2005 年 資 料

 

日付 国会 会議名 内容
2005/10/19 163 憲法調査会 国民投票法制について
2005/6/9 162 環境 地球温暖化対策推進法改正案質疑(第2回)
2005/6/7 162 環境 地球温暖化対策推進法改正案参考人質疑
2005/5/19 162 環境 地球温暖化対策推進法改正案質疑(第1回)
2005/5/10 162 環境 廃棄物処理法改正案質疑
2005/4/26 162 環境 廃棄物処理法改正案参考人質疑
2005/3/3 162 予算 農水相発言、年金特別会計、郵政改革等について

 

第163国会  参議院  憲法調査会  2005年10月19日

国民投票法制について参考人質疑


○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。隅野参考人、只野参考人におかれましては、貴重な御意見をちょうだいいたしましてありがとうございます。慣例によりまして、座らせていただきながら質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
 憲法改正の問題は、国会が発議をして国民投票にかけるという面においての国民投票制度に今大変注目が集まっておりまして、その議論も、今日両参考人の先生方からお話を伺いまして、いろいろ考えなければいけないことがあると思うんですが。
 少し考えなければいけないと思っているのは、実は国会法との関係でございまして、隅野参考人の論文にも若干触れられておられましたが、国民投票制度の前に国会法の改正という二段階の構えがあると思っています。特に、国会が発議をするのは両議院の三分の二という文言があるわけですけれども、じゃ実際に国会に憲法改正案を発案をするときの要件をどのようにするのかと。例えば、今我々でいいますと参議院は十人以上の議員が集まれば議案を提出ができるわけですが、じゃ国民にかけるのは両議院の三分の二という議論の中で、国会に憲法改正案を発案するときに一体どのぐらいの数の要件で憲法改正案を国会に提出をするのか、これ非常に問題点で、どのぐらいのハードルにするのかという点が必要だと思います。
 更に申し上げれば、細かいことを言うようですが、例えば国会に提出をされて、委員会で議論をされている憲法改正案が議決をするときに、我々は憲法五十六条の二項による議事の可決ということで、出席議員の過半数で議案は本会議に上程されるわけですね。しかし、国民に発議するのに三分の二以上の数が要るのに、じゃ国会の委員会で議論をするときに過半数の議決で本当にいいのかと。
 こういう実は憲法改正をするときにはまず国会法の改正をきちっと議論をしていかないと、なかなか発議の後の国民投票とのバランス、制度上の設計の問題でなかなかうまくいかないという点があると私は思っておりまして、隅野参考人におかれましては何か御意見や、今私が申し上げた二つの提案の問題と議決の問題について何か御意見があれば賜りたいと思います。
○参考人(隅野隆徳君) 御質問ありがとうございます。
 この点はほかの欧米諸国でも、憲法規定に盛り込まれている場合もあるし、そうでない場合もあるということがあります。
 それともう一つ、国際的な視野で見た一つの問題点は、先ほど、私のレジュメの一ページの下のところにありますように、国民の発案権というのがアメリカの諸州あるいはスイスのカントンなどにはあるわけです。つまり、これも例えば五万人とか十万人の住民、州民の提案がある場合には、そこで一般的な提案の場合もあるし、あるいはちゃんと条文をそろえた成案として発案するという両者もあって、前者の場合には国会でそれを案文化するという手続もあるようです。
 日本の場合にそういうところをどう位置付けるのかということも、実は人民主権という視野からすれば全く視野から外してよいとは言えない、そういうこともどうとらえるのかと、世界から見れば一つの問題点になると思います。
 それから、現在の国会法の関係でいえば、確かに予算案とか予算関係の法案提出とかそれについての発議の、発議というか法案の提案者というところの人数要件があるように思いますが、憲法の場合にそこを具体的にどういう数字が適当かというのはすぐ思い当たりませんが、余り高いレベルで、予算を伴う法案よりも高いレベルでやった場合に、少数意見の、あるいは少数勢力の場合の意見はどうなのかと。つまり、憲法改正問題という場合にはかなり長期的な、将来的な構想が絡んでいるものですから、少数意見必ずしも否定されるべきというふうにはならないと思いますから、そこのところで余り高い人数規制をするということがよいのかどうか。確かに、全く一人でよいというふうにはならないと思いますが、そこの勘案が一つの問題点かと思います。
○福山哲郎君 只野参考人は何か御意見ございますでしょうか。
○参考人(只野雅人君) 今の話なんですが、憲法から一義的に決まってくるということでは恐らくないんだろうというふうに思います。
 今のお話にもありましたように、余りハードルを上げ過ぎますと自由な発議ができないという問題が出てまいりますが、他方で、先ほどのお話にもありましたように、最終的に三分の二で議決がなされるということを考えますと、それなりの発議要件といいますか、人数があって発議ができるという仕組みを整える方が合理的かなという感じもいたします。
 委員会については、通常は過半数で議決がなされるということですので、恐らくそういう形にはなるんだろうというふうには思いますが、ただ、もちろん本会議では三分の二ということになりますので、それを配慮した形で議論や議決が行われていくんだろうというふうに考えます。
○福山哲郎君 続いて、フランスのことについてちょっと只野参考人にお伺いしたいんですが、先ほど御説明をいただいた、EU憲法条約の批准に対して否決をされたと。これは先ほど若干御説明いただきましたが、大統領の発議なんですね。別に、かけてもかけなくてもどちらでもよかったわけですよね。十一条でいうと、大統領が国民投票を発議をするという話になると、若干私なんかが懸念するのは、濫用はないのかと。
 先ほど先生は非常にそこは重要視されて、重たいというふうにおっしゃられましたが、我々としては、制度上、濫用の危険性はないのかということと、今回シラク大統領が、別にかけなくてもいいのに国民投票にかけて否決をされたと、こういう何というか政治的なあやみたいなものというのは制度上フランスでよくある話なのか。ここの部分をちょっとお伺いをしたいということと。
 あともう一点は、我々は、前回の憲法調査会でも簗瀬議員から、憲法改正以外の国民的な政策課題についても国民投票制度を導入をしたいというふうに思っているわけですが、そのときの何というか発議の条件というのは憲法改正ぐらい重たいものにするべきなのか、こういうフランスのように大統領が発議をすればという話になるのか。先ほどの話を若干引用して申し上げれば、わざわざ衆議院解散しなくても、そういう制度があれば、小泉総理は国民投票にかけておけば、それで郵政の民営化がどうかという議論はできたわけですね、国民投票的にはと。ですから、その点について只野参考人、もし何か御示唆をいただければと思います。
○参考人(只野雅人君) まず、最初のフランスの話なんですけれども、確かに十一条を使いますと議会の頭越しに国民投票にかけることができるということで、例えば過去やはり憲法改正なんかをめぐって、恐らく濫用という評価をしてよかったと思うんですが、という点があるということは踏まえておく必要があると思うんですね。
 通常の憲法改正の場合には両院の議決が必要ですので、やはりそこでかなりの議論が行われるだろうと。国会の議論はオープンですので、やはり世論を含めた議論というものが提供されるだろうというふうに思います。ですから、やはり議会での審議の重要性ということは改めて強調をされるべきかなと、こういう感じがするわけです。
 ただ、今回のように、EU憲法条約のように非常に重要な問題については、十一条のような規定があるのであればやはり国民投票にかけるというのはそれなりに筋の通った話だったのかなと、こういう感じはいたします。ですから、むしろ世論を説得するプロセスに問題があったのではないかという感じがするわけです。
 それから、日本について、例えば国民投票を導入する場合、発議要件などをどうするかということなんですけれども、実際には恐らく非常に重要な問題に絞って行われることになると思いますので、少なくとも過半数以上ということは必要だろうと思うんですね。三分の二が必要かどうかというのはちょっと議論の余地のあるところだろうと思います。
 ただ、恐らく現行憲法を前提にしますと、これ諮問的な国民投票ということになるんですが、幾つかやはり留意すべき点というのがあるだろうと思っておりまして、一つは、今お話をしたように、やはり議会での審議の場がきちんと確保されているかどうか。いったん、諮問的であっても国民投票で民意が表明されますと、それを覆すということは非常に難しくなりますので、その審議の問題。それからもう一つは、適切な民意の表明ができるような設問を考えるといった点も多分非常に重要だろうと思うんですね。それから、場合によりますと、非常にある意味、議会の責任放棄につながるような利用の仕方というのも懸念されないわけではない。
 ですから、諮問的国民投票って非常に私重要だとは思うんですけれども、そのテーマの選定含めて手続などについては、やはり憲法改正に劣らず慎重な審議や検討は必要だろうというふうに思っております。
○福山哲郎君 今のことに関係してなんですが、そのフランスの場合には十一条でも憲法改正が二度国民投票にかかったとおっしゃられましたけれども、そうすると国民投票にかかる場合に、その憲法改正の場合には議会の同意が要るとしても、そこから先の要件は同じ条件だというふうに考えていいわけですね、国民投票にかけられてからの、何というか要件というか条件は。
○参考人(只野雅人君) 国民投票の場合にはその都度デクレで中身が決まってきますけれども、恐らくは大体共通したものがあるんだろうというふうに思います。今回はEU憲法条約のみ確認しましたので、過去のものをきちんと見ているわけではないんですが、基本的なところは大体同じになってくるだろうというふうに思います。
○福山哲郎君 もう時間がありませんので、両参考人に、済みません、共通の質問を二つだけして、簡単にお答えをいただければと思います。
 一つは、投票する側の年齢の問題ですが、我々は十八歳以上、若しくは義務教育課程修了者にも条件によってはという議論をされていますが、国民投票ができる有権者の年齢をどのようにお二人の参考人の方は考えられているかということと、それから、先ほどお話がありましたように、投票率の問題でございまして、フランスの先ほどの例で見ると七割の方が棄権をしていると。賛成が七〇%といいながら七割が棄権しているということは、実態でいうと国民の五分の一しか賛成をしていないわけですね。その投票率みたいなものに対して何か条件を付けるとか、何%以上とか、条件を付けるような例も漏れ聞きますが、その件についてどのように考えられるか。
 二点について簡単にお二人の参考人にお答えをいただいて、私の質問は終わりたいと思います。
○会長(関谷勝嗣君) それでは、隅野参考人からお願いいたします。
○参考人(隅野隆徳君) 第一点は、やはり十八歳以上というのは最低であるというふうに思います。世界のG8の諸国は一般に普通選挙権が十八歳以上であるということとも関係します。
 第二点は、先ほどもちょっと触れましたが、やはり有権者の過半数を最低の投票率というふうに設定することが日本の憲法状況、将来の憲法の安定のためには不可欠であろうというふうに思っています。
 以上です。
○会長(関谷勝嗣君) 只野参考人、お願いします。
○参考人(只野雅人君) まず、投票年齢なんですけれども、私も国際比較から見まして十八歳というのには十分合理性があるだろうというふうに思います。ただ、憲法では、選挙の際に国民投票を行うということも言及していますので、恐らく併せて選挙権それ自体についても見直しをする必要があるだろうと。できれば両方併せて十八歳という設定をするのが一番合理的ではないかというふうに思います。
 それから、最低得票率ですけれども、やはりこれ国民投票、憲法改正国民投票の重要性ということを考えますと、今、隅野参考人からお話がありましたように、どこかで線を引くとすればやはり過半数というものが考えられていいんではないかと。他の投票ではかなり低めのものが設定される場合もありますけれども、この件に関しては過半数というのが一つの線かなというふうに思っております。(「何の過半数」と呼ぶ者あり)
○会長(関谷勝嗣君) 今質問がございましたが、過半数は何の過半数かという簗瀬さんからの質問ございましたが、有権者ですか、投票者数ですか。
○参考人(只野雅人君) 五〇%の投票率があると、こういうことでございます。
○会長(関谷勝嗣君) おおむねで五〇%だそうです。
○福山哲郎君 会長、ありがとうございました。
○会長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。


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第162国会  参議院  環境委員会  2005年6月9日

地球温暖化対策推進法改正案質疑(第2回)


