2008 年 資 料

 

日付 国会 会議名 内容
2008/11/13 170 環境 地球温暖化問題(中期計画、太陽光補助金等)
2008/10/15 170 予算 冷凍インゲン、後期高齢者医療、金融危機、汚染米問題等
2008/9/18 169 農林水産 汚染米問題
2008/6/3 169 環境 地球温暖化対策推進法改正案(参考人質疑)
2008/5/27 169 環境 地球温暖化対策推進法改正案
2008/5/21 169 本会議 地球温暖化対策推進法改正案
2008/3/25 169 環境 地球温暖化問題(ポスト京都、G20等)
2008/3/19 169 予算 道路特定財源問題(事業費の膨張、大気質対策)
2008/2/13 169 行政監視 地球温暖化問題(国別総量目標等)
2008/2/5 169 予算 道路特定財源問題

 

第170国会  参議院  環境委員会 2008年11月13日(未定稿)

地球温暖化問題


○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。よろしくお願い申し上げます。
 まず冒頭、斉藤大臣におかれましては御就任おめでとうございます。是非積極的に環境行政を推進をいただくように心からお願いをしておきたいと思います。
 さきの予算委員会で私は環境には関係ないことを大臣に質問いたしまして、失礼をいたしました。今日は環境のことに特化をして質問したいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 今日、実は三十分しか時間がありません。たくさんのことをお伺いしたいと思いますので、早速入らせていただきたいと思います。
 一つは、大変残念なニュースが流れました。二〇〇七年度の我が国の温室効果ガスの排出量は前年度比二・三%増の十三億七千万トンになりました。これは、九〇年度比で八・七%の増になっておりまして、何と九〇年度以降最も多くなりました。
 一つは、原発の稼働率の低下や経済活動が活発だったこと等があって、政府としては誤算があったと思いますが、しかしながら、現実には京都議定書の第一約束期間にもう突入をしているわけです。その状況でのこの数字というのは非常に我々としては遺憾に思っておりますし、これまでの京都議定書が発効してからの政府の取組が不十分であったと言わざるを得ません。今後の国際交渉における我が国の交渉力のある種の低下も想定されますし、そのことについて大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 昨日、二〇〇七年度の二酸化炭素排出量、環境省が取りまとめたものを発表させていただきました。私も大変深刻に受け止めております。
 ただ、子細に見ますと、例えば運輸部門については低減をしてきておりまして、その傾向が見られます。また、いわゆる業務その他部門におきましても、いわゆる今回原発の停止によって原単位、電力の原単位の数字が上がりましたので、その数字を使えば今回業務その他部門も上がっているんですが、いわゆる普通の数字を使えば、これまでずっと増え続けてきた業務その他部門についても改善の傾向が見られるという、希望の光も少しございます。
 この達成目標に向けて毎年点検をすることにしておりますので、今年度末もしっかりと点検をして、強化すべきところがあれば強化をし、達成目標に向けて全力を挙げていきたいと思っております。
○福山哲郎君 環境省並びに環境大臣からは、そういう御答弁を私はもう毎度毎度いただいております。
 現実問題として、原発の稼働率が低下をして排出係数が変わったと。確かにそれなりにお気の毒な点はあったと思いますが、じゃ、いつまでそういうことに頼りながら温室効果ガスの減少に対してコミットしていくのかと。そのことについては、原発の例えば事故の問題や地震の問題も含めて多少不確実性があることはもう所与のものでございまして、根本的にその中で温室効果ガスをどう減らしていくのかというのは焦眉の課題で、そういうある種の言い訳は国際交渉上は通用しないはずです。
 他の国は、排出量取引制度の問題、さらには再生可能エネルギーの推進の問題を含め、環境税の導入も含め積極的に関与している中で、今温暖化の問題にコミットしているわけですが、そのことについて、大臣は就任したてですから、その過去の経緯について私は大臣を責める気は今のところありませんが、しかしながら将来的には、今の答弁の延長線上だと同じことがまた起こるのではないかというふうに私どもは判断せざるを得ないんですが、大臣、やはり就任して、大臣のいろんな私はこれまでの御所見も拝見をしておりますが、温暖化に対しては積極的にかかわりたいというふうにおっしゃっておられますので、どうか前向きな御答弁をいただけませんでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 御激励ありがとうございます。
 例えば、今回見直しをする、点検をする、そしてその点検の結果見直しをすると言いましたけれども、それだけではなく、今回太陽光発電世界一奪還計画を掲げまして、一昨日も新たな計画を発表させていただいたところでございます。また、この十月から排出権取引の試行を始めさせていただきました。このような、もっとほかにもございますけれども、一つ一つの施策を通じて、これまでの延長線上ではない温暖化対策強化を私も大臣として責任を持って進めていきたいと思っておりますので、どうか御指導のほどお願いしたいと思います。
○福山哲郎君 前向きな答弁をいただきましてありがとうございます。
 まあ、出た結果ですから、より効果のある対策を新たに講じていただくように心から希望します。
 アメリカではオバマ氏が新大統領に選出をされました。御案内のように、ブッシュ政権ができてすぐに京都議定書の離脱を発表されてから、温暖化の交渉、それから国際会議は大変混迷をしてきました。それはアメリカのある種の方針ですから仕方ないとして、オバマ大統領は、これまでの大統領選挙でも温暖化政策については積極的な発言を繰り返されています。
 これまで日本の政府は、京都議定書は批准をしましたが、ある種アメリカと他の国とのバランサー的な役割に終始をしてなかなか積極的な対応をできなかったというのも、我々から見るとそういうふうに見受けられる部分もあります。
 今回、オバマ大統領になりましてアメリカが変わっていくと、実はいつの間にか日本はアメリカに追い抜かれ、いつの間にかふと見たら最後尾を走っているというような、そういう国際的なリスクも背負ってきていると思いますが、この大統領が替わったことに対する日本側のスタンス等について、大臣からお答えをいただけますでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 一言で申し上げますと、非常に期待をして注視をしていきたい、そして新たな二〇一三年以降の枠組み、この枠組みについては、来年のCOP15で最終決定するわけですけれども、その中に、アメリカとともに協力しながら新たな枠組みをつくっていきたいと、このように思っております。
 オバマ次期大統領は、キャップ・アンド・トレードの導入、それから自然再生エネルギー、それから二〇五〇年八〇%削減、これが一番大きいですね、二〇五〇年八〇%削減ということは既に明言されております。そういう意味で我々の方向性と軌を一にするわけでございまして、協力をしながら新しい枠組みをつくっていきたいと思っております。
○福山哲郎君 大臣のお言葉ですが、我々の方向性と軌を一にするかどうかは、まだ日本政府の対応ははっきりいたしておりません。
 今キャップ・アンド・トレードの導入をオバマ大統領が目指しているという表現がありましたが、そのことについて日本の政府としては対応が決まっているわけではないと思いますし、大臣が積極的なことは私は大変評価をしたいと思いますし、是非導入に向けて力強い推進役を果たしていただきたいと思っておりますが、本当にアメリカが動き出して、EUと排出量取引制度で国際的なルールづくりで協調し出して、そこにカナダ、準備をしているオーストラリア等が加わってくると、本当に日本はいつの間にかまたグローバルルールを押し付けられる立場になりますから、もうここで何度も私は申し上げておりますが、日本は省エネ技術にしても自動車にしても間違いなくトップなんです。トップグループにいるわけです。そうすると、グローバルルールづくりに逆に日本は積極的に果たすことによって、二十一世紀の世界のマーケットに対する日本の経済的なある種の主導権が握れる可能性があると、私はもうずっと五、六年ここで言い続けておりますが、そのことについて、今回の自主的な排出量取引制度が、私は申し訳ありませんが、到底グローバルなスタンダードになるような形だとは思っておりませんので、そのことについては、大臣としてはしっかりと世界の状況をウオッチをしながら、政府の中でも力強く御発言をいただきたいと思います。
 その中で、実は、日本は政府としてAWGにCOP15に向けての新たな枠組みに対する提案を九月の三十日にされています。その中で、いろいろ細かいことを申し上げるときりがないんですが、一つは、要は国別総量目標について、日本の提言では、どうも排出総量自体にプラス最新の年を含む複数の年からの削減率という提言がなされていました。実際この排出総量自体というのは、一体何を基準に今政府は想定して提起をされたのか。それから、最新の年を含む複数の年からの削減率ということは、なぜまたこのようなことを提案されたのか。明確にお答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(寺田達志君) まず、排出総量の目標の方でございます。これにつきましては、セクターごとの削減量と申しますか、削減ポテンシャル、これを積み上げましたものに、さらに、例えば世界全体での排出量のピークアウト等の要素を考慮して設定をするという考えでございます。
 また、基準年のお話でございました。基準年は、ある一定期間における温室効果ガス排出量の推移を見るためには有用な制度でございますけれども、たった一つの排出量ということになりますと、その時点以前の削減努力が考慮されない等の問題があるところでございます。したがいまして、京都議定書の基準年となっております一九九〇年や最新の年など複数の年からの削減率を併せて示すことで、異なる期間における削減の推移を把握するということが可能になるものだと考えております。
○福山哲郎君 それは、政府のこれまでの見解を変えたということですか、寺田さん。鴨下大臣はこれまでずっと、セクター別アプローチは国別総量目標を代替しないと国会の場で我々に明言をされてこられました。そのことについては、政府の見解を変えたなら変えたと言っていただかなければいけませんし、それを、役所が勝手に変えて条約事務局に提出したとなったらこれは大問題ですから、そのことについては明快にお答えをいただきたいことと、今の答弁で斉藤大臣自身、公明党さんの見解も含めて、いいと思われているのか、お答えをいただけますか。
○政府参考人(寺田達志君) ただいまお尋ねがございましたセクター別アプローチと国別総量目標の件でございます。今回の提案では、各国が設定する国別総量目標の比較可能性を確保するためにセクターごとに削減量を積み上げる、そういったセクター別アプローチを活用するということでございます。すなわち、セクター別アプローチは、先進国の国別総量目標の比較可能性を担保するための手法として活用するわけでございまして、国別総量目標の設定を代替するものではございません。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 国別総量目標の設定を代替するものではないということでございまして、これは、さきの神戸におきます環境大臣会合でも議長サマリーに、セクター別アプローチが国別総量目標を設定するために用いられるもので、これを代替するものではないことを明確にしたというふうに明確にしておりまして、国の方針は変わっておりません。
 それから、福山委員の、先ほどの答弁で公明党出身の大臣としてはいいのかということでございますが、公明党としては、基準年について一九九〇年で常にこれまで物を言ってまいりました。その基本的な考え方は変わっておりませんが、しかしながら、最終的に来年のCOP15で次の枠組みをつくるときに、アメリカやインドや中国も加わりやすい、加わりやすいというか加えなきゃいけないんですが、そのためには、今この基準年について明確にしておくことがいいのかどうかという議論もございまして、先ほど地球環境局長が答弁申し上げたとおり、いろいろな立場の国の人が入りやすいような形で議論をするということも一つの方法ではないかということで、今のような地球環境局長の答弁になったわけでございます。
 御理解いただきたいと思います。
○福山哲郎君 大臣のお立場は理解をいたしました。
 実は、政府がついこの間ですが、中期目標検討委員会というのを設置されました。来年のしかるべき時期に設定をするということなんですが、大変実は個人的なことで恐縮ですが、私は遺憾に思っています。
 昨年のちょうど十月に福田総理と当時の鴨下環境大臣は国会のテレビ入りの答弁で、昨年中にです、要は今年ではありません、昨年中の年内に中期目標と長期目標を設定すると実は私に答弁をいただきました。それが、一年たって今、中期目標検討委員会をつくったと。一年たってですよ。昨年の十二月の末までに出すと当時の総理と大臣がおっしゃったのに、一年たってやっと委員会をつくりましたというのは私としては非常に遺憾に思っておりまして、検討委員会をつくられたことに関しては、つくればいいと思いますが、一体いつこれを設定をして、国のポジションを発表されるおつもりなのか。
 それから、去年、福田総理と鴨下大臣が言われた答弁についてはどのように考えておられるのか、明快にお答えをいただけますか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) まず、長期目標、二〇五〇年、六〇ないし八〇%削減ということについては、昨年六月の福田ビジョンで明確にし、七月の低炭素社会づくり行動計画の中で閣議決定をさせていただきました。
 それで、今の御質問は、じゃ中期計画はどうなのだということかと思いますけれども、この中期計画につきましては、できるだけ早く設定をしなければいけないと私自身思っておりますが、いろいろな国内に意見がある。また、長期目標については技術革新という部分があって、その技術革新というところはある意味でブラックボックス的な感じで長期的な目標ができるわけですが、中期目標については、ある程度現実的な技術的な積み上げで持っていかなくてはいけないということもこれあり、いろいろな議論がございます。そういう議論をオープンな場で情報を提供しながら議論をする。
 しかし、最終的には検討委員会は選択肢を提示するということで、最終的には政府が責任を持ってこれを決めたいと思っております。来年のしかるべきときに決めたいと思っておりますので、この点、御理解をいただければと思います。
○福山哲郎君 これまた実は斉藤大臣の所属されている公明党さんは中期目標の設定は強く主張されていますので、まあいつまで言っても、これのれんに腕押しなので私もあれなんですが、言ってもせんないなと思っておるんですが、これはやっぱり中期目標は必要です。
 一つだけ確認をしておきます。
 バリ・ロードマップで、オールドAWGの中でのIPCCの先進国の削減の必要幅は二五から四〇%という表現があります。これを日本は合意をしています。当然、日本が設定する中期目標は、この先進国の二五から四〇%の削減の内数に入ると。それをちゃんと視野に入れて、内数の中でまとめるという御意向があるのかどうかだけはお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) IPCC、科学者がまとめた報告、これを根拠に政策決定はなされるべきだというふうに私自身、また公明党も申し上げてまいりました。
 だからこそ、今回の麻生政権の自民、公明連立政権合意の中に、この中期目標につきましては、科学的知見に立脚して中期目標を策定するという旨が盛り込まれたわけでございます。
 検討委員会におかれましても、この政権合意ということが当然ベースにあると思いますし、先ほど申し上げましたように、検討委員会が決めるわけではありません。検討委員会は選択肢を示すということでございますので、当然この選択肢の中にこの科学的知見というものも幅の中に入っている、このように認識しております。
○福山哲郎君 今、微妙に斉藤大臣はうまい答弁をされたと私は思っているんですが、要は検討委員会の出てくる数字は確かに選択肢を提示をするとしても、その中で政治的に決める範囲は、このオールドAWGで日本が合意をしている二五から四〇の幅が視野に入っているか。当然、その幅の中に入ると判断をしてよろしいですね。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 検討委員会がどのような選択肢を提示するかということは、今の段階で私の方から前提を言わない方がいいかとも思いますが、当然、これまでの議論で、また科学者、IPCCが報告していること、また政権合意にあることを考慮に入れた選択肢が提示されると、このように思っております。
○福山哲郎君 ですから、選択肢が提示をされた後、政治的な決着もそこの幅だというふうに思っていいですね。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) その点につきましては、私自身の考えはございますけれども、政府の中で今後しっかりと議論をし、根拠のある、世界に説得力のある決定をしていきたいと思っております。
○福山哲郎君 そこの、私自身のお考えは、大臣、大臣の意思としてお伝えをいただきたいんですよ。そうでないと政府内でどういう議論がされるか見えないから、国民からは。その決定がどうなるかは、政府内の調整があるのは私も理解をします。しかし、現職の環境大臣がどういう意思で今立ち位置をいらっしゃるのかということについては、ここで言及をしていただく分は、最初の所信に対する御答弁ですから、是非そこは遠慮なさらずに思い切って御発言をいただきたいと思います。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) この問題については、環境省だけで決定できる問題ではなく、四大臣会合、官邸で決定することでございます。
 その中で私が申し上げている内容につきましては、これまでいろいろな場面で私、申し上げてきた。参議院の予算委員会では福山先生に質問していただけるかなと思って期待していたんですが、そこまで至らなかったんですが、衆議院の予算委員会では岡田委員から質問がございまして、その趣旨を私、申し述べたところでございまして、そういう考え方で頑張っていきたい。つまり、この自民党・公明党連立政権合意にありますように、科学的知見に立脚して中期目標を策定する、その科学的知見というのは、科学者の集まりが九五%以上の確率で確からしいといったその知見でございます。
○福山哲郎君 大変、言える範囲でおっしゃっていただいたと思いますので、そこは私も評価をさせていただきたいので、是非頑張っていただければと思います。
 もう時間があと十分になりました。駆け足でいきます。
 先月成立した本年度補正予算に、住宅用の太陽光発電に対する補助金が導入をされました。これは、二〇〇五年に打ち切られてドイツでマーケットシェアをどんどんどんどん奪われた結果、もう一度復活をしました。また、経産省は、御案内のように、十倍の住宅に対する住宅の太陽光発電設備を入れるということを表明をされました。このことは私は大変評価をします。
 しかしながら、何と新築でも既築でも平均価格として七十万円の上限金額を設定して、それ以上、上の金額は排除されています、補助金の対象金額として。実は、新築と既築で平均単価が違います。新築は平均単価五十七万円、既築は平均単価七十四万円です。日本の新築と既築の太陽光パネルの設置は、新築はわずか二〇%のシェア、既築が八〇%のシェアです。その既築の八〇%のシェアの平均価格が七十四万円なのに、七十万円に設定をしています。このことの根拠をお示しください。
○政府参考人(羽藤秀雄君) まず、補助金のこの対象について七十万円ということで上限を設けさせたことでございますけれども、これは昨年の実際に導入をされました太陽光発電システムの平均価格について、財団法人新エネルギー財団の調査に基づいてこれを設定をしたものでございます。
 それから、既築と新築との関係においても一律に設定をすることについていかんというお尋ねでございますけれども、この点につきましては、仮に既築と新築で別個の補助要件を設置をいたしますと、例えば故意に太陽光発電システムの設置時期を遅らせるといったようなことによって不正受給をするといった事態も生じるおそれがあるので、こうしたこともありまして、今回の補助要件につきましては一律の基準としてキロワット当たりの七十万円ということを設定をした次第でございます。
○福山哲郎君 実はお手元にお配りしたペーパーは各メーカーの単位でございますが、これ実は工事費と附属機器が込みでございます。これ、例えば雪国だとかへき地だとか三階建てだとか、そういった状況によって工賃が変わります。もっと言えば、そこの地域の人件費も差異がもちろんございます。
 これを見ると、七十万円というのは合理的なように見えるんですが、C社とかD社とかB社のぎりぎりのところでいうと、実はどうしても導入をしてほしいメーカーとか工務店からしたら、人件費削ってもとにかくやれというようなことがやられる可能性がある。逆に言うと、工事がちゃんとできるかどうかについても微妙な判断が出てきます。今言われたみたいに、不正が新築と既築でという話がありましたが、それ以上にもっと、実は七十万円で切ることによっていろんなひずみが出てきます。B社、変換効率一七%、これ変換効率一番高いところです。これが七十四万円になるんです。これ、変換効率が高いというのはそれだけ性能がいいわけですから、投資も掛かっているわけです。それで値段が高くなるのは、今のマーケットからいうと当たり前の話なんです。
 経産省も来年度の概算要求の中に、太陽光パネルの変換効率を上げるためだということで、予算を百億円以上入れようとしています。つまり、変換効率を上げることというのは、これからの太陽光パネルのマーケットを拡大をしていったり世界的にも勝っていくこと、更に言えばこれからの省エネ、さらには再生可能エネルギーを普及するために絶対に必要なことなんです。ところが、これですと、一番変換効率のいいところから補助が外れるんです。全く、実は経産省のやっていることはあなたたちが目指していることと矛盾をしたことをやろうとしている。ましてや、地域的な偏在みたいなものに対しての考慮もしようとしていない。更に言えば、これによって、人件費だけを無理やり、地方の例えば工務店の人件費みたいなものを下げて導入をするようなことで、工事自身がひょっとすると、これは僕はこういうことは言いたくありませんが、非常に手抜きの工事が行われるようなリスクも出てくる。
 なぜこのような金額を設定する必要があるのか。ましてや、一家庭三・三キロワットとしたときに、これ補助金額は二百万ぐらいの全体に対して二十万ぐらいです。そのことに対してこういう上限を掛ける合理的な根拠があるのかどうか、明快に経産省、説明していただけますか。
○政府参考人(羽藤秀雄君) そもそも今回、本年七月に閣議決定をされました低炭素社会づくり行動計画におきまして、三年から五年後に太陽光発電システムの価格を現在の半額程度に低減することを目指すということがこれは閣議で決定されておりますので、そういう意味では、まず広く一般国民が入手をしやすいような形で価格の低下を促す。そして、確かに御指摘のとおり、我が国の代表的な太陽電池メーカーを始めとして、供給するサイドの企業には多大な御尽力をお願いすることになりますけれども、マーケットメカニズムあるいは量産効果ということで価格の低下をお願いをするということをそもそも今回の補助金ではねらっておりまして、そういう意味で上限の価格を設定をさせていただいております。
 効率のいいものにつきましても、そこも含めて統一的な基準を設けておるということでもございますけれども、これは限られた予算の中で効率的に普及を進めさせていただくという観点からも、補助の対象となる設備についてある程度広く、一般国民が入手しやすい層を中心に考え、そういう観点からこの上限の価格を設定をさせていただいたというものであります。
 なお、工事の点でございますけれども、これ施工費も含めたシステム全体の価格を引き下げるということで、確かに塩害あるいは雪害、いろいろな地域によっての差があるというのは御指摘のとおりだと思います。一方で、制度の安定的な運用ということにつきましては、全国一律の客観的な要件を設定する必要もあるというふうに考えた次第でもございます。
 いずれにしましても、御指摘のあった事項を含めまして、円滑かつ公平な制度運用を行うべく努めてまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 価格をもし低下させることが目的で、国民に広く普及するんだったら、補助率を上げればいいだけの話です。現実の問題として、メーカーの価格を下げることを政府が誘導するなんというのは傲慢以外の何物でもありません。この国はいつから価格統制をする国になったんですか。例えば、液晶テレビ、プラズマテレビ、いろんなテレビやメーカーがある、それぞれのメーカーの価格を政府が下げろと言って何かの設定をするみたいなことなんて、現状あり得るわけないでしょう。
 現実の問題として、今まさにお認めになったように、へき地や雪国や、それから人件費の高い安いも含めて、この七十万が本当に合理的かどうかです。
 もっと言うと、これで安くすればするほど、海外の太陽光パネルの値段は日本よりも高いです、そうすると、日本の国内メーカーは、日本の国内で売るよりも海外へどんどん出ていきます。日本の今のマーケットのシェアなんというのは、世界で言うと二〇パーぐらいしかありません。国外で売った方がよっぽどもうかると。そうすると、本当に日本に太陽光パネルが普及をして技術開発が促進されるんでしょうか。なぜ、せっかく補助金をスタートしたのに、このような七十万円という中途半端な上限で切って補助金をするんでしょうか。価格を下げる、その前にマーケットを広げることがまず重要なんじゃないでしょうか。私は非常にそのことを残念に思います。
 ただし、この補助金制度について私は悪いと言っているのではないので、そこは是非、今のいろんな地域の格差、それから人件費の違い、それからエネルギー効率の高いところがマーケットシェアが拡大できないような、そんな逆行するようなことはやめていただきたい。是非、この制度を運用するときに弾力的に今の欠点を修正をしてスタートできるように、是非、強く強く要請をして、もう時間になりました、まだ言いたいこといっぱいあったんですが、私の質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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第170国会  参議院  予算委員会 2008年10月15日

