05/22

2014

第186国会 参議院 外交防衛委員会 2014年5月22日


安保法制懇報告書、安全保障に係る各種事例の法的解釈に関する件

○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。
先週、安保法制懇からようやく報告書が提出されました。私としては、二月四日に開催されてから五月の十五日に開催されるまで三か月以上の空白があって、その間にどういう形で議論されたのかが全く不透明な状況で報告書が出てきたということに対しては非常に遺憾に思っておりますし、誰がこの報告書を一体書いたのか、詳細どういう議論が行われたのか、全く見えません。国民の生命や憲法の規範性に関わる問題だからこそ、こういったやり方に関しては非常に禍根を残すように考えております。まずはそのことを指摘させていただきたいと思います。
一方で、横畠長官におかれましては御苦労さまでございます。先ほど佐藤委員からおめでとうございますと話がありましたが、私は何がおめでたいのかよく分かりませんが、これも小松法制局長官が、我々が何度も病床の身なら引くべきだと申し上げたにもかかわらず、結果として国会を混乱させて、そして横畠長官ということになりました。ただ、横畠長官の職責は大変重いので、今後もよろしくお願いしたいと思います。御苦労さまでございます。
いきなり、これ事前通告ではないんですけど、これ、防衛大臣、お答えいただければと思います。外務大臣もお答えいただいても結構です。
先ほど佐藤委員のお話がありました。非常に重要な指摘が幾つかあったと思うんですけど、私、今回の安保法制懇から政府の検討に至る議論というのは、非常に精緻な議論をしなければいけないと思っております。総理の会見を拝見をして私が正直に感じたのは、非常に情緒的な議論だったなと思っております。
佐藤委員の御指摘は非常に重要なんですけれども、例えば、自衛隊がPKOで出ている宿営地の近くに、邦人で例えばNGOで民生支援をしている方に何かあったようなときに、本当に駆け付けて警護ができるのかという議論と、先ほど話がありましたアルジェリアのように、自衛隊がそこには周辺いないと、本当に本国から相手国に対して、何かあったときに、誘拐をされているような状況に対して、日本人を救出に本当に行って何ができるのかという話と、総理の会見にありました例えば有事、総理の具体的な事例は恐らく朝鮮半島有事を想定されているんでしょうけれども、戦時、有事の状況のときに、そこにいる邦人を輸送も含めて救出に行くのかと、それがどうやるのかという話は、これは全部それぞれ違うんです。
さっき、若干佐藤委員のお話は、そこが私は両方混在をしていたと思います。これは批判をするわけではないんですが、それ、それぞれに対して救出をしなきゃいけないのはもちろん、国民の生命、安全を守らなければいけないのはもちろんですが、何でも無防備にというわけではありません。そして、それをどういうふうに法律に担保するのか。
私は、グレーゾーンや駆け付け警護の議論がなされることについては前向きには考えたいと思いますが、さらにそこに集団的自衛権の行使までも何か全てが混在して必要なんじゃないかという議論は、非常に僕は危険だというふうに思っておりますが、私の今の指摘、それぞれの事例については、法的にも違うし状況も違うという認識を佐藤委員とのやり取りで私は感じたんですけど、その認識に間違いがないかどうかだけ、ちょっと防衛大臣、外務大臣、もし、御指摘いただければと思います。

○国務大臣(小野寺五典君) 先日、総理が基本的な方向性という形でのお示しをされた内容というのは、一つは、例えば現在の憲法の中でも対応、検討ができるグレーゾーンの問題、あるいはPKO等の活動等についての問題、そして、それでもさらに日本の国民の生命、財産が守れないような状況の場合があるとすれば憲法の解釈の問題、そういうような流れでの議論を整理されて、方向性として出されたと私は承知をしております。

○国務大臣(岸田文雄君) 今回の安保法制懇のこの報告書、そしてそれを受けて五月十五日、総理が記者会見を行ったわけですが、御指摘のように、その内容においては、国連PKO、あるいはグレーゾーンへの対応、それから集団的安全保障等、そうした様々な課題が盛り込まれているとまず認識をしております。
それらを、全体を通じまして、現状の法体制の下で何ができるかをまず議論し、そしてそれでも足りないとしたならば何が必要なのか、こういった考え方で議論を進めていく、こういったことを総理としても表明されたと考えております。

