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2013

第185国会 参議院 外交防衛委員会 2013年12月3日


障害者権利条約

○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。よろしくお願い申し上げます。
今日は、大切な障害者権利条約の批准に向けた審議でございますが、外交防衛委員会ですので、冒頭幾つかだけ、外務大臣、防衛大臣に御質問させていただいて、権利条約の質疑に入りたいと思います。
中国の防空識別圏の設定の対応について御質問をしたいと思います。
民間航空会社への対応について、日米間で相違が出てきております。
十一月二十六日、我が国からは、我が国の航空会社に対して飛行計画の提出の取りやめ協力を要請をいたしております。その次の日に、アメリカの国務省の報道官が、航空会社に対しては、東シナ海上空を飛行する際、安全確保に必要な措置を全て講じるよう指示したと発言をされました。十二月の一日に安倍総理は、米国政府は民間航空会社にフライトプランを提出するよう要請したことはないということを外交ルートを通じて認識しています等々の発言をしています。
しかし一方で、飛行計画の事前提出にはデルタ、ユナイテッド、アメリカンの三社、CNNによりますと、各社は米政府の助言に従って応じていると言われています。また、非常に遺憾なことに、中国の外務省は、アメリカの民間会社が飛行計画書を提出したことについて歓迎の意向を昨日表明をされました。
私は、この状況を非常に残念に思っております。外務大臣としては、この状況についてどう今お考えなのか。また、一般的に申し上げれば、日米は同盟関係ですし、対中国のことでございますのでコメントラインなり対応ラインなりを事前調整をするのが私は通常の対応だと思いますが、そこの部分について、外務大臣、是非御説明をいただきたいと思います。

○国務大臣(岸田文雄君) 今般の中国における防空識別区の設定をめぐりましては、まず日米の間で緊密に連携協議を行ってきたと考えております。私自身も、二十五日にケネディ駐日大使と、また二十六日にはケリー国務長官と電話会談を行いました。その中で、ケリー長官からも、日本の冷静かつ毅然とした対応を評価しており、日本の立場を引き続き支持する、こうした発言もあり、この日米の連携、確認をしております。そして、米国政府としましては、今般の中国におけるこの東シナ海防空識別区の設定を深く懸念し、当該区域における運航に関する中国による要求を受け入れないとの立場、これを明確にしております。
そして、御指摘の民間航空会社の対応でありますが、その点につきましても、我が国から外交ルートを通じましてアメリカ政府に正式に確認をさせていただいております。そして、その確認によりますと、中国によるこの東シナ海防空識別区設定に基づくノータムに従って飛行計画を提出するよう米国民間航空会社に指示したという事実はない、こうした回答を正式に受け取っております。
民間航空会社の動きは様々に報じられていますが、少なくとも、米国政府そして日本政府、この政府レベルにおきましては立場は一致しておると思いますし、米国の立場は一貫していると認識をしております。
今現在、米国のバイデン副大統領も訪日をされておられます。今日夕刻、安倍総理との会談も予定されております。こうした機会をとらえまして日米の連携、またしっかりと確認をする機会にもしたいと考えております。

○福山哲郎君 連携を確認してきたという外務大臣の言葉は、それは一定多とします。
じゃ、先ほど外務大臣が言われたアメリカの国務省、アメリカの政府がアメリカの民間航空会社に対して何らかの指示したことはないと確認したと。ということは、アメリカの民間航空会社はアメリカ政府の意向とは関係なく自らの判断で中国側にフライトプランを提出したと外務大臣はおっしゃるわけですか。

○国務大臣(岸田文雄君) 民間会社の判断、対応について、他国の民間会社の対応、判断について申し上げる立場にはありませんが、我が国としては、最大限政府レベルにおいてしっかり意思疎通を図り連携をしなければいけない。そして、その問題についても米国政府の対応を外交ルートを通じまして正式に確認をし、先ほどの回答を得ているということであります。我々は、米国政府レベルにおいてはしっかりとした方針、立場は変わっていないと思っていますし、一貫していると考えています。

○福山哲郎君 逆に言うと、米国務省談話の中では、確かに大臣がおっしゃったように、米政府は外国が出した航空情報に従って運航することを一般論としては勧めるという発言もあります。つまり、このことを受けて民間航空会社がフライトプランを提出したのかもしれません。指示を出したか出さないか、外交ルートでは出していないと言っているけれども、その前は国務省の報道官が全て講じるように指示したという発言もある。ここは言った言わないの話です。
しかし、日本の国交省なり日本の政府が民間の航空会社にフライトプランを提出しないでほしいと我が国の航空会社に要請したのは、今回の中国による防空識別圏の設定が既成事実化することを我々としては全くもって受け入れられない対応だからこそ、日本の民間会社にはフライトプランを出すなと日本の政府は言ったわけでしょう。しかし、現実の問題として、今のアメリカの対応は、逆に、アメリカ政府が指示したかどうかは別にしても、民間会社はフライトプランを提出している。これを既成事実化していくことの事実は変わらないわけです。その中でコメントラインが日米の間で異なると、非常に重要なことですよ、このことは。
私が野党だから申し上げているのではありません。自民党とも昔、今もかもしれませんが関係の深かった、元々外務省の官僚の岡本行夫さんは、愕然とした、長い間日米関係を見ているが、これほど日本の安全保障が直接かかわった問題で、アメリカが日本の利益を損なう形で、外に見える形で行動を取ったことは記憶にないとおっしゃられているんです。これは岡本さんの話ですから、相当重たい発言です。
これ今、言った言わないの議論をしているのではない。まずは、このコメントラインがずれたことによって中国に逆に言うと足下を見られる可能性も出てくる。また、そのことの事前の調整を日米間でできていないことについても私は非常に問題だと考えております。
外務大臣、いかがですか。