冷凍インゲン、後期高齢者医療制度、金融危機、汚染米問題


○福山哲郎君 おはようございます。福山哲郎でございます。質疑をさせていただきますので、閣僚の皆さん、よろしくお願い申し上げます。
 総理にお伺いしたいことがあったんですけれども、最初、冒頭、昨夜ニュースが飛び込んできまして、中国産冷凍インゲンから残留農薬基準の三万四千五百倍の有機燐系殺虫剤ジクロルボス、言いにくいんですが、が検出をされて、実際、八王子市内の五十歳代の女性が一晩入院をされたという状況が起こっています。
 国民の皆さんも非常に不安だと思っておりますので、まず冒頭でございますが、舛添厚生労働大臣にこのことに対して、現状どういう状況なのか、それから対応策をどのように考えているのか、それから国民の皆さんに何か呼びかけがあれば、それは厚労大臣からお答えいただけますか。
○国務大臣(舛添要一君) この中国産の冷凍インゲンからの農薬の検出の件でございますけれども、十月十二日に、町田市内の病院から、診療に来た患者さんが毒物混入の疑いがある苦情品を持ってこられたということで八王子保健所に連絡がございました。そして、これは東京都、昨日鑑定して、午後十時、有機燐系農薬であるジクロルボスが最大六九〇〇ppm検出されたということでございます。
 まず、国民の皆さん方に対して、この冷凍インゲン、中国産の冷凍食品ですけれども、御家庭の冷凍庫なんかにこれがもしある場合は口にしないでいただきたいということをまずお願いを申し上げたいと思います。
 それから、関係自治体を通じまして、輸入者及び販売者に対して原因が判明するまで当該製品の販売を見合わせるよう指示しております。これはイトーヨーカ堂及びその系列のスーパーでしか取り扱ってないということで、既にすべての販売を中止していただいております。
 それから、各地方自治体に対しましては、同様の事案が発生した場合に直ちに報告するように指示を出したところでございます。それから、検疫所におきましては、この製品の製造者からの食品の輸入手続を保留せよという指示を出したところであります。
 我が国の食品は、実は委員、カロリーベースで六割は輸入食品に頼っております。そういう意味では、非常に貴重な私たちのカロリー源であります。しかし、こういう問題が起こってはなりませんので、今検疫所における人員の増加を図るとともに、先般から厚生労働省の職員を一人北京の大使館に常駐させてこの件についての対応を当たらせております。
 そういうことも含めまして、二国間協議を含め今後とも徹底していきたいと思いますけれども、繰り返しますが、国民の皆様はこの冷凍食品、インゲン、同じものが冷凍庫に残っている場合には是非口にしないでおいていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○福山哲郎君 ありがとうございます。速やかな対応をお願いします。中国ギョーザの問題がまだ記憶に新しい状況で同じような事態が起こったということは政府としても重く受け止めていただきたいと思いますし、食の安全は後で質問の中でさせていただきますので、次に移りたいと思います。
 総理、就任おめでとうございます。
 個人的なことで申し上げると、私は総理に当選してから実はある種のあこがれを抱いておりまして、一度、当選して二年目か三年目なんですがお食事を、もう総理は御記憶ないと思いますが、お食事を一緒にさせていただいたこともあって、大変御指導をいただいて、それは与野党関係なく私は大変有り難かったと思っています。
 何で私は麻生総理に何となくあこがれを抱いていたのかと考えると、総理、この本御存じですか。これは「宰相 吉田茂」という高坂正堯さんの書かれた本でございまして、これ私大学院時代に読んで、今もこれずっと線が引いてあるんです。
 で、線が引いてありまして、これ非常にいろんないい文章が書いてあるんですけれども、正直申し上げると、どんなことが書いてあるかといいますと、吉田茂総理に対して高坂先生は、彼が戦後日本における最も傑出した政治家であり、世界的な評価を受けた数少ない日本の一人であることは変わらないと、彼が要は戦前戦後通じて変わらなかったと、彼は同じやり方で難しい状況に対処していったというふうに書かれているんです。実は辛口の高坂先生がこれだけ評価をされることは珍しくて、私の中ではこの名著が恐らく麻生議員の、当時はですね、麻生代議士の何となくイメージにぶつかったと思うんですが、その中に非常に重要なことが書いてあります。彼は、複雑な政治情勢においては、小さな陰謀よりも強硬な正面攻撃が有効だという信念を持って行動したと書いてあります。
 私は、このことに実は線が引いてあったんですけど、済みません、大変失礼なことを申し上げます。総理のこの文芸春秋の論文は、だれが見ても解散をすることを前提に書かれています。あの官房長官の代わりに閣僚を発表されたこともそうですし、この論文の話もそうですし、所信表明で我が党に対する中傷誹謗を繰り返されて所信を余り具体的に述べられなかったことも含めて、私は、申し訳ありませんけど、ちょっと小さな陰謀に走り過ぎているのではないかと非常に残念に思っておりまして、是非、戦後日本をつくってこられた大自民党の総裁の吉田茂元総理のお孫さんとして、もう少し大きな大局的な観点で国民に接していただきたいと思うんですが、いかがでございますでしょうか。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 高坂正堯という人のその本は、私も昔読んだことがあります。大体、吉田茂なんていうのはろくな評価がありませんでしたから、当時は、そういう時代です。あのころ世論調査があったら多分数%だったろうと、私はそれぐらい、当時はそういった環境で私も育ちましたんで、そういうものだと、あの当時は世論調査って見たことありませんでしたんで知りませんでしたが、多分そうだろうと思っております。そういった時代を経て、突如と評価が高くなり始めるのは亡くなってからだと記憶しておりますが、その高坂さんの本もそういった意味で最初に吉田茂を褒めた本だと思ったんで、記憶があるところであります。
 そういったところの中にあって、是非、福山先生の今の御指摘ですが、正面攻撃が有効であるということに関しましては私も同じ思いですが、御指摘の点につきましては、自ら決めた閣僚というのは自ら発表するというのが当たり前なんだと思っておりまして、昔の何となく内閣書記官長と言われた時代の名残が残っているのがずっと続いただけのことだと思っておりまして、官房長官が代行する方が変だと昔から思っておりましたので、やらしていただきました。
 それから、雑誌で私の主張を述べることは、広く国民に私の考え方を知っていただければというところで私の考え方を申し述べただけで、良いことだったと思っております。
 あの所信表明の演説で民主党を誹謗中傷したというよりは、与野党の違いを明確にしたというように考えていただいた方が正確だと、私はそう思っております。
 それから、結果として、例えば補正予算につきましても民主党にも御理解いただけると昨日直嶋先生からお話がありましたので、早期に賛成していただけることになったということだと思っておりまして、良かったと思っております。
 いずれにしても、国民の前で堂々と主張をしていくということなんだろうと思いますので、分かりやすい政治というのを今後とも目指したいと思っております。
○福山哲郎君 これが総理の論文です。(資料提示)国会の冒頭、堂々と我が自民党の政策を小沢代表にぶつけ、その賛否をただした上で国民に信を問おうと思うと。余り国民の前には明らかになっておりませんが、中には、その次の後には、発射台としてまず国民の審判を仰ぐのが最初の使命だと思うと書いてあります。
 それで、総理、この論文を書かれたのは一体いつなんですか。昨日、直嶋政調会長の質問には二十二か二十三と言われた後、その後は総裁選の前かもしれないというふうに若干ぶれておられるんですが、明確にしていただけますか。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 前々から書こうと思っておりましたので、いろいろなところを、これは正直随分前から書いたものもありますが、総裁になるのが確実でもないうちに書くのはいかがなものかというのがありましたので、最終的に筆を入れてきちんと仕上げたのが、あれが二十二日か二十三日、大体その辺だったと。そちらが二十一日でしたっけ、あれは。
○福山哲郎君 二十一日。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 二十一日ね。だから、あの二十一が終わった後ですから、二十一、二、三、どこかその三日間ぐらいの間が基本的なところを書き上げた最後のところだと思っております。
 前々からぶれたというのは、前々からこういったのを書こうと思っておったので、いろいろ書き出しておりました分をずっとまとめたのが二十一、二、三、どこかそれくらいだったと記憶します。
○福山哲郎君 要は、総裁選の投票の前にもう書き出されていたということなんですが、この中に面白いことが書いてあるんですね。福田総理が辞められるときに、首相官邸の執務室に呼び込まれ、細かく政治日程が書き込まれたスケジュール表を見せられ、この日程で総裁選を断行してほしいと言い渡されたとき、私はとても慰留などできない、恐らく首相は自分を犠牲にして自民党が総選挙に勝利する千載一遇の道を用意されたのだと理解したと書いてあります。
 この福田総理の予定されたスケジュール表には解散の日程、選挙の日程まで書かれていたんですか。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 基本的に、正確な記憶ではありませんけれども、九月の一日でしたかね、お招きをいただいて官邸に行ったときには既に細かい紙が書いてありましたけれども、少なくともその中で、いわゆる国連総会というのは三年連続日本からだれも参加しないというのはいかがなものかという点があったので、それまでにはきちんとしてもらわなければならぬというお話があっておりましたので、総裁選の日程につきましてはそれまでにという指示が書いてあったと思います。
 しかし、衆議院の総選挙に関する話に関しましては何も書いてなかったと記憶いたします。
○福山哲郎君 まあ昨日辺りからにわかに月末解散を視野という新聞報道が出だしていますから、余り変化がなく、結局この論文に近い状況で解散が行われるのかもしれないという情勢が出てきておりますけれども、現実の問題として申し上げれば、総理はこの文章の中で今次総選挙という言葉を実は六回も使われています。今次というのは今の次と書きます。で、冒頭に決断したと書いてあって、今次総選挙、今次総選挙、今次総選挙と書いてあるんですね。これはだれが見たって、これは選挙を想定して書かれた、十月の十日には解散になって選挙を準備しているという状況で書かれたと思われるんですが、解散は実際想定をされておられて書いたんですよね、総理。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 総理大臣になります前は、皆さんそういった日程をあらかじめすべて決めてあるものだと、私もそういう気がないわけではありませんでした。
 ただ、自分でなってみて、やっぱり解散の日時というものは日々刻々変わっても当たり前のことであって、状況に合わして変化していくのが当然、私は基本的にそう思っておりますので、状況に合わしていろいろなことを考えねばならぬと思っておりますのが一点。
 もう一点は、やっぱり今回の景気対策というものは、これは先生、ちょっと正直、先生は京都ですか、出身。京都はちょっとよく知りませんけれども、やっぱり地方はちょっと正直深刻だと思いますよ。私は、正直、九州といってもかなり過疎地の方の九州の、福岡でも大分違いますんで、そういった地方を回ると極めて状況は深刻。景気対策というものが物すごく大きいと思いましたんで、景気対策というものは優先されてしかるべきだということを申し上げているんであって、私はそういったものを勘案した上でやらないと、国民には今解散よりは景気対策を望んでおられるというように理解をいたしております。
○福山哲郎君 私は京都ですが、京都も景気は、経済はよくありません。特に北部、南部、地方は本当に悪い状況になっています。都市部の中でも商店街を含めて非常に厳しい状況になっています。
 ただ、我々は、だから補正予算には基本的に衆議院の方で賛成をしました。参議院は今議論していますから私は述べませんが、それでその後、景気だ景気だと総理が言われると。二次補正だという言葉も政府から聞かれてきます。じゃ、二次補正は一体いつやられるおつもりなのか、お答えをいただけますか。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 二次補正という言葉を私から申し上げたのは、私からは新しい経済対策、景気対策が要るということを申し上げているんであって、二次補正という言葉は、私は妙に混同されると思いますんで、あえて使ってこなかったと記憶します。なぜ使ってこなかったといえば、私は、今回のこの景気の悪さから、法人税収、所得税収また消費税収等々は軒並み落ちると思っております。したがいまして、減額補正をせざるを得なくなるほど私は厳しいものになるだろうと、私自身はそう思っておりますんで、それの補正とこの景気対策と混同されるといかがなものかという気がすごくありましたので、二次補正という言葉はあえて避けて、分けて考えてしゃべってきたつもりであります。
○福山哲郎君 それでは、総理の言われる景気対策は一体いつ、どのような規模で出されるおつもりですか。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 十月の七日の日に政府・与党の政策責任者を呼んで、与党として景気対策というものをやらないと、これは今政調でどう考えているか知りませんが、あなたたちが思っているより厳しいと、おれはそう思っているから、これは必ず対策は考えておいてもらわないと困りますよという話、アイデアを出してくださいと。総理大臣をやっているとそういったアイデアが全部どんどんどんどん出てくるわけじゃありませんので、物理的なものから言ったって、それはそちらの方が詳しいはずなんだから、調べて、しっかり景気対策を検討するようにという指示はしました。
 それがいつ出てくるかは、ちょっと今まだ補正をやっている真っ最中に二次補正なんという話をするような状態じゃないんであって、私はまずこの一次補正をきちんと上げた上でないと、そういった二次補正の話をするのはいかがなものかという感じはしましたが、検討はしておく必要はあるだろうと思いましたんで、政府・与党に申し上げたんであって、閣内でまだこの話を指示をしたことはございません。
○福山哲郎君 言葉じりをつかまえるわけではありませんが、総理が二次補正は使われないと言うから、私は景気対策、経済対策はいつされるかと言ったら、今二次補正と言われたので、混同しているので若干訂正していただけますか。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) ありがとうございました。今の申し上げているのは景気対策の話であります。
○福山哲郎君 景気対策。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 景気対策。
○福山哲郎君 そうすると、いつ政府・与党内では、まあ与党なのかもしれませんが、まとめられるおつもりですか。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) この補正が、一次補正が上がりました後に政府に対して、閣僚に対して言おうと思っておりますんで、その以後政府・与党と一体になって考えるということがなりますんで、十四、十五、十六ですか、十七日以降、十七日以降検討を開始させるということになろうと存じます、政府・与党としては。
○福山哲郎君 そこには定額減税は盛り込まれる予定ですか。
○国務大臣(与謝野馨君) 定額減税はもう既に盛り込まれておりまして、具体化は今後の課題だということで、定額減税は既に政府・与党合意済みのことでございます。
○福山哲郎君 合意は了解をしておりますが、その定額減税を盛り込まれた経済対策、景気対策はいつ提出されるのかとお伺いをしています。
○委員長(溝手顕正君) ちょっともう一度。
○福山哲郎君 いや、その盛り込まれているのは分かりますが、今回の補正予算案には入っておりませんから、総理の言われている景気対策の中に盛り込まれるんだとしたら、その定額減税はいつ、どのぐらい、いつ盛り込まれるんですかと。
○国務大臣(与謝野馨君) 平成二十年度中に実施できるような方法でいずれかの補正に盛り込まれるはずでございます。
○福山哲郎君 与謝野大臣は私は大変良識的な政治家だと思っておりまして、まさにそのとおりで、税調での税制改革が端緒に就いたと昨日おっしゃいました。端緒に就いた時点で定額減税を盛り込むと。だから、平成二十年度中だということは、現実には税制改正は年末に行われますから、この臨時国会にはその定額減税を盛り込まれた景気対策、経済対策は出てこないということですね、与謝野大臣。
○国務大臣(与謝野馨君) 会期末までそういう議論がまとまって国会にお願いできる時間的な余裕は多分ないんだろうと思っています。
○福山哲郎君 大変重たい議論でしたね、今のお話は。今国会中には間に合わない。総理はそれでよろしいんですね。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 正式には決めたわけではありませんけれども、今、与謝野大臣からの答弁がありましたように、物理的に国会の日程上、また税調等々の論議を見た上でないといかがなものかと思いますが、約束どおり年度内に実施したいとは思っております。それは正直なところです。ただ、これが今国会中に間に合うか否かと言われると、今、与謝野大臣の答弁されたとおりであります。
○福山哲郎君 お伺いをしますが、そうすると、検討は今年度中に出されるということだから今臨時国会のところでは明らかにされるかどうか分かりませんが、その定額減税、昨日もお伺いを直嶋政調会長がされましたが、財源規模はどのぐらいのおつもりか、今のところで結構ですのでお示しをいただけますか。
○国務大臣(与謝野馨君) そこが肝心なところでございまして、多ければ多いほどいいという方もありますし、やはり財源をちゃんと考えながら節度を持ってやれという意見もあります。したがいまして、政府・与党の合意文書には、単年度の措置としてやる、財源を勘案しつつやる、その規模、方法等については税制の抜本改革の議論に合わせて決めるということと書いてありますので、これからのまさに議論、財源はどこから持ってくるかというのはなかなか工夫も要るし、苦しいところだろうと思っております。
○福山哲郎君 斉藤大臣、公明党の幹部の方々が定額減税の規模は二兆円超だという見解をあちこちでお示しをされておられます。斉藤大臣としてはどのような、今のお二方の答弁を聞かれてどのような見解をお示しをいただけますでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 定額減税の財源規模については、今政府の中でしっかり議論をしている、政府・与党で検討していきたいと、このように、そういう状況でございます。
 八月の政府・与党合意、総合経済対策でポイントは、定額減税にするというところがポイントだったのではないかと思います。昨日も直嶋政調会長が定率減税の方がいいのではないかというふうなお話もございましたが、定率減税というのは税金をたくさん払った人にたくさん返すというものでございます。定額減税は中所得者、低所得者に厚い減税となりまして、消費に回る可能性も高い。したがって、消費を下支えし、景気を下支えするという経済効果もあるということでございまして、その規模について定額減税ということに決まった。その規模については、現在、与謝野大臣から話がありましたように、その財源について今検討しているというところでございますので、御了解をいただきたいと思います。
○福山哲郎君 そうすると、公明党の政調会長や公明党の代表が二兆円超と言われていることについてはまだ政府内では検討の段階ではっきりしていないということでよろしいですね。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今、与党と政府の間で議論をしているところで、それも一つの御意見という位置付けではないかと思います。
○福山哲郎君 総理にお伺いしたいんですが、実は定額減税の規模は明らかになっていない。それから、これ与党合意でいうと、例の二分の一年金の国庫負担の問題についてはちゃんと入れると書いてあります。それから、例の高速道路の減額の話も出てきています。相当財源規模が大きくなるというふうに思っているんですが、総理、どのように今お考えですか。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 基本的には今の急激な不況感というものに対応して景気の気分の、景気の気の部分というのは極めて大きいと思っております。したがって、おっというようなものが望ましいとは思っておりますが、それに合わせる財源というものも併せて勘案しないとなかなかできませんので、そこらのところが一番頭の痛いところ、正直な、正直なところです。
 したがって、今財源規模がどれくらい、どれくらいのものになっているかというのが、今これくらいのものになるというのがきちんと決まっているわけでは今の段階ではございません。
○福山哲郎君 総理が言われた、法人税収が落ちるかもしれないからそこは赤字国債の可能性があるというのは、一つの私は識見だと思います。しかし、お金には色が付いておりませんので、法人税収を埋めるために赤字国債を発行すると言いながら、結果としてそれが今申し上げたような財源の要るものに回る可能性というのは十分あり得るわけで、その法人税収を埋めるといっても、結果赤字国債をどのぐらい発行するかによってこれは財政規律の問題が非常に重要な観点なんですが、そこは与謝野大臣はどのようにお考えですか。
○国務大臣(与謝野馨君) 新たな金融危機に端を発しました今の世界の経済、日本の経済の将来、こう考えますと、政策手段としては幾つかあるわけです。一つは財政の出動、一つは金融政策、税制、規制緩和等々ございますが、やはり最後は予算という形になる、経済対策であっても、やはり財源のことを考えるときには一定のきちんとした財政規律を持って臨むというのは、これは与野党を通じて恐らく今の国会では貫かれている基準であろうと思います。
 昨日の麻生総理の御答弁も、できる限り赤字国債は出さないようにしたいと、こういう御答弁でございましたので、総理の御答弁どおりの財源探しをこれから政府・与党でやると、こういうことになるんだろうと思います。
○福山哲郎君 選挙が近いとも言われていますし、先送りするとも言われていますが、先ほど非常に重要な、この臨時国会ではいわゆる景気対策の問題は出てこないということをある程度与謝野大臣が明確にされて、麻生総理も認められました。
 そうすると、次の選挙があるとして、まあ近々あるわけですが、自民党のマニフェストの中には、これら今申し上げた高速道路や年金の二分の一国庫負担の問題や定額減税の問題について、財源と規模と時期の問題については明示をいただけるわけですね。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) これは、マニフェストがちょっと今政調のところでどのような形になっているかは承知しているわけではありません。したがいまして、ちょっと今、今の御質問に対してこれがこうなっていますと答えるだけの資料を持っていませんし、あれもないんですが、基本的にはきちんとしたものを考えて……(発言する者あり)静かにさせてください。いや、本人は聞こえないと言っているんです。本人が聞こえないと言っておられるので。私がどなっているわけじゃない、向こうがどなっているんです。聞こえないのは私の責任じゃないからね。
 今申し上げたところは、今の段階できちんとした内容を私自身が把握しているわけではありませんので、ちょっと正直、その今の御質問に対してどれぐらいのものですかと言われても、ちょっとお答えようのしようがないと申し上げたんであります。
○福山哲郎君 違います。どれくらいのものではありません。要は、今の時点で国会の場でも明らかになっていないわけです、財源も規模もですね。そのことについて、選挙で戦う自民党の政権公約にはしっかりと盛り込んでお示しをいただけるんですねと確認をさせていただいているんです。
○国務大臣(与謝野馨君) 自民党のマニフェストでございますけれども、党の方で今準備をしております。おりますが、その中では、定額減税という言葉を入れるということに決めたと聞いております。どのような形で入れるかは詳細は聞いておりません。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 今マニフェストやら何やらいろいろやっておられるんだと思いますが、最終的にこれでいこうという判断は私でやります。
○福山哲郎君 違うんです。私は単純なことを聞いているんです。そこには、今申し上げた与党の合意の中にある財源や規模や、その規模等についてきっちりと明示を、今、国会の中でも明示をいただいていないわけですから、選挙のときには当然国民にそのことを明示いただけるんですねと確認をしているだけです。
○国務大臣(与謝野馨君) それまでに財源の問題、税制の抜本改革等の議論が済んでいれば当然書くわけですけれども、恐らく定額減税という……(発言する者あり)マニフェストというのは物事を明確にする、明白にするという意味だけであって、たとえ金額まで詳細に書けなくても、定額減税をするという方向性について書くということは当然許されることだと私は思っております。
○福山哲郎君 税制改革の議論が済まなければ……(発言する者あり)
○委員長(溝手顕正君) ちょっと御静粛にお願いします。
○福山哲郎君 そこは書けるかどうかは分からない。衆議院選挙のマニフェストというのは……
○委員長(溝手顕正君) 福山哲郎君。
○福山哲郎君 政権公約というのは、向こう四年間の選挙後何をするかの議論を国民に問うものです。そして、目の前の税制改革や定額減税の規模をまだまとまっていなければ書けるかどうかは分からないという答弁は私は全く納得ができませんが、総理、そんなことはないですよね、自民党さんは。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) まだ、選挙の時期があたかも決まったかのごとき前提で質問されてもお答えようのしようがないというのをまず大前提にしていただかないと、いかにも明日でも選挙があるようなお話では私ども答弁のしようがないので、あらぬ誤解を与えるのはいかがなものか。参議院は関係ないと言われればそうかもしれませんが、衆議院にとっては大問題であります。(発言する者あり)
○委員長(溝手顕正君) ちょっと待って。
 声が聞こえにくいので、是非皆さん静粛にお願いいたします。
 あなたの声は聞こえていますので、大丈夫です。
○福山哲郎君 委員長、お願いがあります。指名はなるべくすぐにしてください。お願いいたします。時間がないので。(発言する者あり)
 総理、総理の論文、これ見てください。総理の論文ですよ。(資料提示)何をさておいても、従うべきは国民の信なのである、それでなければ、政権公約もただの紙切れであり、国民・有権者の投票は死に票になってしまうのではないか、政権選択の大事な総選挙であれば、相手のあらを探すより先に自らの政権公約の優位性を堂々と唱えるべきだと思うと、これ総理の論文なんですよ。
 だから、逆に、仮に選挙があるとすれば、まああるといっても一年以内に必ずあるわけですから、財源、規模、定額減税、それから、定額減税は単年度だと明確に与謝野大臣は言われているわけですから、その後をどうされるのかも含めてマニフェストに明示をいただけるんですねと自民党の総裁としての総理にお願いをしているんです。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 「何をさておいても、従うべきは国民」ということを書いてありますけれども、まず何をさておいても今、世論調査によれば国民は経済対策というのを言っておられる。間違いないでしょう。これは間違いないですよね、国民は、信はそう言っていますから。これ、世論調査が正しいというのが前提ですよ。そういったことを言っておられる。言っておられない方もおたくにはおられるのかもしれないが、うちはそうです、うちの世論調査では。したがって、それに基づいて私どもは、まずは景気対策をきちんとやらないといかぬというので今、私どもやっているだけの話なんであって、少なくとも政局よりは政策だという世論なんだと。正しいと私自身そう思っていて、ありがとうございました。
 したがって、そういった時期になりました場合は、きちんとしたマニフェストというか、私どもで言えば、マニフェストという単語の意味が少し、私の知っている英語とは大分違いますんで、政権公約と、私どもはそう理解しているんですが、そういう政権公約というものをきちんと出していくというのは当然のことだと存じます。
○福山哲郎君 私は、景気対策については否定も肯定も先ほどからしておりません。総理がやるとおっしゃるから、いつだと言われたら、来年、今年度中で、この臨時国会には間に合わないと言われたから、ひょっとしたらその間に選挙があるかもしれないので、そのときには税制改正の中身も与党合意の中の財源もすべてをちゃんと示していただけるんですねとお伺いしたら、そんなに時間が掛かって答えられないものなのか私は理解に苦しむんですけど、与謝野大臣、どうですか。
○国務大臣(与謝野馨君) 選挙が来年の九月になれば必ずお示しします。
○福山哲郎君 私、どうしてもこれはお伺いしておきたいことがあるので聞きます。
 私は景気対策も重要だと思っています。現下の金融危機に対して中川金融・財務大臣が本当に早い対応をしていただいたことも心から感謝をしているし、敬意を表しています。ただ、私は、今現下の景気対策が重要だと言う前に、三月に我々が暫定税率を現実に引き下げたときに、政府は四月に、四月の十五日から後期高齢者医療制度の天引きが始まった。更に言えば、暫定税率を引き上げるか引き下げるかという大変な争点の四月の補欠選挙、山口という総理を七人も八人も出した保守の強いところで我々は勝たせていただいた。その勝たせていただいたわずか三日後に古証文のような、それよりも二年前の小泉総理の選挙の三分の二を使って再議決をして、ガソリンを二十五円上げた。あの後、百二十五円だったガソリンがあっという間に八月までに百八十円になって、国民の生活をどれほど苦しめたか、どれほど厳しい状況に追い込んだかということに対する反省が何もない。そして、九月になってからいきなり景気対策だ、燃料対策だと。
 私は、ちょっとそれは筋違いじゃないかと思っていまして、全く時期が遅い。更に言えば、それをさも今我々が頑張っていますと言いますが、我々は去年の年末からこの原油価格の高騰も含めて国民生活は厳しいということであの暫定税率の議論をさせていただきました。
 そして、一番重要なのは、補欠選挙での選挙の世論を無視したということです。私たち政治家は、選挙によってここに立たさせていただいています。国民の力によってここで僕は今日、議論をさせていただいています。その我々が、政治家が、選挙の結果を無視して暫定税率を上げた、後期高齢者医療制度もそのまま継続した。このことに対して、世論に対して、これほど「従うべきは国民の信」だと言われている総理の思いをちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) まず最初にお断りしておきますが、補欠選挙の結果というのは一つの民意でありますから、重く受け止めなければならないのは当然だと思います。
 しかし、補欠選挙の結果というのは国民の民意だと言うのであれば、一選挙区の民意が他の四百七十九か、の意味を決めてしまうことになりますので、それはおかしいんじゃないかと。だから、信を問う場は基本的には総選挙、これはもうどなたも合意なさるところだと私自身はそう思っております。参考意見としては大きいですよ。大きいですけれども、それがすべての民意かと言われると違うのではないか、これが一つ。
 それから、暫定税率のお話がありましたけれども、道路整備のためにこれは極めて必要なものだと私どもはそう思っております。したがって、三分の二の賛成によって延長させていただいたというのが現実であります。
 税金を下げるということに関しましては、これはもう、おっしゃるとおり福山先生だけに限らず、これだけを取れば国民は支持します。しかし、地方団体はその財源を使って道路を造ったりなんかいたしておりますので、暫定税率を廃止して直ちに税を引き下げれば道路を建設する財源というものもなくなってくることになりますので、地方の道路財源は必要だということに関しましては民主党も御理解いただいているところだと思いますので、京都も北の方なんかは随分要るんじゃないかと正直思っておられるでしょう。私もそう思いますもの。そういった意味では、今回提案をさせていただいている法案には衆議院で賛成していただけた、いただいたんだと、私どもはそう、衆議院というのは御党の衆議院で賛成していただいたんだと思っております。したがって、暫定税率は、あの話、それで地方に六百五十六億、あの話をさせていただいております。
 したがいまして、苦い政策でありましても私どもはお願いしなければならぬということもあるというのは当然のことでありまして、責任ある政治というものを考えたときには、私ども、世論というのを十分に勘案しながら、苦い薬、苦いことでもやらなければならぬというのは最終的に決断をせにゃならぬということだと思っております。
○福山哲郎君 政治は優先順位の問題だと思います。この半年間でガソリンが百八十円まで上がったことにおける、国民経済がどれほど疲弊をしたかについての反省が全くないと私は思っています。
 更に申し上げますが、昨日の話の続きですが、中川財務大臣、中川財務大臣のこの中央公論ね、私、昨日、ああ面白いなと思ってじっくり読ませていただいたら、何と財務大臣も基礎年金の全額税方式化とおっしゃって、「理屈はともかくとして、先進国の社会保障体制としてはどう見ても失格である。」とおっしゃっているんですね。
 これは今も同じ見解ですか。
○国務大臣(中川昭一君) 私が十三の提言ということで発表をさせていただきました、今年の七月の月刊誌でございます。
 その中で私は、日本の経済あるいは金融、この世界の状況を見て先行き大変不透明感、不安があるという私自身の判断に基づいていろんな政策提言をして、議員の仲間の皆様あるいは国民の皆様に、いろんな議論の中で、いい方向にみんなでこの状況を乗り切っていくためのお役に立てればいいなということで提言を出させていただいたわけでございます。これ以外にもいっぱいあったわけでございますけれども、十三という形の中で、今、福山議員御指摘のように、年金の全額、基礎年金の全額国庫負担がいいのではないかという趣旨のことを発表させていただいたことは事実でございます。
 税方式をするとしましても、これまで支払われた保険料との関係をどうするかとか、あるいは一体幾ら掛かるのかとか、そういった検討すべきこともございますし、他方、未加入を防ぐとかあるいはまた運営コストを削減できるとか、一長一短がある。私は結論的に税方式がいいと言いましたけれども、大変これやるにしても作業もまた膨大な時間も掛かるんだろうということで、一長一短があるということを分かった上でというと変な言い方でありますけれども、提言をさせていただいたわけでございます。
 今は私は麻生内閣の一閣僚として、今日御審議をいただいておりますこの補正予算が一刻も早く上がって、上がらさせていただいて、そして国民の暮らし、あるいはまた中小企業等の厳しい状況に一刻も早くお役に立てるように今全力を挙げているところでございます。
○福山哲郎君 麻生総理は、昨日も御紹介をさせていただきましたけれども、国民皆年金といううたい文句はもはや死語だと言われました。財務大臣が、社会保障体制としてはどう見ても失格であると言われました。厚労大臣、どう思われますか。
○国務大臣(舛添要一君) 政治家が様々な提言をする、様々な案を出す、各政党や各団体が様々な提言をする、それは決して悪いことではないとまず思っております。
 そして、我が国の社会保障制度は自助、共助、公助と、こういう三つの組立てになっておりまして、私は税方式でやるのも、例えば未納問題なんかについては解決しますし、いろんなコストが少なくなる点もあります。しかし、今のこの保険料方式はやはりこの自助という側面がある、そしていろんな意味でプラスもあるし、それぞれにマイナスも、これは委員御指摘のようにあります。
 そういう中で、やはりどちらかの方式だけではなくて、私もやっぱり最終的には、今の日本だって半分ずつ両方の方式は入っているわけですから、今、税方式、基礎年金二十二兆円、そのうち七兆円国庫が入っています。これ、全部税で負担すると、二十二から七引くと十五兆円、十五兆円ということは消費税で大体六%ぐらいのこれ持ってこないといけなくなる。そういうような財政上の問題もあります。
 しかし、最低の所得保障的なものをどうするか。これは民主党さんの案にも出ていますスウェーデン方式というのがあります。そういうものについての議論をしていくと、私はそんなに変わらない制度に行き着くんではないかというふうに思っていますので、まさにこういうことについて国権の最高機関である国会できちんと議論をして、そしてこれはもうある意味では会派を超えて、これはスウェーデンがそうでしたけれども、協議を重ねて国民に納得のいくものをつくるということがいいと思いますので、そういうようなことが私の今の思いでございます。
○福山哲郎君 そうやって何言っているかよく分からない答弁をされるから国民は惑うんですよ。新しい内閣の総理と財務大臣が基礎年金税額方式だと言って、今の年金はもう使い物にならないと言われている。厚労大臣に言ったら、何だかどっちがいいのかよく分からないと。何なんですか、これ、厚労大臣。
○国務大臣(舛添要一君) いや、意見を聞かれましたからお答えしたわけでありますし、そして、これは何度も申し上げますけれども、国民全体にかかわることでありまして、今日あしたの話ではなくて長い長い長期にわたって考えないといけない。そして、過去の積み重ねがありますから、例えば、保険でずっとやってきた。で、転換期においては保険料の負担もしないといけない。今、年金もらっている方々、一生懸命若いときに保険を払ってきたわけです。で、税方式に変えたら、例えば消費税でやるんだったら、今まで掛金掛けたのに年取ってからもまた払わないといけないのかというような問題もあります。
 だから、そういうような様々な問題もありますけれども、いろんな政治家がいろんな案を出す、いろんな団体が出す、政党が出す、それは決して悪いことではありません。そういうことを基礎にしてきちんと与野党間で協議をするということは悪いことではありません、そういうことを申し上げているわけであります。
○福山哲郎君 この年金制度は、強行採決をして政府・与党が決めて動かしているんです、今。それは、一議員がいろんな提言するのは悪くない、それはそうかもしれませんが、今総理と財務大臣なんですよ。今もし舛添厚労大臣がそうおっしゃるんだったら、逆に言うと、次の選挙までに自民党は年金制度をどうするかまとめてくださいね。そうじゃないと、国民は、自由民主党という政党がどういう年金制度を将来的に志向しているのか全く分からない。
 今だって中川大臣うなずいておられたじゃないですか。自由民主党としてどういう年金制度を志向されているのか。総理が基礎年金全額方式で、財務大臣が基礎年金全額方式で、厚労大臣が今の制度はやっぱり過去の経緯もあってなんて言っていたら、国民分からぬですよ。そのことを次の選挙までに、どういう年金制度なのか自民党全体でちゃんとまとまって提示をしていただけるように、総理、お約束していただきたいんですけど。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 基本的な考え方がいろいろある、もう衆議院でも御説明を申し上げましたけれども、少なくとも、いろいろな話がある中で私どもは……(発言する者あり)
○委員長(溝手顕正君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 私どもはいろんな意見を自由に言えるところがいいところ、まずこれはあらかじめお断りしておきます。書いたときは、内閣総理大臣でもなければ何大臣でもなかったわけですから。そういう話を私は申し上げているのがまず第一点。
 その上で、自由民主党としてこういった案というのをきちんとまとめるというのは、私どもとしては最大限の努力をしてまとめたいと思っております。
○福山哲郎君 我が党は、少なくとも年金については一貫して国政選挙のたびに主張してまいりました。更に申し上げれば、年金の問題は本当に、大臣言われたように、国民とともにちゃんと与野党超えて考えなければいけませんが、自民党のスタンスが実ははっきりしないんですよ。自民党、まとめてきてください。我が党に対してすぐに皆さんはばらばらだとか言うけれども、とんでもないでしょう。現実には自民党の総理で総裁と財務大臣が基礎年金税額方式を主張されていたら、だれが見たって次の自民党は年金は基礎年金税額方式を主張しますよね。それがもし、それがもしそのことが主張できないんだとしたら、自民党という党はどういう党なんですか。自由な意見が言えるというレベルの話じゃないでしょう。どうぞ、大臣。
○国務大臣(与謝野馨君) 我が党は、党首が何を言おうが、党員の総意で物を決めていくという政党でございます。
○福山哲郎君 それなら、自民党の党員全部で総意で年金制度をまとめて衆議院選挙に提示をしていただくようにお願いをします。我々は、けんけんがくがく党内の議論をしてこのことをまとめていますので、そのことを申し上げます。
 更に申し上げます。
 これ、小さいですけれども、(資料提示)国民の皆さん、舛添大臣がテレビ番組で後期高齢者医療制度について言ったそのものです。そのものの文言をそのまま持ってきました。「@年齢で区分けしないA天引きを強制しないB世代間の反目を助長しない」。更に言うと、「後期高齢者医療制度にかわる新制度を創設 舛添大臣の三原則」。
 これは、舛添大臣、テレビに出演される前にあなたも確認をして、これでいいと言って出演されましたよね。
○国務大臣(舛添要一君) そのとおりでございます。
○福山哲郎君 あなたは国会の答弁で何度も、国民皆保険を守るためにどのような制度にするのか、この制度の根幹部分については基本的に維持した上で国民のためにこの骨格をと。そして、この根幹とか骨格は七十五歳で区切ることを何度も主張されています。これは全くその骨格が揺らいだ話ですね、どうですか。
○国務大臣(舛添要一君) 私は担当の厚生労働大臣として、今の老人保健制度の様々な問題点を抱えていることを改革する、その一つの案がこの後期高齢者の医療制度であること、そして、その点のいい点はきちんとこれは説明をしてまいりました。しかし、まさに現場にいて様々な問題点がある。その中で高齢者の心情、どうしても嫌だとおっしゃるところがある、その点は二つ。一つは七十五歳以上を隔離したこと、もう一つは強制的に年金から天引きという方式のみを押し付けたこと、これはやはり国民の声に謙虚に耳を傾けてある程度改善しないといけないんではないかと。そういうところで、内閣が交代をする、それで私の政治的責任において、これは官僚にはできませんよ、まさに政治家であり、担当の大臣であるからこそ政治的な決断をやったと、私の政治責任で行いました。
○福山哲郎君 これ、九月の二十日に厚労大臣は発言をされましたが、総理、九月の二十日の次の日、二十一日に総理が総裁選挙で与党として抜本的に見直す必要があるとおっしゃったんですが、この総理の発言は発言の前に舛添厚労大臣と相談をされた結果ですか。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) この点に関しましては問題点が二つ。先ほど度々申し上げている、度々というのは厚労大臣も度々、私も度々申し上げましたが、六十五歳で切られるのは何となく納得はできると。(発言する者あり)よく聞いてくださいよ。六十五歳で切られることには納得はできるという話をしているんだから、森さんよく聞いて。お願いしますよ。森ゆうこさんの話でちょっと中断しまして恐縮でしたけれども。
 六十五歳で切られるということに関しては納得します。ただ、何で七十五なのかと言われる御質問というのは私は全く理解のできるところです。七十五で失礼ですけれども私より元気そうな方も国会の中にもいらっしゃいますし、また、いろいろ元気な方も正直いらっしゃいますから。したがって、七十五というのは何となくちょっと、六十五は世の中の定年がありますんでそこそこ理解ができるけれども、そういう御意見は私はもっともだと思いました。それが一点です。
 もう一点は、天引きということに関しましては、組合いらしたことないからお分かりにならぬかもしれない、組合費はチェックオフというのがありましてね、組合費というのは給料から天引きされるんですよ。そういった形になっているわけです。あれは組合と会社との間で協定がそういう具合にでき上がるわけです。
 そういった形で天引きというのは一つの手口としては悪くないんじゃないか、手段として悪くないんではないかと私どもはそう思ったわけです。ほかで天引きになっているものはありますから、そういったものはいいんじゃないかと申し上げましたけれども、残念ながらその点に関しては御理解が得にくいということでありますので、そういった意味では天引きの問題に関しては別の方法で、少なくとも銀行振り込みとかいろんな方法があろうと思いますんで、そういった形のものに変えるのは全然いいんじゃないかという、この二点に関して厚生労働大臣からお話がありましたんで、私はその点に関しましては理解のできるところだとお答え申し上げましたんで、それが今事実であります。
○福山哲郎君 じゃ、テレビ出演前に麻生当時の総裁候補と相談した事実は舛添大臣もお認めになられますね。
○国務大臣(舛添要一君) 同じ福岡県の出身でありますし、前から様々な議論を様々なところで行っております。当然、麻生総理とはこういう問題について議論を重ねております。
○福山哲郎君 実はこのときはまだ福田内閣なんですよ。あなたは福田内閣の厚生労働大臣なんです。そして、後期高齢者医療制度を導入をして、そして国民がこれほど悲鳴が上がっているにもかかわらず、説明不足だと、説明が足りないと何度もあなたはあちこちで発言をされ、制度の根幹部分は維持をするということを国会の議論をさんざんしたときに、福田内閣の一員であるときに、福田内閣がもう終わるという直前に、あなたはまだ閣僚でありながら、次の総理になるかもしれない人に事前に相談をして発表されたんです。
 それなら、悪いですけど、福田内閣にまず辞表を出してからやってください。私の言ってきたことは間違いでしたと、国民に迷惑を掛けました、だけど私は次の新しい制度に対して責任を持ちたいからまず一回辞めさせてくださいと、それでもよければ閣僚になりたいと言えばいいじゃないですか。福田内閣の閣僚の一員のまま、まだ福田総理がいらっしゃる。福田総理にじゃ相談したんですか、その発言に対して。
○国務大臣(舛添要一君) 福田総理にも町村幹事長にも当然のことながら相談はいたしません。それは、まさに今委員がおっしゃったように、福田内閣の私は一員だからであるんで、政治家としての決断であるわけですから、それは私の政治的責任において、まさに現場にいるからこそ、嫌だという高齢者の心情というのは変わらないんですよ。
 したがって、いい制度であることはたくさんありますよ。幾らでもいい点言えますよ。しかし、そういう中においてやっぱり御高齢の方々の心情をきちんと反映しないといけない。それは、委員がおっしゃるようなのも一つのやり方だと思いますけれども、私は一つの内閣が終わるときに一石を投ずるということは決して悪いことではないと思っております。
○福山哲郎君 いいですか、それなら一人の議員に立ち戻って提言をしてください、間違いでしたと言って。何で福田内閣の一員が福田総理にも町村官房長官にも相談もしないでこんなこと話すんですか。
 斉藤大臣、連立組んでおられる公明党は相談を受けられましたか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 当時、私は環境大臣になっておりましたので……(発言する者あり)いえ、福田政権の改造内閣で環境大臣になっておりましたので、公明党に相談があったかどうかは私は存じ上げておりません。
○福山哲郎君 山口政調会長はテレビで私は何も聞いていないとおっしゃられました。斉藤先生いい方ですから、かばわれるのは分かりますが、公明党として聞いていないんだったら聞いていないと言わないとやっぱりまずいですよ、これは、連立の責任があるんだから。
 もう一度お答えください。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 公明党として聞いていたか聞いていなかったか正直知らなかったものですので、知らないとお答え申し上げたところでございます。
○福山哲郎君 本当に抑制的な、良識的な方ですよね。
 これは私は、内閣の中で失礼だとか、舛添大臣けしからぬと申し上げたんじゃないんですよ。このことは国民に対する背信行為なんです。ずっと厚労大臣としてあなたは説明をしていた、国会で。それは国民に説明をしていたのと同じなんです。ところが、福田内閣の終わる直前になって、私は政治判断で変えることを言いましたと。何なんですか、それは。国民の立場に立って考えてみてください。これはひどいと思いますよ。
 そして、今日から天引きが始まっているんですよ。今日、新たに被扶養者からの徴収開始が約二百万人。この二百万人は厚労省の言っている、七割以上は減額されると言っている数に入っていますか、含まれていますか。
○国務大臣(舛添要一君) この被扶養者については元々払っていないわけですから、保険を。しかし、国保との比較という形で数字を出していますから、その中には入っておりません。
 あっ失礼、ごめんなさい。ちょっと一遍、済みません、もう一度、ちょっと質問聞き間違えた可能性があるので。
○福山哲郎君 被扶養者からの二百万……
○委員長(溝手顕正君) ちょっともう一回整理して、ちゃんと。(発言する者あり)
 どうぞ静粛に、ちゃんと聞こえるように。
○福山哲郎君 被扶養者からの徴収開始された、今日から徴収開始された二百万人は、例の厚労省が言っている、政府が言っている七割以上が減額されているという方々に数字は入っていますかと聞いているんです。
○国務大臣(舛添要一君) それはあくまでも国保との比較でありますから、その中には入っておりません。
○福山哲郎君 この人たちは単純に増額ですよね。
○国務大臣(舛添要一君) それは、今まで、サラリーマンの息子さんがいる、そこの扶養者になって払っていなかったわけです。だけれども、分離する形になりましたから、個人個人が払う形になりましたから、そういう意味では払うことになったという、そのとおりでございます。
○福山哲郎君 七割以上が減額と言われている主張は、世帯の七割ですよね。
○国務大臣(舛添要一君) これは、おっしゃるように、世帯でずっと統計を国保についても取っておりますから、世帯の七割ということでございます。
○福山哲郎君 あなた今、個人個人分離する制度に変えたと言ったじゃないですか。そしたら、個人個人分離してだれが増えたのかと言ったら、何割以上かお答えください。今の二百万に入っていないんですよ、七割の中には。一体どのぐらい個人で増えたのか、何割増えたのかをお伝えください。
○国務大臣(舛添要一君) それは、何度も申し上げておりますように、世帯ごとの統計を取り続けてきている今のようなものがありませんから、個人での統計は取っておりません。
 そして、幾つかのモデルケースで、二百九十一万がどうだ何万がどうだという形でやって、おおむねということを申し上げているわけでありますので、そして各実施の市町村の数字を全部集めないといけない。だから、一個一個克明に、あなたは上がりましたかどうでしたかということではなくて、統計の取り方がそういうふうになっていますから、今申し上げたような世帯ごとの国保との比較でその数字だということで、個人では出ておりませんということを申し上げたんです。
○福山哲郎君 じゃ、個人でどのぐらい現実に増えたのか、数出していただけますか。世帯ごとの七割というのは、どう考えても我々は信用できないし、今の二百万人もその中に入っていないんです。
 どう考えても、厚生労働省は都合のいい数字で、七割以上は減額している、減額しているって、与党の政治家も何人も言っているけど、これ完全に数字が捏造というか、違うんです。だって、個人を分離する制度に変えたのに、何で個人で増えたか増えないかの数字が出てこないんですか。厚労大臣、出してくださいね。
○国務大臣(舛添要一君) いや、だから何度も申し上げていますように、大体の方向をおおむねどうだという形で幾つかのモデルケースを出し、そして国保が世帯ごとですから、世帯単位ですから、世帯になっているということでありますので、どういう形で出せるか、それは検討をさせてください。
○福山哲郎君 いつまでに検討いただけるんですか。
○国務大臣(舛添要一君) ですから、例えば今の二百万人という形をどういう形で取り込むか、そういうことを含めてちょっと検討、いつまでということは今すぐ申し上げられませんが、少し時間を賜りたいと思います。
○福山哲郎君 じゃ、七割が減額されているということに関しては、今ここで訂正をいただけますね。少し国民にミスリードしたということは認めていただけますね。
○国務大臣(舛添要一君) いや、ですからね、委員ね、さっきも申し上げましたように、二百万人というのは元々払っていなかったわけですよ、被扶養者ですから、息子なんかの。ですから、ゼロだった人が増えれば、それは増額になりますよ。
 ですから、そういうのと、国保にずっと入っていて払い続けた人の額がどういうふうになったかというのを、ベースが違いますから単純に比較できませんよと。だから、比較のときにはベースが同じやつを比較しないといけないんで、そういう数字をお出ししたということで、これはまやかしをするとかなんとかいう意味ではなくて、世帯ごとに取ったら大体のところはそうですよと。これも、一〇〇%ですよ、一人一人、一億人、失礼、そんなにいませんから、調べていったわけではありませんけど、方向をそういうことだということを申し上げたので、ただ、委員の今の御指摘に対しては何らかの形で答えが出るかどうかを検討させてくださいと申し上げております。
○福山哲郎君 そうしたら、もう一度確認します。
 七割の人が減額をされているということは絶対ありませんね。そのことだけ認めてください。
○国務大臣(舛添要一君) 私は、人と言っておりません。世帯、委員が御指摘のように七割の世帯ということでございます。
○福山哲郎君 では、一体どのぐらいの数が現実に増えて、減額されている人がどのぐらいの数か。個人の制度にしたわけですから、そのことについて明確にお示しをいただきますように、早急にお願いしたいと思います。
 じゃ、厚労大臣、あなたが言われている制度の見直しの私案、これはどんな位置付けなんですか。
○国務大臣(舛添要一君) 私の下にこの見直しの検討会議を設けました。既に二回検討をやっております。いろんな有識者、専門家、現場におる方々、自分の案はこういうのがいいぞというのを出してこられました。
 そういう中で、私は、単にいったん廃止をして前の制度に戻すのは良くない、したがって、どういう制度かについて、これは示す必要があるということで、二回目の後期高齢者に関する検討会議において、いろんなメンバーの方々が御意見を言われましたので、大臣はどういう私案をお持ちですかということでありますので、私の私案を出したわけであります。
○福山哲郎君 その検討会の位置付けはどういう位置付けですか。
○国務大臣(舛添要一君) これは私の直属の検討会であります。例えば、年金についても直属の作業委員会があり、そういう形で現実に具体的な政策をそこで実現していく、そういう一つの手段であります。
   〔福山哲郎君「そこで物事が、例えば一年をめどに」と述ぶ〕
○委員長(溝手顕正君) 発言は指名が終わってからにしてください。
○福山哲郎君 そこで例えばですが、検討会で物事がまとまっても、あくまでも私的なものですから、政府の案になるわけではありませんよね。
○国務大臣(舛添要一君) それはそのとおりで、例えば作業委員会なんかは連合の方にも入っていただいて、年金ですけれども、年金記録についていろいろ検討して、それを参考にして政府はどうだと。そして、最終的には委員御承知のように、この国権の最高機関の国会できちんと法律という形で成らないといけませんので、それは当然のことでございます。
○福山哲郎君 与党の連立合意にあります「長寿医療制度については、高齢者の心情に配慮し、法律に規定してある五年後見直しを前倒しして、より良い制度に改善する。」というのは、この舛添さんの検討会とは全く別ですね、今の話ならば。それでいいですね、総理。
○委員長(溝手顕正君) どっちです、総理に聞いているの。
○国務大臣(舛添要一君) 今、福山委員がお読みいただいた自民党、公明党の政権の公約ですから、これはこの線にのっとって与党はしっかりと検討をするということであります。しかし、……
○福山哲郎君 もう一回。
○国務大臣(舛添要一君) 今のは、お読みになってくださったのは、自公の政権合意ですから、前倒しして高齢者の心情に配慮してより良い方向を目指すという、だからこれは自民党の中にも公明党の中にもそれぞれこの問題についてプロジェクトチームがあり、両方の合同のチームもございます。ただ、党は党のレベルで与党の中で御議論をいただく。私は独裁者じゃありませんから自分の案がどうだということじゃなくて、一つの案ですから、いろんな方の意見を聴いてそれも参考にし、最終的にはこの国会で法律の形で決まるわけであります。
○福山哲郎君 総理、総理は一年程度で見直すとおっしゃっているんですが、舛添大臣の私的な検討会、これはまあまとまってもそれは政府の政策になるかどうかははっきり言って分からない。与党も一体どこで今議論されているのか見えない。これね、このまま宙ぶらりんのままで中途半端な見直しだみたいなことを厚労大臣が言われている中で、これもう選挙、よく分からないですよ、国民は。これ一年以内にあるんです。一年をめどにというのは国民に対して非常に失礼なので、総理、絶対にこれは重要な問題なので、医療制度については自民党として次の選挙でやはりきっちりとまとめて国民に争点として提示をいただけるようにお願いしたいんですが、いかがですか。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 舛添大臣のところの委員会、また各、自由民主党プロジェクトチーム、自公のプロジェクトチーム、いろいろなところで、この問題はすごく大きな問題ですから、いろいろ議論をしておられる。それを私は、全部まとめてより良い案にするのにどう考えても私は一年ぐらい掛かるかなと思って一年と申し上げました。それができるまで選挙ができないということを希望しておられるふうにも見えませんから、私どもとしては早急にこれを出したいと正直、本当そう思いますよ。ただ、これは結構時間掛かる話だなと思いますので、検討はさせていただきます。
○福山哲郎君 大変失礼な話ですが、強行採決をしてこの問題を無理やり作って今年の四月から用意ドンして、そしてそれに対して大臣がいろいろ言って、選挙が近くなったらこんな三原則みたいなものが出てきて、で、一年掛けて検討しますというのは余りにも失礼じゃないかと私は思うんですが。やっぱりこれは、私は、国民に対してひどい状況だと思いますよ。
 もし、舛添大臣、一年掛かるんだったら、これはちょっと撤回してください。要は、今の政府は今の後期高齢者医療制度を維持しようとしているんですよ。一年掛かったら一年ずっと天引き続くんだ、一年掛かったらずっとこの七十五歳の区切りは続いているんだ、だから、今の政府の立場ならこれは撤回して、今の政府はこのことを維持すると、次の議論が出るまでは維持すると明確にしてください。
○国務大臣(舛添要一君) 私は全く言い方を変えていません。いろんな発言の隅々だけを取って言う方がおられますが……
○福山哲郎君 隅々ってあなた……(発言する者あり)
○国務大臣(舛添要一君) ちょっと待って、ちょっと待って、発言中ですから、発言中ですから。
○委員長(溝手顕正君) ちゃんと聞いてください。
○国務大臣(舛添要一君) その三つの点は全く変わっていません。
 先ほど来説明をしているように、私が一番よく知っているんですよ、現場だから。だから、高齢者の御心情に配慮したというときに七十五歳以上を隔離するのが嫌だと言っているんだから、それを改革する方法を考えようと言ったら何で悪いんですか。それから、天引き、もう一部分やめていますよ。今日の天引きの中で五%の方は特別徴収、つまり年金からの天引きを自ら手を挙げてやめていますよ、それは銀行からの口座振替でできるようにしました。ですから、二番目の問題はもう一部分は変えています。ただ、これも例えば、窓口に自分で持っていきたい、郵便局に持っていきたい、そこまでは許されていません。それはその介護保険法に準拠した今度の後期高齢者医療保険法は特別徴収という文言が、そこに法律にあるんです。したがって、これはそれを特別徴収という言葉を法律を変えないとできません。だから、銀行からの自動的なこの引き落としというのはほぼ年金に準ずるという法制局の解釈をいただいてやったところでありますから、それは一部分変えてあります。
 それから三番目の、すべてそうですよ、財源のどういう構成にするかが最大の問題であるわけですから、そこは全く、そういう方向性で見直しをやるということは全く間違っていないんで、そして見直しの結果、それは与野党を超えてきちんとこの国会で議論をして、新しいものができたら古いものが終わるということですから、何ら私は間違ったことは申し上げているとは思っておりません。
○福山哲郎君 今のは部分修正っていうんですよ。そんなことは工夫したらできるんですよ。
 いいですか、この制度始まって、何が新しいものですか。この制度は四月にスタートしているんですよ、新しい制度なんですよ。何が新しいものができたら新しくすればいいじゃない、そんな無責任なことないでしょう。あなたが導入した大臣なんですよ。スタートする以前から見直し、見直しで来て、半年たって挙げ句の果てには厚労大臣が根本的な見直しを発言して、国民がどう制度の信頼性をキープできる、維持できるんですか。全くもってけしからぬ。
 私は、もうとにかくこの問題については早く自民党の中で整理して、医療制度をどうするのか選挙で提示をしていただきたいと、もうとにかくそのことをお願いします。
 ちょっと話変わります。全く別の話ですが、自民党の総裁選のさなかの公示日、NHKの七時のニュースで自民党の総裁選を時間を延長して四十五分間も自民党の総裁選挙の放送をされていました。それに対して、大変数多くのクレームというか苦情が来たと承っておりますが、一体何件ぐらい来たのか、お答えください。
○参考人(今井義典君) お答えいたします。
 自民党総裁選が告示されました九月十日の「ニュース7」、午後七時からのニュースに対しまして、およそ三百件のお電話をちょうだいいたしました。翌日の総裁選関連のニュースと合わせますと、五百二十件の意見、要望が寄せられました。この中では、放送時間が長いという意見が多くありました。また、立候補した五人の主張を丁寧に伝えていて良かったという意見などもいただいておりまして、いろいろな意見が含まれております。
○福山哲郎君 いろんな意見があったんだと思いますが、このいろんな苦情は多い方ですか、少ない方ですか。
○参考人(今井義典君) 様々なニュース、番組に対しましてお電話をいただくことが毎日のようにありますが、この件数、先ほど合わせて五百二十と申しましたが、五百三十件が正しい数字であります。多い方だというふうに言えると思います。
○福山哲郎君 あえてクレームがどのぐらい来たのかは聞きませんが、これに、このお客様の、例えば時間を延長して四十五分も自民党総裁選挙の放送をした、やり過ぎではないか、意図は何かというあるお客様の答えに、NHKのその窓口のコミュニケーターという方が、意図はもう明白ですよ、自民党の総裁選のPRですよ、当たり前じゃないですか、そんなこと分からないんですかと答えた方がいらっしゃったというのは事実ですか。
○参考人(今井義典君) 窓口の担当者がそのような発言をしたのは事実であります。NHKとしては、この発言は極めて不適切なものであると判断いたしました。言葉遣いも含めまして、電話を掛けてこられた方を不快にさせたものだと考えております。こうしたことのないようにコールセンターを指導するとともに、研修を徹底してまいります。
 改めて、視聴者の皆様におわびいたします。
○福山哲郎君 私は、このコミュニケーターの方が多分特殊な方だと思いますから、余りそのことをもって殊更に申し上げる気はありませんが、これから本当に選挙が近くなるかもしれません。NHKはやはり国民の皆さんの信頼度高いと思います、いろんな不祥事があっても。だから、NHKとしてはそこは非常に、公正報道も含めて、自制的に番組の構成、編成に当たっては御留意をいただきたいとお願いをしたいんですが、いかがでしょうか。
○参考人(今井義典君) NHKは、放送法の規定を踏まえまして国内番組基準を定めております。この中で、「全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保」することを明記しております。さらに、「政治上の諸問題は、公正に取り扱う。」、さらに、「意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱う。」ことなどを定めております。
 NHKは、こうした方針に基づいて報道機関として不偏不党の立場を守り、NHKの放送全体として公平性を確保し、公平公正な報道に努めてまいります。
○福山哲郎君 是非よろしくお願いをしたいと思います。
 それでは、現下の金融状況の対応についてお伺いします。
 先ほど申し上げましたように、私は、政府が早々にこの金融の危機に対して対応いただいたこと、また中川財務大臣の蔵相会合における御発言等々、また麻生総理の御発言等も含めて私は大変評価をしておりますし、まだまだ余震は続いているやに思いますが、とにかく御健闘、御奮闘いただきたいと思いますし、我々もこの件に関しては反対ばかりの主張をする気は毛頭ございませんし、十月の十日に我々もいち早く大塚参議院議員を中心に金融対策のチームでまとめた案を、与党が参考にしていただいたかどうか分かりませんが、非常に平仄の合った形で今対応していただいていることにまず感謝を申し上げたいと思います。
 そこで、日銀総裁に、お忙しい中、また海外からの帰国でお疲れの中、御足労いただいております。G7の議論の中身、それから中央銀行総裁会議の中身、欧米の資本注入、それから昨日の米国等の資本注入の発表があった点等々について、現状認識について総裁にお伺いしたいと思います。
○参考人(白川方明君) お答えいたします。
 まず、今回のG7でございますけれども、国際金融市場や米欧金融機関の経営をめぐる緊張が著しく高まる中で、各国からの参加者が強い危機感を持ちまして、精力的かつ率直な議論を行いました。そうした議論を経まして、国際金融市場の安定性と金融システムに対する信認を確保するために、G7各国が強い決意を持って必要な施策を迅速に推進していくということが確認されました。
 このために、会議の席では、当局として何をなすべきか、アクションプランと呼んでおりますけれども、そのことを意識し、明確なメッセージを市場に対して打ち出すということに最大限の注意を払いました結果、従来形式のコミュニケとは異なる簡潔かつ明瞭なアクションプランを発表いたしました。
 G7、それから前後しましていろいろな会議がございますけれども、そうした場を通じまして、まず私からは日本経済の状況、それから金融市場の状況を説明しました。さらに、日本の金融危機の経験を踏まえまして、どういうことを行うべきかということについて申し上げました。特に、金融市場の安定確保が大事であること、この点では中央銀行による流動性の供給が重要であるということをまず申し上げました。加えまして、自己資本が不足する場合には、公的な枠組みの下で自己資本の注入が必要であるということも強調いたしました。
 このうち、中央銀行という観点から申し上げますと流動性の供給ということになりますけれども、既に日本銀行は積極的な対応策を講じております。リーマンの破綻以降、連日数兆円規模の大量の資金供給を行っています。このほか、主要国の中央銀行とも協調しまして、相次いで施策を打ち出しております。
 一つ申し上げますと、九月にはアメリカの連邦準備制度とスワップ協定を締結しましてドルを調達し、その上で日本の国内に位置しています金融機関に対しドルの資金供給オペレーションを導入いたしました。また、今月の八日には、各国の中央銀行との共同声明の中で、金融市場の安定を維持していく観点から、金融調節面で更に改善を図る施策について速やかに検討することを明らかにしました。
 昨日、そうした中で早期に結論を得られた部分について、まずその施策を公表しました。具体的には、国債のレポ市場、これは国債を担保とする資金市場ですけれども、その面における流動性改善策、それから企業金融の円滑化のためのCPオペの活用、それからドル供給オペの拡充などの措置を講じました。
 それから、今申し上げました金融調節面での対応とは別に、昨日、政策委員会の通常会合を開催しまして、日本銀行の買入れ株式につきまして、株式市場の情勢を見極める観点から、当分の間、市場売却を停止することといたしました。
 それから、福山委員今御指摘の欧米の施策でございますけれども、これは、流動性供給の面、それから金融機関に対する資本注入の面、それからさらに銀行の債務保証という面で思い切った措置を導入いたしました。私としましては、こうした一連の措置は我が国を含め世界の金融市場の安定に貢献していくものだと考えております。
 今後とも引き続き国際金融市場の動向に注視しまして、金融市場の安定確保に万全を期したいと思っております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 もう今大体お答えをいただいたと思いますが、日銀の今後の役割と、あと政府との連携等について、もし総裁何か御答弁あればお答えいただければと思います。
○参考人(白川方明君) 現在、世界の金融市場は大変な緊張状態にあります。こうした中で中央銀行が果たし得る最も大きな貢献というのは、これは金融市場の安定を確保するということだと思います。この面では、先ほど申し上げました流動性の供給の面以外にも様々な施策があり得るので、そうした施策を今鋭意検討を行っておるということでございます。検討の結果、実行に移せるものから実行にまた移していきたいというふうに強く思っております。
 それから、政府との連携でございますけれども、これは大変に重要なことであります。今般のG7の会合も、会合に先立ちまして総理官邸に、総理から、私も含めて官邸に参りまして、G7に対する、日本として何を主張すべきかということについて御指示もいただきましたし、私もまたそれも踏まえて発言を行いました。それで、相前後して中川大臣、それから今金融担当大臣も兼任されておりますけれども、現在の日本の金融市場の問題、金融界の問題も含めまして率直に意見交換をさせてもらっていまして、意思疎通を密接に図っております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 大変危機のところでございますので、総裁におかれましてはお忙しいと思いますので、これでどうぞお引き取りいただければと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。
 幾つかだけ提言というか、財務大臣にお伺いしたいことがあります。
 リーマンが九月の十五日に金融庁から業務停止命令を受けました。リーマンは御案内のように国債の引受けのプライマリーの中に入っておりまして、九月の十六日、それから九月の二十二日両方、日本国債の払込みの期日がありました。いわゆるフェールという払込みが行われなかったことなんですが、このリーマンによる払込みが行われなかった金額についてお答えください。
○国務大臣(中川昭一君) 御指摘のように、リーマン・ブラザーズ証券は九月十五日の破綻の前に日本の国債の落札をしておりましたが、十五日に破綻ということで、二回に分けての払込みが行われませんでした。金額は、九月十六日が、政府短期証券が四百四億円、二年物が八百五億円、それから九月二十二日が、十年物が一千五百八十一億円、五年物が一千三百四億円、合計四千九十五億円でございます。
○福山哲郎君 私は殊更にこの国債の払込みが行われなかったことに対して国債マーケットを混乱させる意図は全くありません。このことに対して影響が軽微だったことも、軽かったことも財務省や金融庁からも承っております。
 しかしながら、大臣、こういった払込みが行われなかったことというのは過去に例ありましたでしょうか。
○国務大臣(中川昭一君) 国債に関しては例ございません。
○福山哲郎君 そのぐらいプライマリーに参加をしている企業というか銀行や証券はそれなりの信用度があったと。そこが現実に払込みが行われないような状況が起こったと。現実にリーマンが落札したいわゆる債券をいろんな形で、返却や購入を含めて全体としてのフェールが約二兆一千六百二十億円発生をしています。
 このようなことに対して、今財務省はどのように対応を考えているのか、若しくはどう対応したのか。私は決してこれが大きな影響があったと言いたいわけではないです、今後のためにお伺いをしているので、お答えいただけますか。
○国務大臣(中川昭一君) こういうことが起こったのは、もう御指摘をまつまでもなく、大変遺憾なことだというふうに思っております。しかし、国といたしましては、これによる、いわゆるフェールによる影響が起きないようにということで、例えば今回の場合には余裕金等々で融通をするとかいたしまして万全の、資金調達に不足が生じないように万全を期しているところでございますけれども、これからもこういうことがないように、また万が一あったときにも支障が起きないような対策をきちっと取るようにしていかなければいけないというふうに思っております。
○福山哲郎君 資金繰りの話はある程度用意していただいているのは分かりますが、例えば九月の十五日に業務停止命令があって十六と二十二日が払込日なので、このことは想定できたのではないかと私は若干思っているんですが、そこはいかがでしょうか。
○国務大臣(中川昭一君) これは率直に申し上げて、私も事前の打合せのときにそういうことはできなかったのかと質問したんですけれども、まあこれは初めてのことだったということは理由にはなりませんけれども、一般に民間においてもこういうことは時々起こることだそうでございまして、他方、これによってフェールが起きても全体の資金需給あるいはまた全体の国債発行政策に影響がないということで、これは御指摘のとおり十五日に破綻をしたということでございますけれども、入金が行われなかった、払込みが行われなかったということで、通常の作業の中でやったということでございます。
 ちなみに、十六日付けでこのリーマンはプライマリーから外したということでございます。
○福山哲郎君 プライマリーから外されたのはもう当たり前の話ですが、ただ二十四社がプライマリーに今いらっしゃるわけですけれども、現実にこういうことが起こらないことが一番でございますが、万々が一のときにどのような対応策を考えられるかも含めて、やっぱり国債は信用が重要です。
 軽微な、大して影響なかったと言いながら、これが例えば、度重なればいけないと思うんですが、何かあったときのために、是非そこは想定も含めて準備だけはしておいていただきたいということのお願いなんですが、いかがでしょうか、財務大臣。
○国務大臣(中川昭一君) 先ほど白川総裁もおっしゃいましたように、今の世界の金融情勢あるいは流動性については極めて緊張が高まっているわけでございます。日本はそれに比べれば相対的に安定をしていると認識をしておりますけれども、こういう世界を代表するアメリカの証券会社がある日突然、突然といいましょうか、こういう形で破綻をしてしまうということが現に起こっておりますので、今まで以上に、世界の金融危機の中で我々も混乱が起きないように今まで以上に緊張感を持って対応していかなければいけないと、こういうふうに思っております。
○福山哲郎君 我々も、財務大臣が言われるように、金融機能強化法の問題については復活をしていただきたいというふうに主張しておりまして、早く中身とそれから法案なりを整備をしていただきたいと思っていますが、この金融機能強化法については一体いつ、どのような内容で今御検討されているのか、お答えいただけますか。
○国務大臣(中川昭一君) 総理からの御指示で、金融機能強化法、今年の三月で切れましたけれども、これは健全な金融機関に対していわゆる貸し渋り、貸しはがしがないようにということで役に立つという総理からの御指示もいただきまして、今検討をしているところでございます。これは法律改正が必要でございます。それから、できれば内容も、使い勝手のいい、更に質のいいものにしていきたいということでやっていきたいと思っております。
 検討をしておりますし、また、これについては昨日も申し上げたように、世界の金融危機の中での日本でございますから、与党だけではなくて、民主党さん始め野党の皆様方、とりわけ福山議員にもいろいろお知恵を借りて、そしていろんな立場からの御意見を聞きながら、しかし時間はそんなに放置することもできませんので全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。時間は急いでいただきたいと思っています。
 もう一点、実は配当課税の問題です。
 自公合意の中で、実は来年の一月から上場株式の譲渡益及び配当への課税が非常にややこしい制度になっています。五百万以上とか百万以上については、それ以上の確定申告をすると。
 日本の株式のマーケットはシェアが外国人が六割以上を占めていて、だから逆に脆弱性が高いと。やはり個人の長期保有の株主等を育てていかないと、いつまでたってもこの国は株式市場が非常に脆弱している中で不安で投資家が損を被るという形になると思っています。そのときにやっぱり配当に対して国がインセンティブを与えるということは重要なことだと思っておりまして、とにかくお願いをしたいこと、二つ。一つは、確定申告みたいなややこしいことはやめていただきたいということ。二つ目は、軽減税率、要は一〇%の継続をお願いしたいこと。
 もう一つ例えば言わせていただければ、これは党でうちはまとめているわけではありませんが、党で私も議論をしていきたいと思いますが、ひょっとすれば、長期保有を条件に三年の期限付でこの配当課税等については例えば五%にするとか非課税にするとか、こういった思い切った政策ができないのでしょうか。要は、今は株価が下がっていますから利回りでいっても相当実は良くなっています。そのことも含めて、そういった思い切ったカンフル剤のような政策が必要だと思っていますし、そうすると長期保有をする人たちも増えてくると思います。
 是非、まずあの訳の分からぬ確定申告はやめてもらう。実は、この確定申告のおかげで、今日は時間がないので余り申し上げませんが、確定申告をしたおかげで、社会保険料等も含めると実は増税になる方々が出てきています。その事実は昨日財務省も認めていただいていると思いますが、そういう意味のないことならば、きっちり税金を取るから、分離課税でいいからといって一〇%とかもっと思い切っていただければ、配当課税について時限でゼロにするとか五にするとかという思い切ったことを与党内でも議論をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(与謝野馨君) 今、福山先生が言われた第一点と第二点については、昨日今日の自民党の税制調査会で議論の対象になっておりまして、私、大体の、予想はできないんですけれども、大体先生のお考えの方向の方の方が意見が多いように思っております。
 それから、第三点は議論はしてないんじゃないかと思います。
○国務大臣(中川昭一君) 私の立場からは、まず金融担当大臣といたしましては、証券市場の活性化ということが大事であろうと。今御指摘のように、取引が外国が大宗、半分以上を占めるという状況というのを国内の方々、個人あるいはまた法人を含めて参加をしていただきたいというふうに思っております。それから、やっぱり簡素化、そしてまた金融所得課税の一体化といった観点からの議論も必要だろうと思います。
 他方、私は主税局を担当している財務大臣でもございまして、それぞれの立場で、立場が違うからそれぞれの役所があるわけでございまして、それぞれの立場の主張というものは我々、私も十分頭の中に入れなければいけませんけれども、総理から兼任をしろというふうに言われた以上、私の頭は一つでございますので、頭の中でよく両方の部分を考えながら、与謝野大臣や総理の御指示をいただきながら、また、これ党での議論もございますので、そういうものも踏まえながら考えていきたいというふうに思っております。
○福山哲郎君 ここは、金融と財政担当の大臣が一緒になったことの利点として生かしていただきたいと思います。つまり、そこで何かどっちにも引っ張られて決まらないとかいうのではなくて、そこは政治決断をしていただくことが重要だと思っていまして、麻生総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 今言われましたように、確かに東京証券市場におけるフローは六〇%なんですよね、外国人の比率は。ストックはたしか三割切って二七、八かな、今は。ちょっと最近の数字よく知りませんけれど、そんなもんだと思います。
 したがいまして、そういった意味では、日本人のやっぱり、福山先生、意識として、やっぱり貯金の方が株よりは堅い。何となく、株というのは何か危ないとかいかがわしいとか、あの人は株やってるなんていうと、何となくちょっとというのがやっぱり私どもの田舎の方へ行くとかなり強いと思いますね。
 そういった中にあって、やっぱり貯蓄で一千四百五十兆とかいう巨大な個人金融資産ということになってくると、やっぱり貯蓄から投資ということに回っていくためにということを考える、そのための税制、そういったものは大変大事なものではないかなと、基本的にはそう思っておりますので、今おっしゃいましたように、こういったものは難しいのは駄目なんで、頭のいい人がやるとどんどんどんどん話が難しくなるでしょうが。だから難しくしないで分かりやすくするというのが大事なところだと思いますので、難しくしないようなことにしないとそっちの方へ回ってこないんだと思いますので……
○福山哲郎君 もうちょっとはっきり言ってください。もう少し明確に言ってください。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) だから、分かりやすく、今のところを。分かりやすい方向できちんと一〇にするか二〇にするか、何とかするのか、すぱっと分かりやすくしろという御意見も、私もそう思います。
○福山哲郎君 是非、その確定申告どうのこうのというのだけはもうとにかく外していただきたいと思っています。
 もうこれで次行きます。ちょっと時間がなくなってきました。食の安全でございますが、どれから行くかな。
 総理、実は汚染米の問題で、業者が一義的に責任があると、農水省も責任あるけどとずっと答弁をされています。実は一義的に責任は業者だけではないと私は思っていますので、そのことについてちょっと石破大臣と議論をしたいと思います。
 お手元にお配りをしている二種類の事故米の流通経路について見てください。事故米は二つ出てきています。今議論になっているのは、食料として合格をして実は事故米として流れている方です。石破大臣がいろんな決断をされて、もう出さないという話をされたのは、もう不合格になって現実に商社から出ていく方です。現実に商社からこの輸入検疫のときに駄目だと言われたものに対して積み戻しや廃棄をするんですが、これをするという御勇断を農水省はいただきました。
 これに関しては評価しますが、このコストは、大臣、どこで賄いますか。
○国務大臣(石破茂君) このコストは輸入業者が負担をいたします。
○福山哲郎君 そうすると、リスクがありますから、ミニマムアクセス米を輸入する業者が少なくなる可能性はありませんか。
○国務大臣(石破茂君) 委員よく御案内ですのでこれ端的な答弁を申し上げますが、それは輸入業者がリスクを負担するということになります。そのリスクを軽減をしようと思えば、保険に新たに加入するというようなやり方を取るのが民間業者の通例であるというふうに承知をいたしております。そうしますと、そのコストというものが転嫁される、あるいは調達価格にある程度反映されるということになります。私はそういう仕組みがリーズナブルだろうというふうに考えております。
○福山哲郎君 とにかくそのことについては、コストが余り税金等を使われないようにお願いをしたいと思います。
 それから二つ目、ごめんなさい、もう具体的なもので行きます。問題の三笠フーズです。汚染米が流通しました。私の地元の京都の保育園の園児がこれを食べました。野田大臣が行っていただいた保育園です。あそこの園長先生の前の園長先生は私の高校の担任の先生だったんです。大変な、園児が、親も含めて、保護者も含めて心配をされていました。
 一つ、農水省は、この三笠フーズに、各農政事務所に対して三笠フーズを紹介していた事実があるかどうか述べてください。
○政府参考人(町田勝弘君) お答え申し上げます。
 事故米穀の売却に当たりまして、過去に購入実績のある業者に対しまして入札への参加を促し多数の入札参加者を得ることは、より競争性が高まることが期待でき、競争入札の趣旨に沿ったものというふうに考えております。
 このような観点から、事故米穀の売却を行う農政事務所等の求めに応じまして、本省が三笠フーズを含めた過去に購入実績のある事業者を示したことが確認されております。三笠フーズの不正行為を長年にわたって見逃してきたため、過去に購入実績のある事業者の一つといたしまして三笠フーズを示してしまったということについては十分深く反省しているところでございます。
○福山哲郎君 では、農水省本省から各地方農水事務所に対して早く汚染米を売れと指示したことはありますか。
○政府参考人(町田勝弘君) お尋ねの件でございますが、十八年の四月十一日付けで総合食料局の消費流通課長名で「政府所有物品(事業用)の亡失・損傷事故に係る迅速な処理について」という文書を各農政事務所長あてに発出しております。これは、事故品に係ります一連の処理につきまして長期を要しているものが見られ、会計検査院等から事務処理が遅いとの指摘を受けまして、事故品の早期売却、求償又は無責認定の伺いの提出など、迅速な事務処理に努めることを指示したものでございます。
○福山哲郎君 総理、いいですか。農水省から三笠フーズを紹介をして、早く売れと地方に督促を出して、そして早くやれやれと売りに行っていたんです。これが実際なんです。だから、三笠フーズが一義的に悪いのは分かっているんですけれども、現実の問題として、農水省と農政事務所は検査をいいかげんにしながらこのことを放置していた事実は間違いないんです。
 問題は、去年一月に垂れ込みがありました。垂れ込みがあったときに、実は私、通知書を見たんです。その垂れ込みの、要は垂れ込みがあったから、簡単に言うと、調べろという通知書が行っているんですけど、その通知書には垂れ込みがあったことも書いてないし、それから実は、お手元にある、すごい問題なんですけど、この検査成績書というのが入っていたことも実は農政事務所からは全く通知が行ってないんです。この検査成績書というのは大問題で、普通、主食の米が流通するときにこんなものは付けないんです。こんなものを付けていること自体怪しいんです。なおかつ、この垂れ込みには怪しいという文言が書いてあったんです、具体的に。それでも実は、調べろという通知書には全くこの内部通報の事実も検査成績書が入っていた事実もなく、ただ淡々と在庫を確認しなさいという通知書で検査に行って発見できなかったという事実があります。これで間違いないですよね、石破さん。
○国務大臣(石破茂君) 事実関係はおおむね委員御指摘のとおりであります。
 したがいまして、そういう垂れ込みという言葉を使うか通報という言葉を使うかは別にいたしまして、そういうのが来て、実際に現場に出した指示はこれは間違いです。それに従って三袋足りないとかそういうようなものは、全くこれは通報の趣旨に沿っていません。かくかくしかじかこういうようなことを検査をしなさいという指示もちゃんと出されていない。その責任は問わねばならないと思います。
 そしてまた、そこにおいて何が指摘されていたのかということの認識は、これは本省も現場も持たねばならないことであって、食の安全にかかわる官庁として誠に不適切であったとおわびを申し上げねばならぬことだと思います。
○福山哲郎君 更に言えば、この通報後、立会検査の数、お手元にありますが、この二〇〇七年一月からというのは通報後なんですけど、三笠フーズ、それから浅井、太田産業、全部実は、回数増えているんですよ。これ、何で回数増えたんですか。
○政府参考人(町田勝弘君) 御指摘いただいたとおり、この十九年一月の情報提供後、立会いの回数が増えております。
 その主な理由でございますが、メタミドホスが残留いたしました中国産のモチ米を、浅井、太田といった社に対しまして、平成十八年十二月から十九年五月にかけまして販売しております。これを受けまして両社から提出されました加工処理計画における加工の回数といったものが増加したということ、また十九年一月の情報提供を受けまして契約の履行確認のための立会いの回数を増やしたということによるものと思っております。
 このように、立会いの回数は増加したわけでございますが、チェック方法が甘く、横流れを見抜けなかったということにつきましては、深く反省しているところでございます。
○福山哲郎君 この立会いは全く機能しなかったことはもう世の中明らかなとおりです。
 今回、僕びっくりしたんですよ。この九十六回のうち、通報後の四十九回、大体平均すると二人から三人、検査に行っているんです。この検査、二時間ぐらいの検査、日当出ていますよね。事実をお答えください。
○政府参考人(町田勝弘君) 九十六回の立会いにつきましては、国家公務員等旅費に関する法律に基づきまして日当が支払われております。
○福山哲郎君 何も機能しなかった。行って、実はこれ、済みません、もう一個つまらないことを聞きます。公用車利用されていますよね。
○政府参考人(町田勝弘君) 公用車の利用が主というふうに、主でございます。
○福山哲郎君 地方の農政事務所が、こういった指示が出て通報があって立会いに行っているのに、全く見付けられなかった。報告書全部見れば、十時から十二時、相手の指定された時間に行って、相手の指定されたものを見て、大丈夫だと言って報告書を書いてきた。公用車を使って行って、二時間座って行って、自民党の先生の予算委員会の質疑の中では、茶飲み話をしてきたという指摘がありました。それで日当付いているんですよ。
 私は、日当の大小のことを言っているのではありません。このことが、いかに農水省の、地方の農政事務所も本省も含めてたるんでいるか、けしからぬことか。大臣、どうですか、これ。
○国務大臣(石破茂君) 御指摘はそのとおりであります。全く弁明の余地はございません。私は、今農水省をお預かりしておりますので、人ごとのように申し上げるつもりは全くございません。
 私も現場へ行きました。行って、農政事務所に行ってその書類も見ました。行っているのは二時間。そしてまた、その書類はだれも見ていない。書いただけでそれがファイリングされている。上司も見ていなければ本省も見ていない。こんなものは検査とは言わない、立会いとは言わない。
 そして、それをやっているのに、私もあの三笠フーズを、工場も見ました。粉状にする機械も見ました。だとすれば、その量を粉にするのにどれぐらいの時間が掛かるのか、それはずっといなければ分かりません。そして、それがやられたと仮にないとすれば、その機械がどれぐらいの電力を使用するのか、電気代はどれぐらい払っているのか、それがちゃんと稼働しているのか、そんなことは見りゃ分かることです。難しい話でも何でもありません。形式に出していたと言わざるを得ない。このことの責任は極めて重大でありまして、このことについて責任はちゃんと問います。そして、処分も厳正なものを行います。
○福山哲郎君 この旅費はどこの会計から出ていましたか。
○政府参考人(町田勝弘君) 申し訳ございませんでした。
 九十六回の立会いの出張旅費の支出でございますが、八十九回が食料安定供給特別会計から、残りの七回につきましては一般会計から支出されております。
○福山哲郎君 これも特会か一般会計か使い分けしているんですよ。よく分からぬのですよ。つまり、特会がある種の自由な財布になっている、これも大臣、お認めいただけますよね。
○国務大臣(石破茂君) これは、なぜ使い分けが行われたかという点も含めて、きちんと調べまして御報告を申し上げます。この特会というものが便利に使われて、そしてそれが旅費、旅費がどれぐらい払われたか、私はすぐ調べますが、そしてまた、これは今局長から答弁申し上げましたように、その規定に従って支払われたと承知をいたしておりますが、それがちゃんと目的を達しなかったときに、これ本当に払ったままでいいのというような、そういうような議論はあるんだろうと思いますね。そこのところをどう考えるかは、調べまして早急に御報告を申し上げます。いいことだと思いません。
○福山哲郎君 私、もう時間がなくなったので、もっとお伺いしたいこといっぱいあったんですが、一つは、農水省が公表されました、いろんな流通経路。一番、実は消費者のところ、先ほどの保育園とかから、それから現実には非常に上流のところ、三笠に近いところまで一遍にやられました。これの法的根拠を石破大臣お答えください。
○国務大臣(石破茂君) 農水省はこれを公表する法的根拠を有しておりません。
○福山哲郎君 これ、何も分からずに仕入れたところ、それから実際に在庫として置いてあって全く使用していなかったところ、これは危ないなと直感的に感じて、もう全く使用しないで廃棄処分を自費でやったところ、いろんなところがあります。それを一遍に公表されたおかげで大変な風評被害が起こっています。
 これ、実は手紙が来ました。
 問題は、回収され全く使用していないのに、転売にかかわった業者として農水省のリストに載り、そのまま公表されたことです。そのために、まるで犯罪者のような言われ方で、尋問のような質問をテレビ局、新聞社から連日ひっきりなしに浴びせられ、幾ら説明しても反論しても信じてもらえないことです。何を言っても相手にすらしてもらえないことです。帰省したとき、両親はやせて目はうつろで、憔悴し切っていました。報道されてから約一週間、たった一人のお客様も来られず、売上げゼロの日が続いています。でも、困っているのはお金ではありません、信用ですと。
 一体、どういう根拠でこれは公表したんですか。
○国務大臣(石破茂君) 当時、食の安全の確保を最優先するという観点から、法的根拠はないけれども、関係企業等の名称を公表するというふうに決定したというふうに承知をいたしております。私は、当時いなかったからといって、責任を回避するつもりは全くございません。農水省はそのまま責任を受け継いでおりますので。
 それで、委員御指摘のこの風評被害というものに対してどうするかは、これは本当にその方々の身になって考えなければいけないことです。そして、同情するだけではもうどうにもならないので、それは我々の責任ですから、その企業が本当に経営がやっていけるようにするのは私は国の責任であると考えております。したがいまして、すべてのこの公表した会社さん、事業者さんのところに農政局長、農政事務所長、全部行かせました。そして聞き取りもいたしました。それは全部私が読んでおります。できる限り私の方からもお話をさせていただくようにしております。
 それで、金融的な支援が何ができるか、支援がどういうことができるか。そして、こういうものは安全なんですということは私どもの責任でやらねばならないことです。それは新聞に全面広告打ちゃそれでいいというような話ではございませんので、地方紙も含めてどのようにやるか。
 いずれにしても、いかな安全第一とはいえ、公表したことによって、まさしく委員御指摘のように、売上げが物すごく落ちちゃう。そういうような中小企業の資金繰りというのはどんなに苦しいかというのは、私も銀行員やっていましたからよく存じております。本当にそういう方々が、農水省が本当に親身になって、政府全体でその信用の回復、のれんの回復、一番傷ついたのはのれんです、信用です。そのこともよく分かっております。政府として、私として、本当に納得していただけるように、スピード感を持って、これは全力を挙げてやらせていただきます。
○福山哲郎君 何もしなかった結果、これだけまた税金を使い、国民に迷惑を掛けています。
 もう私質問をやめますが、ほかにも言いたいことたくさんありました。実は消費者庁の議論が出ていますが、今回の垂れ込みでいうと、実は、食糧法に、マニュアルに農水省はしましたので、実は消費者庁ができても実は検査の限界が出てきます。そのことも含めて消費者庁の議論ももっとしていかなきゃいけないと思いますが、今日また農薬出ました。メラミンの問題もありました。中国産のギョーザもありました。このMA米の一部に実は中国の米も入っていました。
 これは、やっぱり中国からの輸入品、食料品の輸入に対して、私どもはやっぱり必要だとは思いますが、どういう検査体制が本当にやらなければいけないのか、また中国政府にどのような強い抗議若しくは申入れをしなければいけないのか。これはやっぱり総理の決意だと思いますし、総理、このことについて、それから先ほど言ったように、これだけのことがあっても一義的には業者だとおっしゃるのか。私は、ある意味でいうと責任は農水省にも十分あると思いますので、そのことについて御決意と御答弁いただいて質問を終わりたいと思います。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 二つ御質問があったんだと思いますが、一義的にはやっぱりそれは危ないんじゃないかなと知りつつ食料に流した業者の、これはモラルハザードとかいろいろな表現ありますけれども、これは大きいですよ。私は、そういったもの、これ固まらないというセメントで売っているような話ですからね、これ。食い物ですよ、しかもこれは。食べ物ですから、これは物すごい、モラルとしては物すごく大きいですよ。(発言する者あり)それはもちろんですよ。だから、自分の食べ物ですから、これは特に。
 だから、自分の作っている商品をきちんとしたモラルを持って売るということがやっぱり製造業者としては物すごく大事なことだということを申し上げているんで、何となくセメントをばかにされたような言い方はちょっと不満でしたけれどもね、今のは。自分の作っている製品に関して責任を持つというのは業者としては大変なことです。それが一番だということを申し上げたいんです。食い物というところが一番問題なんだというところをおっしゃいますんで、これが一番だと申し上げている。
 しかし、先ほど石破農林水産大臣から申し上げましたように、これは、それを看過したという点に関しては、裏でつながっていたんじゃないかとかいろいろ御批判のあるところだと思いますので、この点に関しましては、これは極めて責任が重たいというのもはっきりしております。
 もう一点のことに関しまして、中国のものに関しましては、これは基本的には外務省、農林省、いろいろな政府として申し上げにゃいかぬところだと思いますが、向こうにこれまで福田内閣のころからこの話はずっと続いてきておった話でもありますので、私どもは、少なくともこれを日本に今後とも輸出をしようというんであれば、しかるべき検査体制をきちんとしてくれと。言ってもやらないのならこっちできちんとやらなきゃ、その分だけコストが掛かりますけれども、そういった問題を、検査官を増やしたりなんかするのは当然コストが掛かります、こちら側も。
 そういったものを含めまして、私どもとしては、この食料というものが輸入されるということに関しましては、これはどこの国の話でも同じことですが、きちんとした基準というものをクリア、通過しておいてもらわないと、私どもとしては、その対応としてはこれ、いろんな意味でノーということを言わざるを得ないということになるということを私どもとしては今後とも言い続けねばならぬところだと思っております。
○福山哲郎君 終わります。ありがとうございました。(拍手)