○福山哲郎君 済みません、総理の意向を今お答えいただいたのは非常に重要なんですけれども、私が先ほど、佐藤委員との指摘の中で御議論があったことに対する私の認識は間違っているか間違っていないか、お答えいただけますか。

○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のような様々な課題について取り扱っている、議論を行おうとしている、そういった指摘についてはそのとおりだと思います。

○福山哲郎君 そこはこれから本当に重要な点なので、よろしくお願いします。
事前通告もありませんでしたので、ただ、こうやって委員同士のやり取りの中で非常に重要な論点がこれから多分委員会中もたくさん出てくると思います。多分そういう生の議論がこれから必要になってくると思いますので、今後も対応をよろしくお願いしたいと思います。
先ほど申し上げましたように、総理の会見の米艦防護の事例というのは、いきなり、能力を有する米国が救助、輸送しているときに、日本人をですね、日本近海で攻撃があるかもしれない、このような場合でも日本自身が攻撃を受けていなければ、日本人が乗っているこの米国の船を日本の自衛隊は守ることができないと述べておられます。
私、これは国民に対しては一定の理解をもたらされるかもしれないなと思いながら、実は、非常に私は唐突な印象を受けました。
まず、何で急に米国が日本人をたくさん乗せて救助している状況が起こっているのかということです。それは、事前に何らかの形があるはずです。朝鮮半島有事なんだとすれば、朝鮮半島有事が起こるに当たるいろんな兆候があるわけで、兆候が出るときには、これは外務大臣、邦人の安全のために、外務省は領事局も含めて、海外邦人安全課も含めて情報を取り、何らかの状況が起こったり何らかの兆候があった時点では、いち早くまずは早期帰国を促すことがまず第一です。まずは民間機がそのことに対して懸命に対応していただかなければいけません。
しかし、大使館員やそれなりに公的な仕事をしている例えば朝鮮半島、韓国にいらっしゃる日本人、邦人の方は残るかもしれない。最後の最後に残ったときにどういうふうに救出するかという段階で、例えばそれは日本人だけが残っているわけではありません。アメリカ人も残っていれば、中国もアジアの方もヨーロッパの方もみんなそこに、韓国にはたくさん例えばいらっしゃる。そのときに、国際的な協力歩調を取りながら、どうやってそれぞれの国の在韓外国人をそれぞれの国が救出をするかということが始まるわけです。
そのときに、例えば韓国が自衛隊来るなというような話が本当にあるのかどうかということも、私は余り現実的ではないと思っています。いきなり唐突に、何か突然アメリカの船に日本人が乗っていますって、ノアの箱船じゃないんですからそんなことはあり得なくて、相手国の同意がある場合には、先ほど佐藤委員が言われたように、国際法上、日本の自衛隊が救出活動に行くことは問題ありませんよね。外務大臣に。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、御質問の在外の自国民の救出ができるかということにつきましては、領域国の同意を得て行うということは可能だと認識をしています。
こうした活動の本質、先ほども申し上げさせていただきましたが、この領域国の同意に基づいて、本来ならその国の警察当局等の機関がその任務の一環として行う治安の維持回復活動を言わば代行する性格のものであるというものであります。領域国の同意の範囲内で武器を使用することも可能であると認識をしております。こういった形で我が国として対応ができると認識をしています。

○福山哲郎君 防衛大臣、防衛大臣もその認識でよろしいですね。

○国務大臣(小野寺五典君) 総理が会見でお話しされた邦人を輸送中の米輸送艦の防護の事例等の引き合いをされて今質問をされていると思いますが、現在、百五十万人の日本人が海外に居住をしており、さらに年間一千八百万人が海外に出ていく時代であります。このような中、邦人の退避が必要な事態においては、政府として可能な限りの手段を講じて邦人の安全を確保する必要があると考えております。
防衛省としては、厳しさを増す安全保障環境の中で、邦人輸送中の米輸送艦の防護についても実際に生起する可能性があるとの認識の下、自衛隊に求められる任務、役割を果たし得るようしっかり検討してまいります。