○国務大臣(岸田文雄君) ただいま、委員の方からコメントラインが食い違っているという御指摘がありましたが、我々は、日米の政府間においてはコメントライン食い違っていないというふうに認識をしております。そのために、米国政府に対しまして外交ルートを通じて正式に問合せを行い、確認をした次第であります。
そして、今回の事態に関しましては、東シナ海の公海上の航空の自由が脅かされる、損なわれる、こうした国際社会全体に対する大きな懸念につながる事態であります。実際、米国のみならず韓国あるいはEUからも懸念が表明されています。これは、国際法の一般原則であります公海上の飛行の自由という大原則が損なわれるという事態、国際社会全体でこの問題についてしっかりと懸念を表明し、取り組んでいかなければならない問題だと思っています。
こうした関係国との連携も我々はしっかり大事にしなければいけないと思っていますし、その中にあって、日米両国の関係は最も重要だと認識をしております。引き続き、こうした国際社会共通の懸念に対して、米国を始め関係国としっかり連携していくべく努力をしていきたいと考えています。

○福山哲郎君 今外務大臣からいただいた御答弁は至極当然のことです。国際社会が懸念をする、そして他国との連携を強化をし、なおかつ日米の連携を強化していく、そんなの当たり前の話です。
私は、言われたから言い返すみたいな話は余り良くないと思いますが、よく自民党が我々の政権のときに、日米同盟が崩れた、壊れた、民主党だからとさんざん言われました。根拠もなく随分言われました。しかし、私は、岡本さんが、こんなに見える形でアメリカが日本の国益について動いたことはないと言われた、コメントされたことというのは非常に大きいと思っていて、私はいたずらに批判をしようと思っているのではなくて、その状況で最初の段階のコメントラインがそもそも違っていて、現実に今、アメリカの民間航空機は出しているわけです。
幾ら指示していないとはいいながら、大臣が言われたように、アメリカの航空会社がアメリカ政府に意向を確認しないで独断でやるなどというのは一般的に言えば考えられないはずで、幾ら政府間でそこは確認したといっても、なかなかそこは余り説得力がないと思いますし、バイデン副大統領が来られています、この問題は本当に重要ですので、是非日米間の連携しっかり確認できるように御努力をいただきたいと申し上げておきたいと思います。いや、もう結構です、答弁は。
もう一個、今日、障害者権利条約の非常に重要な批准に向けての審議が今されている今日に、国連人権高等弁務官の方から、ピレイさんから、日本の特定秘密保護法案について、秘密の要件が明確ではない、政府がどんな不都合な情報も秘密に指定できてしまうという懸念が表明されたという報道がありました。
私は、今これ日経と朝日の報道を見ていますが、政府が不都合な情報を秘密として認定するものだと、日本国憲法や国際人権法で保障されている表現の自由や情報アクセス権への適切な保護措置が必要だと認識を示したと。まさに国連の障害者の人権、権利に関する条約を批准するこの日に、国連の人権高等弁務官から日本の政府が今審議をしている法案については急ぐべきではないという懸念を表明されたというのは、私は非常に残念に思っています。そして、国連の高等弁務官がある国の法案の審議に対して懸念を表明するなどというのは、よほどの状況がない限り、私も外交を多少やりましたので、ないと思います。
この国連人権高等弁務官の発言に対して、外務大臣はどのように受け止めておられますか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の報道については承知をしております。
我が国のこの特定秘密保護に関する法律案、この法律案につきましては、今御審議をいただいている最中でありますが、法律としまして、恣意的な指定が行われないように様々な仕掛けを設け、制度をつくり、重層的な仕組みを設けております。あわせて、報道の自由あるいは取材の自由に配慮しなければならない、こういった規定も設けています。こうした我が国の法律につきましては、ピレイ人権高等弁務官のこの懸念、当たらないと私は認識をしております。
是非、こうした我が国の状況につきまして、法案の内容につきまして、ピレイ人権高等弁務官の懸念が払拭されるようにしっかりと情報提供を行っていきたいと考えております。是非、引き続きまして、こうした懸念を払拭するべく必要な説明を行っていきたい、このように考えています。