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第169国会  参議院  農林水産委員会 2008年9月18日

汚染米問題


○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
 今日は農水委員会で質問の機会をいただきましたこと、それぞれの委員の各位に心から御礼を申し上げたいと思います。
 私にいただいた時間が三十分しかありませんので、もう単刀直入に申し上げたいと思いますが、実は十二日に流通の経路が明らかになったときに、新聞報道も多く出されました京都市の上賀茂保育園というところがございます。これは私事で恐縮でございますが、この上賀茂保育園の前の園長先生が私の高校の担任の先生でございまして、今、息子さんが園長先生をやっておられます。報道で知って、私、次の日に慌てて保育園に行っていろんなお話を伺ってきました。
 もう、まさに憔悴し切っておられまして、対応が早かったもので保護者の方への説明もちゃんと十二日の夜にされて、その後すぐに京都市も動いていただきまして、その元々残っていた在庫のパックと、それから料理をしていた赤飯も検体をいたしまして、今その安全性について、まあ大丈夫ではないかという議論が出て、我々もほっとしているところでございます。昨日も検尿、園児百五十人ぐらいですが、検尿を実施されまして、今日、全員の健康診断をやっていらっしゃいます。健診をやられています。つまり、このぐらいのことをそれぞれがやって初めてやっと安全だと。
 当時、保護者の方は、親の知らないところで目に見えないものが子供の中に入っていたと、体内に入っても安心な量だと説明されても安心はできないと、ただし保育園には罪はないのでといって、大変保護者の方も冷静に対応していただきました。
 そのような親や、それから老人ホームや老健施設でも実際に流通していることが明らかになったときの御家族のことを考えたときのあの大臣の無責任な、人体に影響ないということは自信を持って言えると。まさに、先ほど平野委員がおっしゃいましたように、どのぐらいの汚染の広がりがあるのか、どう流通しているのか、それぞれの商品の濃度が明らかに全くない段階であのような発言をしたことの無責任さに私は大変憤りを持っておりまして、まずそのことについて、先ほども釈明はございましたけれども、一言お願いしたいと思います。
○国務大臣(太田誠一君) 先ほども申し上げましたけれども、私が申し上げたのは内閣府の食品安全委員会の見解について申し上げたことでございます。内閣府の食品安全委員会が示した見解について私が述べたものでございます。
○福山哲郎君 もうこの話は幾らしてもしようがないですが、大臣の発言はそんなことは全く発言の前後にもありません。人体に影響ないということは自信を持って言えると、だから余りじたばた騒いでいないという話で。で、安全宣言かと聞かれると、いや、そうではないと。全く何を言っているのかよく分からないというのが実態でございまして、この話は大臣の不適格性を現しているのでもうこれ以上求めませんが。
 それで、実は大臣が先ほどから声高に言われている再発防止策のところでございます。
 事故米穀の販売をやめ、輸出国等への返送や焼却等廃棄処分をして流通しないようにするんだと言われています。お手元に資料をお配りしておりますが、これ、厚生省の検疫官からお伺いをした資料でございます。そこから若干抜粋をして作りました。
 実は、メタミドホスを始め今回流通経路がより明らかになっているのは、大臣の言われた事故米として検疫所でもう既に排除されて、そして積み戻しなのか廃棄なのか、更に言えば、非食用として外へ出すのかの選択をされる事故米の話ではありません。もちろん、これも、先ほど平野委員が言われたように、商社を通じて外へ出てきています、三笠フーズにも入っていますが。実際には政府が食用として保管をしていた中で汚染米として出てきたものについて今回流通をしているわけです。
 今大臣の言われた廃棄と積み戻しをしてなるべく流通しないようにするということは、それはもちろんですが、それだけでは足りません。今問題になっているのは、食用として入ってきて保管をしながら汚染米としたものに対して流通しているわけですから、そのことについての認識について全く言及がないことについて、大臣、御答弁ください。
○政府参考人(町田勝弘君) 私から大臣の談話等、冒頭発言、補足をさせていただきたいと存じます。
 まず一点目、水際で出たものにつきましては、おっしゃるとおり今後は返送するということでございます。また、これと併せて、いったん入って、国内で保管している間に食品衛生上問題があるようなもの、これにつきましてももう国内流通はさせない、消費者の方に不安を抱かせないように国内流通をシャットアウトするというのを基本とするということで、食品衛生上問題があるものについての扱いは中に入っても同じというふうな方向で今整理、今決定していただいたところでございます。
○福山哲郎君 それならもっと早く明確にされればいいじゃないですか、大臣。何でそのことの言及はされないんですか。
○国務大臣(太田誠一君) 私は言及しているつもりでございますが、何か途中で言葉の使い方が間違ったのかもしれませんけれども、要するに、戻せるものは返す、返せるものは返すと、返せないものは焼却など廃棄処分にするということでございます。
○福山哲郎君 じゃ、お伺いしますが、今まで廃棄、積み戻しがされなかった理由は何ですか。
○政府参考人(町田勝弘君) このお配りしていただいた表にもございますが、検疫所長からこの三つの選択肢が示されまして、輸入者の判断ということで工業用として処理をされたということでございます。
○福山哲郎君 ですから、今まで輸入者の判断として工業用として処理されたものを政府が積み戻し、廃棄に決められる根拠は何ですか。
○政府参考人(町田勝弘君) これは今後の取扱いでございますが、私ども、この輸出国等への返送につきましては、具体的には国と輸入業者が契約をいたします、そのときにこういった問題があった場合は返送するということを明記して担保したいと考えております。
○福山哲郎君 はっきり申し上げますが、商社は積み戻すとしても廃棄するにしても、コストが掛かるから工業用として外へ出させてくれと言ってきたわけでしょう。そのコストの負担はどうするんですか。契約をするとおっしゃいますが、現実の問題として今までできなかったことが今回できることの根拠を明確にお示しください。
○政府参考人(町田勝弘君) この点については更に詳細な規定ぶり等を詰めようと思っておりますが、確かに一義的にはその時点では輸入商社の負担となるわけでございますが、かかることがないように輸出国側に対してきちっとした衛生上の担保をするという働きかけをしていくというふうに考えております。
○国務大臣(太田誠一君) なぜそんなことをしていたのか、なぜすぐに戻さなかったのかということについては、私は、最後の負担はこれは輸出をしている国とか輸出をしている国の生産者あるいは取扱業者の負担になると思います。転嫁されていくはずでございます。そこのところが、輸入をした方に責任が生じて余分なコストが掛かるんじゃないか、事故米は工業用として処分した方が安上がりだというふうに局部の計算をしたんではないかというふうに思います。
○福山哲郎君 じゃ、正直言って、このことが実現されるかどうかについてはまだ根拠も、それから相手国との交渉も、それから輸入業者との交渉も含めてまだだということですね。
○国務大臣(太田誠一君) その責任を、輸出業者として責任を負いたくないというところからは買わないという自由はあります。
○福山哲郎君 ということは、そのことをもってこのことを実現すると、別にこのコストについては国が負担をするという判断ではないということですか。
○国務大臣(太田誠一君) 基本的には、輸入するときの契約で相手側の国においてその基準値を超えたものだけを輸出することになっておりますので、その負担は基本的には相手方の負担になるというふうに考えております。
○福山哲郎君 基準値を超えていないものですよね、を輸出することになっているんですよね。
 だけど、国内にいったん食料米で入ったものについてはどこが責任か分からなくなりますよ。
○国務大臣(太田誠一君) 国内に一回入ってしまったものについては、先ほど言いましたように、焼却など廃棄処分にするわけであります。そのためのコストは当然掛かるわけでありますけれども、それは誠に申し訳ありませんが、財政負担でやらなければいけないということであります。
○福山哲郎君 そこまで一応御決意をいただいたので、早く制度を整備して、根拠のない状況でこうやって宣言だけ、スローガンだけ言われても我々は信用できません。それはなぜかというと、実際にこうやって非食用だと言われているものが転送されて流通しているからです。そこについてはしっかりと根拠を示していただきたいことをまず強く申し上げます。
 それから、次の質問に行きます。
 これらの事故米について、本省側からそれぞれの農政事務所に早く売却をして処分しろという命令を出した事実は一度たりともあったかなかったか、明確にお答えください。
○政府参考人(町田勝弘君) 御質問でございます平成十八年四月十一日付け、総合食料局消費流通課長名で「政府所有物品(事業用)の亡失・損傷事故に係る迅速な処理について」という文書を各農政事務所長等に発出しております。
 これは事故に係る一連の処理につきまして長期を要しているものが見られ、会計検査院等から事務処理が遅いとの指摘を受け、事故品の早期売却、求償又は無責認定の伺いの提出等、迅速な事務処理に努めるということを指示したものでございます。
○福山哲郎君 まず、本省側から早く売却しろという指示をあちこちに出していると。
 次です。じゃ、本省や農政事務所から業者に対して早く買ってくれというようなことをお願いをしたり指示をしたりしている事実はありますか。
○政府参考人(町田勝弘君) 事故米穀の買受け資格を有する方々に対して入札等での積極的な参加を要請するということは過去にあったというふうに承知しています。
 ただ、この入札を促すこと自体は、複数の方が参加するわけでございます。より競争性が高まることは期待できるということから、競争入札の趣旨を踏まえますれば、一概に否定すべきものではないと考えております。
○福山哲郎君 これ、実は回答いただかなかったんですけど、昨日から何回も要請をしていますが、じゃ、三笠フーズは五十五回、四年間で購入をしていますが、随意契約の占める割合はどのぐらいですか。
○政府参考人(町田勝弘君) 五十五回のうち随意契約は四十四回でございます。すべて理由は少額、五十万円未満であるためでございます。
○福山哲郎君 それから、後でもう一回このことを聞きます。
 三笠フーズは平均すると、五十五回のうち、キログラム十一円で大体この事故米を入札をしています。もし本当に工業用ののりの原料に使われると仮定したとしても、工業用のりの原料価格は三円から十円です。十一円で仕入れています。工業用のりの原料価格は三円から十円です。
 いいですか、本当に工業用のりのために売却するんだったら、三笠フーズに対して国は赤字をのめと言って随意契約していることになりますよ。分かりますか。赤字をのんで買ってくれと言ってお願いをしている。これ、すごく重要なんです。じゃ、何で赤字をのめと言われて三笠フーズはわざわざ随意契約でそれを買うんですか、民間が。おかしいでしょう、普通で考えれば。
 類推すれば、類推ですよ、私は特定はしませんが、赤字だけど、どうせ工業用のりに使わないんだと、転用してもうかるんだろうということをどこかの時点で知っていると類推されても仕方ない状況だと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(町田勝弘君) 事故品のこの売却でございますが、事故処理要領というもので指名競争入札又は見積りの随意契約で実施するとされております。このため、入札の参加有資格者のうち、実際に当該物品の入札に参加した者の中で最も高い札を提示した者が落札、契約するということになります。
 ただ、今思えば、落札価格が他の事故米買受け者より高いということも念頭に更に適切に調査進めるような余地があったんではないかと、この点反省しております。
○福山哲郎君 いや、違うんですよ。随契で五十五回のうち四十四回も三笠に行っているんですよ。で、先ほどまさにお話をいただいたように、本省から農政事務所に早く売れと言っている。そして、現実の問題として、あなたは明言しなかったけど、もう一度言います、入札公告ではなくて随契でやっている四十四回について、農政事務所の方から三笠フーズの方にとにかく買ってくれというような接触は本当になかったのかどうか、お答えください。
○政府参考人(町田勝弘君) 当然のことながら、買受け資格がある方には連絡をしておるということでございます。
○福山哲郎君 今のはほぼ認めたことになるわけです。
 ですから、構図としては、本省から早く売却しろと言って、農政事務所はそれを早く売却しなきゃいけないという状況の中で、現実にそれを三笠フーズに対して随意契約で、おい、出ているから買ってくれという交渉をしている、なおかつ、そのコストは工業用ののりの原料に使うより高く。普通なら、何で三笠フーズが買うんだろうなと思いませんでしょうか。
 これ、もう一回御説明いただけますか。
○政府参考人(町田勝弘君) 繰り返しになるかもしれませんが、過去に購入実績がある者に対しまして入札を促すこと自体、これは一概に否定すべきではないと考えております。
 ただ、いろんな報道もされております。私ども、事実関係を正確に把握する必要があると思っております。今、三笠フーズが購入した経緯、こういったものについて確認を進めているところでございます。
○福山哲郎君 全く納得できないんですけど。
 それでは、先ほど平野委員も御指摘をされた九十六回の検査について御質問をします。
 なぜ把握できなかったのかというのはもう先ほどからさんざん言われていますからあれなんですが、私もこれ見ました。実は、垂れ込みのあった、通報のあった平成十九年の一月の二十九日から一気にこの立会調査が増えています。何と、平成十九年の一月の二十九日から四十八回、今年に入って何と三十二回立会調査が行われています。
 現実の問題として、この立会調査はどういう基準で行っていますか。これね、ほとんど今年に入ってからですと三日に一遍とか一週間に一遍なんですよ。簡単に言うと、平成十九年の一月二十九日の通報があってから圧倒的にこれ増えているんです。どういう状況でこれ行っていますか。
○政府参考人(町田勝弘君) そういった情報が提示されたということで、横流れ防止のための立会を、結果的には不十分でしたが、強化をしたということかと存じます。
○福山哲郎君 強化をした。
 実は事前通報があったかどうかが大変な争点になっているんですが、事前通報って、大臣、これ、ないんですよ。なぜかというと、これ全部見ていただいたら分かるように、工業用のりに加工するのに米粉に加工するんです。その状況の、加工を見てきたという報告が全部書かれているわけです、さっき言われたように十時から十二時がほぼ決まった時間なんですけれども。この日数は加工をされている日数なんです、加工を形だけしたときの日数なんです。
 これ、あれですよね、事実を認めてくださいね。三笠フーズから加工をしますという報告を受けてこの人たちは、農政事務所からは検査に出向いていますよね。
○政府参考人(町田勝弘君) 地方農政事務所の立会い確認でございますが、契約に基づきまして加工計画書というのを提出することになっております。その中に加工日というのが書いてございます。その加工日のうちの中から日時を決めて立会い等を行ってきたということでございます。
○福山哲郎君 加工日が決まっているからその加工日に行きます、行って形だけ加工をしてもらって、当たり前のようにいつも同じような報告書を書いて、十時から十二時、いるかいないか分かりません、昼御飯をごちそうになったかどうかも分かりませんが、帰ってきます。
 現実の問題として、じゃ、加工日以外に転用されていたり流通で事故米が流されていたりしていることについては全く関心がなかったわけですね。
○国務大臣(太田誠一君) 九月五日にこの不祥事を知りまして、明けて月曜日に農林水産省幹部を呼んで、そのときにこの件については報告を聞きまして大変びっくりしたわけであります。
 予告をして、予告をして検査に行く、あるいは一年間のうちのいついつ定例日に検査を行く、あるいは相手側と都合を調整して行くということをやるんでは検査にならないわけでありまして、立会い検査というのは抜き打ちでやるもの以外は立会い検査と言わないと。だから、以後は検査というときには抜き打ちでやらなければいけないという制度に変えるということを決めたところでございます。
○福山哲郎君 そんな今の話を聞いているんじゃないですよ。事実を述べてください。
 つまり、加工日を農政事務所は三笠フーズから聞いて、更に言えば、その時間まである程度毎回同じ時間に行って、その状況を見せられて、その報告を書いて帰ってきたということですよね。
○国務大臣(太田誠一君) そのときに、九月八日に私が聞いた話では、相手側と日程調整をして行ったというふうに聞いております。今委員が御指摘の点はその中に含まれるかと思います。
○福山哲郎君 つまり、加工日を教えてもらって、向こうは偽装することを手ぐすね引いて待っているところに行って、はい、やりましたよといって、そして、それに沿って報告を書いてきたのが九十六回なわけですよ。こんなの検査って言わないでしょう。
 よく言われている話ですが、運送伝票を確かめられましたか、出荷伝票を確かめられましたか。銀行の帳簿、銀行伝票を確かめられましたか。
○国務大臣(太田誠一君) 今御指摘の点はそのとおりでありまして、前もって通報して行くのは、これは検査と認められないということであります。
○福山哲郎君 いや、違う違う、後半の部分です。
○政府参考人(町田勝弘君) 確認につきましては、全く今考えると調査方法大きな問題があったんですが、加工をする現場を、加工するところを見るということでその日時に行っていたということでございます。また、これと併せて、台帳によりまして工場の受入れ数量と販売数量の確認を行ってきたということでございます。
○福山哲郎君 それは確認とは言いませんよね。
 じゃ、どういうことで三笠フーズはその偽装加工の合間をくぐって事故米を流通させていたと農水省はお考えですか。
 もう大臣、結構です。
○政府参考人(町田勝弘君) そこで二重帳簿等で見抜けなかったわけでございますが、そのときだけやっていて、あとはまた出荷等をしていたということかと思います。
○福山哲郎君 二重帳簿もくそも、だって皆さん、加工した状況を見て、この報告書を見れば分かるじゃないですか、加工していますと。加工した状況だけ見て、何パック加工しましたというのを見て、それで帰ってきているわけでしょう。その加工している以外の時間に汚染米を転用しているわけでしょう。悪いですけど、どこにそれが行っているか、少しの知恵があれば、出荷伝票を見たらすぐ分かる、数が合うか合わないかを見ればすぐ分かる。
 いいですか、在庫の汚染米から、事故米からどの程度の米粉ができて送られているか、数合うじゃないですか、すぐに考えれば、計算すれば。それ、合わないはずなんでしょう、現実には一部しか加工していないんだから、偽装しているんだから、あなたたちに見せているときしか加工していないんだから。
 これも私は、類推です、決め付けません。しかしながら、先ほどの、買えと言われて、買えと言われて、例えば原材料価格がコスト割れにもかかわらず買えと言われて買って随意契約をしていたこと等を含めて、九十六回、なおかつ通報があった後も加工日を教えてもらって行っていた、十時から十二時の決まった時間だったと。これ、本当に農水省は知らなかったんでしょうか。これ、もし知っていたとしたら共犯ですからね。
 もし疑いがあるんだとしたら、怪しいんだと思っているんだったら、それこそさっき私が申し上げた銀行帳簿にしたって出荷伝票にしたって、見ようと思えばそのチャンスは幾らでもあったはずだ。どう思いますか。
○政府参考人(町田勝弘君) 今御指摘いただいたように、この調査方法、非常に不十分であった、出荷台帳を見て出荷先に行けばそれは押さえられただろう、全く御指摘のとおりだと思います。大変甘い調査方法だったというふうに反省しているところでございます。
○福山哲郎君 それともう一点、平成十九年の一月の二十九日に最初の通報がありました。そのときに、実は我々の部門会議での報告書にも書いていないんですが、一体いつどのような調査をこの通報の後にしたか、実は報告書を持ってきてくださいと何度も申し上げているんですが、一切出てこないんです。
 実は、一月の二十九日にこの通報があって、平成十九年のこの立会は、三月の六日まで約二か月、間が飛んでいるんですよ。この間調査をしていたというのが、僕は善意に解釈したいと思いますが、その報告書、全く持ってきてもらえない。なぜですか。
○政府参考人(町田勝弘君) 確かにその間に調査をしておりまして、やっております。また、今回は立会の九十六回の分の資料要求ということで私ども承知しておりまして、出させていただきました。その分の取扱いについてはまた中でよく相談をさせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 相談って、けしからぬことを言わないでください。当たり前でしょう、最初の通報の後に農水省がどんな調査をして、その結果をどういうふうに本省に報告したかをここに出すなんというのはもうごく当たり前で、相談という言葉が出てくること自身、けしからぬと私は思う。
 大臣、こんなの当たり前でしょう、資料を出すの。当たり前ですよね、こんな資料出すの。
○国務大臣(太田誠一君) ちょっと……
○委員長(郡司彰君) 質問、もう一度繰り返してください。
○福山哲郎君 大臣、時間もったいない。いいですか。いや、時間ないから、大臣、お答えください。
○委員長(郡司彰君) 通告があって以降、二か月間の間の報告書を出していただけますかという質問です。
○国務大臣(太田誠一君) それは提出させます。
○福山哲郎君 つまり、これも、申し訳ないですけれども、通報があって調査を形としてはしたけれども、一月の二十九日通報があった後、三月の六日から立会調査がスタートするわけです、再開するわけです。再開をしますが、それは、頻度は増えています。頻度は増えているけれども、加工日を教えてもらって同じように行っている、それで同じような報告書を書いている。
 これ、この二か月出してくれていない報告書の中身を見ないと、精査しないと言えませんが、これは、下手すれば農水省、不作為責任問われますよ、こういう通報があったにもかかわらず、数だけ増やして、アリバイのように調査回数は増やしましたと。これ、大臣、そういうことを言われてもしようがないですよね。
○国務大臣(太田誠一君) 九十六回、五年間に九十六回だということがまず頭にありましたけれども、もっと間隔を縮めればもっと頻度が多いということで、これはおかしいと、異常であります。私は、そういう今言ったような、委員の御指摘のようなことも考えられるし、また、販売の担当者と検査の担当者兼ねているからどっちの用で行ったのか分からないというぐらいに思っております。
 したがって、これは、今日か明日にも内閣府に第三者委員会が立ち上がりますので、立ち上げましたので、そこで第三者の目から厳正に見てもらいたいと思います。
○福山哲郎君 第三者委員会は、それは政府の責任でやってください。しかしながら、我々は国会の場にいる者として、これだけ不審なものが出てきて不透明な状況の中で、第三者委員会はそれは政府の責任でやればいい。しかし、国会は更に継続して開会をしていただいてこの問題については徹底的に追及していかないと、国民の食の安全に対する不安と不信感は払拭できないと私は思うんですよ、これ、実は流通経路まだまだ解明されていないことたくさんありますから。
 大変実は問題で、もう一つ最後にこれを指摘して終わりたいと思いますが、先ほどの話で申し上げると、流通経路が複雑なので中に仲介業者がたくさん入りますから、値段が最初は三笠からは安く出ても、そのうち価格がオンされますから、最終消費者の近くに来れば来るほど値段は変わらなくなるわけです、普通の商品と。そうすると、最初の上流の業者の方は、値段が普通に比べれば異常に安いわけですから、何らかの形でこれはおかしいんじゃないかということは分かっているはずなんです。
 私は、実はある業者の方にヒアリングを、直接聞きに行きました。名前は絶対出すなとおっしゃいましたけれども、現実には安い米が入ってきたら、これは何らかの危ない米なんじゃないかというのはみんな分かっていると言うわけですよ。つまり、そこで、善意の第三者ではなくて、ある種、三笠フーズが安く卸しているのは分かった中で流通をさせている業者が一体どの程度のレベルなのかというのも、これもすごく特定のしにくい難しい作業なんですね。そのことをもって実は全部の業者を一遍に公表したことの公表基準の正当性も含めて、これは明確にちゃんと説明をしてもらわないと困る。
 私のヒアリングをしたある業者の方は、これはまずいと思って、付き合いだから引き取ったけれども、在庫でずっと置いておいて全然使っていないと。でも、名前が出てしまって今、頭を抱えているとおっしゃっているわけですよ。先ほどの上賀茂保育園なんか、最終消費者として、園児に調理をするときに、頼んできたら、調理をして渡したら、それが残留農薬が基準の二倍だったと。もうたまらぬですよ、こんなの。分かりますか。
 そのスタート時点で、農水省が先ほど申し上げたようなことを、余りにもいいかげんなことをやっていることに対する農水省の責任というのは、これ重大ですからね。そのことを指摘をして、まだまだ未解明な部分がたくさんありますので、更に委員会をやっていただきますことをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。