○委員長(郡司彰君) ただいまから環境委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。よろしくお願いを申し上げます。
 午前中の大石委員に引き続きまして、質問させていただきたいと思います。
 おととい、参考人の質疑がありまして、大変いい質疑をさせていただきました。それぞれの参考人から、今の温暖化の状況についての建設的な御意見もいただいたというふうに思っています。
 その四人の参考人のうち、三人の方が実は共通のことを言われました。今日午前中の阿部委員の質問にも共通するんですけれども、要は、日本の国内的な意思の形成がはっきりしていないと。それから、国民に対するシグナルというかメッセージが出ていないと。それから、今日午前中ちょっと議論になりましたが、長期的な目標についての日本の意思が見えてこないと。地球環境部会長をやられている先生からは、要は国際交渉においてマイナスにならないようにしなければいけないというような旨の発言もありました。受け身になってはいけないという旨の発言もありました。
 実は私、前回の質問でこのことを小池大臣にお伺いしたんですが、なかなかはっきりとした答えがいただけませんでした。今日、事前の質問には入っていないんですが、参考人の方のお話がありましたし、今日午前中、阿部先生の御議論もありました。大臣、どうでしょうか、日本の意思というか、環境大臣としての御意思についてもう一度言及をいただきたいと思うんですが、よろしくお願いします。
○国務大臣(小池百合子君) おっしゃいますとおり、この地球環境問題に対して我が国がどのような姿勢を取るのか、そしてまたどのようなメッセージを発していくのかというのは極めて重要なことだと思います。また、明確なメッセージを流布していくことが、すなわち我が国にとりましても、今後我が国のこの課せられております課題をしっかりと実行していく上でも重要な一種のマニフェストにもなると思っておりますし、また、長期的なメルクマールを持つことによって更に国内の取組を促進をさせる、そしてまた海外との協力関係を進めていくという意味では大変重要なことだと思っております。
 今、先ほどからお答えさしていただいておりますように、中長期的な課題については現在様々な観点、また専門的な観点から御議論もいただいております。早急に取りまとめ、また我が国として、全体としてどのようなメッセージが発せられるのか、強力な連携を取りつつ進めてまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 前回よりかはちょっと前向きに御発言いただいたんですが、要はこれからメッセージを考えると。サミットもありますし、まさか小泉総理に手ぶらでサミットに出ていただくわけにもいかないでしょうし、今回のサミットのテーマは貧困と気候変動でございますので、小泉総理にどういうメッセージを持っていっていただけるか、正に環境大臣の手腕が問われると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 二〇〇二年に温対法が改正されまして、京都議定書を二〇〇二年に我が国が批准しました。これまでの取組がどうであったかという話は午前中も議論出たんですが、現実問題としては、よくあるように、一九九〇年比八・三%の増になっています。目標値に合わせると一四・三%の削減が必要だと。実は、そのときに法案も、それから大綱もあったわけです。その大綱でいわゆるステップ・バイ・ステップのアプローチをし、今回も第一ステップについての評価、見直しがずっと昨年来続けられた上で今回、目標達成計画というのが作られてきました。現実には、目標達成計画が作られるに当たって、なぜ大綱を作ってそれを実現しようと思ってやっていたのに八%増えてしまったのかとか、それに対する評価とか分析がないと具体的な次へのアプローチには行かないと思うんですね。
 それで、現実問題としては、今八%増えていますから一四%減らさなきゃいけないんです、大変です、大変ですという、このままじゃ厳しいですというメッセージは実は環境省からも大臣からもよく伺います。しかし、現実には大綱は動いていたわけです。動いているにもかかわらず八%増加したことに対する評価というか総括というか、そのことに対しての責任というものに関しての言及をいただいていないと私は思っておりまして、その問題について大臣に御答弁をいただければと思います。
○国務大臣(小池百合子君) 九〇年と比べますと、二〇〇三年度の我が国の温室効果ガスの排出量が八・三%の増加ということで、これまで約八・八%と申し上げていたのを、より精査して八・三という数字を出させていただいております。
 その九〇年比のマイナス六%の約束から考えますと、今御指摘ありましたように、なかなかギャップが大きい、これまで大綱もあったのにどうしていたんだということでございますが、プラスの部分ではトップランナー規制というのは効果を出してきているところだと思っております。そしてまた、これまで政府が強化をしてまいってきた対策そのものは一定の成果を上げてきていると思います。思いますじゃなくて、一定の成果を上げてきております。
 一方で、人口、世帯数が増加したり、経済規模が拡大したり、また自動車保有台数そのものの増加といった点など、社会経済の活動量そのものの増加といったこともこの八・三%の増加というところに寄与している。余りいい、寄与というんでしょうか、その中に含まれていると思います。
 もう一方で、細かく分析をいたしますと、二〇〇三年度は一部の原子力発電が停止をしたというような事態が生じたことも思い起こされる点でございまして、この原子力発電所が止まっていた分、それを補う形で火力発電、より分かりやすく言えば石炭をかなりその分で燃やしてきているということで、その部分が二酸化炭素の排出量の約四・九%の増加ということになるわけでございます。単純にお示しいたしますと、約八・三%のプラス分の四・九%が原子力発電の停止ということにかかわってくると、こういう内訳が見えてくるのではないかと思っております。
 昨年一年掛けまして、これまでの対策の効果などについて関係審議会で評価をしてまいりました。そしてまた、それを踏まえて、確実に削減が見込まれる新たな追加対策を検討してきたものでございまして、温室効果ガスの排出抑制対策、吸収源対策、京都メカニズムの活用といったことを盛り込みました目標達成計画を、御承知のとおり四月に策定をさせていただいたところでございます。
 こうやって随時見直しをし、そして正にステップ・バイ・ステップの方式とともに京都議定書が発効したという厳然たる事実を踏まえまして、よりこの効果、六%の削減の約束を確実に達成をしてまいりたいと、このように考えております。
○福山哲郎君 理由として、例えば経済規模が今、拡大されたとか、人口や世帯数が増えたとか、原発が止まったとか一時停止をしたとかとおっしゃいましたが、経済規模は、先ほどの議論もありますように、多分日本は経済成長を目指していくんでしょう、今の政府は。それから、人口、世帯数は、多少人口減になっていきますが、世帯数は増える傾向にあると思いますし、原発はいつ不測の事態が起こるか分かりません。そういう状況の中で、今言われたような原因だったと言われると、非常に何というか、外的な要因があるから駄目でしたという話に聞こえるんですね。
 じゃ、具体的に、一体何が駄目で何が良かったかということをもう少し言っていただかないと、実はこの八%増の評価にならないと。そういう抽象的な議論をしているから実はいつまでたっても増え続けるんだというふうに私は思っていまして、先ほど阿部先生がおっしゃいました、地球が母親だと、地球の任命を大臣が受けているんだというようなお話がありましたが、私実は、前もこの委員会で申し上げたんですけれども、五十年後とか百年後こうなりますよという議論はもちろん重要なんです。子供たちの未来のためにという議論も私は重要だと思っています。
 しかし、現実にはもう温暖化の影響というのはいろんなところで見られていまして、いつも申し上げますが、私はモンゴルに三年前行ってきましたけれども、九六年の八月、モンゴルは初雪が降っていました。初雪が降っていた九六年、私が行った二〇〇二年の夏、実は三十数度でした。御案内のように、羊が数千万頭の被害が出たり、温暖化の状況であちこちで山火事で乾燥したものが起こっていたり、それから去年は秋に、こちらにいらっしゃいます谷理事とも御一緒にいわゆるフィジーの沈みゆく村だと言われているような村のところにも行ってきました。ツバルなどは実は国土の半分ぐらいがもう水に沈んでいる、海水に沈んでいると。実はもう実際に起こっているわけです。
 私は、例えば日本で去年は暑かったと、今年は涼しいから大丈夫なんだとか大丈夫じゃないとか、先ほど大臣が言われたみたいに、温暖化の影響というのは中長期的なものですから余り一過性のもので判断してはいけないんですが、少なくとももう我々の身近なところで起こっていると。日本の国内にしても、環境省がちゃんと出している資料だけでも相当、日本に与える影響について言えば、百年間で東京も二・九度も気温が上昇しています。それから、高山植物や、それから昆虫の生息域や動物の生息域、ウミガメの産卵等についても現実に北上していったり、いろんなところで動いてきているわけです。
 ですから、そのリアルな現実を目の当たりにしたときに、我が国がどういうメッセージを出して実際に温室効果ガスを減らしていくのかということが、私は本当に国民共有の意識の中でやっていかなければいけないと思っておりまして、それで何とかこの問題については積極的に環境省に、大臣にリーダーシップを取っていただきたいなというふうに思っています。
 本当に期待をしているということも含めて、次の質問に移らしていただきたいと思います。
 実は、この京都議定書の目標達成計画の議論、それから大綱に至る議論、それから、これから先、国際社会で日本がどういう交渉ポジションを取っていくかという議論の中で、実は非常に誤解を招いたり偏った印象を持たせてしまうものが内在をしていると。議論の前提として、私はいろんな数字とかいろんな統計とかを日本の役所、特に省庁間で共有して国民にプレゼンテーションをしていただきたいと思っています。それはなぜかというと、我々国会議員に対してもプレゼンテーションの仕方が全然違うということです。
 今日、委員の皆さんにお手元に資料をお配りしました。大変恐縮でございますが、@と書いてあるのを見ていただきますと、これよくあります最終エネルギー消費の推移ですが、今すごくエネルギー消費は増えていますと。これを見ますと、運輸部門が一・二倍、民生部門が一・三倍、産業部門が一・一倍で、いつも議論の中に出てくるのは、産業部門はとにかく自主行動計画で頑張っていると、実は民生部門が増えているから、ここは何とかしなければいけない、家庭を何とかしなければいけないという議論がよく出てきます。多分、委員の先生方もしょっちゅう聞かれていると思います。しかし、私いつも、常に疑問に思っていたんですが、民生部門とは何ぞやと、産業部門とは何ぞやという議論をしていかないと、なかなか説得力がないということをずっと実は言っていました。実は、今年、議論の中で大分改善をされたのであえて今日申し上げるんですが。
 下を見ていただきますと、民生部門というのは実は家庭部門と業務部門に、もう御案内のように、もう先生方皆さんお分かりのように分かれます。この業務部門というのは、いわゆるオフィスビルとか官公庁のビルとか、そういうものが入ります。家庭部門は、いわゆる家庭部門です。しかし、これ一緒くたに実は民生部門と言ってしまうと非常に誤解を招くことになります。実は、業務部門におけるオフィスビルというのは、ほとんどが企業が産業活動の中で使っています。ところが、民生部門だけ増えていて産業部門は変わらないという話になって、この産業部門は何ですかと聞くと、それぞれの工場等におけるエネルギーの消費だということになります。それはつまり、そこの部分を分割をして議論をして本当にいいのだろうかと。これが非常にいろんな議論の中でミスリードされることになります。
 そして、実は私、今日お手元にはお配りをしていないんですが、資源エネルギー庁が出している省エネルギー対策という冊子を見ますと、これ相変わらず運輸と民生と産業部門で実は棒グラフが出ています。その下見ますと、産業部門は「概ね横ばい。」で、「一方、民生・運輸部門は大幅に増加。」という表記が資源エネ庁の資料に出ているわけです。後でもう一回別の議論をしますが、これはちょっと違うんやないかと思っておりまして、それをやっぱりこの場で確認をしておきたいと。そして、できればその表記の仕方を一定にしていただきたいというふうに私は思っています。
 経済産業省に、実は、細かくした資料ないのかといってお願いをしたら、委員の先生、見ていただければお分かりなんですが、何とちゃんと分けておられるんですね。右の上を見ていただきますと、民生家庭部門、それから、家庭でも実は乗用車に乗りますから、運輸の問題での乗用車部門で、実はこれで家計部門がどのぐらい使っているかというのが出てきます。その下見ていただきますと、企業部門として、産業部門、これは先ほど言った工場等です。それから、民生業務部門、これはいわゆる先ほど申し上げたオフィスビル等ですね。それから、もちろん、産業活動で、運輸旅客、貨物、物を運びますから、それから企業は乗用車も使いますので、運輸旅客部門のうちの乗用車、運輸旅客部門のうちの鉄道、航空、それから運輸貨物部門というふうに、こうやって実は分けて出てきたんです。
 そうすると、家計部門を見ていただいたらお分かりなんですが、確かに増えているんですが、先ほど一番最初の左上の、民生部門は一・三倍だとか、産業部門は一・一倍だとかという話じゃなくて、企業部門を見ていただいたら、企業部門もこういう分け方をすると、まあ、ある種横ばいで、なおかつ、けたで言うと企業部門の方がはるかにやっぱり排出の寄与度、エネルギー消費の寄与度がでかいんですね。
 私は、決して今、どっちが悪役だと言いたい話をしているのではありません。それから、これだから企業が悪いんじゃないかとか、いや、家庭はいいんだとかいう話をしたいのでもありません。誤解をしていただきたくないんですが、こういうことをちゃんと国民とそれから少なくとも我々国会議員、それから省庁間で議論をするに当たって、共通にこうやって出しておいていただかないと、先ほど申し上げたように、資源エネ庁は相変わらず三つに分けて、ここに書いてあるように一・二倍だ、一・三倍だ、一・一倍だと書いてあるわけです。
 僕もいろんなシンポジウムや勉強会に出ていくと、例えば経産省関係で出てこられる方、資源エネ庁関係で出てこられる方はこの図を前提に物事を話されるわけです。そうすると、民生部門というのはどういう中身なのかよく分からないから、ああそうか、産業は頑張っているけれども、家庭は頑張っていないんだと。それは、家庭も頑張らなきゃいけないし、私は産業も頑張らなきゃいけないんだと思っていますから、ただここら辺の共通の物差しとか共通の表記の仕方というのは私は絶対に必要だと思っておりまして、是非環境大臣、これ、二〇〇七年に向けて、第一約束期間の手前二〇〇七年に向けてもう一回これ、目標達成計画の見直しをされるはずだと思います。目標達成計画というのは、御案内のようにというか、大臣が、政府で作られたものです。ですから、そこは、それぞれの省庁でこういう使い分けをしないと、ちゃんと家計部門、家庭部門、企業部門というようなちゃんとした分け方を共通にそれぞれの省庁でして、そしてその土台の上に目標達成計画について個別の政策をするというようなことを、是非、次の二年間に向けては前向きに検討というか、実現をしていただきたいと思っておりまして、大臣の御答弁をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(小池百合子君) それぞれの部門でどれぐらい出ているか、排出されているかというある種のファクトは、これは同じことだと思います。どのようなくくりにするかということ、これが若干違っているという御指摘ではないかと思っております。
 今、より分かりやすく、また事態の本質をつかむ上でそういったカテゴリーをどうするのかというのは極めて重要な問題であると私は感じているところでございます。そういった意味で、各審議会などでもそのくくり方をどうするのか御議論もいただいているところでございます。今御指摘のこと、私はそのとおりだと思っておりまして、さもなければ、全体像が分からないでどういうふうな対応をしていくかというのが、その対応の仕方も、強弱も変わってくるのではないかというふうに感じているところでございます。
 今御指摘の点はよく踏まえて、しっかりと対応してまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 審議会で議論していただくのは結構なんですが、こんなものは政治判断の話です。必要なものなら政治家が決断すればいい。別に審議会の先生にゆだねる必要は全くないわけです。
 経産省はこういう状況についてはどのように今認識されていますか。
○政府参考人(深野弘行君) 今の点でございますけれども、これまで御指摘のように、産業部門、それから家庭・業務部門から成る民生部門、運輸部門と、こういった区分の仕方をしてきたところでございますけれども、これにつきましては、これまでエネルギーの使われ方に応じた対策というものを取りまして、その結果を評価すると、そういうことをしてきたわけでございますが、そういった点において一定の合理性はあったんではないかというふうに考えております。
 ただ、一方で、御指摘のように、例えば企業、家庭といった主体ごとに着目して対策が取られるものでございまして、例えば今回の目標達成計画の中で申し上げますと、運輸部門の中では荷主とか運送事業者、それから民生部門につきましてもオフィスとか、そういった企業という主体に着目をした対策もございますし、あるいは国民行動の目安をお示しして家庭での省エネルギーに努めていただく、そういった家庭といった主体に着目した対策もあるわけでございます。
 今回の目標達成計画の特徴は、こういったもろもろの対策につきまして事後評価を定量的にできるだけ行っていくということがポイントだというふうに私ども理解をしておりまして、主体ごとの取組状況についても可能な限り定量的な評価に心掛けていくことが必要であるというふうに考えております。
 こういったことを踏まえますと、御指摘いただいたような点も含めまして、一つの断面からだけではなくて様々な角度から国民の方に結果を見ていただけるように、主体に着目をした排出データの整理も含めて、今後、結果の集計、公表の在り方についても環境省始め関係の府省とも協力をして検討を深めていきたいと考えております。
○福山哲郎君 資源エネ庁さんは来ておられます。
 資源エネ庁さんはどうお考えですか。経産省と余り変わらないかもしれませんが、お答えいただけますか。
○政府参考人(岩井良行君) 私どもの省の考え方といたしましては、今、深野審議官がお答えしたことと基本的に同じでございまして、目的に応じて分かりやすい情報の提供ができるように、省内あるいは関係省庁ともよく相談をしてまいりたいと思っております。
○福山哲郎君 一応前向きな答弁をいただきましたが、これ、環境大臣、環境大臣はやっぱり重要なんですよ。家庭部門、企業部門、国民に広く働き掛けしなきゃいけないんです、これから。だれだれが努力をした、だれだれだけが努力をしたからといってこの温室効果ガスはなかなか減らないのは、先ほど大臣が言われたみたいに八%増え続けているわけです。それぞれのファクターがあって、そのときに私は、こっちはいいけれどもこっちが悪いという議論をしている場合ではないと思っていまして、この表記の仕方、それから、例えばこれから二〇〇七年に向けて見直しを進めていく上に当たって、共通の表記で共通の認識で審議会の議論もする、それから国会での議論もする、それから役所が資料を持ってくるときにもちゃんとこういうファクター、セクター別にちゃんと表に出してくると。
 安易にこれで運輸部門が増えているとか民生が増えている、産業は頑張っているみたいな、こういうステレオタイプの議論は是非やめていただきたいと思うんですが、大臣、是非率先して各省庁に働き掛けていただいて、実現に向けて御決意をいただきたいんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(小池百合子君) この分け方でございますが、基本的には排出量の算定方法というのが国際的なガイドラインに基づいたものがございまして、これは気候変動枠組条約に基づいてのガイドラインでございます。そういったことからこれまで産業、運輸、家庭、業務その他、エネルギー転換部門、こういった形で算定をしておりまして、インベントリーを作成するという国際的な義務を果たす上では必要な整理で行ってきたというのが、これが報告の仕方としてのカテゴリー。じゃ国内対策はどうかということでございまして、その意味では、それぞれ産業、そして運輸、業務、家庭ということだけでは、対策を練る上でもまた国民に呼び掛ける上でもより分かりやすい方法が必要なのではないかと考えているところでございます。
 この話ばかりしているじゃないかと思われるかもしれませんが、産業が、例えば工場の省エネ度というのは非常に今よくやっていただいているということはこれは事実でございますが、一方で、オフィスビルに入る業務になりますと、これは三六・九%も伸びてきているというのが最新、これまでも公表している数字でございます。その意味でオフィスビルをどうしていくのかというのは大きな観点でございまして、その意味で夏の軽装を進めていただくというのは一つ極めて分かりやすい入口ではないか、このように考えているところでございます。
 いずれにしましても、目的として、また京都議定書のターゲットをしっかりと確実なものにしていくためには、国民の皆様方にしっかりとその実態、そしてまた何をすべきかということを分かりやすく提示をしていくというのが必要なことであると考えておりますので、これからも各省庁との連携を取りながら、そういった方向で進めてまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 そういった方向で進めていくと言われているお言葉を信じて、次に行きたいと思います。
 同様の話なんですが、実は資料にあります右下のグラフは、エネルギーの家計部門と企業部門、先ほどの産業と業務ではない分け方をしたときの実はエネルギーの消費量のグラフです。これを見ていただきますと、やはり全体としては、企業部門の方が全体のエネルギーの消費については寄与度が高いのはこれは当たり前な話でございますから、だから悪いというのではありません、これで我々経済活動成り立っているわけですから、そこは否定しませんが、そういう議論をちゃんと踏まえてやっていただきたいと。
 裏に行っていただきましても同じで、もうこれ以上は説明しませんが、CO2の排出量に関しましても、実は右側の円グラフを見ていただきますと、企業・公共部門関連というのは約七九%に実は全体のCO2の排出量になります。しかし、これが産業、業務、民生という分け方になっちゃうと全然実はその実態が見えなくなっていまして、これでいうと、家庭の寄与度はCO2の排出量でいうと一三%にすぎません。確かに家庭は増えていますから、減らさなければいけませんけれども、全体のマスで考えたときに、やはり企業部門も家庭部門も両方減らしていかないとなかなかおぼつかないというのが現状でございまして、先ほど阿部委員から五〇%減らさなあかんのやというような話もありましたので、そこも含めてまた今のお話をお願いしたいと思います。
 二点目。もう一つ、私は共通の認識でこれから先温暖化対策をするときに議論をしなければいけないことに、いわゆる乾いたぞうきん論の話があると思います。日本は省エネ技術が優れていると。それから、もうこれまで石油ショック以来頑張って技術革新をしてきたから、各国に比べてはなかなか、省エネの技術が発展しているので、もう乾いたぞうきんを絞るようなものだと、もう水はほとんど出ないということを私はこの十年間いろんなところで伺ってきました。そして、産業界がそのことについて御努力をしてきたことも一〇〇%認めている人間だと自分でも思っています。
