2001 年 度 資 料

  

第153国会  参議院  環境委員会  2001年11月22日

○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。

 大橋巨泉議員に続きまして質問させていただきます。少し時間が少なくなりましたので、端的にいきたいと思います。

 まず川口大臣、それから植竹副大臣、お疲れさまでございました。遠路マラケシュの地で国際交渉に出られまして、合意に至ったことは私も大変評価をしておりますし、夜を徹して寝ずに作業された外務省、経産省、それから環境省、さらに他省庁の皆さんの面々にも、本当に労をねぎらいたいというふうに思います。最終局面で、本当に決裂かどうかのぎりぎりのところで何とか合意に至ったのは、皆さんの粘り強い交渉の結果だというふうに私も評価をしております。

 ただし、私も現地に行かせていただいた者として、少しばかり問題意識を持って帰ってまいりました。細かいことは後で申し上げますが、一つ、二つ気がついたことを申し上げたいと思います。

 まずはCOP3で京都であったとき、もちろん国内だったということもあるんですが、年々国会議員や役所の参加も少し人員も減ってきた。今回、特にテロの関係があったのかもしれませんが、マラケシュの会合自身が一万人ぐらいの予定だったのが、二千人とか三千人の参加だった。国会中ということもあって、日本の国会議員の参加も少なかったのは私は大変寂しく思っておりまして、そこは何とか議員の先生方もこれからもまだ続きますから、ぜひ御参加をいただきたいと思っておるんですが、それよりも何よりも感じたのは、現地にいて日本で報道されているCOPのマスコミの報道を見て、非常に各社にばらつきがある。それぞれ各社の報道が本当に見事にばらついていまして、私も向こうで記者の方何人も会ったんですが、要は専門的な知識とか、COPの状況を全然経年的に見ていない記者も来ているし、ずっと来ている記者もいる。そうすると、それぞれの会合に対する見方が全然違って、本当にこれほどばらばらで、さらにいえば中身まで、ある新聞社は、大きい声では言えませんが、週明けにも批准表明という恐ろしく突拍子もない記事を書いた新聞社もあったぐらいで、そこに関しては実は我々自身の問題意識もそうなんですが、この京都議定書の問題というのは毎年毎年専門的な話になり過ぎて、なかなか国会の議論でも厳しい状況になっている。私も本当にこの中身が難しいなと思って日々頭を悩ませて困っているんですが、そういう点でいうと、マスコミとの関係も含めてもう少し政府からの発表も丁寧にしていただきたいなというふうに思っています。

 大臣に少しお伺いをしたいのは、一点目、まずマスコミのそういう状況についてどう考えられたかということと、二つ目は、代表団から出てきたCOPの概要と評価というものなんですけれども、ここを見ると、三番目のところもそうなんですが、きょうの三ページを見てもいいんですが、三ページのところも「我が国は、京都メカニズムの柔軟かつ幅広い利用を可能とし得る制約の少ないルールが作成されるよう主張し、そのように合意されました。」と。これ確かによくわかるんですが、実はよく読むと何が書いてあるかさっぱりわからないんです。何が書いてあるかさっぱりわからなくて、この概要と評価のところも何が書いてあるか実はさっぱりわからない。

 私は何を問題にしたいかというと、やっぱり我が国が国益の場として交渉上いろんな話の中で、例えばブロックをしただとか評判が悪かっただとかというのは、そこはこっちへ置いておいたとしても、交渉の場として我が国が国益としてこの場で何を主張して何をとってきて何がとれなかったのかというのは、もう少し実は丁寧にマスコミにも、さらにいえば議員各位にも御説明をいただきたいなというふうに思っていまして、そこに関しては今後の検討課題としてぜひ前向きに大臣に御答弁をいただきたい。

 まず、マスコミの件と、それから二点目の件について、少し御答弁をいただければと思います。

○国務大臣(川口順子君) マラケシュでの会合におきましては、福山委員には特にマラケシュまでおいでいただいて、いろいろ励ましていただき、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。

 それで、今、委員がおっしゃった全体としての参加が少なかった、マスコミの対応にばらつきがあった、それから政府の対外説明をもっと考えるべきではないだろうかということにつきまして、私も全く同感でございます。

 参加が少なかったということにつきましては、委員おっしゃられたような今回は法的な文書をつくる、まさにテキストをつくるということでしたので、本来非常にわかりにくい部分であったということもあるかと思いますし、それから山はボンで越したという認識もかなりあちこちにあったんではないかと思います。

 それから、マスコミのばらつきというのも、これもおっしゃったとおりでして、東京からいらした方もいらっしゃいますが、ボンと比べて東京からいらした方というのは非常に少なくて、現地のあるいはヨーロッパの特派員が行ったということで、これも各社、今の情勢からいってさまざまな御判断があったんだろうと思いますけれども、そういった点で中身の理解度において差があったということは事実だろうと思います。

 政府の方で十分に対応をしたかどうか、私は、少ない政府代表団の中で、それぞれ本当に夜を徹してみんな仕事をしていた中で最大限の努力をしたと思っております。十分であったかどうかということについては、もっともっとできただろうと思いますけれども、努力はしたつもりでございます。

 特に遵守についての議論が非常にわかりにくいということでございましたので、各国政府、弁護士、あるいは資格を持ったような法律の専門家を連れてきて議論をした話でございますので、それをなかなか新聞でわかるように説明をしていくというのは、説明する方も難しかったわけですし、新聞記者の方も書くことが難しかった。例えば一つの言葉、まあ何でもいいんですけれども、法的拘束性という言葉一つ選んでも、新聞でそれをわかるように書くのに、言葉の説明だけで二、三十行になってしまうとある新聞記者が言っていましたけれども、そういうような状態、さまざまな要素が関係をしたというふうに思います。

 それで、特にこれから実施をしていく段階に入って、先ほど来出ていますように、産業界はもちろん、国民一人一人、私たち一人一人が行動していかなければいけないときにやっぱり一番大事なのは、何が決まって何をやっていかなければいけないかということについて十分な情報を出していくということだと思います。

 御指摘の文書は日付が十一月十日ということになっておりますけれども、まさに交渉の終わった最終日にとりあえず代表団としてまとめたという文書でございまして、これそのものはそういった普通の方にわかっていただくような文書をつくるという観点から必ずしもつくられていなかったということではございますけれども、おっしゃったようなきちんと情報を出していくということの重要性は、私もそれが非常に大事だと思っていますので、今後、そういうことについては努力を十分にしたいと思っております。

○福山哲郎君 ありがとうございます。前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 本当にこれから先、まだ京都議定書の話というのは僕は始まったところだと思っていまして、やっと合意でスタートラインについたところだと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 では、将来に向けて少し確認をしておきたいことだけいきますので、簡単なところは簡単に御答弁ください。

 「京都議定書の締結に向けての今後の取組について」というのが地球温暖化対策推進本部で決定をされました。「次期通常国会に向けて、京都議定書締結の承認及び京都議定書の締結に必要な国内制度の整備・構築のための準備を本格化する。」という文章がありますが、これは批准の準備を始めたという認識でよろしいんですね。私は批准の表明とは申し上げませんが、批准に向けて準備を始めたという表明だという認識でいいかどうか。イエスかノーかでよろしいので、お答えください。

○国務大臣(川口順子君) 答えは、そういう御理解をいただいて結構でございます。

○福山哲郎君 その次、少し細かいことですが、確認をしておきたいんですが、京都議定書は、二十五条におきまして批准、受諾、承認といって国での承認方式を三種類認めているんです。

 私は国際法の専門家でもないのでわからなくて、今回、「今後の取組について」は締結の承認という話があります。ところが、一般的には我々は京都議定書を批准するかどうかという議論をしていきます。ただ、その中で、言葉の話で恐縮なんですが、議論が混乱すると嫌なので確認をしておきたいんですが、二十五条におけるいわゆる批准、受諾、承認をおのおのの国内での承認方式として認めていると。我が国の言っている締結という言葉は批准と同義語で同じ意味合いをなすというふうに判断をしてよろしいのでしょうか。

○副大臣(植竹繁雄君) 今、福山先生お尋ねの締結、批准、受諾とか承認といろいろな言葉がございますが、締結行為というものは条約の当事国となるための総称でございます。そして、批准、受諾、承認というものは今申し上げました総称の中の一種でございます。そして、条約の当事国となるという意味でいずれも法的な効果は同じと。ただし、受諾とか承認というものは条約国の当事者となるための簡略化されたものでございます。そして、例えば今回の二十四条にも批准され、受諾され、承認されと三種類のことがございます。ですから、これは議定書から出たときにその中でどれを使うか、そのときの状況によりまして出てきた文言を使用するということになっております。

○福山哲郎君 出てきた何ですか。

○副大臣(植竹繁雄君) 例えば、これは批准を寄託されとか、そういう言葉があった場合は批准であります。あとは受諾あるいは承認ということでございますが、一般的な慣行といたしましては、そういう特別なものがない場合には受諾という表現が一般化しております。

○福山哲郎君 ということは、受諾の承認を国会ですれば、それが締結に結びつくということでいいんですね。

○副大臣(植竹繁雄君) そうです。

○福山哲郎君 わかりました。それに向けての準備を始めたと解してよろしいですね。

○副大臣(植竹繁雄君) はい、そうです。

○委員長(堀利和君) 指名をしてから御答弁をお願いしたいんですが。

○福山哲郎君 済みません。

 次に、行きます。

 この京都議定書の発効のための要件はいわゆる五十五カ国と五五%ということなんですが、巷間言われておりますヨハネスブルク・サミットの最終日が九月十一日、この最終日に日本が発効するときに間に合わせるということになると、九十日間を、要は五五%と五十五カ国が批准をして九十日後に発効ということになると、この最終リミットが九月十一日となると、実は六月十四日が我が国の今言われている締結の最終リミットになるんですが、六月十四日までに締結するつもりで準備を始めたというふうに、大臣、思っていいんでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) 地球温暖化対策推進本部の決定にありますように、我が国として京都議定書の二〇〇二年締結に向けた準備を本格的に開始をするということでございまして、今まさにこの準備を始めたところでございますので、いつまでに準備が終わるかということについては今の時点では申し上げられないということです。

○福山哲郎君 そうすると、二〇〇二年ということだと、二〇〇二年の十二月三十一日となると期限は十月三日ということになりますね、二〇〇二年発効を目指すということになりますと。

○国務大臣(川口順子君) 別に年末にということでしているわけではございませんで、準備を開始をした段階にあるということでございます。

○福山哲郎君 できれば通常国会中に締結ができて、できればヨハネスブルク・サミットで世界じゅうで発効したという状況をつくっていただきたいと思いますので、ここは切にお願いをします。

 では、先ほど申し上げたちょっと根本的な話に行きます。

 日本の交渉過程がいろいろありました。先ほどからありますように、遵守の問題、吸収源の問題、いろんな問題で議論をしたと思うんですが、我が国が国益として、経産省も環境省も外務省もですが、どういうふうに交渉においては主張をして、何の項目についてはとりにいって何の項目についてはとれなかったのか、そこについて順番にお答えをいただきたいと思うんです。

 交渉過程を私も拝見しましたが、あるグループ会合においては経産省の人間が出ていった、あるグループ会合のところでは環境省の人間が出ていっている。ただ、それは代表団としての総意に基づいて出ていっているんだというのはもちろんわかります。もちろんわかりますが、我が国は縦割りという弊害もあちこちで聞かれますし、一応、外務省から、この交渉過程の中で何を求めて、何がとれて何がとれなかったのか。外務省、お答えいただけますか。簡潔にお願いします。

○副大臣(植竹繁雄君) それでは、極めて簡潔に申し上げます。

 今何が利益になって獲得し、何を失ったかという御質問でございますが、これはCOP6で達成された中核的要素に対するボンの合意を具体化する文章についての合意達成を目指して、その目的が今言われたようにお話あったわけでございますが、我が国が排出削減約束を達成する上で不可欠な吸収源に関しましては、我が国がこれまで主張してまいりました吸収源の上限値が正式に確保されたと。また、同じく約束達成の極めて重要な手段となる京都メカニズムに関しては、実際に機能し得るルールが形成されたと。さらに、遵守制度については、遵守を奨励する実効性あるもので多くの国に参加の道を開く制度の構築に努め、そして各国からもその主張に一定の理解が得られたと。さらには、途上国に排出削減、抑制を求める問題については論議が先送りされたということでございます。

 地球規模での実効的な温暖化対策のためには、米国や途上国も含むすべての国が参加する一つの国際的な枠組みが重要であり、その実現に向けまして引き続き今の結果を踏まえまして努力してまいるところでございます。

○福山哲郎君 今のじゃさっぱりわからないんですが、まあいいでしょう。経産省お願いします。

○政府参考人(大井篤君) お答えいたします。

 私どもも今回の交渉につきまして十五人ほどのメンバーを動員して積極的に交渉をしたわけでございます。御承知のとおり、我が国のエネルギー効率は世界最高水準になっているわけでございます。そういった意味におきまして、温室効果ガスの限界削減コストというものを比較いたしますと、他国に比べ大変高いものになっているわけでございます。そういった意味におきまして、京都メカニズムを十分円滑に利用できるようにするということが我が国の削減目標を達成する上で大変重要だというふうに考えてございます。このため、こういった点を確保すべく、他のアンブレラグループ諸国とともに議長あるいは各交渉グループと頻繁に協議を行ってまいったわけでございます。

 この結果、私どもといたしまして、柔軟かつ幅広い利用、利用の可能性が広がるような形でルールに合意できたというふうな点につきましては、先般の十一月十二日の地球温暖化対策推進本部の決定にもございますように、経済界の創意工夫を生かして、我が国の経済活性化にもつながる環境と経済の両立、こういったものにも資するものであるというふうに私どもとしては評価してございます。

 また、不遵守の場合に課される措置につきまして法的拘束力を持たせるか否かという点につきましては、議定書発効後の締約国会合で議論するというのがボン合意でございました。そういった趣旨を持すべく交渉に臨みまして、この点を確保することができたわけでございます。

 一方、地球規模での取り組みの実効性を確保するという観点からしますと将来の途上国の参加というものも大変重要であるというふうに理解をしておりまして、今後の具体的な議論の進め方につきまして合意すべく大変な努力をしたところでございますが、交渉の最終局面におきまして途上国の強硬な反対を受けまして、協議未了のままCOP8、つまり来年に先送りされるということになったわけでございます。

 私ども、本部決定にありますように、すべての国が一つのルールのもとで行動するということを目標に米国の建設的な対応というものを引き続き求めるとともに、途上国を含めた国際的なルールが構築されるよう最大限の努力を傾けていくということが大変重要であるというふうに考えておるところでございます。

○福山哲郎君 大井審議官には向こうでもお世話になりました。ありがとうございました。

 少し外務省よりは具体的になってきたと思います。環境省いかがでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) 今まで出たことにつけ加えることは本当にございませんで、一番大事なことは、できた段階で京都議定書の重要な要素である京都メカニズムが実際に使いやすい、使えるものであるということが今回の交渉の一つの大きな柱であったということでございます。

 例えば、もともとから持っている排出量というのがございますけれども、それとクリーン開発メカニズムで得たクレジットが、例えば国際排出量取引の市場で同価値で交換できないような状況であったら、実際にはこれはそれをやっていく企業としてなかなか難しくなるわけですね。お金に色がついているというお話になるわけですから、例えばですね、というようなことをなくすということを考えたわけでございます。

○福山哲郎君 ありがとうございます。

 実は、そういう具体的な中身を聞くと、ああ、こういう交渉があったんだなというのがよく見えてくるんですが、これ以上申し上げてもあれなので、じゃその中で、先ほど経産省が言われたいわゆる不遵守、遵守の問題についてちょっとお伺いをしたいと思います。

 法的拘束力のある遵守と法的拘束力のない遵守という議論が日本の政府からよく出されていまして、法的拘束力のある遵守はなかなか受け入れにくいので、COPMOP1、先ほども出ましたが、発効後の一回目の締約国会議に先送りをしたという話になっています。じゃ、法的拘束力のある遵守と法的拘束力のない遵守というのは一体どこが違うのか、お答えをいただけますか。外務省から。

○副大臣(植竹繁雄君) 遵守制度につきましての法的拘束力がある場合とない場合というお尋ねでございますが、まず遵守制度がある場合、遵守制度を議定書改正によりまして法的拘束力があるものとする場合には、議定書に定められた排出抑制、また削減約束が法的義務であることにつけ加えまして、この約束を履行できなかった場合にとらねばならない措置について法的義務という位置づけとなるということがこの法的義務というものであります。したがって、これにない場合が法的義務には拘束されないということでございます。

○福山哲郎君 済みません、ない場合とはどういう意味ですか。何がないんですか。

○副大臣(植竹繁雄君) ですから、排出抑制、削減約束につきまして、それが排出削減とかそういうものを不履行の場合に対するものが法的に罰則その他の問題についても影響があるわけでございますので、その前段階としての抑制削減というものがなかったら、そういうこともまた新たな問題となってくるわけでございます。

○福山哲郎君 余りこういう問題はあいまいな言葉だと非常に気になるんですが、影響があるというのはどういう意味ですか、罰則について影響があるというのはどういう意味ですか。

○副大臣(植竹繁雄君) 影響があるという表現が十分でないかもしれませんが、罰則規定には、いろいろ検討をしなくちゃならない場合に、これに守られるか守られないかという点について、守られなくていいという点については、これはいい点につきましては、この法的義務である場合とない場合には大きな違いがあるということでございます。

○福山哲郎君 私、何を言っているのかよくわからないんですが、じゃ確認しますね。法的拘束力のない遵守だったら罰則は守らなくていいと副大臣は思っておられるんですね。ここは結構重要ですよ。

○副大臣(植竹繁雄君) ないということがいいとは思っておりません。

○福山哲郎君 ないということがいいとは思っておりませんというのはどういう意味ですか。

○副大臣(植竹繁雄君) 私が申し上げたかったのは、措置につきましての法的義務があるかないかということでございます。

○福山哲郎君 ちょっと時間がないので、環境省、確認しますね。

 罰則規定は、不遵守の結果、超過排出量の一・三倍に当たる排出枠を次期排出枠から差し引くことも含めて、一・三倍にすることも含めて罰則の中身は決まりましたね、今回のCOP7で。環境省、確認してください。

○政府参考人(炭谷茂君) 今度のマラケシュの合意ではそのとおり決められております。

 ただ、少し補足させていただきますと、まずこれは本当に福山先生冒頭におっしゃられましたように遵守の法的拘束力、一般の人が大変誤解しやすいわけですけれども、排出義務については、これは法的義務としてしっかりと守っていかなくちゃいけないということは決められている点でございまして、今議論になっておりますのは不履行の場合の法的拘束力をどうするかということでございますので、その点補足させていただきたいと思います。

○福山哲郎君 いまだによくわからないんですが、経産省はどう思いますか。法的拘束力のある遵守と法的拘束力のない遵守はどう違うんでしょうか。

○政府参考人(大井篤君) お答えします。

 遵守制度を議定書の改正により法的拘束力のあるものとする場合には、先ほども御説明ありましたように、議定書に定められた排出抑制削減約束というのは、これはもともと法的義務であるわけですが、不遵守の場合に、先ほど福山先生がおっしゃいましたように、一・三倍であるとか、あるいは遵守行動計画であるとか、いろんな措置が課されるわけですが、そのこと自身が法的義務であるかどうかという点が問題になって、我が方としてはそれは法的義務である必要はないんではないかというのが根底にあります。

 ただ、ボン合意のときには、そのことの議論は締約国会合の第一回のときに議論をしましょうということになっていて、今般、そのように合意をしてまいったということでございます。

○福山哲郎君 今何回も確認がありましたが、もう一度確認します。

 京都議定書自身の六%の排出枠は法的義務があるんですね、法的拘束力があるんですね。それはそれで確認よろしいですか。

○政府参考人(炭谷茂君) おっしゃるとおりでございます。

○福山哲郎君 我が国の憲法の九十八条の二項には、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」というふうに、憲法の九十八条の二項にあります。確かに、国際法上は、憲法の枠から外れた条約については例外という状況も国際法上の学説の中にはあるけれども、この京都議定書に関しては私は憲法違反の状況の条約だとは思っていません。

 そうすると、全体の京都議定書の枠組みは、憲法の誠実遵守の規定があって、なおかつ六%の排出義務に関しても法的拘束力があると今認められて、その議定書の中の一部だけ取り出して遵守の問題について法的拘束力がある遵守と法的拘束力がない遵守という議論をしていることは、正直言ってさっきの外務副大臣の話は僕はさっぱりわからなかったんですけれども、どういうふうな違いがあって、一体そこはどういうふうに説明できるのか、もう一度御説明をいただけますでしょうか。

○政府参考人(高橋恒一君) 我が国におきましては、憲法の九十八条の第二項にございますとおり、政府といたしましては我が国が締結した国際条約というものは誠実に遵守する、これはもう当然のことでございまして、京都議定書全体としましては、これは我が国はもう締結しておりますので、京都議定書のすべての条項というもの、(「違うよ」と呼ぶ者あり)済みません、枠組み条約は、でございます。親の方でございますね。

 それで、今度の京都議定書につきましては、今議論をしております京都議定書の本体の部分と、それから、これから京都議定書が発効してから問題になります不遵守の場合の制度にというのは、これは法律的には非常に難しいんだと思うんですが、恐らく、どういう形になるかというと、新しい議定書といいますか、そういう法律のベースとしては枠組み条約があって、それの義務を履行するための新しい国際約束として京都議定書ができたわけですけれども、結局、今までの交渉の過程で、そのうちの一部については議定書が発効した後にもう一度交渉をして新しい約束をつくると、そういう形になっているわけでございます。

 ですから、現在の時点におきましては、もちろん京都議定書を私ども批准しますが、締結いたしました京都議定書についての今わかっている限りの義務というのは全部これを誠実に批准する考えでございますけれども、そういう形で、発効してから新たに交渉をして、第一回の締約国会議で決める、そのまさに不遵守についての決まり、これに法的拘束力を持たすかどうかということについては依然として決着は見ていないわけでございます。

 ですから、これについて現時点においてお尋ねがあれば、それについては、どういうことになるかということによって決まるわけで、今後の交渉次第ということになるわけでございます。

○福山哲郎君 ここだけははっきり申し上げますが、ここをちゃんと切り離して、法的拘束力があるかないかを切り離してコンプライアンス、不遵守については別建てでCOPMOP1で議論しようと強く主張したのは我が国の主張です。これだけは間違いないです。つまり、我が国は、この不遵守に対して法的拘束力を持たせたくないという主張の中で交渉に臨みました。

 しかし、現実問題で考えれば今お話を申し上げたとおりです。全体の京都議定書には、憲法の誠実遵守の規定があり、そして罰則規定まで合意をしている状況の中で、そこの守れなかったところに対してだけぽんと抜き出して、ここだけは別枠でやりましょう、これは法的拘束力がある遵守です、ない遵守ですと。先ほど副大臣言われたように、法的拘束力はないということは罰則に対して何か影響があるだとか、何か非常にあいまいな表現をしたから、もう一度聞きますが、もしCOPMOP1で法的拘束力のある遵守が各国の同意を得られて採択された場合に、そうすると、我が国はそれを京都議定書とは全く別枠に議論をするということですか、これを批准するかどうかに関して。

○副大臣(植竹繁雄君) 法的拘束力がある場合には先ほど申し上げましたとおりですが、ない場合というのは、その中にまた不履行に対する措置についてあるかないかについては、今後の交渉がありますから、交渉に任されている、任されるということであります。

○福山哲郎君 では、もう一度聞きますね。

 不履行のときには罰則をのまなくてもいいかのまなきゃいけないのかもまだ決まってないということですね。

○副大臣(植竹繁雄君) 委員お尋ねのとおりでございまして、私の先ほどのないというのは、その今後の交渉の結果のことを抜かしておりまして、ないと言ったのは不適切だったと思います。

○福山哲郎君 そうすると、日本政府の言う法的拘束力のある遵守規定ができたとしても、罰則規定は不遵守の場合には受け入れる可能性もまだあるということですね。

○副大臣(植竹繁雄君) それは、法的拘束力云々につきましては、決めるということについては第一回の締結後にまた交渉するということになっております。

○福山哲郎君 要は、日本政府が言っている法的拘束力のある遵守と法的拘束力のない遵守というものの区別が実はまだ全然はっきりしていないんです。だって、交渉後と言っているわけでしょう。法的拘束力があってもなくても、その罰則規定どうなのかも実はまだわからないとおっしゃっているわけですよ。はっきり言ってよくわからないんです。

 この議論、このまま続けていくとどこまでも続いていくんですが、大臣、ここの問題は、正直言って、僕は京都議定書の全体のコンプライアンスだけ抜き出して、そこだけCOPMOP1でやると、そこは合意したからもうそれはいいです。しかし、法的拘束力のある遵守と法的拘束力のない遵守で、なおかつ京都議定書全体には法的拘束力がかかっていて、罰則規定も合意をしている状況で議論をしていることについて、僕は正直言って法的によくよくわからない。大臣は今どのようにお考えですか。

○国務大臣(川口順子君) まず、言葉の問題として、法的拘束力のある遵守、法的拘束力のない遵守というふうに一般にこれは私どもも使ってしまうんですけれども、きちんと言えば、法的拘束力の、不遵守の場合の結果について、コンスキャンスについて法的拘束力があるかないかということで、法的拘束力のある結果があるか、それがないかという、そういうことだと思います。遵守の協定自体と法的拘束力云々ということだとちょっと誤解を招きやすいかなというふうに思って伺っておりました。

 それで、なかなか難しい議論なんですけれども、これはボンのときに、このマラケシュの話ではなくてボンの時点で既に、これは日本が一番強く主張したと先ほどおっしゃられましたけれども、実はそうではなくて、ロシア、日本、ほかのアンブレラ諸国が主張して先送りをしましょうということになりまして、これ自体は今回の争点ではむしろありませんで、今回の争点は、その遵守の結果、法的拘束力を将来持つかどうかということの決着と京都メカニズムの参加資格とのつながりをどう書くかということが実は今度の争点であったということでございます。

 それで、法的拘束力の議論については、これは先ほど来専門家の方がお答えでございますので、私もほぼ同じことを考えていますということを申し上げるだけでございまして、将来、COPMOP1でこれをどうするかという議論をとりあえずきちんとするということではないかと思います。

○福山哲郎君 大臣にしては珍しく歯切れの悪い御答弁で、珍しいなと思っているんですが。

 実は、これ細かいこと、もう僕あと五、六分しかなくなったので細かいことは申し上げませんが、お手元に資料を配りました。

 これは交渉テキストの中で出てきた話なので細かい英語の話はしませんが、一番最初に出てきたのは当初議長から出てきたいわゆる京都メカニズムに対する参加要件の問題で、いわゆる遵守のことをどうするかという話なんですね、コンプライアンスについて。一番目が出てきた話で、このアグリーメントというものに対して非常に日本政府はこだわって、この文章じゃ困ると言われて、二番目に出てきたのが、議長修正案が二番目のところでして、ここを読んでいただくと、コンプライアンスについて京都議定書に対する手続やメカニズムについて受け入れましょうということが参加要件だと書いてあるわけですが、この文章でも嫌だと言って日本は主張したんです。最終的に前文でこの文章を入れさせたんです、これも長くなるので言いませんが。

 済みません、委員各位の皆さんには恐縮なんですが、要は一番目、二番目が嫌だと、削除をしろと言って日本が主張して、三番目の前文に入れ込んだことによって一体何が得られて、何がどう違ったのかだけお答えいただけますか。これは外務省の方がいいのかな。大臣でも結構でございます、環境省でも結構でございます。

○国務大臣(川口順子君) 非常に細かい議論になっていってしまうんですけれども、先ほども申しましたように、今回の議論の争点は、京都メカニズムの使用とリンクを、不確定性が生じますので、将来、法的拘束性があるかどうかということが将来の話ですから、そのリンクを切っておくということでございました。

 そういう意味で、先ほどおっしゃったこのテキスト、一つ一つ申し上げてもいいんですが、時間かかりますので、基本的に考え方としては、ここで言っている京都メカニズムを使うための参加要件としての遵守というのが何を指すかということがあいまいとしていますと将来的に不確定性が生ずるという観点で、ここに出ている言葉はそれぞれみんな将来性、将来においての不確定性を排除しないという観点でこのリンクを拒否したということでございます。

○福山哲郎君 しかし、細かい話はいいんですが、コンプライアンスに関してはとにかくCOPMOP1まで先送りするということは合意に達したわけですね。ここに書いてあるコンプライアンスという言葉は合意をしたと、要は先送りをしてCOPMOP1で決めると、そこの部分のコンプライアンスだという解釈だけではなくて、将来の改正されたコンプライアンスも含むかもしれないということでこだわられたわけですね。そこがはっきりしないということでこだわられたわけですね。

○国務大臣(川口順子君) 不確定性をなくすということが最大の要件であったわけですけれども、法的拘束性の話というのはその一つでございますけれども、将来的に、将来的にと言わなくてもいろいろな状況が広く起こり得るわけですね。参加要件とコンプライアンスがつながっていますと、そのコンプライアンスの条件というのも変わり得るわけですから、そういう意味での不確定性が非常に広くありますので、その不確定性全般と京都メカニズム参加の資格を切り離すということが大事であったと申し上げさせていただきます。

○福山哲郎君 もう何か細かい話になりますから、最後に副大臣、もう一回だけお伺いします。

 法的拘束力のない遵守だと言われていることは、罰則規定を守らなくてもいいということではありませんね。

○副大臣(植竹繁雄君) 罰則規定、守らなくていいというか、今後の交渉次第でいろいろな中身が出てまいりますから、それによってどういう項目があるか、どういう状況になるか、それによって状況が変わります。今の段階においてそれが守らなくていいとか守らなくてよくないとかいうのは、まだまだいろんな条件が出てまいりますから、それは現在のところは言えない状況です。

○福山哲郎君 もう二つだけ申し上げて終わります。

 要は、今の話で言うと、法的拘束力があるから守らなきゃいけない、ないから守らなくてもいいということとは限らないとおっしゃった。それじゃ、何でここまで会議のところでこだわったのかという根拠がよくわからなくなりました。

 それから、二つ目を申し上げますと、要は、例えば交通違反で罰則をつくりますよと、交通違反したら罰則しますよと言っていたら、罰則をするかもしれないから、破ったときにこれ守らないでもいいですかという議論をしているような話でして、早い話が。京都議定書は、先ほど大臣も含めておっしゃられたように、京都議定書の六%義務は法的拘束力があると。そこの中の部分だけ取り出すということに対して、本当にどれぐらい法的に整合性があるのかどうか、国際法的にどうなのか。今後の締結も含めてもう少し具体的に明らかにしていただきたいことを申し上げまして、時間になりましたので、私、質問を終わります。

 ありがとうございます。。

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第153国会  参議院  本会議  2001年10月29日

○福山哲郎君  私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となっておりますいわゆるテロ対策特別措置法案に対する修正案の趣旨及び提案理由を説明いたします。
  本年九月十一日に米国で発生した同時多発テロは、罪のない多くの人々を巻き込んだ卑劣かつ残虐な行為であり、安全で民主的な社会を希求する人類への挑戦であり、許しがたい行為と断ぜざるを得ません。この許しがたいテロ行為を根絶するために、私たちは、真摯な外交努力を重ねることはもちろんのこと、これらの背後に横たわる地域紛争、南北間格差、貧困などさまざまな要因を除去することに思いをいたさなければなりません。情報収集、金融、入管行政、麻薬、経済開発、環境、そして何より国民の安全を守るための危機管理体制の確立等、各方面にわたって多角的かつ継続的な取り組みが必要であるとの認識をまずは申し上げたいと思います。

  さて、政府提出のテロ対策特別措置法案並びに与党三党の修正案は、諸外国の軍隊の活動に自衛隊が後方支援活動を実施することを主眼としているものであり、戦後初めて自衛隊が戦火が交えられている地域と大差のない地域に海外出動するという、我が国の外交・安全保障政策の一大転機を画する内容となっております。
  小泉総理を初め政府は、憲法の範囲内で、武力行使をしないという前提で、できる限りの支援、協力を行うと本院の審議においても繰り返し答弁をされました。しかしながら、それで国民の皆さんが何となく感じている不安や懸念を払拭できたとは言えません。

  以下、民主党修正案の概要を申し上げます。
  その第一は、基本計画に定める事項に、対応措置の実施に必要な経費を加えることとしております。
  事態の変化や長期化などによって野方図な財政支出の拡大が懸念されますが、厳しい財政状況の中、総理の言う行政の裁量では具体的な歯どめがかかりません。対応措置の実施に必要な経費を基本計画に明示し、国民に税金の使途を明らかにすべきです。実施経費の面からシビリアンコントロールの確保を図り、財政民主主義の徹底、情報の公開を進めようというものであります。
  第二は、基本計画に定められた自衛隊の部隊等が実施する協力支援活動、捜索救助活動または被災民救援活動については、内閣総理大臣は、これらの対応措置の実施前に、これらの対応措置を実施することにつき国会の承認を得なければならないこととしております。
  ただし、緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで当該活動を実施することができ、その場合に、内閣総理大臣は、速やかにこれらの対応措置の実施につき国会の承認を求めなければならないこととしております。政府は、国会で不承認の議決があったときは速やかに当該活動を終了させなければならないこととしております。

  民主党は、衆議院においても同様に、原則、国会の事前承認を求める修正案を提出いたしましたが、残念ながら党首会談は決裂し、政策論ではなく、まさに与党間の党利党略的な思惑から否決されるに至ってしまいました。
  参議院においても、政府は、一方では本法案が成立すれば基本計画の事前承認がなされたと同じであると言いつつ、他方ではその基本計画の重要な柱となる具体的な中身について、今後事態がどのように推移するかわからないなどとの空虚な答弁に終始し、最後まで明快なお答えはありませんでした。しかし、本法案によって、自衛隊はPKOへの協力以外で外国の領域で活動することが可能になります。また、支援の対象は諸外国の軍隊等に及んでおり、活動する自衛隊員や家族の心情を思いはかるにつけても、国民の代表である国会の意思をしっかりと受けた形で任務に当たられることが本来の姿ではないでしょうか。
  与党修正に言う対応措置の実施後二十日以内での事後承認では、自衛隊の海外展開が既に既成事実化している可能性があるにもかかわらず、まさに国会に白紙委任を求めているのと同じであります。
  このような対応は、審議を通じてより広範な意見の集約を図り、国民の理解と支持を広げていくという議会政治の本質を与党みずからが放棄していると言わざるを得ません。さらに、我が国が将来、アフガニスタン及び周辺地域の安定と復興に向けて重要な役割を果たしていくことを考えても、国際社会の理解を十分に得られるよう、自衛隊の派遣前に慎重に状況を見きわめることが重要であることも申し添えておきます。

  以上が修正案の趣旨と提案理由であります。良識の府として参議院では、委員各位において賢明なる御判断をいただけるものと期待しております。国民の代表としてシビリアンコントロールの任に当たるのだという使命感を持ち、本修正案に御賛同いただけるよう、改めてお願い申し上げます。(拍手)

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この内容の冒頭部分

 

