2002 年 度 資 料

 

回次 会議名 開会日付 内容
154 予算委員会 2002.3.7 外務省・鈴木宗男問題について
154 予算委員会 2002.3.11 鈴木宗男疑惑・北方領土問題について
154 環境委員会 2002.4.11 鳥獣保護法改正案
154 本会議 2002.4.24 人権擁護法案に対する代表質問
154 環境委員会 2002.4.25 「土壌汚染対策法案」(第1回)
154 環境委員会 2002.5.21 「土壌汚染対策法案」(第2回)
154 環境委員会 2002.5.29 「地球温暖化対策推進法改正案」 参考人質疑
154 環境委員会 2002.5.30 「地球温暖化対策推進法改正案」
155 環境委員会 2002.11.7 東京大気汚染公害訴訟第一審判決について
155 環境委員会 2002.11.25 大島農水大臣(当時)の疑惑について
155 環境委員会 2002.12.3 自然再生推進法案

 

第155国会  参議院  環境委員会  2002年12月3日

自然再生推進法案

○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。発議者の皆さん、お疲れさまでございます。どうかよろしくお願いいたします。
 私も、実はこちらにいらっしゃいます小川先生や福本先生と実はダイオキシンの特別措置法という議員立法に携わらせていただいた経験がありまして、本当に一年とか掛かりでこうやって議員立法でこぎ着けられたということに関しては、本当にお疲れさまだというふうに思いますし、敬意を表する次第でございます。
 ただ、私どもも、ダイオキシンの法案を作ったときに、やっぱりいろんなところから批判もいただきました。それで、多少自戒の念を込めて申し上げると、あのときに所沢の大気のダイオキシンの汚染ばかりに我々目が行って、どちらかというと土壌のダイオキシン汚染については注目が我々の中で少なくて、そこについて今法案を見返すと、ああ、ここは落ちていたなというようなことを感じることが実は現場を見ると多々ございます。
 今回こういう法案ができて、いろんなところから御批判もあり、それから、とにかく発射台として第一弾として出すことに意味があるんだと、後は運用上の問題で努力をしていけばという意見、いろいろあるというふうに思いますが、御努力は本当に評価をし、また、できれば今後、これ五年後の見直しという附則が付いたわけでございますから、真摯に、この法案の中身だけに執着することなく、より良い法案になっていきますように発議者の皆さんとともに私も議論を深めていきたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
 一つ午前中の質問で、埋立ての問題について、アサザの問題で環境アセスメント法案の限界のような話がありました。谷津先生がこの問題について一言お述べをいただけるということなので、御感想があれば一言いただけますでしょうか。

○衆議院議員(谷津義男君) いや、実は私、午前中先生方の御議論を承っておりまして、はっと思い付くことがありました。それは、アセス法、平成九年に作られたものでありますけれども、実はこのアセス法につきまして、先ほどの議論を聞いておりますると、この沖縄の泡瀬地区の埋立ての問題につきましては環境省は直接言うことが、意見を述べることが全然できないんですね。
 これは一つは、地方分権推進法が施行された時点で実はそれができなくなった。というのは、この地域は沖縄県の知事のいわゆる何というんでしょうか、許可権というんでしょうか、その範囲内に入っておるということになりますと、地方分権の立場から環境省はそこに意見が言えないということになってきているんですね。ですから、今この泡瀬地区のこの問題について皆さん方から環境省にいろいろな御質問があって、非常に苦しい答弁をしているんですね。
 どういうふうにやっているんだと聞きますれば、環境省は沖縄県に対して言って、その沖縄県が国の施行者に対して言っておるというふうな、そういう形を取られていると。
 これはちょっと法律上の欠点じゃないかと私は思いましたものですから、これは、場合によっては議員立法でもいいからこれ改正しなきゃいかぬなというふうに思ったものですから、今そういうふうな発言をさせていただきました。

○福山哲郎君 大変思い切った発言で、私も同感でございますが、横に鈴木環境大臣がいらっしゃいますので、まあ議員立法でやることも必要かもしれませんが、環境省としては是非前向きに取り組んでいただきたいと思うんですが、今のお話を伺っていかがでしょうか。

○国務大臣(鈴木俊一君) いろいろ地方分権法の中で大変ストレートに環境省の立場が申せないということになっておりますことは、確かにいろいろ考えていかなければいけないと思っております。
 私どもとしましては、今与えられたところの中で、先ほど申し上げたとおり、非常にまどろっこしいといえばまどろっこしいといいますか、そういう形の中で最善を尽くさせていただいているということでありまして、今の谷津先生の御発言、ある意味では心強く思ったような次第であります。

○福山哲郎君 是非真摯に受け止めていただいて、環境省がぐずぐずしていると谷津先生と御相談して議員立法で頑張らせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 私は今回、大きなお話とか自然再生推進法についての理念的なものということに関しては多々衆議院、参議院でも御議論がありましたから、少し細かくなって恐縮ですが、せっかく発議者の先生方お見えですので、少し条文に沿って、細かいことになるかもしれませんが、各NPOや各地域の皆さん、それから地方公共団体の皆さんも含めて、この法案がどのように運用されるのかということについてやはり非常に関心が高いので、少し細かいことになりますが聞かせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。今日は珍しく淡々とおとなしくやりますので、よろしくお願いいたします。
 第二条でございます。
 「この法律において「自然再生」」云々というふうにあるんですが、最後のところに、「その他の自然環境を保全し、再生し、若しくは創出し、」という言葉があります。ここは、「過去に損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻す」という目的でこの法案、条文が出ているんですが、過去に損なわれた生態系を取り戻すのに新たに創出をするというのはどういう意味なのか。すごく細かいことになって恐縮なんですけれども、新たに創出をするということに対して、変な疑義とか、新たにこれに公共事業が加わるんじゃないかとか、そういう懸念を持っておられる方がいらっしゃいますので、そういう疑義を是非払拭できるように、済みません、御答弁をいただければと思います。

○衆議院議員(山本公一君) 御承知のように、新生物多様性国家戦略におきましても、自然再生の例としてこのような文章がございます。大都市での森とも呼べる大規模な緑の空間を創出しネットワーク化することも、失われた都市の自然生態系を再生するものであるという、そういう文章がございます。
 その考え方を参考にいたしまして、過去に損なわれた自然そのままの状態を再現するだけでなくて、大都市における大規模な緑の空間を新たに創出することも、その都市全体で見れば失われた自然環境を取り戻すという意味で自然再生に当たるのではないかと、かように私どもは思っております。

○福山哲郎君 分かりました。
 それで、これまた細かいことで恐縮なんですけれども、いろんな批判の中では、今、実際的には公共事業が走っている、全体の公共事業の見直しもしないで自然再生事業ばかりを言うこと自身が少しおかしいんじゃないか、今の全国にある公共事業を見直してというような議論もこの流れの中ではあるわけですが、この過去に損なわれたという過去というのは、済みません、どの程度までを指しておられるのか、それから損なう行為をした者というのは一体何者を想定しているのか、お答えをいただけますでしょうか。

○衆議院議員(奥田建君) 過去と、確かに何年前とかいうことを区切ってありませんので、やはりここも抽象的な表現になるところかと思います。
 私自身、あるいは委員会での議論を踏まえてお答えさせていただければ、やはり過去の事業においても自然環境といった視点が欠落していた、あるいは足りなかった時代の事業といったものを過去という時点での定義といいますか、になるかと思います。そのほかにも、御意見としましては、環境アセスメント法の制定前の事業とすべきだというような御意見もありました。これは一つの考え方でありまして、いつの時点をとらえるかということは、やはりそこで中心になる自然再生協議会というものがありますので、そこに参加する方々の御意見、合意の下で考えていくべきことかと思っております。
 ただ、それと、損なう行為をした者は何者であるのかということですけれども、犯人捜しの議論に陥ることも多々あるかと思います。しかしながら、私個人としては、先ほど言いました自然環境に対する配慮が足りなかった時代のやはり私たち全体の社会活動自身が自然を損なった何者かという答えになるかというふうに思っております。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
 というと、奥田先生おっしゃられましたように、過去というのは別にどれといって特定をできるわけでもなく、今事業をしているものも含めて、自然環境の自然再生が必要だと思われるものについてはこの法案の中では当てはまるというふうに受け止めて、奥田先生、よろしいわけですね。多分いいと思うんですけれども。

○衆議院議員(奥田建君) 済みません。もう一度お願いできますか。

○福山哲郎君 済みません。もう一度確認だけでお願いをしたいんですけれども。
 ということは、過去というのはいつといって特定できるわけでもなく、過去において自然環境を破壊されてこれから自然再生が必要だというふうに認知されれば、今継続中のものも、過去におけるものも含めて考えられるということでよろしいんですね。

○衆議院議員(奥田建君) 継続中のもの……

○福山哲郎君 例えば、事業が継続していることも、公共事業等で継続している事業も含めて、過去ということは含まれるということですね。

○衆議院議員(奥田建君) 私の個人的な認識としてはそこまではありませんけれども、進行している事業に対しても、大きな地域の合意あるいは監督官庁との合意というものがあって出てくる意見あるいは取組ということであれば、それはその中に入ることもあり得るというふうに思います。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
 それから、実は環境省の二十一世紀環の国づくり会議の報告で、自然再生型公共事業として、「豊かな生態系と自然景観等を保全・回復するための事業」というふうに表記があります。本法案では、自然景観というのはこの自然再生事業の中に含まれるのか、自然景観を、先ほど山本先生おっしゃられましたが創出することも本法案の対象となり得るのか、お答えをいただけますでしょうか。

○衆議院議員(山本公一君) 自然景観は、自然環境の要素である地域の気候や地質等の様々な自然条件や多種多様な生物、それらで構成される生態系等により形作られているという意味におきまして自然環境に含まれる概念と考えております。したがいまして、自然景観についても本法案に含まれるものと考えております。

○福山哲郎君 これも私の経験したことで恐縮なんですが、和歌山県の雑賀崎というところで自然景観が非常に、万葉の歌に歌われたという、自然景観が重要だということで、そこと埋立事業との間での非常に大きな住民と県側とのいろんな議論があったことがありまして、今一時期その工事はストップしているんですが、そういう点も踏まえて自然景観というのも今含まれるというふうにお答えをいただいて実は大変喜んでおりまして、京都も自然景観が大変豊かなところでございますので、私の地元なんですが、そういう点でいうと対象にしていただけるということで良かったなと思います。
 それから、再生についてですが、再生をする場合に、工事や事業を前提とせずに自然の回復力に任せる、自然というのは自然治癒力がもちろんあるわけですから、すべてが工事をしてやることだけではなくて、自然の回復力に任せることも自然再生の中には含まれると思いますが、発議者の先生方はそのような概念も含んでいるというふうに思われますか、お答えいただけますでしょうか。

○衆議院議員(奥田建君) 条文に沿って御質問をいただいているということで、多分基本理念の部分についての御質問かと思います。
 条文の方でも第三条三項を中心にしまして、「自然環境の特性、自然の復元力及び生態系の微妙な均衡を踏まえて、」という形の表現になっておりますけれども、当然自然の復元力といったものを重視するのもこの事業であるかと思います。事業ということ自身が公共工事、公共事業というものではなくて、自然回復に対する取組といったものがすべてこの法案での対象となり得ると思いますし、そういった点を、自然回復力を十分配慮すべきことは当然のことであると思っております。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
 また、本法案の例えば対象とならない地域はあるのかということをお伺いをしたいんですが、例えば河川法における河川管理計画とか、都市緑地保全法、都市計画法、森林法とのすみ分けを実際どのように図っていくのかと。例えば、環境省と国土交通省で覚書が交わされているような場合が幾つか存在をします。そのようなときに、この本法案の対象とならないような地域というのは最初から、何というか、囲い込みをされて排除されていたり、そういうことは実際にあるのかどうか、お答えをいただけますでしょうか。

○衆議院議員(奥田建君) 個別法が入ってくると確かに答えにくい部分もありますけれども、当然、御質問の最後にありました囲い込みの中で排除されたりするようなことがあるかということに関しては、除外されるといったものはないというふうに考えております。
 当然、この法案自身が緩やかであるばかりに少し漠然としてあいまいもこなところがあるというのも確かだと思いますけれども、私自身は、いろんな個別法や省庁間が絡んだときでも調整と合意を求めていく法案であるというふうに理解しております。

○福山哲郎君 除外する地域はないというふうにお答えをいただきまして、大変力強く感じました。
 また、対象区域についてですが、やっぱりその対象区域を考える場合に、自然環境の特性とか再生を妨げる要因等について科学的な知見とか十分な調査が私は必要だと考えているんですが、これから先、当面の間なんですけれども、いろんな学会だとか調査機関だとか研究者等から評価をされているとか、調査研究実績のある地域に、最初の段階、この法案が実施をされるに当たっては、最初の段階ではある種の、言葉はいいのかどうか分かりませんが、お墨付きというか、関係学会から評価されているとかいうことにある種限定してスタートして、実績を重ねていった方がいいのではないかという気がするんですが、その辺はいかがでしょうか。

○衆議院議員(奥田建君) 当然、この自然再生事業、これにかかわらず各地域で取り組むものであっても、そういった十分な自然環境に対する調査というものは不可欠なものだと思っております。
 もちろん、協議会の中でも専門家の、科学的な知見を有する人たちの参加を求めるということもありますし、専門家会議といった機関を設けるということもありますので、調査、事前の調査、そして途中での調査といったものは不可欠な要素になってくるというふうに認識しております。

○福山哲郎君 いや、これもいろんなところで懸念がありまして、例えば国土交通省が自分のところで対象区域にしたいというところを非常に先導的に進めていくようなときに、ちゃんと裏付けの問題とかがあった方がいいのではないかということもあって、余りこの法案が各省庁のよく言われています公共事業をやり直すとか、公共事業の名前の掛け替えだみたいな状況が起こらないためにも、今、奥田先生が言われたような状況はしっかりとやっていただきたいというふうに思います。
 それから、これはもう午前中の会議でもさんざん出ている話ですが、六条の公益の問題です。
 他の公益との衝突の場合に、どのような基準で調整を図るのかと。「国土の保全その他の公益」を恣意的に解釈する余地がある限り、そこの恣意的な部分に関しては非常に歯止めが利きにくくなっていまして、これをどう調整を図られるおつもりなのかについてお答えをいただけますでしょうか。

○衆議院議員(山本公一君) この六条の規定につきましては、例えば災害防止等の公益との調整の必要性を一般的に規定をしたものでございます。自然再生とその他の公益のどちらかが必ず優先するという趣旨ではございません。それぞれの地域において、その自然的、社会的条件等に応じて個々に判断されるべきものだと考えております。

○福山哲郎君 例えば、少し具体的な話で申し上げると、例えばここで自然再生事業が行われたというふうに、この対象区域ができたとします。ところが、そのすぐ周辺で公共事業をやっていて、ここと、この自然再生事業とこの公共事業が非常に利害がぶつかったり、自然の再生ということではぶつかるような状況がこれ多々起こり得ると私は思うんですね。
 そのようなときにどのように考えるのかとか、この自然再生事業で対象となったところを、横に、周辺で動いている公共事業がこの自然再生事業を妨げるようなことがあっては私はいけないというふうに思っていまして、そういった状況はどうしたらいいのかと想定されているか、お答えいただけますでしょうか。

○衆議院議員(山本公一君) 今御指摘がございました再生事業とその周辺で行われる公共事業の関係につきまして、いわゆる自然再生協議会が全体構想を作成する段階で対象となる区域はどのように取るかとか、そしてまた自然再生の目標はどう決めるかなどについて定めることになっておりまして、その段階でそういう議論があろうかと、かように思っております。
 区域の周辺で実施される公共事業につきましては、先ほど御指摘がございましたような河川法などの各個別法において自然環境の保全や環境との調和への配慮が規定をされております。当然のごとく環境影響評価の実施をされるだろうというふうに思っておりまして、再生事業への影響も含めまして環境保全への取組が私どもは適切に行われると、かように思っております。

○福山哲郎君 その適切に行われることを願うばかりですが、こういう場合が恐らく多々これから先、事例として積み上がってくるんだと思うんですね。その事例として積み上がってきたときにこの法案がどれほど有効に運用できたかどうかということも含めて、また元へ戻るんですが、五年後の見直しに向けてやっぱり弾力的に、そして機動的に改正も含めていろんな状況を考えていただきたいというふうに思います。
 例えば、現実に地域の協議会のNGOとかグループからこのダムを撤去しなさいというようなことが出された場合に、この自然再生事業の場合には私企業の所有物に対しても本法案による事業として進めることが例えば可能なのかどうか、その辺についてはいかがでしょうか。

○衆議院議員(山本公一君) 御指摘の私企業の場合ですけれども、所有者が例えばもうこのダム等は役目が終わったと、老朽化してもう必要性自体がなくなったと言って撤去に合意した場合において、合意した場合において、その地域においてNGOの方々を含め自然再生協議会がその地域の自然再生を取り組むということにおいては、このいわゆる法律の適用範囲になっていくんだろうというふうに思っております。

○福山哲郎君 ということは、その撤去の合意というのは、もちろん私企業ですから財産権の侵害とかが憲法上あるのでそこはなかなか厳しいと思うんですが、ただ現実には、そのダムの撤去の合意ではなくて、そのダムがあること自身が今の生態系や自然を破壊をしつつあるんだというような評価や調査結果が出てきたときに、この自然再生事業とそのダムの存在みたいなことが、先ほど申し上げたように、公益としてぶつかり合うわけですね。そのような状況のときにこの法案がどう運用できるのかというのは非常に重要な要素だと思うんですが、先生、いかがでしょうか。

○衆議院議員(山本公一君) 私ども、今申し上げたように、あくまでもその所有者が不必要と考えた点において撤去ということになっていくんだろうと思っておりまして、私、これ私の正に個人的な見解でございますけれども、こういった公共物については、私の持ち物であろうが、また公の持ち物であろうが、それを必要とされる方々の意見というのもやっぱりあるんだろうというふうに思っておりますので、あくまでもその役割が終わったという合意がやっぱりお互いに必要なんだろうというふうに思っております。

○福山哲郎君 役割が終わったかどうかというのもある種の価値ですし、それからその公共物の存在が自然や生態系を破壊しているかどうかということもある種の価値ですから、そこはその場での議論に応じて積み上げていかなければいけないというのはよくよく分かりますが、ただ、この法案を基にそういう問題提起をしていくことは十分可能になるという認識でよろしいわけですね。

○衆議院議員(山本公一君) それでよろしいかと思います。

○福山哲郎君 それからもう一つ、自然再生事業をやられるときに、いろんな手法で自然再生事業がやられる可能性がある。例えば、新たな技術的なものにしてもそうですし。そういう手法について、評価が固まっていない、先ほど調査委員会とか調査とか、それからある種の学会での評価とかがありますが、ここの自然再生事業をするときにこういう手法でやりたいです、こういう技術を使ってやりたいですといったときに、その評価は、まだ一定の評価がないような、そういう手法を事業自身に使われることはあり得るのかどうか、お答えをいただけますか。

○衆議院議員(山本公一君) できるだけ評価が固まったといいますか、確立された手法を用いることが基本と考えております。
 そうした中で、自然再生事業というのは、基本的には自然の回復力というのを活用して、絶えず変化する生態系を対象とした事業であることから、実施者というのは、事業着手後も自然環境に悪影響を及ぼすことのないように状況を常にモニタリングをしていくことが不可欠であろうと、かように思っております。

○福山哲郎君 これも何回も先ほどから申し上げているように、この法案、運用の仕方によっては公共事業の書換えだという懸念が多くのNGOや学識者からも言われています。
 そのときに、ある再生協議会ができて自然再生という事業が行われたときに、この手法が例えば間違っていたり、この手法が例えば別の意味で自然再生には資しない、資することなく逆に流れる可能性も十分あるというふうに思っていまして、そのときに別の意味の自然再生協議会ということは立ち上げることは、細かいような話ですけれども、例えばある自然再生事業がスタートしたと、スタートして何年かたった時点で、これやっぱり戻らなきゃいけないと、これひょっとしたら失敗かもしれないというようなことが起こったときには、別の意味での自然再生協議会というのは立ち上げるのは可能なわけですよね、その地域の盛り上がりや合意ができれば。細かい話なんですが、お答えいただけますか。

○衆議院議員(山本公一君) 当然、万々が一そういうケースがあった場合にはそういうこともあってもいいんだろうと思いますけれども、あくまでも自然再生事業によって自然が破壊をされるということはあってはならないことでありまして、そうならないように、一番最初というか、立ち上がりのときの自然再生協議会においてきっちりした議論を我々は期待をいたしたいと思います。

○福山哲郎君 そう山本先生のおっしゃるように願いたいのはやまやまですが、我が国の場合には、えてして事業として決まったら引き返すことができない国でございまして、そのまま突っ込むことも多くて、それがやっぱり今この自然再生というか生態系の破壊につながっていることもあって、できればそういう歯止めが掛けられればというふうに思いまして、すごいしつこい話だったんですが、お伺いをいたしました。
 それから、基本理念の三条のところにあります情報公開のポイントですが、透明性の確保を基本理念にはうたわれていまして、三条の二項にあります。これはもう当たり前の話だと思っているんですが、この自然再生推進協議会や自然再生専門家委員会その他の会議というのは、発議者の皆さんの思いでは、やはりこれは公開であり、議事録であり、議事録の公開、公表等は想定をされると、想定をされていると判断してよろしいんでしょうか。

○衆議院議員(山本公一君) 各種会議につきましては、基本理念に盛り込まれておりますように、透明性の確保という趣旨に沿った運営を進めてもらいたいと思っております。
 ある意味からいえば、そういうことからいえば、御指摘いただきましたような議事録の公開等も透明性確保の一つの手段であるというふうに思っております。

○福山哲郎君 済みません、これは事前通告にないんですが、ちょっとお伺いしたいんですが、その透明性の確保、議事録の公開とか公表は各自然再生協議会の判断にゆだねられるということなんですか。それとも、環境省が作られる基本方針の中にそこははめ込んで基本方針ができるというふうに判断をすればいいんでしょうか。お答えいただけますか。ごめんなさい、これは事前通告ないんですが。

○衆議院議員(山本公一君) 三条にも書いてありますとおり、「透明性を確保しつつ、自主的かつ積極的に取り組んで実施されなければならない。」というふうに文言ございます。
 ただ、いわゆる情報の公開、公表というものになじまない情報というのもやっぱりあるんだろうと思います。それは、個人の情報であったり、そしてまた希少種に関する生息とか生育地の情報であるとか、公表、公開になじまない情報までもということは、やはり現地の、現場の自然再生協議会の方々の判断にゆだねざるを得ないんだろうと思っておりますので、基本的には現地の協議会の方々の判断だろうというふうに思います。

○福山哲郎君 そこは、おっしゃることはよく分かりますが、なるべく公開をするような方向で基本方針は定めていただきたいなというふうに希望したいと思います。
 それから、再生の基本方針、自然再生基本方針の問題ですが、この基本方針が非常に僕は重要だと思っているんですが、発議者の先生方には御苦労いただいたのに申し訳ないんですが、やはり非常にこの再生方針の中身については抽象的というか何というか、基本的方向とか基本的事項とか書いてありまして、具体的によく分からないんですけれども。
 より明確化するために、例えば事業を行う前の調査や科学的評価、先ほどから調査、評価が必要だという話になっていますが、調査や科学的な評価に対する基本的事項とか、それから事業に対する評価の方法ですね、これが非常に重要だと思うんですが、事業をどう評価するかという方法が明確化しないと、非常に恣意的にその事業が、こっちはオーケーだけれどもこっちは駄目みたいな話になると思うんですが、事業に対する評価の方法に対しての基本的事項についても定めるべきではないかと思うんですが、これは再生基本方針を作られます環境省さんにお答えをいただきたいんですが、どうでしょうか。

○政府参考人(岩尾總一郎君) お答えいたします。
 自然再生事業の着手前後の調査、科学的評価、フィードバックに関する事項につきましては、法案の第七条二項第三号の「実施計画の作成に関する基本的事項」に含まれると思われますので、法案には特に明示されていないものと理解しております。
 自然再生における科学的知見の重要性にかんがみて、これらを進めるに当たりましては、基本的な考え方について、基本方針の中でできるだけ具体的に盛り込むことが必要というふうに考えております。

○福山哲郎君 ありがとうございます。是非、できるだけ具体的に盛り込んでいただきたいと思います。
 もう一つ環境省にお伺いします。
 基本方針作成の際に、「広く一般の意見を聴かなければならない。」とされていますが、その結果をどのように反映されるおつもりなのか、具体的に、広く一般への聴き方というのはどのような手法をされるおつもりなのか、お答えをいただけますでしょうか。

○政府参考人(岩尾總一郎君) 本法案第七条四項に規定されておりますとおり、自然再生基本方針の案を作成する際には、パブリックコメントの募集などを通じまして広く一般の意見を聴くことが必要であると認識しております。いただいた意見については、基本方針の案にできる限り反映していくことが必要と考えております。

○福山哲郎君 是非、そこの意見の反映については、パブリックコメント以外の方法もまたお知恵を出していただければなというふうに思います。
 それから、もう一度発議者の先生方に戻ります。
 基本方針が環境省ででき上がります。そのでき上がった基本方針を地域の当該事業の自然再生協議会の中にどのような手続でどういうふうに反映をしていくのかがちょっと実は僕はイメージができないんですね。例えば、その自然再生協議会でできた実施計画等が基本方針と合致しているかどうかという話も含めて、一体どうやってそこはチェックして、そこをつなぐのかということをもう少し具体的にお答えをいただけますでしょうか。

○衆議院議員(田端正広君) 自然再生協議会は、あるいは自然再生、この全体構想、実施計画、こういったことをここで決定していくわけでありますから、そういう意味では基本方針がベースになって考えていかなきゃならない、また議論しなきゃならない、こういう流れになると思います。
 その中で、ここは十分にそれぞれ議論をして合意をしていかなければ実施計画は立ち上がらないと思いますが、その中で、この七条三項で、「環境大臣は、あらかじめ農林水産大臣及び国土交通大臣と協議して自然再生基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。」という意味で、つまり、環境大臣が主導した基本計画、基本方針でございますから、そういうものがこの全体構想、実施計画の中でまとまっていくと、こういう流れになろうかと思います。
 そして、もう一方、この十七条ですね、十七条の自然再生推進会議が環境省、農林水産省、国土交通省において設置されますが、その下において今度専門家会議というものが設けられるということで、この専門家会議の意見を聴くものとすると、こうなっているわけでありますから、そういう意味では、この主管の各省あるいは都道府県、そういったところがそういう、この専門家会議の意見を反映させてやっていくと。そういう意味で、この二つが相まって動いていくという、こういう流れになると思います。
 したがって、基本方針というのは大変大事でありますが、環境省が主導して基本方針を作り、そしてまた専門家会議の意見を聴きながらフィードバックする、こういう流れになるのかと、こういうように思います。

○福山哲郎君 今、田端先生お答えいただいたのは、基本方針について各省庁とやり、また専門家会議とやりということで環境省が基本方針を作るというのはよく分かるんですが、地域の協議会、自然再生協議会ができるわけですね。この協議会は構想を作らなければいけない、実施計画も作らなきゃいけないわけです。この構想と実施計画と基本方針が合致しているかどうかとか、その地域の当該事業の実施計画なり基本方針が、この基本方針、環境省の作った方針と実施計画がちゃんと沿っているかどうかということのチェックをしなきゃいけないはずなんですが、地域の再生協議会ができたからもうそれでいいやという話ではなくて、そこで基本方針に照らしてどうかということのチェックの道筋が僕はよく分からないと思っていまして、そこを少しお答えいただけますでしょうか。

○衆議院議員(田端正広君) その点については、いかにチェックするかという点については、これは九条の六項のところに「主務大臣及び都道府県知事は、前項の規定により自然再生事業実施計画の写し及び自然再生全体構想の写しの送付を受けたときは、実施者に対し、当該自然再生事業実施計画に関し必要な助言をすることができる。この場合において、主務大臣は、第十七条第二項の自然再生専門家会議の意見を聴く」ものとすると、こうなっているわけでありまして、そういう意味では、ここの基本方針との整合性というものをチェックする意味において必要な助言を主務大臣及び都道府県知事が全体構想の中に反映させることができると、こういう仕組みになると思います。

○福山哲郎君 法律の文言上は、「助言をすることができる。」というのは私も理解をしているつもりですが、要は、各地域の自然再生協議会ができて、そこが実施計画を作った、構想を作ったと。要は、何が懸念しているかというと、さっきからもう一回繰り返しになるんですが、それが公共事業の掛け替えではないかみたいな話になったときに、その基本方針を作った環境省が助言しかできないのだったらその事業進んじゃう可能性があるわけです、もう一回。
 つまり、そこでチェックして、それはちょっとおかしいんじゃないですかというのをもう少し強く言えないんですかと。助言をするだけでは、さっき申し上げた基本方針と実施計画のそごみたいなのが生じたときにチェックできるのかどうかということが少し不安なので、お答えをいただきたいなと思っているんですが。

○衆議院議員(田端正広君) つまり、助言ができるということはそういう意見を明確に反映させるということにつながるんだと思います。したがって、法文上は助言という表現になっているわけでありますが、きちっと意見をフィードバックさせてこの協議会の中でそこのところは検討すると。そこで合意がなければ実施計画に移らないわけですから、やはりそういう意味では合意を得るためのチェック機関になるんだろうと、こういうふうに思います。

○福山哲郎君 そうすると、逆に言うと、環境省が基本方針に沿っているかどうかとチェックすることというのが非常に重要な役割を果たすということの認識だと思います。
 それじゃ次に、環境省さんにお伺いします。
 この法案が成立するかどうかは今日また御協議の上だと思いますが、例えば成立したと仮定をしたときに、環境省は速やかに自然再生基本方針を定めるべきだというふうに私は考えるんですが、環境省としてはいつごろまでにこの基本方針を策定しようとお考えなのか、お答えいただけますでしょうか。

○政府参考人(岩尾總一郎君) 本法案の附則で平成十五年の一月一日から施行された場合、法案第七条の規定に従って速やかに基本方針の策定に着手する予定でございます。その場合、農林水産大臣、国土交通大臣との協議を踏まえた案の作成の後、一か月程度のパブリックコメントの募集、その結果の反映、さらに閣議決定、告示などの所要の手続が必要になると考えます。
 したがいまして、新年度から本格的な運用ができるよう今年度中をめどに策定できるよう作業を進めたいと考えております。

○福山哲郎君 ということは、平成十五年の四月ぐらいからにはというイメージでよろしいわけですね。はい、分かりました。
 それから、今度は当該地域の事業に関係する例の自然再生協議会、八条についてちょっとお伺いをしますが、この八条の参加者の問題なんですが、この八条には、事業実施者、地域住民、NPO、専門家、土地所有者、参加しようとする者、関係地方公共団体、関係行政機関というふうに、これ多分例示規定で書かれていると思うんですが、これはすべて参加しない場合もあるのか、またNPOが参加しないまま事業が進められることもあるのか、若しくは地方公共団体や関係行政機関が参加しなくて進むこともあり得るのか。以上三つの場合についてお答えをいただけますでしょうか。

○衆議院議員(田端正広君) すべて参加を義務付けているわけではありません。地域において活動する、自然再生に関する活動する者が参加しようという場合は、できるだけ多くの人が参加するという意味で多様な主体の参加と、こういうことになっているわけであります。
 それから、NPOであっても、自然再生に積極的に参加し活動する者であればこの協議会の構成員として地域外のNPOであっても参加できると。したがって、例えば、一つのNGOの組織が全国組織である場合、例えば京都支部とか大阪支部とかと、こういう支部がありますが、何というんですか、中央で参加するんではなくて、それぞれの支部なりそういう組織の現地で参加すると。だから、主体がそこの地域にいなくても参加できる、そういう意味では非常に公平にだれでも参加できるという仕組みになっていると、こういうふうに思います。

○福山哲郎君 だれでも多くの参加がというのは非常にいいことなので、田端先生のおっしゃるとおりですが、逆に言うと、先ほど申し上げたように、NPOが参加しないまま事業が進むことは想定されていないと思っていいんでしょうか。

○衆議院議員(田端正広君) 私はそういうことは現実にはないだろうと思いますが。
 NPOあるいはNGOあるいは市民代表という方ですね、必ず、こういう自然再生事業という地域にかかわった問題ですから、何らかの形で地域代表の方が参加するだろうと、こういうふうに思います。

○福山哲郎君 地方公共団体、関係行政機関の場合はどうですか。
 例えば、我が役所はかかわりたくないというような状況が市町村の中では僕は起こり得るのではないかなということも考えていまして、そういった状況の中に地方公共団体が参加しないで協議会が立ち上がるようなことは考えられるんでしょうか。

○衆議院議員(田端正広君) これは、ほとんどそういうことは考えられないと思います。
 この所管の環境省あるいは国土交通省、農林水産省という中央の直轄というのは非常に限られた事業になるんではないかと。そういう意味では地方が主体になるだろうと思いますから、地方の行政機関が入らないような協議会ということは、立ち上がりは無理だろうと思います。

○福山哲郎君 今、田端先生すごく重要なことをおっしゃっていただいた、御答弁いただいたんだと思うんですが、私は、自然発生的に地域の中で自然再生協議会ができていく、NPOや地方公共団体やいろんな人が関係してということに関するスキームとしては、私は大変評価をしているんです。
 ただ、問題は、今おっしゃられたように、地方公共団体が絡まないことはほとんど想定できないだろうと、ほとんど絡む場合があるだろうと思うんですが、例えば、事業が実際に継続中だとか、例えば、この問題についてはそこの当該市町村の地方議会は予算決定でもう議会で承認しているようなものを、例えばNPOや関係者やら学者が、ここもう一回自然再生しなきゃいけないんだからといって地方公共団体に持ち込んでいったとしても、その地方公共団体、いや、もう私のところ、ここかかわりたくないねん、ちょっと勘弁してくれみたいな話になって、結局、自然再生協議会自身が立ち上がらないままずるずるずるというようなことが非常に私はこの法案のスキームを見て懸念をしているところでございまして、そこにきっちり地方公共団体なり国なりに自然再生協議会作ろうやというアクセスの保障みたいなものが実はないんですね。
 だからといって、すべてのNGOやNPOが、例えば科学的知見もなくどんどんどんどんこれはいかぬのやないかと言って反対のための反対をするような状況で地方公共団体に持ち込むことも、私は不要な混乱を招くことだと思っていますから、それはどちらもあり得るんですけれども、ただ、私は、地方公共団体が参加をしないことはあり得ないという状況の中で、各自治体がどれほどこの法案のスキームを理解をして、各NGOや学識者が持ってきたものに対して受け止めれるだけの容量というか心構えというか、そういうものができるのかということに対しては少し懸念をしているのですが、発議者の先生方、いかがでしょうか。

○衆議院議員(田端正広君) 理論的な観点からいけばそういうことは考えられないことはないかと思いますが、しかし現実問題として、ここの地域をこういうふうに自然再生やろうという世論が起こった場合、その地域においても、例えば民主党の先生、地方議員の先生もいらっしゃるんだろうし、我が方も地方の議員もいると思いますから、行政の方が何となく冷たい反応であっても、世論を喚起してみんなで盛り上げていくという、そういう意味では、ここのところはやっぱり地域の皆さんの合意という方向に向けていくことが大事ではないかなと、こういうふうに思います。

○福山哲郎君 田端先生のおっしゃるように動けば私もそれにこしたことはないと思っているんですが、やはり例えば吉野川の可動堰の問題にしても長野県の問題にしても、どちらかというと県議会の先生方がノーだというような場合が多々ございまして、そうすると、地方議会との非常に意見のずれみたいなのが出てきたときに、各市町村というのは動きにくいんだろうなと。そうすると、自然再生協議会ができるまでに、門前払いみたいな話とか、できるまでにとんざをすることが出てきやしないかなというのは、私は非常に、少し本当に心配をしていまして、そこをもう少しスムーズに、協議会ができるまでのアクセスというか、できるまでの手続がもう少し具体的にこの法案の中であればいいなというふうに私は正直言って思っておりまして、そこは検討課題として是非お知恵をいただければと思うんですが、いかがでしょうか。

○衆議院議員(谷津義男君) 今、吉野川の可動堰の話がちょっと参考までに出ましたですが、実は私は、直接携わった当時自民党の政調会長代理で、この可動堰を、あそこを全部池田から私はずっと歩いてまいりまして、八十キロ、それを見まして、河口から。そうして、あそこの可動堰の話が出てきたときに実は、今県議会の話がありましたが、私もあの県議会に行きまして、その状況等を話しましたときに、割合とスムーズに県議会は納得しましたですね。
 それは、あれは白紙に戻せというふうに私どもは言ったわけなんですけれども、そのときに、知事それから市長、それから周りの、これはNGOの皆さん、NPOの皆さん、そういう人たちとも何回も協議をしました。そういう中で、話合いをしていると、自然とそういう人たちが、今まで全然合わなかった人たちが合うようになりまして、それで、同じように会議を同じ場所でするようになりまして、ああいうふうな白紙に戻す、そういうものになっていったわけですけれども、私は、その今のお話のような場合は想定はされますけれども、それはまた一方では、逆にいろいろとそういうふうなほかからの話によってもできるというふうに確信をしております。

○福山哲郎君 私も谷津先生と同じ思いですから、そのような形が確信できればそれにこしたことはないんですが、やはり五年の間、実態をしっかりとウオッチをしながら事の推移を見守っていっていただきたいというふうに思いますし、私どももそのように努力をしていきたいと思っています。
 それから、地域で活動しているNPOというのは、NGOや市民グループというのは大変小規模のところが多くて、そういった小規模のところの協議会参加に当たっては、例えばネットワーク作りが必要だとか、NPOでもいろんな意見のところが地域であって、それぞれが、一つの考え方のNPOだけがその協議会に入っていくと多少そこは方向が、バランスが取れなくなるようなこともあって、いろんなNPOが例えば参加するためのネットワークを持って協議会を立ち上げるようなことも私は必要だと思っているんですが、そのような観点についてはどのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(岩尾總一郎君) 地域のNPOなどの民間団体は資金面、人材面で制約が多く、自然再生に必要な科学的知見や情報を独自に収集することが困難な場合もあると認識しております。こういう状況も踏まえて、法案の第十一条においては、主務大臣は実施者の相談に的確に応じることができるような必要な体制の整備を図れというふうに規定されているところと理解しております。
 したがいまして、環境省では、相談窓口として想定している自然保護事務所においてNPOなどの相談に適切に答えられるような地域の自然環境や自然再生活動に関する情報の整理、専門家ネットワークの形成など等を実施することによりまして、自然再生に参加するNPO等の支援を充実してまいりたいと考えております。

○福山哲郎君 是非、そこは環境省さん、御尽力をいただきたいと思います。
 それから、協議会に関しては、環境省が関与しない場合というのはあり得るんでしょうか。環境省さん、いかがですか。

○政府参考人(岩尾總一郎君) 環境省としては、実質的に自然再生事業を行う立場はもちろん、行政機関の一つとしてこの自然再生協議会には積極的に参加していく考えでございます。

○福山哲郎君 ということは、関与しない場合は余り想定し得ないということでいいんですね。

○政府参考人(岩尾總一郎君) 関与したいと思っております。

○福山哲郎君 先ほどの例の助言の話がありましたが、助言については、三省庁、いわゆる環境省、農水省、国交省全体で協議して助言をするのか、環境省が単独で助言をする場合もあり得るのか、そこは、基本方針を作るのは環境省なわけですから、そこはどうなるんでしょうか。

○政府参考人(岩尾總一郎君) 環境省は関係三つの省間の密接な連絡調整を行う立場でございまして、自然環境の保全に責任を有する立場からしっかりと関与してまいる所存でございます。

○福山哲郎君 要は、三省庁協議をしてということなんでしょうね。
 それからもう一つ、これも細かい話で恐縮なんですが、八条の「自然再生の目標」ですが、その目標というのは一体どういうものなのか。例えば、回復されるべき生態系について具体的な目標が含まれるのかですね。一体何をもってすればその自然再生事業が終了したというふうに考えるのか。
 これは発議者の先生方にお伺いをしたいんですが、この自然再生の目標ということについてどのようなイメージなり想定をされているのか、お答えをいただけますでしょうか。

○衆議院議員(奥田建君) 今、目標といいますか、例えば昔の環境に戻すといっても、それが十年前の環境なのか百年前の環境なのかというようなところも確かに明文化されておるわけではございません。
 やはりそこは、一つの協議会での目標設定というものがどのように行われるかという点で、協議会での大きな仕事といいますか、作るべき道筋だというふうに思っております。

○福山哲郎君 この自然再生の目標というのは、今、奥田先生言われたように非常に重要で、どこが終着駅なのかというかゴールなのかによって全然事業の中身も変わってきますので、そこについては少しこの基本方針の中にやっぱり観点として入れていただきたいなというふうに思います。
 それから、自然再生協議会の中に、先ほどから出ている客観性とか科学的知見とか調査とか専門性とかいうのがあるので、自然再生協議会の内部に科学評価委員会等を設置をして全体構想や実施計画の作成、見直しに生かすべきと考えているんですが、これは今日、附帯決議等でも御議論されると思いますが、このことについてはどのようにお考えでしょうか。

○衆議院議員(田端正広君) 自然再生協議会での決定というのが一番大事になるわけでありますから、そういう意味で科学的な客観的な評価というものをきちっとすることが大事だと思います。
 それはもうおっしゃるとおりなんですが、これはどういう形でその協議会の中に作るかということは、例えば小委員会とか分科会とかいろんな形があろうかと思います。例えば、釧路の場合なんかは五つか六つの小委員会ができていると思いますね。河川の関係とかあるいは湿原をどうするかとかあるいは生態系の問題の小委員会とか六つぐらいたしか小委員会があって、それぞれ協議されてそして全体の協議会の中で合意をしていくと、こういう形を取っているようでありますから、おっしゃるように科学的な客観的評価というものを重きに置いて、そしてそういう分科会方式であれ何であれきちっと議論をしていただいて全体の合意をしていくと、これが一番大事であろうと思います。