○福山哲郎君 今重要なことを最後に言われました。総理の事例が想起される可能性があると。じゃ、想起される可能性って、どういう蓋然性、どういう状況で起こり得るか述べてください。

○国務大臣(小野寺五典君) 具体的にどういう事態がどのような形で発生するかということは差し控えさせていただきますが、私どもとしては、様々な事案が例えば急速にエスカレートしていく中で、状況が急変する中で、その中でもしっかりとした対応ができるという検討はすることは重要なことだと思っております。

○福山哲郎君 それは今までもやっているんですよ。その中で対応してきているんですよ。突然降って湧いたように、じゃ、アメリカの艦船に日本人がたくさん乗り込むなんという事例がどうやってあり得るんですか。
先ほど私が申し上げたのは、防衛大臣、建前の話じゃないんです。まず、自衛隊は邦人救出のために相手国の同意があれば行けるんですねと確認したんです。外務大臣は、日本としては行けると言っていただきました。防衛大臣としてはいかがか、お答えください。行けますね。

○国務大臣(小野寺五典君) 自衛隊法第八十四条の三に基づく在外邦人等の輸送は、外務大臣から防衛大臣に対し、外国における緊急事態に際し、生命又は身体の保護を要する邦人の輸送の依頼があった場合に、外務省でありますが、派遣国の同意を得て、当該輸送において予想される危険及びこれを避けるための方策について防衛大臣と外務大臣が協議をし、当該輸送を安全に実施することができると認めるとき、政府専用機等の輸送の用に主として供するための航空機、輸送に適する船舶と輸送に適する車両により実施することができます。
なお、同条に基づく対応は、このような前提の下で実施する輸送ということに限定をされますので、私ども自衛官に関しては、自己保存型及び武器等防護のための武器使用権限は付与されていることを付け加えさせていただきたいと思います。

○福山哲郎君 私は、別にそのときには武力攻撃事態が起こっているだとかなんとか言っておりません。
つまり、全部状況はフェーズが変わります。そのことを言い出すと、もう今日時間がないので、本当はもっといろんなことを言いたいです。例えば、総理の言っている想定はどういう状況かと。幾つかのパターンがあるはずです。本当に周辺事態状況で、我が国に対する例えば攻撃のおそれ、着手もないような状況なのか、そうではない状況なのか。いろんなパターンが考えられるので、それを一個一個詰めていくと今日は時間がないのでまた申し上げたいと思いますが、総理の事例が非常に唐突感があるということと、こういったことは僕は逆に国民をミスリードすると思います。なぜならば、そうか、日本はこれまで外国にいる日本人に対して何ら救出の手だても持ってくれていなかったのかという誤解を与えるからです。外務省も防衛省もそれなりの準備をして、それなりの対応をしているはずです。(発言する者あり)
ですから、そのことに対して、今やじで救出という話が出ました。救出なのか輸送なのか。今の話でいうと、有事のときにとにかく逃げてきてください、その状況で今から運びますというのが救出という概念なのか輸送という概念なのか、ここも重要な議論です。こういったことを詰めないで、ああいう情緒的な話は非常に国民をミスリードすると思いますので、そのことに対しては、私としてはまずは指摘をしておきたいと思います。
例えば、グレーゾーンとそれから駆け付け警護も、私は議論することはやぶさかではありません。議論は前向きに考えたいと思います。しかし、尖閣や離島防衛で、なぜ今までそのグレーゾーンの議論がなされなかったかというのは、別にほっておいたわけではありません。例えばでいえば、例えば尖閣の周辺に対するいろんなグレーゾーンの対応については、対応を明確にすることによって、相手国との関係や能力、手のうちを明かすことになること、それから対応次第では逆に緊張関係を高めること、そして自衛隊員のまさにリスクとの兼ね合わせの上でこの議論は難しい議論だったはずです。
ですから、私は議論することについてはやぶさかではありませんが、そういった状況だと。つまり、自衛隊員のそれぞれの皆さんの命が懸かる中でどういうふうにこのグレーゾーンを対応するか。更に言えば、相手国との関係でいえば、それがかえって相手の挑発行為を誘発をしたり、それから、かえってそこで緊張関係を高めたりすることも考え得るからこそこの問題は、今まで自民党政権も我々の政権のときにもこのことは議論しました。なかなか結論が出なかった問題ということは、これは指摘をしていきたいと思います。
何か、これまで何か考えていなかったからとか、よく話の議論で出る国民の命を守るのは政府の責任があって、今までの政府はそのことの責任をさも放棄していたような議論は、私は非常に乱暴な議論だと思いますし、私は非常に遺憾に思います。
また、駆け付け警護もそんなに単純ではありません。例えば、PKOの現場にいる方が、まさに佐藤先生いらっしゃいますけど、まさに何かあったときに、まず自分らの周辺の自衛隊員の命を守ることが司令官の任務です。その次に、その状況を把握した後で、どう駆け付けられるのか、相手が誰なのか、そういう議論をしないと、何でもかんでも何か勇ましく駆け付け警護するのが善だなんて思ったら大間違いです。それぞれの自衛隊員の命が懸かり、その状況によって、その地域のまさに状況が千差万別です、先ほど大臣が言われたように。まさに大臣は自衛隊員の命を守りながら日本の安全保障も守らなければいけない立場です。
そういう状況の中でこの議論は進めなければいけないので、私は変に時間を掛けろみたいなことを言っているわけではありませんが、余り情緒的な議論で、さも今までの政府が無責任に対応していたと、今までの政府は申し訳ありませんが圧倒的に自民党政権ですから、そういう余り乱暴な議論はしないでいただきたいということを、今日最初の質問なのでお願いをしておきたいというふうに思います。
それでは、時間なくなってきましたが、法制局長官にお伺いをします。
まず、砂川事件判決について。
安保法制懇では、砂川事件判決についての紹介がありました。ちょっとくだらない質問ですが、内閣官房もせっかく来ていただいたので聞きます。これ、安保法制懇の報告書概要とか一枚紙が我々に配られていますが、この概要とか一枚紙、ポイントって誰が作ったんですか。