○福山哲郎君 いや、懸念は当たらないと大臣が言われること自身が大問題だと思いますよ。国連の高等弁務官がそれなりの調査をされないとこんな会見での発言はされません、普通でいえば。一つの国の法案の審議に対してこんなことは普通あり得ない。現実の問題として、こういった状況の中で審議が行われている、そして今日、障害者の権利条約が批准に向けて審議をするということで、私自身は非常に複雑な思いでございます。
ただ、一方で、御案内のように、二〇〇六年に国連総会でこの障害者の権利条約が採択をされてから七年、障害当事者の皆さん、関係者の皆さん、そして支えてこられたいろいろな団体やNGOの皆さんを含めて、本当に長い間の御尽力に心から感謝をしたいと思っております。
我々の政権のときに、二〇〇九年に障がい者制度改革推進本部、とにかくこの権利条約を批准するための準備をしたいということで本部を設置をして、五年間、障害者制度に係る改革の集中期間として障害者基本法や総合支援法、そして、残念ながら政権交代後になってしまいましたけれども、差別解消法、雇用促進法を改正する中で、この条約の批准に至るところまで来ました。
前にも申し上げましたが、私も京都で障害者団体連合会の会長を仰せ付かっておりまして、ほぼ毎週、障害者の方と接する機会をいただいているところでございます。この私がいただいている会長というのは、実は前職は自民党の野中広務先生でございまして、本当に、福山君頑張れ、とにかく一生懸命この条約に向けて頑張れという励ましもいただいておりますし、地元も含めて多くの障害者の方が期待をしているものでございますので、今日は少し細かい審議をさせていただきたいと思います。委員会の審議としては、少し逐条的な審議になりますので面白くないこともあるかもしれませんが、どうかよろしくお願いしたいと思います。
そして、今日は外務省だけではありません。内閣府、厚生労働省、法務省、そして総務省、文科省、多くの役所の皆さんに御協力をいただきました。このことに関しても冒頭感謝を申し上げたいと思います。是非、私は至りませんが、いい審議にしたいと思いますので、お願いしたいと思います。
一方で、防衛大臣、どうぞ御退席いただいて結構でございます──ああ、そうだ、防衛大臣に対する質問を忘れた。でも、いいです。もう障害者権利条約に入ります。
とにかく、自衛隊の面々は、今回の防空識別圏の問題で大変緊張感のある毎日の準備、対応をされていると思います。恐らく相当緊張度合いが高まっている中で二十四時間の態勢で準備をされていると思いますので、隊員に対してのしっかりとしたケアと、士気が落ちないように防衛大臣におかれましてはお願いをしまして、もう一個質問ありましたが、御退席いただいて結構です。

○委員長(末松信介君) 防衛大臣には御退席いただいて結構でございます。

○福山哲郎君 それでは、中身に入りたいと思います。
障害者権利条約の前文(e)では、「障害が発展する概念であることを認め、」とありまして、それを受けて第一条の目的のところには、「障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害であって、様々な障壁との相互作用により他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げ得るものを有する者を含む。」と明記されています。
本条約の趣旨を踏まえて、改正障害者基本法では、障害者の定義として、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」となっています。
今般の条約の批准をされると、障害と社会的障壁との関連性を重視して、現実の実態です、いわゆる今の社会的障害、障壁の実態を踏まえて障害者の範囲を柔軟的に広げていく方向で対応されていくことが必要になってくると思っております。実は、しっかりとした定義がまだ障害者差別解消法にもありません。この権利条約を批准するに当たって、障害者の定義について、今後も弾力的に解釈をされていくということでよろしいのかどうか、そう理解をさせていただいてよろしいのかどうかについて、外務省と内閣府、答弁をいただきたいと思います。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、本条約には障害者を明確に定義する規定は置かれておりません。そして他方で、今御指摘のように、この前文(e)において、「障害が発展する概念であることを認め、」としております。そして、これも今御指摘がありましたが、第一条に、「障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害であって、様々な障壁との相互作用により他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げ得るものを有する者を含む。」との概念規定が置かれています。
要は、これは、障害が固定化された概念でなく、環境や社会の変化等により今後も発展し、時代により異なる解釈がなされ得るものであることを示していると考えます。よって、御指摘のように、この障害者の範囲についても柔軟な解釈がなされるものと考えられます。

○福山哲郎君 前向きな答弁をありがとうございます。
内閣府、よろしくお願いします。

○政府参考人(岩渕豊君) 障害者基本法における障害者の定義は、平成二十七年の障害者基本法の改正におきまして、障害者権利条約の趣旨を反映し、日常生活又は社会生活において障害者の受ける制限は社会の在り方との関係によって生じるといういわゆる社会モデルの考え方を踏まえた規定となっておりまして、障害者差別解消法においても同様の定義としたところでございます。
一方で、障害者基本法、障害者差別解消法以外の個別の法律における障害者の定義は、各個別法において、その目的、内容に応じてその対象範囲を画する観点から定められるものでありまして、それらの個別法におけるそれぞれの定義に基づき、個別のケースごとに障害者であるか否かが判断されるということになるものと認識しております。
そして、障害者基本計画においては、障害者基本法の障害者の定義を踏まえまして、各分野に共通する横断的視点として、施策が、障害者が日常生活又は社会生活で直面する困難に着目して講じられる必要があるということ、障害者の自立と社会参加の支援という観点に立って行われる必要があることを盛り込んだところでございます。
今後、この計画に基づきまして、各施策の実施に当たって障害者の置かれた実態に応じた対応が幅広く行われるように努めてまいりたいと存じます。

○福山哲郎君 外務大臣からも内閣府からも前向きな答弁をいただいて、ありがとうございます。
先ほどおっしゃられたように、個別法の世界に入っていきますと、縦割りの状況で解決できないような問題とかも出てまいります。そのときにやはり多少は弾力的に解釈をしていただく状況等も必要になってまいりますし、例えば障害者手帳を持っていないけれども今難病に当たられる方とか、例えば合理的配慮をある場面で、ある環境の中でもらえない人たちに対して、どういう形で合理的配慮が欠けている状況でこの場合に障害に当たるのかということを、本当に状況状況によって判断をしなければいけないので、そのことについては是非確認をさせていただきたいと思いますし、今後、何が差別に当たるかという定義付けの蓄積が私は国内において非常に重要だと思っておりますが、そのことは内閣府としてはどういうふうにお考えですか。

○政府参考人(岩渕豊君) 個別の事案におきまして、特定の行為が差別に該当するか否かにつきましては、それぞれの事案に応じて個別具体的に判断されるものでございまして、障害者差別解消法では、障害を理由とする差別についてあらかじめ一律に定めることはしておりません。
今後、障害者差別解消法に基づく対応要領や基本指針において具体的事例等を示すとともに、本法の施行後、具体的な相談事例や裁判例が積み上がっていく中で、具体的にどのような行為が差別に当たり得るのかについて国民の間で認識の共有が図られるように努めていくこととしております。