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第169国会  参議院  環境委員会 2008年6月3日

地球温暖化対策推進法改正案(参考人質疑)


○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。
 本日は、参考人におかれましては、御多用の中大変貴重な御意見を賜りまして、心から御礼を申し上げる次第でございます。
 それぞれの参考人のお話を承りまして、大変刺激にもなりましたし、大変審議に関しまして参考になる御意見をいただいたというふうに思っているところでございます。もうたくさん、専門家の方ですので、時間がありませんので駆け足で行かせていただきます。
 まず、江守参考人にお伺いをしたいと思います。
 一つは、先ほどの先生の御意見ですと、最後の中長期の排出削減目標について、途上国も先進国も今のままでは解がなくなると、でもそうではないことが必要だというふうなお話をされて、まあ御自身が科学者でいらっしゃいますからということで若干抑制的な御発言でございましたが、先生は若手の学者等を集められて若手専門家による地球温暖化対策審議会というのをつくっておられまして、将来的に一人当たりの二酸化炭素の排出量をこの程度に全地球でしなければいけないというような提言も含めて野心的なことを発表されておられますが、この若手審の報告について若干御紹介をいただければというのが一点。
 それから二点目でございますが、科学はもう結論を出したと、あとは制度、政策をどうするかというような趣旨の御発言をいただきましたが、いまだに世間には、環境問題はうそが多いとか、それから二酸化炭素は原因は本当かみたいな話があちこち何か訳知り顔の方がいらっしゃるんですけれども、そういった方々に対して、もし科学者の立場として何か御意見があればいただければと思います。よろしくお願いします。
○参考人(江守正多君) 御質問ありがとうございます。
 まず第一点目につきましてですけれども、本日、私は国立環境研究所の江守ということで参加して、出席させていただいておりますので若干戸惑うところがあるんですが、私、全く個人的な立場で全く自発的に集まった仲間と地球温暖化の政策をどうしたらいいかということを議論して、そして報告書をまとめたものがインターネットなどで公開しております。
 これは、全くその立場で、ちょっとその国立環境研究所の人間という立場から外れて申し上げますけれども、若手と申し上げておりますが、私が三十今八歳なんですけれども、私は最年長のグループでありまして、ほとんどが三十歳前後であるけれども、温暖化の様々な側面に関して専門的な知識を持っている人たちで相談しました。
 その中心メンバーは、実は前回の参議院選挙のときに「京都の約束」という署名運動を行いました。是非、温暖化政策を選挙の争点にしてほしいと、具体的な政策を掲げてほしい、是非その制度をつくってほしい、温暖化対策をした人が得をするインセンティブになるような制度をつくってほしいというお願いをする署名活動を行いまして、その後に、実際に自分たちでもどうやったらうまくいくのか考えてみたいということで話し合ったものです。
 具体的なことは今日はちょっと申し上げませんけれども、その中で一つメーンメッセージとして書かせていただいておりますのは、最近いろんなところで申し上げているんですけれども、心技体という、心、技、体ですね。特に、昨今の議論を伺っていて申し上げたいのは、日本は技術はトップであるので、もう技術では削減の余地はほとんどない。先ほども申し上げましたけれども、それは確かに正しいんだと思います。しかし、その温暖化の削減というのは技術だけでは成すものではなくて、心、すなわちライフスタイルや価値観ですね、それから体と申し上げておりますのは、社会のシステム、制度やインフラだと思いますけれども、そういうところを抜本的に変えていくという次の新しい文明を目指した大きなチャレンジなんだろうというふうに、我々の世代が、の一部でありますけれども、とらえているということを是非参考に申し上げたいと思います。
 二点目でありますけれども、温暖化の科学に関しまして現在でもいろいろな意見があると。特に、極端な意見ほど本が売れる傾向にありますので、私もよく質問されて対応しておりますけれども、これは私は様々なレベルのものがあると考えています。
 温暖化の科学はまだこういうところは分かっていないじゃないかといったときに、既にもう済んだ話を繰り返し繰り返し、何といいますか、言っていると。そういうものはもう世間でもだんだん相手にしないようになっていっていると思いますし、我々も余り相手にしていません。そういうのはほっておけばいいんだと思っていますけれども、一部には、まだ確かにそういうところは分かっていないと、科学的に確かに調べる価値があることを指摘する向きもあります。そういうものは大事だと思って、科学的に是非そういうことはこれから調べていきたいという立場で対応したいと思っております。
 特に、後者の意見が出てくる背景には、地球温暖化が余りにも単純化して、余り科学的な細かいことを皆さん理解せずに、何しろよく分からないけど大変だということで語られる傾向があるということに原因があるんじゃないかと考えております。そういったところも配慮していかなければいけないと考えております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。座らせていただいたまま質問させていただきます。
 加藤参考人にお伺いをいたします。名古屋市の取組に関しては心から敬意を表したいと思いますし、市民を巻き込んでいる活動に対しても本当にすばらしいと思っておりますが、名古屋市自身としてのグリーン購入やグリーン契約等についてはどの程度進んでおられるのか。それからもう一点は、市民を巻き込むときに、市民の反応は最初はなかなか積極的ではないというように推察するんですが、この時代というか、こういう時代背景の中でどういう反応が市民からあるのか、お聞かせいただければと思います。
○参考人(加藤正嗣君) グリーン購入やグリーン契約ですね。済みません、今日データはちょっと持ってきておりませんが、一応率先行動をやりましょうという計画を定めまして、グリーン調達の関係にはほぼやるべきことはやっているつもりでございます。それから、グリーン契約の関係では、特に電力購入のも新しく法律でき上がりました。で、この夏から次の期の電力調達の入札を掛けるわけですけれども、その段階から新しい環境に配慮した電力調達の契約を始める予定で進めております。
 それから、市民の反応ですけれども、そうですね、正直言って様々でございます。ごみのときはさんざんもめて、いろんな、まあ二年間ぐらいの間、市民がやっぱり鳥はかわいそうだから埋め立てるのやめた方がいいんじゃないかとか、あるいはやっぱりごみはどこかへ捨てなきゃいけないんだからしようがないよ。で、同じ、その両方の思いの中で、絶えず日々新聞を見るたび、人の意見を聞くたびに心が揺れていたと思うんですね。そういう時期が二年間ぐらいあった中で、いよいよ市もとうとうまあ最後の腹をくくって干潟を守るためにごみを減らしてくださいとお願いしたんで、役所に不満はいっぱいあると、だけれども今回はやらなきゃしようがないというふうに市民自身も腹がくくれた。
 ただ、CO2の場合は率直に言ってそこまで参っておりません。ですが、先ほども申しました二十項目ぐらいのいろんなチャレンジメニューをお示しする中で、一番へえっていう度合いが高いのが、暖房便座にふたをしましょうというやつがございます。
 私どもは、これをやるとCO2どれだけ減らせるよ、幾らお金が、電気代もうかるよっていうのを両方お示ししているんですが、暖房便座ふたをするというのは、確かにふたをしないでおくと、いつまでたっても、どんどん冷えていってしまいますから、どんどん電気食うわけですよね。ふたをしておけば、まあ一定程度暖まればそれ以上電気を食わない。これで年間三千六百円ぐらい得をするよというような話だったかと思いますが、そういったところから少しずつ話をしていけば、ああ何だ、そんな簡単なことでも結構減らせるんだというところまで参っております。
 ただ、先ほど環境モデル都市の御提案をしたときに、御説明したときに、全体で化石燃料の消費五分の一にしたいという目標を掲げたと申し上げましたが、やはりこの中で一番個人生活では車が多いんですね。車によるCO2排出量が個人生活ですと四割ぐらいございます。車で一キロ乗るのに消費するCO2と、エアコン一時間使う、それからテレビを五時間ぐらい見る、それから電灯ですと十時間つけるというのと同じくらいのCO2ですので、電気を十時間節約するよりは車一キロ節約する方がうんと簡単なんですが、この名古屋の町、車の町名古屋でなかなかこれができません。でも、いよいよ、早晩ガソリンがリッター五百円ぐらいになってしまうような時代がきっと来ると思うんですね。そうなったときに今の暮らしはできませんよ、それまでに暮らしを変えておかないと大変ですよねというようなお話合いを今進めているところでございます。
 なかなか簡単ではございませんが、根気と志といいますか、それでやっております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 大塚参考人にお伺いをさせていただきます。
 先生の御主張は、国内排出量取引制度も含めて積極的にというように私は承っておるんですが、国内排出量取引制度については両論あります。ただし、将来のことを考えると、私は日本の国益になると思いますし、企業にとってもインセンティブが働くと思っています。確かに公平性の担保や削減量をしっかりと確保する等の制度設計での留意点はたくさんあるとしても、私は導入をちゅうちょするときではもうないと思っておりますが、そのことについて先生の入れるべきだという、何というか、御主張を是非ここでお披瀝をいただければと思います。
○参考人(大塚直君) どうもありがとうございます。
 今おっしゃっていただきましたように、私も基本的には今おっしゃっていただいたのと同じ意見でございまして、国内排出量取引についてはいろいろな問題点とか配慮すべき事項は多いわけですけれども、いろいろなことを考えると今制度を検討すべき時期であると思っております。
 ただ、先ほど申しましたように、今回の温対法の改正法案の元になっている中央環境審議会と産業構造審議会の合同の会合におきまして、追加対策とそれから既存の対策で何とかみんなで頑張ればやっていけるという数字が出ていますので、これについてまた進捗管理をするということに、目達計画についてなっておりますので、是非その進捗管理のときにやっぱり無理だということが分かったときには、国内排出量取引を含めた対策を取ることに関して導入を御検討いただきたいと思います。
 現在はその準備段階だというふうに考えておりまして、先日、環境省の方でも国内排出量取引の検討会で中間取りまとめを出させていただきましたけれども、そこで四つのオプションを出させていただきましたが、従来、排出量取引というとEUの排出量取引だけだというふうに思われていたところがございますけれども、我が国の事情等も考え、かつ公正な考え方として四つのオプションがあるというふうに思われますので、これはたたき台にすぎませんけれども、是非、どういう方法が適切かということも含めて制度設計について議員の先生方が真剣に御議論いただけることになることを私としても願っております。
 ただ、今回の改正法案についてはもう少し様子を見て、結果を見て導入について検討していただきたいということが私の意見でございます。
 以上でございます。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 早川参考人、済みません。時間がなくなってしまいました。申し訳ありません。
 これで終わります。


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第169国会  参議院  環境委員会 2008年5月27日

地球温暖化対策推進法改正案


○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の福山でございます。今日は四十分ですので、時間ありませんので早速質問させていただきたいと思います。
 大久保先生からも最後にお話がありましたけれども、環境大臣サミット、鴨下大臣、御苦労さまでございました。私は、野党の立場ですし、温暖化対策を推進するという立場でいつも申し上げますから、国際会議のたびに、日本のポジションはまだまだ足りないと、もっと頑張れというお話をさせていただくのが常でございまして、いつもその話をさせていただいて、今日も同じような話になりますが、まあ言い続けることも重要だと思いますので、大臣、そこはお許しをいただいてお聞き及びいただければと思います。
 私は、大臣のポジションはなかなか厳しいところで、経産、環境、官邸、いろんな思惑もあり、当日も、実は二十四日のステークホルダーとの対話でも、経団連さんと経済同友会さんがそれぞれ若干別のトーンで話をされたとかいろんな話が入ってきておりますし、国際会議ですからこちらの思うとおりにいかないのもそれも常でございます。
 その中で私は、まあ合意としては今でき得る鴨下大臣の範囲では非常に御健闘されたんだというふうに実は評価をしております。ただ、日本のポジション、ずっと言われてきたポジションから余り変化がないことも事実でございまして、今まで日本のポジションを言っていたことをもう一度確認をしたという評価もできると、ただ確認をしただけだという評価もできるということもあります。
 まず、大臣、今御答弁もいただきましたけれども、このG8の環境サミットに対する御自身の御評価をお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 自分の評価はなかなか難しいものですから、具体的に少しその経緯について申し上げます。
 G8のほか中国、インドなど合計十九の国、地域、環境大臣あるいは担当者が集まって、具体的には気候変動、そして生物多様性、3Rのこの三分野について議論をしたわけでありますけれども、今先生御指摘の気候変動に関しましては、これは二〇五〇年までに世界全体の排出量を少なくとも半減させる長期目標を洞爺湖サミットでの合意とすることに強い意思を表明した。また、低炭素の社会の研究ネットワークづくりなどについて、神戸イニシアチブと名付けた今次の会合のフォローアップのための活動と主要国の対話の提案について幅広い支持が得られたわけでございます。
 今先生おっしゃっていますように、日本の中にも各種異論のあるステークホルダーもおいでであります。そういう中で、我々は政府の一員として対外的にあるいは国内的にいろいろなメッセージをこの会合で発しようと、こういうような思いで臨ませていただきました。
 繰り返しになりますけれども、一つは洞爺湖での議長国としての使命、役割が果たせるように、環境分野においてある意味で我々環境の分野に携わっている人間の言わば合意をいかにつくっていくかということと、加えて、G8あるいはアウトリーチ国含めた皆さんとの議論の中では、COP15に向けての言わばすべての国が参加する新たな枠組み、これに対して貢献できるようにと、こういうようなことでございました。
 それぞれ御批判もあり、なおかつ不十分なところもあると思いますけれども、一歩でも二歩でも前に進めると、こういうようなことにおいては私はそれなりに前に進んだかなと、こういうふうには思っておりますけれども、まだまだこれはゴールにたどり着くには一合目、二合目かも分かりませんので、引き続き努力をしたいというふうに思っております。
○福山哲郎君 その中で長期の半減は何とか洞爺湖でという議論ですが、やっぱり各論の違いで明らかになったのは中期目標だというふうに承っております。中期目標の設定についてはどんな議論がされて、大臣としてはどんな思いだったのか、お聞かせをいただけますでしょうか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 中期目標については、もうかねてから申し上げていますけれども、ちょうど京都議定書におけるマイナス六%を日本がいつのタイミングで打ち出し、なおかつ、それについて国際的な批准に至るまでのプロセスというのはございましたけれども、この中期目標というのはある意味で私は全く同じ意味を持っているんだろうというふうに思っておりまして、この度の環境大臣会合においては、これはIPCCの科学的知見を考慮して実効的な目標を設定する必要があると、こういうような結論に至りました。
 また、今後十年から二十年の間に世界の排出量をピークアウトさせるためには、先進国が率先して国別総量目標を掲げ対応するとともに、特に排出量が急増している途上国は排出増加のスピードを抑制することが重要との結論を得ておりまして、これはある意味で特に途上国が排出増加のスピードを抑制すると、こういうようなことに中国、インドを始めとして参加した途上国がコミットしたと、こういうようなことは私はかなりの意味を持つことなんだろうと思います。特に、インドについては我々はまだ未知数でありましたけれども、今回インドの環境大臣からそういうような御発言があったと、こういうようなことは大きく評価ができることなんだろうというふうに思っております。
 また加えまして、これG8国で、これは議長サマリーですから合意文書じゃありませんけれども、今後十年から二十年間の間にピークアウト、こういうようなことを総理はかねてからダボス会議以降お話しになりましたけれども、これについてもG8で格段の異論がなかったと、こういうようなことも特筆するべきことなんだろうというふうに思っております。
 加えて、先生がかねてから御指摘いただいている中期目標については、その書きぶりについても随分いろいろと事務レベルあるいは大臣レベルでも議論があったわけでありますけれども、最終的に実効的な目標を設定すると、IPCCの科学的な知見を考慮してという前提に立ってですが。ですから、読みようによっては先生がかねてからおっしゃっているようなところに徐々にたどり着きつつあるのかなと、こういうふうに思っておりますので、是非、更に我々も頑張りたいというふうに思っております。
○福山哲郎君 大臣言われました、中期目標に半歩ぐらい前進だったということは、それは評価をしたいと思いますし、インドが本当に未知数だったところが、大臣おっしゃられましたように新たな計画を出すんだということを発表したことも一つの成果というか一歩だと思いますが、済みません、大臣、私が今聞き間違えたのかどうかはよく分かりませんが、少し最初のころに、今の発言の冒頭ですが、ちょっと確認しておかなければいけないような話をされたように気が付いたので、ちょっとだけ確認させてください。
 中期目標の議論は京都議定書の六%と同じような意味だとおっしゃいましたね。それは、済みません、ちょっと僕、そこは重要なところなので、ちょっと聞き捨てならないなと思ってもう一回確認をさせていただきたいんですが、大臣、もう一回お答えいただけますか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 私の前提の話として、国際交渉において中期目標というのは、かつて京都議定書のときの国際交渉の意味で、日本がマイナス六%を約束したわけですけれども、それと言わば同じような意味を持っているというような趣旨でありまして、中期目標とマイナス六%は何ら関係はありません。
○福山哲郎君 もちろん私もそう思っていますが、京都議定書の六%を、今回、二〇五〇年という大きい長期目標の中で議論している二〇二〇年と同じような意味合いだというふうにとらえられるのは、実は日本政府のポジションとしては大分後退をしているポジションだと思います。
 それはなぜかというと、あの六%に対して日本の政府はずっと、EUが有利だったとかあの六%は京都議定書の交渉上の失敗だったというような議論があります。その意味合いでとらえると、実は中期目標というのは日本としては余り有り難くないという空気にもなりますし、あの京都議定書のときには、まずは取りあえず各国で削減目標をつくりましょうと、第一約束期間はこれで設定しましょうということで、先の話が実はありませんでした。
 今回は、二〇五〇年世界半減という大きい目標があった中でのプロセスの中の中間的な意味での中期目標ですから、京都議定書の中の六%とは意味が僕は大分違うと思っていますし、それと同じ意味合いで位置付けをすると、中期目標の位置付けが非常に日本政府としてはネガティブな印象が残る。それは僕は余りいいことではないと思いますので、大臣、私が考え過ぎなんだったら考え過ぎだと、そんな意味合いではないというふうに否定していただくんだったら否定していただいても結構ですが、そこは少し、済みません、もう一度御答弁いただけますか。
○国務大臣(鴨下一郎君) そういう趣旨では、ちょっと例え方が、私の例え方が不適切だったのかも分かりません。
 先生おっしゃるように、これから我々は中期目標については野心的にやっていかなければいけません。ですから、マイナス六%を決めたときと時代状況あるいは長期目標、こういうようなことについても全く違うわけですから、そういう意味においては私は先生と意見を共有しております。ただ、国際交渉という意味において日本がどういう目標を掲げるかと、こういうようなことでいえば、まああのときのマイナス六%と同じような意味で中期目標というのがあるんだと。ただ、中身については全く違います。
 それから、今おっしゃった先生の趣旨は、私はほぼ一〇〇%共有した上で話をさせていただきたいと思っています。
○福山哲郎君 それならば、大臣のお言葉を信用したいと思いますが、あのときの日本のポジションは元々はゼロ%、プラス・マイナス・ゼロ%のポジションで交渉に臨みました。結果として六%になったわけですが、その間に吸収源やCDMの議論もあって、日本としては実質的にはマイナス〇・六%というところのポジションに落ち着いたわけです。
 ただ、さっきから何回も申し上げていますように、日本政府の京都議定書に対する評価というのは非常にネガティブな評価が多いので、是非中期目標に関しては、余り京都議定書の六%を引き合いに出して議論を私はしていただきたくないと思いますので、大臣、そこは今の御答弁を信用しますが、よろしくお願いしたいと思います。
 また、排出量取引、税制上の問題について、経済的手法の問題についてですが、議長サマリーの中には、排出量取引、税制上のインセンティブ、パフォーマンスに基づいた規制、料金あるいは税及び消費者ラベル等の市場メカニズムは、炭素に価格を付け、価格シグナルを提供することを支援することが可能であるとともに、民間部門に対する長期的かつ確実な経済的インセンティブやCDMプロジェクトの推進のインセンティブを与える潜在力があり、一層の排出削減を進める上で効果的かつ有効な手法との認識が共有されたというふうにサマリーには述べられました。私は、これは日本の中で国論が二分している排出量取引についての評価としては非常に前向きな評価をサマリー上されたというふうに思っておりまして、これは大臣の強い意思の表れかなと思ってこれは大変評価をしています。
 しかし、問題はこの表現をいかに日本国内の排出量取引導入に対して反映をさせるかというのが重要なポイントだと思っておりまして、おとといでございます、まさに二十六日にG8の環境大臣サミットが終わったその日に例の官邸で行われている地球温暖化問題に関する懇談会において発表された排出量取引制度については、まさにこのサマリー、国際的なところで議論されたサマリーと国内での官邸での議論は全く逆のことが書いてあります。
 なぜかといいますと、両論併記があって、この点で欧米でも試行錯誤が続いており、当面は自主行動計画で対応し、予断を持たず慎重に検討すべきという意見とがあったと言って、世界の潮流であるという意見と慎重な意見があり、欧米の動向を注視しつつ我が国の実情を踏まえた国内排出量取引制度について更に検討を継続することとするというふうに先に送って両論併記をしたと。これまさに議長が御苦労された話と国内での議論が余りリンクをしていないと。
 日本のこの議論は、延々と私の記憶でも五年ぐらいこの議論を続けています。もうそろそろ国内の決着が必要だと思いますので、大臣はサマリーをまとめられたお立場ですから、その決意、いつもいただいておりますが、もう一度いただければと思います。
○国務大臣(鴨下一郎君) 我々も、低炭素の懇談会の中間取りまとめを意識しつつこの議長総括にも臨んでおりました。ですから、冒頭申し上げましたように、この議長サマリーを強く国内にインプットしていくというような趣旨もあったわけでありまして、この七パラのところの排出削減のための経済的手法の活用、こういうようなことで、多くのといいますか、ほとんどの国が炭素に価格を付けると、こういうようなことについては御賛同をいただいているわけでありますので、これは、国内のこの問題について多少消極的なステークホルダーの皆さんにもこのことをかみしめていただきたいというふうに私は思っております。
 ただ、やはりこの七パラの後ろの方の、後段のところに各国の事情をかんがみつつと書いてありますので、ここがその中間取りまとめと整合を取りつつまとめさせていただいた深い意味もあるわけでありまして、是非、我々としては積極的にこの議長総括、これは各国の言わば特段の異論のないところでまとめさせていただいたことでありますので、国内にも大いに参考にしていただきたいというふうに思っておりますし、私たちとしてもこの取りまとめた責任としてしっかりと国内にも働きかけてまいりたいというふうに思います。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 また、これも議論になっておりますセクトラルアプローチについてもサマリーにちゃんと表現をされました。私もセクトラルアプローチ、いつも申し上げているように、否定をするわけではございませんが、まさにこの議長サマリーに書かれていますように、ボトムアップアプローチによる削減ポテンシャルとトップダウンアプローチにより計算される必要な削減レベルとの間に生じ得るギャップは環境の十全性を確保するために埋められる必要があると。これらのギャップは政策措置、革新的技術や国民などによるライフスタイルの変革などによる更なる削減の模索によって埋めていくことが可能であると。セクター別アプローチは国別総量目標を設定するためのものでこれを代替するものではないことが明確化されたと。
 これサマリーに書かれていまして、これも大臣がこれまでどおり御議論いただいていたことを表現されたと思っておりますので、これも私自身は評価をしておりますが、ここで明らかに、セクター別アプローチというのは一つの国別総量目標を設定するための方法だと、手段だと。それは国別総量目標とは違う、代替するものではないんだと、はっきりとこれ書かれています。やはりこのことは非常に重要だと思いますので、そのことの再度の確認と、それから、例のギャップを埋めることの認識は重要なんですが、ここどうするんだというのが最大の課題でございまして、具体的な手法として。このギャップを埋める政策措置としてどう、何を考え得るのかということについて、大臣の現段階での御所見をお伺いできればと思います。
○国務大臣(鴨下一郎君) セクター別アプローチの有効性については、多くの国から御評価をいただいたというふうに考えています。特に、今先生おっしゃっているように、このセクター別アプローチは、削減ポテンシャルとトップダウンアプローチによる計算される必要な削減レベルとの間に生ずるギャップ、これが起こり得るんだという認識であります。そして、それは国別総量目標とを代替しないと、こういうようなことを明確に私たちは言わせていただきました。それに対して多くの国がこのことを理解したと、こういうことであります。
 ただ、今おっしゃったように、このギャップをどうするのかという話は、これはその前に議論されました経済的な手法の活用に尽きるわけであります。我々は、例えばサプライサイドの中には優れた環境技術たくさん日本は蓄積があります。それから、今度はデマンドサイドの中には大変環境に対して意識の高い国民の皆さんがいらっしゃいます。この間をつなぐことがいかに必要かと、こういうようなことがこの行間に書かれていると、こういうことでございまして、これは議長総括をばねに更に、今先生が御指摘いただいたことも含めて、我々としても働きを強めていくと。そして、一つのきっかけとして洞爺湖サミットというのが大きな節目になるんだろうと、こういうふうに考えております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 まさにそのギャップを埋めるのが経済的措置で、そのことの具体案を早く日本としてもやっていこうということで、民主党もこの間、実は地球温暖化対策基本法という議員立法の中間報告を出させていただいて、その場でも経済的措置について明確に述べさせていただいたところでございますが。
 本法案で、改正法で新しく新設されました二十一条というのがありまして、これは排出抑制等指針を公表することになっています。排出抑制等指針には、事業者向けに排出原単位の望ましい水準としてベンチマークが設定をされている予定みたいですが、この位置付けとか内容が非常に重要になります。それは一体どのようなものかと。
 それから、これは逆に言うと、ベンチマーク、排出原単位の望ましい水準を設定をするということは、国内版のセクター別アプローチというかベンチマークを作っていくということになります。このことは今後の排出量取引制度が例えば導入をされた場合にも非常に大きな要素になると思っているんですが、この改正法二十一条の指針というのは、将来的も含めて、こういった経済的措置に対して視野に入れ、なおかつ有効に活用できるようなものにしようとされるおつもりなのかどうか、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 恐縮です。技術的なことですので、私の方で答えさせていただきます。
 まず、この指針でございますけれども、望ましい水準でなければいけないということは当然でございます。具体的にその指針の中身としまして、各事業所、これは工場もございますし、オフィスもございます。また、各業種ごとにできるだけ分かりやすく細かく細分いたしまして、その中でどういう施設がどういう対策が可能なのか、施設の設置、それからその施設の管理方法、そういったことを国際的な水準も見ながら洗い出したいと。その上で、できる限り原単位という形のベンチマークの水準もお示ししていきたいと考えているところでございます。
 これは、当然ながら経済的な負担ということは考慮しますけれども、一般的な事業者が努力可能な範囲でできるだけ頑張っていただくと、そういったことを想定して作りたいということでございまして、そういったことの指導、助言によりまして相当対策の、どこまでやればいいのかということが多くの方に分かっていただけるということで、非常にブラックボックスがなくなると、そういったものにしたいと考えておるところでございます。
 ただ、当然ながらでございますけれども、私どもこの法案を検討する際には、その後の排出量取引についてとか様々な問題について併せて検討したわけではございませんので、それを想定した作業はしておりません。それにつきまして、当然ながら排出量取引の検討については、つい先日、環境省として大臣の御指示の下、四つの案をまとめたわけでございまして、その検討の際にも当然ながら排出の原単位ということが一つ大きなかぎになるということは入っておるところでございます。ただ、これが同じものになるのかどうかと今聞かれますと、私も実は答えようございませんけれども、いずれにしても、仮に排出量取引が可能になった場合に、それについてそれを検討する上での大きな一歩になるような原単位にしていきたいと考えております。
○福山哲郎君 仮の話に逆に大変積極的にお答えをいただいて感謝を申し上げます。
 いろんな材料を総合的に組み合わせてこれからの排出量取引なり経済的措置については議論していかなければいけませんでしょうし、そのことの総合的な判断がより公平なキャップを付けるときの議論につながると思いますので、有効に活用ができるようにこの排出抑制等指針の策定に当たっては御留意をいただければなというふうに思います。
 そこで、ちょっと事前質問にはなかったんですが、南川局長にお答えをいただきたいんですけれども、これ今、事業所とかいろんなところに対して指針を策定することによってより分かりやすく透明性を高めて頑張っていただきたいというような旨の発言がありました。これに対して、どうなんでしょう、何らかのインセンティブだとか国からの補助というようなことのイメージは将来的には可能なんでしょうか。ただ単に事業者それぞれが努力をしているところに負担だけしろという話もなかなかそこも厳しくて、そこは一体、今すぐ結論出なくてもいいですが、そんなこともやっぱり将来視野に入れた中での議論ということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 私ども、できるだけ望ましいレベルを目指すための指針でなくてはいけないと思います。その結果として、業者によりましては非常に負担が掛かるというところもあると思います。そういったことがなかなか強制的にできないということもあって、実はその指針ということで技術的な助言をやっていくということにとどまっているというのが残念ながら現状でございます。
 そういった現状でございまして、私ども環境省自身ができる支援策というのは非常に限られておりますけれども、是非関係省庁とも相談しながら、より高いレベルの対策が取れるような方策ということは今後の宿題として検討させていただきたいと思います。
○福山哲郎君 続いて、今回、自民党さん、公明党さんにも大変協力をいただきまして、衆議院側でこの法案、修正協議が調いました。そのことに関しては心から感謝を申し上げます。
 その修正協議の中で、いわゆる見える化、CO2の見える化についてですが、事業者による温室効果ガスの排出量等にかかわる情報に関して、製品等の利用に当たって情報を使う国民に対してどういうふうにその情報を分かりやすく提供していくかということが重要なんだというふうに思います。製品の製造や使用、廃棄に、総合的なライフサイクルの中で、どうCO2の排出量の情報を提供していくか、政府として何か具体的な考えがあればお聞かせをいただきたいと思いますし、製造段階でCO2排出量の少ない製品を消費者にどのように積極的に選んでいただくというようなことも含めて、何かあればお聞かせをいただければと思います。
○政府参考人(南川秀樹君) 私どもやはりこれから対策を進めていく上で、日常生活に伴うCO2などの排出減少、大事だと思います。今回、二十条の六の第二項で、特に事業者自らの排出削減以外に、事業者に協力をお願いして製造あるいは役務を提供する際に、そこから出てくるCO2などの削減についての協力をするんだということをお願いする条文を入れておるわけでございます。
 これを進めていく上では、例えば電気製品などでしたら、一年間どういう形で使えばどれだけCO2が出るかとかいうことを是非製品タイプごとに示していただくとか、同じ製品であればメーカーごとにそういう違いがはっきり出てまいります。それから、その使用方法によってどのような形の変化があるかということもできるだけ分かりやすく、例えばCO2はCO2の単位で示していきたいということで考えておりまして、それによりまして、今の消費者は非常に環境マインドが高うございますので効果があると思います。やりたいけれども何をやっていいか分からないとよく言われますので、そういったことも見える化の効果として非常に期待できると考えております。
○福山哲郎君 是非そこは積極的によろしくお願いします。
 先般、実は私、温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度に関する質問主意書を内閣に提出をさせていただきました。実はこの温室効果ガスの算定・報告・公表制度では、排出側の権利や競争上の地位やその他正当な利益が害されるおそれのある場合には、権利利益の保護請求という制度がありまして、CO2の排出量を開示をしなくてもよいケースがあります。
 実は今回、昨年なんですけれども、三十六件、その権利利益保護請求が認められて非開示になりました。また、八十五事業所においてはその同様の権利利益保護請求があったんですが、これは認められずに開示となりました。この非開示三十六事業所と開示になった八十五事業所の違いは一体何だったのか。そして、この非開示となったところで自治体の条例でもう既に公表されているところが、実は国では非開示になっているところがあります。これは何で自治体の条例では開示となっているのに国では非開示とされたのか、経産省、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(内山俊一君) お答えをいたします。
 今回、権利利益の保護に係る請求を認めた事業所につきましては、当該事業所の温室効果ガス排出量が公にされた場合、一般に入手可能なほかの情報と照合することなどによりましてエネルギーコストや製造原価が推測可能となり、企業の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがあるとして当該請求を認めたところでございます。
 一方で、経済産業省に権利利益保護請求がなされました事業所のうち八十四事業所につきましては、企業の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがないと判断をいたしました。
 権利利益の保護に係る請求を認めるに当たりましては、経済産業省としましては、各種の情報や企業の環境報告書などの調査を行うとともに、請求を行った事業者に対し、当該請求に係る温室効果ガス排出量に関する情報の公表の有無などに関するヒアリングを実施いたしました。その結果、当該調査及びヒアリングにおきましては、委員御指摘の地方自治体による公表の事実は確認できなかったことから、不開示請求を認めたところでございます。
○福山哲郎君 そうすると、自治体の条例に基づいて公表されている事実を認識していれば開示するということになったということですか。
○政府参考人(内山俊一君) お答えをいたします。
 不開示請求の認定に当たりましては、地方自治体による公表の事実は認識しておりませんでしたが、仮に、委員御指摘のように、そうした事実を認識していた場合には、当該公表の具体的内容について精査を行い、開示が適当かどうかの判断を行ったものと考えております。経済産業省といたしましてはそういうふうに考えておるところでございます。
○福山哲郎君 ということは、再度、その認識、自治体の条例による開示があったかどうかを確認される御意思はございますか。
○政府参考人(内山俊一君) 経済産業省といたしましては、地方自治体による公表の事実を確認をし、当該公表の具体的内容について精査をしっかり行っていくということでございます。
○福山哲郎君 ということは、もう一回確認をされるということでよろしいんですね。いいんですね、今の答弁は。ちょっと最後、語尾が小さかったので。
○政府参考人(内山俊一君) 確認をいたしまして、開示が適当かどうかの判断を行っていきます。
○福山哲郎君 じゃ、確認をしていただいたらまた御報告をいただきたいと思います。
 実は、この今般の改正法では、地方自治体への役割に非常に強い期待をされまして、計画作りの義務化などが進められます。その義務化の中に実はこの開示制度がどの程度それぞれの自治体組み込まれるか分かりませんが、やはり排出量の、何というか、透明性、公明性というのは非常に重要だと思います。
 要は、この排出量の算出・報告・公表制度が充実をしていかないと、今後国内で議論される国内排出量取引制度の議論においても非常に、何といいますか、必要な制度として準備をしていかなければいけないと私自身は思っておりまして、別に、開示があったからといって、その多排出の事業所等について例えばやり玉に上げたり悪者扱いすることではなくて、そのことによって、どうやってその多排出事業所等について具体的に排出削減の方法が講じられるか等々をやっぱり議論していかなければいけないと思いますので、私は、今後の、先ほどまさに、議長サマリーにおいてこの国内排出量取引制度の有効性が確認されたことに合わせて、この国内排出の算出・報告・公表制度の拡充は不可欠だというふうに思っているんですが、環境大臣と経産省さん、お答えをいただけますでしょうか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 質問主意書の中身につきましては私も拝見をしまして、先生の趣旨は理解をしているつもりであります。
 特に、地方公共団体が自らの事務に関して自らの判断と責任で条例を定めることができると、こういうようなことについては、むしろ国よりも積極的になさるところもこれから出てくるんだろうと思っております。
 そして、算定・報告・公表制度におけるいわゆる権利利益が害されるおそれがあると、こういうようなことの有無の判断に当たりましては、これは厳正かつ公正、公平な判断を行うことを政府の基本方針としているわけでありますから、その判断に当たってどういう判断がされたのかということについての透明性が確保されると、これが重要なんだろうというふうに思っておりまして、環境省としては適切なる運用に努めてまいりたいというふうに考えます。
○政府参考人(伊藤元君) お答え申し上げます。
 温対法上の温室効果ガス算定・報告・公表制度に基づいて事業所ごとの排出量を開示することは、事業者が自主的に排出削減の取組を推進していく上で重要であると考えております。しかしながら、事業所ごとの排出量を開示することにより、事業者の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがある場合には例外的にその情報を不開示とすることが適当と考えております。ただし、そのような場合であっても、原則として企業単位の排出量を明らかにするなど、可能な限り排出量の情報の開示が行われていくものと思っております。
 今後とも、温室効果ガス算定・報告・公表制度の不開示認定につきましては、引き続き厳格な運用をしていくべきであるというふうに考えております。
○福山哲郎君 両省から積極的な答弁をいただいたというふうに一応判断をしますが、先ほども申し上げましたように、非開示、厳格な運用といいながら非開示だというふうに国が決めたところは、実は地方公共団体の条例でもう表に出しているものが国は非開示だという、非常に矛盾をした結果が起きていることもありますので、これはやはり非常に厳格で透明性な、大臣がおっしゃられたような形の開示の状況をたくさんつくって、たくさんというか充実をしていかないと、国内排出量取引制度のより実効性を上げるためにも私は必要な条件だと思いますので、是非今後も御努力をいただきたいと思います。
 まだまだ聞きたいのですが、あっという間に時間が来てしまいましたので、これで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。