○福山哲郎君 本当に細かい質問をさせていただいて恐縮でございましたが、この法案をより良くしたいという思いだということで御理解をいただきたいと思います。
 最後に、自然再生専門家会議というのはどういった分野のどのような専門家を想定しているのかお答えをいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○委員長(小宮山洋子君) どちらが答えられますか。では、田端さん、どうぞ。

○衆議院議員(田端正広君) これはもう先ほども少し申し上げましたが、十七条の一項、二項のところで専門家会議のことを法律できちっと明記しておりまして、そういう意味では、三省が密接に意見調整を図って、そして実施者に対する助言を行っていくという意味でその科学的な分野における役割をきちっと果たすべきだと、こう思います。
 特に私が言いたいのは、十八条のところで、主務大臣の序列を環境大臣、農林水産大臣、国土交通大臣という、これは普通の法律ではないそうでありまして、環境大臣を冒頭に持ってきたという意味では環境省に最も大きな役割があるという、重みがあるということを、そういう意味合いで述べているわけでありますから、この三省の調整の中で環境省の果たす役割は大変大きいだろうと、こういうふうに思っております。

○委員長(小宮山洋子君) 岩尾局長、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

○政府参考人(岩尾總一郎君) 専門家会議の設置の件でございますが、様々なタイプの自然環境を対象として自然再生がなされるわけですので、多岐にわたる分野の専門家で構成される必要があると考えております。
 科学的な知見から生態系の調査研究、保全手法の解明を行う学問領域などの専門の先生方も含まれるものというふうに理解しております。

○福山哲郎君 終わります。

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第155国会  参議院  予算委員会  2002年11月25日

大島農水大臣(当時)の疑惑について


○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。円より子委員に引き続き質問させていただきます。
 私は八か月前この予算委員会で鈴木宗男議員とのやり取りをやらせていただきまして、その鈴木宗男議員が残念ながら逮捕ということになりました。当たり前の話なんですが、議員としては大変残念でございます。その後、加藤紘一議員が辞職をされ、また参議院の議長であります井上裕議長も辞職をされました。
 政治と金の問題というのは前国会の大変大きなテーマだったんですが、残念ながらこの国会でもまた政治と金の問題が出てきています。私は、政治の信頼が失墜をし、政治家の言葉が軽々しくなるにつれて、何を経済対策をしようが、政治家が、政治家の言葉が国民に信頼されない、いつになったら我が国のこの政治文化が変わるのかと。
 私は地元でよく言われます。もういい加減にスキャンダルとかを追及するのはやめろ、野党第一党としてはそんなことばっかりやっているなと、国民の生活はもっと大変だと言っているんですが、スキャンダルをする方が悪いのか、スキャンダルを追及する方が悪いのかといえば、はるかにスキャンダルを続ける方が悪いに決まっているわけです。
 そこは、我が国がずっと政治と金の問題、与党・自民党であり続けた問題について、やはりはっきりさせていかなければいけないと思いますし、この国会では実は大島農水大臣の秘書官の口利き疑惑の問題が出ています。さらには、清水達雄参議院議員がKSDと同様の問題で、党費の肩代わりという問題が出ています。また、秘書派遣という問題が出ています。また、田野瀬良太郎衆議院議員では、政策秘書給与の不正受給疑惑というのが出ています。
 簡単に言えば、前国会で井上裕、加藤紘一議員が辞められ、KSD事件では村上正邦、小山孝雄議員が辞められ、そして政策秘書の問題では田中眞紀子、辻元清美、そして我が党の山本譲司議員も辞めた。同じ問題がまたこの国会でも出てきています。
 そういう状況の中で、大島理森農水大臣にお伺いをいたします。(発言する者あり)資料が配られているはずですから、見てください。大島大臣、時間がありませんので、短く御答弁をいただきたいと思います。
 大島大臣の問題というのは、見ていただければ分かりますように、井上議長と全く同じ構図です。八戸市立市民病院というものの受注に対して、見返りに五千五百万受け取ったという疑惑になっています。そして、それを秘書官が口利きをしたという状況になっています。そして、この受注企業の中には空調企業といういわゆる宮城の会というところの代表者の会社があります。
 そこで、大臣にお伺いをいたします。
 この宮城の会の代表である宮部和夫氏が実質的にオーナーであります空調企業からあなたの元秘書官でありました宮内氏またその妻が顧問料若しくは社員給与を得ていたという事実があるかどうか、簡潔にお答えください。

○国務大臣(大島理森君) 福山委員から御質問の通告がございましたので、そういうことがあったのか、つまり役職員として就いたことがあるのか、あるいは働いたことがあるのか、そして給与をもらったことがあるのかということを問いただしました。そういたしましたら、そういうことはありませんでしたという報告がございました。

○福山哲郎君 農水大臣、本当によろしいんですね、それで。報告があったということですか。それは、農水大臣としてそこは確認をしたので、なかったということをはっきりと国会の場で国民の皆さんの前で言われるということでよろしいんですね。

○国務大臣(大島理森君) 役職員としてどうであったかという通告でございましたので、私のスタッフに会社の登記簿ですか、そういうものも調べなさいといって調べさせましたし、いわゆる役職員としてのそういうことはありませんでしたという報告を私はちょうだいして、そのことを申し上げます。

○福山哲郎君 今、少し表現が変わりました。役職員として私は特定をして聞いたわけではありません。空調企業から顧問料あるいは社員給与という形でお金の、金品の授受はありましたかとお伺いをしているわけです。短めにお答えください。

○国務大臣(大島理森君) 私は、先生からの御通告は役職の給与ということで伺っておりましたので、社員として勤めたかということも聞いておりました。したがって、そういうことはありませんでしたという報告をちょうだいしております。

○福山哲郎君 私は、農水省の役人にはっきりと今の形で事前通告をしました。もし、そのとおりに農水省の役人が伝えていないんだとしたら、これ以上質問は続けられないんですが、委員長、いかがですか。

○国務大臣(大島理森君) 役職員給与を受け取っていたのかという通告を私ちょうだいしておりまして、そういうふうな、社員も含めてですよ、社員も含めてそういうことがあったのかということを伺ったら、聞きましたら、そういうことはありませんでしたという報告をちょうだいしております。

○福山哲郎君 農水省の意向としては役職員だと限定することによって逃れようとしているんだと思いますが、私の調べたところによりますと、平成七年から平成十一年の九月まで、さくら銀行の世田谷通支店、宮内氏の妻の名義で、月々十万円、空調企業から振り込まれていたというふうに伺っておりますが、大臣いかがですか。

○国務大臣(大島理森君) そういう話を今初めて伺いましたので、改めて確かめてみたいと思います。

○福山哲郎君 衆議院の農水委員会、決算委員会での農水大臣の答弁もすべてそうなんですが、口では真摯に調査をして報告すると言いながら、事実が出てくると、新たに調査をすると言って逃げられます。そして今も、私の事前通告からは非常に曲解をした形で答弁をするということで、非常にこれはけしからぬ話だと思いますが、とにかく次へ行きたいと思います。
 そして、更に申し上げますと、先ほどの図をもう一度。(図表掲示)
 今、大島農水大臣は、このような形で口利きをして五千五百万円が渡ったというふうに疑惑があるんですが、この貸金庫から、実はこの宮内さんが役職をしていた西部瀝青という会社に対して五百万円の借入金がこの貸金庫から行ったということになっています。ところが、大島農水大臣は、委員会の答弁で、これは宮内さんから行ったわけではなくて、ここにいるコンサルタントのAという人から行ったというふうにずっと強弁をされています。
 しかしながら、国民の皆さんに見ていただきたいものがあります。(資料を示す)
 ここにその宮内秘書官あての、その西部瀝青という会社から、社長から親展で送られてきた手紙があります。これには、宮内様あてということで、親展ですからもちろん宮内さんです。そして、なおかつここには、貴殿に対しまして大変な御迷惑をおかけいたしました、また、期日までに返済できなかったことを思うとおわび申し上げます、また、借入れについては、お返事があり、御報告を申し上げますということで、宮内という大島農水大臣の秘書官あての手紙が来ています。
 しかしながら、大島大臣はずっと、これは宮内氏ではなくてA氏というコンサルタントからお金が行ったものだと。そして、大島農水大臣なり宮内秘書官はお金を受け取っていないというふうに御答弁をされていますが、常識的に考えて、親展であり、手紙に貴殿と書いてあり、あなたに返済するものだと、おわびというふうに書いてあることに対して、それでもまだ農水大臣、国民の前で強弁をされるおつもりですか。

○国務大臣(大島理森君) 福山委員の先ほどの御質問の中で、私自身が何かお金をもらったような御発言がございました。これだけは、私はそのことに関して一切かかわったこともございませんので、改めて申し上げておきます。
 さて、今の件でございますが、実は御党の筒井議員から提示を既にいただいた資料でございます。そして、その中には、ここにもございますように、その手紙と同時に、そのA氏と言われる方が西部瀝青の社長さんに五百万円を振り込んだと、この資料もございます。そして、そういう振り込み票を私も拝見し、また手紙も拝見しました。
 そこで、改めて彼に対して、この振り込み、つまり西部瀝青さんに直接振り込んだのはAさんと言われる方です、それと手紙の内容と、こういうものがあるけれども、一体どういうことなんだと。もう一つは、先生、私信として来た手紙をなぜ君が持っていなくてA氏が持っているのだということも私は彼に対して問いただしました、筒井議員からそういう資料をいただきましたので。そういうことに対しまして前秘書官は、私がお願いして応援してくださいと言ったのは事実ですけれども、私自身が貸したのではございませんと、もし私が貸すということになれば、当然、この振り込みも手紙も私が取っているということが普通ではありませんかと、彼から逆に反論もいただきました。
 したがいまして、私は、しかし、そういうふうなことがあっても僕は聞かれているんだと、ましてや私自身が、前秘書とはいえ、その民と民の金の貸し借り、そこにどのぐらいまで君の言うことを信ずるか信じないか問われているんだと、本当のことを言ってくれと言ったら、彼自身は、私はお願いをした、つまり応援してくださいと言ってお願いをしたことはあるけれども、自分で貸したということではございません。そういう私に対する報告でしたので、そのことを今皆さんにお答えをするしかないと思います。
 参議院で初めてこの問題を取り上げられましたので、短くとはいえ、いささか経過もお話ししなきゃなりません。
 その西部瀝青の社長と言われる方と宮内は学生時代からの長い友人だったそうです。その後、A氏と言われる方と引き合わせる機会があり、その後、A氏とその西部瀝青さんという方の社長さんとのお仕事もあったようです。度々、その後、その友人から何とかお金を貸してくれというお話があったそうでございますが、それは自分にはできないということで、そのA氏と言われる方に宮内がお願いした経過はある。その後、両氏から、つまりA氏と言われる方から貸したという報告と、借りたという報告を受けたということでございました。
 改めて申し上げますが、その手紙もありますけれども、こういう振り込みのやはり資料もあると、そういうことから問いただし、先ほどのような報告があったことをお伝え申し上げます。

○福山哲郎君 時間がないので、余り長くは申し上げませんが、なぜA氏が振り込みを持っていたか。答えは簡単です。お金をプールしていた貸金庫の管理をA氏がされていたからです。
 そして、もう一つ申し上げます。
 宮内氏は西部瀝青の、先ほど大島大臣が言われたように取締役をずっと務めておられました。そして、宮内氏の妻も役員をやられている経験があります。そして、そういう認識だからこそ、親展で宮内さんにこのような形でおわびのお手紙が行っているというふうに思いますし、もう一つ申し上げますと、いわゆるA氏はこのように言っています。
 振り込む前日に、宮内さんから、例の金庫から振り込んでほしいと、宮内さんが例の金庫からと言ったと。そして、例の金庫から振り込んでほしいということは、金庫の中身はあくまでも宮内さんのものだという認識だからそういう発言になるんじゃないですかと言って、A氏自身は証言をされています。
 ということは、どちらを信じるかという話になりますから、ここで水掛け論をしていても仕方がありません。
 この予算委員会で是非このA氏と宮内秘書官を呼んで参考人、証人喚問も含めてはっきりさせるべきではないかと思いますが、委員長いかがですか。

○委員長(陣内孝雄君) 後刻理事会で協議いたします。

○福山哲郎君 更に言えば、細かい話になりますが、大島大臣は議運委員長を経験されています。議運の申合せで、秘書の会社役員への就任ということに関しては大変厳しい規則になっていることも議運委員長としては御存じだと思いますし、更に言えば、宮内氏が生前贈与を受けていたということに対して贈与税を支払っていないことも大島大臣はお認めになられました。
 仮にも、環境庁の長官時代の秘書官であり、特別国家公務員であった秘書が脱税をし、また、議運委員長を経験された大島大臣が重々承知をしていたはずであろう他の会社の役員への兼職をしたということに対して、大臣として責任は感じられませんか。短めにお答えください。

○国務大臣(大島理森君) 委員にお答えしますが、宮内前秘書は、先ほども、したがって経過を少しお話をさせていただきますと申し上げましたのは、長い間の学生時代からの友人で、昭和六十二年から役員であったということでした。給与はもらっていなかったということでした。
 そして、今、委員がお話しされたいわゆる秘書の役員の問題については、たしか平成二年の議運での言わば申合せ事項、決議になっておったと思います。あるとき記者からそのことを問われましたものですから、私のこの確認、記憶の中にはちょっと定かではありませんでしたので調べましたが、この内容は、御承知のように、その秘書が兼職を禁じているのではありません。そしてもう一つは、そういう場合は励行しなさい、その許可を得るように励行しなさい、つまり努めなさいと。代議士や、そういう代議士の許可を得るように励行しなさいと、こう書いてありますね。したがって、平成二年のその申合せ決議に対して、宮内は昭和六十二年からなって、私にはそういう報告はありませんでした。
 したがって、西部瀝青のその役員になっておったということを聞き、その説明経過の中で彼に対して、こういう申合せが、僕も調べた結果こうであったよと、こういうことは善くないことだったねということは申し上げておきました。
 さらに、そういうふうなこと等々から見て私自身、私自身の責任という問題については、言わば議員と秘書、大臣と秘書官という中においては、どういう責任を自ら感じてこの問題に対応しなきゃならぬかというのであれば、やはり雇用関係、そういうふうな意味から、しっかりとできるだけ誠実に、本当に真剣に調査をしてお答えすること、そして自らも律しながら職に一生懸命努力すること、こう思って今日まで参りました。

○福山哲郎君 全く答弁になっていないんですが、質問すると長く答えられて逃げられますのでこれ以上はしませんが、先ほど大島大臣が重要なことを言われました。
 先ほど大島大臣が言われた空調企業からももらっていないと言われましたが、やはり宮内氏の妻は月十万ずつ、これは振り込みで入っています。その事実だけ申し上げて、今後この予算委員会、さらには衆議院の方でも詰めていきたいと思います。
 それともう一つ。実は大変大きな問題がもう一つあります。これは、実は参議院選挙における清水達雄参議院議員の党費肩代わりの問題です。
 これは、いわゆる全宅連という宅地建物取引業協会連合会の政治団体から、選挙に対しまして、清水達雄議員の参議院選挙に対して党費を一億円肩代わりをしたという問題になっています。
 そしてさらには、その党費を一億円肩代わりしたことに加えて、後援会と党員を集めるに際して、何とキックバックの報奨金までを配ったという問題になっています。でたらめな問題でございまして、当時、自民党は比例代表選挙の公認候補者になるためには二万人以上の新規党員と百万人以上の後援会費の確保を条件としていました。正に、そこの数字に合致する状況で、後援会費は百十三万人、党員は二万人で、その党費を肩代わりをし、そしてこれに対して報奨金を出したという事実でございます。
 この問題は、党費の肩代わりは政治資金規正法違反、そして報奨金を出したものに関しては公職選挙法の買収罪に当たると思いますが、総務省と法務省、簡潔にお答えください。長く答える必要はありません。簡潔にお答えください。

○政府参考人(高部正男君) 二点お尋ねがございましたけれども、個別の事案につきましては具体の事実に即して判断されるべき、かように考えておりますので、お答えは差し控えさしていただきたいと思います。

○政府参考人(樋渡利秋君) ただいまの最初のお尋ねの趣旨は政治資金規正法二十二条の六、次のお尋ねの趣旨は公職選挙法二百二十一条の各違反の成否に関する御趣旨だというふうに理解しておりますが、政治資金規正法二十二条の六の第一項は、本人の名義以外の名義又は匿名で政治活動に関する寄附をする行為を禁止し、また同条第三項はこのような寄附を受ける行為を禁止しているものであると承知しており、公職選挙法二百二十一条は、当選をさせるなどの目的で選挙人又は選挙運動者に対して金銭を供与し、又は供与の約束をしてはならないというふうに規定しているというふうに承知しております。
 ただ、各お尋ねにつきまして、具体的事件における犯罪の成否は収集された証拠に基づいて司法の場において判断されるべき事柄でございますので、法務当局としてもお答えをいたしかねると思います。

○福山哲郎君 甚だ誠意のない答弁でございますが、じゃ、提出された資料に基づきと、証拠に基づきということですので御提示をさせていただきます。
 この不動産政治連盟というのは、宅建協会と宅建保証協会と一体となっています。なぜならば、会長も所在地もすべて同一でございます。社団法人である公益法人がこのような形で政治的に自民党と一体となっていることがいいかどうかという問題はあるにせよ、これを見てください。
 平成十年が選挙の年です。平成九年六月、全政連という不動産政治連盟と自民党の全国宅建連絡協議会というところが連名で、清水達雄議員の党員獲得のお願いというのをまず出しています。これがまずその一つの証拠です。そして、この最後の文章のところに、なお、党員獲得に伴う政治活動費については前年と同様の扱いになりますといって、政治活動費をバックをすることをここにうたっています。
 更に申し上げれば、平成九年のそれが六月、平成九年の十月には、やはり現在の三団体の会長である藤田和夫さんという当時の幹事長から連名で、今度は後援会員の署名についての対応についてという案内があります。ここには、署名活動に伴う諸費用の一部補てんのため、当面、総額五千万円を計上し、獲得署名数に応じて後日、各県政連に支出する予定でありますというふうにしっかりと表記がしています。
 更に言えば、その平成九年、選挙前の十月です。これは見事です。全国不動産政治連盟と自民党全国宅建支部連絡協議会が連名で、やはり後援会の署名活動のお願いをし、裏返しをすると、別に私が両面コピーをしたわけではありません、裏返しをすると、清水後援会便りということで選挙の依頼がなっています。
 つまり、先ほど申し上げたように、肩代わりをしたということと、バックをしたということの証拠がはっきり残っており、更に申し上げれば、ここにもう一つあります。
 自民党の新規党員募集要項という不動産政治連盟の支部である東政連というところの募集要項に書いてあるんですが、ここには何と、なお、党費、一般四千円、家族二千円の本人負担は不要ですと書いてあります。党費の本人負担は不要ですと書いてあります。
 つまり、参議院選挙に向けて、肩代わりをし、報奨金を出したということは、これ見事に物があるわけですが、これを聞いて、法務省、いかがですか。

○政府参考人(樋渡利秋君) 繰り返して恐縮でございますが、具体的事件におきます犯罪の成否は、収集された証拠に基づいて司法の場において判断されるべきものだと思っております。

○福山哲郎君 刑事局長、そしたら、これは捜査に入るか否かに関してはお答えください。捜査に入るか否かについて、調査の対象になるかどうか、お答えください。

○政府参考人(樋渡利秋君) 捜査の具体的な活動に関することでございますので答弁は差し控えさせていただきますが、一般的に申し上げますれば、検察当局は犯罪があると思料すれば適切に処理するものというふうに考えております。

○福山哲郎君 そして、この党費の肩代わりというのは、実は出した方だけではありません。受け取った方も政治資金規正法の違反になります。受け取った方というのは、もちろん自民党でございます。
 そして、更に申し上げれば、小泉総理、自民党総裁としての、まず党としての責任はもちろんありますが、総理自身も、神奈川県不動産政治連盟より自民党神奈川十一区支部に総理大臣就任祝い金として百万円受け取られています。
 総理、総裁として、これだけ肩代わりをしたこと、それから業界団体丸抱えの選挙をされたこと、報奨金を出したこと、どうか責任を、総裁としての責任も含め、お答えをいただけますでしょうか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今、初めて知りましたけれども、正規の手続に乗って政治献金も私はいただいていますので、それ以上お答えしようがございません。

○福山哲郎君 肩代わりについてはいかがですか。今の、肩代わりと報奨金について。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 肩代わりしているかどうか、私は全く知りません。

○福山哲郎君 今の審議は聞かれましたよね。今の審議を聞かれて、じゃ、いかがですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いや、よく調べないと。肩代わりというのはいいことじゃないですよね。

○福山哲郎君 じゃ、総理、この件については、調べて、今国会中に御報告をいただけるように御答弁いただけますか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) どういう事実かというのはやっぱり調べて、しかるべき対応をするべきだと思っております。

○福山哲郎君 今のは、調べて、調査をして報告されるというふうに受け取ってよろしいんですね。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) はい、調査いたします。

○委員長(陣内孝雄君) 時間が参りました。

○福山哲郎君 じゃ、これで終わります。

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第155国会  参議院  環境委員会  2002年11月7日

東京大気汚染公害訴訟第一審判決について

○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。小川委員に引き続きまして質問をさせていただきます。
 まず冒頭、鈴木大臣、弘友副大臣、望月政務官、御就任おめでとうございます。大変厳しい状況の中で環境行政に携わるということで、御健闘と更なる御努力を心より御祈念というか激励をさせていただきます。どうかよろしくお願いします。
 小川委員が非常に大所高所から立たれた質問をされました。私は、少し各論でお話を伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 正に十月の二十九日、東京大気汚染訴訟の判決が出されました。大変厳しい国にとっても判決だったというふうに思いますが、実は大臣がこのとき海外御出張でいらっしゃいませんでした。普通ですと大臣のコメントが、談話が出るはずなのですが、この日は環境管理局長の談話ということで出されました。私は、海外に御出張中ですから、そのことについてとやかく言うつもりはございません。ただし、国会で初めて訴訟後でございますので、あの当時はまだ判決の詳細が分かっていないというようなこともあると思いますし、余り具体的なコメントは環境省から出ておられないんですが、是非、訴訟後初めての国会の場で環境大臣にあの判決に対するコメントをいただきたいというふうに思います。

○国務大臣(鈴木俊一君) 判決につきましては、これを重く受け止めておるところであります。
 十月二十九日の判決でございますけれども、主に道路設置管理の瑕疵があるということで、七名の方々に損害賠償を認める判決が言い渡されたわけであります。裁判という法的手続でございますから、これからそれに対応をしていかなければならないわけでありますが、現在この判決に対する、国としてどうするのか、今、関係省庁と協議を進めているところでございます。
 いずれにしても、環境省としては、この都市部におきます、特に都市部におきます大気環境汚染、これの対策というものを、今までも取り得る限りの努力はしてきたつもりでございますけれども、今後一層大気環境の改善のための総合的な対策を推進してまいりたいと、そういうふうに思っております。

○福山哲郎君 余り局長のコメントからは前には出ていないんですが、検討中だということで、是非早急に結論を出していただきたいと思いますが、今日は国交省も呼ばしていただいています。国交省からも判決に対するコメントをいただければと思います。

○大臣政務官(岩城光英君) 私どもも今回の判決、大変重く受け止めております。今回の判決では、道路交通環境対策において、道路管理者が健康被害を常に予見して、これを防止するためのあらゆる手段を講じることを求めております。このことは、今後の道路整備に重大な影響を及ぼしますことから、厳しい内容のものと受け止めております。
 国土交通省としましては、道路交通環境の改善、このことは喫緊の課題だと認識しておりまして、その改善に向けまして今後とも関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 第一に、発生源である自動車単体の対策、これは低公害車の開発普及等が例に挙げられるものと思っております。
 二番目に、環境負荷の小さい交通体系の構築であります。例えば、パーク・アンド・ライド方式等を利用して、バスとかそれからモノレール、さらには新しいタイプの路面電車、こういった公共交通機関をより利用促進していく。さらには、健康に良いとされております自転車、これの利活用を図っていくための自転車道の整備を図る。また、海運とか鉄道の活用等が挙げられます。
 第三は、環状道路あるいはバイパスなどの道路ネットワークの整備、そして交差点立体化等、ボトルネック対策等の交通流対策、こういったものを総合的に実施する必要があると認識をしております。
 引き続き、本件訴訟の背景となっております大気環境の現状を踏まえまして、道路交通の環境対策について一層の推進を図ってまいりたいと、このように考えております。

○福山哲郎君 大分具体的にお答えをいただきましてありがとうございます。
 そして、この判決が出ましたその日でございますが、東京都、やはり被告でありました東京都石原都知事が会見をされています。
 国の対応を見ていると原告の怒りはもっとも、国がほったらかして済むことじゃない、解決の手っ取り早い手だては国が排ガス規制を強化し被害者救済を考えること、事の重大さが分かっていないのは政府の役人だけと、大変言葉きつく政府の対応を批判をした後に、控訴をしないということをいち早く発表されました。
 さらには、国による被害者救済制度の創設や、三環状道路等を早急に整備をすること、不正軽油撲滅・脱税摘発、低硫黄軽油の供給拡大、さらにはNOx・PM法の規制開始時期を当初予定どおりに実施するという等について今後国に対して求めていく旨の発言があって、さらには会見資料としても配られております。
 このことに対して、環境省並びに国交省はどのように受け止められているのか、お答えいただけますか。

○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほど申し上げましたとおり、裁判という法的な手続がなされているわけでございまして、今、国といたしましてはどのように対応するのか、その判決内容を十分に検討しながら、関係機関とも協議をし対応を決定することといたしております。
 東京都の対応に対する私の考えということでございますが、これは東京都としての一つの判断を示されたということでありまして、私がその判断をされたことに対してコメントするのは差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、先ほど申し上げましたとおり、環境省といたしましては、これからも大気汚染防止の対策を進めていくわけでございますので、その中で東京都の提案と申しますか、述べられたことにつきまして適切に考慮をしてまいりたいと、そういうふうに思っているところでございます。

○大臣政務官(岩城光英君) 国土交通省といたしましては、東京都知事が判決後の記者会見の中で控訴しない旨発言されたことは承知しておりますけれども、これはあくまでも都知事としての判断でなされたことと、このように受け止めております。
 その中で、例えば国への要求事項、幾つかございましたが、例えば三環状道路等の早急な整備、こういったものも要望されているわけでございます。
 東京二十三区内の平均走行速度、これは現在時速約十八キロなんですね。これを例えば仮に十キロ向上させることになりますと、排出される窒素酸化物を約二割削減することが可能になります。このように、渋滞解消により走行速度を向上させることが特に大気汚染の解消に大きく資するものになると、このように考えております。
 例えば、東京二十三区を通過する交通量でございますが、内々交通、二十三区内での交通、あるいは内外交通、二十三区内とほかの地域との交通、あるいは二十三区内をただ通過するだけの交通、三つに分けてみますと、難しいというか、詳しい数字については触れませんが、内々交通が四九%、内外交通が三七%、そして通過交通が一四%と、こういう数字が出ております。
 したがいまして、この都心部での通過交通一四%、これが走行速度の低下につながっており、また渋滞の原因になっていると、このように考えておりますことから、三環状道路等の道路ネットワークの整備が最も基本的かつ根幹的な施策であると、このように考えておりまして、今後こういった道路の整備につきまして道路交通環境対策の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。

○福山哲郎君 大変申し訳ありませんが、御丁寧に御答弁いただいたことに関しては感謝申し上げますが、そうやって国交省の利益にかなうところだけピックアップをして議論をされると、やっぱり非常にこれは議論としてはまずいと思います。
 要は、今回大気汚染の、僕、別にこれ質問する気はなかったんですが、公害訴訟の中では被告の道路は国道や首都高速道路や都道で十三路線、十九路線、七十二路線、これが網の目のように合わさってそこから被害が増え続けているわけです。国交省がずっと議論をしてきた、渋滞解消のために道路を整備するといった結果が逆に交通量を増やし、そして国としては、結果としては裁判で判決で五連敗している状況なわけです。
 ところが、今私が聞いたことに対したときに、三環状道路の早急に整備をすることだけ取り上げて早々に渋滞解消が必要だという議論を組み立てること自体、判決どうやって重く受け止めているんですか。政務官でしたっけ、政務官お答えください。

○大臣政務官(岩城光英君) おただしでございますけれども、国への要求事項のうち幾つかの指摘がありまして、それで私どもの考えをということでございましたので、この三環状道路等についてお答えをいたしたわけでありますので御理解いただきたいと思います。

○福山哲郎君 昨日、レクで政府委員の方が来られたときに、正式な申入れはないというふうに言われたんです。じゃ、正式な申入れがなくて答えられないのであったら答えなくて結構ですと、そういうふうに正直に言ってくださいと私は申し上げました。ところが、今、政務官がそうやって正直にお答えいただいたことに対して、私は先ほど申し上げました、真摯に受け止めているけれども、それだったら残りの四つの項目についてお答えください。
 例えば、被害者救済制度、規制開始時期の当初予定どおりの実施、不正軽油撲滅・脱税摘発、低硫黄軽油の供給拡大、こういったことに対しても真摯にお答えください。一つだけとらえて答えるというのは僕はけしからぬと思うな。

○大臣政務官(岩城光英君) そうですね、私どもそこまで打合せしていなかったものですから。例えば、国によるこの被害者救済制度、この創設につきましては、これはあくまでも被害者に治療費等を補償する制度として公害健康被害の補償等に関する法律がありまして、この制度につきましては環境省の所管でありますので、国土交通省としてはこれはお答えする立場にはないと、このように考えております。

○福山哲郎君 つまり、こういう議論が積み重なってきたから、実はNOxについてもSPMについても減らなくて、患者の被害が減っていないんじゃないですか。NOx法の改正のときも議論はありました。もう蒸し返しませんが、旧建設省と環境省の間で覚書が交わされて、道路行政については環境省は文句を言わないという覚書が事前にあって、それは破棄をされました。
 いまだに今の国交省の話と環境省の話というのはずれているわけです。国交省は、相も変わらず渋滞が解消するために道路整備しますといっているわけです。その結果が、実はこれだけ東京で網の目のように道路が、もう言ってもしようがないですが、でもそこのスタンスは変えてもらわないといつまでたっても患者は減りませんよ。
 大臣、どう思われます。今の国交省の議論を聞いて。鈴木大臣。

○国務大臣(鈴木俊一君) 国交省政務官から三環状道路等の早期整備というところに特に力を入れてというと変ですが、特にそこに御発言があったわけでありますけれども、環境省といたしましては、いずれ環境アセスメント等をしっかり行って、そうした面での得失というものをまず考えなければいけないと。初めに道路建設整備ありきではなしに、しっかりした環境アセスメントをするということが大切であると思っております。

○福山哲郎君 大臣、大変勇気のある答弁、ありがとうございました。
ちょっと根本的なことをお伺いします。済みません、国交省がああいうお答えだったので全然予期しない発言をしまして。東京大気汚染訴訟、その判決が出されましたけれども、この東京大気汚染というのはそもそも公害ですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 東京におきます大気汚染の状況でございますが、これは人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準であります環境基準の達成率というものを見ましても非常に低い状況にございます。
 そういう意味では、一般的な意味では公害に係る事象であると思っておりますが、公害ですかということで、厳密に環境基本法の公害に相当するかということでございますのであれば、環境基本法では、これは大気の汚染などによって人の健康に係る被害が生ずることという定義になっておりますので、被害が生じるというところまで確認する知見は、現在のところまだそこまではないと思っておりますけれども、いずれにしてもこれを手をこまねいている事態ではございません。公害の防止を行うべき対象事象であるというふうに思っております。

○福山哲郎君 環境基本法の二条三項、公害の概念があるんですが、今正に局長言われたみたいに公害の定義は、「人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。」と、状況なんですが、これ判決で七人の方が損害賠償請求認められているということは、これは被害が生じているということにはならないんですか、局長。今、被害が生じているという知見がないとおっしゃいましたが、そこはいかがなんでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 判決におきましては、幾つかの知見の中からこれを究極的に判断、裁判においていずれかに判断するということでございまして、この七名の方については沿道の大気汚染との因果関係を認められておりますので、判決の考え方は被害が生じているということであろうと思っておりますが、この点につきましては私どもの政府の今までの主張してきた点と異なっております。
 したがいまして、この判決の対応につきましての検討の中では、この点も検討すべき対象だというふうに考えております。

○福山哲郎君 何かよく分かりませんが、済みません、これはもう本当につまんない話で恐縮です。単に言葉じりをつかまえているだけなんですが、環境省が出した談話の発表のところにはちゃんと東京大気汚染公害訴訟判決に対する環境省の談話って書いてあるということは、この公害と今言われた環境基本法における公害とは別の言葉の公害ですか。
 これは、本当に済みません、こんな言葉じりつかまえるようなこと言いたくなかったんですけれども、今の答弁を聞いたので。これ、環境省が出している談話です。談話には公害という言葉が入っています。今は局長は、判決では被害が出たという話になりましたが、環境基本法の言う公害とは違うとおっしゃいました。
 この公害訴訟というのを、環境省が談話で出しているこの文言とは公害の概念、違うんでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 談話におきまして、その裁判の名称につきましての通称を用いましたのでさようなことになったというふうに思っています。
 ただ、ここで争われましたことにつきましては、例えば環境省が規制をする責任があるんではないか、公害防止という面も争われている訴訟でございますので、この訴訟につきまして通称を公害訴訟と言うことについては問題がないものというふうに考えております。

○福山哲郎君 よく分かったような分からないような話なんですが。基本的には、そうしたらその次お伺いします、公健法における被害者認定を八八年にやめられましたが、やめられた理由は何ですか。

○政府参考人(南川秀樹君) 昭和三十年代から四十年代にかけまして、工場を中心としまして激甚な健康被害起きました。それに対応するために公健法を制定しまして、著しい大気汚染によるぜんそくが多発している地域を第一種地域として指定して、そこに一定期間居住あるいは勤務、通勤しているとしてそのぜんそくなどの症状をお持ちの方に対して、因果関係を割り切った上で汚染原因者でございます工場などの負担により補償を行っておりました。
 しかしながら、ぜんそくというのは大気汚染のみならず、ハウスダスト、ダニ、花粉、たばこなど様々な要因がございます。その後の大気汚染の改善の状況の下、大気汚染がぜんそくの主たる原因とは言えないと、これまでの制度的割り切りを続けるということについての合理性が失われているということで、中環審答申を踏まえまして法律を変え、改正し、地域を解除したわけでございます。

○福山哲郎君 そのときに想定をされていた当該原因物質は、部長かな、何でしょうか。

○政府参考人(南川秀樹君) 主に硫黄酸化物、窒素酸化物などでございます。

○福山哲郎君 八八年のその公健法の改正で認定をしなくなったときの議事録ありまして、当時の堀内環境庁長官が、やはりこういうことを言われています。硫黄酸化物による大気汚染という問題がほとんど解決されてきたわけでございますと。御指摘のように窒素酸化物のものは、ほとんどずっと統計を見ても横ばいでございますと。つまり、むしろ硫黄酸化物の大気汚染はもう七、八年前にほとんどなくなってきている状態でありましたからということが書かれています。
 これは、今の南川さんが言われたことと合致をします。合致をしますが、しかしその後です。中央公害対策審議会でも、現在の状態では補償制度というものよりも、むしろ積極的に環境を良くする方法あるいは病気になられる方々を予防する方法を取るべきではないかという御意見が多数を占め、と。その後です。そしてこの一番もとにある、今度、次、新しい物質が出てきます。窒素酸化物の環境基準を下げるよう我々は全力を挙げていきたいと考えていると。つまり、硫黄酸化物は減ったと。これ、大気汚染は今のところ横ばいですが、今後、大気汚染の原因である窒素酸化物については全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに言われているわけです。その窒素酸化物が実は今回争点となったわけです。
 この窒素酸化物とSPMについては、御案内のようにNOx法の中で全く二〇〇〇年まで環境基準を達成できないで、今回、つい一年か二年ほど前、NOx法の改正という議論があったわけですね。つまり、公健法の打切りの元々の原因物質である硫黄酸化物は減っているけれども、新たなぜんそくのもとになる窒素酸化物やSPMについては全力を挙げて減らしていくから補償をなくします、認定をなくしますという議論の組立てが八八年だったわけです。
 ところが、現実には、八八年から二〇〇〇年まで全くNOxについてもSPMについても減らないで、被害者は出続けたわけです。こういう状況の中で、判決で、先ほど申し上げたように国は五回連続負けている。国の責任は問われている。そうなったら、やはりこの公健法の見直しなり、被害者認定制度の見直しなりに踏み込んでいかないと、これはやっぱり不作為だと言われても仕方ないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(鈴木俊一君) 今の経緯のお話がございましたが、やはり基本的なことを申し上げますけれども、大変ぜんそくで苦しんでおられる方がいらっしゃいます。大変、私もそういう方に対してはお気の毒であると、そういうふうに思うんでありますが、お気の毒であるからお金を差し上げるという具合にはこれはなかなか国の制度としてはならない。そこにやはり因果関係、科学的な因果関係というものが明確にされなければいけないというふうに思っております。
 いろいろ私も専門的な話は、十分これは理解をし得ない部分もございますが、専門家の皆様方の話を間接的にお伺いをいたしますと、今のいろいろな調査をしておりますけれども、今まで得られた知見の中では、そうした物質の今の濃度の状況と、それからぜんそく、疾病の発生との因果関係といいますものが科学的に結び付くことができないと、そういう話でございますので、まずは、私としてはそうした調査を、科学的な知見を求められる、因果関係について求められるそういう調査を今後更に急いで進めることが重要であると、そういうふうに思っております。

○福山哲郎君 東京都は、国の公健法の認定以外に条例を作っています。十八歳未満で、これはもう有名な数字なのでもう何回も言いませんが、一九八八年、一万八千八百二十二人、二〇〇〇年度は五万一千百二十二人、東京都の条例で言うと実は三万人も新たな患者が増えています。
 それと、今、大臣は、基本的には知見がないから調査をしたいとおっしゃいました。ところが、今回の判決で重要な点が一点あります。それは、御案内のように、この判決では未認定者に国の損害賠償が求められました。つまり、国は大気汚染の因果関係は認められないから八八年から認定はしませんよと言ってずっと認定してこなかった。認定してこなかった間に東京都の条例では実は三万人認定者が増えている。
 さらに言えば、今回、たった一人とは言いながら未認定者に損害賠償の請求を求められるということは、この十二年間の間に大気汚染がずっと継続してあったということの私は証左ではないかというふうに思っているわけです。未認定ということは、国の理論でいえば大気汚染はないんだというのが国の理論です。大気汚染と被害者の間の因果関係はまだ明らかでないというのが国の議論ですが、その前提を覆す未認定の人が国に対して責任を求めることを認められたわけですから、これは、この十四年間ぐらいですか、八八年から含めて大気汚染があって、そこに被害者が出ているというそこは証拠ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○政府参考人(南川秀樹君) ぜんそくなどの呼吸器系の疾患につきましては、医学的に原因が特定できないと、非特異的な疾患でございます。
 今回の判決で認められた方につきましては、ぜんそく患者であって、交通量がお昼の十二時間で四万台以上、大型車の混入率が相当に高い沿道の両側五十メートル以内に居住又は通勤していることという外形的な判断基準を示しまして、これに該当する原告について、大気汚染を原因とする健康被害とみなして認めております。
 しかしながら、法的な救済制度につきましては、どの汚染物質にどんなレベルでどれぐらいの期間暴露すればどういう疾病が発症するか、他の要因を考慮しないまでの強い因果関係があるかどうか、また原因者をどう特定するかなど、十分な根拠が必要でございます。
 もちろん、私ども、今回の判決に示された五十メートルなどの考え方につきましては十分参考にした上で調査も進めていきたいと考えております。

○福山哲郎君 南川さん、御丁寧にお答えいただいたんですが、私の聞いたこととはちょっと違っていて、認定終了後も大気汚染は結局継続したということの証左にならないのですかとお伺いしたんです。未認定患者が今回損害賠償を認められたということはそういうことにはならないのですかとお伺いしています。

○政府参考人(南川秀樹君) 大気汚染があるかないかと言われると難しいんですが、少なくとも、一キロメッシュで大気汚染、NO2なりSPMの汚染状況を取りまして、それとぜんそくあるいは喘鳴、のど鳴りですが、そういった因果関係は調べておりますけれども、そこからは特段の相関関係は出てこないということでございまして、現状では明確な大気汚染による被害というものが把握できないということでございます。