第151国会  参議院  環境委員会  2001年6月21日

○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。
 きょうは、一般調査ということでいろんな点についてお伺いをしていきたいんですけれども、もう焦眉の課題として京都議定書の問題がマスコミ報道、国会の中での質疑等でも出てきています。二十三日から川口大臣が海外に出かけたいという申し出も今、国会の方にいただいているということで、きょうが二十一日ということで、本当に大臣がもし行かれるということならば、出張前の非常に重要な時期の委員会でございますので、ぜひこれまでとは違う踏み込んだ御発言をいただきたいというふうに思います。
 まずは、おととい私が、日米外相会談から帰ってこられた田中外務大臣からパウエル国務長官との間の会談内容、この京都議定書について聞かれましたかというふうにお伺いをしたところ、大臣はまだだと、新聞報道しか聞いていないということを言われておられましたが、その後、田中外務大臣からこの京都議定書についての外相会談の結果について御報告がありましたでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 田中大臣からは本件について直接にお話を伺う機会はまだございません。それから、外務省からはこういうお話があったという情報はいただいております。
○福山哲郎君 その内容についてお知らせください。
○国務大臣(川口順子君) 地球温暖化対策につきましては、田中大臣から、地球温暖化対策についての米国の立場には共感できない旨を御発言なさったということでございます。それから、先方から、京都議定書を受け入れられないが検討のプロセスは継続する、COP6再開会合の問題は大変難しい問題であるが、同会合までに答えを準備することは難しいかもしれないという御発言があったということでございます。
○福山哲郎君 同会合までにのところを、済みません、もう一度。
○国務大臣(川口順子君) 同会合までに答えを準備することは難しいかもしれない旨発言があったということでございます。
○福山哲郎君 新聞によりますと、これは報道ですから真偽のほどはあれですが、田中外務大臣は、京都議定書についてのアメリカの立場について理解はするが共感できないとおっしゃられたというふうに新聞報道には出ていますが、大臣の今の報告、外務省の報告でいうと、その発言は田中大臣はなかったわけですか。
○国務大臣(川口順子君) 私も新聞でおっしゃったように読みましたけれども、外務省から聞いたお話ですと、米国の立場には共感できない旨発言をなさったということでございます。
○福山哲郎君 田中外務大臣本人から大臣はこのアメリカの対応について、大臣も現実にはワシントンへ近々立たれて、恐らく同じレベルのパウエルないしホイットマンとの交渉、ホイットマンと外務大臣はお会いされていないですが、同じレベルの交渉に入られると思うんですが、田中大臣みずからに川口大臣が御報告を承れる予定はないわけですね。
○国務大臣(川口順子君) 余り時間が、田中大臣も非常にお忙しい方でいらっしゃいまして、お互いに時間がすれ違っているわけですけれども、私としては行く前に時間がうまく合えば伺いたいとは思っておりますけれども、今のところは、先ほど申しましたように、まだ伺う機会はございません。
○福山哲郎君 今の、COP6ビスまでには答えを準備するのは難しいというパウエル国務長官の言葉があったということを外務省から聞かれて、川口大臣はどのようにお感じですか。
○国務大臣(川口順子君) 難しいかもしれないとおっしゃられたというふうに聞いております。
○福山哲郎君 聞いている話ではなくて、どうお感じですか。
○国務大臣(川口順子君) 我が国といたしましては、それから私といたしましても、アメリカができるだけ早い機会に今検討中の案について世界に答えを出してほしい。特にアンブレラ諸国に対しては、これは実はアンブレラの国々全部がアメリカに対して言っていることですけれども、十分に検討する余地がある形で提示をしてほしいということを言っております。
 ということで、私どもとしては、一日も早く出るということ、そのアメリカからの考え方が出るということを待っているわけでございまして、EU、アメリカのサミットにおいて一部考え方が提示をされたということは前進だと評価をいたしておりますけれども、引き続き可及的速やかにアメリカがその案を出してほしいというふうに思っております。
○福山哲郎君 それは、私どももスタンス自身は変わらないんですが、そのアメリカからは基本的にはだめだ、受け入れがたいと、京都議定書は、という具体的な名前まで出て受け入れがたいという答えが出ている以上、厳しいと考えるのが自然だと思いますが、それはどうとるかという話になって水かけ論になりますので、次に行きます。
 きのう午前中、川口大臣は、我が党の広中委員の本会議の質問に対して、当初のとおりの全く変化のない答弁をされました。環境十全性の観点からアメリカの参加が重要だ、アメリカに対して粘り強く働きかけていく、それからCOP6再開会合まで京都議定書を締結できるよう、国内制度の構築に取り組みたいと、全く今までと変わらない状況でした。
 総理大臣日記を見ますと、一時五十八分、川口大臣、古川官房副長官、浜中地球環境局長が総理官邸に行っている。きのうの三時から党首討論がありまして、党首討論でこの温暖化のことが恐らく事前の質疑通告の中にあって、そして、おととい川口大臣に私が聞いたときには、小泉大臣の決断待ちだというお話を大臣はされました。そして、きのう一時五十八分、官邸へ行かれた。そして、官邸から出てこられて、その後、小泉純一郎総理大臣はクエスチョンタイムで、「各国の本音と建前があります、その点もよく見きわめながら、まだ、六月三十日、首脳会談まで時間ありますから、じっくりと検討し、判断の材料、間違えないような判断をしなければいかぬと思います」「今まだどうするかという結論を出す段階にはない」という答弁をされて、基本的には変化はないんですが、何となく微妙に、小泉総理が少し、「本音と建前があります」という微妙な表現をされています。
 この一時五十八分からの総理との会談、二十三日からの大臣の訪米や非公式閣僚会合への働きかけ等に対して恐らく相当綿密な議論がされたと思うんですが、その総理との会談の内容についてお知らせをいただけますでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) まず総理は、御案内のように御自身の言葉でお話しになられる総理でいらっしゃいますから、総理の御発言と総理に対していろいろな方が行われるであろうインプットとの関係がどうかということについて、もし御質問の趣旨が、例えば私が総理にお話をした、総理とお話をしたことがそれとの関係があるという前提でお話しになっていらっしゃるんでしたら、総理は御自身のお言葉でお話しになられる方だというふうに申し上げておきます。
 昨日、総理のところに伺いましたのは、実は温暖化の問題、これは非常にいろいろな経緯があって、複雑な問題であり、かつ各国のポジションが日にちの単位で、あるいは週間の単位でと申し上げた方が的確かもしれませんが、相互に相手の国、他の国の立場を反映しながら変わっていっているというのが今世界で起こっていることでございますので、そういった過去の経緯、それから現在の状況について私は御報告をさせていただいたということでございます。
○福山哲郎君 総理から何らかの指示や御意見はありましたでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) ございませんでした。
 総理は実は、私が前にお話を一回申し上げたときも、これはこの問題ではなかったかもしれませんが、非常に黙ってよくお聞きいただいて、ほとんど私に対しては言葉は非常に少ない方でいらっしゃいます。
○福山哲郎君 今の、総理からの発言がなかったということは実は大変な問題でして、川口大臣は、総理の決断だと、三十日の首脳会談までにということをおととい私におっしゃった。そして、これからワシントンへ大臣は行かれるわけです。田中外務大臣が受け入れられないと言われたワシントンへ行って働きかけをされてくるわけです。そのときに、総理からの何の言葉もなくて、一体どういうポジションで大臣はアメリカへ行かれるんですか。これまでも全く変わらない、帰ってきてほしい、戻ってきてほしいと。
 私は、政治的に、小泉総理から何の指示もないというのは、これは推測の域を出ませんが、余り考えられない。これだけせっぱ詰まって、大臣が今言われたようにひょっとすると一日単位で状況が変わっている状況で、きのう大変重要な党首討論の前に大臣が行かれた。ましてやワシントンへ行かれる直前だと。本当に小泉総理から何の指示もなかったんですね。
○国務大臣(川口順子君) きのうの党首討論でも総理はおっしゃっていらっしゃいましたけれども、まだ結論を出す時期ではない、今考えているということをおっしゃっていらっしゃいまして、そういうふうな状態でおありになるんだろうと私は推測をいたしております。
○福山哲郎君 いつまでに結論を出さなければいけないかなというような、日にちの特定等はありましたか。
○国務大臣(川口順子君) 総理のお心を推しはかるわけにも私まいりませんので。ですから、答えはございませんでした。
○福山哲郎君 川口大臣の方から先ほど報告をされたという状況の中で、六月三十日の首脳会談、また二十七、二十八、川口大臣みずから出られる非公式閣僚会合に向かって一定の結論が必要だというような報告はされましたか。
○国務大臣(川口順子君) 私は、客観的に、EUの今の状況、それからアメリカの状況、それから国内の私が把握をしている状況、これについては恐らく総理の方が私よりもお詳しいかもしれませんけれども、私なりに把握をしている状況、そういうことについて御報告を申し上げております。
○福山哲郎君 ということは、大臣からは客観的な状況の報告があっただけだということですね。
○国務大臣(川口順子君) 御報告を申し上げて、さらに私としては、非公式の会合等でEUなりアメリカなりあるいは発展途上国が考えていることについて話をして、状況はきちんと認識をしていきたいというふうには申し上げております。それに対して総理からは、しっかりやりなさいというふうに言われたということです。
○福山哲郎君 その立場はずっと変わらないわけですけれども、これだけぎりぎりのところまで来て、報告をして、向こうの意見を聞いてきなさいと。日本の方からの主体的な主張というのは、今の段階では、大臣、では非公式閣僚会議に行かれた場合にどういうふうに言うおつもりですか。これは後でゆっくり聞きますが。
○国務大臣(川口順子君) きのう私が本会議で申し上げたとおりでございますが、非公式会合自体はこれは交渉の場ではございませんで、幾つかの国が集まってプロンク議長に対してアドバイスをする場ということでございますので、プロンク議長がどういう点について参加国のアドバイスを求めるかということ、これはまだわかっておりませんので、それを踏まえてきちんと対応したいと思います。
 もし、それが日本の態度を今どう考えているかということを言いなさいということでございましたら、きのうの本会議で申し上げましたけれども、そういうことでお話をしたいと思っております。
○福山哲郎君 私は、今非常に危惧をしていることがあります。
 大臣は本当にこの数年間というか就任されてから一生懸命この問題に取り組んでこられて、海外の評価も高いということは私も承っています。そして、本当に精力的にプロンク議長との会談、ヨーロッパやアメリカとの会談もこなしてこられたというふうに思います。
 ところが、その大臣は、総理に対して報告をするだけ。じゃ総理が、この問題についてどの程度、本当に今大臣が言われたように具体的な中身、状況について、あれだけお忙しい総理がわかっているか。そして、総理からは現実問題としての指示がないと。一体この国の政治決断はだれがするのか、一体いつするのか。総理からきのうの時点で何にも指示がない、大臣がワシントンへ行かれるわずか二日前です。そして、大臣からは客観的な情勢を報告しただけですと。非公式閣僚会議でも基本的には交渉ではないからこの立場を繰り返すだけだと。一体我が国は、この京都議定書についてだれが政治決断をし、いつやるのか。全く見えてこない、この期に及んで。世界じゅうが注目している。
 西野政務官、きょう自民党の地球環境部会があったそうです。日本も早期批准をするんだというような声が自民党の議員の皆さんからも出てきたというふうに私は報道等で承っていますが、そういう事実はございましたか。
○大臣政務官(西野あきら君) けさ八時半から自民党の地球環境委員会がございました。その中で、今日までの情勢、刻々変わる動き等々についてつぶさに報告がありました。その後、委員から非常に積極的な熱心な議論が交わされました。おっしゃったとおり、出席しておりましたほとんどの委員から、この議定書の問題、日本がいわゆるリーダーシップをとるべく果敢にやるべきだと、こういう意見がありましたことは事実でございます。
 それを受けて、それぞれ若干流れの中で、例えば国会のこの委員会を含めた動きと、さらには大臣がみずから外国の記者団に対する講演をなさったこととか、直接電話等々で折衝といいますかお話をされている、そういったことは全く委員各位も御存じでありませんので、そういう点につきましては私からもわかる範囲で補足をさせていただく、その中で、最終的というのは、いずれ大臣が行かれ、かつまた首脳会談もある、そういう非常に大事な時期を迎えておるので、我が国としての方向づけを、アメリカを含めていい形になるように、機会、タイミングあるいは動き等について、後顧の憂いのないような活動をすべきだという大勢の意見があったことだというふうに認識しております。
○福山哲郎君 自民党の地球環境部会だか委員会だか、済みません、他党なのでよくわかりませんが、そこでも日本の立場を明確にしろという意見は多く出たと、今、西野政務官からも御披瀝がありました。
 これは、ある意味でいうと当たり前の話なんです。なぜかといえば、自民党の議員の皆さんも国会決議に賛成をされているからです。議員の立場としては当たり前のように、決議に賛成をしたからには、六月三十日、また七月のCOP6ビスに向かってやはり日本の立場をはっきりして交渉に臨むべきだと。それは種々の事情があるかもしれないけれども、政治的判断が必要だというふうに言われる意見というのは、ある意味でいうと非常に良識的な御意見だと思います。
 そして、この間、政務官からは三十日の前に何らかの形の決断が要るのかもしれないという御発言があった、また風間副大臣からも三十日が結節点だというお話がありました。ところが、今の話だと、きのうの首相との会談では報告等、総理からは何の指示も出ていない。そして、二十七、二十八日は交渉ではありませんと。きのうの川口大臣の本会議の立場を繰り返すだけだと。
 一体この国のスタンスはだれが決めるんだ、だれが責任者なんだ。大臣、もう一度お答えいただけますか。
○国務大臣(川口順子君) 福山議員がこの温暖化の問題につきましてかなり長い期間非常に熱心にかかわっていらっしゃって、この問題についても非常にお詳しく勉強をしていらっしゃるということ、これは非常に私は前からよく認識をさせていただいておりますし、そういう意味で御尊敬を申し上げております。
 そういう意味で、今の一連の御発言が、今までのお立場あるいは蓄積から、これが非常に重要な問題であって、ここでまさに日本がこの点についてリーダーシップをとるべき立場にあるということを踏まえての、ちょっと大げさかもしれませんが、国を憂える発言であるというふうにも私は認識して伺わせていただいております。そういう意味で申し上げますと、実は私も全く同じ立場にいるというふうに思っております。
 日本の国の立場がはっきりしていないとおっしゃられますけれども、これは実ははっきりしているわけでございまして、二〇〇二年までの発効を目指して全力を尽くすんだということは変わらないわけでございます。それで、そのために国際的な合意がまず必要でございますし、それから国際的な合意を担保するための国内制度の構築も必要でございまして、私ども環境省といたしましては、そういうことをやるべく着々と手を打っているつもりでございます。
 今、西野政務官がおっしゃいましたけれども、私はきのう外国人記者クラブに行きまして講演をしまして、一時間半ほど記者の人と話をいたしてきました。それは、やはり日本の立場が外にわかる、それも一部の政府の関係者だけではなくて、政府以外の人たち、国民の皆さん一般にできるだけ伝わるということが非常に大事であるというふうに思ったから、実は非常に準備その他で環境省の事務方も大変ではあったわけですけれども、そういうことをやってまいりました。
 それから、中央環境審議会で国内制度の構築のための委員会を二つ走らせていまして、そこでいろいろ御議論をいただいて、シナリオづくり、あるいはどういった政策が必要かということについても皆さんにかなり熱心にずっと議論をいただいております。それで、その結論も間もなく報告ができるというふうに思っております。
 それから、国内制度の構築について環境省だけで考えていてもこれは仕方がないことでございますので、今度七月十日に地球環境保全に関する関係閣僚会議というのがございますし、それから地球温暖化対策推進本部というのもございますけれども、それを開催して、国内的にどういう制度をやっていくべきか、六%の削減を守るためにということの議論をしていただこうということで、ただいま準備中でもございます。
 ということで、やるべき手は全部私どもはきちんきちんと打っているつもりでおります。
 それから、小泉総理に現状の説明だけでは十分ではないではないかというふうにおっしゃられますけれども、小泉総理は今一生懸命に考えているんだというふうにおっしゃって、きのうのQTでもおっしゃいましたし、その前もそういうことでおっしゃっているわけでございます。
 私としては、この問題が先ほど申しましたように本当に長い経緯と長い歴史、あるいはいろいろな国の方のいろいろな立場があって、そもそも国際会議というのはそれを全体としてまとめてどういう結論が出るかということが重要でして、日本一国の考え方、あるいは日本一国の思っていることの外への出し方についても、そういうことを踏まえてやることが必要であるわけでございます。
 そういう意味で、私はむしろ、お考えになっていらっしゃる小泉総理にできるだけ過去の経緯あるいは現在起こっていることについてのきちんとした情報をお渡しして、それで小泉総理にきちんと考えていただくということが非常に大事だというふうに思っております。
 そういう意味で、小泉総理はたくさん対応すべき問題がおありになって、まだこの問題に集中して時間を割いていただけるという機会は実は私が望むほどにはない状況でございますので、その少ない限られた時間を最高に最大限有効に活用するためには、私はそういった現在に至るまでの経過、それから各国のそれぞれの、あるいは各国を超えて市民グループも含めて、いろんな人たちの立場についての認識を十分に持っていただくということがまず何よりも大事であるというふうに私は思っております。
 二日前に総理の判断がまだないというのは遅いではないかというふうにおっしゃられますけれども、ボンまではまだ一カ月弱ございます。その間に十分に、その間にも相当に物事は世の中、世界じゅうで動いていくわけでございまして、そういったさまざまな動きを柔軟に総理にお伝えをして、適時にお伝えをして、それで総理にうんと考えていただいて、そこでいい御判断をいただくというのが私は日本の国益だというふうに思っております。
○福山哲郎君 三十日の日米首脳会談には、では川口大臣は今のままのスタンスで臨むべきだと思われているわけですね、今あえてボンまで時間があるとおっしゃられたということは。
○国務大臣(川口順子君) 総理はいろいろ今お考えでいらっしゃると思います。私としては、総理の御判断に資するようにいろいろな情報、先ほど申し上げました経緯なり、あるいは各国、各グループのスタンスをきちんとお話しし、また今度の非公式会合の場でもそういった点についての情報をきちんと把握して総理にお話をするということが大事だと思っております。
○福山哲郎君 大臣が出張されると、帰る予定が二十九日の十四時二十分成田着というふうに今、環境省からの資料にあります。総理が何日に出て三十日の首脳会談に臨まれるかわからないんですが、大臣はこの出張中の御報告をどこで総理にされるんでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 今、いろいろな総理の時間等についても官邸の方でお考えでいらっしゃる、御出発の時間について、というふうに聞いておりますけれども、私の希望としては、これは官邸にお伝えしてありますけれども、帰国後、総理と直接お目にかかってお話をさせていただきたいと思っております。それがもし可能でなければ、お電話を申し上げるということになると思います。
○福山哲郎君 少しそれじゃ中身に入りましょう。
 今、国内措置を講ずる、全力で取り組んでいきたいというふうに大臣はおっしゃられました。いつも基本的にはそういう答弁が返ってくるんですが、この国内措置を講ずる前提は何ですかと聞くよりか、僕が言った方がいいかな、当然国内措置は、京都議定書の実施ルールがCOP6ビスで決まることを前提に国内措置の制度について御検討いただいているんですよね。
○国務大臣(川口順子君) 両方あると思います。
 九八年でございましたか、地球温暖化対策推進大綱というのができまして、その段階で、ビジネス・アズ・ユージュアルで二一%近くふえるということを前提に、何によって削減をしてマイナス六%にするということが決まっております。これはもう非常に大枠でございます。
 それで、恐らくそれの段階でそれを進めることによって、京都議定書の運用ルールについての具体的な合意が仮に成り立たなくても進められる部分というのは当然あるわけでございまして、それについてはもう既に各省進めておりますし、経団連も自主的な取り組みの枠を広げるようなこともお考えでいらっしゃるというふうに聞いております。したがいまして、国際的な合意のいかんを問わず、できることは既にやっているし、今後ももっとやっていくということだと思っています。
 それからもう一つ、国際的な合意ができないとディテールが、細かいことが決まらないという部分もあるわけでございまして、これは例えば何かというと、一つの例を挙げれば、排出量取引のようなものは国際的なルールが決まらなければ日本としてはきちんとそのルールができないという部分がございます。吸収源ということについても全く同じだと思います。
 ですから、その国際的な合意ができなくても既に始めることができる対策、これのほとんどはもう始まっているということでございますし、それから国際的な合意ができないと国内の枠組みが構築できないというものと両方あるというふうに私は思っています。
○福山哲郎君 さすがに大臣はうまくお答えになるなと思いながら伺っていましたが、温暖化防止対策大綱の六%は国際的な枠組みが決まらないとできないことと決まらなくてもできること両方あるというのはおっしゃるとおりだと思いますが、しかし現実問題としては、排出権取引にしてもそれから吸収源の問題にしても、日本はその六%をちゃんと国際的な枠組みの中の数字を入れて六パーということにしているわけです。
 じゃ、国際的な枠組みが決まらなければ国内措置のできる範囲の中で六%を確保するというんだったら今の大臣のお話は承れますが、現実の六%の中のメニューには、このCOP6ビスで実施ルールを決めなければ日本は六%は行かないわけです、その中に入っているわけだから。そうしたら、二〇〇二年の発効もできないし、国内制度、国内法の構築もできないし、批准ももちろんできない。
 二〇〇二年の発効に向けて国内制度を整備するというのは、六%の前提で、その中のまさに今大臣が言われた排出権や吸収源の中身が決まらなければもちろん発効も国内措置もできないじゃないですか。どうですか、大臣。
○国務大臣(川口順子君) 私は、基本的な立場としては、日本は国際的な情勢がどうであれ国内制度の枠組みはきちんとつくっていくべきだというふうに思っております。六%削減ということは日本が実際に合意をしたことでありますから。それは恐らく、今ある方法だけでは多分十分ではなくて、そのためにまだ導入をしなければいけない制度、あるいは何らかの政策というものも必要になってくるだろうと思います。
 考え方といたしましては、ありとあらゆる政策を動員して、それからその政策だけではございませんで、国民の方お一人お一人にそれに協力をしていただくための行動をお願いして、といいますのは、自動車の走行量が非常にふえているとか、国民の一人一人、これは先生も含み私も含み、そういったそれぞれの人間がやっていかないと六%に達しないということもあるわけですから、すべてのそういったことを前提に、あるいはそれを可能にするための啓蒙活動なりということも、普及活動なりあるいは技術開発なりといった施策も含めてそれをやっていく、六%削減をやっていくということが国の基本的な考え方であるべきだと私は思っております。
 それで、そういうことでありますけれども、六%という数をきちんと京都議定書の運用ルールも含めた形で批准をされませんと、それがきちんと六%になるかどうかということは非常に難しい部分というのは実際にあるだろうと思っています。ただ、考え方としては、それは全国民を動員して六%削減ということが一つ地球を後世につないでいくために重要なことですから、それはやっていかなければいけないというふうに私は思っております。
 それから、こういうことを申し上げると、批准するつもりがないんじゃないかというふうに思われると私としては心外なので、そういう意味で申し上げているのではないという前提を念のために申し上げて申し上げさせていただきますと、日本の場合、批准をするときの制度といいますか、どういう状況になったら批准ができるかということでいいますと、私が承知をしていますことは、国際的な合意があること、そうしないとまず批准をする対象がないということです。それで、合意があったときに、同時にそれを担保する国内制度がちゃんと構築をされているということの二つが要件であるということだと私は理解しております。
 これを申し上げて、おくらせるつもりで言っているんじゃないのかというふうにゆめゆめお思いにはならないと思いますけれども、そこは全くそういうことではありませんが、これは制度の問題でございますので、客観的にそういう意味でお話をさせていただきます。
○福山哲郎君 今の最後の前に戻ります。
 大臣は、今、例えば京都議定書の運用ルールが決まらなくても日本自身として六%はやっぱり守るように努力しなければいけないというような旨のことを言われたわけですよね。でも、現実問題としては、この京都議定書の運用ルールを前提に六%を達成しようという話で、京都議定書がまとまらなくて、じゃそれ以外の部分で六%というのは現実問題として可能なのかどうなのかというと、それは逆に言うと、じゃ議定書が壊れた、実施ルールが決まらなくても日本は六%行きますよ、ほかの国内措置で行きますよということですか。
○国務大臣(川口順子君) 私が申し上げたのは、考え方としてはそういうことだということで申し上げまして、ですから先ほど申し上げましたように、実際にその京都議定書の枠組みが使えないような形で六%を達成するということは困難であろうというふうに思いますけれどもというのは、そういう意味で申し上げました。
○福山哲郎君 きのうの御答弁も、京都議定書を二〇〇二年までに締結できるよう締結に必要な国内制度の構築に全力で取り組んでまいりますと。締結に必要な国内制度の構築に全力で取り組むというのは、今大臣がその前の答弁の後段で言われた話だと思うんですが、京都議定書を二〇〇二年までに締結できるということは基本的にはこの七月のCOP6ビスで運用ルールが決まらなきゃいけないわけです。
 それで、発効させるためにはそれを前提に国内制度をつくらなきゃいけないわけです。その前提となる運用ルールがこの七月決めるかどうかという問題で、その運用ルールが決まらない状況だと、この二〇〇二年の締結と国内制度の構築というのは、前提が崩れるからこれは絵にかいたもちになるのではないかというふうに私は危惧するんですが、それは大臣いかがですか。
○国務大臣(川口順子君) 前の答弁の後段とおっしゃられると、私はちょっとたくさんあってどの部分をおっしゃっていらっしゃるのか混乱をしましてきちんとそれを理解しているかどうかわかりませんけれども。
 申し上げたいことは、二〇〇二年の発効を目指して今度の国際的な場で、COP6再開会合で全力を尽くすということを申し上げているわけでございまして、それからそこの国際的な合意を踏まえて国内的にそれが担保できる制度ができるような国内制度の構築に全力を尽くすということを申し上げているわけでございまして、先ほど申しましたように国内制度の構築につきましては、できるものも既にやっているわけでございますし、それからどういったものがいいかということについては、環境省は既に昨年の段階から当然議論を始めているわけでございます。
 これを実際に政策としてやっていくためには、まだその過程で政府全体としてどう考えるかという意思の決定が必要になりますけれども、そういった準備は環境省としてはきちんと今しているし、またほかの省もその立場は、あるいは考え方に違いはあるかもしれませんけれども、そういった準備をしていただいているだろうというふうに思っております。
 ですから、それを目指して全力を尽くすというそこの立場に全く変わりはございません。
○福山哲郎君 もうこういう水かけ論をしていてもあれなんですが、今の話を聞くと、京都議定書の運用ルールの合意に達するために、そしてそれが前提となっているから二〇〇二年発効まで国内制度も含めて全力を尽くすというふうに大臣は言われているわけですよね。それでいいんですよね。その状況は、アメリカがいようがいまいが関係ないんじゃないですか。どうでしょうか。
 それともう一つ、もう僕時間なくてほかにも聞きたいこといっぱいあるんですが、きょう珍しく大臣の答弁が長いので時間食っているんですけれども、COP6再開会合に政府が行かれたとします。アメリカがその時点で今のスタンスを変えないときに、アンブレラグループ、カナダやオーストラリアは、アメリカがそこで抜けている状況のときに、アンブレラとしての交渉スタンスはどうやって決めるんですか。それを今から日本が早期批准だと、アメリカがなくても日本は早期批准を目指すということを言わないで、どうやってアンブレラ同士で運用ルールを決めるための交渉スタンスを決めるんですか。
 これまでの流れは、ずっとアンブレラで合意をとって、これならいいだろうと言ってEUや途上国とCOP4、5、6全部交渉してきた。今アンブレラの状況が、アメリカが抜けると言ってどうやってアンブレラの交渉スタンスを今の状況でCOP6で決めるのか、教えていただけますか。
○国務大臣(川口順子君) 答弁が長いとおっしゃられて大変に申しわけないんですが、いつもですと質問の通告をしていただいていまして、事務方で答弁を用意してくれていますのでそのとおり答えていると非常に短くて済むんですけれども、本日は御質問の御通告がなかったようでございますので、私のペースでお答えをさせていただいておりますので、結果的には、私の思いを申し上げたいと思うものですから、長くなって大変に恐縮に存じております。ということで、これからのお答えは短くいたしますが。
 まず、アメリカの態度でございますけれども、これはずっと申し上げているとおりでございまして、まさに地球環境の十全性を持つためにアメリカの参加が非常に必要であるということでございます。これはまた長くなりますので、先生御案内のように、ということでございます。
 それから、アンブレラの交渉スタンスについては、これはまさにこれから話をしないといけない、日本だけで決める話でもありませんし、ということだと思っております。
 ただ、大事なことは、このCOP6再開会合、一連のすべて国際、と言い始めるとまた長くなりますが、国際、国連関係の会議では全部ほかの国もグループで議論をしていくということでございます。何しろ数が多過ぎるものですからグループにまとめないと交渉にならないという制約がございまして、そういった制約と、それからもともとアンブレラは非常にルースな集まりでございまして、その中でとれるだけ共通のポジションをとってきた、とれないところもあったという今までの経緯をどういうふうにこれからやっていくかというのはこれから考えなきゃいけないというか、みんなで話し合わなければいけないことだと思っております。
○福山哲郎君 そのときに、日本がアンブレラとの交渉のときに、我が国は環境十全性の観点からアメリカの参加が重要であると考えておりましてと言っていたら、アメリカがその時点で帰ってこなかったらどのようにアンブレラで我が国の交渉スタンスなり意見を述べるんですか。これは日米首脳会談で我が国の批准を先に発効することを表明してCOP6に臨むべきかという大きい話ではなくて、現実に今のままCOP6ビスに流れ込んだときに具体的な交渉をアンブレラとしてどうするんだと。
 プロンクからは吸収源について随分緩んだ条件が出てきている。でもそのときに、じゃ日本はそれでいいのか悪いのかというのを今までアンブレラで議論していた。当然プロンクからいろんなテキストが出てくる。それに対して日本はアメリカを環境十全性から待つと言っているときに、それに対してどのように意見を表明して、それに対してどういうスタンスを決めて現実問題としてアンブレラで交渉していくんですか。
○国務大臣(川口順子君) 総理が今いろいろお考えでいらっしゃるということでもございますので、今の時点で、それから政府といたしましても当然に今度のCOP6に臨む対処方針というのはまだこれからでございますので、その時点でそれを踏まえたいというふうに思っております。
 ただ、申し上げたいことは、まさに地球環境の十全性ということが非常に大事なことなので、これは日本だけではなくてほかの国々、途上国もかなり大きな主張を持っておりますし、EUやそれからほかの、環境十全性グループという名前をつけたグループもありますし、東欧グループもありますし、そういったグループが全部柔軟性を持って、それからかなりクリエーティブに発想をして今度のCOP6再開会合で合意に達する努力をする、すべての国がこの努力をする、日本は当然でございますけれども、ということでやるべき会合だというふうに私は思っております。
○福山哲郎君 すべての国が努力をするというかけ声はそのとおりだと思います。
 交渉の矢面に立たれる浜中局長、今の状況でどうやってアンブレラでスタンスを決めるんですか。プロンクからテキストが出てきて、排出源についてこうだ、吸収源についてこうだと言われたときに、日本はアメリカを待つ、環境十全性からアメリカを待つと言ったときに、アンブレラとしての意見は今まではアメリカも入ってまとめてきた、これではのめない、のめるという話をEUや途上国にぶつけてきた。まだ交渉のスタンスは決まってはおられないというふうに大臣言われましたが、浜中局長、今の状況についての御認識を簡単に御披瀝いただけますか。
○政府参考人(浜中裕徳君) 私が理解している限りで申し上げますが、プロンク議長がお示しになられました統合テキストについては、これまで四月に一回プロンク議長としてのペーパーをお出しになられましたが、あれは政治的解決を要する重要問題についてのプロンク議長としてのお考えの概要をおまとめになられたもので、今回はテキストそのものでございますから非常に分量が多いわけでございまして、これについて我が国としてどのように対処すべきかについて、政府の中の関係省庁の専門家レベルも含めまして、詳細に今検討中でございます。
 あわせまして、私どもも、御指摘のとおり、アンブレラグループの中でいろいろと意見交換をする必要があると考えておりまして、来週ハーグにおきまして関係者が集まるわけでございますので、非公式閣僚会議ということでそれぞれそのレベルの方々がお集まりにはなりますけれども、それを補佐するために各国から専門家も参りますので、できるだけそういう機会を通じて意見交換をさせていただきたいというふうに思っております。
 なお、ちなみに申し上げたいと思いますが、アメリカにつきましてもCOP6再開会合に建設的に参加をするということを言っているわけでございまして、私どもは、必ずしも米国が、そういった京都議定書の議論なども含めて、参加をしないんだということを決めているというふうには理解をしておらないわけでありますので、アメリカの代表、それから専門家もハーグにいらっしゃると思いますので、そういう機会を活用して、アンブレラグループの中でも十分に意思疎通を図り、意見交換をし、そして可能な範囲内でボン会合におきます国際的な検討に向けて共通のポジションを形成できるところはしていくというようなことで最善の努力をしてまいりたい。そのためにも、川口大臣にも、ハーグにおきまして十分な意見交換をしていただきたいというふうに考えているところでございます。
○福山哲郎君 はっきり申し上げます。交渉スタンスはこれから検討すると大臣はおっしゃった。それはそうなんです。交渉スタンスが決まるわけないんです、今の状況なら。そして、今も浜中局長は、本当に交渉の矢面に立って御苦労されていると思いますが、これから先検討していきたい、それから非公式閣僚会議でも意見交換をしていきたいと。そうなんですよ、意見交換と交渉方針をこれから検討するとしか今の状況だと言えないんですよ。だって、アメリカを説得しますというスタンスを持っているだけだから、我が国は。それに、三十日、首脳会談があって、七月にあると。
 現実問題として、EUやプロンクからいろんなテキストが出てきたりいろんな交渉のカードが出てきたときに、今の状態でどうやって交渉するんですか。冒頭から言っているように、だれが我が国のスタンスを決めるんだと。小泉総理はまだ決めない、大臣は報告をしているだけ。そして、三十日に首脳会談があるのに、二十九日に帰ってきて、そこでまた総理に報告をされるだけですか、大臣。一体いつこの国は京都議定書の実施ルールを決めることに対してのスタンスを決めるのか。
 批准とか、批准をするなんというのはその先の話ですよ。実施ルールを決めないことには批准もくそもない、国内措置もできない。その実施ルールを決める七月の会議が目の前に来ているのに、まだ検討中だ、方針もこれからだ、意見交換をしたいと。世界じゅうがこの国の立場とどういう交渉姿勢で臨むのかを注目しているんだと思いますよ、私は。それこそ環境十全性じゃないですか。
 風間副大臣、西野政務官、一言ずつ、今の状況についての御認識と御意見をいただきたいと思います。
○副大臣(風間昶君) だれがいつということについては、まさしく小泉総理大臣が、日本の発信が極めて、アメリカだけでなくて、EUだけでなくて、発展途上国からも今注視をされているという状況にあるから、私は一昨日の委員会で、三十日の日米首脳会談が一つの結節点になろうかなというふうに答弁をさせていただいたわけでございます。
 今、まさに先生が、批准の前の実施運用ルールをどういうふうにして、どういうスタンスで日本がいるのかということが決まっていないとこれは大変なことだということについては、私もそう思っております。しかし、この場で私自身個人で、今決めるということについての、基本方針を私と大臣とで十分詳細にすり合わせといいましょうか、打ち合わせができておりません。これはお互いにやって、大臣が訪米前にきちんと明確な基本方針を私にお伝えいただけた後はきっと総理とまたやられるんだろうというふうに、具体的に行われるだろうということが考えられます。といいますのも、先ほど先生がおっしゃいましたように、総理と川口大臣のコンタクトの場が極めて限られた状況であることからして当然ではないかと思うからであります。
 したがいまして、この外交交渉と意見表明とはまた違うわけでありますけれども、意見表明も含めて交渉事になっていく話でございますから、今はこの時点で、申しわけありませんが、つまびらかにすることは私は差し控えるべきだと思っております。
○大臣政務官(西野あきら君) 現時点では、まず国内でこの六%削減に向けての政策課題を、政策を確実にするためにしっかりと国内的な準備、議論を進めていくべきだというふうに一方では思います。そして、これからの外交交渉でございますから、もちろん環境大臣、所管大臣を含めサミット、日米首脳会談もございますから、そういう日米首脳会談の中で米国側の考え、我が国の考え方もあわせて主張しながら、その結果が丸々ゴーであれば問題はないわけでありまして、その時点で何らかの変化が仮にあるとすれば、その時点で直ちにサミットに向かうまでの間に我が国としての基本線に乗って方向づけを内閣でやるべきだというふうに思っております。
 ですから、今は国内の問題、政策課題を着実にこなしていくこと、そして外交交渉において単なる外務省とか首脳だけではなくていろんなチャンネルを使って多角的にも折衝し、情報収集し、いろんな角度からアメリカの世論を喚起するようなこともあわせてやっていく、こういう多方面の交渉というものが大事ではないかなというふうに思っています。
○福山哲郎君 ひょっとすると、もうCOP6ビスまでにこれは環境委員会としては最後かもしれない、参議院は。大臣は行かれる、七月に入れば国会も閉会し選挙に入る。本当に国民も世界も注目をしています。
 そして、私は京都議定書は大切にしたいと思います。決して、この七月に京都議定書がまとまらない、ましてやアメリカが受け入れないから日本もそこに追随をして、本来だったらこれは去年の十一月に決まっている運用ルールがまた決まらなくて、結局二〇〇二年発効までにうやむやになるようなことは、未来の世代への責任としてやっちゃいけないと私は思っていますので、ぜひ、一生懸命頑張られていることは百も承知でございますが、日本のいち早い決断と交渉での決断をお願いしたいと思います。
 あと三分だけ、どうしても聞かなきゃいけないことを農水省に聞いておきます。
 諫早湾に対する第三者委員会が六月九日に開かれました。この第三者委員会において、諫早干拓事業の第三者委員会についてこの委員会で過日中村敦夫委員から質問があったときに、農水省農村振興局次長から、委員から御指摘があった点も踏まえて、できるものがあればより一層透明性の確保に努めてまいりたいという答弁をいただきました。それにもかかわらず、六月九日のこの第三者委員会でございますが、ある委員から、カメラのライトを浴びると自分は緊張して十分話ができないという意見があって、基本的には傍聴がだめ、議事録についてもまだまだ公開をされず、基本的には、マスコミ関係者に議事録のプレスリリースを流すが、一般は閲覧のみであるという状況の回答が来たと。そして、四回ある委員会のうち、第三回が八月の上旬、第四回が八月の中旬となっていて、第三回と第四回の間隔はわずかしかない。その中に議事録の発表も途中での傍聴もできない。さらには記者会見にも一般の市民の入室を認めない。全く情報公開の姿勢に反するような第三者委員会の運営がされていると。
 このことについて農水省の見解と、委員会の議事録は速やかに公開をすること、もしくは委員会の傍聴を許可することの点について強く求めますが、御見解をいただけますか。
○政府参考人(佐藤準君) 本年の六月九日の第一回第三者委員会におきまして、その第三者委員会の傍聴の可否について検討がなされました。
 その結果、傍聴については、公正中立な審議を確保する観点から、これについては不可とするということが委員会として決定をされたところでございます。しかし、その際、情報公開の観点から、いわゆる従来より実施をしておりました議事概要の公表だけというものに加えまして、発言者名を記載した議事録を公表するということもあわせて決定されたところでございます。それで、この議事概要につきましてはすぐに報道機関等に配付したところでございますが、いわゆる議事録につきまして現在調整をしております。
 第一回目のものにつきましては、来週六月二十七日ぐらいには公表ができるのではないかというふうに思っております。また、公表に当たっては、報道機関への資料配付とあわせまして、一般の方々が速やかにアクセスできるように、ホームページがございますが、インターネットのホームページへの掲載も行うことを予定しております。議事録の公表につきましては、まとまり次第速やかにという形で対応したいというふうに思っております。
○福山哲郎君 六月九日にやったものが二十七日に公表されて概要がマスコミに流されると。八月の上旬に第三回があって、第四回、最終回が八月の中旬と。どうやって、じゃ、第三回の議事録を市民なり一般の報道が聞けるんですか。
 その委員会の総意で決まったというのは、一体採決をとったんですか。だれが決めたんですか。はっきりお答えください。これ、はっきりお答えいただかないと、僕きょうはやめられませんので、はっきりお答えいただかないと、八月の上旬にやって中旬に四回目をやって、この第三者委員会が終わってしまったら、一体その会合の中身、どうやって市民が意見を言ったりほかの人間が報道したりできるのか。そんなばかげた話があるかと。
 はっきりお答えをいただかないと、ちょっとこれは大問題なので、お願いします。
○政府参考人(佐藤準君) この第三者委員会でお諮りをし、第三者委員会で決定したというところでございます。
 それから、もう一点……
○福山哲郎君 採決をしたんですか。だれがどうお諮りされたんですか。
○政府参考人(佐藤準君) 私の聞いている限りでは、特に皆さん御提案に対して、御提案といいますか、どういうふうにいたしましょうかということで……
○福山哲郎君 だれが提案したんですか。
○政府参考人(佐藤準君) 公開についての取り計らいにつきまして、委員の中で御議論をいただき、委員長から提案をしていただきまして、そしてその委員長の提案につきまして各委員が特に御異議がなかったということで、それで決定をされたというふうに聞いております。
 また、議事録の可及的速やかな公表ということにつきましては、委員会終了後おおよそ十日間程度、これぐらいの期間はどうしてもかかるんですけれども、その後には、十日程度を目途に公表していきたいというふうに思っております。
 いわゆる委員会の間隔が非常に短くて皆さんに周知できないというようなことがないように対応していきたいというふうには思っております。
○福山哲郎君 三回目の予定と四回目の予定の日は何日ですか。
○政府参考人(佐藤準君) まだ正式に日にちが決まっていないというふうに聞いておりますが、おおよそ日程的には、委員が御指摘の八月の初めとそれから中旬というふうに考えているということでございます。
○委員長(吉川春子君) 簡潔にお願いします。
○福山哲郎君 これ二十日以上たっていますよ、議事録の公開。十日間たつと、八月の上旬と中旬で本当に二十日間だったら、議事録公開されない前に四回目が終わっちゃうじゃないですか。これはとにかく問題にしなければいけませんので、とにかくこれは時間ですので終わります。

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この内容の冒頭部分

 