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第169国会  参議院  本会議 2008年5月21日

地球温暖化対策推進法改正案


○福山哲郎君 私は、民主党・新緑風会・国民新・日本の福山哲郎でございます。
 ただいま提案のありました、いわゆる温暖化対策推進法の改正案につきまして質問をさせていただきます。
 現在、地球温暖化問題における国際情勢は激しく変化をしています。今年一月、京都議定書第一約束期間が始まりました。それに先立つ十二月、インドネシア・バリにおいて、二〇一三年以降の世界の取組についてバリ・ロードマップが合意され、ポスト京都議定書に向けて大きく動き出しました。
 世界では、CO2を始めとする温室効果ガスの増加があちこちで異常気象をもたらし、今世紀半ばまでに大幅な削減が必要との認識が共有をされています。昨年、ゴア元アメリカ副大統領とともにノーベル平和賞を受賞したIPCCの第四次評価報告書では、地球温暖化の影響は既に現れており、温度上昇も加速していることが明らかにされています。さらに、温暖化の原因が人為的なものと断定し、不確実論争に決着を付けました。
 イギリスは、二〇〇五年のEU―ETS市場の開設、グレンイーグルズG8サミットでの対話の開始、スターン報告の発表等、温暖化問題における指導的役割を担っており、議会では気候変動法案が提出をされています。また、EUも欧州閣僚理事会で、二〇二〇年までに温室効果ガスの排出量を一九九〇年度比二〇%削減することで合意をしています。
 一方、二〇〇二年に京都議定書を離脱したアメリカでも、ハリケーン・カトリーナによる被害、映画「不都合な真実」のヒット、ガソリン代の高騰等、明らかに世論は変化をし、数々の議員立法の動きが加速をしていましたが、予想以上に早く、昨年の十二月、排出量取引制度導入を求めるリーバーマン・ウォーナー法案が上院環境公共事業委員会で可決、本年の六月にも本会議での質疑が始まろうとしています。また、フォード、GM、デュポン、シェルなどの三十三の企業、NGOが参加するUSCAPを始め、経済界からも温室効果ガスの排出規制政策の早期導入を求める声も上がっています。
 そんな中、本年七月に洞爺湖サミットが開催をされます。サミットの議長国としてどのような決意で臨むのか、具体的にサミットでの成果目標についても、官房長官及び環境大臣からお聞かせください。
 サミットの議長国としてリーダーシップを発揮する上では、自国の取組方針を明らかにした上で他国に働きかけるのが不可欠であると考えます。ところが、政府はいまだに、二〇五〇年世界で半減としか語らず、中長期の国内排出削減目標を公表していません。これで議長国としての責任が果たせるのでしょうか。
 昨年の十月に福田総理と鴨下環境大臣は、私に対する予算委員会の答弁で数値目標を年内に打ち出したいと明言をされたにもかかわらず、いまだに明らかにされていません。いつまでぐずぐずしているのでしょうか。
 官房長官が先ごろ講演された中には、長期目標六〇から八〇%削減と述べられたと報道されています。これは決定した数字なのでしょうか。この数値目標はいつ公表されるのでしょうか。また、六〇から八〇%とすると、この数値目標についての評価を環境大臣、経済産業大臣にお伺いをいたします。
 また、政府内には中期目標は提示をしないという意見もあるようですが、中期目標は設定するのでしょうか。また、設定するとすればどの程度の水準を考えているのでしょうか。環境大臣の見解をお伺いいたします。
 政府は目標の設定について、セクター別効率目標による積み上げ方式を提案をされています。私もこのセクター別アプローチを否定をするわけではありません。しかし、一方で環境大臣は、G20会合において、セクター別アプローチは国別総量目標に取って代わるものではないと言明をされています。この方針は変わらないのでしょうか。また、変わらないとすれば、セクター別アプローチと中期目標との関係はどのようになっているのか、環境大臣にお伺いをいたします。
 また、三月に発表されました長期エネルギー需給見通しでは、CO2など温室効果ガスの排出予測を試算をしています。日本は今後、何と五十二兆円を投じて省エネ等に努めても、二〇二〇年の段階で一九九〇年比三%しか排出を削減できないとの内容でございます。まさか、このサミットで中期目標をこの見通しに書かれた三%と言って交渉することはないと思いますが、この長期エネルギー需給見通しと中期目標とは、また長期目標とはどのような関係にあるのか、経済産業大臣、お答えください。
 次に、現在、国際公約のマイナス六%に比べて、二〇〇六年の日本は六・二%も排出量が増加をしています。京都議定書の約束を果たすためには、この増加分も合わせて一二%余りもの削減をする必要があります。こういった事態に至った反省と、その理由を環境大臣にお伺いをいたします。
 さて、本法案の衆議院の審議において、民主党はCO2の見える化の推進、再生エネルギーの普及を促すための措置の充実、京都議定書目標達成計画における検討内容の国会への報告、白熱灯の蛍光灯への切替え、ライフスタイル、ワークスタイルの見直しの五項目の修正を求めました。
 与野党協議の結果、三項目は実現をいたしましたが、そのうちのCO2の見える化について、我々は義務化を主張しましたが、与党は努力義務ということで折り合いが付きませんでした。我々は義務化をすることで、逆に政令等において中小企業等の零細事業者に過度の負担を掛けないよう免除規定を設ける方が混乱をより回避できるという判断でしたが、この義務化についての環境大臣の意見をお伺いをいたします。
 さて、民主党は今年一月、地球温暖化対策本部を設置し、各部門と連携し、地球温暖化対策基本法の制定を目指しています。今国会に提出をさせていただく予定です。
 その内容は、地球温暖化対策に関し基本理念を定め、中期目標として二〇二〇年までに二五%、長期目標として二〇五〇年までの早い時期に六〇%を超えるとする排出削減目標を設定し、その達成を目指して国内における排出量取引制度及び地球温暖化対策税の創設、再生可能エネルギーの普及と革新的技術の開発等によって経済システムの中に環境を内部化し、国際社会に先駆けて豊かな国民生活の実現を図り、併せて地球環境の保全に寄与することを目的としています。
 EUでは、二〇〇五年に導入されたEU―ETS市場があっという間に三兆円の規模に膨れ上がっています。アメリカでも、さきに述べたリーバーマン・ウォーナー法案に大統領候補のマケイン氏、ヒラリー氏、オバマ氏の三者とも賛同の意を表しており、プレジデント法案とも呼ばれています。オーストラリア、カナダ、ニュージーランドでも導入を検討しており、世界は国際炭素市場のルールづくりの競争に入っています。
 一昨日まで、ブリュッセルにおいて、排出量取引の国際市場の確立を目指すICAP、国際炭素行動パートナーシップの公式会合が開催され、包括的な国際市場の実現は可能との見方で一致しました。日本は、御存じのようにトップレベルの省エネ技術を有しており、乗り遅れることのないようにこの国内排出量取引制度の導入が不可欠と思われます。国内排出量取引制度の導入の必要性について端的にお答えください。外務大臣、環境大臣、経済産業大臣にお伺いします。
 また、政府は、相も変わらずの縦割りのまま、官邸、環境省、経済産業省、それぞれでこの排出量取引を始めとする経済的措置に関する検討会が開かれています。いつごろまでに、どのようにまとめていくのでしょうか。このまま縦割りで続けて、またたなざらしなのでしょうか。官房長官、環境大臣にお伺いします。
 さらに、これまで国内排出量取引制度の導入に政府が消極的であったことに関し、報道によれば、二〇〇二年の京都議定書批准の際に、経済産業省と経団連の間で、政府として京都議定書は批准するが国内排出量取引制度を始めとする強制的措置は産業界に課さないという密約があったとされています。このようなことは実際にあったのでしょうか。あったとすれば大いに憂慮すべき問題であると考えますが、経済産業大臣、お答えください。
 次に、太陽光、風力、バイオマス等の新エネルギーの現状と将来についてお伺いします。
 二〇〇五年度における一次エネルギー供給に占める新エネルギーの割合はわずか三%にとどまっており、その普及促進が進んでいるとは言えません。例えば、日本は太陽電池の生産量で長く世界一を誇ってきましたが、二〇〇七年にとうとうトップの座を明け渡しました。世界市場が急拡大する中で、逆行するように、二〇〇五年に日本では住宅用太陽光パネルの設置への補助金を廃止したことが大きく影響をしています。
 さきに述べました民主党の法案では、二〇二〇年に一次エネルギー供給量に占める新エネルギーの割合を一〇%にする予定です。新エネルギーの割合を大幅に引き上げるために、現行のRPS法の見直しを含む財政上又は税制上の措置の見直しを図るべきではありませんか。経済産業大臣、環境大臣にお伺いいたします。
 また、さきの長期エネルギー需給見通しによれば、太陽光パネルの普及を進めるとして、現在の設置住宅約三十二万戸に対し、二〇二〇年に約三百二十万戸を達成することとしていますが、その根拠はどこにあるのでしょうか。この十倍は具体的にどのような手法で実現をされるのでしょうか。経済産業大臣、お答えください。
 途上国支援についてお伺いします。
 中国、インドなどの多排出国を含め、途上国をポスト京都の国際的枠組みへ参加を促すことは最も重要な課題であることは認識を共有をしています。しかしながら、ハンガリーからの排出枠購入二百億円、途上国への支援五年間で一兆円実施、さらにはODA資金でインドからのCO2の排出枠を購入などという度重なる報道を見ると、若干の懸念もわいてきます。これだけの資金の財源は、一体どこから捻出をされるのか。他国へ資金をつぎ込むより、国内投資の方が新たな技術革新や経済効果を生じるのではないでしょうか。また、途上国への技術援助は知的財産権の整備が急務であり、この件について政府はどのように考えているのでしょうか。是非、財源と知財の整備について外務大臣お答えください。
 私は、京都議定書締結の翌年に当たる九八年、初当選をさせていただきました。以来、ずっとこの地球温暖化問題に取り組んでまいりました。生態系の破壊を食い止めながら経済成長あるいは豊かなライフスタイルを求めるという、大変困難な、そして新たな挑戦に人類は直面をしています。
 民主党は決して経済をないがしろにした温暖化対策を求めません。経済システムの中にどう環境を取り入れていくかの各国の競争が始まっています。かつて、排出ガス規制によって技術開発がなされ、日本の自動車産業が世界を席巻したように、また、石油ショック以来のエネルギー効率を高めてきた日本のトップランナー方式が世界の標準となっているように、日本は温暖化対策でも世界のモデルになれる大きな可能性を持っている、私はそう信じております。自民党政権ではこの大きな可能性を失ってしまうのではないかという危惧を私は今禁じ得ません。
 未来の子供たちにどんな地球を引き継いでいくのか、既に温暖化の影響は現実のものとなりつつあります。食料問題やエネルギー安全保障とも深くかかわっている地球温暖化との長い戦いはまだ始まったばかりでございます。もはやIPCCを始めとする科学は温暖化に対してほぼ結論を出した、あとは政治の決断だけだ、温暖化の国際会議のたびに語られる、世界の政治指導者に求められているこの言葉を紹介して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣鴨下一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(鴨下一郎君) 福山議員にお答えいたします。
 洞爺湖サミットに向けた意気込みについてお尋ねがありました。
 洞爺湖サミットにおいては、福田総理がダボス会議で発表されたクールアース推進構想について各国の共通理解を得て、国連での交渉を加速することが求められています。私としては、G8洞爺湖サミットを成功させるため、今週末の二十四日から二十六日に神戸で開催されるG8環境大臣会合に臨みたいと思っております。同会合では、議長として、各国の環境大臣等との議論を進めることにより、サミットに向けて適切にインプットできるよう努力していく所存でございます。
 我が国の温室効果ガス排出量に関する長期目標の設定についてお尋ねがありました。
 我が国は、二〇五〇年までに世界全体で排出量半減を呼びかけている以上、先進国としてそれ以上の削減目標を掲げることは当然と考えており、六〇%から八〇%という数値はその範囲にあるものと考えております。ただし、これを決定した数値とするのではなく、現在は具体的な数字に言及すべきかどうかを含め、本年のG8議長国としての立場も考慮に入れながら、政府部内で鋭意検討を進めているところでございます。
 我が国の温室効果ガス排出量に関する中期目標の設定についてお尋ねがありました。
 福田総理は、ダボス会議において我が国が国別総量削減目標を掲げることを宣言しており、中期目標は当然必要と考えています。しかしながら、目標の具体的数字やいつ提示するかについては、二〇〇九年末の合意を目指して進めている次期枠組み交渉そのものにかかわることであり、各国の動向も見詰めつつ慎重に対応していくことが必要であります。
 政府としては、国内で必要な作業を加速しつつ、すべての主要排出国の参加や公平性の確保を念頭に、全体を取りまとめるサミット議長国としての立場も考慮しながら判断していきたいと考えております。
 セクター別アプローチと中期目標の関係についてのお尋ねがありました。
 福田総理は、クールアース推進構想に基づき、国別総量目標を掲げる決意を示しており、この方針は変わりません。また、この国別総量目標の設定に当たっては、公平性を確保する観点から、セクター別に削減可能量を積み上げて、国別総量目標の相場観を形成する方法を提案しています。このようにして形成される目標の相場観を踏まえ、今後、国際交渉を通じて、二〇五〇年までに世界全体の排出量を半減することや、今後十年から二十年でピークアウトすることを実現する適切な目標が設定されるものと考えております。
 二〇〇六年の国内総排出量が基準年比で六・二%上回っていることについてのお尋ねがありました。
 その内訳としては、業務、家庭、運輸部門において基準年比でそれぞれ二から四割増加しており、六%削減目標の達成は依然として厳しい状況であります。このため、三月には京都議定書目標達成計画を改定し、また、今国会に提出している地球温暖化対策推進法改正案においても、排出抑制等の指針の策定や地方公共団体実行計画の拡充などの措置も盛り込んでおります。
 今後、目標達成計画を着実に実施するとともに、進捗状況の厳格な点検と機動的な見直しを行うことにより、六%削減目標を確実に達成してまいりたいと思います。
 CO2の見える化の推進、すなわち、エネルギー供給事業者の一般消費者への二酸化炭素の排出量の通知等についてのお尋ねがありました。
 御指摘の中小事業者への負担の軽減も配慮して、衆議院において努力義務規定とする修正がなされたと承知しております。政府としては、その趣旨を十分に尊重して努力をしてまいります。
 国内排出量取引制度の導入の必要性についてのお尋ねがありました。
 国内排出量取引制度は、排出枠の設定を行い確実な排出削減を進めるとともに、炭素に価格を付けることにより社会全体の対策費用を最小化できるものであり、今後の温暖化対策の有効な選択肢の一つであると確信しております。環境省では、二〇〇五年から自主参加型の国内制度を実施して知見や経験の蓄積を進めてきたところでございます。
 政府部内における経済的措置等に関する検討会の取りまとめについてのお尋ねがありました。
 環境省では、本年初頭より国内排出量取引制度検討会を設置し、具体的な制度設計の在り方について掘り下げて検討を行い、今般、中間取りまとめを公表したところであります。今回の中間まとめが各方面における議論のたたき台として活用されることを期待しております。
 環境省としては、今後、我が国の実情に合った国内排出量取引制度の具体的な制度設計の在り方について検討を加速し、官邸での政府全体としての検討にも貢献してまいりたいと考えます。
 再生可能エネルギーの促進策についてのお尋ねがありました。
 京都議定書目標達成計画に定める再生可能エネルギーの導入目標達成のためには、その拡大に向けた対策の加速化が不可欠と考えております。そのため、環境省では、再生可能エネルギーについて民間企業等が行う新たな技術開発、設備整備に対する財政、税制上の支援などの様々な導入拡大施策について取り組んでいるところであります。また、改正された京都議定書目標達成計画においても、再生可能エネルギーの導入促進に向けた抜本的な対策強化について検討を行うこととしております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣町村信孝君登壇、拍手〕
○国務大臣(町村信孝君) 福山議員にお答えいたします。
 まず、北海道洞爺湖サミットへ向けた取組についてのお尋ねがございました。
 地球温暖化問題の解決には、世界全体としての排出削減を実現すべく、すべての主要排出国が責任ある形で参加する実効性のある枠組みを構築することが何より重要であります。
 こうした認識の下、福田総理は去る一月、クールアース推進構想を示されました。そして、我が国の考え方や取組について各国の理解と支持が得られますように、先般の日中首脳レベルが一つの例でございますが、こうした二国間会談あるいは国際会議での場を活用いたしまして、各国への積極的な働きかけを行っているところであります。
 我が国としては、七月の北海道洞爺湖サミットに向けて、議長国として積極的なリーダーシップを発揮して、建設的に議論を進めてまいります。そのため、我が国としての長期目標の設定、革新的技術開発、低炭素社会の実現、途上国の温暖化対策支援のための資金メカニズムの創設等について万全の準備を進めていきたいと考えております。
 次に、国内排出量取引制度の導入についてお尋ねがありました。
 ただいま環境大臣からの御答弁もございましたけれども、内閣としては、本年の二月に地球温暖化問題に関する懇談会を設置し、国内排出量取引制度についても、排出削減を進めるための有効な政策手段の一つとして総合的に検討を進めているところでございます。
 この懇談会では、環境省、経済産業省における検討を参考にしつつ、我が国としての検討を加速し、六月に予定をされております懇談会の中間取りまとめにおきましてこの議論の成果が示されることを期待をしているところであります。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
○国務大臣(甘利明君) 福山議員にお答えをいたします。
 まず、我が国の長期目標についてのお尋ねがありました。
 世界全体の長期目標については、我が国は二〇五〇年までに温室効果ガス半減を提唱しておりまして、責任ある対応が必要だと考えております。この提唱を前に進めていく観点から、大幅な排出削減を可能とする革新的技術開発などを進めるとともに、我が国自身の長期目標についても、その内容と発表の適切なタイミングを検討していくべきと考えております。
 次に、長期エネルギー需給見通しについてのお尋ねがありました。
 長期エネルギー需給見通しは、産業、民生、運輸などの部門ごとに、最先端の省エネ技術による削減可能量を積み上げまして、CO2の削減量を算出するとともに、削減に向けた具体的かつ実践的な道筋を示したものであります。
 二〇二〇年の温室効果ガスの排出量は、森林吸収源の取扱いやその効果が変わらないとした場合、より公正な指標となる二〇〇五年比ではマイナス一四%となりまして、欧州と遜色のない削減見通しとなっております。今後、この見通しを重要な検討材料として、我が国の国別総量目標に関する政府全体としての検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、二〇五〇年に世界全体で温室効果ガスの排出を半減するためには、先ほども申し述べましたとおり、革新的技術の投入が不可欠でありまして、先般、そのためのロードマップも示したところであります。政府を挙げてクールアース50の実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、国内排出量取引制度の導入の必要性についてのお尋ねであります。
 国内排出量取引制度は、自国の排出量を直接規制できるという一方で、個々の企業への排出枠の割当てを公平に行うことが困難ではないかとか、企業の海外流出を招くおそれはないかとか等の指摘があることも事実であります。このような点を踏まえまして、今後、その効果、産業活動や国民経済に与える影響等の幅広い論点につきまして総合的に検討していくことが必要であろうと思います。
 次に、京都議定書の批准時のやり取りについてのお尋ねでありますが、報道されているような密約の存在は承知しておりません。
 再生可能エネルギーについてのお尋ねでありますが、再生可能エネルギーの導入促進は地球温暖化対策の観点から有効でありまして、その経済性や供給安定性等の課題を解決をし、普及を拡大するべく、技術開発や導入支援、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法、いわゆるRPS法でありますが、の着実な推進等に取り組んでいます。
 また、現在、総合資源エネルギー調査会で新エネルギー対策の抜本的強化についての御議論を行っていただいておりまして、長期エネルギー需給見通しの実現に向けた太陽光発電の抜本的普及対策等について速やかに総合的な検討を行ってまいります。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕
○国務大臣(高村正彦君) 国内排出量取引制度導入の必要性についてのお尋ねでありますが、この制度につきましては、二月に総理が設置された地球温暖化問題に関する懇談会において、排出削減を進めるための有効な政策手法の一つとして総合的に検討を進めるというところと承知をしております。我が国としては、検討を加速し、国際的なルールづくりに積極的に関与していくべきと考えております。
 地球温暖化に係る途上国支援についてのお尋ねでありますが、福田総理は一月、排出削減と経済成長を両立させようとする途上国を支援するため、百億ドル規模のクールアース・パートナーシップを構築する旨発表いたしました。今後五年間にわたり、ODAやその他の公的資金により途上国を支援してまいります。
 投資により途上国への技術移転等が円滑に行われるよう、我が国は、知的財産権の保護を含め、途上国の投資環境整備を引き続き支援してまいります。(拍手)


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第169国会  参議院  環境委員会 2008年3月25日

地球温暖化問題(ポスト京都、G20等)


○福山哲郎君 福山でございます。
 大臣、副大臣、皆様におかれましては御苦労さまでございます。今日は三十分しかないので、もういきなり本論に入らせていただきたいと思います。
 温暖化の問題については、随分、佳境に入ってきたというか、洞爺湖サミットを目前に政府内の動きも活発化をしていると思いますし、また、つい先日でございますが、予算委員会のさなかに三月の十四日から十六日まで千葉でグレンイーグルス対話の閣僚級会議がありまして、鴨下大臣も御出席をいただいたということで本当に御苦労さまでございます。
 私も当時、ブレア・イギリスの前首相とも個別にお目にかからせていただいて温暖化に対するかなり強い決意をもらいました。なかなかリーダーシップがあって、EUを引っ張っていく決意もあって、なかなか政治の力というのは大きいなと思っておりましたが、鴨下大臣はバイではブレア前首相とはやられなかったんですよね。要は、会場でということですよね。是非、大臣にもブレアばりに引っ張っていっていただきたいと私は期待しておりますので、よろしくお願いします。
 本論に入ります。今月初めに政府は国連の条約事務局に非常に重要なポイントになります二〇一三年以降の温室効果ガスの排出削減の枠組み交渉に対する日本提案を提出をされました。主要検討項目として八つの提案がなされています。私も手元に持っておりますが、相変わらず、長期目標については世界で半減ということで、我が国の総量削減目標については言及がありませんでした。法的拘束力についても、法的拘束力のない共有されたビジョンという、何を言っているんだかよく分からない提案がなされておりました。
 で、二〇五〇年、現在より半減というのは、安倍総理のときからもうずっと日本のポジション変わらないんですが、それ以上にはなかなか前に進んでいないと。私はこの議論をもう大臣と何度もやり合っているので、大臣ももう耳にたこができて嫌だと思いますが、国連の条約事務局に対する日本提案というのはやはり二〇一三年以降の枠組みについて非常に重要だと、ましてや洞爺湖サミットで議長を務める日本についてはこの提案をベースに議論がスタートするのではないかと私は思っておった関係上、若干失望をしておりました。なぜ我が国の長期目標、せめて五〇%以上削減と何らかの形で言及がなかったのか、大臣、お答えをいただけますでしょうか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 今月、国連事務局に提出した次期枠組みに関する提案について我が国は、今先生おっしゃったように、各項目ございますけれども、要約しますと、気候変動枠組条約の究極の目的の実現には、世界全体で長期的な排出削減のパスを共有することが必要であり、その前提として目指すべきビジョンを共有することが必要と、こういうようなことをまず申し上げて、その後に、そのビジョンに基づいて地球全体での実効性のある排出削減が図られるよう、世界が協調できる中期のピークアウトに向けた方策及び長期の対策を検討すべきと提案したわけでございます。
 この提案については、長期目標を設定する目的は、各国が今後の課題を共有する上で認識を共有することにあり、長期目標は次期枠組みにおける中期目標とは異なり、法的拘束力のない共有されたビジョンに位置付けていると。まあ何言っているか分からないかも分かりませんけれども。
 なお、我が国の長期目標につきましては、これは今後の国際交渉を見極める必要がありますが、日本の目標を打ち出す時期が来るというふうに考えておりまして、必要な検討を今鋭意進めております。
○福山哲郎君 大臣自ら何言っているか分からないとおっしゃったのがもうそのとおりでございまして、中期目標も長期目標とは何か今関係ないみたいな、関連しないみたいなこともおっしゃいましたし、さらには日本の長期目標、削減目標についても検討中だと。私は去年の十月の十六日からずっと実は待ち望んでいて、ずっと検討中、検討中と言って、もう洞爺湖サミットまで目前になっているという状況でございまして、本当にそれでいいのかなと。
 まさに、大臣おっしゃられました中期目標もここに書いてあるんですが、主要排出国によるセクター別積み上げ方式の国別、いいですか、総量目標の設定方法を検討と書いてありまして、国別総量目標の設定方法を検討するというのは削減目標ではありません。つまり、国で一体どのぐらい出すんだということの話にはなりますが、実は中期目標のところでも削減という言葉がありません。これやっぱり、こういう状況でどう洞爺湖サミットをリードされるおつもりなのか。私にとっては、なかなか、大丈夫かなと失礼ながら感じているところでございまして、国の総量削減目標も、結局これ半年間出てきていないわけです。
 もう大臣はよくお分かりですから、私は大臣をこれで責める気はないですが、大臣は、年内にと実は去年の秋には言及をされたと。総理も、作るんでしょうということを、作ればいいんでしょうという御議論もされたと。ところが、現実問題として政府内の調整が付かずに、結局、条約事務局への提出の文書も、まさに大臣が言われたように、大臣すら訳が分からぬと言っているんだから、条約事務局も訳が分からぬでしょう。これで一体どう議長としてまとめるのかということについて、まあ幾ら言っても変わらないんで、僕も何か言うのもせんないんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 私の認識では、先生がおっしゃった国別総量目標は削減目標と同義だというふうに考えています。
 ですから、削減目標については、これは負担の公平性を確保するという観点から、セクター別アプローチと、こういうようなことを提唱しておりますけれども、削減可能性を積み上げて主要排出国間で比較、分析するという方法で検討をすると。目標の合理的、客観的な相場観を形成すると、こういうようなことにはこれは資するものだというふうに思っております。
 また、加えまして、我が国の国別総量目標については、これは国内で必要な検討作業を精力的にやっているところでありまして、すべての主要排出国の参加や公平性の確保を念頭に、国際交渉の状況を見つつ、いろいろとこれから国際会議がございます、特にG8の環境大臣会合あるいは最終的には洞爺湖のサミットがありますし、同時期にMEMがありますので、そういうようなことを踏まえつつ、これは私の考えとしては早めに明確に出したいというふうに思っておりますし、何よりも、そういうようなことで明確な姿勢を示すことが、日本がサミットにおいてリーダーシップを取ったというあかしになるんだろうというふうに認識しております。
○福山哲郎君 いつも大臣とはここまでは大体共有できるんですが、済みません、経産省からも今日は副大臣、お越しをいただいていますが、先ほど環境大臣が言われた総量目標でございますが、中期計画の国別総量目標は削減目標と同義だと今、環境大臣はおっしゃられました。私も同義だと思っているんですが、経産副大臣も同義ということでよろしいですよね。
○副大臣(新藤義孝君) 基本的には今、環境大臣がおっしゃられたことのとおりだろうと思っておりますし、現状の京都議定書においても、削減目標ではなくて総量が、目標が記述されているわけですね。それは一九九〇年比でマイナスになっているから削減だということなのであって、我々は世界中でこの排出量をどうやって削減するかという目標の下で、何年までにどれだけのものを、量にしますと決めているわけですから、これは総量目標と削減目標は同意義であると、このように理解をしております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 これも環境大臣とよく議論している話で、環境大臣は理解していただいているので、もう一度確認したいんですが、昨年のバリのオールドAWGでは、IPCCの二五から四〇%削減が二〇二〇年までということを、批准国はそのことを認識しているということについては合意をしました。
 つまり、今二〇二〇年について日本はまだ何も中期目標を定めていないわけですが、この二五から四〇のオールドAWGで認識を共有化したことについては、この提出文書はあるけど、条約への提出文書はありますが、そのAWGの合意はまだ残っているというふうに考えてよろしいですね。その確認はさせてください。
○国務大臣(鴨下一郎君) 今お話しになった数字は、これ京都議定書に基づくオールドAWGのバリでの結論文書において、IPCCのシナリオに基づいた場合、先進国がグループとして削減する必要がある幅を二〇二〇年までに一九九〇年比で二五から四〇%の範囲で削減することが必要であるというふうな指摘をしていることを認識すると、こういうようなことでありまして、この認識を踏まえて今後、国際交渉が進められることとなりますが、国別の目標は本オールドAWGの交渉の成果そのものであり、今後、交渉を通じて目標が設定されていくものであります。
 日本提案はバリ合意を踏まえて、主要排出国の参加や公平性の確保を念頭に国際交渉を進めていくために提案していくものでありますから、おっしゃるとおりに、オールドAWGにおける二五―四〇という数字を認識するというようなことはそのまま生きているということでございます。
○福山哲郎君 南川さん、どうぞ、手を挙げました。
○政府参考人(南川秀樹君) 私ども事務方、各省と連絡を取っておりますけれども、そういったAWGでIPCCが指摘していることを認識するということについては共有の理解、共通の理解があると考えております。
 ただ、委員御指摘のとおり、日本が三月七日に提出しました新AWGサブミッションでございますけれども、これはあくまで今回の三十一日から始まりますAWGが、要は今後二〇〇九年末に向けてどういう段取りで何を議論していくかということを決めるための素材を出せということでございます。したがいまして、その作業対象項目とか作業の進め方とか作業スケジュールとか、そういったことを中心に出せということで注文が来ておりますので、少し具体的には日本としてどういう対策を取るか云々の問題とは違うことが要望されているということから、恐縮ですが、若干の認識のずれが出ているのかなと考えております。
○福山哲郎君 分かりました。ということは、このAWGへの提出文書はそのまま、もちろんなんですが、このまま移行してサミットでの議長の提案というふうに直接にかかわるわけではないということを今、南川さんはおっしゃったんだと思います。
 しかしながら、若干懸念するのは、今回の三月に行われたグレンイーグルスの対話の閣僚級会合において日本が議長として提案されたことはほとんどこのことと変わらないんです。こういう実態があるから我々としては、若干今の南川さんの話が少し、ちょっと懸念を持たざるを得ないというのが実態だと思いますが、これ別に事務方に言ってもしようがないですが、事務方からさっき答弁があったので、もし南川さん、お答えいただければ。
○政府参考人(南川秀樹君) 二週間前の千葉での会議でこのセクトラルアプローチの問題について日本が問題提起をして、それについて突っ込んだ議論がされたことは事実でございます。
 ただ、私どもとしては、特に鴨下大臣がその基調講演の中で、まずもってこれは、セクター別のアプローチというのは、日本は国別総量を掲げてやるんだということに何ら変わることはないんだと、その方法論の一つであって、これについては国環研など様々な研究がございますから、それを集めて、むしろ世界でオープンにシンポジウムをやろうじゃないかということで、そういったワークショップをやることで世界的に議論をするということで、すべてを、何かを隠して進めようというんじゃなくて、オープンにして国際裏でその公平性の議論をしようじゃないかということでございます。そういう意味で、私どもとしては今回のそのサブミッションの提出について、それをずっと引っ張って、それがCOPのまとめを遅らせるような、そういったことにしてはならないと認識をしております。
○福山哲郎君 遅らせることはならないと認識をしていただいていることは評価をしますし、よろしくお願いしたいと思いますが、私は、実は今日のこれまでの質問の中で一度もセクトラルアプローチという言葉は使っていません。まだ一回も多分出していなかったはずです。それから、何か隠し事をしているという話も一度もしていません。逆に、南川さんが意識されればされるほど何かあるのかなと思ってしまいますが、まあそんなつまらないことはやめておきましょう。
 三月の十九日、経産省は長期エネルギー需給見通しの案を発表されました。これは作業大変だったと思いますので、そのお力には大変敬意を表したいと思いますが、二〇二〇年時点で最大限導入ケースをこれで見ても、CO2は九〇年比三%程度しか削減できないとなっています。これは三月の十九日の経産省の長期エネルギー需給見通しの中身でございます。
 先ほどの話は、二〇二〇年は二五から四〇という、オールドAWGである種合意をされた認識に基づいて二〇二〇年はやりたいというふうにおっしゃっておられました。ところが、片方でこの時期に出てきた長期需給見通しだと九〇年度比三%しか削減できないとなっていると。これは一体どういうことなんだと。単純に考えても、そこの調整は一体どうするんだというふうに思います。
 今後のサミットに向かっていくときに、今、鴨下大臣は、日本も中期目標、長期目標を出すことが責任だとおっしゃっていただきました。もうそのとおりだと思いますが、実際に経産省の需給見通しでは三%程度しか削減できないと言っています。それも最大限です。まさか洞爺湖サミットで我が国も最大限三%ですと表明するわけではないと私は思っているんですが、これ環境大臣と経産副大臣、両方に御答弁いただきたいと思います。
 どちらでもいいです。じゃ、鴨下大臣。
○国務大臣(鴨下一郎君) 今のエネルギー起源のCO2について省エネ、新エネに関して技術的なポテンシャル、これを一定の仮定を置いて試算した一つの見通しだというふうに私どもは考えています。加えて、環境省が目指しているものは、低炭素社会への転換に向けた削減見通しについては、これ個々の対策技術の導入ポテンシャルだけではなくて、例えば都市や交通の在り方などの抜本的な見直しや、国民、事業者の行動の変革、排出削減を進めるための政策手法の在り方、こういうようなことをすべてを総合して考えると、こういうような認識でありますから、その中の一つの、例えば省エネ技術と、こういうようなことに関しては今先生おっしゃったことなのかなというふうに私どもとしては認識をしているところであります。
○副大臣(新藤義孝君) 大変微妙なところだと思うんですが、私どもは、これは正確に言葉を選びますと、先ほど先生がおっしゃったようなオールドAWGのこの指標は二五%から四〇%削減する必要があると指摘していると。で、それを認識していると。しかし、これは先進各国がこのシナリオに沿ってIPCCのシナリオに沿って削減することを合意しているわけではないんだと。また、IPCCにもいろんなシナリオがあるというのは先生も御承知のとおりだと思っております。
 私どもが今回出しましたこの長期エネルギー需給見通しは、これは三年に一度程度の改定で、今回十三回目と。そして、最大限の技術開発をやって最大限の努力を行った場合にこれだけの効果が得られるということで、エネルギー起源のCO2につきましては一九九〇年比三%削減する見通しだと、こういうことでございますが、いずれにしても、これに加えて新たな技術革新だとか更に努力を行って、またセクター別アプローチですとかいろんな工夫をして、更に削減を努力しようと、こういうことではないかなと私は理解しております。
○福山哲郎君 これね、政府のやり方の問題なんですけど、今、目達計画が閣議決定されようとしているんですよ。これで第一約束期間六%何とかしますという議論をようやくしていて、それに対してもう今できないんじゃないかと言われていると。洞爺湖サミットには、今申し上げたように、オールドAWGの中で、合意の中で二五から四〇ということを認識してやるんだと、さっき大臣も確実にそうおっしゃられた。ところが、同じ時期に長期需給見通しが出てきて、これには最大限で三%しか削減できないとおっしゃっていると。
 一体これは、我が国の立ち位置というか、我が国は一体どういうポジションに今いるんだと、これ世界中から見ても分からないですよ。だって、僕ら国内にいて分からないんだから。これ一体どういう交渉をしようといって、またどういうふうに洞爺湖でこれは議長がリーダーシップを取ろうとしているのか、私は本当に分からないんですね。
 新藤副大臣のおっしゃったことは、経産の立場でおっしゃればそれは分かると。長期需給見通しでいえば三%だと。あとはいろんな技術革新等をしていかなきゃいけないというのは分からなくはない。分からなくはないけど、もう二月とか三月後に日本のポジションをはっきりしなきゃいけないのに、まさかこれ三%だというんじゃないかなといって、私はどうするのと思っているんですけど。これ、答え求めてもしようがないんですけど、大臣、どう思われます。
○国務大臣(鴨下一郎君) 多少繰り返しになりますけれども、エネルギー起源のCO2については、今経産省の試算としてはこういうような数字があると。これは一つの試算でありまして、トータルでいうと、我々は二〇二〇年までには、単なる今の技術水準を延長線上で延ばせばそれでかなうという数字じゃありませんから、例えていえば徹底した新技術、イノベーションを進めるというようなことと、加えて、例えばCCSのような新たな技術を導入するとか、こういうようなことのすべてを導入してやるというようなことで、そちらの方については我々がしっかりと全体像を組み立てて、そして世界に向けてそれなりのメッセージを発信したいと、こういうふうに考えているわけであります。
○福山哲郎君 恐らくもう時間がないので、もう最後残っていた、最後にしていた質問をあえて意見として申し上げますと、二月の二十二日に地球温暖化問題に関する懇談会を総理が立ち上げられました。これはいろんな温暖化に対する協議をすると。三月の六日に国内排出量取引制度に対して環境省が研究会みたいなものを設置をしました。三月の七日に経産省が地球温暖化対応のための経済的手法研究会というのを設置をいたしました。
 これ、洞爺湖サミットを目の前に、こんな三つつくって用意ドンで走らせて、どうやってまとめるんですか。今の長期需給見通しと目達計画と、そしてこの条約に対する意見の表明も含めて、相変わらずみんなばらばらに走っている。それぞれがそれぞれ言いたいことを言っている。最終的にまとめに上がったときには調整が付かなくて、さっきまさに大臣が言われたような、何を言っているのか訳の分からないことを言っていると。これどうやって議長を務めるんだというのが、もうさっきから同じことを言いますが、私の認識です。ただ、ちょっと今日聞いておきたいことがあるので、そのことについては問いません。
 さっき申し上げたグレンイーグルス対話、三月十四から十六日の問題ですが、これに対する、環境大臣、本会合の評価についてお述べをいただけますか、短めにお願いします。
○国務大臣(鴨下一郎君) 二日間にわたって各環境大臣が集まって議論をしたわけでありますけれども、私は、ポスト京都のフレームワークについては、例えばさっきセクター別アプローチの話と、第一日目に少し誤解がありました。それを受けて私は次の日の基調講演の中で申し上げたのは、共通だが差異ある責任と各国の能力と、こういう原則がまずあって、そしてその後に、仮に言えばセクター別な積み上げという一つの議論もあるんだと、こういうような話で、多分多くの国の大臣方は納得してくださったというふうに私なりには思っています。
 ですから、まず日本がしっかりと示さなきゃいけないのは、セクター別アプローチというのが、これがいわゆる国別総量目標に代替するものではないんだという、こういう認識をしっかりと持っていただけたというふうに思っておりまして、まあ方向性としては私はそれなりにこのグレンイーグルス対話は成功裏に終わったと、こういうふうに認識をしております。
○福山哲郎君 まあ、鴨下大臣は正直な方ですから非常に難しい言い回しをされましたが、誤解があったことは間違いないんですが、十五日午前の会合後、議長総括で、甘利大臣がセクター別アプローチについて有効性について共通認識を得たと発言されたと報道されていますが、その認識に変化はあったのかなかったのか、その認識はもう変えられたのか、そこは副大臣、いかがでしょうか。
○副大臣(新藤義孝君) これは、いわゆる共通だが差異ある責任、これがセクターアプローチの中でどのように体現されるか、ここに多少の誤解が出たと。そして、引き続いて甘利大臣も、南アフリカ、それから中国、オーストラリア、いろいろと懸念を表明された大臣ともバイの会談を行いまして、各大臣から、日本の立場、またセクター別アプローチの理解は進んだと、このようなお答えもいただいております。
 いずれにいたしましても、このセクター別アプローチがすべての主要排出国にとって納得できる、また有効なアプローチであるということを私たちはしっかりと説明していかなくてはならないんじゃないかと、このように思っております。
○福山哲郎君 先ほど鴨下大臣が言われたセクター別アプローチと総量削減目標は別だと、総量削減目標があった上でだということに関しては新藤副大臣も同じ御認識ということでよろしいですね。
○副大臣(新藤義孝君) それでございまして、国別総量目標はこれはこれでもう設定すると中期目標にも書いてあるわけですから、しかしその手段としてのセクター別アプローチというものを追求していこうと、こういうふうに私は理解しております。
○福山哲郎君 報道によれば、非常に日本のまとめ方について不満が各国から出されたと。例えば、事前準備したG20のバックグラウンドペーパーにセクター別アプローチに対して非常に強調して書かれていたところがあったこととか、議長としてのまとめのときに、セクター別アプローチの重要性について議論をしたいという問題提起があって、重要性について議論をしたいというような形でほかからはいろんな意見が、懸念や反対の意見があったと。また、議長サマリーに対しても、先ほど申し上げましたように、共通の理解が得られつつあるというふうに取りまとめたことについて、そういったような議論を全く反映していないというようなことが実は各国の閣僚や大臣、閣僚から意見が表明をされたと。
 先ほど、若干の誤解があったというふうにおっしゃいましたが、これはやはり国内でやられた会合だから実はこれだけ報道で中身が明らかになります。この実は会合の回し方の問題にしても、やっぱり本当に途上国やそのほかの閣僚に不信感が残ったのか残らないのかも含めて、私は洞爺湖サミットに向けて非常に懸念を持っているところでございます。
 先ほど、鴨下大臣も新藤副大臣も、それぞれバイでやって誤解を解いて理解が深まったという表現があったというふうに言われましたが、それが本当に真実であって各国にいろんな形での理解が深まることを私も願っていますが、やはり洞爺湖サミットではこのような形の議論の進め方についてはできるだけ慎重にお願いをしたいというふうに思っているところでございます。
 鴨下大臣、どうですか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 今先生おっしゃるように、経緯については、多分、報道されていることもかなりの部分、事実だろうというふうに思います。
 そういう中で、会議は二日ありましたから、あの二日目のところでそれぞれ、甘利大臣も私も含めてですが、単純にセクター別アプローチということだけ日本が申し上げているんではないと、こういうようなことについてきちんとした説明をいたしまして、まあ私も南アもドイツも、それからブラジルも、そしてイギリスも、そういうような方々と立ち話のような形で議論をしました。そういう中で、一つの積み上げの方法論としてセクター別の言わばベンチマーク方式のようなものについてはそれなりに私は科学的な根拠があると思います。
 ですから、それはそれとして、しかし国別総量目標ということ、あるいは何度も申し上げますけれども、共通だが差異ある責任と、こういうような基本原則は絶対に揺るがないんだと、こういうようなことは、これから幾つかの国際会議がありますけれども、その中でもきちんと申し上げて、しかし日本なりのリーダーシップを取れるような形での発言も加えてやっていかなければいけないと思います。
○福山哲郎君 ありがとうございます。是非、御努力いただければなというふうに思っています。
 先ほど申し上げましたそれぞれの経済的手法に対するまとめにしても、先ほど大臣がおっしゃられた国別総量目標がまずありきだという話は、我が国が国別の削減目標を提示をしなければ、それは幾らこの委員会の中でそう言っていても国際会議の中ではなかなか説得力を持ちませんので、そのことについて早急に結論をお出しいただきますことをお願いいたしまして、時間になりましたので質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

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第169国会  参議院  予算委員会 2008年3月19日

道路特定財源問題(事業費の膨張等)


