05/23

2013

第183国会 参議院 内閣委員会 2013年5月23日


マイナンバー法案 質疑

○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
総理におかれましては、内閣委員会に朝一番から御出席をいただいたということで、心から感謝を申し上げる次第でございます。また、総理大臣が委員会に御出席をいただくことに御尽力をいただいた岡田筆頭を始め与党の理事の皆様にも心から感謝を申し上げる次第でございます。それだけ総理がこのマイナンバー法案は重要だという認識をお持ちだということで、私どもも非常に高く評価をしております。私も官邸におりましたので、なかなかこういった委員会に総理を出席をさせるというのは大変なことだというふうに野党の立場でいうと思います。世耕官房副長官も頑張っていただいたんだなと思っております。
民主党は、マイナンバーの導入を結党以来ずっと主張してきました。これは、本当に公的な支援が必要な方々に対して確実に提供するためには不可欠な制度だという認識でございます。実は、民主党の将来的な構想、これはある意味理念であり理想ですが、元々の現在の社会保障制度というのは申請主義でございます。しかし、申請主義をはるかに超えて、それぞれのニーズに合わせて、国や自治体から、あなたはこういった形のサービスの提供が受けられますよということが、来るべき高齢化社会を迎えるに当たって、我々としてはそういったことまで将来視野に置いた中でこのマイナンバーという議論をしてまいりました。
一方で、政権交代直後、このマイナンバー制度については早速検討を始めまして、二〇一〇年、初めて我々が取りまとめた税制大綱の中にこのことを記載をいたしました。その後、御案内のように、社会保障・税の一体改革に取り組んで、低所得者対策を考えるに当たって、我々がかねてより持論として訴えてきました給付付き税額控除の導入を具体的に検討する必要が出てまいりました。そういったことから、このマイナンバーというのはまさに非常に必要不可欠な課題として我々の認識が高まって、昨年、社会保障・税一体改革関連法案に合わせて民主党政権として法案を提出をさせていただきました。
御案内のように、その後、自民党さんとの三党協議等でこの法案、その後提出をした経緯がありますので、我々としてもマイナンバー法案の導入には賛成でありますが、幾つかの点で確認をしたいことがありますので、総理に御答弁をいただければと思います。
一つ目、一昨日当委員会で、マイナンバーの桁数について十二桁前後になるのではないかという答弁がありました。我々の政権時代の制度設計では大体十一桁を想定をしていたと記憶をしております。なぜ一桁増えたのか。一桁増える、十二桁ということになると、実は一兆もの番号が使えることになります。これほど多数の番号がそもそも必要なのかということも含めて、この桁数についてどういう根拠で決められたのか、これは総理ではなくて事務方でも結構ですし、甘利大臣でも結構でございますので、簡潔にお答えください。

○国務大臣(甘利明君) おっしゃるとおり、十二桁程度を想定をしております。それは何かといいますと、元になるのが住民票コードでありまして、これを変換をして個人番号とすると。個人番号が何らかの事件に巻き込まれて流出した場合に、それを変えられると。大本は変えずに変換したものを変えていくという関係から、元数が十一桁、それを変換してですから十二桁以上になるという、そういう技術的な問題であると思っております。

○福山哲郎君 この番号自体には性別や出生地や住所地などの属性を設けず、今まさに機械的に付番するような類いの話を甘利大臣されましたが、国民の中ではまだ懸念の声が上がっております。
今日、総理お越しをいただいたのは非常に重要なので、例えば最初の二桁は性別だとか次の四桁は住所地などの属性は付けないというようなことを、本当に番号に属性は設けないということを、総理の御答弁で国民の皆さんに安心を与えていただければと思いますので、総理から御答弁いただけますでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) これは総理からも同じ答弁になりますけれども……(発言する者あり)
御指摘の御懸念はないと明言をいたします。番号に性別等の属性を設ける、あるいは意味を持たせるということは考えません、しません。

○福山哲郎君 せっかく総理来られているんですから、総理からお答えいただいた方が国民は安心すると思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま甘利大臣が答弁したように、番号に属性は持たせないと、そのとおりでございますから、御安心をいただきたいと思います。