第151国会  参議院  環境委員会  2001年6月19日

○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。
 きょうは温泉法の質疑ということでございますが、日々、京都議定書のことに対して動いておりまして、少し冒頭、環境大臣の御認識を伺いたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 まずは、日米の外相会談が昨夜というかけさ方というか行われたというふうに伺っておりまして、その中で田中外務大臣が、京都議定書に対してアメリカの立場は頭では理解するが共感できないという考えを伝えたけれども、パウエル長官は、京都議定書の受け入れの拒否を明言したということが会見で伝えられていますが、このことについて大臣は何か報告を受けておりますでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 私まだ公電は届いておりませんので、それについては正式な報告は受けておりません。報道等では読んでおります。
○福山哲郎君 いつ報告を受ける御予定ですか。
○国務大臣(川口順子君) それはよくわかりません。きょうじゅうのどこかだと思いますけれども。
○福山哲郎君 報道を聞かれた上での御見解はいかがですか。
○国務大臣(川口順子君) 正確なところはきちんとした公電を見た上で申し上げないといけないと思っておりますが、報道を見た感じで言いますと、パウエル長官が言ったとされています、アメリカは対案を持っていないというのは、恐らく私の感じでは、前回のブッシュ大統領のアメリカでの声明発表、それからEUとの会談を踏まえますと、これから検討する話なので今の時点では持っていないということを述べられた。したがいまして、その話の全部が伝わったわけではないのではないだろうかというふうな推測をしております。
○福山哲郎君 先日、EUとブッシュ大統領との会談もありました。そのブッシュ大統領との会談において、決裂というのか、お互いが我が道を行くというのか、基本的にはアメリカの姿勢は変わらない状況が明らかになっているわけですが、その状況、それから今回の日米外相会談の状況を見た上で、今の日本政府の環境大臣としての姿勢は何らかの変化はございますか。
○国務大臣(川口順子君) ございません。
○福山哲郎君 これはほかの委員会でも恐らくもうさんざん大臣には聞かれていると思いますが、京都議定書発効のための決議が衆参で行われました。この決議によりますと、「政府は率先して批准し、」ということがあります。アメリカの参加を待つという重大性は私も認識をしていますが、「率先して批准し、」というこの決議と、今の変わらないという大臣の御答弁は、これでいいんでしょうかね。
○国務大臣(川口順子君) 変わりませんと申し上げました中身でございますけれども、政府としては、国会の決議を重く受けとめて、二〇〇二年までの発効を目指してボンでの会合で合意に達するように全力を尽くすということに変わりはございませんし、それから米国が今、今後の案、提案について具体的な検討に入っているというふうに承知をいたしておりますので、アメリカの建設的な参加、ボンの会議における参加を求め続けていくということについても変わりはございません。そういう前提で、七月のCOP6の再開会合には全力を尽くしたいと思っております。
 それから、ボンの会合での国際的な合意を踏まえて日本の締結が可能となるように、国内的な制度の構築をする必要がありますので、そのための努力も現在中央環境審議会等の場でいたしておりますので、それも引き続き全力で取り組みたいというふうに思っております。
○福山哲郎君 大臣は、今度非公式閣僚会議に出席をしたいという旨を国会の方にお願いをされているように伺っておりますし、しかし、今の状況で、アメリカは京都議定書を容認できないと言っている。そして、非公式閣僚会合に行って日本はアメリカの建設的な参加を待つと言っている。
 一体大臣は、何をメッセージとして持って非公式閣僚会議に出られるわけですか。どうやって国際的な合意に対する、要は京都議定書の実施ルールに対して、日本はどういった御意見を言われるつもりなんですか。
○国務大臣(川口順子君) 非公式閣僚会合の場というのは交渉の場ではございませんで、それはなぜかといいますと、全部の国が参加をしていない、一部の国だけが参加をしている場でございますので、この性格はプロンク議長に対するアドバイスの場ということでございます。
 ということでございますので、この会議の場で議長が何を求めるか、我々に、参加国にアドバイスをしてほしいということを提起なさるかということを踏まえまして対応したいと考えております。
○福山哲郎君 よくわからないお答えだったんですが、じゃCOP6ビスでは、今の状況で変化が起こるかもしれない、アメリカの対応で変化が起こるからそれは建設的に求めるというふうにおっしゃいますが、三十日に日米首脳会談が行われます。これはCOP6ビスのわずか二週間前でございます。この時点で小泉総理は相変わらずアメリカの参加を待ちますというメッセージを伝えられるんでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 小泉総理が何を日米会談で発言なさるかということについては、私はまだ最終的に承知をいたしておりません。私といたしましては、日米会談の前にこの非公式の閣僚会議がございますし、その折にプロンク議長を初め各国の閣僚の方々とはお話をすることにしたいと思っておりますので、そのときの感じを総理にはぜひ御報告をさせていただきたいと思っております。
 京都議定書が日米会談で議題として取り上げられるということでございますから、そこで総理には精いっぱい働きかけていただきたいというふうに私としては思っております。
○福山哲郎君 言葉じりをつかまえるのはあれなんですが、じゃ例えばアメリカのCOP、京都議定書に対する参加を待つというふうにずっと日本政府は言っているわけですが、いつまで待つんですか。これはある一定の区切りをつけないと、京都議定書の実施ルールを決める合意の決定に対して、アメリカがその合意にオーケーをするかしないかというところは政治決断をしなければいけないわけで、一体いつまでにアメリカの建設的にこの京都議定書に待つということを決められるおつもりなのか。いかがですか。
○国務大臣(川口順子君) 私どもはアメリカの参加を働きかけるというふうに申し上げております。
○福山哲郎君 働きかけてもアメリカが今のように容認できないという立場を堅持した場合には、いつの時点で政治決断をしてCOP6ビスに臨まれるのかとお伺いをしているのです。
○国務大臣(川口順子君) この前、ブッシュ大統領が声明で言いましたように、今後のアメリカの具体的な提案については、関係の閣僚が集まっていろいろな方から話を聞きながらということで、幾つかの原則を含んだ提案を考えるというふうに言っているわけでございます。
 したがいまして、アメリカは今真剣に議論をしている。今までもアメリカは真剣に議論をしているということを言ってきまして、その過程で、今度ブッシュ大統領の声明が出た段階で、真剣に議論をしてきたということについては世界は納得をしたわけでございますし、今後友好国からも知恵をもらいながら議論を進めていきたいということを言っておりますので、日本としては、我が国といたしましては、アメリカが京都議定書の枠組みに戻るように引き続き働きかけることに全力を尽くしたいと思っております。
○福山哲郎君 川口大臣にしては珍しく歯切れが悪うございまして、私の質問にはお答えをいただいておりません。アメリカに働きかけていくことはわかっております。それは何回も聞きました。COP6ビスで枠組みをつくるときに、日本がその枠組みに対してオーケーかノーか、もう少しその枠組みを、実施ルールをこうしろああしろということに対しては、アメリカの動向いかんにかかわらずどこかで決断をしなければいけないから、アメリカが京都議定書の枠組みに戻ってくるかこないかの判断をいつされるのかと聞いているんです。
○国務大臣(川口順子君) アメリカが参加をするということは、これは何よりも環境十全性の立場から大事でございます。それはもう繰り返しになってしまいますけれども、アメリカはアネックスT、排出ガスを制限しなければいけない国の中で、排出量のシェアが四分の一ということでございますし、アメリカが入らないような状況では、中国なりインドなり、中国の場合は既に日本よりも一国としては排出量が多いわけでございますし、それから途上国全体を足し合わせれば、ある予測では二〇一〇年、すなわち第一約束期間のど真ん中の年に、途上国のトータルとしての排出量は先進国といいますかアネックスTのトータルを上回るという状況になっていますから、そういう意味で、環境十全性、地球環境を保全する、温暖化ガスの影響を抑制する、地球人として地球を大事にしていくということに取り組むという意味では、アメリカの参加というのは非常に必要なことだと思っております。
 それで、アメリカは、全くそっぽを向いて、もう知らないと言っているわけではございませんで、ブッシュが声明を発しましたように、引き続き議論をして対案を出すんだということを言っているわけでございます。ですから、働きかけるということが非常に重要だというふうに思っております。
○福山哲郎君 全く私の質問にはお答えをいただいていないことばかりでございますが、では日本は、アメリカが京都議定書の枠組みにいつ戻ってくるかわかりません、要はアメリカが戻ってこない限りはCOP6ビスの枠組みの議論にも批准に向けても動かないということですか。
○国務大臣(川口順子君) アメリカは今本当に真剣に閣僚レベルで議論をいたしておりますし、それで私どもとしては、アメリカに、小泉総理を初め田中外務大臣にもやっていただきましたし、私も今までやりましたし、また今後もやりたいと思っておりますし、働きかける、これが環境十全性の立場から日本政府の今とるべき方針であるというふうに思っております。
○福山哲郎君 全くお答えをいただいていない。アメリカがCOP6ビス、再開会合のスタートまでにもし今の立場を変えなかったら、日本はどうされるんですか。どこで政治決断をされるんですか。
   〔委員長退席、理事岩佐恵美君着席〕
 アメリカが京都議定書の枠組みに戻らない限りは、日本は京都議定書の枠組みの議論には参加をしないということですか。大臣、はっきりしてください。
○国務大臣(川口順子君) 繰り返しになりますけれども、COP6再開会合まではまだ日にちがあるわけでございまして、アメリカは一生懸命対案を考えると言っているわけでございます。
 したがいまして、アメリカにとことん働きかけていくということが大事でございます。同時に、先ほど申しましたけれども、日本としては、国内制度の構築のために今の段階で一生懸命やるということが必要でございますし、国際会議での決定を踏まえて、国内的な制度のあり方を最終的にきちんとしてというプロセスが大事だと思っております。
○福山哲郎君 今、何度も言われた大臣の姿勢というのは、京都議定書のための決議、衆参の決議にこれは反していると思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(川口順子君) 私は反しているとは全く思っておりませんで、国会決議というのは非常に重く受けとめておりますから、ですから政府としての方針は、二〇〇二年までの発効を目指して、今度の会合で合意が成立するように全力で取り組むということでございます。
○福山哲郎君 その合意が成立するように全力で取り組む場合に、アメリカが入ってこなかった場合はその全力で取り組むことをされないんですか、されるんですか。
○国務大臣(川口順子君) COP6ビス、再開会合の場で日本が全力を尽くして取り組むということについては、いかなる状況のもとであったとしても変わりはありません。
○福山哲郎君 そのいかなる状況というのは、アメリカが今のスタンスを変えなくて、京都議定書が容認できないというスタンスの場合でも、日本はCOP6ビスで全力を尽くすということですね。
○国務大臣(川口順子君) アメリカは今検討中でございますので、アメリカがどういうような態度でCOP6再開会合に臨むかということについては、私は今の時点では承知をいたしておりません。
○福山哲郎君 じゃ、もう一度聞きます。
 どの時点で日本はアメリカの参加の有無にかかわらずCOP6ビスで具体的な合意に向けて動き出す政治決断をされるんですか。
○国務大臣(川口順子君) 国会決議を重く受けとめて行動するということは、まさに国際会議で合意に達するというための努力、そのために全力を尽くすということと、それから、それと密接に関係しますけれども、そこでの合意を踏まえて国際的な合意を担保するための国内的な制度の構築をきちんと行うということの二つが大事でございますので、それを全力を尽くして行うということでございます。
○福山哲郎君 副大臣と政務官にお伺いします。
 大臣は政治家ではございませんから、この決議には加わっておられません。副大臣と政務官は、衆参のこの決議に一議員として賛成の票を投じられています。この「率先して批准し、」という京都議定書のための国会決議に対して、アメリカは京都議定書を容認できないということをけさ我が国の外務大臣に表明をしています。
 私どもは、COP6ビスでいち早く我々は率先して批准することを世界に呼びかけて、そしてその後、アメリカは別にほっとけということではない、発効させてからしっかりとアメリカが戻ってくるように建設的に議論を積み重ねればいいと。ただ、京都という日本の地名のついた京都議定書に対して我が国が率先して批准を表明し、国際的な合意を得ることを表明して、そして七月のボンに臨むべきだというふうに私は考えております。
 議員として賛成の票を投じられた副大臣と政務官の御意見を伺いたいと思います。
○副大臣(風間昶君) 大臣がお話しされましたように、七月のCOP6再開会合まで全力を挙げてアメリカに参加を呼びかけ、その努力を今なお行っているところでございまして、そういう意味におきましては、国会決議を軽視しているものでは全然なく、その決議の重要性を十分に認識した上で今交渉を行っているところでございます。
○大臣政務官(西野あきら君) この問題は国会両院で議決をいただいておるわけでございますから、いわば大きな味方といいますか、力添えをいただいておるわけであります。その期待を担って、代表者が七月のCOP6に向けて全力で取り組むべきであります。
 その間に、その加盟国、対象とされております大国アメリカにおいて今いろんな動きがあることを報道で私どもも聞いておるわけでありますが、最終の段階まで私どもはこの国会決議が実効あるものになるように全力を挙げて取り組むべきだ、このように思っておりますので、今この時点でアメリカに精いっぱいの働きをするということが私どもの務めではないか、このように思っております。全力を挙げるべきだと思います。
   〔理事岩佐恵美君退席、委員長着席〕
○福山哲郎君 終わります。

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この内容の冒頭部分

 

第151国会  参議院  環境委員会  2001年5月31日

○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。
 一昨日の審議に続きましての審議でございます。どうかよろしくお願いします。
 もう委員の方、それから大臣もお聞き及びかと思いますが、昨日、環境委員会では、日本一、これは日本一と言っていいのかどうかよくわかりませんが、日本一大気汚染のひどい大和町交差点という板橋の交差点に行ってまいりまして、そこで板橋区の区長にお話を伺い、それから被害者というか、ぜんそく等で悩まれている地域住民の方のお話も伺ってまいりました。その後、その現地に行ってまいりまして、その現地の浄化施設等も視察をして帰ってまいりました。
 その後、きょう午前中、参考人の質疑をさせていただきまして、川崎の方で被害者の弁護に立っている弁護士の方、それからこの問題についての専門家である専門家の皆さんにお話を伺いまして、実は大変充実をした質疑になっているというふうに大変喜んでいます。これは与党側の理事の先生方がやっぱりちゃんと審議をしようということで、参考人も、それから現地視察という、こういう国会の日程が立て込んでいる中でもお認めをいただきまして行かせていただいた。これはもう与野党で本当におかげさまでこういう充実した審議ができているというふうに思っていまして、大変喜んでいるところでございます。
 実は、大和町の交差点の大気浄化実験施設できのうもらってきた国土交通省がつくっているパンフレットがここにあるんですが、これがその大和町の交差点だという絵なんですけれども、こんなきれいな交差点では到底ありません。(資料を示す)はっきり申し上げると、ここには車が一台、二台、三台、四台、五台しか通っていないんですが、ちょっと待てという話でございまして、五台どころか一日二十二万台通るというふうに板橋区では言っていまして、実はここ、ずっと渋滞が普通の絵でございまして、こんな青空があってすかすかの状態で何か見るからに気持ちいいなという、きれいな何か近未来の交差点みたいに見えるんですが、現場はとんでもありませんで、もっと本当に密閉された空間の中で三層の道路が走っていまして、そこを車がわんわんトラックも含めて走って、周りのお店とかを見ますと周りのお店の看板とかがほとんど真っ黒な状態でございまして、地域の住民の皆さんがぜんそくで苦しんでいるというのもよくわかるような状態でございました。
 中には、発作の繰り返しで、夜、明け方が来るのが怖いとか、入退院を繰り返して、お子さんのいる私と変わらないぐらいの方が十五日間も会社に行けなくなって、結局、今失業をしているというようなお話をいただいたり、もう本当に悲惨な状況でありました。
 そんな感じの中で、私たちもやっぱり国会の審議に当たってリアリティーを感じる審議をするということが非常に重要だと思っていたんですが、現地を見て非常に今そう思いながら審議に入らせていただいていることを少しお含みいただきまして、質問に移りたいと思います。
 道路建設の際に、計画の段階から恐らく周辺住民の健康への影響は、もうこういう状態ですから考えなきゃいけないと私は思っています。国土交通省は、道路建設をされる際、周辺住民の健康に及ぼす影響等を含めてこの道路建設について検討しているのかどうか、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(大石久和君) 都市の沿道の環境状況を改善するためにも、自動車交通の分散や円滑な走行を確保するという観点から通過交通を都市内に入れない環状道路等の整備が急務であると考えてございますが、こういった環状道路等の一定規模以上の道路につきましては、道路の計画、整備に当たりまして当該道路の整備が周辺環境に及ぼす影響について調査、予測、評価を行いまして、あわせて周辺環境への影響を軽減するための環境保全措置を検討する環境影響評価を行うことといたしております。
 環境対策の充実による環境に配慮した道づくりに邁進しておるところでございまして、今先生の御質問の趣旨に沿って申し上げますならば、周辺環境への影響ということを環境影響評価という観点で行っております。
○福山哲郎君 その周辺環境への影響というのは、住民の健康に対してどのように影響を及ぼすかまでも含んでいるんでしょうか。
○政府参考人(大石久和君) 直接的に地域住民、周辺住民への健康そのものを評価する、あるいは調査するのではなくて、私たちの、例えば大気の排出量でありますとか、あるいは騒音レベルでありますとか、そういったものがどの程度になるかを予測することによって地域にお示しする、そういう観点で行っております。
○福山哲郎君 その騒音とか環境影響がどの程度になるかということが、現実問題としてこういうふうにあちこちで被害が出ている。もしくは尼崎や名古屋で言えば、裁判にも負けて差しとめの請求まで出ているというような状況の中で、もともと国土交通省がやられた環境評価と住民の皆さんの健康への因果関係みたいなものに対して、何か検討されているような余地はあるんでしょうか。
○政府参考人(大石久和君) 事前の環境影響評価とその事後の、道路がこれは部分供用なんかの場合ですとなかなか適切な評価ができませんが、完全に供用したような場合には事後評価を行っております。
 ただ、今私が行っておりますと申し上げたのは、例えば大気の排出量でありますとかあるいは騒音のレベルといったような意味で行っているわけでございまして、直接的に健康そのものを調査するということは国土交通省としては行っておりません。
○福山哲郎君 川口大臣にお伺いします。
 大臣は、私が本会議で質問をしたことに対してこうお答えになりました。「環状道路等の整備は大気汚染の改善に資する面がある」と答弁をされたんです。つまり、環状道路等の整備は大気汚染に対しては改善に寄与することがあるというふうに答弁されていますが、今もそのようにお考えになられているのか、また考えられているとすれば根拠はいかがでしょう。
○国務大臣(川口順子君) 現在、自動車の交通量が非常にふえている、あるいは都市に集中をしているということを考えますと、そこからの大気汚染というのは非常に問題になっているわけでございまして、自動車交通を分散させる、あるいはスムーズに走れるようにするといったことは大事でございまして、環状道路あるいはバイパスなどの幹線道路のネットワークは、その観点から大気汚染の改善に資するのではないかというふうに考えております。
 それで、その根拠は何かというお尋ねでございますけれども、データによりますと、走行速度が向上しますと一般的には走行距離当たりの排出ガスの量が減るというデータがございます。自動車の交通が分散をし、あるいはスムーズに走れるようになると走行速度が上がるということでございまして、それが根拠だということでございます。
○福山哲郎君 まさに環状道路、バイパスでこれは三層になっているんですよ、きのうの交差点は。三層になって、日本一の大気汚染の場所になっているわけです。今大臣の発言ですと、バイパスなり環状道路なりの整備というのは大気汚染に対しては改善に資すると言われているんですが、まさにきのう我々が見てきたところは改善に資するどころかさらに悪化の道を突き進んでいる。
 先ほどの参考人の話の中に、環境省がこれまでずっと言われてきた自動車走行量の伸びが目標以上だったのでこの環境基準をこれまでずっと達成できなかったという、それが減殺されたというふうな話がありますけれども、青山参考人の話で言うと、現実には二%ほどしか走行量はふえてないんだというような参考人質疑の中に御意見がありました。松本局長は後ろで参考人の質疑を聞かれていたというふうに思いますが、あの意見について何か反論ございますでしょうか。
○政府参考人(松本省藏君) 青山参考人のお話でございますけれども、特定地域は六都府県関係がございますが、六都府県全体の環境基準おおむね達成というのは困難であるという状況の原因として自動車走行量等の伸びというのを全体的に考えているということでありまして、東京都という、特定の東京都の地域だけを見ますと、御指摘のとおりもうほとんど走行量は伸びていない、横ばい、飽和状態というようなことになっているというのは十分承知をしているわけでございます。逆に言いますと、ほかの地域はもっと伸びているということであります。
 それで、東京都の場合には、しかしながら、走行量が伸びない中で一台当たりの自動車排出ガス量というのがむしろふえている。それはどういうことかといいますと、トラックの大型化、小型トラックから大型トラックの方にシフトをするとか、そういうようなところ、あるいはバス、そういうようなものの排ガス量、そういうようなものがふえているというのが一つの要因ではないか。あるいはそれ以外にも低公害車の普及というのを期待していたわけですけれども、そういうのが十分いかなかった。さらには物流、人流、交通流対策、そういうようなものが必ずしもトータルとして効果が出なかったというようなこと、そういう全体の要因で東京都においても御指摘のように環境基準の達成が大変難しいという状況にあるというふうに考えております。
○福山哲郎君 大臣、それでもなおかつ、この大和町の交差点の話を伺っても、それから東京都では走行量は余り伸びていないという今の松本局長の話を伺っても、やっぱり環状道路等の整備は大気汚染の改善に資する面があるとお考えですか。
○国務大臣(川口順子君) 板橋区の大和町の交差点は私も数カ月前に行きまして現場を見せていただきましたし、地元の方ともちょっとの間でしたけれども話をさせていただきました。
 おっしゃるように道路の上に道路が重なっているという状況で、道路の天井でふたをしたような感じのつくりになっていまして、首都高とそれから中山道と環状八号とが重なっていて、大気汚染という観点からいうと非常に問題のあるところだということは私も認識をいたしております。
 それで、先ほど申しましたのは、道路の例えばつくり方ですとか、あの場合には恐らく道路をつくりましたのがかなり前のことであって、その後の交通量の伸び等を十分に予測し切れていなかった面もあるのかなというふうな感想をそのとき持ちましたけれども、そういった注意を払わなければいけないところには十分に注意を払うべきであるということは事実だと思います。あの場合には、例えば二階に上がるために坂道をつくって、そこでエンジンを吹かすということがあって排出量が非常に出るとか、いろいろそういった技術的な点で問題を解決しなきゃいけないところがあるというのは事実だと思います。
 一般論として申し上げれば、やはり環状道路の役割というのは、中に入ってこないで外に分散をするという機能を持つわけでございますから、そういう意味で、本会議で申し上げた点については引き続き、そういった幾つかの条件つきではありますけれどもそう思っております。
○福山哲郎君 道路をつくられる場合に、大臣が今注意を払うべきであるとおっしゃいました。注意を払うべきである、技術的な面も含めて、条件つきでとおっしゃった部分に対して、道路をつくられる場合に環境省から何らかの形で国土交通省に言えるような仕組みはあるんでしょうか。これは国土交通省でも結構ですし、環境省でも結構です。
○政府参考人(松本省藏君) 道路建設あるいは都市計画、そういうような場面におきます環境保全を進める上で環境省としてどうかかわりを持っていくかということでありますけれども、環境省としては、当然のことですけれども、そういう各種の事業とか計画が決定されあるいは実施される際には、環境配慮がより十全なものとしていかなければならない。それと同時に、また環境の改善、修復を目的とする事業あるいは計画が具体化されていくということが必要だというふうに考えているわけでございます。
 道路建設を初めとする各種の公共事業について環境省は、各種の整備計画案の協議、それから環境影響評価法などに基づく審査、こういうものを通じまして環境保全上の配慮が適切になされるように関係省庁に対して要請をするというようなことができるし、環境影響評価法というのはまだ新しいわけでございますので、これからはこういう制度を活用して最大限、環境省としてもそういう事業、計画に対して環境保全の観点から配慮するように積極的にかかわっていきたいと考えております。
○福山哲郎君 松本局長にお伺いします。
 そのときの都道府県なり市町村の役割はどうなりますか。環境アセスメント法とか各種の整備で協議をするときに、地元の意見というのはどういうふうに受け入れるんでしょうか。
○政府参考人(松本省藏君) 環境影響評価法、これは平成九年六月にできた法律でございますけれども、例えば国土交通省あるいは道路公団、こういう事業者が例えば個別具体の道路事業、これを計画し実施する場合には、規模にもよりますけれども、大規模のものは環境影響評価を実施するということになっておりますが、その場合に、まず環境影響評価の方法、これを議論する場面が先に来るわけでございます。それからその後に、その影響評価の方法に基づいて具体的に実施された調査、予測あるいは評価の結果を議論する場面、これも第二段で出てくるわけでございますが、この二つの場面におきまして地元都道府県知事が必ず意見を言うという仕組みになっているわけでございます。
 逆に言いますと、事業者の方は都道府県知事に対してそういう影響評価書、それをきちっと、かなり膨大な資料を提供して、こういうような事業を計画し予定をするということをお示しする、それで知事は必ず意見を言うという関与ができるし、しなければならないということになっておるわけでございます。
○福山哲郎君 例えばですが、大和町の交差点に大気浄化実験施設を国土交通省が設置されていますが、国土交通省さんにお伺いしますが、あれを設置するに当たって事前に環境省とあの問題でのいろんな協議というのは具体的にはあったんでしょうか。
○政府参考人(大石久和君) 大和町交差点に設置することといたしております今回の大気浄化の実験でございますが、これにつきましては、平成五年から道路管理者と地方公共団体の環境部局とが、大和町交差点における環境対策について大和町交差点環境対策委員会を設けて検討してきた結果でございます。
 端的に申しますと、環境本省とは直接的な調整を行っておりませんが、関東地方整備局、首都高速道路公団、東京都及び板橋区の環境部局と種々の打ち合わせ、調整を行って決定したところでございまして、そういう意味から申しますと、実験主体でございます関東地方建設局、首都高速道路公団、東京都の建設部局と環境部局とは十分な審議、調整が行われていると考えております。
○福山哲郎君 済みません、素朴な疑問なんですが、大変大気汚染が進んでいる、日本一だという交差点があって、歴代環境大臣がそこに行かれているようなことが何度もあって、その状況で実際に大気を浄化する仕組みをつくるのに環境省本省とはほとんど調整をしていないというお話が今あったわけですが、この実態について環境省はどう考えられますか。
○政府参考人(松本省藏君) 今、国土交通省の方から話がございましたように、この大和町の土壌脱硝の装置、これは道路管理者であります国土交通省と東京都と道路公団が共同でつくるというものでございまして、確かに私ども直接的に協議とかそういうようなものを受けたわけではありません。そのとおりであります。
 ただ、土壌脱硝技術、これにつきましては、従前まだ環境省ではなくて庁の時代から技術開発、実用化に向けて最大限促進に努力をしてきたものでありまして、環境庁としても既に、例えば大阪の吹田市役所とか川崎の池上新田とか、そういうところに独自に補助金を流して設置を先行してやっているようなケースということであります。
 それで、この大和町の分についてということでありますけれども、そういうことで全国津々浦々いろいろな環境施策に関する個別の事業とかあるわけでございますけれども、それは関係者も大変たくさんでございまして、それをすべて環境省本省に事前協議など受けなければならないということになりますとこれは大変なことでありますので、それはそれぞれの主体なりあるいは関係のレベルで御協議なり相談なりをされるということであろうと思いますが、ただこの大和町のような大変大きな重要な施策については、環境省としてもやはり事前にその概要を把握しておいた方が望ましかったのかなというふうに率直に考えるところでありまして、今後、やはり国土交通省あるいは自治体、関係のそういうもろもろの事業を実施するところとさらに一層連携を密にしていくという必要があろうかと思っております。

【覚え書き問題】
○福山哲郎君 要は、一番環境汚染が悪いところでさえこの大気浄化実験施設で国土交通省と環境省が事前の調整もしていない。今、局長が国土交通省や自治体とも事前の調整をするように努力していきたいというふうに言われましたが、現実にそう言われている局長の足元でそれをとめるような覚書が交わされている。
 先ほどの参考人質疑でもありましたし、私も事前の通告もしておったんですが、平成十三年の三月二日、ことしの三月二日ですから法案が出される直前でございます。国土交通省を相手に環境省の自動車環境対策課長が、一というので、長々となりますから一部だけ言いますと、「環境省は、国土交通省が行う道路管理に支障を及ぼすことがないよう、本改正法の運用に当たるものとすること。」、それから資料の提供に関しては、先ほど丁寧に局長の答えられた、「「必要な資料」及び「説明」には、環境影響評価に関する資料など個別・具体の道路事業に係るものは想定されないこと。」、それから都道府県が意見を述べる話が先ほど局長からありましたが、「都道府県が述べる意見には、道路構造等個別・具体の道路事業に係るものは想定されないこと。」というようなこの法案に関する覚書が事前に国土交通省と環境省で交わされている。
 今、局長が言われたこととは全く逆のふたを閉めるような話が三月二日、法案が出される前だと思いますが、覚書で交わされている。これで実際に、今局長の言われた話、それから国土交通省が言われている話がどのように施策として進行していくのか。患者がいて、二十何年間、結局環境基準が達成されなくて何千人の患者が苦しんでいる状況の中で、いまだまたこういう覚書が交わされている。この実態について、大臣、局長、副大臣、どなたでも結構でございますし、全員でも結構でございますし、お答えください。
○政府参考人(松本省藏君) 御指摘のございました今回の自動車NOx法、政府部内でいろいろな協議、調整というのは当然行われます。閣議決定を踏まえて法案として成立するわけでございますから、その前段階でそれぞれの行政を所掌している省庁とかなり密度の濃い調整を現実的にやって、政府全体の施策の整合性をとっていくということでございまして、その中で御指摘のありましたような国土交通省と環境省の課長レベルの覚書と申しますか確認書と申しますか、事実でございます。
 ただ、これは先ほどの御質問の中で一部答えさせていただいたと思うんですけれども、この確認書の中で特に法第二十四条というのがございますけれども、それで都道府県知事が必要な資料を求めたり、協力を求めたり、あるいは意見を述べるということができることになっているわけですが、それに関して、「環境影響評価に関する資料など個別・具体の道路事業に係るものは想定されないこと。」という確認を両省間でやったということは事実でございます。
 これは、その二十四条関係、先ほど申しましたように平成九年に環境影響評価法ができまして、環境影響評価法の仕組みの中でその対象となる個別具体の道路事業について環境影響評価の方法を議論する場面、それからその方法に基づいて実施された調査、予測、評価の結果を議論する場面、この二つの場面で具体的に事業者の方から環境影響評価書というのが提供されて、それに対して都道府県知事が具体的に必ず意見を言うということになっておりますので、その事業についてはまず、むしろ環境影響評価法というのは大変厳しい、きっちりとしたチェックシステムがあるわけですから、そちらの方で当然やるということになるんでしょうねということを整理して、想定されないことですねということで整理をしたということでございまして、そう考えますと、環境影響評価の対象といいますのは規模の問題があります。
 したがって、例えば首都高速道路などでいきますと四車線以上ということですから、かなり大規模のものであります。それ以外の個別の具体的な事業でもその規模に該当しないものについては、ここのいわゆる覚書といいますか確認書の方で何ら制約を受けているとかあるいは推定も何もしていないわけですから、当然資料が必要であれば求めることもできるでしょうし、また意見も述べることもできる。
 両省間でこういうことですねということで確認をしたのは、環境影響評価法の対象の個別具体事業でありますと、そちらの方の法律の仕組みできちっと資料もとれるし、それに対して意見も述べられるということですから、このNOx法の方のこの規定で資料要求とか意見を述べるということは想定されないんでしょうねということでございまして、それ以外のケースについては全くこのNOx法の規定がそのまま生きるということだろうと思います。
○福山哲郎君 僕は余り賢くないので言われていることがよくわからぬのですが、何を言っているんだかさっぱりわからぬのですが、はっきり言って、一項目のところには、「環境省は、国土交通省が行う道路管理に支障を及ぼすことがないよう、本改正法の運用に当たるものとする」という一項目に大きく枠がはまっているじゃないですか。これは環境影響、要は環境アセス法の中のことと、中じゃない小さいことだと今言われましたけれども、一項目には「国土交通省が行う道路管理に支障を及ぼすことがないよう、」ともう宣言しているじゃないですか、環境省は。
 法二十四条の関係では今局長が言われたよくわからぬことなのかもしれませんが、そこに関してはいかがですか。
○政府参考人(松本省藏君) 道路管理というのは、もう道路管理者からしてみて当然やるべきことでございまして、例えば現実の管理責任のある道路の維持管理、あるいはもうちょっと具体的に言いますと、渋滞を起こすことなく道路を合理的に使用するための整備だとか、レーンの複数化とか右折レーンの設置とか立体交差化とか、そういうようなことをいろいろと管理者は考えている。それから、道路の渋滞情報を提供するとか、道路管理者としてやっていかなきゃいけない仕事がいろいろあります。そういうような本来の業務というのは、それはそれでやはり大変公益的に意味のあることでありますので、それは十分配慮、運用の中でやっていくというのは当然ではないか。もちろん、大気汚染の改善を図っていくというこの法律の目的からして、そういう観点からやっていかなければいけないわけでございます。
 それで、例えば二項の方に、十六条関係でも、より具体的に、都道府県知事が十六条に規定しております指導、助言をやるときに、道路管理に関して影響を与えるということはないでしょうねということではありますけれども、現実に指導、助言が道路管理にどうしても支障を及ぼすおそれがある場合、これは道路管理者と相談をするというのが望ましいということも書いてありまして、実際上、そこの道路管理とそれからNOx法に基づいていろいろな指導、助言をやる場合の接点のところがあろうかと思うんです。そこの辺を道路管理というのは道路管理という観点からそれなりの運用上の配慮をするし、しかしそこで支障が出てくる場合にはよく相談をしてやっていきましょう、こういう趣旨と考えております。
○福山哲郎君 私は、申しわけないですけれども、そういう趣旨には全然読み取れないですよね。
 この法二十四条というのは旧十四条ですか、局長。
○政府参考人(松本省藏君) 現行法の十四条。
○福山哲郎君 十四条を読みますね。第二項。
 「都道府県は、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体の長又は関係道路管理者に対し、必要な資料の送付その他の協力を求め、又は自動車排出窒素酸化物による大気の汚染の防止に関し意見を述べることができる。」というのが十四条の二項です。
 局長が言われた環境アセス法の枠の中とか外なんて一言も書いてないです。その二十四条の二項に対して、「「必要な資料」及び「その他の協力」には、環境影響評価に関する資料などの個別・具体の道路事業に係るものは想定されない」。それから、「都道府県が述べる意見には、道路構造等個別・具体の道路事業に係るものは想定されない」と書いてあるわけです。
 今、局長が説明されたことは全然説明になっていないじゃないですか。どこに環境アセスだと書いてあるんですか、旧十四条の二項に。
○政府参考人(松本省藏君) 自動車NOx法の方の規定には何も書いてございません。したがって、それは全部オーバーラップする形になると思います。ただ、その現実の場面で行政を執行するときに、二つの法律、二つの制度があったときに、どちらの仕組みを先行してやっていくのかなというのは当然場面として出てくるんだろうと思います。
 環境影響評価法の仕組みというのはそれなりにしっかりした仕組みでございますので、そちらの方の個別具体の事業に対しての資料要求あるいは意見の陳述というのは、そちらの方というのが実際上先行するのではないかなというふうに理解しておるということでございます。
○福山哲郎君 今の説明もよくわからないんですが、この覚書の三の二項には、「「必要な資料」及び「その他の協力」には、環境影響評価に関する資料などの個別・具体の道路事業に係るものは想定されない」と書いてあるわけですよ。
 今、局長、何とおっしゃいましたか。
 先ほど私がこのことについて質問したときに、やはり環境影響評価の中がどうのこうのとか、規模の問題があるからどうのこうなんて、そんな文章は全然法案の中にないじゃないですか、旧十四条の中にも。そういう答弁で何が説明できるんですか。
 委員長、これ全然答弁になっていないと思うんですけれども。委員長、注意してください。
○委員長(吉川春子君) 松本管理局長、質問に的確に答えてください。
○政府参考人(松本省藏君) 自動車NOx法の現行の規定、それから改正後の二十四条でございますけれども、御指摘のとおり、環境影響評価法とかそういうような法律との調整規定が書かれているわけではございません。お話しのとおりでございます。
 ただ、このメモというのは、法律そのものということよりは政府部内での考え方の整理ということではないかと思います。
○福山哲郎君 いいですか、最初僕が聞いたときに、大臣は注意を払うべきである、技術的な面でも注意を払うべきであると言われた。環境省としてどのようなかかわりを持つのかと言ったら、各種の整備、協議をしなければいけない、それから要請をしなければいけない、都道府県知事は意見を言うというようなことを言われた。
 現実には、覚書で、今言われたように、それは道路管理行政に関しては全く想定外だと言われている。要は、この法案の実効性を上げるための重要なポイントが全部事前の覚書では削除されている、覚書の中で。省庁間調整はやらなくていいことになっている。これでこの法案の実効性が上がるんですか。
 委員長、これじゃ僕、審議進められません。審議とめてくださいよ。これじゃ、審議進められないですよ、これじゃ。
○委員長(吉川春子君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(吉川春子君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(松本省藏君) 私の説明が十分でないのかもしれませんけれども、環境影響評価法というのが平成九年にできましたのは御承知のとおりだと思いますが、そこで個別具体の事業について種々の手続がきちっと定められているわけでございます。
 そこと全く重複するような部分、もちろんその法律上は明示的には調整はしてございませんけれども、重複するような手続部分というのは現に生じてしまうわけでございますので、そこのところについては環境影響評価法の手続に基づいた資料要求あるいは意見陳述というのをやっていく……(発言する者あり)
○福山哲郎君 今のでも全く納得できないので、私、審議続けたくないんですから、一言で答えてください。
 じゃ、覚書か今まで言われた答弁か、どっちが優先するんですか。どっちが強いんですか。これまでずっとこの委員会で審議をしてきたこととこの覚書とどちらが優先されるのか、答えてください。──協議をしてから答えてください。
 じゃ、委員会をとめましょう。それじゃ、協議してください。それは環境省、協議してから答えてください。
○委員長(吉川春子君) じゃ、環境省も協議していただくことにして。時間が迫っていますので。(発言する者あり)
○政府参考人(松本省藏君) 自動車NOx法の法律の条文、そしてその国会の審議、これが優先するということは当然だと思います。
○福山哲郎君 国土交通省、それでいいんですね。
○政府参考人(大石久和君) 国会審議及び法が優先する、それは当然のことだと思います。
○福山哲郎君 じゃ、この覚書は破棄していただけますか、環境省。
○国務大臣(川口順子君) 覚書ということのそもそもの性格でございますけれども……
○福山哲郎君 いや、そもそもは大臣、結構です。
○国務大臣(川口順子君) ちょっと言わせていただけませんかしら。(発言する者あり)政府の……(発言する者あり)
○委員長(吉川春子君) ちょっと御静粛に願います。
○国務大臣(川口順子君) よろしゅうございますか。政府……(発言する者あり)
○委員長(吉川春子君) 不規則発言はやめてください。(発言する者あり)ちょっと不規則発言はやめてください。(発言する者あり)不規則発言はやめてください。(発言する者あり)
 暫時休憩いたします。
   午後一時五十分休憩
     ─────・─────
   午後二時八分開会
○委員長(吉川春子君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き、自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。川口環境大臣。
○国務大臣(川口順子君) NOx法の関係で、政府部内で結んだ条文及び国会審議に反する覚書につきましては、破棄をいたします。
○福山哲郎君 これで私の質問を終わります。

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第151国会  参議院  環境委員会  2001年5月31日(参考人質疑)