○委員長(鴻池祥肇君) 平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算、平成二十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。福山哲郎君。
○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。
 大臣におかれましては、連日、本当にお疲れさまでございます。また、予算委員長も、長時間いつもお疲れさまでございます。
 まず、冬柴大臣、実は事前通告していないんですが、多分お答えいただけると思うのでお伺いをしたいと思います。
 衆議院も含めて予算委員会が始まりました。この国会はガソリン国会とか言われてスタートして、基本的にはそれぞれの委員から道路の問題について議論がなされています。大臣からは本当に真摯な答弁をいただいていると思いますが、国民の理解を得るというお話ですが、昨今の世論調査を見ると、暫定税率の廃止を国民が非常に強く望んでおられると、減るどころか、実は世論調査の数字は上がる一方です。それから、我々が当初から主張しておりました一般財源化の問題も、暫定税率廃止以上に、多いところでは八割とか九割の世論調査で一般財源という議論が出ています。
 大臣が御説明を真摯にいただいているけれども、残念ながら国民の中には理解が広がっていないどころか、逆に我々民主党の主張に対して国民は非常に共感を持っていただいているというふうに私は現状認識しておりますが、この状況について大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 新聞紙面等の世論調査を見ますと、福山委員が今おっしゃったような結果が示されております。私は真摯に受け止めなければならないとは思いますけれども、しかし、私の説明が十分でないということでそのような結果が出ていることについては非常に責任も感ずるし、残念な思いでいっぱいでございます。
 ただ、各種世論調査というのはそのときの世相を受けて大きく変わる、それはもう常でございますけれども、いわゆるこの道路特会からの目に余る不正支出といいますか、こういうものを、民主党の議員の先生方はもう大変な勉強をされまして、そして詳細に挙げられました。私は、その中で聞いていて恥ずかしくなるようなこともありました。
 したがって、そこで私は真摯におわびもし、そしてそれに対する改革にも取り組む、本当に政治生命懸けてでも取り組むんだという気持ちで、私どもの方の副大臣二人、政務官三人とともに、政治主導で、専門家の意見も聴きながらこれを改革しようと。それで、当初は六月と言っていたんですけれども、総理からもそれは遅過ぎるんじゃないかということで、四月には結論を出そうと。
 その中には、特命発注の問題はもちろんの話ですけれども、特に道路特会から一口五百万以上の支出を受けた法人を洗い出しますと、五十ありました。そういう意味で私は、これを半減するということも、これは根拠があって言っているわけじゃなしに、庶民の感覚として、皆さん方に、これは大変な作業だと思うけれども、私はもう半分にしてもらう。それから、役員の数もいろいろ指摘されました。これも、もう大きく減員すると、納得していただけるように減員すると。それから、まあ極め付けといいますか、のこともたくさん出ました。私はそういうものについては、もう即座、その質問された議員に対して、直ちに廃止しますというようなこと、あるいはそれは辞めさせますということで辞めていただいた方も何人もあります。
 そういうふうに私はその悪いところは改革し、改めていかなきゃならないけれども、しかし本筋の道路を今後造らなきゃならないというその点は本当に分かってほしい。そうでなければ、今からの十年というのは日本にとって本当に残された十年だという私危機感を持っているぐらいもう大変な十年だと思いますので、本当に国民の皆さん方に分かっていただくべく、今後も懸命に誠心誠意、冷静沈着に私はその説明をさせていただきたいと、このように思っておるところでございます。
○福山哲郎君 大臣の説明が不十分だと謙虚におっしゃられましたけれども、恐らく大臣の説明が不十分という問題ではなくて、本質的に、非常にこの特定財源制度と暫定税率を維持する中で国土交通省が道路行政というのをじゃぶじゃぶにして好き放題やってきたと、そこのところを国民が気付いているから、世論調査の中では一回見直せと、ちゃんと変えろという声が私は強いんだと思います。
 先ほど半減の話もされましたけれども、それはある意味でいうと、やっていて普通なら当たり前のことを指摘されてようやく変えましたと、それでも半分かいというのが実態のところだというふうに私は思っておりまして、やはり根本的な道路行政の在り方を見直すという思い切ったことを与党側が言っていただかなければ、これは修正協議の話も出ておりますけれども、今までの制度を維持するような前提のものでは、我々は到底国民の声からいってものめないということは申し上げておきたいと思います。
 お伺いをします。昨年、私が資料要求をさせていただいて出てきた数字の中で驚くべきものがありましたので、お答えください。
 平成十四年度から現在まで、完了した、また実施中の事業のうち、まず百億円以上の事業が幾つあったかお答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 事業費が百億円以上で国直轄事業及び補助事業、これがトータルでいいますと千百七十六事業でございます。
○福山哲郎君 そのうち、当初の見積もられた事業費より総事業費が下回ったものの数と割合はどれだけかお答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 当初事業費より下回った事業費、最終又は現時点の事業費が下回った事業が百二十事業、一〇・二%でございます。
○福山哲郎君 当初事業費と総事業費がほぼ同じだった数とパーセンテージをお答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 三百六十七事業、三一・二%でございます。
○福山哲郎君 それでは問題の、当初事業費より総事業費が上回ったものの数と割合をお答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) 五百九十七事業、五〇・八%でございます。
○福山哲郎君 五〇・八%が当初事業よりも上回りました。
 この数字に関連して、二月八日、衆議院の予算委員会で冬柴大臣はこう答えておられます、我が党の長妻代議士の質問に対して。下がった分は四一・八%、我々としてはいろいろと見直して減少させているものも、先ほど言いましたように四一・四%あるわけですと。
 実は、下がったとか減少したもの、先ほどおっしゃられた、大臣ですね、数字でいうと、ほぼ当初事業費と同じものが実は三一・二%だったんです。実は、下がったものは、今明快に答えていただきましたが、一〇・二しかないんです。ところが、大臣は衆議院の答弁の中で、下がった分は四一・八、減少させているものも四一・四、これは数字を間違えられたんだと思いますが、これはどう考えても間違った答弁だと思いますので、修正をしていただきたいと思います。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 長妻さんは三回質問主意書を出されまして、百億円以上で一・五倍以上上がったものを示せということで、たくさんある中から職員が拾い出して、その要件に合致するものを提供をずっとし続けてきたわけで、それをパネルに書かれまして、ほとんどが上がっているような言い方されました。これは議事録読んでもらったら分かります。私は、それは違うんじゃないですかと。上がった分だけ出せと言うから上がった分を出して、それが、大半が上がるというような印象を与えるような言い方は違うんではないですかと言った後に、このように私は述べております。
 したがって、母数が違うんですと、母数が。確かに二倍より大きくなったもの、いや、当初より大きくなったものは八・三%ありますが、当初事業費より以下となっている事業が四割あります。もう少し詳しく言えば四一・四%あるんです。したがって、増えた分だけ挙げろと言われてから挙げて、それがそうなるわけでございますと、こういうことを言ったわけです。
 したがいまして、その直後に今指摘されましたように、もちろん、下がった分は四一・八と、これ間違ってますね。それから、減少させているものもという言葉で、減少ですから、以下をもって下がってないので四一・四あると、こう言ったのは、これは誤解を招くと思います。
 したがいまして、これは併せて読めば私の言いようは分かると思うんですが、その点は訂正をさせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 今大臣が訂正をされたので、私はこのことについては細かく申し上げません。
 しかしながら、実態は、重要なのはここなんです。実は、当初事業費より下回ったのはたった一〇・二%しかないということです。八割以上が、当初事業費より上回るか、それと同じ額だということです。よくこの委員会の答弁の中で効率化をするとかコストを下げるとか言ってるけど、実態としては全く下がってないということがこれで明らかになっています。
 それでは、先ほど言われました五百九十七事業、上回った分でございますが、当初の事業費の合計は幾らですか。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 当初事業費の合計でございますが、十九兆五千三百億円でございます。
○福山哲郎君 それが現時点では幾らになっていますか。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 最終又は現在の事業費の合計は、二十八兆一千七百億円でございます。
○福山哲郎君 驚くべき数字ですよね。この五年分だけでも八兆六千四百億円も増えているんです。
 他方、下回っている金額は幾らですか、先ほどの一〇%のうちの。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 当初事業費より下回ったものでございますが、トータルで八千七百億円でございます。
○福山哲郎君 八兆六千四百億増えて下回ったのは八千億、差引き約八兆当初見積りより事業費は増えているんです。これをどんぶり勘定と言わず何と言うんでしょうか。冬柴大臣、お答えください。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 道路事業を進めていく上においては、ほぼ十年の歳月が掛かります。その中で、地元協議に伴う計画の変更見直し、用地補償費の増加、現地の地盤状況などによるトンネル等の工法の変更など、当初予測できない要因でやむを得ず事業費が増加する場合があるわけであります。
 しかしながら、いずれにいたしましても、道路事業を進めるに当たっては、事業開始段階から完了後まで評価を徹底するとともにコスト削減を図っていかなければならない、このような観点で、途中経過でも評価をやり直したりして、中止をしたり、あるいは工事自体を見直したりしたものも起こるようになりました。平成十年から、そういうような、途中経過でも評価とか、そういうものによって見直しや中止をする部分も出てきまして、確かに、今挙げられたように、余りにも増額が大きいという点については、御批判は甘受しなきゃならないと思います。
 しかし、今、冒頭にも述べたような事情でやむを得ず膨らんでいく部分があったわけでございますが、今後は、事業途中でも評価をして、そしてそれについていろいろな見直しをする、そういうようなことを、事によれば中止をする、そういうこともこれからはやっていかなければならないと、このように思っております。
○福山哲郎君 大臣が今せっかく言われた再評価の数ですが、実は平成十年度からやって、二千七百八十二件のうち見直しはたった四十一件、中止はわずか二十九件。しかし、これは、ダムが実は事業が中止になって、それにくっついている道路がなくなったりするような見直しとか中止ばかりなんです。道路本体をやめましょうというのはほとんどない。こんなので見直しはちゃんとしていると言えるんですか、大臣。
○国務大臣(冬柴鐵三君) ダムのためにやめたのはそのうち二件でございます。
○福山哲郎君 実は私は、先ほど言われた用地買収とか移転の問題も幾つか新しい事業で見ました。例えば用地補償費が何で増えたか。工場、病院、大型商業施設の買収の費用の増、商業施設に伴う移転費用の増。だって商業施設、ここに書いてあるのは、自動車販売店、ガソリンスタンド、パチンコ店等、こんなの、だって計画のときにその施設があることは分かっているんじゃないですか。こんなの分かっているから逆に言うと事業をして見積りをするんでしょう。
 なぜ、こういういいかげんな見積りで事業が始まっているのか、大臣、どのような認識ですか。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 先ほど大臣答弁申し上げましたように、いろんな要素があると思います。商業施設とかそういう御指摘もありますが、いろんな、用途が変わる、あるいは地価が上がる、それに伴って物件の評価が上がっていくと、そういうことでございます。
○福山哲郎君 いいかげんにしなさいよ。地価が上がると言いますけれども、私、事業を全部見ました。例えば北海道の夕張とかだって地価が上がっているんですか、本当に今。要は、一個一個見ていくと、あなたたちの説明は全く整合性がないことがたくさんあるんだ。本当に、事実上うそなんだ。
 それで、額賀大臣、お伺いします。一度衆議院でやった議論ですが、五十九兆円の中期計画、財務省は査定をされたんでしょうか。
○国務大臣(額賀福志郎君) これはこれまでも御説明をしてまいりましたけれども、中期計画につきましては、国交省において素案の作成段階において国民からのヒアリングをしたりして、残された課題を抽出して一定の考え方をつくられて、つまり十六の政策課題と整備目標をつくられたということを聞いております。そして、そこに直近の標準的な単価を用いて、現行五か年計画から約一割を縮減した事業費六十五兆円が算出されたというのが当初の考え方であったということでございます。
 財務省としては、そういう政策課題と整備目標については認めまして、その上に立って徹底したコスト削減をしてほしいということ、それから一方で、まちづくり交付金等の仕組みもありますから、そういうことを活用してみてもいかがでしょうかとか、あるいは高速料金の引下げ等によって渋滞対策に役立ててくださいと。そういうことで徹底的に議論して、厳しい効率化そして合理化を図ってほしいということで、最大限五十九兆円を上回らないという形にして財務省の意見も十分反映をしてもらったというふうに考えております。
○福山哲郎君 査定をされたかどうかお答えください。
○国務大臣(額賀福志郎君) ですから、五十九兆円の上回らない範囲でそういうコスト縮減を図るということ、それから十六の政策課題と、それまでの単価等について一定の算定をつくってきたわけでありますから、それぞれについて更なる合理化を図っていくようにお願いをし、議論をしたということでございます。
○福山哲郎君 お願いをして議論をしたのは分かりましたし、先ほど大臣の話をお伺いしていると、聞いておりますとか、ということでございますとかいって、何か国土交通省の伝聞を聞いているようですが、お願いをしたのは分かりますが、査定を財務省はされたのかとお伺いしています。
○国務大臣(額賀福志郎君) 一つ一つの道路、この橋をどうする、この道路をどうするということについて査定をしているわけではありませんが、全体的な計画について、コスト縮減を図るということ、そして合理化を図るということ、そういうことを徹底してやってほしいということを議論をしたということであります。
○福山哲郎君 議論をして査定はしていない。
 じゃ、平成十四年度以降、先ほどのお話ですが、実際八兆円増えています。個別の事業は新規採択時にBバイCの評価をされていますが、その後財務省は査定をしていますか。──いやいや、財務省。財務省。今申し上げた、ちょっと、これ、時間がもったいないな。
○委員長(鴻池祥肇君) 福山君。
○福山哲郎君 今申し上げた、十四年度以降の八兆円膨れ上がっている事業ありますよね、先ほどから議論していた。その部分について財務省は査定をされているかどうかを聞いています。
○国務大臣(額賀福志郎君) それは、膨れ上がった分というのは、先ほど冬柴国交大臣がお話し申し上げたように、長年の間に用地買収とか様々なことで膨れ上がったと聞いておりますが、その一つ一つの課題についてきちっと精査をしているわけではありません。
○福山哲郎君 精査をしているわけではありません。
 事務方お答えください、財務省。この個別の事業、新規採択時にはBバイCで評価をされますが、その後の事業の査定はどのようになっているかお答えください。
○政府参考人(杉本和行君) 道路関係の公共事業に関しましては、毎年、実施計画というものの協議を受けております。そうした毎年の実施計画の中で継続事業について精査させていただきまして、議論させていただいた上で了承させていただいているという手続を取っております。
○福山哲郎君 うそを言っちゃいけませんよ。毎年毎年一つ一つの事業なんか評価していないでしょう。もう一回お答えください。
○政府参考人(杉本和行君) 毎年、実施計画の協議を受けておりまして、その中で一つ一つの事業を説明を受けております。その説明を受けまして、その事業を実施計画上了承するかどうか、事業費全体として見させていただいているところでございます。
○福山哲郎君 説明を受けているんですね。査定はしていませんね。
○政府参考人(杉本和行君) 説明を受けた上で承認させていただいているものでございます。
○福山哲郎君 だから、査定はしているのかしていないのか。大臣は先ほどしていないとおっしゃったけど、しているのかしていないのかお答えください。
○政府参考人(杉本和行君) 協議を受けまして、その協議を踏まえまして、内容をお伺いいたしまして、その上で承認しているわけでございますから、承認手続を査定と呼ぶならば査定でございますし、そういう形で協議を受けて承認させていただくという手続を取っているということでございます。
○福山哲郎君 じゃ、今の大臣とあなたの答弁、違うよ。ちょっと、理事。今の違うよ。
○国務大臣(額賀福志郎君) 査定という定義、概念でありますけれども、私が言ったのは、もう先ほど来申し上げているのは、いろんな計画ができている、整備目標ができているときに、合理化とかコスト縮減を図るとか、それから効率化を図るとか、そういうことを議論をして、その計画を認知をし、そしてそれは単年度主義でありますから、予算編成のときもそういうことをしていると、そういうことが査定であれば査定であります。
 あと、査定というのは、一つ一つを個別に、この道路延長はどうなの、そして幾ら毎年毎年、長期延長のときどうなのと、そういうことをきっちりとやっているというふうに厳しく見たときは、それが査定という概念に当たるのかどうかということが問題意識としてあったから答えたことでありまして、広い意味での査定という意味では、そういう長期計画においても単年度においても、コスト縮減を図りなさい、合理化を図りなさい、効率化を図りなさいということであれば、それは査定をしているということになります。
○福山哲郎君 ごめんなさい。例えば、今大臣の言われたことを査定だと百歩譲ったとして、じゃこの八兆円膨れ上がっていることを財務省は全部認めてきたということですね。放置したということですね。それでいいんですね、額賀大臣。
○国務大臣(額賀福志郎君) 放置をしてきたということよりも、毎年計画が立てられて、毎年そういう要求があって、それで議論をした上で承認をしてきたということであります。
○福山哲郎君 じゃ、八兆円上回ったことに対する責任は財務省も国土交通省も両方あるということですね。財務省、事務方、本当にそれでいいの。毎年毎年個別の事業をやっていますか。これ、答弁違っていたら大変になるよ。
○政府参考人(杉本和行君) コスト等の関係で上回ったことは事実で、それを前提に毎年毎年協議を受けておりまして、それで承認を受けたのは事実でございます。それに対しまして私どもは、毎年毎年、これから当初計画における事業の適正さを確保する努力を続けるといったことで見直し等の評価をやっていかなければならないと思っております。
○福山哲郎君 いや、個別の事業はどうなんだと聞いているんです。
○政府参考人(杉本和行君) 毎年毎年の実施計画の手続から申し上げますと、個別の事業につきまして協議を受けまして、その上で説明を受けまして承認しているということでございますので、そういった個別の事業については十分協議しているということでございます。
○福山哲郎君 協議と、じゃ、査定の違いを述べてください。
○政府参考人(杉本和行君) 査定ということは、要求を受けまして、協議を受けまして十分調整するということが査定ということだと考えますれば、そういった形で調整はさせていただいているということでございます。
○福山哲郎君 そうすると、この委員会、国会で衆参共に言われている、額賀大臣が言われている、毎年度毎年度必要な道路予算についてきちっと精査をしてとか、冬柴大臣が言われている、きちっとその年の道路歳出については査定をされるわけですという話は、八兆円膨れ上がるようなことを前提に査定をしたら、こんな五十九兆円、信用できないじゃないですか。大臣、どうですか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 新規事業につきましても途中事業につきましても、財務と相談をし、先ほど、それを査定と言われるのであれば査定をいただいております。
 その結果、他の事業をあきらめなきゃいけないとか、シーリング掛かるんですよ。ですから、総額で五十九兆を超えないというのは、上回らないというのは、そういうところへ効いてくるんですよ。全然それ、八兆円増えたから五十九兆がまた六十何兆になるという、そんなことじゃないわけですよ。それは毎年毎年、我々がここの道路を整備させていってほしい、ここをさせてほしい、それで増額はやむを得ないと思いますということを説明して、これは納得いただければそれで認めていただくし、それは駄目だと言われればそこはあきらめなきゃならないわけですよ。
○福山哲郎君 駄目だとなんて言われてないんですよ。
○国務大臣(冬柴鐵三君) いやいや、駄目だというやつもありますよ。
○福山哲郎君 言われてないんですよ。
○国務大臣(冬柴鐵三君) いや、しかし、言われなくてもですよ、そのとき我々が造りたいということで申告している部分についてあきらめるとか、それを削除するとかいうところで、そういうところで毎年シーリング掛かるわけですから、少なくとも一%は削られるわけですから。そうでしょう。三%削られるわけですから。そういう意味で、そこは財務省とよく協議をして、それは厳しい査定ですよ、我々見たら。そういうことで、我々としてはここをやりたいということでも通らない部分はたくさんあるわけです。
 そして、その上で、十年間で五十九兆を上回らないというのはもうきちっと決まっているわけでございまして、そういう意味で私どもは厳格な査定をしていただいてここへ来ていると。財務省が納得できない、してもらえないようなことで歳出をお願いすることはできないわけであります。
○福山哲郎君 厳しい査定が八兆円上回るというのは私は納得全くできないんですが、昨日財務省に聞いたら、事後評価制度があるので、何もなければ十年後の再評価で判断するから、それまでは新規にBバイCを含めて評価したものは十年間基本的にはチェックしないと財務省は答えていますが、それと今の答弁の違いを明確に説明してください。
○政府参考人(杉本和行君) 道路予算につきましては、予算額は、全体は、予算編成の過程で財源事情等を見まして相当縮減させていただいているところでございまして、補正後予算額で見ますと、ピーク時に対して四割の削減になっております。
 そうした中で、毎年毎年個別の事業について実施計画、予算が成立した後の実施計画で査定させていただいているわけでございますが、その中で、国土交通省の方では五年後それから十年後についていろいろ事業実施計画について見直していただくわけでございましたから、その見直しを踏まえて私たちも協議させていただいているわけでございます。
 国土交通省においては、五年未着工の事業、十年継続の事業、再評価後五年経過した事業について再評価を行うこととされておりますので、それを踏まえて対応させていただいているところでございます。
○福山哲郎君 どこに財務省の主体的な判断があるんですか、今の話だと。全部、国土交通省の実施計画に対して協議をして説明を受けて承認をする、五年後、十年後の事後評価について説明を受けて協議をします。どこに財務省は厳しく査定する評価があるんですか。もう一回お答えください。
○政府参考人(杉本和行君) 五年後の未着工の事業、十年後の継続の事業、再評価後五年を経過した事業について再評価されるときに、その再評価の中身について十分お伺いいたしまして、それについて十分調整させていただいているところでございます。
○福山哲郎君 そうしたら、さっき毎年毎年やっているという話と今の五年後と話が違うじゃないか。やっていないんだよね、十年間は、財務省は。個別の査定はやっていないんだよね。やっていないって答えなさいよ。
○政府参考人(杉本和行君) 再評価については今申し上げたとおりですが、予算が成立いたしますと、毎年毎年事業の実施計画ということを協議を受けております。その毎年毎年の事業の実施計画、予算が成立いたしますと、その予算全体額についてそれぞれ具体的な事業をそれぞれ承認ということで協議させていただきますので、その協議の中で、個別の事業について、それはこういう形でどういうふうになっていくのか、どういう単価で、どれだけ事業費を付けていくのかという、毎年毎年そこは見させていただいているということでございます。
 事業全体についての評価については、先ほど申し上げましたような形で再評価を定期的にやられているのを踏まえて検討させていただいているということでございます。
 毎年の予算とそれぞれの全体のお話と両方あると思っております。
○福山哲郎君 さっきから僕は何回個別の事業だって質問したんですか。だれが全体の話を聞いたんだ。予算でシーリングが掛かるのは分かりますよ。でも、それは個別の事業に振り分けられたときにシーリングが掛かってそれぞれが少なくなっているかもしれないけど、事業年度が長くなって結局毎年毎年膨れ上がって、トータル八兆円増えているんじゃないですか。
 だから、個別の事業についてどうだと聞いているのに全体のことしか言わない。ごまかすから今みたいな答弁になるんじゃないですか。個別の事業については、だから十年やっていないとお答えください、査定は。
○政府参考人(杉本和行君) 申し上げましたように、毎年予算が成立いたしますと、それについて実施計画を協議いただきます。その協議の中におきましては、個別の事業について御協議いただいておりますわけですから、その個別の協議を実施するかどうかについて調整させていただいた上で承認させていただいているわけでございますから、毎年の予算の執行に対しましては個別の協議をやらせていただいているということでございます。
○福山哲郎君 毎年の予算の執行では個別に例えばシーリングが掛かると。でも、事業に対しては見ていないから、それはどんどんどんどん続いていくと。合成の誤謬なんですよ。トータルしたら八兆円膨らんでいるんだ。そのことについて、じゃ、財務大臣どう思われますか。
○国務大臣(額賀福志郎君) 例えば、一つの道路建設においても、あるいはまた橋を架けるにしても、恐らく福山委員も地元のこと等を考えれば、道路の用地買収だとかそういうものはなかなかこれは容易じゃないことがたくさんありますよ。その過程で相場が上がっていったりとかそういうことも考えられますし、それで一定の方向付け、この道路は必要だ、この橋は必要だという、地域づくりのためには完成させていかなければならないという中で、そのコストアップもあるわけでございますから、そのときは毎年度毎年度もう建設省、国交省の要求があって、それをきちっと協議をして、その上で何かもうちょっと効率化できないのかとか、そういう厳しい協議が私は続いた中でコストアップがあったということもあったんだと思うんです。
 ただ、これは委員が御承知のとおり、道路財源というのはもう国の場合は四・八兆から二・九兆円ぐらいに減っているし、この五か年だって三十八兆円から三十三兆円台に物すごく減っているわけですよ。そういう中で、やっぱり必要最低限のものがこの道路を完成させるために要求されていく場合は、これは増やさざるを得ない場合もあったんだろうというふうに思っておりますが、できるだけこれは合理化、縮減を図っていかなければならないということが前提だと思います。
○福山哲郎君 私は全く納得できない。今の話で、聞けば聞くほど決めた道路はやり続けるとしか聞けないんです。何も、査定したって、それは年度では、トータル予算では査定するかもしれないが、事業の見直しはほとんど行われないと財務省も認めた。ということは、それは時間は掛かるかもしれないけど、延々と続いてトータル八兆円増えるということじゃないですか。この五十九兆円の価格でそこに対してどうやってチェックをされるのかというのは、今のは全く説明になっていませんよ。
 ちなみに聞きます。お手元にお配りをしている資料のこれは実は膨張率の大きい十事業のうちの一つですけど、沖縄に豊見城東道路というのがあります。これは何と最初の当初予算三百億円、道路特定財源二百八十五億使っています。これが何と当初の四・二四倍、千二百七十二億円に膨れ上がっています。
 下から三番目の豊見城東道路というのは三百億円で、道路特定財源二百八十五億円使っています。それが現状のところ千二百八億円で四・二四倍に膨張しているような事業でございます。これの二〇〇〇年の再評価のときの、十年たったときのBバイCは幾らですか。
○政府参考人(宮田年耕君) 当該道路の二〇〇〇年、平成十二年の事業再評価、BバイCは一・八でございます。
○福山哲郎君 二〇〇五年のBバイCは幾らですか。
○政府参考人(宮田年耕君) 二〇〇五年、平成十七年、事業費が千二百七十二億円での再評価、BバイCは一・一でございます。
○福山哲郎君 大臣、これ、秋に新たな交通センサスが出てきて需要が落ちていたら、一・一以下になる可能性って高いですよね。どう思われます。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 一・一ですか、一・〇……
○福山哲郎君 今が一・一です。
○国務大臣(冬柴鐵三君) だから、一・〇を切ったらどうするかと言われるんでしょう。私どもは、その場合には道路構造を見直す。例えば、暫定二車線でやっているものはもう確定二車線にするとか、BバイCが、要するに便益が投資額を上回らない限りこれを続けることはできません。
○福山哲郎君 今の一・一というのは、まさに今の大臣おっしゃられた見直しの規定に当てはまる数字ですよね。
○国務大臣(冬柴鐵三君) それは百二十四ページのことを言っておられると思うんですけれども、そうでしょう。それは、その時点において、その時点においてですよ、これからそれ全部それで造るということじゃなしに、それで査定をして、そして一・二という、要するに普通は一・〇でやるわけですけれども、それを評価のときには一・二と。なぜならば、そういう将来通行量が減る可能性があるとか、いろんな状況があるがゆえに、我々はそのアローアンスを〇・二見まして、二〇%ですね、見まして、そして査定してやったのが百八十七のそれでございます。
 したがって、今ずっとやっていって落ちてくるやつはありますよ。でも、一・〇を切ったら、これはしてはいけません。いけません。しかし、そのときにはそれが一・二に、一・二というか一を超えられるように構造を見直したり、あるいはやり方を見直したりしながらじゃないとできないということを意味するわけでありまして、それはそこを挙げられて一・二まで回復しなきゃできないというものではないということを明確に申し上げておきます。
○福山哲郎君 私は一・二まで回復してくれと言っているわけではないです。今一・一の状態、一・八から一・一の状態に落ちている状況は大臣が言われたグループ三に入りますから、構造の見直し等に該当するところですねと申し上げている。
○国務大臣(冬柴鐵三君) ごめんなさい。正確に言っておられると思います。私の気持ちもそのとおりでございます。
○福山哲郎君 これ、四倍に膨れ上がって一・八から一・一に落ちているんです。交通センサス、古い需要を使ってこれは作っていますから、今年の秋に需要が落ちたら一・一からまた下がる可能性があります。
 この道路は四車線化の予定はまだ残っているかどうかお答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) 当該道路は今月の二十二日に暫定二車線で供用します。その後、五年以内に事業評価を実施します。現在作業中の平成十七年のセンサスに基づく推計交通量の評価を行い、十分な整備効果が得られるかを検証したいと、こう考えております。
 ちなみに、交通量が下がるか上がるかということで、平成十一年と十七年の当該道路の交通量で……
○福山哲郎君 そんなこと聞いてない、聞いてない。予定が残っているかどうか聞いているんだ。
○政府参考人(宮田年耕君) はい。申し上げますと、平成十七年のセンサスは交通量増加を当該道路してございます。
   〔福山哲郎君「違う、違う。予定が四車線化」と述ぶ〕
○委員長(鴻池祥肇君) 起立の上、御発言願います。
   〔福山哲郎君「答えてないですよ」と述ぶ〕
○委員長(鴻池祥肇君) 起立して発言してください。
○福山哲郎君 答えてください、私の質問に。
○政府参考人(宮田年耕君) 当然、BバイC、再評価のときに点検をして、そこがBバイCが一・〇ということになれば完成四車、そういうことを見直すということになります。
○委員長(鴻池祥肇君) 速記止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。宮田道路局長。
○政府参考人(宮田年耕君) 四車線の計画でございます。四車線化については、事後評価の結果も踏まえてその必要性について改めて検討してまいります。
○福山哲郎君 大臣、おかしいでしょう。一・八から一・一に落ちたんですよね。まだ四車線化残っているんです。今、暫定二車線なんです。大臣、まだ残っているんですよ。これ、あなたの言っていることと全く逆のことを言ったわけ。大臣は四車線化を暫定二車線とかにしてコストを減らしていって一・一から一・二に上げたいと言ったんだけど、四車線化まだ残っているんですよ。こういう事業、どう思われます。
○国務大臣(冬柴鐵三君) この豊見城の自動車道というのは四車線で計画されているわけです。現時点はそうなんです。
 したがいまして、これから供用が開始されます。それで、それによってもう一度道路の通行量等を調査もいたします。その結果ですね、またこの秋には新しい交通センサスに基づく将来交通需要予測も出ます。また、BバイCについても私は見直しをせよと言っています。したがって、そういう最新のデータを用いて一遍やってもらいますよ、この部分について、御指摘があるわけですから。その結果、一・〇を切るようであれば、私はこの四車線というものを、今は暫定でございますが、完成二車線に見直すことも十分あり得るけれども、現時点では四車線の計画でやっているわけですから、そういうことを正確に申し上げているんだろうと思います。
○福山哲郎君 今まさに大臣はおっしゃった、御指摘があったからちゃんと見直しますよと。御指摘がなきゃやらないんだ。
 財務大臣、こういうことがたくさん起こっている。四倍に膨れ上がった。それは、毎年はシーリングしているかもしれないと言うが、四倍に膨れ上がっているんですよ。BバイC見たら、一・八から一・一に落ちている。需要予測も下回るかもしれない。ところが、四車線化はまだ維持されているんだ。僕は、この豊見城の方々に何の恨みもない、この道路やめたくも別に思っているわけではない。しかし、こういうことを前提として、何のチェックも働かないで事業費だけは膨脹していくことが本当に財務大臣として許されると思っているのかと。さっきの話言っても、要は何のチェックも働かないわけですよ。どう思われます、大臣。
○国務大臣(額賀福志郎君) この豊見城の道路について知見がないんでありますけれども、普通、一般的には、道路を新しく造るとか道路を拡幅する計画を作るときは、地域計画とかあるいは広域的な計画がありまして、あるいは、ここに将来はこういう工業団地を造るとか、これは港に続いていくんだとか、それから那覇空港に続いていくんだとか、何かそういう計画の下にそういうものが造られていくことであって、今交通量が少なくても将来伸びる可能性もある、そういうものがBバイCでどういうふうに算定されているのか私は詳しく知らないけれども、やっぱりそういう全体の総合的な評価の上に立って厳しく査定されなければならないということには同意をいたします。
○福山哲郎君 現実に今一・八から一・一に落ちているんですよ。この一番重要な一・二、一・一、一・〇、今議論になっているBバイCのこの中期計画、皆さんがバイブルのように使っている中期計画、これ外注しているんですよ。どこに外注して、どの部分を外注しているか、お答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 高規格幹線道路の点検作業の相手先でございますが、財団法人国土技術研究センターでございます。
○福山哲郎君 随意契約かどうか、お答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) 随意契約でございます。
○福山哲郎君 平成十七年度の国土技術研究センターに対する国土交通省本省からの発注件数と金額をお答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 本省から国土技術センターへの支出でございますが、特会からの支出でございますが、平成十七年度は六・五億円でございます。
○福山哲郎君 何件ですか。
○政府参考人(宮田年耕君) 二十一件でございます。
○福山哲郎君 随意契約かどうか、二十一件、お答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) 二十一件すべて随意契約でございます。
○福山哲郎君 平成十八年度の件数、金額、随意契約かどうかもお答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) 十八年度は、十件で三・九億円、九件が随意契約、一件が企画競争でございます。
○福山哲郎君 企画競争もほとんど相手のいない企画競争ですから、ほとんど、九九%、随意契約。そこに発注して、重要なBバイCの評価をしてくださいということを外注しているんですよ。
 これは、国土技術研究センターへ国交省からの天下りの状況をお答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) 平成二十年三月十八日現在で、国土交通省から当該財団法人への再就職者数は、役員で六人、職員で十二人でございます。
○福山哲郎君 ここはちゃんと仕事はされているみたいですから、百二十六人中の十八人が天下り職員です。しかし、天下りの職員がいるところに中期計画外注して、ちゃんと評価しなさいと。毎年毎年ここは随意契約で受注しているんですよ。こんなのちゃんとした評価してもらえるんでしょうか、本当に。額賀大臣、どう思われます。
○国務大臣(額賀福志郎君) 私は、どちらかというと人は信頼する方でございます。
 技術屋さんというのは、やっぱり、昨日平野委員も言っていましたけれども、本物追求に言ってみれば打ち込んでいく方が多いと思うんですよ。ただ、打ち込み過ぎて常識外まで行ってしまう場合もあるんですね。物すごくコストアップになってしまう場合が、これは多くの分野でそういうことはあるわけであります。しかし、今までのこの国会の議論を聞いておりまして、道路特会関係のその本質的な部分ではなくてね……
○福山哲郎君 本質的じゃないですか。八兆円も膨れ上がっているんですよ。
○国務大臣(額賀福志郎君) いや、本質で、いや、道路を造るとか、そういうことじゃなくて、側の部分で無駄がちょっと多過ぎるとか、余計なところに銭を使い過ぎているとか、そういうことは物すごく感じるところがありますよ。
 したがって、これは我々も、随意契約とかそういうものは透明性を持って競争性を図って、そして国民の皆さん方の納得が得られるような形にしなければならないと、そういう意味では監視を強めていかなければならないというふうに思っております。
○福山哲郎君 私は、今日はマッサージチェアの話なんか一言もしていませんよ。
 大臣、どうですか、これ。外注して、毎年随意契約先、発注しているところに評価をお願いをして、これが金科玉条のごとく、ちゃんとやっていますと。どう思われますか、大臣。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 私も額賀大臣と同じような感じなんです。
 しかし、今回行ったその点検作業というのは、公団民営化のときに行いましたね、千九百九十九キロについて。全く同じ手法を用いたんです。それについては、それでいいという、そういう学者の先生方の御意見も拝しながらこれやったわけでございまして、それを天下りがおる団体だから不正確になるとかどうとかいうことではなしに、私は、公団民営化時と同じ評価手法でこの業務でも成果を活用しながら、客観的かつ厳格に行われたものと私は考えております。
 したがいまして、この契約が随意契約であるということについては、私も国民の皆さん方に納得してもらうということが難しいと。そういう意味で、昨年の十二月二十六日に随意契約というのはやめるということを決めたわけでございまして、ただ、この公募手続とか、いわゆる企画競争というものにつきましても、本質は随意ですね、最後は。しかしながら、多くの、できれば十人ぐらいの競争できる人たちに出てきてもらって、そしてその中で我々としては選んでいきたいということも申し上げているわけであります。
 それから、もう一つは金科玉条、確かに私は中期計画を金科玉条にしていますが、この百八十七についてのBバイCそのものは、全部、その内容ではありません。すなわち、それを全部それによって即造るということを決めたわけではありません。したがいまして、その点については、一つの判断をしていただく材料として私どもとしては誠心誠意作ったつもりでございます。
 また、それの内容についても、今年の秋には本当に十七年のセンサスに基づく将来交通予測を出そうという。ただ、もう御存じだと思いますけれども、日本中、六千に区画して、その六千をまた往復したやつを全部拾うんですよ。六千掛ける六千ですから、実に三千六百万通りのものを出しましてね、交通需要、そして、それを即一つ一つの道路、整備する道路についての、断面でどういうふうに通るかという予測をするという大変な作業なんです。私どもは、その資料とかそれも私も全部見せてもらっているけれども、物すごい作業です。これについて今年の秋に出しますから、それに基づいて問題の部分についてはきちっと査定をさせていただきたいというふうに思っております。
○福山哲郎君 それなら秋にもう一回それで作り直せばいいじゃないですか。違いますか。国民の税金をこれだけ使って、そして国民から今、もう暫定税率は廃止だと、一般財源化しろという議論をしているのに、皆さんのお話を伺っていると、何があろうが何であろうがどうしても造るというふうにしか聞こえない。
 そんな需要が秋に出るのが分かっているんだったら、秋に作り直せばいいじゃないですか、もう一回評価をして。
○国務大臣(冬柴鐵三君) いや、そこのところがどうも、私は、野党の方、今回これについては猛烈な勉強をされて、我々も本当にいろんな勉強をさせていただきましたけれども、その作り直すという点については私はがえんずることできませんね。
 これは、十九年末に納税者に対してこういうものが姿を示すということで作らなきゃならなかったわけですよ、十九年の末までに。これは数次の政府・与党の申合せとか、あるいは行政改革法とかそういうものの法律の中でまで約束したものですから、十九年の十一月十三日に我々はようやく出せたわけです。ですから、その作るについて一番最新の資料は何かといえば、十一年のセンサスで十四年の将来交通予測、今さっき言いましたように三千六百万通りにも及ぶOD、いわゆる起終点をきちっとした交通というものを予測して、そして出したものが最新だったんです、十九年のそれ出すときには。ですから、それを作っているわけです。
 したがいまして、今後は、その中でこれから整備をする場合には、最新の、新しい、例えば今年にできるんであれば今年以降に整備に着手する分についてはその新しいものでもう一度やり直しますと、それにとらわれることなくやり直します。そして、BバイCが一を超えなければ着工はできません。そしてまた、財務省にもそれは評価をいただきます。
 私どもはそういうことでやっているわけですから、それ自身を、過去に出したものを半年延ばしたらどうだとか、そういう思想はありません。それはそれなんです。したがって、そういうことで御了解いただきたいと思います。
○福山哲郎君 じゃ、これの信憑性で行きます。
 前もやりました。ここの中にある三十か所の大気質対策ですが、どこの場所をやるか決まっていますか。
○委員長(鴻池祥肇君) どなたへの質問ですか。
○福山哲郎君 道路局長。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 前回のお尋ねでもお答え申し上げましたが、中期計画対象の三十か所というのが具体的な箇所としては決めておりません。
○福山哲郎君 どういった基準で決めるんですか。
○政府参考人(宮田年耕君) 個々具体的には、毎年度のいろんな大気の状況、あるいは地元の状況、そういうことを判断して決めます。
○福山哲郎君 答弁変わっているじゃないか。ここに書いてあるものをそのまま読んでください。中期計画に書いてあるのをそのまま読めばいいんだよ。
○政府参考人(宮田年耕君) 環境基準非達成の箇所約三十か所に対して大気質対策を実施、おおむね三年以上環境基準を達成していない箇所と。
○福山哲郎君 平成十五年から十七年で大気質対策として実施された箇所は何か所ですか。大臣、よく聞いておいてください。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 十一か所でございます。
○福山哲郎君 二十二か所じゃないですか。もう一回お答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) 済みません。二十二か所、十一事業でございます。
○福山哲郎君 二十二か所で幾ら使っていますか。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 千九百六十七億でございます。
○福山哲郎君 先ほど言った重要なところです。環境基準非達成の箇所は二十二か所のうち何か所ですか。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 四か所でございます。
○福山哲郎君 私は、平成十五年から十八年度の環境基準非達成の箇所を全部調べました。あなたたちが大気質対策だと言った二十二か所のうち環境基準非達成の箇所は四か所しかない。何のための大気質対策なんだ、残りの十八か所は。お答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 二十二か所のものは平成十五年度から十八年度まで事業完了いたしましたものでございまして、これは、前お答え申し上げましたが、大気質の単価算出に当たってのサンプルとして抽出をしております。したがいまして、二十二局につきましては、すべて事業実施によって環境基準非達成が達成に変化したものではありませんが、大気質対策として効果のある十一事業、その効果の対象となる二十二か所との関係として、サンプルとして取り上げた次第でございます。
○福山哲郎君 大臣、今の説明はお分かりになられますか。二十二か所のうち大気質対策だといって上がってきたので非達成のところは四か所しかないんです。ほかのところも大気質対策だといって、そして算出根拠を、実は千九百六十六億を二十二で割って一か所八十九億円と出しているんですよ。これおかしいでしょう、大臣。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 大気の状況を見るのに四百三十七か所、七局と言っていいでしょうか、オートマチックで観測をずっと続けておりますが、その年によって達成したり達成しなかったりする部分があるわけですが、三年連続で達成しなかったのが二十八局あると私は聞いております。そういうものについては、対策は、そこにも書いてありますけれども、交差点で滞留するものを流れやすくするとかいうような対策を講ずるわけですから莫大な費用が掛かるわけです。
 したがいまして、それは、ひいては交差点の渋滞対策でもあり、そういうこともありますけれども、大気質としても、私は、そのように連続しているところは少ないにしても、問題のある箇所が二十八あると、そういうものについて我々としては対策を講じなきゃならないと、そういう考えでそれを起案しているわけでございます。
○福山哲郎君 その二十八か所が対象になっていないから聞いているんですよ。二十八か所対象になって事業しているわけじゃないんです。将来的な、二十八か所に対してはまだどこからやるかも決まっていないんです。だから、おかしいでしょうと。大気質対策は二十二か所やったとあなたたちが、国土交通省が言っているのに、そのうち非達成の箇所は四か所しかないんですよ。大臣、それがおかしいんじゃないですかと申し上げている。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 私どもは、この環境の問題につきましても、十年間の間に、暮らしやすい、そのような東京でも、あるいは私の地元の尼崎でも、要するに公害というものでNOxとかあるいは遊離何とか物質というようなものがたくさん出るところはあるわけですよ。しかしながら、その観測がまばらになるわけで、これから十年の間に三十か所というのは、これについて三十か所はやらなければならないという、そういう認識の下にしているわけです。
 ほかは、ほかの部分についてはすべて、例えば四十人以上の子供たちが通っている十一万キロメートルというのは特定されていますが、そのうち直すのは四万四千ですというようにしているわけで、この部分については三十か所ほどあると、そういうことでございます。
○福山哲郎君 全然答えてないんですよ。
 実は、あなたたちが大気質対策だと言った中で、一度も環境基準が非達成であったことがないところが群馬、北海道、山梨についても入れられているんです。
 このことについてはどう思います。
○政府参考人(宮田年耕君) 先ほど答弁申し上げましたように、二十二か所十一事業については、こういう対策の単価を出すサンプル、そういうものとして抽出をいたしました。
 したがいまして、今御指摘の、非達成から達成した測定局というのは四か所でございますが、こういうものの中で改善をしてきているという箇所もございます。十か所ございますが、そういうものを見ながら、こういう事業がサンプルの事業費として、そういうものとして抽出をしたわけでございます。
○福山哲郎君 僕は、あなたたちの書いたこのとおりに言っているんだ。非達成のところを事業でやると書いてあるから聞いているんだ。違いますか。
 実は、あなたたちのやった事業の中の元塩公園というところは非達成の場所ですよ。ところが、事業が終わった後、非達成がまだ続いている。効果が全然出ていない。
 このことに対してはどう思いますか、じゃ。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 御指摘のように非達成でございますが、一方、国道二十三号、ここが非達成の箇所でございますが、このバイパス事業によりまして、平成十一年、十七年のピーク旅行速度、こういうものを比較しますと、二十三・一キロから四十五・三キロ、あるいは二十五・四キロから五十九・一キロということで、非達成ではございますが、大気質の改善に効果があったというふうに考えております。
 それからちなみに……
○福山哲郎君 さっき言ったように、非達成になったようなところでないところだって実は二十二か所、あなたたちは出してきたんですよ。
 じゃ、サンプルはどうやってサンプル抽出したんですか。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 これも繰り返しになりますが、こういう単価を算出するために、平成十五年度から十七年度、こういう単価を取る対象として十一事業二十二か所、そういうものを抽出した次第でございます。三か所については達成、十か所については改善効果が見られたということでございます。
○福山哲郎君 だれが抽出したんですか、じゃ。どうして今後の三十か所のそのサンプルが単価の合理的な根拠になるんですか。
○政府参考人(宮田年耕君) 大気質の対策事業、そういうものとしては、バイパス事業とか現道拡幅事業、それからもう一つは環境を測定する局が近くにあるかどうか、そこを測る必要がありますので、そういうものを絡み合わせて二十二か所を選定した、サンプルとして出した次第でございます。
○福山哲郎君 そんな恣意的な単価の積算でどうやって信用できるんですか。もっと言えば、あなたたちが言っているように、環境基準非達成の場所で何ができるかを考える方が重要なんじゃないですか、ここで何ができるかを考える方が。
 環境大臣、これずっと環境省が苦労しているのを私は知っています。非達成のところは延々非達成が続くんです。こんな関係ないところにまでバイパス工事だといってお金使われているぐらいだったら、環境省予算をもっともらってここの対策をちゃんとやった方が、よっぽど一般財源化してやった方がいいと思われませんか、大臣。
○国務大臣(鴨下一郎君) 交差点の改良あるいは植樹帯、こういうようなものを整備していくというのは、もう今先生おっしゃるように、非達成のところ、やればそれなりの効果があるということはもうそのとおりでございます。是非、そういう意味では、科学的な知見に基づいて最も優先するところはどこなのかと、こういうようなことを考えつつ事業をやっていくのが妥当だというふうに思います。
○福山哲郎君 じゃ、環境大臣は、今の国土交通省の環境、何も非達成ではないところにまでお金をぶち込んでいることに対して、これが環境対策だと言っていることに関しては了解をされるんですか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 過去の事業についてはそれなりに今国土交通省の方でも御評価があったんだろうというふうに思いますが、環境省としては、これは特に都市部、集中しているところで非達成のところもまだございますので、是非そういうところに重点的に配分をいただければと、こういうふうに思っております。
○福山哲郎君 そうしたら十分、一般財源で環境省にいろいろな対策やってもらったらいいじゃないですか。こんなうそみたいに、環境非達成のところを三十か所やるとか言いながら全然ほかのことをやっているんだから。
 もう時間がないので、ほかに実はこのそれぞれの単価がいかにいいかげんか今日はやろうと思っていたんですが、できませんが、今の八十九億円、一か所八十九億円の根拠すら崩れているということだけは強く申し上げておきたいと思います。
 これは一度話が出たかもしれませんが、お伺いをします。
 地方事務所における道路特会の無駄遣いですが、中部地方整備局でテニスコートを道路財源で造った事実があるかないか、お答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) 過去におきまして、中部地方整備局北勢国道事務所、そこにおきましてテニスコートの設置がございました。現在はございません。
○福山哲郎君 幾ら掛かって、いつまで使用されていましたか。
○政府参考人(宮田年耕君) 恐れ入りますが、幾らというのは、時点が古うございますので、平成九年、その時点でございますので残っておりませんが、使用しておりましたのは平成十六年まででございます。
○福山哲郎君 会計検査院、最後に質問します。
 会計検査院が実際にあなたたちもテニスラケットやテニスボールを買った事実があったかどうか、お答えください。その上で、今の膨脹している事業費の在り方、それから積算根拠のいいかげんさも含めて、会計検査院として、一体道路行政に対してどのようなチェックをしてきたのか。
 正直申し上げると、言いますが、会計検査院も実はテニスラケットを買っているんですね。何かテニスコートを国土交通省が造って、テニスラケットを会計検査院が買っているというのも、もう笑い話みたいなんですが、会計検査院はチェックをしなければいけないところでございます。
 やっぱりこの問題は本当に根が深い問題で、今日の八兆円の膨脹も含めて、国民の皆さんは、暫定税率を廃止をして特定財源を一般財源にしろという声が高くなっています。是非、政府においては真摯に受け止めていただいて、修正案を出されるんだったら思い切った修正案を、国民が納得する修正案を出していただきますことをお願いしまして、会計検査院の答弁、事実があったかないか、幾ら金額、買ったか、それから今までの流れを見ての答えをいただいて、終わりたいと思います。
○説明員(増田峯明君) お答えを申し上げます。
 今お尋ねのテニスラケットにつきましては、研修所庁費という費目の中で、私どもの合宿研修所における研修員の健康管理のための体育用品の一つとして平成十四年度に購入したものでございますけれども、こういったスポーツ用品の購入につきましては、十六年度以降は、国民の目から見た場合になかなか理解が得られないだろうということで自粛をしているところでございます。
○会計検査院長(伏屋和彦君) お答えいたします。
 まず、ラケットの点でございますが、事務総局から答弁したとおりでございます。今の時点で考えますと、改めて当時の判断が甘かったのではないかと言われれば否定できません。国民の皆様、納税者の皆様の目から見てどう思われるかよくよく考え、慎重の上にも慎重に判断して対応してまいりたいと、そういう考え方に立ちまして、世間から疑念を抱かれることのないよう事務総局を指揮監督してまいります。
 それからいま一つ、道路の話でございます。
 会計検査院の検査は、御承知のように、予算や政策、事業の執行あるいは執行結果を対象としておりますが、やはり国民の皆様から納めていただいている大切な税金の使い道の話でございます。ただいま拝聴させていただきました道路の建設に関する事前評価、それから中期計画、さらには事業の状況などに関する御議論を、今後の会計検査に具体的に生かしてしっかり検査してまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 終わります。

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第169国会  参議院  行政監視委員会 2008年2月13日

地球温暖化問題(ダボス演説)