○福山哲郎君 先ほどからこんな話ばかりして嫌なんですが、大臣、調査をしなければいけない、知見が不十分だとおっしゃいました。それは誠意をいただいているんだと思うんですが、先ほど私が八八年の議事録を御紹介をいたしました。
 その八八年の議事録の中に窒素酸化物の環境基準を下げるように我々は全力を挙げていきたいと考えていると。この八八年の公健法の改正のときの実は附帯決議にこういう附帯決議があります。
 主要幹線道路沿道等の局地的汚染については、局地的汚染です、その健康影響に関する科学的知見が十分でない現状にかんがみ、調査研究を積極的に推進するとともに、その結果に基づいて、必要に応じ、被害救済の方途を検討すること。今、南川さんと大臣が言われたことと同じことが実は八八年の附帯決議にこれ書かれているわけです。
 さらには、複合大気汚染による健康影響について、環境保健サーベイランス・システムを早急に構築し、地域住民の健康を観察して、必要に応じ、適切な措置を講ずることということも書いてあるわけです。
 これは、八八年公健法改正して認定をやめた時点で、要は、窒素酸化物の問題については現存するから、早々に調査をして、知見をためて、なおかつ窒素酸化物を軽減に努めるから、だから、認定はやめましょうと。元々の認定の原因であった硫黄酸化物については軽減してきたから、そこは理解をしてくださいと。ただし、SPMや窒素酸化物については調査をして知見をためて減らすようにしますから、認定やめましょうと言われているわけです。これ附帯決議もあるわけです。
 ところが、今これだけ判決で負けて、十四年たって、そして未認定者にまで損害賠償請求を求められた上で、今、大臣の御答弁は、知見が足りないから調査します。南川さんの話も、実はまだ十分ではないので、被害救済については検討しますと。同じことを言っているんじゃないですか、十四年たって、大臣。その間に患者の方が、さっき言ったように、十八歳未満だけで三万人も増えているんですよ。
 今回の訴訟だけでも何人の原告団がいらっしゃるか、もう大臣御案内でしょうけれども、一次から四次訴訟まで入れると、原告の数は五百五人、未認定者は百八十四人もいるんです。みんな途中で生活ができなくなったり、急に夜中に入院なったり、私も患者の方にお会いしました。いつ発作が起こるか分からないからいつも吸入器を横に置いていると。救急車で発作が起これば運ばれる、勤めていても途中で退職をせざるを得なくなる、結婚もできない、生活もできない。そういう状況の人がこの十四年間増えている状況で、今、環境省の答弁は、十四年前に想定していたことを全く、まあしていないとは言いませんが、同じ答弁をされているわけです。
 大臣、ここはやっぱりちょっと考えていただきたいと思うんですが、いかがですか。

○国務大臣(鈴木俊一君) 一九八八年から十四年たっているわけでありまして、私もこの話を聞いたときに、十七年から新たな調査をまたやるということで、どうしてこんなに時間が掛かっているのかと私自身も不思議に思いました。
 私も科学専門的なことは分かりませんが、お話によりますと、対象として、悪玉と、こう思っていたものがその後変わってきた、そういうこともありますし、それから調査をするといっても、これはもう世界のどこの国でもまだ始めていない調査でありますから、まず調査方法を、どういうような調査したらいいのか、その評価方法を一体どう評価したらいいのか。それから、いろいろやるための、例えば胸の辺りにバッジのようなものを付けたり、肩からいろいろそういう影響を把握する器械を付けたりして調査するんだそうでありますが、そういうものの開発をしなければいけなかった、何かもうそういう様々、言わば技術的な問題があったということを聞いております。
 しかし、一方において、患者の皆様方からとれば、十四年間大変そうした調査が、なかなか知見というものが出ないということについての思いというものは、大変これは大きなものがあろうかと思います。私といたしましても、この調査が早く進みますように努力をさせたいと思っております。

○福山哲郎君 政治家としての御答弁ですから、私は重く受け止めたいと思います。
 弘友副大臣、ずっと私、環境委員会にいて、公明党の副大臣がずっと続いています。公明党の副大臣の皆さんは、逆に言うと、こういう訴訟には本当に積極的にこれまでも参加をされてこられました。それで、なおかついつもこういう場では副大臣にも御答弁をいただきたいと思っています。
 これだけ患者が増えて苦しんでいます。今回、七人の方に損害賠償を認められましたが、認められない方の方が圧倒的に多いんです。その人たちは、自分らが認められなかった時点で人生先も真っ暗やみ、そんな状況で、また、これから始めて調査しますというようなことが環境省からも国交省からも、ましてや国交省はまだ道路を造るとか言っているわけです。これ、副大臣、今、鈴木大臣が非常に前向きな御答弁をいただきましたから、是非副大臣としてのコメントもいただきたいと思います。

○副大臣(弘友和夫君) 今、大臣御答弁のとおり、本当に症状を発症された皆様方に対して大変そのお苦しみといいますか、胸の痛む思いがあるわけですけれども。ただ、国としてそういう補償制度にしても、そういう制度を設けるということは非常に、先ほど来の議論にありますように、やはり何らかの科学的知見がないと、一番あれなのは、例えば東京都で、その症状がありますよと手を挙げられた方を、じゃ全部認めますよというような、そういうことでよければ科学的知見もないんでしょうけれども。国がやるからにはやはり科学的なそういう知見がなければ、判断するものがなければ、やはり何でもというわけにはいきませんので、今、大臣の御答弁のように、是非そこを進めて、調査研究をもう是非早急に進めて、一日も早くそういうことができるようにというふうに私自身も考えております。

○福山哲郎君 しつこいようですが、もう一度言います。
 十四年前に、科学的知見が十分でない現状にかんがみ、調査研究を積極的に推進するとともに、その結果に基づいて、必要に応じ、被害救済の方途を検討することということがあったという事実ですからね。今、当たり前のように、被害者がいらっしゃるから、調査をこれから早急に進めたいとおっしゃっても、実は十四年前にも同じことを言っているということだけは御認識をいただきたいと思います。
 その後、原告団が各自動車メーカーや道路公団、首都道路公団等に確認書をいただきに上がって、私のところにもその確認書の現物があります。ここには、各メーカー、トヨタさんとか三菱自動車さんとか日野自動車さんとか、さらには、これはびっくりしたんですが、首都高速道路公団が確認書を出されていまして、これは判こを押されています。その中では、「行政が新たな救済制度を制定する場合、社会的要請も踏まえて総合的に対応」すると。「当社は、行政が新たな被害者救済制度を制定する場合には、社会的要請も踏まえて総合的に判断して対応」すると。首都高速道路公団に至っては、「公団は、関係機関と被害救済制度の可能性について真しに協議する。」というようなことを確認書として出されました。
 これは、環境大臣並びに国交省はごらんをいただいていますか。

○国務大臣(鈴木俊一君) コピーを拝見しました。

○大臣政務官(岩城光英君) 私どももコピーは拝見しております。

○福山哲郎君 どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

○国務大臣(鈴木俊一君) 原告弁護団と自動車メーカーのしかるべき担当者の方の話合いの中で結ばれたということは、それは理解を、承知をしているわけでありますが、どういう趣旨、どういう経緯で結ばれたか、当事者間ではございませんので、その内容について直接申し上げるのは適当でないと思います。

○福山哲郎君 国交省はいかがですか。

○大臣政務官(岩城光英君) 国土交通省といたしまして、自動車メーカーの確認書につきましては、自動車メーカーとして今後の取組の方針等について原告の方々にお示ししたものと伺っております。
 それから、首都高速道路公団の確認書につきましてですが、これは、原告団の申入れについてお話を伺う中で、そのやり取りの一部を原告代理人が整理したものに対し、公団出席者の一部が署名したものであると、このように聞いております。

○福山哲郎君 その公団出席者の一部がというのはどういう意味なんでしょうか。

○大臣政務官(岩城光英君) 公団出席者の中の方がということです。

○福山哲郎君 首都高速道路公団、一応国交省管轄ですよね。

○大臣政務官(岩城光英君) はい。

○福山哲郎君 そこについてはどのように御認識されていますか。

○大臣政務官(岩城光英君) 認識といいますとどういうことでしょうか。

○福山哲郎君 いや、ですから、一部といっても、逆質問をしていいのかな、まあいいや……。

○委員長(小宮山洋子君) 福山さん、手を挙げてください。

○福山哲郎君 首都高速道路公団、総務部調査役、企画調整室調査役等の方がサインをされているわけですが、真摯に協議をするということは、それはもう国交省としても、それは一部の人がやったけれども、そこは真摯に協議をするんだなという認識でいいわけですね。

○大臣政務官(岩城光英君) その間のやり取りにつきましては、昨日の衆議院の方の国土交通委員会ではいろいろ論議があったようでありますけれども、私はその件について承知しておりませんので、今はお答えしかねます。

○福山哲郎君 昨日、私、事前通告しましたけれども。

○政府参考人(佐藤信秋君) お答え申し上げます。
 首都高速道路公団の理事長からは、内容について、内容についてですね、首都高速道路公団としてはできるだけ誠実に努力はしたいというふうにお返事をさしていただいたところではあります、公式な文書かメモかと、こういう御議論もありましたが、そういう意味では、公式な文書ではないけれども、内容については努力はしたいと、こういうふうな御回答があったということでございます。

○福山哲郎君 公式な文書かどうかというのは議論の余地があると思いますが、こんな状況で、メーカーも真摯に対応するという状況の中で、今までの議論全部ひっくるめて、先ほど私は公健法の改正について見直す気はないですかというふうに鈴木大臣に聞いたかな、もう一度聞かしていただきます。公健法の、要は被害者認定制度の見直しについて、大臣、見直されるようなおつもりはありませんか。調査をするとおっしゃったのはよく分かるんですが。

○国務大臣(鈴木俊一君) 繰り返しの御答弁で恐縮でございますが、そうした因果関係についての当否というものが明らかになった段階で判断すべきものであると思っております。

○福山哲郎君 そうすると、今議論が出ている被害者救済制度ということ自身は必要であるか必要ではないかということについて、環境大臣それから国交省、よろしくお願いいたします。

○国務大臣(鈴木俊一君) 今、とにかくその調査をして早く結果を、因果関係についてを考えるという段階でありまして、今私も、申し訳ないですが、ここでその当否を明らかにする段階と申しますか、私自身まだ確定的な考えを持っておりません。

○大臣政務官(岩城光英君) この話につきましては、先ほども私の方からお答えいたしましたが、国土交通省としましてお答えするものではないと、このように思っております。

○福山哲郎君 いや、都知事の話についてではないです。被害者救済制度というものについてどうお考えになられますかということです。

○大臣政務官(岩城光英君) 繰り返して、じゃ、お答えをいたします。
 被害者に治療等を補償する制度としまして公害健康被害の補償等に関する法律、これがあるわけでございますが、環境省の所管でありますので、この新たな制度の創設につきまして国土交通省としてお答えする立場にないということを申し上げたわけであります。

○福山哲郎君 同じことの繰り返しになりますが、済みません、大臣お答えください。被害者救済制度を作る上で、知見が足りないから調査を進めると、そこで判断するんだというふうにおっしゃいます。それはもうよく分かりました。ただ、そこで、現実に作る上ではどんなことが障害になるんでしょうか。それは知見が足りないと言われればそれはもう障害としては一番大きいものなんでしょう、今までの答弁から伺っていると。ただ、これだけ現実には被害者がいらっしゃって、で、調査をしている間もずっと実は苦しまれている方がいらっしゃる状況の中で、どういったことが被害者救済制度を作る上で障害となっているのか、もし言っていただける余地があれば御答弁いただきたい。

○国務大臣(鈴木俊一君) いろいろあるとは思うのであります。ただ、まだ具体的にそういう制度を創設するのか、しないのか、するとすればどういう規模になるのか、どういう範囲にするのか、これがもうまだ全く、何と申しますか、具体的な検討をされていない段階でございますので、何が障害になるかということも、したがって申し上げられないわけであります。
 今の時点では、やはり制度を創設するかどうか、その基本はそうしたぜんそくの疾病とこうした環境汚染、大気汚染の関係、科学的関係が、科学的に知見が得られるかどうかということに一に掛かっていると思っております。

○福山哲郎君 少し視点を変えます。
 東京二十三区のNO2の年平均濃度というのはどの程度でしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 平成十三年度におきます東京二十三区内の測定局での二酸化窒素濃度の年平均値の、それぞれの局の平均でございます。
 一般環境大気測定局は二十七局ございますが、それらの平均は〇・〇三一ppmでございます。それから、自動車排出ガス測定局二十七局で平均いたしますと、これは〇・〇四二ppmでございます。

○福山哲郎君 これももう何というか、さっきからの議論の続きなんですが、今の平成十三年度の、大臣お伺いして、いただきたいんですけれども、やっぱり〇・〇三一ppmと〇・〇四二ppmという平均が東京全体で出ています。東京全体ということは、汚染の薄いところもあり、もちろん濃いところもあるんですが、その平均が〇・〇四二、これはいわゆる沿道地域です。
 環境省は平成九年に、このNO2の平均濃度が実は〇・〇三〇、〇・〇三ですね、〇・〇三を超える地域のぜんそくの有症率、有症率というのはぜんそくにかかる率です、有症率がそれ以下の地域の有症率より高い傾向が認められると実は環境省自身が報告しているんです、〇・〇三で。今言われた沿道地域、一番道路から近いところは実は東京都の平均でもう既に〇・〇四二あるわけです。環境省は、平成九年に〇・〇三だと実はぜんそくの発症率というのは、それ以上だと大分上がるんですよということを環境省は実は認めていまして、これを報告をしています。
 つまり、先ほど言われている話とつながるんですけれども、平成十三年で既に平均で〇・〇四二ですから、濃度の高いところはもっとなわけです。で、環境省自身は〇・〇三でぜんそくの有症率は上がるんだよと実は報告されているんですね。さっき科学的知見が足りない、調査をしなきゃいけないとおっしゃっているんですが、環境省自身の報告書の中に実はこういう結果があるんです。で、二十三区域でぜんそくの方が年々増加をしているという実態もあるわけです。
 つまり、国は訴訟の側の、被告側ですから、判決等があってやっぱり立場があるのは僕も理解をしないわけではないのですが、先ほどから何回も同じ議論を繰り返しています。やると言った調査が十四年やっていない。さらには、環境省が平成九年に出した〇・〇三以上だとぜんそくは増えるんですよという報告に、優にそれよりも上の数値が出ている。さらには、NOxの環境基準を達成、二〇〇〇年までできていないという実態も考えて、是非この問題については大臣のリーダーシップで早急に作業を進めていただきたいというのをほんまに思うわけです。
 患者にちょっと直接に会うと本当にいたたまれなくなりますので、いつまでたっても物が前へ進まないのはちょっと余りにもお気の毒だというふうに思いますし、まだまだ訴訟も続きますし、そういう点で大臣、もう一言だけ御決意をいただいて、ちょっと早いんですが、ほかの質問もあったんですが、ほかへ行くとまた長くなりますので、大臣に御決意をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

○国務大臣(鈴木俊一君) いずれにいたしましても、東京都二十三区内を含む都市部の大気汚染の状況というものはいまだに改善が見られない。これについて裁判という形での法的な手続が取られておりますが、これについてはこれとして対応しなければいけませんが、今日、委員会で御指摘の様々なことも含めてこうした大気汚染防止のために更に努力をしてまいりたいと思っております。

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第154国会  参議院  環境委員会  2002年5月30日

「地球温暖化対策推進法改正案」 

○福山哲郎君 私は、ただいま議題となっております地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会及び日本共産党を代表して、修正の動議を提出いたします。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 まず、その趣旨について御説明申し上げます。
 地球温暖化は二十一世紀における最も深刻な問題の一つであり、先進国、とりわけ京都議定書を採択したCOP3の議長国である我が国は、率先してその対策に取り組む必要があります。
 しかしながら、我が国における温室効果ガスの排出量は増大を続けており、一九九九年度の排出量は基準年に比べ約七%の増加となっています。現状の対策のままでは、京都議定書で定められた六%の削減目標の達成は極めて困難であると考えられます。
 このような状況において提出された本改正案は、現行制度を実質的に変更するものではなく、目標を達成するには不十分であると言わざるを得ません。改正案の目的とする京都議定書の的確かつ円滑な実施を確保するためには、国民各層の温暖化対策への積極的な参加を求めるとともに、より実効性のある対策を盛り込むことが必要であり、本改正案の修正を行うべきであると考えます。
 次に、修正案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、京都議定書目標達成計画の策定に当たっては、あらかじめ広く一般の意見を聞かなければならないものとしております。
 第二に、京都議定書目標達成計画については、非常に重要な計画であることから、国会の承認事項とすることとしております。
 第三に、温室効果ガスの排出抑制とその実施状況の正確な把握の必要性から、一定規模以上の事業者に対して、温室効果ガス排出抑制のための措置に関する計画策定と、計画に係る措置の実施状況の公表を義務付けることとしております。
 第四に、地球温暖化対策地域協議会については、日常生活に関する温室効果ガス排出抑制にとどまらず、温室効果ガスの排出の抑制全般に関し、必要となるべき措置について協議できるものとしております。
 第五に、森林等による吸収作用の位置付けについては、温室効果ガスの排出抑制を実行することが基本であることに留意しつつ、森林等による温室効果ガスの吸収作用の保全及び強化を図るものとしております。
 以上であります。
 何とぞ、本修正案の趣旨を御理解いただき、委員各位の賛同を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

○委員長(堀利和君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、福山君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(堀利和君) 少数と認めます。よって、福山君提出の修正案は否決されました。
 次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(堀利和君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 福山哲郎君から発言を求められておりますので、これを許します。福山哲郎君。

○福山哲郎君 私は、ただいま可決されました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一、地球温暖化対策の推進には国民の参加と協力が不可欠なことから、京都議定書目標達成計画の策定に当たっては、パブリックコメントの実施はもとより、同計画の策定段階からの国民の参画が実質的に確保されるような場を設けること。
 二、地球温暖化対策地域協議会ができるだけ多くの地域で組織されるよう、その趣旨の周知を図るとともに、必要な支援措置を講ずること。また、同協議会については、その協議対象を地域住民の家庭生活における温室効果ガスの排出の抑制等に関し必要となるべき措置に限定することなく、当該地域における温室効果ガスの削減に資するまちづくりなど幅広く協議する場とすることを妨げないこと。
 三、本改正を契機として都道府県地球温暖化防止活動推進センターの指定が早急に行われるよう、未指定の都府県に対して強く働きかけるとともに、同センターの運営及びNPO活動に対する支援措置の拡充を図ること。
 四、現行法第七条第二項第三号に規定する政府の事務及び事業に関する温室効果ガスの排出の抑制等のための実行計画が未だ策定されていないことは極めて重大であることにかんがみ、これを早急に策定すること。
 五、実効ある地球温暖化対策を推進する上で、各主体ごとの温室効果ガスの排出量の把握が重要となることから、国及び各地方公共団体、事業者等からの温室効果ガス排出量の把握、公表及び評価のあり方について検討を進め、必要な措置を講ずること。
   また、温室効果ガスの排出量の把握に資する各種情報の提供及び支援に努めるとともに、各種統計データについて、その共有化を進め、集計・公表の大幅な迅速化を図ること。
 六、森林等による温室効果ガスの吸収作用の保全及び強化に向けて、森林・林業基本計画等に基づく森林の整備等を着実に実施すること。
   また、そのための関係省庁による施策の連携を図るとともに、人的・財政的措置の拡充に努めること。
 七、本法及び京都議定書目標達成計画については、本法に規定されている見直し時期到来前であっても、随時見直しを行い、京都議定書に定められた我が国の温室効果ガス削減目標の達成のために必要な追加的施策を実施すること。なお、排出量取引等の京都メカニズムについては、これが国内対策に対して補足的であるとの原則に十分留意して、その活用のための国内制度のあり方の検討に当たること。
 八、温室効果ガス排出削減目標の達成状況を勘案しつつ、排出削減の実効性を高める上で考慮されるべき選択肢の一つとしての環境税等の経済的手法、及びそれらの導入のあり方等について国民各層の幅広い議論を行い、税制改革全体の中で検討を進めること。
 九、京都議定書に基づく地球温暖化対策の実効性を上げるため、世界最大の温室効果ガス排出国である米国に対し、あらゆる機会を利用して同議定書に参加するよう働きかけるとともに、今後、温室効果ガスの排出量が急増することが予想される途上国において、温室効果ガスの排出抑制措置が図られるよう、我が国としても可能な限りの支援を行っていくこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

○委員長(堀利和君) ただいま福山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(堀利和君) 全会一致と認めます。よって、福山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、大木環境大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大木環境大臣。

○国務大臣(大木浩君) ただいま御決議がございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力する所存でございます。
 以上です。

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第154国会  参議院  環境委員会  2002年5月29日

「地球温暖化対策推進法改正案」 参考人質疑

○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。
 今日は、参考人の先生方、本当にお忙しいところをありがとうございました。大変示唆に富んだ御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。
 手前みそながら、私は参議院の環境委員会のこの参考人の質疑は、大変本当にいい参考人質疑ができているなと思っておりまして、ずっとCOPを見てこられた佐和先生それから早川さん、そして環境の、本当に産業界で環境の先頭を切られた山路さん、そしてずっとやはりマスコミとして見てこられた横山さんと、バランスが取れていて、本当に二十一世紀の日本をどうしていくかということに対して、本当にいいアイデアをいただいていると思って喜んでおりまして、是非よろしくお願いします。
 私もCOP3から4、5、6、7とずっと現地に行っておりまして、今この状況にあることは感無量でございますが、実質にスタートするのは、ようやく始まったのかな、これからようやくスタートだという気持ちでおりますので、しばらくの間よろしくお願いします。座らせていただきます。
 まず、佐和先生にお伺いしたいと思います。
 佐和先生が、工業化社会からポスト工業化社会へということで、エネルギー多消費産業の比率がどんどん下がっているのはある種趨勢で仕方がないというようなコメントをいただきました。ただ、今の日本を見ると、その趨勢の中だからこそ逆に生き残りを懸けて日本の産業界というのは、そういうエネルギー多消費型の産業がある種こういった環境政策に対してはブレーキになっている部分があります。そこをどう解決していくかというのは、政治の役目ももちろんあると思いますが、そこについて説得することも含めて少し何かアイデアがいただければなというのが一点目。
 二点目は、炭素税の導入に対して先生がどう使われるか。政府がうまく使えればそれは効果があるとおっしゃいました。先生おっしゃられたように、例えば環境の技術に使う、一般財源化する、ヨーロッパのようにそれを不況下ですから社会保険のようなものに使っていくというふうに、いろいろ使用方法というのはそれこそ一杯選択肢があって、何に使うかということが、逆に言うと私は二十一世紀の日本をどう作っていくかの価値を導入することになるというふうに思っておりまして、先生は具体的に炭素税なら炭素税で集めたお金を何に使うかということに対してははっきりおっしゃられなかったんですが、そこについて先生の御意見を賜れればという二点、お願いを申し上げます。

○参考人(佐和隆光君) まず最初の御質問でございますが、確かにエネルギー多消費型産業というのは、例えば京都議定書の批准に対してもどちらかといえば否定的な態度を取られていることは事実であります。それは、確かに自らに対してそれだけの危害が、危害と言うと大げさですけれども、ダメージが及ぶからなわけですね。
 したがいまして、やはりスウェーデンが現にやっておりますように、例えばエネルギー多消費型産業に対しては、特に原料として使う石炭なんかに対しては課税しないとか、あるいはさっきも申し上げましたように、ボーダーメジャーというやつで、国境措置で、輸出する鉄鋼には税を払い戻すとか輸入する鉄鋼には水際で税金を取るとかいうような措置を講じて、それでそういうエネルギー多消費型の産業、鉄鋼を始めとする産業がルーザーとならないような最善の策を講じる必要はあると思います。それがそういう産業界の人たちを説得する一つの方便にもなるのではないでしょうか。
 それから二つ目の炭素税の使途でございますが、やはり私は、例えばこれは私の同業者である計量経済学者がモデルなんかを使ってよく計算している結果でございますが、実際、京都議定書の目標を達成しようとするならば、炭素一トン当たり三万六千円ぐらいの税金を掛けなくちゃいかぬ。三万六千円といいますと、税収約十二兆円です。第二消費税で、そんなに税金を掛ければこれはもう大変なことになりますよね。ですから、やはり軽めの税金を掛けて、例えば炭素一トン三千円の税金を掛ければ、そうすると今度税収一兆円ですね。
 その一兆円をどう使うかという問題なんですが、私は、やはり特別会計にはしなくても、いずれにせよ、それを原資にして政府が温暖化対策にそれを使う。例えば、さっき申し上げた自動車の燃費効率のいい車の保有税を軽減するとするならばそれの補てんに使うとか、あるいは新築家屋を建てる人に断熱材を壁に入れるということに対して何らかの形での補助金を出すとか、太陽電池を普及するための施策を講じるとか、そういうふうにして上手に使っていただければ、マクロ経済として見たときに、個人の消費支出は明らかに減ります、あらゆる物の値段が上がるわけですから、所得が一定とすれば。しかし、所得が消費者の懐から政府に移転したわけですから、その移転した所得を上手に使っていただければマクロ経済に対してはかえってプラスにもなるというふうに思っております。
 したがって、そういう意味では、温暖化対策に使って、税を掛けてそして化石燃料の消費を減らすという面と、それから実際に得た税収を使うことによって温暖化対策を進める、その両方が相まてば大変効果が倍増するというふうに思います。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
 早川先生にお伺いします。
 我々が議論しているときによく出てくる話は、日本は省エネ技術は行き着くところまで行っている、世界のトップランナーだからこれ以上は厳しいんだという議論と、更に言うと、ヨーロッパはヨーロッパ全体でやっているのでその排出削減に関しては有利な状況である、だからヨーロッパ、EUから我々は押し付けられたんだという議論と、さらに、先ほどから出ています経済成長に対してマイナスになるのではないかということと、アメリカが京都議定書に入らないことによってアメリカがフリーライドしてきて国際競争力が日本が落ちるのではないかという議論がある種のパターンとして出てきますが、現実にヨーロッパもずっと早川先生見てこられて、この省エネ技術とEUのことに対して、反論があれば是非御表明いただきたいと思います。

○参考人(早川光俊君) 日本の省エネ技術が世界水準でいいことは事実だと思います。ただ、ヨーロッパに比べてどれだけいいかというと、私どもの検討ではそうはなっていません。
 例えば、日本の六%削減というのは、日本の例えば一九九〇年からどの程度さかのぼった時点に戻ればいいかというと、決して明治とか大正とかではなくて、たった二年間戻せばいいわけですね。一九八八年のエネルギー消費量が六%削減ということになります。イギリスなんかは、どの程度戻すかというと、二十一年ぐらい戻さなきゃいかぬ、それだけ大変なわけですね。
 現実に日本の省エネ──省エネでもう一つは、これは佐和先生の方が詳しいと思うんですけれども、省エネ効率を見る場合に、為替で見るのか、それから消費者物価等で見るのかという問題があって、そちらで見ると決して日本がいいという結果は出ていないんですね。それで日本は、現実に産業界の省エネの原単位を見てもこの間やはり悪化しています。その悪化した原因というのは、不況で生産量が減っている部分がありますから、そこでどうしても原単位は悪くなるという部分はあるとは思うんですけれども、決して日本は省エネ率でEUに比べていいということでは僕はないと思います。
 それともう一つは、有利かどうかということですけれども、ヨーロッパも随分苦労されています。増えたり減ったりするいろんな国があって、それはEUという統合体で有利かといえば有利なんでしょうけれども、ただドイツとかイギリスがほかの部分を非常にしょってかなり苦労されている、そしてそのまとめも随分苦労されているというところはありますから、EUにとって決してこれが有利な議定書とは私は思っていません。先ほどの、イギリスの二十一年前という例を見てもそうだと思います。
 もう一つは、やはりEUは随分努力されています。ドイツは、例えば一年間に百七十万キロワット相当の風力発電を造りました。百七十万キロワットというと、原発一基以上、二基分ぐらいになりますけれども、日本の目標は三十万キロワットぐらいだと思うんですけれども、一年間にそれだけのものを造るというような努力はされてきている。それは市民も含めて、政府も含めてでしょうけれども、そういった努力の部分もやはり見ていかなきゃいかぬだろうと思います。
 やはりドイツという国がCOP1の議長国を引き受けるに当たっては、自分のところはこれだけやるんだという目標を作ってやられてきた、ドイツの産業界もボランタリー、要するに自主的行動でやっていますけれども、できなかったら協定に移るということで約束されている、そういう部分の努力をやはり我々は学ぶべきところは学んでいくべきだろうというふうに思っています。
 以上です。

○福山哲郎君 ありがとうございました。
 山路さんにお伺いします。
 山路さんも先進的なことをいろいろ発言をされておられまして、二十一世紀の経済は環境市場経済になるだろうというような御発言もいただいています。先ほどおっしゃられました、日本の企業が努力を一生懸命しているんだという御発言も私はそのとおりだというふうに思います。
 ただ、これも実は格差がございまして、これだけ景気悪化をしている中で中小企業等はなかなかそこにお金を回せる余裕がないと。更に言うと、先ほどから出ているエネルギー多消費型の産業とある種省エネを導入しやすい産業との間の格差がある、大企業と中小企業の格差、更には業種による格差があって、そこは非常に厳しいと思うんですよね。
 逆に言うと、フリーライドする企業が増えれば増えるほど一生懸命頑張っているところはマイナスになるということがあって、そこは難しいところだと思いますが、そこについてコメントがあればいただきたいというのが一つと、もう一つは、環境税なり炭素税の経済的措置に対しては先ほどのコメントで山路さんのコメントをいただけませんでしたので、そこについての何か御意見があればいただければというふうに思います。

○参考人(山路敬三君) お答えいたします。
 第一の、環境について産業界も努力しているところと努力していないところと、まだいまだというところがあるだろうということでございますが、そのとおりだと思います。
 今こういうような経済情勢でございますので、そちらの方で一生懸命回復を図っていて、環境まで手が回らないという企業もあることは事実だと思います。しかし、そういうところでありましても、環境を無視したらもう生きていけなくなるんだという考え方は同じでして、これから努力しようというところが増えてまいっております。
 それから、既に環境についてかなりのことをやっている大企業は、調達先、下請さんとか協力会社に対してやはり技術的な援助をして、そこの環境を改善していただいていくような、そういうこともやっておりますので、徐々にそれが浸透していくと思います。
 それから、今回、日経連と経団連が一緒になりまして日本経団連となったわけでございますが、そうなりますと、今まで経団連も大企業だけに目を向けていたと思うんですけれども、今度は中小企業にも目を向けていくようになると思います。その目も、我々日経連側としては経団連の方によくお願いしてございますので、そこで目を向けていただいて、財界全体としても中小企業も含めた形でこの環境の問題に取り組むようになっていくというように私は期待しております。
 それから、次の環境税のことでございますが、環境税につきまして、私は、私自身がもう少したってから考えようと思っておりまして、今のところは、よく言われるバッド課税とグッド課税とありますが、グッド課税の方、いいものを褒めるという方向の方で進めていくのがいいんではないかと思っております。ある時点でどうしてもバッド課税といいますか、環境税のようなものを入れていくということが必要になる時期もあるかと思います。そういう時期には、今皆さんおっしゃられたような非常にいい使い方をしていけば、それはそれで効果を発揮していくと思います。
 以上です。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
 じゃ、横山さんにお伺いします。
 私、この温暖化の問題は、国民の意識はそれなりに高まって、環境に対して危機感を持っている国民は増えていると思っているんですけれども、実はこの京都議定書とか温暖化に関しては、やたら専門的になり過ぎて、九七年のCOP3のときにあれだけ盛り上がったんですが、実はだんだんだんだん先がちょっと見えにくくなっていまして、国民にとっては。実際に自分が何をしたらいいのか、確かに今回の法案の中にもいろいろあるんですが、そこが実はちょっと僕はやみの中に入り掛けているのではないかなということを懸念をしておりまして、そこについてメディアの観点から横山さんに御意見をいただきたいのと、もう一つは、その第一ステップがやはり対策としては余り実効性のないものだというのを私も感じています。そうすると、やっぱり実効性が上がらないからといって、急に第二ステップ、第三ステップで強めの経済的な措置みたいなのが行われる懸念が逆にあって、そうすると、かえって反作用で政策的には実行に移しにくいのではないかということも懸念をしておりまして、今のことについての御意見と、最後にもう一個、アメリカの動向について横山さんが少し徐々に変わっていると今日コメントをいただきましたので、何か具体的な例があるんだったら教えていただきたいというふうに思いまして、よろしくお願いします。
○参考人(横山裕道君) 一点目ですけれども、確かに私もCOP5とか6なんかの中身を見ていますと、森林吸収をどうするかとかそういう問題なんですね。一般の方は、森林吸収って一体何だろうと。二酸化炭素は確かに吸収してくれるけれども、それで何で削減になるんだというようなことで、私も大変、COP5か6か忘れましたけれども、大変残念な思いをしたことあるんですね。せっかくあれだけ専門家が集まっているんだから、そういう専門的な議論以外に、地球環境というのはこういう状況だというものを何か世界に訴えるような方がもっと会議を盛り上げたんじゃないかというふうに確かに思いました。
 今でも京都議定書の中身も余り知られていないとか、徐々に確かに、いろんな一般の人たちが温暖化は深刻な問題だという意識は確かに高まっていると思うんですが、私はまだまだ足りないというふうに思います。政府の努力も足りないし、NGOは一生懸命やっているけれども、なかなか力を出し切れていないという面があると思います。そういう意味からいうと、一般の人に知ってもらう努力というものを、それはマスコミの責任でもあるんですけれども、もっともっといろんな面でやっていく必要があるんではないかというふうに思います。
 それから、第二ステップ、第三ステップで、あれですね、例えば第二ステップで温暖化対策税を導入するとなると混乱が起こるんではないかということで、私も、確かに急にドラスチックな政策を打ち出したらそういう面があるか分かりませんけれども、それもやっぱり政府がどういうように国民に訴えて、一般の人たちも今のままの生活では日本はもたないんだと、地球はもたないんだという理解に訴えてやっていって、例えば温暖化対策税で石油とかガスの消費について今までのように安くはないんだということで理解を求めれば、そんなに大変なことにはならないんではないかというふうに思います。
 先ほどのアメリカの件については、私が状況が変わったと言うのは、九・一一後はなかなか環境問題なんというのはカの字も出せなかったということで、何というのか、アメリカが離脱を表明したのに、国内世論でいやそれはだめだというようなことをなかなか言い出しにくかったと。ところが、今は九・一一後かなり落ち着いてきて、まだテロの可能性というものはいろいろ指摘されているわけですけれども、だんだん環境の問題も考える余裕が出てきたというときに、いろんな方面から訴える必要があるんではないかということです。
 それから、やっぱり政権が替わればがらりと空気が変わってくるんではないかという期待を私は個人的には持っています。

○福山哲郎君 いろいろほかにも聞きたいことが一杯ありますが、これで終わります。
 ありがとうございました。

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第154国会  参議院  環境委員会  2002年5月21日

「土壌汚染対策法案」(第2回)

【1.覚書問題(続)】
【2.未然防止〜神岡鉱山】
【3.事前措置命令】
【4.土地取引への影響】

【覚書問題(続)】
○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。江本委員に引き続きまして、質問させていただきます。
 前回の質疑、それから先週の参考人、それから今回の質疑を通して愛知委員、江本委員からも出てきましたように、この法案、大きく言って三つぐらい問題があると。まず未然防止の観点があるということ、それから土地の取引の流通にひょっとすると支障を来すかもしれないという点、それから十年の見直し期間が長過ぎるんじゃないかという点が与野党ともに出てきておりまして、そこに対して大臣からもかなり前向きな答弁をいただいているので、非常に有意義な審議が進んでいるとは思っているんですが、私は、前回申し上げました覚書の件について、まず質問したいというふうに思います。
 前回の審議で指摘をさせていただきましたように、今年の二月の十三日に環境省の環境管理局長と原子力安全・保安院長の間で覚書が交わされています。これは、いわゆる鉱山保安法に基づいた保安区域と土壌汚染対策法のバッティングに対しては、基本的にはこの土壌汚染対策法からは鉱山保安法の有害物質の部分に関しては除くというのが趣旨だというふうに私は判断しておりまして、具体的に申し上げますと、都道府県知事は鉱山保安法管理区域であることを確認すれば、いわゆるこの土壌汚染対策の調査を命じられる特定有害物質使用特定施設には該当しないということ。それから第四条の一項にある「人の健康に係る被害が生ずるおそれがある」というところの調査についても、鉱山保安法管理区域は該当しないことをこの覚書でお互い約束をしているわけです。
 前回の質問で、じゃ実際にこの土壌汚染対策法の水質汚濁防止法の特定施設とこの鉱山保安法の特定管理施設はどのぐらいバッティングするんですかと申し上げたら、バッティングはするけれども何か所あるかは分かりませんというお答えだったので、まずは、もうお調べをいただいているというふうに思いますが、水質汚濁防止法上の対象となって、なおかつ鉱山保安法の管理区域となっている、バッティングしている地域は何か所あるか、お答えください。

○政府参考人(西尾哲茂君) 水質汚濁防止法の届出情報を基に想定いたしますと、鉱山保安法とそれから土壌汚染対策法案の両方の対象となり得る有害物質使用特定施設が設置されている事業場、鉱山事業場というのは二十一か所というふうに想定しております。

○福山哲郎君 二十一か所あると。そうすると、この覚書で言うと、この二十一か所に関しては土壌対策汚染防止法については適用外だというふうに環境省は認めたというふうに言ってよろしいわけですね。

○政府参考人(西尾哲茂君) 鉱山につきましては、端的に申しますとこの二十一か所を想定しておりますが、これは鉱山保安法で適切に措置されている限り、この法律案の第三条、第四条の措置を実施する必要はないものと判断いたしまして、そのような趣旨に沿ってこの法案の実施に当たるということを確認したものでございます。

○福山哲郎君 私は後でこの覚書を交わしたことの是非は議論したいと思いますが、現実に鉱山保安法でどのように適用されているかとか、この管理区域がどのように汚染について措置をされているかということに関してやっぱり調べておかなければいけないと思ってお伺いをしました。ただ、正直申し上げて大変よくやられていると思います、行政の措置としては。ですから、今日、経産省原子力保安院の方来られていますので、現状、鉱山保安管理区域ではどのように措置が行われているか、お答えをいただけますでしょうか。

○政府参考人(佐々木宜彦君) 御説明させていただきます。
 鉱山保安法におきましては、事業者に対しまして坑廃水を地下に浸透させないような措置や使用終了後の鉱滓などの堆積場の覆土、植栽など、鉱害防止のための措置を義務付けております。
 さらに、国家試験に合格した鉱害防止係員を選任することを義務付けるとともに、鉱害防止係員による定期的な巡視検査、あるいは坑廃水の水質測定あるいは記録を義務付けるなど、環境リスクの管理を義務付けております。
 一方、国は、この鉱山法に基づきまして、鉱山保安監督部が鉱害防止義務の履行状況を日常的に確認し、問題があれば必要な措置を命ずるとともに、鉱山を廃止し、鉱業権が消滅した後も鉱害防止のために必要な設備を命ずることと法定されております。
 このように、土壌汚染対策法の一般法である土壌汚染対策法案と比べまして、鉱山保安法におきましては、鉱山の特性を踏まえて土壌汚染対策について具体的かつ詳細な措置を定めておるところでございます。
 これに加えまして、鉱山保安監督部という鉱山保安について専門性を有する特別の監督機関がこれまで厳格に監督を行っておりまして、鉱山については、鉱山保安法によりまして土壌汚染対策についてより的確な対応ができるものと考えております。

○福山哲郎君 ということで、私はある意味でいうとこの二十一か所については理解はしたんです。理解はしたんですが、少し気になることがありまして、鉱山保安法の二十六条では、鉱業権消滅後五年以内にはその鉱業権を持っている人に対して措置命令が下せるんですが、五年後は措置命令下せなくなるんですが、五年後はこの鉱山保安法の適用になるのか、それともこの土壌汚染対策法の適用になるのか、それはどちらなんでしょうか。二十一か所に関して。

○政府参考人(佐々木宜彦君) 先生今御指摘のとおりでございますけれども、鉱山保安法第二十六条では、鉱業権が消滅した後も五年間は、事業者に対し、危害又は鉱害を防止するため必要な設備をすることを命ずることができるようになっております。
 また、五年の間に命令をすれば、事業者は命令に基づく措置を将来にわたって実施する義務を負うこととなります。その実施状況については鉱業権者に対するものと同等の監督を行うことになります。
 なお、鉱業権消滅後五年以内に命令を課さなかった場合及び消滅後五年を経過した場合いずれにおいても、今鉱山法の適用についてはなくなるわけでございます。この場合には、なお土壌汚染対策が必要なことが生ずれば、土壌汚染対策法によって対策が取られることとなると認識しております。

○福山哲郎君 五年以内ならば鉱山保安法で、五年後の場合は土壌汚染対策法が適用されるということで、環境省よろしいですね。

○政府参考人(西尾哲茂君) 御指摘のとおりでございまして、鉱山保安法の監督下から外れました場合は、健康被害防止の観点からこの土壌汚染対策法案の適用対象になるというふうに考えていただいて結構だと思っております。

○福山哲郎君 それでは、現実の覚書の件に関して申し上げます。
 これは、覚書を取り交わした理由については今の話で僕は法律の実施上は理解はします。理解はしますが、現実にこれ法案の中に書いてありますように、今の実態というのは全く国民には明らかにならなくて、いつの間にかその二十一か所については適用外だということを省令で決められると。ましてや国会の審議が始まる前の二月に環境省と経済産業省の間で覚書を交わされて、法律の適用範囲に対してある種の解釈なりが行われて狭められていると。よく例が、こういう例が去年もありましたので、今回は適用上、理解はするんですが、こういうことが頻繁に行われるのは本当に立法府の私、一員としていいのかどうかというのは大変悩んでおりまして、そこについて、もし環境省、環境大臣、他省庁との関係もあるので難しいというのは僕も分かっているつもりですが、ただ、余り後ろというか裏で覚書が交わされて、それが国民に明らかにされないという前例が幾つも幾つも積み重ねるというのはやっぱり私は余りいいことではないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(大木浩君) 今、国会の立場からというお話もございましたし、やはり行政府としても、できるだけ法律を作り、全体としての全体像をしっかりと示すということは、これは一つ、ですから余りそれに、法律に書いていないところでほかのものがくっ付いておるというのは好ましいことではないと思います。
 ただ、たまたま、今の鉱山のことにつきまして、従来からの経緯もあったと。それから、鉱山法という一つの基本的な法律があって、その枠内で処理しておるということですから、勝手に、何というか、どっかの省庁あるいはどっかの局長さんが自分勝手にやるということではないということでありますから、これは省庁間、二つの省の中の、あるいは局の中の話合いということできちっと決めておいて、別にこれを隠すというつもりはないわけですからこうやって御説明をしておるわけであります。
 ただ、こういうものがやたらたくさんできますとやっぱり全体としての法律の、何と申しますか、意味というか、その姿とかいうものを理解する場合には分かりにくいということはありますから、そういう意味におきましては、今後、余りやたらにこういった覚書をくっ付けるということはやっぱり好ましくない。今後の方針としては、そういったものはできるだけ抑えるというのが好ましいことではないかと思っております。

