○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。 大橋巨泉議員に続きまして質問させていただきます。少し時間が少なくなりましたので、端的にいきたいと思います。 まず川口大臣、それから植竹副大臣、お疲れさまでございました。遠路マラケシュの地で国際交渉に出られまして、合意に至ったことは私も大変評価をしておりますし、夜を徹して寝ずに作業された外務省、経産省、それから環境省、さらに他省庁の皆さんの面々にも、本当に労をねぎらいたいというふうに思います。最終局面で、本当に決裂かどうかのぎりぎりのところで何とか合意に至ったのは、皆さんの粘り強い交渉の結果だというふうに私も評価をしております。 ただし、私も現地に行かせていただいた者として、少しばかり問題意識を持って帰ってまいりました。細かいことは後で申し上げますが、一つ、二つ気がついたことを申し上げたいと思います。 まずはCOP3で京都であったとき、もちろん国内だったということもあるんですが、年々国会議員や役所の参加も少し人員も減ってきた。今回、特にテロの関係があったのかもしれませんが、マラケシュの会合自身が一万人ぐらいの予定だったのが、二千人とか三千人の参加だった。国会中ということもあって、日本の国会議員の参加も少なかったのは私は大変寂しく思っておりまして、そこは何とか議員の先生方もこれからもまだ続きますから、ぜひ御参加をいただきたいと思っておるんですが、それよりも何よりも感じたのは、現地にいて日本で報道されているCOPのマスコミの報道を見て、非常に各社にばらつきがある。それぞれ各社の報道が本当に見事にばらついていまして、私も向こうで記者の方何人も会ったんですが、要は専門的な知識とか、COPの状況を全然経年的に見ていない記者も来ているし、ずっと来ている記者もいる。そうすると、それぞれの会合に対する見方が全然違って、本当にこれほどばらばらで、さらにいえば中身まで、ある新聞社は、大きい声では言えませんが、週明けにも批准表明という恐ろしく突拍子もない記事を書いた新聞社もあったぐらいで、そこに関しては実は我々自身の問題意識もそうなんですが、この京都議定書の問題というのは毎年毎年専門的な話になり過ぎて、なかなか国会の議論でも厳しい状況になっている。私も本当にこの中身が難しいなと思って日々頭を悩ませて困っているんですが、そういう点でいうと、マスコミとの関係も含めてもう少し政府からの発表も丁寧にしていただきたいなというふうに思っています。 大臣に少しお伺いをしたいのは、一点目、まずマスコミのそういう状況についてどう考えられたかということと、二つ目は、代表団から出てきたCOPの概要と評価というものなんですけれども、ここを見ると、三番目のところもそうなんですが、きょうの三ページを見てもいいんですが、三ページのところも「我が国は、京都メカニズムの柔軟かつ幅広い利用を可能とし得る制約の少ないルールが作成されるよう主張し、そのように合意されました。」と。これ確かによくわかるんですが、実はよく読むと何が書いてあるかさっぱりわからないんです。何が書いてあるかさっぱりわからなくて、この概要と評価のところも何が書いてあるか実はさっぱりわからない。 私は何を問題にしたいかというと、やっぱり我が国が国益の場として交渉上いろんな話の中で、例えばブロックをしただとか評判が悪かっただとかというのは、そこはこっちへ置いておいたとしても、交渉の場として我が国が国益としてこの場で何を主張して何をとってきて何がとれなかったのかというのは、もう少し実は丁寧にマスコミにも、さらにいえば議員各位にも御説明をいただきたいなというふうに思っていまして、そこに関しては今後の検討課題としてぜひ前向きに大臣に御答弁をいただきたい。 まず、マスコミの件と、それから二点目の件について、少し御答弁をいただければと思います。 ○国務大臣(川口順子君) マラケシュでの会合におきましては、福山委員には特にマラケシュまでおいでいただいて、いろいろ励ましていただき、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 それで、今、委員がおっしゃった全体としての参加が少なかった、マスコミの対応にばらつきがあった、それから政府の対外説明をもっと考えるべきではないだろうかということにつきまして、私も全く同感でございます。 参加が少なかったということにつきましては、委員おっしゃられたような今回は法的な文書をつくる、まさにテキストをつくるということでしたので、本来非常にわかりにくい部分であったということもあるかと思いますし、それから山はボンで越したという認識もかなりあちこちにあったんではないかと思います。 それから、マスコミのばらつきというのも、これもおっしゃったとおりでして、東京からいらした方もいらっしゃいますが、ボンと比べて東京からいらした方というのは非常に少なくて、現地のあるいはヨーロッパの特派員が行ったということで、これも各社、今の情勢からいってさまざまな御判断があったんだろうと思いますけれども、そういった点で中身の理解度において差があったということは事実だろうと思います。 政府の方で十分に対応をしたかどうか、私は、少ない政府代表団の中で、それぞれ本当に夜を徹してみんな仕事をしていた中で最大限の努力をしたと思っております。十分であったかどうかということについては、もっともっとできただろうと思いますけれども、努力はしたつもりでございます。 特に遵守についての議論が非常にわかりにくいということでございましたので、各国政府、弁護士、あるいは資格を持ったような法律の専門家を連れてきて議論をした話でございますので、それをなかなか新聞でわかるように説明をしていくというのは、説明する方も難しかったわけですし、新聞記者の方も書くことが難しかった。例えば一つの言葉、まあ何でもいいんですけれども、法的拘束性という言葉一つ選んでも、新聞でそれをわかるように書くのに、言葉の説明だけで二、三十行になってしまうとある新聞記者が言っていましたけれども、そういうような状態、さまざまな要素が関係をしたというふうに思います。 それで、特にこれから実施をしていく段階に入って、先ほど来出ていますように、産業界はもちろん、国民一人一人、私たち一人一人が行動していかなければいけないときにやっぱり一番大事なのは、何が決まって何をやっていかなければいけないかということについて十分な情報を出していくということだと思います。 御指摘の文書は日付が十一月十日ということになっておりますけれども、まさに交渉の終わった最終日にとりあえず代表団としてまとめたという文書でございまして、これそのものはそういった普通の方にわかっていただくような文書をつくるという観点から必ずしもつくられていなかったということではございますけれども、おっしゃったようなきちんと情報を出していくということの重要性は、私もそれが非常に大事だと思っていますので、今後、そういうことについては努力を十分にしたいと思っております。 ○福山哲郎君 ありがとうございます。前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。 本当にこれから先、まだ京都議定書の話というのは僕は始まったところだと思っていまして、やっと合意でスタートラインについたところだと思いますので、ぜひよろしくお願いします。 では、将来に向けて少し確認をしておきたいことだけいきますので、簡単なところは簡単に御答弁ください。 「京都議定書の締結に向けての今後の取組について」というのが地球温暖化対策推進本部で決定をされました。「次期通常国会に向けて、京都議定書締結の承認及び京都議定書の締結に必要な国内制度の整備・構築のための準備を本格化する。」という文章がありますが、これは批准の準備を始めたという認識でよろしいんですね。私は批准の表明とは申し上げませんが、批准に向けて準備を始めたという表明だという認識でいいかどうか。イエスかノーかでよろしいので、お答えください。 ○国務大臣(川口順子君) 答えは、そういう御理解をいただいて結構でございます。 ○福山哲郎君 その次、少し細かいことですが、確認をしておきたいんですが、京都議定書は、二十五条におきまして批准、受諾、承認といって国での承認方式を三種類認めているんです。 私は国際法の専門家でもないのでわからなくて、今回、「今後の取組について」は締結の承認という話があります。ところが、一般的には我々は京都議定書を批准するかどうかという議論をしていきます。ただ、その中で、言葉の話で恐縮なんですが、議論が混乱すると嫌なので確認をしておきたいんですが、二十五条におけるいわゆる批准、受諾、承認をおのおのの国内での承認方式として認めていると。我が国の言っている締結という言葉は批准と同義語で同じ意味合いをなすというふうに判断をしてよろしいのでしょうか。 ○副大臣(植竹繁雄君) 今、福山先生お尋ねの締結、批准、受諾とか承認といろいろな言葉がございますが、締結行為というものは条約の当事国となるための総称でございます。そして、批准、受諾、承認というものは今申し上げました総称の中の一種でございます。そして、条約の当事国となるという意味でいずれも法的な効果は同じと。ただし、受諾とか承認というものは条約国の当事者となるための簡略化されたものでございます。そして、例えば今回の二十四条にも批准され、受諾され、承認されと三種類のことがございます。ですから、これは議定書から出たときにその中でどれを使うか、そのときの状況によりまして出てきた文言を使用するということになっております。 ○福山哲郎君 出てきた何ですか。 ○副大臣(植竹繁雄君) 例えば、これは批准を寄託されとか、そういう言葉があった場合は批准であります。あとは受諾あるいは承認ということでございますが、一般的な慣行といたしましては、そういう特別なものがない場合には受諾という表現が一般化しております。 ○福山哲郎君 ということは、受諾の承認を国会ですれば、それが締結に結びつくということでいいんですね。 ○副大臣(植竹繁雄君) そうです。 ○福山哲郎君 わかりました。それに向けての準備を始めたと解してよろしいですね。 ○副大臣(植竹繁雄君) はい、そうです。 ○委員長(堀利和君) 指名をしてから御答弁をお願いしたいんですが。 ○福山哲郎君 済みません。 次に、行きます。 この京都議定書の発効のための要件はいわゆる五十五カ国と五五%ということなんですが、巷間言われておりますヨハネスブルク・サミットの最終日が九月十一日、この最終日に日本が発効するときに間に合わせるということになると、九十日間を、要は五五%と五十五カ国が批准をして九十日後に発効ということになると、この最終リミットが九月十一日となると、実は六月十四日が我が国の今言われている締結の最終リミットになるんですが、六月十四日までに締結するつもりで準備を始めたというふうに、大臣、思っていいんでしょうか。 ○国務大臣(川口順子君) 地球温暖化対策推進本部の決定にありますように、我が国として京都議定書の二〇〇二年締結に向けた準備を本格的に開始をするということでございまして、今まさにこの準備を始めたところでございますので、いつまでに準備が終わるかということについては今の時点では申し上げられないということです。 ○福山哲郎君 そうすると、二〇〇二年ということだと、二〇〇二年の十二月三十一日となると期限は十月三日ということになりますね、二〇〇二年発効を目指すということになりますと。 ○国務大臣(川口順子君) 別に年末にということでしているわけではございませんで、準備を開始をした段階にあるということでございます。 ○福山哲郎君 できれば通常国会中に締結ができて、できればヨハネスブルク・サミットで世界じゅうで発効したという状況をつくっていただきたいと思いますので、ここは切にお願いをします。 では、先ほど申し上げたちょっと根本的な話に行きます。 日本の交渉過程がいろいろありました。先ほどからありますように、遵守の問題、吸収源の問題、いろんな問題で議論をしたと思うんですが、我が国が国益として、経産省も環境省も外務省もですが、どういうふうに交渉においては主張をして、何の項目についてはとりにいって何の項目についてはとれなかったのか、そこについて順番にお答えをいただきたいと思うんです。 交渉過程を私も拝見しましたが、あるグループ会合においては経産省の人間が出ていった、あるグループ会合のところでは環境省の人間が出ていっている。ただ、それは代表団としての総意に基づいて出ていっているんだというのはもちろんわかります。もちろんわかりますが、我が国は縦割りという弊害もあちこちで聞かれますし、一応、外務省から、この交渉過程の中で何を求めて、何がとれて何がとれなかったのか。外務省、お答えいただけますか。簡潔にお願いします。 ○副大臣(植竹繁雄君) それでは、極めて簡潔に申し上げます。 今何が利益になって獲得し、何を失ったかという御質問でございますが、これはCOP6で達成された中核的要素に対するボンの合意を具体化する文章についての合意達成を目指して、その目的が今言われたようにお話あったわけでございますが、我が国が排出削減約束を達成する上で不可欠な吸収源に関しましては、我が国がこれまで主張してまいりました吸収源の上限値が正式に確保されたと。また、同じく約束達成の極めて重要な手段となる京都メカニズムに関しては、実際に機能し得るルールが形成されたと。さらに、遵守制度については、遵守を奨励する実効性あるもので多くの国に参加の道を開く制度の構築に努め、そして各国からもその主張に一定の理解が得られたと。さらには、途上国に排出削減、抑制を求める問題については論議が先送りされたということでございます。 地球規模での実効的な温暖化対策のためには、米国や途上国も含むすべての国が参加する一つの国際的な枠組みが重要であり、その実現に向けまして引き続き今の結果を踏まえまして努力してまいるところでございます。 ○福山哲郎君 今のじゃさっぱりわからないんですが、まあいいでしょう。経産省お願いします。 ○政府参考人(大井篤君) お答えいたします。 私どもも今回の交渉につきまして十五人ほどのメンバーを動員して積極的に交渉をしたわけでございます。御承知のとおり、我が国のエネルギー効率は世界最高水準になっているわけでございます。そういった意味におきまして、温室効果ガスの限界削減コストというものを比較いたしますと、他国に比べ大変高いものになっているわけでございます。