○福山哲郎君 民主党・新緑風会・国民新・日本の福山哲郎でございます。
 本日は、長年環境問題、一生懸命やってこられました加藤委員長を始め理事の方々の御尽力で、この行政監視委員会、まさに地球温暖化問題に関する件ということで時宜を得たものだと思っておりまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。
 また、各大臣におかれましても、衆議院の予算委員会の最中にこちらにお出ましをいただきまして、連日お忙しい中御答弁にお越しをいただきましたこと、心から感謝を申し上げたいというふうに思います。
 今日は五十五分でございますので、ゆっくり大臣と議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 まずは、去年のバリのCOP13からバリ・ロードマップが合意をいたしまして一月のダボス会議と、まさに温暖化の問題は次の段階に入っているかなという感じがいたします。ダボス会議での福田総理の演説も、私ここに全文持っておりますが、二〇二〇年前後へのピークアウトや主要排出国全員が参加する仕組みづくり、また国別の総量目標等、これまでの日本の政府のコメントからは考えられないぐらい福田総理も踏み込んだ発言をダボスでしていただきまして、非常に私も心強い限りでございます。関係省庁も含めて、恐らく大変な力添えをいただいた結果だと思います。非常に私はいいことだと思っております。
 ただし、その中でですが、鴨下大臣もダボスお疲れさまでございました、行かれたというふうに承っておりますが、総理が、各国の国別総量削減目標を掲げ取り組むと、それから世界で二〇五〇年に半減しなければならないと。これは安倍前政権からの続きでございますが、国別の総量削減目標を掲げ取り組むというのは非常に踏み込まれました。
 しかしながら、いつもながらですが、我が国自身の総量削減目標に対する言及はやはりダボスでもありませんでした。実はバリでもありませんでした。このことについてなぜ言及がなかったのか。どうしましょう。官房長官からまずお伺いをさせていただければよろしいでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) これから来年末に向けていろいろな会議が行われていく節目節目のものがあろうかと思います。昨年の十二月、バリというのは、そういう意味で大変重要な会議であったと思っておりますし、日本にとりましては一つの節目としてのサミットというものもあろうかと思います。
 来年末が一つの集約の時期なんだろうと思いますが、そういう中にあって、やっぱり一遍に何か結論を見出すということが容易ではないがゆえに何年も掛けて議論をしていくということになっているのは、委員御承知のとおりでございます。したがって私は、例えばバリで、やっぱりすべての主要排出国が何らかの形で参加をしていくんだというまず一つのボトムラインを確保した、そういう意味で意味があった。その上で、じゃ日本がどうするのか、世界はどうしたらいいのかというのを、やっぱりステップ・バイ・ステップで日本が考え方をはっきりさせていくということが私は日本外交のやり方として適切なんだろうと。
 総理もそういうお考えで今回、ダボス会議という今年言わば最初の大きな国際会議で、特にG8の議長国としての立場を踏まえながら日本としての今後の取り組む基本姿勢というものを表したものであると理解をしております。その辺を評価を福山委員にもしていただいたことを感謝をしているわけであります。
 この解決には、やはり今申し上げたすべての主要排出国が参加するというのが一つ重要なポイントだろうと思います。やっぱりアメリカやら、あるいは中国やらインドやら、もちろん先進国と発展途上国の違いはあるにしても、やはり一定の、やはりこの枠組みの中に参加をしてもらうということがなければ意味がないんだろうと思いますし、また目標設定にしても、やはりそこにみんながなるほどという納得なくして一つの数字をぽんと出して、さあこれでやろうと言っても、なぜそうなんですかというところについて理解がなければならない。
 そういう意味で、やはり公平な国際的に合意し得る目標設定、その目標、公平の基準は何なのかということもはっきりさせていく必要があるんだろうというふうに思っております。
 日本は、そういう中で、国別総量目標という言葉はバリでは使いませんでしたが、今回初めて日本も国別総量目標というものを掲げて取り組みますよという決意表明をしたわけでございます。
 そして、この国別総量目標の具体の数字は今後国内での作業というものを加速をしていかなければならないわけでありますが、その算出方法であるとか基準年次、例えばヨーロッパの幾つかの国々は一九九〇年というものを言わばアプリオリに置いているようでありますが、本当にそれが国際的に合理的なのか、公平なのか、それが意味あるものなのかという辺りも更に検証し議論をしていかなければならない、こう考えるわけでございまして、特にサミット議長国ということでありますから、いろんな国がいろんな意見を持っている、それをやっぱり取りまとめていく役割を日本も相当程度担っているんだということであろうかと思います。
 したがいまして、一遍に日本が数字をなぜ言わないのかと、こうおっしゃるけれども、一つはまだ作業中であるということもありますが、同時に、日本がこれこれという数字を出すことが果たして今言ったように、着実に来年の年末に向けて議論を積み上げていく際に、それは俗受けするかもしれませんが、そのことがかえって世界全体の議論、作業というものの阻害になってはならないわけでありまして、やっぱりいろんなまだ相当ばらつきがあるわけです。国によって相当まだまだばらつきがあるわけです。
 本当に最後まですべての国が参加できるかどうか、まだまだ確たる自信が持てる状況には遠いわけでございますから、だんだんだんだんだんだんこう、ちょっと表現はあれですが、投網を、何というか、絞ってくるような感じで、やっぱりすべての主要排出国がうまく参加できるような仕組みというものをつくっていくということに日本は特に意を用いてやっていかなければいけないんだろうと、こういうふうに考えているわけであります。
○福山哲郎君 大変御丁寧に御答弁いただいて、ありがとうございました。
 ただ、一つ、官房長官、申し訳ありません。私は、俗受けをするために削減目標を日本が掲げるべきだと申し上げている気は全くございません。現実に世界で異常気象が起こっていると。削減は世界総量としてやっていかなければいけないというのは、日本が去年のサミットで半減ということを提唱したと、その中で日本が個別の削減目標を提示するのはある意味必要だと思うと。
 ただ、官房長官の今の考え方は私は理解をしますが、申し訳ありませんが、俗受けをするために削減目標を掲げるとか掲げないという議論は少し私は言葉としては不穏当だと思いますので、そこだけは御訂正いただけませんか。
○国務大臣(町村信孝君) ごめんなさい。私は、福山さんが俗受けをねらってそういう主張をしていると言ったつもりはもとよりございません。
 ただ、やっぱり何となく、早々と数字を言うことが国際社会にアピールできていいんじゃないかみたいな、そういう論調というのが世の中結構あるものですから、やっぱりそれだけで物事を判断し、事を進めていってはいけないのではないかという思いを込めて申し上げたので、別に委員が俗受けをねらって云々と、もしそういうふうにお取りになったんだとすれば、それは大変私の言い方が不十分だったので、そこはきちんともう少し申し上げなきゃいけないと思います。
○福山哲郎君 いや、今の官房長官のお言葉で十分でございます。
 ただ、なぜ総量目標を設定しなければいけないのかという点でいえば、例えば国が総量目標を設定することによって実は政策的にいろんなプログラムが積み上がるわけです。更に言えば企業も、国が総量削減目標を掲げることによって、企業の将来設計、経営指針等についてCO2の排出というファクターが確実に入る形の中で実は総量削減目標が必要ではないかということを私は申し上げています。
 もちろん、異常気象を回避をするために基本的には二〇五〇年半減をしなければいけないんですが、もう少しミクロのレベルでも削減目標を設定をするということは、一般的に受けるとか、それで基本的な方向を指し示せばいいんじゃないかという抽象的な概念ではなくて、より具体的に政策のポリシーミックスができるという観点で私は申し上げていますので、そこは官房長官には御理解をいただきたいと思います。じゃ、御答弁いただきます。
○国務大臣(町村信孝君) さっき申し上げたように、私どもずっと日本の目標を言わないと言っているわけじゃございません。もとより、そういうことを今作業を関係者間でやっている最中でございまして、いずれ必要なタイミングにはきっちりと日本としてのそうした数字は申し上げる時期があると、またそうしなければいけないと思っております。
○福山哲郎君 私、官房長官とばかりやり合って、せっかく環境大臣も経産大臣もお越しいただいているんですけど、今官房長官が非常に踏み込んで、日本としてもきっちり出していくとおっしゃいました。
 洞爺湖サミットが、もう年限が切られています。今官房長官がおっしゃられた日本の国内の、国別の日本の削減目標は洞爺湖サミットの前に出されるおつもりなのか、それ以降なのか。そのことについては官房長官、どういうイメージで今答弁をされたのでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 私は余り知識も経験もないものでございますから、今この時点でいつということをちょっと申し上げるだけの知見がございませんが、洞爺湖サミットにおいて日本がやはり議長国として必要なイニシアチブを示せるような、そういうことを念頭に置きながら作業を加速化させていきたいと思っております。
○福山哲郎君 では、環境大臣にお伺いします。
 環境大臣が去年の十月の十六日、予算委員会の答弁の中で、福田総理が国別削減目標を作ると初めて国会の場でおっしゃいました、その後、大臣も、年内にできれば作りたいと非常に踏み込んだ発言をいただきました。別に、今それができていないことを私は責める気は全くございません。しかしながら、ダボス会議で、バリで言えなかった、ダボス会議でやっぱり国としてのある程度の方向性は出されるのではないかと私は正直言って期待をしました。福田総理もこの問題については随分踏み込んでおられるし、私は熱心だというふうに思っております。
 そういう面で、ダボス会議で総理が国別の削減目標に言及をされなかったことに対して環境大臣はどのようなお気持ちなのか、また、なぜなのか。官房長官と同じだとおっしゃると思いますが、お答えをいただければと思います。
○国務大臣(鴨下一郎君) 先生おっしゃるとおり、官房長官とほとんど同じでございますけれども、先ほどお話ありましたように、バリでの日本の目標というのは、ある意味でツートラックアプローチができるように、そしてコペンハーゲンでゴールができるように、こういうような枠組みをつくるということに我々は至上命題を掲げてやってまいりました。ある意味でそれは成功したというふうに思います。
 加えて、そのときの議論の中で、これはG8の役割として、例えば途上国支援そして先進国としてのより深掘りをしていくと、こういうようなことについては、多分、あの中での雰囲気はそうだったんだろうと思います。ですから、そういう意味でいうと、このG8に向けてのダボス会議の中で総理が国別の総量目標を言及したということは、私は非常に意義があったというふうに思います。
 ただ、それに対してEUはまた違った思いがありますので、日本の総量目標とEUの間である種の摩擦が起こるということは、これは私は致し方がないというふうに思っていまして、最終的には、先ほど官房長官がおっしゃったように、このG8の洞爺湖でどこまでたどり着けるかというのは、これはアメリカの動向もあり、主要排出国である中国、インドの考えもあり、そしてEUが、日本が掲げる、例えば積み上げ型のある種のインベントリーの決め方、これについてどこまで歩み寄るかと、こういうようなこともあって、そういうようなことのトータルである程度整ってくれば、そのときが日本の数値目標を掲げるときだと、こういうふうに考えております。
○福山哲郎君 今の大臣の御発言は、洞爺湖サミットに向けてどういう形で削減目標を、それぞれの、EUにしてもアメリカにしても途上国にしても議論をしていくかという段階の中で、それぞれ削減目標を積み上げていく方式が、今アプローチが違うわけですね。そのアプローチをある程度すり合わせた上で、それぞれの国、それぞれの途上国も含めて提示をしていくのではないかというような方向だというふうに私は受け止めました。それはそれで私は結構だと思います。
 ただ、衆議院の予算委員会の議論の中で福田総理は、今年に入ってからなんですけど、二〇五〇年で半減でいいのかどうか、ほかの国が半減できないときには世界の全体の量は日本がその分頑張らなければいけないということもあるかもしれないし、他の国にそういうことを要請することもあるかもしれないと、そういう長期目標を掲げたということで、これから努力して合意を得ていくと答弁されました。
 これも実は随分踏み込まれて、日本は五〇%やるのは当然で、ほかの国ができないときには全体の量は日本がその分頑張らなければいけないとおっしゃったんです。
 これはなかなかの答弁でございまして、ということは二〇五〇年、日本の総量削減目標は五〇%が最低ラインだということを総理が自らある程度認められたということだというふうに思いますが、これは官房長官も環境大臣もお認めいただけるということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 総理の御発言をどう解釈をするのか、ちょっと私にも分からないところが率直に言ってありますが、心構えとして、積極的に日本はやっていくんだ、いくという姿勢を表したものかと思います。何しろ二〇五〇年ですからね、四十数年先のことでもありますけれども、いずれにしても日本としては諸外国に先駆けて一生懸命やっていくという趣旨のことをきっと言われたんではないだろうか。したがって、長期目標としてその最低ラインが半減であると、これが日本の提案であるということを何か国際的にコミットしたという性格ではないのではないか。
 いずれにしても、もしほかの国がなかなかうまくいかないという場合には、日本として可能な限り、仮に半減以上できるものならそれは大いにやっていこうという意欲の表れ、それが安倍前総理がクールアース50で言われた内容を確実にやっていこうということを提案国として意図を表したものだろうと思いますし、また二〇五〇年の話をすれば、それは相当革新的な技術開発をしなければいけないとか、幾つかのハードルといいましょうか、やらなければならないことが実際あるわけですね。今の技術だけでなかなか、五〇年半減というのは達成するのはほぼ不可能なんだろうと思います。
 そういう意味で、革新的な技術開発に一生懸命あとやっていくんですよ等々のことはダボスでも申し上げているとおりでありますし、日本も今環境エネルギー技術革新計画というのを取りまとめている最中でございますが、こういうことにも力を入れていくんですよ、そうしたことも含めて長期的な決意を表明したものと、このように私は受け止めております。
○福山哲郎君 年金の名寄せも公約だったのがいつの間にか姿勢を表した言葉に変わりましたし、今の官房長官も、最初の答弁に比べると今の答弁は急にトーンダウンされたと。
 環境大臣は多分違う思いだと私は思っておりますので、これは多分環境大臣はもう少しばしっとお答えをいただけると思いますが、この総理の答弁は、世界で半減はもちろん日本は提唱したと。総理が半減でいいのかどうかと、ほかの国が半減できなければ日本はその分もやると言ったことは、日本は二〇五〇年半減は最低ラインだという設定だと思っていいですね。
○国務大臣(鴨下一郎君) ハイリゲンダムで安倍前総理がクールアース50を言いました。そのときに、二〇五〇年に世界でCO2排出量を半減しなければ様々な問題が起こってくると、こういうようなことの趣旨だというふうに理解をしています。そういう中で、クールアース50を提言した日本が、じゃ世界各国が半減をする中で半減をすることができないというようなことにはならないんだろうなというふうに思っております。
 そして、これは、福田総理もこのところで五〇年に半減がするというようなことを前提に日本はどういう貢献をするかということでありますから、私はこれはすべての国が半減をある種約束をすると、こういう方向性を日本がリーダーシップを取っていくべきだと、こういうふうに理解をしています。
○福山哲郎君 私は、今の環境大臣の発言は、二〇五〇年はやはり日本としては半減、五〇%が最低の目標なんだろうと。それは設定しないと国際社会がある種許してもらえないんだろうというような環境大臣の意見の御答弁だったと思いますので、それで私はいいと思います。
 正直言って、先進国は五〇パーでは足りません。アメリカのリーバーマン・ウォーナー法案でも、二〇〇五年比でございますが、六三%削減の法律ができていますし、EUはもちろんそれ以上でございますし、大統領候補のクリントンさんは八〇%削減を言っておられますし、そこは、五〇%というのはほぼ最低ラインだと今環境大臣が設定をいただいたというふうに私は受け取らしていただきたいと思います。
 長期目標は長期目標でいいと。先ほど官房長官が言われましたように、二〇五〇年のことだから革新的な技術開発も要る、先のこともなかなか不透明だと。私もそのとおりだと思います。しかし、先ほど私が申し上げたように、なぜ目標が要るのかというと、それに合わせた社会システムをつくっていかなければいけないから目標値が要るんだと私は思っています。
 そうなると、二〇五〇年が余りにも遠い時期で不確実性が高いということになれば、やはり次の段階は中期目標が必要になるということになると思います。二〇二〇年ピークアウトをしなければいけないと福田総理はダボスでおっしゃいました。これも非常に踏み込んだ発言だと私は思っています。二〇二〇年ピークアウトのためにどういう中期目標を日本は設定するおつもりなのか、環境大臣、お答えをいただけますでしょうか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 十年から十五年でピークアウトを、まあ福田総理は十年から二十年というふうにお話しになりましたけれども、これはIPCCの第四次評価報告書の数字にのっとっているわけでありまして、それを準拠して考えると、おのずと日本の中期目標というのがどこぞ辺りにあるべきかというようなことは大体類推できるわけであります。
 今委員おっしゃったように、二〇五〇年に仮に日本が最大限努力して五〇%の削減が目標になれば、基準年、これはまた別の、いわゆるオールドAWGでの目標というのは、これは九〇年比でマイナス六%ですから、そうすると、それを連続の中でつないでいくと、まあ二〇二〇年ぐらいのところはどの辺りにあるかということが大体直線上に出てきます。それに加えて、総理が十年から二十年でピークアウトと、こういうようなことをおっしゃったというようなことを全部つなぎ合わせますと御想像が付くだろうというふうに思います。
○福山哲郎君 今の環境大臣の御答弁で、官房長官、ニュアンスとしてはそうだなという感じでよろしいでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) そうだなというのは、その中期目標を一定の幅のところで作ろうということですね。
 それはそうだなと私も思いますが、いずれにしても、これからまだまだ議論しなきゃならないこと、さっき幾つか申し上げました。例えば基準年一つ取っても、大分そこには意味が違います。また、ヨーロッパ、EUといっても、EUバブルという言葉があるように、先進国はほとんど何もしなくても、拡大されたEUというものの存在の結果、物すごく、本当に地球温暖化のガス、CO2等をあんまり努力しなくても簡単に実現できてしまう幾つかの国々があったりとか、本当の目的に照らして何がいいんだろうかと、何が必要なんだろうかということは、よほどよくそこを見極めないと数字の議論というものはなかなかしづらい、難しいところがあるんだろうと思います。
 だからそこは、みんなが納得できる公平な基準をどうやって作っていくのかと、そのところにこれから相当なエネルギーを傾注して国際的な合意をつくっていく。もちろんそこには、先進国と発展途上国の違い等々はもちろんあるんでしょうけれども、そういう性格のものとして今後中期的な目標というものを考えていかなければいけないんだろうと、かように私は受け止めております。
○福山哲郎君 官房長官のおっしゃるとおりだと思います。
 ただ、EUバブルの議論は、基準年のことは後でお伺いしますけれども、さはさりながら、その議論は、京都メカニズムの導入や吸収源の導入等も含めて、日本の主張は京都議定書の中では随分取り入れられたと私は思っています。
 なおかつでございますが、これはもう鴨下大臣とは環境委員会でやり取りしましたし、環境大臣は御理解をいただいておりますからあれなんですが、官房長官と経産大臣に確認をさしていただきたいのは、バリ・ロードマップで、先ほど環境大臣が言われたように二つのトラックが動き出しました。
 一つは、良かったなと私も思っていますが、先進国も途上国も含めたポスト京都議定書への一つのAWG、アドホック・ワーキング・グループというのが動き出した。これは今からスタートしますから、これから官房長官の言われたような仕組みや方法や効率性をどう導入していくかというような議論を詰めていけばいいと思います。これはオーケー。
 しかしながら、元々京都議定書の批准国の中の旧アドホック・ワーキング・グループの中では、二〇二〇年に二五から四〇%削減を認識しつつ取り組むという文言が入って、これも合意をしています。つまり、今温暖化の流れの中では、バリ・ロードマップという先進国も途上国も入った、アメリカも入ったこれからスタートするラインと、もう一つの日本が入っている批准国のラインがあって、この批准国のラインは確実に二五から四〇という文言がその合意の中に入っていると。なおかつ、それは将来的には収れんをしていくわけです、この二つのトラックは。
 そういう流れの中で、中期目標の設定というのは、先ほど環境大臣や官房長官が言われたように、二〇五〇年半減からバックキャスティングして後ろ向きにちゃんと、後ろ向きというか、そこから後ろ振り返ってやっていけば、自然と二〇二〇年どのぐらいの中期目標が要るのかというのは日本の削減目標として出てくると私は思っておりまして、それは早く作っていただいた方が早く準備ができて、早く実は企業も国も社会も対応できると思っておりまして、その中期目標の設定についても、先ほど言われた洞爺湖サミットの前後どちらか別ですが、長期目標とともに設定をしていただきたいとお願いをしたいんですが、これは環境大臣でも官房長官でもいいですが、じゃ、まず環境大臣、お願いします。
○国務大臣(鴨下一郎君) もう先生とはかねてからこの問題は議論をさせていただいていて、おっしゃったように、いわゆる京都議定書における附属書T国、その中では先ほどの数字、例えば二五%から四〇%の削減が、二〇二〇年には一九九〇年比でそのぐらいの削減が必要と、こういうようなことをIPCCが科学的な知見として提言していますから、それをこのいわゆるオールドAWGの国は認識をすると、こういうようなことをスタートにしているというようなことは、これは本来は非常に重い話だろうというふうに思います。
 これは京都議定書に、アメリカが離脱するときに、科学的でないということを一つの大きなよすがにしたわけですけれども、現実にはそれが非常に科学的だというようなことで、もうだれしも認めるというようなことをこのオールドAWGが認識をしたわけでありますから、是非これは政府一丸となってそういう方向でさせていただきたいというふうに思っています。
○福山哲郎君 いや、今政府が認識をしているということで、重たいという発言は本当に僕は重要な発言だと思っておりますので、これは官房長官も経産大臣もそれぞれ御認識をいただければ非常に有り難いというふうに思います。
 それで、どうぞ官房長官。
○国務大臣(町村信孝君) 今環境大臣おっしゃったことを若干補足的に私なりの理解で申し上げれば、私も一応この合意文書というか全体を見ましたけれども、やはり記述があることをレコグナイズ、認識するということは、これで各国が完全合意をしたということではないということも我々は認識しておかなければいけないんだろうと、こう思うわけであります。
 貴重な指摘であることも事実だし、それに留意するということの趣旨は合意したけれども、各国の間でこれが将来の目標として合意された文書になったんだということではないということはあえて申し添えておきたいと思います。
○福山哲郎君 いや、私もそこの文言は分かっているつもりです。しかしながら、各国がIPCCの二五から四〇に対して認識をして、これまで批准国として動いてきたものを動かす、これから先もそれに準じてというか、それを前提に動かしていくということを認識したということですから、これは非常に重たいものでありまして、もちろん合意をしたとは思いませんが、それに応じて各国の削減目標について議論を進めていくということだと私は思っていますので、そこはよろしくお願いしたいと思います。
 先ほどの、官房長官からもお話ありました、基準年も見直されるべきですと総理は演説の中で言われました。じゃ、日本は一体いつ基準年にすればいいという認識でいらっしゃるのか、お答えをいただけますか。
○国務大臣(鴨下一郎君) これは、一九九〇年というようなことにおいては、京都議定書の中での様々な議論があったわけでありまして、EUはそこをスタートにしてこれから新しいバリ・ロードマップにおける新たな枠組みの中でもこれを基準にするべしと、こういうような話がありました。
 ただ、福田総理がダボスでの御発言の中には、これは基準年そのものも含めて新しい枠組みの中では議論をしましょうと、こういう提案をしたわけでありまして、それが私はある意味で適切な発言だったと思いますけれども、EUにとってみると余り面白くなかったと、こういうようなところがあると思います。
 ですから、そういう中で我が国にとって国益になり、なおかつ究極の目的である地球温暖化を防止すると、こういうような意味においてどこに基準年を置くべきか、あるいは基準年という概念をまた別の意味において考えるべきかと。こういうようなことについてはこれから、今、加速度的にですけれども、議論をしようと、こういうようなことになっているということだけ申し上げておきます。
○福山哲郎君 私は、別にEUにすべて従えと申し上げているわけではありません。しかしながら、九七年の京都議定書のときには実は九〇年の基準比の問題、そのときも議論がありました。先ほど官房長官が言われたEUバブルの問題もあったんですが、その分、吸収源や京メカというのを取り入れてスタートしました。現実に京都議定書の枠組みの中で九〇年以来ずっと議論をしてきたと。
 新たなポスト京都のときに基準年を見直せという発言は、実はこれ非常に重たい発言です。だって、今まで国際社会は九〇年度比でずっと議論を前提としてしてきたものに対して、日本の、特に洞爺湖で、温暖化が議題になると分かっている洞爺湖のサミットの直前に、議長国である日本の総理が基準年を見直すと言ったのは、これはルールを変えろと言っていることですから、これは単純な話では決してありません。
 つまり、それだけの覚悟があって基準年を見直せと言った限りは、日本は一体いつの基準年ならのめるのかと。これはやっぱり非常に重要な問題だと僕は思っているんですね。思い付きのように基準年を見直せみたいなことを言ったら、国際社会は今までの前提と違うことを日本の議長は言い出したと。これ、どれを前提に議論したらいいのかという話になるわけですから。それも、洞爺湖サミットの直前に一月のダボスで総理が言ったと。これはやっぱりそんな単純な話では僕はないと思っているんですね。
 いつなら日本としては基準年の話は、じゃコミットできるのかと。今の環境大臣の御答弁は、環境大臣のお立場では僕は理解はするつもりです。しかし、国際社会から見たら、おい、議長国がルールを変えろと言い出したぞというふうに見えるんじゃないですかと。それならそれなりの覚悟が要るんじゃないですかということを申し上げているんですが、環境大臣でも官房長官でもどちらでも結構です、お二人にお答えいただいても結構ですが、お答えいただけますか。
○国務大臣(鴨下一郎君) おっしゃるとおりに、その基準年を変えるというようなことは、多分、まあマスコミ等では余り大きくは報道されませんでしたけれども、極めて重要な提案の一つだったろうというふうに思います。むしろ、国別総量目標というようなことを皆さん御評価いただきましたけれども、場合によると基準年の方が重い発言だったかも分かりません。
 それは、私は環境大臣ですから環境を一番優先するべきですけれども、そういう中でもやはり日本の立場あるいは日本のルール、こういうようなものも主張しつつ、なおかつ最終的に二〇五〇年には気候変動を止めるんだと、こういうようなことの目的のためにしっかりと日本がどういうふうな役割を演ずるかということなんだろうと思っていまして、必ずしも九〇年比でどのくらい削減していくということですべての国がコミットしてくれるかどうかというようなことについては、私も半信半疑です。
 例えばアメリカ、それから殊のほか重要なのは中国、インド、こういうような国が、果たしてそういうようなところで、本当にこの新たな枠組みの中でバリ・ロードマップがコペンハーゲンで出口を出られるかと、こういうようなことについては少し詳細に検討しなければいけないと、こういうような中での基準年も見直そうじゃないかと。
 まあ多分EUにとってみたら足下が崩れる話ですから、極めて重要な提言、提案だっただろうというふうに思いますけれども、そういう中でもう一度新たな枠組みをつくっていこうという野心的な提案だったというふうにも受け止めていただきたいというふうに思います。
○国務大臣(町村信孝君) 軽々にこの基準年のことをダボスで総理が言われたわけではございません。相当議論もし、考えてもみました。
 しかし、客観的に見ますと、一九九〇年、ちょうど冷戦構造が崩壊をした、あれは八九年ですか、ベルリンの壁が壊れたのは、九〇年ですか、それから拡大EUということでどんどんEUは拡大をしていった。そして、九〇年と比べて今の中国であるとかインドであるとか、ここまで急速に発展すると、九〇年のとき、また思いもしなかった国々が多分大部分であろうと。それだけ世界の経済構造も変わってきたときに、九〇年というのが未来永劫絶対的な水準というのも、やっぱり世の中の変化というものを余りにも表していないという見方もあろうと思います。
 他方、環境という観点からすると、いやいや、そうじゃないよと、もうそんなことを言うんだったらもっと前にさかのぼるかとか、いろんな議論があり得ると思います。
 したがって、先ほど申し上げましたように、すべての関係する主要な排出国が参加できるような基準年、そして、それはなるほどとみんなが思えるような基準年はいつなのかと。正直言ってまだ今、日本が何年がいいということを申し上げられる状況にはございませんけれども、だんだんこれも議論が深まる過程で日本としてもそこはいずれかの時点ではっきりとそれは言う必要があるんだろうと、こうは思っております。
○福山哲郎君 官房長官のおっしゃられたことは、一面、時代も変わる、社会システムも変わる、そのとおりだと思います。しかし、二酸化炭素の総量を削減しなければいけないという命題は変わらないわけです。そのときには、ある一定の年次で決めて、どこで削減していくかと決めない限りは、例えば経済が大きくなって二酸化炭素がどんどんどんどん排出しているときに、基準年をあるときずらした瞬間に全体の削減する量というのはその分だけ増えるわけですから、一体どれだけ減らすのかという議論がだんだんぼけてくるんですよ。
 このことは非常に重要なことで、私は、ルールを変えるというのは本当に大変勇気のある話でして、なおかつこれから議論をしていきましょうと。でも、官房長官、サミットまであと何か月なんですか。サミットのときに議長として日本は各国に対してこういう方向でいきましょうということを示す役割があるんです。
 ということは、今の話で総合すれば、基準年の問題も日本の国別削減目標の問題もある程度議長国として日本は洞爺湖サミットで提示をして、それに対してEUやほかの各国の反応を見ながらそこである程度状況をまとめていくための準備をしているということでいいわけですか。
○国務大臣(町村信孝君) さっきも申し上げましたように、サミットは一つの大きなモーメンタムを増すチャンスではあります。しかし、そこが唯一絶対のあれではありません。最終目標は来年の年末であります。それがまず第一点であります。
 それからもう一点は、確かに委員がおっしゃるように、どこかで基準年を設けなければ、あるいはいろんな意味で国々が発展をしていない九〇年というのがいいじゃないかという議論も、それはそれで一つの理屈だろうと思います。しかし、それが余りにも今の経済実態と懸け離れたところを基準に取るということが、どういうんでしょうか、そこからの削減量を考えるのか、あるいはもうちょっと新しい時点のものを決めて、そこから大きな削減、もしその間に、確かに増えているわけですから、そこから大きな削減量を決めてもいいわけですね。
 ある意味じゃ、その方が、それぞれの国の経済実態あるいはそれぞれの国の排出量のバランスというものを見て、どこを基準に取ったらば一番世界全体でそれを減らすことができるのかという建設的な議論にもつながってくるんだろうと思いますから、私は、九〇年が引き続き採択されるというか基準年になることも含めて、今こうでなければならないということを決め付けるのはいかにも時期尚早なのではないだろうかと。
 そこをまさに、みんなが納得できる公平な基準、公平な算出方法、公平な基準年はいつなんだろうかということをこれから来年の年末に向けて議論をしていこうということが今の日本の立っている現状ではないのかなと、こう思っているわけであります。
○福山哲郎君 今のお話は分からなくはないんですが、官房長官、別に言葉じりつかまえる気はありませんが、例えば基準年を変えて経済実態に合わせたと、それで二酸化炭素が増えたら、削減量をそのまま幅を上げればいいじゃないかとおっしゃいました。
 それだったら基準年同じでも一緒じゃないですか、九〇年でも。一緒じゃないですか。だって、世界全体で半減しなければいけないという総量は同じなんですよ。そうしたら、今官房長官が言われたみたいに、基準年を変えて排出量が増えて、それでまずいんだと、その分排出量の削減を大幅にすればいいじゃないかとおっしゃったら、結果は同じじゃないですか。これが一つです。
 二つ目は、何をおっしゃったかな、(発言する者あり)いや、来年の話の前にすごい重要なことをおっしゃったんですが、いいです、じゃ官房長官、まず答弁してください。
○国務大臣(町村信孝君) 国別にそれぞれの国が排出量を考えるときに、全く、まあ全くと言ってはいけませんよね、非常にまだ発展のペースがスローであった一九九〇年と、中国なりあるいはインドなりというのは今ここまで大きな国になってきておりますね。したがって、九〇年というものを基準にしてくださいよと言ったって、そんなこと言ったって、九〇年と今とこれだけ経済実態が異なっている。
 確かに、排出量は増えておりましょう。だからその分大きく減らすということはあるかもしれませんが、そこはやっぱり現実、今の姿というものを前提にしながら、どういう基準を設定したらば、それらの国々にもより大きな、そしてかつ到達可能な数字になるのかということが出てくるわけでありまして、例えば九〇年というより、多分中国にとっては低い、排出量の少ないところを基準にしてそこからまた減らすとか仮になれば、それはもうとても到達不可能だということになるじゃありませんか。だから、そんな非現実的なものには参加できないということになってしまっては元も子もないわけですね。
 だから、そこは現実というものを見据えながら、何が一番最終ゴールに向かって到達するのに合理的であり、かつ論理的であるのかということをこれからまさに議論しましょうと言っているのであって、私は別に、それならば例えば新しい年を基準にして、そして大きく切るなら前と同じじゃないかと。そこは違います。国々によって排出量が相当変わってきて、経済構造が変わってきたという現実をやっぱり私ども踏まえて、現実的な、かつ効果的な方法というものを考えましょうと言っているだけであります。
○福山哲郎君 いや、そのとおりなんですよ。それぞれの各国一律に削減目標が決まるわけじゃないじゃないですか、バリ・ロードマップでも。それぞれの国の事情に応じて決まるに決まっているじゃないですか。
 ただ、そのときに基準年がなければどういう議論になるんですかという話をしているのと、中国は、嫌でも、官房長官にここで代弁していただかなくても、国際社会の場で中国は嫌ほど自分たちの主張をします。それで途上国をどう入れていくか、参加をさせていくかというのが課題なわけです。別に、日本がわざわざ中国のことを心配して基準年のこと言う必要は、僕は逆に言うと、ないと思っております。逆に言うと、さっきの話、国別の削減目標もいつか分からない、あいまい。基準年は見直せと言っているけど、一体いつを基準年にしたらいいのかも日本ははっきりしない。これどうやって議長をやるというのか、私は実はちょっと不安になっています。
 更に申し上げれば、もうこれ別の話題になりますが、もう何回も私この場で言っていますアメリカのリーバーマン・ウォーナー法案、私、このぐらい分厚い中身、翻訳も含めて見ました。本当に詳細なことがきっちり詰まって議論できています。二〇五〇年までに六三%の削減という状況になっていて、排出権取引市場の仕組みも相当精緻にでき上がっています。罰則規定からオークションの仕組みから、何%オークションをして、そのお金を何に使うかまで決まっています。
 EUの排出権取引市場も、もうできて三年になりました。いろんな批判はありますが、今第二フェーズ、第三フェーズに入って動き出そうとしています。この間、私はイギリスの排出権取引の担当官と懇談をしましたら、その方は今からオーストラリアに行ってオーストラリアと協議をしてくる、その後アメリカに行ってアメリカの州政府と協議をしてくるとおっしゃっていました。これ間違いなく動き出しています。
 排出権取引市場について今どういう評価をされているのか、環境大臣と経産大臣、短めにお答えいただけますか。
○国務大臣(鴨下一郎君) この三月に新たな京都議定書の目標達成計画が閣議決定されます。それが産業界含めて、自主行動計画あるいは業務それから民生部分についてもより深掘りをして協力をいただくと、こういうようなことになっているわけでありますが、私は必ずしもそれだけでは十分ではないというふうに思っておりまして、加えて、新たなる行政手法、こういうようなものを、特に規制的な手法を何らかの形で入れていかなければいけないと、こういうふうに考えておりまして、その選択肢の一つの重要な方法だというふうに考えています。
○国務大臣(甘利明君) キャップ・アンド・トレードも一つの手法だとは思いますが、それには前提がありまして、公平なキャップをどうかぶせるかということ、それから空白地帯をつくらないで、まあつくると無キャップ地域に産業が流出するという危険性がありますから、全体にどう網を網羅するかと、それが公平なキャップであるかという点が前提だと思います。
○福山哲郎君 実は、公平なキャップという点でいうと、日本はやっぱりよくできているんです。
 日本は省エネルギー法で、各企業がどの程度省エネについて努力をしてきたか、全部経産省が資料を持っていただいているんです。つまり、経産省がそれだけの資料を持っている、情報を持っているということは、実は公平性、頑張って省エネ技術をやって工場の省エネ、二酸化炭素を減らしてきたところは、頑張ってきたからそこのところにはそんなに厳しいキャップを掛けないでいいじゃないか、今まで努力を怠ってきたところにはキャップを掛けるべきじゃないか、じゃないと不公平じゃないかと。逆に言うと、日本ほど公平性を担保できる、もうインフラが整っている国はないと私は思っています。
 逆にEUのEUETSが失敗した例というのは、そのデータがあいまいだったからだと私は思っていまして、先ほど経産大臣が言われた無キャップのところに流出をするというリスクも、実はコストとの兼ね合いです。その技術に、工場なり事業所なりに効率的にする、二酸化炭素を削減をするための技術を投資をして、それが回収できれば外へ出ていかなくてもいいわけで、それは制度設計のやり方次第だというふうに思っておりまして、環境大臣が今排出権取引市場も非常に重要な方策の一つだと思うという答弁をいただいたことというのは、私は大変心強く思っておりますし、一番気になるのは今日の日経新聞です。EUが温暖化対策に対してしっかり取組をしていないところの国の輸入に対して、ある意味での関税を掛けるというような話がありました。
 実はこれ、EUが出てくる前にどこに書いてあったかというと、先ほど申し上げましたアメリカのリーバーマン・ウォーナー法案に実はこの国境政策のことが出ています。つまり、二酸化炭素削減に対するきっちりとした対応を取っていないところについては輸入障壁が掛かると。我々は輸出産業を中心に頑張っているわけですから、そこは非常にリスクになる。
 更に言えば、先ほどから申し上げていますように、EUやアメリカでルール化されたときに、我が国のアメリカに出ている工場や我々のEUに出ている工場や事業所が、我が国のですよ、そこが実は制約が掛かる可能性が出てくる。さらには、輸出品に対しての制約が掛かる可能性が出てくる。それなら我々もちゃんと市場整備をして、国際ルールの共有化みたいなものにコミットするべきではないかと。
 私は、決して産業活動や経済活動をブレーキを掛けるために排出権取引市場を創設するべきだと申し上げているわけではありません。逆に言うと、省エネ、効率化、二酸化炭素低炭素企業をつくっていくためのインセンティブにするために私はこの制度が重要だというふうに思っています。
 御案内のように、一九七八年に日本は九割の排出ガス規制をやりました。これは経産省と環境省さんの御英断でやって、当時の自動車業界は悲鳴を上げたにもかかわらず、日本の企業はやり切って、それが日本の自動車産業の世界でのシェアをどれほど広げることに貢献をしたか。
 そういう観点で考えたときに、日本の技術力、日本の省エネ技術からいって、こういったものに対して、先ほど大臣、官房長官言われていますが、あいまいな形ではなくて、いち早く日本の意思決定をして、そして準備を始めた方がいいのではないかなというのが私の長年の主張でございます。現実問題として、今世界が動き出しています。そのことも含めて、是非お力添えをいただければ有り難いなというふうに思います。
 もうだんだん時間がなくなって、予定していた質問ほとんどできていないんですが、目達計画なんですけど、これ実際に目達計画の最終報告で自主行動計画、千九百万トンの削減量の増加を見込んでいます、新たに上乗せとして。でも、実際これ二〇〇六年度の排出の実績と比べたらどのぐらい削減されることになるのか、経産省、お答えいただけますか。
○国務大臣(甘利明君) その千九百万トンのCO2というのは、これは追加削減を要請をして達成をしてもらうという見通しが立ったということであります。それ以前の目達計画では、二千六百だったかな、二千六百だな、四千、当初の目達計画を構成する自主行動計画では、たしか四千二百でしたか、つまり産業界は当初の予定をクリアしてもらいました。
 ただ、よそがクリアできない分もっと頑張ってくれないかということで追加を乗せたわけでありまして、彼らが自主行動計画、つまり政府の目達計画の相当部分を構成する自主行動計画をクリアできないわけじゃなくて、クリアした上で、よそがまだ未達成の部分余計にやってくださいという分があの千九百万トンでありまして、これの削減見通しが立ったということであります。
○福山哲郎君 済みません、全然お答えをいただいてないんですが、時間がなくなったのは私の質問の仕方が悪いので謝りますが、是非、経産省さんと委員長、お願いがあります。
 私、質問項目全部お渡ししていますので、その御答弁、予定答弁を後でお教えいただければ有り難いと思いますので、是非、どういう答弁をされるおつもりだったのか、後で御提示をいただければ非常にうれしく思います。
 最後に、外務省来られていますか。
 高村外務大臣が排出権取引市場について非常に積極的な発言をされました。その真意についてお答えいただけますでしょうか。
○大臣政務官(小池正勝君) 御答弁申し上げます。
 高村大臣の御答弁でございますが、これは、待ったなしの状況にございます地球温暖化問題の解決に向けて、我が国といたしましても具体的な独自提案を準備しなければならないという御認識をお持ちでございまして、そういう御認識の下に中期目標の必要性や排出量取引について言及したものでございます。
 我が国は、国連における交渉の進展を実現するために、サミット議長国として国際的な議論を主導していきたいと考えております。このような観点から、福田総理はダボス会議に出席されてクールアース推進構想を表明されました。その中で、IPCCが地球全体の温室効果ガスの次の十年から二十年の間にピークアウトして、二〇五〇年には少なくとも半減しなければならないと警告していることに言及した上で、主要排出国とともに国別総量目標を掲げて温室効果ガスの排出削減に取り組む決意を総理が表明されたわけであります。この構想を受けまして、我が国自身の中期の総量目標策定に必要な作業を今現在、政府内で鋭意進めているところでございます。
 また、排出量取引についても、国際的な趨勢を見極めつつ、我が国の状況も勘案した上で、総合的な観点から検討を進めてまいりたいというふうに考えておる、そういう趣旨でございます。
○福山哲郎君 全く役人答弁で、高村大臣の発言の趣旨とは大分違うトーンでお答えいただいたので残念な思いをしております。
 時間がなくなりました。ありがとうございました。

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第169国会  参議院  予算委員会 2008年2月5日