○政府参考人(武藤義哉君) 今御指摘の資料については、懇談会の委員、特に北岡座長代理の御指導を受けながら、懇談会の事務局である内閣官房国家安全保障局がまとめたものでございます。

○福山哲郎君 つまり、結局、政府がフォローしているわけです。
これ、下線も引いてあるんですけど、誰がどういう指示で下線を引いたのかというのも非常に、下線を引いてあるということはそこに価値が付与されているわけでして、そこについてもまあ何かなと思いながら私は拝見をしておりますが、ちょっと重要なポイントに、聞きます。
砂川事件判決について、安保法制懇からも指摘が参考として入っています。私の認識と法制局長官の認識について、どのぐらい違うのか、また一致をするのか、お聞かせください。
砂川事件判決というのは、当時、一九五九年当時です、駐留米軍が戦力に該当するのか、憲法上駐留が認められるのか、更に言えば、日本の安全保障を米国に委ねることがよいのかということが当時の議論であったと私は理解をしております。砂川判決が日本の軍事力を他国のために行使することを念頭に置いていたとは当時の議論からして私は思えません。逆に言えば、砂川判決の後にその判決の位置付けを踏まえた上で、政府、もっと言えば法制局は集団的自衛権の行使は認められないという解釈を示してこられました。
今回の安保法制懇でも砂川事件判決を根拠とするような議論がありますが、今になって砂川事件判決を根拠として、安保法制懇の報告書の中にもあるように、限定的集団的自衛権の行使を容認することが従来の法制局の憲法解釈と一貫性を確保するものとなるのかどうか。いいですか、従来の政府の憲法解釈と一貫性を確保したものとなるのかどうか、法制局長官、お答えください。

○政府特別補佐人(横畠裕介君) 砂川事件の判決につきましては、御指摘のような事案について、御指摘のような論点について最高裁が判断を示したものと理解しております。
政府におきましては、現行憲法第九条の下におきましても、我が国に対する武力攻撃が発生した場合におきましては、言わば例外的に武力の行使を許容していると解してきております。
その根拠につきましては、砂川判決を直接の根拠としているものではなく、昭和四十七年以降、昭和四十七年に参議院決算委員会に提出させていただきました資料がございますが、それ以降、政府が説明しているような理由、根拠に基づくものでございます。
なお、砂川判決の判示につきましては、そのような政府の考え方と基本的な考え方として軌を一にするという御説明をさせていただいております。