○福山哲郎君 今、大臣から前向きに御答弁いただいたので余りこだわる気はないんですが、これは私、立法の、立法論として当てはまるかどうか分からないんですが、なぜ法律に、この鉱山保安法の適用外に関しては、適用外にするというようなことを附則等で書けなかったというのは、局長、何か理由はあるんでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 鉱山保安法につきましての扱いの実体的な理由は、今、経産省からも御説明ありましたように、鉱山保安法の方で随分経験も積まれてきて、万全を期することとされているということがございます。それから、これは、鉱山は従前からかねへん鉱害ということでいろいろ対策を講じられてきました。この土壌法が対象としております市街地土壌汚染という事例とは実際の事例として重なる事例も余り多くないのではないかというようなことも頭にありました。
 そういうときに、この法律を立案するに当たりまして、やはり新法を立案させていただきますので、私どもとしては法律上の適用除外の扱いは極力避けたいというのが正直な気持ちでございます。そういう中で、しかし、だから鉱山でやっておられた行政との調整をどう取るかというようなことで、法律の運用方法として整理するという道があるんではないだろうかということでございまして、法律に書くというのも一つのお考えとは存じますけれども、法律上の適用除外の扱いは極力避けたいというようなことで、今申し上げました運用方法の問題として整理させていただいたという次第でございます。

【未然防止〜神岡鉱山】
○福山哲郎君 なるべくこういったことは少なくするように御努力をいただきたいと思います。
 現実に、先ほどから出てくる未然防止の話に少し移したいと思いますが、未然防止の話が出たときに、大気汚染防止法や水質汚濁防止法等で未然防止の仕組みがあるからこの土壌汚染対策に関しては未然防止は入れないでいいんだというような議論がこれ審議の中ずっと来たというふうに思うんですが、例えば、これ鉱山保安法にも関係するんですが、三井金属の神岡鉱山について、これ排水等でかなりの汚染が見受けられているにもかかわらず地下水汚染の要は浄化措置命令が出されていないというふうに伺っています。これは、何で三井金属の神岡鉱山については水質汚濁防止法の措置命令が出ていないのか、理由をお答えいただけますか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 御指摘の神岡鉱山の地下水汚染につきましては昭和五十一年に判明したものでございまして、神岡鉱山の汚染した土中を地下水が通ってくる、それが電力の排水路、公共用水域内、電力の排水路にまず漏出するというような特異な流出形態の汚染であったと思います。
 そのようなことでございましたが、そこは鉱山保安法に基づく指導等によりまして五十年代にいろいろな対策が基本的に講じられました。その後もそれの維持、補修、管理といったような対策が継続して打たれているということでございます。
 そういうようなことでございまして、実は神岡鉱山につきましては、この問題だけではなく、各種の汚染対策が鉱山保安法に基づいていろいろ行われてきたということがございまして、実は水質汚濁防止法の浄化措置命令制度が導入されたときには、今申し上げましたような指導による措置はみんな一応講じられていたということでございます。しかも、この排水路から接続いたします公共用水域の高原川におきましては、その時点ではもう環境基準を満足して十分低い汚染物質の濃度であったと。そういう二つの事情から水質汚濁防止法の浄化措置命令の発動には至っていない、そのように理解しております。

○福山哲郎君 ということは、水質汚濁防止法上の水質浄化措置命令に当てはまるかどうかの調査等はされたということですね。

○政府参考人(西尾哲茂君) この排水路におきます汚染状況の把握、それからそこから出ましたところの公共用水域における汚染状況の把握をしております。もし、そこで問題があれば、御指摘のように、法律の適用という問題を具体的に議論をするという調査は必要だったかも分かりません。
 ただ、その時点で、その公共用水域では環境基準を十分満足していると、それからそれは実は具体的な対策はもう鉱山保安法で打たれているということでございましたので、その先の議論は進展していないというふうに理解しております。

○福山哲郎君 それでは、今ので神岡鉱山については水質の浄化措置命令が出ていないと。
 では、この水質汚濁防止法の中で、九六年改正がされまして、水質の浄化措置命令ができるというふうに改正が行われたわけですが、九六年以降今年までこの地下水の水質浄化措置命令が出された件数は何件ですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 毎年水質汚濁防止法の施行状況調査をしておりますが、法律に基づきます浄化措置命令が発動された事例は今までございません。

○福山哲郎君 ここは、実は先ほどから未然防止は水質汚濁防止法でやられていると、だからこの土壌汚染対策法では要らないんだという議論があるんですが、現実問題では、先ほど申し上げた神岡鉱山にしても、さらに現実に九六年に法案が改正されてから今まで水質の浄化措置命令が下されたことはゼロ件なんですね。これは、未然防止はそこでやるんだとずっと御主張いただいてきたこととどう整合性が取れるのかという話になると甚だ疑問でございまして、環境省は反論があると思います。なぜ水質浄化措置命令が出されなかったのか、お答えください。

○政府参考人(西尾哲茂君) 地下水の汚染が判明した場合、通常、都道府県では汚染原因究明のための調査等を行う、その上で指導等により汚染原因者に対応を求めるというようになっております。
 この指導というのは、言うまでもなく水質汚濁防止法の浄化措置命令制度を背景といたしております。あるいは、この浄化措置命令制度を入れましてから、その前後、地下水モニタリングということも強化して行っておるわけでございますので、そういうことで都道府県におきまして汚染を発見し、そしてそれを指導した場合は、ほとんどの場合、今日では汚染原因者において必要な対策がなされるということでございます。
 したがいまして、結果として、最後の手段といいますか、最後の強硬手段でございます法律に基づく命令の発動ということには至っていないという事例が大半ではないかというふうに考えております。

○福山哲郎君 要は、今のお話で言うと、事前に、発動の措置命令が出る前に、事前に指導してきれいにしているから最終措置はしなかったんだというお話になりますが、やはり九六年、通産省と、当時の通産省と環境庁、当時の環境庁で、水質保全局長と環境立地局長の間で恐ろしい数の項目に及ぶ覚書が交わされていますが、これは事実ですね。

○政府参考人(西尾哲茂君) この地下水質浄化命令措置を、制度を導入するに際しまして、特にそういう新しい制度を導入いたしまして、原因者に、原因者であったようなその特定施設設置者に対策を求めるということからいろいろな実施運用上の心配事があるということで、そういう諸点につきまして確認をいたしたということは事実でございます。

○福山哲郎君 この内容の正当性は別にして、例えばで申し上げると、知事は措置の実行で水質が浄化される十分な見込みがある場合には措置を発動していいと、若しくは、例えばそこの浄化するに当該施設の、何というか、汚染者が必要な資金負担能力がある場合のみ措置命令を課すとか、そういったことがずっと書かれているわけです。ある種のこれまた制約条件が一杯書かれているわけです。
 結果として、水質汚濁防止法に対する浄化措置命令というのはゼロ件なんですね。これが足かせになってきたかどうかというのは別の議論ですし、更に言えば、今の環境省さんの御議論で言うと、いや、それはちゃんとモニタリングをして、強化をして、事前指導をしているから措置を出す必要はなかったんだというお話になりますが。
 大臣ね、この法案では、先ほどから言っているように、未然防止の部分は水質汚濁防止法でやりますよと。現実には水質汚濁防止法では命令措置はゼロ件です。また、九六年も通産省と覚書を交わしていて、いろんな措置命令が出せない条件が課せられています。これ、同じなんですよ、構図としては。これはやっぱり僕は甚だ問題ではないかというふうに思っているんですが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(大木浩君) いろいろと覚書が交わされたその個々の案件の内容について、私、正直申し上げますけれども、十分に承知しておりませんけれども、一般論として、こういった覚書を交わしたのは、言うなれば行政官庁、二つの省の中で、自分たちの中で調整したということで、別に法律の意味をなくしようと思って、何か裏から、何か裏工作したというようなふうだということには私は受け取っておりません。
 ただしかし、そういったものがやたらに多くなるということは、結果として、何と申しますか、その法律がきちっと公開されて、内容が名実ともに公開されて、国民によく知らしめるということが行われないということについては問題があると思いますが、これやっぱり、やたらにそういうものがどんどん増えるということは先ほど申し上げたとおりに問題があると思いますし、基本的には個々の問題の内容によるとは思いますけれども。
 ですから、ちょっと、私もその一つ一つについてちょっと今コメントするだけのバックグラウンドの情報を持っていませんけれども、一般論として申し上げればそういうことだと思いますので、これやはり、全体として法律の意義とかいろんなことをうたっておるわけですから、それがきちっと守られるというか達成されるということのためには、やたらに覚書などでいろんなものを、何というか、法律の姿を少しでも変えるということは余り望ましいことじゃないということですから、今後とも十分注意してまいりたいと思っております。

【事前措置命令】
○福山哲郎君 分かりました。ありがとうございます。
 そうしたら、ちょっと具体的に聞きます。現実に水質浄化措置命令はゼロ件なんですが、先ほど局長言われました事前指導で対処してきた件数とか内容についてはどの程度ですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 毎年の事前指導等を行いました件数、それから行ったものにつきましての内容を直接把握するという形の調査ができておりません。ただ、全国の汚染事例調査を毎年実施しておりますので、これによりますれば、十二年度末までに原因が判明したような有害物質汚染事例が五百五十七件ございまして、そのうちの七割の三百八十六件につきましては、汚染原因者等によりまして、地下水を揚水して浄化をするとか、あるいは土壌ガスの吸引浄化をするなどの対策が実施されています。こういう事例につきましては、ほとんどの場合は都道府県と連絡をし、あるいはその指導に従って対策が講ぜられたものだと思っております。
 しかしながら、これが水質汚濁防止法を背景とした事前指導であったかということをきちんを跡付けるような形でその件数でございますとかその内容を把握するという形になっておりませんので、この点は今後、改善をしてきちんと把握をしていきたいというふうに思っております。

○福山哲郎君 大臣、今の答弁聞かれましたでしょう。五百五十七件あるんですけれども、それが現実に水質汚濁防止法の事前の指導かどうかは分からない、現実にはどの程度のものがあったのか分からないと言われていますが、外に出てくる公の公表はゼロ件なんです。確かに、事前指導で汚染が浄化をされればそれはある種の進歩だと思います。しかし、全くそこの地域の住民や周辺には分からないでそれはされるわけです、見掛け上は措置命令ゼロですから。それでなおかつ、今お話を伺うと、都道府県知事は把握しているけれども現実には環境省は把握していないわけです。それで、この議論の中では未然防止だ未然防止だという議論になるわけです。僕はこれはやっぱり、どう、何というか、前向きに考えようとしても少し納得できない。大臣、どうですか。

○国務大臣(大木浩君) 私も四年ほど前に環境庁長官をやらせていただきまして、四年たったんで、環境省になったんで、どこまでいろんな意味での環境省としての、何と申しますか、各地域の、日本各地のいろんな実情の的確なる把握というのができておるかということをもう一遍考え直してみましたけれども、正直申し上げまして、なかなか、あえて弱音を申し上げますと、人手不足ということもあって情報がそれだけ毎日緻密に取れないという面もあります。これはもう正直申し上げますが。ですから、これは確かに環境行政ということからいえば決して十分じゃないと。各都道府県にお任せしておいてこちらは全然分からないということでは非常に問題がありますから、そういう意味では、これからひとつ環境省としての、何と申しますか、情報をきちっと把握する、あるいは集めるという努力は今後更に強化してまいりたいと思っております。

○福山哲郎君 本当に大臣は前向きにお答えいただいているんですが、本当にこれからどれだけ実効性を上げていただけるかが重要なポイントです。
 先ほど申し上げましたように、何が問題かというと、事前の指導で行われるということはある種都道府県知事と当該汚染者の間でアンダーグラウンドの密室の中で全部行われるということです。先ほどの覚書にありますように、そこの汚染者の資金力や状況によって、それぞれに応じて判断がされるわけですから、適切な汚染浄化措置が行われているかどうかの保証は今のところ全くないわけです。そこに関して、やはり環境省としてはしっかりと目くばせをしていただかなきゃいけないし、もっと情報をきっちり取っておいていただかなければいけないし、この土壌対策法案というのを作って未然防止はこっちでやるんだと言ったからには、やっぱり全部アンダーグラウンドで、浄化措置命令はゼロ件だけれどもあとは内々でやりましたみたいな話は、もう本当にこの委員会で言ってきた情報公開の観点からも私は逆行しているというふうに思っておりまして、どうかここは前向きにお願いをしたいと思うんですが、局長、何らかの具体的な前向きな答弁いただけませんか。

○政府参考人(西尾哲茂君) まず、地下水の浄化措置命令でございます。
 これにつきまして、実際に汚染が判明した事例におきましては、それは対策をしないでほってあるということは都道府県で考えられません。必ずや何らかの形でできるときには事業者に指導をして対応を取らすということをやっているのだと思います。ただ、その事柄がこの水質汚濁防止法の権限との関係できちんと整理されて行われているかということにつきましては、元々、この水質汚濁防止法の措置命令ができる前からもういろいろな形で自治体は対応してきていますので、そういったものにつきましていろいろと指導をしているという理解になっていると思います。
 したがいまして、今後、水質汚濁防止法の施行状況の調査といったようなところで、この水質汚濁防止法を背景として事前調査をしたものはどういうものがあるのか、そしてその調査をした結果は水質汚濁防止法の求めるところに照らして正しい浄化をやっていなきゃいけないわけでございますから、そういうことをどうやって確認をした、あるいはどういう浄化対策を取ったというようなこと、これをどこまでどういう詳しい把握の仕方をするかということは詳細を今後詰めなきゃいけませんけれども、何らかの形でその施行状況調査という中でそういうことをきちんと取っていく。
 そういうことによりまして、都道府県の環境部局もそういう意識を持って、水質汚濁防止法を背景としながら自分たちは権限行使をしているんだ、あるいは事前指導をしているんだということをきちんと明確に意識をして行動ができるということにつながるのではないかと思いますので、そのような方策、改善方について努力をしたいと思っております。

○福山哲郎君 具体的な御答弁をいただいたんで今日は納得しますが、是非、本当によろしくお願いします。私は、環境省の努力を別に否としているわけではないんですが、やはりやっていただく限りは実効性を上げていただきたいという思いですので、そこのところは御理解をいただきたいと思います。

【土地取引への影響】
 それから、先ほど江本委員から大分詳しく審議がありました土地の問題について少しお伺いしたいと思います。
 今日は金融庁とそれから国土交通省もお呼びをさせていただいています。本案の土地取引の影響について金融庁並びに国土交通省は今どのように判断をされているのか、お答えをいただけますでしょうか。

○政府参考人(原口恒和君) 御指摘のように、本法の施行によって土地の動向に一定の影響を与えるということは事実だと思いますが、一方で、本法案は環境行政上の観点から重要な意義を有するものだと認識しておりますし、また、土地汚染対策に関しまして一定のルールが設けられるということは、これはプラスに評価できる点もあると思います。また、金融機関の融資判断とか、そういうことにつきましては基本的に企業の将来価値に基づいて行われるということで、土地取引等が直ちに、その影響はございますけれども、直ちに直結するということではないと思います。
 また、法案の成立を受けて環境省においても実施面でいろんな手当てをされるということも聞いておりますので、そういうことも含めまして、ただ一方で影響が出てくる面もあろうかと思いますので、金融行政の観点からも金融機関等に対する影響については注視をしていきたいというふうに考えております。

○政府参考人(岩村敬君) 土地取引への影響でございますが、最近、工場跡地の再開発等が盛んでございますが、そういう際に土壌汚染が見付かる、そしてその土壌汚染の状況によっては土地取引に当たって支障を及ぼすという、そういう事例も報告がございます。
 そういう中で、本法律が成立いたしますと、一つは、有害物質使用特定施設が建てられていた土地、また土壌汚染による健康被害が生ずるおそれのある土地についての土壌汚染状況の調査がされる、また指定区域の指定等の措置が講じられるということでございます。そういうことで、適切にこの法律が運用されるということが当然の前提ではございますが、そうなれば、土壌汚染に係る情報が開示される、そしてトラブルの防止が図られるということでございますので、土地の取引の安定化には資するものというふうに我々思っております。
 また、汚染の除去に当たって、一つは、汚染原因者が明らかな場合には汚染原因者に対しリスク低減措置の実施命令がされる、また土地所有者等がリスク低減措置を行った後に汚染原因者が明らかになった場合には土地所有者等が汚染原因者に費用を請求できるという、こういった規定もございます。そういう意味で、第一義的に汚染原因者がリスク低減措置等の負担を負うことになっておりますので、法が適正に運用されれば、汚染原因者に当たらない土地所有者等が過大な負担を負うことがない仕組みが整備されているものと理解いたします。
 そういうことで、今後、施行に向けて、土地取引に影響が生じないよう、今言ったような法律の適正な運用、情報開示も含めてですが、そういったことについて関係者と連携を図りながら新しい仕組みの周知徹底に努めていかなければいけないというふうに思っているところでございます。

○福山哲郎君 影響があるということは金融庁もお認めいただいたんですが、まだ分からないし、法律の適正運用を見るというのが大体のお答えだったというふうに思いますが、先ほど江本委員への大臣のお答えで、一時保有については一定の配慮というふうなお言葉を使われました。一定の配慮というのは非常に実は抽象的でございまして、一時保有をする立場でいうと、じゃ、二年が一定の配慮なのか、三年が一定の配慮なのか、転売するときに転売されるまでが一定の配慮なのか、さっぱり分からないわけですね。
 そうすると、明確なルールがない状況の中で、ずるずるずるずる土地保有をしたり、それからある種どこかで区切られていきなり土地の汚染の浄化命令が下されたり、逆に言うと非常に危うい部分も出てくると思うんですが、済みません、私は性格が悪いものでここまで詰めないと気が済まないので、少し大臣、お答えいただけますでしょうか。

○国務大臣(大木浩君) 具体的なことは今、局長からも説明してもらいますが、今たまたま具体的な案件が出てまいりまして、考慮をする、配慮をする、その気持ちがあるのかないのかというようなことが非常にかかわると思っておりますから、私は一定の配慮と申し上げましたけれども、今の進行状況につきましては局長から説明をさせていただきます。

○政府参考人(西尾哲茂君) 大臣が一定の配慮と申しました趣旨は、金融機関等が抵当権を実行して一時的に土地所有者となっている場合において、そのことを確認の上、都道府県知事は金融機関がその土地を売却した後にそれを取得した所有者に汚染除去等の措置を命ずることにしよう、そのことを政省令において規定をしようということでございます。
 今、先生御指摘のように、今申し上げた言い方は趣旨でございます。それでは、一時的に土地所有者となっているというのはどういう意味なんだというような事柄につきましては、何らかの形で、外形的にはっきりする形で決めていく必要がありますので、それは政省令においてきちんと考えようと思っております。
 ただ、どういうことをとらえますと一時保有になるのかという事柄につきましては、これはいろいろな取引の実態等々をよく片方で見なければいけないと思っておりまして、取引の円滑化、あるいは本当に一時的保有をするのでその人に義務を課するというのは余り意味がないというような場合が片方にありますけれども、他方で、これはやはり土地所有者にそれなりの責任を果たしていただかなきゃいかぬと、それをむやみに免脱するということではあってはいけないということでございますから、いろいろな実態をよく勉強した上で、そこはぎりぎりのところをきちんと線を引かなきゃいけないというふうに考えている次第でございます。
 その具体的内容につきましては、今後詳細に検討いたしたいというふうに思っております。

○福山哲郎君 金融機関の話が答弁の中でも出ているんですが、私は、抵当権の行使のときに、銀行が抵当権の行使でその当該土地を所有をして転売をするということは銀行法上ないんじゃないかと思っております、銀行は不動産取引できませんから。
 そうすると、金融機関の中でも、今ある一時保有をして転売をして、一回自分のものに取得するというのは、銀行ではなくて、恐らくなんですが、私はノンバンクとかがそこの対象になるというふうに思うんですけれども、金融機関という議論になってしまうと、非常にちょっと抽象的で、なおかつ非常に幅の広い議論になるので、今の一時保有の関係というのは銀行は当てはまらないように思うんですが、これは環境省に聞いていいのかどうか分からないんですが、いかがですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) まず、担当でございませんので、承知していることを申し上げますと、銀行は銀行業務をやるわけでございますから、不動産業務はやらない、これはそうでございますけれども、いろいろな債権債務の整理上、抵当物件を競落する等々、債権債務の整理上ある物件の保有者になることはあり得ることだと思っております。
 そういう面では、私どもは、いろいろな取引の形態において土地所有者がどなたになるかというのは、これはいろいろな法体系あるいは取引の中でいろんなケースがあると思いますが、いずれにしても、この土壌法の施行に関していえば、土地所有者というのは登記もされておりますので、そういう方は土地所有者であるとはっきりしております。で、その方に義務を掛ける。義務を掛けるんだけれども、しかし、土地所有というのは、その土地を用益しようとして所有しているんじゃなくて、たまたま金融、債権債務の整理上、形式的に一時的に所有者になった、そういうふうな場合にまで一々そういう人に実行せよといっても、土地利用の仕方も別に決まっていないしということで、余り合理的ではないんじゃないかと。
 そういうケースを考えておりますので、そういうケースがうまく特定されるように、よくよく詳細の整理をしていきたいというふうに思っております。

○福山哲郎君 金融庁、御答弁願えますか。

○政府参考人(原口恒和君) 先生の御指摘のように、金融機関というのは一般的には担保不動産を売却するわけでございますが、いろんなケースがございまして、貸出し債権の回収方法として、単純にそれを売却するより、自ら取得をして、何らかの形でそれを処分をするとか、あるいは他の再生方法と組み合わせていくということの方が債権回収の最大化ですとか早期の資金化にプラスであると判断した場合に、自己競落を行うということについては別段法律では禁止されておりませんので、一般的なケースということではございませんが、観念上といいますか、実際にそういうケースもあり得るということでございます。

○福山哲郎君 それから、要は、先ほど江本委員も言われましたけれども、私、善意の第三者にこれが汚染されているという告知もせずに売却をされたときの善意の第三者が、先ほど言われましたように、訴訟なり民事等で争ったときに、その善意の第三者が取得したときに、この法律に言われている求償権というのは一体どこへ求めるんだと。売られた相手なのか、それとも汚染者なのかというのもよく分からないんですが、それは局長、どちらなんでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 今、一時的保有土地のケースでのお尋ねでございますんですけれども、一時的保有土地で汚染が判明しているということであれば、ちょっといろんなケースがありますので全部の説明はできないと思うんですけれども、一時的保有土地だけれども汚染が判明した、しかし措置は、これは一時的保有なんで措置までやるのは勘弁して、次の本当の所有者にやってほしい、こういう状態のときは、通常はこの法律ではもう指定区域になって台帳にも載っている、こうなると思います。
 そういうことでございますので、それをお買いになる方はその台帳を見て、それを承知でお買いになるか、あるいは自分の取得するときにいろいろ条件を付けるかということはできるんだと思っています。
 それから、汚染が分からない状態のときに、実はこの問題は一時的保有者の土地に汚染があった場合という設例なんですけれども、もしか汚染が分からない状態のときには、いずれかのときにもし本当に汚染があったんだとすれば、措置命令を掛けられることはあるかもしれない。これは一時的保有者の場合であると通常の所有者の場合であるとかかわらず、潜在的にあるわけでございます。潜在的にありますものは、今後は実はやはり取引等の際に、そういうものを実際に将来、これは別にこの法律があろうとなかろうと、そういう汚染というものが出てきたときに、一体どちらの責任であるんだろうかというようなことは今後はだんだん整理をされていくんではないかと思っています。
 ただし、極端なケースでいいますと、一つは、売買に際してみましては瑕疵担保というものがございます。これは民法で通常一年、通常は二年の特約を付けているケースが多うございますので、売買が成立してから二年の間にそういう汚染が見付かれば瑕疵担保で請求できる。そういうことで請求できない場合は、そういうものを知っていながら隠して売ったとか、そういう責任があるということであれば、契約違反でありますなり不法行為でありますなり、そういうことで売り主に請求していくことは可能ではないかというふうに思っております。
 それから最後に、汚染原因者に対しては、これは不法行為に基づく損害賠償ということで、汚染原因者が結局自分の土地に対してそういうきずを付けて価値を下げたんだということを請求して、それが不法行為として認められるケースもあるというふうに考えております。

○福山哲郎君 もう時間がないので終わりますが、その汚染原因者は恐らくもう会社がつぶれたりなんかしているんでしょうからなかなか取れないだろうなというふうに思っていますが、とにかくこの法律、いろいろまだ問題点がありますし、江本委員おっしゃられましたように、とにかく十年と言わずに逐一見直しを含めてお考えいただきたいと思います。どうかよろしくお願いします。
 ありがとうございました。

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第154国会  参議院  環境委員会  2002年4月25日

「土壌汚染対策法案」(第1回)

【1.G8・日中韓環境大臣会合】
【2.台帳閲覧拒否と情報開示について】
【3.水濁法による特定施設と土壌法の対象数】
【4.住民からの申し出について】
【5.未然防止】
【6.覚書問題】


【G8・日中韓環境大臣会合】
○福山哲郎君 こんにちは。お疲れさまでございます。民主党の福山でございます。
 まずは、先日御報告をいただきましたG8と日中韓の環境大臣会合についての御報告について、大臣にお伺いしたいと思います。
 一つは、G8環境大臣会合においてアメリカ、ロシア、カナダ、イギリス及び欧州委員会の大臣等と意見交換を行いましたというふうに言われました。報告をされました。バイで、一対一でやられているというふうに我々も承っておりまして、特にアメリカの場合にはこれまでの経過がございますし、ロシアはどうも批准をちょっと延ばすというふうな話も入っておりますし、カナダも非常に重要なポジションですので、大臣がバイでアメリカ、ロシア、カナダとお話をされているその内容と、さらには京都議定書の批准を求められたのかどうか、少し詳しくお伺いしたいと思います。

○国務大臣(大木浩君) 先般のG8環境大臣会議で、米国、カナダ、ロシアとそれぞれ、全体の会議のほかにそれぞれバイの会談を行いました。
 まず米国でありますが、これはG8の前に四月の五日でしたか、向こうの環境次官、失礼しました、国務次官が参りまして、ハイレベル会議をやりまして、そのときも引き続き、すぐに入れないにしても、少なくとも枠組み条約の中ではひとついろいろと協力できることがあるんだということで、これはもう従来から続けておるわけでございますが、今回もそれを行いまして、それを前提にしてまたG8環境大臣会議に出席したわけでありますが、向こうのホイットマンという環境庁長官が出てまいりまして、結局内容的にはその延長みたいなことになっているわけですけれども、東京で行いました日米環境大臣レベル会議の後を受けて、今度はもう一回カナダで会議をやったというわけでありまして、要するに話が続いておるといいますか、逆に言えば、そこから大きく京都議定書自体についてのアメリカの態度というのは変わっていない。しかし、彼らもヨハネスブルクへ大統領が行くということを前提にしていろいろとそのための準備を進めておるという話はいたしました。ということでありますから、米国については、そういう形で枠組み条約の中での日米の話合いというのは引き続き続いておるということでございます。
 そういった中で、アメリカは自分自身は入らないんだけれども、よその国には枠組み条約の中でまたいろいろと話合いを続けているということを申しましたから、そういったものの中で、やはり京都議定書の全体としての前進に資するようなものをひとつしっかりとやってもらいたいということも申したわけでございます。
 次に、カナダでございますが、カナダは現在国内で京都議定書の承認の手続を今準備中でございます。中央政府としてはあくまで環境大臣も京都議定書を承認するというために準備を進めておるということで、いろいろと州政府との話合いあるいは産業界との話合いを進めておるということでありまして、相当苦労しております。いろいろ細かい点は別といたしまして、なかなかやっぱり、アメリカと経済がかなり一体化しているような点もありますし、また、州政府というのはあそこは非常に独立性が強いというようなところもありますからなかなか苦労はしておりますが、懸命に努力はしておるというのが、一言で言うとそういうことであります。
 それからロシアにつきましても、これもまた京都議定書の批准ということを前提として、これは今まだ恐らく行政府部内でのいろいろと手続なり話合いを進めておりまして、まだ国会の方へ正式には出していないと思いますけれども、いろいろその見通しがありまして、何月何日までに必ずやるということは言えないと言っておりましたけれども、話の途中ではいろいろと、これ余り数字を言うとあれなんですけれども、二、三か月で何とかしたいというようなことも言ったことも事実あるんですが、果たして本当に二、三か月でできるかどうかということになりますと、これはなかなかよその国のことでございますのではっきりとは申し上げられませんけれども、いずれにいたしましても、カナダ、ロシアも京都議定書の批准に向けて国内手続を一生懸命に進めておると、少なくとも行政府としては一生懸命進めておる、そういう段階でございます。

○福山哲郎君 ありがとうございます。お疲れさまでございました。
 それから、もう一つ重要な情報を報告の中には盛り込まれておられまして、日中韓の三か国の環境大臣会合で、中国政府、韓国政府とも京都議定書の締結に前向きに取り組んでいることが確認できたというふうに大臣は御報告をいただいたんですが、私の記憶では、間違っていたら御訂正ください、両国はまだ京都議定書、署名もしていないというふうに思っております。ですから逆に、中韓が京都議定書に前向きに取り組んでいる確認をされた根拠と、何をもってそういうふうに御判断をされて御報告をされたのか、具体的に教えていただければと思います。

○国務大臣(大木浩君) まず、中国、韓国が署名をしたかどうかということでございますけれども、これは京都議定書、京都で採択したいわゆる京都プロトコル、これに対する署名は両国とも終わっております。終わっておりまして、これを国連の事務局の方へ寄託しておりますから、署名は終わっておりますが、これは、京都議定書で要するに締約国として参加してそれに同意したわけですね、会場では。ですからそれを改めて確認したというわけでありまして、現在、それぞれに今度は国内で批准のための手続を進めております。
 韓国は非常に一生懸命やっておるということで、できればヨハネスに間に合わせたいということで両国もやっているんですが、韓国については、いつとは言いませんけれども、一生懸命やっていますと、こういう話でございました。
 それから、中国についてはもう少し、一体いつだいつだということで、本当は三国で共同の声明も出したところで、いつまでにやるということをはっきり書きたかったんですが、中国の方はちょっと自分のところの国内手続もあって、いつまでと書かれるとかえって困るので、ひとつそれは勘弁してもらいたいということなんで、ヨハネスブルクの会議のことも念頭に置きながら、できるだけ早く三国それぞれが批准手続を進めるということで合意を見たわけであります。

【台帳閲覧拒否と情報開示について】
○福山哲郎君 ありがとうございます。是非、今国会でも承認と法案と両方ありますので、よろしくお願い申し上げます。
 では、土壌汚染対策法案の方に移りたいと思います。
 済みません。午前中の質疑で私が審議を伺っていて、これはちょっと最初に確認しておかなければいけないなと思ったことがあるので、局長にお伺いをいたします。
 我が会派のツルネン委員が質問された中で、「都道府県知事は、指定区域台帳の閲覧を求められたときは、正当な理由がなければ、」というときに、台帳の整理とかそういうことをやっている最中は拒否をすることがあると。それは、私から言わせると拒否ではなくて、ちょっと待ってくれと言っていることで、見せないということではない話で、ツルネンさんの言われた答えには、全く私は答えておられないというふうに思っているんですが、現実に「正当な理由」というのはどのような状況が想定されているのか、お答えをいただけますでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 指定区域台帳におきまして、「正当な理由がなければ、これを拒むことができない。」という場合の「正当な理由」で想定いたしておりますものは、台帳の編集、改訂作業など物理的な事由で閲覧させることができない場合などを想定しております。などというのは、正当な事由でございますが、いろんな事由があると思いますが、これに比肩するような事態でなければならないと思っております。
 そのようなものは別に拒否事由として掲げる必要もないのではないかという御趣旨ではないかと思いますが、これは条文の作り方ということでございますけれども、地すべり等防止地域の台帳でございますとか海岸の台帳でございますとか保安林の台帳でございますとか、法令ではこういう書き方をすべてしておりますので、同一の意義内容を有するものであれば同一の表現ぶりをするということで、立法するのは至当と考えております。
 したがいまして、この正当事由というのは、今申し上げましたようなごく限定的な問題といいますか、要は公開ということに関して欠けるところのないようなごく限定的な事由しか想定をしていないということを改めてお答えをさせていただきたいと思います。

○福山哲郎君 などと言われたのが気になるんですが。
 ただ、閲覧について、ちょっとやり方についてお伺いしたいんですが、私の不勉強も含めてですが、これは都道府県知事に開示請求を一々しないと出てこないものなのか、いつでも閲覧できる状況になっているのか、それはどちらだと環境省は今考えておられるのでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 基本的には都道府県の閲覧式によると思いますが、閲覧をしたいということで請求があって閲覧をさせるというのが通常のスタイルだと思っております。

○福山哲郎君 そうすると、請求があってからということになると、やはりこれは、これまた愛知委員の方から午前中もありまして、情報公開をしてマーケットに資するというようなお話がありました。私は、情報公開という形では甚だ不十分な状況だというふうに思っています。
 同じ法律の体系だと私は思いませんが、山下副大臣と三年前に一緒に作業をさせていただいたダイオキシン対策特別措置法案のときには、総合対策計画にちゃんと住民の意見を聴くようにという条文も入れましたし、ダイオキシン特別措置法案の中には都道府県はその調査について公表義務があります。ダイオキシンの汚染状況については公表義務があって、この土地の汚染、指定区域の状況のときには閲覧でなおかつ開示請求が要るというのは、私としては少しバランスに欠くのではないかなというふうに思っておりまして、局長いかがでございますでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 失礼いたしました。ちょっと重要なところの整理で説明が不十分でございました。
 開示請求を要求しないという扱いで閲覧をさせる、ですから所定の場所にあらかじめ閲覧がすることができる形で置くということを想定して実施したいと思っております。
 それから、ダイオキシン法との比較の問題でございますけれども、これは、ダイオキシン法の方は国会の御議論でお作りいただいたものでございますので、これとの関係の比較ということを私どもの方から申し上げるというのは適切ではないと思いますが、ただ一つ、この法律におきます情報公開の物の考え方でございますけれども、この法律におきます台帳を作るというところにつきましては、これは実はこの台帳を作るということでその土地が管理をされる、規制が掛かるということが次の法律効果として生じてきます。
 その範囲に必要なことだけをここに書いてあるということでございまして、有害物質をめぐる情報の公開という問題につきましては、これは私はやはりそれぞれの地方の自治といいますか、地方それぞれの地方の情報公開の取組の中で積極的になされていく事柄である。そのこと自体をこの法律で一つの方式とか一定の方法に決めるというところを、した方がいいという考えもあろうと思いますけれども、この法律におきましては、この法律で効果を生ずる部分のみを規定して、そのような情報公開につきましては各都道府県の自治といいますか、それぞれの取組にゆだねる方が適切だというふうに考えているという次第でございます。

○福山哲郎君 要は、先ほどのお話ですと、開示請求要らないと。そうすると、閲覧ができる状況で、いつだれが来ても閲覧できると。それと公表しろというのは法律行為としてはどう違うんでしょうかね。

○政府参考人(西尾哲茂君) 法律上の解釈につきまして、ちょっといろいろな公表の事例と閲覧の事例との比較をつまびらかにするというのは今すぐに御説明することはできないと思っています。
 このような台帳につきましては、基本的には閲覧制度ということで、この事柄について関心がある、利害関係のある人にその情報を提供するという台帳制度がございますので、その文例に倣って規定をしておるわけでございます。したがいまして、実際の問題といたしましては、この閲覧台帳に載せるということは公表されているということと実質は何も変わらないものだというふうに思っています。

○福山哲郎君 そうすると、余計この条文の意味とか、正当な理由がなければ拒むことができないという意味が分からなくなるんですが、非常にさっき重要なことを言われたんですが、情報開示の問題では都道府県の自治事務に任せるとおっしゃられましたが、現実に指定区域台帳の記載事項は、その中身は環境省令で定めることになっていて、実はこの国会の審議の場でも、その台帳に何が記載をされるのか、どの程度の汚染状況が記載されるのかも実はまだ明らかになっておりません。
 その状況で、都道府県の自治事務に任せるといって、現実には環境省がこれとこれとこれを載せろと環境省令で決めることになっているじゃないですか。それだったらもう少し具体的にこの台帳に何を載せてどういう汚染状況を載せるのかということをしっかりと記載をして、審議の中で議論するべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 少し説明の仕方が舌足らずで申し訳ございませんでした。
 この指定区域台帳というのはこの法律上効果を及ぼすものでございますので、指定区域台帳に記載すべき事項というものは統一的に決めます。実はこの台帳のことだけではなくて、土壌汚染の問題のいろいろな情報につきましての公開という問題はあるのであろう、そういう事柄につきましては都道府県の扱いにゆだねると、そういう精神で仕分をしたということで、この法律の公開の程度がどうかというお尋ねに対する答えとしたわけでございます。
 それから、指定区域台帳につきましては、記載すべき事項につきましては、そういう土地の所在が明確になること、及びその汚染、どういう汚染の状況があるかという事柄、それにつきましての諸データを添付するといったようなことにつきまして、詳細に台帳に載せるという方向でその記載事項を定めるということで検討をさせていただきたいと思っております。

○福山哲郎君 先ほど大臣から、ツルネン委員からの質疑の中で、修正というのはなかなか厳しいというお話を伺いました。それも僕も政治的によく分かるんですが、分かっちゃいけないのかもしれませんが、修正は強く求めていきますが。
 山下副大臣、三年前、一緒にダイオキシン特別措置法を議員立法で作らせていただいて、あのときにやはり都道府県がダイオキシンの汚染状況について調査をしたものは公表するべきだといって、都道府県知事は公表の義務をあのとき条文に載せました。住民がここを調査してくれと申し出ることまではなかなか厳しいけれども、ちゃんと、対策計画を作るときに、総合計画を作るときに住民にちゃんと公聴会で意見を言う場面を作ろうと、それによって調査なりを担保しようではないかという議論を先生と本当に半年以上にわたってさせていただいたことを記憶しております。
 今回も、当初から出ていますように、土壌汚染というのは人体、人間の健康に大変問題がありますし、地下水や生態系の破壊も含めて地域住民にとっては大変不安で、もしくは工場の跡地がほったらかしになっていればもっと周りの住民は不安なわけでございますから、そこについて山下副大臣、修正どうのこうのという議論は委員会の場で今御発言しにくいと思いますが、是非法律の運用の中で前向きに検討していただけるということを、御意見をいただけませんでしょうか。

○副大臣(山下栄一君) 今御質問の内容は、附帯決議の……

○福山哲郎君 附帯決議の中にもありますし。

○副大臣(山下栄一君) 中に書いてあることですよね。
 私も平成十一年、今おっしゃった法案、大きな思い出になっておるわけですけれども、あれ議員立法でやりました。議員立法と閣法のやっぱり違いもあると思います。議員立法の場合は内閣法制局というところが必ずかみますし、僕もちょっと何となくしきたり古いなというような感じるときもありますけれども、それはもう環境省程度に限らずすべての役所に全部かかわっていくわけですから、そういうもので、先ほどの正当な理由がなければというようなことも含めて、そういう今までの慣例の中でこういう言葉が入ってしまうような面も確かにあると思うんですね。
 今おっしゃった住民の件につきましても、もうこの四月から情報公開、行政機関の情報公開も始まりましたし、ITの時代ですし、何を古いこと言っているんだというような感覚も確かにおありだと思うんですよね。僕は、この住民の意見大事にするという、そういう考え方は基本になきゃならないと。役所はどっち向いて仕事をしているんだというふうなことだと思いますので。ただ、法律の中にそれを書き込むとかいうようなことがなかなか一挙にいかないような情勢にあることも一方ではあるというふうなことを感じております。
 そういう意味で、今おっしゃったことは、私、大事なテーマだと思いますし、運用の中で、これは自治体が主体的にやるような方向の法案でもございますけれども、今の御趣旨を体するような在り方を求めていくという姿勢がなきゃならないというふうに感じております。

○福山哲郎君 大変前向きな答弁、ありがとうございます。
 正に今、副大臣言われたとおりなんですけれども、これ公表義務ならインターネットに発表できて、関心のある人、これから話が出てきますが、土地の売買に資する人、さらに処分をする人、いろんな人がその土地の汚染の状況はどういうのかとインターネット一つで公表義務なら幾らでも見れて、それでこそ逆に言うと、先ほど愛知委員が言われたようなマーケットの中でのいろんなインセンティブなりが働く可能性が出てくるんだと思いますが、今は基本的なスキームは都道府県が持っているわけですよね、その台帳を。一応閲覧をします。先ほど局長がある程度の前向きな議論をいただきましたし、開示請求も一々要らないということですから、多少ハードルは低くなったかなと思いますが、そういう点でいうと、公表か実はこのレベルかというのは随分大きく影響しておりまして、前向きに御検討いただきたいと切にお願いをする次第でございます。

