第145国会 参議院
国土・環境委員会、経済・産業委員会連合審査会
1999年7月1日
○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
きょうは、PRTR法案について、まず民主党・新緑風会のトップバッターとして質問させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
今回、法制化されようとしているPRTR制度の原型というのは、先生方御案内のように、アメリカで八六年に制定をされました知る権利法に基づくTRI制度であると言われています。
この制度というのは、今から十五年前、十二月二日の深夜に、インドのボパールで、ある工場の劇薬の漏えい事故が契機となって制定をされた。この事故自体というのは工場の保守要員の本当に簡単なミスだったんですが、何が悲劇だったかといいますと、この工場でどんなリスクを持った化学物質がつくられていて、そしてその非常事態にどう対応したらいいかといった情報が住民や、もっと言うと自治体の行政機関までが持っていなかった。そして州政府も知らなかったということで、結局朝までに二千五百人以上の周辺住民の方が亡くなったという大変大きな悲劇になりました。
それを機会にアメリカでTRI制度、有害化学物質排出目録制度がつくられたわけです。もしその周辺住民が工場の実態を知っていたら、工場に対する住民の要求が強まって劇薬の使用量が減ったかもしれないし、工場側も保守設備をもっと充実させたかもしれない。事故に対しても十分な避難措置もとれたかもしれない。ところが、実態は行政にも住民にも知らされていなかったということで大惨事になったわけです。
つい先月も、きょうは七月一日ですから先月になるんですが、六月五日には埼玉県の幸手市で、塩化ビニール原料や農業用の殺虫剤のスプレー缶二百五十万本が保管してあった工場が爆発をしました。ここにその新聞記事もあるわけですが、「倉庫爆発 火柱五十メートル」と。幸いけが人がなかったということですが、周辺の水田には爆発によってスプレー缶が散乱していたと報告されています。
政府からもお話がありますように、毎年数千種類と言われる新しい化学物質が生み出されていまして、現在、日本国内だけで数万種類使われている。こういった化学物質によるリスクというのは年々高まっていると言えると思います。そういった意味で、このPRTR法案がこの連合審査で、またこの国会でできるということは私は大変評価をしていますし、いいことだと思います。
そして、日本で化学物質がなくていいかというとそうではないですし、化学物質の利便性、有効性も否定をするものではありません。しかし、やはり日本全体に言えることですけれども、これはひょっとすると化学物質だけではないのかもしれませんが、一つ一つのリスクというものに対する無関心、それからリスクとどう向かい合うかということに対してもっと我々が国民も含めて感じていく必要があるのではないかというふうに思っています。そのためにも、衆議院で修正をされまして、公明党さんの修正案が出てきて私はさらによくなった法案だと思っていますが、ぜひこの参議院で議論を尽くした上で、さらに実効性のあるものに修正ができないかという観点の中で幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。ちょっと前置きが長くなりましたが、よろしくお願いします。
まずは、公明党の修正の発議をされた先生にお伺いしたいというふうに思います。
事業者による届け出情報の扱いについて、営業秘密の判断を求める情報は御案内のように主務大臣に直接行く、営業秘密以外のものに関しては都道府県知事を通じて主務大臣に行く。これは届け出窓口が都道府県になったわけですから事業者にとっては大変便利になった、いつも事業者にとって一番近い都道府県が窓口になったので便利になった。さらには、届け出の回収率も恐らくこれによってよくなるだろうということで私は大変評価をしております。私の認識はこういった形で評価をしているんですが、修正案の認識としてはこれでよろしいのでしょうか。また、公明党さんが都道府県を中に入れられた意図、そして自治体を入れられたのは、自治体に一体何を求めておられるのか等についてお答えいただきたいというふうに思います。
○衆議院議員(福留泰蔵君) 福山先生からは、事業者による届け出情報の扱いについて、私ども衆議院の修正点とその理由についてのお尋ねだろうと思います。
政府原案におきましては、事業者の届け出情報の扱いにつきまして、排出量等の届け出は主務大臣に直接行うものとしていたところでございます。先生御指摘のとおりでございます。衆議院におきます委員会質疑を踏まえまして、事業者からの届け出につきまして、営業秘密に係る請求がある場合を除き都道府県知事を経由しなければならないものといたしました。そして、その際、都道府県知事は意見を付すことができるものとするとの修正を私ども行ったところでございます。
届け出を都道府県知事経由といたしましたことによりまして、地域の中小企業の便宜や届け出の確保等の制度運営に当たりまして都道府県の役割が増大をいたします。そして、より主体的に都道府県がこのPRTR制度に参加することとなることを私どもとしては期待しているところでございます。
こういった観点から、非常に有意義な修正であったと考えているところでございます。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
今おっしゃっていただいたように、私も大変有意義な修正だったというふうに思いますし、都道府県の主体的なかかわり、それから中小企業に対しての届け出の実効性の多分アップということで大変よかったというふうに思います。
