に進んでいる様子だったが、燃料がメルトダウンし、水素爆発をしている1号機、3号機はまだ全くメドが立っていないに等しい。燃料デブリの取り出しは、技術的にも時間的にも至難の作業になることは間違いない。ロボットの開発、技術的可能性も含め、10年、20年、30年と気の遠くなるような作業が続く。
安倍政権は、原発輸出、再稼働に突き進んでいるが、この現実をどうとらえているのかについては、ほとんど言及がない。イヤなものは「見ない」「向きあわない」では済まされない問題が、福島第一原発には横たわっている。


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