○福山哲郎君 次に、マイナンバー制度にかかわる費用についてお尋ねしたいと思います。
これも一昨日の当委員会で我々の委員からの質問に対して、導入費用に二千七百億円程度、これ大変な金額です、ランニングコストは導入費用の一〇から一五%という答弁がありましたが、この一〇から一五%の根拠も実は余り前回の質疑でははっきりしません。まあ一〇から一五ならいいなと。住基ネットの場合には一〇から一五以上のランニングコストが掛かっているということもはっきりとしてまいりました。大変な巨額な費用でございます。この費用というのは国の費用だけなのか、いわゆる住基ネットにつなぐことも含めた、自治体の費用も含めた費用なのか、お答えをいただけますでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) 番号制度のシステムの導入の費用について今お尋ねがありました。御指摘のとおり、全部合わせますと二千七百億円でありますけれども、このうち、地方公共団体に関する費用としましては、住民事務に関するシステムであるとか、あるいは地方税のシステム、そして社会保障関係システム等の既存のシステムがありますけれども、これの改修費用として現時点では約千六百億円程度を見込んでおりまして、そして、今ランニングコストという御指摘がありましたが、これに対する毎年のランニングコストとして、その一〇%から一五%。ですから、この千六百億を母数としますと大体二百億円程度というふうに見込んでおります。
それから、これらの地方公共団体のシステムの整備に関しては、番号制度の導入及び運用に当たり不可欠のものでありますから、地方公共団体の理解と協力を得ながら取り組むことが必要でありますけれども、財政負担の問題で御質問がありましたけれども、現在、総務省が国費要求をするものというふうに承知をいたしております。財政当局と相談をしながら検討していくということでありますが、総務省からは国費要求するというふうに承知をしております。

○福山哲郎君 済みません、私の聞き方が悪いのかもしれませんけれども、甘利大臣、さっきの千六百億は元々国側が、政府側の答弁にあります二千七百億円の内数ですか外数ですか、どっちですか。

○国務大臣(甘利明君) 二千七百億の詳細を申し上げますと、新規に必要なシステムとして三百五十億。これは付番関連システムであるとか、あるいは情報提供ネットワークシステム等であります。それから、既存システムの改修等で二千三百五十億、足して二千七百億でありますが、この二千三百五十億の内訳はと申しますと、年金のシステム、これが最大百八十六億と踏んでおります。それからハローワークのシステムとして最大百五十五億、それから国税のシステムとして最大三百八十億、それを引きまして地方公共団体の業務システムとして最大千六百億という内訳になります。

○福山哲郎君 ありがとうございました。
また、もう一点、総務省から国費の要求をするということは、財政当局にこれは国費で扱ってくれということで、じゃ地方交付税措置をするということですね、個別の補助金とかではなくて。まあどちらにしても国が出すということで、自治体に財政負担は求めないということですね。

○国務大臣(甘利明君) これは、詳細は総務大臣にお聞きになるのがいいかと思いますが、たしか住基のときには交付税措置をしたと承知をいたしております。今回、私どもとしては、財政当局と打合せをそれぞれの部署、内閣府もそうでありましょうし、それから総務省もそうであると思いますが、財政当局と打合せをいたします。その中で、総務省からは予算要求、国費要求ですね、国費要求が出ているものというふうに承知をいたしております。

○福山哲郎君 ということは、自治体に負担を掛けないということで、細かいことですから、これ、向井さん、その方向でいいんですね。

○政府参考人(向井治紀君) 交付税になるのか、それとも補助金、補助金的な交付金的なものになるのかというのはあろうかと思いますけれども、交付税よりはむしろ交付金的なもので総務省から財政当局に要求するものというふうに承知しております。