少し観点を変えます。これに関しては後でまた続いて質問させていただきますが、では指定事業者でございますが、政令で定めることになっていますが、指定事業者というのは、この制度で該当している事業者というのは届け出義務についてどのように知ることになるのでしょうか。また、その事業者に対して届け出をしろというような通知が行くのか。そこはどういった制度になっているのでしょうか。通産省、どうぞお答えをいただきたい。
○政府委員(河野博文君) お尋ねの点でございますけれども、PRTRの届け出の対象事業者という通知を国から個々の事業者の方々に行うということは実は考えてはおりませんけれども、法施行までに、法律の内容あるいは対象事業者の要件などにつきまして、地方自治体あるいは業界団体、または中小企業関係の団体などさまざまな機関の協力を得て、あらゆる機会をとらえて周知徹底を図っていくということを考えております。
また、PRTR実施のための準備作業として今私どもが考えておりますことは、事業所・企業統計調査のリストで、基本的にはほとんどの企業が網羅されているリストでございますけれども、これをもとに対象事業者の把握調査を実施して、あらかじめ対象事業者の候補リストを作成するといったようなことも今後検討していかなければならないというふうに思っております。
○福山哲郎君 そうすると、基本的には個々の事業者には通知が行かないということで広報なり業界団体等、自治体を通じてということは、今候補対象リストをつくるのを検討されるとおっしゃいましたが、中小とかある業界に加わっていないようなところ、例えば中小の工場とか町工場とかは漏れる可能性はあるわけですね。
○政府委員(河野博文君) 先ほど申し上げたようなさまざまな努力で、対象となりますすべての事業者の方々にこの制度を御理解いただくように努力してまいりたいと思っております。
○福山哲郎君 ぜひそこは周知徹底をしないと、逆にフリーライドするところが出てくれば出てくるだけ、きちっとやった事業者は自分のところの排出量、移動量は出していると、それが表に出るわけですから、事業者にとってはちゃんとやればやるほど表に出てくる。それによって地域の住民等があらぬ疑い、危険性に対して騒ぐことによって、ちゃんとやっているところ、届け出をしているところが逆に被害をこうむるというような状況がないようにしないと、フリーライドして出さないところが逆に住民からのチェックを受けないというような、制度をつくったことが逆にマイナスになるようなことはぜひ避けていただきたいというふうに思いますので、そこの周知徹底等については本当に御努力をいただきたいと思います。
さらに、先ほどから出てきています例の営業秘密に関してですが、これは衆議院の方でも御答弁をいただいたんですが、先ほど公明党の先生がおっしゃいましたように、営業秘密を希望する情報とそうでない情報の提出方法を分けた。我が国でこのPRTR制度が始まった場合に、一体営業秘密になる情報と営業秘密にならない情報の割合というのはどの程度になるのか。
アメリカの例などもあると思いますし、またその営業秘密に対しては、法案の中にもありますが、どういった要件で営業秘密だということを主務大臣が判断するのかということについて、お答えをいただけますでしょうか。
○政府委員(河野博文君) まず、この法案におきます営業秘密の判断の要件でございます。
これは不正競争防止法の営業秘密の要件に倣ったものでございますが、それを法律上三つの要件として明記いたしております。
具体的に申し上げますと、まず秘密として管理していること。二番目に、生産方法その他事業活動に有用な技術上の情報であること。三番目に、公然と知られていないことでございまして、この三要件に照らしまして毎年度厳格に営業秘密の判断を行っていくということでございます。この三要件すべてに該当する場合に営業秘密として認められるということでございます。この営業秘密の判断基準は、先ほど申し上げましたように、諸外国の営業秘密に関する判断基準ともほぼ同様のものというふうに考えております。
その同様の判断基準で判断を行っております欧米諸国についてのお尋ねでございますけれども、例えば米国におきましては、九五年の実績でございますけれども、提出数が七万三千件余りのうち、営業秘密として最終的に取り扱われましたものは十三件にすぎないという状況でございます。我が国においてはこれから制度が行われるわけでございますので、明確に予測することはなかなか難しいわけでございますけれども、我が国においても営業秘密の件数がそう多くなることはないというふうに考えているわけでございます。
○福山哲郎君 ということは、七万三千件のうちの十三件というと〇・一%以下ということでよろしいですね。
ということは、我が国でも大体〇・一%以下ぐらいになるのではないかというふうに推定をされているというふうに判断してよろしいわけですね。
○政府委員(河野博文君) 制度の開始前でございますので精緻な数字をお答えすることはできないかと思いますけれども、先ほど御紹介したアメリカの例などに比べまして大きく離れることはないのではないかというふうに思っているところでございます。
○福山哲郎君 先ほど言われた、営業秘密として認める三要件がございました。主務大臣がそれぞれ判断をするわけですが、各主務大臣の中で確かにこの三要件は一定として、ただ所管の各省庁によって判断の基準なりが、この三要件である程度の一定の水準がそれぞれで確保できるのかどうかということについてはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(河野博文君) 一つの業種といいますか業態の中で営業秘密というものは意味を持つという側面がございますから、その業種の中で統一的な判断がまずなされなければならないと思います。その際に、国内はもとより国際的な競争環境の中で判断をしていくということも重要かと思います。
