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2015

第189国会 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 2015年9月11日


○委員長(鴻池祥肇君) この際、委員長から一言申し上げます。
去る八月二十五日の本委員会での福山哲郎君による自衛隊の安全確保に関する質疑につきまして、私の判断により、委員長預かりとさせていただきました。
この件に関しまして内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。安倍内閣総理大臣。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 八月二十五日の本委員会において、福山委員から自衛隊の安全確保について御質問がありました。
政府は、平和安全法制の国会審議において、自衛隊員の安全確保のために必要な措置を法案の中で盛り込んだ旨を答弁してきておりますが、自衛隊員の安全確保は円滑な活動を行う上でも極めて重要な事項であるとともに、国民の関心も大変高い問題であるため、改めて私から政府の考えを御説明したいと思います。
いわゆる北側三原則に言う隊員の安全確保のための必要な措置を定めるとの考え方は各法案に盛り込まれていますが、具体的な条文は各法律の性格によって異なります。
米軍等行動関連措置法においては、武力の行使が可能な状況における物品及び役務の提供等の行動関連措置を定めているところ、同法においては、国際平和支援法等にあるような安全配慮義務規定、実施区域に関する規定、一時休止、中断に関する規定は設けられていません。
一方、米軍等行動関連措置法に言う物品及び役務の提供はいわゆる後方支援であり、その性質上、どのような場合であっても安全を確保した上で実施することは当然であります。八月四日の中谷大臣の答弁はこの趣旨を述べたものであります。
また、物品及び役務の提供を中心とする行動関連措置について、米軍等行動関連措置法第四条が、「武力攻撃及び存立危機武力攻撃を排除する目的の範囲内において、事態に応じ合理的に必要と判断される限度を超えるものであってはならない。」と規定し、その目的及び限度を定めていることは、その目的及び限度に応じて隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行う趣旨を含むものであります。
以上のような形で、米軍等行動関連措置法においても隊員の安全確保について一定の配慮を行っています。
米軍等行動関連措置法に基づく後方支援の実施に当たっては、任務の遂行に際して必要な安全確保措置についても十分考慮することは当然であり、その具体的な内容については、その支援の態様に応じて米軍等行動関連措置法第十三条に規定する行動関連措置に関する指針において担保する考えであります。
自衛隊員は、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応えると宣誓し、任務を行うこととなりますが、そのような中にあっても、自衛隊員の安全確保は極めて重要であることは論をまたないわけであります。
本委員会においても、自衛隊員の安全確保について福山委員を含め様々な議論がありました。政府としては、こうした御議論も踏まえ、今後とも自衛隊が活動する際の隊員の安全確保に最大限努めていく所存であります。
○委員長(鴻池祥肇君) それでは、順次御発言願います。
○福山哲郎君 福山です。よろしくお願いいたします。
まず、台風十八号の大雨等に伴って、関東、東北地方を中心に被害が拡大しています。昨日の茨城県に続き、宮城県内でも堤防決壊により大勢の方が孤立状態になっていたり、行方不明になられています。その他の地域も含め、今現在もこの時点で、自衛隊や警察、海上保安庁、自治体等々で懸命な救援、避難誘導、行方不明者の捜索が行われています。心から敬意を表するとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げ、亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げる次第でございます。
政府におかれましては、国会審議を無理してやられて被災地の救済が遅れることのないように、一丸の取組を求めます。我々も政府の足を引っ張らないようにしたいと思います。
昨日も、本日の委員会の開催は、災害のことなので見合わせても構わないと与党理事に何回か確認をさせていただきました。予定どおりということなので、審議に臨ませていただきました。災害については与野党関係ありません。是非、総理も防衛大臣も、自衛官がもう現地に行かれておりますので、大変御苦労されていると思いますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