○福山哲郎君 少し意味が分からなかった。
基本的な考え方として軌を一にするというのは、何の基本的な考え方にして軌を一にするんですか。

○政府特別補佐人(横畠裕介君) 政府において、憲法第九条の下で我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限りまして武力の行使が許されていると、そのように解する基本にある考え方が、この判決の中で示されております、我が国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことであるというその考え方、それと、従来から政府が述べております見解の基盤になる基本的な考え方と軌を一にするということでございます。

○福山哲郎君 後で議事録確認してもう一回、何度もやりますが、今、現状で駐留米軍は集団的自衛権の行使ではありませんね。

○政府特別補佐人(横畠裕介君) 若干、自衛権というものをどのように理解するか、以前は相当広く解しておりまして……

○福山哲郎君 ごめんなさい、以前はいつですか。

○政府特別補佐人(横畠裕介君) この砂川事件当時と御理解いただいて結構でございますけれども、この判決にありますように、旧安保条約を締結する、あるいは外国の軍隊を我が国に駐留を許すという、それの根拠として自衛権というものが説明されていた時代もございます。
その後、現時点におきましては、その自衛権と申しますのは言わば実力の行使に関する概念であるというふうに説明させていただいておりまして、個別的自衛権であれ集団的自衛権であれ、武力の行使を正当化するその根拠という、そういう意味合いで使わせてもらっておりますので、現時点において駐留米軍の駐留根拠を自衛権をもって説明はしておりません。

○福山哲郎君 いや、自衛権をもってです。自衛じゃなくても、あれでしょう、だって、自衛権は個別的自衛権も集団的自衛権も言っていないというのは砂川判決ですよね。
だけど、逆に言うと、駐留米軍は集団的自衛権の行使ではないですよね。それは間違いないですよ。だって、今まで四十年間、集団的自衛権を行使できないと言ってきたんだから。行使できないと四十年間言ってきたのに、駐留米軍はその行使の一環ですというのは理屈通らないから、駐留米軍は集団的自衛権の行使ではありませんよね。

○政府特別補佐人(横畠裕介君) 日米安保条約に基づきまして米軍の駐留を認めるその根拠は、個別的あるいは集団的、いずれの自衛権の問題ではないというふうに整理しております。

○福山哲郎君 だから、今は集団的自衛権の行使ではないというふうに説明をしていただいたということですね。それでいいわけですね。今は違うということでいいですね。
実は、この安保法制懇の懇談会の概要のところを見ても、実は戦後一貫していたわけではないと、憲法九条をめぐる憲法解釈は戦後一貫していたわけではないというのがはっきり書いてあるんですけど、法制局長官にお伺いします。
自衛権の行使に係る憲法解釈には、基本的には昭和四十七年見解がずっと続いています。私もいろんな議論があったことは理解をしているつもりです。当時は朝鮮動乱もあり、冷戦構造もあり、いろんな変化があったことも分かっておりますが、法制局長官として、今までの政府はずっと憲法解釈の変更は、文民条項の問題以外には憲法解釈の変更はしていないと、それ以外はというふうに答えられていましたが、そのことについては間違いありませんね。

○政府特別補佐人(横畠裕介君) 政府といたしましては、平成十六年六月十八日の島聡衆議院議員に対する政府答弁書において、憲法の解釈、運用の変更に当たり得るものとして、憲法第六十六条第二項に規定する文民と自衛官の関係に関する見解のみを挙げているところであり、それ以外にはございません。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
それともう一点、お手元にお配りした資料でございますが、先ほどから法制局長官の話にある昭和四十七年見解、これがいわゆる我が国の自衛権行使の三要件プラス集団的自衛権は憲法上許されないと言われた四十七年見解、それから五十六年見解、これもそうです、そして十六年見解が今長官の言われた島聡さんに対する問題ですが、この四十七年見解、五十六年見解、十六年見解は、少しずつ表現は違っていますが、基本的には昭和四十七年見解と同じ論理構成で展開していると理解をしてよろしいでしょうか。