 しかし、実は、二枚目のプリントを見ていただきますと、「世界のGDP当たり一次エネルギー消費」という実は各国のGDPを、単位当たりのGDPにどのぐらい消費をするかという一覧表が各国のあります。これは実は、省エネセンターに出ているEDMC二〇〇五から抜粋しておりまして、実は二〇〇五年ですから今年のものでございます。
 これ見ていただきますと、石油換算トン・一九九五年価格という単位になっています。実は、これは為替の問題が重要でございまして、その右側を見ていただきますと、九五年というのは日本で一番円高のときでございます。このときには、いわゆる百円を割れて非常に円高が進んだときです。九五年の円高というのは、本当に八十円、九十円の時代でございまして、そして実は十年前の為替の水準です。今もう百六円、八円で動いていますが、ただその間に為替というのは変動しているわけです。
 ところが、いまだに、エネルギー、GDP当たりの一次エネルギーの消費のこの表を見ますと、実は九五年の為替で計算をしているわけですね。そうしたら、一ドル当たり八十円とか九十円のときでいえばそれは一番少なくなるに決まっているわけでして、実はずっとこの議論しているんですよ。やっぱり、これはやっぱり本当かなという議論があるわけです。
 そして、私、中環審の今回議事録も全部読みました。実は、GDP当たりのエネルギー消費量について、日本が非常に省エネが進んでいて消費量が少ないんだという議論に対して相当異論が中環審の議事録を読んでも出ています。経産省は相変わらず、お伺いをすると、日本は省エネ大国ですと、アメリカに比べて二倍とか三倍とかの省エネ比率ですという議論が出てくるわけですね。ところが、いろんな業態を見ていくとそうではない部分もありますし、ましてや九五年の為替レートを常にキープをしていればこの議論が本当に成り立つのかと、根拠として、前提としてという議論があるんですね。
 このことについては環境省は今どういう認識をされているのか、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(小島敏郎君) あの中環審の御議論を、議事録をお読みいただいたということでございますが、この世界のGDP当たりの一次エネルギー消費というのを、その一定の年、この場合では一九九五年というその為替レートで固定をして比較をしていくというこの手法は、一つの国の経年変化を見る、つまりこの表でいくとアメリカの横の流れを見る、あるいは日本の横の流れを見ていくという場合の経済分析の手法としてはよく行われることだというふうに言われています。ただ、それじゃ縦に、何年のアメリカと日本あるいはEUと比較をするということについては、これは為替が固定されておりますのでその比較をするための表ではないと。この縦に見るということは、この表の作成された目的とは逸脱をするというふうに言われています。
 それでは、それぞれの年の為替水準によるということがその年の貿易の関係では適当なわけでありますが、そうすると、縦に見ていく場合にはその年々の為替レートを当てはめて計算をすると。為替はここにありますように毎年毎年変動しておりますのでこの為替レートを当てはめると、こういうことになります。
 ただ、もう一つ申し上げますと、そのGDPというものには国内で消費されるものがあります。ラーメンの値段が千円のところと百円のところがある。これは等価でありますから、同じラーメンを食べるということでありますので、それは等価として物事を考えると。いわゆるその購買力平価というものを基準にして考えると。
 ただ、その購買力平価を基準としてまた数字が出てくるわけでありますが、貿易財の場合には為替で動いていきますので、同じGDPといっても、貿易をするものについてはその年の為替水準を適用して物事を考えることが適当でしょうし、国内で消費されるそのラーメンの値段が幾らかというような物事が動いていくGDPについては購買力平価で考えていくことが適当だろうと思います。
 ただ、もう一つ更に議論があるのは、貿易財においても、例えば薬でありますとかそういう非常に付加価値の高いものが移動していく、これはつくるときにそんなにたくさんのCO2が出ない。あるいは、自動車とかいうものと鉄鋼の素材というように大きなCO2が出るものがあります。これは、産業の構造がその国によって違ってくるので、直ちにその貿易財についてのGDPの比較をしてどちらの国が優れているというようなことにはなっていかないというようなことで、産構審でもそうですけれども、結局は生産量当たりのCO2の排出量というものが各国の比較においては最も適切ではないかという一つの考え方に至っていると思います。産構審の資料でもそういう観点から、業態も勘案をしながらそういう比較表を作っておられます。
 そういう意味で、今お話がありましたGDP当たりのエネルギー消費量あるいはCO2排出量というのは、そのいろんな事柄に応じて適切に説明をしていかないと、国民に対する正確な情報提供にはならないというふうに思っております。
○福山哲郎君 為替や購買力平価の表は追加をさせていただいた表なので、後で御説明しますが。
 経産省は、先ほどの議論、いわゆる為替が九五年のところで行って、それから日本がアメリカやヨーロッパに比べて省エネが非常に進んでいるという、元々のかねてからある議論とこの数字の取り方については経産省はどのように今判断されているんでしょうか。
○政府参考人(深野弘行君) その国のエネルギー効率をどう比較するかということでございますけれども、私ども、基本的にはやはり個別製品ごとにその生産量、物量単位当たりのエネルギー消費量というものを比較することが最も実態に近いものではないかというふうに考えております。
 それでも、つくる品種によりまして、例えば、同じ半導体とか同じ鉄でも例えば加工度が違うとか、そういったことによりまして一定の違いが出てくるわけでございまして、これとてもそれなりに限界はあるわけでございますが、そういう物量単位のものが一番実態に近いんじゃないかということでございまして、一例を申し上げますと、例えば鉄鋼を例に取りますと、日本を一〇〇といたしますと、EUが一一〇、アメリカが一二〇、中国が一三〇から一五〇ということでございまして、これは一貫製鉄所についての最近の産業、業界の方の調査でございますけれども、そういうことになっております。
 しかしながら、まだ、こういったデータがまだ十分整備されていないというのが現実でございますので、こういったものにつきましてできるだけ整備を図っていきたいと、そのように考えております。
 それから、為替レートの問題でございますけれども、為替レートの取り方によって結果が違ってくるわけでございますが、これを経済全体で比較するということについては、産業構造の違いとかまたそのほかの要因もいろいろございますのでなかなか難しいところがございますけれども、仮に例えば産業部門全体で比較をするということになりますと金額換算でやらざるを得ないわけでございまして、そういう場合にどういう為替レートを取るかということでございますが、貿易財が中心になっている分野につきましては、今、小島局長からも御答弁がありましたように、やはり国際的な価格あるいは現実の為替レートというものをベースにして事業活動が行われておりますので、そういったものを取るということについて合理性があるんじゃないかというふうに考えております。
○福山哲郎君 今、個別生産量当たりに出すのが適当だとおっしゃいましたし、一概に全部言えるわけではないということも言っていただいたと思っていますので、私はそれでいいんですが、これ例えば、先ほどから何度も言っている資源エネ庁のやつでいうとGDP当たりエネルギー消費の各国比較というのがありまして、これ、日本が一に対してアメリカ二・七三、イギリス二・〇五といって、いまだに二・七三だという議論になっているわけですよ。要は、日本は二倍以上、三倍近くアメリカよりも省エネは比率は高いという表になっているわけです。
 ところが、お手元にお配りした、もう行ったり来たりで恐縮なんですが、一枚目の裏っ側の資料を見ると、先ほど正に経産省さんが言われましたように、鉄鋼部門は、実はイギリス、ドイツ、アメリカでいうと、実はエネルギー消費量原単位は余りエネルギー効率が日本が高いとは言えない状況になっていますね。確かに、その下見ていただきますと、紙・パルプに関しては日本はエネルギー効率は高いというふうに見えますが、しかし、少なくともこの表で見る限りは、この五年間アメリカやイギリスやドイツに近づかれることはあっても離している状況ではないんですね。
 つまり、九五年の為替でいつまでも二・何倍だみたいな大ざっぱな議論をいろんなところでするのは、僕はある種国民をミスリードするようになるというふうに思っていまして、その点について改善の余地というのは、経産省さんはどうなんでしょう、あるんでしょうか。
○政府参考人(深野弘行君) 今も申し上げましたように、まだ産業部門別の国際比較のデータというのは十分に整備され尽くしていないということでございまして、そういったデータをできるだけ集めて適切な比較ができるように私どもも努力をしていきたいと考えております。
 それから、今の鉄鋼の点について申し上げますと、確かに御指摘のようなデータもあるわけでございますが、一方で生産プロセスでの省エネルギー設備の普及状況なんかを比較いたしますと、日本は相当にヨーロッパやアメリカに比べて進んでおりまして、これは鉄鋼といったときにどの範囲を鉄鋼業としてとらえるのか、例えばその鉄鋼の企業が運営している火力発電所とか、そういうものまで含んでいるのか含んでいないのかとか、そういった点についても整理が必要だと思っておりまして、そういうことも含めて国際的なデータの整備というのが必要ではないかというふうに考えております。
 それから、GDPの御指摘につきまして、確かに産業構造の違いとかいろんな要素がございますので、なかなか難しいところはございます。その辺も子細に見ていく必要があると思っておりますが、一方で日本が比較的少ないエネルギーで多くのGDPを稼ぎ出しているということは一つのポイントとして言えるんではないかというふうに考えております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 それで、実は二枚追加で、理事の先生方に御理解をいただいて配らせていただいたペーパーが、先ほど小島局長が言われた、為替の水準によって実はGDP当たりのエネルギーの消費量を業態別に表している表と、右側が購買力平価の基準で表している表でございますが、実は為替の水準でいっても、実は製造業は二〇〇〇年を見ていただきますと、下のグラフなんですが、実は随分日本は各国に比べると追い付かれている状況でございます。
 日本は貿易財が多いですから、為替で見ることも重要だと思いますが、先ほど小島局長言われたように、購買力平価で見るという指標も出てくるわけですが、右側の購買力平価を見ますと、何と二〇〇〇年は、日本の部門別エネルギー消費量、製造業のところでいくと、もう実はアメリカ、ドイツ、イギリスと互角どころかひょっとすると負けているような状況もあります。
 これは為替か購買力平価かという指標の取り方によって数字が違うので、私は一概には言えないんですが、しかしこういう数字が出てきているという実態を踏まえたら、実は産業界のいわゆるよく聞く絞り切ったぞうきんと、乾いたぞうきんという話はもうそろそろ卒業してもいいのではないかと。逆に、これからやっぱり企業、産業界にも頑張っていただかなければいけないし、自主行動計画で頑張っていただいているのも分かるわけですけれども、そこは絞り切ったぞうきんの議論をちょっと超えたところで、経産省も資源エネ庁も、それから環境省も、どの尺度で、どの基準で実際の省エネ、日本がどのぐらい力があるのかとか、それから先ほど申し上げた民生とか業務とかの区分分けも含めて共通の尺度でこれから議論していかないと、それぞれの省庁が自分らの、何というか、都合のいい数字だけを持ってきて、ここは厳しい、ここはいける、ここは厳しいみたいな議論をしていると、なかなか私はこの温暖化対策は進まないのではないかと思っておりまして、この件についてはどなたに聞きましょうかね、大臣はいかがでしょうか。
○政府参考人(小島敏郎君) それぞれの分野を評価をするのにどのような指標がいいかと、今GDP当たりのエネルギー消費ということで御議論がありましたけれども、経済産業省ともこの一年の間の評価、見直しの過程を通じまして基本的な認識は一致をしているというふうに思っておりますので、今御指摘のように、それぞれの分野に適した、全体は条約事務局に出さなければいけないインベントリーがございますので、それはそれで整理をして出させていただきたいとは思いますけれども、国内の対策を進める上で、それぞれの分野に対して最も適切な指標というものを整理をしてお示しをしていくと、これをそれぞれの役所ばらばらではなくて、政府として調整をしながら一つのものとして提案をしていくということが必要だと思いますので、そういう努力をしていきたいと思っております。
○福山哲郎君 経産省さん、お伺いしたいんですが、先ほど私が申し上げた例えば為替水準や購買力平価によれば、GDP当たりの部門別のエネルギー消費量は状況によっては日本はそんなにトップを断トツで走っているような状況ではないと。先ほど経産省さんも言われたように、鉄鋼等では頑張っているところがあると、これは私も認めています。努力をしているところは認めていますが、全体として、一概に全部をまとめて、日本はエネルギー効率が良くて二・何倍だ、アメリカの二・七倍だみたいな議論は少し乱暴で、もう少しきちっと議論していかなければいけないということは、経産省さん、お認めはいただけますでしょうか。
○政府参考人(深野弘行君) 御指摘のように、対策がどのぐらいあとできるのかとか、どういう効果を上げたのかといったことにつきまして、やはり対策ごとにつぶさに見ていくことが必要であるというふうに考えております。今回の目標達成計画も基本的にはそういう考え方で構成をされているというふうに考えておりまして、それぞれの対策ごとに要因を分析してできるだけ定量的に評価を行っていくと、そういったことを今後やることになっておりますので、そういった中でできるだけ定量的に客観的に評価ができるように私ども努力していきたいと考えております。
○福山哲郎君 ごめんなさい、答えていただいていないので、もう一回お伺いします。
 その日本が圧倒的に省エネ大国だとか、日本がそこはもう乾いたぞうきんで水が出ないというようなことに関して言えば、少しそこはきちっと実態を踏まえて、それぞれの産業別とか部門別とかで議論していかなければいけないということはお認めをいただけますでしょうか。
○政府参考人(深野弘行君) それは御指摘のとおりだと思っておりまして、やはり産業部門、私どもは、個別の例えば鉄鋼にしても紙にしてもセメントにしても、そういうエネルギー多消費分野ではかなり進んでいると思っておりますが、そういった分野につきましても更なる削減努力も、努力の余地もあるんではないかというふうに考えておりまして、そういった余地を私どもとしても追求していきたいと、追求していくべきだというふうに考えております。
○福山哲郎君 資源エネ庁さんも同様でよろしいですか。
○政府参考人(岩井良行君) お答え申し上げます。
 基本的に同じ認識でございまして、今回の国会に省エネルギー法の改正を提案させていただいておりますけれども、その中でも、工場の分野でありますとか、先ほど御指摘がございました業務用のビルあるいは本社ビルといったようなものにつきましても、規制の在り方を見直しをすることによりまして実質的な規制の強化を図るという内容の法案を御提案させていただいているところでございます。このような観点から、引き続きエネルギーの企業分野あるいは産業分野においても更に一層の努力をしていただきたいという考え方で省エネルギー法の提案をさせていただいたところでございます。
○福山哲郎君 きっちりとした答弁をいただきまして、大変ありがとうございます。
 私は、経済活動に支障を来すようなむちゃくちゃな規制をしろとか、そういう議論をしているわけではありません。ただ、実態をちゃんと把握して共通の認識の中で議論していただかないと始まらないということを申し上げているので、今日は環境省さん、それから経産省さん、資源エネ庁さんがそれぞれ指標等についても対策を共有したいということを言っていただいたということは非常に第一歩だと思っておりまして、いわゆる民生部門が増え続けているとか、乾いたぞうきんで何も出てこないとか、あの議論は、僕はもう正直言って、本当に実態に即しているのかなという思いでずっといたもので、今日は非常に私自身は、これからの建設的な温暖化対策に向けてすごい有り難いことだなと思っておりますが。
 大臣、もう一度確認だけ、今の議論聞いていただいて、どうか環境省が中心になって共通の指標で二年間、二〇〇七年の見直しまで議論ができるようにお取り計らいいただきたいんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(小池百合子君) 大きな目的として、まあもちろん長期のもございますけれども、やはり京都議定書をどうやってクリアしていき、そしてまたそれを更にその後につなげていくかというのは我が国にとりましても大きな課題でございます。
 そのためにも、実態をより的確に知る、そしてそれを踏まえた上で的確な対応を行っていくということが必要でございますので、今日御議論いただきましたこと、各省庁しっかりと連携を取りながら進めてまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 それじゃ、ちょっと法案の中身についてお話をさせていただきます。
 いわゆる今回の温室効果ガスの算定・報告・公表制度は僕は評価できるものだというふうに思っておりますが、まあ現実問題としてはこの法律にはこの制度しか盛り込めなかったので、ほかにいろんなことをやっていっていただきたいと思っていますから残念だったんですが、これもう一度確認します。
 制度の仕組みとしては、企業としてはトータルのCO2換算分しか出ませんと。まあ企業、事業者として出てくるわけですが、それは当然、個別のサイトごととかガスごとで数字が出てきて合算されるわけですが、元々主管省庁である経済産業省は、事業所としてはトータルで出すけれども現実に経産省の中ではサイトごと、それからガスごとで資料は持っていただけるんですよね。
○政府参考人(深野弘行君) 御指摘のとおりでございまして、当省としては事業者から事業所ごと、ガスごとの、これは当省所管の業種でございますけれども、当省所管部分についてはそういう形で報告を受けることになります。
○福山哲郎君 これ、環境省は経産省に事業所ごと、サイトごと、事業所ごとというかサイトごとで知りたいと、環境省が例えば経産省にこれからの対策を講じたいのでと言った場合には、環境省は見れるんでしょうか。
○政府参考人(小島敏郎君) この制度は、基本的に事業所ごと、ガスごとということで算定・報告をいただきます。
 主務大臣を経由していきますし、エネルギー起源のCO2については省エネ法のプロセスに乗っていくと。そういう意味では、省エネ法もそれぞれ事業所管大臣がございますので、そういう事業所管大臣を通じてそのデータが上がってくるということでございます。経済産業大臣と環境大臣、共管でございますけれども、そのデータは両大臣に上がってまいります。したがいまして、事業ごとのデータ、ガスごとのデータも、環境大臣、経済産業大臣が持っているわけであります。
 ただし、秘密に属する部分はこれはPRTRと同じように主務大臣が判断をいたしますけれども、その点の問題はありますけれども、事柄はありますが、それ以外のデータについてはすべて把握をしているということでございます。
 御指摘ありましたように、公表については、この法律の趣旨が、排出量情報の公表について一般国民、事業者の自主的な取組に向けたインセンティブ、機運を高めると、こういうことでございますので、その範囲内におきましての企業単位で名寄せをした形で企業については公表をしたいと思っております。
 別途、個別事業所のデータに関心があってそれを必要とするという方々に対しては、請求に応じて、開示請求が行われ開示がなされればそのニーズは満たされるということで開示に対応するという仕組みにしております。
○福山哲郎君 そうすると、そこからは行政情報公開法の適用を受けるということですね。
 それで、実は参考人の間でも議論があったんですけれども、これ企業秘密で主務大臣に、特に経産大臣になるんでしょうが、事業者がうちは企業秘密が掛かるからこれは出せませんと、例えば、という条項がこれ二十一条の三項にあるわけですが、これはどういう要件ならばそれが認められるのか、経産省、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(深野弘行君) 今回、法案に盛り込まれております規定は、基本的に行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づきます不開示、開示の判断と同じ考え方の条文が入っております。
 これにつきまして、情報公開法の私どもの運用、これ審査基準というのを出しております、公表しておりますけれども、その中で、法人あるいは個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものということでございまして、例えば、製造過程、製造方法あるいは生産管理のプロセスに関する情報を公にすることになってしまってその情報が競争相手に知られる蓋然性が高いと、あるいはその原燃料構成、そういったその製品や生産技術に関する情報でこれが競争相手に知られる蓋然性が高いなど、正当な利益を害するおそれがある情報については一件一件事情を十分しんしゃくしながら判断することになりますけれども、そういったものについて情報保護を行うと、そういうことでございます。
○福山哲郎君 それは理屈としては分かるんですけれども、省エネ法の中でも、例えば、ある業界の中ではある一社だけ例えば非開示であったとか、ある業界でもある一社だけが非開示だったとかという話になって、それは恐らく、その一社が主務大臣との話合いで、これは非開示でいいですねという了解を得たと思うんですが、例えば、同じ業界の中で、あるところは出すけれどもあるところは出さないと。それが非常に恣意的になると、法律の運用として、この法律の目的には大分反してくるのではないかと思っておりまして、その部分の企業秘密はどういう要件に当たるかというのは相当きっちりルール化をしないといけないのではないかと思っているんですが、その点は環境省はどうお考えでしょうか。
○政府参考人(小島敏郎君) この法律におきます秘密の要件というのは、行政情報の一般法と同じでございます。行政手続法におきまして、その審査基準というのはあらかじめ明らかにする、できるだけ具体的に明らかにすると、こういうことになっております。
 多くの事業所管大臣がおられますけれども、環境大臣もそのうちの一人でございまして、この法律におきます、行政情報公開法と同じでございますが、非開示情報についての解釈基準というものは一つの各大臣共通のものでないと、それぞれが区々になってはいけないと思っておりますので、共通のものを作成してまいりたいと思っております。
 その基準に従って、公表すべき情報の範囲が、おっしゃるように、恣意的に緩くなったり厳しくなったりしないと、公平な扱いをするということも一つ重要なことでございますので、統一的な基準に基づいて運用をしてまいりたいと思っております。
 その際に、情報公開に関する判例あるいはPRTR法の、要件は違いますけれども、秘密情報の審査基準というのも一つの参考にございますので、そういうものを参考にしながら具体的に作成していきたいと思っております。
○福山哲郎君 もうこれで終わりますが、経産省さんも今の答弁でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(深野弘行君) 同様の考え方でおります。
○福山哲郎君 終わります。ありがとうございました。