本題に入ります。
先ほど、総理から自衛隊の安全確保について御説明をいただきました。鴻池委員長の委員長預かりという大変な御英断をいただいた後の総理の御説明なので、本来は納得しなければいけないのかもしれませんが、全く納得いきません。
国民の皆さんに簡単に前回の問題について御報告します。パネルを御覧ください。(資料提示)
総理は、ずっと国会で、後方支援活動における自衛隊の安全確保については、危険を回避して活動の安全を確保することは当然と、部隊の安全が確保でき得ないような場所では活動を行うことはなく、一時休止又は中断するなどして安全を確保すると言って、ずっと後方支援についてはこうやって説明をされてこられました。
そして、次のパネルを見てください。
公明党の北側三原則にある自衛隊の安全確保については、自衛隊の安全確保についての措置を定めること、措置を定めることです。「政府としては、全面的に受け入れまして、三原則を法律上の要件として明確に定め、全ての法案にこの原則を貫徹することができた」、「全ての方針が法案の中に忠実に、かつ明確に盛り込まれた」と、衆議院の本会議以降、ずっとおっしゃってこられました。
このことに関して、私は、存立危機事態での後方支援については、実は総理が大見えを切られている安全確保措置が全く入っていないということを前回の審議で申し上げ、そこで総理は、残念ながら答弁に窮されて今の説明をされたということでございます。総理は、御自身の御答弁を、この全てに盛り込まれたという御答弁を修正することなく、先ほどのような説明をされました。
では、総理の説明された行動関連措置法第四条について、これまで、自衛隊の安全確保に関する規定であると説明した過去の会議録、資料はありますか。防衛大臣、お答えください。
○国務大臣(中谷元君) これまでは、そのような説明をしたという発言等はございません。
○福山哲郎君 そうなんです。これまで、この四条で自衛隊の安全確保などと説明したことはありません。
実は、御覧ください、国民の皆さん、今の米軍行動関連措置法案の四条は、これは有事立法です。武力攻撃事態における対処の一類型ですが、先ほど言われた「事態に応じ合理的に必要と判断される限度を超えるものであってはならない。」という類似の規定が自衛隊法八十八条二項、事態対処法三条三項ただし書に書かれています。
先ほど防衛大臣言われたように、これが安全確保だと説明したこれまで例はありません。そして、これらの規定は、何と、礒崎内閣総理大臣補佐官が書かれた「武力攻撃事態対処法の読み方」という解説本によれば、武力攻撃事態の無用の拡大を防止するため武力の行使の抑制を求めたものと言って、いわゆる必要最小限度の原則にのっとった武力行使というか、いわゆる後方支援をするものであって、これまで自衛隊の安全確保を担保するという説明はされてこられませんでした。つまり、全く実は規定がないんです。先ほど総理がずっと規定を盛り込んだと言ったことは、ないのに、それを今日も認められませんでした。
更に申し上げれば、先ほどもう一つ根拠らしいものだと言われた行動関連措置法十三条については、これはアメリカと日本がそれぞれ主権国家として何らかの有事の際に統一的な方針の下で有事に備えようということの基本指針を作るための条文で、これも安全確保だという説明をされたものは、私は見たことがありません。
つまり、総理の答弁は、ずっと衆議院、参議院と自衛隊員の安全を確保したというイメージを振りまいて国民に誤解を与えたにもかかわらず、実際の条文上は抜けているものが多々あるということでございます。
大臣、今言われた四条若しくは十三条、今まで安全確保と説明をしなかったものを説明を今されているわけですが、この四条、十三条の安全確保は法的義務ですか、義務ではありませんか。
○国務大臣(中谷元君) 今までこの四条につきまして国会で説明をしたことはございませんでしたけれども、この項目におきましては、この四条で書かれている内容におきましてその目的、限度を定めているということは、その目的及び限度に応じて自衛隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行う趣旨を含むものであるという意味でございます。
これにつきまして、後方支援、存立危機事態の後方支援に当たりましても、この第四条の規定により可能となる目的及び限度に応じて安全確保についても十分配慮をすることは当然でありまして、その具体的な内容については、その支援の形態に応じて、同法の第十三条に規定する行動関連措置に関する指針において担保する考えでございます。