そういった意味におきまして、京都メカニズムを十分円滑に利用できるようにするということが我が国の削減目標を達成する上で大変重要だというふうに考えてございます。このため、こういった点を確保すべく、他のアンブレラグループ諸国とともに議長あるいは各交渉グループと頻繁に協議を行ってまいったわけでございます。 この結果、私どもといたしまして、柔軟かつ幅広い利用、利用の可能性が広がるような形でルールに合意できたというふうな点につきましては、先般の十一月十二日の地球温暖化対策推進本部の決定にもございますように、経済界の創意工夫を生かして、我が国の経済活性化にもつながる環境と経済の両立、こういったものにも資するものであるというふうに私どもとしては評価してございます。 また、不遵守の場合に課される措置につきまして法的拘束力を持たせるか否かという点につきましては、議定書発効後の締約国会合で議論するというのがボン合意でございました。そういった趣旨を持すべく交渉に臨みまして、この点を確保することができたわけでございます。 一方、地球規模での取り組みの実効性を確保するという観点からしますと将来の途上国の参加というものも大変重要であるというふうに理解をしておりまして、今後の具体的な議論の進め方につきまして合意すべく大変な努力をしたところでございますが、交渉の最終局面におきまして途上国の強硬な反対を受けまして、協議未了のままCOP8、つまり来年に先送りされるということになったわけでございます。 私ども、本部決定にありますように、すべての国が一つのルールのもとで行動するということを目標に米国の建設的な対応というものを引き続き求めるとともに、途上国を含めた国際的なルールが構築されるよう最大限の努力を傾けていくということが大変重要であるというふうに考えておるところでございます。 ○福山哲郎君 大井審議官には向こうでもお世話になりました。ありがとうございました。 少し外務省よりは具体的になってきたと思います。環境省いかがでしょうか。 ○国務大臣(川口順子君) 今まで出たことにつけ加えることは本当にございませんで、一番大事なことは、できた段階で京都議定書の重要な要素である京都メカニズムが実際に使いやすい、使えるものであるということが今回の交渉の一つの大きな柱であったということでございます。 例えば、もともとから持っている排出量というのがございますけれども、それとクリーン開発メカニズムで得たクレジットが、例えば国際排出量取引の市場で同価値で交換できないような状況であったら、実際にはこれはそれをやっていく企業としてなかなか難しくなるわけですね。お金に色がついているというお話になるわけですから、例えばですね、というようなことをなくすということを考えたわけでございます。 ○福山哲郎君 ありがとうございます。 実は、そういう具体的な中身を聞くと、ああ、こういう交渉があったんだなというのがよく見えてくるんですが、これ以上申し上げてもあれなので、じゃその中で、先ほど経産省が言われたいわゆる不遵守、遵守の問題についてちょっとお伺いをしたいと思います。 法的拘束力のある遵守と法的拘束力のない遵守という議論が日本の政府からよく出されていまして、法的拘束力のある遵守はなかなか受け入れにくいので、COPMOP1、先ほども出ましたが、発効後の一回目の締約国会議に先送りをしたという話になっています。じゃ、法的拘束力のある遵守と法的拘束力のない遵守というのは一体どこが違うのか、お答えをいただけますか。外務省から。 ○副大臣(植竹繁雄君) 遵守制度につきましての法的拘束力がある場合とない場合というお尋ねでございますが、まず遵守制度がある場合、遵守制度を議定書改正によりまして法的拘束力があるものとする場合には、議定書に定められた排出抑制、また削減約束が法的義務であることにつけ加えまして、この約束を履行できなかった場合にとらねばならない措置について法的義務という位置づけとなるということがこの法的義務というものであります。したがって、これにない場合が法的義務には拘束されないということでございます。 ○福山哲郎君 済みません、ない場合とはどういう意味ですか。何がないんですか。 ○副大臣(植竹繁雄君) ですから、排出抑制、削減約束につきまして、それが排出削減とかそういうものを不履行の場合に対するものが法的に罰則その他の問題についても影響があるわけでございますので、その前段階としての抑制削減というものがなかったら、そういうこともまた新たな問題となってくるわけでございます。 ○福山哲郎君 余りこういう問題はあいまいな言葉だと非常に気になるんですが、影響があるというのはどういう意味ですか、罰則について影響があるというのはどういう意味ですか。 ○副大臣(植竹繁雄君) 影響があるという表現が十分でないかもしれませんが、罰則規定には、いろいろ検討をしなくちゃならない場合に、これに守られるか守られないかという点について、守られなくていいという点については、これはいい点につきましては、この法的義務である場合とない場合には大きな違いがあるということでございます。 ○福山哲郎君 私、何を言っているのかよくわからないんですが、じゃ確認しますね。法的拘束力のない遵守だったら罰則は守らなくていいと副大臣は思っておられるんですね。ここは結構重要ですよ。 ○副大臣(植竹繁雄君) ないということがいいとは思っておりません。 ○福山哲郎君 ないということがいいとは思っておりませんというのはどういう意味ですか。 ○副大臣(植竹繁雄君) 私が申し上げたかったのは、措置につきましての法的義務があるかないかということでございます。 ○福山哲郎君 ちょっと時間がないので、環境省、確認しますね。 罰則規定は、不遵守の結果、超過排出量の一・三倍に当たる排出枠を次期排出枠から差し引くことも含めて、一・三倍にすることも含めて罰則の中身は決まりましたね、今回のCOP7で。環境省、確認してください。 ○政府参考人(炭谷茂君) 今度のマラケシュの合意ではそのとおり決められております。 ただ、少し補足させていただきますと、まずこれは本当に福山先生冒頭におっしゃられましたように遵守の法的拘束力、一般の人が大変誤解しやすいわけですけれども、排出義務については、これは法的義務としてしっかりと守っていかなくちゃいけないということは決められている点でございまして、今議論になっておりますのは不履行の場合の法的拘束力をどうするかということでございますので、その点補足させていただきたいと思います。 ○福山哲郎君 いまだによくわからないんですが、経産省はどう思いますか。法的拘束力のある遵守と法的拘束力のない遵守はどう違うんでしょうか。 ○政府参考人(大井篤君) お答えします。 遵守制度を議定書の改正により法的拘束力のあるものとする場合には、先ほども御説明ありましたように、議定書に定められた排出抑制削減約束というのは、これはもともと法的義務であるわけですが、不遵守の場合に、先ほど福山先生がおっしゃいましたように、一・三倍であるとか、あるいは遵守行動計画であるとか、いろんな措置が課されるわけですが、そのこと自身が法的義務であるかどうかという点が問題になって、我が方としてはそれは法的義務である必要はないんではないかというのが根底にあります。 ただ、ボン合意のときには、そのことの議論は締約国会合の第一回のときに議論をしましょうということになっていて、今般、そのように合意をしてまいったということでございます。 ○福山哲郎君 今何回も確認がありましたが、もう一度確認します。 京都議定書自身の六%の排出枠は法的義務があるんですね、法的拘束力があるんですね。それはそれで確認よろしいですか。 ○政府参考人(炭谷茂君) おっしゃるとおりでございます。 ○福山哲郎君 我が国の憲法の九十八条の二項には、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」というふうに、憲法の九十八条の二項にあります。確かに、国際法上は、憲法の枠から外れた条約については例外という状況も国際法上の学説の中にはあるけれども、この京都議定書に関しては私は憲法違反の状況の条約だとは思っていません。 そうすると、全体の京都議定書の枠組みは、憲法の誠実遵守の規定があって、なおかつ六%の排出義務に関しても法的拘束力があると今認められて、その議定書の中の一部だけ取り出して遵守の問題について法的拘束力がある遵守と法的拘束力がない遵守という議論をしていることは、正直言ってさっきの外務副大臣の話は僕はさっぱりわからなかったんですけれども、どういうふうな違いがあって、一体そこはどういうふうに説明できるのか、もう一度御説明をいただけますでしょうか。 ○政府参考人(高橋恒一君) 我が国におきましては、憲法の九十八条の第二項にございますとおり、政府といたしましては我が国が締結した国際条約というものは誠実に遵守する、これはもう当然のことでございまして、京都議定書全体としましては、これは我が国はもう締結しておりますので、京都議定書のすべての条項というもの、(「違うよ」と呼ぶ者あり)済みません、枠組み条約は、でございます。親の方でございますね。 それで、今度の京都議定書につきましては、今議論をしております京都議定書の本体の部分と、それから、これから京都議定書が発効してから問題になります不遵守の場合の制度にというのは、これは法律的には非常に難しいんだと思うんですが、恐らく、どういう形になるかというと、新しい議定書といいますか、そういう法律のベースとしては枠組み条約があって、それの義務を履行するための新しい国際約束として京都議定書ができたわけですけれども、結局、今までの交渉の過程で、そのうちの一部については議定書が発効した後にもう一度交渉をして新しい約束をつくると、そういう形になっているわけでございます。 ですから、現在の時点におきましては、もちろん京都議定書を私ども批准しますが、締結いたしました京都議定書についての今わかっている限りの義務というのは全部これを誠実に批准する考えでございますけれども、そういう形で、発効してから新たに交渉をして、第一回の締約国会議で決める、そのまさに不遵守についての決まり、これに法的拘束力を持たすかどうかということについては依然として決着は見ていないわけでございます。 ですから、これについて現時点においてお尋ねがあれば、それについては、どういうことになるかということによって決まるわけで、今後の交渉次第ということになるわけでございます。 ○福山哲郎君 ここだけははっきり申し上げますが、ここをちゃんと切り離して、法的拘束力があるかないかを切り離してコンプライアンス、不遵守については別建てでCOPMOP1で議論しようと強く主張したのは我が国の主張です。これだけは間違いないです。つまり、我が国は、この不遵守に対して法的拘束力を持たせたくないという主張の中で交渉に臨みました。 しかし、現実問題で考えれば今お話を申し上げたとおりです。全体の京都議定書には、憲法の誠実遵守の規定があり、そして罰則規定まで合意をしている状況の中で、そこの守れなかったところに対してだけぽんと抜き出して、ここだけは別枠でやりましょう、これは法的拘束力がある遵守です、ない遵守ですと。先ほど副大臣言われたように、法的拘束力はないということは罰則に対して何か影響があるだとか、何か非常にあいまいな表現をしたから、もう一度聞きますが、もしCOPMOP1で法的拘束力のある遵守が各国の同意を得られて採択された場合に、そうすると、我が国はそれを京都議定書とは全く別枠に議論をするということですか、これを批准するかどうかに関して。 ○副大臣(植竹繁雄君) 法的拘束力がある場合には先ほど申し上げましたとおりですが、ない場合というのは、その中にまた不履行に対する措置についてあるかないかについては、今後の交渉がありますから、交渉に任されている、任されるということであります。 ○福山哲郎君 では、もう一度聞きますね。 不履行のときには罰則をのまなくてもいいかのまなきゃいけないのかもまだ決まってないということですね。 ○副大臣(植竹繁雄君) 委員お尋ねのとおりでございまして、私の先ほどのないというのは、その今後の交渉の結果のことを抜かしておりまして、ないと言ったのは不適切だったと思います。 ○福山哲郎君 そうすると、日本政府の言う法的拘束力のある遵守規定ができたとしても、罰則規定は不遵守の場合には受け入れる可能性もまだあるということですね。 ○副大臣(植竹繁雄君) それは、法的拘束力云々につきましては、決めるということについては第一回の締結後にまた交渉するということになっております。 ○福山哲郎君 要は、日本政府が言っている法的拘束力のある遵守と法的拘束力のない遵守というものの区別が実はまだ全然はっきりしていないんです。だって、交渉後と言っているわけでしょう。法的拘束力があってもなくても、その罰則規定どうなのかも実はまだわからないとおっしゃっているわけですよ。はっきり言ってよくわからないんです。 この議論、このまま続けていくとどこまでも続いていくんですが、大臣、ここの問題は、正直言って、僕は京都議定書の全体のコンプライアンスだけ抜き出して、そこだけCOPMOP1でやると、そこは合意したからもうそれはいいです。しかし、法的拘束力のある遵守と法的拘束力のない遵守で、なおかつ京都議定書全体には法的拘束力がかかっていて、罰則規定も合意をしている状況で議論をしていることについて、僕は正直言って法的によくよくわからない。大臣は今どのようにお考えですか。 ○国務大臣(川口順子君) まず、言葉の問題として、法的拘束力のある遵守、法的拘束力のない遵守というふうに一般にこれは私どもも使ってしまうんですけれども、きちんと言えば、法的拘束力の、不遵守の場合の結果について、コンスキャンスについて法的拘束力があるかないかということで、法的拘束力のある結果があるか、それがないかという、そういうことだと思います。遵守の協定自体と法的拘束力云々ということだとちょっと誤解を招きやすいかなというふうに思って伺っておりました。 それで、なかなか難しい議論なんですけれども、これはボンのときに、このマラケシュの話ではなくてボンの時点で既に、これは日本が一番強く主張したと先ほどおっしゃられましたけれども、実はそうではなくて、ロシア、日本、ほかのアンブレラ諸国が主張して先送りをしましょうということになりまして、これ自体は今回の争点ではむしろありませんで、今回の争点は、その遵守の結果、法的拘束力を将来持つかどうかということの決着と京都メカニズムの参加資格とのつながりをどう書くかということが実は今度の争点であったということでございます。 