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第162国会  参議院  環境委員会  2005年6月7日

地球温暖化対策推進法改正案参考人質疑


○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。
 本日は、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。座らせていただきます。よろしくお願いいたします。
 先生方のお話を伺っておりまして、ある種共通をしていたことがあると思います。浅野先生は、国内の意思形成を急ぐべきだと、国際交渉の場で受け身の立場にならないようにと。浅岡参考人は、シグナルを送るべきだという、国民に対してというお話をされました。また早川参考人は、長期的な展望をというような話、長期的な目標へという話がありました。
 今年、京都議定書が発効して、サミットがあり、そして冬にはCOPMOP1が始まります。実はそのときには、アメリカ、EU、中国、インド、途上国、諸島連合、いろんなところで激烈な、先行き、COPMOP1以降どうするのかという議論と、今の第一約束期間達成、どのぐらい先進国はするんだというような国益のぶつかり合いの状況がこれから起こるわけですが、その重要な国内の意思形成に対して、浅野参考人、浅岡参考人、早川参考人は、日本はどのような意思を持って国際交渉に臨むべきだと思われているか、この点について一点。
 それから、浅野参考人は中環審の部会長でいらっしゃいますから言いにくいとは思いますが、本当にこれで第一約束期間、六%達成できると浅野参考人はお考えかどうか、その二点について。
 まずお三方、お答えをいただきたいというふうに思います。
○委員長(郡司彰君) それでは、ちょっと浅野参考人は二つございますから、こちらから。早川参考人。
○参考人(早川光俊君) 私は国際交渉を十年間付き合ってきたんですけれども、やはり日本がきちっと自分の意思を示すということが余りなかったと思っています。やはり日本は、温暖化対策をきちっと進めるんだという意思をきちっと踏まえて、そしてまず国際交渉に臨んでほしい。
 日本は一九九〇年に地球温暖化防止行動計画を作って、そのときは非常に評価されたわけでありますけれども、それがうやむやになってしまう過程でやはりきちっとした交渉ができなくなってしまった。私は、自分が削減しないで人に削減しよう、削減する計画を立てようといったってなかなか無理があるので、まず国内対策できちっと削減する方策を立てるのが一つ。先ほど申しましたけれども、やはり長期的に目標を持って日本は削減していくんだという政治的な意思をきちっと示すことだというふうに思っています。その二つを踏まえれば、浅野先生が言われたような国際交渉で後れを取るようなことはなくなるだろうと思っています。
 以上です。
○参考人(浅岡美恵君) こうした将来枠組みの交渉におきまして日本のポジションがどこにあるのかということは今大変重要になっていると思います。その重要性が、米国の離脱宣言以降、今後もなかなか変わらないであろうという見通しの中でその重要性が高まっていると思います。
 EUはいろいろな努力をしておりますし、途上国もそれなりにそれぞれが必要だと。非常に被害も直面するような状況にあるという中で理解の基盤はあるわけでありますけれども、この発効要件、議定書の発効要件に、日本又はカナダとEU、ロシアが批准することが発効の要件でありましたように、日本、カナダという国がやはり温暖化のために、脱温暖化へのために持続的、継続的、将来とも京都議定書の基本枠組みを先進国を中心として取っていきつつ、全体の温暖化政策を途上国等についても進めるという姿勢が示されることは国際的な市場に対する大変大きなシグナルになります。
 そのことによって、日本の主たる企業は国際市場の中で動いているわけですし、国内の競争もそうですが、企業の取り組むべき方針というものが、せっかく動き出しています企業の取組がとんざすることなくというか、様子見になることなく、更にしっかりした取組に進んでいくことによって、将来的な国際経済における日本の企業のといいましょうか、日本の経済の将来発展というものもまた得られてくるわけでありますし、そうしたことに併せて国際交渉の中に非常に重要な役割を占めることができると思います。
 ただ、現在の、先ほど早川参考人からお話もありましたように、経済産業省あるいは一部の産業界の皆様から京都議定書の第二約束期間がもうないかのごとく、あるいは非常に、枠組み期間、タイムスパンとか目標の設定も絶対量ではなく、指数化、指標化されたようなものになり、連続性がないかのごとくアナウンスされる面があるわけですね。こうしますと、企業は今せっかく例えばCDMなどをやろうとしていましても、それがどうなるのか分からない、やめようというようなことにもなります。国内での削減もまあ適当でいいかとなるわけですね。この違いは大変、第一約束期間の目標達成にも悪影響を及ぼすと、あらゆる点で悪影響を及ぼすという意味で、早く日本の長期的な目標をしっかりと定めていただきたいと思っています。
○参考人(浅野直人君) お二方の御意見に重ねるような形になりますが、まず御質問は、国内でこれからどうやって論議をまとめていくべきかということだと理解をいたしまして、その点について、やや抽象的で書生っぽい議論だという、自分でも思うんですが、申し上げたいのは、やはり長期的に考えなきゃいけない、地球温暖化の問題というのは大変長いスパンで考えなきゃいけない問題であるわけです。そのことをまずしっかり踏まえた上で、さらに、やっぱり短期的に我が国の国益が重大に損じるようなことはまずいということがあるわけです。この辺りのところが、恐らく中央環境審議会的発想は長期的な視野でいきますし、産業構造審議会的な発想は比較的短期間のところで何とかしなきゃいけないと考えているわけですから、双方決して矛盾をしているわけじゃないのに、マスコミの皆さんはお互いにけんかしているような言い方ばっかりされるわけですね。そうではない、両方足し合わせたところに実はちゃんと正解があるはずだろうと思うわけです。
 つまり、地球益というようなことを仮に言葉に出したとしても、将来的にはそれが完全に国益になるという認識がやや欠けている発言と、それから、ともすれば地球益の方に走り過ぎてしまって、議論して、当面の取りあえずのシナリオのところにはやや目が行き届かないという議論が続いている限りなかなか国内の考え方はまとまっていかない。これは、だからお互いにちゃんとそこは分かって悟ってしまえば、十分にどうすればいいんだという議論はできるはずなんですが、これは恐らくいや応なしにこれからやらざるを得ませんし、できるだろうと思っています。現に、ほかの分野では審議会が合同会議を開いて実質的な議論ができるという雰囲気ができていますから、この問題も必ずそういうふうになっていくだろうと期待をしております。ちょっと抽象的で申し訳ございませんでした。
 それから、六%が達成できるかという御質問でございますけれども、私は今度の目標達成計画に関しては、やはり森林のところと、それから京都メカニズムに頼っているということをはっきり国民あるいはまあ産業界、すべての方々がどこまで認識できるかが勝負だと思っています。
 つまり、絶対にそれ以外のところは確実に達成できない限りひどいことになるよということがもし分かって、言われていることを精一杯やっても、なお森林と京メカで埋めなきゃ六%にはなりませんということが十分に徹底して、そこが十分にできればあとは、京メカに関してはなお努力が要りますし、森林についても努力が要りますが、これは国際交渉事もあるわけで、どこまでをシンク等の中で評価してもらえるかというのは、まだまだ我が国は腰だめみたいなところがあるわけですね。そこは、やれることだけ全部やっておいて交渉するということをやれば可能だと思います。しかし、森林吸収源と京メカ以外のところが全く駄目だという状態が出てしまいますとこれはお手上げでありますので、私は達成できるかと言われたら、それはともかく今言ったところ以外が達成できれば達成できる。この部分は、少なくともこれまでの努力に更に重ねるということを忘れちゃいけないんですよ。
 あれを見ると、大綱でやったことはそのまま実施した上で更にこれだけと言っているんですが、もう忘れっぽいものですから、前のことを忘れてこれだけやりゃいいと思ってしまうと、結局、前の大綱文のところが穴空き部分ができますから困ってしまいます。ここは要は、関係各省、それから特に本部がしっかり国民各層にその辺の数字の意味をPRしていただいて、それが理解が徹底すれば達成できると思っています。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 実は今回の法案、私は企業の公表・報告制度は評価をさせていただいています。しかし、実は、目標達成計画にもありますように、環境税の問題や排出権取引の問題、省エネの更なる普及の問題やサマータイム、それから再生エネルギーの普及と、メニューはたくさんあるわけですが、それをどう担保するかということは今回の法案になくて、どちらかというとこの企業の公表・報告制度にある種特化をしてしまったと。私は、メニューとしては実は非常に物足りなく感じている者の一人でございます。
 そこで、ちょっと山口参考人にお伺いをしたいと思います。
 私は経団連が自主行動計画で頑張っていただいているのは理解をしているつもりでございますが、先ほど言われました省エネの推進の話、一体どうしたら省エネ推進ができるのか、私はもっと実はインセンティブを与えるべきだと思うんです。プリウスが普及したように、国がある種、省エネ技術を使った住宅や、さらにはビルやいろんなものを造れば、これだけの、例えば補助金制度がいいかどうかは別にして、もっとインセンティブをつくるべきですが、実は普及、普及と何か威勢はいいんですが、実態としては、そこはコストが高くなると、消費者、そこ、マーケットできないわけですよね。
 ですから、山口参考人、先ほどやっぱり普及するべきだとおっしゃいましたが、そこをどう考えられているかということと、それから、今回、公表・報告制度が一つ第一歩になった流れの中で、排出権取引の問題です。
 やっぱり企業が、大手の百社辺りがやっぱりCO2の排出量、温室効果ガスの排出量が大きいというこれは実態です。いいとか悪いとかの問題ではありません。実態の中で、排出量取引の導入について企業としてどのようなスタンスで臨まれるのか。そこの二点について、山口参考人、お答えいただけますでしょうか。
○参考人(山口耕二君) まず、二番目の国内におけるということを前提にちょっとお話しさせてもらいたいんですけれども、国内における排出量取引制度、これは自主的な参加ということで環境省さんがおやりでございますけれども、これにつきましては、やはり対費用効果を考えながら、企業や行政の削減努力を促し、また地球規模的に温暖ガスを削減させるという方法でございますので、経済的手法と自主的な手法がうまく融合した一つの方法ではないかなと。したがって、総合的に検討することは必要だとは思っております。
 しかし、具体的に国内で排出量取引をする場合には、例えばそのベースとなる基準量をどうやって決めるんだとかですね、さらにCO2にどうやって値段を付けるんだとか、国際的にはマーケットができております。国内においてはそこら辺をまず検討する必要があるのかなと。
 具体的には、基準値の設定につきましては、これまでさんざん努力してきた人はもうかなり限界点に近いような省エネ努力をされているわけですね。そこを基準年にする場合と、今までほとんど、言葉は悪うございますけれども余りやってないところに対してその基準年を設けるのと、そういう不公平感も出てまいりますし、やはり基本はやっぱり自主的な努力を認める中で公平感が保てるのかどうか、そういう検討も必要だと思っております。
 それから、そういう二つの方法につきましては、基本的には国際的なリンケージがないとまずいもので、京都メカニズムの理事会等のルールもうまく活用すべきなのかなと。そもそも排出権取引の目的はエネルギーの使用量を減らすことが目的でございますので、制度としても長く続かないと、かつ継続的な効果ができないと、花火のようにぽっと一回やって終わりとか二年間で終わりとか、そういうものでもまずいわけでございます。
 どちらにいたしましても、経理の処理方法等々もいろいろと総合的に検討を進めていく必要はあると思っております。
 ただ、漏れ聞くところによりますと、将来的に国内のキャップ・アンド・トレード、要するにエネルギーの使用に枠を掛けよと、そういうものにつながるような声も聞こえておりますので、これは正に我々の自由経済を国の制度として制約掛かるということでございますので、これは十分に留意していただきたいなと思っております。
 それから、最初の質問の普及策でございますけれども、非常に難しいわけではございますけれども、まずは、まだまだ我々の情報の提供の仕方がまだ分かりにくいのかなと。先ほど早川参考人の方から京都市の例でトリプルA、AAとかありましたけれども、ただ、あれができるのは実は電気製品でも冷蔵庫とエアコンしかできないんです。ほかのものはああいう方式だと評価ができないんですね。というのは、機能が別のところにございますから。そういうことで、もっともっと普及促進させるために、まず我々産業界、企業としては分かりやすい情報をあらゆる手段を使って消費者の方にお伝えするということをやる必要があると思います。
 それから、インセンティブにつきましては、これも継続性の問題ございまして、例えば電気製品ですと大体平均買換え年数が十年以上なんですね。すると、そこにどうやってそのインセンティブを付けるのかなと。また、逆に所得の高い人だけにインセンティブ働いても困りまして、そういう意味では、インセンティブの在り方はもうまだ我々も解がなくて困っておるんですけれども、何かそういうことを議論する国民的な議論の場があるといいなと。
 と申しますのは、我々とお客様というのは非常に言いにくいことも中にはございますし、我々にとってみればお客様は神様でございますし、消費者にとってみれば、我々買っている人よと。そういう利害関係のある人たちではなくて、もっと広い立場で、普及をいかにすべきかということを大いに議論さしていただきたいと思いますし、そういう場があれば我々も積極的に参加していきたいと思っております。
 ただ、間違いなく、お手元のこのパンフレットの中にも、普及すれば必ず民生分野のCO2は削減できます。したがって、大いに知恵を絞って普及策を検討さしていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○福山哲郎君 今、山口参考人から、排出量取引についても検討に値するとおっしゃられたのは非常に心強いと思いますが、だからこそ、正におっしゃられたとおり、国際的にリンケージをしていくからこそ、早目にマーケットの主導を握る方が日本の企業としては僕はアドバンテージではないかと思っているわけです。
 そこは、様子を見ていれば、実はヨーロッパで、EUでは御案内のようにマーケットができつつあると。それから、アメリカもシカゴを中心にできつつあると。そこが動いているからこそ、日本の企業もアドバンテージを取るために前に進むことも重要ではないかなというふうにある意味思っておりまして、そこは御検討を更にいただければ有り難いと思います。
 それで、ちょっと細かい話になります。
 先ほど実はこの法律、それぞれの参考人の皆さんは評価をされました。私も評価をしているんですが、二つに分かれたのは、例の公表の在り方の問題でございます。
 二十一条の三項による、その正当な利益が害されるおそれがあるとする場合には公表をある種抑えるみたいな話なんですが、ここは先ほど山口参考人が韓国との半導体の競争の話をされました。
 浅野参考人、例えばそこの要件は一体どうなんでしょうか。要は、これが恣意的に行われるのは私、非常に良くないと思っているんです。
 つまり、ある一定のルールがあって、これは企業機密に値するよというものがあればいいんですが、これ残念ながら経産省と企業との間で決められるわけですね。出されて、そこで決められた時点で、我々としては見たくても、いやそこは経産省とその企業が決めましたよと言ったら、もう我々は入れなくなるわけです。
 しかし、そこの一体どこが企業機密で利益が侵されるのかどうかというところが見えないと、恣意的にこの企業は出さないけれどもこの企業は出したと、そしたらある種出さないという、フリーライドするところがたくさん増えるようなことになると、実はこのせっかくいいと言われている仕組みが、良さが担保できなくなるわけですね。
 そのことについて、例えば、浅野参考人と浅岡参考人と山口参考人、どうお考えなのか。ちょっと、短くていいです、もう終わりなので短く一言ずつお答えいただければと思います。
○参考人(浅野直人君) これは当然、余り広く広げられることは適当ではないというのはおっしゃるとおりだと思います。
 例えば、既に環境報告書で特定の企業が出しているというような場合、同一業種が同じような情報がなぜここで言う権利利益に該当するかということはほとんど説得力がないと思われます。
 ですから、そういったような、過去にある事例の積み重ねのようなものの中から既にガイドラインができつつあると思いますので、それを十分に考えるべきだと思いますし、恐らく産構審、中環審などでもこれについてはしっかりガイドラインの議論やるべきだろうと私は考えております。
○参考人(浅岡美恵君) 法律的には余り判例はありませんが、平成六年の東京地裁の判例によりますと、こうした保護される秘密は、当該情報が事業活動上の機密事項や生産技術上の秘密に属する内容であって、その有している競争上の地位が当該情報の開示によって具体的に侵害されることが客観的に明白な場合に限られると解釈をされております。その立証責任は事業者側にあるわけです。それを逆転するように読めなくもない条項が二十一条の八号でありますので、これはもう少し詰めていただく必要がある、そのようにされないことが必要だと思います。
 代替フロンにつきましても、例えば、私の聞きますところでは、ある除去装置を付けますと九〇%ほど除去が可能であると。付けている事業所と付けていない事業所が個別事業所単位で報告されると明確に出てくると、こういう面もあるわけです。
 そういう意味で、この点につきましては運用をどのようにされるのか、今後の審議の中でも先生方によろしく詰めていただきたいと思います。
○参考人(山口耕二君) 私が先ほど半導体と液晶の事例を出したんですけれども、やはりこれは物によって全然違うと思います。したがって、やはり我々としては、機密があるとするならば、ちゃんと社外に対して説明責任を果たせるようなルールを外部に公表するということだと認識しております。
 したがって、ただ半導体とか液晶がなぜ機密かということは、やはりその事業の中身、競争の状況、国際競争の状況を知っている方でないとなかなか分かりにくいと。そういう意味では、私は、事業所管大臣とルール作りをするということは私は正しいと思っております。ただ、それを公表さえすれば、外の目に触れるようにしておけば、何ら我々やましいところはないと思っております。
 それから、環境報告書でほとんどのメーカーが出しております。ただ出すにも随分と機密が漏れないような状況で出しておりますので、そこら辺の我々の努力、機密は漏らさないけれども情報は公開すると、そこら辺の努力を見ていただければ、確かに機密なんだなということが御理解いただけるのかなと、このように思っております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。