○福山哲郎君 もう一度お答え願います。
この四条、十三条で担保するとおっしゃったのは、法的義務ですか義務ではないんですか、お答えください。
○国務大臣(中谷元君) この四条で規定をされているとおりでございまして、この目的及び限度に応じて自衛隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行う趣旨を含むものでございます。
○福山哲郎君 四条、十三条に書かれてあるとおりと大臣がおっしゃるんだったら、先ほど言われたように書かれてないんです。今までそういう説明をしたことは一度もないんです。だけど、今回、初めてそれで安全確保を読むと言われるから、じゃ、読まれるのは法的義務ですか義務ではないのですか、答えてくださいとお願いをしているので、これ重要な問題なので、イエスかノーかでお答えください。
○国務大臣(中谷元君) この四条に書かれているとおり、その目的及び限度に応じて自衛隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行う趣旨を含むものでございます。(発言する者あり)
○委員長(鴻池祥肇君) 質問を続けてください。疑問があれば……(発言する者あり)
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(中谷元君) この四条におきましては、「限度を超えるものであってはならない。」と明記されておりまして、これは法的義務でございます。その解釈として、政府といたしましては、その目的、限度に応じて隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行う趣旨を含むというように政府としては解釈をしているということでございます。
○福山哲郎君 ごめんなさい。今のは完全に答弁でごまかされました。
この四条における限度を超えるものであってはならないというのは武力攻撃に関するものです。若しくは、後方支援の幅です。そのことについては義務であることは間違いありません。その後、大臣は、安全確保については配慮すると言っただけで、義務かどうかのお答えはありません。今、二つ分けて答えられました。
私が言っているのは、新しく、今までは説明してこなかった安全確保が法的義務かどうかと聞いているので、イエスかノーかでお答えください。時間ないので、同じ質問を何回もやらせないでください。お願いします。
○国務大臣(中谷元君) この四条に、存立危機事態を排除する目的の範囲内においてということで、その限度を超えるものではならないということで、これは義務規定として入っているわけでございます。
その対処として、政府として、安全確保につきましても配慮した上で必要な支援を行う趣旨を含むと。その中に、政府としてはそのように安全規定において解釈をしているということでございます。(発言する者あり)
○福山哲郎君 総理、それでよくないんです。やじらないでください。聞いてください、質問を。
安全確保は法的義務になったのかならないのかと聞いているんです。今までなかったんです、この四条の中で安全確保は。
今回は、安全確保は法的義務になったのかどうか。これは、あくまで武力攻撃や後方支援の限度の話をしている条文に安全確保という新しい規定が入って、それが法的義務になったのかどうか。もうイエスかノーか、時間がないので同じ質問させないでください、お願いします。
○国務大臣(中谷元君) これは元々あった規定でありまして、まだ国会でこれについて言及した部分はないわけでございますが、政府といたしましては、この義務規定の中に安全配慮につきまして必要な措置を、支援を行う趣旨を含むものであるというふうに政府としては解釈をしているということでございます。(発言する者あり)
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こして。
○国務大臣(中谷元君) 本件四条につきましては、今まで国会で質問もなかった、答弁もなかったということでございます。今回初めて御質問をいただきまして、特に存立危機に関しての適用でございますが、まず、いわゆる後方支援は、その性質上、いかなる事態であっても安全を確保した上で実施することは当然でありまして、本制定当時からこのように考えてきたところでございます。
そこで、この四条におきましては、その目的及び限度に応じてということで、その限度を超えるものであってはならないと規定をしておりまして、義務規定でございます。したがいまして、安全確保についても配慮をした上で行わなければならないという義務を負うことになります。政府としてはそのように考えております。