○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。
 参考人の皆さんにおかれましては、本当にお忙しい中ありがとうございました。時間もありませんのですぐに本題に入らせていただきます。よろしくお願いいたします。
 昨日、板橋の大和町交差点というのを環境委員会のメンバー数人で視察いたしました。日本で一番大気汚染が激しいというところに行って、そこで板橋区の区長、それから患者の皆さん、地域住民の皆さんの話も伺いました。きょう参考人の先生方のお話を伺いまして、本当にこの法案についていろんな問題があるなということと、実効性を伴わなければいけないなということを非常に現実感として今審議をしながら感じさせていただきまして、本当に感謝申し上げます。
 まず第一なんですが、率直にイエスかノーかぐらいでお答えをいただくぐらい端的にお答えいただきたいんですが、四人の参考人の皆さん、今回四度目の正直になります。三度目ではなくて四度目の正直になりますが、環境基準を今回の法改正で、十年と見るのか五年と見るのかの議論はありますが、今、建前上は十年になっておりますので、十年で達成できるとお考えかどうか、本当に端的で結構ですので、青山参考人からお答えいただけますでしょうか。
○参考人(青山貞一君) 私は困難だと思います。
○参考人(猿田勝美君) おおむね達成は可能だと思います。
○参考人(西村隆雄君) 不可能だと思います。
○参考人(藤田敏夫君) 私も不可能だと思います。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 三対一というのは非常に厳しい状況でございまして、猿田参考人もおおむねとおっしゃられましたので、そういう話だと立法府としては非常に厳しく臨まなければいけないかなとまた受けとめているんですが、実は過去の経緯も見まして、例の進捗管理、中間見直し等が絶対に必要だと私どもも今考えています。
 それで、おととい、この法案の審議の際に、環境省にこの法案の、改正案の附則の三条について、「目標の達成状況に応じ、この法律による改正後の規定に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」というのが附則の三条についています。この附則の三条との関係で、中間見直しなり進捗管理をどのぐらいするんだと、必要な措置というのはどの程度を考えているんだというのを環境省におととい聞きました。
 そしたら、環境省さんは、五年をめどにしたいと。でき得ればそのときの目標達成の状況に応じては法の改正まで踏み込んでやりたいんだという、福山甘いと言われるかもしれませんが、環境省にとっては多分相当踏み込んだ発言をいただきました。
 青山参考人、西村参考人、藤田参考人はきょう五年ぐらいだというふうに言っていただいているので結構でございますが、青山参考人、西村参考人が想定をされている中間見直しなり進捗状況の管理なり、さらにこれにつけ加えて法改正も視野に入れるめどというのは大体どのぐらいでお考えなのか、御披瀝をいただけますでしょうか。
○参考人(青山貞一君) 法改正のめどというのは多分、五年後で、環境省が言うのが僕はいいと思うんですけれども、それとは別に、東京都はずっと毎年毎年、私も業務で私の研究所もやりましたけれども、このNOx法がどれだけ効果を持ち、課題があるかということを毎年毎年さまざまな、道路の交通量でありますとか、大気汚染でありますとか、いろいろな指標、インデックスから報告書にしております。
 残念なのは、それが都民に全部公表されてこなかったことです。ですから、五年後に見直しするというのは、法的にまた改正するというのは私はいいと思うんです、それを毎年やるわけにはいきませんから。しかし、少なくとも調査した内容をすべからく公表する。情報公開法が動き出しましたけれども、それを国民なり、国民以前に皆さんの議会に絶えず報告するということが大切だと思います。
 というのは、大気汚染の環境基準達成状況というのは、速報が毎年秋に出るんです。御存じだと思います。必ず環境庁長官がかわると皆さんが行った大和町へ行くんです。定例行事になっています。三月三十一日に出るデータが、速報が秋なんです。新聞記者発表は十一月です、たしか。そういう現実を改めない限り、幾ら霞が関にげたを預けてもこれはだめです。ですから、調査、予算が例えばあるのをとったら、必ず毎年単位でこのNOx法がどう進捗しているか、課題が何かというのをまず暫定的に報告させた上で、それをもとに五年後に今回のような改定をやれば、随分皆さんの認識も違うし、ということでいえば、法改正のスパンは十年後でなくて五年後だと思いますけれども、その間で、中間というよりは毎年報告を厚さは別にしてちゃんと出させるべきだと思います。
○参考人(西村隆雄君) 御質問にはかみ合わないんですけれども、進行管理をやってそれで法改正と、それが五年後ということは結構なんですけれども、今これから法律を制定しようというふうにしている段階で、そのもとになっている中公審の答申の中を読んでいただければ、今回はさすがに幅を持って予測をすると書いてあるんですね。単体規制の効果あるいは自動車の伸び率、不確定要素があるので、前回は一義的に予測をしたが、今回は高中低、三つのパターンで予測をしますと書いてあって、一番厳しい、失敗する可能性の厳しい高の予測では、それぞれの地点がおおむね達成不可能となっているんです。東京に至っては、高中低の中でもだめだというふうに書いてあるんです。
 それがもう進行管理だと思うんですよ、現在、この時点が。そういった予測を踏まえながら今のメニューだけでスタートするというのは、これはもう進行管理、法改正とおっしゃるならば、今の時点で法改正してほしいと私は思うんですね。ですから、それをでは五年後でいいのかと聞かれても、私は答えようがないというのが率直な感想です。
○福山哲郎君 確かに道理でございます。
 青山参考人の言われたことに関しては、経年でもやるというようなことは言われていました。でも、経年でやるといっても、それで西村参考人が言われたとおりになると、それなら今からやっておけよという話ですよね。それはもうある意味で言うと道理だと思います。
 もう一つ青山参考人にお伺いしたいんですが、きょうは青山参考人からけしからぬ話が出てまいりまして、覚書の話でございます。
 要は、三月二日に覚書を国土交通省や経済産業省や総務省等と交わしていると。特に国土交通省の覚書に関して言うと、「都道府県が述べる意見には、道路構造等個別・具体の道路事業に係るものは想定されない」というものが入っていまして、実は道路行政そのものが今回の問題では問われているにもかかわらず、そこについての都道府県の意見を述べさせないということを覚書に交わしていると。
 これは、立法府にいる者として甚だ恥ずかしい質問なんですが、もともと省庁間では法案を提出する前にこういう覚書というのは慣例上交わすものなんでしょうか。
○参考人(青山貞一君) 今回のNOx法に関しましては、詳細は実はわからず、昨日出張先から帰ってきまして、参議院事務局からこの資料を送られてきてじっくり、こう赤がいっぱい入っていますけれども、見たところこれがありまして実は私はびっくりしました。
 これは参議院事務局が頑張られたのか、小泉内閣になってこうなったのか知りませんけれども、覚書が少なくともこういう意見を述べる前に資料になったのは初めてであります、私が知る限り。
 それで、実は環境影響評価法というアセス法が重要法案で出たときに、私は京都で開かれました地方公聴会に伺いましたけれども、そのときは当然こういうものは一切ございませんでした。私の友人でキャリアで、当時、建設省の大臣官房会計課補佐まで行った友人がいます。その友人が、青山さん、実は当時の建設省道路局と、ある数ですね、農水省と何本、全部で三百本、課長クラスと環境庁の間で覚書をやると聞きました。その後、たしか民主党のどなたかが局長レベルの覚書というのを国政調査権で入手していました。三百本覚書があるというのは、これはもう信じられない話であります。
 ですから、皆さんがせっかく国会で、こういうところで、環境委員会でこういう重要な審議をしても、実はその裏で絶えずこういう信じられない、地方自治体の行うことを制約したり、道路に関しては早い話、自治体は何か言うなと、資料照会もするなというようなことが覚書で出され、しかも私たちがきょう出てくる前に送られてきたということは、ある意味で非常に透明性が高まったんですけれども、こういうことを私たちに送ってきたというのは私たちを試していることかと思いまして、私はじっくり見まして驚きました。
 これはまだちょっと国土交通省に問い合わせ、僕らが問い合わせるというより皆さんが問い合わせることでしょうけれども、こういうことを堂々と環境委員会のところに、委員会というよりもこういう資料があることが問題ですし、ましてこれだけ地方自治体が今後頑張らなくちゃいけない、地方分権一括法もでき、将来大都市をもう少し小さくして、日本の均衡ある、バランスある町づくりをしようというときに、国土交通省、多分従来の建設省道路局だと思いますけれども、こういうことを環境省に言っていた。僕は、こういうのをいっぱいアセス法でも何でも、国土交通省側がやっているのは知っています。知っていますけれども、事もあろうか、これだけ排ガス、なかんずく自動車の排ガスを問題にしているときに、それに直接かかわる道路事業に関しては自治体は意見、照会するなとか、多分恐らく向こうも、道路に関連する情報を提供しないというような覚書があること自身信じられないことだと思います。
○福山哲郎君 そうですね。午後からしっかりやりますので。
 藤田参考人、長年にわたって貴重な活動をされていただいて、本当にありがとうございます。
 藤田参考人が、車に合わせて道路をつくるのではなく、道路に合わせて車を減らすという考え方を確立しなければならないというふうに述べられているわけですが、今の話の関連も含めてもし何か御意見があればいただけますでしょうか。
○参考人(藤田敏夫君) 今のお話ですけれども、実は昨年の八月に私たちの同僚がドイツのフライブルグへ環境調査に行ってまいりまして、そこで見たり聞いたりしたことを中心にこういうことが伝えられました。それは、フライブルグでは道路建設費は、一九七〇年、三十年前に固定してありまして、ある一定の地域には車は入れないというのがもう現在行われているわけです。ところが、それじゃ非常に不便なわけですね、市民にとっては。
 それの代替として、非常に低床式の路面電車を安く導入したり公共バスを入れたりして、それからさっき橋本さんが言ったように、自転車を利用するために自転車道路を確立する。そういうことを見てまいりまして、これは本当に向こうの人が言った言葉かどうかわかりませんが、道路に合わせて車を減らすという象徴的な言葉で言ったわけですけれども、そういう基本的な考え方をまず確立しなければ、いかに小手先の技術的なことをやってもなかなか達成はできないだろうということで申し上げたわけであります。
○福山哲郎君 これで終わります。ありがとうございました。

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第151国会  参議院  環境委員会  2001年5月29日

○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。自動車NOx法の改正について御質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 先ほど末広委員からもいろいろお話が出ましたように、大変古くて新しい問題だというお話がありました。
 そもそも一九七八年に二酸化窒素の環境基準について大幅に環境省が、当時の環境庁ですが、緩和をした。一九八五年までに環境基準を達成すると公約していたにもかかわらず、結局果たせなかった。その後、九二年にさらに達成をするという公約をほごにし、今回、二〇〇〇年、またもやほごにすることになった。実際には、九八年は目標の三五・七%、九九年は五九・一%、達成にはほど遠い状況であった。よくよく考えると、二十二、三年かかって結局実効性が上がらなかったと。その間に健康被害に遭っている患者の皆さん、地域住民の皆さんがたくさん出てきていたと。
 本会議でも私お伺いをしたんですが、この実効性が上がらなかったことに対する責任については、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 現行の自動車NOx法で特定地域で平成十二年度までに二酸化窒素の大気環境基準を達成するということを目標にしていろいろな施策を講じてきたということでございますけれども、結果としては目標の達成が非常に困難になった、困難な状況になったというふうに認識いたしています。
 それはなぜかということですけれども、大きく二つ。一つは車種規制等の各種の規制、対策の効果はあったわけですけれども、他方で自動車走行量が伸びて、それによって減殺をされてしまったということが一つ。それから、自動車の使用合理化に関する事業所管大臣の指針、それから指導の仕組みが十分に機能していなかったということの二つがあるかと思います。
 現行の自動車NOx法に基づく対策が総合的に見て十分に効果を上げ得なかったということについては、謙虚に反省をしないといけないと考えております。それで、今後、一層の対策の推進を図るということが必要でございまして、そのためにこの法律の改正をして、粒子状物質を対象に入れる、あるいは事業者指導の仕組みをよりきちんとする、強化をするということを主眼とした改正を行って、環境省がこういった責務に取り組んでいくということが大事なことだと考えております。
○福山哲郎君 原因は今二点だというふうにおっしゃられまして、責任としては、だからこのたび改正をするんだというお話はよくわかりますが、私は実はこれまで実効性が上がらなかった責任は、私は原因をお伺いしたつもりはなくて、この二十数年間、逆に言うと達成をしなくて、放置をしたと言うと語弊がありますから放置をしたとは申し上げませんが、今回の改正に対しては第一歩だと思いますけれども、そこの責任に対して、これから、だから改正をするということではないんですが、これまでの問題についての責任については、大臣、どういうふうにお考えですか、環境省として。
○国務大臣(川口順子君) 現行のNOx法による対策が十分に効果を上げ得なかったということは大気の環境基準の数字となってもあらわれているわけでございまして、こういった結果になったということは謙虚に反省をしなければいけないというふうに考えています。
○福山哲郎君 そういう観点で申し上げますと、やっぱり僕はこの改正NOx法が、建設的な話をしますと進捗管理とか中間見直しがやっぱり必要なんじゃないかと。これまで十年間やりますよと言って、結局その期間が近くなってきたら、ふたをあけたらできていませんでしたという話で、じゃ、ちょっともう一回改正しましょうかとか、やり方変えましょうかみたいな話で、現実にはその間に被害を受けている方もたくさんいらっしゃるわけです。
 現実に申し上げますと、いわゆる審議会で出た答申に対しては中間見直しが必要とされるというふうになっています。ところが、今回この改正NOx法の附則第三条、「政府は、窒素酸化物総量削減基本方針において定める窒素酸化物対策地域における自動車排出窒素酸化物の総量の削減に関する目標及び粒子状物質総量削減基本方針において定める粒子状物質対策地域における自動車排出粒子状物質の総量の削減に関する目標の達成状況に応じ、この法律による改正後の規定に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」というふうには書いてあるんですが、はっきり中間見直しをやるとは書いてないんです。
 「目標の達成状況に応じ、この法律による改正後の規定に検討を加え、」と書いてあるんですが、これも実はよくわからない。どこでどのように規定に検討を加えられるのかもわからないし、目標の達成状況に応じとおっしゃいますが、この目標の達成状況がいわゆるこういう計画をつくったときの一般的な十年だと、目標の達成状況の十年が終わってから規定を見直しますという話になれば、これは今までのスキームと同じになります。
 私は、今大臣が反省をしなければいけないと真摯にお答えいただいたことを考えれば、この改正NOx法についても、これは本当に十年後でいいのか、附則の三条と現実に中間見直しや中間の進捗管理をどのようにするのかということの関係が実は余り定かではありません。
 ここについてははっきり言っていただかないと、改正法はできたけれども、あとまた十年間ほったらかしみたいな話が、言葉は悪いですが、そういう話が出てきますので、ぜひ附則の三条と中間見直しについての明確な御答弁なり方向性を示していただければありがたいと思います。
○政府参考人(松本省藏君) NOx法の改正法案の施行に当たりまして、総量削減計画の途中の段階で国が目標の達成状況を点検するということによりまして、計画を着実に推進していくということは大変重要なことだと思います。そしてその際、個別の施策についても必要があれば見直しをして強化をする、その時点で強化をするということもぜひ必要なのではないかというふうに考えております。
 そういう意味で、おおむね十年というのを例えば達成期間で今念頭に置いているわけでございますけれども、十年間見てその結果でということではなくて、まさしく中間段階できちっと、それから経年的にも見ていく必要がある。中間段階でございますから、そういう意味からすると十年とすれば真ん中、そういうようなところできっちりと達成状況についてフォローとチェックをするということが必要であろうと思いますし、その時点で必要があれば個別具体策の強化もそこの時点で行うということが必要であろうかと思います。
 委員御指摘の改正法附則第三条はまさしくそういう趣旨も含んでいるわけでございまして、この条文自体、十年たった後ということではなくて、その途中段階でも達成状況に応じて、ここで書いてありますのは法律自体の改正まで場合によっては踏み込むことあり得べしという趣旨であろうと思いますし、法律改正をしなくても対策を強化するという場面もあり得るんではないかと思っております。
 そういう意味で、今回の改正法についての進行管理、それから途中の時点での達成状況のチェック、そういうようなことについては本格的に取り組んでいきたいと考えております。
○福山哲郎君 今、局長に非常に前向きに御答弁をいただいて大変僕も心強く思っています。まずは基本的には中間見直しですから五年ぐらいをめどにということと、経年的にもやらなければいけないと。その段階での進捗状況に応じては、法律の改正まで実は視野に入れてこの法律は考えているんだというふうにいただいておりまして、実は今こんなに建設的に御答弁いただけると思っていなかったので、大変うれしく思っています。
 逆に言うと、ぜひしっかりとその辺のことも、被害を受けている方も含めてきっちり環境省からお伝えをいただいて、環境省はこれまでの反省を踏まえて前向きに取り組んでいるんだということを、やっぱりいいことはいいことで国民にアピールをしていただかねばいけないので、ぜひお願いをしたいというふうに思います。
 では、そういう状況の中で現実には名古屋や尼崎で判決が出て国が負けているわけでございますけれども、本会議で私が、尼崎、名古屋等の判決は厳しく国の責任を求めているわけですが、「この一連の判決についての見解を求めます。」という質問に対しまして大臣がこうお答えになりました。「健康被害と大気汚染の因果関係の認定などについて問題があると考えておりまして、名古屋南部公害訴訟につきましては、関係省庁と協議をした結果、現在控訴中であります。」というふうに答弁をいただきました。
 「健康被害と大気汚染の因果関係の認定などについて問題がある」の問題とは、具体的に何が問題とされて控訴をしているのか、国としては何を問題にしているのか、そこについて具体的にお答え願えますでしょうか。
○政府参考人(松本省藏君) 浮遊粒子状物質につきまして、それによる沿道住民の健康影響、特にディーゼル排気粒子との関連が問題になっているわけでございますが、現時点ではその影響を判断するための科学的知見が必ずしも十分でないという状況にあるわけでございまして、名古屋南部訴訟の判決につきましても、極めて限られた資料に基づいて因果関係が認定されているというようなことで、医学的な根拠が必ずしも十分ではないという判断に立っているわけでございます。
 もう少し詳しく申しますと、今回の判決でございますけれども、因果関係につきましては千葉大学の調査を根拠にしているわけでございますが、この千葉大学の調査につきましては自動車排ガスに含まれます粒子状物質と健康被害との因果関係、これを評価すること自体を直接の目的とした調査では実はないわけであります。それから、沿道部と非沿道部を直接比較するというような調査の仕組みにはなっていない、あるいは学童についての調査でありまして成人に当てはめるというのは適当ではないのではないか、医学的に申しますとそういうようなところが十分ではないのではないかという観点で問題があるというふうに考えているところでございます。
○福山哲郎君 大気汚染と健康被害について因果関係が、科学的知見がまだ足りないのと、調査等について問題があるという認識だということは今承ったんですが、現実にじゃ大気汚染との間には因果関係はないという意味なんでしょうか。それとも、もう少し科学的知見なり調査の方法を考えればある程度納得できるという意味なんでしょうか。そこはどうなんでしょうか。
○政府参考人(松本省藏君) これは、やはり科学的な知見の蓄積、調査研究をさらに詰めていく、その結果で本当の意味での因果関係というのが明らかになってくるということであろうかと思います。今の時点で因果関係がないと断定しているわけではないわけでございます。
 それはそれとして、現実に大変厳しい大気汚染状況にあるということでございますので、大気汚染のための対策というのは行政として本格的、積極的に取り組んでいかなければならない、こういうことでございまして、訴訟とは別の判断で行政的な努力をしたいということでございます。
○福山哲郎君 その中で、ディーゼル排気粒子のリスクの検討が先ほど言われたリスク評価検討会で行われているんですね。済みません、もう一度、いつそれは結果が出るんですか。
○政府参考人(松本省藏君) 先ほどのディーゼル排気微粒子の評価検討会でございますが、十三年度末を目途に取りまとめをしたいということで先生方にお願いをしているということでございます。
○福山哲郎君 そうすると、少し話が飛んでしまうんですが、事前通告の中には入っているんですが、順番からはちょっとずれるんですけれども、平成十三年度末にディーゼル排気粒子リスク評価検討会の結果が出る、もうあと一年、半年ぐらいで出てくるにもかかわらず、今回のSPMを含んだ法改正を行うと。早ければ早いほどいいというのはわかるんですが、我々としては範囲をもう少し狭めるべきではないかという主張もしておりまして、平成十三年度末にディーゼル排気粒子の中身が出た時点で、その報告書が出た時点で、現実にこの法案についての改正等は具体的に考える予定はあるんでしょうか。
○政府参考人(松本省藏君) 福山委員おっしゃられましたように、早ければ早いほどいい、こういうことでございますが、ディーゼル排気粒子の健康リスクの定量的評価、こういうのはまだ定まっていないという段階でございますので、調査研究なりを鋭意進めているということでございますけれども、既に現時点で発がん性を有しているということが強く示唆をされているという状況、それから我が国の都市におきまして、他の欧米諸国と比較して単位面積当たりのディーゼル排気粒子の排出量が多いんではないか、こういうことも言われておりまして、大気中のディーゼル排気粒子濃度も欧米の代表的な地域に比べて濃度が高い可能性が示唆されている、こういうようなことでございますので、健康への悪影響を未然に予防するという観点から、少しでも早くディーゼル排気粒子対策を実施していくということが必要だろうと思いますし、ぜひ今国会で自動車NOx法の改正をお願いしたい、こういうことでございます。
○福山哲郎君 ですから、じゃ、ディーゼル排気粒子の検討会の結果が出た時点で、その結果いかんによってはこの法案をさらにより改正するような動きも出てくる可能性はあるということですね。
○政府参考人(松本省藏君) 今、その結果を踏まえて法律改正を念頭に置いているということはないわけでございます。理論的に言いますと、そういう調査結果の内容いかんによってはということであろうかと思いますけれども、今の時点でそういう、さらに例えば来年にNOx法を改正するというようなことはちょっと念頭にございません。
○福山哲郎君 環境庁の告示の大気の汚染に係る環境基準について、SPMの定義だと十ミクロン以下なんですが、現実にはディーゼル車から排出される粒子の大きさは一ミクロン以下であるわけですから、逆に言うと、このディーゼルの粒子に対する検討結果が出た後、そこはこだわらずに前向きに先ほどの御答弁のように考えていただきたいなというふうにとにかく希望はしておきます。
 次に移ります。
 では、今度は尼崎の公害訴訟で和解の骨子があります。この和解の骨子の主な内容のうちの一つに、「訴訟対象の各道路沿道で環境基準を上回る汚染実態にあることを前提に、環境基準の達成を目標とする。阪神高速神戸線と同湾岸線でロードプライシングを早期実施し、直接的な大型車の交通規制に向けた調査をする。汚染実態を正確に測定するため新たな測定局を設置し、住民らの健康影響調査を実施。」というようなことが和解条項の中に入っているんですけれども、現時点でこの和解条項の中で具体的に検討し始めているものはありますでしょうか。
○政府参考人(松本省藏君) 尼崎訴訟の和解条項、たくさん内容が盛り込まれているわけでございますが、この地域になお環境基準を上回る汚染実態があるということは事実でございますので、その汚染の改善を図るという観点から、環境省、そして国土交通省でとり得る限りの施策の実施ないしは検討に努めるということにしているわけでございます。
 それで、具体的に私ども環境省関連の検討事項について御紹介をさせていただきたいと思いますが、まず、ディーゼル自動車の新長期規制でございますが、これは平成十七年度までに実施できるように現在具体的な規制値について検討中ということで、これも今年度中には具体的な規制値を設定するというところまで進めたいと思っております。
 それから、二点目でございますが、ディーゼル微粒子の除去装置、DPFでございますが、これにつきまして耐久性試験などを実施いたしました。そして、その効果などの技術的側面を評価した報告書を今月、五月でございますが、十八日に取りまとめて公表を既にいたしておりますし、またそういうようなことも踏まえて地方公共団体への補助金の交付の予算上の措置も既に組み、支援をしていこうというふうにしております。
 それから三点目。低公害車あるいは低排出ガス車の普及の促進という観点で、平成十三年度、今年度から自動車税のグリーン化などの支援策を実施するということにいたしましたし、また、小泉総理大臣の御指示によりまして、原則としてすべての中央省庁の一般公用車を低公害車に切りかえる、十四年度から三年間で切りかえるということにいたしました。
 それから、尼崎地域におきます大気環境の状況の的確な把握をするという観点から、国土交通省と連携しながら、浮遊粒子状物質や二酸化窒素だけでなくて、お話にありましたような、微小粒子状物質あるいはベンゼンなども測定できるような、そしてまたそのデータをリアルタイムでインターネットで提供できるような沿道測定局の設置を現在検討中であるということ。あるいは健康影響調査について、環境保健サーベイランス調査などを基本としながら、PM二・五を汚染指標とする調査あるいは解析手法の追加、拡充などの検討をしている。
 これ以外にもあろうかと思いますけれども、例えばそういうようなことを環境省としてもこの和解条項の内容の実現に向けて努力をしているということでございます。
○福山哲郎君 その中で、先ほど申し上げました汚染実態を正確に測定するための新たな測定局を設置するという中で、少し報道で気になったことがあります。報道の中身が本当かどうかということをちょっと確認させていただきたいんですが、この報道によりますと、尼崎の公害病認定患者の六分の一が周辺地域に集中する尼崎東本町交差点に大気測定局を設置するように公害認定患者が申し入れたところ、環境省は同交差点に設置したいけれども国土交通省が同じ場所で独自に測定局を設置するとして拒否をしていると、両省間で調整を進めているんだという話があります。
 現実に、公害の認定患者がここで測定をしてほしいと、今局長が言われたように、いろんな測定をしなければいけないのでということで申し入れたものが、省庁間で今調整中でなかなか滞っているというふうな報道があるんですが、これの真偽のほどをお答えいただけますでしょうか。
○政府参考人(峰久幸義君) 和解条項のうち、国土交通省におきましても、測定局の設置等、道路管理者の立場からいろんな環境対策を講じる上でもあるいは評価する上でも必要だということで道路管理者としても行うようにしておりますが、あわせて、当然のことながら環境省あるいは公共団体が自主的にやられることが多いわけでございますが、そこと調整するのは当然でございまして、ちょっと報道については定かなことはわからないんですけれども、当初の段階で若干の行き違いはあったのかもしれませんけれども、現在、それは当然のことながら調整をして行うべく、もう基本的には合意しておりまして、あとどういう形で、具体的に細かいことは詰めるということは残っているかもしれませんが、共同して設置するということは当然のことだと思っております。
○政府参考人(松本省藏君) 私どもも同様でございまして、具体的な設置場所について報道があったわけでございますが、現在、国土交通省と具体的な調整を進めているということでございまして、対立をして先が見えないということではありません。
○福山哲郎君 それでは、具体的に大気環境測定局を設置する場合に、環境省がやられる場合の測定目的と対象物質、国土交通省がやられる場合の測定目的と対象物質について、それぞれお示しをいただけますか。
○政府参考人(松本省藏君) 大気環境の測定、これはあまたの地域で定常的に把握をしていかなければいけないわけでございますが、基本的には地方公共団体の責務であるという形に大気汚染防止法ではなっているわけでございます。
 ただ、そういうことですけれども、環境省がみずから測定局を設置するという場合も当然あるわけでございますが、その場合はやはり、例えば今問題になっておりますPM二・五などそういう微小粒子状物質でございますけれども、まだ現に環境基準が設定されていない物質、そういうような基礎的なデータが不十分なもの、そういうようなもののデータ収集に努める、そして今後の環境基準の設定に向けて、例えば検討の素材にするというような観点から環境省として直接の測定局を持っているということでございます。
 その一カ所について、尼崎のところで、現在も国設測定局が尼崎に一つあるんですけれども、新たにもう一つつくりたいと考えているということでございます。
○政府参考人(峰久幸義君) 道路行政におきましても、大気環境の状況が非常に厳しいということで、沿道環境対策というのが喫緊の課題だというふうに認識をしておりまして、その中で、環境対策を講ずべき一般国道におきまして、平成十三年度から道路管理者による観測局の設置を行うようにしております。
 その観点は、やはり道路環境対策を立案していくために、どういうふうな道路構造でありますとか、あるいはもう少しソフトな政策をしていったらいいかというような、そのための資料とするということ。それと同時に、そういうふうに行われました政策につきまして評価をしていくという、こういうことから道路管理者としても道路管理の一環として当然行うべきだろうということで行わせていただいております。これは、和解条項の中にも道路管理者においても行うようにという御指摘もあったところでございます。
 それで、具体的な中身につきましては、窒素酸化物及び浮遊粒子状物質について、あと気象状況等についても行うこととしております。
 尼崎地域につきましては、平成十三年度から六カ所程度設置することとしております。
○福山哲郎君 これは具体的に二つの省庁の間でどうやって調整をして、その当該の、例えば尼崎東本町交差点に設置する場合にどういう段取りで調整がされるんでしょうか。どちらがお答えいただいてもいいですが。
○政府参考人(峰久幸義君) それぞれの場所において、特に地方公共団体などが設置されていることが多いわけでございますが、だれが設置するかについては、共用できるところについては当然共用するということでございますが、道路管理の立場からは、道路構造などを勘案しまして、車線数とか断面の構成あるいは交通状況などでございますが、そういうものを勘案して、大気状況がおおむね同一と考えられる一定の区間を想定しまして、まずそういうところで、五キロから二十キロメートルぐらいでございますけれども、そういうところにおいて公共団体などと調整しながらやっていくということでございます。
○政府参考人(松本省藏君) 御指摘の新聞報道にありました測定局の問題でございますが、どんな測定局でもそうでございますが、測定局、余り大きなスペースは要らないんですけれども、いずれにしろ何平米かのスペースが必要なわけです。そのスペースが、例えば道路沿道で測定をぜひここでやりたいといった場合に、適当な測定場所についての土地の所有者がどなたか、現に、そこに国、環境省が設置できるかどうか、こういう問題がどこでもあるわけでございますが、たまたまこの四十三号線でございますか、その周辺のところでございますと、環境省の方からしますとどうもなかなかいい場所が見つからないなと。一方で、やはり道路管理者でございます国土交通省さんの方は大体沿道のところをかなり持っておられるというようなこともございまして、そこの辺について上手に使わせていただけるのであれば、それにこしたことはないなというようなことでいろいろと調整をさせていただいているということでございます。
 なお、先ほどちょっとお答え漏れたかと思いますが、具体的な環境省の方の測定局では、先ほど申しましたPM二・五あるいはベンゼン、そういうような化学物質についての測定を行う。もちろん、二酸化窒素あるいは一般的なSPM、それから二酸化硫黄その他、そういう一般的な大気環境物質も測定するということ。
 以上でございます。
○福山哲郎君 道路管理者としての大気環境の測定と環境省としての大気環境の測定というのは、今お話を聞いていると、非常に抽象的な話だったのでわかりにくいんですが、具体的に項目とか、具体的にやり方とか方法とか設置の仕方とか、その辺はやっぱり異なるんでしょうか、かなり。例えば、測定の方法とかも同じ物質でも異なったりすることがあるんでしょうか。細かい話で恐縮なんですけれども。
○政府参考人(峰久幸義君) 具体的なやり方につきましては、環境省の方のやり方、基準等を参考にしながらやらせていただく、むしろそれに従ってやるということでございまして、中身が違うわけではございません。
○政府参考人(松本省藏君) 一般的な大気汚染物質について、測定機材、これは大体共通でございますので、データが違ってくるというようなことはないと思います。
 それから、環境省の方になりますと、先ほど申しましたように、かなり特殊な汚染物質に着目をして測定するということでございますので、それはそういうことだろうと思います。
 いずれにいたしましても、先ほど来、環境省と国土交通省の測定の基本的なねらいが違うところがあるものですから、全部一緒にというわけにはいかないわけですが、私どもとしては、これからできる限りデータを共有して連携を図っていくというような方向で努力をしたいと考えております。
○福山哲郎君 私が、それぞれ別々にやっているのは余り意味がないんじゃないですかと言おうと思ったら、データを共有したいというふうに局長から早速お答えをいただきましたので、それはそれでありがたいと思うんです。
 もう一つ、言葉じりをつかまえるようで大変恐縮なんですが、松本局長が今、それぞれねらいが違うとおっしゃられた。ねらいが違うというのはどういうことなんでしょうか。
○政府参考人(松本省藏君) 環境省の方は、先ほど私申しましたけれども、国が、環境省が直接国設測定局を設置して測定をいたしますのは、その地点での一般的な汚染物質の測定をするということよりも、むしろPM二・五だとかベンゼンだとかまだ新しい有害物質、例えば環境基準がまだ設定されていない、そのための基礎データを把握していくというような観点で測定物質も決め、測定をしていくということでございます。
 国土交通省さんの場合には基本的に道路管理者というお立場で、国土交通省あるいは公団など道路管理者、そういう観点で、道路環境対策の実施とかあるいは評価という観点で測定をしておられるということの違いということであろうかと思います。
○福山哲郎君 できる限りお互い共有できるような状況で、特に当該地域は裁判の認定患者さんが周辺に多いということですので、そこで余りお互いが、僕の私のところの縄張りだみたいな話はなるべくやめていただいて、今おっしゃられたように調整をしていただいて、それぞれがそれぞれの役割で測定できるように前向きにやっていただきたいというふうに思います。
 それから、本会議の私の質問に対して、いわゆるSPMについて大臣から御答弁をいただいておりまして、大型ディーゼル車の排出ガス規制が欧米に比べて甘いのではないかというお尋ねでありますが、日本と欧米では試験方法に違いがございますから単純に比較はできないと思いますと。現時点では、日本では欧米よりNOxの規制値が厳しく、欧米では日本より粒子状物質の規制値が厳しくなっておりますと御答弁をいただいたんですが、現行でのこれらの規制値の違い、特にSPMについて規制値が違うということをどのように御認識していただいているのか、具体的に示していただきたいと思います。
○政府参考人(松本省藏君) まず、日本と欧州の規制値が違うということでございますが、例えば乗用車で比較をいたしますと、日本ではPMについては現在〇・〇八グラム・パー・キロメートル、欧州の方では〇・〇五グラム・パー・キロメートル、こういうことでございまして、若干ヨーロッパの方が規制が厳しい、こういうことが言えると思います。
 ただ、これはあくまでも規制の数値だけでございまして、まずここのところについて御説明をさせていただきたいのは、試験方法が違うので一概に比較できないということでありますけれども、自動車排ガス規制の規制値というのは、実際の走行パターンをモデル化いたしまして、実験室の中で走行モードというのをつくって、実験室の中で仮にローラーの上を走行モードに沿って走らせて排ガスの規制値の当てはめをやる、こういうことになっているわけですが、それは各国の走行実態を踏まえて走行モードというのはできる。そこの走行モードというのが、例えば走行距離だとか速度とか、国々によって違う設定になっているということでございます。
 例えば、日本と欧州の乗用車の走行モードを比較いたしますと、平均車速でいいますと、日本の時速二十キロに対しまして欧州では時速三十キロ、こういうふうに違います。それから、走行距離に関していいますと、日本の場合には四キロ、欧州では十一キロのモードを使っているということで、それぞれ違うということなので、単純に冒頭申しましたような規制値の違いだけでその数値どおりの差があるということではないということでございます。
 ただ、一般的にいいますと、日本の自動車排ガスの中でのPMの規制というのがヨーロッパに比べてやや甘かったのではないかと言われることはしばしばあるわけでございます。
 それなりに努力をしてきたわけでございますけれども、一つ言えますことは、NOxの排ガスの除去の技術とPMの方の除去の技術というのはある意味でトレードオフの関係にありまして、総じて我が国の場合には、従来NOxの方の規制を大変重視してきたというような政策的なプライオリティーみたいなものがあったのではないかなという感じがいたしておりますが、これからはPMについての排ガス規制というのは大変重要でございますので、本格的に取り組んでさらに規制強化を進めていきたいと考えているところでございます。
○福山哲郎君 そのNOxの方にプライオリティーが高くてトレードオフの関係だというのは一面よくわかるんですが、なぜNOxの方にプライオリティーが高い政策の決定がされてきたのか。その経緯は何か明確な理由はあるんでしょうか。
○政府参考人(松本省藏君) やはり窒素酸化物につきましては、硫黄酸化物とあわせましていわゆる典型的な大気汚染物質というようなことで、環境基準もNO2の形で昭和四十八年から設定をされているわけでございまして、そういう具体的な政策目標というのが早くから設定されていた。
 それに対してPMの方は、SPMは環境基準はあったんですけれども、もう一つ具体的な健康影響その他あるいは具体的な対策の取り組み方、なかなか難しいところもあったりはっきりしないところもあるというようなことで、ちょっと窒素酸化物に比べますと、過去において何もしなかったということではありませんけれども、やや窒素酸化物対策の方が進んだのかなというようなことではなかろうかと思います。
○福山哲郎君 それと、細かい話ですが、先ほどの試験方法の問題なんですが、それはお互いの国で違う。先ほど欧州と日本の違いを言われましたが、アメリカもやっぱり違うんですか。
○政府参考人(松本省藏君) アメリカも違います。
○福山哲郎君 それは、例えばそれぞれの国なり地域での大気汚染の度合い、それぞれの気象状況とかあると思うんですが、その試験方法についてのすり合わせなり調整なりはするというような状況は国際的な議論の中ではないんですか。
○政府参考人(松本省藏君) それぞれの国の事情に応じてということで、余り今までは連携もなかったわけです。今後の課題として、欧米諸国と日本との間でのそういう具体的な走行モードについての、全く同じパターンにするかどうかという話ではなくて、比較連携というのは必要になってくるかと思います。
○福山哲郎君 まだ幾つかあるんですけれども、もう時間になりましたので、大臣に最後に少し御決意をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) NOx法の改正というのは、これから大気汚染対策を進めていく上で非常に重要なことだというふうに私ども考えております。
 環境省といたしましては、必要なことをやっていくために全力を尽くして取り組んでいく所存でございますけれども、ぜひこの法律の改正の成立をよろしくお願い申し上げたいと考えております。
○福山哲郎君 終わります。

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この内容の冒頭部分

 

第151国会  参議院  環境委員会  2001年5月24日

○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。

 まず、川口大臣、この間所信を伺いましたが、再任された後、初めての委員会でございますので、御再任おめでとうございます。

 国際会議の継続性を考えれば、大臣がかわったらどうなるのかなと思っておりましたら、小泉総理が川口大臣を再任ということになりまして、ほっとする反面また頑張っていただかなければいけないなと思っておりますので、よろしくお願いします。

 また、風間副大臣も御就任おめでとうございます。よろしくお願いを申し上げます。

 小泉総理になりまして初めての委員会ということで、久しぶりになります。小泉総理の所信には、「おいしい水、きれいな空気、安全な食べ物、心休まる住居、美しい自然の姿などは、我々が望む生活です。自然と共生するための努力を新たな成長要因に転換し、質の高い経済社会を実現してまいります。このため、環境の制約を克服する科学技術を開発普及したい」云々と述べられて、その後、環境問題への取り組みに対して、低公害車を初めいろいろ積極的な議論を展開されました。

 所信にこれだけ環境に割いていただくというのも珍しいことでして、僕は大変歓迎をしておるわけですが、川口大臣は再任をされましたが、一体この小泉内閣で大臣としては何か変化があったのか、また小泉総理自身からどんな指示が出ているのか、それから川口大臣自身何らかの変化が小泉総理になりましてあったかどうか、まずはこの辺についてお答えをいただければと思います。

○国務大臣(川口順子君) 冒頭に激励のお言葉をいただきまして、ありがとうございました。私といたしましても全力で課題に取り組みたいと思っております。

 小泉内閣で、所信表明に出ていますように、環境問題について今までよりも多くの言葉が割かれていまして、私としては大変に心強く、うれしく、また重責を感じております。

 小泉総理からは、私に環境大臣にというお話をいただきましたときに、自然との共生が非常に重要である、循環型社会の形成が重要である、それから地球環境問題への取り組みをしっかりやるようにという、まさに環境の課題全般にわたっての御指示をいただいております。小泉総理の思っていらっしゃることをできるだけ具体的な政策として実行していくための努力をしたいと思っております。

 それからまた、小泉総理の所信表明の中で、国民のといいますか、生活者の目線に立ったということをおっしゃって、タウンミーティングですとか、それから小泉総理のメールマガジンのお話がございまして、この点につきましても、私は特にことしの一月以降、全く同じ発想でタウンミーティングを行い、それからMOEメールといいまして、環境省にEメールでお便りをいただくということを始めておりまして、環境省の考えてきた方向性あるいはやり方が正しかったということを小泉総理に裏書きをしていただいたと思っておりまして、それも大変にうれしく思っております。

 私自身が基本的に小泉総理のもとで今までの考え方と非常に違う考え方で物事を進めていこうとは思っておりませんで、今まで考えてきましたように生活者の目線に立って、小泉総理のおっしゃった課題というのが私もずっとそれが課題であると認識をしてきておりましたので、取り組みに全力を尽くす所存でおります。

○福山哲郎君 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 環境問題について、国民の目も含めて大変厳しくなっておりますので、大臣の今後の頑張りに期待をしたいところでございますが、再任早々いろんな国際会議等が、七月にボンの会議がありますし、大変な状況だというふうに思います。つい先日にはプロンクが日本に来て大臣と会談をなされたという状況で、ほっとする間もなく恐らく走り回っておられるのだろうというふうに思いますが、まず四月、大臣はニューヨークに渡米をされました。ニューヨークでの会合に出られた後、ワシントンにまで足を延ばされて、アメリカの主要な人物とお会いされてきたわけでございます。

 その四月に渡米される直前に、衆参で国会決議が行われました。この国会決議に関しては、いろんな御議論はあると思いますが、私は大変評価をしておりまして、「我が国は地球温暖化防止京都会議の議長国として京都議定書を取りまとめた特別の経過がある。したがって、政府は率先して批准し、地球温暖化防止の国内制度を構築するとともに、京都議定書の二〇〇二年発効を目指して、国際的なリーダーシップを発揮すべきである。」という国民の負託をいただいた衆参両決議が行われて、これをある意味でいうと携えてアメリカへ大臣は行かれたわけです。

 この決議について、大臣は、内容についてどのような重みと、内容についてどのような評価をされているのか、どのように感じておられるのか、お聞かせをいただけますでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) いただいた国会決議は大変に重いものと受けとめております。

 アメリカに参りましたときに、この決議についてお話をいたしまして、これを英語に直して紙にして持っていきまして、これが全会一致であったことも含めてお話をいたしております。

 政府といたしまして、二〇〇二年までに京都議定書が発効しますように、これからの会合で全力を尽くして取り組んでいきたいというふうに考えております。

 それから、日本自身が国内制度を構築するということが非常に重要でございまして、国際的な合意を踏まえまして、締結に必要な国内制度の構築をやっていきたいと思っております。また、ハーグ等での経験で、国内制度の構築というのが日本の国際会議の場での発言の信頼性につながるものであるということも強く認識をいたしております。

○福山哲郎君 ぜひ国会決議を大切に、重みを持ってやっていただきたいと思います。

 四月二十一から二十三日、ほぼ報道でも出ていますし、環境省から私も報告を聞いておりますのであれなんですが、ワシントンへ行ってきたときのアメリカの様子ですね、済みません、事前通告には、アメリカに説得をしてきてその後アメリカとの接触があるのかということを聞いてあるんですが、実際に行ってこられて、アメリカとの会談の中身等について、国会の場でも一応言っていただいた方がいいかなというふうにちょっと今話をしていて思いましたので、大臣、大丈夫だと思いますので、事務方でも結構でございますから、四月のワシントンでのアメリカとの会談の内容等をお知らせいただければと思います。

○政府参考人(浜中裕徳君) お尋ねの川口大臣ワシントン訪問の際の会談の内容でございますけれども、ホイットマン環境保護庁長官、それから国務省ではアーミテージ国務副長官、さらにはホワイトハウスでリンゼー経済担当大統領補佐官とお会いをいたしまして、あるいは共和党のクレイグ上院議員ともお会いをしております。

 それらの会合におきまして、まず我が国がアメリカの京都議定書不支持表明が気候変動交渉に与える影響を強く懸念しているということ、それから、米国が引き続き京都議定書の発効に向けた交渉に参加をして、我が国とともに積極的に合意を模索するよう強く希望をしているという点を申し入れております。

 また、ただいま大臣から申し上げましたとおり、我が国の方針は、引き続き二〇〇二年発効を目指してCOP6再開会合での合意に向けて努力する方針であるということ、そして、国会、衆参両院で国会決議が全会一致で可決されたことも、先ほど大臣から申し上げましたとおり英文でもってお渡しをしながらその内容をお伝えしてございます。

 さらに、米国は現在、気候変動政策についての見直し作業をやっておられるわけですけれども、この作業の終了といいますか、提案を出されるタイミングが非常に重要であるということを強調させていただきました。したがって、この見直しを早急に完了して、七月のCOP6再開会合に十分先立って具体的提案を提示するように要請をしております。