それで、法的拘束力の議論については、これは先ほど来専門家の方がお答えでございますので、私もほぼ同じことを考えていますということを申し上げるだけでございまして、将来、COPMOP1でこれをどうするかという議論をとりあえずきちんとするということではないかと思います。 ○福山哲郎君 大臣にしては珍しく歯切れの悪い御答弁で、珍しいなと思っているんですが。 実は、これ細かいこと、もう僕あと五、六分しかなくなったので細かいことは申し上げませんが、お手元に資料を配りました。 これは交渉テキストの中で出てきた話なので細かい英語の話はしませんが、一番最初に出てきたのは当初議長から出てきたいわゆる京都メカニズムに対する参加要件の問題で、いわゆる遵守のことをどうするかという話なんですね、コンプライアンスについて。一番目が出てきた話で、このアグリーメントというものに対して非常に日本政府はこだわって、この文章じゃ困ると言われて、二番目に出てきたのが、議長修正案が二番目のところでして、ここを読んでいただくと、コンプライアンスについて京都議定書に対する手続やメカニズムについて受け入れましょうということが参加要件だと書いてあるわけですが、この文章でも嫌だと言って日本は主張したんです。最終的に前文でこの文章を入れさせたんです、これも長くなるので言いませんが。 済みません、委員各位の皆さんには恐縮なんですが、要は一番目、二番目が嫌だと、削除をしろと言って日本が主張して、三番目の前文に入れ込んだことによって一体何が得られて、何がどう違ったのかだけお答えいただけますか。これは外務省の方がいいのかな。大臣でも結構でございます、環境省でも結構でございます。 ○国務大臣(川口順子君) 非常に細かい議論になっていってしまうんですけれども、先ほども申しましたように、今回の議論の争点は、京都メカニズムの使用とリンクを、不確定性が生じますので、将来、法的拘束性があるかどうかということが将来の話ですから、そのリンクを切っておくということでございました。 そういう意味で、先ほどおっしゃったこのテキスト、一つ一つ申し上げてもいいんですが、時間かかりますので、基本的に考え方としては、ここで言っている京都メカニズムを使うための参加要件としての遵守というのが何を指すかということがあいまいとしていますと将来的に不確定性が生ずるという観点で、ここに出ている言葉はそれぞれみんな将来性、将来においての不確定性を排除しないという観点でこのリンクを拒否したということでございます。 ○福山哲郎君 しかし、細かい話はいいんですが、コンプライアンスに関してはとにかくCOPMOP1まで先送りするということは合意に達したわけですね。ここに書いてあるコンプライアンスという言葉は合意をしたと、要は先送りをしてCOPMOP1で決めると、そこの部分のコンプライアンスだという解釈だけではなくて、将来の改正されたコンプライアンスも含むかもしれないということでこだわられたわけですね。そこがはっきりしないということでこだわられたわけですね。 ○国務大臣(川口順子君) 不確定性をなくすということが最大の要件であったわけですけれども、法的拘束性の話というのはその一つでございますけれども、将来的に、将来的にと言わなくてもいろいろな状況が広く起こり得るわけですね。参加要件とコンプライアンスがつながっていますと、そのコンプライアンスの条件というのも変わり得るわけですから、そういう意味での不確定性が非常に広くありますので、その不確定性全般と京都メカニズム参加の資格を切り離すということが大事であったと申し上げさせていただきます。 ○福山哲郎君 もう何か細かい話になりますから、最後に副大臣、もう一回だけお伺いします。 法的拘束力のない遵守だと言われていることは、罰則規定を守らなくてもいいということではありませんね。 ○副大臣(植竹繁雄君) 罰則規定、守らなくていいというか、今後の交渉次第でいろいろな中身が出てまいりますから、それによってどういう項目があるか、どういう状況になるか、それによって状況が変わります。今の段階においてそれが守らなくていいとか守らなくてよくないとかいうのは、まだまだいろんな条件が出てまいりますから、それは現在のところは言えない状況です。 ○福山哲郎君 もう二つだけ申し上げて終わります。 要は、今の話で言うと、法的拘束力があるから守らなきゃいけない、ないから守らなくてもいいということとは限らないとおっしゃった。それじゃ、何でここまで会議のところでこだわったのかという根拠がよくわからなくなりました。 それから、二つ目を申し上げますと、要は、例えば交通違反で罰則をつくりますよと、交通違反したら罰則しますよと言っていたら、罰則をするかもしれないから、破ったときにこれ守らないでもいいですかという議論をしているような話でして、早い話が。京都議定書は、先ほど大臣も含めておっしゃられたように、京都議定書の六%義務は法的拘束力があると。そこの中の部分だけ取り出すということに対して、本当にどれぐらい法的に整合性があるのかどうか、国際法的にどうなのか。今後の締結も含めてもう少し具体的に明らかにしていただきたいことを申し上げまして、時間になりましたので、私、質問を終わります。 ありがとうございます。。 トップに戻る |
○福山哲郎君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となっておりますいわゆるテロ対策特別措置法案に対する修正案の趣旨及び提案理由を説明いたします。 |
○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。 |
○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。 |
○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。 |
第151国会 参議院 環境委員会 2001年5月31日(参考人質疑) ○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。 |
○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。自動車NOx法の改正について御質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 |
○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。 まず、川口大臣、この間所信を伺いましたが、再任された後、初めての委員会でございますので、御再任おめでとうございます。 国際会議の継続性を考えれば、大臣がかわったらどうなるのかなと思っておりましたら、小泉総理が川口大臣を再任ということになりまして、ほっとする反面また頑張っていただかなければいけないなと思っておりますので、よろしくお願いします。 また、風間副大臣も御就任おめでとうございます。よろしくお願いを申し上げます。 小泉総理になりまして初めての委員会ということで、久しぶりになります。小泉総理の所信には、「おいしい水、きれいな空気、安全な食べ物、心休まる住居、美しい自然の姿などは、我々が望む生活です。自然と共生するための努力を新たな成長要因に転換し、質の高い経済社会を実現してまいります。このため、環境の制約を克服する科学技術を開発普及したい」云々と述べられて、その後、環境問題への取り組みに対して、低公害車を初めいろいろ積極的な議論を展開されました。 所信にこれだけ環境に割いていただくというのも珍しいことでして、僕は大変歓迎をしておるわけですが、川口大臣は再任をされましたが、一体この小泉内閣で大臣としては何か変化があったのか、また小泉総理自身からどんな指示が出ているのか、それから川口大臣自身何らかの変化が小泉総理になりましてあったかどうか、まずはこの辺についてお答えをいただければと思います。 ○国務大臣(川口順子君) 冒頭に激励のお言葉をいただきまして、ありがとうございました。私といたしましても全力で課題に取り組みたいと思っております。 小泉内閣で、所信表明に出ていますように、環境問題について今までよりも多くの言葉が割かれていまして、私としては大変に心強く、うれしく、また重責を感じております。 小泉総理からは、私に環境大臣にというお話をいただきましたときに、自然との共生が非常に重要である、循環型社会の形成が重要である、それから地球環境問題への取り組みをしっかりやるようにという、まさに環境の課題全般にわたっての御指示をいただいております。小泉総理の思っていらっしゃることをできるだけ具体的な政策として実行していくための努力をしたいと思っております。 それからまた、小泉総理の所信表明の中で、国民のといいますか、生活者の目線に立ったということをおっしゃって、タウンミーティングですとか、それから小泉総理のメールマガジンのお話がございまして、この点につきましても、私は特にことしの一月以降、全く同じ発想でタウンミーティングを行い、それからMOEメールといいまして、環境省にEメールでお便りをいただくということを始めておりまして、環境省の考えてきた方向性あるいはやり方が正しかったということを小泉総理に裏書きをしていただいたと思っておりまして、それも大変にうれしく思っております。 私自身が基本的に小泉総理のもとで今までの考え方と非常に違う考え方で物事を進めていこうとは思っておりませんで、今まで考えてきましたように生活者の目線に立って、小泉総理のおっしゃった課題というのが私もずっとそれが課題であると認識をしてきておりましたので、取り組みに全力を尽くす所存でおります。 ○福山哲郎君 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。 環境問題について、国民の目も含めて大変厳しくなっておりますので、大臣の今後の頑張りに期待をしたいところでございますが、再任早々いろんな国際会議等が、七月にボンの会議がありますし、大変な状況だというふうに思います。つい先日にはプロンクが日本に来て大臣と会談をなされたという状況で、ほっとする間もなく恐らく走り回っておられるのだろうというふうに思いますが、まず四月、大臣はニューヨークに渡米をされました。ニューヨークでの会合に出られた後、ワシントンにまで足を延ばされて、アメリカの主要な人物とお会いされてきたわけでございます。 その四月に渡米される直前に、衆参で国会決議が行われました。この国会決議に関しては、いろんな御議論はあると思いますが、私は大変評価をしておりまして、「我が国は地球温暖化防止京都会議の議長国として京都議定書を取りまとめた特別の経過がある。したがって、政府は率先して批准し、地球温暖化防止の国内制度を構築するとともに、京都議定書の二〇〇二年発効を目指して、国際的なリーダーシップを発揮すべきである。」という国民の負託をいただいた衆参両決議が行われて、これをある意味でいうと携えてアメリカへ大臣は行かれたわけです。 この決議について、大臣は、内容についてどのような重みと、内容についてどのような評価をされているのか、どのように感じておられるのか、お聞かせをいただけますでしょうか。 ○国務大臣(川口順子君) いただいた国会決議は大変に重いものと受けとめております。 アメリカに参りましたときに、この決議についてお話をいたしまして、これを英語に直して紙にして持っていきまして、これが全会一致であったことも含めてお話をいたしております。 政府といたしまして、二〇〇二年までに京都議定書が発効しますように、これからの会合で全力を尽くして取り組んでいきたいというふうに考えております。 それから、日本自身が国内制度を構築するということが非常に重要でございまして、国際的な合意を踏まえまして、締結に必要な国内制度の構築をやっていきたいと思っております。また、ハーグ等での経験で、国内制度の構築というのが日本の国際会議の場での発言の信頼性につながるものであるということも強く認識をいたしております。 ○福山哲郎君 ぜひ国会決議を大切に、重みを持ってやっていただきたいと思います。 四月二十一から二十三日、ほぼ報道でも出ていますし、環境省から私も報告を聞いておりますのであれなんですが、ワシントンへ行ってきたときのアメリカの様子ですね、済みません、事前通告には、アメリカに説得をしてきてその後アメリカとの接触があるのかということを聞いてあるんですが、実際に行ってこられて、アメリカとの会談の中身等について、国会の場でも一応言っていただいた方がいいかなというふうにちょっと今話をしていて思いましたので、大臣、大丈夫だと思いますので、事務方でも結構でございますから、四月のワシントンでのアメリカとの会談の内容等をお知らせいただければと思います。 ○政府参考人(浜中裕徳君) お尋ねの川口大臣ワシントン訪問の際の会談の内容でございますけれども、ホイットマン環境保護庁長官、それから国務省ではアーミテージ国務副長官、さらにはホワイトハウスでリンゼー経済担当大統領補佐官とお会いをいたしまして、あるいは共和党のクレイグ上院議員ともお会いをしております。 それらの会合におきまして、まず我が国がアメリカの京都議定書不支持表明が気候変動交渉に与える影響を強く懸念しているということ、それから、米国が引き続き京都議定書の発効に向けた交渉に参加をして、我が国とともに積極的に合意を模索するよう強く希望をしているという点を申し入れております。 また、ただいま大臣から申し上げましたとおり、我が国の方針は、引き続き二〇〇二年発効を目指してCOP6再開会合での合意に向けて努力する方針であるということ、そして、国会、衆参両院で国会決議が全会一致で可決されたことも、先ほど大臣から申し上げましたとおり英文でもってお渡しをしながらその内容をお伝えしてございます。 さらに、米国は現在、気候変動政策についての見直し作業をやっておられるわけですけれども、この作業の終了といいますか、提案を出されるタイミングが非常に重要であるということを強調させていただきました。したがって、この見直しを早急に完了して、七月のCOP6再開会合に十分先立って具体的提案を提示するように要請をしております。 