○福山哲郎君 分かりました。
次に、このマイナンバー制度のいわゆるよく議論されるメリットですね。これだけの多額の金額を掛けてコストを掛けて、メリットは何かという議論は、実はこの委員会でも本会議でもいろいろされました。定性的な議論はよく出てまいります。いろんな便宜上良くなるみたいな話はあるんですけれども、しかし、これだけの金額を掛けるということは、金額にして、これによって生ずる行革効果みたいなものも国民に伝えなければ、何のためにやるのかということについて一定の説得性を持たないと思っておりまして、国民の理解を得るために行革効果を明らかにする必要があると思うんですが、このマイナンバー制度導入に対して国、自治体でどの程度の歳出削減効果があるのか、今政府は想定しているのか、お答えいただけますでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) この番号制度が入っていきますと、例えばいろいろな給付申請するときの書類が省かれるとか、あるいは併給調整が容易になるとか、あるいはもちろん税の正確な把握ですから公正な税制度に、よりなっていく等々、定性的なメリットは今もすぐ言えるんであります。
ただ、その金額換算せよという話なんですけれども、この制度が導入されていきますと、まず行政がやらなきゃならないことは業務改革だと思います。企業でいいますとBPR、ビジネス・プロセス・リエンジニアリングと言われます。新しいシステムが入っていって、それによって業務効率を図っていくという作業工程が入っていかないと結論は出ないわけですね。ですから、その企業版でいうBPRというものの行政版をやっていくという必要があろうかと思います。そうしますと、その工程が進んでいく中で改善によるコスト削減というのがだんだん浮き彫りになってくるということだと思います。
私もこの担当大臣になって、民主党さんの当時のやり取りでその業務改善効果というのを把握しておこうと思ってやったんですが、やっぱりなかなか、同じように難しいという答弁でありました。民間では、業務改善効果とそれから国民の受けるメリットと合わせてやはり一兆円以上になるんじゃないかとかいろんな試算がありますけれども、あくまでも推定のようであります。
これは、このシステムを導入していくことと並行して業務改善を行っていく、そこで次第に改善効果がどんどん増えていくんではないかというふうに思っておりまして、その過程過程で算定はできるものと思っております。

○福山哲郎君 これ、まさに業務改善効果でございますので、その将来的な業務改善についてこういう形で、例えばそれぞれの自治体に導入された後の指針なり、こういう形で業務改善をしていくようなある種の方向性なり目標値みたいなのは必要ではないかと考えますが、大臣、どうお考えになられますか。

○国務大臣(甘利明君) 幾ら幾ら改善しようという目標はなかなか難しいんですけれども、定性的にこういう改善効果をフォローしてほしいとか、それを年限ごとに検証していって、どれくらい効果が上がったかと。国民の税金を投入するわけでありますから、その効果は投入よりももっと大きいメリットがあるということを示していく責任があると思いますから、そこはしっかり追っていきたいというふうに思っております。

○福山哲郎君 我々としても、導入に当たっても政権時代に準備してきた責任はございますので、導入に当たってのプロセスについては我々自身もしっかりとチェックをしながら対応していきたいと思っております。
一方で、我々、先ほどマイナンバーと税と社会保障の一体改革が一体だという話を申し上げましたが、実は、これともう一つ一体のものがあります。それは歳入庁です。
我々が提出をした歳入庁の一体関連法案の中でも、閣法の中に歳入庁の創設の文言を入れました。残念ながら三党協議の中で自民党が難色を示されまして、年金保険料の徴収体制強化等については歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し、実施するという法案が成立をしました。この法案の文言を踏まえて、官邸に加藤官房副長官を座長とする検討チームが二月十四日、立ち上がったと聞いておりますが、その後、一体、開催はどの程度の回数、どういった状況で進捗しているのか、お答えいただけますか。これは総理に。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 御指摘の内閣官房副長官を座長とする関係省庁政務官による検討チームについては、二月の十四日に立ち上げました。この政務官級の検討チームは、これまでに五回開催をされております。年金保険料の徴収の現状と課題等について関係省庁からのヒアリング等を行ったものと承知をしております。
政府としては、この検討チームにおいて、自民、公明、民主の三党合意に基づく税制抜本改革の規定に基づいて、年金保険料の徴収体制強化等について歳入庁を含め夏ごろを目途に論点整理を行うことを目指し、幅広い観点から検討を進めていく考えでございます。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
五回。これ、実は今まで何回やられてきたか全然、表になっていなかったのと、夏ごろまでにという時期を示していただいたのは非常に大きな前進だと思いますが、一方で、民主党はみんなの党さんの案を基本に参議院に歳入庁の法案を提出をしております。これは維新さんも生活さんもみどりさんも加わっての法案の提出でございますので、できれば今の検討チームの進捗状況、何を検討しているかも我々としても中身を知りたいと思いますので、この法案についてしっかりつるしを下ろしていただいて審議をしていただきたいと。
これは国会の決めることだと思いますが、自民党の総裁でもある安倍総理にも是非そこはお力添えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国会の運営にかかわることでございますので、基本的に現場、国会にお任せをしております。
いずれにせよ、そもそも三党合意に基づく税制抜本改革の規定に基づいて、年金保険料の徴収体制強化等について歳入庁を含めて議論をしていくことになっているということでございまして、お互いにそれぞれ法案を出している状況になっておりまして、自民党としては、民主党が、野党が出している法案について様々な留意点、問題点について指摘をしていることと思うわけでございますが、建設的な議論になっていくことが期待されると、このように思っております。