また、主務大臣が複数にわたるといいますか、業種によって異なるということになりますけれども、この営業秘密の判断にかかわります三要件の適切な運用を図るためには、この法案をもし成立させていただければ、環境庁あるいは私どもが中心となりまして、事業所管官庁と営業秘密の判断にかかわる三要件などの適切な運用については、例えば連絡会を設けることなどして準備していきたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
では、営業秘密が大体〇・一%以下だということになりますと、九九・九%ぐらいはほぼ開示をされるという前提でこのPRTR制度は成り立っている、そういうふうに今の御答弁で私は判断をさせていただきました。
きょうはパネルをつくってまいりましたので、ちょっとこれを。(図表掲示)九九%以上のものが営業秘密ではない。営業秘密ではないものに関して言うと都道府県知事を経由する。営業秘密のものは、秘密事項ですから主務大臣に行くという形になります。
今回は、この九九%以上を占める営業秘密以外のデータについて絞ってお尋ねさせていただきたいんですが、この九九%以上の情報というのは一度都道府県知事を経由します。経由をしてから主務大臣に行きます。営業秘密のこの白い部分はそのまま直接主務大臣に行きます。そうすると、この九九%以上のものというのは都道府県知事、主務大臣に行って、そこから環境庁さんと通産省さんに行くわけです。
そうすると、この九九%以上の情報に対して主務大臣は一体どんな役割が想定をされて、具体的にどういった処理をされるおつもりなのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○政府委員(河野博文君) 届け先につきましては、業種ごとの技術実態あるいは化学物質の取り扱いに精通した事業所管大臣あてに行うという仕組みを御提案しているわけでございます。
事業所管大臣の具体的な役割といたしましては、届け出を経由することになった都道府県が事業所からの問い合わせを受けた場合、こういった問い合わせに対して対応をしていく、その際に工業プロセスですとかあるいは化学物質の取り扱いに関する事業所管省庁の専門的な立場からの対応を確保することがございます。
また、御承知のように、このPRTR制度はかなりのものにつきまして推計マニュアルによりまして排出量を推計して届け出るということになるわけでございますけれども、事業者が排出量等を推計する上でこの推計マニュアルの適用方法などについて事業所管省庁が専門的知識を生かしながら適切に指導してまいるというようなことが考えられると思っております。
○福山哲郎君 今の政府委員の御答弁はまさにそのとおりで、事業所管庁が問い合わせに対していろいろ答えたり、マニュアルを渡したりということは私もわかっているつもりです。しかし、問題は、この上がってきた情報に対して、データに対して主務大臣がどうのこうのしないですね。主務大臣は事業所に対して、少なくとも事業所の主務官庁としていろんな指導ができたりマニュアルを配ったりはできるけれども、都道府県知事から主務大臣を経由して通産省と環境庁へ行くときには、この情報に対しては基本的に具体的には何も関与はないはずですね。
○政府委員(河野博文君) 主務大臣が受けまして、もちろん基本的には届け出でございますから受理をするわけでございますけれども、例えば同規模の事業者に比べて排出量の値が違っている、あるいは経年変化を見て従来と違う数字があるというようなことになった場合に、これは都道府県知事を経由する場合もありましょうし、あるいは場合によっては直接事業者に対して問い合わせをする等のことは当然考えられるわけでございます。
○福山哲郎君 確かにおっしゃるとおりなんですが、その場合には都道府県の窓口でやればいいわけです。つまり、都道府県の窓口で今おっしゃられた正確性の確保というのをしないことには意味がないわけです。逆に、都道府県の窓口が正確性の判断等ができない状況で、都道府県知事もそのままスルーして主務大臣に行くような状況なら、公明党さんの趣旨、都道府県が主体的にかかわれる役割というものを重要視しているし、営業所とのコミュニケーションの問題、届け出の比率が上がる問題、有効性の状況から都道府県知事を中にかませたという公明党さんの趣旨があるわけです。この修正案に対しては、先ほど申し上げたように私も大変評価をしている。
そうすると、先ほど言った知事の段階で正確性に対しての確保ができるんだったら主務大臣はこのデータを持っている意味がなくて、そのままスルーして通産省と環境庁に行くなら、九九・九%の基本的には営業秘密でない情報が主務大臣を経由する意味合いがどこにあるのかを明確に御答弁いただきたいんです。
○政府委員(河野博文君) 都道府県の経由の際に都道府県が主体的にかかわっていただいて、例えば経年変化でございますとか地元で御存じの同規模の事業者との比較、こういったことについていろいろ参考になる意見を付していただけるということは今後考えられることだと思っておりますが、同時に主務大臣も専門的な知見を生かしながら、届け出られた数字について必要に応じ指導をし、あるいはある種のチェックをしていくということは主務大臣の仕事だというふうに思っております。
衆議院で御修正いただきました内容も、主務大臣の努力と地方公共団体の努力が相まってPRTRの届け出の回収率といいますか正確性といいますか、そういったものを期していくということだというふうに私どもは理解しております。