○福山哲郎君 是非、内閣府におかれましては御努力をいただきたいと思います。これは厚生労働省の皆さんも実は共有している部分があります。これは、外務省というよりかはどちらかというと内政の施策の話ですので、そこは両省においてはくれぐれもよろしくお願いします。
続いて、第六条でございます。障害のある女性に関連してです。
六条の一項は、障害のある女性及び少女が複合的な差別を受けていることを認識し、またこれに関して、障害のある女性及び少女が全ての人権及び基本的自由を完全かつ平等に享有することを確保するための措置をとることと明記されています。
政府としては、女性に関して、女子に関して、こういった女子が複合差別を受けている存在であるという認識を持たれているのかどうか。実は、女性の障害者は三割がセクハラで被害を受けているというような報告もあって、これは非常に大きな課題なんですが、日本の場合には実は男女別の障害という概念が余りこれまでなかったと私は認識しておりまして、是非、女性が複合的差別をより受ける可能性が高い存在だということを外務省としてどう御認識をいただくのか、内閣府もどうなのか、厚生労働省もどうなのか、それぞれお答えいただけますでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、女性に対する差別の撤廃につきましては女子差別撤廃条約に規定をされております。しかしながら、この女子差別撤廃条約には障害のある女性に対する独立した条文は存在いたしません。
政府としましては、障害のある女性が複合的な差別を受けており、そして社会的弱者の中でも特に弱い立場に置かれやすいこと、これを認識をしております。ですから、障害者権利条約、御指摘の六条ですが、本条はこのような認識に立ち、そうした方々の権利の保護、促進を図るべきであるとの考え方から創設されたものと承知をしております。外務省としましてはそういった認識に立っております。

○政府参考人(岩渕豊君) 障害者基本法におきましては、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策は、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、かつ有機的連携の下に総合的に策定され及び実施されなければならない旨が規定されているところでございます。
これを踏まえまして、本年九月に閣議決定いたしました第三次の障害者基本計画におきましては、各分野に共通する横断的視点といたしまして、特に女性である障害者は、障害に加えて女性であることにより更に複合的に困難な状況に置かれている場合があることに留意する旨を記載したところでございます。
引き続き、女性である障害者を含めまして全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、障害者施策の総合的かつ計画的な推進に努めてまいりたいと存じます。

○政府参考人(蒲原基道君) お答えいたします。
ただいま内閣府の方から話がございましたのと同じ認識でございます。障害者基本計画におきまして、女性である障害者については更に複合的に困難な状況に置かれている場合があることに留意するというふうに書かれてございます。
私どもとしては、こういう認識の下に、女性である障害者を含めて全ての国民が、障害の有無にかかわらずきちっと共生できる社会を実現できるように頑張っていきたいというふうに思っております。

○福山哲郎君 外務大臣が認識をしていると明言をいただいたので非常に心強く思います。なかなかこれまでは、はっきりとそこのところについては言及をいただけないような場合もかつてはありましたので、三省庁共にはっきりと言っていただいたので大変心強く思いました。ありがとうございます。
実際には、じゃ、男女別の現状把握を行わなければいけません。今はっきりと、女性は特に複合的差別を受ける存在であるということを認識をされたと。そうすると、男女別の現状把握がしっかり要る、その複合的な差別についての困難な実態について把握していかなければいけないと。ところが、障害者にかかわる国の統計等ではなかなか男女別の統計が示されていません。
二〇一二年七月に出しました第三次男女共同参画基本計画の実施状況についての意見においても、障害者や高等学校中途退学者についての男女別の統計情報が現状では未整備である、これらの例にとどまらず、施策を効果的に推進するためには男女それぞれが置かれた状況等を客観的に把握することが必要であると指摘されています。
私は、この男女別の統計というのは非常に重要な要素だと思っております。例えば障害者白書の統計資料の掲載についても男女別のデータを盛り込むことが必要だと思っておりますが、障害者白書の統計資料、男女別のデータを盛り込むことについて内閣府は今どのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(岩渕豊君) 本年九月に閣議決定した障害者基本計画におきまして、障害者の実態調査等を通じて障害者の状況や障害者施策等の情報、データの収集、分析を行うこと、そして、その際には障害者の性別、年齢、障害種別等の観点に留意する旨を盛り込んだところでございます。
障害者白書に掲載されている各データにつきまして男女別のデータを盛り込むことが可能かどうかも含めまして、当該データを把握する関係省庁と連携いたしまして、必要な情報、データの収集、分析、充実を図ってまいりたいと存じます。

○福山哲郎君 私、障害者基本計画の中は存じ上げた上で申し上げているので、逆にこの基本計画に入れ込んでいただいていることは多としますが、国会で答弁をしていただくことによって、より僕はしっかりやっていただきたいという思いです。
ただ、これまで障害者白書は男女別のデータがなかなか出ていなかったと。これからやるにしたって、各府省は準備も必要だと思います。それから、これまでの統計調査のやり方とは若干異なる可能性も出てまいります。そうすると、データをそろえたくてもなかなかそろえにくいという環境があって、そこは一定ひょっとしたら時間が掛かるかもしれません。しかし、そこは私は、多少時間が掛かってもやるんだという意志を持ってそれぞれの担当に向けて指示を出していただくことが非常に肝要だと思っております。
やるのかやらないのか分からなかったら、今までどおりの調査しかしないところが必ず出てきます。どうか、はっきりと基本計画に男女別のデータについて取っていくんだという方向が示されていますので、そのことについて具体的にやり切る思いで指示を出す、これから動いていくと、そのようにもう一度明言をいただけませんでしょうか。