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第162国会  参議院  環境委員会  2005年5月19日

地球温暖化対策推進法改正案質疑


○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。
 島田委員に引き続きまして質問をさせていただきたいと思います。今日はあんまり時間がありませんので、ちょっと大きな話を幾つか大臣に御見解をお伺いできればなと思います。
 京都議定書に関しては私も大変思い入れがありまして、九七年のCOP3が京都だったこともありまして、その次の年に参議院に当選をさせていただいて、ずっと環境委員会でこの問題を追っ掛けてまいりました。
 京都議定書の中身は、とうとうCOP10まで行きましてかなり詳細に国際的な議論が積み上がってきておりまして、専門的な用語が多くなってきてだんだん私も付いてこれなくなっておりまして、難しいなと思いながらですが、さはさりながら、これからもウオッチングをしていきたいと思っておりますし、二月の十六日に京都議定書が発効したことは本当に喜びでございまして、歴代の環境大臣始め環境省のそれぞれの皆さんの努力に対しては心から敬意を表したいと思いますが、勝負はこれからだということで、ようやくスタートラインに立ったなというふうに思っておりますので、是非これからもお力添えを、御尽力をいただきたいとまずは申し上げたいというふうに思います。
 実は今年は、随分、京都議定書の発効に伴って国際的な動きが多く動きました。もう委員の方は御案内だと思いますが、一月に毎年行われておりますいわゆる世界経済フォーラム、ダボス会議でございますが、今年も一月の末に行われまして、ダボス会議で約七百人の出席者の中で、世界の指導者が選ぶ、優先順位トップ六を選ぶというアンケートが行われました。
 項目は、世界経済とか貿易とか中国とか大量破壊兵器とか中東、貧困、気候変動、十四の課題から六つの項目を選ぶというアンケートだったんですが、何と一位が貧困、二位が公平なグローバル化、三位に気候変動が入っておりまして、非常に会場にいた方々も驚いたというふうに私承っておりまして、世界経済は何と九番目、中国脅威論等は十三位ということで、ダボス会議に出たリーダーがみんな実は貧困と気候変動の議論が重要だと言われたと。
 その翌月に京都議定書が発効したことも時代の流れかなと思っておりますし、三月にはEUが、温暖化ガスについては二〇二〇年までに一五%から三〇%の目標をしなければいけないと。今、京都議定書の第一約束期間における目標なんというのは実際の温暖化の流れからいうと貢献が少ないと、もっと具体的に大幅に目標を上げなければいけないんだということを、EUが一五%から三〇%というふうに決めました。
 また、去年のCOP10で決まりましたいわゆる国際セミナー、二月に発効して、今年の年末にCOPMOP1が初めて開催されるわけですが、それに先立つ国際会議のセミナーを五月の十七日、つい最近までやられてこられて、環境省も審議官等がボンに行かれて議論をされてきたというふうに思っております。つまり、国際的な動きは非常に気候変動に向けて動いていると。
 そして、更に申し上げれば、いわゆるサミットでも、イギリスがホスト国でございますが、ブレア首相が昨年の九月に気候変動についての演説をし、そしてサミットでも貧困といわゆる温暖化、気候変動がテーマになると。EUはアメリカが京都議定書から離脱したことを含めて非常にこの気候変動について主導権を取ろうという動きが私は顕著だと思っておりまして、それは国益も関係しますから、すべてがすべてEUの言っていることが地球の温暖化について寄与するだけではなく、いろんな外交的な問題があるというふうに思っておりますが、オーストラリアとアメリカが京都議定書から離脱をしています。日本は批准をして一応中に入っているわけですが、アメリカ、オーストラリアの関係の中で非常に微妙なやじろべえの状況にあります。
 更に申し上げれば、日本は、先ほどからお話がありましたように、六%の約束ができるかどうか非常に微妙な状況で、御案内のように、八%現状は増加をしておりますから、プラス一四%を削減をしなければいけないという状況になると。
 これから国際会議で、サミットの場とかでアメリカを巻き込もうというのがEUの戦略だとしたときに、我が国がどういうスタンスを取っていくのか。サミットはもうすぐ目の前でございますし、十二月にはCOPMOP1があるという状況で、今大臣はどのような認識なのかと。
 六%の削減の約束をすることは、これはもう当たり前の話でございますが、EUのように次の第二約束期間、更に言えば、二〇三〇年、二〇五〇年に向けて、日本はもう少し大きな目標を掲げてある種の国際会議に出ていくような気構えが必要なのではないか。若しくは、アメリカとの関係も後でお伺いしますが、そういった点について、EUの動きも含めて大臣がどのような御認識なのか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(小池百合子君) 今この時点でボンでセミナーが開かれて、そしてその後、SBSTAが開かれているという、こういう現状でございます。今回も日本から、今環境省の方から竹本審議官が行っておりますけれども、議長役が外務省の方の小西前大使、そして日本政府代表として西村大使が日本の考え方をこのセミナー、今回のボンのセミナー、やはり注目されるセミナーでございますけれども、そこで日本のこれからの対応の指針といいましょうか、それを示させていただきました。
 それは何かというと、すべての国が参加するそういった枠組みが必要であるということ、これを訴えさせていただいているわけでございます。かといって、すべてが参加できても、それが結局、地球温暖化に対してどういう効果が出てくるのかがなければ意味がないわけでございますので、ここからが、ボンのこの今回のセミナーを経まして、これからまた七月にはG8、そしてまた十一月ではモントリオールでCOP11、それが初めてのMOP1ということにつながってくるわけでございます。
 そういった中で、国際会議において我が国といたしましては、今申し上げた今回のボンのセミナーで基本的な考えについて申し上げた、それにいろいろと肉付けも、今後外交的な場において、そういった基本方針を基に、今後の気候変動、そしてまた地球温暖化対策の中で我が国としての役割をしっかり果たしてまいりたいと考えております。
 ちなみに、言うまでもなく、我が国の六%削減という第一約束期間における我が国の義務ということをしっかり果たすということは、これはもう言うまでもないわけでございますし、またそのために今回この計画を出させていただいているわけでございます。
 また、EUの流れについては、今御質問の中にもございました。ちなみに、三月二十三日にEU首脳会議が開かれた際の文言ですけれども、いわゆる工業化前と比べて二度Cを超えるべきではないと。そのために、先進国は二〇二〇年までに温室効果ガスを一九九〇年比一五から三〇%削減することが検討されるべきという文言が盛り込まれているわけでございます。どこの国でも、どういう会議でも、結構このワーディングというのはもめるところでございまして、その意味では検討されるべきという言葉が付いているということでございます。
 まだこの長期目標については国際合意はないわけでございますけれども、私どもは、これは地球温暖化対策でこの長期目標ということは重要な検討課題の一つだと考えております。そのために、中環審の下に国際戦略専門委員会がございますが、ここで今長期的な観点からの気候変動対策についての御議論をしていただいておりまして、現在取りまとめ中ですけれども、第二次中間報告案をおまとめいただくという流れとなっております。ここで、温暖化による悪影響の顕在化の未然防止という観点から、将来にわたる温度上昇を工業化前を基準に二度C以内に抑えるとの考え方は長期目標検討の出発点となり得るとの見解が盛り込まれたところでございます。
 このように、国内においての温暖化防止対策の着実な実行、そしてまた、こういった長期目標もにらみながら日本として何をすべきかということを更に細かく砕いて、そして、それをまた実効あらしめるような方策についての肉付けを今後とも重ねてまいりたいと考えている次第でございます。
○福山哲郎君 御丁寧にお答えいただいてありがとうございます。
 じゃ、ちょっとだけ簡潔にお伺いします。
 日本は、じゃ今のスタンスと余り変わらないんだろうなというふうに思いますし、それでサミット行き、COPMOP1にも出ていくのかなというふうに今推察をしましたが、EUが、去年ロシアが批准をするに当たって、WTOの会議でも相当譲歩をしてロシアを京都議定書の枠組みに取り込んだと。今回、先ほどのダボス会議の話も申し上げましたし、EUの流れ、それからサミット。アメリカをどう国際的に、極端な話で言うと孤立をさせた形にするか、もっと言えば、別の枠組みでEU主導でアメリカを引き込むかというような動きだと思っているんですが、このEUの会議について大臣はどのような御認識なのか、お答えをいただけますでしょうか。
 僕は、決してEUの動きがいいとか悪いとかというふうに思っているんではありませんが、日本政府としてはどういう認識でEUの動きを受け止めているのかというのは外交上非常に重要なことですから、お聞かせをいただきたいと思っております。
○国務大臣(小池百合子君) EUの動きにつきましては、先ほどの合意文書にあるように、非常に長期的に考えている、また、当然のことながら戦略的でもあるわけでございます。
 方法は幾つかあろうかと思っております。目的は、地球温暖化をすべての国が参加する形でどうやって実行していくかということでございまして、アメリカを孤立させるということがプラスなのか、若しくはそれをどうやって今後の枠組みの中で取り込んでいくのかということの考え方ではないかと思っております。
 EUでも、例えばイギリスの態度は、今回のG8のサミットにおいて気候変動をあえてテーマの中の一つに入れているといったことは、その外交上もアメリカの取り込みということも当然念頭に入れているわけでございます。ただ、アメリカの方のそれに対しての対応というのは逆に、これは私の私見でございますが、EUが突っ走るとかえってアメリカは乗ってこないというような外交的な綱引きも、これは現実として行われているわけでございます。
 この辺はいろんな、例えばロシアを今回の批准に持っていくためのWTOという一つの目標ですね、ロシアにとっての目標との駆け引き、そういったことを考えてみますと、今後、アメリカをただ除外をするという作戦が本当の意味で効果的なのかどうかというのは大いに考えなければならない点かと思っております。
 我が国はやじろべえではございませんで、私は十分懸け橋になり得るのではないかということから、日米間のワークショップなども頻繁に開催もし、そしてまたメタン、今回も温室効果ガスの中での比率の分野の考え方を明確にしたわけでございますけれども、例えばアメリカが大変注目しているメタンの部分など、そういったところで合同的にこの技術革新ということに協力もともにしていくというようなこともあろうかと思います。
 外交というのは、本当に一本の筋だけではございませんで、幾つかの方法で実行をしていくということで、結果的にゴールに到達できるというものであると、このように考えているところでございます。
○福山哲郎君 私は、EUがアメリカを除外をしようと思っているとは申し上げていません。そういう可能性もあるし、逆に言うと、サミットという別の枠組みでアメリカを取り込もうとしていたときに、例えばサミットの場で日本がどういう形で対応するのかについてお伺いをしたかったわけです。
 それは外交上ですから、言えることと言えないことあると思いますが、先ほど大臣が言われたような、今までの既定の路線で六%は何とか守りたいと思いますよと、京都議定書の枠組みに日本は入っていますよと、COPMOP1以降はいろんな各国が入ってきてもらいたいですねというような、ある種の今までの延長線上の話でいいのですかと、国際社会は今年の冒頭から京都議定書発効を受けていろいろ動いているのではないですかということについてお答えをいただきたかったんで、なかなかお答えいただけないので、それは残念なんですが、副大臣、何か御意見あれば。
 副大臣、済みません。突然の御指名ですから、なければ結構です。何か御意見があれば副大臣、お答えいただければと。
○副大臣(高野博師君) 今大臣がおっしゃったように、私は、EUというのは非常に長期的に物を見て対応していくという、そういう考えを持っているので、今回の京都議定書を受けて、やっぱり日本はもう少し対EUに対して、あとアメリカもそうですが、もっと戦略をもう一回練り直す必要があるのではないかなという考えを個人的には持っております。
○福山哲郎君 副大臣、思い切ってお答えをいただきまして、ありがとうございました。
 小島局長、何か御意見があればいただけますか。
○政府参考人(小島敏郎君) 大臣、副大臣の指示を受けてやっていきたいと思っております。
○福山哲郎君 すばらしいお答えでございました。
 もう実は二分しか時間がなくなりました。また来週、いろいろ御質問をしたいと思いますが、多くの課題残っていますし、実際アメリカと、大臣がよく言われる、アメリカに積極的に働き掛けると言われておられますが、通常から、それについて一体日本はどのように働き掛けをこの半年例えばしてこられたかとか、中国との政策対話の問題で、中国は今鉄鉱石も含めて鉄鋼の生産量が多いわけですけれども、中国との対話を、政策対話を日本はどのようにやってきたかとか、少し長期的で、そして大きい面で、外務省も交えて、やっぱりこの問題は国内の達成ももちろん重要ですし、やらなければいけないんですが、少し大きな目で議論していかなきゃいけないなというふうに思っているので、是非、委員長にもお願いなんですが、法案の審議も重要でございますが、その法案にかかわる京都議定書でございますので、長時間の審議を是非理事の皆さんにもお願いをしまして、今日の私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(郡司彰君) 今の提案については理事会でよく協議をいたします。

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第162国会  参議院  環境委員会  2005年5月10日