○福山哲郎君 今のお話はまさにそのとおりなんですが、別にそれは通産省、環境庁へ行ってからだって主務大臣が判断できるじゃないですか。
だって、このまま都道府県知事から通産省へ直接行って、営業秘密ではないわけですから、営業秘密について僕はどうのこうの言っているわけではありません。営業秘密ではないわけですから、そこの部分については直接環境庁、通産省に行った方がよっぽど都道府県もすっきりするし、都道府県にとってみれば、来た情報を各省庁別に分けてそれぞれの主務大臣に届ける方がよっぽど事業の仕事量としてもふえますし、ややこしい。そうしたら、環境庁、通産省にそのまま行って、主務大臣が例えばそこに重大な関心があったとか、その事業所に対して何か重大な問題があるという懸念があるときは、遠慮なく環境庁、通産省に状態を聞けばいいわけですから、別にここの部分を遮断しているわけでは決してないわけです。
そこの意味合いについて、僕はここの部分は公明党さんの修正案を大変評価しつつも、結果としてここはもう一段踏み込んだ方がこの法案がさらによくなるのではないかと思っているんですが、もう一度御答弁いただけますか。
○政府委員(河野博文君) 先ほどお答え申し上げましたように、地方公共団体と主務大臣の努力が相まってこの制度を円滑に運営していきたいというふうに考えているわけでございます。また、情報の流れといたしましても、主務大臣経由で最終的な取りまとめ官庁であります環境庁と通産省に流れてくるというのは自然な流れだというふうに思っております。
○福山哲郎君 何も情報に対して手を加えないのに、そこを経由することが何が自然な流れなのか、もう一度御答弁いただけますか。
○政府委員(河野博文君) 先ほど申し上げましたように、その事業所管省の専門的な知見も生かしまして、経年変化等々のチェックは都道府県知事と同様に事業所管大臣でもいたすことになると思います。
また、推計マニュアルの適用は、これはそれぞれの工業プロセスなどの実態を生かして推計方法をこれから定めていくことになると思いますけれども、その適用状況についても主務大臣が場合によっては指導し、あるいは出てきたデータについてもチェックをする、そしてできるだけ正確なものを環境庁長官と通産大臣に届け出ていくという仕組みが適切だというふうに考えているわけでございます。
○福山哲郎君 ですから、それはできるわけです、ここからこれでも十分。そして、先ほど言ったようにこの修正の趣旨は、都道府県知事に正確性を確保して、そこに対してやれという話ですから、確かにマニュアルとかでチェックをすることは必要かもしれません。それは必要だけれども、この段階でその情報に対して別に何らかの形の手を加えるわけではなくて、事前にマニュアルで指導をしたり、先ほど言われたようにできるだけ広報をきちっとしていくというお話をされているわけですから、都道府県のところでそういう正確性や今おっしゃられたことのチェックができなければ逆に意味がないわけです。
これは修正の発議をされている公明党の先生に、その辺の趣旨がどのような状況であったのか、もしお答えをいただければありがたいと思います。
○衆議院議員(福留泰蔵君) 基本的に都道府県を経由して主務大臣に届け出ることと修正したわけでございますが、最終的に届け出先を一元化する修正は行わなかったというのが私どもの提案でございます。先生御指摘のことも十分理解するわけでございますが、今政府委員が答弁をした内容を私どもは理解しているつもりでございます。その上で、実は私どもの考え方として、このPRTR制度が私たちの環境を守るための、前進するための大いなる第一歩であるだろうと思っているところでございます。
私どもの修正は、私ども市民の環境問題というものにこれからは住民と行政と企業が三者一体となって取り組んでいく、そのベースとなる制度ではないかというふうに思っております。そういう意味で、地域の環境問題というものに取り組むのは、やはり地方自治体が主体となってやっていかなければならない。そういった観点から、都道府県を窓口とすべきではないかということで修正を行ったところでございます。
その上で、ただデータだけですと、政府案ですと主務大臣にそのデータの届け出を行った上で都道府県へそれを通知するという中身になっておりました。ですから、データの取り扱い自体は恐らく政府案でも取り扱うという意味においては同じ意味だったのでしょうけれども、届け出を地方自治体が受けるということによって主体的なかかわりがそこに出てくるだろうという意識でございます。
あわせて、それを逆の言葉で申し上げれば、主務大臣というのはそれぞれの産業の育成という観点を持っているのだろうと思っております。これからの産業というのは、環境問題への対応なくして産業の育成はないだろうと思っておりますし、そういった観点から、今政府委員の答弁のとおり主務大臣と都道府県が一体となってそれぞれPRTR制度の推進を図っていくということは、ある意味で重要ではないか。一元化したデータを主務官庁が受け取るだけではなくして、届け出の段階からそこにかかわっていくということは意味があるのではないかと私どもも今受けとめているところでございます。
しかしながら、今回の修正によって法案の検討事項における見直し期間が十年から七年に短縮されております。修正案提案者としても、この法案がこれからもよりよい形に進化していくということを期待しているものでございます。
○福山哲郎君 大変誠実にお答えいただきましてありがとうございました。僕は、何ら今のお話に対しては異論はございません。