【水濁法による特定施設と土壌法の対象数】
 私、この質問をする予定ではなかったのに、もうこれで十五分も取ってしまいまして、どうしようかなと思っていますが、次に行きます。
 ちょっと、理念的なお話はちょっと飛ばしまして、この法律に規定されました水質汚濁防止法による特定施設、要は有害物質の製造、使用、又は処理をする施設というのは全国で今何か所ぐらいありますか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 有害物質を使用する特定施設が設置されている事業場ということでございますが、現在の水質汚濁防止法それから下水道法の届出情報から推計いたしますと、有害物質使用特定施設が設置されている事業場は全国で約二万七千か所と推定をいたしております。

○福山哲郎君 この法律のスキームでは、水質汚濁防止法に係る工場、事業所の中で廃止が決まったところが一応指定区域の対象になるわけですね。そうすると、この今二万七千か所、少なくとも有害物質を使っている工場等の中で毎年一体何か所ぐらいが廃止という状況になっているのか、お答えいただけますか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 廃止数につきましては、最近の動向の変動もありまして正確な推定をすることは困難なのでありますけれども、これまでの届出件数の推移などから大胆に推計いたしますと、年間七百件程度が廃止ということになるのではないかと考えております。

○福山哲郎君 そうすると、二万七千か所あって、七百か所が対象になるわけです。大臣、ここ重要なんですが、二万七千のうち一年間七百か所なんですね。残りの二万六千三百か所は、これは操業中ということで、有害物質を使っていることが分かっているにもかかわらず、この法律のスキームだと対象にならないわけですね。
 そうすると、その廃止の七百か所で例えば有害物質が出るというような調査がかなり数多く出てきたとします。ところが、七百か所ではかなり多く危ないというのが出てきているにもかかわらず、残りの二万六千三百か所ではこれは調査の対象にならないと。これ、逆に、先ほどこれもまた愛知委員おっしゃいましたけれども、風評被害なり、それから地域住民の不安をかえって私はあおることもあり得るべしだというふうに思っているんですが、そこはいかがでしょうか。

○政府参考人(西尾哲茂君) この法律の三条で調査の義務を課するという考え方でございますけれども、有害物質を取り扱う事業場に可能性があるということでみんな掛けていくということではなくて、やはりそういう工場として操業は継続されて一定の管理がされている、そういう場合には通常は一般住民が立ち入り健康被害を生ずるおそれというのは比較的少ないわけでございますので、本法案では、有害物質使用の特定施設が設置されている工場等が廃止されるといったような場合に、そういう契機をとらえて、健康リスクの蓋然性が高いものということで調査を義務付けているところであります。
 そのことによって住民に不安を生じないかというお尋ねでございますが、これは何分にも、この法律ができました場合には、その施行に当たりまして、この法律の趣旨について十分に説明をする、周知をしていくということに努力をするということだというふうに考えております。

○福山哲郎君 今の、今現状、操業中のところは管理をされているから比較的リスクが少ないとおっしゃられた。比較的という言葉をおっしゃいました。それから、廃止をされたところは蓋然性が高いということであると。
 廃止をしたところというのは、それまで管理されて営業、管理されてきているわけだから、操業しているところと本質的には変わらないわけですよ。ところが、廃止をしたら蓋然性が高くなって、そのまま操業中だったら蓋然性が高くなくて比較的少ないというのは、全くもって理屈が通らないというか説明にならないと思うんですが、どうですか。いかがですか。

○政府参考人(西尾哲茂君) この法律におきましては、土壌の汚染が生じ、それによって健康リスクの蓋然性が高い場合というものを調査義務あるいは調査命令の対象とするということで、どのような機会をとらえたらいいかという考え方でございますが、まず、重金属等の汚染というようなものを考えますと、基本的には、土地に汚染された状態があります。その土地に一般の人が立ち入ることによりまして接触をしたりとか、あるいは経口、経気道で吸収をしたりといったようなことでリスクが生じるわけでございますので、まずはそういう有害物質を使用している工場、有害物質を使用している施設を設置している工場等が廃止されまして、それが例えば住宅でございますとか店舗でございますとか、一般の方々が立ち入るような用途に変わっていくという場合が蓋然性の高い場合というふうに一つ考えまして、これを三条におきまして調査義務の対象といたしたわけでございます。
 もう一つは、都道府県におきましても地下水モニタリング、重金属以外の問題ということでございます。これは、揮発性有害物質などにつきましては、都道府県などにおきましても地下水のモニタリング等を実施しております。そういうモニタリング等におきまして、汚染の、土壌の汚染があり、それによって健康被害のおそれがあるというような蓋然性が高いという場合につきましては、これは四条で操業中の工場でも調査命令の対象とするという構成を取ったところでございます。

【住民からの申し出について】
○福山哲郎君 何をおっしゃっているのかよく分からないんですが、四条で操業中の工場についても調査対象にする可能性はあるんだとおっしゃいましたが、それは先ほど申し上げたように住民の申出も何もないわけです。じゃ、そこの操業中で危ないと思われる工場に対して都道府県知事が指定区域に指定をして措置をするには、一体何を根拠に指定できるんですか。だって、そこに住民からの申出のスキームも何もこの法案の中にはないんですよ。

○政府参考人(西尾哲茂君) 四条の調査命令につきましては、土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生ずるおそれがあるものとして政令で定める基準に該当する土地があるときに都道府県知事が命令を出すということで、都道府県知事にその判断をしていただくということになろうと思っております。
 そのような主要な場合としては、飲用に供されている等の井戸があるような地域におきまして地下水の汚染が発見され、その汚染の元といいますか、その汚染の原因となっている土地であるというようなことが分かる場合、あるいは工場等有害物質が使用されていて汚染の可能性の高い土地につきまして、先ほど申し上げましたような、通常の人が立ち入ってそういう、通常の人が立ち入って重金属等による被害が生ずるおそれが高い場合、そういったような場合を基準として定めると。
 そういう場合に、都道府県知事がどうしてそういうことを知り得るかということでありますけれども、これにつきましては、それぞれ個別の蓋然性の判断でございますので、都道府県知事におきまして、地下水モニタリングのデータでありますとか、その余の各種のデータに基づいて判断をすることとしております。
 それから、住民の申出というのは、制度としてこの法律に規定するということではございませんけれども、都道府県知事の常々の環境監視の活動の中で、住民の方から心配がある、あるいはこういうことがあるのではないかという申出があった場合には、今現在におきましても、各都道府県におきましてその申出内容を聞いて適切に判断し、その判断におきまして心配があるということであれば、この法律ができますれば四条の調査命令を発するということになると考えております。

【未然防止】
○福山哲郎君 今も実はすごく重要なことをおっしゃったんですよ。
 地下水の汚染が発見され、いろんなデータがそろって、これは蓋然性が高いと思ったら調査命令が発せられるからそれは四条で救うんだというふうに今、局長はおっしゃられた。まして住民も、都道府県のそれぞれの自治の中で、いろんな住民からの話があればそれで調査ができるとおっしゃられた。でも、今の話は、地下水の汚染が発見されて住民が危険だと認知をして都道府県知事に申し込まないと出てこないということは、もう既にそのときには地下水は汚染されているということなんです。もうそのときには、生態系や人体に影響が起こり得る可能性がもう既にそのときには起こっているということなんです。だから、この法案の目的である未然の防止が必要なんじゃないんですかと。
 未然の防止というのは、汚染を起こさないようにするべきではないですかという話なんです。今の局長の話だと、いろんなデータで地下水の汚染が発見されたら調査命令下せることに、そのときには汚染が発見されたらもう遅いじゃないですか。だから未然の防止が必要だという話ですし、操業中にだって、同じように廃止をして調査をするんだったら、操業中だってちゃんと調査をしないと、さっき言ったように二万七千のうちのたった年間七百か所しか今のところだったら調査できないんですよ。
 それ、残りどうするんだといったら、四条で発見すると。四条でどうやって発見するんですといったら、地下水で汚染が発見されたら動きますと。地下水で汚染が発見されてからじゃ、もう遅いじゃないですか。どうですか、大臣。

○国務大臣(大木浩君) いろいろの事業場が、操業中ないしはその操業を終わって、また別の目的に転用なりするという、私はいろんな状況があると思うんです。
 例えば、まず、操業中でも従業員はおるわけですよね、これ。それから、全く立入禁止という工場は余りない。ですから私は、ある程度状況分かって、怪しいと思ったらどういう時期でもそれはやっぱり調査するということになるんだと思います。
 ですから、これは、それは法律でなかなか書きにくいんだけれども、やっぱり明らかにというか、人体に対する影響がありそうだというおそれがあると思ったときには調査するということでひとつ御理解を願いたいと。
 別に、その水の方が、地下水の方にいろんな影響が表われたという段階だけじゃなくて、いろんな段階で私は、従業員も含め、あるいはその土地の住民も含めて、いろんな意味での、何と申しますか、情報は得ることはできると思いますので、これはやっぱりそういった中で、従業員もあるいはその土地の住民も、ちゃんと自分のところのやっぱり工場ですから、それをきちっときれいなものにしていくという努力はしてくれるものだと思いますし、それに基づいてまた環境省なり、また都道府県知事が措置をしていただくと、こういうことになるんじゃないかと思っております。

○福山哲郎君 少し苦しい答弁で、私も納得しようがないんですが。
 例えば、さっきのたった七百か所だという話は、もう一つ、情報の公開という話でも同じことが起こるわけです。つまり、ある環境基準に、超えたところしか実は調査が入らなくて、その部分だけが指定区域で台帳に載るんです。ということは、残りの二万六千三百はどのような汚染状況なのか。ひょっとしたら、環境基準のほんのちょっと手前だったけれども、超えていないから台帳に載っていないようなところがあり得るわけですね。ところが、大部分の二万六千三百は危ないかどうかも分からない、情報も出てきていない、その中で操業が続けられている。さっきもお話しになられた、地下水で汚染が出てきたらすぐ動きますよ、それじゃ遅いと。
 私は、別に法案一個一個、別に何というか、揚げ足を取りたいと思っているんでは本当決してないんですよ。土壌汚染に対して環境省がこうやって前向きに進み出したことに対しては本当に評価しているんですが、どうせ法律作られるんだったら、やっぱり実効性の伴う法律を作っていただきたい。少しでも住民が環境省が作ってくれた法律で安心できるという状況を作らないと、これは後で土地の話出てきますが、土地ではもっと問題これは起こってくるわけですね。
 これ、申し訳ないですけれども、今の大臣の御答弁では私ちょっと納得しにくいんですけれども、いかがですか。

○国務大臣(大木浩君) 常に二万六千の事業場をいつもきちっと監視して調査しろということになりますと、これは今度は逆の意味での実効性が、法律には書いても現実にできないというような、逆の意味でのマイナスも出てくると思いますので、取りあえずはやっぱりある程度人体に対する影響があるという疑いが濃くなったところについての調査ということを書いてあるわけでございますけれども、決して何と申しますか、今言ったような情報をあえて隠しておくとか、そういうようなことではなくて、ですから必要なものはやっぱりきちっと調べて、そして台帳にも今のお話で載せると、こういうことでございますから、ひとつやっぱりみんなで監視していただくということも必要だと思うんですね。
 法律に書いてないから何にもやらないということではなくて、やっぱり先ほどから申し上げているとおりに、そこの工場では自分たちの工場ということできちっとするというお気持ちもあると思いますし、それからまた近隣の住民もいつも見ておられるわけですから、どうも怪しいということになればそこから話が出てくるわけでございますので、やっぱり法律できちっと決めるのは今のような決め方にさせていただきたいというふうに思っておるわけでございます。

○福山哲郎君 だからこそ、私は法律の中に住民が何か申し出るようなスキームとか、先ほど申し上げたような、インターネットでたたけばある程度信頼ができるデータが一目瞭然で分かって、ここは安全な地域で、この数値に比べればうちの地域のこの工場はちょっと高いんだなというような認知が、常に住民が監視ができるような状況がないと、今、大臣が言われたことですら実はなかなかできにくくなるんじゃないかなというふうに思っているんです。
 法律に何が書き込めるか書き込めないかという問題は別にして、やっぱりそこはもう少し工夫していただきたいなと思うんですけれども、もう余りしつこく言うと切りがないので、大臣、もう一言だけいただいていいですか。

○国務大臣(大木浩君) 先ほどからインターネットだということをお話ではありますけれども、これやっぱり一つのきちっと、何と申しますか、公的機関でその資料をきちっと整備して、それを保存していくということでありますから、台帳というのはやっぱりインターネットでとにかくすべての人に流せばいいということではなくて、必要に応じてまた台帳の記載事項も修正せないかぬわけですからね。やっぱりどこかできちっと保管をして、それをしかしいつでも見ていただくということでそれを活用していただくというのが、今の私の感じではその程度の公開性と申しますか、が妥当じゃないかというふうに考えております。

【覚書問題】
○福山哲郎君 是非しっかりお願いします。
 もう何か予定していた質問ほとんどできなかったんですけれども、一個だけ、どうしても言っておかないと次の審議に影響が起こることなので、お話をしたいと思います。
 去年の五月に私はNOx法の審議をしたときに、環境省と国土交通省が国会の委員会や本会議で審議が始まる前に覚書を交わしておられました。NOx法案の内容に関する覚書を交わしておられました。この覚書については、当時の環境大臣でいらっしゃいました川口大臣が、この法案審議の前の覚書は破棄をするというお話をいただきました。
 法案がまだ国会にもかかっていないにもかかわらず、役所間同士で法案を解釈をし、覚書を交わして、そしてその中である種の法案に対する、及ぶ範囲を限定するというのは私はある意味けしからぬと思っていまして、そういう事項があるんだったら法案の中に附則にでも書けばいいし、ちゃんと事前に連絡をすればいいわけですが、今回も二月の十三日、法案がかかる前に経済産業省と環境省の管理局長の間で覚書が交わされています。
 この覚書の中身が正当性があるかないかは僕は審議の中で明らかにしていきたいというふうに思いますが、これは自民党の先生方も多分同じだと思いますが、審議をする国会が始まる前に役所同士で覚書を交わして、その中身が我々に知らされていないと。で、法案の審議をしろというのはやっぱり非常に僕は国会の審議を冒涜をしていると思いますし、国会の審議が形骸化するもとだというふうに思っていますので、この件について何か局長、コメントありますか。

○政府参考人(西尾哲茂君) 法律案を取りまとめるに際しまして、その法律案の趣旨に沿ってその法律の運用におきます場合にどのようなことをやっていくか。それにつきましての判断というものにつきましては、各省ともよくよく議論をするということは必要なことでありまして、その議論をした結果につきまして各省間で確認をしておくということは許容される範囲のことであるというふうに考えております。

○福山哲郎君 では、経済産業省さん、お伺いします。
 この覚書にあります鉱山保安法の問題、経済産業省の所管だと思いますが、この鉱山保安法の範囲の中に今回の環境省の言われている水質汚濁防止法にかかわる事業所が含まれる場合はあるのかどうか、お答えいただけますか。

○政府参考人(佐々木宜彦君) 御質問だけにお答えいたします。
 数字は別といたしまして、当然、水質汚濁防止法が鉱山事業場に掛かっている場合はあります。

○福山哲郎君 含まれているんですね、この中に。

○政府参考人(佐々木宜彦君) はい。

○福山哲郎君 この中に含まれているんですね。
 そうすると、これはちょっと大問題なんですね。これ全く含まれていないんだったら、まあ、私もちょっとあれかなと思ったんですけれども。含まれているんだったら、水質汚濁防止法の掛かる工場がこれとバッティングをしているんだったら、この覚書は非常に問題だと思います。
 なぜかというと、法律にかかわる事項の範囲が、国会の審議の前で覚書が交わされて、ある種限定をされるわけで、この問題については、次回の委員会でしっかりと協議をさしていただきたいと思っていますし、土地の売買その他については、もっといろいろこの法案問題がありますので、そこの問題をもっと真剣に、慎重に議論をさしていただきますことをとにかくお約束して、もう終わってしまいましたので、私の質問は終わります。

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2002年4月24日

参議院本会議・速報
「人権擁護法案に対する代表質問」



目次
【1、大阪高検公安部長逮捕について】
【2、法律の目的】
【3、人権侵害の定義】
【4、独立性】

【5、人権委員会】
【6、地方人権委員会】
【7、人権擁護委員】
【8、報道機関】
【9、雇用・船員関係】
(締めくくり)

大臣答弁:法務大臣文部科学大臣官房長官

  私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました「人権擁護法案」に対しまして、質問を致します。

【1、大阪高検公安部長逮捕について】
  まず、冒頭に法務大臣にお伺いいたします。国民にとって大変ショッキングな事件が起きました。
  正義を守るべき大阪高検の公安部長が暴力団関係者と共謀して詐欺などの容疑で逮捕された事件です。検察に対する国民の信頼は失墜し、併せて検察の調査活動費流用疑惑まで出てきています。
  背景も含めて、全容解明はもちろんのことですが、この事件に対する法務大臣のご見解をお伺いいたします。

  さて、二一世紀は「人権の世紀」と呼ばれています。国連や世界各国において、人間の尊厳が尊重される社会の実現に向かって不断の努力が積み重ねられてきました。我が国も、「真に人権が尊重され、人権侵害の起こらない社会」を着実に築いていかなければなりません。
  とはいえ、現実は大きく異なっています。残念ながら至る所で人権侵害が繰り返されており、その為には、被害者に対して実効的な救済を行う人権救済制度が必要であることは言うまでもありません。しかしながら、そのような時代の要請を一身に背負って提出されたにもかかわらず、本法案は大きな失望をもって迎えられていると言わざるを得ません。

  なぜでしょうか。第一は、本法案が一九九八年の国連人権規約委員会からの我が国への勧告に反しているからであります。その勧告とは、「警察や入管職員による虐待を調査し、被害者を救済するために活動できる、法務省から独立した機関を遅滞なく設置する」という内容でありました。にもかかわらず、本法案では法務省からの独立性を確保できるのかどうか、人権救済の実効性が上がるのかどうか、はなはだ疑問です。ましてや公権力による人権侵害からの救済についても大きく後退した内容となっているからであります。
  第二に、本法案は個人情報保護法案、青少年有害社会環境対策基本法案と並んで、マスコミ規制三法案と呼ばれるもので、「報道機関」に対する過剰な規制となっているからであります。
  我々民主党は、「人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案大綱」を作成しました。それは、「人権委員会を内閣府の外局に置くこと、地方にも人権委員会を作ること、報道機関に対しては一般救済にとどめ、特別救済の対象としないこと」等を骨子とした内容となっております。

  以下、具体的な内容についてお伺いします。 

【2、法律の目的】
  まず、法律の目的について、本法律案は「人権救済及び人権啓発」と規定しております。なぜ、人権救済や人権啓発と並んで重要な、人権教育が含まれていないのでしょうか。一九九三年の国連のいわゆる「パリ原則」も、国内人権機関の重要な役割として、個別の人権救済活動のみならず、人権教育活動を挙げているではありませんか。法律の目的は、明確に「救済及び予防並びに人権教育・啓発の措置」とすべきと思いますが、法務大臣いかがでしょうか。併せて文部科学大臣にもお答え願います。

【3、人権侵害の定義】
  次に、第二条では「人権侵害の定義」はされておりますが、人権そのものの定義はなされておりません。人権の範囲が明確でなく、人権委員会によって恣意的に矮小化されるおそれがあります。さらに、人権侵害の定義については、本法案では、差別禁止事由として「人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病、または性的指向」をあげておりますが、極めて曖昧であると言わざるを得ません。例えば障害のある人に対して許される別異な取り扱いと許されない別異な取り扱いは、どの程度明確になっているのでしょうか。また、国籍による入居差別やリース契約差別等がまま見受けられますが、「人種等」の中に国籍は含まれますか。法務大臣、明確にお答え下さい。

【4、独立性】
  さらに、最大の問題点は、人権委員会の独立性が確保されていないということであります。本法律案では、新たに設置される人権委員会を法務省の外局とすると規定しております。しかし、一九九八年の「国連の市民的・政治的権利に関する国際規約委員会の我が国に対する勧告」では「警察や入管職員による虐待を調査し、救済のため活動できる法務省などから独立した機関の設置」こそが、その内容ではなかったでしょうか。法務省の外局では、同じ省の矯正局や入国管理局の下で行われる人権侵害に対しては勿論、警察など他省庁の不祥事に対しても、積極的な救済など期待すべくもないではありませんか。
  新たに設けられる人権委員会は、人権救済の実を挙げられるよう、その独立性確保のため、少なくとも法務省ではなく内閣府の外局とすべきであります。法務大臣、内閣官房長官、明確にお答え下さい。

【5、人権委員会】
  また、本法律案では、人権委員会は委員長及び委員四名の計五名で構成するものと規定されております。わずか五名では、年間一万八千件に迫る人権侵害事件、六十五万件もの人権相談に対し、到底満足に対応できるとは思われません。
  ジェンダーバランスはもちろん、NGOの関係者や人権侵害の被害経験者の意見も取り入れられるよう、委員会の構成員の多元性を確保し、人権委員会の委員をもっと増やすべきではありませんか。法務大臣お答え下さい。

【6、地方人権委員会】
  さらに、本法律案は、人権委員会の下に地方事務所を置き、その事務は地方法務局長に委任できるとしたうえ、その職員も、現在法務省の下にある法務局・地方法務局の職員を横滑りさせることとしております。あまつさえ、法務省は、人権委員会事務局と法務省本省の人事交流を当然行うとさえ表明しているのです。  例えば、各地方における入管行政や拘置所において公権力による人権侵害が生起された場合、人権委員会の調査は事務委任を受けた地方法務局長が行うことになります。しかし、地方法務局長は自分が監督を受けている法務大臣の所管部局を調査することになり、まさに利害相反であります。
  民主党は、差別事件は地域で度々引き起こされることを考慮に入れて、地方公共団体に人権擁護に関する施策を推進する責務を有することを定めた上で、各都道府県にも、地方人権委員会を設置することとし、新たにそのための専任の職員など体制を整備することが必要と考えます。
  「仏作って魂入れず」という言葉がありますが、これでは、組織である「仏」も、中味である「魂」も、今までと何ひとつ変わっていないではありませんか。法務大臣、お答え下さい。

【7、人権擁護委員】
  次に、人権擁護委員の問題です。人権擁護委員は、本来、私たち国民にもっとも身近な人権擁護活動の担い手としての任務を持った方々でありますが、現実には、無報酬のボランティアとして、事実上の名誉職的存在となっております。本法案では、人権擁護委員制度には事実上全く手つかずの状態です。
  人権擁護委員の方々がその職責を十分に果たし得るようにするため、地方人権委員会の下に人権擁護委員を置き、有給にすると同時に、地方人権委員会による研修の実施も義務付けるべきであると思われますが、法務大臣の見解を伺います。

【8、報道機関】
  本法律案のもう一つの大きな問題点は、いわゆる「報道機関」による人権侵害に対する過剰な規制であります。本法案は、「報道機関」による人権救済の対象として、「プライバシーを侵害する報道」と「過剰な取材」を挙げております。
  しかし、そこでいう「過剰な取材」とは、一体いかなる程度のものをいうのでしょうか。「みだりに」とか「著しく」としか規定されていない抽象的な条文だけからでは、その境界線は極めて不明確といわなければなりません。
  本法律案では、取材を拒む被害者や容疑者の家族らを継続して「待ち伏せし、見張ること」などのほか、繰り返し「電話をかけ、ファクシミリを送信すること」が「過剰な取材」に当たると明文化しています。「過剰な取材」とみなされれば、人権委員会が取材停止の勧告・公表に踏み切ることになっています。
  一体、電話やファクシミリをどの程度繰り返せば「過剰な取材」となるのでしょうか。法務大臣、お答え下さい。本法律案は、「報道の自由に十分配慮する」とか「報道機関による自主的な取組を尊重しなければならない」といった規定を置いてはおりますが、それを実質的に保障するだけの手続的規定、例えば人権委員会の判断に対して報道機関が異議を申し立てする権利すら認めておりません。「配慮」や「尊重」といった文言の曖昧さを考えれば、事実上、特別救済の対象となるか否かは、人権委員会の判断に白紙委任されているに等しいといっても過言ではないのであります。
  民主主義社会の基盤をなす国民の知る権利を守るためにも、民主党は、報道機関による人権侵害については、
  第一に、任意の手続きである一般救済の下に置き、特別救済については全て報道機関を適用除外とすること、
  第二に、その上で、報道機関が自主的な救済に向けた取り組みを行うよう努めること、
を求めております。民主党の言う、「報道機関は全て特別救済の適用除外とすること」について法務大臣の明確な御答弁をお願いいたします。

【9、雇用・船員関係】
  最後に、雇用の場における差別的取扱い等に関して、本法律案が、労働関係は厚生労働大臣、船員関係は国土交通大臣に救済措置を一任すると規定していることも、極めて不当であります。
  この点につき、人権擁護推進審議会の答申においても、「解決が困難な一定の事案については、人権救済機関が積極的に救済を行う」とされていた以上、すべての領域の人権救済は、人権委員会で一元的に行われるべきであります。にもかかわらず、厚生労働省や国土交通省で特別救済を行う旨の特例が設けられたのは、これまた人権委員会を法務省の外局としたことから生じた、縦割り行政から来る弊害以外の何ものでもないではありませんか。法務大臣、内閣官房長官にお伺いいたします。

(締めくくり)
  以上、申し上げてきましたように、本法律案は現行の法務省の人権擁護行政の焼き直しともいうべき「人権擁護局再編法案」に過ぎず、国民の知る権利を侵す可能性もあり、冒頭の大阪高検事件、外務省疑惑、農水省BSE問題と、次々に行政の信頼が揺らぐ中で、行政に裁量権を大きく委ねることになり、極めて不十分な内容となっております。

  私ども民主党は、国会の審議を通じてこのままこの法案を成立させてはいけないということを国民に明らかにするとともに、実効的な人権救済機関を作るためにもあらゆる点で修正を強く求めることを表明し、質問を終わらせていただきます。(拍手)

 

【法務大臣答弁】
○国務大臣(森山眞弓君)
  福山議員にお答え申し上げます。
  まず、大阪高等検察庁前公安部長が逮捕された事件に関する見解についてのお尋ねがございました。
  今回の事件は、他人の刑事責任を追及するべき検察庁の幹部としてあるまじき不祥事でございまして、誠に遺憾に存じております。
  検察が暴力団と恒常的に癒着しているというようなことは全くなく、一人の検事のために、日本の安全及び治安を守るため日夜努力している大勢の全国の検事の名誉が甚だしく汚されたことを非常に残念に思っております。
  この事件については、検察当局において、その全容の解明に向けて徹底的な捜査を遂げるものと承知しておりますが、その結果を踏まえつつ、適切な措置を取ってまいりたいと考えております。

  次に、人権擁護法案の目的についてお尋ねがありました。
  人権教育及び人権啓発につきましては、平成十二年末に施行された人権教育及び人権啓発の推進に関する法律が、その推進のための基本的事項を定めており、本法案成立後も、この人権教育・啓発推進法に基づいてその推進が図られていくものでございます。
  本法案は、人権教育・啓発推進法の存在を前提とした上で人権救済制度の創設等を目的とするものであり、そのような目的と直接関連しない人権教育については、目的の中で特段に言及しておりません。
  もとより、人権尊重社会の実現のためには、人権啓発や人権救済と並んで人権教育の役割が重要であることは言うまでもございません。人権委員会としても、人権教育にかかわる関係機関と相互に連携協力していく必要があると考えております。

  次に、人権侵害の定義についてお尋ねがございました。
  まず、障害のある人に対する関係で、何が許されない不当な差別的取扱いに当たるかをあらかじめ一義的に明確にすることは困難でございますが、個別具体的な事案の事実関係に即して適切に判断されることになります。

  次に、第二条で定める差別禁止事由としての「人種等」には、国籍は含まれておりません。国籍は、国家の構成員としての法的な資格でございまして、国政上、合理的な区別理由となり得る場合が多く、判例上も、憲法による基本的人権の保障について、権利の性質上外国人には保障の及ばない権利があるとされております。また、人種差別撤廃条約でも、国籍の有無という法的地位の相違に基づく異なる取扱いを条約の対象外とすることを明示しております。一方、現在、私人間において、外国人に対する差別として問題となっている事案は、実態としては人種又は民族を理由とする差別的取扱いにほかならないものがその多くを占めます。このようなことから、類型的な差別禁止事由として国籍を掲げなかったものであります。

  次に、人権委員会の設置場所についてお尋ねがありました。
  人権委員会を法務省の外局として設置することといたしましたのは、昨年一月に実施された中央省庁の再編に当たり、人権擁護は、国民の権利擁護をその基本的任務とする法務省において引き続き所掌すべきこととされ、今後特に充実強化すべきものとして整理されていること、法務省は、人権侵害に関する調査及び救済措置としての調停、仲裁、訴訟援助、差止め請求訴訟の提起等の職務の遂行のための法律的な専門性を有する職員を擁するとともに、人権救済に対する専門的な知識、経験の蓄積を有することによるものであります。
  また、人権委員会は、国家行政組織法第三条第二項に基づく独立の行政委員会として設置され、委員長及び委員の任命方法、身分保障、職権行使の独立性の保障等により、その職権の行使に当たっては所轄の大臣から影響を受けることがないよう高度の独立性を確保することとされておりますので、法務省の外局として設置いたしましても、独立性の観点からも問題はないと考えております。

  次に、人権委員会の委員について、構成の多元性を確保しつつ、その人数を増やすべきではないかとのお尋ねがありました。
  人権委員会の委員につきましては、多様な人材の確保の観点から、委員長及び委員四名の構成としたものであります。そして、委員会には、その事務を処理させるため、事務局を置くこととしている上、日々各地で生起する人権侵害事案に適切に対応するため、事務局の地方機関として所要の地に地方事務所を置くこととするなどして事務局の地方組織を整備することを予定しております。
  人権委員会は、これらの職員を適切に指揮監督し、事件の調査を実施させるなどして多数の人権侵害事件を適正、迅速に処理することができますので、その人数を更に増やす必要はないものと考えております。

  次に、地方における人権委員会の設置についてお尋ねがありました。
  本法案は、人権委員会の地方組織の在り方として、地方委員会の設置ではなく、委員会事務局の地方における組織体制の整備を図ることが必要である旨提言した人権擁護推進審議会の答申の趣旨を踏まえ、人権委員会を中央に一つ設置することとし、地方に委員会を設置しないこととしております。
  その主な理由は、新しい人権救済制度の下では、人権委員会は、主に特別救済の対象となる人権侵害について、事務局において調査した結果を踏まえ、事実認定及びこれを前提とした救済方法の決定等を行う意思決定機関としての役割を担うことが予定されており、このような職務内容等からして、地方ごとに委員会を設置する必要性に乏しいこと、人権侵害とされる行為の違法性に対する評価については、事柄の性質上、全国的に統一された判断がなされる必要があることなどであります。

  次に、人権擁護委員についてお尋ねがありました。
  本法案においては、人権擁護委員は、人権委員会が委嘱するものとし、従前のとおり、無給で、予算の範囲内において、職務を行うために要する費用の弁償を受けることができるものとしております。
  この取扱いは、人権擁護推進審議会の答申を踏まえ、社会貢献として人権擁護活動に従事するという人権擁護委員の基本的性格や、民生委員、保護司等の待遇との均衡を考慮したものであります。他方、職務を行うために要する費用については、人権擁護委員の活動の充実のため、十分補われるように努めてまいりたいと考えております。
  また、本法案は、人権擁護委員に対する研修の実施も含めて、人権擁護委員の養成に努めるべき人権委員会の責務を定めているところであり、研修の充実を図る必要があると考えております。

  次に、報道機関による人権侵害に関して、過剰な取材についてのお尋ねがありました。
  本法案においては、報道機関等の取材活動による人権侵害を特別救済の対象として取り上げていますが、ここでは、取材を拒否している犯罪被害者等に対して付きまとい、待ち伏せ等の具体的に限定した行為を反復、継続して行うなどして当該犯罪被害者等の生活の平穏を著しく害する場合を対象としております。
  電話やファクシミリをどの程度繰り返せば過剰な取材となるかは、個別事案の判断となりますので、これを一般的に言うことは困難でございますが、犯罪被害者等の置かれている状況や電話、ファクシミリの内容、その反復、継続の程度、態様など、個別具体的な事案の事実関係に即して適切に判断されることとなります。

  次に、報道機関はすべて特別救済の適用除外とすべきではないかとのお尋ねがありました。
  報道機関による人権侵害につきましては、まずは報道機関自身による自主規制が図られるべきでありますが、報道機関による人権侵害の実情と報道機関の自主規制の現状に照らしますと、犯罪被害者等の弱い立場にある者に対する一定の人権侵害については、人権救済制度の中で実効的な救済を図る必要があります。
  そこで、本法案においては、報道機関による人権侵害についても特別救済の対象としておりますが、これは、報道や取材について何ら新たな規制を設けるものではなく、現行法の下で既に違法と評価される報道機関による一定の人権侵害について、その範囲を明示した上、それが行われた場合の事後的な救済手続を整備するものであり、かつ調査も任意のものに限るとともに、報道、取材の自由への配慮と報道機関等の自主的な取組の尊重を特に明記するなど、表現、報道の自由に十分に配慮した内容となっております。

  次に、労働分野の人権救済に関する特例についてお尋ねがありました。
  本法案は、人権擁護推進審議会の答申に基づき立案したものでありますが、平成十三年五月の答申は、人権委員会を担い手とする新たな人権救済制度の創設を提言する一方で、既に被害者の救済にかかわる専門の機関が置かれている分野においては、当該機関との適正な役割分担を図るべきであると指摘しております。
  労働分野における差別的取扱い等については、従来から、厚生労働省及び国土交通省において被害者の救済にかかわる制度が整備され、実施されてきたところであります。労働分野における人権救済制度の適切な運用に当たっては、労働法制、労使慣行、労務管理実務等に関する知識が必要不可欠であり、そうした知識を有する職員等のいる厚生労働省及び国土交通省で救済を図ることが効率的かつ効果的であると考えられます。
  このようなことから、労働分野の人権救済に関する特例を設けたものでございます。(拍手)


【文部科学大臣答弁】
○国務大臣(遠山敦子君)
  福山議員にお答えを申し上げます。

 人権擁護法案の目的と人権教育との関係についてのお尋ねでございますが、人権教育につきましては、平成十二年に人権教育及び人権啓発の推進に関する法律が制定されておりまして、我が省では、これに基づいて人権尊重の意識を高める教育の推進に努めているところであります。

 このたびの人権擁護法案は、こうした人権教育に関する法律や取組を前提とした上で、人権委員会の設置及び人権救済制度の創設を趣旨とするものでありまして、これらの施策が相まって人権の擁護が図られるものと考えております。

 もとより、人権の擁護を目指す上で人権教育の果たす役割は極めて重要でございます。文部科学省といたしましては、本年三月に閣議決定いたしました人権教育・啓発に関する基本計画に基づき、学校教育及び社会教育を通じた取組を推進して、人権教育の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。(拍手)


【官房長官答弁】
○国務大臣(福田康夫君) 福山議員にお答えをいたします。

 まず、人権委員会の設置場所についてのお尋ねでございますが、このたび新たに設置される人権委員会については、人権擁護をその所掌業務とする法務省に人材やノウハウの蓄積があるということを考慮しまして、委員会運営の独立性にも配慮した形で、法務省の外局として設置するということとされたものと承知しております。

 次に、労働分野の人権救済に関する特例についてのお尋ねでございますが、御指摘の特例は、厚生労働省及び国土交通省が労働分野の人権救済について人材やノウハウの蓄積を有することを考慮して、行政組織間における適正な役割分担を定めたものであると承知をいたしております。(拍手)                                     

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第154国会  参議院  環境委員会  2002年4月11日

「鳥獣保護法改正案」

目次
【1.改正の経緯】

【2.統計整備の問題点】
【3.生物多様性について】
【4.特定鳥獣保護管理計画策定状況】
【5.生息状況調査】
【6.狩猟者モラル】
【7.放置の禁止】
【8.中国の野鳥輸出問題】
【9.被害防除対策】

【改正の経緯】
○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。よろしくお願い申し上げます。
 この鳥獣保護法の改正案というのは、三年前、まだ記憶に新しいんですが、大変な各委員の方の御努力、それからNGOの皆さんの御努力があって、大変な思いで修正案が出され、附帯決議も検討された後に決議をされたと。それで、参議院の環境委員会の存在感を非常に示した法案だったというふうに思っています。そのときに御尽力をいただきました福本先生も、今はちょっと席を外しておられますが、この委員会、まだ残っておられますし、当時の大臣でいらっしゃいました真鍋長官は委員として今日いらっしゃるわけでございまして、そこら辺の中で、あのときの修正案の中に、三年後をめどとして見直すという附則が、修正案が出されたという中で、それが本来なら二〇〇二年の九月をめどだったんですが、その前にこの法案が出てきました。確かに、欠格条項の見直しや平仮名法に直すとか、それから多少の修正があったということでございますが、まず今回の改正の位置付けから確認をさせていただきたいというふうに思います。
 前回の附則に、三年後に所要の措置を講ずるという状況の中でこの改正案通ったわけですが、そこの、めどとして見直すという状況の位置付けの今回の改正ではないという位置付けでよろしいんですね。

○政府参考人(小林光君) おっしゃるとおりでございます。今回は、欠格条項の見直しということを契機に法律の改正を考えました。
 実は、三年後の見直しを御指示いただいているわけですけれども、主としてこの鳥獣保護事業計画に関して、その運用状況を踏まえた見直しをこの法律施行後三年をめどに行うということを御指摘がいただいております。ただ、この特定鳥獣保護事業計画というのは、平成十四年三月、今の現時点で、二十五道府県で策定をされて二十九の計画があるわけですけれども、策定後まだ日が浅いと、まだ二年をたったものが、そういう計画が二か所、二計画しかないということで、十分実績がまだ積んでいないという事態でございます。
 そのため、フォローアップをしていろんな問題点を検討するにはまだちょっと材料が少ないというようなこともありまして、その特定鳥獣事業計画をどういうふうにするかというふうなことの御指摘の改定については、今回はちょっとまだできていないということでございます。もうしばらくたちますと十か所以上出てきますので、その時点で、運用実績の十分蓄積が待ちまして検討したいというふうに考えております。

○福山哲郎君 となると、この法案の後、本来ですと施行後三年、二〇〇二年の九月をめどとして見直しをすると、所要の措置を講ずるということは、今年度中は現実的には今の局長の答弁からいうと私は無理ではないかと思ったんですが、そこはいかがなんでしょうか。

○政府参考人(小林光君) 現実に、いろんな特定鳥獣保護事業計画の策定は実際の科学的な根拠に基づいてやるために、現地でいろんな鳥獣の生息状況の調査等をやりますものですから遅れがちでございます。それでも二十九計画できていますので、御指摘のとおり、今年の九月にもう一度法律改正するというのは困難な事態かと考えております。

○福山哲郎君 言葉じりをつかまえるようで申し訳ないんですが、先ほどから局長の答弁を聞いておりますと、特定鳥獣保護管理計画の策定状況等については見直しをということで、法律の改正については今は、今無理だとはっきりおっしゃいましたが、あのときの必要な措置を講ずるという中には、当然、法改正も含むということだったというふうに思いますが、その点については、時期は九月ということが例えば無理だとしても、そこは法改正も視野に入っているのかどうか。今、ちょっと特定鳥獣保護管理計画に非常に狭まった御回答をいただいているような気がするんですが、御答弁をお願いできますか。

○政府参考人(小林光君) 現在、自然環境局で野生生物保護管理検討会を作って、今後の鳥獣保護及び狩猟の制度の在り方について検討してございます。これは、特定鳥獣保護管理計画だけでなくて、幅広くいろんな面を検討しておりまして、もちろん必要があれば鳥獣保護法、新しくまた改正するということも視野に置いております。

○福山哲郎君 それはいつぐらいまでに方向性がまとまる予定なんでしょうか。

○政府参考人(小林光君) いろんな大きな課題があって議論が対立するときもありますが、これは議論が集約してまいりますればその都度やりたいというふうに考えておりまして、できるだけ早く意見集約を待ちたいというふうに考えております。

○福山哲郎君 実は、三年前も大変な議論があって、三年後というのが必要を含めて、必要な場合ならばということである種の留保が付いていたんですが、そこは修正案の審議の中で正に今帰ってこられました福本先生と真鍋長官の間で、議事録も残っているんですが、法改正も含めて考えるんだというような御答弁を、本当に当事者のお二人がいらっしゃるんですが、されているということで、できるだけ早くということは、実は、例えばNGOにしても専門家にしても我々としても、九月をめどに法改正の流れの中でいろいろ準備をしてきたのが、今回、手前にこういう改正が出てきてあとは先送りだという話になると、少し段取りが違うんじゃないかという議論がありまして、そこについてできるだけ早くということではなくて、もう少し具体的に御答弁いただけますでしょうか。

○政府参考人(小林光君) 一番大きな課題となります特定鳥獣保護管理計画のフォローアップというのが、現在まで二か所ですけれども、あと二年もすればかなりの数でフォローができるようになりますので、それと合わせてやりますから、今検討会を開いているのも二、三年というめどでいろんな方向をまとめてくるということになろうかと思います。

○福山哲郎君 今、具体的に二、三年と答えていただいたことはある種誠意のある答弁なんだと思うんですが、ただ、九月をめどに見直し作業を進めてそれは法改正も含むという議論をしていて、逆に言うと専門家もNGOも我々もそういう状況で野生生物の保護をも含めて我が国の議論を今年の秋以降詰めていくと、議論が起こるのではないかと思っていたら、手前に法案が、改正案が出てきて、それはフォローアップしてから二年後、三年後というのはちょっとやっぱりそれは納得できないんですが、局長、いかがですか。