○政府参考人(岩渕豊君) 今回、新たに障害者の性別等の観点に留意するということで基本計画に盛り込んだところでございますし、そういった点を踏まえまして、この男女別のデータを盛り込むことが可能かどうか、おっしゃるように関係省庁とよく連携をいたしまして充実を図ってまいりたいと存じます。

○福山哲郎君 最後のところだけは、関係省庁と連携を図って充実を図っていきたいと、ちょっとむにゃむにゃとなるんですよ。そこが僕はちょっと怪しいなと思っておりまして、これ以上の答弁はなかなかしにくいと思いますが、是非、来年の障害者白書から、努力の結果が見えてきたと確実に分かるような状況をつくっていただきたいと思います。
そのためにも、いろんな障害女性が持つ課題を認識をしなきゃいけないので、その認識を共有をしていく、いろんな課題を抽出して対応していくと。それはもうデータを集めて充実していけば課題が自動的に抽出をされてくるわけですから、その課題についても対応をしっかりしていくということでよろしいかどうか、内閣府、お答えください。

○政府参考人(岩渕豊君) おっしゃるように、女性である障害者が、障害に加えて女性であることにより更に複合的に困難な状況に置かれている場合があることに留意するというのが新たに閣議決定されたわけでございますので、この趣旨を踏まえまして、女性である障害者を始めとして様々な障害特性等に配慮して施策の充実に努めてまいりたいと存じます。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
続いて、一問だけだと思いますが、総務省さんにも来ていただいております。お忙しい中ありがとうございます。
現状において、これは参考人の質疑で藤井参考人からも強く御指摘いただいたんですが、統計法に基づく基本計画や基幹調査に障害分野は含まれていません。統計法における障害分野の拡充について今総務省はどのような見解、先ほどの内閣府の意見をしっかりとしんしゃくをしていただいた上で、総務省、御意見いただけますか。

○政府参考人(平山眞君) 現在、総務省は、統計法に基づきまして、平成二十六年度からの五か年の新たな公的統計の整備に関する基本的な計画の案を作成いたしまして、去る十月三十日に内閣府統計委員会に総務大臣から諮問をしておりまして、現在、同委員会におきまして計画案を審議中でございます。
この計画案におきましては、新たに各種法定計画等における統計の整備や当該分野における各種施策との整合性に留意しつつ取組を推進するよう盛り込んでおりまして、障害者基本計画につきましても同様の取組を進める必要があるものと認識をしております。
総務省といたしましては、統計委員会における審議も踏まえ、新たな公的統計の整備に関する基本計画の策定を進めてまいりたいと考えております。

○福山哲郎君 今の御答弁は、検討中だということを加味したとしても、新たな基本計画の中に障害分野について拡充をしていく、含んでいくという方向で考えたいという答弁と受け止めてよろしいですか。

○政府参考人(平山眞君) 現在の諮問した計画案の中にも各種、男女とか障害者の基本計画がありますが、各種政府の計画における統計の整備についても言及しておりまして、それについて推進をするということで書いてありますので、それに基づきまして推進をしてまいりたいと思っております。

○福山哲郎君 それについてというのは。

○政府参考人(平山眞君) 各種基本計画でございますから、当然、今回議題になっています障害者基本計画も含めて、その統計の整備について推進してまいるということでございます。

○福山哲郎君 強く言い切れないのは分かりますが、障害者基本計画をしっかり受け止めて推進していくという御答弁をいただいたので、何とか統計法の世界でも、日本は権利条約を批准することになるわけですから、しっかりとお答えをいただきたいとお願いしたいと思います。
さらに、十九条でございます。私、英語苦手なんですけど、いわゆるリビングアレンジメントという言葉が英文の中で、条文の中で出てまいります。いわゆる公定訳の中で、障害者が特定の生活施設で生活する義務を負わないというふうに公定訳にはなっております。この特定の生活施設をリビングアレンジメントというふうに、特定の生活施設という訳をしているわけですが、これは一体どういうことを指すのか、お答えをいただけますでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 条約の交渉経過等から見ますところ、特定の生活施設とは場所的概念だと認識をしております。障害者が生活を送る可能性のある場所一般を指しているものと考えられます。

○福山哲郎君 場所ということでございますが、これは、障害者福祉施設で生活する義務を負わないという意味のほかに、一般的に言うと、例えばある障害当事者の方が独り暮らしとか自分の障害の状況によって親や家族と生活をする、若しくは生活をしなくて別々に暮らすということに対しても義務を負わない、いろんなことに対して義務を負わないという意味も含まれると解しています。
今大臣が場所一般を指すということは、障害者が意に反して病院とかを含む特定の場所で生活する義務を負わないという意味でよろしいでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、障害者が意に反して入所施設、病院等の特定の場所で生活する義務を負わないことを意味するものと解しております。
また、この十九条におきましては、誰と生活するかを選択する機会を有すると規定されていますから、独り暮らしをする義務や家族との生活義務についても負わない、このように解しています。

○福山哲郎君 はっきりと解釈について大臣が明言をいただいたので、本当にありがとうございます。
一個だけ確認です。これ、特定の生活施設というのは一個に限らない、そこだけに限らないということでいいんですよね、特定のこの施設、生活施設というのに限らないということで。いや、大臣の先ほどの答弁はその意味だと思うんですけど、確認だけです。それでよければそうだと言っていただければオーケーです。