 また、この政策見直しにおきましては、京都議定書でそもそも市場メカニズムの活用を図ることができる、そういう仕組みも用意されているわけでございます。したがって、費用効果的に削減目標の達成が可能ではないかという点。それから、米国経済への悪影響を懸念しておられるということですが、そういう目先の経済コストだけではなくて、対策がおくれることによる環境へのコスト、それから、省エネ等の分野で技術革新や市場創出などの利益もある。つまり、経済的な機会を生み出すということも、対策を進めることによってそういうこともあるのではないか、そういうこともあわせて考慮すべきではないか、こういう点を指摘させていただきました。

 これに対しまして、米国側からは、我が国の立場はよく理解をした、そして大統領にこれを伝えたい、基本的に米国の京都議定書不支持という立場は変わらないということを繰り返しておられましたけれども、政策見直し作業については非常に真剣にやっている、そして緊急の課題として閣僚が作業を行っているということでございまして、具体的な完了時期は明言はできませんけれども、七月のボン会合までに提案を提示するように努力をしたい、そして日本には必ず相談をするというふうに述べていたということでございます。

 以上、概要を申し上げた次第でございます。

○福山哲郎君 ありがとうございます。

 京都議定書不支持という立場は変わらないということは、やっぱりかなりはっきり言明をされているんですね。

○政府参考人(浜中裕徳君) そのようにおっしゃっておられたわけでございます。

○福山哲郎君 ボンの会議には出られるとは言っておられるんですね、相変わらずというか、変わらず。

○政府参考人(浜中裕徳君) そのように、ボンの会合には出席をするというふうにおっしゃっておられました。

○福山哲郎君 僕はやりとりがわかりませんからニュアンスがわからないんですが、新提案を準備している、新提案をボンの会合までに出したいということを言われたというふうに今、浜中局長はおっしゃいましたが、新提案を出すけれども、ボンの会合には出席するとおっしゃっているんですね。それでよろしいんですか。

 いや、その論理構成がよくわからないのはわからないんですが、大臣、どうでしたか、アメリカの高官とやりとりされて、やっぱりかたいなという感じなんでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) 二点申し上げたいと思うんですけれども、一つは、アメリカの政府の中での議論が非常に真剣なものであるということでして、これは例えば、私はアメリカの政府の高官に会ったのと同時にワシントンにいるシンクタンクの方等にもお会いをいたしましたけれども、そこでホワイトハウスから意見を求められているとかというようなお話がございまして、ホワイトハウスといいますかアメリカ政府においては、ワシントンの中で、あるいは全米から関係の人たちの意見を聞きながら、閣僚レベルで真剣に議論をしているということがよく伝わってきました。閣僚レベルでこういった問題をこれほど頻繁に議論をしたケースというのは前にはなかったという話も聞きました。そういうことから、非常に真剣な議論が行われているということでございます。

 それからもう一つは、これは本当に私の印象ということでございまして、国会で申し上げるのがいいのかどうかというのもよくわかりませんけれども、アメリカ政府の中の検討が、あるいは事態の認識の仕方が、時間を追うに従って変わってきているのではないだろうかということでございます。

 これは、アメリカの政権、新政権が一月の終わりに発足をいたしまして余り時間がたたないところで一つの発言が京都議定書についてあって、それから、日本の働きかけも含め国際的なさまざまな反応があったということを背景に、向こう側の反応の状況が変わってきているのではないだろうかという感じがいたしております。

 したがいまして、私が行きましたのは四月の下旬でございまして、それからほぼ一月ぐらいの日数が流れているわけでございまして、その後もアメリカ政府の対応というのは変わってきているんではないだろうか、あるいはその可能性があるというふうには思っております。

○福山哲郎君 済みません、具体的に大臣はどういうふうに変わってきているというふうにお考えなんでしょうか。

 要は、言葉は悪いですが、今大臣が言われたことをわかりやすく言うと、事の重大性、就任直後のブッシュ政権がこのことを発表したことによっていろんな影響が出てきて、これはちょっとちゃんとやらなければいけないなというふうに聞きようによっては聞こえたんですが、別に悪い意味で申し上げているのではなくて、要は、どういうふうにちょっと変わってきたと感じられているのかお答えをいただけませんか。

○国務大臣(川口順子君) 国会で申し上げるのがふさわしいかどうかと申し上げたのは、まさにそれが私の個人的な感触にしかすぎないということで申し上げておりますので、それを前提にお聞きいただいたんですけれども、まず、一般的に環境問題についての取り組みについて非常に真剣になってきたということでございます。

 これはどういうことでそう私が思ったかということですけれども、ワシントンポストその他の、ブッシュ政権が百日ぐらいたったところでの世論調査がございまして、その中で、一般的に非常にブッシュ政権のアメリカ国民からの支持率というのは高いわけでございますけれども、環境政策に対しては実はそれほど高くないという世論調査の結果があらわれておりまして、これも私がいろいろな人から聞いたところですと、ブッシュというのは政治的に非常にリアリストであると。したがって、ちょうど私がおりましたころに、POPs条約への対応ですとか、幾つかの環境問題についての新しい姿勢を、ホイットマン環境保護庁長官をホワイトハウスに呼びまして二人で記者会見をするという形でやっておりまして、まさにそういったことにこたえているのではないだろうかということでして、地球温暖化問題につきましても、先ほど申しましたように、ワシントンの周辺あるいは全米からいろいろな人を呼んで話を聞いている、閣僚レベルで顔を合わせて取り組んでいるということからそういうような熱心さが増してきたという印象を得ているということでございます。

○福山哲郎君 ありがとうございます。

 その変化の中、アメリカ、一月ほど前に行ってこられましたが、その後、日本としては説得をするとずっと言われておられたわけですが、この一月の間にアメリカ側との接触は、大臣みずからもしくは事務レベルでも結構でございます、あるのか。それから、今の熱心という印象論は逆に言うと大変ありがたかったんですが、何らかの形での具体的な政策レベルでの変化等はこの一月あったのでしょうか。

○政府参考人(浜中裕徳君) 川口大臣は訪米後も米国に対する働きかけを引き続き行っておるところでございます。先週パリで開催をされましたOECD環境大臣会合及び閣僚理事会に際しましては、風間環境副大臣から米国高官に対して直接働きかけを行っていただきました。また、川口大臣からは、四月に訪米をいたしましてワシントンでお会いをしたような米国高官に対して、その後も電話会談を通じて働きかけを行っていただいております。さらに、国会のお許しが得られれば、来月末に開催が予定されております非公式閣僚会合等に大臣に御出席をいただいて、その機会に大臣からさらに働きかけを行っていただきたいと考えております。

 こうした働きかけを通じまして得ておりますアメリカの基本的な考え方について何か顕著な変化が見られたかということになりますと、そこまではまだ今のところは至っていないというふうに受けとめてございます。

 以上がこれまでの状況でございます。

○福山哲郎君 電話会談等で何回か働きかけをされておられるというふうにおっしゃっていますが、これ、答弁できるならば、どのレベルの方と大臣は電話でお話しされているんでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) 私が四月の終わりに国会のお許しをいただいてアメリカに行ったことの成果の一つは、これ以降電話で実は話ができるようになったということでございまして、そのときに会った政府の高官の方々と電話でお話をいたしております。

○福山哲郎君 それは、具体的には役職名、名前は無理でしょうか。

○国務大臣(川口順子君) 先ほど浜中局長から私が会ったと申し上げた方々です。

○福山哲郎君 ありがとうございます。

 ところがその後、先週末、アメリカが例の国家エネルギー戦略を発表されたわけです。この内容は温暖化にも十分関係してくる内容だというふうに思いますし、このアメリカの国家エネルギー戦略について大臣は今どのように評価されていますでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) アメリカのエネルギー戦略が発表になりまして、これも地球環境問題についての閣僚レベルの議論と全く同様に閣僚レベルで議論をされていたものでして、こちらの方が先に発表されるというふうに言われていまして、そのとおりそういうことであったということで、一つには閣僚レベルで行っている議論のまともさといいますか真剣さということがこれが発表になったことで証明をされたということではないかと思います。

 具体的な中身につきまして、これは柱が五つありまして、その五つのうちの恐らく二つ、省エネルギーとそれから環境保全の加速化という部分が環境問題にも関係をしてくるというふうに思っております。

 それで、気候変動政策という立場からいいますと、このエネルギー政策の裏づけになるデータ集によりますと、自然体でいった場合、ビジネス・アズ・ユージュアルでいった場合に、CO2の排出量が九〇年に比べて二〇一〇年で三四%増、それから二〇二〇年で五一%増加するというシナリオになっていまして、原発の新規建設ですとか、省エネルギー政策としてのハイブリッド車の普及推進などについての記述があるということですけれども、これに関してどれぐらいが定量的に減るんだということについての評価はなされていなかったというふうに思っております。

 こういったことにつきましては、恐らく今後出る気候変動についての閣僚レベルのレビューの発表の段階で出てくるということだと私は思っております。

○福山哲郎君 ということは、ある程度この国家エネルギー戦略へ出てきた内容がベースになって、次の新提案にはやっぱり基本的にはベースとしてはつながってくるというふうにお考えですね。

○国務大臣(川口順子君) 基本的なデータは同じであると思います。

○福山哲郎君 さっき風間副大臣にお尋ねするのをちょっと忘れてしまいまして、副大臣、OECDに行かれて、済みません、今の話の流れで出てきた話なので、もう印象論で結構です。アメリカの高官とOECDでお目にかかられて、今、交渉で説得に当たられたというふうに伺いましたが、ある意味でいうと、副大臣として初めての大きな仕事をされに行かれたわけですが、アメリカとの接触の感想、印象をお聞かせいただけますか。

○副大臣(風間昶君) 五月十七日のOECD閣僚理事会での合間に、合間といいましょうか会議中ではございましたが、アメリカの国務次官補代行の方とこのことにつきましても、まず働きかけの前に向こうの確認と我が方の趣旨をきちっとお話をさせていただいて、四十分ぐらい会談をさせていただいたわけでありますけれども、政策の検討作業については、今大臣からもお話がありましたように、まさにブッシュ政権が真剣に閣僚レベルでの会合を続けておるということで、特に気候変動のことに関しまして今一生懸命努力している、それをまずわかっていただきたいという向こうのお話でした。で、ボン会合の前にそのことが終わることを望んでいると。しかし、いつまでにということについては現時点では確信を持って言えないんですということで、最終的には我が方の、日本としての、アメリカにパートナーとなって一緒にやりましょうよということを再三再四にわたって要求といいましょうか、こちらの言い分、主張は十分理解をしていただいたと。ただ、ではいつまでにということについては約束を持って期限をつけて言うことは今まだできないということでございました。

○福山哲郎君 なるほど。実は、アメリカ側からの新提案がボンの会議までにという話が先ほど浜中局長からもありましたけれども、報道では、間に合わないのではないかという報道もあります。今のところは具体的に新提案の時期については、今、風間副大臣が言われたとおり、全くボン会合の前ということ以外は何らかのめども、この辺ぐらいまでというのも、そういうこともほとんど回答はなかったんでしょうか。大臣、副大臣、局長、どなたでも結構でございます。

○政府参考人(浜中裕徳君) これまで私どもがお話を伺っているところでは、ただいま先生がおっしゃいましたとおりでございまして、あるいは我々がこれまで申し上げたとおりでございまして、具体的な時期は明示できない、約束できないけれども、COP6再開会合までに間に合わすことができるように努力をしていきたい、こういうような話を伺っているところでございます。

○福山哲郎君 今、日本は二つのオプションを持っていると私は思っています。一つは、アメリカの提案がボンの会議に間に合って、十分議論ができる日数も確保して、そしてその後、EUやもしくはアンブレラグループで議論をしてボンの会合になだれ込んで、何とかアメリカもという日本の意向も含めてボンの会合に入れるのか。もしくは、アメリカの提案が、今おっしゃられたように、報道によればボンに間に合わないという話も出てきていますし、例えば間に合わない、もしくはぎりぎりで、議論の余地もなくて、いきなりボンの会合で平場で議論をするような状況になったときにどうするか。

 私が、きょう、どちらかというとこうやって何となくおとなし目に話をしているのは、ある意味でいうと、前にも後ろにもとまらない、相手にボールがある状況ですから、今大臣や局長に僕がぎゃんぎゃん言っても物が進まないのもわかっているつもりですので、ちょっときょうはこういうふうな感じのトーンで言っているんですけれども。

 どうでしょう、この二つのオプションで現実に間に合うんでしょうか。大臣、今の現状認識をお聞かせいただけますか。

○国務大臣(川口順子君) 福山委員が今二つのオプションがあるというふうにおっしゃられました。

 まず最初の方のオプションですけれども、私は、気候変動問題というのは環境十全性という視点で物事を考えるべきである、判断すべきであるというふうに思っておりますので、そういう観点から申し上げれば、最初のオプションというのは非常に一番ベストのケースであるということでございます。

 ということであれば、今の段階では、ボンまで二カ月ございますけれども、関係国と連携をして、できるだけアメリカが京都議定書にボンにおいて積極的に議論に参加できるように精いっぱい働きかけるということでございまして、先ほど申しましたように、私はアメリカとも電話で話をしたりいたしますけれども、それだけではなくて、ほかの国々の方ともそういう観点から電話で話をしております。そういう意味で、今必要なことは、ありとあらゆる機会を使って、それから会議の場もございますし、働きかけを行っていくということにまさに尽きるというふうに考えております。

○福山哲郎君 一つ目のオプションのお答えは多分そのとおりだと思いますし、それに御努力もいただかなければいけないんでしょうが、交渉ですから、交渉の過程でいろいろなことが起こりますので、一つ目のオプションがうまくいくかどうかもわからないけれども努力をいただく、これは間違いないです。

 しかし、我が国のスタンスとしては、最悪のオプションも考えながら、ボンにどう臨むかということも、やっぱり準備は政治としてはしなければいけない、政府としてはしなければいけないというふうに私は思っています。

 御努力いただくことはもちろんです。御努力いただいた上で、もし万が一、今のようにいろんな報道がある、ましてや、これ、きょうの日経ですからもう皆さんお目通しいただいていると思いますが、アメリカの下院議員が、京都議定書にアメリカ政府が復帰することはあり得ないと。この下院議員というのはアメリカの下院のエネルギー商業委員会の委員長で、ブッシュ政権のエネルギー、環境政策に大変大きな影響力を持つと。この人が六月中に新しい骨組みを伝えるというふうなことを言っておられますから、さっき大臣が言われたように、オプションとしては第一のオプションがちょっと見えてきているのかなとも思いますが、このオプションが全くEUも含めて京都議定書の枠組みから逸脱したもので乗れないときに我が国としてどうするかという準備は、交渉事は一生懸命やっていただくのはもちろんですが、我が国の政府の対応としてはどういうスタンスで臨むのかという準備は必要ではないかなと思っていますが、そこに対しては大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) 先ほどのもう一つのオプションですけれども、私は、おっしゃった二つのオプションというのは、実は両方の、言ってみたら極端なケース、その両端のケースをおっしゃられたというふうに思いまして、実際その間にいろいろな可能性がまだほかにもあると思います。

 今二カ月を残した時点で、もちろん将来的にいろいろなことが起こり得るということはそうなのかもしれませんけれども、今関係国と話をしておりますことは、アメリカへの働きかけというベストな、働きかけてベストな成果を得るということを目指してみんな一生懸命やるべきであろうということで動いておりまして、私が報告を聞いたところでは、この間のOECDの会合でも、こちら側のオプション、もう一つの反対側のエクストリームなケースということについて、それをどうするかという議論はまだ国際的に行われていないというふうに承知をいたしております。

○福山哲郎君 アメリカ側とのいろいろな電話会談を御努力いただいていることは今承りましたし、今の大臣のお話も多分交渉上はそういうことなんだろうと思います。

 では、実際にもう一つの非常に気になりますEU側ですが、風間副大臣が行かれているのであれなんですが、大臣自身はEU側との現実の接触としてはこれまでどういうような形で行ってこられたのか、お教えいただけますでしょうか。

○政府参考人(浜中裕徳君) まず事実関係の方から先に申し上げたいと思いますけれども、EUとの間ではやはり一番大きな出来事といたしましては、四月の初めだったと思いますが、四月の九日でございますが、EUトロイカということで、現在議長国のスウェーデンのラーション環境大臣を団長とする代表団が日本にやってこられて、川口環境大臣や当時の河野外務大臣と会談をされたわけでございます。

 そのときの、私どもと率直な話をさせていただいたわけでございますが、そのときにも米国との関係におきましては、日本もEUも米国の参加が実効ある京都議定書の実施を確保するとともに、地球規模の行動、つまり、例えば将来的な途上国の参加というようなこともにらみますと、地球規模の行動を今後強化していく上で極めて重要であるということで、米国に対する働きかけを引き続き行っていこうというようなことで一致をしたわけでございまして、日本とEUとの間で今後とも密接な連絡をとっていこうというようなことでございました。

 その後、ニューヨークで川口大臣、出張されまして、プロンク議長主宰の非公式閣僚会合の際に、二国間会談という形でラーション環境大臣あるいはその他の主要なEU加盟国の閣僚とも会談をしていただきましたし、それから欧州委員会のバルストロム環境担当委員とも個別にお会いをいただいて意見交換をさせていただいております。

 それぞれ率直な意見交換もさせていただいているところでございますけれども、第一のオプションと先生おっしゃられました、やはりベストは米国の参加を得ることであるということでございまして、そして気候変動交渉、この十年間で一番今は難しい時期、いわば危機的な状況を迎えているわけであります。その中でどのように新しい発想といいますか、新鮮な発想も加えながら、本質的な意味で京都議定書を生かしていくような方策を探っていく必要があるんじゃないかというようなことで、大変有意義な意見交換をさせていただいたんではないかというふうに感じているところでございます。

○福山哲郎君 一月前のニューヨーク以外は、先ほどありましたように、電話も含めてEU側とは接触は今のところまだないんでしょうか。

○政府参考人(浜中裕徳君) それ以外には、例えば五月の連休明けでございましたけれども、同じEU議長国のスウェーデンの環境大使というお立場のボー・シェレーン大使がいらっしゃいました。たしか先生ともお会いになっていらっしゃると思いますけれども、そのときにもやはり私ども会合をさせていただきました。川口大臣とも会っていただきました。基本的には同様の趣旨の意見交換をさせていただいたというふうに受けとめております。

○福山哲郎君 では、EU側とは、例えば電話などでバイで大臣がやらせていただくようなのは今のところはまだ行っていないということでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) EU側と電話で直接話をしているということはございません、議長とというのはありますけれども。それは、日本はアンブレラの国でございまして、基本的に交渉事はグループでやるということでございますので、そういうことになります。

○福山哲郎君 そんな中で、二十日の日に、プロンク議長がわざわざ日本に来られて大臣と会談をされました。恐らく、第一のオプションをどうするのか、もしくは京都議定書をどういうふうにまとめていくのかということのいろんな動きの中の一つだったというふうに思いますが、プロンク議長は何の目的で来日をされて、会議内容はどうだったのか、お答えをいただけますでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) プロンク議長は、これから会議、といいますのはその全体の気候変動枠組み条約に基づく今後の動きを、COP6の議長でございますので、どういうふうにしていったらいいだろうかということをいろいろお考えでいらっしゃるということで、各国から、主要国からそれについてどうしたらいいかということの意見を聞きたいという観点でまさにアドバイスを得るためにお見えになったということでして、日本との話というのは一連のプロンク議長が考えていらっしゃる会談の一環でして、そのほかに、他の国々とも話をなさったり、あるいは今後する予定でいらっしゃるというふうに聞いています。

○福山哲郎君 中身を教えていただけますでしょうか。川口大臣がお伝えをしたことでも結構でございます。

 今のお話でいうと、要は各国からアドバイスをいただきにということですので、日本としてはどういうメッセージを伝えられたのか。

○国務大臣(川口順子君) 半分しかお答えしないで失礼をいたしました。

 まず、アドバイスを得に来たということでございますので、交渉したわけでもなく、したがって、当然に合意をしたとかそういうことではございません。

 私とプロンク議長の話につきましては、プロンク議長からの強い御要望がありまして、自分が言ったことについては自分も外に一切言わないし日本からも出さないでほしいということでございましたので、申しわけございませんが、私がプロンクに言ったことをお話をさせていただきたいと思います。

 それで、小泉政権、新しい政権になって方針が変わったかどうかということにつきまして、京都議定書の二〇〇二年までの発効を目指して最大限努力をするという方針であって、従来とその点については全く変わりがないということを申しました。それから、アメリカの参加が極めて重要である、これは環境十全性の立場から重要であるということを申しました。したがって、アメリカの参加を含む形での合意が成立するように引き続き努力をすることが重要であるということを申しました。それから、その観点から、EUのフレキシビリティーが非常に大事であるということを申しました。それから、日本にとりましてもプロンク・ペーパー、新しいプロンク・ペーパーですけれども、につきましてはシンク、京都メカニズム等あるいは遵守とかいろいろございますが、問題点があるというふうに言いました。それから、COP6再開会合の成功に向けて、日本は積極的に協議に参加をしてプロンク議長を助けていきたいというふうにお話をいたしました。

○福山哲郎君 ここから先はもうお答えいただけないと思いますからあれなんですが、基本的に議長がアドバイスというか各国が何を思っているのかを伺いに来たということは、現実にCOP、七月のボンまでにどういうふうなオプションがあればまとまるのかと様子を、ある意味でいうと雰囲気をじかに大臣に話をしに来たなというふうに考えるのが、多少うがった見方かもしれませんが、そういう状況ですし、なおかつ大臣が今思わせぶりに言われたように、プロンク議長からの発言については表に出してくれるなということは、逆に言うとプロンク議長の発言にはそれなりの重みがあって、それなりのいろんな含みがあったのではないかというふうに、逆に我々は、いいように解釈すれば、恐らく建設的な議論がプロンク議長も含めて始まっているのかなと。アメリカの対応もほぼ状況が見えてきて、提案がどうなるかは別にして、京都議定書をまとめるのにどうしたらいいのかという具体的な動きをプロンク議長がし出しているのかなというふうに私としては前向きにとらえたいなというふうに思っています。

 それに対して日本の、プロンクからの提案なりこういうところで京都議定書はどうなんだということに対して、川口大臣の感触を確かめに来たのかなというふうに思っておりまして、少しは、半歩ぐらいは物事が前に進んでいるのではないかなというふうに思っておるんですが、コメントはしようがないと思いますが、大臣いかがですか。

○国務大臣(川口順子君) コメントはしようがないというふうにおっしゃっていただいて、本当にコメントの申し上げようがないんですけれども、一つ申し上げますと、プロンク議長が日本に来たのは、ニューヨークの会合の一番最後のところでプロンク議長に対して会場から、要するに参加国から、これから進め方についていろいろな国から意見を聞いてやるようにという意見が出ておりましたので、言ってみたらその宿題をプロンク議長がやっていると、そういうことかと思います。

○福山哲郎君 でも、それは電話でもできますし、わざわざキーの国である日本に来て大臣と直接二時間やられるというのは政治的には意味があるんじゃないかなと思うのが普通でございまして、そこはこれ以上深くは突っ込みません。

 ただ、とにかく七月まで時間がないということと、アメリカの提案に対してやっぱり相当世界も注目をしているということで、私は何としても京都議定書はつぶしちゃいけないと思っています。アメリカが例えば今戻ってこなくても四年後に戻ってくる道もあるわけですし、とにかく京都議定書は発効させなきゃいけないというふうに私は思っていますので、ぜひそこは二カ月の間ぎりぎりの折衝を続けていただきたいと思います。

 最後に、環境問題全般ではなくて、温暖化の問題、京都議定書の問題について、小泉総理または田中外務大臣と御意見を交わされたり何か議論されたことはございますでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) 小泉総理とは、前に申しましたように、私が環境大臣になるに当たって小泉総理から幾つかのことをおっしゃっていただいた中の一つでございまして、この問題について合意が可能となるように努力をせよということでございました。それで、私からは、これは官邸での記者会見の際にも申し上げたような漠然とした記憶もございますけれども、ボンでの会議で合意をするに当たって、最後の段階で総理のリーダーシップをいただかなければいけないという可能性が非常にあるので、ぜひよろしくお願いを申し上げますということを申し上げております。

 それから、田中外務大臣とは、所信表明演説の閣議というのが五月六日にございまして、その閣議において、二〇〇二年までの京都議定書の発効を目指して、COP6再開会合での成功を目指して最大限の努力をするということを確認をいたしております。

○福山哲郎君 そこは確認ということで、個別にそれはしゃべられたわけではないんですね、田中外務大臣と。

○国務大臣(川口順子君) 個別にお話をしたわけではございません。

○福山哲郎君 では、ぜひ二カ月間頑張っていただきたいと思います。

 ちょっと話題を変えます。

 現在、日本に生息する野鳥というのは、鳥獣保護法で原則として捕獲も飼育も禁止されています。しかし、日本と同一種の野鳥が現実には輸入をされているという実態があるというふうに思いますが、輸入をされているという数、一体どのぐらい野鳥が輸入をされているのか。一九九八年ぐらいから、九年度、二〇〇〇年度、二〇〇一年度ぐらいまでの数字をお示しいただけますでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 今お尋ねの我が国への鳥類の輸入につきましてでございますけれども、これにつきましてはそれを明らかにするような統計がとられておりませんで、把握していないところでございます。

○福山哲郎君 把握していないというのはちょっとびっくりするんですが、新聞等を見ると、年十万羽とか数が出ている部分があるんですが、今、環境省が輸入に対して把握していないというのはどういうことなんでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 今、恐らく新聞等で十万ということで御指摘になりましたのは、現在、鳥類の販売に係る民間の業界団体がございまして、この業界団体の自主的な取り組みといたしまして自主的に輸入証明書というのを発行しております。その発行数というものが実態を反映しておるのであればその発行数が輸入数に近いのであろう。そういうことでいきますと、メジロ、ホオジロなどに対して年間合計約十万枚ほどの証明書が新規発行されたというふうに聞いておるところでございます。

○福山哲郎君 済みません、今のは非常にわかりにくいんですが、環境省は把握をしていないと。ただし、業者がやられている輸入証明書でいうと十万羽が輸入をされていると。しかし、今局長言われたように、実態を反映していればという留保が国会の答弁で今ついたんですが、実態を反映していればということは、現実には環境省としてはこれ以外も数字は全然とっていないということでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 輸入をされます鳥類というのは、恐らく大部分はそれぞれの個人の方なりでお飼いになる、要するに飼養下にあるものでございまして、そういう面では我が国の野生鳥獣を守っております鳥獣保護法の体系とは別、要するにペットでございますとか飼養下にある鳥獣の世界でございますので、環境省といたしましては、鳥獣保護法の体系でこれを公的に把握するということはいたしておらないということでございます。

○福山哲郎君 鳥獣保護法では、でも輸入は禁止されているんですよね、禁止されていないんですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 鳥獣保護法におきましては、二十条ノ二におきまして一定の鳥獣につきまして、今申し上げましたメジロとかホオジロといったようなものを指定しておりますが、そういうものにつきましての輸入に関する規制がございます。

 この趣旨は、我が国の野生のメジロ、ホオジロなどの鳥獣を保護するという場合に、むやみに外国から輸入をされるということがございますと、そういうものとの混同等が起こりまして我が国の保護の実を上げ得ないのではないか、こういう趣旨から輸入の規制を行っているものでございます。

○福山哲郎君 輸入の規制を行っているのに十万羽輸入されていて、その数を把握していない、環境省は。実態を反映していればという留保つきですが、現実問題として、輸入を規制しているのに数を把握していなくて、どうやって輸入を規制できるんですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 本件輸入規制の仕組みは、鳥獣保護法の二十条ノ二で指定いたしました種類の鳥獣につきまして、通関当局におきまして、輸出国から適法捕獲証明書ないしは輸出許可証が添付される場合において、そのようなものが添付されていないものについては輸入を禁止するという形で規制が行われておるものでございます。

○福山哲郎君 そうすると、違法に捕獲をされたものとかは輸入はしちゃいけないんですか。今のは、適法にと言われたということは、向こうから輸出をしてくる際にそれが違法の場合には我が国には入らないということですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 当該輸出国におきまして鳥獣保護等の見地から所要の規制が行われておる、そういうものにつきまして輸出などをされる場合に当該国が所要の規制等を行うということはあると思いますが、それは直接には、まず第一義的には当該国の問題でございまして、我が国の場合におきましては、そういう当該国が適法に捕獲したものであるという証明書を添付する、あるいは輸出許可証、輸出を許可したという書類が添付されていれば、その鳥獣につきましての輸入は許されているというふうに二十条ノ二は規定しておるものでございます。

○福山哲郎君 数を把握していないのに聞くのも余り無意味なんですが、そのうち中国からの輸入はどのぐらいかはめどとしてはわかっているんでしょうか。先ほど言われた数字でも結構でございますが。

○政府参考人(西尾哲茂君) 今申し上げました民間団体の資料で全体で約十万と申し上げておりますが、概数で恐縮でございますが、そのうちの八割程度が中国からの輸入ではないかということでございます。

○福山哲郎君 ということは、八万羽というか、ほとんどだということなんですが、中国が野鳥の捕獲、販売、輸出を禁止したのはいつですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 一昨年、一九九九年の十一月二十九日付で中華人民共和国国家林業局が発出いたしました通知によりまして、同年一九九九年の十二月一日から原則として、原則として野鳥を捕獲、販売、買い付け及び輸出する活動を禁止するという方針が示されたと承知しております。

○福山哲郎君 一九九九年十二月の一日だとして、ほぼ二〇〇〇年として、先ほどの十万羽というのは去年の数字ですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 十一年の数字だと承知しています。一九九九年ですね。

○福山哲郎君 二〇〇〇年の数字はお持ちではないんでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 把握いたしておりません。

○福山哲郎君 では、二〇〇〇年は輸入で入ってきた野鳥はゼロですか。ゼロというか、中国から八割として八万羽があったとしたら、ゼロになっているんでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 数字を把握しておりませんので定性的なお答えで恐縮なんでございますが、通知発出以降も輸出行為が続いている現状にあるというふうに中国側からも聞いております。

○福山哲郎君 数字はわからないけれども実質的には入ってきていると。

 先ほど局長がおっしゃられたように、適法に捕獲したものは当該国から輸出をしてきて我が国としても輸入ができると。ところが、違法に捕獲されたものに関しては、今の表現で言いますと輸出も輸入もできない、特に我が国としては鳥獣保護法の関係で輸入ができないはずになっているのに、一九九九年十二月一日、中国では輸出も販売も禁止しているのに我が国は輸入の数が減っていないという実態は、一体これはどういうことなんでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 鳥獣保護法の第二十条ノ二を適用いたしまして輸入の制限を行うためには、輸出国、この場合は中国でございますが、中国が輸出をする場合におきましては、適法捕獲証明書かあるいは輸出許可証を添付するという仕掛けになっているということが前提として必要なわけでございます。

 それで、先ほどの中国の方針として、原則として野鳥の保護を厳しくするということをされたことは承知しているわけでございますが、しからばいかなるときに例外的に輸出が許されるのか、ないしはその場合には輸出許可証ないしは適法捕獲証明書を添付してくださるのかということが確認できませんと、この二十条ノ二の規定を発動させるというわけにはまいりません。

 この点につきまして、昨年来、扱いの詳細について中国側に問い合わせを行っておるところなのでありますけれども、どうも具体的な実務の取り扱い、添付してくださるということにつきまして不明確な点がございます。

 したがいまして、先般もその扱いの詳細についてはっきりとしたお答えをいただきたいというふうにお願いをしておりまして、そのお答えを聞きまして適切に対処いたしたいと思っております。

○福山哲郎君 きょうは財務省からも来ていただいていますが、現実には、輸出を禁止している当該中国から、我が国としても鳥獣保護法で輸入を禁止しているものを、これだけ禁止があった後も変わらない数を税関として通しているという実態、どういった実態でこうなっているのか、財務省、お答えいただけますか。

○政府参考人(花角和男君) 御指摘の中国につきましては、鳥獣保護法第二十条ノ二第一項に規定します「鳥獣ノ捕獲、採取又ハ輸出ニ関スル証明ニ付テノ政府機関」が確認されていないわけでございまして、鳥獣保護法の所管省庁でございます環境省は、中国からの輸入については鳥獣保護法第二十条ノ二第一項ただし書きに基づき証明書の添付を要しないとしているところでございます。そのため、関税局、税関としましては、中国からの野鳥の輸入については、関税法第七十条に基づく関係当局の証明書の確認を要しないという取り扱いをしているところでございます。

 現在、環境省におきましては、中国における野鳥の捕獲、採取、輸出に関する規制についての現状把握を行っていると承知しているところでございます。関税局、税関としましては、中国からの野鳥の輸入について、鳥獣保護法上の規制に服するとの見解が得られるならば、関税法第七十条に基づき関係当局の証明書の確認を行うことになると考えております。

○福山哲郎君 今の財務省の話によれば、そこの確認書を要しないという状況になっているから税関としては通さざるを得ないんだと。それは環境省がその措置をとっていないからだというふうに私は受けとめたんですが、環境省、いかがですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 二十条ノ二の規制を発動いたしますためには、輸出国が先ほど申し上げました証明書類を添付するのであるということが確認されている必要がございます。

 その点につきまして、私どもとしては、現時点で中国側に問い合わせておりますが、その具体的扱いにつきましての確認を得ておりません。したがいまして、税関当局に対して、そういう確認が得られたので二十条ノ二を発動して規制を行ってほしいという連絡を行うには至っていない状況にございます。

○福山哲郎君 しかし、片っ方では中国では輸出も販売も禁止をしている、そしてこちらも輸入を禁止している状況の中で、規制を財務省に言えばそこはある一定の歯どめはかかるのを、そのまま中国からの連絡が来ないからといって歯どめをかけないという状況でいいのかどうか。これは、局長、いかがですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 繰り返しになって恐縮でございますが、二十条ノ二の規定は、輸入の制限に関しまして相手国がそういう証明書を発給するという制度になっていない場合にはそれは要しないということが法文上明記されております。したがいまして、中国がそういう証明書を発給する仕組みになっているかどうかということの確認が何よりも先決であると思っております。

 その点につきましては何度も問い合わせをしておりまして、具体的にはこの三月にも野生生物担当課長同士でその点の明確な扱い方について御回答をいただきたいということをお願いしております。したがいまして、できるだけ早く回答を得て、それに基づいて的確な対応をすべきものというふうに考えております。

○福山哲郎君 証明書を発行する仕組みになっているかどうかすら中国から回答がないんですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 中国側の説明によりますと、例えば人工繁殖個体については、先ほど申し上げました野鳥の捕獲等を全面的に原則として禁止する通知の範囲の外側であるというような御説明がございます。その外側であるということは、そういう人工繁殖個体についてはその外側であるというのは輸出ができるということではないか。輸出ができるというときには証明書をつけていただけるのか、しかし先ほどの通知の外側であるのでそういうものについては証明書をつけるという手続がなくて、単に先ほど申し上げました原則禁止という通知の外側にあるだけなのか。そういったところが確認できませんと、現実に適法に輸出された個体につきまして証明書が添付されるかどうかわからないという状態でございます。その扱いにつきまして確認をしているところでございます。

○福山哲郎君 済みません、私が余りあれなので、ちょっともう一回整理して説明していただけますか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 失礼いたしました。少し説明が足りないところを補完いたしますと、輸出国が捕獲を禁止しているものを輸入することはよいのかどうかということが一つございます。これは、国際的にそういう鳥類を守っていこうということでございますれば、そういう国際的な枠組みの中でやらなきゃいけない事柄でございます。

 そういうものにつきましては、例えばワシントン条約がございます。これは、特定のものにつきましては両方できちんと輸出入をチェックする。それから、例えばある国が自国の保護の目的のために禁止措置などをとったものにつきまして輸入国でチェックをしてほしいというような場合は、ワシントン条約におきましてもV類といったようなものに登録いたしますればそういう措置がとられます。

 ただ、しかしながら、日本に輸入されておりますもののうちの非常に多くを占めるであろうと思いますメジロなどの小鳥類につきましては、恐らくそういう措置はとられておりません。したがいまして、私どもの方の輸入制限措置というのは、鳥獣保護法に基づきまして、国内の鳥獣の保護に影響のある範囲で輸入の制限を行うというものでございます。

 輸入の制限の仕方につきまして、鳥獣保護法の二十条ノ二ではこういう仕組みを置いておりまして一定のものについては輸入を禁止するわけでございますけれども、ただ、それぞれの国のルールに従いまして輸出が許されたものが入っているかもしれない。そこは区別をしなきゃいけない。区別をするためには、そういう証明書が相手国から発給されているかどうかということに基づくしかないわけでございますので、そういう証明書を相手国が発給するという場合は証明書の有無をもって輸入の制限を行うことにしております。

 しかしながら、この二十条ノ二にはただし書きがございまして、そもそもそういう証明書の発給ということを輸出国が行わない場合には確認のしようがありませんので、そういうものにつきましては現実に通関のときにそういう証明書の添付を要求するということはしないというふうに書かれております。ですから、結局、相手国が証明書の発給をしない仕組みになっている場合におきましては輸入の制限ができないという結果に鳥獣保護法の規定はなっておるわけでございます。

○福山哲郎君 わかったようなわからないような、わからないようなわかったようななんですが、相手国が証明書を発行する仕組みがなければ、今の鳥獣保護法の仕組みでは入ってくるときには規制できないということですね、簡単に言えば。

 財務省、それは環境省が規制をつくれば、相手国の証明書いかんは抜きで、環境省が鳥獣保護法の中で証明書のないものは入れるなということを言えば、それは法的には税関としてはとめられるんですか。

○政府参考人(花角和男君) 鳥獣保護法上、同法施行規則に規定された野鳥の輸入に際しましては、輸出国において適法に捕獲、採取された旨、または輸出を許可した旨を証明する政府機関の存在、これが確認されている場合には、同機関が発行した証明書を添付しなければ野鳥を輸入することができないとされているわけです。

 これを受けまして、税関においては関税法七十条の規定に基づきまして、輸出国において当該証明書の発給機関の存在が確認されている国を輸出国とする野鳥の輸入通関に際しましては、当該証明書を確認することにより輸入許可を認めているところでございます。

○福山哲郎君 僕、あほなもので、ちゃんとこれ議事録を精査して、もう一回法的にちゃんと根拠を見なきゃいけないと思いますが、大臣、今のお話を伺っていかがですか。十万羽輸入されているんです。現実には禁止されているんです、中国は。

 中国の国内の問題だということはよくわかりますが、そこを税関と環境省の間でお互い、環境省がこうだから我々はケアできないと言っていて、環境省は中国から証明書が出るかどうか問い合わせているけれども、返事が来ないからどうしようもなくてそのまま通しているんだと。全然、状況変わっていない。ただ、我々としてはこれは輸入も禁止しているし、中国側も輸出を禁止しているんです。で、十万羽入ってきている。ちょっと大臣、何か御議論いただければ。

○政府参考人(西尾哲茂君) 少し説明を補足させていただきたいと思いますが、野鳥の保護の見地から、今のような書類の有無あるいはその制度の有無を問わず、例えばある種類のものは輸入を禁止したらどうかという立論が成立するかというふうに考えますと問題点がはっきりするかと思います。

 ただ、これはそういうことも一つの考え方ではございますけれども、例えば国際的に保護をしようというワシントン条約のような枠組みの中におきましても、こういう輸出入を規制、禁止していく場合は、それぞれの国によりまして適法に捕獲するあるいは繁殖する等々、いろいろな事例がございますので、やはり何らかの証明書類あるいは許可証類というものをその制度の中にビルトインして規制をしているのが実情でございます。

 それとの均衡上も、当面我が国の鳥獣、国内の鳥獣を守るという見地から定められております鳥獣保護法の二十条ノ二の規定におきましては、やはり適法、現実に通関におきまして確認ができる関係書類、関係証明書ということを前提として制度を仕組むのが相当という考えで仕組まれているものだというふうに考えております。

○福山哲郎君 大臣、どうですか。

○大臣政務官(西野あきら君) 今の福山先生の御指摘のお話を聞いておりまして、私はこの内容について、環境省の中で協議をしたことでも何でもないんですが、所感を私なりに申し上げて、ぜひ研究しなきゃならぬなというふうに思っております。

 というのは、相手国の証明書があればそれを通関、自国で、我が国で水際でといいますか、入り口で確認する、それがなければ受け入れに対しては何のチェックもできない、こういうことでありますれば、問題は我が国として野鳥類が鳥獣保護行政に非常に影響があるということであれば、当然これ環境省としても考えていく必要があるのかなというふうに私は今その議論のお話を聞いて痛感をいたしました。

 したがって、こういうケースの場合、大臣も副大臣も環境省の幹部も聞いておられますので、こういう実態を踏まえて、案件等々について省内でぜひ検討をひとつしていくべきだ、このように思っております。