また、この政策見直しにおきましては、京都議定書でそもそも市場メカニズムの活用を図ることができる、そういう仕組みも用意されているわけでございます。したがって、費用効果的に削減目標の達成が可能ではないかという点。それから、米国経済への悪影響を懸念しておられるということですが、そういう目先の経済コストだけではなくて、対策がおくれることによる環境へのコスト、それから、省エネ等の分野で技術革新や市場創出などの利益もある。つまり、経済的な機会を生み出すということも、対策を進めることによってそういうこともあるのではないか、そういうこともあわせて考慮すべきではないか、こういう点を指摘させていただきました。 これに対しまして、米国側からは、我が国の立場はよく理解をした、そして大統領にこれを伝えたい、基本的に米国の京都議定書不支持という立場は変わらないということを繰り返しておられましたけれども、政策見直し作業については非常に真剣にやっている、そして緊急の課題として閣僚が作業を行っているということでございまして、具体的な完了時期は明言はできませんけれども、七月のボン会合までに提案を提示するように努力をしたい、そして日本には必ず相談をするというふうに述べていたということでございます。 以上、概要を申し上げた次第でございます。 ○福山哲郎君 ありがとうございます。 京都議定書不支持という立場は変わらないということは、やっぱりかなりはっきり言明をされているんですね。 ○政府参考人(浜中裕徳君) そのようにおっしゃっておられたわけでございます。 ○福山哲郎君 ボンの会議には出られるとは言っておられるんですね、相変わらずというか、変わらず。 ○政府参考人(浜中裕徳君) そのように、ボンの会合には出席をするというふうにおっしゃっておられました。 ○福山哲郎君 僕はやりとりがわかりませんからニュアンスがわからないんですが、新提案を準備している、新提案をボンの会合までに出したいということを言われたというふうに今、浜中局長はおっしゃいましたが、新提案を出すけれども、ボンの会合には出席するとおっしゃっているんですね。それでよろしいんですか。 いや、その論理構成がよくわからないのはわからないんですが、大臣、どうでしたか、アメリカの高官とやりとりされて、やっぱりかたいなという感じなんでしょうか。 ○国務大臣(川口順子君) 二点申し上げたいと思うんですけれども、一つは、アメリカの政府の中での議論が非常に真剣なものであるということでして、これは例えば、私はアメリカの政府の高官に会ったのと同時にワシントンにいるシンクタンクの方等にもお会いをいたしましたけれども、そこでホワイトハウスから意見を求められているとかというようなお話がございまして、ホワイトハウスといいますかアメリカ政府においては、ワシントンの中で、あるいは全米から関係の人たちの意見を聞きながら、閣僚レベルで真剣に議論をしているということがよく伝わってきました。閣僚レベルでこういった問題をこれほど頻繁に議論をしたケースというのは前にはなかったという話も聞きました。そういうことから、非常に真剣な議論が行われているということでございます。 それからもう一つは、これは本当に私の印象ということでございまして、国会で申し上げるのがいいのかどうかというのもよくわかりませんけれども、アメリカ政府の中の検討が、あるいは事態の認識の仕方が、時間を追うに従って変わってきているのではないだろうかということでございます。 これは、アメリカの政権、新政権が一月の終わりに発足をいたしまして余り時間がたたないところで一つの発言が京都議定書についてあって、それから、日本の働きかけも含め国際的なさまざまな反応があったということを背景に、向こう側の反応の状況が変わってきているのではないだろうかという感じがいたしております。 したがいまして、私が行きましたのは四月の下旬でございまして、それからほぼ一月ぐらいの日数が流れているわけでございまして、その後もアメリカ政府の対応というのは変わってきているんではないだろうか、あるいはその可能性があるというふうには思っております。 ○福山哲郎君 済みません、具体的に大臣はどういうふうに変わってきているというふうにお考えなんでしょうか。 要は、言葉は悪いですが、今大臣が言われたことをわかりやすく言うと、事の重大性、就任直後のブッシュ政権がこのことを発表したことによっていろんな影響が出てきて、これはちょっとちゃんとやらなければいけないなというふうに聞きようによっては聞こえたんですが、別に悪い意味で申し上げているのではなくて、要は、どういうふうにちょっと変わってきたと感じられているのかお答えをいただけませんか。 ○国務大臣(川口順子君) 国会で申し上げるのがふさわしいかどうかと申し上げたのは、まさにそれが私の個人的な感触にしかすぎないということで申し上げておりますので、それを前提にお聞きいただいたんですけれども、まず、一般的に環境問題についての取り組みについて非常に真剣になってきたということでございます。 これはどういうことでそう私が思ったかということですけれども、ワシントンポストその他の、ブッシュ政権が百日ぐらいたったところでの世論調査がございまして、その中で、一般的に非常にブッシュ政権のアメリカ国民からの支持率というのは高いわけでございますけれども、環境政策に対しては実はそれほど高くないという世論調査の結果があらわれておりまして、これも私がいろいろな人から聞いたところですと、ブッシュというのは政治的に非常にリアリストであると。したがって、ちょうど私がおりましたころに、POPs条約への対応ですとか、幾つかの環境問題についての新しい姿勢を、ホイットマン環境保護庁長官をホワイトハウスに呼びまして二人で記者会見をするという形でやっておりまして、まさにそういったことにこたえているのではないだろうかということでして、地球温暖化問題につきましても、先ほど申しましたように、ワシントンの周辺あるいは全米からいろいろな人を呼んで話を聞いている、閣僚レベルで顔を合わせて取り組んでいるということからそういうような熱心さが増してきたという印象を得ているということでございます。 ○福山哲郎君 ありがとうございます。 その変化の中、アメリカ、一月ほど前に行ってこられましたが、その後、日本としては説得をするとずっと言われておられたわけですが、この一月の間にアメリカ側との接触は、大臣みずからもしくは事務レベルでも結構でございます、あるのか。それから、今の熱心という印象論は逆に言うと大変ありがたかったんですが、何らかの形での具体的な政策レベルでの変化等はこの一月あったのでしょうか。 ○政府参考人(浜中裕徳君) 川口大臣は訪米後も米国に対する働きかけを引き続き行っておるところでございます。先週パリで開催をされましたOECD環境大臣会合及び閣僚理事会に際しましては、風間環境副大臣から米国高官に対して直接働きかけを行っていただきました。また、川口大臣からは、四月に訪米をいたしましてワシントンでお会いをしたような米国高官に対して、その後も電話会談を通じて働きかけを行っていただいております。さらに、国会のお許しが得られれば、来月末に開催が予定されております非公式閣僚会合等に大臣に御出席をいただいて、その機会に大臣からさらに働きかけを行っていただきたいと考えております。 こうした働きかけを通じまして得ておりますアメリカの基本的な考え方について何か顕著な変化が見られたかということになりますと、そこまではまだ今のところは至っていないというふうに受けとめてございます。 以上がこれまでの状況でございます。 ○福山哲郎君 電話会談等で何回か働きかけをされておられるというふうにおっしゃっていますが、これ、答弁できるならば、どのレベルの方と大臣は電話でお話しされているんでしょうか。 ○国務大臣(川口順子君) 私が四月の終わりに国会のお許しをいただいてアメリカに行ったことの成果の一つは、これ以降電話で実は話ができるようになったということでございまして、そのときに会った政府の高官の方々と電話でお話をいたしております。 ○福山哲郎君 それは、具体的には役職名、名前は無理でしょうか。 ○国務大臣(川口順子君) 先ほど浜中局長から私が会ったと申し上げた方々です。 ○福山哲郎君 ありがとうございます。 ところがその後、先週末、アメリカが例の国家エネルギー戦略を発表されたわけです。この内容は温暖化にも十分関係してくる内容だというふうに思いますし、このアメリカの国家エネルギー戦略について大臣は今どのように評価されていますでしょうか。 ○国務大臣(川口順子君) アメリカのエネルギー戦略が発表になりまして、これも地球環境問題についての閣僚レベルの議論と全く同様に閣僚レベルで議論をされていたものでして、こちらの方が先に発表されるというふうに言われていまして、そのとおりそういうことであったということで、一つには閣僚レベルで行っている議論のまともさといいますか真剣さということがこれが発表になったことで証明をされたということではないかと思います。 具体的な中身につきまして、これは柱が五つありまして、その五つのうちの恐らく二つ、省エネルギーとそれから環境保全の加速化という部分が環境問題にも関係をしてくるというふうに思っております。 それで、気候変動政策という立場からいいますと、このエネルギー政策の裏づけになるデータ集によりますと、自然体でいった場合、ビジネス・アズ・ユージュアルでいった場合に、CO2の排出量が九〇年に比べて二〇一〇年で三四%増、それから二〇二〇年で五一%増加するというシナリオになっていまして、原発の新規建設ですとか、省エネルギー政策としてのハイブリッド車の普及推進などについての記述があるということですけれども、これに関してどれぐらいが定量的に減るんだということについての評価はなされていなかったというふうに思っております。 こういったことにつきましては、恐らく今後出る気候変動についての閣僚レベルのレビューの発表の段階で出てくるということだと私は思っております。 ○福山哲郎君 ということは、ある程度この国家エネルギー戦略へ出てきた内容がベースになって、次の新提案にはやっぱり基本的にはベースとしてはつながってくるというふうにお考えですね。 ○国務大臣(川口順子君) 基本的なデータは同じであると思います。 ○福山哲郎君 さっき風間副大臣にお尋ねするのをちょっと忘れてしまいまして、副大臣、OECDに行かれて、済みません、今の話の流れで出てきた話なので、もう印象論で結構です。アメリカの高官とOECDでお目にかかられて、今、交渉で説得に当たられたというふうに伺いましたが、ある意味でいうと、副大臣として初めての大きな仕事をされに行かれたわけですが、アメリカとの接触の感想、印象をお聞かせいただけますか。 ○副大臣(風間昶君) 五月十七日のOECD閣僚理事会での合間に、合間といいましょうか会議中ではございましたが、アメリカの国務次官補代行の方とこのことにつきましても、まず働きかけの前に向こうの確認と我が方の趣旨をきちっとお話をさせていただいて、四十分ぐらい会談をさせていただいたわけでありますけれども、政策の検討作業については、今大臣からもお話がありましたように、まさにブッシュ政権が真剣に閣僚レベルでの会合を続けておるということで、特に気候変動のことに関しまして今一生懸命努力している、それをまずわかっていただきたいという向こうのお話でした。で、ボン会合の前にそのことが終わることを望んでいると。しかし、いつまでにということについては現時点では確信を持って言えないんですということで、最終的には我が方の、日本としての、アメリカにパートナーとなって一緒にやりましょうよということを再三再四にわたって要求といいましょうか、こちらの言い分、主張は十分理解をしていただいたと。ただ、ではいつまでにということについては約束を持って期限をつけて言うことは今まだできないということでございました。 ○福山哲郎君 なるほど。実は、アメリカ側からの新提案がボンの会議までにという話が先ほど浜中局長からもありましたけれども、報道では、間に合わないのではないかという報道もあります。今のところは具体的に新提案の時期については、今、風間副大臣が言われたとおり、全くボン会合の前ということ以外は何らかのめども、この辺ぐらいまでというのも、そういうこともほとんど回答はなかったんでしょうか。大臣、副大臣、局長、どなたでも結構でございます。 ○政府参考人(浜中裕徳君) これまで私どもがお話を伺っているところでは、ただいま先生がおっしゃいましたとおりでございまして、あるいは我々がこれまで申し上げたとおりでございまして、具体的な時期は明示できない、約束できないけれども、COP6再開会合までに間に合わすことができるように努力をしていきたい、こういうような話を伺っているところでございます。 ○福山哲郎君 今、日本は二つのオプションを持っていると私は思っています。一つは、アメリカの提案がボンの会議に間に合って、十分議論ができる日数も確保して、そしてその後、EUやもしくはアンブレラグループで議論をしてボンの会合になだれ込んで、何とかアメリカもという日本の意向も含めてボンの会合に入れるのか。もしくは、アメリカの提案が、今おっしゃられたように、報道によればボンに間に合わないという話も出てきていますし、例えば間に合わない、もしくはぎりぎりで、議論の余地もなくて、いきなりボンの会合で平場で議論をするような状況になったときにどうするか。 私が、きょう、どちらかというとこうやって何となくおとなし目に話をしているのは、ある意味でいうと、前にも後ろにもとまらない、相手にボールがある状況ですから、今大臣や局長に僕がぎゃんぎゃん言っても物が進まないのもわかっているつもりですので、ちょっときょうはこういうふうな感じのトーンで言っているんですけれども。 どうでしょう、この二つのオプションで現実に間に合うんでしょうか。大臣、今の現状認識をお聞かせいただけますか。 ○国務大臣(川口順子君) 福山委員が今二つのオプションがあるというふうにおっしゃられました。 まず最初の方のオプションですけれども、私は、気候変動問題というのは環境十全性という視点で物事を考えるべきである、判断すべきであるというふうに思っておりますので、そういう観点から申し上げれば、最初のオプションというのは非常に一番ベストのケースであるということでございます。 