ただ、この法案の目的は、「事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止する」ということで、最終的にデータは環境庁と通産省が持つわけです。それを否定しているわけではなくて、主務大臣を一々経由していることに対して、環境庁と通産省が持ったデータをほかの主務大臣に渡さないと与謝野大臣も真鍋長官も言われているわけではないわけですから、それは都道府県の立場で言えば一本化して渡した方が法案としては非常にすっきりするし、営業秘密について僕は否定をしているわけではないわけですけれども、この辺について環境庁長官はどう思われますか。
○国務大臣(真鍋賢二君) 初めて取り上げるPRTR法案でありますので、やはり都道府県の責任者と主務大臣との連携を図らなければならないし、また主務大臣によって科学的知見をいただかなければならないし、また交換しなければならないという観点から、そのような対応がなされたと思うわけであります。
うまく運用していけば、この問題は将来的には先生がおっしゃるような点にまた配慮していかなければならないのではないだろうかと思うわけでありまして、都道府県からダイレクトに通産省と環境庁が受けるような体制でないというのはそういうゆえんじゃないだろうか、こう考えております。
○福山哲郎君 では、もう一つお伺いしますが、通産省と環境庁が持っているファイル記録事項の開示というのは、主務大臣が持っているところに情報公開法に基づいて資料請求、開示請求もできるでしょうし、これは恐らく通産省または環境庁にも請求ができるわけですね。
つまり、個別事業所のデータに関しても、営業秘密ではない場合は、別にその主務大臣ではなくて環境庁さん、通産省さんにも開示請求はできるわけですね。
○政府委員(河野博文君) 御指摘のように、先ほどのような情報の流れでございますので、環境庁長官及び通産大臣はすべての個別事業所の排出量等のデータをファイル記録事項として保有しておりますので、その開示請求は個々の主務大臣以外に通産省または環境庁に対しても行うことができるものでございます。
もちろん、個別事業所に係るデータの請求は、環境庁長官、通産大臣だけでなくて当該事業を所管する大臣に対しても行うことができます。
○福山哲郎君 そうなんですね。
これは、例えば当該事業所の所管官庁のところだけで情報開示がされるんだったらまだよくわかるんですが、これは結局一本化された情報で、通産省と環境庁に情報開示請求しても同じデータが出てくるわけです。
そうすると、僕は主務大臣を経由することの意味が余計よくわからなくて、これはもう言っていても切りがないですし、先ほど公明党の先生もそれから長官も、この法案は発展途上でよりいい方向にというお話がありますから、私はぜひこの参議院でこの部分については修正を含めてもう少し考えていただきたいなというふうに思います。
では、ちょっと次の観点で行きます。
例えばファイル記録事項に対して、きちっとした情報公開法に基づく手続で請求をされた場合に、その営業秘密以外のファイル記録事項について開示請求を拒否することはあるんでしょうか。
○政府委員(河野博文君) この法案におきましては、第十条の第一項におきまして、何人もファイル記録事項の開示の請求を行うことができると規定しております。
同条第二項に基づいて開示請求が行われる限り、それを拒否することはないと思います。
○福山哲郎君 開示請求を拒否することはないんですね。
ということは、先ほどからこだわっていますが、営業秘密は〇・数%で、九九%が営業秘密ではない情報で、主務大臣を経由するかどうかはもういいです、主務大臣を経由するかどうかは別にして、このファイル情報というのは開示請求を拒否することはないんですね。
そうすると、拒否しないということは、すべてを開示するということです。その九九・九%についてはすべてを開示することです。つまり、その段階で役所が開示をするかしないかという判断をしないわけです、この情報に関しては。では、その判断をしないものなら全部開示できるわけですから、なぜわざわざ請求をさせて、なぜわざわざそこで手数料を取る必要があるのか。
だって、もともと営業秘密は別にあるわけじゃないですか。九九%は、経由はどうであれ、環境庁と通産省に行って、このデータファイルというのは開示請求に対して拒否はしないと今答弁された。開示請求を拒否しないということは、すべてを開示するんです、この九九・九%は。
そうしたら、そこで開示請求についての判断をしないわけです、請求したものに対しては全部出すわけですから。それに対して、何でわざわざ請求をさせるのか、何でわざわざ手数料を取るのかがよくわからないんですが、お答えをいただけますか。
○政府委員(河野博文君) この法案におきましては、PRTR制度の実施によりまして、事業者の皆さんによる化学物質の自主的な管理の改善を促進して、環境の保全上の支障の未然の防止を図るということを目的といたしますと同時に、事業者が主体的に国民の理解の増進を図るということによりまして化学物質管理に関する信頼性を高めていくということを目的としております。
こうしたPRTR制度の趣旨を踏まえますと、化学物質の排出及び管理の状況について国民の皆さんの理解を深めることは、第一義的には事業者の皆さんの役割だというふうに思っております。事業者自身が創意工夫をしてみずからの責任で実施すべき性格のものではないかというふうに考えるところでございます。
こうしたことから、この法案では事業者の取り組みを第一義として、国は、こうした事業者の皆さんが必ずしも十分にデータを開示できないような場合、それを補完するという立場から、個別事業所ごとのデータに関心を有してそれらを必要とする方々に対して確実に開示を行うというふうにしたところでございます。したがって、個別事業所のデータを国民からの請求によって開示する制度としたものでございます。