○福山哲郎君 夏ごろというのは、実は参議院選挙も終わって国会も終わっているわけで、そのときに歳入庁の議論ができないので、できれば国会の中で委員会で議論をしたいというふうに思っておりますし、その中身も知りたいと思いますので、そこは是非お願いをしたいと思います。結果として歳入庁がうやむやになるようなことのないようにお願いをしたいと思います。
次に行きます。
次、飯島内閣官房参与の北朝鮮訪問について質問をさせていただきたいと思います。
私は、日本政府が拉致問題解決のためにタイミングを見極め北朝鮮と交渉していくことは、ある意味当然のことだと考えております。私は、外務副大臣もやらせていただきましたし、官房副長官のときには拉致担当でございました。一定の期間仕事をさせていただきましたので、拉致問題の交渉が重要であることは十分認識をしているつもりでございます。また、そのためにも、民主党政権は昨年の八月の予備交渉を、自民党政権のときに途絶えていた状況を四年ぶりに対話を再開をし、昨年の十一月に局長級の協議も行いました。しかしながら、結果として、長距離弾道ミサイルの発射予告で、ある意味でいうと煮え湯を飲まされ、我々の外交努力は足りなかったと言われればそれまでですが、残念ながらその後中断ということでございます。私は、今回の飯島参与の訪問は否定をするつもりは全くありません。そして、この飯島参与の訪朝が何らかの重要な成果があることを、若しくは、あるかもしれないなということを願っている一人であります。
しかしながら、他方で、野党として指摘をしなければいけないことも僕はあると思っております。私なんかよりも総理の方が重々御承知だと思いますが、北朝鮮という国は、自らの思惑によって相手を利用すること、いささかも抵抗のない国だというふうに思っておりますし、言葉は下品ですが、引っかけたりはめたり、そして分断工作をしたりということについても私は政治的な利用も含めて平気でやってくる国だと思っております。ですから、今回、訪朝でよく総理の意思を伝えたとか相手の本音を聞くとか、巷間言われているような話は今までと余り変わらないと。
しかし、飯島参与がそれなりのことを言ってきて、今日の新聞紙上でも何らかの成果が将来あるようなことをにおわせていることも含めて、もしそのような状況で包括的解決ということでいくならば、できれば非公式に静かに、まさに総理が懸命に対応されたあの小泉総理の訪朝のときのように、一年間にも及ぶ秘密交渉の上であの拉致被害者の皆さんが帰国をされました。そういったことを考えたときに、この飯島参与の北朝鮮への訪問の映像が流れたということは、これは安倍総理にとっては誤算であったのか。それについても、どういうふうにあの映像が流れたことに評価をされているのかについてお答えをいただけますでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 映像が流れたことについては、基本的に北朝鮮と私も一九九四年以来ずっとかかわってきております、今委員が御指摘になった点は十分に承知をしております。私も様々な交渉において、相当政府にクレーム、要求をしたこともございます。実際に交渉そのものにかかわってきたこともあるわけでございます。
その中において、北朝鮮の対応は様々な対応が考えられるということは十分に承知をしておりますし、また、飯島参与が訪朝するということにおいては、北朝鮮側が公表するということも十分に可能性があるだろうと。飯島さん、ああいう外見的にも地味な人物ではございませんから、目に付くということも十分に考えられるということもこれは計算に当然こちらも入っているわけでありまして、副長官も経験があるでしょうけれども、完全秘密交渉という場合は、これは秘密交渉においては、言わば飯島参与のような、言わばまさに内閣の参与と、そしてかなり国民的にも認知されている人物を使うということでは普通ないわけでございまして、一方、金正恩第一書記にこちら側の意思を伝えるということは、なかなかこれはそう簡単なことではないんですよ、一般的に思われている以上に。しっかりと、例えば報道されることによって間違いなく、これは、報道されれば内容を必ず金正恩第一書記に伝えなければいけなくなるわけでございまして、そういうことも我々、様々なことも当然考えているということであります。
秘密交渉においては、果たして秘密交渉をしていること自体が上に伝わっているかどうかということについては、これはなかなか分からないというのが一番秘密交渉の難しいところなんですよ。ですから、この秘密交渉は上に伝わっているかどうかということを、例えば第一回目の小泉さんの訪朝の際にも何回も確かめるわけですね。何回も確かめながら進めていく、この難しさがあるわけでございますが。
今回の場合は、もちろん様々なメリット、デメリットいろいろありますよ。しかし、報道されたことが悪いということではなくて、報道されて、ナンバーツーと会っている以上、当然それは中身においても、こちらが何をしゃべったということについても第一書記にはこれは伝えられるということになるということは間違いないんだろうと、このように思います。