○福山哲郎君 大変前向きな御答弁ありがとうございます。

 実は、もう一個だけ嫌なことを言いますと、一九七二年の五月十二日、一九七二年というと、もう二十九年ぐらい前ですか、二十九年ぐらい前の衆議院の外務委員会で環境庁とのやりとりについて、「先ほど申しました適法捕獲証明書を必要とするような鳥につきましては、関税の御協力をいただいてそのようなチェックをやっておるわけでございますが、それ以外の鳥につきましては野放しというのが現状であったわけでございます。」、「現在法律としてではございませんが、自主的に盛り上がった保護という機運から生まれたことでございますので、それはけっこうなことではないか」と思いますと、政府委員が説明しているんです。

 「その点は今後何らかの形で業者にまかせないで、」、先ほど出てきたのが業者です。「環境庁なら環境庁でチェックをするというお考えはないのですか。」という一九七二年の国会でのあれに政府委員が、「先生の御指摘のような面もございますので、今後どのような形がとり得るのか、いろいろと検討してまいりたいと考えております。」と、二十九年前の国会の委員会で環境庁が説明しているんです。二十九年前です。同じような答弁があるんです。今局長がお答えになったのも、恐らく中身は何ら変わっていない。

 税関の中でいうと、税関でチェックする鳥の中には野鳥という項目はありません。これ基本的には多分商業ベースで食肉のもの中心だと思いますが、鶏、七面鳥その他のものです、家禽類。鶏、七面鳥その他のもの、野鳥をチェックするのが税関の仕組みではない。先ほど言った輸出国からの証明書がなければそのまま通る。相手国も輸出も販売も禁止をしている。我が国も輸入を禁止している。ところが、現実問題としてはこの水際のところで全部筒抜けだ。一九七二年、二十九年前から議論になっているのに実は前へ進んでいない。

 今、政務官から大変前向きな御答弁をいただきました。しかし、検討するだけじゃ物はどんどん入ってくる、野鳥もどんどん入ってくる。じゃ、中国に証明書を出すように我が国から求めるようなことはできないんでしょうか。中国も禁止をしている、我々も禁止をしているんだから、中国に証明書を出してくださいというようなことはできないのか。

 ましてや、回答待ちではなくて何らかの形の接触とか、それは汗をかこうと思えば幾らでもできるはずです。だって、中国が禁止したのが一九九九年十二月一日というから、もう二年たっているわけですよ。これはやっぱり不作為の責任があると言われてもしようがないでしょう、七二年からこういう答弁があるんだから。大臣いかがですか。

○国務大臣(川口順子君) 話を聞いていまして、私、ちょっとこの点については具体的に自分自身の勉強はしておりませんけれども、今のやりとりを聞いていまして、恐らく七〇年代と今と事情が変わったという一番大きな点は中国側が輸出の禁止をしたということであろうかと思います。

 それで、おっしゃるように一番多分この問題、何らかのエビデンスがないと通関のところでとめるということが非常に難しい。適法に輸入されているもの、あるいは適法に捕獲をされたものの輸入もとめなければいけなくなってしまうということになりまして、健全な商流に影響を与えるということになりますので、そういう意味では中国がエビデンスを出してくれるということが非常に重要だというふうに私も思います。細かいことは聞いていませんけれども、中国にそういうことをやる意図があるかどうか、やるように働きかけるということは重要なことだと思っております。

 それから、もしそれが不可能であった場合にどういう方法があるかというのは考えてみなければいけませんけれども、まず中国が実質的に輸出禁止をしたことがどれぐらい平成十二年の数字になってあらわれているかということのチェックも必要だろうと思いますし、それが余りないようであれば問題はかなり小さくなっていると思いますし、その辺の検討をまずやることが大事かなと思っております。

○福山哲郎君 現実には輸入証明書がついている野鳥が販売をされたりしているんですが、この輸入証明書というのは、発行はだれがして、どのような要件があれば輸入証明書は発行されるんですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 民間の業界団体であります日本鳥獣商組合連合会が、業者からの申請に基づきまして、輸入をした鳥獣であるという証明書を出しておるというふうに承知しております。

○福山哲郎君 その輸入証明書を出す要件は何ですか。民間が輸入証明書を出せるわけですから、輸入証明書を出すには何かの要件があって、これは適法に輸入をされたということがなければ輸入証明書を民間が出すことはできないと常識的には考えられるんですが、いかがですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 民間団体での行為でございますので詳細は把握しておりませんが、業者が輸入に関する、輸入をしたときの各種証書書類を示して、事務局から輸入証明書と冠された書類を受け取っておるというふうに承知をいたしております。

○福山哲郎君 詳細は把握しておりませんがとおっしゃいました、民間のやっていることで。さっき、実は中国から証明がついていないおかげで向こうでも違法に輸出をされて、こっちもひょっとすると輸入ができないものが入ってきていて、それが輸入証明書は民間で環境省が詳細チェックをしないでつくというのはどういうことなんでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 輸入証明書という言葉が国際当局の証明書のような言葉に似ておりますので混同があるかと思いますが、民間の鳥獣商の組合が発給しております輸入証明書の意味は、これは野生のものを捕獲したものではなくて輸入をしてきた鳥類でありますということを示す趣旨のものであるというふうに考えております。

 したがいまして、その業界団体におきまして、輸入をした鳥獣であるということを輸入関係書類等におきまして確認をして、輸入をした鳥獣であるという証明を出しておるものだというふうに理解をしておるところでございます。

○福山哲郎君 ということは、適法であろうが違法であろうがとにかく今言ったようにそういうエアポケットのような状況で入ってきたものでも輸入証明を、単に輸入をしてきたから野生ではないということで輸入証明がつくということなんですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) これは業界団体の自主的な証明行為でございますので、御指摘のようなことであると思っております。

 したがいまして、その証明書の有無によって国内で例えば野生の鳥獣を捕獲したものかどうかの取り締まりをするということであってはならないわけでございますので、環境省としては、その輸入証明書に全幅の信頼を置いて、あるいはその証明書で個体識別をして野生鳥獣を捕獲したものではないというふうに理解をすることはできないわけでございますので、基本的にはそういうことが見逃されてしまわないように、同じメジロならメジロ、ウグイスならウグイスにつきましても日本産とそれから外国産の識別方法をさらに研究するということで、そういう識別マニュアルも出しておりますので、業界団体の証明書によるということだけではなくて、現実の鳥獣を見て識別をできるというふうにこれから取り締まり等々の場で行い得る、そういう体制を整えているところでございます。

○福山哲郎君 どうもよくわからないんですが、その輸入証明書が本当に野生かどうか、実態を把握しているかどうか信用できるとは限らないというふうに今言われましたよね。民間が証明書を発行することを認めていること自体が問題なんじゃないですか。

 さっき数はどうだと聞いたときも、冒頭、実態かどうか定かではないですがこの数字ですと。今、輸入証明書も、いや、これが野生かどうか、野生じゃないのかどうかについては信頼性はどうかよくわかりませんが輸入証明書を発行していますと。それで、信頼性がないのに輸入証明書発行を許可していることも問題だし、実態も把握していないのに数に対して輸入を禁止しているということも問題だし、そんなずさんないいかげんなことでこの野鳥に対する行政責任が果たせるんですか。

 大臣、いかがですか、今の答弁を聞かれて。いや、西野政務官でも結構でございますが。

○政府参考人(西尾哲茂君) 業界の自主的にやっておりますことにつきましてでございますけれども、この業界団体はいわばペットの団体でございます。ペットの行政と申しますのは従来は野生鳥獣の行政とは別になっておりまして、環境庁時代は環境庁時代の権限の中に入っていなかったわけでございますので、そういう点で野生鳥獣保護法で行っておりますことと、それからこの業界団体がペットの扱いの適正というような見地から行っておられることとの間が切れてしまっていたんだと思っております。

 その点につきましては、今後、今のマニュアルをつくっていくこと、そのほか業界が実施しておりますことにつきましてさらに適切に指導していく、その他のことにつきましては検討の余地があるというふうに思っております。

○福山哲郎君 そうしたら、今はペットに関しては所管は環境省に移っているんですか。移っているんですね。

○政府参考人(西尾哲茂君) 省庁再編によりまして動物愛護管理の行政も環境省が所管することになりました。ただし、私どももこの行政、初めて取り組ませていただくところでございますので、そういう両方の視野からこれから考えていかなきゃいけないことはあるというふうに考えております。

○福山哲郎君 さっき前向きな御答弁をいただいた西野政務官、いかがですか、今の答弁を聞かれて。やっぱり早急にこれは対策を練ってもらわなきゃいけないと思うんですよ。

○大臣政務官(西野あきら君) 恐らく、今局長が答えましたとおり、いわゆる所管が従来環境省でなかったと。ここらあたりにやや現実に起こっている問題に対する実態把握等が少しおくれているのかなというふうにも思います。したがって、今お示しのあった内容も省内でできるだけ速やかに、実態が現実に起こっておるわけですから、そういうものに対する対応方を明確にすべきだというふうに思いますので、しばしこの問題についてはむしろ時間をいただきたいなと、私はそのように思います。

○福山哲郎君 風間副大臣も御答弁をいただければと思います。

○副大臣(風間昶君) 議論のやりとりをお聞きいたしまして、何をどこから手をつければいいのかということだと思うんです、現実に入ってきていますから。日本の野鳥を守る観点だけでいいのか、大方入って、八割入ってきている中国から、中国の野鳥もこれまたもとに戻した方がいいのか、これは少なくとも行政がどの程度関与したらいいのかということにまでつながってくる問題だと思っています。

 つまり、一個人が飼っていらっしゃる、あるいは飼いたいということについて、行政がどこまである意味では介入していくのかということにもつながっていく話だと思いますので、もうちょっと研究させていただきたいというふうに思います。

○福山哲郎君 大臣、最後に決めの一言をいただきたいと思います。

○国務大臣(川口順子君) 今、風間副大臣が述べましたように、非常に複雑な問題、確かに問題は問題だと思います。これをどうやって解決するかというと、非常に難しい問題だというふうに思います。

 したがいまして、どういうところから手をつけたらいいかということも検討をこれからするべきだと思っておりますけれども、基本的には中国からの輸入問題、中国の野鳥を違法に輸入しているのか、違法に捕獲をした中国の野鳥を中国側が違法に輸出をして、こちらが違法に輸入をしていると。違法に輸入しているというか、輸入をせざるを得ない状況で輸入をしているという問題と、それから国内で日本の野鳥との混交問題という、二つの側面があると思います。

 それで、例えば日本で鳥を売っているペットショップを規制できるかということになりますと、恐らく実態的にはこれはどこの鳥だかわからないということになりまして、個体識別あるいは種の識別ができない限りは非常に難しい。ですから、やる必要はあるであろうということですけれども、具体的に今実際にそれをビジネスにしている人たちの権利を侵さないで、今持っている法的なツール、あるいはマンパワーのツールでどこまでできる問題かという短期的な問題と、それから、より中長期的に枠組みを変えてどういうことが可能かということと、二つに分けて議論をしてみる必要があるかなというふうに感じております。

○福山哲郎君 とにかく中国側に対する接触なり交渉なりは早急に始めていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 北海道では、鉛を使用したライフル弾で殺害されたエゾシカをオオワシが食べて、鉛中毒で死ぬケースがふえています。環境省は、こういった鉛中毒でオオワシ等が死亡しているようなケースというのはどのぐらい年間件数として把握していますでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 北海道の調査によりまして、オオワシ、オジロワシにつきましてでございますが、平成九年度から十二年度の四年度間におきまして六十九羽の鉛中毒の死亡が確認されたと聞いております。このうち、平成十二年度では死亡収容数十四羽のうち十一羽が鉛中毒だったということは確認されております。

○福山哲郎君 昨年の秋から北海道では鉛ライフル弾によるエゾシカ猟が禁止されているというふうに承っておりますが、それは事実ですね。

○政府参考人(西尾哲茂君) 北海道におきまして鉛ライフル弾による猟を禁止しております。

○福山哲郎君 その後のオオワシの鉛中毒による死亡例というのは減っているんでしょうか、それとも変わらないんでしょうか、どちらでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 現在把握しておりますのは、十二年度の死亡数十四羽のうちの十一羽が鉛中毒であった、こういうことでございますが、そのワシがそういう中毒に至る経緯等々につきましては不明な点もございますので、この規制を行った後、それは効果をあらわすのかどうかということにつきましてはもう少し年をいただいて、そういう鉛中毒の発生事例の調査を重ねて把握する必要があるというふうに思っております。

○福山哲郎君 現実問題として、鉛ライフル弾によるエゾシカ猟が禁止をされているのに違反をされてやられているというケースはあったのか、もしくはそういった状態を把握しているのか、それはいかがですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) この措置につきましては十二年度の猟期から行いましたものでございますので、現在、その施行状況、それから違反の状況等につきまして把握すべく取りまとめを行っているところでございます。

○福山哲郎君 その鉛ライフル弾によるエゾシカ猟の禁止ですか、使用禁止に対するハンターへの指導は具体的にどのようにやられていますでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 北海道におきましては、道の出先職員のパトロールはもちろんでございますが、それから鳥獣保護員というようなことで委嘱している方々がいらっしゃいまして、三百人ぐらいお願いしております。そういう方々にパトロールの際にハンターにチェックをしていただく。それも、弾頭のサンプルのようなものを、弾丸を比較すればすぐにわかるサンプルのようなものを持って現場でハンターの銃弾をチェックするということをやっております。

 それから、もちろん猟友会に働きかけまして、猟友会では猟期前にそれぞれのところで研修をやっていただくということをやっているところでございます。

○福山哲郎君 先ほど環境省が、どの程度の違反があるかとか、現実に鉛中毒による死亡例があるのかどうか調査をしているというふうにお答えをいただきましたが、現実にそれは環境省の調査として予算をとってきっちりやられているんでしょうか。それとも、都道府県、北海道なら北海道に委託をしているという表現がいいのかどうかわかりませんが、北海道にやっていただいているのでしょうか。それはいかがですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) その禁止措置の主体が北海道でございますので、北海道庁において適切に把握していただき、報告を上げていただくという仕組みにしております。

○福山哲郎君 今年度、オオワシ等の鉛中毒死調査の予算が北海道の予算にはないんですね。今、北海道にお願いしているとおっしゃいましたが、北海道の予算には入ってないんです。だれがそれじゃ調査をやっているんでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) オオワシの鉛中毒に対する規制でございますけれども、これはかねてから問題がございまして、北海道でも必要な調査を行いまして、その結果を踏まえまして十二年度の猟期からまず鉛ライフル弾の使用禁止をやりました。また、十三年度からは鉛弾の使用を全面的に北海道で禁止しよう、こういうことでございます。

 そういうことで、分析でありますとかそうした調査の段階というのは済みまして、実際に規制に移したわけでございますので、平成十三年度におきましては通常の狩猟取り締まり、行政の中で鉛弾規制の実態、実施状況を把握するということで北海道が取り組んでおるところでございます。

 ただ、その過程で、北海道におきましてなかなか解決できないとか、何か新しい問題が出てくるということでございますれば、北海道と協力して、環境省といたしましても必要な対応をしなきゃいけないというふうに考えております。

○福山哲郎君 今の話もよくわかるようでわからないようで、何か調査をしているとさっきおっしゃられた。調査をしているなら、どこがやっているんだと言ったら、北海道に頼んでいると。北海道は予算をとっていないと言ったら、それはもう規制が出たのでほかの一般的なものと一緒にやっていると。それで本当にこの鉛中毒に関する調査結果、それから先ほど私が言いましたようにどの程度違反があるかとか、鉛ライフル弾のエゾシカ猟が禁止されてから本当に減っているかとかふえているかとか、北海道以外でも現実問題としてこういった実例があるかとかいうことは、一般的な今言われたような調査で本当に出てくるんですか。

 これは問題ですよ。だって、調査していると言いながら、現実に北海道は調査予算とっていなくて、それは調査できないでしょう、普通に考えれば。局長、いかがですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 御説明申し上げます。

 北海道の予算のことでございますけれども、調査という内容には多分二種類のものがありまして、フィールドに出て傷病個体があったらそれを確保してきて分析をしたり、あるいはそれは外に出して、そういうために予算が要るという行政と、それから通常の行政の経費の中で職員が、北海道の場合ですと支庁ではございますが、そういうところと連絡をとって実際の実施状況を把握するといったような二通りがあると思います。恐らくは、その分析をしたりとかそういう部分が非常に予算の要る部分ではないかと思います。

 その点につきましては、北海道におきましては十二年度までは予算をとって調査等を行ってきたわけでございまして、十三年につきましては先般の規制の実施状況を把握するということでございますので通常行政の中でやる、こういうことでございます。

 それから、今、北海道以外の御指摘もございました。その点につきましては、やはり全体的に実際傷病鳥獣などにおきまして中毒があるんじゃないかというような指摘につきましては注意をしていますが、それだけではなくて、現実に傷病鳥獣で死亡した個体などを譲り受けて、実際鉛中毒にかかっているかどうか、鉛の濃度はどうかという測定もいたさなきゃならないわけでございまして、それにつきましては実は十一年度、十二年度、私どもでも調査をやっております。その結果につきましては今急ぎ取りまとめておるところでございますので、それが取りまとまった段階でその結果に基づきまして適切な措置をとりたいというふうに思っております。

○福山哲郎君 今の私どもというのは環境省ということですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 北海道以外の全体につきましての調査につきましては環境省でございます。

○福山哲郎君 それはいつ調査結果が出るんでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 現在取りまとめを急いでおりますので、夏ごろまでには何とかまとめたいというふうに思っております。

○福山哲郎君 北海道は鉛のライフル弾によるエゾシカ猟を禁止したと。それから、全国的にこういった動きというのは広がるようなこととか、環境省はこれについて全国的に広げるような思いはあるのか、その辺はいかがですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 狩猟方法の規制でございますが、これにつきましては、やはり野生鳥獣の保護の現実的な問題との関係で、それぞれの必要な施策を講じる必要があると思っております。そういう面では、鉛のライフル弾、エゾシカ猟といったような現象につきましてはこれはかなり極めて北海道に特異な現象でございまして、エゾシカの狩猟が行われて、それが現場に放置されるといったようなことが大型の猛禽類に非常に大きな影響を与えているケースでございます。

 したがいまして、北海道以外の地域におきましてはそういう形での危険性というのは比較的少ないものだと思っておりますけれども、ただ、この問題は十分関心を持つべき問題でございますので、先ほどのような調査をしていることが一点と、もう一点は、具体的には鳥獣保護事業計画の基準というのを私ども出しておりますけれども、その基準に基づきまして各県で鳥獣保護事業計画をつくっていただくわけでございますけれども、その中にはきちんと、北海道以外の地域でも大型の獣類などを狩猟した後、そのまま現場に放置するようなことはしないということによりまして、鉛中毒等々への懸念をできるだけ払拭するように指導する、そういうことを盛り込んでいただくようにお願いしているところでございます。

○福山哲郎君 鉛中毒による猛禽類への被害といった事例は海外ではあるんでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 米国におきますハクトウワシなどの事例を把握しておるところでございます。

○福山哲郎君 風間副大臣、北海道でいらっしゃいましたよね、ぜひこの件についてもまた積極的に、鉛中毒によるエゾシカ、猛禽類への被害の実態把握調査等を環境省、積極的にやっていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○副大臣(風間昶君) おっしゃるとおりにしたいと思います。

○福山哲郎君 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 実は、私の地元の京都の右京区嵐山でツキノワグマが出て射殺をされたということが起こりました。本当に民家に近いところなので、射殺がよかったかどうかという議論もありますし、催眠で捕獲をするべきだったのではないかという議論もいろいろ京都では出ています。また、京都の伏見区の大岩街道のところではダイオキシン被害というのが今出ておりまして大変問題になっておりまして、そこに京都の西田先生もいらっしゃいますが、その辺のことについてもきょうお伺いをしようと思ったのですが、全然時間が足りなくなりまして、また次の機会に譲りたいというふうに思います。

 これで終わります。どうもありがとうございました。

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この内容の冒頭部分

 

第151国会  参議院  環境委員会  2001年4月10日

○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。よろしくお願いを申し上げます。
 済みません、走ってきたので、はあはあいっておりますが、お許しください。
 まずは、外務省にお伺いします。
 代表団の一員として荒木副大臣はアメリカに行っていただきまして、今回のアメリカの議定書の対応について訪問いただいたというふうに伺っておりますが、京都という日本の地名がついている議定書ですし、COP3のときに大変盛り上がったという状況でございますし、大変重要な世界的にも大事な議定書だというふうに思っています。
 その議定書について、同じアンブレラグループの一員であるアメリカ、それからもっと強いことを申し上げますと、同盟国としてアメリカが京都議定書を不支持表明する場合に何ら事前の通告も我が国にはされなかったということに対して外務省は今どのような見解をお持ちなのか、お答えをいただけますでしょうか。
○副大臣(荒木清寛君) 我が国は、世界最大の二酸化炭素排出国でありますアメリカの京都議定書締結は温暖化対策の実効性を確保するために極めて重要であるというふうに考えておりまして、今回、アメリカ・ブッシュ大統領がこの京都議定書の不支持を表明しましたことは、今後の気候変動交渉に重大な影響を与えるものであるというふうに強く懸念をしております。したがいまして、引き続き米国が京都議定書の発効を目指した交渉に前向きに参加することを強く希望しております。
 こうした考えは、三月三十日に森総理からブッシュ大統領あてに発出をしました書簡あるいは四月四日の河野大臣とパウエル国務長官との電話会談でも伝達をいたしましたし、先般、私が政府側の団長として参加をいたしました政府・与党代表団におきましても、米国政府高官また各議員に対しまして、そうした私たちの強い意向というのを伝達したところであります。
 そこで、今、福山委員御指摘されましたように、従来から同じアンブレラグループの一員として米国とは協調してきたわけでありますから、そうした米国が一方的にこうした立場の変更を表明しましたことは極めて残念であります。したがいまして、今回の訪米におきましても、私どもの方から、今後のアメリカの対応ぶりにつきましては我が国と十分協議をしてもらいたいということを申し入れいたしまして、これに対しまして米国側からは、現在政権内で行われている気候変動政策の見直し作業完了後、具体案につき我が国を初めとする友好国と必ず協議をする考えであるというふうに回答を得ております。
 いずれにしましても、この京都議定書に対します米国の姿勢というのは確かに厳しいというふうに私も認識をして帰ってまいりましたが、政府としましては、七月のCOP6再開会合におきまして米国が京都議定書の発効を目指した交渉に積極的に参加するように、今後とも関係国と連絡をしつつ全力を尽くして米国に働きかけをしてまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 副大臣、ありがとうございました。
 大変残念だというふうに、それはアメリカにはお伝えいただいたんですね。
○副大臣(荒木清寛君) これは特に与党代表団の方で、こうした事前に私たちに話がなく、そうした表明がなされたことは遺憾であるということを与党代表団の団長の方から強く申し入れをしてあります。
○福山哲郎君 済みません、もう一つだけ。
 今せっかくお答えをいただいた中で、団長として行かれた荒木副大臣もアメリカの京都議定書に対するポジションは厳しいとの認識を持って帰ったというふうに今御答弁をいただきましたけれども、どういう発言に厳しいとお感じになられたのか。具体的にアメリカの厳しいと思われたことについて、副大臣の会談をされた中での具体的なアメリカの対応についてお答えをいただけますでしょうか。
○副大臣(荒木清寛君) 米国側も政府高官、アーミテージ国務副長官、またホイットマン環境保護庁長官とも会談をいたしました。
 そういう中で、ブッシュ政権は地球温暖化の問題については極めて重要な関心といいますか、重要視をしているということを冒頭強調しておられました。しかし、その上で、地球温暖化防止という目標を達成するために京都議定書ではない別の方法を考えているという、そういう表明がありましたので、私はそうした率直な認識を持ったわけであります。また、大統領は京都議定書に反対をしていると。その理由は、中国やインドを含む途上国を免除しており、米国経済に深刻な影響を与え得るからであるという、そういう説明もあったわけでありまして、先ほど申し上げましたような率直な印象を持ちました。
 しかし、先ほども申し上げましたように、米国はCO2の最大の排出国でありますし、またまだ現在、政策の見直し中であるという、そういうことでございましたから、私たちはあくまでも京都議定書の中で温暖化防止の目的を達成するように強く米国側に関係国とも連絡をしつつ働きかけてまいりたい、そのように思っております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 それでは、続きまして西川経済産業大臣政務官にお伺いします。
 西川政務官も代表団の一員として行かれたということですが、経済産業省としては、このブッシュ大統領の議定書不支持の表明についてはどのように評価をしているのか、そして西川先生自身が行かれてアメリカの対応を、じかに接せられてどのように感じておられるのか、お答えをいただけますでしょうか。
○大臣政務官(西川太一郎君) ただいまお話がございましたように、気候変動問題は全世界が積極的に協力をして取り組むべき課題であるというふうに当省としては承知をいたしておりまして、その際、世界最大の二酸化炭素排出国であります米国がこの京都議定書の不支持を表明するということは、国際的に気候変動の問題をしっかりと実効性を確保するという上では極めて重要な問題ということで強い懸念を表明してまいりました。
 このたび私どもが働きかけました中には、平沼赳夫大臣からリンゼー経済問題担当大統領補佐官、またエバンズ商務長官、エーブラハム環境長官に、四月四日付でございますが、書簡を発することといたしました。
 また、ただいま荒木副大臣から御説明がございましたので重ならないように注意をいたしますが、特に私からはホイットマン環境保護長官に、ちょうど四日の日に福山先生が本会議で御質問に立たれましたその情報をオンタイムで手にいたしておりましたので、国会の有力な政党の代表がアメリカ抜きで日本もこの問題をヨーロッパと一緒になってやったらどうかという御趣旨の議論まで国会では出ているということを御紹介いたしまして、我が国の懸念を強く表明いたしたところでございます。
 同時に、私ども経済産業省といたしましては、経団連を中心といたしまして、経済界、産業界が自主的行動計画を出していくことは先生も御案内のとおりでございますが、これによりまして、三十四のセクターで七六・五%の排出量を占めております分野でいろいろ努力をいたしました結果、〇・一%、一九九〇年から一九九九年の間に産業界のみではリダクションすることに成功したという事実と、またエコビジネスが一方で伸びているという事実を訴えまして、アメリカが懸念しております幾つかの理由の中にございます経済成長を犠牲にすることはかなわないという、そういう議論に対しまして強い反論をしてきたところでございます。
 以上、十分なお答えになっていないかもしれませんが。
 先ほど、エーブラハムさんの職を間違って申し上げたと思います。エネルギー長官でございます。失礼しました、間違えまして。訂正をさせていただきます。
○福山哲郎君 今、大変丁寧にアメリカに反論ないし懸念の意を表明されたことは承りましたが、それのアメリカの対応を聞いて、西川政務官はどのように評価しているのかをお答えいただけますでしょうか。
○大臣政務官(西川太一郎君) 率直に言って、大変厳しいと思います。
○福山哲郎君 それは、先ほどの荒木副大臣にお伺いしたことと同様でございますか。
 どういったところに厳しさを感じられたか、お答えください。
○大臣政務官(西川太一郎君) 私どもは、ただいま副大臣がおっしゃいました政府高官のほかに、議会のセンセンブレナーさん、またノレンバーグさんなどなど、共和党の古参有力下院議員ともお目にかかりました。
 この方々は、もう冒頭から京都議定書は反対であると。そして、その根拠としては、上院の九十五対ゼロで否決をいたしました決議なども例にされましたし、また科学的根拠に乏しいというようなことも専らおっしゃいましたし、先ほど副大臣がおっしゃいましたように、主要な中国でありますとかインドでありますとかメキシコ、それからアルゼンチンの国名を挙げておりましたが、そうした国々が参加をしていないものは批准できない、こういう具体的な答弁に出会いましたので、ただいまのような印象を持った次第でございます。
○福山哲郎君 今、共和党の議員の方との会談の中身は御披瀝いただいたんですが、オルバー下院議員という民主党の議員の方ともお目にかかられているはずですが、民主党の議員の方はどういう反応だったのでしょうか。
○大臣政務官(西川太一郎君) 団長の荒木先生を差しおいて僣越でございますが、御指名でございますので。
 オルバーさんは、先生御案内だと存じますけれども、京都議定書を支持する議員の方々のリーダー格でございまして、およそその数は私の記憶に間違いなければ四十人ほどというふうにおっしゃっていたような気がいたしますが、このグリーンハウス関係の支持者の方々は、京都議定書の線を守っていかなければいけないという趣旨の御発言があったというふうに記憶しております。
○福山哲郎君 そうすると、アメリカ自身の議会の中での意見は、共和党の先ほど言われた大変厳しい、冒頭から議定書に反対だということだけではないというふうには判断できるわけでしょうか。
○大臣政務官(西川太一郎君) 私もアメリカの議会の情勢をつまびらかにいたしているわけではございませんが、少なくとも、わずか三日の経験でございましたが、議員の方々に接した限りいただきました情報では、比率においては少し劣勢かと存じますが、京都議定書を守るべきだという方々もいらっしゃるように承知をして帰ってまいりました。
○福山哲郎君 経済産業省としては、これまでどおり二〇〇二年発効についてのポジションはお変わりないというふうに承っておりますが、現実問題として具体的な国内措置をつくるまで、二〇〇二年発効に向けて日本政府が努力をされる場合の経済産業省自身の今考えておられるスケジュールはどのようなものになっているのか、教えていただけますでしょうか。
○大臣政務官(西川太一郎君) 御案内のとおり、二〇〇八年から二〇一二年がいわゆる第一約束期間という、これは議定書にはそういうふうな表現はないわけでありますけれども、先生も既にそうした言葉をお使いになっていることを承知しておりますので今申し上げるわけでありますが、そうした平均排出量をいかに減らしていくかということで、シンクの問題でありますとか、いろいろ努力をいたすわけでありますが、今産業構造審議会と総合資源エネルギー調査会にこれを諮問いたしておりまして、この夏ごろを目途に中間報告を取りまとめていただきまして、京都メカニズムをより有効なものとして実行できるように、そうした方向を検討してまいりたいというふうに思っております。
 先ほども少し申し上げましたが、これまで省エネルギーの推進でございますとか、または経団連を中心といたしました産業界の自主行動計画の着実な実施など努力してまいったわけでありますので、これからも我が国の削減目標の達成というものはなかなか厳しいものがございますが、鋭意努力をするように方針を立ててまいりたいと思っております。
○福山哲郎君 ということは、経産省としては二〇〇二年発効まで、今夏ごろに一つ中間報告という御報告がありましたけれども、アメリカの議定書に対する問題はかかわらず、その二〇〇二年発効に向けての準備作業は粛々と進められるというふうに承ってよろしいでしょうか。
○大臣政務官(西川太一郎君) そういうことでございます。
○福山哲郎君 西川政務官と荒木副大臣は、お忙しければ結構でございます。
 では、やはり代表団の一員として行かれた熊谷政務官にお尋ねをさせていただきます。
 現実に行かれて、今のお二方の先生方にお伺いしたことと同じなんですが、訪米をした折、アメリカ政府の対応に対してどのように評価をされているのか、率直にお答えをいただけますでしょうか。
○大臣政務官(熊谷市雄君) アメリカ政府の対応についてどういうふうに感じたかということでありますが、基本的には荒木副大臣と西川政務官とそう違いはないわけでございますが、私が政府高官などの対談というものを通して感じましたことは、一つは、米国は我が国の懸念している立場というか、そういうことについてはよくわかっていただいたものであろう、こういうふうに思っております。
 また、今までのいろいろなお話がありましたように、米国も地球温暖化問題の重要性というものは十分に認識しているものの、京都議定書に対しては強い懸念を有しているということも改めて強く感じさせていただきました。
 そういう一方で、我が国を含む友好国と申しますか同盟国、そういう立場というものを考えながら、今政策の検討作業中でありますが、そういうものの結果ができ次第必ず協議をするということも言っておりましたので、我が国との関係というものを重視しているなという感じも受けてまいりました。
 いずれにしても、我が国としては、今後、関係諸国と連携をとりながら、あらゆる機会をとらえて米国に強い働きかけというものをやっていくなと、そういうことを強く感じてまいりました。
○福山哲郎君 熊谷政務官自身の評価としてはどのように感じられましたか、アメリカの対応について。
○大臣政務官(熊谷市雄君) 先ほどもお話があったようでありますが、非常にガードはかたいなという感じは率直に持ちました。
○福山哲郎君 同じ質問ですが、それはどういった言葉の端々でガードはかたいなと感じられましたか。
○大臣政務官(熊谷市雄君) 先ほども西川政務官の方からお話があったような内容がほとんどでありますが、同時にアメリカという政治の仕組みというもの、これは大統領政府というものと議会というものの関係というもの、これをはっきり区分けして考えられているのかなと、こんな感じがいたしました。
 と申しますのは、署名をしておきながらなぜ今反対なのかといういろいろな立場からの質問もこちらから浴びせたわけでありますが、しかし、一九八七年、上院としてもうこれは反対の決議をしているんだ、しかも九十五対ゼロというそういう圧倒的な、もう一〇〇%、強い形で反対というものをしているのにもかかわらず次の年に大統領が署名をしたんだ、議会の意思というものを無視して署名をしたと。したがって、大統領のそういう署名というものを我々は承服するわけにはいかないと、こんなことを申されておりましたので、かなりこれは強いガードだなというものを感じた次第であります。
○福山哲郎君 ありがとうございます。短期間のスケジュールでお疲れさまでございました。
 大臣、今行ってこられた三人の方のお話を聞くと、私なりにも相当厳しいなというふうに感じさせていただいています。ところが、代表団の報告書を読みますと、基本的に評価のところでは、アメリカ国政府高官を通じてブッシュ大統領に伝えることができた、伝えることができたのは事実でございます。政府としては引き続きアメリカへの働きかけに全力を尽くす考えである、全力を尽くす考えであるというのは一種の政府としての意思表示でございまして、この報告には全く評価が書いてありません。
 大臣は、この訪問団でアメリカのポジションをしっかりと把握してくるというか、真意を探ってくるというようなこともおっしゃっておられたと思うんですが、訪米団が行く前と行った後で、川口大臣自身、何かアメリカに対する対応で変わったことはございましたでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 特にございません。
○福山哲郎君 実は私、先ほど、大臣がきのうお目にかかられたラーションさんを初め欧州の訪問団とも会談をしてまいりました。そこでは、大変厳しい、今三人の代表団の方が言われたのと同じような表現が幾つも出てまいりました。
 特に、欧州訪問団の方では、アメリカはもうほとんど京都議定書には戻ってこないかもしれないという前提の中で動かなければいけないこともあるかもしれないというような表現もありまして、きのう河野大臣と川口大臣と会談をしたけれども、日本側はアメリカのさらなる参加に対して呼びかけをして、働きかけをしていきたいと思うけれども、そこに対しての評価は少し異なるんだというような表現をされていました。私は、アメリカに対する働きかけをすることは大変重要だと思いますし、EUもアメリカに対する働きかけは断続的に行うということも言われていました。働きかけを行うことは大変重要だと思うんですが、また八日、チェイニー副大統領が京都議定書は既に死文化したというようなことをインタビューで述べておられます。
 先ほど、代表団の三人の先生方が言われたのと同様、大変アメリカの京都議定書に対するポジションは厳しいという状況の中で、日本が説得をし続ける、参加を呼びかけるというのは重要ですが、アメリカが万が一このままのポジションを変えないようなときのことも想定して、政府としては今後のCOP6ビス等に対応しなければいけないというふうに考えますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 幾つか考え方について少し問題の整理をしてみたいと思うわけでございますけれども、この地球温暖化の問題を考えるに当たって一番大事なことは、これから世界の国々がとろうとしている政策が本当に地球の温暖化の防止につながるかどうかということが原点であろうかと思います。これを私はきのう、環境の十全性と日本語で訳されておりますけれども、という言葉で表現をさせていただきました。したがって、問題は何をすれば環境の十全性につながるのかということだというふうに私は考えております。
 それで、きのうEUは、EUの立場についてお話をなさって、EUとしては京都議定書にアメリカが戻ってくる可能性ということは大変に厳しいと見ている、したがってEUとしては、アメリカが参加してもしなくてもこの話を進めていって批准をするという考え方であるというふうに言いました。
 それで、私はそれに対しまして、アメリカの参加は非常に重要であるということを繰り返し繰り返し申し上げました。それはなぜかというと、アメリカは、委員には特にもう耳にたこができるぐらいお聞きになっていらっしゃる話だと思いますけれども、アネックスTの国で三七%ぐらいの排出を持っている国である、それからアメリカが参加をしなかった場合に将来途上国が削減をする行動をとるだろうかということについての懸念といったようなことがあるわけでして、アメリカの参加は重要だと私は申し上げたわけです。
 整理をいたしますと、EUの考え方と、それからアメリカが大事だというふうに、要するにアメリカ抜きでも批准をしようじゃないかという考え方とアメリカが大事だという考え方の違いというのは、これは方法論の違いであるということです。どちらの道を今の時点で選ぶことが環境の十全性につながるかということです。
 それで、アメリカは、今の時点ではこの地球温暖化問題については閣僚レベルで検討中であって考えている、それをアンブレラの国にも相談をし、それから国際プロセスを通じて議論をするということを言っているわけです。
 したがって、EUが先にアメリカ抜きで批准をし、それでその先アメリカが入ってこない可能性、あるいは途上国が入ってこない可能性ということを考えたときに、それがいい道であるか、あるいは今アメリカが検討して温暖化問題は重要だと言っているのだから、その検討をできるだけ手伝い、かつ待ち、環境十全性ということからいってそういう成果を生むように働きかけることがいいということと、どちらが環境十全性ということからいっていい道なんだろうかと、そういう選択の問題であるわけです。
 それで、私どもは、アメリカ抜きでやるかどうかということについては私は何も申しておりません、昨日の段階で。私が申し上げていることは、アメリカが今議論をしている、それで何か考えると言っている、したがってアメリカに働きかけて、戻ってくるように働きかけて、COP6でいい結果を生むような、そういう形で議論をしていこうではないかと、そういうことについてEUと合意をしたわけでございます。
 それからもう一つ、先ほどちょっと委員がおっしゃられました死文化しているということをアメリカが言っているということでございますけれども、私もこれを報道で、紙で見まして実は確認をしたいと思っているのですけれども、今の時点では確認ができておりません。ただ、私が見た文章、これは英語の文章ですけれども、これを見る限りは、アメリカは国際的に合意をした京都の議定書が国際社会の中で死文であると言っているのではなくて、アメリカ国内で、先ほど来、熊谷政務官がお話をしているような議会との関係において、上院で決議が出ていることもあり、したがってアメリカの中においてはそういう位置づけなんじゃないかということを言っているように私にはとれたわけでございます。
 いずれにしても、この点についてはまだ確認がされていないことでございますので、仮定の話で議論をするという段階ではないと思っておりますが、念ために申し上げておきます。
○福山哲郎君 そうだと思います。
 今の死文化は別にして、その前の話は大臣のおっしゃられたとおりですが、それではアメリカが代替案を考えている、今検討をしているという状況の中で、新聞によれば、経済に悪影響がないようにする、途上国の参加も呼びかける、新技術、新しい技術を考えるというようなことが書いてあるんですが、その新聞報道のような具体的な代替案の中身というのは実際に言及をされたのでしょうか。政務官、お答えいただけますでしょうか。
○大臣政務官(熊谷市雄君) その点は、私だけじゃなくて行かれた先生方からもかなり、どの程度のレビューについての進行がなされているのか、内容はどういうものかという形でかなりしつこく聞いたわけでありますが、具体的なものとしては一向に出てこなかったというのが現実であります。
○福山哲郎君 そうすると、このよく言われている三点というのは、アメリカが議定書を反対しているあくまでも理由であって代替案の中身ではないというふうに受けとめてよろしいわけですね。
○大臣政務官(熊谷市雄君) その辺は、代替案の中身が全然わからないわけですから、今のところ何ともコメントできないと思います。
○福山哲郎君 代替案は大体、先ほども清水委員の質問にお答えがあったと思いますが、いつぐらいまでに出される予定でアメリカは考えているのか、もう一度お答え願えますか。
○大臣政務官(熊谷市雄君) 七月のボンの会議までには提示をしたいということはおっしゃっておられました。さらに、もう少し変わったニュアンスとしては、ホイットマン長官がその前に、五月か六月ごろまでにできるだけ骨子を早目につくっていきたいと、そういうようなこともおっしゃっておられました。
 同時に、そういうものが出る、結果が出たという段階では、日本を初め同盟国には必ず協議をいたしますということもおっしゃっておられました。
○福山哲郎君 一つは、アメリカが議定書を反対している理由であります途上国の参加という問題があるんですが、これは既に実はベルリン・マンデートで解決をしている問題だというふうに思っているんですが、そのことに対する反論等はあったんでしょうか。
○大臣政務官(熊谷市雄君) これもこちら側としてはかなり強く指摘をさせていただきました。今さら途上国云々という問題じゃないんじゃないか、これはCOP1の段階から既にこの問題というものを取り込んで議論をしながら今日まで進行した過程があるのではないか、今さら途上国云々というのはちょっとおかしいじゃないか、そういうことを申し上げましたし、さらにはさかのぼれば、気候変動枠組み条約締結時の中では今のブッシュ大統領のお父さんの大統領の時代にこれを認めたということもあるんじゃないか、こういうことも出しながらかなり強く反論をさせていただきました。
○福山哲郎君 それに対してアメリカはどう答えるんですか。
○大臣政務官(熊谷市雄君) はっきり明確な反論というものはなかったわけでありますが、その当時の状況というものと今日の状況というものは違うということとか、それから変動枠組み条約の締結時というものには具体的な規制というものがなかった、今回は規制というものが具体的に出てきた、こういうものだからというような内容の反論が向こうから出されました。
○福山哲郎君 それから、先ほど途上国の将来的な参加の担保ができないのでアメリカの参加は非常に重要だというふうに大臣はおっしゃられました。確かに大事だとは思うんですが、途上国が将来参加を見込めなくなるかもしれないという根拠は何でしょうか。
 現状では、途上国には削減義務はありません、中国にしてもロシアにしても。先ほどEUの代表団は、議定書に批准の用意があるというようなことを言われているというふうにEUの代表団の方も言われていました。また、現実には、現状で言うと三十三カ国もう既に批准をしている国がありますし、五十五カ国の批准の、五五%の削減もパーセンテージは別にして、五十五カ国の批准国ということに関して言えばそんなに難しいハードルではないというふうに思っていますし、なぜ途上国の参加が将来厳しくなるというふうにお考えなのか。そこの根拠は少しお知らせいただけますか。
○国務大臣(川口順子君) 先ほど、私は途上国参加について担保がないというふうには申し上げなかったつもりでして、アメリカが参加をしない場合に途上国が将来的に参加をしていく、この意味はちょっと後で申しますけれども、ということについて困難がかなり大きくなるという懸念がある、懸念があるというふうに申し上げたつもりです。
 それはどういうことかといいますと、ここで言っている途上国の参加は、私が申し上げたのは多少言葉をはしょって申し上げて申しわけなかったと思いますけれども、削減の義務を将来的に負うということについてでございまして、それは先ほど申し上げた環境の十全性ということからいいますと、中国は一国で今、日本よりも大きな排出国であります。世界第二位の排出国であります。それから、二〇一〇年ごろには今の計算ですと、予測ですと、途上国を全部足し合わせたときの排出量が今の先進国の合計よりも多くなるであろうということを言われているわけです。したがいまして、まさに地球温暖化問題に対応するために何が必要かという環境十全性という問題でのゴールから考えたときに、途上国が参加を、削減をしなくなるかもしれない可能性というのはできるだけない方がいいということです。
 それでは、何でそういうふうに私が思うかということですけれども、委員御案内のように、途上国がこの問題にどれぐらい責任を持つかということについてはずっと大変な対立がございます。この対立の中で、条約の中では、共通であるけれども、しかしながら差別化された責任という言葉になっておりまして、委員おっしゃったようにベルリン・マンデートがありまして、今の段階では削減をするということにはなっていない。
 ただ、途上国がずっと言っていますのは、アメリカを初めとする先進国がこういうライフスタイルをやってきてこの問題を招いた、それは先進国がまず責任をとるべきであるというのが途上国の態度でございます。そのときに、一番責任をとるべき国であるアメリカが参加をしない議定書というか、枠組みに途上国が削減の義務を負って入るようなことがどれぐらい現実的な予測だろうかと、そういうことで申し上げたわけでございます。
○福山哲郎君 アメリカが参加する方が途上国は参加しやすくなるというのは僕も事実だと思いますが、この京都議定書が発効すれば、アメリカがいようがいまいが途上国が参加するかしないかという確率の問題で、相対的にアメリカがいた方が途上国が参加する方、削減に前向きになるということは僕も理解はしているつもりです。
 実は、ここから次が問題なんですが、批准をするかしないかというのは実は政治的に非常に重要なことなんですが、それよりも、まずCOP6ビスで運用について合意しなければいけません。それが実は十一月のハーグの会議から延び延びになっていて、今度七月に行われるわけです。アメリカが参加をすると言っている。代替案を持って参加するとアメリカは言っているわけです。普通、京都議定書から離脱をするとか不支持ならば、これは参加しないという選択もアメリカにはあるはずなんですが、代替案を持って今の状況ですと参加をすることになる。
 私は、批准、発効の前に運用について、それぞれ排出権、京都メカニズム、吸収源について合意をしなければいけないと思っている。代替案を持ってアメリカが参加をしてきたときに、現実にCOP6ビスで合意に至るプロセスというのはどういう形なのか。実は僕は余り見えなくて、そこについての見通しは大臣はどのようにお考えなのか、お答えをいただけますでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 委員おっしゃるように、アメリカは七月までには考え方をまとめるということを言っておりまして、その前にアンブレラの諸国に相談をするということも言っているわけでございます。
 具体的にはその案がどういう形の案なのか、何なのかということが今の時点ではわかりませんので、それを見て初めてその後の展開が多少読めるようになるのかなというふうに思っておりますけれども、この点についても福山委員ほか大勢の方に、どういう展開があり得るのかということについての御意見も伺いたいと思っております。
○福山哲郎君 七月に代替案が出てきたとして、ボンの会議に本当にそこで議論が間に合うのか。もし、その七月に出てきた代替案が、これは仮定の話ですからお答えにくいと思いますが、代替案が京都議定書の枠から逸脱したものが出てきたと、例えばベルリン・マンデートからも逸脱してきたというようなものが出てきたときに、その代替案を持ってアメリカがボンに来るわけですよね。現実にアンブレラグループとしては、代替案を提示された後、その中での協議が本当にまとまった上でCOP6ビスに臨めるのか。いや、このアメリカの代替案ではこれは乗れない、京都議定書の枠を大きく逸脱をすると。そのときに、アメリカをほっておいて、日本は運用についての合意に至るそのプロセスに臨めるのか。
 僕は、現実問題として、批准とか発効よりも前の問題が非常に実は難しいのではないかなというのは本音で思っていまして、もう一度、大臣、どのようなお見通しなのかをお知らせいただけますか。
 代替案を見てもいいんですが、見るのはよくわかりますし、それでアメリカが参加するか参加しないかもわかるんですが、先ほどから言っているように大変アメリカのスタンスが厳しい状況で、京都議定書の枠内に入っている代替案が出てくるとは考えられない。その状況でのCOP6ビスというのはどういうふうな流れになるのか、お答えいただけますか。
○国務大臣(川口順子君) 少し話が戻りますが、ハーグで最後の時点でまとまりそうになった案を拒否したのは実はEUであったわけでして、それでなぜEUがしたかといいますと、市場のメカニズムをもう少し使いたいと思うようなアメリカの意見をEUは拒否をしたということでございました。もし、あのときにEUがもう少し柔軟であっていたらこういう事態にはなっていなかったであろうというふうに思われるわけでございます。
 したがいまして、私はEUに対しても柔軟に対応をするということが非常に重要である。アメリカに対して働きかけを行うということについての重要性は、EUも私もきのう、そうだということを合意したわけでございますけれども、その働きかけの過程でEUが柔軟になっていくということを見せるということも非常に重要であるわけです。
 そういうさまざまな動きが今後、ボンまでの間には起こるであろうということも十分予測されることでございますし、したがいまして今の時点で大事なことはアメリカに働きかけるということでして、それをその話の先に、今の時点で先取りをしてどうこうということは少し時期尚早ではないかと私は思っております。
○福山哲郎君 では大臣、アメリカはこれほどかたくなにもかかわらず、なぜCOP6ビスには参加するということだけは言明しているんでしょうか。どのようにお考えですか。
○国務大臣(川口順子君) アメリカは、気候変動枠組み条約に署名いたしましたし批准もいたしております。ですから、その参加国としてCOP6、COP6ビスに参加をするというのが当然の義務であるというふうに私は思います。
○福山哲郎君 ぜひ、アメリカの代替案の流れ、それから日本の国内措置についてはアメリカの動向と関係なしに、これは批准、発効とはきょうは申しませんが、アメリカの動向とは関係なしに、二〇〇二年発効に向けて日本の政府として、大臣、努力をされることは変わりないということですね。
○国務大臣(川口順子君) 当然そのつもりでおりますというふうに申し上げておきます。
○福山哲郎君 もう残り少なくなりましたが、済みません、けしからぬ話について申し上げます。
 沓掛環境副大臣、あなたは六日、自分の選挙区で、突然アメリカへ行ってくれと言われたが、何が何でもと抵抗して熊谷政務官に行ってもらったと、会合は決戦のかなめの日だと、さらに、前回敗れたときは、会合の直前に自民党国際局長として朝鮮民主主義人民共和国へ行けと言われ、泣く泣く行った、こういう発言をされましたか。
○副大臣(沓掛哲男君) 今おっしゃられたことは私的なことですから、それは恐らく今、どういう人選でこれが決められたかという公的なお話をさせていただきたいと思います。
 四月四日から、与党・政府の代表団が、ブッシュ政権の気候変動問題に関連して京都議定書を支持しないということで……
○福山哲郎君 聞かれたことに答えてください。言ったかどうかを答えてください。
○副大臣(沓掛哲男君) いや、それは私的なことですから。いえいえ、それは私的なことですから。ここは公的な場ですから。
 そして……
○福山哲郎君 公的な場でしょうが。
○副大臣(沓掛哲男君) いやいや、そんなことないですよ。私的な問題ですから。
 私は公的なことをしっかり御返事します、今、納得できるように。
○委員長(吉川春子君) 沓掛副大臣、質問に答えてください。
○副大臣(沓掛哲男君) はい。
 ちゃんと、だから、それは言った言わないということは私的なことですから、そのことは私はここでは申し上げません。
 公的な立場での、今おっしゃられたことはどうして人選されたかということですから、そのことを私は御返事します。
 そして、そういうことがあったので、それへ対応するために与党及び政府の代表団が行くということになり、先週の月曜日でしたか、四月二日に私のところに事務当局からこういう話があり、副大臣か政務官が考えられているということでございました。
 実は、私は三月三日にトリエステでG8環境大臣会合がありましたので、そこでホイットマンさんと三十分間、この問題についていろいろ討論、お話をさせていただきました。したがって、私がまた行くよりも、新しい政務官の立場でまたいろいろ議論していただくことがより効果的だというふうに思いましたので、政務官の御都合を聞いてくださいというお話をいたしました。政務官が、では行きますということでしたという返事をいただきました。
 そこのことが、今回派遣されて環境省から熊谷政務官が行かれたことでございまして、その後の今言われたことは私的なことでございまして、公的、私的、いろいろあるわけですから、私的なことについては、この場ですから控えさせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 私的じゃないでしょう。あなた今、副大臣なんですから、公的な人間じゃないですか。だから、その会合で、突然アメリカへ行ってくれと言われたが、何が何でもと抵抗して熊谷政務官に行ってもらったと言ったのかと聞いているんですよ。
○副大臣(沓掛哲男君) いろいろ、それは私の後援会の場でございますので、それは皆さん方も政治家としての立場、また環境省の立場、私的な立場がいろいろあると思いますから、私的の立場のことですから、この場については控えさせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 ちょっと待ってくださいよ。あなたは公人なんですよ。これだけ問題になっている問題に対して、どうしてもと言って抵抗して政務官に行ってもらったと、それが私的な会合だからそこで言ったか言わないかは答えないで済むなんて、そんなもの通じるわけないでしょう。これだけ世界じゅうで話題になっているんですよ、あなた。問題になっているんですよ。選挙が大事だったらやめて行ってください、選挙の会合には。
○副大臣(沓掛哲男君) いやいや、これは今、だからどういう人選があったかということで申し上げている。一義的には、今私が申し上げたように、私は既に三月三日にホイットマン大臣とは三十分間対で話し、私なりのそういう思いは強く申し上げていたわけですから、では今度は熊谷政務官に行っていただいた方がよりまた効果的だということで熊谷政務官にお願いしたわけです。それがこの人選を決められた一義的な話なんですね。
○福山哲郎君 トリエステの会合では、アメリカは、ホイットマンはまだこんな発言はしていないんです。副大臣の思いを伝えたと言ったって、そんなもの、この流れは全然出てきていません。
 とにかく、副大臣たる者が自分の選挙区の会合があるからと、三月初めにイタリアでアメリカの環境保護局長官と話をしたので今回はほかの人が行くのも手だと思ったと、こんなばかな話がありますか、これだけ問題になっているのに。そうしたら、やめて行ってくださいよ、選挙区の会合には。
 大臣、どうですか、これ。環境省に対する国民の不信感を本当に増幅しますよ。一生懸命やられている、それは熊谷政務官にしたって浜中さんにしたって一生懸命やっている。大臣にしたって一生懸命やっている。けしからぬですよ、こんな発言するのは。
○副大臣(沓掛哲男君) もう私も必死で、トリエステのときも、その前にももう大体やっぱりホイットマンさんが来られてどういう発言をするかというのはみんなすごい関心を持っていたんですよ。ホイットマンさんは、総論的には非常に賛成されましたけれども、個々の問題というか具体的な話については間を置いておられました。ですから、私は対のときに、そのことを日本としてもぜひ協力して一緒にやっていこうと、特にアネックスTの国としては三七%もあることだしということを申し上げて強く、もうそのときからそういう環境はあったわけですから、私なりに一生懸命やってきました。
○委員長(吉川春子君) では、時間がありませんので、福山哲郎さん。
○福山哲郎君 大臣、一言だけこの問題についてお答えをいただくのと、もう一回だけ聞きます。こんなことをあなたは会合で言ったのかどうか、お答えください。
○委員長(吉川春子君) まず、川口環境大臣。
○国務大臣(川口順子君) 政府代表団の派遣のときにどなたに行っていただくかということにつきましては、副大臣か、先ほど沓掛副大臣がおっしゃいましたけれども、副大臣か政務官かどちらかを出してほしいということであったわけです。したがいまして、環境省としては、ちょっと言い方があれなんですけれども、熊谷大臣政務官には今まで行ってきていただいてない、それで沓掛副大臣にはこの地球環境問題についての国際交渉というのをやっていただいて、それで政務官にもやはりそういう経験をしていただいた方が私たち三人が問題を共有するという意味では意味があると私は思いました。
 それで、ただいずれにしても副大臣か政務官かどちらかを出してほしいという話でありまして、政務官にお願い、政務官が行ってくださるということで政務官に決まりましたという報告がありましたので、私は先ほど申し上げたような意味で、政務官と副大臣と私と三人同じような経験を共有することができるということはいいことだというふうに私としては思いました。
 以上です。
○委員長(吉川春子君) 時間が来ていますが、沓掛環境副大臣、端的に質問に答えてください。
○副大臣(沓掛哲男君) この今おっしゃられた場というのは私の全くの個人的な後援会でございますので、私的の場での発言でございますので、ここでは控えさせていただきます。
○福山哲郎君 もういいです、終わります。