○福山哲郎君 今義務を負うとおっしゃいました。安全確保に義務を負うとおっしゃいました。防衛大臣、これを安全確保の義務を負うと言っちゃまずいんじゃないですか。僕は、法的義務か法的義務ではないかと聞いたら、法的義務だと今おっしゃいました。そういう苦し紛れの答弁をするからどんどん崩れます。
もし法的義務だとしたら、これから先、この行動関連措置法四条、十三条について、日本の有事の際に、自衛隊員の安全確保のために実施区域の指定や一時休止や中断や撤退という項目を入れるんですね。義務なんでしょう。義務なんでしょう。そうしたら、その規定を入れるんですか。お答えください。
○国務大臣(中谷元君) その中断とかいう規定を置くことはございませんが、安全を確保して、配慮して必要な支援を行うということは、これは義務ということでございます。
○福山哲郎君 配慮を行うのは義務ということは、じゃ分かりやすく聞きます。これはもう一般的な公務員の安全配慮義務のレベルでということですか。
○国務大臣(中谷元君) 違います。これは有事でございまして、その中でこの四条がわざわざ規定をされたわけでございまして、その規定の中で、自衛隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行わなければならないということを規定をしたということでございます。
○福山哲郎君 規定なんかしていないですよ。新しくも規定されていないですよ。これ、法的義務じゃないと言われればまだ救いがあったんですけど、義務だと言ったら、これ有事のときにどうやって安全配慮義務を義務として、防衛大臣、確保するんですか。できないから実は今まで安全配慮義務なんて入っていないんでしょう。日本の有事のときに守らなければいけないから自衛隊員は宣誓されているんじゃないんですか。
これ、総理が、全部の法案の中に漏れなく盛り込みましたと、明文化したと言い続けたから、それをかばうために、こんな武力攻撃に対するものに対して、この条文に対して自衛隊員の安全確保というのを読むのは無理なんです。これこそ法的安定性を損ないます。もし、今防衛大臣が義務だと言った、有事若しくは後方支援の際に、自衛隊員に何か、例えばけがでも、ひょっとしたら万が一のことがあったときに、義務と大臣が言ったのに義務を果たしていなかったじゃないかと損害賠償請求されたら、防衛大臣、法廷に立つ覚悟はあるんですか。
いいですか、これ、本当に自衛隊員の安全確保に対する、これを義務だなんて言っちゃ駄目ですよ。それも、事の発端は、総理が、後方支援については全部明確に定めたみたいな、悪いですけど、本当に国民に誤解を与えるようなことを言うからこういう状況になります。
自衛隊の安全確保については、国際平和支援法の後方支援のものと、武力攻撃事態のときと、存立危機事態のものと、それを一緒くたにしてリスクが減るとか安全確保をしたとか、そう言い続けたのが安倍総理、安倍総理自身です。全くもってこれは今も災害で頑張っていただいている自衛隊員にとって僕は失礼な答弁だと思いますし、この防衛大臣の姿勢は、私は本当に問題だと思いますよ。これ、このまま答弁、実はほっておけないんです。これ義務のままだなんてほっておいたら、実は日本の安全保障法制全体が崩れます。
防衛大臣、お願いです。今の義務だと言ったことは訂正してください、撤回してください。
○国務大臣(中谷元君) 撤回いたしません。
というのは、今までも、後方支援についてはその性質上、どのような場合であっても安全を確保した上で実施することが当然であると述べてまいりました。そして、米軍関連措置法におきましても、隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行わなければならないということは、これは義務として負うということになるわけでございます。
○福山哲郎君 今大臣が言われた、後方支援においては安全を確保すると言っていることが、大臣はずっと、後方支援の安全確保は、実施区域の指定、一時休止、中断、撤退だと言って、それで安全確保だと言ってきたんですよ。どの答弁見たってあなたはそう言ってきたんですよ。今の話すら実はもう矛盾しているんです。
威勢よく、撤回しませんとか、総理の今まで言ってきた答弁を修正したら総理の例えばメンツが潰れるとか、そういう話じゃないんです、これは。本当に事に及んでの話なんです。あなたは、今、存立危機事態の後方支援についても安全配慮をすると、義務だと言った。これは本当に安全保障法制全体が崩れますからね。このことは非常に問題で、私は猛省を促したいと思います。
それから、総理がずっと、自衛隊のリスクは増えないとか安全を確保したと、それから、全部の安全保障法制に対して安全の確保をしたものを盛り込んだと、措置を盛り込んだということは、まさに国民に誤解を与えた答弁だったということを申し上げて、実は時間がないので次に行きます。