○国務大臣(岸田文雄君) その特定というのは一つに限るという意味か、意味ではないという確認だと思いますが、そのとおりだと存じます。

○福山哲郎君 私は、この特定の生活施設という公定訳は、どちらかというと誤解を招くと。何らかの施設というイメージが日本の場合にはあります。それは、何となく障害者の方のいらっしゃるどこかの特定の施設というイメージがすぐ出るんですけど、リビングアレンジメントというのは、やっぱり生活環境とか生活形態とかそういったものに対して義務を負わない、いろんなことが可能性としてあるという意味合いだと思っておりますので、今大臣が明確に御答弁をいただいたので非常に有り難いと思っております。
次、二十四条一項でございます。二十四条一項は、アン・インクルーシブ・エデュケーション・システム・アット・オール・レベルズ・アンド・ライフ・ロング・ラーニングとあります。障害者を包容するあらゆる段階の教育制度及び生涯学習というのは、これは同一の学校の中で障害者が共に学ぶことができる教育制度のことを意味しているのか、これは一体どういう意味をしているのかということについて、外務大臣、よろしいでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 本条約二十四条一に規定する障害者を包容する教育制度とは、障害のある者とない者とができる限り一緒に教育を受けられるよう配慮することであると解しております。したがって、必ずしも全ての障害のある者とない者が同一の学校で学ぶことまでは意味していないと解しております。
また、あらゆる段階の教育制度及び生涯学習、この部分には生涯学習、職業訓練、成人教育も含まれると、このように解しております。

○福山哲郎君 後段のやつは、次質問しようと思っていたことだったんですけど、ただ、それをお答えいただいたので結構です。
それで、同一の学校で学ぶことは意味しないけれども、可能な限り一緒に教育を受けられることは配慮することと解釈するというふうに言っていただきました。可能な限りというのは、障害を持つ方が望む場合というふうな趣旨でよろしいでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) そのように理解いたします。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
今も、支援学校もございます、そして学校があると。だから、すぐにというわけではありませんが、障害を持つ方が望む場合に、可能な限り一緒に教育を受けられるように配慮することを今外務大臣もお認めをいただいたので、非常に力強いお言葉をいただきました。
実は、前段のリビングアレンジメントですが、生活施設の件ですが、特定の生活施設ではないということですねということを、僕、厚生労働省さんに確認するのを忘れていました。厚生労働省さん、お答えいただけますか。

○政府参考人(蒲原基道君) 先ほど外務大臣から御答弁があったとおり、特定の施設で何か義務付けるということではないというふうに認識をいたしております。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
それから、今のインクルーシブ教育のところでございますが、これは文科省、今の外務大臣の御答弁でよろしいでしょうか。

○政府参考人(加藤重治君) お答え申し上げます。
外務大臣から御答弁あったとおりでございまして、障害者本人が希望される場合には一緒に教育を受けられるように支援措置などを講じる、こういう認識でございます。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
細かくて恐縮なんですけど、その後、二十四条の二項にあります、ザ・ゴール・オブ・フル・インクルージョンというのがあります。これは完全な包容という目標なんですけれども、これは、完全な包容という目標は、今おっしゃられたように、可能な限り一緒に教育を受けられるようには頑張っていただけるということなんですけど、この完全な包容という目標というのはどういう意味を表すと解釈されますでしょうか。外務大臣、よろしくお願いします。

○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の文言ですが、障害のある者と障害のない者とができる限り一緒に教育を受けられるということの実現を最終的な目標として掲げる趣旨であると考えております。
他方、障害者自身の意向を無視して、あらゆる場合において障害のある者とない者とが一緒に教育を受けなければならないことまで意味するものではないと解しております。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
それから、これも細かいことですが、二十四条二項の(d)、ジェネラル・エデュケーション・システム、一般的な教育制度というのは、我が国の場合は文科省の下での制度を意味するんでしょうか。外務省、よろしくお願いします。

○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の一般的な教育制度とは、各国の教育行政により提供される公教育であるという点につき、起草段階で多数の国の理解が一致しております。したがって、我が国においては文部科学省の管轄の下での制度、これを意味していると解しております。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
文部科学省に確認します。先ほどのゴール・オブ・フル・インクルージョンと今のジェネラル・エデュケーション・システムというのは、今の外務大臣の御答弁と同様というふうに解釈してよろしいでしょうか。

○政府参考人(加藤重治君) お答え申し上げます。
お尋ねの点、二点とも外務大臣から御答弁があったとおりと考えておりまして、前者につきましては、障害のある方とない方ができる限り一緒に教育を受けられるようにするということの実現を最終的な目標として掲げるという趣旨であると考えております。
また、この一般的な教育制度につきましては、各国の教育行政により提供される公教育であるということでございまして、我が国におきましては文部科学省の管轄の下での制度を意味するというふうに考えてございます。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
次、二十七条の一項に行きます。だんだん時間がなくなってきましたので、ちょっと急ぎます。
二十七条の一項において、職場において合理的配慮が障害者に提供されることを確保することのための適当な措置をとるように二十七条一項では求めています。また、二条では合理的配慮の否定を障害に基づく差別と定めておりますし、五条でも障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとしております。
障害者差別解消法、私がやらせていただいた審議では、合理的配慮を提供しないことは差別であるとその当時答弁をいただいておりますが、障害者基本法や障害者雇用促進法においても同様の位置付けであると考えてよろしいでしょうか。内閣府、お願いします。