ということであれば、今の段階では、ボンまで二カ月ございますけれども、関係国と連携をして、できるだけアメリカが京都議定書にボンにおいて積極的に議論に参加できるように精いっぱい働きかけるということでございまして、先ほど申しましたように、私はアメリカとも電話で話をしたりいたしますけれども、それだけではなくて、ほかの国々の方ともそういう観点から電話で話をしております。そういう意味で、今必要なことは、ありとあらゆる機会を使って、それから会議の場もございますし、働きかけを行っていくということにまさに尽きるというふうに考えております。 ○福山哲郎君 一つ目のオプションのお答えは多分そのとおりだと思いますし、それに御努力もいただかなければいけないんでしょうが、交渉ですから、交渉の過程でいろいろなことが起こりますので、一つ目のオプションがうまくいくかどうかもわからないけれども努力をいただく、これは間違いないです。 しかし、我が国のスタンスとしては、最悪のオプションも考えながら、ボンにどう臨むかということも、やっぱり準備は政治としてはしなければいけない、政府としてはしなければいけないというふうに私は思っています。 御努力いただくことはもちろんです。御努力いただいた上で、もし万が一、今のようにいろんな報道がある、ましてや、これ、きょうの日経ですからもう皆さんお目通しいただいていると思いますが、アメリカの下院議員が、京都議定書にアメリカ政府が復帰することはあり得ないと。この下院議員というのはアメリカの下院のエネルギー商業委員会の委員長で、ブッシュ政権のエネルギー、環境政策に大変大きな影響力を持つと。この人が六月中に新しい骨組みを伝えるというふうなことを言っておられますから、さっき大臣が言われたように、オプションとしては第一のオプションがちょっと見えてきているのかなとも思いますが、このオプションが全くEUも含めて京都議定書の枠組みから逸脱したもので乗れないときに我が国としてどうするかという準備は、交渉事は一生懸命やっていただくのはもちろんですが、我が国の政府の対応としてはどういうスタンスで臨むのかという準備は必要ではないかなと思っていますが、そこに対しては大臣、いかがでしょうか。 ○国務大臣(川口順子君) 先ほどのもう一つのオプションですけれども、私は、おっしゃった二つのオプションというのは、実は両方の、言ってみたら極端なケース、その両端のケースをおっしゃられたというふうに思いまして、実際その間にいろいろな可能性がまだほかにもあると思います。 今二カ月を残した時点で、もちろん将来的にいろいろなことが起こり得るということはそうなのかもしれませんけれども、今関係国と話をしておりますことは、アメリカへの働きかけというベストな、働きかけてベストな成果を得るということを目指してみんな一生懸命やるべきであろうということで動いておりまして、私が報告を聞いたところでは、この間のOECDの会合でも、こちら側のオプション、もう一つの反対側のエクストリームなケースということについて、それをどうするかという議論はまだ国際的に行われていないというふうに承知をいたしております。 ○福山哲郎君 アメリカ側とのいろいろな電話会談を御努力いただいていることは今承りましたし、今の大臣のお話も多分交渉上はそういうことなんだろうと思います。 では、実際にもう一つの非常に気になりますEU側ですが、風間副大臣が行かれているのであれなんですが、大臣自身はEU側との現実の接触としてはこれまでどういうような形で行ってこられたのか、お教えいただけますでしょうか。 ○政府参考人(浜中裕徳君) まず事実関係の方から先に申し上げたいと思いますけれども、EUとの間ではやはり一番大きな出来事といたしましては、四月の初めだったと思いますが、四月の九日でございますが、EUトロイカということで、現在議長国のスウェーデンのラーション環境大臣を団長とする代表団が日本にやってこられて、川口環境大臣や当時の河野外務大臣と会談をされたわけでございます。 そのときの、私どもと率直な話をさせていただいたわけでございますが、そのときにも米国との関係におきましては、日本もEUも米国の参加が実効ある京都議定書の実施を確保するとともに、地球規模の行動、つまり、例えば将来的な途上国の参加というようなこともにらみますと、地球規模の行動を今後強化していく上で極めて重要であるということで、米国に対する働きかけを引き続き行っていこうというようなことで一致をしたわけでございまして、日本とEUとの間で今後とも密接な連絡をとっていこうというようなことでございました。 その後、ニューヨークで川口大臣、出張されまして、プロンク議長主宰の非公式閣僚会合の際に、二国間会談という形でラーション環境大臣あるいはその他の主要なEU加盟国の閣僚とも会談をしていただきましたし、それから欧州委員会のバルストロム環境担当委員とも個別にお会いをいただいて意見交換をさせていただいております。 それぞれ率直な意見交換もさせていただいているところでございますけれども、第一のオプションと先生おっしゃられました、やはりベストは米国の参加を得ることであるということでございまして、そして気候変動交渉、この十年間で一番今は難しい時期、いわば危機的な状況を迎えているわけであります。その中でどのように新しい発想といいますか、新鮮な発想も加えながら、本質的な意味で京都議定書を生かしていくような方策を探っていく必要があるんじゃないかというようなことで、大変有意義な意見交換をさせていただいたんではないかというふうに感じているところでございます。 ○福山哲郎君 一月前のニューヨーク以外は、先ほどありましたように、電話も含めてEU側とは接触は今のところまだないんでしょうか。 ○政府参考人(浜中裕徳君) それ以外には、例えば五月の連休明けでございましたけれども、同じEU議長国のスウェーデンの環境大使というお立場のボー・シェレーン大使がいらっしゃいました。たしか先生ともお会いになっていらっしゃると思いますけれども、そのときにもやはり私ども会合をさせていただきました。川口大臣とも会っていただきました。基本的には同様の趣旨の意見交換をさせていただいたというふうに受けとめております。 ○福山哲郎君 では、EU側とは、例えば電話などでバイで大臣がやらせていただくようなのは今のところはまだ行っていないということでしょうか。 ○国務大臣(川口順子君) EU側と電話で直接話をしているということはございません、議長とというのはありますけれども。それは、日本はアンブレラの国でございまして、基本的に交渉事はグループでやるということでございますので、そういうことになります。 ○福山哲郎君 そんな中で、二十日の日に、プロンク議長がわざわざ日本に来られて大臣と会談をされました。恐らく、第一のオプションをどうするのか、もしくは京都議定書をどういうふうにまとめていくのかということのいろんな動きの中の一つだったというふうに思いますが、プロンク議長は何の目的で来日をされて、会議内容はどうだったのか、お答えをいただけますでしょうか。 ○国務大臣(川口順子君) プロンク議長は、これから会議、といいますのはその全体の気候変動枠組み条約に基づく今後の動きを、COP6の議長でございますので、どういうふうにしていったらいいだろうかということをいろいろお考えでいらっしゃるということで、各国から、主要国からそれについてどうしたらいいかということの意見を聞きたいという観点でまさにアドバイスを得るためにお見えになったということでして、日本との話というのは一連のプロンク議長が考えていらっしゃる会談の一環でして、そのほかに、他の国々とも話をなさったり、あるいは今後する予定でいらっしゃるというふうに聞いています。 ○福山哲郎君 中身を教えていただけますでしょうか。川口大臣がお伝えをしたことでも結構でございます。 今のお話でいうと、要は各国からアドバイスをいただきにということですので、日本としてはどういうメッセージを伝えられたのか。 ○国務大臣(川口順子君) 半分しかお答えしないで失礼をいたしました。 まず、アドバイスを得に来たということでございますので、交渉したわけでもなく、したがって、当然に合意をしたとかそういうことではございません。 私とプロンク議長の話につきましては、プロンク議長からの強い御要望がありまして、自分が言ったことについては自分も外に一切言わないし日本からも出さないでほしいということでございましたので、申しわけございませんが、私がプロンクに言ったことをお話をさせていただきたいと思います。 それで、小泉政権、新しい政権になって方針が変わったかどうかということにつきまして、京都議定書の二〇〇二年までの発効を目指して最大限努力をするという方針であって、従来とその点については全く変わりがないということを申しました。それから、アメリカの参加が極めて重要である、これは環境十全性の立場から重要であるということを申しました。したがって、アメリカの参加を含む形での合意が成立するように引き続き努力をすることが重要であるということを申しました。それから、その観点から、EUのフレキシビリティーが非常に大事であるということを申しました。それから、日本にとりましてもプロンク・ペーパー、新しいプロンク・ペーパーですけれども、につきましてはシンク、京都メカニズム等あるいは遵守とかいろいろございますが、問題点があるというふうに言いました。それから、COP6再開会合の成功に向けて、日本は積極的に協議に参加をしてプロンク議長を助けていきたいというふうにお話をいたしました。 ○福山哲郎君 ここから先はもうお答えいただけないと思いますからあれなんですが、基本的に議長がアドバイスというか各国が何を思っているのかを伺いに来たということは、現実にCOP、七月のボンまでにどういうふうなオプションがあればまとまるのかと様子を、ある意味でいうと雰囲気をじかに大臣に話をしに来たなというふうに考えるのが、多少うがった見方かもしれませんが、そういう状況ですし、なおかつ大臣が今思わせぶりに言われたように、プロンク議長からの発言については表に出してくれるなということは、逆に言うとプロンク議長の発言にはそれなりの重みがあって、それなりのいろんな含みがあったのではないかというふうに、逆に我々は、いいように解釈すれば、恐らく建設的な議論がプロンク議長も含めて始まっているのかなと。アメリカの対応もほぼ状況が見えてきて、提案がどうなるかは別にして、京都議定書をまとめるのにどうしたらいいのかという具体的な動きをプロンク議長がし出しているのかなというふうに私としては前向きにとらえたいなというふうに思っています。 それに対して日本の、プロンクからの提案なりこういうところで京都議定書はどうなんだということに対して、川口大臣の感触を確かめに来たのかなというふうに思っておりまして、少しは、半歩ぐらいは物事が前に進んでいるのではないかなというふうに思っておるんですが、コメントはしようがないと思いますが、大臣いかがですか。 ○国務大臣(川口順子君) コメントはしようがないというふうにおっしゃっていただいて、本当にコメントの申し上げようがないんですけれども、一つ申し上げますと、プロンク議長が日本に来たのは、ニューヨークの会合の一番最後のところでプロンク議長に対して会場から、要するに参加国から、これから進め方についていろいろな国から意見を聞いてやるようにという意見が出ておりましたので、言ってみたらその宿題をプロンク議長がやっていると、そういうことかと思います。 ○福山哲郎君 でも、それは電話でもできますし、わざわざキーの国である日本に来て大臣と直接二時間やられるというのは政治的には意味があるんじゃないかなと思うのが普通でございまして、そこはこれ以上深くは突っ込みません。 ただ、とにかく七月まで時間がないということと、アメリカの提案に対してやっぱり相当世界も注目をしているということで、私は何としても京都議定書はつぶしちゃいけないと思っています。アメリカが例えば今戻ってこなくても四年後に戻ってくる道もあるわけですし、とにかく京都議定書は発効させなきゃいけないというふうに私は思っていますので、ぜひそこは二カ月の間ぎりぎりの折衝を続けていただきたいと思います。 最後に、環境問題全般ではなくて、温暖化の問題、京都議定書の問題について、小泉総理または田中外務大臣と御意見を交わされたり何か議論されたことはございますでしょうか。 ○国務大臣(川口順子君) 小泉総理とは、前に申しましたように、私が環境大臣になるに当たって小泉総理から幾つかのことをおっしゃっていただいた中の一つでございまして、この問題について合意が可能となるように努力をせよということでございました。それで、私からは、これは官邸での記者会見の際にも申し上げたような漠然とした記憶もございますけれども、ボンでの会議で合意をするに当たって、最後の段階で総理のリーダーシップをいただかなければいけないという可能性が非常にあるので、ぜひよろしくお願いを申し上げますということを申し上げております。 それから、田中外務大臣とは、所信表明演説の閣議というのが五月六日にございまして、その閣議において、二〇〇二年までの京都議定書の発効を目指して、COP6再開会合での成功を目指して最大限の努力をするということを確認をいたしております。 ○福山哲郎君 そこは確認ということで、個別にそれはしゃべられたわけではないんですね、田中外務大臣と。 ○国務大臣(川口順子君) 個別にお話をしたわけではございません。 ○福山哲郎君 では、ぜひ二カ月間頑張っていただきたいと思います。 ちょっと話題を変えます。 現在、日本に生息する野鳥というのは、鳥獣保護法で原則として捕獲も飼育も禁止されています。しかし、日本と同一種の野鳥が現実には輸入をされているという実態があるというふうに思いますが、輸入をされているという数、一体どのぐらい野鳥が輸入をされているのか。一九九八年ぐらいから、九年度、二〇〇〇年度、二〇〇一年度ぐらいまでの数字をお示しいただけますでしょうか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 今お尋ねの我が国への鳥類の輸入につきましてでございますけれども、これにつきましてはそれを明らかにするような統計がとられておりませんで、把握していないところでございます。 ○福山哲郎君 把握していないというのはちょっとびっくりするんですが、新聞等を見ると、年十万羽とか数が出ている部分があるんですが、今、環境省が輸入に対して把握していないというのはどういうことなんでしょうか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 今、恐らく新聞等で十万ということで御指摘になりましたのは、現在、鳥類の販売に係る民間の業界団体がございまして、この業界団体の自主的な取り組みといたしまして自主的に輸入証明書というのを発行しております。