これ、ちょっともう本当に問題だと思いますよ。実はほかもやりたかったんですけど、どうしてもやりたいことから行きます。パネルをお願いします。
これ、一つ一つもう短く答えてください、イエスかノーかで。総理でも結構です。
これ、我が国がそこにあります、A国が我が国に攻撃をしています。国際法上違法な武力攻撃です。国際法上違法な武力攻撃を行うA国に対して、A国の補給艦が後方支援をしています。自衛権の行使は当然補給艦に関して可能ですね。総理、お答えください。
○国務大臣(中谷元君) その補給が武力行使と認めなければ自衛権の行使はできないということでございます。
○福山哲郎君 武力攻撃をしていると僕言ったじゃないですか。国際法上違法な武力攻撃を行うA国に対して、A国の戦闘機に対してA国が、A国の補給艦がですよ、そうしたらA国の補給艦に関して自衛権の行使は可能ですかと聞いているんです。大臣。
○国務大臣(中谷元君) A国が日本に対して武力攻撃をしているということでございますので、それは自衛権の行使は可能でございます。
○福山哲郎君 A国の補給艦に自衛権の行使を可能なのは当然です。
次、民間船です。
A国に対し、A国の戦闘機に対して燃料、弾薬輸送を行う民間船舶に対して海上輸送規制法に基づく強制検査を行う、これは、海上輸送規制法に基づく措置は自衛権に基づく措置だとして整理されていますが、このA国の戦闘機に民間船舶が燃料や弾薬を輸送しているときには停船検査等を海上輸送規制法に基づいてできますか。防衛大臣。
○国務大臣(中谷元君) 現行法に基づいて、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に停船検査の措置を講じることは自衛の措置に伴う必要最小限度の範囲内のものでありまして、憲法上問題はないということでございます。
○福山哲郎君 当然できるんです。
次です。
A国は日本に違法な武力攻撃をしています。B国は、このA国の戦闘機に補給艦が同じように給油や弾薬を補給しています。このB国の補給艦に対して日本は自衛権を行使できますか、大臣。
○国務大臣(中谷元君) 我が国に対して武力攻撃を行っているのはA国でございまして、B国は後方支援を行っているのみでありまして、武力攻撃を構成をしていないということであれば、A国に対しては我が国としては、国際連合憲章上、個別的自衛権に基づき武力の行使を行うことはできますが、B国に対してはできません。
○福山哲郎君 さっき、民間船は基本的には自衛権の行使できるのに、B国の補給艦はA国に、戦闘機に補給しているんですよ。それも給油、弾薬で、我が国が攻撃されているんですよ。これ、個別的自衛権の話ですからね。我が国の平和と安全を守る話ですからね。それで、A国には攻撃できるけどB国には攻撃できないんですか。これ、B国に攻撃してB国を止めないことには、日本への攻撃は延々と続き続けるんですよ。
これ、防衛大臣、もう一度聞きます。B国の補給艦に対して、日本は自衛権の行使はできますか。
○国務大臣(中谷元君) B国は後方支援を行っているのみでありまして、武力攻撃を構成しないということでありましたら、個別的自衛権の武力行使を行うことにつきまして、B国に対してはできないということでございます。
○福山哲郎君 済みません、何で私の質問を変えて、武力攻撃を構成しなければと言って条件を付けるんですか。
そんな、だって、今A国の戦闘機は武力攻撃を我が国にしているんですよ。しているに対して、弾薬とか給油しているんですよ。だから、このときにB国に本当に攻撃できないでいいんですか、防衛大臣。これ、我が国の個別的自衛権ですよ。総理、それでいいんですか、本当に。総理、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もう既に防衛大臣が答弁をしているわけでありますが、まさにA国は日本に対して攻撃をしているわけでありますが、B国は日本に対して武力攻撃をしているというわけではない中において、このB国が行っていることがA国と完全に、その武力攻撃、武力行使の一体化が行われているという認識にならなければ、それは我々は攻撃できないということになるわけであります。
○福山哲郎君 これ、国民の皆さん、おかしいでしょう。これ、民間だったら停船も含めて我が国は自衛権の行使できるのに、B国は、補給艦は、今、我が国は自衛権の行使できないと総理も大臣もおっしゃったんです。今の答弁は非常に重要なんですが、次のパネルを御覧ください。