なお、OECDあるいはEUにおきます環境情報の取り扱いの基本的な考え方でも、集計データのような一般情報については国が主体的に公表していく、一方で個別事業所のデータについては請求に応じて開示するという制度としていると承知しております。
○福山哲郎君 いや、事業所の自主的な開示を促したりそれに対しての啓蒙をいろいろやるということは事業者側の話であって、それを促すからこの開示請求を認め、開示請求でやるんだというのは、何か説明として全然よくわからないんです。
だって、もともとこれは全部出す前提で開示請求に対して拒否をしない情報なわけですから、それを一々手数料を取ってわざわざ請求させる必然性とか合理的な理由がどこにあるのか。今の御答弁だと、申しわけないですけれども、それの合理的な理由には僕はならないと思うんです。
だって、意味がないじゃないですか、もともと物を出すという前提で来ているわけですから。いかがですか。
○国務大臣(与謝野馨君) 今、先生が議論されている条文というのは、実は先般国会を通りました情報公開法の規定を打ち破る条文であるわけです。
国の行政機関が持っております情報の中で開示をいたしますのは、いわゆる法人情報は実は除かれております。これは行政機関が持っております組織の共用文書、これは磁気テープとかそういうものも含まれておりますが、そういうものは出しますが、一般的に法人の情報は出さないという法律の構成になっております。
今、河野局長から御答弁申し上げましたように、化学物質の移動に関する全国的な集計というものは当然公表いたしますし、恐らくそういうものは県別に統計をとって公表することも私はできるんだろうと思います。
ただ、情報開示ということは、具体的にあの事業所は一体どうなっているんだ、自分は近くの住民なんだけれども、あの事業所に関しては少し心配なのできちんとした情報開示をしてくれと、こういう開示を請求するということがあって、当然それに対しては法律の建前上、営業秘密以外のことはお断りしないということになっておりますが、今先生がおっしゃっております情報開示を全部やれということは、全国にあります届け出た情報を全部明らかにするということですから、それは恐らく膨大な資料になるんだろうと思います。
しかし、個別の情報開示請求に関しては、「何人も、」と書いてございますから、その県に住んでいる方でも地球の裏側に住んでいる方でもだれでも開示を請求できるということになっておりますから、実際に情報が請求された方に届くか届かないかということは、これは疑問を呈するまでもなく必ず届くシステムになっております。
ですから、これをあらかじめ全部開示しろという御主張でありますと、それはやや非効率な部分もございまして、もちろん情報を集めました県別の集計とか国全体の集計というのは当然全体の統計としては公表いたしますけれども、請求ベースで個別の問題を開示していくというのは、情報公開法の考え方と多分軌を一にしているだろうと私は思っております。
○福山哲郎君 大臣の御答弁も僕は一部そうだと思いますが、逆に非効率だというレベルで言えば、全部出しちゃった方が国としては、例えば請求に対して一々手続もしないで済むし、どちらが非効率かというのは大変僕は議論の余地はあると思います。
それともう一つ、先ほどの話ですが、事業所が情報データを都道府県知事に渡して、それが主務大臣から通産省に行って、都道府県知事と主務大臣へ戻し届け出を送る事務は、これは法定受託事務になりますね。それでよろしいですね。
○政府委員(河野博文君) 都道府県知事の経由の事務は法定受託事務でございます。
○福山哲郎君 環境庁、通産省がデータをまとめて、このファイルデータを都道府県知事に渡して、この都道府県知事が住民の請求に応じていろんな形で情報を開示していくのは、これは自治事務ですね。
○政府委員(河野博文君) 御指摘のように、法律案第八条におきまして都道府県にファイル記録事項を通知する旨規定しております。したがいまして、ファイル記録事項は都道府県知事に渡るわけでございますけれども、それの管理は基本的には自治事務と認識しております。
○福山哲郎君 そうすると、通産省と環境庁からファイルデータとして都道府県知事に行った。このデータに関しては、先ほどから申し上げているように営業秘密ではないわけです、原則として九九・九%は。ということは、例えばある都道府県が、この国から来たファイルデータに関しては自治事務だから、うちは職員も行革の時代だ、お金もかかる、請求に対して一々開示をして手数料を取るよりも、これは九九・九%営業秘密外のものだから、このファイルデータについては私の都道府県は全部開示しますよ、ファイルデータとして例えば都道府県のインターネット上で全部開示しますよという状況は自治事務ですから可能なわけです。そうすると、与謝野大臣がおっしゃられたように国は同じ情報です。これは間違いなく同じ情報なわけですけれども、請求ベースでそれに対して個別に出てきて、ある都道府県に行けば自治事務の中で同じ情報を無料でインターネットで公開するということがあり得るわけですね。
○政府委員(河野博文君) 先ほど大臣からも行政情報公開法との関係について御説明申し上げたところでございますけれども、この開示に要します費用は、例えば郵送代ですとかあるいは封筒代ですとか、こういったものは実費の範囲内で徴収することは妥当だと思いますし、またインターネットのような電子媒体を用いる場合でも、セキュリティー確保のためのシステムコストあるいはコンピューター使用料等の実費を負担していただくことが適当だというふうに考えております。これが国の考え方でございます。