○政府参考人(小林光君) 今回の法改正でも、平成十一年の改正時点で衆参両院で附帯決議いただきました。例えば鉛散弾の問題ですとかそれから鳥獣の野外の放置ですとか、そういうことのできる対応はしてきたつもりでございます。
 まだ、議論がいろいろ詰まっている、詰まらない部分、要するにいろんな双方の意見があってどうしても集約できない部分というのがございます。サボっているつもりは毛頭ありません、一生懸命やりますので様子を見ていただければと思います。

○福山哲郎君 もう真鍋長官と福本先生にお伺いしたいぐらいなんですが、御意見を。
 ちょっとそこは、私、今日いろんなこと聞きたいので、納得できないんですけれども、やっぱり速やかにやらなければいけないし、もし今のような状況ならちゃんと事前に説明しなければいけないと思うし、こういう改正案を出してきて法案の審議をして、あと二年後、三年後先送りしますというのは余りにも誠意がないし、この附則に対して私はある種問題があるというふうに思っていますが、大臣、いかがですか。突然振って申し訳ありません。

○国務大臣(大木浩君) 私も、実は前回の真鍋大臣のころの細かい審議については、正直申し上げますけれども、十分には承知しておりませんけれども、やはり今回、委員の方からのお立場からいえば、まだ中途半端じゃないかとか部分的じゃないかという御意見あると思いますが、少なくとも今の段階でお出ししております法律というのは、この段階でやっぱり実施した方がいいんじゃないかということで出させていただいておりますので、今、局長も一生懸命やりますと言っていましたけれども、局長も何か諮問委員会ですか、作って一月からやっておりますので、ひとつそういうことで御理解をいただきたいと思っております。

【統計整備の問題点】
○福山哲郎君 時間がないので、次へ行きます。
 時間が掛かることの大変な問題として、鳥獣関係統計というのは実は今、最新版が九九年版なんですね。これ改正した年のもので、言わばこの鳥獣関係統計も含めてなかなかこの辺の関係の資料がそろうのが遅いと。だから、今の話も二年、三年フォローアップに掛かるんじゃないかということも実はそこら辺も問題だというふうに思っていまして、もっと早くこの鳥獣関係統計の集計や都道府県や市町村への周知徹底も含めて、そういう仕組みはできないのかというのは根本的な問題としてあると思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(小林光君) 狩猟者からの報告というのは、猟期が終わってそれからもらうような仕組みになっています、現在なっていますから、遅れがちになるんです。
 それで、我が方としてもこれではいかぬと痛感しておりまして、都道府県との連携の下に、例えばインターネットを活用した野生鳥獣の捕獲ですとか狩猟者登録に関するいろんな情報収集システムというのを今整備を進めているところでございます。このようなシステムの整備によりまして、迅速な鳥獣統計の取りまとめを行うとともに、その結果を早く鳥獣保護事業の実施や必要な施策に反映していきたいと、こういうふうに思っています。
 そういうようなシステムの実効性を高める意味でも、今回の法改正で狩猟者に捕獲した結果の頭数とか場所とか、そういうものの報告を法律で義務付けて、罰則を掛けてというような改正をする、その連動した作業を今しております。できるだけ早く情報を集めて発表したいと思っております。

○福山哲郎君 その具体的なシステムというのは、何か今こういうことを作りたいと思っているようなものはあるんでしょうか。

○政府参考人(小林光君) 報告をできるだけ電算化しやすいような情報で集めるとか、それから後はコンピューターシステムで集計作業ができるような、そういうような集中的なコンピューター管理をするセクションを設けるとか、そういうようなことを今考えております。それから、報告もできるだけしやすいようなことを考えていることでございます。

【生物多様性について】
○福山哲郎君 済みません、さっきの話にちょっとだけ戻ります。もう一回確認させてください。
 今、更に作業を進めて、大臣も言われました検討を進める中には、もちろん法改正も含むというふうに判断してよろしいですね。それはお約束いただけますね。

○政府参考人(小林光君) 法改正も念頭に置いております。

○福山哲郎君 今回の改正ですが、改正一条に生物多様性の確保という文言が盛り込まれたことというのは大変評価できるというふうに思いますが、この生物多様性の確保という言葉の中には、当然、生物多様性の国家戦略に記載されているような、野生鳥獣は国民の共有財産であり、それぞれの地域で普通に見られる種から希少な種まで多様な野生動物が永続的に存続できることを目的とするという中身を、この法案自身にもその目的が含まれていると考えてよろしいですね。

○政府参考人(小林光君) そのようにお考えいただいて結構です。

○福山哲郎君 そうすると、実はそれが含まれているけれども、それを担保する中身はまだまだ十分ではないというふうに私は思っていますし、今回は余りにも微修正なわけですから、そこは含まれているけれども、そこは担保まだまだできなくて今後必要だという位置付けでよろしいですね。

○政府参考人(小林光君) 従来より鳥獣保護事業計画の基準の中に、生物多様性の確保というのは、環境大臣が定めるその鳥獣保護事業計画を都道府県が定める上での基準を示しておりまして、今回の法律では基本方針と言っていますけれども、その中に生物多様性の確保という言葉は入っておりましたが、今回新しく法律に入れたということでございます。
 法律の目的にきちっと位置付けたということですが、まだ古い体制の制度を引きずっているものでございますから、いろんな改正点というのはあろうかと思います。そういう意味で、更に法律の目的にきちっと入れた観点から、生物多様性確保に向けた施策ないしは法制度の見直しということも今後考えていく必要があろうかと思っております。

【特定鳥獣保護管理計画策定状況】
○福山哲郎君 それでは、具体的な話で行きます。
 特定鳥獣保護管理計画、各都道府県の施行状況について、どのぐらい策定されて実態はどうなっているのか。先ほどちらっと御答弁いただきましたが、御説明ください。

○政府参考人(小林光君) 特定鳥獣保護管理計画につきましては、現在二十五の道府県で、二十九の地域について計画が策定されております。

○福山哲郎君 これが二十五にいまだにとどまっている理由は何ででしょうか。

○政府参考人(小林光君) 現在、都道府県でもこの計画は科学的にやらなければならないということで、鳥獣の生息状況とか、そういうものを中心に調査をする、そういうようなこともあるものですから時間が掛かっているというところもありまして、計画予定が、まだ更に四十二地域ほど計画予定をしているところでございます。これから徐々に増えていくと思います。

○福山哲郎君 で、現状、策定済みの計画、それから今後策定予定の計画、各都道府県を見ますと、どちらかというと、やはりシカ、イノシシ等の対象が非常に多くて、有害駆除対策にどちらかというと比重が強くなっているのではないかというふうに思います。長野とか岡山ではクマという形で、生息環境の保全整備という観点でもあるんですが、ちょっと各都道府県、余りにも有害駆除対策の方にバランスが崩れているのではないかというふうに思っているんですが、そこは環境省としてはどのようにお考えでしょうか。

○大臣政務官(奥谷通君) 委員御承知のとおり、特定鳥獣保護管理計画は都道府県知事が必要に応じて策定する計画でございます。
 ですから、鳥獣が著しく増加したりあるいは減少したりしたときに、この制度に基づいて計画を策定いたしまして野生鳥獣の科学的また計画的な保護管理を行うことが望ましいと、こう考えておるところでございます。

○福山哲郎君 済みません、私の御質問にはお答えいただいていないんですが。
 有害駆除対策にちょっと偏重しているのではないかと、その策定計画の動向がですね、そこについて環境省としてはどのように考えているのかということなんですが。

○政府参考人(小林光君) 確かに、現在いろんな日本じゅうで問題になっている鳥獣による被害の問題が結構あります、シカなんかとかが多いんですが。
 確かに、クマが各地で減っている地域がございまして、そこのクマの、少なくなっている動物については代表的なのはクマですが、三県、長野、岡山、秋田、三県でクマに対する保護管理計画を策定済みでございます。さらに、今計画中というか今調査中のところがクマに関して九県ございます。
 確かに、全体の流れから見ると、シカとかイノシシ対策というのが多いことは多いんですが、クマについても計画策定なり計画を準備しているということで、環境省としても、そういうクマや何かの保護事業計画に関してできるだけ支援をしていきたいというふうに考えております。

○福山哲郎君 私、環境省が各都道府県にお配りをされているガイドライン、その管理計画を作るガイドラインも拝見しているんですが、そこはある種、別に駆除に対してだけ強めに言われているようなものではないというのも分かっておりますが、ただやはり、例えば被害に遭った場合に、都道府県に例えば被害に遭われた方が声を上げたりとか、ハンターの関係も含めて、やっぱりそっち側の声が非常に、管理計画を作られるときにはどちらかというと多く都道府県の策定過程でも聞かれる傾向があるのではないかなというふうに私はちょっと危惧をしておりまして、そこについて環境省から、今、局長はなるべくそういうことがないようにしたいということを言われましたが、何か働き掛け、要は減少しているものに対しての計画も作るようにというような働きを今後していただくおつもりはございませんでしょうか。

○政府参考人(小林光君) 我が方で、特定計画を作成するのにいろんな調査とか具体的な対策をする事業費として、二分の一の補助事業がございます。国費全体で一億三千万ほどですけれども、そういうものを配分する際に、できるだけそういう保護、必要なクマの保護計画ですとか、そういったところにするように誘導していくことは是非していきたいというふうに思っておるところでございます。

○福山哲郎君 是非その財政的なものも必要なんですが、いろんなときに環境省から、当然、担当者会議とかブロック会議とかがあると思うんですが、そういう場面でも、管理計画を作るときに減少しているものに対してもというようなことをちょっと強く働き掛けていただくようにお願いはできませんでしょうか。

○政府参考人(小林光君) そのように是非、努めておるところでございますし、今後ともそのようにしていきたいと思っております。

【生息状況調査】
○福山哲郎君 それから、九九年の附帯決議の一項目めに、国全体の鳥獣の生息状況を適切に把握する、都道府県の調査を支援をするということを積極的にやれというようなことが附帯の一項目にあるんですが、都道府県に対するこの生息状況の適切な把握に対する支援と把握の状況はどのような状態になっているか、お教えください。

○政府参考人(小林光君) 平成十一年の附帯決議で御指摘いただいた件、平成十二年度から緑の国勢調査の一環として、イノシシですとかシカですとか、大型哺乳類の生息状況の調査を都道府県に委託して実施してございます。
 そういう中で、今現在情報が集まっているところでございまして、平成十二年度はアンケート調査で、キツネとかタヌキだとか、そういうような種類について何十万件もの情報が集まってきております。十三年度はツキノワグマ、ヒグマ、猿、シカ、イノシシについて聞き取り調査をいたしまして、今それの取りまとめをしているところでございます。

○福山哲郎君 都道府県の独自調査への国からの支援というのはあるんでしょうか。

○政府参考人(小林光君) 私どもは、都道府県に委託をすることを通じて、県内の動物分布調査について依頼してございますので、直接的に補助金というような形でしていることはございません。環境省の費用でということでございますけれども、その中身は、都道府県が自ら調べるべき調査についても環境省の費用でやっているというふうに理解しております。

【狩猟者モラル】
○福山哲郎君 その次は、やはり九九年の附帯決議の三項目めの、狩猟者のモラルの向上対策に努めろということが附帯決議にあったんですが、先ほど大野委員からもありましたように、鉛散弾の使用とか個体の放置とか、密猟とか過度な有害鳥獣駆除など、狩猟者のモラルについてはやっぱりいろいろな問題があると思っておりまして、このモラルの改善については、これまで改正後どのような対策を取られてきて、どのように評価をされているか、お答え願えますでしょうか。

○大臣政務官(奥谷通君) ハンターが狩猟を行うに当たりましては、法律に基づく狩猟のルールを遵守するとともに、周囲の人や、また自らの安全の確保に十分注意を図ることが必要と思います。また一方で、現実的に狩猟事故や違法捕獲の事例も発生しておりまして、狩猟者全般に対する社会的信頼を低下するおそれも大きいと考えております。このため、今法案においては罰則を含む措置を設けたことから、狩猟鳥獣の放置や違法捕獲は減少していくと期待いたしております。
 しかし、より根本的な解決のためには、ハンターのモラルの向上が重要でありまして、環境省としても、毎年猟期が始まる前に都道府県及び狩猟者団体に対しまして事故防止や捕獲鳥獣の適正処理等、狩猟マナーの向上の獲得への取組について要請をしているところでございます。

【放置の禁止】
○福山哲郎君 今回、放置の禁止を罰則付きで盛り込んだことは、私は一つの前向きな進歩だったというふうに思います。
 ただ、一つ分からないのは、本法十八条は放置禁止で、これ罰金三十万円以下なんですね。ところが、廃棄物処理法、動物の死体というのは産業廃棄物に当たると思うんですが、廃棄物処理法の十六条ですと、これは投棄禁止で、これは懲役五年又は罰金一千万円以下なんですね。つまり、例えば撃って、ハンターが撃って、そこにそのまま放置して帰ったら罰金三十万円以下、本法の適用になるわけですが、撃って一回自分のものにして、何か必要なものだけ取ってそこにもう一回捨てると、これは一回占有していますから、これは産業廃棄物で罰金一千万円以下になるわけですね。
 これは、廃棄物処理法十六条と本法の十八条の放置禁止と投棄禁止の中でのこの違いは、どういうふうに整理したらいいのかなと思っているんですが。

○政府参考人(小林光君) 廃掃法の十六条の廃棄物の罰則、非常に懲役まであって大変重い罰なんですけれども、これで想定しておりますのは、動物の死体とかいっても屠畜とかそういう非常に大規模な業者が、特に業者がやるような大規模な廃棄物、トラックで運んできてぼんと捨てるような、そういうような罰則に対する量刑というふうに理解してございまして、鳥獣保護法の場合の鳥獣の放棄というのはそんな大規模なものは想定されておりません。
 基本的には、個人がごみを捨てるような感覚でぽっと捨ててしまう、そんなようなことを想定している量刑でございますので、今回、三十万円というふうな形にさせていただいて、大体こんなところではないかなというように思っております。

○福山哲郎君 そうすると、例えば一回自分のものにして、それでもう一回放置した場合には、どちらかというとこの放置禁止が適用されると思っていいわけですね。

○政府参考人(小林光君) そのように法律適用されると思っています。廃掃法の適用は多分されないと思います。

【中国の野鳥輸出問題】
○福山哲郎君 分かりました。
 ちょっとほかにも幾つか、鉛散弾銃のところも聞きたいんですが、少し去年からいろいろ環境省が御努力をされている件についてもお伺いしたいと思います。
 例の中国の野鳥の輸出規制、それから証明書の添付問題について、昨年、一昨年と環境省が非常に積極的に動いていただいていると思っていますが、その後、進展をされているのか。その後の進捗状況について御答弁いただけますか。

○国務大臣(大木浩君) 中国からの野鳥の問題、先生非常にもう前々から非常に御関心というか御懸念といいますか示されておりまして、私どももいろいろと中国側とも折衝をしておりまして、ただいま外交ルートを通じて中国と調整を進めて、恐らく、数週間と申し上げますが、数週間のうちに中国との間で鳥類の輸出入規制に係る外交ルートでの口上書を結ぶことにしております。
 これを結べば、その後速やかに中国からの鳥類輸入に関して、また今度は実際に中国の関係当局との間でどういう手続でそれをきちっと取決めを実現するかというための、いろいろと例えば輸出許可に係る書類をどういう書類を出すかと、そういうことも話ができると思いますので、そういうことでひとつ一応日中間の話合いというのはできると。
 御存じのとおりに現在輸入の鳥類、非常に中国が、ほとんど八割ぐらいですね、これ、たしか。ですから、もしこれで中国からの輸入というものがきちっと規制されれば、現在たしか十万羽ぐらいのうちでそのうちの八割ということになれば、それは相当減少いたしますので、かなり改善になる、実質的な改善になるというふうに期待しております。

○福山哲郎君 そこは本当に環境省がこの二年間一生懸命取り組まれた成果だと思いますし、なるべく早く具体的にしていただきたいと思いますが。
 今日、実は財務省も来ていただいています。今の環境省の作業が、中国との作業が終わった時点で、税関では輸出証明書が添付されていないものに対して速やかに税関で止めるということが実務上可能なのかどうか、お答えをいただけますでしょうか。

○政府参考人(藤原啓司君) お答え申し上げます。
 御案内のように、鳥の輸入につきましては、鳥獣保護法によりまして、施行規則に規定された鳥の輸入であって、輸出国におきまして適法に捕獲、採取されました旨又は輸出を許可した旨を証明する政府機関の存在が確認されております場合には、この政府機関が発行いたしました証明書を添付しなければ鳥を輸入することができないということになっております。
 これを受けまして、税関におきましては、関税法七十条の規定に基づきまして、輸出国におきまして当該証明書の発給機関の存在が確認されている国を輸出国とする鳥の輸入通関に関しましては、当該証明書を確認いたしまして、確認ができたもののみ輸入を許可しているところでございます。
 御指摘の中国につきましては、この証明機関につきまして、ただいま環境大臣から御答弁ございましたように、主管官庁である環境省におきまして現在鋭意その確認等の作業が進められておりまして、近々最終的に確認できるという見通しであると伺っております。
 したがいまして、この最終的な確認がなされまして、中国からの鳥の輸入が鳥獣保護法の規制に服するという見解が示されましたならば、関税局、税関といたしましても、関税法の七十条の規定に基づきまして、中国における証明機関の証明書の確認を行いまして適切に対処してまいりたいと考えております。

○福山哲郎君 要は、実務上はすぐにできるという、すぐに税関で止められるのは、例えば環境省が中国と確認をしてから例えばまた半年とか一年掛かるということではないということですね。

○政府参考人(藤原啓司君) そのように長時間を要するということはないと考えております。
○福山哲郎君 じゃ、要は常識的な範囲ですぐに対応できるというふうに思ってよろしいわけですね。

○政府参考人(藤原啓司君) そのように受け止めていただきたいと思います。

○福山哲郎君 ありがとうございます。是非環境省の御努力と、それから税関の方にも御協力いただきまして速やかにこのことが実現することをお願いしたいと思います。
 そうすると、先ほど大臣が中国からの輸入が約八割ぐらいというふうにおっしゃっていただいたんですが、環境省の資料によると、今、我が国の野鳥の輸入のうち原産国が中国の場合は約九九%というような数字も出ていまして、今多少変化があるのかもしれませんが、という話になると、実はこの本法の二十六条ですが、これ輸入の問題なんですけれども、実はただし書があります。本法二十六条のただし書、ちょっと読ませていただきますと、「ただし、当該鳥獣若しくは鳥類の卵の捕獲若しくは採取又は輸出に関し証明する制度を有しない国又は地域として環境大臣が定める国又は地域から輸入する場合は、この限りでない。」という例外規定があるんですが、今ほとんど中国から輸入をされて、その中国との関係が環境省の御努力で解決をするとなると、このただし書は要らないんじゃないかというふうに思うんですが、要はこれで例外を作ってしまいますので、このただし書は私不要だと思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(小林光君) 確かに中国が非常に大きな輸出国であった。今後、中国も鳥の輸出はしないと、こう言っておりますので、輸出証明書が付いてくることはまず余り考えにくいんですが、ただ、これは中国だけのことでございませんで、このただし書を削除した場合に、許可書又は証明書を発行する制度を持たない国というのもあって、そういうところから輸出してくる、日本が輸入する、そういうときに一方的に輸入の禁止措置になる可能性があります。
 そういうことで、自由貿易の観点からも問題になります。国際的な取決めとしては、野生動植物の国際取決めはワシントン条約というのがありまして、絶滅のおそれのある種についてはこうするという国際的な取決めがあって、そうでない、絶滅のおそれのないそういう鳥まで一方的に自由貿易を阻害するという制度を作るのがなかなか難しいものですから、取りあえずこのただし書は残さざるを得ないかなと、こういうふうに思っております。
 そういう持たない国に関しましては、引き続き相手国に対して証明制度を、中国に働き掛けたような証明制度を作ってくださいと、こういうような働き掛けも今後やっていく必要はあると思っております。

○福山哲郎君 最後、局長が言われた点が正にそうだと思いまして、逆にその許可制度、証明書を発行するところがないところに対しては、我が国はこうだということで、逆に、今、中国に対して働き掛けをされたのと同様のことを逆にやっていただければ、このただし書は将来的には私必要なくなるのではないかなというふうに思っていまして、そこも前向きに御検討いただきたいと思います。
 その輸入鳥の話で申し上げますと、国内の鳥は飼養許可制度というのがございまして、捕獲をした後飼養を許可を申請して、一年ごとに飼養許可の申請があります。ところが、今不思議なことに輸入鳥に関しては、輸入されて販売されたときに、これ一年ごとの飼養の許可制度というのがないんですね。これ、輸入鳥は飼養の許可制度がなくて国内鳥に関してはあるというのは、ある種すごいバランスが悪くて、これまでは違法な中国からの先ほどから言われているような輸入鳥が来て管理ができなかったという実務としての実情は僕も理解をするんですが、これ、中国からの輸入がある種規制ができるという状況の中では、輸入鳥も国内鳥も制度的には一年の飼養許可というのは合わせるべきではないかと思うんですが、局長、いかがでしょうか。

○政府参考人(小林光君) 輸入鳥につきましては、輸入された場合、国内の鳥獣と紛らわしい、そういうことで鳥獣の輸入について規制してその出所を明らかにする、そういうことで国内での違法な捕獲、鳥の捕獲を防止する、そんな目的があってやっている制度です。
 一方、国内鳥の、国内の鳥獣の飼養に、飼うことに関しては、基本的には私どもの立場は野生の鳥獣というのは野生のままにしておくことが原則ということで、そのために許可対象は徐々に減らしてきていまして、現在はメジロとホオジロに限定しています。そういう観点で、できるだけ野生のものは野生にという観点で飼養許可というのを制度を作っている、一年更新というのもそういう趣旨でございます。そういうことでございますので、ちょっと法律の、制度の目的が違いますものですから、なかなか簡単に同じ取扱いにしにくい面がございます。
 確かに、御指摘のとおり、我々も、輸入鳥が国内鳥と紛らわしくてなかなか難しい面があるんですが、今後、飼養の許可の取扱いに関しましては、国内鳥の生息の影響、それから野生鳥獣の輸入の制度の在り方、これははっきり言いますと鳥ばかりじゃなくて多くのペットがたくさん輸入されてきています。そういうことまで一々許可にかかわらしめるのがどうかという辺も、飼養許可をするのに一々環境省の許可が要るのかという点もあって、非常に難しい問題がありますけれども、これ何とか、鳥については問題が大きなのも十分こちらとしては認識してございますので、今後在り方について検討をしていきたいと考えてございます。

【被害防除対策】
○福山哲郎君 是非前向きによろしくお願いします。
 せっかく農水省来ていただいたので、質問させていただきます。
 被害の防除対策について、この本法の九九年の改正後、どの程度、被害防除対策について、予防策も含めて、防護策も含めて、予算の伸びがあったのかということと、技術開発としてはどのようなものがあったのか、具体的にお教えいただけますでしょうか。

○政府参考人(坂野雅敏君) まず、十年度以降の予算の状況、これについて実績を申し上げたいと思います。
 鳥獣害対策の農林省の全体の実績としまして、平成十年度に二十四億、正確に二十四億一千万円です。それから、十一年度が二十一億一千万円、十二年度が二十億八千万円でございます。十三年度は、見込みでございますけれども、二十四億九千万円というふうに見込まれております。それが一点でございます。
 もう一点の十年度以降の技術的な対策は何かないかと。要は、侵入防止については、引き続き侵入防止さくだとか、それから電気さくだとか、そういうふうなことを引き続きやっているわけでございますけれども、幾つか新しい事例も出てきております。といいますのは、例えば滋賀県の例ですけれども、猿で、猿の被害防止で、猿に発信機を付けまして、それの発信機を付けてその電波を受信することによって猿の個体群の移動をあらかじめ予測して、それで農地に近くなったときに何か追い返すということをうまくスムーズにやるというようなことを今実施しております。
 それからまた、電気さくにつきましても、これはかなり鳥獣の場合は中山間地と、かなり離れた地域でやっていますから、電気さくまで電気を引かなきゃいけないということでありますから、なかなか難しいところもあるわけですけれども、そこにソーラーのシステムを入れまして、ソーラーバッテリーを入れるということで、場所を選ばなくてもできるというようなことを、既に一部可能になりましたので、その次の実証事業を始めております。

○福山哲郎君 これで終わります。
 どうもありがとうございました。

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2002年3月11日

参議院予算委員会・速報
「鈴木宗男疑惑・北方領土問題について」



目次
鈴木宗男議員証人喚問
上田清司議員提示メモの真否
外為法違反の送金疑惑
支援委員会人事への介入疑惑
ロシア参事官の査証発効問題
テルアビブ国際会議の費用肩代わり問題
北方領土問題〜住所
北方領土〜国有地か私有地か
北方領土〜主権の問題


【鈴木宗男議員証人喚問】

○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。よろしくお願い申し上げます。
 まず、午前中、衆議院におきまして鈴木宗男議員の証人喚問が行われました。今日、たくさんの官房長官、大臣にお越しをいただいておりますので、大変恐縮ではございますが、お一人お一人、証人喚問の御感想をお述べいただきたいと思います。
○委員長(真鍋賢二君) 大臣を指名してください。
○福山哲郎君 はい。じゃ、官房長官からよろしくお願いいたします。
○国務大臣(福田康夫君) ずっとテレビ画面を凝視していたわけじゃない、断片的でございますけれども、質問される方も、それから証人として出てこられた、答えられた鈴木議員も、真摯にやり取りをされたと、そのように拝見いたしました。
○福山哲郎君 じゃ、財務大臣、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、九時から九時二十分まで、浅野さんの質問のときだけ聞いておったんですが、それ以後はもう陳情者が、ずっと会っていまして、もう十分か十五分刻みで陳情してましたんで、テレビを見ている時間はなかったんです。時々ちょっとつけましたら、皆、質問が厳しくやっておられるなと思っておりまして、その答弁についてももう断片的しか聞けなかったものですから、今ここで軽率に感想を申し上げるのは失礼だと思っております。
○福山哲郎君 じゃ扇大臣、恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(扇千景君) 最近、特に政と官の問題が大変話題になっておりますし、まして国土交通省、公共工事というものがたくさんございますので、私は、大変大事な場面であるというふうに拝聴をいたしました。
 全部が全部ではございませんけれども、私は、少なくとも公共工事、一昨年、公共工事の入札と契約に関する適正化法、こういうことのないために法案を通していただいたと思っておりますので、より徹底を図っていきたい。また、政と官の姿勢というものもお互いに正さなきゃいけないと思って拝聴しておりました。
○福山哲郎君 森山法務大臣、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(森山眞弓君) 私も、ちょうどその時間来客が相次ぎまして、じっと見ているということができませんでしたので、今まとめて御感想を申し上げるということはちょっとできませんのですが、時々ちらっと、一分、二分のぞいてみたというだけでございまして、そのそれぞれの場面で質問者もまた鈴木議員も真剣に答えていらっしゃるという雰囲気だけは感じましたが、内容についてはちょっと、よく申し上げるだけのことができません。どうも申し訳ございません。
○福山哲郎君 尾身大臣、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(尾身幸次君) 私も全部見たわけではありませんが、誠に残念な思いで一部テレビを拝見させていただきました。今後とも私ども政治家として襟を正していかなければならないという思いを持ちました。
○委員長(真鍋賢二君) みんなですか。
○福山哲郎君 はい。
 片山総務大臣、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(片山虎之助君) 私も終始見ていたわけではありませんけれども、鈴木議員は鈴木議員なりに懸命に答えておったという感じを持ちました。
○福山哲郎君 村井国家公安委員長、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(村井仁君) 私も全部聞いていたわけではございませんけれども、政治家がその政治活動を通じまして証人喚問を受けるという事態になりましたこと、大変重く受け止めて拝見をしておりました。
○福山哲郎君 農水大臣、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(武部勤君) 午前中は会議がありまして全く見ておりませんが、元居住者の皆さん方がどういう思いをしているか。また、国民の皆さん方に御理解いただきたいと思うことは、北方領土返還運動の原点であり拠点である根室市や根室地域の皆さん方の長年の思いというものに理解を深めていただきたいということと同時に、政、官の在り方ということには毅然と律していかなきゃならないということを本件を通じて痛感しております。
○福山哲郎君 中谷防衛庁長官、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(中谷元君) 証人の方は記憶に基づいて答えておられたと思いますが、反省の弁もありました。それを聞きまして、やはり行政の側も政治の側も国民の信頼を得るべくしっかりとした行動を日ごろから取っていかなければならないというふうに私は聞かせていただきました。
○福山哲郎君 竹中大臣、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(竹中平蔵君) 私もごく部分的にしか拝見することができませんでしたが、疑問がある問題について責任ある立場の方々が双方真摯に向き合ってオープンに議論されたと、話し合われたということに意義があったと思います。
○福山哲郎君 最後、外務大臣よろしくお願いいたします。
○国務大臣(川口順子君) 国会での御議論は御議論として、外務省として改革をきちんと全力でやりまして、国民の皆様の信頼にこたえるような外務省にならなければいけないというふうに思いました。
 それから、あわせて、やはり政と官の関係をどう考えるかということは開かれた外務省のための十の改革の中の一番目の項目に挙げさせていただきましたけれども、この点について、国会あるいは政党の中、あるいは国会の外できちんと御議論をいただいて、もちろん外務省としても変える会の中で議論をして、また外務省自身としても考えていきたいと思いますが、非常に重要なテーマであるというふうに思った次第です。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 竹中大臣、実は経済のことをやろうと思ったんですが、もう質問する時間ないと思いますので、お引き取りいただいて結構です。
 済みません。では、証人喚問について、少しその事実関係についてお伺いをしていきたいというふうに思います。

【上田清司議員提示メモの真否】

 まず、鈴木宗男議員が平成七年の六月の十三日、外務省の西田参事官に対して、診療所建設問題についてこのような主張をしたということが今日証人喚問で明らかになりました。鈴木宗男議員の言葉です。
 北方領土問題というのは、国のメンツから領土返還を主張しているにすぎず、実際には島が返還されても国として何の利益にもならない。そうであれば、我が国は領土返還要求を打ち切って四島との経済交流を進めていくべきだと考えると。領土返還運動に従事している人たちは大変な被害に遭っているので、自分と同じような意見を持った人が、者がいるというようなことを外務省の西田参事官に言って、メモが残っていますが、このメモの存在は、外務省さん、事実でいらっしゃいますか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) お答えいたします。
 事実でございます。
○福山哲郎君 これは元々我が国の北方領土の政策とは異なると思うのですが、いかがでございますでしょうか。大臣、よろしいですか。
○国務大臣(川口順子君) 外務省といたしまして、基本的にロシア外交、北方領土を含めたロシア外交というのは、の基本的な考え方というのは、平和条約の締結、経済分野における協力、それから国際舞台における協力という三つの柱を同時に進めていくということでございます。
 それで、お尋ねの件は、今のその西田参事官の問題につきまして外務省の方針と違うかどうかということであったかというふうに思いますけれども、外務省の西田参事官の当時の答えた趣旨というのは、この領土返還問題について否定的に対応しているのではなくて、あくまで必要な検討を鋭意進めているということであるということを西田参事官としては鈴木議員にお伝えをしたというふうに理解しています。
○福山哲郎君 西田参事官がそのようにお伝えをされたことは私も理解をしています。
 この鈴木宗男議員の発言は国の政策とは異なる政策ではないですかとお伺いをしたんですが。
○国務大臣(川口順子君) 外務省のこの北方領土の返還問題についての方針といいますのは、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するということでございまして、これは一貫とした方針でございます。したがいまして、精力的に交渉を続けていきたいというふうに考えております。
 鈴木議員がおっしゃったということがこの趣旨に照らしてどういうことであるかということは、ちょっと私その場にいませんでしたのでよく分かりませんけれども、鈴木議員も、先ほどのお話ですと、そういった趣旨で自分は言ったんだというふうにお答えになっていらしたというのが私の記憶でございます。
○福山哲郎君 ということは、大臣の今の答弁は苦しいのはよく分かるんですが、こういった発言をしている方だという、議員だということを理解をした上で、これから先、実はこの支援事業はどんどん拡大していくわけですが、このような発言をされている方だと認識をした上で外務省は支援事業を継続したわけですね。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 領土問題に関しまして鈴木議員がどのようなお考えを持っておられるかということについて私が御説明する立場にございませんけれども、日本政府の立場といいますのは、先ほど外務大臣から御答弁申し上げましたように、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという一貫した方針を取ってきているわけでございます。
○福山哲郎君 今日は余りしつこくやる気はないんですが、このような発言をしてメモが残っている、こういう議員の考えを、持ち主だということを分かった上で支援事業を継続してきたのですねとお伺いしていますが。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 鈴木議員が四島の問題についてどういう御意見をお持ちかということに対して私の方から御説明することはできないということを先ほど申し上げさせていただいた次第でございます。
○福山哲郎君 これ、ペーパー、外務省のペーパーで先ほど事実だと局長自身がおっしゃられたんですが。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 当時の西田欧亜局参事官と鈴木議員との間で平成七年六月十三日にこういうやり取りがあったということが当時のメモとして残っているということでございまして、そこにそういうことが当時の関係者のメモとして残っていると、こういうことでございます。
○福山哲郎君 答えになっていないわけですが、これを聞かれた元島民の方や……(発言する者あり)
○委員長(真鍋賢二君) 御静粛に願います。
○福山哲郎君 これを聞かれた北方領土の返還運動をやられてきた方がどんな思いかということを少し感じていただきたいと思います。
 時間がないので次に行きます。

【外為法違反の送金疑惑】

 次に、例のタンザニアのキマンドルの中学校建設の寄附について、七百八十万円、外務省の職員に手渡しをして、そして今日も現金だというふうに鈴木議員はおっしゃっておられましたが、キャッシュをして、外務省の方に渡して、その外務省の方が送金をしたということになっておりますが、鈴木宗男議員に外務省の職員の方がお会いになったのはいつで、だれがお会いになられて、どういう形でお金を受け取られたか、お答えください。
○政府参考人(小田野展丈君) お答え申し上げます。
 平成十二年の十二月一日、当時の中近東アフリカ局の幹部二名が鈴木宗男議員を訪ねました。自民党の本部の総務局長室でございます。そこで、キマンドル中学校の口座や工事計画などについて説明するため参りまして、説明をしました際に、同議員より、外務省よりの振り込みを依頼され、現金八百万円を手渡されたと承知しております。
○福山哲郎君 何時ぐらいでしょうか。
○政府参考人(小田野展丈君) お答えいたします。
 当日の十二時過ぎであったというふうに記憶していると承知しております。
○福山哲郎君 お昼ですね、それは。
○政府参考人(小田野展丈君) 本人たちの記憶によりますと、戻ってきた時間から逆算するとほぼ十二時過ぎぐらいであっただろうというふうに記憶しております。
○福山哲郎君 お昼ですね。
○政府参考人(小田野展丈君) はい、お昼の十二時でございます。
○福山哲郎君 その御本人の、幹部二人というお名前は明らかにはされていただけませんか。
○政府参考人(小田野展丈君) お答えいたします。
 当時の野川中近東アフリカ局審議官と戸谷アフリカ第二課長でございます。
○福山哲郎君 口座振り込みを行った方はどなたですか。
○政府参考人(小田野展丈君) お答えいたします。
 口座振り込みを行いましたのは、当時のアフリカ第二課の岡島課長補佐でございます。
○福山哲郎君 では、もう一度確認させていただきます。
 平成十二年の十二月の一日昼十二時過ぎ、野川中近東アフリカ局審議官と戸谷アフリカ第二課長が自民党の総務、本部総務局長室で八百万を現金で受け取って、振り込みを行ったのは岡島アフリカ第二課長補佐でよろしいですね。
○政府参考人(小田野展丈君) お答え申し上げます。
 手渡されましたのは、野川中近東アフリカ局審議官、当時でございますが、それと戸谷アフリカ第二課長でございます。振り込みましたのは、岡島課長補佐でございます。十二月、平成十二年十二月一日の正午過ぎであったというのも、そのように承知しております。
○福山哲郎君 場所は。
○政府参考人(小田野展丈君) 場所は、先ほど御説明申し上げましたとおり、自民党本部の総務局長室であるというふうに承知しております。
○福山哲郎君 鈴木宗男議員御本人から手渡しされたんですね。
○政府参考人(小田野展丈君) お答え申し上げます。
 本人から直接手渡されたというふうに承知しております。
○福山哲郎君 分かりました。
 実はこの日は十二月の一日で、例の加藤紘一代議士の加藤政局のあったときでございます。それで、この日十一時四十五分ぐらいから、当時野中幹事長と鈴木宗男総務局長は院内幹事長室で会談をされておられますし、正午からはTBRビルで橋本派の幹部会が開かれているというふうに承っていますし、午後零時四十五分から自民党の代議士会で野中幹事長が最後のごあいさつを、幹事長の辞任のごあいさつをされているというふうに承っております。
 事の真偽は明らかになると思いますが、今の外務省の答弁とは、私も、これは御本人の、証人の今日の答弁もありますので、どちらが正しいかとか本当の真実かは別にいたしまして、一応問題提起をして、次の質問に移りたいというふうに思います。
 次行きます。

【支援委員会人事への介入疑惑】

 支援委員会の事務局職員やロシア支援室の職員に関して、今日、鈴木議員は証人喚問の場で、私は、支援委員会というのは外務省の団体、関係部局のように感じていたというふうにおっしゃっておられました。
 前回の審議でも明らかにさせていただきましたように、現在の支援委員会の事務局長は前コンゴ大使でございますが、今のロシア支援室の首席事務官はどなたでしょうか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 現時点でのロシア支援室の首席事務官は中野潤也と申します。
○福山哲郎君 前職をお答えください。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 中野首席事務官の前職は国際情報局分析第一課に所属しておりました。
○福山哲郎君 これは元々の当該の佐藤前分析官がいらっしゃったところで間違いありませんね。
○政府参考人(齋藤泰雄君) そのとおりでございます。
○福山哲郎君 支援事業のディーゼル発電が三か所に建ちましたが、そのときのコンサルタント契約をされたところはどちらの会社ですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) パシフィックコンサルタンツインターナショナルという会社でございます。
○福山哲郎君 現在の支援委員会事務局の職員がいらっしゃると思いますが、その中にパシフィックコンサルタンツインターナショナルの前職を持たれている方が事務局の中にいらっしゃいますね。間違いありませんか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 以前にパシフィックコンサルタンツインターナショナルに勤務しておりました職員が一名いることは御指摘のとおりでございます。
○福山哲郎君 以前に。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 以前パシフィックコンサルタンツインターナショナルに勤務していた職員が事務局に一名いることは御指摘のとおりでございます。
○福山哲郎君 以前にということは、今はいらっしゃらないんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 今の事務局に以前パシフィックコンサルタンツインターナショナルに勤務していた職員がいるというふうに申し上げました。
 失礼いたしました。
○福山哲郎君 ということは、パシフィックコンサルタンツインターナショナルの職員が事務局にいるということですね。元、元そこで働いていた方が。
○政府参考人(齋藤泰雄君) この職員は、平成元年三月からパシフィックコンサルタンツインターナショナルに勤務いたしまして、平成六年六月に同社を退職した後、所定の採用手続を経まして、平成七年九月一日付けで支援委員会事務局職員として採用され、現在に至っているというふうに承知しております。
○福山哲郎君 ロシア支援室に出向している人は支援委員会事務局から何人いらっしゃいますか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 四人いると伺っております。
○福山哲郎君 支援委員会の事務局や、支援委員会の事務局の職員はどのように採用が決まるんでしょうか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 事務局長が面接の上採用するというふうに承知しております。
○福山哲郎君 道義的にはやっぱり大問題だと私は思っているわけです。
 支援委員会の事務局長がコンゴの前大使で、支援室の事務を取り仕切る首席事務官が分析一課が前職で、そこには佐藤さんがいたところです。更に言えば、ディーゼル発電の入札に、じゃない、コンサルタントの契約をしたところの職員がこの支援委員会の事務局にいるわけです。これはやっぱり道義的に大問題で、その事務局が実は入札を取り仕切るわけです。私は、先ほど鈴木宗男議員が支援委員会というのはあくまでも外務省の関連団体のような感じだというふうに思っていたという証言をされましたけれども、そこに関してはより真実が明らかにこれからなっていくと思いますが、このような事務局体制だということをしっかりと申し上げまして、今後の国会の審議を深めていきたいというふうに思います。
 そして、次に行きたいというふうに思います。

【ロシア参事官の査証発効問題】

 今日のロシアの、証人喚問で出ましたロシアのスミルノフ参事官の査証の発行について、外務省にお答えを願います。
 鈴木議員よりの関与がありましたか。あったことがありましたか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) この点につきましては、当時の関係者から早速調査、聴取いたしましたが、本件に関する鈴木議員の関与は確認されておりません。また、本件に関する鈴木議員の関与を確認するメモはまだ見付かっておりません。
○福山哲郎君 まだ見付かっていないというのが大変正直なお言葉だというふうに思います。
 更に申し上げます。
 読売新聞に載っています、鈴木議員がロシアの外交官であったスミルノフ参事官の監視を警察庁に中止をしろと要求したということがあって、警察庁では関係者が鈴木議員から圧力を受けたというふうに述べているという記事が出ておりますが、この鈴木議員の警察庁に関する関与の電話は事実でございますか。警察庁、お答えください。
○国務大臣(村井仁君) 私から申し上げさせていただきますが、警察は、治安維持の責務を全うするために法に基づきまして必要な情報収集を行っているわけでございますが、その具体的な内容にかかわる事項につきましては、今後の警察活動に支障を来すおそれがございますので、基本的に答弁を差し控えさせていただきます。
 ただいま委員御指摘のその報道の事実関係等でございますが、警察の情報活動に関し政治家等から働き掛けがあったか否かということにつきましても、私どもといいますか、警察がやっております情報活動の中身に触れることにもなりますので、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
 ただ、明確に申し上げておきたいと存じますのは、国家公安委員会といたしまして警察庁を管理しているわけでございますが、その管理を適正に行い指導してまいる、そういう体制はしっかりやっているつもりでございまして、いかなる外部の音がありましょうとも、それは、警察の活動というのは適正に行われるように私どもとしても努めているところでございます。
○福山哲郎君 この件に関しても今後資料等が出てくると思いますので、次回に譲りたいと思います。