これ、平成十一年、当時の高村大臣の御答弁です。高村大臣は、当時は今とは違い、とても法的安定性を大切にするまともな答弁をされておられます。これ、御覧ください。高村大臣の答弁です。「第三国であるB国がその国の行為として、我が国に対して武力攻撃を行っているA国を支援する活動を行っている場合について、」、同じ例です、「我が国は、これを排除するために他の適当な手段がなく、必要最小限度の実力の行使と判断される限りにおいて自衛権の行使が可能である、」。
これ、全く私は同じ条件で言っているんですけど、当時の高村大臣は自衛権の行使が可能だと言っている。今、安倍総理と中谷大臣は違うと、攻撃できないと言われた。これ、中谷大臣、答弁が変わった理由を明確に教えてください。
○国務大臣(中谷元君) このパネルに、B国が、そのような行為が我が国に対する急迫不正の侵害を構成すると認められるときはと黒い字で書かれているわけでありますが、仮にB国のA国に対する支援が我が国に対する急迫不正の侵害、すなわち武力攻撃を構成すると認められれば、我が国はB国に対して、国連憲章上、個別的自衛権を行使することが可能になります。高村大臣も、B国のそのような行為が我が国に対する急迫不正の侵害を構成すると認められるときは、自衛権を行使することが可能であると答弁をしておりまして、何ら矛盾はないと思います。
○福山哲郎君 じゃ、もう一回、質問を変えます。
じゃ、このA国からの武力攻撃が急迫不正の我が国に対する侵害だという場合、質問を変えただけです、ならばB国に対して我が国は自衛権を行使できるということでいいですね。はい、どうぞ。(発言する者あり)
だって、今おっしゃられたように、高村大臣が言われたみたいに、急迫不正の侵害なんですよ、我が国攻撃されているんだから。そのときに、B国に対して自衛権の行使ができるということでいいですね。
○国務大臣(中谷元君) 今と同じことでございます。そのB国のそのような行為が我が国に対する急迫不正の侵害を構成すると認められるときはB国に対してできるわけでございます。B国の行為が我が国に対する急迫不正の侵害を構成すると認められるときはできるということでございます。
○福山哲郎君 同じじゃないですか、高村さんの言っていることも。全く一緒じゃないですか。見てください、これ。高村大臣も同じことを言っているんですよ。急迫不正の侵害がある場合に、だって、我が国攻撃されているんですよ。これ、B国の補給を止めない限りは我が国の急迫不正の侵害はどんどん進行するんですよ。何でB国に対して攻撃できないんですか、自衛権の行使ができないんですか。大臣、お答えください。
何で、じゃ、違う答弁になるのか明確にお答えください。これは答えていただかなければ次進めませんから。
○国務大臣(中谷元君) 先ほど答弁したように、B国は後方支援を行っているのみでありまして、武力攻撃を構成していないということであれば、これはB国に対してできないということでございます。それで、高村発言というのは、認められない限りはできませんということでありますので、何ら矛盾した答弁ではございません。
○福山哲郎君 拍手なんかしている場合じゃないんで、我が国に対する攻撃の話に対して、こんないいかげんな答弁はあり得ないんだよ。
じゃ、大臣、明確にお答えくださいね。武力攻撃を構成するか否かはどのように判断するんですか。
○国務大臣(中谷元君) そもそも補給、輸送等の後方において行われる支援それ自体は武力行使に当たらない活動でありまして、これだけで我が国に対する武力攻撃があったと認められることは困難だと考えられます。
仮に、B国の部隊が、単に後方において支援を行うのみでなく、A国の部隊と共に戦闘行為に参加しているといったような場合など、我が国に対する武力攻撃を構成すると認められる場合には、我が国はB国に対して個別的自衛権を行使することが可能になるということでございます。
○福山哲郎君 だから、いいですか、ニカラグア判決では、武器供与や兵たん支援は、武力攻撃に該当しないが、武力行使や干渉に該当することがあると言っているんです。
これは、私はさっきから何回も言っています、A国は日本に対して攻撃して、急迫不正の侵害があるんです。B国からの補給、弾薬とか給油が続く限り日本に対して急迫不正の侵害があるんです。これを構成した、じゃ、いいです、構成した場合は攻撃できるんですね。
○国務大臣(中谷元君) 構成したらということでございますが、A国の部隊とともに戦闘行為に参加しているといったような場合など、そういった場合において武力攻撃を構成すると認められる場合には、個別的自衛権を行使することが可能になるということでございます。
○福山哲郎君 構成するというのは、どういう要件で構成が決まるんですか。大臣、短く答えてください。
○国務大臣(中谷元君) 単に後方で支援を行うのみでなく、A国の部隊とともに戦闘行為に参加しているというようなことになった場合などでございます。