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第151国会  参議院  本会議  2001年4月4日

○福山哲郎君  おはようございます。
  私は、ただいま議題となりました自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の一部を改正する法律案につき、民主党・新緑風会を代表して質問いたします。以下、本法案を自動車NOx法と呼ばせていただきます。

  さて、本法案の質問に入る前に、焦眉の課題について質問させていただきます。それは地球温暖化問題です。
  二十一世紀が始まって三カ月余り、マスコミには環境の世紀という言葉が躍っています。しかしながら、現実はそんなに甘くはありません。
  三月二十八日、ブッシュ・アメリカ大統領は京都議定書の不支持を表明しました。全世界の四分の一の二酸化炭素排出国であるアメリカのこの表明は大変残念なことであり、リオの地球サミット以来のこの十年間の各国の努力が水泡に帰そうとしています。世界じゅうから落胆の声が上がっております。
  国連政府間パネル、IPCCが第三次報告書で述べているように、地球温暖化問題は、単に百年で気温が一・四度から五・八度上昇するにとどまりません。例えば、氷河、サンゴ礁、マングローブ、湿地などの脆弱な自然の甚大な損害、干ばつ、洪水、熱波、雪崩、台風等の異常気象の激化、生物多様性の損失、二〇二五年、わずか二十五年後には五十億人に上ると予想される水不足人口の急増、マラリア等の伝染病発生地域の拡大、海面水位上昇による小島嶼国の壊滅的打撃などなど、極めて深刻な影響が我々の世代、そして将来の世代に降りかかることとなります。
  もう他人事ではありません。この東京でも年間平均気温は過去百年間に二・九度も上昇しています。また、高知県のアユの年間漁獲高は、温暖化による水温上昇で九五年最盛期の半分以下に落ち込んでいます。私たち政治家はこの現実から目をそらしてはいけません。
  日本政府は、COP3議長国として京都議定書を取りまとめた経緯からも、世界第四位の二酸化炭素排出国としての責務からも、アメリカが批准するか否かにかかわらず、二〇〇二年までに京都議定書を早期に批准し、国際世論を積極的にリードすることが必要不可欠であると思いますが、いかがお考えですか。交渉に当たられてきた環境大臣そして経済産業大臣にお伺いいたします。
  他方、先日三月十五日に行われた温室効果ガス削減技術シナリオ策定調査検討会においての報告書では、地球温暖化対策推進大綱に沿った計画では二〇一〇年の温室効果ガス削減が極めて難しいと報告されています。六%削減目標を達成するためには、すべての対策の前提となっている大綱の見直しは避けることができません。大綱の見直しについてどうお考えなのか、やはり二大臣の答弁を求めます。

  続きまして、自動車NOx法案について質問いたします。
  昨年一月の尼崎公害訴訟判決に続き、同十二月、名古屋南部公害訴訟判決においても、名古屋地裁は道路を管理する国に対して、一定以上の浮遊粒子状物質、いわゆるSPMの排出差しとめを命じました。判決によれば、被告国は被害を防止する対策をとらず、対策の前提となる大気汚染の状態についての継続的な調査自体も怠ったと厳しく国の責任を指摘しています。この一連の判決についての見解を求めます。
  そもそも、この問題は二十二年前に端を発します。一九七八年、二酸化窒素の環境基準が大幅に緩和をされました。当時、環境庁は、一九八五年までに環境基準を達成すると公約していたにもかかわらず、結局果たせませんでした。その後、九二年に達成するという公約もほごにし、ようやく九二年、首都圏や近畿六特定地域で自動車からのNO2を削減する自動車NOx法を制定しました。しかしながら、またもやここでも三たび、二〇〇〇年環境基準達成という公約は果たされませんでした。
  さらに、自動車排気ガスに由来するSPM対策はすっかり置き去りになってしまい、この間、多くの国民が気管支ぜんそく、花粉症、心疾患等々、健康被害に苦しむことになりました。まさに国の責任は重大であると言わざるを得ません。
  今回の改正案で、ようやく対策を行う対象物質にSPMを加え、名古屋市周辺も対象地域に加えるなど対象地域を拡大し、SPMの車種規制や事業者に自動車使用管理計画の作成と提出を義務づけるなど、従来に比べ一定の評価はできますが、まだまだ不十分な面も見られ、以下の点について質問いたします。
  第一に、先ほど申し上げた環境基準未達成の数々です。
  一九九二年に制定された自動車NOx法の総量削減基本方針において、二〇〇〇年までに特定地域では二酸化窒素の環境基準をおおむね達成するとされていましたが、実際には、九八年では目標の三五・七%、九九年度は五九・一%にすぎず、達成にはほど遠い状況でありました。実効性が上がらなかった責任をどのようにお考えですか。特に、環境基準未達成地域の方々、沿道地域でぜんそくを発症しておられる患者の皆さんにどのように説明されるのかをお伺いいたします。
  第二に、大都市部における道路建設は、道路ができると自動車の利用がふえることから、新たな自動車流入を招き、かえって大気汚染が増加するとの指摘があります。政府としては、道路建設が自動車公害対策となると考えているのでしょうか。もし自動車公害対策となると考えているならば、その根拠は何なのでしょうか。特に大都市部について考え方をお伺いします。
  また、二〇〇〇年三月に報告された自動車NOx総量削減方策検討会報告書によれば、自動車交通量の抑制やNOx総量等の抑制、経済的措置の導入等々の必要性が指摘されていたにもかかわらず、この改正案では結局抜け落ちてしまっています。それはなぜなのでしょうか。中でも、大都市部での自動車公害の抑制策は、自動車交通量そのものの抑制、削減以外、対策方法はあり得ないと考えますが、いかがでしょうか。
  第三に、車両総重量三・五トン以上の大型ディーゼル車の排ガス規制を比べてみます。
  SPM規制は、現状では日米欧を比べた場合、日本が最も甘くなっています。大型ディーゼル車の排出するSPMについては、大気中に長時間滞留し、高濃度で肺や気管などにも沈着して呼吸器に影響を及ぼすものです。発がん性があり、花粉症の原因であるとも言われており、今や国民的な病気である花粉症対策としてSPM対策は真剣に取り組まなければなりません。
  ところが、SPMの問題がこれほど言われているにもかかわらず、大型ディーゼル車の規制が甘いということをどのようにお考えでしょうか。現在以上に規制を強化すべきであると考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
  第四に、そのSPMについてお伺いします。
  環境庁告示の「大気の汚染に係る環境基準について」において、SPMの定義と環境基準が定められています。それによれば、定義は、大気中に浮遊する粒子状物質であって、その粒径が十ミクロン以下のものをいうとされています。ところが、ディーゼル車から排出される粒子の大きさは一ミクロン以下であります。十ミクロン程度の大きさの粒子には土壌粒子や海塩粒子、霧や花粉も含まれることから、環境基準を定める定義としては適当ではありません。この際、SPMの定義を見直し、環境基準を設定し直すつもりはないのでしょうか。
  第五に、対象地域の設定について、首都圏、東京・神奈川・千葉・埼玉、近畿、大阪・兵庫と、今回、愛知を追加すると言われていますが、大気汚染が深刻な地域を十分に網羅しているとは言えません。少なくとも、NOxの問題でいえば福岡・北九州周辺、SPMの問題でいえば仙台周辺も加えるべきであると考えますが、いかがでしょうか。
  第六に、事業者の判断基準の策定は業所管大臣が行うこととされていますが、当初案では環境大臣が策定することになっておりました。なぜこれが変更されたのでしょうか、環境大臣、経済産業大臣、明確にお答えください。
  また、判断基準と都道府県の行う指導、助言との関係はどうなるのでしょうか。都道府県は判断基準を超える指導、助言を行うことができるのでしょうか。
  最も自動車を多く使う自動車運送事業者については、都道府県ではなく国土交通大臣が指導、助言を行うこととされておりますが、これでは一体的、効果的な運用が期待できません。都道府県が地域で一元的に指導、助言を行うべきであると考えますが、いかがでしょうか。

  最後に、先日、ある教育関係者から聞いたお話を紹介いたします。
  小学校六年生千人を対象に、もし何にでもなれるとしたら何になりたいかという問いをされたそうです。第一位はお医者さん。第二位は何だと思われますか。第二位は何と科学者でした。一体なぜなのか。子供たちは口々に、科学者になって地球環境問題を解決したいと言われたそうです。実は子供たちの意識の方が永田町よりはるかに進んでいるのかもしれません。このことを大人が、子供は現実を知らないからと決して切り捨ててはいけないと思います。
  もう一度言います。私たち政治家は、先憂後楽の思いで国内外問わず環境問題にもっと積極的になろうではありませんか。民主党は、未来への責任を掲げ、環境問題に現政権以上に取り組むことをお約束して、私の質問を終わります。(拍手)
ありがとうございました。

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この内容の冒頭部分

 

第151国会  参議院  環境委員会  2001年3月27日

○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。
 きょうは所信に対する質疑ということで、環境大臣に後でお話を、いろいろ質疑したいと思うんですが、その前に少し、厚生労働省さんに来ていただいておりますので、お伺いをしたいことがあります。
 私の世代ですと周りがいっぱい実は子供ができ出しています。同級生や先輩や後輩が、本当に周りがみんな子供ができていまして、子供が生まれるたびにそのお祝いで大変なんですけれども、みんな集まると、もう本当にあちこちで子供がうようよ、うじゃうじゃ遊び回っているという感じで、大変元気でいいんですが。
 その中で、三年ほど前に出た問題が話題になりました。いわゆるフタル酸エステル類を可塑剤に用いた、いわゆる環境ホルモン類を使っているおもちゃですね。おもちゃ類について、子供が口に入れます、乳幼児は特に口に入れてべちょべちょの状況にするんですけれども。そこについて、三年ほど前、業界の自主規制等々の話が出ているんですが、現実の問題として、三年前話題になってから今まで、厚生労働省、これは食品衛生法上の規制だというふうに伺っていますが、どのような対応をされたのか、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(尾嵜新平君) おもちゃの規制につきましては、今お話ございましたように食品衛生法上、厚生大臣が指定をいたしますおもちゃにつきまして、厚生省令で規格なりあるいは基準を定める、そういうことで対処をしてきておるわけでございます。現在、御指摘の合成樹脂につきまして、そういうものでつくられておりますおもちゃについては、規格なり基準という形での政令で定めたものを遵守していただくという形になっているわけでございます。
 ただし、今御指摘ございました内容につきまして、十年当時、いわゆる内分泌攪乱物質という形で議論がございまして、その際、検討会を設けて御議論いただいた結果としては、中間報告という形でおまとめをいただいております。
 その中では、一つは人体に対する影響というものについて今のところ心配はないという御指摘をいただいているわけでございますが、その際に、現在の今申し上げました食品衛生法上の施行規則で定めております基準というものが、直接的な、例えばフタル酸ジエチル関係の物質についての基準という形になっておりませんで、そういうものについて、今後おもちゃによります子供さんの暴露がどの程度あるのかということを研究していくようにというふうなことで御指摘をいただいたわけであります。
 そういうことを踏まえまして、現在、私ども厚生科学研究の方でそういった暴露についての状況というものを十年以降やっておるという状況でございます。
○福山哲郎君 その食品衛生法上の規格、おもちゃに対する規格ができたのはいつですか。
○政府参考人(尾嵜新平君) 法律上は食品衛生法ができましたのが昭和二十二年でございますが、二十三年におもちゃについて厚生大臣が指定するものを定めておるわけでございます。ただし、その際には、規格、基準と私が申し上げましたような整理がなされておりませんで、実際に今申し上げました合成樹脂を含めた規格、基準というものが整理されましたのは昭和四十七年の時点でございます。
○福山哲郎君 三年前に問題になったときから中間報告が出ていろんな今研究をしていると。現実問題として、おもちゃに対する規格ができたのは今おっしゃられたように一九七二年なわけですね、もう三十年前なわけです。化学物質や環境ホルモン等については、ここ近年非常に注目というか、人体に影響がある可能性がある。もちろんダイオキシン類等を含めて出てきているような状況で、三十年間全く見直しもなくて、今もまだ研究中だと。
 三年前にいろんな問題になったときのことを、報告を受けてまだ検討中だというのは余りにも対応が遅いし、それこそ子供の影響に、人体の影響に関することですし、今、人体の影響は心配ないというふうなことを言われましたけれども、現実問題として、他国ではおもちゃ類に対するフタル酸エステルの使用は相当規制をしている国が多いというふうに聞いておりまして、そこについてはどう思われますか。対応がおくれているというふうには、御認識はないんでしょうか。
○政府参考人(尾嵜新平君) お話ございましたように、ヨーロッパあるいはアメリカ、ヨーロッパの方は暫定的な形での規制をやっておると聞いておりますが、アメリカの方はそういったことではなしに、業界に要請をしておるという形での対応というふうに伺っております。
 私どもの方では、今御説明申し上げましたように、十年の中間報告書を前提といたしまして厚生科学研究で研究を続けておりますけれども、十三年度の早い時期にその結果をまとめた上で、基準の必要性について検討したいというふうな考え方を持っておるところでございます。
○福山哲郎君 EU、ヨーロッパでは暫定的に規制をしているとおっしゃられていますが、じゃ、EUで規制をしている根拠は何ですか。
○政府参考人(尾嵜新平君) 私どもが聞いておりますのは、平成十一年十二月に動物実験等の結果によりまして、フタル酸エステル類を含有するおもちゃにつきましての流通をしないようにということで、期限つき、暫定的な措置を講じておるというふうに聞いております。
○福山哲郎君 ということは、動物実験においてはそれなりの悪影響が出たということですね。
○政府参考人(尾嵜新平君) これは、先ほど申し上げました十年の日本での中間報告につきましても、全く何にも動物実験を含めまして影響はないということではございませんで、同じような、そういう精巣毒性というふうな点については若干の御指摘がございました。
 ただ、総体としての人体に対する影響というものについては先ほど来申し上げたとおりでございますが、そういったところを勘案した上で、EUの方ではその実験結果というものをもって先ほど御説明しましたような規制を行っておるということでございます。そこのところは若干私どもの検討会の考え方とは異なっているようでございまして、暴露量の評価といいますか、その辺のところのとり方というところが異なっているようには承知しております。
○福山哲郎君 私は、一九七二年の規格でこのまま来ている、化学ホルモンやいろんな化学物質に対して問題が起こっているにもかかわらず、七二年の基準がそのまま来ている。この基準、そのことについても問題だと思いますが、じゃ、先ほどまさに食品部長が言われたように、この基準ではフタル酸エステルは検出することはできないんですよね。
○政府参考人(尾嵜新平君) 御指摘のとおりでございます。
 そのものずばりを基準として定めておるというものでは、現行のものはそうではございません。
○福山哲郎君 フタル酸エステルを用いたおもちゃが問題になっているときに、その規格がフタル酸エステルを抽出、溶出できないような状況で規格をいつまでも放置しておくことは非常にこれは問題だと思うんですが、部長、どうですか、そういう認識はないんですか。
○政府参考人(尾嵜新平君) 御説明申し上げておりますように、そういった暴露面での調査研究というのを進めておりまして、近々それを取りまとめるという形を踏まえまして、基準、規格についてどう対応するかというところを十三年度の早い時期に私ども整理をいたしたいというふうに考えておるわけでございまして、そういった意味で御指摘のような認識を持っておるということでございます。
○福山哲郎君 今の話でも、いろんな報告をまとめた後、平成十三年度中に規格をつくる必要性があるかどうかを検討しているということですね。要は、規格なり規制の必要性に対してはまだ検討中で、わからないということですね。
○政府参考人(尾嵜新平君) 調査研究の内容を取りまとめた段階でその必要性を検討すると、そのとおりでございますが、今のところまだどういった内容でやるべきか、あるいはやるか否かというところも含めてでございますけれども、こういった状況の中、何らかの考え方の整理をしたいという趣旨でございまして、全く何の対応もしないということにはならないんではないかというふうに私どもも思っているところであります。
○福山哲郎君 ということは、今の食品保健部長の御認識でいうと、一応検討はするけれどもこのまま放置をしておく状況にはならないだろう、何らかの形の規格なり基準なりを見直すような余地はあるというふうに今のところ認識をされているというふうに受けとめてよろしいわけですね。
○政府参考人(尾嵜新平君) 細かい数値的なもので規格なりを定めるというところまで行くかどうか、そこのところは明言は私できないと思っておりますが、こういったものの流通に関しても含めて、その対応をどうするかというところは整理をしたいというふうに考えているところであります。
○福山哲郎君 ぜひ早々に、この報告書に対しての対応とそれからはっきりとした厚生労働省の対応を決めていただきたいというふうに思います。今も子供は生まれて育っているわけでございますし、七二年、三十年前につくられたものがそのままいっているということは、正直言って非常に僕は問題だというふうに思っています。
 前回のこの委員会でも、我が党の櫻井委員が化学物質、シックハウスの問題についていろんな言及がありました。そのときに環境省等の対応もいろいろお話をしたんですが、今回の大臣所信をお伺いしますと、「化学物質の管理の改善及び化学物質の環境リスクに対する国民の理解を促進するとともに、環境ホルモン等のリスク評価を鋭意進めてまいります。」というふうにあるわけです。
 川口大臣、私はこれ事前通告してないんですが、この間のシックハウスの問題でも、環境省と建設省や厚生労働省との間の縦割りの問題、今の実はおもちゃの問題もやっぱり化学物質に関しているところです。確かに所轄が違うという話になっていますが、実際に化学物質を使用しているものがある状況の中で、環境省としてはこういう実態を今どのようにお考えなのか、済みません、大臣、事前通告はしていなかったんですが、お答えをいただければと思います。
○国務大臣(川口順子君) 化学物質の環境汚染、人体の健康への影響あるいは生態系への影響ということにつきましては、環境省としても関心を持っております。
 さまざまな化学物質がございまして、例えばPCBでございますと今国会に法案を提出させていただいておりますし、それから環境ホルモンにつきましては、ミレニアムプロジェクトということで調査を三年間ということでさせていただいておりまして、四十物質だと思いますが、選びまして、今年度はそのうちの幾つかをやって知見を深めるということでございます。
 種類に応じましていろいろございますけれども、それぞれそれなりに環境省としては対応をしていきたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 ぜひ環境大臣も積極的にお願いしたいというふうに思います。
 厚生労働省さん、もう結構でございます。ありがとうございました。
 それでは、大臣に御質問をさせていただきます。
 本年の一月十七日から二十日まで、IPCCの第三次報告、第一作業部会から報告書が出ました。この報告書には今回の温暖化というのが人間の関与だということをはっきりと書いて、これまでと違いまして、第一次、第二次の報告書だと温暖化による影響が一度から三度というような状況だったにもかかわらず、今回の第三次のIPCCの報告でいうと一・四度から五・八度という大変な気温上昇の報告を出しています。
 現実に、一万年前にマンモスが絶滅してから我々が今生活しているまで気温上昇の平均は約五度ということになると、この百年間で我々はそれぐらい、同じぐらいの気温上昇を経験するかもしれないと。それは人類が経験するとともに地球全体が経験をすることになっておりまして、それに及ぶ何といいますか生態系の変化や洪水それから伝染病その他についてもいろんな言及がされているわけです。
 このIPCCの第三次報告の第一作業部会の報告、それから二月にありました第二作業部会のやはり報告、この辺がやはり温暖化について相当厳しい評価をしているという状況の実態について、大臣の御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) IPCCの場で三つの作業部会がございますけれども、それぞれのところで報告書をつくっているわけでございまして、この報告書はピアレビューといいますか、研究者の方々の同僚の方々による審査を経て出てきているという意味で、きちんと審査をされた上で出てきている報告書だと思っております。
 委員がおっしゃられましたように、それぞれのところで非常に前の報告書に比べて一段と環境への影響、温暖化の影響が大きい、あるいは温暖化の進行が速い、予測していたよりもさらに重大であるというような報告書が出てきておりまして、私といたしましては、この報告書の内容についての理解が日本国内はもとより世界全体として深まっていって、問題をみんなで共有をするということになればいいと思っております。
○福山哲郎君 まさにおっしゃるとおりなんですが、理解を共有するだけでは物事は解決をしないと私は思っています。
 例えば、異常気象現象については、最高気温及び最低気温の上昇、大部分の地域による降水強度の増加、大部分の中緯度内陸部における夏季の渇水、一部の地域における熱帯低気圧の最大風力及び降水強度の増加等が起きる可能性がある、モンスーン等についても変動の激化をもたらす可能性があると。海面上昇についてもそういうような報告が出ておりますし、ましてや、二〇二五年というと実は二十四年後ですから、ここにいらっしゃる方はまだほとんど生きておられると思いますが、二〇二五年、水不足が五十億人、中央アジアで深刻だというような状況、それからマラリアやデング熱の感染地域が拡大するおそれがあるというような状況が今回の報告で出ています。
 二〇二五年というと、本当にここにいらっしゃる方はもとより、我々の次の世代もまさにその被害をこうむる状況でございまして、大臣の言われた理解を深めることはもちろんなんですが、これは科学者が世界の英知でIPCCという枠組みで報告書を出した、今度はそれに対して実行していく、これを回避するためにどういう決断をしていくのかというのが私は政治の役割だというふうに思っておりますし、それが京都議定書も含めて大臣に御尽力をいただいている問題だというふうに思っています。
 その政治の役割という点については、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 委員がおっしゃったことについては私も実は大賛成でございまして、IPCCのような科学的にきちんとした報告書について理解を深めるようにするというのがまず第一歩。で、その理解に基づいて、この理解がありませんと何が必要だという議論になかなかつながっていかないわけでございまして、その先必要な対応策をとっていくことが重要であるということを実際に政治の場で、国際政治の場で議論をし、そのための合意を見る、それから国内的にもそのために必要な制度を構築していくということが非常に大事だというふうに思っております。まさにそこに政治の役割があるというふうに私は思っております。
○福山哲郎君 その中で、副大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
 実は、前回の委員会でもお伺いをした件をもう一度確認をさせてください。
 G8の環境大臣会合でアメリカのホイットマンさんとさしでやられたと。そのときに、私はこの間確認をさせていただいたのは、このコミュニケで、二〇〇二年までに京都議定書の早期批准を可能にするために、ほとんどの国にとっては二〇〇二年までを意味すると、時宜を得た批准手続を伴うということがコミュニケに言われているわけですが、このほとんどの国にとってということは、アメリカはこの二〇〇二年までの早期批准に対しては了解をしなかったということをもう一度確認をさせていただきたいんですが、それでよろしいでしょうか。
○副大臣(沓掛哲男君) ただいま御指摘のありました今回のG8環境大臣会合のコミュニケにおきましては、COP6再開会合の成功は京都議定書の早期発効を可能にするために必要であるという認識は皆さんございました。そこで、ほとんどの国にとってこれは遅くとも二〇〇二年までを意味し、時宜を得た批准手続を伴うとコミュニケで記述されております。
 その中の、アメリカがどうなのかという御質問でございますが、私は、今回の会合の機会に、米国のホイットマン環境保護庁長官と個別に会談を持つ機会がございました。ブッシュ政権は気候変動問題を真剣に取り上げるということを会議場でもまた私との会合でもおっしゃっておられましたが、一方で、現在、今後の対応について引き続き検討作業を行っており、国際交渉への態度も決まっていないということでございました。このような事情のもと、米国としては現時点では二〇〇二年までの発効についてコミットはできないということでございました。そういうことからこのような記述になったものと考えております。
○福山哲郎君 二〇〇二年までの発効についてはコミットメントできないという、アメリカが、一番二酸化炭素を排出している国がコミットできないというのは京都議定書にとっては大変重要な問題だというふうに私は受けとめています。
 その後、これもこの間のお話と続きになりますが、三月四日の、わずか十日もたたないうちに、ブッシュ大統領がヘーゲル上院議員に、自分は京都議定書に反対であるという書簡を出したと。実は、三月二十一日にチェイニー副大統領はアメリカのテレビ番組で、地球温暖化問題に真剣に取り組むなら欠陥が多い京都議定書より原発建設の方がよい解決策だと述べたという話があります。我々は議定書を支持しないと副大統領が述べたと。このブッシュ大統領の手紙については川口長官がホイットマンさんに書簡を出されたと。それに対して、この間、川口長官は私に、この手紙についても言及をしたお手紙を書かれたというふうにおっしゃっていただきました。
 現実には、このホイットマン長官にあてた川口大臣のお手紙の中で、この手紙についてどのような中身で言及をされたのか。また、このチェイニー副大統領の発言については環境省としては確認ないし何らかの対応をされたのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) ホイットマン環境保護庁長官への手紙でございますけれども、これは先ほど副大臣からお話を申し上げましたトリエステでのG8の会合で、アメリカは気候変動問題については検討中であるということを言ったということでございましたので、その検討の過程でぜひホイットマン保護庁長官にはイニシアチブをとっていただきたいというお願いをいたしまして、あわせてその中でブッシュ大統領からヘーゲル上院議員への手紙に言及をして、それは非常に残念である、残念に思う、その手紙の内容については残念に思うという趣旨のことを言っております。
○政府参考人(浜中裕徳君) チェイニー副大統領の御発言に関してでございますが、確かに先生お触れになられたような趣旨の発言をテレビで行ったということの、そういう旨の報道があることは私どもも承知しておりますけれども、この特にチェイニー副大統領の京都議定書に関する発言の趣旨というのは、途上国の参加がないそういう京都議定書は重大な欠陥があると、こういうことをおっしゃったというふうに理解しておりまして、そういう意味では、共和党が大統領選挙当時からの公約として掲げられてきた考え方、スタンスとは違いがないというふうに理解をしておりますので、環境省から、このチェイニー副大統領の御発言について特段、例えば米国政府などに対して確認をしたということはございません。
○福山哲郎君 それは、理解をしているのは、環境省さんが独自に理解をしているということですね。そのように理解を、そういう中身の発言であろうと環境省さんが理解をしているということですね。
○政府参考人(浜中裕徳君) 私どもも、インターネットなどを通じて欧米のプレスなどから記事として出されているものについては直接入手も可能でございますから、そういうところから報道されているものを入手し、先ほど申し上げたような理解をしているということでございます。
○福山哲郎君 私が余りにも悲観的に物を考え過ぎているのかもしれませんが、G8の環境大臣会合では二〇〇二年の発効に関してはコミットできないとはっきり言われた、その直後にブッシュ大統領は京都議定書に反対だと言われた、副大統領は、今の浜中局長のお話によっては、途上国の参加がない場合にはという留保つきだとはいいながら、京都議定書には反対だというような言明をされたと。
 先ほどから、検討中であるし鋭意コミットをお願いしたいというようなことを期待しているというのが石井先生との質問のやりとりの中でもあったんですが、現実問題として、本当にアメリカのポジションが京都議定書に対してどういうポジションなのかと考えると、私は、大変この流れを見ても悲観せざるを得ない状況でございまして、川口大臣はアメリカのポジションを今どのように御判断されているんでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) アメリカの政府は、今、政府部内で気候変動の問題についてどういうスタンスでこれからやっていくべきかということを議論し検討している最中だというふうに了解をいたしております。
 それから、ブッシュ大統領からヘーゲル上院議員の手紙の中で、ブッシュ大統領は、この地球温暖化の問題についてはアメリカ政府としても前向きに真剣に取り組むということも言っておりますし、この問題の解決のために創造的なアプローチが必要であると。ちょっと私、今ここに手紙を持っていないものですから具体的にきちんとした文言、引用を申し上げることができないんですけれども、そういう趣旨のことを言っているということでございまして、その二つを考え合わせれば、アメリカ政府のこの気候変動問題についての態度が今の時点で全くネガティブなものであるというふうに判断をするには材料は十分ではない、前向きに議論をしていただいている最中だというふうに私は了解をいたしております。
○福山哲郎君 できればそうあっていただきたいとお願いしますし、そのような交渉をよろしくお願い申し上げます。
 これも前の委員会でもお伺いをしたんですが、アメリカのスタンスがまだ読めないと。検討中で、何とか前向きになっていただきたいという今の大臣のお話はわかるんですが、読めない状況の中で、今回、所信に、二〇〇二年の発効に向けてという大変前向きな表現が大臣の所信に入っています。
 ということは、アメリカのスタンスがこれから検討を重ねてどう動こうが、日本は二〇〇二年の発効に向けて準備をし批准をしていくというスタンスだというふうに受けとめてよろしいわけですね。
○国務大臣(川口順子君) 先ほど申しましたように、アメリカの政府は、今、政府の中で議論をし検討をしていただいている最中でございます。
 私は、アメリカは、温室効果ガスの排出の量という意味でいいますと世界全体の排出量の四分の一近くの排出量を占めておりますし、その国が参加をするということは京都議定書の実効ある実施という意味でも非常に重要でありますし、なお、さらに世界全体の温暖化ガスの排出の削減ということを考えた上でも重要な意味を持つことだと思っております。
 したがいまして、アメリカの検討がこの問題について前向きであるようにということについてはさまざまな働きかけをしながら、この二〇〇二年までの発効を目指して必要な国内措置の検討及び国際的な会議の場でのイニシアチブをとっていきたいと思っております。
○福山哲郎君 私は、働きかけはぜひお願いしたいと、アメリカの参加は私も必要だと思っていますから。そうではなくて、アメリカは、それは検討した結果出てくる答えですし、そのアメリカのスタンスとは関係なしに、所信に書かれているように、二〇〇二年までに日本は批准をする準備はされるんですねと。アメリカのスタンスは今検討中なわけですから、大臣の言われたとおりで、働きかけをして参加をしてもらえればいいけれども、我が国はそれにはかかわらず批准をする用意があるのですかとお伺いをしておりますので、それに対してお答えをいただければと思います。
○国務大臣(川口順子君) 日本といたしましては、国際的な合意というのが非常に重要であると思っておりますし、また、その合意をしたときに国内的にその担保が可能なような制度の構築というのが重要でございまして、先ほど申し上げましたことは、こういったその国際合意に向けての努力をし、なおかつさらに国内措置の構築に向けて努力をするということでございます。
○福山哲郎君 いや、だけれども、じゃ、ちょっと角度を変えます。
 このG8の環境大臣の会合で、コミュニケに、ほとんどの国については遅くとも二〇〇二年までを意味し、時宜を得た批准手続を伴うという、ほとんどの国の中に日本は入っているんですね。
○国務大臣(川口順子君) 私どもは、昨年のハーグの場でも、日本は二〇〇二年までの発効を目指して努力をするということを、最大限の努力をするということを言ってきておりますし、それはいまだに変わっておりません。
○福山哲郎君 済みません、聞かれたことにお答えをいただければ結構でございます。
 ほとんどの国にとっては遅くとも二〇〇二年までを意味し、時宜を得た批准手続を伴うというコミュニケに、日本はちゃんとコミットしたんですね。このコミュニケの内容のほとんどの国の中には日本は入っているんですね。
○国務大臣(川口順子君) お答えいたしましたように、日本はずっと二〇〇二年までの発効を目指して最大限の努力をし、取り組んでいくということはずっと言っております。
○福山哲郎君 どうしても批准という言葉は大臣お使いになられないわけですが、それは何でお使いになられないんですか。
○国務大臣(川口順子君) コミュニケにございますように、日本は、これはそういう意味でいいますと、清水大臣がなさった昨年の大津のG8の会合からそうでございますけれども、二〇〇二年までのその発効を目指して努力をするということでございます。ということで尽きていると思います。
○福山哲郎君 切りがありませんので、次に行きます。
 ここは、けれども、非常に重要だと思いますので、ここをうやむやにされる理由はどこかで明らかにしていただきたいと思うんですが。
 所信にあります、国内制度の構築が必要だとされておりますが、大臣の言われた二〇〇二年発効まで国内制度の構築に対して、批准するかどうかは別ですね、今お答えなかったわけですが、スケジュールはどういうふうになっているのか、今どういう御議論をしているのか、スケジュールをお知らせください。
○国務大臣(川口順子君) 現在、中央環境審議会の場で二つの小委員会を設けまして議論を進めていただいております。これは、その京都議定書の目標を達成するために必要な国内制度のあり方、あるいはその技術的な可能性といったことについて議論をしていただいているわけでございます。
 それぞれの小委員会が、スケジュールで申しますと、ことしの夏を目途に地球環境部会、これは中環審の地球環境部会に対して中間報告を行う予定でおります。
 それから、それはCOP6の会合、COP6再開会合が七月の下旬に開かれるということでございまして、そこで京都議定書の運用の細目のルールが決まりませんとさらにそれを詰めていくという作業に取りかかれないわけでございまして、そこの再開会合での必要な細目の合意を前提に、小委員会ではさらにその後その審議を進めまして、ことしじゅうに部会に対して最終報告を行うという予定でおります。
 それから、これは中環審は環境省の話ですが、経済産業省におきましても、総合資源エネルギー調査会の場等でエネルギー需給の見通しの改定作業を行っていると、その中でエネルギー起源の二酸化炭素の排出の削減の検討もしていただいているところでございます。
 環境省といたしましては、経済産業省あるいは他の関係省庁との連携を行いつつ、中環審等におけるその審議結果を踏まえまして、二〇〇二年に議定書を締結できるように、京都議定書を担保するための法案を提出するということを目指して全力で取り組みたいと考えております。
○福山哲郎君 御丁寧にお答えいただいて、ありがとうございます。
 そのような状況の中で、実は環境省から温室効果ガス削減技術シナリオ策定調査検討会報告書というのが出ました。これは新聞報道もあったんですが、この環境省の温室効果ガス削減技術シナリオ策定調査検討会の報告書によれば、二〇一〇年の温室効果ガス削減は極めて難しいという報告がこれ出ています。
 それも、これは何を前提にかというと、いわゆる温暖化防止対策大綱という、それまでずっとこの三年間すべての国際会議のときに前提となっていた、我が国の交渉の前提となっていた温暖化防止対策大綱のままでやると削減が難しいという報告を環境省がついこの間、三月十五日に出されました。
 これ、このままだとだめだというふうに言われているんですが、浜中局長、これ一体どうすればいいんでしょうか。
○政府参考人(浜中裕徳君) 三月十五日に確かにその環境省の検討会の報告がまとめられまして、そこにおきましては確かに大綱について言及されましたが、大綱の中で実施することが掲げられており、その現時点までに実際に決定された政策や対策のうちで確実性が高いといいますか、排出削減の確実性が高いものの実施をした場合にどのぐらい効果があるかということにつきまして、基準年、京都議定書の基準年と比較した二〇一〇年の温室効果ガス排出量というものを推計したということでございまして、その結果では、そうした政策のみではその基準年と比較して五ないし八%増加をすると、こういう推計結果になっているわけでございます。
 ただ、同時に、この検討会報告書では、技術的な観点からはどのぐらいさらなる削減が可能かということについても算定をしております。
 ただ、この場合には、もちろん特定の技術を実際にその対策に用います場合に制度面あるいは資金面でのいろんな制約もございますから、それも実際にはあわせて検討をしていく必要がございますが、この検討会では主に技術的な面からの可能性ということでございますので、こうした制度的、資金的な制約は捨象しまして技術的な観点からどれだけできるかということを算定したわけでございますが、この結果によりますと、基準年と比べて、温室効果ガスの排出量で申し上げて二ないし一三%の削減ができる可能性があるということが推計されているというわけでございますから、この検討会の報告書それ自体で六%削減の達成が難しいという結論づけをしたものではございません。
 いずれにしましても、私ども環境省におきましては、先ほど大臣から申し上げましたとおり、中央環境審議会の地球環境部会におきまして、この検討会では捨象されていた個々の追加的な対策による削減可能性のコスト面などの条件を詳細に検討する、あるいはこれを実現するための具体的な国内制度のあり方について検討をしていくこととしておりまして、こうした審議結果も踏まえて、先ほど大臣から申し上げたとおり、二〇〇二年までの締結ができるように、国際交渉の進捗状況も踏まえながら、目標達成に必要な実効性ある国内制度の構築に全力で取り組んでまいりたい、このように考えている次第でございます。
○福山哲郎君 今局長は、この報告書が出たからといって六%の達成が不可能だということは限らないというふうにおっしゃられました。しかし、みずからもおっしゃられましたように、大綱どおりにやってだめな報告書、もう実際環境省から出ていると。
 この温暖化防止対策大綱についての見直しにはこれはつながる可能性はあるんでしょうか。どちらでも結構でございます。
○国務大臣(川口順子君) 先ほど局長が申し上げましたように、どういうような対策が必要かということの議論を今いたしております。
 それから、同時に国際場裏で議定書への合意が達成されて、そこでどのような京都議定書の細かい運用ルールが設定されるかということも、今後の対応を考えるときには必要でございます。
 ということでございますので、現在は国内的にはどのような制度が、京都議定書の運用ルールが合意されたときにどのような国内制度を持っていることがそれを担保することになるかということの観点で、できることの検討を今最大限にするということで取り組んでいるわけでございます。
○福山哲郎君 どうも大臣は、僕の言っていることにはお答えをいただけないみたいなんですが。
 局長、どうなんですか。これが温暖化対策大綱の見直しになる可能性はあるんでしょうか。
○政府参考人(浜中裕徳君) 先ほども申し上げましたとおり、検討会では技術的な観点からはいろいろな検討をしていただいている、こういうことでございまして、現在、それも踏まえまして中央環境審議会の地球環境部会において、資金的な、コスト面の制約条件であるとか制度面の検討でございますとか、そういう点も含めて具体的な国内制度のあり方についてさらに検討を深めていただいているというところでございますので、それを鋭意進めてまいりたい。
 その結果に応じてさらなる、先ほど申し上げましたように、我が国として国際交渉の進捗状況も踏まえながら、目標達成に必要な実効性のある国内制度の構築に向けて真剣に全力で取り組んでまいりたい、このように考えている次第でございます。
○福山哲郎君 なかなかお答えをいただけないので、ちょっと困っているんですが。
 基本的にこの温暖化防止対策大綱というのが非常に重要な意味を持つというふうに私は思っておりまして、大臣も局長もそう簡単に見直すなんというのは、他の省庁との関係もあるから言いにくいというのも私もわかっているつもりでございます。
 しかし、現実に環境省の報告書の中でこれは不可能だという数字が出ている限りは、この温暖化対策大綱をやっぱり見直していかないことには正直言って発効に対する国内法制度の整備もできないというふうに思いますし、そこは逆に環境省の方からこのままじゃ無理だということをもっと声高に言っていただいてもいいぐらいではないかなと私は思っているところなんです。
 ただ、実際問題は、これは大臣にちょっとお伺いしたいんですが、副本部長をやられている大臣にお伺いをします。
 地球温暖化対策推進本部、この大綱を決定した機関ですが、この地球温暖化対策推進本部というのは、本部長は内閣総理大臣でいらっしゃいますから、地球温暖化の対策についての最高決定機関はこの温暖化対策推進本部だというふうに受けとめてよろしいわけですね。
○国務大臣(川口順子君) 政府として一貫してある対策をとろうということになりました場合に、それは閣議決定によるというふうに思っております。
○福山哲郎君 そうすると、この推進本部の位置づけというのは、どういう位置づけになるんでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) これは、温暖化だけではなくて、さまざまなことについて本部というものがあり、それを受けて閣議決定をするということに、そこでの、本部での議論を受けて閣議決定をするというようなことで日本政府としては動いているわけでございまして、これも全くそれと同じようなことでございまして、この地球温暖化対策推進本部については、これは地球温暖化防止に係る具体的かつ実効ある対策を総合的に推進するためということで動いているわけでございます。
 具体的に例えばどういうことをやっているかということで申しますと、毎年、地球温暖化対策の具体的な措置の推進状況を点検しているということで、九九年の七月に、それからさらに昨年二〇〇〇年の九月にこのフォローアップの仕事をいたしております。
○福山哲郎君 今、まさに大臣が言われているみたいに、地球温暖化対策推進本部、内閣総理大臣が本部長で副本部長は川口大臣ですが、去年の九月から開かれていない。その間にCOP6はありました。さらにはアメリカの大統領もかわりました。そして、先ほどから何回も言っているように、中環審や産構審でお伺いしたようにいろんな議論がされていて、COP6が行われて現実に決裂をしたにもかかわらずこの推進本部が開かれていないというのは、一体この推進本部は何のためにあるのかと私は大変疑問に思っておりまして、だれが招集するんですか、これは。
○政府参考人(浜中裕徳君) この地球温暖化対策推進本部は、本部長でございます内閣総理大臣の招集に応じて開催されているということでございます。
○福山哲郎君 内閣総理大臣はそれどころではないかもしれませんが、ただ、先ほど大臣が言われたように、本部を経て閣議決定をされるとおっしゃいました。現実問題として、COP6が終わってからこの本部自身が一回も開かれていない。一体だれがどこでこの温暖化に対する対策の最終責任を会合でするんだと。
 環境省が中環審でやっている、経産省が産構審でやっている、それはわかります。でも、現実問題としてここの本部が去年の九月から全く開かれていないということ自身はこれは大変だと思っていて、その状況の中で環境省からは大綱がうまくそのとおりいかないという、大綱どおりやっても六%削減はできないという報告書が出ているわけでして、私は大変問題だと思います。
 アメリカのスタンス、それから批准についてきょう言明をされなかった点についてももう少し、済みません、僕はいつもこうやってきつ目に言っていますが、環境省さん、頑張っていただかないとIPCCの報告にありましたように本当に危険になってまいりますので、ぜひ頑張っていただきたいと申し上げて、きょうの私の質問を終わります。
○委員長(吉川春子君) 答弁はいいんですね。
○福山哲郎君 要りません。は。