廃棄物処理法改正案質疑


○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。
 阿部委員から大変厳しい本質的な質問が出まして、与党の先生方の意気込みを拝聴いたしまして、力強く感じているところでございます。我々も厳しくやりたいと思いますが、根が優しいもので、ゆっくりやりたいと思います。
 ちょっと事前の質問していないんですけれども、廃掃法の質疑は私も毎年のようにやっています。十五年、十六年、十七年と三回連続でやらせていただいておりまして、いつまでたっても余り本質的に変わらないなと思って残念に思っているところでございますが、小池大臣、不法投棄ってなぜ行われると思われますか。
○国務大臣(小池百合子君) 不法投棄は残念ながら増加しているというような指摘もございます。
 今お配りいただいたのはその表なんでしょうか。
○福山哲郎君 いや、関係ありません。
○国務大臣(小池百合子君) これは違う、はい。
 例えば、小さな規模の不法投棄であったとしても、それがそのまま見過ごされることによって、あ、ここには不法投棄してもいいんだなというような感覚から、そこがいつの間にか大きなごみの山になっていくというようなことがよくあるわけでございます。かつて、ジュリアーニ・ニューヨーク市長が破れ窓の理論というのをおっしゃいました。それによってドラスチックにニューヨークの安全が守られるようになった。これは正に不法投棄にも同じことが言えるわけで、ですからできるだけ初期の段階でその不法投棄を見付けて、そしてそこで取り除いていくということをしていくと人間の心理として捨てにくくなると。ある部分ではモラルというものに訴え掛けるということもありますけれども、しかしながら、やはり一度見逃していくと、そこはいつの間にかごみの山になって、それが不法投棄の大きな事例につながっていくというのが、これが繰り返されてきたというふうに思っております。
 そのためにも、不法投棄撲滅アクションプランということで、撲滅という言葉を使わせていただきました。昨年の六月に策定したものですけれども、まずはその柱の一つに、身近な散乱ごみの対策を強化しようというのは、正にその破れ窓理論から発想を得ているわけでございます。
 そのほか、この不法投棄に結び付くのは、よくリサイクル法で言う、いわゆる先ほどの御質問ではありませんけれども、有料化をしたことによって逆に不法投棄につながっているという残念な例もないことはないわけですけれども、そういった不法投棄をできるだけ小さいところからそれを正していくということによってそういったことも防いでいくことができると、このように思っております。
 ちりも積もればごみとなると、いえ、ごみとなるではなくて山となるという、正にその例ではないかと思っております。
○福山哲郎君 確かに、どこかに不法投棄があって、ここに捨てていいんだなといってそこに集まってくると。大臣がそこの本質を分かっていただいているんで少しほっとしたんですが、じゃ、なぜそうなるか。ちりも積もって少し不法投棄をされているものがなぜ撤去されないのかということが問題だと思っているんですね。
 私の地元に、実は京田辺市という市があります。ここは、何と市が把握しているだけで不法投棄されている箇所数が百十三か所、これ平成十六年で百十三か所です。そのうち頻繁に不法投棄される、先ほど大臣が言われた、あそこごみ捨ててあるからいいやといってどんどんどんどんみんなが頻繁に不法投棄をするようになっている場所が、百十三か所のうちの九か所あります。そして、更に大きくなると、産廃も含めて、いわゆる環境省が把握をされるであろう十トン以上の産廃の不法投棄箇所が実は三か所ございます。これ、わずか一つの市でこれだけのものがあるわけですね。それで、大住内山地内とか三山木芝山地内とか天王大尾地内とか本当に三か所大きな場所があって、産廃、建築廃材、それからいわゆる硫酸ピッチ等も捨てられていて、京都府が対応したわけですけれども。
 なぜこうなるかというと、まず最初にごみを捨てられているところの土地の所有者は、被害者意識があるんですよ。だって、自分の土地に物が捨てられるわけだから。撤去費用自己負担なんですよ。被害者意識があるのに、何でおれがこのごみ、だれかに捨てられたか分からないのにおれが金出してこれを撤去しなきゃいけないんだと、やっぱり思うわけですよね。これでまず遅れるわけです。それから、さくをじゃ設けて防止をしましょうという、これも私有地ですから自分の負担になるわけです。これ、何で人のごみを捨てられるのを自分の金でさくを、防止して自分で守らなければいけないんだという議論になると、これもやっぱり遅れるわけですよね。
 それから、正に次が大臣の言われたことで、その不法投棄された箇所に、早く撤去しなきゃいけないんだけど、それを土地の所有者は何で何で何でと言っているうちに、大臣の言われたように、あそこ捨てられるんだといっていろいろなところから集まってきてどんどんたまってくるわけです。その不法投棄の現場が大きくなればなるほど、土地の所有者はもうそんなお金自分が出す必要ないと思うわけです。ところが、行政も実際そこにお金が出せるかというと出せない。そういう状況の中で不法投棄がどんどん繰り返されます。行政の持っている土地とか市の管理地の不法投棄ならば速やかに撤去することができるけど、民有地だとなかなかそこは時間が掛かるんですよ。
 つまり、大臣言われたちりも積もればというのは、具体的に制度的に限界があるんです。だって、持っている者にしたらたまらぬでしょう、それは。何でおれが金払わなきゃいけないんだと。じゃ、この不法投棄した人間を早くとにかく取っ捕まえてくれと、取っ捕まえて損害賠償請求なりなんなりしたいといったって、なかなかそこは警察も把握できない。こういう本質的な問題があって、一つの市でも百十三か所というような、大中小合わせてですが、こういう現場が起きてくるわけです。
 これが全国にあちこちで広がっていって、先ほど大臣も言われたように不法投棄なかなか減らないと、こういった本質的な問題があって、そして実は環境省が国として把握している十トン以上のもの、不法投棄というのが毎年毎年千件ずつ見付かるんです。これは千件ずつ顕在化をするんです。いいですか、新たにできたとかじゃないんです。毎年、これおかしいんですよ、実は環境省の数字。平成十二年千二十七件、平成十三年千百五十件、平成十四年九百三十四件、平成十五年八百九十四件、ちょっと減っていますという議論されるわけです。違うんですよ、これ。新たに見付かったところが毎年安定的に千件ずつぐらいあるということは、千件ずつくらいが顕在化をするということなんです。分かります。つまり、これで減ったとか増えたとかいう議論はそもそもできないんですね。こういう状況があるということについて、大臣はどう思われますか。
○国務大臣(小池百合子君) 私も省内でそういった数字、年々の推移を見せてもらって、今の傾向とかいろいろ議論をいたしております。ただ、これは我々がある意味で一生懸命やればどかっと増えるんですね。だから、撲滅プランというのは、やりようによっては何も探さなければむしろないことになるんだけれども、それはただダチョウが頭隠して自分だけが見ないふりをしているというのと同じこっけいな状況になってくるというふうに思っております。
 また、今御指摘ありました正に顕在化しているか否かの数字でありまして、毎年度発表しておりますこの実態調査の結果というのは、過去に不法投棄されていた事実が、その年度になって新たに把握したものを取りまとめている数字でございます。しかしながら、じゃそれはまず顕在化を明確にしていく、そしてその次にそれをどのように対応していくかというのはそこから決めていくわけでございますけれども、その意味で早期発見というのは重要なことでございまして、その意味で許可業者とか許可施設への立入検査のノウハウを提供していく。
 先ほどありましたのは、全然知らない人が自分の土地に捨てていってしまうという例を挙げられましたけれども、一方で、不法投棄が、その業者が持っている土地にまだこれは作業中ですとかいろんな理由を付けてやっている例が実は極めて多いことも事実でございます。
 そういったことで、その許可業者、許可施設に立入検査をするというのは重要な話でございますし、またそのノウハウを環境省として提供する。それから、産廃アカデミーなどで担当職員の資質の向上をしていくということ。それから、先ほど申し上げましたけれども、不法投棄ホットラインなどによって住民の方から通報してもらうという、それによって迅速な対応が取れるようにしていく。さらには、せんだって、この法律改正をしていただきましたけれども、このたび環境省として地方環境事務所を置くことになりました。より機動的な対応ができるというふうに考えておりまして、また警察を始めとした関係機関との連携も強化していく。
 今御指摘ありました、この顕在化したにすぎない数字を云々することよりも物の本質を見るべしというような御質問だったと思いますけれども、その本質から考えまして、まず早期発見ということのために今申し上げたような方策を考えているところでございます。
○福山哲郎君 最初御発言をされた、一生懸命やればやるほど顕在化する数が多くなって、何もしなければ何も出てこないという話は聞き捨てならなくて、もし本当に環境省が一生懸命やって顕在化する数がどんどん増えて摘発が出れば、それだけ不法投棄の、現実にやろうという者に対する抑止力は働くわけです。大臣がそんなことを言っちゃ駄目ですよ。そんな言い方しちゃ駄目だよ。それは、こういう安定的に千件ずつ出てくるような形じゃなくて、本気でやるんだったら、どこかで顕在化すれば、それは逆に言うと国民は認めるんですよ。それを、何もやらなければ出てこないじゃないかみたいな話は僕はけしからぬと思いますよ。それで、だから、こういうふうな、何か安定的に千件ずつぐらい出てくるようなこういう調査の状況でいいのかというふうに私は聞いたわけですよ。それに対して、まあ私は失礼な答え方だと思いましたけれども。
 じゃ、もう一回聞きます。それで、頑張らなきゃいけないという話は長々とお話をいただいたんでよく分かりましたけれども、こういうふうな調査の仕方で、じゃ適当だと、これでいいんだというふうに大臣はお考えなんですね。
○国務大臣(小池百合子君) 今申し上げたのは、正に顕在化しているかどうかの数量であって、そしてその本質論を見なければならないということを申し上げたんであって、ですから、そこの、今どれぐらいの分量があるかということの過多だけで、それで問題の本質を語ってはいけないということで申し上げたんであって、むしろ探さなければいいということを言っているわけでは全くないわけです。
 そのために、今回、より地域に近いところに環境事務所を置き、そしてその通報システムを整えようとしているわけでございますから、むしろその早期発見のために、これまであった不法投棄について全国でできるだけ多くまず発見していく。もちろん、その前にはどうやって不法投棄を止めるかという議論があるわけでございますので、今私が申し上げたのは、そういった御質問の、この数値の問題についての御疑問があったのは正にそのとおりだということを申し上げたわけでございます。
○福山哲郎君 大臣の言われた立入検査も、実は十一万件とか十二万件のレベルで立入検査されているわけですよ。でも、顕在化しているのはその百分の一なわけです。そういった点が私は問題だと思っているんですが。
 二点目、各委員の方にお配りをしたペーパーがありますが、ちょっと見ていただきたいと思います。これは中央環境審議会や環境省の資料によって作成をしたものですが、これ実は、今大臣が言われた正確に把握をしなければいけないという話とはちょっとずれた話になります。
 一番下の、ちょっとややこしいんですが、十四年度を見てください。十四年度の四月の一日、年度初めの残余容量、いわゆる産廃、最終処分がどのぐらい受け入れられるのかという残余容量が一億約七千九百万トンになっています。年度の新規の埋立て容量、要は新規に新たに最終処分ができる量が増えたのが一千百万トンになっています。そうすると、普通に考えれば、この平成十四年度で、一番下ですが、足し算をした年度の総埋立て量というのは一億九千万トンに約なるわけです。最終処分量がここに実は四千万トンあるということは、一億九千万トンから四千万トン最終処分したということは、一億五千万トンが実は残余容量のはずなんですね。分かります。ところが、年度末の残余容量は一億八千万トンになっているんです。この数字、ちょっと見にくい数字なんですけれども、よくお分かりいただけますでしょうか。
 つまり、環境省が出している数字でいうと残余容量が一億八千万トン実はないはずなんですよ。だって、最終処分は四千万トンしているんだから。ところが、残余容量が一億八千万トンあって、実は、このデータでいうと約三千百万トン誤差が生じているんです。三千百万トンというと、ほぼ年間の七割方の産廃の処分量のデータに誤差が生じるわけです。
 つまり、こういう状況をつくっていて、さっき大臣が言われた、正確に把握するとか早くするとかというものよりももっとでかい話でこれだけ誤差が生じていることについて大臣はどうお考えなのかと。なぜこんな誤差が生じるのか、お答えをいただけますか。
○政府参考人(南川秀樹君) 事務的な部分ございますので、御説明させていただきます。
 今の福山委員のお話ですと、残余容量が一億八千百万立米ですか、これが本来ならば一億五千万であるべきだと、比重が一とした場合ということだと思います。それについては御指摘のとおりでございまして、私ども、こういう問題意識、非常に何年か前から持っております。私ども、この職に就任しましてからおかしいという問題意識持っておりまして、これについて手は打ちつつございます。
 ただ、計算上の問題でございますけれども、こういったその数字の違いが出てくるということについては、一つは集計方法が最終処分量が推計だということと、残余容量は処分業者からの報告ということで、若干の誤差が出るということはある程度はやむを得ないと思います。
 ただし、大きな要因としましては、例えば昭和五十二年以前に設置された処分場、これについては実態がはっきりしません。それから、ミニ処分場、これは安定型処分場であれば三千立米未満、管理型であれば千立米未満で平成十年の前に設置されたものがございますが、これについても、許可制度等ございませんので実は実態が分かりません。ですから、大変多くがむしろそこに流れ込んだんじゃないかというふうに認識をしておったところでございます。しかも、それは、そういうことでございますから、十分な環境保全上の管理もされてないだろうと、本当に不法に投棄され、なおかつそれが非常に不適正な処理だろうということだと思います。そういったこともございましたので、私ども、一つは、今年の四月からでございますけれども、処分場を持つ者には必ず残余容量の定期的な把握とそして報告を義務付けたところでございます。
 それからもう一点は、さっき申しました古い処分場あるいは小さな処分場でどれだけあるか分からない、どう捨てられたか分からないということでございますが、これについてはなかなか把握が難しいんですけれども、規制を強化しまして、新しい処分場と同じような形の水処理とかできるようなことでなければ、それを発見した場合にはそれを取り締まれるというふうにいたしました。したがって、これは離島などを除けばすべてこの規制を強化、四月からしておりますので、私ども、これについてかなり取り締まれると思っています。
 福山委員の御指摘は、私ども、以前から承知をしておりまして、私どもとして打てる手は四月から打たせていただいておるというつもりでございます。
○福山哲郎君 私は、事務方、環境省の皆さんが努力をしてないとは申し上げません。一生懸命やられていると思いますし、産廃行政はこれまでの歴史的な経緯がいろいろありますから、それは本当に御努力はいただきながら厳しいんだというふうに思っておりますが、是非こういう大きな誤差を徐々にでも縮めていっていただいて、先ほど大臣が言われた、実態把握をより詳細につかめるような形、そうすれば、より適切な僕は行政措置ができるというふうに思いますので、そこは御努力をいただきたいというふうに思います。
 もう一つなんですが、じゃ、その実態把握の手段として大変重要だと言われている、いわゆるマニフェストなんですけれども、これもよく前から前から議論されているんですが、平成十二年八月の厚生省令の附則の経過措置によって、排出者の報告が実は適用除外になっているんですね、経過措置の中で。この排出者の報告が適用除外となっている理由は何か、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) これにつきましては、残念なんですけれども、平成九年に制度化をして、そのマニフェストが排出者から都道府県あるいは市に来るようにという措置をしたところでございますけれども、全体で、オールジャパンで四千五百万件程度あるということで、一つの県に割れば四千五百万ですから約百万ですか、そういうことになるわけでございます。それで、一件につき六枚とか七枚入るわけでございますので、そういった枚数について都道府県に送ってこられても、都道府県もどうしようもないということで、何とかもう少し処理がしやすくなるまでは待ってほしいということがございました。
 そういうことで、かつて十二年に、しばらく延ばすという措置をしたと伺っております。
○福山哲郎君 その理由は一義的には私も理解をしますが、それからもう実は七年もたっているわけですね。
 更に言えば、廃棄物処理業者の業務実績報告も実は廃止をされていると。その理由もちょっとお聞かせをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) まず、廃棄物処理業者の業務実績の廃止につきましては、これは省令という形で、余り法律に根拠を置かない形で置かれておりました。本質的に好ましくないと私は思います。ですから、やるんであれば法律にちゃんと盛り込むべきだとむしろ思っております。ただし、これにつきましては、経緯だけ調べたところでございますけれども、これについては結局、自治体にとっても、もらっても負担になるし、事業者も負担が大きいというようなことがあったようでございます。
 ただし、これについていいますと、なかなか独立省令自身が現在、これ私、法律的に好ましくないと思っておりまして、むしろ、私どもとしては立入検査あるいは報告徴収で、できるだけ県あるいは市がもらってもらうようにと、情報を集めるようにということで督励をしたいと考えております。
○福山哲郎君 そこはこれ、事情は、県がそれもらってもどうしようもないと。私もこれ、諸先生方も見られたことあると思いますが、電子マニフェスト、こんなのが百万枚も都道府県に来たって一々全部チェックできるわけではないという事情は私も理解をしないわけではありません。でも、だからといって、それが理解をされない部分、いろんな業者間での不正の温床になっていることも私は事実だと思うんですね。
 ですから、そこは是非法律上もう少し工夫をしていただくことと、だからこそ電子マニフェストという議論が出てきているんじゃないかなと思うんですけれども、そこについては南川さん、どうお考えですか。
○政府参考人(南川秀樹君) 最初に、福山委員から御指摘ございました排出者のマニフェストの報告でございます。
 これは、やはりできるだけ早く、都道府県なりに報告が行くようにというふうにすべきだと私は思います。
 ただし、紙で百万枚掛ける六でもらってもなかなか確かに大変なことは事実でございますので、これについては、電子マニフェスト化が普及すれば電子情報で送れますから、非常に整理もしやすいということもございますし、また、それがすぐにできなくても、読み取りのような形で、例えば処理業者が紙ベース、紙マニフェスト情報を電子化して情報処理センターに出せば、それも含めてそこから都道府県に送るというようなことも可能でございますので、何とかそういう方向を早く出して、これについては省令を改めてできるだけ早い時期に都道府県に報告が行くようにしたいと思います。
○福山哲郎君 是非その都道府県へ報告行くことの、何というか、早急に整備をしていただきたいんですけど、今部長がそこまで思い切って答えていただきました。大臣ちょっと、今の話にちょっと決意をいただきたいんですけど、大臣にもう一回、済みません、確認をしておきたいんですね、早くこれをやりたいということをですね。是非大臣お答えください。
○国務大臣(小池百合子君) 以前もこの廃掃法の改正の際に電子マニフェストの普及ということについてお尋ねがあったかと思います。やはり、これは一気通貫をすることで意味が出てまいりますので、より多くの方が、いろんな段階の方々が参加をしていただくことによってその効果がより的確に出てくるということでございます。
 電子マニフェストをできるだけ早く業者の方々にお使いいただけるように、例えばソフトを工夫をするとか、それから私も、今大臣室の机の、デスクのコンピューターにその電子マニフェストの入力のアドレスも入れて、自分でやってみたりもしております。何が使い勝手が良くて悪いのかとか、そういったこともよく考慮しながら、使う人の身にもなって、そういったソフトの開発ということも一つ考え方かなというふうに思って指示をしているところでございます。
 是非ともこの電子マニフェストを、できるだけ早い時期にこれを皆さんがお使いいただけるような、そういう普及ができるようなそういう努力を重ねてまいりたいということをお伝えしたいと思います。
○福山哲郎君 ごめんなさい、大臣、電子マニフェストの御決意をいただいたのは有り難いんですが、私が申し上げたのは、まずそのマニフェストにしても電子マニフェストにしても、まず都道府県に報告をするということに対してどうなのかと。今、都道府県への報告がないんですね。つまり、その分だけ紙で来たら都道府県は大変だけれども、それで電子なりいろんな情報処理センターなりを利用しようという話なんですが、今大臣が言われたのは電子マニフェストの普及なんですが、そのマニフェスト自身、排出者の報告義務みたいなものをちゃんと都道府県に介在をさせる、都道府県にちゃんと経由をするようにするということに対して南川部長も大分思い切って御答弁をいただいたので、そこについての御決意をいただきたかったのですが。
○国務大臣(小池百合子君) 今年の三月三十日、都道府県などにこの電子マニフェストの普及促進方策ということも送付をさせていただいております。それぞれ……(発言する者あり)えっ、違う。
 都道府県との連携を持ってこの電子マニフェストをしっかりと行っていくということが重要だと、このことを認識をしているということをお伝えしたいと思います。
○福山哲郎君 少なくとも排出者が知事に、自分の都道府県に排出者がちゃんと報告をするようなことに対して積極的にされる意思があるかどうか、これから法律の整備、義務化も含めて整備する御意思があるかどうか、お答えをいただけますか。イエスかノーかで結構です。
○国務大臣(小池百合子君) 先ほど南川の方からお答えさせていただいたとおりでございまして、それをしっかりと進めさせていただくように後押しをしてまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 もういいです、それで。今日の委員の皆さんが聞かれていたと思いますから結構です。
 で、電子マニフェストについてはもう大臣が今お話をいただいたので、多分私が聞いたらまた同じ答えだと思うんですが、よく話が出ました。まだ二%という普及状況です。これ、義務化はなぜできないのか、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 二%ということでございますが、件数でいいますと現在百十四万件ということで、スタートの八千件から比べるとかなり増やしてはきております。
 ただ、義務化そのものにつきましては、やはり中小零細企業にとって、ノウハウの問題あるいはコストの問題、人手の問題ありまして、制度論としては非常に難しいと思います。ただし、業者さんも、電子マニフェストを持っている方が受注しやすいという問題意識は、私ども広めてまいりまして、相当持っております。
 それで、コスト的にも、例えば収運業者、収運で処理まで考えれば、瓦れき辺りで、例えばトン当たり四千円とかすれば、十トン積めば四万とかそういうことですし、もっと高いものであれば、十トン車で載せればそれこそ二十万、三十万になるわけですから、そういう意味では、是非その電子マニフェストを入れて信用を高めたいという業者さん多いことは事実です。必ず、かなりそういう意味で勉強される方が多いものですから、何とか易しいノウハウを早くつくって、そういう業者でなければ実際やっていけないというふうにしていきたいと思っております。
○福山哲郎君 もうそれはおっしゃるとおりでございまして、電子マニフェストを使っている業者が優良業者で、そこに渡せばある程度信頼が置けるんだという実績がどんどん積み重ねれば自然にそういうインセンティブは働くと思いますから、それは是非そのようにやっていただきたいんですが、ただ、これ、僕悪いことだとは全然思わないんですけど、これ全国の産廃の協会でこの紙マニフェスト、これ、大臣、一枚幾らか御存じですか。これ、二十五円するんですよ。これ、業者に売って、これでやっているんですね。
 そうすると、四千万枚と先ほどから出ていますが、これ十億円のやっぱり協会にとっては収入源になっているんですね。片方ではそういう協会がこれを十億円で収入源にしていて、それで片方で電子マニフェストを普及しようといっても、それはなかなか、各都道府県の産廃協会にしたらこれ売った方が収入源になるわけですから。それ自身は、私は産廃の業者の方に対するいろんな知識の普及とか、いろんな国の制度の普及でこの協会の皆さんが頑張っているのもよく分かっているんですが、もう少し電子マニフェストに対して、先ほど南川部長が言われた優良だからそっちへ仕事がより増えてくるんだということにプラスアルファの何かインセンティブを渡さないと、やっぱりスピードが、普及のスピードが上がらないと思うんですが、どうでしょうかね。