一方、先ほど御説明いたしましたように、ファイルは都道府県知事にお渡しをいたします。この管理は都道府県知事の自治事務でございますから、基本的にどう対応されるかは都道府県知事の御判断ということでございますけれども、先ほど来御説明しておりますようなPRTR制度の趣旨を都道府県知事にも十分御説明し、また都道府県知事がそれぞれの情報開示に要します費用等を御勘案の上、態度を決められるということだと思っております。
○福山哲郎君 今のは非常に遠回しの表現なんですが、要は可能だということでいいんですね。可能なんですね、先ほど私が申し上げたことは。
○政府委員(河野博文君) 都道府県におきましてもデータセキュリティーコスト等がかかるとは思いますので、その辺がどういう御判断になるかわかりませんが、それは不可能ではないと思います。
○福山哲郎君 これは、おまえが言うほどそんな単純な問題ではないと言われるかもしれませんが、要は基本的には営業秘密は確保されているわけです。それで、リスク管理をするためにこのPRTR法案があって、リスク的にこれは企業としては出してもいいよというものが出ているわけです。
つまり、個別情報に対しての守らなければいけないような状況というのは別のところで営業秘密でしっかり確保されているということですから、逆に言うと、変な話ですけれども、ある都道府県が無料でインターネットで公開すれば行政側は手間も要らない、人件費もかからない。先ほどネット上のリスクの問題と言われましたが、先ほど言われたみたいに、これは基本的には営業秘密外のものですし、表に出ることを前提に事業者は出しているわけですから、そこに関しては手数料はかからない、行政も手間もかからない、人件費もかからない。
そういう状況ですから、わざわざスタッフを配置して書類を請求ベースで書かせてそして情報を開示させるということは、それこそ与謝野大臣はこれからの日本の情報通信社会の先頭を切っておられる通産省の大臣でいらっしゃるわけですし、逆にこんな当たり前のように、絶対情報を開示します、拒否をしないようなものに対してインターネット上で公開もできないような状況の中で、これからの情報通信の社会の中でということに関して言うと、実はこのPRTR法案というのはチャンスではないか。行政というか、日本の政府がある一定の情報については国民にこれだけの開示をしているよと、今までのような知らしむべからずよらしむべしではなくて、我々としてはこういった形で、情報公開やインターネットの時代にこういった姿勢で政府が臨むんだということに対しては、私は営業秘密についてどうのこうの言っているわけではありません、九九・九%のものに対してこれはある意味で言うといいきっかけでありチャンスだというふうに思うんですが、与謝野大臣、どうお考えになられますか。
○国務大臣(与謝野馨君) 実は先生にお考えいただきたいのは、推定で二万社も関係してくるわけですから、少なくとも一社一枚は報告が来ているはずですから、一枚で二万ページ、五枚で十万ページ、十枚ですと二十万ページのものを開示するということです。それは、恐らく請求ベースで開示した方がはるかにコストもかからないでしょうし、こういうものの情報開示請求というのは、自分たちの町に化学工場がある、そこがどういう活動をしているのかということを考えたときに、それではあそこの化学工場の情報を聞いてみようということで、数百円のコピー代で恐らく請求できるんだろう。これの方がはるかに具体的であり、ピンポイントであり、効率的であるんだろうと思っています。
二万ページから二十万ページとか、そういう単位のものをネット上で公開するということは、毎年これをデータとしてインプットしなきゃいけないわけですから、そう費用も安いわけではなく、また全部見なければわからないということよりも、自分の町のこの件ということを開示請求された方がはるかに具体的であり、効率的であるんだろうと私は思っております。
○福山哲郎君 実務上は、そういう議論が多分大臣のおっしゃるように成り立つと思います。しかし、これから先の時代というのはこういう状況がいっぱい起こってくるわけでして、それに対して一々全部この量は非効率だからといって、そこを工夫していただくのが逆に言うと僕は行政側のお仕事ではないかなというふうに思っております。
おっしゃっていただく意味はよくわかります。よくわかりますが、これはシステムとして可能ですし、先ほど政府委員の方もおっしゃられたように、ある都道府県はおれは開示するよと言えば開示できるわけで、それに対して国はやめろと言う権限もないわけですね。ところが、国は有料だという話で、国は余りにも膨大な量だから都道府県はまあいいという状況になったときに、これは実務的には多分大臣のおっしゃるとおりだと思います。しかし、もう一歩進んだ判断をこれに対していただきたいというのが私の今の考えでございまして、そこは御理解をいただきたいと思います。
そうすると、今の話の中で、先ほどの話の続きで戻ってきますが、自治体の届け出窓口、事業者が自治体にデータを届けるときに、自治体の窓口はどこに行くんでしょうか。
先ほどの話ですと、主務大臣と都道府県の基本的なやりとりの中で、お互いが連絡をとり合うことによって、正確性やいろんなものを担保したいとおっしゃるとなれば、都道府県の窓口はその事業所の所轄の窓口になって、事業所はそれぞれの部署にデータを届けなければいけなくなって、これは都道府県の業務としては大変煩雑な業務なんですが、これに関してはいかがお考えですか。
○政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。
都道府県内部における事務分担につきましては、それぞれの都道府県において決定されるべき事項だと考えております。