○福山哲郎君 ということは、秘密交渉ではないという認識だということだと思います。
一方で、僕は余り今日細かいことを議論する気はありませんが、飯島参与が一人で行かれたこと、若しくは通訳を誰が付いて、メモはどう取ったのか、これはやっぱり外交交渉上非常に重要な点です。そのことについてもなかなか今はっきりはしていないんですけれども、そのことも含めて、今回やはりもう少し慎重に対応していただきたかった点はたくさんあります。今総理がおっしゃったように、例えば本当に映像流されることも想定内だったとすれば、余計に私はアメリカや韓国には事前に一報を入れておくべきだったのではないかと思います。
私は、実はあの報道出たときに、アメリカ側から不快の念が表明されたときに私はこう思ったんです。あっ、アメリカは、不快の念を表明することによって、一定、各国と連携をしている制裁体制の強化については降りないよというメッセージを出すということが日米であるんだったら、それはそれで僕は安倍官邸はなかなかやるなと、正直言って最初思ったんです。
しかし、どう見ても余りアメリカに事前に伝わっていたとは思えないし、総理がその時点で、この間、参議院の決算委員会で言われた、仮にも非公式とはいえ内閣官房参与が訪朝したことについて、何というか、総理が、アメリカも韓国も我々に全て連絡してくれるわけでないので、それは構わないというようなことを言われました。
今、国際社会連携をして核の問題についても懸命に対応しているところで、もし今総理が言われたように映像流れることも想定内だとしたら、やっぱりこの決算委員会の言い方は少し私は乱暴なのではないかな、アメリカや韓国に対する配慮に欠けた発言なのではないかなと思いますが、いかが思いますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほども申し上げましたが、私は、一九九四年以来ずっとこの問題にかかわってきています。その間、拉致問題についても随分非難されましたよ、そんなものないんじゃないかと。あなたがそういうことを言うことが拉致問題の解決を遅らさせていると随分私は言われました。随分言われましたよ、私はあなたに言っているんじゃないんですから。私に対して随分言われました。その中において、私はずっと反論してきた。常に基本的に私は、強い圧力においてしか結果は出てこないという基本的な姿勢でやってきた。
私が言ってきたことは基本的に当たっていたと思いますよ。アメリカに対しても、例えば二〇〇六年、ヒルが交渉したその際、北朝鮮が核を廃棄をする、百万トンを提供しよう、日本に呼びかけてきました。私は、その方法では解決はしないといって二十万トンを提供しなかった。これに対しては随分クレーム来ました。中国からも韓国からもアメリカからも来ましたよ。でも、結果はどうだったか。私が言ったことは正しかったんですよ。つまり、そういうことなんですよね。その後、つまりこの拉致問題も、あなたが言っているように簡単にはいかないんですよ。簡単にはいかない。
そして、認識をしなければいけないことは、つまり日本が主導的にこの問題は解決をしなければ、アメリカがやってくれるわけではないんですよ。その厳しい現実にやっぱりちゃんと向き合わなければいけない。ただ調子を合わせていれば、日本が付いていけば解決をしてもらえるという問題ではないんです。
そこで、核問題、ミサイル問題、この問題については、これはまさに国際社会で取り組んでいく問題であります。だからこそ私は、どの国よりも基本的に日本が厳しい制裁をやってきた。その先頭に立ってきたのは私ですよ、間違いなく。今できている制裁法案、これも自民党時代に作らなければ、二〇〇四年に作らなければできなかった。あのときも、この法律を国会に提出をすれば五人の被害者の家族は誰も戻ってこないと言われたけれども、この法律を提出した後、小泉さんの訪朝を受け入れたんですよ。
つまり、我々が進めてきた外交というのは単純な外交ではなかったわけでありまして、だからこそ、日本が拉致問題というのは極めて重要視しているというメッセージをアメリカにもちゃんと発出をしていく必要があるんですよ。そこのところを十分にあなたは分かっていない。だから、こうやってあえて申し上げているわけであります。