その発行数というものが実態を反映しておるのであればその発行数が輸入数に近いのであろう。そういうことでいきますと、メジロ、ホオジロなどに対して年間合計約十万枚ほどの証明書が新規発行されたというふうに聞いておるところでございます。 ○福山哲郎君 済みません、今のは非常にわかりにくいんですが、環境省は把握をしていないと。ただし、業者がやられている輸入証明書でいうと十万羽が輸入をされていると。しかし、今局長言われたように、実態を反映していればという留保が国会の答弁で今ついたんですが、実態を反映していればということは、現実には環境省としてはこれ以外も数字は全然とっていないということでしょうか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 輸入をされます鳥類というのは、恐らく大部分はそれぞれの個人の方なりでお飼いになる、要するに飼養下にあるものでございまして、そういう面では我が国の野生鳥獣を守っております鳥獣保護法の体系とは別、要するにペットでございますとか飼養下にある鳥獣の世界でございますので、環境省といたしましては、鳥獣保護法の体系でこれを公的に把握するということはいたしておらないということでございます。 ○福山哲郎君 鳥獣保護法では、でも輸入は禁止されているんですよね、禁止されていないんですか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 鳥獣保護法におきましては、二十条ノ二におきまして一定の鳥獣につきまして、今申し上げましたメジロとかホオジロといったようなものを指定しておりますが、そういうものにつきましての輸入に関する規制がございます。 この趣旨は、我が国の野生のメジロ、ホオジロなどの鳥獣を保護するという場合に、むやみに外国から輸入をされるということがございますと、そういうものとの混同等が起こりまして我が国の保護の実を上げ得ないのではないか、こういう趣旨から輸入の規制を行っているものでございます。 ○福山哲郎君 輸入の規制を行っているのに十万羽輸入されていて、その数を把握していない、環境省は。実態を反映していればという留保つきですが、現実問題として、輸入を規制しているのに数を把握していなくて、どうやって輸入を規制できるんですか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 本件輸入規制の仕組みは、鳥獣保護法の二十条ノ二で指定いたしました種類の鳥獣につきまして、通関当局におきまして、輸出国から適法捕獲証明書ないしは輸出許可証が添付される場合において、そのようなものが添付されていないものについては輸入を禁止するという形で規制が行われておるものでございます。 ○福山哲郎君 そうすると、違法に捕獲をされたものとかは輸入はしちゃいけないんですか。今のは、適法にと言われたということは、向こうから輸出をしてくる際にそれが違法の場合には我が国には入らないということですか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 当該輸出国におきまして鳥獣保護等の見地から所要の規制が行われておる、そういうものにつきまして輸出などをされる場合に当該国が所要の規制等を行うということはあると思いますが、それは直接には、まず第一義的には当該国の問題でございまして、我が国の場合におきましては、そういう当該国が適法に捕獲したものであるという証明書を添付する、あるいは輸出許可証、輸出を許可したという書類が添付されていれば、その鳥獣につきましての輸入は許されているというふうに二十条ノ二は規定しておるものでございます。 ○福山哲郎君 数を把握していないのに聞くのも余り無意味なんですが、そのうち中国からの輸入はどのぐらいかはめどとしてはわかっているんでしょうか。先ほど言われた数字でも結構でございますが。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 今申し上げました民間団体の資料で全体で約十万と申し上げておりますが、概数で恐縮でございますが、そのうちの八割程度が中国からの輸入ではないかということでございます。 ○福山哲郎君 ということは、八万羽というか、ほとんどだということなんですが、中国が野鳥の捕獲、販売、輸出を禁止したのはいつですか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 一昨年、一九九九年の十一月二十九日付で中華人民共和国国家林業局が発出いたしました通知によりまして、同年一九九九年の十二月一日から原則として、原則として野鳥を捕獲、販売、買い付け及び輸出する活動を禁止するという方針が示されたと承知しております。 ○福山哲郎君 一九九九年十二月の一日だとして、ほぼ二〇〇〇年として、先ほどの十万羽というのは去年の数字ですか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 十一年の数字だと承知しています。一九九九年ですね。 ○福山哲郎君 二〇〇〇年の数字はお持ちではないんでしょうか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 把握いたしておりません。 ○福山哲郎君 では、二〇〇〇年は輸入で入ってきた野鳥はゼロですか。ゼロというか、中国から八割として八万羽があったとしたら、ゼロになっているんでしょうか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 数字を把握しておりませんので定性的なお答えで恐縮なんでございますが、通知発出以降も輸出行為が続いている現状にあるというふうに中国側からも聞いております。 ○福山哲郎君 数字はわからないけれども実質的には入ってきていると。 先ほど局長がおっしゃられたように、適法に捕獲したものは当該国から輸出をしてきて我が国としても輸入ができると。ところが、違法に捕獲されたものに関しては、今の表現で言いますと輸出も輸入もできない、特に我が国としては鳥獣保護法の関係で輸入ができないはずになっているのに、一九九九年十二月一日、中国では輸出も販売も禁止しているのに我が国は輸入の数が減っていないという実態は、一体これはどういうことなんでしょうか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 鳥獣保護法の第二十条ノ二を適用いたしまして輸入の制限を行うためには、輸出国、この場合は中国でございますが、中国が輸出をする場合におきましては、適法捕獲証明書かあるいは輸出許可証を添付するという仕掛けになっているということが前提として必要なわけでございます。 それで、先ほどの中国の方針として、原則として野鳥の保護を厳しくするということをされたことは承知しているわけでございますが、しからばいかなるときに例外的に輸出が許されるのか、ないしはその場合には輸出許可証ないしは適法捕獲証明書を添付してくださるのかということが確認できませんと、この二十条ノ二の規定を発動させるというわけにはまいりません。 この点につきまして、昨年来、扱いの詳細について中国側に問い合わせを行っておるところなのでありますけれども、どうも具体的な実務の取り扱い、添付してくださるということにつきまして不明確な点がございます。 したがいまして、先般もその扱いの詳細についてはっきりとしたお答えをいただきたいというふうにお願いをしておりまして、そのお答えを聞きまして適切に対処いたしたいと思っております。 ○福山哲郎君 きょうは財務省からも来ていただいていますが、現実には、輸出を禁止している当該中国から、我が国としても鳥獣保護法で輸入を禁止しているものを、これだけ禁止があった後も変わらない数を税関として通しているという実態、どういった実態でこうなっているのか、財務省、お答えいただけますか。 ○政府参考人(花角和男君) 御指摘の中国につきましては、鳥獣保護法第二十条ノ二第一項に規定します「鳥獣ノ捕獲、採取又ハ輸出ニ関スル証明ニ付テノ政府機関」が確認されていないわけでございまして、鳥獣保護法の所管省庁でございます環境省は、中国からの輸入については鳥獣保護法第二十条ノ二第一項ただし書きに基づき証明書の添付を要しないとしているところでございます。そのため、関税局、税関としましては、中国からの野鳥の輸入については、関税法第七十条に基づく関係当局の証明書の確認を要しないという取り扱いをしているところでございます。 現在、環境省におきましては、中国における野鳥の捕獲、採取、輸出に関する規制についての現状把握を行っていると承知しているところでございます。関税局、税関としましては、中国からの野鳥の輸入について、鳥獣保護法上の規制に服するとの見解が得られるならば、関税法第七十条に基づき関係当局の証明書の確認を行うことになると考えております。 ○福山哲郎君 今の財務省の話によれば、そこの確認書を要しないという状況になっているから税関としては通さざるを得ないんだと。それは環境省がその措置をとっていないからだというふうに私は受けとめたんですが、環境省、いかがですか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 二十条ノ二の規制を発動いたしますためには、輸出国が先ほど申し上げました証明書類を添付するのであるということが確認されている必要がございます。 その点につきまして、私どもとしては、現時点で中国側に問い合わせておりますが、その具体的扱いにつきましての確認を得ておりません。したがいまして、税関当局に対して、そういう確認が得られたので二十条ノ二を発動して規制を行ってほしいという連絡を行うには至っていない状況にございます。 ○福山哲郎君 しかし、片っ方では中国では輸出も販売も禁止をしている、そしてこちらも輸入を禁止している状況の中で、規制を財務省に言えばそこはある一定の歯どめはかかるのを、そのまま中国からの連絡が来ないからといって歯どめをかけないという状況でいいのかどうか。これは、局長、いかがですか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 繰り返しになって恐縮でございますが、二十条ノ二の規定は、輸入の制限に関しまして相手国がそういう証明書を発給するという制度になっていない場合にはそれは要しないということが法文上明記されております。したがいまして、中国がそういう証明書を発給する仕組みになっているかどうかということの確認が何よりも先決であると思っております。 その点につきましては何度も問い合わせをしておりまして、具体的にはこの三月にも野生生物担当課長同士でその点の明確な扱い方について御回答をいただきたいということをお願いしております。したがいまして、できるだけ早く回答を得て、それに基づいて的確な対応をすべきものというふうに考えております。 ○福山哲郎君 証明書を発行する仕組みになっているかどうかすら中国から回答がないんですか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 中国側の説明によりますと、例えば人工繁殖個体については、先ほど申し上げました野鳥の捕獲等を全面的に原則として禁止する通知の範囲の外側であるというような御説明がございます。その外側であるということは、そういう人工繁殖個体についてはその外側であるというのは輸出ができるということではないか。輸出ができるというときには証明書をつけていただけるのか、しかし先ほどの通知の外側であるのでそういうものについては証明書をつけるという手続がなくて、単に先ほど申し上げました原則禁止という通知の外側にあるだけなのか。そういったところが確認できませんと、現実に適法に輸出された個体につきまして証明書が添付されるかどうかわからないという状態でございます。その扱いにつきまして確認をしているところでございます。 ○福山哲郎君 済みません、私が余りあれなので、ちょっともう一回整理して説明していただけますか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 失礼いたしました。少し説明が足りないところを補完いたしますと、輸出国が捕獲を禁止しているものを輸入することはよいのかどうかということが一つございます。これは、国際的にそういう鳥類を守っていこうということでございますれば、そういう国際的な枠組みの中でやらなきゃいけない事柄でございます。 そういうものにつきましては、例えばワシントン条約がございます。これは、特定のものにつきましては両方できちんと輸出入をチェックする。それから、例えばある国が自国の保護の目的のために禁止措置などをとったものにつきまして輸入国でチェックをしてほしいというような場合は、ワシントン条約におきましてもV類といったようなものに登録いたしますればそういう措置がとられます。 ただ、しかしながら、日本に輸入されておりますもののうちの非常に多くを占めるであろうと思いますメジロなどの小鳥類につきましては、恐らくそういう措置はとられておりません。したがいまして、私どもの方の輸入制限措置というのは、鳥獣保護法に基づきまして、国内の鳥獣の保護に影響のある範囲で輸入の制限を行うというものでございます。 輸入の制限の仕方につきまして、鳥獣保護法の二十条ノ二ではこういう仕組みを置いておりまして一定のものについては輸入を禁止するわけでございますけれども、ただ、それぞれの国のルールに従いまして輸出が許されたものが入っているかもしれない。そこは区別をしなきゃいけない。区別をするためには、そういう証明書が相手国から発給されているかどうかということに基づくしかないわけでございますので、そういう証明書を相手国が発給するという場合は証明書の有無をもって輸入の制限を行うことにしております。 しかしながら、この二十条ノ二にはただし書きがございまして、そもそもそういう証明書の発給ということを輸出国が行わない場合には確認のしようがありませんので、そういうものにつきましては現実に通関のときにそういう証明書の添付を要求するということはしないというふうに書かれております。