もちろん、一般的には各業種に属する事業所の存在状況であるとか事業実態は事業所管部局がよくわかっているわけです、そっちが強いと。一方で、また特定の化学物質の排出状況や地域における環境の状況については環境部局がそれぞれ知見を有していると、こんなことがございまして、どこでどうするかということについては、各都道府県において適切に経由窓口を決定していただくことを期待しているところでございまして、具体的に窓口を国がどうしろこうしろというようなことを指示するようなことは考えておりません。
○福山哲郎君 そうすると、僕は揚げ足をとるわけではないんですが、先ほどおっしゃられた主務大臣と都道府県がお互いが一体となってという前提で考えれば、それぞれ個別の事業所は担当の都道府県の窓口にデータを持ってこいという話になります。しかし、今の岡田局長のお話によれば、それぞれの地方自治体にゆだねると。
しかし、私は、先ほど申し上げた都道府県を一回経由することの意味、公明党さんが修正をされた意味を考えても、各地域の事業所がややこしくないようにすることを考えても、都道府県の窓口は、環境部なら環境部、商工部なら商工部でも結構ですが、一本化をした方がより効率的だと考えられます。
つまり、今申し上げたように、自治体と主務大臣の関係を考えれば全部ばらばら。岡田局長の話を伺うと、自治体にゆだねる。私は、これは環境の保全に資するための法律だと考えて、もしくは将来的には一本化して環境庁や通産省に行くと考えれば、環境部や商工部に行った方がより効率的だと考える。これは、はっきり言ってこれぐらい考え方が異なるわけです。
これを都道府県に任せるという話は、ある意味で言うと非常に乱暴な話でございまして、都道府県の事務も含めて大変煩雑になる。これについて、通産省はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(河野博文君) 環境庁からも御答弁がございましたように、私どもの考え方も都道府県の御判断にゆだねたいというふうに思っております。私どもの対応は、事業所管省庁も巻き込んで政府全体としてこの問題に取り組むという姿勢をるる御説明しておるわけでございます。
都道府県におきましても、そういった都道府県のさまざまな部局が一致協力してこの制度の運営に当たる、これもあり得る一つの考え方かと思います。ただ、一方において、都道府県におきましてもそれぞれの部局の人員あるいは専門的な知識等々についてばらつきもあろうかと思いますので、そういった点も全部踏まえて都道府県知事の御判断にゆだねるというのが私どもの考え方でございます。
○福山哲郎君 そうするとまたわからなくなるんです。
先ほど、都道府県の正確性は担保したいとおっしゃるわけです。都道府県で集めた情報について、事業者の出したデータについての正確性を担保すると。その正確性を確保するには一体どうやったらいいのかと考えたときに、窓口に関しては各自治体で自由に決めなさいと。ある考え方もあればある考え方もあると。そういう状況の中で、どうやって都道府県の実務者レベルの話で見たときに、事業所から出てくるものに対する正確性を本当に担保するのか。
先ほど、それを主務大臣が指導したいから主務大臣を経由するんだとおっしゃったけれども、実際受け取る窓口に対しては自由にやりなさいと、いろんな考え方がありますと。では、どうやってその正確性を担保するんだということに対してはどのように説明されますか。
○政府委員(河野博文君) 都道府県の御判断でどのような部局を窓口にされたにせよ、主務大臣としてその部局と協力をしながら、先ほど申し上げましたように都道府県知事のある種のチェックといいますか検討、そして主務大臣の知見を生かした検討、これらが相互に補完し合いながらこの制度を円滑に運用できるようにしてまいりたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 そうすると、都道府県はばらばらで部署を決めた場合には、それぞれ主務大臣はばらばらに対応するということになるわけですね、具体的には。
○政府委員(河野博文君) これは都道府県での御判断でありますけれども、それぞれお決めになった担当部局と私どもは全面的に協力してまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 もう時間がありません。実はあと五問ぐらいお伺いしたいことがあるんですが、もう私のいただいた時間がないのでそろそろやめにしたいと思いますが、私は冒頭申し上げたように、この法案について否定的に思っているわけではありません。評価をしています。さらには、公明党さんが御苦労されて修正をされたことに関しても、私は実は大変評価をしている人間だと思っています。
しかし、修正をしていただいたからには、逆に冒頭申し上げたように、この法律案をもう少し実効性を高めていきたい。もしこの良識の府と言われる参議院で、さらにこの法案をよりよくするためには、先ほど申し上げた主務大臣を経由することの合理性の問題、それから今の都道府県の窓口をどのような形にするのかを国があなたのところに任せますよみたいな話の中で言われると、もともとの前提の話がなかなか説得性がなくなるような問題、そのほかにもあるんですが、こういった問題をぜひこの参議院の連合審査、また行われるこの法案の審議に際して、より実効性のある修正を何とか委員の皆さんの御賛同をいただいてできることを切にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。(拍手)
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