○福山哲郎君 委員会の審議ですので、若干お言葉には気を付けていただきたい。私は、拉致の重要性については理解していると冒頭申し上げているはずです。
ただ、総理が、映像が流れることも想定内だったと言われたので、それだったら海外にも伝わるんだから、それならば、核の問題で協力して制裁をやろうとしているアメリカ、韓国には事前に言っておくことは一定の配慮じゃないかと。それを、アメリカも韓国も我々に全て連絡してくれるわけでもないとか、過去のことで私の言い分が正しかったのでというのは少し配慮に欠ける発言ではないですかと。
やっぱり核の問題も重要で、これは各国、国際社会で制裁を強化をしていくことは私は重要だと思っているからそのように申し上げているわけで、別に、私が分かっているとか分かっていないという話は全体の流れでいうと余り関係ない話ですので、そのことについて申し上げているわけです。
もう一点申し上げます。
これは、飯島参与が行かれた、訪朝された後にすぐに短距離のミサイルが飛びました。私は、これは日本の安全保障上直接影響があるものだとはもちろん思っていません。しかし、私がこのときに思い出したのは、二〇〇九年四月の五日、オバマ大統領のプラハ演説の日に、北朝鮮は長距離の弾道ミサイルを発射をしました。まさに、そういったことを平気でやる国なわけです。飯島参与の訪朝の直後にこの短距離のミサイルが飛んできたことをどう評価するかは、なかなか難しい評価だと思います。
しかし一方で、この評価をどうしていくか、若しくは、これが日本に対する直接の脅威ではなかったとしても、韓国に対する何らかのメッセージだとしたら、これは逆に分断作戦を図っていることになります。つまり、こういったことも含めて、私は、本当にやられることは僕は必要だと思いますが、そういったことについては是非丁寧にやっていただきたい。
もう一点。報道によれば、この訪朝をきっかけに日朝協議再開に向けて動き出すというふうに言われています。総理としては、この日朝協議の再開について、いつごろどういった形で行われるということで今お考えをいただいているか、お答えいただけますでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今後の言わば外交の交渉については、それは今の段階では申し上げることはできません。

○福山哲郎君 山本一太大臣にお伺いします。お手元に、資料をちょっと大急ぎで配ってください。
自民党の総合エネルギー政策特命委員会、山本大臣が委員長だったときに、昨年の五月二十九日ですけど、今後のエネルギー政策の根本に安全第一主義を据え、特に原子力政策に関しては、権限、人事、予算面で独立した規制委員会による判断をいかなる事情よりも優先すると。また規制委員会が政治家の介入や経済政策の影響を受けずに、専門家による純粋かつ高度な技術的判断が行われる環境を確保するということを決められました。
この方向は自民党の中では変わっていないという判断で、山本大臣、よろしいですね。

○国務大臣(山本一太君) 基本的な方針は変わっていないと思います。

○福山哲郎君 自民党の中で電力安定供給推進議員連盟というのが出てきていまして、速やかに安全を確認して、速やかに稼働させていくことが重要だとかいう話が出てきています。
安倍総理にも確認します。
この昨年の五月二十九日の特命委員会の、いかなる事情よりも規制委員会による判断を優先するということ、規制委員会が政治家の介入や経済政策の影響を受けずに、専門家による純粋かつ高度な技術的判断を行える環境を確保するということは変わらないということで結構ですね、総理。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今後のエネルギー政策の根本に安全第一主義を据え、特に原子力政策に関しては、権限、人事、予算面で独立した規制委員会による判断をいかなる事情よりも優先する。また規制委員会が政治家の介入や経済政策の影響を受けずに、専門家による純粋かつ高度な技術的判断が行える環境を確保するということであります。

○福山哲郎君 それでいいわけですね、今のでいいわけですね、総理。今の変わらないは、大臣の答えと同じでいいわけですね。今、山本大臣答えられた。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今答えたとおりでございます。

○福山哲郎君 もう時間がなくなったので、もう一つ、二つ聞きたかったことがあるんですけど、なかなかしっかり質問に答えていただけなかったのは残念ですが、総理、外交大変ですが、御健闘、頑張ってください。


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