ですから、結局、相手国が証明書の発給をしない仕組みになっている場合におきましては輸入の制限ができないという結果に鳥獣保護法の規定はなっておるわけでございます。 ○福山哲郎君 わかったようなわからないような、わからないようなわかったようななんですが、相手国が証明書を発行する仕組みがなければ、今の鳥獣保護法の仕組みでは入ってくるときには規制できないということですね、簡単に言えば。 財務省、それは環境省が規制をつくれば、相手国の証明書いかんは抜きで、環境省が鳥獣保護法の中で証明書のないものは入れるなということを言えば、それは法的には税関としてはとめられるんですか。 ○政府参考人(花角和男君) 鳥獣保護法上、同法施行規則に規定された野鳥の輸入に際しましては、輸出国において適法に捕獲、採取された旨、または輸出を許可した旨を証明する政府機関の存在、これが確認されている場合には、同機関が発行した証明書を添付しなければ野鳥を輸入することができないとされているわけです。 これを受けまして、税関においては関税法七十条の規定に基づきまして、輸出国において当該証明書の発給機関の存在が確認されている国を輸出国とする野鳥の輸入通関に際しましては、当該証明書を確認することにより輸入許可を認めているところでございます。 ○福山哲郎君 僕、あほなもので、ちゃんとこれ議事録を精査して、もう一回法的にちゃんと根拠を見なきゃいけないと思いますが、大臣、今のお話を伺っていかがですか。十万羽輸入されているんです。現実には禁止されているんです、中国は。 中国の国内の問題だということはよくわかりますが、そこを税関と環境省の間でお互い、環境省がこうだから我々はケアできないと言っていて、環境省は中国から証明書が出るかどうか問い合わせているけれども、返事が来ないからどうしようもなくてそのまま通しているんだと。全然、状況変わっていない。ただ、我々としてはこれは輸入も禁止しているし、中国側も輸出を禁止しているんです。で、十万羽入ってきている。ちょっと大臣、何か御議論いただければ。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 少し説明を補足させていただきたいと思いますが、野鳥の保護の見地から、今のような書類の有無あるいはその制度の有無を問わず、例えばある種類のものは輸入を禁止したらどうかという立論が成立するかというふうに考えますと問題点がはっきりするかと思います。 ただ、これはそういうことも一つの考え方ではございますけれども、例えば国際的に保護をしようというワシントン条約のような枠組みの中におきましても、こういう輸出入を規制、禁止していく場合は、それぞれの国によりまして適法に捕獲するあるいは繁殖する等々、いろいろな事例がございますので、やはり何らかの証明書類あるいは許可証類というものをその制度の中にビルトインして規制をしているのが実情でございます。 それとの均衡上も、当面我が国の鳥獣、国内の鳥獣を守るという見地から定められております鳥獣保護法の二十条ノ二の規定におきましては、やはり適法、現実に通関におきまして確認ができる関係書類、関係証明書ということを前提として制度を仕組むのが相当という考えで仕組まれているものだというふうに考えております。 ○福山哲郎君 大臣、どうですか。 ○大臣政務官(西野あきら君) 今の福山先生の御指摘のお話を聞いておりまして、私はこの内容について、環境省の中で協議をしたことでも何でもないんですが、所感を私なりに申し上げて、ぜひ研究しなきゃならぬなというふうに思っております。 というのは、相手国の証明書があればそれを通関、自国で、我が国で水際でといいますか、入り口で確認する、それがなければ受け入れに対しては何のチェックもできない、こういうことでありますれば、問題は我が国として野鳥類が鳥獣保護行政に非常に影響があるということであれば、当然これ環境省としても考えていく必要があるのかなというふうに私は今その議論のお話を聞いて痛感をいたしました。 したがって、こういうケースの場合、大臣も副大臣も環境省の幹部も聞いておられますので、こういう実態を踏まえて、案件等々について省内でぜひ検討をひとつしていくべきだ、このように思っております。 ○福山哲郎君 大変前向きな御答弁ありがとうございます。 実は、もう一個だけ嫌なことを言いますと、一九七二年の五月十二日、一九七二年というと、もう二十九年ぐらい前ですか、二十九年ぐらい前の衆議院の外務委員会で環境庁とのやりとりについて、「先ほど申しました適法捕獲証明書を必要とするような鳥につきましては、関税の御協力をいただいてそのようなチェックをやっておるわけでございますが、それ以外の鳥につきましては野放しというのが現状であったわけでございます。」、「現在法律としてではございませんが、自主的に盛り上がった保護という機運から生まれたことでございますので、それはけっこうなことではないか」と思いますと、政府委員が説明しているんです。 「その点は今後何らかの形で業者にまかせないで、」、先ほど出てきたのが業者です。「環境庁なら環境庁でチェックをするというお考えはないのですか。」という一九七二年の国会でのあれに政府委員が、「先生の御指摘のような面もございますので、今後どのような形がとり得るのか、いろいろと検討してまいりたいと考えております。」と、二十九年前の国会の委員会で環境庁が説明しているんです。二十九年前です。同じような答弁があるんです。今局長がお答えになったのも、恐らく中身は何ら変わっていない。 税関の中でいうと、税関でチェックする鳥の中には野鳥という項目はありません。これ基本的には多分商業ベースで食肉のもの中心だと思いますが、鶏、七面鳥その他のものです、家禽類。鶏、七面鳥その他のもの、野鳥をチェックするのが税関の仕組みではない。先ほど言った輸出国からの証明書がなければそのまま通る。相手国も輸出も販売も禁止をしている。我が国も輸入を禁止している。ところが、現実問題としてはこの水際のところで全部筒抜けだ。一九七二年、二十九年前から議論になっているのに実は前へ進んでいない。 今、政務官から大変前向きな御答弁をいただきました。しかし、検討するだけじゃ物はどんどん入ってくる、野鳥もどんどん入ってくる。じゃ、中国に証明書を出すように我が国から求めるようなことはできないんでしょうか。中国も禁止をしている、我々も禁止をしているんだから、中国に証明書を出してくださいというようなことはできないのか。 ましてや、回答待ちではなくて何らかの形の接触とか、それは汗をかこうと思えば幾らでもできるはずです。だって、中国が禁止したのが一九九九年十二月一日というから、もう二年たっているわけですよ。これはやっぱり不作為の責任があると言われてもしようがないでしょう、七二年からこういう答弁があるんだから。大臣いかがですか。 ○国務大臣(川口順子君) 話を聞いていまして、私、ちょっとこの点については具体的に自分自身の勉強はしておりませんけれども、今のやりとりを聞いていまして、恐らく七〇年代と今と事情が変わったという一番大きな点は中国側が輸出の禁止をしたということであろうかと思います。 それで、おっしゃるように一番多分この問題、何らかのエビデンスがないと通関のところでとめるということが非常に難しい。適法に輸入されているもの、あるいは適法に捕獲をされたものの輸入もとめなければいけなくなってしまうということになりまして、健全な商流に影響を与えるということになりますので、そういう意味では中国がエビデンスを出してくれるということが非常に重要だというふうに私も思います。細かいことは聞いていませんけれども、中国にそういうことをやる意図があるかどうか、やるように働きかけるということは重要なことだと思っております。 それから、もしそれが不可能であった場合にどういう方法があるかというのは考えてみなければいけませんけれども、まず中国が実質的に輸出禁止をしたことがどれぐらい平成十二年の数字になってあらわれているかということのチェックも必要だろうと思いますし、それが余りないようであれば問題はかなり小さくなっていると思いますし、その辺の検討をまずやることが大事かなと思っております。 ○福山哲郎君 現実には輸入証明書がついている野鳥が販売をされたりしているんですが、この輸入証明書というのは、発行はだれがして、どのような要件があれば輸入証明書は発行されるんですか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 民間の業界団体であります日本鳥獣商組合連合会が、業者からの申請に基づきまして、輸入をした鳥獣であるという証明書を出しておるというふうに承知しております。 ○福山哲郎君 その輸入証明書を出す要件は何ですか。民間が輸入証明書を出せるわけですから、輸入証明書を出すには何かの要件があって、これは適法に輸入をされたということがなければ輸入証明書を民間が出すことはできないと常識的には考えられるんですが、いかがですか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 民間団体での行為でございますので詳細は把握しておりませんが、業者が輸入に関する、輸入をしたときの各種証書書類を示して、事務局から輸入証明書と冠された書類を受け取っておるというふうに承知をいたしております。 ○福山哲郎君 詳細は把握しておりませんがとおっしゃいました、民間のやっていることで。さっき、実は中国から証明がついていないおかげで向こうでも違法に輸出をされて、こっちもひょっとすると輸入ができないものが入ってきていて、それが輸入証明書は民間で環境省が詳細チェックをしないでつくというのはどういうことなんでしょうか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 輸入証明書という言葉が国際当局の証明書のような言葉に似ておりますので混同があるかと思いますが、民間の鳥獣商の組合が発給しております輸入証明書の意味は、これは野生のものを捕獲したものではなくて輸入をしてきた鳥類でありますということを示す趣旨のものであるというふうに考えております。 したがいまして、その業界団体におきまして、輸入をした鳥獣であるということを輸入関係書類等におきまして確認をして、輸入をした鳥獣であるという証明を出しておるものだというふうに理解をしておるところでございます。 ○福山哲郎君 ということは、適法であろうが違法であろうがとにかく今言ったようにそういうエアポケットのような状況で入ってきたものでも輸入証明を、単に輸入をしてきたから野生ではないということで輸入証明がつくということなんですか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) これは業界団体の自主的な証明行為でございますので、御指摘のようなことであると思っております。 したがいまして、その証明書の有無によって国内で例えば野生の鳥獣を捕獲したものかどうかの取り締まりをするということであってはならないわけでございますので、環境省としては、その輸入証明書に全幅の信頼を置いて、あるいはその証明書で個体識別をして野生鳥獣を捕獲したものではないというふうに理解をすることはできないわけでございますので、基本的にはそういうことが見逃されてしまわないように、同じメジロならメジロ、ウグイスならウグイスにつきましても日本産とそれから外国産の識別方法をさらに研究するということで、そういう識別マニュアルも出しておりますので、業界団体の証明書によるということだけではなくて、現実の鳥獣を見て識別をできるというふうにこれから取り締まり等々の場で行い得る、そういう体制を整えているところでございます。 ○福山哲郎君 どうもよくわからないんですが、その輸入証明書が本当に野生かどうか、実態を把握しているかどうか信用できるとは限らないというふうに今言われましたよね。民間が証明書を発行することを認めていること自体が問題なんじゃないですか。 さっき数はどうだと聞いたときも、冒頭、実態かどうか定かではないですがこの数字ですと。今、輸入証明書も、いや、これが野生かどうか、野生じゃないのかどうかについては信頼性はどうかよくわかりませんが輸入証明書を発行していますと。それで、信頼性がないのに輸入証明書発行を許可していることも問題だし、実態も把握していないのに数に対して輸入を禁止しているということも問題だし、そんなずさんないいかげんなことでこの野鳥に対する行政責任が果たせるんですか。 大臣、いかがですか、今の答弁を聞かれて。いや、西野政務官でも結構でございますが。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 業界の自主的にやっておりますことにつきましてでございますけれども、この業界団体はいわばペットの団体でございます。ペットの行政と申しますのは従来は野生鳥獣の行政とは別になっておりまして、環境庁時代は環境庁時代の権限の中に入っていなかったわけでございますので、そういう点で野生鳥獣保護法で行っておりますことと、それからこの業界団体がペットの扱いの適正というような見地から行っておられることとの間が切れてしまっていたんだと思っております。 その点につきましては、今後、今のマニュアルをつくっていくこと、そのほか業界が実施しておりますことにつきましてさらに適切に指導していく、その他のことにつきましては検討の余地があるというふうに思っております。 ○福山哲郎君 そうしたら、今はペットに関しては所管は環境省に移っているんですか。移っているんですね。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 省庁再編によりまして動物愛護管理の行政も環境省が所管することになりました。ただし、私どももこの行政、初めて取り組ませていただくところでございますので、そういう両方の視野からこれから考えていかなきゃいけないことはあるというふうに考えております。 ○福山哲郎君 さっき前向きな御答弁をいただいた西野政務官、いかがですか、今の答弁を聞かれて。やっぱり早急にこれは対策を練ってもらわなきゃいけないと思うんですよ。 ○大臣政務官(西野あきら君) 恐らく、今局長が答えましたとおり、いわゆる所管が従来環境省でなかったと。ここらあたりにやや現実に起こっている問題に対する実態把握等が少しおくれているのかなというふうにも思います。