【テルアビブ国際会議の費用肩代わり問題】

 さらには、申し上げます。イスラエルで二〇〇〇年に行われた、四月の三日から五日までテルアビブで開かれた国際学会の参加費用はどこが支出をいたしましたか。外務省、お答えください。
○政府参考人(齋藤泰雄君) イスラエルにおきまして開かれましたロシア問題に関する国際会議に出席した関係者、外務省関係者の出張旅費がどこから出たかというお尋ねと思いますけれども、支援委員会から支出したというふうに承知しております。
○福山哲郎君 なぜ支援委員会がイスラエルで行われた国際学会への参加費用を捻出できたのですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 平成十二年四月にイスラエル・テルアビブで開催されましたこの国際会議は、ロシア情勢をめぐり世界各国の有識者が意見交換を行ったものでございますが、そこでの議論が、支援委員会が実施しております対ロシア技術支援の円滑、効果的な実施に有益との当時の判断から、参加に要する旅費が支援委員会から支出されたものと承知しております。
○福山哲郎君 これ、前回の委員会でやったことの繰り返しになるので余り長々とやりたくないんですが、最低限、この間、局長は、クリルの地区長からの要請があるとおっしゃったんですね。百歩譲ってクリルの地区長からの要請があって支援委員会が事業をしたとして、私は、締約国であるロシアも参加していない、委員会も開かれていないのに何で事業ができるんだと申し上げたはずです。
 これ、国際学会への参加の費用が、クリル地区から要請が来るんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) そのような状態ではなかったというふうに推測いたします。
○福山哲郎君 それでは、なぜ支援委員会から支出ができたんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) これが本来の趣旨に基づく旅費の支出であったというふうには必ずしも思われませんけれども、前回御説明しましたとおり、協定を法的に解釈いたしますと要請は必要不可欠な要件ではないということで、日本政府が支援の実施方法等について決定することができるというのがこの協定の定めるところでございます。
○福山哲郎君 じゃ、何でもありなんですね。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 本来あるべき姿といたしましては、締約国側から要請がございまして、その要請を支援委員会が検討いたしまして、その要請の検討を考慮に……(発言する者あり)
 本来あるべき姿についてちょっと御説明いたしておるわけでございますが、締約国側からの要請がございまして、その要請を支援委員会で検討いたしまして、その支援委員会による検討を考慮に入れて日本政府が決定すると、こういうのが本来の姿でございますが、残念ながら、九七年以降ロシア側の委員会代表が不在になっているという状況の中で、日本政府として、やむを得ず実施について決定するという状態が続いてきていると、こういうことでございます。
○福山哲郎君 日本政府のどこが決めたんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) ロシア支援室でございます。
○福山哲郎君 ロシア支援室はそうやって勝手に決められるんですか。
○委員長(真鍋賢二君) 齋藤欧州局長。──指名した、手を、挙手したんですから。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 所要の手続を踏まえて決定を実施していると、こういうことでございます。
○福山哲郎君 当時の欧亜局長、東郷局長がこのことに関与していたという話もございます。さらには、佐藤分析官が関与していたという事実、情報もございますが、その当時の決裁書並びにこの支出についてのメモ等をすべてこの委員会に提出を願いたいんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(川口順子君) 資料につきましては、できるだけ調査をして提出申し上げたいと思います。
 それから、前回、昨日ですか一昨日ですか申し上げましたように、この今、齋藤局長がいろいろお答えをしているのは、法的に言えばということですけれども、局長も言いましたように、これが本当に望ましい姿でなされていたかというと、決してそれはそうではないというのは、皆さん、国民の方も含めてお感じていらっしゃるとおりだと思います。
 ということで、私は、先般発表させていただきましたけれども、今までの監査法人と全く異なった監査法人に、この業務の仕方も含めて調査を、監査をしていただこうと思っております。その中で、すべて、適切でなかった業務のやり方については全部挙げてもらって、それは全部直したいと考えております。
 それからもう一つ、その専門家の会議を開きまして、そのあるべき姿ということをこの専門家の方に議論をしていただきたいと思っております。
 ということで、今までの姿は決して本来あるべき姿ではなかったと思っておりますので、その点についてはこれから改めていきたいと思っております。
○福山哲郎君 改めていただく、改革をしていただく、ちゃんと調査をしていただく、これはもう当たり前のことでございます。
 だって、だれもこれ、外務省、責任取ってないじゃないですか。これだけだれが決めたか分からない状況で、お金を使って、税金を使って、今だって不適切だと述べているのに、みんな異動した、いない。責任だれも取ってないじゃないですか。そうしたら、新たにこれで改革をしますからと言って、これで許されるものなんですか、大臣。(発言する者多し)
○委員長(真鍋賢二君) 御静粛に願います。
○国務大臣(川口順子君) 前回提出をさせていただいた外務省の調査を踏まえまして、それから今後明らかになる新たな監査法人による調査も踏まえまして、必要な措置、人事面も含めまして、これは取っていきたいと思っております。

【北方領土問題〜住所】

○福山哲郎君 実は、この支援委員会のやられた事業がいかにいい加減だったか、いかに入札が報告書にあるように鈴木宗男議員の関与の下でねじ曲げられてきたかということは、もう幾つ挙げても、実はたくさんあり過ぎるぐらいあるんです。入札の公告を出すたんびに、外務省の職員は報告書にあるように、鈴木宗男議員のところに行ってお伺いを立てているわけです、これでいいのですか、これでいいのですかと言って。それでいいと言ったら、それが入札の仕組みになるわけです。入札一個一個に関与したという話ではなくて、私は、支援事業のすべてにわたって、ある意味で言うと鈴木宗男議員の目が光っているという状況の中で外務省の職員は仕事をしていたように私は思っています。報告書にもそう書いてあるわけです、おもんぱかってと。鈴木宗男議員の意向をおもんぱかって事業をしたと書いてあるわけです。これは本当に不届きな話なんですが、その中でちょっと根本的なお話をしたいと思います。
 国後島のいわゆるムネオハウス、さらに言えば択捉、色丹、国後に造ったディーゼル発電設備、これはどこに建てられましたか。住所をお答えください。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 住所については承知しておりません。
○福山哲郎君 少し納得できないので、もう一度御答弁、お願いできますか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) この場所につきましては、先方のいわゆる行政府から幾つか提示がございました中から、インフラ等の整備、あるいは地盤の、あるいは交通の便等を踏まえまして適当な場所を選定したというふうに聞いておりますけれども、その具体的な場所がどこであるかということにつきましては、住所といった形で特定できる情報を私は持ち合わせておりません。(発言する者あり)
○委員長(真鍋賢二君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(真鍋賢二君) 速記を起こしてください。
 欧州局長、再度答弁を願います。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 友好の家につきましては国後島の古釜布、それからディーゼル発電施設につきましては国後島は古釜布地区、色丹島は穴澗地区、択捉は紗那地区でございます。
○福山哲郎君 済みません、住所ってそんなに大ざっぱなんでしょうか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 正に、先ほど住所というお尋ねでございましたので、私、情報を持ち合わせておりませんとお答えいたしましたのは、もっと詳しい番地とか、そういうものの付いた住所だというお尋ねだと思ったものですからそのようにお答えさせていただいたんですけれども、これは、戦後五十年以上にわたりましてロシアが不法に占拠している我が国固有の領土でございますけれども、ロシア側の法律といいますか、それを前提にしたような支援を我々としてはするわけにはいかない、そういうものを認めるわけにはいかないということでございまして、であるがゆえに支援委員会という国際機関を設立いたしまして支援をしてきているということでございます。

【北方領土〜国有地か私有地か】

○福山哲郎君 その土地は国有地ですか、私有地ですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほども申し上げましたとおり、先方が提示した中から諸般の条件を勘案して選択したものでございますけれども、その際、これが我が国の国有地か私有地かについては確認してございません。
 北方四島におけます土地の所有権が消滅していないのは当然でございますけれども、戦後半世紀以上にわたりましてロシアの不法占拠が続いているため、不幸にもその所有権を行使できない状態が続いているわけでございます。
 いずれにいたしましても、土地の所有権を含む財産関係につきましては、北方四島の返還が実現する過程で、関係省庁とも協議の上、適切に対応してまいりたいと存じております。
○福山哲郎君 所有権を行使できない状況にもかかわらず、我が国はお金を立てて物を建てたんですか。我が国の固有の領土なんですよ、これは。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 支援委員会、少し御説明をさせていただきたいと思いますが、支援委員会は、受益諸国におけます市場経済への移行を目指す改革を支援するための活動を行う機関でございますが、支援委員会の設置に関する協定は、支援が行われる対象の地理的範囲を、このような受益諸国の領土に限定してございません。
 我が国が支援委員会を通じまして北方四島に対してこれまで行ってまいりました支援は、我が国固有の領土でありますが、ロシアの不法な占拠の下にある北方四島に現在居住している受益諸国のロシアの国民に対して、あくまでも人道的観点から行われたものでございます。政府といたしましては、支援委員会を通じて北方四島への支援を行うことは以下の理由から北方領土についての我が国の立場を害することにはならないというふうに考えております。
 まず、本協定に基づく北方四島支援は、本協定に基づき設立された国際機関であります支援委員会が実施するものでございまして、あくまで法的観点に限っていえば、我が国政府自身が行う支援とは異なるものでございます。
 次に、北方四島支援はロシア政府に対して行っているものではなく、あくまで人道的な観点から、我が国固有の領土であるにもかかわらずロシアの不法な占拠の下にある北方四島に現在居住しているロシアの国民に対して行われているものでございます。
 更に申し上げますと、ロシアとの間においては、一般的緊急人道支援の枠組みを定める口上書におきまして、これらの訪問及び協力に関連するいかなる問題についても、いずれか一方の側の法的立場を害するものとみなしてはならないとの明確な確認をしているところでございます。
○福山哲郎君 受益諸国のためにと最初おっしゃられたんです。さっき発言の中では、行政、相手の政府に対して行っているわけではなくというふうに、後で議事録調べていただいたら分かりますが、そういうふうに言っているんですね。
 更に言うと、支援委員会が実施するとおっしゃっているんですが、私が先ほどから事業の中身について言ったときに、局長は何回も何回も、前回の質問のときからも日本政府が決定できると何回も言っているんです。いいですか。日本政府が決定したんでしょう、要請が来ていないんだから、この発電所とムネオハウスは。違うんですか。そうあなたはずっと言ってきたはずです。
○政府参考人(齋藤泰雄君) この実施は日本政府が決定したものでございます。
○福山哲郎君 日本政府が決定して実施するんだったら、国有地か私有地か答えてください。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、北方四島におけます土地の所有権が消滅していないのは当然でございますけれども、戦後半世紀以上にわたりましてロシアの不法占拠が続いておりますために、不幸にもその所有権を行使できない状況が続いているわけでございます。
 そのような状況の中にあって、今回の支援の対象となる場所が我が国の国有地か私有地かについては確認していないということでございます。
○福山哲郎君 政府が決定したのに確認しなくていいんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) その点につきましては、いずれにいたしましても、土地の所有権を含む財産関係については北方四島の返還が実現する過程で関係省庁とも協議の上適切に対応してまいりたいと、こういうふうに申し上げた次第でございます。
○福山哲郎君 いや、百歩譲って議論を進めたとして、例えば私有地だったとしましょう、そこが。元々の元島民が持っておられる土地だったとしたら、それは確認をするべきなんじゃないんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 北方四島におけます土地の所有権につきましては、戦後半世紀以上にわたりましてロシアの不法占拠が続いているため、不幸にもその所有権を行使できない状況が続いているということを先ほど申し上げたわけでございます。
 そのような状況にかんがみまして、支援委員会によります支援を実施するに当たりましては、ロシアにより不法占拠される以前の所有権を確認することはいたしませんでしたけれども、いずれにいたしましても、土地の所有権を含む財産関係につきましては、北方四島の返還が実現する過程で関係省庁とも協議の上適切に対応してまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
○国務大臣(川口順子君) 先ほど来局長が御説明を申し上げていますことについてでございますけれども、これは大事なことは、ロシアの国民、北方四島に住んでいるロシアの人たちを人道的な見地から支援をするということでございます。それでそのときに、これは先ほど局長が申しましたように不法占拠をロシアがしているということでございますので、当然に我が国としてはロシアの国内法に基づく所有権の有効性については認めることはできないということでございます。他方で、ロシアの方からいきますと、我が国が国内法に従った手続を取るということについては、北方四島に関するロシアの立場と相入れないということでこれを認めることができないという、そういう状況に現実問題としてございます。
 ということでございますので、人道上の支援を北方四島に住んでいるロシアの人たちにしなければいけないという立場に立ったときに、両方それぞれ立場を主張するとこれは成り立ちませんので、そういう意味で、先ほど局長が申しましたように、この財産的な問題については、これが返還が実現される過程でこれは整理をしていくということで、現在特に日本の法律に基づいて国有地であるか私有地であるかということを確認しないで、実際に援助ができるという観点からこれを行っているということでございます。

【北方領土〜主権の問題】

○福山哲郎君 お互いの主張がぶつかっている、主権と主権がぶつかっていると。お互いがお互いの権利をぶつかっていて、我々は北方領土については固有の主権を主張している、それは分かります。ロシアの国内法を認めるわけにもいかない、それも分かる。人道的な援助をしなければいけないのも分かる。
 でも、それを、人道的な援助をしなければいけないからといって、そこの手続を全部捨象して、さらに、いいですか、締約国から支援が来ていないにもかかわらずこういうものを作るのは道義的に問題ないんですか。
○国務大臣(川口順子君) これは、今後返還が実現する過程できちんと整理をしていかなければいけないということだと思います。
 道義的に問題がなかったかという御質問でございますけれども、日本として独自にこれをチェックするということをやるということであればやれたかもしれないという気はいたします。
 ただ、いずれにいたしましても、これについては、その後の返還の過程で整理をしなければいけない問題であると思います。
○福山哲郎君 いや、違うんですよ。
 実は、外務省はその法律的に問題があるの分かっていたんです。だから、河野大臣は、この仮設の診療所を作ることを平成七年の五月の沖縄北方の委員会でずっと答弁されているわけです。この帰属に関する問題が北方領土問題であるということをきちんと今後の交渉の指針も含めて明示していきたいと。現状固定化、既成事実化ということについては、やはり基本的な問題意識、懸念を持たざるを得ないという表現で使っているけれども、これは法的に問題があるから箱物は作れないんだということを外務省は分かっていたんですよ。
 だから、ずっと診療所については仮設だ仮設だと言っていたじゃないですか。仮設だから、あくまでも地震に対する援助なんですよ。だから問題ないんですよ。医療援助や物資を渡すのは問題ないんですよ。診療所だって、仮設にしていたのは、外務省はこの法的な問題があるのが分かっているから仮設にしたのが、いつの間にディーゼルの発電所やムネオハウスが建てるようになったんですか。その法的な根拠をどこで日本政府が覆したのか、はっきりしてください。(発言する者あり)
○政府参考人(齋藤泰雄君) 恐縮でございますが、もう一度整理して御説明させていただきたいと思います。
 北方四島におきます土地につきましては、戦後半世紀以上にわたりましてロシアの不法占拠が続いており、残念ながらその間に、我が国国内法に基づく所有権とは全く関係なく、ロシアの国内法にのっとりました所有権に基づく占有状況が作り上げられてしまったわけでございます。
 我が国としましては、北方四島を不法占拠しているロシアの国内法に基づく所有権の有効性を認めることはできず、支援委員会による支援を実施するに当たっても、支援委員会がロシア国内法に従って事実上設定されているにすぎない所有権を容認することにつながるような手続を取ることは認めておりません。
 一方、ロシアは、支援委員会が北方四島において支援を実施するに際して、我が国国内法に従った手続を取ることは北方四島に関するロシアの法的立場と相入れないため、認めておりません。
 このように、北方四島がロシアの不法占拠の下にあるという特殊な事情を踏まえ、ロシア及び我が国の双方が締約国となっている国際機関たる支援委員会による支援を北方領土問題に関するいずれの国の法的立場をも害することなく実施するためには、一方の国の国内法に基づく法律関係に基づく措置を取ることができないために、支援委員会として我が国国内法に基づく土地の所有権の確認を行いこれにのっとって土地に係る法律関係を整理することはしなかったものでございます。
○委員長(真鍋賢二君) 政治的な立場に立って、植竹副大臣から御答弁願います。
○副大臣(植竹繁雄君) ただいまの先生の御質問でございますが、確かに、何に基づいて支払われたかと、端的に言えば。要請があったとか支援委員会のことがあったかというお尋ねだと思いますが、その点につきましては更に詳細検討いたしまして……(発言する者あり)検討と、ちょっとお待ちください。調査いたしまして、私も実は、私もその点については現在のところははっきりいたしておりませんので、更にそれを調べまして……
○福山哲郎君 何を調べるんですか。
○副大臣(植竹繁雄君) その状況を。なぜそういうことでなされたか。
○福山哲郎君 それは支援委員会のことですか。
○副大臣(植竹繁雄君) はい。委員がお尋ねあったように、その、要請に基づいて払われたかどうか、支払いについてどうであったかということを……
○福山哲郎君 支払いですか。
○副大臣(植竹繁雄君) 払われたこと。
○福山哲郎君 そんなこと今聞いていないんですけれども。
○副大臣(植竹繁雄君) それじゃ、私の取り違いでございます。じゃ、それは、取り違いでございましたら、今の問題は撤回させていただきます。
○委員長(真鍋賢二君) それじゃ、川口外務大臣。
○国務大臣(川口順子君) 政府といたしまして北方領土の住民に対してやってきています支援は、現地のニーズを踏まえまして、あくまでも緊急人道の観点から行うものでございまして、ロシアによる北方領土の不法占拠を助長し、その固定化、既成事実化を通じる可能性のあるものなど北方領土問題に関する我が国の基本的な立場を損なうような可能性のある支援については認められないという政府の立場は全く変わりございません。
 それで、ディーゼル発電施設、色丹島、択捉島、国後島に供与したディーゼル発電施設のことでございますけれども、これは、現地の電力供給事情が非常に厳しくて人道上緊急であるという観点からこれを当面の必要を満たすものとして供与したものでございまして、先ほど申し上げましたような我が国の基本的な立場、これを害するものには当たらないというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、その日本の立場というのは変わらないということを確認をさせていただきます。
○福山哲郎君 いや、川口大臣、苦しい答弁なんですよ。先ほど私が申し上げた仮設診療所で鈴木宗男議員が、要は、申し上げたように、国のメンツから領土返還を主張しているにすぎず実際には島が返還されても国として何の利益にもならないと言ったその西田参事官との会合で、西田参事官はちゃんと説明されているんです。ロシアによる北方領土の不法占拠との関係で日本側の法的な問題があるから仮設で診療所を建てるのは厳しいと説明しているんです。そうしたら鈴木宗男議員はこういう言い方をして、ずずうっとこれから先、仮設の診療所から始まって、ディーゼル、更に言えばムネオハウスに行っているわけです。
 だから、これだけ外務省は法的な問題があるというのが分かっていて、仮設の診療所を建て、ディーゼル発電を建て、そしてムネオハウスを建てるに至ったということは、政策の変更がなければできないんです。だから、そこはいつ変わったのかと、お答えくださいと申し上げているんです。
○政府参考人(齋藤泰雄君) このプレハブ診療所についてでございますが、先ほども大臣から御答弁ございましたように、北方領土住民に対して我が国政府が行ってきております支援は、現地のニーズを踏まえ、あくまでも緊急人道の観点から行うものでございまして、ロシアによる北方領土の不法占拠を助長し、その固定化、既成事実化に通じる可能性のあるものなど北方領土問題に関する我が国の基本的立場を損なうような可能性のある支援については認められないとの政府の立場に変わりはございません。
 このプレハブ仮設診療所も、特に北海道東方沖地震後の色丹島におけます医療事情の著しい悪化を受けまして、緊急人道の観点から当面の必要を満たすために供与したものでございまして、我が国の基本的立場を害するものには当たらないと思います。
○国務大臣(川口順子君) どの時点で政策変更がなされたかというお尋ねかと思いますけれども、診療所について言いますと、私どもの資料では、これについての省内での協議が開始されましたのが四月の十一日でございます。平成七年の、における北方四島の住民支援についての協議開始が、これプレハブ診療所建設も含みましてでございますが、四月十一日で、これは、ということでございます。
 他方で、西田当時の欧亜局参事官が鈴木議員を訪問されたというのは六月の十三日でございまして、この時点でいろいろな条件について議論をしていたということではありましょうが、北方四島の住民支援にプレハブ診療所建設を入れるということ自体は四月の初めの外務省の中で始まった協議の中で既に入っていたということでございますので、特にこの五月三十一日辺りの国会答弁でこれが変わったと、そういうことではないわけでございます。
○福山哲郎君 この法的な問題に対してどう整理を付けているのかと聞いているわけです。
 所有権がはっきりしない状況の中で、調べもしないで建てたわけです。それがもし元島民の所有権のある土地だったらどうするんですか。国有地かどうか、私有地か答えてくださいと申し上げているんです。
○国務大臣(川口順子君) 委員の問題意識はよく理解いたしますけれども、これは二つの違った問題だと御理解をいただきたいと思います。
 まず、国有地か私有地かということについては、先ほど申しましたように、これはどちらかの法律にのっとって議論をするとこれ自体が成り立たなくなるものですから、これ自体は、返還の過程で財産権の処理については相談、話をするということでやっているわけでございまして、ロシアの法律に従ってロシアの何々通りの何番地に何を建てるということでは私どもとして、日本としてはのめませんし、逆に日本の何々町で何とかということではロシアがのめない。したがって、これは私有地、国有地ということについては調べないで、それでこの議論は、建てるということについては、財産権は返還の過程で議論をしますということでございます。
 それから、もう一つの話として、これを、どこの時点で診療所を作るということが決まってその判断が変わったかということについては、先ほど申しましたように四月の十一日、平成七年四月十一日の段階で、外務省で協議を始めた段階で、これは、診療所というのは、プレハブ診療所というのは入っておりまして、それでそれが様々な議論を、五月三十一日にございましたけれども、そこで変わったということではないということで御理解をいただきたいと思います。二つの違った問題だということです。
○福山哲郎君 そうしたら、私有財産を、特殊な事情があるからといって私有財産の場合に相手の了解も得ないで国は建てられるわけですね。(発言する者多し)委員長、やじが多いから言いますが、これ大問題なんですよ。
 じゃ百歩譲って、ロシア側にこのディーゼル発電所とさらにはムネオハウスを建てたことを主権を主張する理由としてはしないというようなことはロシアに確認しているんですね。
○政府参考人(齋藤泰雄君) この支援を実施するに当たりまして、この半世紀以上にわたりましてロシアが不法に占拠している我が国固有の領土であるという状況を踏まえまして、ロシアの法律を前提として支援を実施することは日本側としてはできない。他方、ロシア側にもロシア側の立場があって、日本の法律を前提とする実施は受け入れることができない。こういう状況の中で、支援委員会という国際委員会を通ずる支援を実施するということにしたわけでございます。
 なお、先ほど福山先生お尋ねの、恒久的な施設を造ることが我が国の固有の領土の返還との関係で問題があるのではないかという御指摘につきましては、一般国際法上、領土の返還を求めている我が国が恒久的な施設を造るということは不利に作用するということはあると思いますけれども、それが我が国の国内法を、この場合は北方四島でございますけれども、四島に及ぼすかどうかということとは、これはまた別の問題だと思います。
○国務大臣(川口順子君) 今おっしゃった点につきましては、我が国がロシア政府に出しました口上書におきまして、「いずれの一方の側の法的立場をも害するものと見なしてはならない。」ということをロシアの外務省に口上書で言っております。
○福山哲郎君 いつですか。いつ。それはいつのことですか。
○委員長(真鍋賢二君) 川口外務大臣。──川口外務大臣。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 平成……
○委員長(真鍋賢二君) 欧州局長、指名はしておりません。
 川口外務大臣。
○国務大臣(川口順子君) 今私が持っております口上書は一九九八年の九月十八日付けのものでございます。この前に同じような文言があったかどうかということは、ちょっと今承知しておりません。
○福山哲郎君 一九九八年九月の十八日は、何のときに交わされた口上書ですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 地震がございましたのを踏まえまして人道支援を四島に実施したわけでございますけれども、この四島に対します緊急人道支援の実施に関連して交わした口上書でございます。
○福山哲郎君 ということは、ディーゼル発電やムネオハウス等の問題について交わした口上書ではありませんね。
○政府参考人(齋藤泰雄君) この枠組みに基づきまして四島に対する緊急人道支援を実施してきているというふうに御理解賜りたいと思います。
○福山哲郎君 ちなみに、今、九八年九月十八日とおっしゃいましたが、ムネオハウスができたのは九九年ですし、ディーゼル発電ができたのは二〇〇〇年ですから、それに関してはどういうふうに判断すればいいでしょうか。今までのは恒久的な施設ではないんです、今おっしゃられた九八年の九月十八日は。
○委員長(真鍋賢二君) 川口外務大臣。──大臣、指名しましたけれども。
○国務大臣(川口順子君) 個々の支援の口上書にその今申し上げた文言が入っているということでございます。(「個々のものに入っている」と呼ぶ者あり)個々の口上書にそれが入っているということです。
○福山哲郎君 それは絶対おかしいんです、だって九七年からロシア政府の代表は出てきていないと言っているわけですから。
 いいですか、クリル地区からの要請に基づいて物をやっているということをずっと言っていて、政府が決定できると言っていて、何でロシア政府と口上書が個々の事案についてあるんですか。全然理屈通らないじゃないですか、委員長。
○国務大臣(川口順子君) これは、毎年と言っていいかと思いますけれども、日本が外務省の、ロシアの外務省に対して出しているということでございまして、これが入っているということです。
○福山哲郎君 いや、それはあくまでも外交の話でございまして、今私は支援委員会の事業について議論をしているわけです。
○国務大臣(川口順子君) これはこの支援のために日本側から入域をするという、入るということですね、それの都度に口上書を出しておりまして、それにそういうことが書いてあるということで支援の内容を、そこで支援を行うために入るわけですから、それを含んでいるということでございます。
 もう少し先ほど読み上げたことを言いますけれども、「本件手続きにより行われる訪問及び協力は、」と書いてございまして、これら訪問及び協力に関連するいかなる問題についてもいずれの一方の側の法的立場をも害するものとはみなしてはならないということでございます。
○福山哲郎君 いいですか、いかなる法的な、訪問と協力はとおっしゃった、それは要は政府間同士の話です。
 今申し上げているのは支援委員会と日本政府の話で、我が国の政府はこの間私に政府が決定をしたと言っているわけです。政府が決定をしてやっている事業ですから、私は国内法が担保しなきゃいけないんじゃないかと申し上げているわけです。分かります。
 で、現実問題として申し上げますと、これ実は大問題で、恒久的な施設を作ってはいけないということは外務省ずっと分かっていた。分かっていたから仮設ということにこだわったわけです。それはお互いの領土を主権する、我々は四島、固有の領土を主張しているわけだから、それを向こうに我々が国有地か私有地かも判断しないで勝手に建てるということをしたときに、ロシア側からその主権を主張されたら困るということは外務省は分かっていたからこそ今日の証人喚問で出てきたこの中で参事官はちゃんと説明しているわけですよ、鈴木宗男議員に。
 いいですか、二島先行返還論をずっと九七年から支援委員会が開かれていない中でずっとやられてきたことというのは、ある意味でいうと大変な国益を侵す重大な案件だと私は思っています。
 これは財務大臣、国有地だった場合には国有財産法で幾ら国が物を建てるにしても財務大臣との協議が要りますよね。それでよろしいですよね。
○政府参考人(寺澤辰麿君) お答えいたします。
 国有財産法第十四条におきまして、各省各庁の長は、行政財産とする目的で土地又は建物を取得しようとするとき、普通財産を行政財産としようとするとき、行政財産の種類を変更しようとするときなどにおきまして国有財産の総括大臣であります財務大臣に協議しなければならないとされているわけでございます。
 ただ、この現在問題となっております施設につきましては、国有財産ではございませんので、国有財産法第十四条の協議の対象とはならないと理解してございます。
○福山哲郎君 じゃ、国有財産でなければ何ですか。(「財務大臣」と呼ぶ者あり)いいですよ、今の理財局長で結構ですよ。理財局長で結構です。
○政府参考人(寺澤辰麿君) お答えいたします。
 当該施設は国有財産ではないというふうな外務省の見解でございます。
○福山哲郎君 だから何かと聞いているんです。答えてない、答えてない。
○政府参考人(齋藤泰雄君) これは支援委員会が北方領土の住民に対しまして供与した施設でございまして、それが日本の国有財産か私有財産かということとはまた別であろうと思います。
○福山哲郎君 答えてない。(発言する者あり)
○委員長(真鍋賢二君) 齋藤欧州局長、的確なる答弁をしてください。
○政府参考人(齋藤泰雄君) この所有は現地行政府に所属するものと理解しております。
○福山哲郎君 現地行政府に所属するの。
 いや、私が言っているのは土地の話ですから。施設とは言っていません。土地の話です。
○政府参考人(齋藤泰雄君) これは我が国固有の領土でございますから、所有権が消滅していないということは先ほども申し上げたとおりでございますけれども、半世紀以上にわたりますロシアの不法占拠のためにロシア側の言わば法律が適用されていると、こういうことでございまして、この土地が日本の国有地か私有地かということについては、残念ながらこれを確認することはできないと、こういうことでございます。(発言する者あり)
○委員長(真鍋賢二君) 福山哲郎君。
○福山哲郎君 だって、答えてない。
○委員長(真鍋賢二君) 質問で、質問で。もう一度再質問してください。
○福山哲郎君 これは大臣がお答えに。
○国務大臣(川口順子君) 国有地か私有地かというお尋ねだと思いますけれども、これについては確認はできないということでございます。
○福山哲郎君 この予算委員会の審議で幾つか明らかになりました。
 支援委員会は開かれていなかった。で、当該、国からの要請が必要だというにもかかわらず、国からの要請はなく、クリル地区の方からの、ひどい話では口頭での要請で支援が続けられた。
 更に言えば、外務省は元々、河野大臣とはずっと、この法的な問題があるから恒久的な施設は造るのは問題だということをずっと外務省は分かっていたからこそ、西田参事官に鈴木宗男議員との会話の中で話をしたら、鈴木宗男議員は、先ほどから何回も言っているように、実際に島が返還されても国として何の利益にもならない、そうであればというような話をして、恒久的な施設をどんどんどんどん、支援委員会が開かれていないにもかかわらず造る算段をされた。更に言えば、それに対して我が国の外務省は全く誠実な答弁もしてくれない、明らかにならない、こういった状況で支援委員会が続けられた。更に言えば、これを放置してきた政府の責任というのは、大変私は大きいというふうに思います。
 この予算委員会を通じて、更に私は、鈴木宗男議員の証人喚問も要求をさせていただきたいと思いますし、佐藤優分析官の参考人質疑も要求させていただきたいと思いますし、もうとにかく分からないことだらけだということを申し上げて、江田議員に替わりたいと思います。(拍手)
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2002年3月7日