○政府参考人(南川秀樹君) まず、全産連のその問題でございますが、全産連、大体全部で六万五千程度業者はおります。その中で全産連加盟が約一万五千程度でございまして、どれだけその全産連が作っているマニフェストを使われているかは分かりません。ただ、私ども承知している限りでは、全産連の方はほとんどが、その金で食っている方はほとんどいなくて、むしろ広報誌を作ったりしているということでございますので、後ろめたいことではないと思います。
 それで、もちろんその上ででございますけれども、私ども電子マニフェストを是非普及したいと思っていまして、単にその方がもうかるからということだけではなくて、やはり幾つか普及策を出したいと思っております。具体的には、例えば少量排出事業者向けの料金設定とか団体加入割引など、そういった料金の体系の見直し、それから加入時の事務手続の合理化、迅速化、それから情報処理センターにおいて行政報告の簡素化の支援をするといったことで、具体的な目に見える支援というものも強めていきたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 もうそのとおりだと思います。私、別にこれが後ろめたいお金に回っているというふうに申し上げる気はありません。
 ただ、今、南川部長が言われているように、別の観点のインセンティブを与えていただきたいので是非工夫をしていただきたいし、もう先ほどから答弁として言われました都道府県の処理実績報告、今の情報処理センターを活用するという話を二度ほど今御答弁でいただいたんですが、もう一度確認をしたいと思います。情報処理センターをまず活用して、この電子マニフェストの普及について補完体制を整備するという点について、もう一度だけ御答弁いただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 処理業者さんたちが紙マニフェスト情報を電子化して提出するという場合には、情報処理センターにおいてこれと電子マニフェスト情報を統合して都道府県、市などへの電子報告を行う仕組みということの準備をしておりまして、可能な分野から是非平成十八年度中にも導入できるようにということで検討を急ぎたいと思います。
○福山哲郎君 是非頑張っていただきたいと思います。
 それから、私は、この電子マニフェストがなかなか普及しないのに、参考人の皆さんが実はこの間の審議でよく言われた、GPSやICタグの活用の廃棄物追跡システムの導入という議論がよく参考人から出たんですが、実際としてはどの程度の現実性があるのか、よく僕には分かりません。参考人の先生方からは是非というようなお話が、多分四人のうちほとんど全員の方が言われたと思いますが、今、環境省は、そのGPSやICタグを活用したシステムについてはどのように認識をされているのか、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) このグローバル・ポジショニング・システムとかICタグでございます。これは画面とセットになります。そういう意味で、どこに、例えば物を頼んだ事業者から、排出者から見れば、今自分が頼んだごみがどこにいるか、それが自分のパソコンでセンターにつなげば分かるということで、非常に、一々跡を時々抜き打ち的につけなくても分かるという意味で、大変意味があると思います。
 ただし、まだこれ自身がモデル実験中でございますし、いろいろ試験をやっているところでございます。一部、ナショナルとかそういった企業ではモデル的な施設を造っていつでも使えますということをやっておりますけれども、ちょっとまだこれを普及すると、普及してやることについて決断は至っていないというような状況でございます。
 取りあえず私どもとしては電子マニフェスト化を急いで、それがかなり普及すれば、その上にこういったものをプラスアルファするような形の普及を考えていきたいと、そういう段階だと思います。
○福山哲郎君 システムとして有効なのは私も分かりますが、余り屋上屋を重ねるということがどうかとも思いますし、お金も掛かりますので、そこは実態に応じて、モデルケースとしていろんなところでやっていただくのは結構だと思うんですが、そこは優先順位をしっかり、ちょっと環境省の中でもいろんな有識者の方の意見も聞きながら進めていただければなというふうに思っているところでございます。
 それで、私は実は青森と岩手の不法投棄の現場も行ってまいりました。この間の岐阜の例もそうなんですが、青森、岩手の場合には、千葉や茨城や栃木や東京近郊の産廃が岩手や青森に行っていると。やっぱり、先ほどの話に戻りますけれども、実態把握をして、その後にはやっぱりある種、各都道府県の中で自己完結できればそれはそれで一番いいのかもしれませんが、それができない場合に、やはり東京のものを青森、岩手に持っていくというよりかは、やはり広域的に何らかの形で産廃は産廃、一廃も含めて総合的に処理できるような仕組みがやっぱり要るんじゃないかなというふうに思っているんですが、そういう広域的な廃棄物処理についての今のお考えをお聞かせをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 委員御指摘のとおり、東京のごみを例えば青森で処理するとかあるいは九州で処理するということについては、余りにも遠いと。その間にいろんな問題が生じないとも限らないと思いますし、非常に監視もしにくいと思います。そういう意味で、やはりできれば各都道府県において受皿を処理して、自県のものは自県でということが望ましいと思います。
 そのために、私ども、一部でございますけれども、県が産廃処理センターを造って、廃棄物処理センターを造ってそこで産廃処理施設の整備を行うことについての支援というものを行っておりまして、これまで最終処分場については九施設、焼却施設については七施設の支援を行ってきたところでございます。
 ただ、なかなか県だけではうまくいかないところもございます。例えば関東近辺を見ても、栃木県とか山梨県については管理型の埋立て処分場は官民含めて一件もございません。いろいろ難しい事情はあると思います。ただ、そういうことでもう少し広げて、大都市圏においてどうやって処理するかということが大事だと思います。
 近畿圏におきましては、フェニックスという形であのような神戸沖とか今大阪沖、埋立てもしていますけれども、大規模な施設を造ることについて合意ができて、埋立ても行われております。ただし、たまたま実は例外的なことでございまして、特にその問題が大きい首都圏についてはそういう体制がないということで、非常に大きな課題があると思います。
 そのため、私ども、大都市圏における産廃処理の体制をきちんと確保したいと思っておりまして、実際に最終処分場がどれだけあるか、あるいは中間処理施設がどれだけ整備されているか、それから産廃の種類ごとの排出状況、広域度状況、それから今後の処理施設の整備の動向ということの分析を今進めております。そして、その処理が遅れて処理施設がやっぱり必要というところについては、私どもも支援をしながら、余り広域にならないでやれるような体制をつくっていくように努力をしていきたいと考えております。
○福山哲郎君 いや、これ、さっきからの話の続きになるんですけど、実態把握をすればするほど現状が厳しくなると。現状が厳しくなって、なおかつ処理施設を含めて、今の南川部長の話ではないですが、いろんな体制整備を含めて環境省もやっていかなければいけないと。これ、時間も人も含めてこれは相当やっぱり腹くくってやらないと、先ほど阿部委員から未来に向けてという話がありましたけれども、今までの延長線上でこの不法投棄なり廃棄物の問題というのはなかなか議論、解決に向かわないんじゃないかなと私は思っておりまして、努力は多としますが、やはりこれ大臣、やっぱり大臣の政治的な意思が重要なんですよ。大臣が、例えばいつ内閣改造になるか分からないからまあみたいな話じゃ駄目なんですよ、これはやっぱり。本当に長期的にわたって、どこかの時点で大臣が替わろうがずっとこの問題については積極的にやっていくんだという意思が要るんですけれども、大臣、いかがですかね。
○国務大臣(小池百合子君) 先ほどの阿部先生のお話にもございました。先生は有料化のお話ございましたけれども、目の前のテクニックの話も重要でありますけれども、やっぱりこの国が何を向けて、そして何をすべきで、そこのフィロソフィーは何かというような、そこを先ほどもずっと問うていらしたのではないかなというふうに思います。今の御質問も同じことだろうと思っております。
 やはり、せんだってのスリーRの会議も、やはりホストをするからにはなんと言うとまたしかられるかもしれませんけれども、その気概を持ってやらなければならない。気概というのも単にモラルの話だけかもしれませんけれども、やはり大きな目標、それは循環型社会を形成するんだという大きな目標に向かって、そのためには何をすべきかというような、そういう方法論で詰めていきたいと思います。
 ただ、一方で、現実に職員数が少ないとか、あるいは予算がなかなか小さいというお話も現実にはございます。ただ、それを、先ほど申し上げたそういった目標のために最も効率的にどうすべきかということも財政当局に対してもしっかりと訴えていくことが必要かと思っております。そうすることによって私の後に続く方がまたしっかりと仕事をしていただけるものだと思っております。
○福山哲郎君 まあいいです。
 また、この法案で実は重要な問題がありまして、例の、余り目立ちませんが、無確認の廃棄物の輸出に関してですが、未遂罪と予備罪の創設が規定をされているんですが、今までは無確認でいろんな輸出の申告を手続をしても、実際船に積んでも、その時点で、見付かった時点でその手続を全部やめにしたら罪に問えなかったということで未遂罪ができたと思うんですが、未遂罪はどういった状況でどういった要件で成立するのか、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 無確認輸出の問題でございます。
 従来から無確認で廃棄物を輸出した者についての罰則というのはあったわけでございまして、委員御指摘のとおり、輸出のための船舶に廃棄物を積み込んだ段階で環境大臣の確認を受けていなければ、これらについては罰則が掛けられていたわけでございます。ただ、これですと船に載っけてからしか摘発できないということがございまして、役所で言うと要するに海上保安庁の世界だったわけでございます。したがって、通関の場合は、税関にしても、通関の手続も基本的には財務省の税関で管理をしておりまして、やはりそこの段階でその取締りができないとなかなかその効果が出ないというふうに思います。
 したがって、私ども今回は、今回の法改正でございますけれども、未遂罪とそれから予備罪というものを二つ設けたいというふうに考えておるところでございます。
 それで、未遂罪といいますのは、具体的には通関手続のために輸出申告あるいは船積み開始の段階で、本来ならば環境大臣の確認を受けなければ輸出してはいけないものが、そういう手続が取られればそれで未遂罪が成立をするというふうに考えております。それから、予備罪でございますけれども、これは、違法と知りながら保管倉庫に持ち込んだという段階で、その段階で予備罪が成立するというふうに考えておりまして、これを言います。
 もう少し具体的に申しますと、税関に例えば硫酸ピッチなどを持ち込んだという段階で予備罪は成立すると思っておりますし、また環境大臣の確認が必要と知りながら申告手続を行った段階で未遂罪が成立するというふうに考えております。
○福山哲郎君 今のは難しいんですけれども、保税倉庫に持ち込んだ時点で予備罪で、それを、じゃ輸出をしようとして輸出申告を税関にした時点で未遂だということですね。
 これ、その差が、法的な要件として差がどこか分からなくて、実は、じゃその保管倉庫に持ち込む前に、あるところから保税倉庫のところまで移動している最中は予備罪成立するんですか。
○政府参考人(南川秀樹君) 保税倉庫に入らなければ、つまり税関の敷地に入らなければ輸出をしようという意思があるとは思えませんので、その段階では成立しないと思います。保税倉庫に一歩でも入れば成立すると思います。
○福山哲郎君 そうすると、そこは未遂罪と予備罪を分ける必要性はどこにあるんですか。
○政府参考人(南川秀樹君) 例えば、硫酸ピッチのようなものを輸出しようと思って持ち込んだ、倉庫に持ち込んだだけではこれは刑法の解釈の問題の延長として未遂罪は成立しないということでございまして、これはあくまで予備罪だということでございます。
○福山哲郎君 いや、実は刑法の問題は、実は共謀罪の問題でも予備罪は非常に難しくて、内心の自由の問題でどこまでを構成要件にするかというのは非常に重要なんですね。
 ここで、この廃掃法の中にぽんと未遂と予備を入れて、保税倉庫に入ったら予備罪で、手続したら未遂罪で、その保税倉庫への、何というんですか、どこかの場所から保税倉庫まで移動している最中はそこは予備罪にならないみたいな話は、刑法上、こんなところでこんなの決めていいのかというのは、僕は結構危なっかしい議論のような気がするんですが、そこは環境省、法務省とどのような調整をされたんでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) これは、実は去年の改正の中で不法投棄の準備罪というものを入れたところ、予備罪を入れたところでございます。これは、そのときの議論としましては、未遂罪であれば何らかの具体的な手段を取った段階、つまり荷台から捨てるんであれば荷台のレバーを手を掛けた段階で初めて未遂罪が成立するということで、非常にとらまえる時間が短いということで、例えば明らかに不法投棄が横行している現場に車がずっと連なって何か待っているという段階で捕まえようとすれば予備罪しかないということで、そういったことで法務省等と検討して導入したわけでございます。
 それで、今回でございますけれども、今回についても未遂罪、予備罪、併せて検討いたしました。それで、去年までのそういう経験も合わせまして、やはり実際に手続が取られれば未遂罪に当たるけれども、単に税関の倉庫に持ち込まれただけでは未遂罪というのは成立しないだろうということでありますが、ただ、明らかに廃棄物であって、違法なものについて持ち込まれればこれは予備罪ということで成立するということで御理解をいただいて今回御提示しているところでございます。
○福山哲郎君 ごめんなさい。細かいこと聞くようですが、保税倉庫に入れたら予備罪だと。ある、例えば廃プラがここにあって、ここで保税倉庫に入れるために積荷をしている最中は予備罪にならないんですね。
○政府参考人(南川秀樹君) 倉庫でございますから、倉庫に持ち込めば予備罪が成立すると思いますし、あとは敷地の問題だと思います。
○福山哲郎君 僕は刑法専門ではないのでよく分からないんですけれども、これやっぱり予備罪の構成要件って非常に難しいと思うんですよね。そこは慎重に運用していただきたいというふうに思いますし、是非、ここから先どう環境省さんと詰めたらいいのかも僕もよく分からないんですが、ただ、やっぱり今共謀罪の議論が刑法の問題で出てきていますから、予備罪をこういう形で導入することについてはちょっといろいろ問題があると私自身は認識をしていますので、是非環境省さん、これは法務省さんとやっぱりきちっと議論をして、運用については慎重に対応いただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○政府参考人(南川秀樹君) 御指摘のとおり、予備罪というのは、例えば偽金造りとか、かなり限定された案件に一般的に考えられまして、それ以外の場合についてはかなり要件を厳しく縛る形になっております。したがって、私ども運用についても法務省等とよく相談をしております。
 ただ、現実に、去年その法改正をさせていただいて不法投棄についての予備罪を入れた段階から、例えば、三件程度だと思いますけれども、実際に不法投棄の現場で明らかに常習犯が不法投棄待ちをしているというところを捕らえた例もございまして、そういう意味では一定の効果は上げていると思います。
 ですから、要件を厳しく限定した上で、本当に必要なことについては是非運用したいと思っております。
○福山哲郎君 是非よろしくお願いいたします。
 ほか、ちょっとこの法案についての議論もまだ残っていたんですが、ちょっと残り十分、災害廃棄物のことについて質問させていただきたいと思います。
 昨年から今年にかけて、本当に例年にないほど、もう信じられないぐらい災害が発生をしています。昨年は私の地元の京都でも台風二十三号の被害がありました。私は京都の北部に災害の処理の問題で視察に行ってまいりましたし、先月、四月の終わりには新潟の地震の被災地に災害の廃棄物の処理で視察に行ってまいりました。もう委員の先生方よく御案内で、もうこの委員会でもよくありましたけれども、例えば新潟の小千谷市でいうと約十三年分の廃棄物が一遍に地震で出ています。私の地元でも、大江町というところでは六年分だったかな、一遍に出ています。つまり、廃棄物が一挙に出てくるわけですね。
 確かに、私、拝見しますと、水害と地震の廃棄物の出方というのはちょっと違いまして、水害の場合には水につかりますから、とにかくすぐ表に出さなきゃいけないということで道路が全部埋まっちゃうような状況になっています。それでさらには、災害廃棄物、地震の場合には、新潟へ行ってきたんですけれども、実は新潟の場合に、瓦れきの、家が崩れたところは雪に覆われていてなかなかまだ撤去作業が進んでいなくて、実はこれから出てくると。つまり、もう四か月ぐらいたって、五か月か、五か月たって、これから要は出てきて処理をしなければいけないと。
 それぞれ多少中身が違っていたんですが、環境省は、災害廃棄物体制として震災廃棄物対策指針というのを、例の阪神大震災の後、平成十年、一九九八年に示しているんですが、これによると、各自治体に震災、地震があったときの廃棄物処理計画の策定を、何というか、求めているんですけれども、この策定状況についてどうなっているか、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 災害対策基本法などを受けまして、私どもその計画作りを急がせているところでございますが、残念ながら、昨年四月に調査をした東海地震の対象地域二百四十九市町村を調べましたところ、二十九市町村、つまり一二%しか作っていただいていないという現状でございます。
○福山哲郎君 そうなんですよね。平成十年ということは、これもう七年前に指針を作って、各自治体に震災廃棄物処理計画を作れと言っているのに、それも東海地域だけです、東海地域だけしか環境省はまだ調べていただいていないんですが、策定済みがたった二百四十九市町村のうちの二十九、一二%なんですね。
 これやっぱり、全国的に今災害が広がっています。それでなおかつ、私行ってきたところでいいますと、ばあっと一遍に廃棄物が出ますから、それを一時集積としてどこに置くかというのは大問題なんです。これは南川部長も御理解をいただいていると思いますが、私の地元の舞鶴というところでは、一時集積の場所がなくて、学校のグラウンドに実は一時集積を市長の英断でされました。後々市民から実は苦情が来なかったからよかったんですが、その後のグラウンド、子供たちが運動するわけですから、いかに覆土をして、もう一回土を埋めるか、化学物質がないかみたいなことはやっぱりここ慎重にやらなければいけないとか、新潟も行ってきましたけれども、競馬場を一時集積場にしているとか、いろんな例があるんですが、たまたまそういう場所があるところはいいです。これ、もし関東圏、東京とか都市部で地震とか水害とかが起こって一遍に、さっき言った十三年分みたいなごみが出てきたときに、どこに置くんだといったときに、全く実は想定をしていないとこれパニックになると思うんですね、もちろんにおいも出てきますし衛生上の問題も出てきますし。
 これ是非、この震災廃棄物の各自治体の策定状況、震災廃棄物処理計画の策定状況を早急に自治体に求めてというか、早く作れと、とにかく一時的な集積場所はここなんだという想定ぐらいは各自治体しておきなさいというようなことの指導をやっていただきたいんですが、どうでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) まず、現在行っておりますのは、その東海地震の関係する地域以外についても状況の把握を行っております。これは急ぎまとめたいと思っております。
 その上ででございますけれども、私ども、もう去年来、実は去年は二百を超える市町村が災害廃棄物が出ましてその支援の対象になっております。大変な数でございます。そういう意味では、元々が震災対策で、神戸の地震をきっかけにこういった計画を作るようになりましたけれども、やはりこれからは水害廃棄物対策ということも当然ながら中身に入れなくちゃいけないというふうに思っておりますので、水害と地震というものを対象にした計画というものを是非作ってもらうように働き掛けたいと思いますし、特に水害の場合はごみの集積場の問題が出ます、これについてもその中で検討するようにこれからはしていきたいと思います。
○福山哲郎君 僕は、環境省さん頑張っていると思うから余り言うのは嫌なんですけれども、大臣、平成十年に策定をしろという指針を出して、東海だけでも二百四十九のうち二十九、一二%しか実は策定していないと。これだけ災害が起こった、やっと今年調査をしたら一二%しか策定をしていなかったと。これも東海だけですよ、日本全国ではないんですよ。こういう状態で、大臣、どう思われますか、この現状認識を。
○国務大臣(小池百合子君) 今まで部長の方からも御答弁させていただきました。できるだけ早く最悪のことを想定をした、そういう対応を市町村、都道府県にはしていただきたい。これ、危機管理の一環だと私どもは考えているわけでございます。
 今年の一月―二月にかけて全国の七ブロックで、全国都市清掃会議ブロック会議というところでおきまして直接私どもも市町村に対して計画の策定を指導させていただいているところでございます。それから、これは先月ですね、四月十八日、それぞれ各都道府県でこの状況を、今どうなっているのか、どうしているのかということで、五月の中旬、まあ来週辺りまでに回答してくださいということで、そういった書面も出させていただいております。
 避難場所を決めるのは意外と早いかもしれませんけれども、ここに廃棄物の山をつくりますというのはなかなか決めていただけないと。ただ、危機管理の、全体的な危機管理とすればそれも大変重要なことだと思っておりますので、早急に計画を策定していただけるように私どもとしても促してまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 いいですか、大臣、僕は今日はちょっと冷静にやったつもりですけれども、危機管理の一環だと私どもは考えている、考えていないから平成十年から何にもやっていないんじゃないか。それを、避難場所を決めるのは結構早く決めていただけるかもしれないと。そんな無責任なことがあるんですか。大臣なら、この策定状況はどうだと考えたら、今まではなかなかできませんでした、申し訳ありませんなり、今までできなかったことに対して反省しているなりという言葉があってもいいじゃないか。各市町村の自治体は本当にこれで苦労しているんですよ。それをしゃあしゃあと、危機管理の一環だと私どもは考えている、考えていないからやっていないんじゃないか。それに、避難場所については早急に決めていただけると思っています、今まで決めてないんだよ。
 大臣、もっと、人ごとみたいな答弁しちゃ駄目ですよ、あなた責任者なんだから。今日ずうっとそうだ、あなたは。人ごとみたいな答弁していたら、与党の理事、これおかしいよ、この大臣の答弁は。
 どう思いますか、大臣。
○国務大臣(小池百合子君) これまでのそういった策定が遅れているということにかんがみて、このように促進をするようにお願いをしている文書を出しているところでございます。
 やはりそういった災害というのは、そのときになってみて慌ててやるということが残念ながらこれまで多かった。私自身、阪神大震災のど真ん中におりましたので、それを痛感しているところでございます。
 そういった意味で、残念ながら、これを策定をしていただいているところが東海地方でこの数字でございます。更にそれを一層促進していただけるように、これからも促してまいりたいと考えているところでございます。
○福山哲郎君 東海地方でこの数字って、ほかの地方は調査していないんだ。何言っているんだ、全くもう。
 あなた責任者なんですからね、何か人ごとで役所が、私たちはこう今は気が付いてやらしていただきましたって、役人の皆さんがやるのは、一生懸命やるのは当たり前だけれども、大臣としてあなたは責任があるんだから。
 じゃ、例えばこの集積地についてとか、この指針について法的拘束力を持たすとか、早く自治体にこういう策定をするというようなことを具体的に義務化するとか、条例作れと言うとか、そういう一歩踏み込んだことをやる意思は大臣、おありですか。
○委員長(郡司彰君) 小池環境大臣、時間でございます。簡潔にお願いします。
○国務大臣(小池百合子君) はい。
 こういった災害廃棄物の仮置場などの配置を含めて、策定については強く指導をしていく方針でございます。それと同時に、今おっしゃいました条例などについても、それぞれの自治体、実情を踏まえて、適切に判断されていかれるように促してまいりたいと、このように考えております。
○福山哲郎君 終わります。