したがって、今お示しのあった内容も省内でできるだけ速やかに、実態が現実に起こっておるわけですから、そういうものに対する対応方を明確にすべきだというふうに思いますので、しばしこの問題についてはむしろ時間をいただきたいなと、私はそのように思います。 ○福山哲郎君 風間副大臣も御答弁をいただければと思います。 ○副大臣(風間昶君) 議論のやりとりをお聞きいたしまして、何をどこから手をつければいいのかということだと思うんです、現実に入ってきていますから。日本の野鳥を守る観点だけでいいのか、大方入って、八割入ってきている中国から、中国の野鳥もこれまたもとに戻した方がいいのか、これは少なくとも行政がどの程度関与したらいいのかということにまでつながってくる問題だと思っています。 つまり、一個人が飼っていらっしゃる、あるいは飼いたいということについて、行政がどこまである意味では介入していくのかということにもつながっていく話だと思いますので、もうちょっと研究させていただきたいというふうに思います。 ○福山哲郎君 大臣、最後に決めの一言をいただきたいと思います。 ○国務大臣(川口順子君) 今、風間副大臣が述べましたように、非常に複雑な問題、確かに問題は問題だと思います。これをどうやって解決するかというと、非常に難しい問題だというふうに思います。 したがいまして、どういうところから手をつけたらいいかということも検討をこれからするべきだと思っておりますけれども、基本的には中国からの輸入問題、中国の野鳥を違法に輸入しているのか、違法に捕獲をした中国の野鳥を中国側が違法に輸出をして、こちらが違法に輸入をしていると。違法に輸入しているというか、輸入をせざるを得ない状況で輸入をしているという問題と、それから国内で日本の野鳥との混交問題という、二つの側面があると思います。 それで、例えば日本で鳥を売っているペットショップを規制できるかということになりますと、恐らく実態的にはこれはどこの鳥だかわからないということになりまして、個体識別あるいは種の識別ができない限りは非常に難しい。ですから、やる必要はあるであろうということですけれども、具体的に今実際にそれをビジネスにしている人たちの権利を侵さないで、今持っている法的なツール、あるいはマンパワーのツールでどこまでできる問題かという短期的な問題と、それから、より中長期的に枠組みを変えてどういうことが可能かということと、二つに分けて議論をしてみる必要があるかなというふうに感じております。 ○福山哲郎君 とにかく中国側に対する接触なり交渉なりは早急に始めていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。 北海道では、鉛を使用したライフル弾で殺害されたエゾシカをオオワシが食べて、鉛中毒で死ぬケースがふえています。環境省は、こういった鉛中毒でオオワシ等が死亡しているようなケースというのはどのぐらい年間件数として把握していますでしょうか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 北海道の調査によりまして、オオワシ、オジロワシにつきましてでございますが、平成九年度から十二年度の四年度間におきまして六十九羽の鉛中毒の死亡が確認されたと聞いております。このうち、平成十二年度では死亡収容数十四羽のうち十一羽が鉛中毒だったということは確認されております。 ○福山哲郎君 昨年の秋から北海道では鉛ライフル弾によるエゾシカ猟が禁止されているというふうに承っておりますが、それは事実ですね。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 北海道におきまして鉛ライフル弾による猟を禁止しております。 ○福山哲郎君 その後のオオワシの鉛中毒による死亡例というのは減っているんでしょうか、それとも変わらないんでしょうか、どちらでしょうか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 現在把握しておりますのは、十二年度の死亡数十四羽のうちの十一羽が鉛中毒であった、こういうことでございますが、そのワシがそういう中毒に至る経緯等々につきましては不明な点もございますので、この規制を行った後、それは効果をあらわすのかどうかということにつきましてはもう少し年をいただいて、そういう鉛中毒の発生事例の調査を重ねて把握する必要があるというふうに思っております。 ○福山哲郎君 現実問題として、鉛ライフル弾によるエゾシカ猟が禁止をされているのに違反をされてやられているというケースはあったのか、もしくはそういった状態を把握しているのか、それはいかがですか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) この措置につきましては十二年度の猟期から行いましたものでございますので、現在、その施行状況、それから違反の状況等につきまして把握すべく取りまとめを行っているところでございます。 ○福山哲郎君 その鉛ライフル弾によるエゾシカ猟の禁止ですか、使用禁止に対するハンターへの指導は具体的にどのようにやられていますでしょうか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 北海道におきましては、道の出先職員のパトロールはもちろんでございますが、それから鳥獣保護員というようなことで委嘱している方々がいらっしゃいまして、三百人ぐらいお願いしております。そういう方々にパトロールの際にハンターにチェックをしていただく。それも、弾頭のサンプルのようなものを、弾丸を比較すればすぐにわかるサンプルのようなものを持って現場でハンターの銃弾をチェックするということをやっております。 それから、もちろん猟友会に働きかけまして、猟友会では猟期前にそれぞれのところで研修をやっていただくということをやっているところでございます。 ○福山哲郎君 先ほど環境省が、どの程度の違反があるかとか、現実に鉛中毒による死亡例があるのかどうか調査をしているというふうにお答えをいただきましたが、現実にそれは環境省の調査として予算をとってきっちりやられているんでしょうか。それとも、都道府県、北海道なら北海道に委託をしているという表現がいいのかどうかわかりませんが、北海道にやっていただいているのでしょうか。それはいかがですか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) その禁止措置の主体が北海道でございますので、北海道庁において適切に把握していただき、報告を上げていただくという仕組みにしております。 ○福山哲郎君 今年度、オオワシ等の鉛中毒死調査の予算が北海道の予算にはないんですね。今、北海道にお願いしているとおっしゃいましたが、北海道の予算には入ってないんです。だれがそれじゃ調査をやっているんでしょうか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) オオワシの鉛中毒に対する規制でございますけれども、これはかねてから問題がございまして、北海道でも必要な調査を行いまして、その結果を踏まえまして十二年度の猟期からまず鉛ライフル弾の使用禁止をやりました。また、十三年度からは鉛弾の使用を全面的に北海道で禁止しよう、こういうことでございます。 そういうことで、分析でありますとかそうした調査の段階というのは済みまして、実際に規制に移したわけでございますので、平成十三年度におきましては通常の狩猟取り締まり、行政の中で鉛弾規制の実態、実施状況を把握するということで北海道が取り組んでおるところでございます。 ただ、その過程で、北海道におきましてなかなか解決できないとか、何か新しい問題が出てくるということでございますれば、北海道と協力して、環境省といたしましても必要な対応をしなきゃいけないというふうに考えております。 ○福山哲郎君 今の話もよくわかるようでわからないようで、何か調査をしているとさっきおっしゃられた。調査をしているなら、どこがやっているんだと言ったら、北海道に頼んでいると。北海道は予算をとっていないと言ったら、それはもう規制が出たのでほかの一般的なものと一緒にやっていると。それで本当にこの鉛中毒に関する調査結果、それから先ほど私が言いましたようにどの程度違反があるかとか、鉛ライフル弾のエゾシカ猟が禁止されてから本当に減っているかとかふえているかとか、北海道以外でも現実問題としてこういった実例があるかとかいうことは、一般的な今言われたような調査で本当に出てくるんですか。 これは問題ですよ。だって、調査していると言いながら、現実に北海道は調査予算とっていなくて、それは調査できないでしょう、普通に考えれば。局長、いかがですか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 御説明申し上げます。 北海道の予算のことでございますけれども、調査という内容には多分二種類のものがありまして、フィールドに出て傷病個体があったらそれを確保してきて分析をしたり、あるいはそれは外に出して、そういうために予算が要るという行政と、それから通常の行政の経費の中で職員が、北海道の場合ですと支庁ではございますが、そういうところと連絡をとって実際の実施状況を把握するといったような二通りがあると思います。恐らくは、その分析をしたりとかそういう部分が非常に予算の要る部分ではないかと思います。 その点につきましては、北海道におきましては十二年度までは予算をとって調査等を行ってきたわけでございまして、十三年につきましては先般の規制の実施状況を把握するということでございますので通常行政の中でやる、こういうことでございます。 それから、今、北海道以外の御指摘もございました。その点につきましては、やはり全体的に実際傷病鳥獣などにおきまして中毒があるんじゃないかというような指摘につきましては注意をしていますが、それだけではなくて、現実に傷病鳥獣で死亡した個体などを譲り受けて、実際鉛中毒にかかっているかどうか、鉛の濃度はどうかという測定もいたさなきゃならないわけでございまして、それにつきましては実は十一年度、十二年度、私どもでも調査をやっております。その結果につきましては今急ぎ取りまとめておるところでございますので、それが取りまとまった段階でその結果に基づきまして適切な措置をとりたいというふうに思っております。 ○福山哲郎君 今の私どもというのは環境省ということですか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 北海道以外の全体につきましての調査につきましては環境省でございます。 ○福山哲郎君 それはいつ調査結果が出るんでしょうか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 現在取りまとめを急いでおりますので、夏ごろまでには何とかまとめたいというふうに思っております。 ○福山哲郎君 北海道は鉛のライフル弾によるエゾシカ猟を禁止したと。それから、全国的にこういった動きというのは広がるようなこととか、環境省はこれについて全国的に広げるような思いはあるのか、その辺はいかがですか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 狩猟方法の規制でございますが、これにつきましては、やはり野生鳥獣の保護の現実的な問題との関係で、それぞれの必要な施策を講じる必要があると思っております。そういう面では、鉛のライフル弾、エゾシカ猟といったような現象につきましてはこれはかなり極めて北海道に特異な現象でございまして、エゾシカの狩猟が行われて、それが現場に放置されるといったようなことが大型の猛禽類に非常に大きな影響を与えているケースでございます。 したがいまして、北海道以外の地域におきましてはそういう形での危険性というのは比較的少ないものだと思っておりますけれども、ただ、この問題は十分関心を持つべき問題でございますので、先ほどのような調査をしていることが一点と、もう一点は、具体的には鳥獣保護事業計画の基準というのを私ども出しておりますけれども、その基準に基づきまして各県で鳥獣保護事業計画をつくっていただくわけでございますけれども、その中にはきちんと、北海道以外の地域でも大型の獣類などを狩猟した後、そのまま現場に放置するようなことはしないということによりまして、鉛中毒等々への懸念をできるだけ払拭するように指導する、そういうことを盛り込んでいただくようにお願いしているところでございます。 ○福山哲郎君 鉛中毒による猛禽類への被害といった事例は海外ではあるんでしょうか。 ○政府参考人(西尾哲茂君) 米国におきますハクトウワシなどの事例を把握しておるところでございます。 ○福山哲郎君 風間副大臣、北海道でいらっしゃいましたよね、ぜひこの件についてもまた積極的に、鉛中毒によるエゾシカ、猛禽類への被害の実態把握調査等を環境省、積極的にやっていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。 ○副大臣(風間昶君) おっしゃるとおりにしたいと思います。 ○福山哲郎君 前向きな御答弁、ありがとうございます。 実は、私の地元の京都の右京区嵐山でツキノワグマが出て射殺をされたということが起こりました。本当に民家に近いところなので、射殺がよかったかどうかという議論もありますし、催眠で捕獲をするべきだったのではないかという議論もいろいろ京都では出ています。また、京都の伏見区の大岩街道のところではダイオキシン被害というのが今出ておりまして大変問題になっておりまして、そこに京都の西田先生もいらっしゃいますが、その辺のことについてもきょうお伺いをしようと思ったのですが、全然時間が足りなくなりまして、また次の機会に譲りたいというふうに思います。 これで終わります。どうもありがとうございました。 |
○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。よろしくお願いを申し上げます。 |
○福山哲郎君 おはようございます。 |
○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。 |
○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。 |