○政府特別補佐人(横畠裕介君) 昭和四十七年の資料がベースでございます。その内容を詳しく書いてありますけれども、概要を申し上げますと……(発言する者あり)同じ趣旨であると理解しております。

○福山哲郎君 じゃ、次に文言について聞きます。
実は、四十七年見解は、外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に対してと言われています。五十六年見解は、我が国を防衛するため必要最小限度と、これはこういった短い表現になっておりますが、十六年見解は、外部からの武力攻撃によって国民の生命や身体が危険にさらされるような場合と書いてありますが、この自衛権行使の要件の内容、表現は違いますが、これも同じ論理的な基準であると考えてよろしいですか。

○政府特別補佐人(横畠裕介君) 自衛権発動の第一要件といたしましては、我が国に対する武力攻撃の発生ということでございます。それが要件でございます。
それぞれ見解において記述がございますけれども、我が国に対する武力攻撃が発生した場合の言わば状況といいますか、補足的にどのような状況なのかということをそれぞれ説明したものと理解しておりますが、その意味で要件的には全く同じことを述べていると思います。

○福山哲郎君 これ非常に重要なんですけど、我が国が攻撃をされていない状況で、いいですか、長官、攻撃をされていない状況で、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に陥ることというのは想定でき得るんでしょうか。

○政府特別補佐人(横畠裕介君) 現在の状況の下におきましてどのような事態が起こり得るのかという点につきましては、それ自体は法律問題ではございませんのでお答えできないところでございますけれども、当局としてお答えすることは難しいと思います。

○福山哲郎君 じゃ、外務大臣にお伺いします。
外務大臣、我が国が攻撃されていない状況で、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される急迫不正の事態に陥ることというのは想定できますでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 国民の生命、暮らしを守る、これは政府にとりまして最も大切な役割であります。そして、そのためにあらゆる事態を想定し、しっかり法的基盤を確立していかなければならない。こういったことで努力をすること、これも重要なことであります。
そういった考えに基づいて、今、安保法制懇の報告書を受けて、そして政府・与党として議論を始めたところでありますが、今おっしゃったような事態、要は、我が国が直接攻撃を受けていないにもかかわらず我が国にとって大変重大な事態が起こるかどうか、その辺も含めまして何か政府として対応する必要があるかないか、これを議論しているところであります。御指摘の点も含めて政府・与党として議論を行い、これから政府としての方針を決定する、こういった議論が行われるものだと承知をしております。

○福山哲郎君 肝なんです、実はこの文言は。二枚目を見ていただくと、総理の会見でも言われた、集団的自衛権の行使が部分的に必要最小限に認められると書いてある左側のところに、その事態が我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、安全に重大な影響を及ぼす可能性と、非常に抽象的かつどこでも言えるような話です。
つまり、我々の自衛権の行使、特に個別的自衛権の行使は、憲法九条の関係で、先ほど申し上げたような文言で非常に厳格に必要最小限の幅を守ってきました。そして、今回必要最小限という言葉が非常に変質して使われようとしています。必要最小限の議論はまた今度、私ゆっくりしたいと思っておりますが、何か、我が国に攻撃がされていないのに安全に重大な影響を及ぼす可能性があると。何か、こんな言葉で本当に集団的自衛権の行使を容認するような解釈変更を戦後二回目として本当に始めていいのかと。私は、国民の安全を守ることは当然だと思います。それは政府の責任であるし、逆に言えば、国会に出させていただいている我々の責任でもあると思います。そのことを否定するわけではありません。
しかし、余り先ほどから申し上げているような情緒的な議論とか、これまで四十年にも及ぶ国会も政府も含めて考えてきた議論の安定性とか一貫性を放棄をするような大ざっぱな議論は是非やめていただきたい。そして、是非こういった時間をより多く取っていただくようにお願いをし、今日まだ聞きたいことは山ほどありますが、他の委員が、うちの委員がお待ちですので、これで終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。


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