○福山哲郎君 全く理解できません。
だって、A国の補給艦がA国の戦闘機に補給をして日本に武力攻撃しているときは、A国の補給艦は自衛権の行使できるとおっしゃったじゃないですか。おっしゃったじゃないですか。それは、A国の攻撃は我が国の急迫不正の侵害で、それが武力攻撃を構成するから自衛権の行使できるのに、何でB国が給油、弾薬を補給したときには自衛権の行使ができないんですか。同じですよ、これ。
これ、このB国の補給艦を止めない限りは日本は守れないじゃないですか。ほっておくんですか、大臣。
○国務大臣(中谷元君) A国は、A国の同じ国での行動でございます。B国というのはA国と違った国でありまして、そもそも補給とか輸送等の後方において行われる支援それ自体は武力の行使に当たらない活動であると認識をしております。
○福山哲郎君 これ、日本に武力行使するために補給しているんですよ、B国は。それで何で構成しないんですか。
じゃ、あれですか、補給がどんどん続いて日本に攻撃がやまなくても、B国は他国だから、これは構成するかどうか分からないから、自衛権行使できないといって、日本がどんどん攻撃される、国民をほっておくんですか、安倍政権は。安倍政権はほっておくんですか、総理。総理。ほっておくのかどうか、言ってください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、当然、このA国がまさに我が国に対して武力攻撃をしているわけでありますから、これ全力で対処するわけであります。
それで、しかし、構成している、急迫不正の侵害を構成しているということが定かでない他国に対していきなりこれを攻撃することは、まさに先制攻撃を、A国に対して我々は武力攻撃に対して反撃をしている中において、そして我々が急にB国に先制攻撃をするということは、もちろん国際的にはあってはならない話であります。
先ほど来答弁しているような、これは高村当時の外務大臣の答弁と中谷大臣の答弁は何ら矛盾することがないわけであります。
○福山哲郎君 もう本当に矛盾しているんです。高村大臣は、当時、自衛権の行使できるとおっしゃっているんですよ。
じゃ、総理、相手のB国の問題が我が国への攻撃に対して構成されると認められれば、我が国は自衛権行使できるんですね、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、当然、急迫不正の侵害を構成すると認められるときは、これは高村大臣が答弁しているとおりでありまして、中谷大臣は認められなければそれはできないと、ですから、これは同じことを裏表から言っているわけでございます。
○福山哲郎君 認められれば、防衛大臣、攻撃できるんですね。自衛権の行使できるんですね、認められれば。
○国務大臣(中谷元君) B国のそのような行為が我が国に対する急迫不正の侵害を構成すると認められるときは自衛権を行使することは可能でありまして、認められないときはできないということでございます。
○福山哲郎君 ここまでどれだけ時間が掛かったか。
でも、中谷大臣、これ見てください。中谷大臣の答弁です。「後方支援がB国が行っているとしましたら、A国に対しては我が国としては個別的自衛権等に基づいて武力の行使を行うことはできますが、B国に対してはできない」と。武力攻撃を構成するとか構成できないとか、関係ないんですよ。ここ書いていないんですよ、言っていないんですよ。
これ、済みません、国民の皆さんに謎解きをしますと、何で高村大臣と今防衛大臣とかが攻撃できないって言わざるを得ないか。本来は攻撃できるんです。だって、日本の危ない安全保障上の危険なんですから。これはできるんです。本来はできるんです。
なぜならば、今回の政府案によって後方支援の内容を拡大して弾薬の提供や発進準備中の戦闘機に対する給油ができるようになったので、これらを武力行使の一体化ではないと説明をする帳尻合わせのために、我が国が受ける攻撃に対する後方支援について自衛権を行使できないと答えざるを得なくなっちゃったんですよ。これ、逆に制限したんですよ。我が国の安全保障を犠牲にしてまで、世界の地球の裏側まで後方支援の幅を拡大したんですよ。
これ、大森長官のこの間の参考人の質疑を見てください。戦闘作戦行動のための発進準備中の航空機に対する給油、整備、これは、私が、当時もう長官でございましたけれども、参事官から報告を聞いたところでは、もう典型的な一体化事例である、だから認められないよ、一体化の典型的な事例だから憲法上認められないよと。武力行使と一体化をするから駄目だと言っているんですよ。違憲だと言っているんです。