○政府参考人(岩渕豊君) いわゆる合理的配慮の不提供につきましては、平成二十三年の障害者基本法改正によりまして、第四条第二項において、社会的障壁の除去の実施に関する必要かつ合理的な配慮を行わないことが、一定の条件の下で障害を理由とする差別に当たる旨が明確に規定されております。
なお、先ほど、基本法の改正年を二十七年、差別解消法の対応指針を基本指針と誤って答弁いたしました。訂正いたします。申し訳ございません。
そして、障害者差別解消法はこの基本法の規定を具体化したものであり、同法におきましても、障害者障壁の除去の実施に関する必要かつ合理的な配慮を行わないことによって障害者への権利利益侵害をもたらす場合には、障害を理由とする差別に当たる旨を規定しております。このような整理は障害者雇用促進法におきましても同様であるものと承知しております。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
障害者雇用促進法においても合理的配慮の提供というのはすごく重要だと御答弁をいただきました。
一方で、厚生労働省さんにお伺いをします。
まさに雇用分野は障害者の自立や社会参加においては非常に重要なところでございます。今、私のある知り合いの経営者の方は、障害を持った方を雇用するんだ、月二十五万で雇用するんだといって本当に障害者の方を今雇用して、頑張っていただいて、表参道にカフェをつくったりされている。それはもうITの機械を使って本当に頑張っていただいている経営者も今出てきているところでございますが、事業主の合理的配慮の提供について、厚生労働省さん、国内的にはどのように今後担保していくおつもりでしょうか、お答えいただけますでしょうか。

○政府参考人(内田俊彦君) 改正障害者雇用促進法におきましては、事業主に対して、当該事業主と雇用関係のある障害者に対する合理的配慮の提供を義務付けたところでございます。
この合理的配慮の具体的内容につきましては、同法では、公益、労働者、使用者、障害者の四者で構成されます労働政策審議会で検討を行って、これを指針として定めるということとされてございます。
厚生労働省としては、この指針が定められましたら広くその周知を図るとともに、その履行確保が図られますように適切に対応してまいりたいと考えております。

○福山哲郎君 確保されますように適切に対応していただきますという抽象答弁が一番危ないんですね、それは半分やるかやらないかは相手任せみたいな話になりますので。厚労省さん、そこはしっかり、権利条約を批准するんですから、ちょっともう少し何か言ってください。

○政府参考人(内田俊彦君) まさに、その具体的内容につきましては今有識者を集めての研究会等で議論をしておりまして、さらに審議会で検討して指針として定めるということでございますが、それをきちっと事業者に守っていただくように、私どもとして一生懸命広報していきたいと思います。

○福山哲郎君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
重要な三十三条一項についてお話を、私、三十三条は非常に重要な条文だと思っておりまして、まず三十三条一項、デジグネート・ワン・オア・モア・フォーカル・ポインツ・ウイズイン・ガバメント、一つ又は二つ以上の中央連絡先を政府内に指定すると条約にあります。我が国において中央連絡先は、国際社会との対話窓口としては、私のイメージとしては外務省、それから各省間の総合調整ということでは内閣府かなというふうに思っておりますが、このフォーカルポイントについて今どのようにお考えか、外務大臣、お答えください。

○国務大臣(岸田文雄君) この中央連絡先の役割ですが、国連の説明によりますと、障害者の人権の尊重が確保されるよう戦略や政策を見直すこと、また関連法令を立案、修正し、見直すこと、そして国の定期的な報告の準備を調整すること等とされております。
我が国におきましては、外務省総合外交政策局人権人道課、そして内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付参事官障害者施策担当、この二つがこれに当たると考えております。締結に当たっては、国連にその旨通報することになると考えます。

○福山哲郎君 こんな、こんなと言うと変だな、委員会の審議の場で外務大臣がフォーカルポイントの具体的な場所についてこれほどきちっと御答弁をいただいたということに対して、審議に当たってのそれぞれの省庁間の御努力と外務大臣の御協力、御英断に心から感謝を申し上げたいと思います。そういった窓口がはっきりすることによって、いろんな国際的なところからの連絡もきちっと、どこへ行ったら日本は対応するんだみたいなことがなくなると思いますので、今の御答弁はもう非常に有り難いと思います。
また、三十三条一項にア・コーディネーション・メカニズム、調整のための仕組みとあります。それは、我が国においてはどういう役割、どのようなものを指すと外務大臣は思われていますでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の政府内における調整のための仕組みとは、政府内の関係者の調整を担う仕組みを指すと考えております。
この仕組みについては、我が国においては内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付参事官障害者施策担当、担当付が担当することになると考えております。

○福山哲郎君 内閣府、これまで以上に役割重要になります。それぞれの調整のための仕組み、今までも内閣府さんが頑張っていただいたのは僕分かっておりますが、しかし、これまで以上に重要な役割になりますので、是非よろしくお願い申し上げます。
続きまして、三十三条の二項でございますが、ア・フレームワーク・インクルーディング・ワン・オア・モア・インディペンデント・メカニズムズ・アズ・アプロプリエート、「枠組み(適当な場合には、一又は二以上の独立した仕組みを含む。)」について、これ実は重要で、この条約の実施を促進し、保護し、監視するための枠組みなんですけれども、この指定に当たり、いわゆる国内人権機構の地位に関する原則、パリ原則との関係はこの三十三条二項はどういう関係になるのか、お答えをいただけますでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) この独立した仕組みについては、政府から完全に独立した機関が要求されるものではなく、運営において公平、中立、独立が確保された機関を指すものと考えています。この理解は、条約起草過程において共有されております。本条約は、この条約の実施を監視するための枠組みを構築する際、御指摘のいわゆるパリ原則を考慮に入れるよう定めております。
我が国のこの条約の監視枠組みである障害者政策委員会は、障害当事者自身を含む多元的な代表で構成されております。また、同委員会は障害者基本計画について調査、審議し、内閣総理大臣等に意見を述べることができることになっています。これらのこと等から、障害者政策委員会はパリ原則を考慮に入れたものになっていると考えております。