道路特定財源問題


○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。早朝から、総理を始め閣僚の皆様、御苦労さまでございます。
 まず冒頭、年末から年始にかけて肝炎の原告団の一律救済について法案を作成していただきまして、心から成立したことをうれしく思っておりますし、総理を始め厚生労働大臣の御尽力に感謝を申し上げたいと思います。
 ただ、大臣お分かりのとおり、総理もお分かりのとおり、原告団だけが患者ではありません。まだまだ肝炎の問題は課題が残っておりますので、そのことを冒頭まずお願いをさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いを申し上げます。
 早速本題に入らせていただきたいと思います。
 この国会はガソリン国会だと言われておりまして、いつもその議論になっておりまして、まず冬柴大臣、大臣がいろんな衆参の答弁の中で、いわゆるアンケートだとか首長さんの署名の議論がありますが、我が党の菅代表代行のときの答弁で、少なくとも千八百七十四人の首長全員が私の方に、道路特定財源は維持すべしということで、直筆で署名しているという発言がありました。このことは事実かどうかお答えをいただけますか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 去る一月二十八日、衆議院予算委員会におきまして、民主党代表代行であられる菅直人議員から質疑を受けまして、その中で私の発言に誤りがございました。心からおわびを申し上げたいというふうに思います。次の衆議院の予算委員会の冒頭で訂正とおわびを申し上げるつもりでございましたけれども、今日、福山委員から御質問がありましたので訂正させていただきたいと思います。
 御案内のとおり、道路の中期計画素案の中には、全首長千八百七十四名が意見を寄せていただいたとの記述が明記されておりまして、私の脳裏にはそのことが刻み込まれていました。そのようなときに大部三冊に製本された署名簿が大臣室に届けられまして、首長直筆の署名による、全首長と言われましたけれども、道路特定財源延長の要望書でありますと聞かされました。私はびっくりしまして、その中を見せていただきましたところ、なるほど墨書で署名されたものとかがたくさんありまして、逐一見るわけにはいきませんでしたけれども、私はそれは全首長千八百七十四名が署名されたものであるとそこで軽信をしてしまったわけでございまして、その意味で、このように、今御指摘になったように千八百七十四名という数字を挙げて直筆の署名簿が届いているということを申し上げたわけでございますが、その後、担当者からの指摘がありまして、六名の市長さん、市ですね、町村長さんはもちろん全部しておられるんですが、市長さんの署名が欠けているということを注意を受けまして、びっくりをして、そして菅代表にも訂正とおわびを申し上げた次第でございます。
 そういうことで、ここでおわびと訂正をさせていただきたい、このように思います。
○福山哲郎君 これ、NHKの全国放送の場で大臣はそうおっしゃられました。やはりこれは大変国論を今二分している問題でございますので慎重に御発言をいただきたいと思いますし、特に我が党の代表代行に対する御答弁でございますので、そこは僕は厳重に注意をさせていただきたいと思います。
 その中で申し上げるんですけれども、今の署名の話というのは、私、現物これ持っております。これ全部同じ文章が書かれていまして、別の団体から依頼があって書いたというものでございます。これ、いつかというと、平成十九年の十一月、簡単に言うと予算編成の直前なんですね。そのときに各首長さんにこんなものを送れば、みんな署名するのはある意味当たり前です。
 それと、冬柴大臣の御答弁いろいろお伺いしていると、国民に対して取っているアンケートとこの署名と、それから国交省は首長さん直々に実は御意見の提出についてという依頼書を出しています。これ実は全部一緒くたにして大臣はよく御答弁をされているんですね。もう細かいこと、時間がないので申し上げませんが。
 そうすると、これ何て書いてあるかというと、もう元々閣議決定をした、内閣が決めた暫定税率による上乗せ分を含め、現行の税率水準を維持するという具体策に対してアンケートをくれ、意見をくれと、道路は暫定税率を維持することを前提にこれをくれ、アンケートに答えろと言ってきているわけです。そしたら、道路に対する要望が来るの決まっているじゃないですか。
 分かります、例えばそのときに、暫定税率を廃止するかどうか、若しくは一般財源化するかどうかについて意見をくれと言ったら別の意見が出たかもしれない。しかしながら、これ全部、この閣議決定に基づいて中期計画を作るから意見をくれと言ったら、道路に対する要望だけが来るの当たり前じゃないですか。
 これは私はある種の、国会の答弁も含めて世論操作だと思っていますし、これは僕はある種公平性に欠けると思いますが、大臣、どう思われますか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 私どもは、道路に対する全国民、そしてまた全首長、そして学識経験者と言われる方々に意見を求めました。その中には、今おっしゃったような文言ではなしに、一般的に道路政策や道路の整備、管理全般に関する御意見をちょうだいしたいということで、一切道路特定財源とか暫定税率とかいうようなことをお尋ねしているわけではございません。私どもの方の道路局長から各首長に対する意見書提出の依頼もそのように書かれていることは御案内のとおりだと思います。それに対して非常に詳細な意見をちょうだいしているわけでございまして、その中には、私の方は道路全般にと書いてあるのに、ほとんどの方が道路特定財源の維持とかそういうことについて御意見をちょうだいしました。
○福山哲郎君 今のも実は違うんですね。これ私、依頼書持っているんです。道路特定財源の見直しに関する具体策が十二月に閣議決定されましたと書いてあるんです。その中には、れっきとして暫定税率維持って書いてあるんです。それを基に中期計画を作るので意見をくれと書いてあります。
 実は、この依頼書に基づく首長の意見を僕もほとんど見ました。実は、暫定税率維持というのは余り具体的に書いてある首長さんはいらっしゃいませんでした。財源を確保しろとは書いてありましたけれども、中には、万が一一般財源化されたとしてもというただし書で書いている首長さんもいらっしゃいました。つまり、それぞれの意見があって、実は道路についてもう暫定税率を維持して、やるという前提で聴いているアンケートですから、それは道路に対する意見しか来ないのは当たり前なんですね。
 それで、今日の朝日新聞見ると、暫定税率廃止については、やめるべきだが六〇%、それから、政府の計画の十年間で五十九兆円を掛けて造ることは、計画より減らすべきだが七五%です。
 これ、私、提案なんですが、大臣が国民各層にいろいろお伺いしたという話をそれだけ強調されるんでしたら、実はこれ、首長への意見はたった一か月で集約しています。国民への意見は、もうこれは三か月ですから、短くしようと思えばできるはずです。これだけ国民に暫定税率の存在が明らかになった時点で、もう一度幅広く聴かれたらどうですか。その上で、今大臣や政府が言われている主張が本当に意見として集約できるものなのか、やっぱり確認するべきだと思いますが、総理、どうですか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 私はこれを、道路の中期計画というのは、真に必要な道路というのは、それを造るということについて異論のある方はないと思うんですね。しかしながら、そんな抽象的なことでいわゆる税金をタックスペイヤーに御理解をいただくということはできないと私は申しました。その上で、その受益と負担の関係を明らかにするためには、負担をお願いするわけですから、その受益の内容を明確に分かるようにすべきだということも申し上げて、前年の年末の申合せができたわけでございます。それに基づいて、どういう道路を整備する必要があるか、これを首長さんなり皆さんに国民広く問いかけをしたわけでございます。それには四か月の日にちがございます。四月から七月末まででございます。
 その間に、十万一千人を超える国民からの御意見、そして今言う千八百七十四名の首長、それから二千百名を超える学識経験者から意見をいただきました。それに基づきまして素案を作りまして、そしてもう一度国民にお示しをいたしまして、これに対する御意見もちょうだいをして、そしてこれは一か月の期間を設けました。そして、その上で作ったのがこの素案でございます。
 国民の要望は非常に多岐にわたりましたし、それから地域によってニーズが、傾向が違うということも明確に分かりました。そういうものを整理したのが道路の中期計画でございます。私は、偏向することなく意見を聴いたというふうに思っております。
○福山哲郎君 いや、だから、それは今、国会で議論していることを前提としてないんですよ。
 首長に対しては四か月じゃないんです。四月の二日に依頼をして五月の八日に意見をくれという話になっているわけです。国民だって、一か月で意見集約しようと思えば、これだけ注目集まっているんだから、いろんな国民がアクセスをしてくれるはずです。世論調査も実際先ほどのように出ている。
 総理、どうですか。一回幅広く国民に、あれだけ大臣が国民に聴いた聴いたとおっしゃるわけですから、この時点でもう一度聴かれたらどうですか、総理。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 今いろいろな議論があるんだろうと思います。そして、やっぱりそういう議論を闘わせる中からどうするかということを見出していくということは、これは大変大事なことだと思います。そういう意味では、まだ時間たっぷりございますので、十分に議論をさせていただきたいと思っております。
○福山哲郎君 いや、だから私は、時間がたっぷりあるので十分できるんじゃないかと、アンケートも含めできるんじゃないかと申し上げているんですが、総理、いかがですか。総理、総理、どうですか。──いやいや、大臣じゃなくて総理。いや、大臣はもうあればっかりですから。
○国務大臣(冬柴鐵三君) アンケートはもう十分にしたと私は思います。したがいまして、今でも別にアンケートをしなくてもいろんなアクセスする方法はあります。意見を伺う。また、新聞等あるいはマスコミの世論調査等も今挙げられましたけれども、そういうものもありますので、十分考えていきたいと思います。
○福山哲郎君 総理、どうですか。もう僕は余りしつこくこのことは大した問題ではないので言いたくないので、総理、どうぞ。
○内閣総理大臣(福田康夫君) いろいろな方法で世論に声を聴くということはあると思います。ですから、そのうちの一つとしてもう一回聴くというのもあるかもしれないし、また今大臣が言われたように様々な方法はありますので、それは分かりますよ、傾向とかそういうものはね。大体出てくるものでありますので、大いに参考にさせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 今回、この道路特定財源を一般財源に回しますと実は国交大臣も財務大臣もおっしゃっておられますが、私、法律をよく見ました。
 お手元に、皆さんのところにお配りをさせていただいていますのが政府が配っている法律の概要でございますが、下線を引かせていただきました。右上を見てください。ただし、税収が道路整備費を上回る場合には、毎年度の予算において、全額を充てなくてもよいこととする。要は、税収が道路整備費を上回る場合は、余った分は一般財源に使うという、それぞれ財務大臣、国交大臣の主張でございますが、その下でございます。道路整備費への未充当相当額については翌年度以降の道路整備費に充当可能なものとして措置すると。
 次のページをめくってください。分かりやすい話でいうと、今年の例を挙げます。今年は税収が四百二十九億円実は道路整備費より上回ったので、これ一般財源化したというのが財務大臣と国交大臣の御主張でございます。しかし、これ実は、法律をよく見ると、翌年度の道路整備に充当することになっているんですね。
 結局、一緒じゃないですか、これ。一般財源化しても、結局道路整備に回すんでしょう。そしたら、そのことをちゃんと説明しないと。何か、さも、一般財源化します、一般財源化しますばかり言っていると、これも実はさっきと同じでミスリードなんです。
 これ、四百二十九億円、今回は一般財源化しますが、来年度はこの金額がそのまま道路整備に回るんです。間違いないですよね、財務大臣。
○国務大臣(額賀福志郎君) これは、この国会に提出させていただいているのは、従来の揮発油税をきちっと改正をして、道路整備を上回る部分は一般財源化をするということで、明確に方針転換をさせていただいているわけであります。
 その上に立って、中期計画で真に必要な道路整備を実現をしていくということで五十九兆円の上限価格がセットされているわけでございますけれども、これはあくまで上限価格で、毎年度毎年度必要な道路予算についてきちっと精査をして国会でも議論をさせていただくと。昨年は一般財源化したのが一千八百億円、そして今年は一千九百億円と、税収が減っている中でこれ増やしているわけでありますから、一般財源化の目的をきちっと達成をしていると思っておりますし、二十一年度予算に当たっても、その際にきちっと査定をして一般財源化を改めて図っていくという形になっていくことでありますから、毎年度毎年度の予算の査定の中でそれを実現をしていくことになっておりますから、これはそういうふうに御理解をしていただきたいというふうに思います。
○福山哲郎君 いや、違うんですよ。法律論を私は言っているんです。法律をちゃんと読めば、一般財源化した分は翌年は道路財源に回すと書いてあるんです。これ事実ですよね、国交大臣。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 事実です。事実です。
○福山哲郎君 でしょう。一般財源化すると言いながら、結局翌年は道路財源にこれ回るんですよ。
 総理、これ分かります、一般財源化する、一般財源化すると言いながら、翌年は道路財源にこれ回ることになっているんです、法律上は。十年たったら、毎年毎年、結局道路財源変わらないんですよ。これ、総理、どう思われますか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 今までは、税収のあった揮発油税は何の判断もなく道路財源に回されました。これを改めようということで、毎年毎年財務省における査定で決まっていくわけでございます。それで、その道路歳出を上回るものがあればそれは一般財源に回すということが規定されているわけでございますが、それが、その額が翌年回されることも事実でございます。翌年回した額を加算して、また財務省はきちっとその年の道路歳出については査定をされるわけでございます。
 そういうことでございますので、それが全部加算されて当然に道路財源になるという趣旨ではございません。
○福山哲郎君 大臣、ちょっとさっき大臣、国交大臣と違いましたよね、答弁。法律上は四百二十九億円は来年度は道路財源に回るんですが、事実かどうかお答えください。
○国務大臣(額賀福志郎君) だから、道路整備を上回る額は、次の年にやっぱり真に必要な道路は何かということを考えて、さらにその真に必要な道路予算をつくって、その道路整備を上回る予算はまた一般財源化をしていくというふうに繰り返されていって、それは二十年度は十九年度より増やしていくように、本来の趣旨、真に必要な道路整備というのは、真に必要な道路整備を上回る部分ということでございますから、毎年度毎年度そういうことを繰り返していくということになるわけでございます。
○福山哲郎君 法律にそんなこと書いてないんですが、総理、いかがですか。──総理。いやいや、大臣、もういいです、いいです。大臣はもういいです、何言っているんだかよく分からない。総理、これが一般財源化の真相ですよ。総理、総理。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 今説明したとおりなんですけれども、各年度において税収の全額を道路整備に充てることを義務付けている仕組みを見直して、毎年真に必要な道路整備費を精査し、これを上回る額を一般財源とすることとしておりまして、一般財源化がこれはおかしいじゃないかというそういう批判は当たらないと思っております。
○福山哲郎君 だから、総理の今の答弁はあるところまでで止まっているんです。一般財源化するんです、余った分は。しかし、翌年それ道路財源に回るんです。そういうふうに法律には書いてあるんです。
 総理、これはからくり以外何物でもないでしょう。国民だましていませんか。総理、だって、さっき国交大臣、事実ですとおっしゃったんですよ。
○国務大臣(額賀福志郎君) だから、先ほども言いましたように、道路整備に充てることを原則としているわけだけれども、翌年度以降の予算編成において真に必要な道路予算を見極めて、それで道路整備を上回るものは一般財源化をするということでありますから、それを毎年毎年繰り返していくわけですね。しかも、なおかつ、その五十九兆円というのは上限であると。その中で一般財源化を増やしていくこともできるし、あるいはまた、道路に必要なものが早めにやっていこうということであれば、またその時々の予算の編成の状況、国会の議論において変わっていくこともありますけれども、基本的には道路だけに充てる財源を一般財源化をするという、本当に基本的に方針転換がされているということはよく御存じだと思います。
○福山哲郎君 止めてください。
○委員長(鴻池祥肇君) 速記止めて。
   〔速記中止〕
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 揮発油税については、御指摘のように、今まではその税収そのものを財務省の判断なしに道路に充てていたわけでございますけれども、毎年毎年、税収にかかわらず真に必要な道路は何なのかということを財務省で査定されます。また、もちろん大きな道路についてはいろんな手続がありますけれども、そういうことで、余りそれが超過する部分についてはそれを一般財源に回すということもするわけですが、それの累積額はじゃ十一年まで行った場合どうなるのかということでございますが、その後もそれは繰り越していって、十一年以降もその超過額については道路歳出に充てていただくと。しかし、それはもちろんそのときの財務省の判断を仰ぐわけでございます。
 それは、なぜそういうことになるかといいますと、揮発油税の二十三円四十銭、暫定税率というものについてお支払を求めているのはドライバーでございます。そういう人たちに対して、これは道路整備に充てるから払ってほしいということをお願いしているわけでございますから、そういうものでその年度に入ったものが即行かなくても、最終的には道路整備にきちっと使わせていただきますということがなければこれは納得していただけないと思います。それが受益と負担とのバランスなのでございます。そういう意味で御理解いただきたいと思います。
○福山哲郎君 それでは、一般財源化するということは御訂正をいただけますか、財務大臣。
○国務大臣(額賀福志郎君) これは道路特定財源でありますから、受益と負担の原則がある中で納税者に負担を、ユーザーに負担をしていただいている。それをやっぱり一般財源化をするということは、全く道路に関係ないところに使わせていただくことがこの特定財源の原則としていいのかどうかということで、一般財源化を図った中で、少なくとも道路に関係する分野に使わせていただく。しかし、それは従来の道路整備だけに使うものではないと。それは、今までも議論があったように、歩道を整備するとかバリアフリーをするとか踏切の対策に講じるとか、様々な道路に関連する分野に使って納税者の御理解をいただくということになっておるわけであります。
 そして、最終的に、十年の期間でありますけれども、一般財源として繰り越されたお金は、それは何年までに使わなければならないという期限はないわけであります。その中で、やっぱり我々の査定の中でどういうふうに使うかということは考えさせていただくと。それは道路に使う場合もあるし、従来のように一般財源化として道路に関係する分野に使わせていただくということもあるということです。
○福山哲郎君 先ほど財務大臣が言われたバリアフリーとかいろんなものに使いますという話は、もう元々特定財源で使われていましたから、一般財源化という定義とは関係ありません。全く一致しません。
 ですから、一般財源化というのは、じゃ財務大臣、どういうことを言うんですか。
○国務大臣(額賀福志郎君) ですから、この特定財源というのは元々、道路を造ることによって恩恵を受ける方々に負担をしていただくということでありますから、そのユーザーに負担をしていただいて道路を造ることを目的としていたわけでございますけれども、ここまで来ると、道路特定財源を道路に関する分野にも様々使わせていただくということで使途の拡大を図ってきたわけでございますけれども、今回は揮発油税をきちっと改正をして、道路以外、道路整備を上回る分野については一般財源化を図るという形で法の整備をさせていただくということでありますから、従来とは違った形で財源化というものが、一般財源化というものが整理をされたということを御承知おきいただきたいということです。
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(額賀福志郎君) 改めて申し上げさせていただきますけれども、今度の法律改正で、今までは揮発油税というのは道路に使うことが義務付けられておりました。今度、法律改正によって道路整備以外の分野に使うことができるようになると……(発言する者あり)余った分ですね。だから、一般財源化として法律で決めた分野については道路以外にも使えるようになったというのが画期的なことなわけですね。基本的な方針転換になるわけですね。
 だから、それは例えばCO2の関係がありますから、環境の問題に使うとかあるいはまた信号機に使うだとか……(発言する者あり)いや、元々使っていたけれども、法的にきちっとクリアにしているということになるわけでございます。そこは理解できるでしょう。今までは法律できちっと特定財源として道路以外は使えなかった分野を一般財源として堂々とそういうところに使っていくようになれると、そういうことです。
○福山哲郎君 いや、額賀大臣が堂々ととおっしゃいましたが、二兆七千億円のうちのたったの四百二十九億なんですけど、四百二十九億は今おっしゃったように一般財源化したとしても、翌年道路財源に繰り入れられることになっているんですよ。結局、道路財源に回るということですね。そのことを確認すればそれでいいんです、私は。そのことの事実を、国交大臣はさっき事実だとおっしゃったのに、額賀大臣は余りおっしゃらないので。
○国務大臣(額賀福志郎君) ですから、毎年度予算編成において、例えば十九年度の一千八百億円の一般財源化から今度一千九百億円の一般財源化に伸ばしてきたように、その余ったもののあなたがおっしゃる四百二十九億円については、翌年度の予算編成に当たって、一般財源化として余った分については積み上げていくことになりますけれども、道路予算としてはまた改めて精査をして、その特定財源の中で必要なものの予算額を確保していくということになっているわけでありますから、国交大臣との説明と私の説明は差異がありません。
○福山哲郎君 端的にお答えください。四百二十九億円の一般財源化した今年度の金額は、来年度、次の年に道路財源に組み入れられるのかどうかお答えください。イエスかノーかでお答えください。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 揮発油税収の上にそういうものを入れた上で道路について厳しい査定されるわけですから、また。ですから、それが当然その金額がそのまま査定なしに道路整備費に使われるということはないわけでございます。その年の道路整備に必要な額というものはもう一度査定をされるわけでございます。
○委員長(鴻池祥肇君) 速記止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(額賀福志郎君) お答えをいたします。
 先ほども申し上げましたように、その一般財源化した、余った分は、計算上、次の財源の一部になるわけでございます。しかし、予算編成の方針上、我々は、納税者の理解も得る中で道路に特定されたものだけに縛っていた義務化をほどいたわけでございますから、その意味では一般財源化というふうに言われているというふうに理解をしておりまして、ただ、その使途、予算の使途としては、その道路に関連する分野、先ほども言ったように環境だとか信号機だとかあるいは交通事故関係だとか、そういうところに使わせていただくということでございます。
○福山哲郎君 翌年繰り越すのも道路整備費に入るんですよね。
○国務大臣(額賀福志郎君) 翌年繰り越された場合は計算上はその財源としてなりますけれども、きちっと査定をして真に必要な道路財源として使わせていただく、そしてその道路整備の余った分については、納税者の理解を得る範囲で、予算編成方針上、道路以外の分野に使わせていただくということでございます。
○福山哲郎君 今大臣が言われた信号とか環境対策では、実は特定財源でもう使われています。ですから、一般財源化というのは、法律上今変えたといっても、結果としては道路関係に使うということでいいわけですね。それで、その四百二十九億円について来年度も道路整備予算に一回入るということで、その二点について確認さしていただければそれで結構です。
○国務大臣(額賀福志郎君) それは計算上入ります。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 今、環境対策とか信号機は今までも入っていたと言われますが、今まで入っておりません。道路特定財源からはそういうものを出していません。
 環境対策につきましては、いいですか、これにつきましては、例えば車単体から出る排煙とかそういうものについての道路整備とか、要するにこの道路整備と離れて、そしてこの環境対策というものは新たな支出でございまして、これは一般財源からの支出と見ることができると思います。
 それから、信号機についてもそうでございますし、交通事故によって、まあそういう言い方がどうか知りませんけれども、植物のような状態になった人たちについての医療とかそういうものもやりますけれども、そういうものに使うことができるということでございます。
○福山哲郎君 見かけ上一般財源化ですが、実は道路関係に使い、次年度に関しては道路財源に入るということは、結果としては何も変わってないと私は思いますし、このこと一つでこれだけ時間が掛かること自身が実は驚きでございます。
 六十五兆円を五十九兆円に削減をすることで、冬柴大臣は国会での答弁で、高速道路の料金引下げとか信号機の高度化などのソフト対策で六十五を五十九に削減するんだとおっしゃいましたが、それは事実でよろしいですか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 削減については、政府の大きな方針もございまして、我々としては中期計画、そこに書いたように六十五兆ということを目標に数量なりあるいは箇所なり、そういうものを積み上げて六十五兆を出したわけでございますけれども、こういう状況でございますので、六兆円を削った五十九兆になりました。
 どういうふうにしてしたかといいますと、今後またこれは詳細をこの委員会に出さなきゃいけないと思っておりますが、箇所についても、例えば一律に減額をするという努力をする部分もございます。しかしながら、箇所を、例えば競合する部分については、高速道路を造ることによってCO2の排出箇所とかいうことも、あるいは混雑する場所も解消するわけでございます。そういうふうな重複している部分についてもう一度箇所の数を考え直すとかいうような問題もありまして、それを合理化するとともに重点化して五十九兆に収まるように、それは我々としてはまた説明をしなきゃならないと思います。
○福山哲郎君 お答えいただいていないんですが、大臣が御答弁で言われた高速道路の料金引下げや信号機の高度化などのソフト対策によって五十九兆円に削減をするということは事実ですかと、そういうおつもりですかと。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 例えば、料金を引き下げることにより、今まで余り通らなかった車が高速道路を走っていただくことになります。そうしますと、その下に一般道路を今まで走って、信号もありますし、排気ガスを出し騒音を出し振動を出していた車が上を走ることによって、そういうものがそういうふうに誘導できるということは、例えば渋滞箇所とか、それから今の環境対策とか、あるいは住民に対する振動というようなものが軽減されますから、それについての、そこで、中期計画で挙げたそういうものに対する渋滞の解消というようなものが減らすことができるわけでございます。そういうことを申し上げたわけでございます。
○福山哲郎君 高速道路の料金の引下げの主体はだれですか、大臣。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 道路会社でございます。
○福山哲郎君 何で民営化した民間の企業の料金の引下げについて国が口を出せるんですか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 民営化した以上、政策を押し付けるわけにはまいりません。ちゃんとそれに対しては我々が資金手当てをしなきゃならないわけでございます。
 それについては非常に複雑な構造になっておりますけれども、道路会社がいわゆる道路保有、債務を保有する機構に対して借金をずっと四十五年にわたって分割弁済をしていくわけでございます。したがいまして、その部分について道路会社がその保有機構に負っている債務の一部を国が引き受けるという裏付けの下に、我々が国民の要望の強い料金の引下げとか、あるいは今御指摘いただきましたように、渋滞解消というような目的に資するためにこの高速道路料金を引き下げる、これは国民の強い要望でございます。
 したがいまして、道路会社に経営のための資金を補給するとか、あるいは新たな道路を造るための資金を国が貸与なり提供するということとは全く違いまして、今もうでき上がっている道路をどのように有効に活用できるか、そのような観点から我々の政策判断があり、その政策目的のために債務の引受けを国がするという形でこれを解消しているわけでございまして、相当複雑ではありますけれども、我々は十分検討した上でその道路の目的に反しない形でこのようにお願いしているわけでございます。
○福山哲郎君 道路特定財源をいわゆる債務を管理している機構の肩代わりをするというのは、一体いつだれが決まったんですか。民営化したときにもその議論はありましたか。国費は事業に入れないというのがあの民営化のときの議論なんじゃないですか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 昨年十二月七日の政府・与党合意でそのようにいたしまして、それを受けて道路会社及び債務引受機構と我々との間で協議をして御納得をいただいているわけでございまして、そういう形でございます。
 新たに入れるといいますけれども、これは独立した会社に我々の国民の要望を踏まえた政策をお願いするわけですから、それに対する裏付けとして将来債務をこちらが引き受けるという形で合意ができたわけでございます。
○福山哲郎君 法律も通ってないのに合意したわけですか。
 また、国が二・五兆円入れるのは債務の肩代わりのはずであって、高速料金の引下げではないはずですが、それはどうして民間会社にそういう監督権限が国土交通省にあるんですか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 監督権限ではなしに契約です。我々からお願いをして、我々の方があなたの方に裏付けをしますから、国民の要望の強いこの道路の通行料金の引下げをお願いしたいということで、そういたしましょうということで、ただでやってもらうわけにいきません。したがって、それは道路会社が保有機構に負っている大きな債務がありますが、それに相応する部分を引き受けることにより、将来会社が順調に四十五年の年賦を払っていくことができるような、そういう妨げにならないような、その手当てをして我々の政策を実行していく。これについては完全に三者で合意をいたしております。
○福山哲郎君 四十兆円の債務のうちの二・五兆円の合理的な根拠は何ですか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 一遍に二・五兆円出すわけじゃありませんけれども、それはいろいろと詳細な計算の下に三者合意の上で、もちろん道路会社、債務、それから保有機構等と詳細な計算をして、そしてそれを決めていくということでございます。
○福山哲郎君 国民の税金で取って、それを高速道路の借金に肩代わりするというのは、国民は多分想定はしてないと思います。
 そのことを詳細な議論だとおっしゃいましたが、詳細な議論で本当にやられたのかどうか、その詳細のバックデータをお寄せをいただきたいと思います。
 じゃ委員長、済みません、今の。
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまの福山君の申出につきましては、後の理事会で討議をいたします。
○福山哲郎君 次のペーパーを御覧ください。
 次のペーパーは、平成十四年から十八年度までの道路事業の中で、当初の計画と完了時の計画で二倍以上に事業費が膨れ上がった事業の数でございます。何でこんな形で、例えば一番上も見ていただければお分かりのように、まあ本当に三・一八倍という状況になっているわけですけれども、このような状況が日常的にあるわけですが、このような状況になっている理由をお答えください。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 当初計画を正確に作成するとともに、予測困難な事業費の増加もあるため、事業開始から事業中、事業完了までの適正な事業評価を実施はいたしております。
 事業開始をするに当たりましては、当初計画を正確に作成するために、十分な事前調査の実施などにより現場条件に応じた計画を立案する、また新規事業採択時の評価の実施によりまして客観性、透明性の確保にも努めていこうとしているところでございます。
 一方、地元協議に伴う計画の見直しあるいは用地補償費の増加など、当初予測できないような要因で事業費の増加することは考えられるわけでございます。それで、事業中の再評価、完了後の事後評価など様々な段階で適正に事業評価を実施することが必要と考えております。これまでも、再評価の結果を踏まえて事業を中止したり見直したりしたことは事例がありますが、今後とも、開始から完了までの評価を徹底することによって効果的で効率的な道路整備を進めてまいりたい、このように思っているところでございます。
○福山哲郎君 それではお伺いします。今まで再評価をして、何件再評価をして、実際に止まったものは何件あるか、お答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 平成十年度から十八年度までにおきましての評価の実績でございますが、再評価、累計で二千七百八十二件でございます。そのうち、見直し四十一件、中止二十九件でございます。
○福山哲郎君 二千七百八十二件の再評価のうち二十九件が中止です。これは実は付随をして、ダム事業が中止になったので付随をした道路事業が中止になったような例がたくさんあります。
 つまり、これ総事業費が二倍になろうが三倍になろうが、道路は一回造り出したら、幾ら膨れ上がってもこれは続くんですよ。本当に走り出したら止まらないという感じなんですよ。いかに無駄があっても、いかに予定よりも多くの金額になっても造り続けるんですよ。一番上を見ていただければ、四十億が百二十七億になっても造り続けるんです。
 先ほど土地の収用の価格がという話がありましたけれども、現実の問題でいうと、例えば、大変失礼ですが、地方では土地の値上がりなんてありません、最近。じゃ、何でこんなに総事業費が膨れ上がるのか。さらには、再評価しても中止はほとんどない、そうすると道路は造り続けられるということです、いかに総事業費が膨れ上がっても。この実態についてどのようにお考えですか、総理。
○政府参考人(宮田年耕君) 繰り返しになりますが、当初計画に比べて事業費が増加するという要因につきましては、現場条件による工法の変更でございますとか、あるいは地元協議等による構造の変更あるいは文化財調査、工期延期、そういうものが挙げられております。
 事業の再評価を実施する際には、第三者からの意見を求める諮問機関として学識経験者等から成る事業評価監視委員会の審議を経るとともに、評価結果及びその内訳となる費用、便益等の値も公表してきているところでございます。
○福山哲郎君 何にも答えていないじゃない。
 総理、どうですか、これ、この実態を見ていただいて。
○国務大臣(冬柴鐵三君) この二月二十三日には、新名神の一部ですが、亀山ジャンクションというところから大津を経て草津のジャンクションまで四十九・七キロが開通いたします。
 これについては、実にこの整備計画は平成三年十二月に行われております。着工が平成十五年十二月です。したがって、満十四年三か月という歳月を要しているわけでして、これに対してその間に多くの変更があります。例えば、当初は道路公団で片側三車線、計六車線の高速道路を造ることで決められて、そしてそのとおりにずっと真ん中は造られておりますが、その後この合理化計画によって片側二車線、四車線に変更になるとか、あるいはルートが、ルートが、(発言する者あり)安くしたんですよ。
 ですから、そういうふうに、当初予算とでき上がるときとは長年月、十数年、二十年近い歳月を刻むうちにいろんな事情がそういうふうに変わるわけです。ですから、このように下げた、二十兆掛かるというやつを十・五兆にした、合理化した、こういう面もあれば、その事情によっていろいろと、思わぬ出水があってこれが延びるとか、こういうこともあるわけでございます。
 したがって、それを適時、今道路局長が申しましたように、公正な第三者機関を入れて、そして適宜その再評価をしながら、見直しについてそれでいいかどうかというようなこともやりながらこれは進めているわけでございまして、決して乱費とか一遍造り出したらもう止まらないとかいうものではないというふうに思います。
○福山哲郎君 総理、どうですか。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 私は原則的なことを申し上げますけれども、事業の当初計画、これはできるだけ正確に作成するということが必要でありまして、十分な事前調査の実施等によりまして、現場条件に応じた計画の立案、客観的な事業評価等によりまして、事業費の適正さを確保し、更に徹底的なコスト縮減に努めるということであります。引き続きそうした努力を続けていくことが必要だと考えております。
○福山哲郎君 先ほど大臣は長年掛かっていると言いましたが、私のお示しをした表でいうと、例えば亀田拡幅というのは平成九年に始まって平成十七年に終わっています。最近です。これ実は、八十億が二百二十億になっています。これ、何で北海道でこのぐらい膨れ上がったのか、よく分かりません。
 それから、先ほど申し上げた、これ全部道路のあれですが、今大臣言われたように、総事業費が当初予算よりも減っているようなのは、ほとんど皆無と言っていいです。現実問題として、先ほど言ったように、二千七百八十二件再評価して見直しになったのは二十九件です。
 これで今の大臣の答弁は説得力あると言えるんでしょうか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) それぞれ、その段階その段階で適時適切に誠心誠意やっていると私は信じております。そういうことでございます。
○福山哲郎君 国民の税金ですよ。精神論や観念論で一生懸命やっていますからと言っていいんですか、それで済むんですか。当初の予算の見積りがいかにずさんかという、これ証拠なんじゃないですか。
 総理、さっき私聞き忘れたんで聞かせてください。一般財源化が実は道路予算に回るんだと、総理、御存じでしたか。──いやいや、総理に聞いているんです。別にもう、額賀大臣はもうさっきさんざんお伺いしました。
○国務大臣(額賀福志郎君) 先ほどもお答えしたとおりで、総理も同じ考えでございまして、だからそれは道路等、道路に純粋に使わなければならない予算を道路以外の分野にも使えるようにしたということでございますから、それは御理解をいただいているものと思います。
○福山哲郎君 総理、御存じでしたか。一般財源が実は道路に使われるんだ、道路にまた回るんだということ。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 私も今の討議を伺っていてよく分かりました。
○福山哲郎君 じゃ、御存じなかったんですね。どう思われます。──いやいや、もう、別にもう大臣いいです。
○内閣総理大臣(福田康夫君) これは実務的なことでもあるんですけれども、結局、その翌年に持ち越すということですよね。その翌年も真に必要なものについて実施するということでありますので、まあ趣旨は生かされているのではないかというように考えております。
○福山哲郎君 私は、実は大変生意気ながら、総理が若干気の毒だと思います。こういう状況で特定財源の問題が世論操作をされると。やっぱり大臣の答弁がこれだけころころ変わったりするのはよくないです。総理が実はそこでやはりこういう知らなかったという状況になるわけですから、これは僕は余りいいことではないと思います。
 先ほどの総事業費が数倍になった話に関連して、じゃ、問題の六十五兆円から五十九兆円になった基の道路の中期計画の中身について議論をしたいと思います。
 このそれぞれの事業に対する積算根拠について、冬柴大臣は国会の答弁の中でそれぞれの事業の平均単価を出すと言われていますが、それで間違いないですね。
○国務大臣(冬柴鐵三君) そのとおりでございます。過去三年ないし四年の事業費総額、そしてそれを箇所で割りまして平均単価というものを算出をいたしております。
○福山哲郎君 実は、ここにその過去、積算根拠になった全部の事業の各項目のがあります。私、これ全部見ました。これ実は、国土交通省、私が求めたら、四日ぐらい前にお願いをしたんですが、持ってきたのは昨日の七時ですよ。さも質問するなと言わんばかりにですね。もう昨日慌てて見ましたが、お手元にお配りをしたペーパー見てください。これが中期計画の、御案内のように、単価、事業量の一覧でございます。
 まず、分かりやすいところから行きましょう、渋滞対策。大臣の言われた積算で、これ全部渋滞対策で、私割り算したんですが、直轄事業で百十五億円、補助事業で四十九億円の単価でございまして、どこから七十二億円出たか分かんないんですが、お答えいただけますか。
○政府参考人(宮田年耕君) 渋滞対策、いろんな施策がございます。例えば、バイパス、立体交差、交差点改良、そういう事業分類ごとにそれぞれの単価を出してございます。例えば、バイパス系の事業単価というのは箇所当たり百五十億円。立体交差系の事業単価は箇所当たり六十億円という単価のまとめ方をしておりまして、それをバイパス系事業単価、それから立体交差系事業単価、交差点系事業単価、それぞれ出したものをシェアで合成単価を出してやってございます。結果は、箇所当たり七十二億円ということでございます。
○福山哲郎君 僕は積算根拠を持ってこいと四日も五日も前から言っているんです。今の話は一切私に伝わらないで、これをぼんと持ってきて、大臣のおっしゃったとおり、これの単純平均ですとお答えになりました。今答弁違いますよ。どういうことですか。
○政府参考人(宮田年耕君) 大臣が申し上げましたのは、過去三年か四年の分の事業単価の平均、そういうものを申し上げたと思います。中でいろんな事業が構成されておりますので、それを一律平均、単純平均したわけではなくて、それぞれの事業系ごとに平均単価を求めていって、それで全体の最もふさわしい箇所当たりの単価を出していったと、そういう過程でございます。
○福山哲郎君 今あなたが答弁した、最初に答弁したことなんてほんの一分ですよ。それを何で大臣に答弁させないんですか、国会で。何でそのことを私に、事前に聞いたときに言ってこないんですか。私は不誠実過ぎると思いますよ。こんなんじゃ審議できないですよ。
 冗談じゃないよ。じゃ、それ最初からそれ言えばいいじゃないか。それで昨日の七時にこんなの持ってきて、計算してくださいみたいな話……
○委員長(鴻池祥肇君) 福山君に申し上げますが、起立して質問をしてください。
○福山哲郎君 はい、分かりました。
 いや、私は正直言って今の答弁は納得できないので質問できません。もう一回、じゃ今の答弁してください。(発言する者あり)
○政府参考人(宮田年耕君) 大臣が申し上げましたのは、包括的に十七項目の中の事業単価、どういうふうに出したかというまとめた答弁でございました。
 御指摘の渋滞対策ということでございましたんで、渋滞対策についてそういう、その全体的な単価の普遍的な出し方、そこの中で渋滞対策はどういうふうに考えてやったかというのを御説明申し上げました。
○福山哲郎君 じゃ全部の項目についての積算根拠をすぐに持ってきてくださいね。
 それで、じゃ開かずの踏切は七十九億円です、補助事業だけで。こちらは二十九億円です。この五十億円の差はどういう差ですか。
○政府参考人(宮田年耕君) 開かずの踏切の対策というのは、事業サンプルが平成十五年から十八年度に完了しました施策を取りました。十一事業でございます。事業内容は、除却対策事業でございまして、二種類ございまして、連続立体交差、それから単独立体交差でございます。そういう事業内容別の単価、そういうものを出しまして、箇所当たり八十億円というふうに出してございます。
○福山哲郎君 だから、箇所当たり七十九億円と私言ったけれども、これは二十九億円になっているじゃないですか。
○政府参考人(宮田年耕君) 説明、途中でございました。除却対策事業というのが八十億円でございます。それで、全体でそこに挙げておりましたのが千四百か所でございました。四百か所は除却、連続立体とか単独立体、そういう事業でやるという箇所でございまして、千か所は緊急に対策を講じるということで、例えば賢い遮断機、通る列車の速度に応じて遮断時間が変わるような高度化した遮断機に変える、そういうものの対策で一千か所をやります。その一千か所の箇所当たりの単価は九億円ということでございまして、そこの八十億円と九億円、そこの重み付けを千か所、四百か所、四百か所と千か所の重み付けをして箇所当たり二十九億ということで出しました。
○福山哲郎君 大臣、これひどいでしょう。僕、積算根拠持ってこいってずっと言っているんですけど、何にも持ってこない。これぼおんとやってきて。僕は大臣の答弁を信じて、全部見て平均を出しました。そして、七十九億円だと言ったら、彼は突然ほかのものを持ってきて、今違いますという話をしているんです。これ不誠実過ぎませんか、大臣。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 私は、私が質問者だったらそういうふうに思うと思いますので、おわびいたします。おわびいたします。
 ただ、これは大変分量が多くて、それ見ていただいたら分かりますけれども、私どもの限られた職員が本当に徹夜でずっと毎日やっています。そういう中で、いろんな資料収集、資料の要求がありまして、これにこたえるために大変みんなが苦労している私は現場もみんな知っておりますけれども、私が言っている、概括的にこういうふうにせざるを得ないわけでして、その中期計画の中に、千四百か所には六百と八百に仕分をして、そしてその概括は、私が言うように、過去のものを平均をして、そして単価を出して、ですからその単価が分かるようにせいとおっしゃれば、それに分かるような資料を提供すべきだったと思いますが、それだけで私が言ったような概括論で集計してもその金額が出てこないということについてはおわびを申し上げたいと思います。
 ただ、ここで今申しましたように、きちっとここに書かれている金額につきましてはその根拠があるということでございますので、重ねて説明はしなきゃいけないと思います。
○福山哲郎君 実は、単純に割り算したらそのままの数字になるものも実はこの中の項目にはあるんです。その数字になるものはあるんです。違う数字に関しては私には伝えないで、今ああいう新しいことを言ってきているんです。これはやっぱり不信感のもとだと私は思いますよ。
 更に言えば、じゃお伺いします。先ほど言った開かずの踏切は、四年間で十一か所と言いました。十年間で普通なら百十か所しかできませんよね。計画は何か所ですか。
○政府参考人(宮田年耕君) 計画は四百か所でございます。
○福山哲郎君 渋滞対策は、四年間で実は完成は三十六か所しかできていないんです。十年間で三百六十か所ですよね。計画は何か所ですか。
○政府参考人(宮田年耕君) 三千か所でございます。
○福山哲郎君 理由をお答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) 開かずの踏切、御指摘のように、平成十三年から十七年まで三十か所ということでございました。ただ、平成十八年、十九年は二年間で二倍のペースに上げてございます。
 それで、これからいろんな制度の改革もしてきておりまして、具体的には連続立体事業者の施行者の拡充をしてございます。今までは都道府県だけが事業者でございましたが、市や区も事業者に加えるということで対象を広げております。
 それから、施工方法の工夫ということもやってまいりたいというふうに考えておりまして、高架の高さとか延長を抑えるようにして事業費を縮減するミニ立体、ミニ連立、そういうものの推進を考えておりますし、それから、工事用仮線路を先に高架化して踏切の除却の効果が完成しなくても表れるようにと、そういう工夫もしていって除却のペースをスピードアップするというふうに考えております。
○福山哲郎君 駆け足で行きます。
 交通事故対策、計画は四万件。四年間でやった数は、二百六十二件、一年間で二百六十二件平均です。十年やったって二千六百二十件。これ計画は四万件です。更に言うと、通学路の歩道整備は一年間平均二百五十二キロ、十年間やっても二千五百二十キロなのに、計画は二万五千キロです。みんな十倍なんですよ。今の説明で十倍のスピードになる。
 私は納得できないので、もう一回説明してください。
○政府参考人(宮田年耕君) 踏切は今申し上げました。通学路も簡易な対策というのを考えてまいりたいと思います。中期計画の中で書いておりますが、歩道を全部整備するんではなくて、ガードレールだけで緊急に区分をするとか、あるいは歩道部分をカラー舗装して明示をして事故対策に備えるとか、そういう簡易な対策も含めて対処しようというふうに考えてございます。
 それから、交通事故に関しましては集中的に対策を実施するということでスピードアップを図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○福山哲郎君 大臣、もう一個言いましょう。踏切の安全対策、一年間平均この四年間で十三か所、十年たったら百三十のはずですが、これ千九百か所できることになっています。Nバリアフリー、一年間平均二十六か所だったものが、十年間で二百六十か所のはずが、何と九百か所できることになっています。
 これ、大臣、この積算が合理的で正当性があって、五十九兆円納得して国民が税金払うと思われますか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) これはいろいろと工夫をしながら、(発言する者あり)いやいや、工夫をしながら、その目標に向かって、これは目標ですから、それについて努力をしてやっていきます。それで、それについては逐一、逐一財務省の評価をちょうだいして、そして毎予算を決めていくわけでございます。
 ただ、今までのペースと、先ほども道路局長が言いましたように、これは本当にここは急いでやらなきゃならない、四万四千キロというのはやらなきゃならないわけです。今も歩車道の区別がないというところはそこまであるわけですから、それについて是非これは国民の御同意を得ながら万全を期してこれはやっていかなきゃならないというふうに思います。
○福山哲郎君 これは納得できないですよ。だって、十倍ですよ。四年間、この最近の直近の四年間の一年の平均の十倍ですよ、ほとんどが。それで、積算で五十九兆円増税をして税金取って道路を使おうっていうんですよ。こんなの、今の説明は納得できない。
○委員長(鴻池祥肇君) どなたへの質問ですか。
○福山哲郎君 大臣、もう一度説明してください。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 私どもは国民の、先ほども申しましたように十万を超える人々の要望がありまして、それにこたえるためには、やらなきゃならないのは、例えば学童の歩道にしても十九万キロの延長ですよ、そこを学童は毎日使っているわけです。そのうち、四十人以上の子供が使っているのは十一万キロあります。その中で、四万四千キロが歩車道の区別なく、それで歩道もなし、路肩があるだけなんですね。これを国家がほうっておくわけにいかないわけです。
 したがいまして、その最もひどいところから我々としてはもう本当にスピードアップをしながらこれを進めていこうという目標をそこへ掲げているわけでございます。目標でございます。それについて、五十九兆とおっしゃいますけれども、それに要する費用は財務省できちっと評価をしていただいて、毎年毎年こういう目標を立てながらやっていくわけでございます。御理解をいただきたいと思います。(発言する者あり)
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。それでは、宮田道路局長。
○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
 福山委員御指摘の十倍とかそういう母数、割り算したときの母数というのは、単価を算出するために調査をした、そういう箇所で割り算をされていると思います。それがそれぞれの当該の事業の総体の箇所、三年間、四年間やっていた総体の箇所ではありません。もっと渋滞対策としてはいろんなことをやってございますし、母数、割り算の母数が、そこのところが渋滞対策とかそういうものはもっともっとたくさんの事業をやっているということでございます。(発言する者あり)計画は、母数という言葉は誤解を招いたかもしれませんが、計画では、計画対象箇所掛ける単価ということで出してございます。
 それで、福山委員の御指摘は、計画箇所とかあるいは事業量の方で、提出をしました単価を算出する事業箇所数あるいは事業量で十倍という御指摘だったと思います。単価を出した事業というのは、当該事業の総数、三、四年間にやった総数ではありませんので、そこの割り算したところの数字というのが違うんではないかというふうに思います。
○福山哲郎君 次から次へと詰めたら別の話が出てくるというのは本当に良くないと思いますよ。国会審議を冒涜してますよ。
 それで、じゃ、先ほど計画箇所掛ける単価とありましたが、大気質対策の三十か所、決まってますか。お答えください。
○政府参考人(宮田年耕君) 約三十か所ということで挙げております。多分、委員御指摘の箇所というのは大気質が基準より超えている箇所ということで御指摘があっていると思いますが、各年度各年度出入りがございます。三十か所、超えている、直近三か年で超えているという箇所は特定できると思います。
○福山哲郎君 違います。計画として三十か所どこをやるか決まっていますかと聞いているんです。
○政府参考人(宮田年耕君) 最初に御答弁申し上げましたように、計画対象というのは基準値を超えている箇所というふうに考えておりまして、それは、各年度調査をして、変化がございます。直近三年では固定できますが、じゃ五年にさかのぼる、あるいは今後状況が変化したときに特定できるかといったら、そこは多少の、多少の、多少の出入りはあると思います。三十か所というのは、近三年では確定できると思います。
○福山哲郎君 決まっているか決まっていないかだけ答えてください。
○政府参考人(宮田年耕君) そこは、全体の、中期計画全体通してでございますが、要対策箇所というのは特定をしてございますが、計画対象は箇所数ということで示させていただいてございます。
○福山哲郎君 だから、決まっているのか決まっていないのか答えてよ。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 対策をしなきゃならない箇所というのは特定できます。けれども、現実にどれを直すかというのは今後十年の話でございまして、それを特定するということは今後の十年間の予算を拘束してしまうことになりますよ。ですからそれは、十年間、施行する直前に、いいですか、(発言する者あり)いや、違いますよ。この間の、いや、今、現時点で、いいですか、(発言する者あり)ちょっと待ってください、ちょっと聞いてくださいよ、ちょっと。
 今後十年間というよりも、この時点で対策を講じなきゃいけないと思われる箇所を、それは、そこに書かれているように特定することはできるわけですけれども、しかし、予算には限りあります。したがって、それを全部やるわけにいかないんです。
 したがって、その中で何か所という抽象的な数字を挙げていますが、じゃ、それはどこだと、あなた、それはどこだと。それじゃ、その場所はどこなんだということを言われますと、ここですということを言った途端に、これは十年間の間の予算の査定ということを捨象して、我々が拘束してしまうことになるじゃないですか。
 したがって、大枠でやらなきゃいけないけれども、当面ここはやりたい、そのための予算をお願いしますということを申し上げているわけであって、それは、やるかやらないかということは、今後毎年、ここをやります、例えば、足立区の竹ノ塚というところでは死亡事故が出ました。これは区ですから、東京都が言わなければ、これは、(発言する者あり)ちょっと待ってください、いいですか、東京都から申請がなければできなかったけれども、今回、先ほど言いましたように、それを広げて、区から申請があってもやれるようにして、今現にやっているわけです。
 したがって、こういうものは、今後もそういう状態は変わるでしょう。死亡事故が出たとかいうことで市民も国民も早くやってやらなきゃいけない、そういう場所を例えば優先的にこういうふうにしていくということを示しているわけでありまして、今後十年間にどこをやりますということを特定しないのはそういうような事情があるわけでございますから、御了解をいただきたいと思います。
○福山哲郎君 総額で五十九兆で、だって、拘束する話をしているんじゃないですか、今。更に言えば、三十か所ですよ。
 それじゃ、じゃ、三十か所特定できないのに何で一か所八十九億円と出てきたんですか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) ですから、そういう同じ類型のものの過去の実績、そういうものに幾ら掛かったかということを特定しまして、金額を、積算をいたしまして、そして、その中では不十分だったかも分かりませんけれども、その平均値を求めて、そして今後三十か所やる場合には、それを三十で掛けて、そして総額を出すという手法でございます。
○福山哲郎君 最後に、福田総理、この積算の先ほどのいろんなやり取りについて、総理自身の本当に真摯な御感想をお聞かせいただきたいと思います。
 それから、委員長にお願いをしたいんですが、先ほど、この過去四年の実績における箇所数に換算をしたときの全部の事業費が幾らに変わるのかを積算の数字を出すように御指導をいただければ有り難いというふうに思います。
 総理に御答弁いただいて、私はこれでは国民は納得できないと申し上げて質問を終わりたいと思います。総理、よろしくお願いいたします。
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまの福山君の申出につきましては、後の理事会で協議をいたします。
 総理、答弁されますか。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 専門的なことでございますので私も明確に申し上げることはできないんでありますけれども、今のやり取りの中で、やっぱり国民が理解できるように説明をするということも大変大事だというふうに思いますので、また委員から国土交通省に対してよく説明を求めていただくという御努力をお願いしたいと思います。
 しかし、そういいかげんなことでやっているわけじゃないと、専門家ですから、と思いますので、そういう道路を造る、そしてまたそれにまつわるいろんな設備を充実させていくということが、それが日本の社会、国民のためにいいことなんだという、そういう認識というものは我々持っておりますので、そういうふうな観点からいろいろと問題提起をしていただきたいと思っております。
○福山哲郎君 どうもありがとうございました。
○委員長(鴻池祥肇君) 以上で福山哲郎君の質疑は終了いたしました。

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