今回、このことをやってしまったおかげで、日本に対して武力攻撃をしているA国に対して後方支援するB国に攻撃できなくなっちゃったんです。攻撃できると認めたら、それが武力行使の一体化だということを認めることになるからです。憲法違反だということを認めることになるからです。
横畠長官、大森内閣法制局長官が長官時代、あなたは参事官で部下だったはずです。まさにあなたは部下だったわけです。当時、この法制局で、発進準備中の航空機に給油、そして弾薬の提供は憲法違反だと、武力行使の一体化の典型だという議論があったですよね。お答えください。ないんだったら、大森元長官が、国会であなたの元上司が虚偽の答弁をしたと認めてください。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 当時、私は第二部の参事官でございました。
当時のことでございますけれども、平成十一年一月二十八日の衆議院予算委員会におきまして、大森当時の法制局長官は、憲法上慎重な検討を要する問題であるということまでの共同認識を得て、それ以上の、絶対黒だというところまでの断定はしてないわけでございますが、私どもの立場では、今もやはり憲法上の適否について慎重な検討を要する問題であるという認識に変わりございませんと答弁しております。
すなわち、当時、まさにその一体化の典型的な事例であるという結論が出ているのであれば、まさかそのような答弁をするということは考えられないということでございます。
○福山哲郎君 元の上司がまさかそんな答弁をすることは考えられない、あなたも随分あれですね、本当にもう考えられない、あなたの答弁自身が。本当に魂売り過ぎ。
これ、さっきの行動関連措置法の四条でこれに安全確保義務を入れるという答弁をさせている防衛省の役人さん、それから今の大森長官の武力行使一体化の問題を考えられないと言っている横畠長官、官僚の皆さん、あなた方は安倍政権に雇われているわけではありません。国民全体に雇われているんです。こんなふうにいろんな法律を、この大臣たちの答弁に合わせて、全く矛盾している話とか今までなかった話を新しく出して事実をねじ曲げて、そしてこの法律を通そうなんて、考えられないですよ、私からいえば。
まさに、日本の法的安定性が損なわれるし、こんな答弁を繰り返しているから、逆に言うと、衆議院で百時間以上、参議院で七十時間やったって、国民の反対だという意見は六一%で、先月から全然変わっていない。説明不十分だという人も先月が八四、今月も八三、全く理解は深まっていないんですよ。だって、今日、ひどいですよ、これ。今までの我が国の法的秩序を全部崩していますからね。これ、虚偽答弁の連発です。
総理、国民の理解がこれだけ広がっていないということは、これだけ延長してやったにもかかわらず、総理、申し訳ないけれども、これ、総理、負けですよ。これ率直にお認めいただいて、審議未了、廃案、私はそうするべきだと思いますし、まさかこの参議院でこんな答弁を取っ散らかしておいたまま強行採決などすることはないとここでお認めいただきたいと思いますが、どうですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどの福山委員の解説も、あれは間違っていますよ。我々は同じ答弁をこれは従来からしているわけでありますが、このA国とB国の例で、これ補給をしているわけでありますから、後方支援をしているのは武力行使ではないですからね。その武力行使をしていないところに対して、いきなり武力行使をすることはないですよ。
ですから、高村さんは、それはまさに、これは急迫不正の侵害を構成すると認められた。これは認められませんよ、はっきりと。これは認められていないから、当然、中谷議員はこの後方支援についてはできないと言ったというわけでありまして、今までのこれ答弁や今までの我々の基本的な考え方を全く変えるわけではないということはまず申し上げておきたいと思うわけであります。
それと、答えとしては、もちろん私たちは、国民の命と幸せな暮らしを守るために、この法案については是非成立させていただきたいと、このように思う次第でございます。衆議院においてもしっかりとした議論を行いました。この参議院においても議論を行っているわけであります。そして、いつかは、決めるときには決めていただきたいと、このように思うところでございます。
○福山哲郎君 全く審議は深まっていませんし、論点は本当に広がっていて、こんな日本の法的安定性を壊すような法律を通すことは歴史に禍根を残すということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。


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