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第151国会  参議院  環境委員会  2001年3月22日

○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。
 昨年の十二月六日、当時の国土・環境委員会でCOP6の閉会中審査をお願いいたしまして、あのときも、当時は長官でいらっしゃって今は大臣でいらっしゃいますが、川口大臣といろいろお話をさせていただきました。あれから三カ月余り、環境庁は環境省になりまして、先ほどから委員の先生からいろんなお祝いの言葉がありますが、逆に責任も重くなったというふうに私は受けとめております。
 二十一世紀になりまして、どこの新聞を見てもどこのマスコミを見てもどこの雑誌を見ても、二十一世紀は環境の世紀もしくは人権の世紀という話になっておりまして、現実に環境の世紀と声高にスローガンのように言うのはたやすいんですが、現実には中身を伴っていかなければいけないというふうに私は思っておりまして、先ほど我が党の櫻井委員から出てきているシックハウス症候群の問題も含めて本当に、先ほど副大臣も言われましたように、環境と言い出すと全部の私たちの社会生活にかかわってくるわけで、それなりに私は環境省の役割は大きくなっているというふうに思います。
 さらには、アメリカではブッシュ政権ができ、三カ月の間にCOP6のパートツーが五月の予定だったのが七月に延期をされ、そしてその中身の中で環境大臣会合等があったわけですが、なかなか国会議員をしていて不便だなと思うのは、そういう情報が逐一とれないということもありまして、それは私が積極的にとりに行けばいいんですが、なかなかとれないこともありまして、まず昨年の十二月六日以降、COP6が決裂をした後のこれまでのまずアンブレラグループ、それから条約事務局、それからアメリカ、それからそれ以外のG8も含めていろんな国際会議の中で温暖化についていろんな流れがあったというふうに思いますが、その件の経過を今後の審議の参考にさせていただきたいと思いますので、ぜひお教えをいただきたいと思います。
○政府参考人(浜中裕徳君) COP6のオランダのハーグの会合以降の経緯でございますが、その後も中断をやむなくされたわけでございますが、年内にもできる限り合意を達成したいということで、まず事務レベルでございましたが、カナダのオタワで会合を、十二月の上旬でございますがオタワで会合をさせていただきました。その後、そこでは事務レベルでございますので必ずしも合意を実現するというところまでまいりませんで、ある程度の議論の整理をさせていただいたのでございますが、その後、ぜひやはり閣僚レベルで合意を実現したいということで、川口大臣にも参加をいただきまして、アンブレラグループとそれからEUの主要閣僚間で電話会議を何度かしていただきました。しかしながら、電話会議をいたしましたけれども、会議を開いて実りある結果を得るという見通しが十分に得られませんでしたので、残念ながら昨年は会議を、非公式の形であれ閣僚会議を開くということはできなかったわけでございます。
 年が明け、アメリカも政権が交代をいたしました。ブッシュ新政権が誕生したわけでございます。そこで、先生お触れになられましたけれども、新たに国務長官に任命をされたパウエルさんが条約事務局に対して、自分たちとしてはできるだけ建設的に交渉に対応したい、そのためには十分な準備期間が要る、こういうことで、その観点からは当初想定されていた五月末からという日程では十分な準備ができないということで、その会合を七月あたりに延ばすことができないだろうかという要望を出されたという経緯がございました。
 その後、COP6議長プロンク、オランダの環境大臣でございますが、条約締約国会議のいわゆるビューローと申しますか、役員会でございますが、そこで協議をされた後、どこで会場が確保できるかと、こういった観点なども含めて検討され、その後、たしか二月の後半だったと思いますけれども、ボンにおいて七月十六日から二十七日まで開催するという形で決定されたわけでございます。
 他方、いろいろな別途の国際会議がございまして、例えば二月の上旬には国連環境計画、UNEPの管理理事会と、これに合わせて第二回のグローバル環境閣僚級フォーラムが開催をされました。その機会にプロンク大臣もナイロビに行かれまして、関係各国の代表者と個別にいろいろ協議もされたわけでございます。そこでのお話は、内容にわたる問題といいますよりは、むしろそのCOP6再開会合の時期をいつごろにするかというようなことが主だったように聞いております。そういったことも踏まえて、ただいま申し上げましたような形で七月の開催が決まっていったということでございます。
 さらに、その後三月に入りまして、イタリアのトリエステというところでG8環境大臣会合が開催をされておりまして、ここでは気候変動問題が非常に大きなテーマとして議論をされたわけでございます。我が国からは沓掛環境副大臣に御出席をいただきました。そこでの議論の結果として、やはりこの問題、大変重要な問題であるので、やはりCOP6再開会合の成功を目指して政治的なリーダーシップを発揮していこうじゃないかと、こういうような方向でまとめられたわけでございますし、また我が国や欧州各国はその二〇〇二年までの発効を目指していこうと、こういうことで早期発効というのはやはり多くの国にとっては二〇〇二年までを意味するというようなことが最終的にうたわれることになったということで現在に至っているということでございます。
 現在、議長国でありますオランダといたしましては、プロンク議長がハーグの最終段階で議長の名のもとにお出しになられたまとめの方向といいますか、まとめのための一つのたたき台となるようなものを出されたわけでございますが、それを改定する作業をやっておられます。個別に各国と協議を事務レベルで重ねながら、各国の意向を把握しまして、次の再開会合に向けての協議のために、協議の進展のためにそのペーパーを改定する作業をやっておられまして、私どもが伺っておりますところでは、四月の初めにもその改定ペーパーというものが出されるというふうに伺っております。そして、四月二十一日に国連持続可能な開発委員会の機会を利用して非公式の閣僚レベル会合を開いて協議を進展させたいと、こんなようなお考えだというふうに伺っているところでございます。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 幾つかの点で少し抜けていた点があるかなと思うので、補足をいただければと思いますが、まず、日本の国が条約事務局に対してプロンク・ノートに対する意見を求められておりましたよね。その意見を求められたのを一月十九日に恐らく我が国の政府は出していると思いますが、そこの政府が出している、条約事務局に提出したプロンク・ノートに対する意見の取りまとめの作業をどのレベルでいつやられて、どのような内容で出されたのかはお教えいただけませんでしょうか。
○政府参考人(浜中裕徳君) プロンク・ペーパーへのコメントは各国が提出を求められていたものでございまして、我が国政府の中では、まず関係省庁、環境省、外務省を初め関係省庁の間で事務レベルで検討をさせていただいた上で、私ども環境省の中におきましては川口大臣に御相談の上、我が国のコメントということで提出をさせていただき、かつその要点は発表させていただいているものでございます。まず、そういう形で意見を出させていただいたということでございます。
○福山哲郎君 概略で結構ですから、中身をお伝えいただけますか。
○政府参考人(浜中裕徳君) 中身については、プロンクさんのペーパーというのが大きく四つに分かれておりますので、その順序で申し上げたいと思います。
 まず、ボックスAという最初の部分については、四つのうちの最初の部分につきましては、途上国問題、いわゆる途上国の支援問題でございます。
 これにつきましては、我が国といたしましては、ハーグ会議のときにアンブレラグループのまとめ役を買って出まして、川口大臣からアンブレラグループの途上国支援案ということで出させていただいた、基本的にはそれにのっとったものでございまして、まず、途上国が地球温暖化の影響に対する適応を進める、その取り組みを支援する適応基金というものをまず設ける。それからもう一つは、地球温暖化防止のための取り組みを支援する、そういうための条約基金を設けるということでございます。その両方の途上国支援の資金の規模でございますが、京都議定書の第一約束期間中五年間にわたりまして約十億ドル、米ドルでございます。
 それから、その際には、後発途上国と申しますか、発展のおくれた、特に発展のおくれた途上国、あるいは小島嶼国、こういったところについては特別な配慮を加えるというものでございます。
 それから、二番目につきましては、いわゆる京都メカニズムについてでございます。
 この点につきましては、例えば排出量取引に量的な制限を設けるかどうかという点については、既にプロンクさんのもともとのペーパーでそういう制限は設けないという方向で、あとは定性的な表現にするということでございましたので、我が国としては特にプロンクさんの御提案について異論はないということで、特段の意見は申し上げておりません。
 それから、クリーン開発メカニズムについては、事業活動のうちで特定のプロジェクトを制限するかどうかということが問題になっておりましたが、とりわけ原子力施設を利用するかどうか、その点についてプロンクさんのノートでは、クリーン開発メカニズムにおいて原子力施設を利用することを控える旨宣言するというような案が出ておりましたが、我が国としては、そういった原子力に関する記述を削るべきではないか、これは基本的に事業を実施する途上国の判断によるべきものであるという考え方からそのようなことを申し上げたわけでございます。
 それから、排出量取引を実施する場合に、先進国は自国に割り当てられた割り当て量の一定割合をいつも留保していくべきではないだろうか、こういうような考え方がございまして、プロンクさんのノートでは七〇%を保持する、留保するというようなことが出ておりまして、これを我が国としては支持しております。
 それから、三番目が吸収源でございます。
 これについては、我が国としては今回は特段のコメントを提出しないということでございまして、その理由は、ハーグ会合、先ほど申し上げましたオタワでの会合等におきまして先進国間で議論が続けられ、合意には至ってはおりませんけれども、そういった先進国間の議論の進展の状況にかんがみますと、プロンクさんが最初におつくりになったこのペーパーでは、今後の交渉のベースとしてはもはや先進国間の協議の方が先に進んでいるというふうに考えられるものでございますので、特段のコメントは提出せず、今後、先進国間などの協議の進展に応じて追加してコメントすることがあり得るというようなことを申し上げたわけでございます。
 それから、吸収源に関するクリーン開発メカニズムにつきましては、新規植林、再植林、それから土壌の管理、あるいは土地劣化、森林破壊の防止といったものを対象にすべきであるというようなことを申し上げております。
 最後に、遵守の問題でございますが、これについては、まず遵守できなかった場合にどういうような対応をとるかということで、超過した排出量に対して第一約束期間の次の次期約束期間から差し引くという場合に、同じ量ではなくてある割合を掛けた量を割り増しで差し引くというような考え方が示されておりますが、これについて我が国としては、罰則的な意味合いが生ずるような高いレートではなくて、遵守に対するインセンティブを与えるようなレートとすべきであると。具体的には、日本としては一・一倍ということを言っております。
 それから、最後に遵守制度の採択方法でございますが、これについては我が国としては、法的拘束力がある措置を導入しようとしますと議定書の改正につながるという問題が生じますので、条約締約国会議の決定により採択するという方法をとって、そのことによって議定書の改正に至らずとも遵守制度が合意でき実施されるようになる、こういうことにすべきだというような意見を提出したところでございます。
○福山哲郎君 これについて一つ一つ議論していくともう全然時間が足りませんので、きょうはいろんな状況をお伺いしたいと思っていますので、次に行きます。
 アメリカとの関係については、ブッシュ政権ができたというお話と、それからCOP6を延期してくださいという話が国務長官からあったということは今お話があったんですが、アメリカとはこの温暖化の問題について、京都議定書のことについて、日米でこれまでの三カ月間交渉をした経緯はありますか。
○政府参考人(浜中裕徳君) 先ほど申し上げましたとおり、オタワでの会議、その後、その協議の状況も考慮いただいて、閣僚間で電話会議というのをやっていただいたことを申し上げましたが、先ほどちょっと申しおくれましたが、アンブレラグループとEUの閣僚間でやっていただく前に、まずアンブレラの中で、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの閣僚と川口大臣との間でやっていただきました。何度か電話会議をやっていただきました。
 そういう意味でのアメリカとの話し合いというものもやっていただきましたし、さらに、必要に応じてでございますけれども、当時のアメリカの交渉に首席交渉者として出てこられましたフランク・ロイさんという国務次官とは川口大臣と個別にやっていただいたこともございました。
 その後、政権も交代いたしましたので、新しい政権の方針がまだ明確でない、検討中である、こういうことでございましたので、その後は全く、事務レベルでいろいろな連絡をとり合うことはございましたが、特に政策といいますか交渉方針にわたるような問題についてのやりとりというのは特段行っておりません。
○福山哲郎君 そうすると、先ほどのG8の環境会議でも副大臣が出られたというふうに伺いましたが、副大臣はアメリカとこの問題についてだけ特段にお話をするようなことはなかったわけですね。
○副大臣(沓掛哲男君) トリエステでの会合がございまして、その後、アメリカからブッシュ政権の最初の環境、向こうは長官と言っておりましたが、環境大臣が、ホイットマンさんが来られまして、日本とぜひ話したい、バイで話したいということでございましたので、約三十分ほどこの問題について対談いたしました。内容としては、いずれも、これから両国で力を合わせてこの気候温暖化問題について前向きに対応していこうというようなことを中心とした対話でございました。
○福山哲郎君 今のは局長の報告と違うじゃないですか。僕は日米で何らかの形の交渉がありましたかとお伺いをしたら、最初の政権が入る前はいろんな事務レベルでやってきた、政権がかわってからは事務レベルではやってきたけれども高級レベルではなかったというふうに浜中さんは言われて、今、サミットの場でバイでやりたいと言うからといってバイでやったと副大臣は言っているじゃないですか。全然報告が違うじゃないですか、今の。
○副大臣(沓掛哲男君) 浜中さん、ちょっとあれしたんだと思います。浜中局長と私と向こうの方と対でやりましたので、浜中局長もよく御存じだったんですが、余り、この席上、先生からいろいろな話もあり、長い歴史もあったものですから、ちょっと失念されたのかと思いますが、今私の申し上げたとおりでございます。
○福山哲郎君 ちょっと待ってください。ちょっとあれ、ちょっとあれとか言って、失念されたと思いますで済むんですか。今、国会の審議をしているんですよ。
 僕はちゃんと事前通告で、アメリカとどういう状況だったのか、それぞれ時系列的に挙げてくださいと言って、今別に僕は突っかかる気は全然ないです、こんなつまんないことで。こんなつまんないことで突っかかる気は全然ないですけれども、はっきり言って局長は、僕が、じゃアメリカとは直接にやられたことはないのですかと言ったら、事務レベルでしかないとおっしゃった。環境大臣のサミットでやったんですかと言ったら、副大臣はバイで向こうから申し出があったのでやったと。
 だって、G8で副大臣がバイでやったことを報告しろと言って、それ抜けているんですよ。これは委員長、どう考えても二人の答弁、ずれているじゃないですか。
○国務大臣(川口順子君) 実は、今副大臣が浜中局長について言ったとおりでして、実は説明が終わった後、浜中局長はあっということで、今すぐ言い出そうとなさったところに、実は先生の質問で副大臣がお答えになったので、先生がそういうふうに思われたようなことの事態になってしまいまして、浜中局長の頭の中には十分ございますし、長いお答えをするということでございましたので、瞬間的にちょっとそこを失念してしまったというだけでございますので、何ら他意は全くないということでございます。
○福山哲郎君 大臣が局長をかばわれる気持ちは僕はよくわかります。何回も申し上げているように、こんなレベルで僕はこの委員会は今やるつもりではないので、きょうは淡々とやろうかなと思っていたんですが、でもこのスタンスがそもそも不信感を招くんですよ。
 今、長い答弁だとおっしゃいましたけれども、僕は一回区切ってからもう一度アメリカとの直接のはなかったんですかと浜中局長に聞いたはずです。長い答弁ではありません。一回区切ってわざわざアメリカとはなかったのかと言ったら、副大臣と全く違う答弁をされたわけです。
 かばわれる気持ちはわかりますが、こういうスタンスだから、逆に言うと、この交渉に対してはいろんな疑念や不信感が出るのではないかと思うんですが、大臣、もう一度御答弁いただけますか。
○国務大臣(川口順子君) 浜中局長の頭の中に入っている温暖化交渉の過程というのは実に非常に長いものでございまして、かつ非常に幅の広い分野、これはたくさんの要素がまざっていることでございますので、局長も私の見たところ、コンピューター的に頭の中の整理が非常によくできている方だとは思っておりますけれども、やっぱり人間でございますので瞬間的にそういうことがあったということで、これは本当に何ら他意もなければ不信感を呼び起こすためのことでもなければ、偶然に人間であるがゆえにそういうことになってしまったということでございます。
○福山哲郎君 わかりました。きょうはこれが目的ではないので、私はきょうは黙って次に行きます。
 副大臣、そうしたらそのときのアメリカとバイでやられたときの中身を詳しく教えていただけますか。先ほどちょっと伺ったんですが、非常に抽象的な表現だったので、お願いできますか。
○副大臣(沓掛哲男君) ホイットマンさんもブッシュ政権での新しい環境庁長官、大臣になられたわけでございますので、今までのこの経過、特に日本の気候変動問題に対応する姿勢、考え方、そういうものについての向こう側からの質問が最初ございました。また、それに対して、今ここで浜中局長や皆さんがおっしゃっているようなことを一応申し上げました。
 私の方からも、また気候変動問題について、温室効果ガスの発生量というのはアメリカが三六%、ロシアが一七%、日本が八・五%という量でございますので、何といってもアメリカが本腰を入れてこの問題に取り組んでもらわないと、これはなかなか成功しないし効果が出てこないので、アメリカとしての取り組み姿勢というものをまたお尋ねもいたしました。
 アメリカのホイットマンさんは初めてということでもございましたので、きちっと結論的なことを答えられるというよりも、やはりこれからこの問題へ非常に前向きに真摯に取り組んでいくという、そういう姿勢のお話が中心でございました。
○福山哲郎君 そうすると、副大臣のおっしゃっていただいていることが本当にまさにコミュニケに反映されていると思いますが、コミュニケの中には京都議定書の早期発効をうたっておられまして、それは二〇〇二年を意味するんだと、時宜を得た批准をするんだというふうにコミュニケにはうたわれていますが、これはアメリカもある一定の合意をしたということですね、コミュニケに盛られているということは。副大臣、いかがですか。
○副大臣(沓掛哲男君) この最後のまとめについては浜中局長が中心になっていろいろやってくださったので、今申し上げたこと、バイの話についても浜中局長はずっと一緒にいろいろやってくださったし、その後のまとめも浜中局長はやっておられるので、私よりもそのことについては浜中局長からの答弁の方が適切かと思うんですが、局長、いかがでしょうか。
○政府参考人(浜中裕徳君) この点につきましては、やはりちょっと考え方が関係国の間で分かれておりまして、アメリカにつきましてはやはりその批准という問題と議定書全体の発効の問題はちょっとまた別であるというようなお立場でございました。我が国やEU諸国は、やはり二〇〇二年までの発効、そのためにはその発効要件を満たすだけの国々がこれを批准していくべきだということで、できるだけ前向きの表現をとるように努力をしたわけでございますけれども、ここのアメリカとしての批准をどういうふうにやるかということについては、まだ全くその政権としての方向が決まっていないというので、これについての具体的な表現はできるだけ避けたいというようなお考えでございました。
 その結果として、いろいろ議論をした末に現在最終的にまとめられたコミュニケのような形になったということでございまして、COP6再開会合での成功は京都議定書の早期発効を可能にするために必要であると、ほとんどの国にとってこれは遅くとも二〇〇二年までを意味するということで、これにはその時宜を得た批准手続が伴うんだと、こういうような言い方になっているわけでございますが、それはそういったようないろいろな話し合い、議論をした結果、このような形に落ちついたということでございます。
○福山哲郎君 ということは、アメリカ側ははっきりと、スタンスとしては批准と発効は別で今はまだ整理の段階だというような発言がアメリカからはあったわけですね。
○政府参考人(浜中裕徳君) 要は先ほど申し上げたとおりでございまして、まだ政権としての具体的な交渉方針等は検討中であって決まっていないということでありますので、したがってG8環境大臣会合に参加したアメリカとしての責任ある立場として、どこまで現段階でその共同コミュニケに合意できるのかという意味で、批准という言葉がコミュニケに入ればそれは参加したアメリカ政府としてもその批准を、アメリカの批准ということも意味するわけでございますので、そこはやはりどういう表現をとるかについては相当慎重な言いぶりであったということでございます。
 その結果として、そのほとんどの国にとってというようなところの中で批准という言葉が使われるということになったということでございます。
○福山哲郎君 もう御案内だと思いますのであれですが、要はアメリカの今回京都議定書に対するコミットメントというのがやっぱり大変重要でございまして、一番の二酸化炭素の排出国でありますし、アメリカのスタンスがブッシュ政権になってどのような状況になるかというのは、これはEU、途上国も含めて世界じゅうの注目になるわけです。
 その状況の中でこのコミュニケが盛られた中で、どんな発言がアメリカからあったのかというのは非常に重要ですし、逆に言うとバイで日本の政府、副大臣とアメリカの代表者がしゃべったということも大変重要なことでございまして、そこの中身について少し私としてはこだわりたいなと思ってこだわらさせていただきましたが、それが三月の二日、四日だったと思うんですが、その後、三月の十三日にブッシュ大統領がアメリカの上院議員に対して、自分は京都議定書に反対であるというようなことを書簡として出したということがありますが、このことに対して今環境省はどのようにとらえておられるのか、またどのように対応したのか、教えていただけますか。
○国務大臣(川口順子君) お話しのブッシュ大統領からの手紙というのはブッシュ大統領がヘーゲルという議員にあてたものですけれども、その中では、おっしゃったように京都議定書には反対であるというふうに述べていますが、このことは共和党が大統領選挙の過程で出した綱領にも実ははっきり書かれていることでございまして、その意味では何ら新しい情報ではございません。
 それで、その手紙の中に、同時にブッシュ政権は地球規模の気候変動問題には真剣に取り組むということも書いてございますし、友好国や同盟国と協力してそれに対処する創造的な手法を開発するということも書いてございます。
 それで、先ほど浜中局長が申し上げましたように、ブッシュ政権としては、今、気候変動の問題については政府内でどのようなスタンスでいくかということを検討中であるということで、そのことについても変わりはないわけでございます。
 私は、その手紙が出ました後で、実はホイットマン長官とはG8でお会いする機会がなかったわけでまだ面識はないわけですけれども、ホイットマン長官のG8での御活動、貢献あるいは御発言が、EUあるいは日本も含めまして非常に温暖化問題についてのアメリカあるいはホイットマン長官の考え方を、具体的な方針という形ではないですけれども、姿勢を表現したものとしてみんな好感をして受け取りましたので、G8での貢献については非常に多とすることと、それから、現在行われているアメリカ政府の中における環境それから気候変動問題についてのアメリカ政府がスタンスを決める議論の中でぜひホイットマン長官の貢献に期待をしたいという趣旨の手紙を書きまして、すぐ翌日にお出しをいたしました。
 今後とも、私といたしましては、委員がおっしゃられたように、最大の排出国であるアメリカが加わるということは地球温暖化問題への対処ということからして非常に重要でございますので、機会あるごとにホイットマン長官にはあるいはアメリカ政府には働きかけていきたいというふうに思っております。
○福山哲郎君 すぐ翌日に、ブッシュ大統領の手紙の話の翌日に送られたということに対しては大変評価をするし、非常に敏速な対応だったと思いますが、そのホイットマンに対する書簡の中にはブッシュさんの手紙についての言及はされなかったわけですね。
○国務大臣(川口順子君) いたしました。いたしまして、ということだけれども、ホイットマン長官がトリエステでおっしゃったようにアメリカ政府としては今検討中であるということだと理解をしているので、そこにおいてホイットマン長官の貢献を期待したい、リーダーシップに期待したいということを書いたわけでございます。
○福山哲郎君 先ほど来こだわっていますが、アメリカの対応というのはこれから本当に七月のパートツーに向けても非常に重要だというふうに思っていますし、アメリカの批准、発効が世界の各国の批准に対しても非常に影響を与えるということで、私自身は、ブッシュ政権が京都議定書に、政権がというかブッシュ大統領が現時点で、先ほどから大臣や局長が言われているように、アメリカが今スタンスを探っているという状況の中で、三月の十三日、特にG8の環境大臣会合があった直後に京都議定書に反対であるというコメントをブッシュさんが幾ら共和党の議員に対してとはいえされたということに対して非常に危惧の念を持っています。
 並行して、この三月までの間に、御案内のようにIPCCの第一作業部会の方から非常に温暖化についてさらに悪化をするという報告書が出ていますし、二月にも第二作業部会の中で経済的やそれから人体に対する影響等についても非常に出てくるのではないかという報告書が出ているということもあって、これ、実は国益同士のぶつかり合いの中で、やれ六%がどうだ、吸収源がどうだという次元を超えて、本当に次の世代とかその次の世代、確かに技術的な発展は見込めると思いますけれども、間に合うのかという思いが私自身はあります。
 では、そういうことなので、ぜひそこは環境省としては、次の質問のときにもう少し細かいことをお話を伺っていきたいと思いますが、よろしくお願いして、私の質問を終わります。

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