○福山哲郎君 そのように解釈もできるんですが、実は、先ほど申し上げたように、促進、保護、監視という言葉があります。これは一体、具体的には、二項によるこの条約の実施を促進し、保護し、監視するための枠組みというのは、今の大臣が言われた障害者政策委員会だけで本当に全部がカバーできるとは思えません。
この促進について、保護について、監視について、どういった位置付けだと外務省は考えられているか、お答えをいただけますでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、本条約上、条約の実施の促進とは、啓発等を通じて本条約の趣旨の実現を推進すること等であると解されます。そして保護とは、本条約に定めた障害者の権利の確保や救済を図ることであると解されます。また監視は、本条約の実施状況を調査し、必要に応じて勧告等を行うことであると解されます。
こうした条約の実施を監視することの一環として行われる勧告の内容には、必要に応じて法制度の整備に係る提案も含まれ得ると考えております。

○福山哲郎君 具体的な外務省の今の解釈についてお答えをいただいてありがとうございます。
それでは、今の促進、保護、監視、どのように進めていくのか。内閣府、促進、監視についてお答えいただけますか。

○政府参考人(岩渕豊君) 促進につきましては、例えば内閣府による障害者週間、各種行事の実施、法務省の人権擁護機関による人権週間を中心とした各種啓発活動の実施等を通じた、障害者権利条約の趣旨を踏まえた各種周知啓発を行うことを想定しております。
また、監視につきましては、我が国における障害者権利条約の実施については国内の障害者施策をもって行われることとなるところ、同条約の国内実施状況の監視は、我が国の障害者施策の方針の根本を成す障害者基本計画について、それが同条約の趣旨に沿って実施されているかを監視することによって行われることになります。

○福山哲郎君 監視はどのような仕組みでやられるおつもりですか。

○政府参考人(岩渕豊君) 条約三十三条二に言う国内実施状況の監視につきましては、障害者基本計画の実施状況の監視を通じまして障害者政策委員会が行うということが想定されております。障害者基本法上、障害者政策委員会は、障害者基本計画の実施状況の監視に当たり必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることとされているほか、それ以外の者に対しても必要な協力を依頼することができるとされているところでございます。
このような権限も活用しながら、障害者政策委員会がその任務を全うできるように適切な事務局運営に努めてまいりたいと存じます。また、障害者権利条約に基づく政府報告の作成におきましても、障害者基本計画を通じて条約の実施に資する意見を障害者政策委員会から聴取し、政府報告にも反映させていく所存でございます。

○福山哲郎君 今、事務局も充実しという言葉がありましたが、障害者政策委員会の役割もこれからますます大きくなりますので、先ほど申し上げた調査、それからこの事務局の充実等々は全部実は有機的につながってきます。
ですから、そのことについては、内閣府におかれましては、なかなか予算が取りにくい時代だと思いますけれども、そこは予算をしっかり取っていただいて、頑張ってこういった仕組みを一年一年充実をさせていただきたいと思いますが、決意表明をいただいていいでしょうか。

○政府参考人(岩渕豊君) 障害者政策委員会がただいま申し上げました任務がきちんと果たせるように、適切な運営ができるように努力してまいりたいと存じます。

○福山哲郎君 実は、促進、監視に関しては一定ある程度のフォローができる可能性があるんですけど、実は、保護について言うと、救済の問題についてはまだ日本にはその仕組みができておりません。パリ原則に基づくいわゆる人権救済機関の設置については、日本はなかなかできておりません。民主党政権も、法案、閣議決定までには至ったのですが、残念ながら政権が替わってしまいました。そのことについては、法務省は今どのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(萩原秀紀君) お答えいたします。
新たな人権救済機関を設置するための人権委員会設置法案でございますが、これは、昨年の十一月九日に第百八十一回国会に提出されましたが、十六日の衆議院解散によって廃案になりました。
それで、その後の関係でいいますと、人権救済制度のそういった在り方につきましてはこれまで様々な議論がなされてまいりまして、その議論の状況を踏まえまして、当局におきましては幅広く現在検討しているところでございます。

○福山哲郎君 これは一定与党側にいろんな異論があると思いますが、随分誤解もこの議論にはありまして、障害を持たれた方の差別事案だとかお年寄りに対する差別事案だとか、ネット上の非常にひどい差別事案だとかが今あちこちであります。
このことに対して、どう差別をなくすのかというガイドラインを作っていく意味も含めて、ましてや、障害者権利条約を批准するに当たっては、この保護措置というのは私は国内としては必要だというふうに思っているので、今検討中だというふうに承りましたので、そこについては我々自身もいろんな形で準備をしていきたいと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
障害者の権利委員会における障害当事者の日本人の委員の実現については先ほど質問がありましたので、もう重ねての質問はやめておきたいと思います。
時間になりました。大変前向きな答弁を、解釈も含めて難しいところを具体的に外務省も内閣府も厚生労働省もお答えをいただいたと思っております。事前の御準備というか調整をしていただいたこと、本当に感謝を申し上げますし、この批准が、先ほど宇都委員もおっしゃられましたけれども、新たな障害者政策を実現をしていく、充実をしていくスタートラインだという認識で各府省におかれましてはお力添えをいただきたいと心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
本当にありがとうございました。


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