参議院予算委員会速報
「外務省・鈴木宗男問題について」



○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
 今日は鈴木宗男議員、外務省疑惑問題について質問をいたします。
 私は、先週の土曜日、京都を、地元なんですが、立ちまして、札幌に土曜日入りまして、日曜日、月曜日、根室に行ってまいりました。やはり現場を見てこの外務省の疑惑、鈴木宗男議員のやっぱり行動を見てこないと判断できないと思って行ってまいりました。多くの北方領土の元島民の方々、それから地元の方々にお目に掛かり、お話を伺いました。私の今日の質疑は、自分の目で見、耳で聞いたことを基にしていますということをまずは申し上げたいと思います。
 そこで、最初に申し上げたいのは、やはり元島民の方々の声でした。多くの皆さんにお会いをしたんですが、ある島民の方は、役所の人間や政治家が北海道に入ったときに必ずこういうことを言いたいんだといってメモを作っておられました。そのメモを借りてきたので、まずは読ませていただきます。
 元島民の中には随分経済的に苦しんでいる人がたくさんおります。北方基金も返済のめどの立てられない人には貸し付けられません。現在は苦しいながらも何とか生活をしていますが、島から引き揚げた当時はどんなに苦しかったことでしょう。近いうちに必ず島に帰れると信じて、残してきた家や財産を案じて一日一日を送っていたのです。その間も政府からは何の援助も受けておりません。他人の家の物置や倉庫を借りての生活、またどうしても知人からの援助が受けられず、戦争中に造られた防空ごうで何年間も暮らした人がいるのです。そんな島民が現在の北方四島のロシア人への百億円にも及ぶ経済援助をどんな気持ちで見ているか。冗談じゃない。その援助は私たちの税金ですかと言いたくなるのも仕方がないでしょう。元島民の平均年齢は六十九歳とのことです。あと十年たったら当時のことを記憶している人はほとんどいなくなります。こういうメモをいただきました。
 昨日、予算案が通過いたしました。後でこの支援委員会の予算がいかにでたらめか申し上げますが、こういった予算が税金を通じて、ひいては鈴木宗男議員の政治団体に還流をしている疑惑がどんどん出ています。そんな中で、何でこの予算を通すんだという国民の声にまず小泉総理と川口大臣にお答えをいただき、今の元島民の方のお言葉について御感想をいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 北方四島支援についてのいろいろな在り方については、今後検討する必要があると思っております。
 今御審議いただいている来年度予算案、これは国民生活万般にわたる予算であります。これは是非ともできるだけ早く成立させていただきまして、多くの国民にかかわる問題でありますので、早く執行できるように御理解をいただければ有り難いと思います。
○福山哲郎君 感想を、総理、感想を。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 北方領土問題をロシアとの間で解決して、早く平和条約が締結できるような環境整備に日々努力する必要があると思っております。
○国務大臣(川口順子君) 元島民の方、一万七千人ぐらいいると私は承知をいたしておりますけれども、やはり自分たちが暮らした四つの島に一日も早く帰りたいと思っていらっしゃると思います。私としても、それが一日も早く可能になりますよう、様々な努力をしていきたいと考えております。
○福山哲郎君 全く、お二人の御答弁は余り心がこもってなくて、本当に心の叫びなんです。この鈴木議員の問題で、どれほどこの北方領土返還運動がゆがめられているか。皆さん高齢で、そして自分たちは生活の苦労をしながらきた者に対して今どんな思いでいるか、もう少し考えていただきたいと思いますが、時間がないので次に行きます。
 具体的な問題で行きます。いわゆる鈴木宗男議員の私設秘書のように動いていたと言われている佐藤優外務省の主任分析官の件です。
 二〇〇〇年九月の五日、六日、七日の佐藤優さんの勤務状況をお知らせください。
○政府参考人(山中誠君) お答え申し上げます。
 佐藤前主任分析官は、平成十二年九月五日は本省に出勤しております。六日及び七日につきましては根室に出張しております。
○福山哲郎君 その際の出張の目的は何ですか。
○政府参考人(山中誠君) この出張の目的につきましては、北方四島の返還運動関係者との間でロシア情勢等につきまして意見交換をするということを目的として行われたものでございます。
○福山哲郎君 どういった会合がセットされたか教えてください。
○政府参考人(山中誠君) ロシア情勢に関する意見交換ということでございまして、それ以上の詳細については今承知しておりません。
○福山哲郎君 だって、目的があるということは、何月何日何時からどのような会議だったかは分かるはずでしょう。答えてください。
○政府参考人(山中誠君) 詳細を承知しておりませんで申し訳ございませんが、早急に調べまして御報告したいと思います。
○委員長(真鍋賢二君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(真鍋賢二君) 速記を起こしてください。
 外務省に申し上げます。
 山中審議官の行動は、事前に調査してほしいということで通告されておるということでございますけれども、山中……
○福山哲郎君 佐藤です。
○委員長(真鍋賢二君) いや、山中審議官に申し上げますと。
 詳細な日程について、分かる範囲内でお知らせいただきたいと思います。山中審議官。
○政府参考人(山中誠君) 大変失礼いたしました。
 目的は、ロシア情勢に関する意見交換をその北方四島返還運動関係者と行うということでございました。その中身につきましては、詳細調べまして御報告したいと存じます。(発言する者あり)
○委員長(真鍋賢二君) 福山哲郎君、引き続いて質問してください。
○福山哲郎君 だって、質問できないですよ。
○委員長(真鍋賢二君) 今以上のことについて。(発言する者あり)
 指名したわけでありますから、不足するところを質問でただしてください。
 委員長の指示に従ってください。福山哲郎君。
○福山哲郎君 だれがその出張には命令を下されましたか。
○政府参考人(山中誠君) お答え申し上げます。
 外務本省職員の出張につきましては、外務事務次官が旅行命令権者となっております。
 したがいまして、今回のこの佐藤主任分析官の根室への出張につきましても、当時の事務次官が旅行命令を出しております。
○福山哲郎君 もう一度聞きます。どういう会合に出られるために行かれたのか、日にち、時間を特定してください。
○政府参考人(山中誠君) 繰り返しになって恐縮でございますが、九月の六日に根室入りをいたしまして、その根室におきまして先ほど申し上げました北方四島返還運動関係者との意見交換をしたということでございます。
 時間等につきましては、時間等につきましては今調べておりますので、分かり次第御報告したいと存じます。
○福山哲郎君 関係者はだれですか。
○政府参考人(山中誠君) この関係者と申しますのは、私の承知しております限り、千島連盟及び根室青年会議所と承知しております。
○福山哲郎君 仕方ありません。私がお答えしましょう。
 二〇〇〇年九月の六日、いや、でもね、これ答えないというのはけしからぬ話なんですよ。二〇〇〇年九月の六日水曜日八時、根室市大野屋、参加人数は二十名程度、そのうち元島民は八名参加。だれが出ていたか、鈴木宗男議員と佐藤優分析官です。どうです、間違いありませんね。
○政府参考人(山中誠君) お答え申し上げます。
 大変申し訳ございませんが、私、現在、その確認をする材料を持ち合わせておりませんので、後ほど確認をいたしたいと存じます。(発言する者あり)
○福山哲郎君 もう委員長、質疑できないです。
○委員長(真鍋賢二君) 外務省に申し上げますけれども、事前通告があったはずと思いますけれども、それに対しての答弁は用意いたしておりませんか。
○政府参考人(山中誠君) 大変申し訳ございませんが、昨夜、できる範囲での調査をいたしました結果、このように答弁させていただいている次第でございます。大変申し訳ございません。(発言する者あり)
○委員長(真鍋賢二君) 速記止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(真鍋賢二君) 速記を起こしてください。
 外務省に申し上げます。
 外務省で鳩首会談をして、知っておる範囲内のことは全部開陳していただきたいと思います。山中審議官。
○政府参考人(山中誠君) 私ども、承知していることはすべて申し上げております。それで、現在判明していない部分につきましては、関係者に至急連絡を取りつつございますので、本人にも連絡を取って事実確認をしておるところでございますので。(「昨日、通告を受けて、残ってやっておるわけだろう」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)はい。昨日の夜です。
○委員長(真鍋賢二君) 御静粛に願います。御静粛に願います。
○政府参考人(山中誠君) 昨晩、夜、その質問の通告を受けましてからできる限りの調査をいたしました結果でございまして、大体、私、今聞きましたら、夜の十一時ぐらいに質問通告を受けたということでございますので、それから一生懸命調査をしたことでございます。
 いずれにいたしましても、現在、直接の関係者に連絡を取っておりますので、それで確認が取れましたら、また御報告したいと存じます。(発言する者あり)
○委員長(真鍋賢二君) 福山議員に申し上げますけれども、外務省として、でき得る限りの努力をして、分かり次第報告するということで御了承をいただきたいと存じます。
 質問をお続け願います。福山哲郎君。
○福山哲郎君 じゃ、外務省は出張のときには報告書は取っていないんですか。
○政府参考人(山中誠君) 出張の報告につきましては、ケース・バイ・ケースでやることになっているというふうに承知しております。
○委員長(真鍋賢二君) 福山哲郎君。(発言する者多し)
 川口外務大臣。
 御静粛に願います。
○国務大臣(川口順子君) 外務省の出張の出張報告の件については、実は私も来ました後で聞きました。それで、そのときの話では、海外出張が非常に多いものですから、その場合は、これは一般論でございますが、公電でそこのところでの報告があるということで、それをもって代替しているということでございました。
 国内についての実情は、これは私、実はそのときには聞かなかったんですけれども、今のお話ですと、必ずしもちゃんとした形になっているとは思われません。したがいまして、したがいまして、今、外務省の改革をやっている中で、現状についてきちんと調べまして、改めるべき点を早急に改めたいと私は考えております。
○福山哲郎君 先ほど、事務次官が出張命令を下したと言われましたが、その場合に、直属の上司には通告は必要なく出張できるんですか。
○政府参考人(山中誠君) 当時の課長とはどのような連絡があったかは必ずしもつまびらかにしておりませんけれども、通常のケースであれば、課員の出張でございますので、課長が十分把握しているはずでございます。
○福山哲郎君 この場合は把握していなかったんですか。
○政府参考人(山中誠君) 当時の課長が実際にどのようなやり取りをこの出張者としたかについては、現在つまびらかにしておりません。
○福山哲郎君 質問、委員長できないです、これじゃ。
○委員長(真鍋賢二君) だけれども、全力を挙げて調査した結果を御報告するということでございますから、報告を……(発言する者多し)
 継続して質問を続けてください。
○福山哲郎君 できないですよ、こんな。(発言する者あり)
 分かりました。じゃ、あくまでも六日と七日は出張でいいんですね。
○政府参考人(山中誠君) そのとおりでございます。
○福山哲郎君 分かりました。
 出席した元島民の方のお話を御紹介します。
 二〇〇〇年九月六日、鈴木宗男先生が日ロ首脳会談の報告をしたいということで島民が八名呼ばれる、八時からということだったが、自分はちょっと遅れた、大野屋で十時終わり。これは夜です。その中での話。鈴木宗男議員。多少記憶の違いがあるかもしれませんが。二島にしなければ話合いが前に進まない、四島一括といっていても駄目なら、根室の経済が厳しいので、島が二島でも返ってくれば経済が良くなるじゃないか。そこに佐藤分析官。鈴木宗男先生を心から尊敬申し上げます、こんなすばらしい政治家はいない、鈴木宗男先生に付いていって間違いない、外交はいつ変わるか分からないから、気長に皆さん頑張ってください。
 これは鈴木宗男議員の私的な会合ではないんですか。
○政府参考人(山中誠君) ただいまの先生の御指摘のございました会合につきましては確認をさせていただきたいと存じます。
○福山哲郎君 委員長、できないですよ、これじゃ。できない。
○委員長(真鍋賢二君) 質問の中で問いただしてください。(発言する者あり)
 福山君、委員長の指示に従ってください。質問の中でただしてください。
○福山哲郎君 これは私的な会合ではありませんか。
○政府参考人(山中誠君) 佐藤主任分析官はあくまでも、先ほど申し上げましたとおり、北方四島返還運動関係者とのロシア情勢に関する意見交換を目的として出張したものでございますので、その目的の中でそういう会合に出たのかどうかというところは確認をいたしたいと存じます。
○福山哲郎君 大臣、この発言については、じゃどう思われますか。発言についてはどう思われますか、大臣。
○国務大臣(川口順子君) 今の発言についてどう思うかというお尋ねですけれども、鈴木議員の御発言あるいはその佐藤、外務省の佐藤の発言、それぞれちょっと私は実際にそういうことがあったのかどうかということは確認できませんので、申し訳ございませんが、それについてのコメントは申し上げられないですけれども、二島先行返還論ということにつきましては、外務省としてはそういうことを今まで提案をしたことはございませんということを申し添えさせていただきます。
○福山哲郎君 そこの発言が正確かどうかが分からないのでコメントできないなら、私は今の会合の中身が、はっきりさせない限りは質問できません。(発言する者多し)
○委員長(真鍋賢二君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(真鍋賢二君) 速記を起こしてください。
 福山質問者に申し上げます。御指名さしていただきますので、質問を続けていただきたいと存じます。
○福山哲郎君 じゃ、お答えください、外務省。
○政府参考人(山中誠君) 昨日、質問の通告を受けましてから、直接の関係者でございます佐藤前主任分析官も含めまして連絡を取った結果、先ほど申し上げたような情報を得ましたので、お答えを申し上げた次第でございます。
 ただ、いただいた質問が、要するに、勤務状況がどうだったかということ、それから、出張した場合にはだれが出張命令を出したのかということ、どういう目的で出張したのかという質問でございましたので、それについて調査をして、先ほどお答えをしたということでございます。
○福山哲郎君 分かりました。要はやぶの中だということですね、いまだに。
 ですから、佐藤前分析官を是非参考人として呼んでいただいてお伺いをしたいと思いますので、委員長、理事会で協議をお願いできませんでしょうか。
○委員長(真鍋賢二君) 後刻理事会におきまして協議いたします。
○福山哲郎君 佐藤前分析官と鈴木宗男議員の関係は、国際会議三十六回中十八回出席、その他、今の私が申し上げた根室での会合も含めて、更に言えば、先ほどの発言といい、私は外務省の方針に非常に逸脱をしていると思っていますし、報告書が残っていないことも問題だというふうに思っています。
 これは職務専念義務違反ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 佐藤が根室で何をしていたかということについて、ロシア情勢に関する意見交換ということでございますと、それは正に職務に関係したことだと思います。
 福山先生が、福山委員が今おっしゃったこと、発言を例に引かれたことにつきましては、そういう事実があったかどうか、ちょっと私、まだ確認ができていませんので、お答えを差し控えさしていただきたいと思います。
○福山哲郎君 ここでまた一つ、やぶの中のものが一つ増えましたが、次へ行きたいと思います。
 先日、報告書が出ました。この佐藤前分析官に対する人事介入も含めて、いろんなことが話が出ているにもかかわらず、実はこの報告書には人事介入に関しては一言も触れておりません。
 今の問題も含めてなんですが、何で佐藤前分析官に関する人事介入等の問題については報告書に入らなかったのか、大臣、お答えください。
○国務大臣(川口順子君) 先般発表させていただきました調査報告書は、これは北方四島支援、それからケニアのソンドゥ・ミリウ発電所、それからコンゴ大使館、コンゴ民主共和国臨時代理大使の件につきまして、予算委員会でお尋ねがあり、私どもが調査をすることをお約束したことについての調査でございまして、その時点で、人事の問題についての介入について調査をするべきであるというお話をいただいたと私どもは承知をいたしておりませんので、調査に含めませんでした。
○福山哲郎君 ということは、外務省は、この報告書では、予算委員会で出たこと以外は全く自らは何も報告書としての項目としてはやる気がなかったということですね。
○国務大臣(川口順子君) ということではございませんで、私どもはほかにも調査をしているということはございます。ですけれども、国会に予算委員会の場でお約束をして発表するというふうに申し上げたのは、予算委員会で御指摘があって私どもがそれについて調査をお約束をすると、御報告を申し上げますと言ったことについてであるということでございます。
 それから、なお付け加えさせていただければ、もし今後新しい事実の御指摘があるようなことがございましたら、それについての調査をするということについては当然そのつもりでおります。
○福山哲郎君 一つの、外務省の国際情報局分析第一課に六年十か月も滞在をし、そして更には今私が申し上げたような会合にも出張へ出ているような状況ですので、佐藤前分析官に対する鈴木宗男議員の人事介入その他について調査をしていただけると、この場でお約束いただけますか、じゃ。
○国務大臣(川口順子君) 新しい、何かこれについて調べてほしいという具体的な御指摘がありましたら、それについて調べさしていただきますし、その上で委員会の御指示に従いたいと思います。
○福山哲郎君 今私が申し上げた二点なんですが。
○国務大臣(川口順子君) 今の二点というのは、鈴木議員の佐藤に対する人事介入の問題と出張の件、今、根室への御出張の件だということだったと思いますけれども、それについては委員会の御指示に従わせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 委員会の指示ということは、理事会で協議をいただければいいんでしょうか、委員長。
○委員長(真鍋賢二君) 先ほど御指摘をいただいた件につきましては、理事会において後刻協議をするということであります。
○福山哲郎君 理事会で協議していただいて結構なんですが、基本的にはこれは外務大臣の意思の問題だと思うんですが、いかがですか。(発言する者多し)
○委員長(真鍋賢二君) 川口外務大臣。
 御静粛に願います。
○国務大臣(川口順子君) 先ほど申し上げましたように、新しい事実について御指摘がありましたら調査をするつもりはありますと、やぶさかではありませんということは数分前に申し上げたところでございます。
○福山哲郎君 じゃ、六年数か月も異例に長く同じ課にいたことと、先ほどの根室の出張の件についてはお調べいただけますか。
○国務大臣(川口順子君) 委員会の御指示に従います。
○福山哲郎君 それは、だって、事実が出たらお調べするって答弁して、言ったら、委員会の指示というのはおかしいじゃないですか。(発言する者多し)
○委員長(真鍋賢二君) 指示に従うと言うんだから、哲郎先生が要望していただければ、そのように委員会で取り扱います。(発言する者あり)
○福山哲郎君 じゃ、委員長、お願いします。
○委員長(真鍋賢二君) 川口外務大臣、もう一度明確な御答弁をお願いします。
○国務大臣(川口順子君) 先ほど来申し上げていますように、外務省といたしましては現在改革を進めているところでございまして、外務省の判断で必要であるということについては改革をやっていき、その前提としては、もちろん現状がどうなっているかということを調べるということは入っております。
 ただ、申し上げておりますのは、福山委員が予算委員会の委員としてそれを調べて提出せよということをおっしゃっていらっしゃるわけですから、それについては委員会の御指示に従いますということを申し上げているだけでございます。
○福山哲郎君 もう、とにかく委員長、よろしくお願いします。
 もう時間がないので、次に行きます。
 問題になっている支援委員会、十年間で百億円近くも支援をしてきたわけですが、この支援委員会の設置に関する協定というのがあります。私は、この支援委員会の設置に関する協定に忠実にこの支援委員会の支援手続の流れを作ってまいりました。(図表掲示)お手元にお配りしてあると思います。大臣に、閣僚にもお配りしてあります。
 それで、現実問題として、昨日の衆議院でも多少明らかになったんですが、大臣がお認めになったんですが、支援委員会というのは、協定の締約国の要請に基づいて検討したものを日本国政府に要請をします。日本国政府はその要請に基づいて支援委員会に必要な支払を通報しなければいけません。そして、必要な支払を通報したときには、必要な支払を今度は支援委員会事務局に指示をしなければいけません。しかし、昨日大臣が明らかにされましたように、支援委員会自身が九七年の九月から一度も開かれていないんです。一度も開かれていないのになぜこの要請、通報、指示が流れるのか、お答えください。
○国務大臣(川口順子君) まずちょっと一般的なお話をさせていただきたいと思うんですけれども、支援委員会あるいは北方四島支援を含むこの国際取決めにつきましては、今までいろいろな方から、衆議院の予算委員会を含め、いろいろ御指摘をいただいております。それで、これは園部参与に調べていただいて、その調査報告書がございますけれども、私が見ましてもこの北方四島の支援の実際のやり方、施行のやり方については多々問題があると私も思っております。
 したがいまして、これにつきましては、予算の執行の仕方についてより透明性を付与するということを園部参与にも御指摘いただいておりますし、これについては私は、昨日の段階で早速それに取り掛かるようにということで指示を出しております。
 これについては、問題の性格上外部の専門家に入っていただいて、といいますのは、ロシアの専門家も必要でしょうし、それから会計あるいは弁護士、そういった法的なことについて詳しい方についても入っていただいてということが必要だと思いますので、これについては早速これから取り掛かることにしています。
 それから、今、委員が御提示いただいた資料につきましては、若干違っていると、その協定を解釈した場合に違っているという点もあるかと思いますので、これについては欧州局長の方からお答えをさせていただきます。
○政府参考人(齋藤泰雄君) お答えいたします。
 支援委員会の設置に関する協定第四条は、支援の具体的内容につきましては、締約国からの要請について支援委員会が行う検討を考慮に入れまして日本政府が決定するというふうに規定してございます。したがいまして、支援委員会が開催されること自体は支援実施のための要件とはされておりません。支援委員会が開催されなくとも協定上は支援を行うことが可能であるというふうに読めるわけでございます。しかしながら、このような事態は支援委員会の設置に関します協定の本来の趣旨に照らして望ましいものではございません。
 他方、ロシアの代表が不在であるという理由のみをもちまして本協定に基づくロシア向けの支援事業の実施を停止することは協定の目的にかんがみれば望ましくないという判断に立ちまして、我が国政府といたしましては、ロシア政府代表者が不在という事態の中で、ロシア政府、外務省等との間で連絡調整を図りつつ適時に支援活動を実施してきた次第でございます。
○福山哲郎君 済みません、今、実質的に参加している国は何か国ですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 当初、旧ソ連邦を構成しておりました十二か国との間で支援委員会の設立の協定に署名したわけでございますが、その後、ロシアとベラルーシを除く国々はODAの対象国に移行したこともございまして、現在、支援委員会を通じます支援を行う対象国としてはロシアとベラルーシ、現実的には圧倒的にロシアということでございます。
○福山哲郎君 圧倒的に、ロシアとベラルーシで、圧倒的にロシアで、ロシアの代表がいなくていいとはどういうことですか、僕はよく分からないんですけれども。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほども申し上げましたとおり、ロシアの代表が不在であるということのみをもって本委員会の活動を停止することは協定の趣旨にかんがみまして望ましくないということで、必要なロシア政府との外務省等を通じます連絡調整を行いつつ実施を支援してきたところでございます。
 繰り返し申し上げますが、先ほども申し上げましたように、このような事態が望ましいものではないということは我々としても十分認識しているところでございまして、先ほども大臣から御答弁申し上げましたように、その執行の改善に向けて努力してまいる所存でございます。
○福山哲郎君 協定に対する遵守義務はいかがですか。(発言する者あり)
○委員長(真鍋賢二君) 十分質問のあれが理解できていない。
○福山哲郎君 協定に対しての遵守義務はないんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) この支援委員会を設置する協定そのもの自体は、依然として有効なわけでございます。
○福山哲郎君 よく分かりません。遵守義務はないのかと聞いているんです、日本国政府は。
○政府参考人(齋藤泰雄君) ただいまの御質問が日本政府としてこの協定を遵守する義務があるのかないのかというお尋ねであるとすれば、当然のことながら、日本憲法に基づきまして遵守する義務があることは当然でございます。
○福山哲郎君 ロシアはいかがですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) ロシアも、所要の国内手続を経て、そのような義務を負っているものと理解しております。
○福山哲郎君 代表不在なんでしょう。
○委員長(真鍋賢二君) ちょっと、もう少しはっきりと言葉を。
○福山哲郎君 代表が不在なんですよね。どうやって要請が来るんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) ロシアにおけます組織の改編等がございまして、残念ながら、ここ数年、ロシア側の代表が指名されていないという事態が続いているわけでございます。
○福山哲郎君 どこから要請が来て、どうやって決定するんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 北方四島住民支援に関連しての要請というお尋ねでございますれば、北方四島の地区長等から具体的な案件の要請に接しているわけでございます。これに……
○福山哲郎君 違う、違う。聞いたことに答えていません、委員長。
○委員長(真鍋賢二君) もう一度、福山哲郎君、もう一度しっかりと質問を。
○福山哲郎君 いや、だから、どちらの国から要請が来るんですか、代表がいないのにと。どうやって要請が来るんですかとお伺いしているんです。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 四島住民支援に関連します要請についてお尋ねだと思いますけれども、このような要請は、北方四島関係者、具体的には地区長ですとかそういった四島の行政関係者から私どもの方に要請がございまして、この委員会で規定しておりますのは、そのような要請がまず委員会で検討される、その検討を考慮に入れて日本政府がその具体的実施方法等について決定すると、こういう仕組みになってございます。
 なぜ日本政府が決定するということになっているかと申しますと、この協定を設立しましたときに日本が最大の拠出国というふうに予想されておりましたので日本がその決定をすると、こういう仕組みにしたわけでございまして、締約国各国の合意の下にこのような仕組みが作られたわけでございます。
○福山哲郎君 何言っているか分からない。
○委員長(真鍋賢二君) 質疑がかみ合っていないようでございますから、福山先生、しっかりした質問を。
○福山哲郎君 委員会の要請に基づいてと。
 ちょっと、もったいない、時間。
○委員長(真鍋賢二君) 齋藤欧州局長、質問者が質問しておるときにはしっかりと聞いておいてください。打合せは別にして。福山先生が質問に立とうとしておるわけですから、あなたは座ってその質問を聞いていただいて、答弁席に立ってください。答弁席には必要ございませんから、お座りください。
 福山哲郎君、だから、分かっていないということですから。
○福山哲郎君 いや、先ほどおっしゃられましたね、要請に基づいてだとおっしゃられたじゃないですか、今、局長がね。要請に基づいてだけれども、そこのロシアの代表はいないわけで、それから支援委員会も開かれていないわけで、どうやってどこから要請が来るんですかと申し上げている。そうしたら、あなたは北方四島の支援の要請だと言うけれども、それは協定には何にも書いていないんです。締約国からの要請なんですから。
○政府参考人(齋藤泰雄君) この支援委員会を通じます支援には大きく分けまして三種類ございまして、一つは、ロシアの市場経済化移行、このプロセスを日本政府として支援するという観点からの技術支援でございます。もう一つは、北方四島の住民に対する緊急かつ人道的な支援でございます。三つ目は、対ロシア、ロシアにおきます人道、ロシアに対します人道的な支援、北方四島を除きますロシア本土に向けての支援ということでございます。
 こういった三つの支援につきまして、先ほど私が御説明申し上げましたのは、四島住民支援に関するものについては四島の地区長等の行政関係者から来るということでございますが、ロシア政府、締約国の要請ということでロシア政府とも連絡を取りながら、また技術支援等につきましてもロシア政府からの要請を踏まえて委員会で検討されるということがこの協定の仕組みで規定されているわけでございます。
○福山哲郎君 北方四島に対する支援なんて一言も書いてないです。締約国が支援委員会を構成して、そこで要請に基づいて支援を決めるんです。勝手に三つ作らないでください。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 正確に申し上げますと、要請に基づいて日本政府が決定するということではございませんで、先ほど御説明申し上げましたとおり、要請がございましたらその要請につきまして支援委員会で検討することになっておりまして、その検討を考慮に入れまして日本政府が決定すると、こういう仕組みになっているということを御説明した次第でございます。
○福山哲郎君 支援委員会で検討してとおっしゃいましたよね。確認させてください。検討してとおっしゃいましたね。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 支援委員会で行われることは要請の検討でございます。
○福山哲郎君 ですね。支援委員会は九七年九月から開かれていないんですが、どうやって検討するんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほど来申し上げているところでございますが、日本政府が決定するというのがこの協定の基本的な仕組みでございまして、この要請の検討を考慮に入れてということは日本政府が決定する場合の要件とは必ずしもなっていないというふうに御理解いただきたいと思います。
○委員長(真鍋賢二君) 齋藤局長に申し上げます。明快な答弁をお願いいたします。質問者に対する答弁が十分でないと思います。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 要請に対します決定、日本政府の決定につきましては、支援委員会による行為は支援実施のための要件とはされていないということでございます。
○福山哲郎君 いや、委員長、できない。だって、さっきと答弁違うんだもん。支援委員会で検討して要請とおっしゃったじゃないですか。(発言する者多し)
○委員長(真鍋賢二君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(真鍋賢二君) 速記を起こしてください。
 改めて外務省齋藤欧州局長に申し上げます。
 この資料に基づいての答弁に一貫性がないという御指摘もいただきました。取りまとめてお答えをいただければと思います。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 協定が規定しているところによりますと、本来的には、締約国からの要請を受けまして、委員会においてその要請を検討いたしまして、その検討も考慮に入れた上で日本政府が決定すると、こういう仕組みになっていること、とおりでございますが、ただいま御指摘のとおり、委員会が、ロシア側の代表が不在だということで協定に規定されたとおりの形で運営できる状態にないという不幸な状態にあることは御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、この協定上、要請の検討がなければ日本政府として決定できないかというと、そういうことではないということで、日本政府が決定できるというのがこの協定の規定するところでございます。
 したがいまして、法的に申し上げますと、支援委員会の行為は支援実施の前提となるものではないということでございます。
○福山哲郎君 最初、冒頭、協定の締約国の要請について検討を支援委員会でして、それを日本国政府で決定をすると最初おっしゃられたじゃないですか。しかし、最後になったら、支援委員会の決定は要らないとおっしゃったんですよね、今、要請は要らないと。どういうことですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 繰り返し御説明いたしますが、この支援委員会の協定第二条でございますが、支援委員会は「協定の締約国の要請につき検討を行うこと。」ということが書かれておりまして、第四条におきまして、これを受けまして、「日本国政府は、委員会による」、途中省かせていただきますが……
○福山哲郎君 このとおりなんです、それは。
○政府参考人(齋藤泰雄君) その先生がお示しのチャートは必ずしも正確でないと思いますので、私、協定に基づきまして御説明させていただいている次第でございますが、協定第四条によりますと、「日本国政府は、委員会による第二条(a)にいう要請についての検討」を考慮に入れて実施方法を決定するというふうに書いてあるわけでございます。ですから、日本政府がここで行うことは、委員会における検討を考慮に入れるということでございます。
 したがいまして、考慮をする委員会が機能していないということは御指摘のとおりでございますが、繰り返し申し上げているとおり、この委員会における検討というのは支援実施の要件となっているわけではないということでございます。
○福山哲郎君 じゃ、支援実施の要件を述べてください。
○政府参考人(齋藤泰雄君) それは日本政府の決定するところでございます。
○福山哲郎君 検討も要請もないのに日本政府は決定できるんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 日本政府が決定するというのがこの協定の骨格でございます。
 なぜそのような仕組みになっているかと申し上げますと、先ほど御説明したとおり、日本政府が最大の拠出国である、現実には唯一の拠出国である。したがって日本政府が決定する、こういう仕組みになっているわけでございます。
○福山哲郎君 だから、決定するのは私も認めているんです。何に基づいて決定するのかと聞いているんです。検討も要請もないのに何で決定できるんですか。いい加減な答弁しないでください。十年間で百億円近くも使われているんですよ。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 繰り返しで恐縮でございますが、協定第四条によりますと、日本国政府は、委員会による検討を考慮に入れて決定するということでございます。この考慮に入れるというのは要件ではない、こういうことでございます。
○福山哲郎君 委員会の検討を考慮に入れるのに、委員会は検討もしていないし開かれてもいないのにどうやって考慮に入れるんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) ロシア側の要請はあるわけでございます。ロシア側の要請はあるわけでございます。ただし、その要請を検討する委員会が不幸にして近年開かれていない。ですから、考慮しようがないと申しますか、日本政府としては、日本政府としては、この協定に基づいて日本政府に与えられた権限に基づき実施を決定している、こういうことでございます。
○福山哲郎君 よく分かりません。
○国務大臣(川口順子君) こういうことを申し上げますと少し分かりやすくなるかなと思うんですが、委員のお書きになった図表のうち、「支援委員会」というのが一番上にありまして、「協定の締約国の要請につき検討」とございまして、その下に「日本国政府」というのがありまして、その間に矢印があって、「要請」という言葉がありますね。この「要請」という言葉が実は間違いでございまして、これは考慮に入れてというふうになるということでございます。
 いずれにいたしましても、御指摘のとおり、この支援委員会の構成が非常に今おかしい形になっているということは問題であると私どもも考えておりまして、したがいまして、実は私はもう既にロシア側に対して再度、この支援委員会に出席をする委員となるロシア側の代表者ですけれども、を早く指定をしてくださいということをロシアを通してお願いをするという行動を取るように指示はいたしました。
○福山哲郎君 いや、要請をされるのは、ロシア側に出てくれと言われるのは当たり前ですが、出てなかったときの問題はなぜ、じゃ、拠出されて支援事業が行われたんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほど御説明したことの繰り返しになって恐縮でございますが、一九九七年九月にロシアの国際人道・技術支援ビューローという組織が分割、廃止されて以来、ロシア政府の代表者が不在の状況が続いているわけでございます。
 他方、ロシア連邦政府の代表者が不在であるという理由のみによって本協定に基づくロシア向け支援事業の実施を停止することはこの協定の目的にかんがみれば望ましくないと、そういう判断に立ちまして、我が国政府といたしましては、ロシア政府の代表者が不在の中で、必要な手続を踏みつつ、適時に支援活動を実施してきているというのが実情でございます。
 また、この状態が協定本来の趣旨に照らして望ましいものではないということは御指摘のとおりでございまして、ロシア政府がその代表者を指名してくるようにということを、先ほど大臣が申し上げたとおり、申し入れているところでございます。
○福山哲郎君 協定の締約国の要請なのに、締約国のロシアがいないのに、どうやって要請があって、検討して、考慮できるんですかと先ほどから私は質問をしているんです。そこにきっちり答えていただければ結構です。(「答えたじゃないか」と呼ぶ者あり)答えてないじゃないですか。だって、ロシアいないんですよ、締約国が。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほども申し上げましたとおり、ロシア側からの要請はあるわけでございます。それがロシアの委員会政府代表を通じて要請が来るという形に残念ながら代表が不在のためになっていないわけでございますけれども、ロシア側の要請はいろいろな形で我々のところに殺到しているわけでございます。
○福山哲郎君 ロシアのどこから要請が来るんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 案件によって異なると思いますが、ロシア外務省であったり関係行政機関であったりする、でございます。
○福山哲郎君 いろんなところから来た要請に対して、協定にないような手続の中で支援委員会は支援を決めて百億円も十年間でつぎ込むわけですね。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほど来申し上げたとおり、この要請案件の検討というものは必要不可欠な条件で、要件ではございませんで、日本政府が決定していると、こういうことでございます。
○福山哲郎君 いいですか、支援委員会はないんです、開かれていないんです。支援委員会が開かれていないということは、ここもなくなるんです。いいですか。これはバツが付くんです。
 そうすると、残るのは日本国政府・外務省と支援委員会の事務局です。今の支援委員会の事務局長はどなたか、お答えください。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 高野保夫と申します。
○福山哲郎君 前職をお答えください。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 元コンゴ民主共和国駐箚の大使でございました。
○福山哲郎君 いいですか、支援委員会は開かれてはいないわ、結局日本の外務省と支援事務局だけで事業を決めて、そしてこの事務局長は今コンゴの大使ですよ、分かります、前の。こんなの、まともな支援委員会じゃないじゃないですか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(川口順子君) 委員がおっしゃいますように、それから私も先ほど申し上げましたように、この実施のやり方については大変に、尋常ではないといいますか、問題があると私は認識をいたしておりますので、これを改善するということは園部参与にも御指摘をいただいていますし、私も事務当局には指示をいたしまして、これは早速始めることといたしております。
○福山哲郎君 大臣に聞きにくいことをお伺いします。
 あなたは報告書を出す前にこの委員会が開かれていないという事実を御存じでしたか。
○国務大臣(川口順子君) いつごろだったか忘れましたけれども、私が外務大臣になりまして割にすぐのころに、たまたまイワノフ、ロシアの外務大臣とお話をするという機会もありましたものですから、その説明を聞いたころか、その直後か、いずれにしても、そのころにロシア側の代表者というのが今空席になっている、ただこの空席になっている代表者に、決めてもらうようにロシアには再三再四働き掛けているということを聞きました。
○福山哲郎君 委員会が開かれていない事実とは、ということは、自動的に大臣は分かっておられたということですね。
○国務大臣(川口順子君) そのときにそこまで認識していたかどうか記憶がありませんけれども、論理的に言えばそこまで推測をしてしかるべきだったと思いますが、私自身の頭の中でそういう認識があったかどうかは、ちょっと今記憶にございません。
○福山哲郎君 その認識はいつはっきりされましたか。
○国務大臣(川口順子君) きちんと認識をしましたのは、昨日かおとといか、国会で御質問をいただいたときだったと思います。
○福山哲郎君 報告書の出た後だということですよね、大臣、ということは。ということは、報告書は精査をして、聞き取り調査をしてと書かれているにもかかわらず、支援委員会が開かれていない事実もこの報告書には出ていないんですよ。大臣にも報告がなかったということじゃないですか。おかしいじゃないですか。
○国務大臣(川口順子君) 今回の北方四島の支援についての調査報告書は、これは園部参与におまとめいただいたものですけれども、対象は北方四島の支援の事業のやり方について行政機関としての外務省の対応がどうであったかという事実関係でございまして、国際機関であるこの支援委員会とその事務局といいますか、支援委員会についてこれがどうだというのは園部参与にお願いをした調査の中には含まれておりませんでした。
○福山哲郎君 だって、支援委員会が事業をして、その事業について疑惑があるのに、支援委員会のことがそのものではないというのは、僕はよく分からないんです。
 この報告書の最後に、実は資料で「北方四島住民支援の流れ」といって、これが付いているんですよ、どうやって流れるかと。これは先ほど言った協定とは全く違うものが付いているんですよ。これ、虚偽じゃないですか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(川口順子君) 先ほど申し上げましたように、この事業の実際の執行の在り方については、やむを得ない事情があったとはいえ、様々な問題があったと思います。
 それで、今ちょっと見ましたところ、ここの資料に付いているこの「支援の流れ」というのは、そういうロシア側の代表者がいないという状況下において、だけれども北方四島の支援は必要で、やっていく必要があるということを踏まえて、実際にこういう形でやっていますということの流れを表したものだと私は今認識をいたしております。
○福山哲郎君 それと本来の支援委員会が開かれていないことを報告しなかったことは、全く別の問題だと私は思います。
 それで、じゃもう一つお伺いします。
 いわゆるこの支援事業の疑惑の中心になっています一九九九年十月二十四日のいわゆるムネオハウスの完成式典に出席した鈴木宗男議員はどんな立場、資格で出席をされたのか。同じく国後で、二〇〇〇年十月二十九日、ディーゼル発電完成記念式典はどのような立場、資格で出席されたのか。お答えください。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 鈴木議員は、国後島の友好の家及び同じく国後島のディーゼル発電施設の完成式典には、いずれも特別の資格はございませんが、事実上の団長格として参加したというふうに承知しております。
○福山哲郎君 だれが鈴木宗男議員を団長として行かせることを決定したのですか。支援委員会は開かれておりませんよ。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 鈴木議員は、かねてから北方四島住民支援に対しまして多大な関心を寄せておられまして、国後島の友好の家とディーゼル発電施設については現地での式典参加に強い意向を有していたわけでございます。
 そのような状況の中で、事実上の団長格として参加したというふうに理解しております。
○福山哲郎君 済みません。事実上という意味が分かりませんので、はっきりお答えください。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほど申し上げたとおり、この二つの完成式典にいずれも特別の資格を持って参加したということではなくて、事実上の団長格というふうに申し上げた次第でございます。
○福山哲郎君 じゃ、事実上の団長というのはどういう意味かと聞いているので、ちゃんとお答えください。御自身がおっしゃったんですから。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 正式に団長として手続を経て選ばれたとかそういうことではなくて、事実上、団長格というふうに申し上げた次第でございます。
○福山哲郎君 百歩譲って鈴木宗男議員が官房副長官の時代に電力事情の調査に行かれた、百歩譲ってムネオハウスのときに鈴木議員が北海道開発庁長官で一応尽力をされたといって、百歩譲ってその流れがあるから行かれたんだとしても、じゃ、外務省は過去の閣僚が手掛けた事業は全部前倒しの閣僚に、この方が道を付けたからといって全部式典に出るんですか。普通、式典はその現職の閣僚が出ていくのが普通なんじゃないんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほど申し上げたとおり、鈴木議員は、かねてから北方四島住民支援に対しまして関心を、強い意向を、関心を寄せられて現地での記念式典に出席することを強く要望されたわけでございます。
 このような意向を踏まえまして、外務省としては、これらの機会に同議員が北方四島を訪問することは四島における我が国のプレゼンスを示し、我が国国民と北方四島住民との相互理解及び信頼関係の増進に貢献すると当時判断したものと承知しております。
○福山哲郎君 全く誠意がない答弁だと思うんですが、委員長、いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今までの質疑を伺っていまして、この支援委員会は正常に機能していたとは思えない。要請があって検討して考慮して決定すると、この正常な手続を踏まないで決定していたおそれがあると。なぜこのようないい加減な決定がなされたのか、よく調査します。
○福山哲郎君 総理、いつまでに調査していただけますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これはできるだけ早く調査します。
○福山哲郎君 できれば予算委員会の最中に報告を出していただきたいんですけれど、日にちをもう少し特定いただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) できるだけ早く調査します。
○福山哲郎君 もう時間がないんであれなんですけど、実は、根室に今こういう船が来ています。(資料を示す)
 いわゆる疑惑の希望丸というはしけでございます。これが今、根室に着いているんですが、この希望丸は一体いつ日本に戻ってきたのか、お答えください。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 二月十四日に根室市花咲港に入港したと承知しております。
○福山哲郎君 何の目的で、だれが命令して、だれがこちらへ運航して運んできたのか、お答えください。
○政府参考人(齋藤泰雄君) この船につきましては、この船の所有者でございます南クリル地区行政府との契約に基づきまして、同船を管理しております港湾管理公社の船長及び船員が運航を担当したと承知しております。
○福山哲郎君 だれがクリルと契約したんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 南クリル地区行政府がこの船の所有者でございまして、その所有者と港湾管理公社との間で管理に関する契約が結ばれていると、こういうふうに承知しております。
○福山哲郎君 港湾管理公社との契約はだれが指示したんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) それは南クリル地区の中の問題だと思います。
○福山哲郎君 じゃ、南クリル地区が直接港湾管理会社と交渉して契約を結んだんですね。間違いないですね。
○政府参考人(齋藤泰雄君) この船の管理につきましては、南クリル地区行政府が港湾管理公社と契約したというふうに聞いております。
○福山哲郎君 委員長、答えていません。今の、答えていません。
○委員長(真鍋賢二君) 福山委員……
○福山哲郎君 全然私の質問に答えていません。
○委員長(真鍋賢二君) 質問者に……(「的確に答えろ」「再度答弁させてください」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
 齋藤欧州局長に、再度答弁願います。
○政府参考人(齋藤泰雄君) この船は南クリル地区行政府に供与された船でございまして、この所有者は南クリル地区行政府。で、この船の管理は、南クリル地区行政府が港湾管理公社に委託する契約に基づいて管理が行われているということでございます。
○福山哲郎君 じゃ、何で根室造船に上架しているんですか。上架というか、今こういう状況です、こういう状況です。(資料を示す)
○政府参考人(齋藤泰雄君) 破損が激しいために修理箇所を調べる必要が生じておりまして、その調査のために根室造船に上架しているというふうに承知しております。
○福山哲郎君 根室造船とはどこが契約をしていますか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 支援委員会がこの希望丸を上架し保管するための契約を根室造船と結んでいるというふうに承知しております。
○福山哲郎君 さっき私がどこと契約したかと言ったときには管理会社しか言わないのに、今ここまで詰めていったらやっと出てきたわけですよ。僕は非常に誠意がないと思うし、これじゃ本当に質問続けられないんですが、委員長御判断ください。ちゃんと注意をしてください。
○委員長(真鍋賢二君) 質疑応答でございますので、感情の変化についての答弁は委員長としてできませんけれども、誠意を持って御答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(齋藤泰雄君) この船の所有者でございます南クリル地区行政府と港湾管理公社との間でこの管理に関する契約が結ばれているわけでございますが、これは南クリル地区内での管理に関する契約でございまして、今回根室に回航されました希望丸につきましては、先ほどのように、破損が激しいために修理箇所を調べる必要が生じまして、支援委員会と根室造船との間の契約に基づいて上架、保管されているということでございます。
○福山哲郎君 最初からそうおっしゃってくれれば話が早いんですよ。
 支援委員会が根室造船と契約をされた根拠をお知らせください。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 破損の激しい希望丸の現状を踏まえまして、安全を最優先にするとの観点から、国後島からの航行距離、時間を最短にする必要がございまして、根室市花咲港への受入れとなったと承知しております。
○福山哲郎君 入札は行われましたか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 上架と保管につきましては、随意契約と承知しております。
○福山哲郎君 上架と修理は幾らぐらい掛かる予定ですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 今、破損状況を調べているというふうに聞いておりまして、まだどのくらい掛かるかということを申し上げることはできません。
○福山哲郎君 支援委員会事務局の契約事務取扱細則によると、入札か随意契約か指名競争入札にするかは全部金額が決まっています。金額が決まっていて、まだ見積りが出ていないのに、この取扱細則によれば、まだ見積り出ていないんだったら随意契約できないじゃないですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 今、支援委員会が随意契約を結んだと申し上げましたのは、上架と保管に関する部分のみについてでございます。
○福山哲郎君 じゃ、上架と保管は幾ら掛かるんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 現時点で正確に承知しておりません。
○福山哲郎君 それじゃ随意契約できないじゃないですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 調べて御報告したいと思います。
○福山哲郎君 いいですか。冒頭から申し上げますように、九七年の九月から実は支援委員会開かれていません。
 そこから先、七億円の支援事業は、九九年三十億、二〇〇〇年二十七億、どんどん増えています。さらに、箱物も増え、そして問題のこの希望丸を造った、友好丸を造った根室造船には、鈴木宗男議員に九五年から二〇〇〇年までで二百四十万円の政治献金がある。そして、今回、希望丸が戻ってきたときに、またいつの間にか根室造船に着いている。
 これ、おかしいと思いませんか、大臣。
○国務大臣(川口順子君) その船はそもそも造られたのが根室造船で造られたというふうに聞きましたので、その破損の状況を調べるのはその会社がやるのが多分一番いいのではないかと思います。
○福山哲郎君 じゃ、保管と管理はして、ほかのところに修理が行く可能性もあるということですね。
 正直申し上げまして、これ実は希望丸がないと四島交流できないんです。これ希望丸、五月までにしないと四島交流できないんですけれども、これはどう考えておられますか、外務省。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 四島交流が支障なく行われることを希望しております。
○委員長(真鍋賢二君) 齋藤欧州局長、答弁、再答弁願います。
○政府参考人(齋藤泰雄君) はしけがないと四島交流がうまくいかないという事情があるようでございますが、友好丸というはしけも供与してございますので、その利用をすることによって四島交流を行うことがどうか、私、現時点で断言できませんけれども、そういった可能性もあり得るというふうに思っております。
○福山哲郎君 前年度の予算と本年度の予算にその希望丸の予算は計上されていますか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) されていなかったというふうに聞いております。
○福山哲郎君 じゃ、どうしているんだ、ここに。予算もないのにどうしてここにいるんですか。よく分かりません。
 もう時間がありません。小泉内閣は、残念ながら小泉内閣の大臣、副大臣、政務官を含めて、内閣の中に十一人も鈴木宗男議員から政治献金をもらっている人がいます。これがリストです。金額の多い順に、松下内閣府副大臣、横内正明法務副大臣、それから滝実総務政務官、砂田圭佑財務政務官、下地幹郎経済産業政務官、木村太郎防衛政務官。小泉内閣の一員として、鈴木宗男議員から政治献金をもらった経緯と、今の鈴木宗男議員の疑惑について一言御所見をお願いします。(発言する者多し)いや、今の、今のそれぞれの皆さん。(「大臣か」「指名したら」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)指名しました、今。──分かりました。今指名しましたよ。
○委員長(真鍋賢二君) いや、それはちょっと質問で。
○福山哲郎君 じゃ、松下忠洋内閣府副大臣。
○副大臣(松下忠洋君) 当選回数の少ない人たちを政治活動の支援を通して育てていきたい、そういう気持ちを持っておられたんだと、こう思っております。
 以上でございます。
○福山哲郎君 いや、今の鈴木議員の疑惑の問題について、一言コメントしてください。
○副大臣(松下忠洋君) 国会での議論をお聞きして、幾つかの問題点が指摘されておりますけれども、それを通して、やっぱり政治と、政と官との関係、その在り方についての、深く考えさせられておるところであります。
○福山哲郎君 横内正明法務副大臣、お願いします。
○副大臣(横内正明君) 鈴木議員は、同じ政策集団であります平成研究会に所属する先輩議員でございまして、先輩として政治活動に役立ててくださいと、そういう後輩に対する応援の意味で提供があったものと考えております。
○福山哲郎君 滝実総務政務官、お願いします。
○大臣政務官(滝実君) 鈴木議員からは、私のこれまでの政治活動と申しますか、そういうものを見ていてくださって、資金支援をしていただいたというふうに私は理解をいたしております。
 もう一つ、もう一点のお尋ねでございますけれども、疑惑の解明に御本人も意欲的に取り組んでいただくと、それがこの今一番大切なことだろうというふうに考えております。
 以上でございます。
○福山哲郎君 砂田圭佑財務政務官、お願いします。
○大臣政務官(砂田圭佑君) 政治活動資金として鈴木先生から資金の援助を受けたことは事実であります。
 そして、その後の鈴木先生のことについては、次の証言をじっくり見させていただいて判断をしたい、かように思っております。
 以上です。
○福山哲郎君 下地幹郎経済産業政務官、お願いします。
○大臣政務官(下地幹郎君) 私も、政治活動費として、私が支部長をしております第一選挙区支部に北海道支部から寄附をいただいたということであります。
 そして、鈴木先生のこれからでありますけれども、三月十一日に証人喚問がありますから、それでしっかりと新たな形が出てくるんではないかというふうに思っております。
○福山哲郎君 木村太郎防衛政務官、お願いします。
○長官政務官(木村太郎君) お答え申し上げます。
 私も、同じ党の先輩後輩という交流、あるいはちょうど選挙区においても隣接道県という、そういった交流の中でひとつの寄附をいただいたと、こう思っております。
 なお、二つ目の点につきましては、私自身、事実関係というものを把握しておりません。委員御承知のとおり、十一日、国会の場におきましてその事実の解明がなされていくものと思っております。
○福山哲郎君 一連の質疑を聞いていただいたと思います。私は大変この状況を残念だと思っておりますし、小泉内閣に私も実は期待をした一人でございます。しかしながら、本当に政官財の癒着のひどい状況で、この状況がなければ、この状況を変えなければ私は日本は再生しないと思っていますし、小泉総理、決意とこの質疑を聞いての御意見、御所見をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今回のこの支援委員会に対するいろいろな問題点、よく調査し、今後の外務省改革に生かすのはもちろん、政と官の在り方、これについても、我々同じ国会議員として、今後正すべきは正して、どのようにこの政治改革に進展させるか、真剣に考えていかなきゃならないと思っております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 終わります。
○委員長(真鍋賢二君) 以上で直嶋正行君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────

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