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第162国会  参議院  環境委員会  2005年4月26日

廃棄物処理法改正案参考人質疑


○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。
 今日は参考人の皆様には本当にお忙しいところ、ありがとうございます。貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。
 実は、不法投棄とは違うんですが、私、昨日、地震の災害に遭われました新潟県に行ってまいりまして、小千谷市の災害廃棄物、長岡市の災害廃棄物、それから震源地に近いと言われる川口町の災害廃棄物の現場に行ってまいりました。長岡市ではほぼ二・八年分の災害廃棄物が一遍に出ましたし、小千谷市では何と十年分以上ではないかと言われるような廃棄物が出ておりました。
 それで、新潟は実は雪が深くて、つい一週間か二週間ほど前まで雪が残っていたのでなかなか処理ができなくて、実はこれから九割から八割方残っている瓦れきも含めて災害廃棄物の処理に入るということで、現場を見てまいりまして暗たんたる思いで帰ってまいりました。
 実は、私、三年前の、あっ、三年前、二年前か、平成十五年のこの審議でも参考人の質問立たしていただいておりまして、大橋参考人にはまた質問させていただくことになりますし、岩手、青森の現場も実際見に行きました。そんな状況の中で、まあ十五、十六、十七年と立て続けに、昔の流行歌のように改正が行われているわけですが、なかなか不法投棄がなくならないという状況の中で、少し御質問をさせていただきたいと思います。
 一つ、酒井参考人にお伺いしたいと思います。
 先生のいただいた資料を引用させていただきますが、最初のページに、千百五十件、九百三十四件というふうに不法投棄が若干減っているというコメントも先生からいただきました。しかし、私、そもそもこの不法投棄の件数のカウントの仕方がちょっと問題ではないかと思っておりまして、実はこれ、毎年毎年、千件平均で見付かるわけですね。これ新たに毎年毎年見付かるわけです。ということは、不法投棄というのはある種長期的にわたってやられている場合が多くて、毎年千件ずつ出てくるというのは、実は根っこではいかに多くのものがあるのかということを考えると実はぞっとするわけですが、これ実は都道府県とか保健所から把握した数で毎年毎年やられています。
 実態としてのこの廃掃法と産廃の不法投棄の、何というか、現状と法が予定をしている実務が随分僕は乖離があって改善されないのではないかという問題意識があるんですが、酒井参考人はどのようにお考えでしょうか。
○参考人(酒井伸一君) ここは不法投棄件数というよりは、正確にはやはり不法投棄が顕在化した件数という、こういうふうに表記すべきそもそもの数字であろうというふうに思っております。
 それで、その水面下にはどの程度あるのかということに関しては、個々、現場に明るい方々の御判断というようなことで、例えば首都圏の中で不法投棄件数の多い千葉あるいは茨城辺りを考えると、どうも現在見付かっている量の十倍量程度はあるんではないかというような、明るい方からのそのコメントというのも耳にすることございますので、そういった意味で、こういう統計量の表し方というものに関して少し今後も留意していくべきという御指摘に関しては、御指摘のとおりかというふうに思います。
○福山哲郎君 それに関連して大橋参考人にお伺いしたいんですが、大橋参考人が二年前、実態調査の把握がやっぱり甘いのではないかというような御発言を当時いただいたと思っております。現状でもそのような認識なのかということと、もう一度お伺いしたいんですが、じゃ実態把握をするには、まあ環境省も努力はされていると私は思っているんですけれども、どういう形で実態把握をすればいいと大橋参考人はお考えか、もし何かあれば御教示いただけますでしょうか。
○参考人(大橋光雄君) 私が産廃特措法ができるときに恐れていたことがもう去年から出てしまって、当時予定した事業費がもう底をつく寸前へ来て、これから続々と問題が拡大するわけです。
 実態調査は非常に今日までの日本の産廃行政施策の中では重要性の高いもので、なぜ環境省がもっと資金を投入して、都道府県に単なるアンケート調査するというようなそういうことではなくて、もっとしっかりした仕組みをつくって、それから私こういうことも言うんですが、忘れ去られていく産廃の山、谷、これが怖いんですね。年間幾らで何万トンと言っているだけじゃ済まない。先ほども言っていたような累積というものがすごくあって、その中には、忘れられないものはまだいいとして、どんどん草が生えたり木が生えて忘れられていく。そういうものがいつかはカウントには入ってこなくなっちゃうと。
 こういったことで、古老の人たちから聞くとか、地域に入って、都道府県なり市町村がですね。だから、市町村にも協力求めなきゃ、これは、若干求めているはずですけれど、相当深い形で組織化して実態調査、数年掛けてしっかりやれば、その後の調査はずっと楽になって正確度を高めることもできるわけですから。
 私は、具体的な方法論まで今おっしゃるような形での御返事できませんけれど、市町村、都道府県を組まして、国が予算の手当てを付けて、そして方法論をちゃんと審議会なりなんなりで検討されてやっていくと。それで、それは継続的な調査としての仕組みにするべきだというふうに思います。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 では、高杉参考人にお伺いをいたします。
 高杉参考人は現場をよくごらんになられまして、著書を拝読させていただいても非常にリアルなことがたくさん書いてありまして、大変参考にさせていただいているわけですが、現行廃棄物処理法では対応本当に可能なのかという問題提起をされています。高杉参考人の言われる排出者責任を取ってもらうというときに、どういう仕組みで可能なのかということについて、もし何かアイデアがあればお答えをいただきたいということ。
 それから、先ほどから話が出ているんですが、GPSの導入も僕は大変いいと思うんですが、まずマニフェストの電子化の普及だと思うんですが、それに対して、例えば電子化の普及をするために、今だと二%です。実は、二年前審議したとき一%ですから、一年に一%ずつしか増えない、あっ、そうか、一%ずつしか増えないんですね。そうすると、七〇%電子マニフェストが普及するまでに七十年も掛かっているとどうなるのかなと冗談みたいな話ですが思ってしまいまして、マニフェストを普及させるために高杉参考人はどのような方法がいいと思われているかと。
 それから三つ目は、実は、この産廃の不法投棄には暴力団が関与しているということがよく言われています。そのことについても高杉参考人、何か言及されることがあれば、御教示をいただければと思います。
○参考人(高杉晋吾君) まず一つ、排出者責任という問題であります。
 排出者責任というのは決して、出してしまって、出されたものについてうまく処理をする、そのためにお金を出しなさいというものが排出者責任であるかのごとく受け取られているというふうに思うんですが、要するに、原状復帰資金を出すか出さないかという論議があるように、私は、それは一つの結果であって、まず何よりも排出することのない、いわゆるゼロエミッション的な生産の在り方、生産の在り方が根本問題でありますから、生産の在り方に関して一体どうなのかというモデルを明快にしていくべきだというふうに思います。
 つまり、決して排出者責任を取っていないという企業ばかりではなくて、排出者責任をきちっと取って、生産の在り方に関してもきちっとやっているという企業があるわけですから、そこら辺のモデル性というのは一体どういうものなのかということをきちっとまとめて、こういう形の生産の在り方にしなさいよと、そういう生産の在り方に対しては政治的にはインセンティブを与えていきますよと。そして最終的に排出するだけ、それで排出するだけで、あるいは焼却するだけというふうなものに対しては、やはり環境税というものに対してきちっと対策を取っていくべきだろうというふうに思うわけです。
 しかし、それにしても、おれのところから出したこの焼却灰はおれのところから出した廃棄物であるということをおまえどうやって証明するんだというふうに居直られたときに、行政マン諸君はいかに一生懸命やったところで、それを、排出者のところに行って立ち入って、おまえ、この焼却灰は絶対おまえのところで出したなんて、そんなことを百遍繰り返して言っても駄目ですね。
 第一、その一つの証拠として言えるのは、青森、岩手における、一万社以上ですね、排出したのが。ところが、現に、それから事件発覚以来もう十年以上たっているのに、わずかに十七、八社だ。一万社のうち十七、八社、つまり〇・二%です、〇・二%、限りなくゼロに近い。それから、措置命令で撤去された産廃は五百八十五立米です。五百八十五立米というのは、八十七万立米のうち五百八十五、〇・〇七%ですかね。そういう限りなくゼロに近い排出者責任、これあなた、首都圏の一万社がのうのうとしていますわな、一七、八社以外は、のうのうとしています。
 そういう在り方ではいけませんから、いかにして証拠を持って追跡できるシステムをきちっとすべきではないかということで、GPSというシステムはある程度評価さるべきであろうと。ただし、そのGPSシステムを普及するのに一体何年掛かるのかというふうに言われますと、それは困りますけれども、実態として、モデルとして具体的に力のある地域、力のある企業、それを中心にしてそのモデルが形成されていくならば、それは拡大する上で大きな力になっていくだろうというふうに私は思っておりますので、そのモデルとして北九州を宣伝しておりますけれども、北九州だけではなくて、東京、豊田、そして北海道は室蘭、それから中部ですね、大阪、そういうところでそういう広がりが見れるということになれば、そういうものに対する、モデルに対する優先政策を私は取るべきだろうというふうに思うんです。
 どこもかしこも同じことやっていても、各県ごとにやりなさいなんといったら、これはもう、高度な技術、高度な資金、これはもうできません。そういうことでできないだろうというふうに思います。
 それから、暴力団云々ですね。暴力団云々について、私、回答できない、正直言って。暴力団云々について回答できませんけれども、一体、日本の廃棄物処理政策というのはどういう形でやってきたのか。正直申して、背中に紙くずを、かごをしょって、そして積んでいった、そこら辺から出発しているんじゃありませんでしょうか。そして、そういう貧しい人々が日本には非常に多くおられたという問題があるんじゃないでしょうか。そして、それらの人々がモータリゼーションであるとかそういうふうな形の中で若干資金を得て、そして発展してきたという形があるんじゃないでしょうか。だとすれば、非常に底の底には貧困という問題が深くあるだろうというふうに私は思います。
 そういう貧困なる状況に対して、巨大企業が今度は不景気の中で産業廃棄物に対してかかわってくるということになると、おい、おまえらどけという話になっていきます。そうではなくて、それは国の政策の問題であろうと。彼らに対してどういう支援を行っていくのかという、そういう問題であろうと。それをやってこないで、そういう福祉政策なり、それも含めた環境と産業政策、これもなしに彼らは暴力団が含まれていると、それからいろいろ含まれているというふうなことを先立って言うべきじゃないだろうというふうに私は思います。
○福山哲郎君 マニフェスト。
○参考人(高杉晋吾君) マニフェスト。マニフェストに関して言えば、これは偽マニフェストが横行するような、そのような仕組みの下にあるマニフェスト制度は、はっきり言って、これは犯罪の上に犯罪を重ねるような、そういう仕組みの一部になってしまっているということであればこれはいかぬということが、これが一つと、もう一つは、住民がそれを見ることができない、行政とせいぜい処理業者とそれから企業と、それがお互いにブラックボックスみたいに見ることができるというふうな、そんな仕組みはやめなさいというふうに私は考えております。住民が見れるようにしなさいということです。
○委員長(郡司彰君) 時間が来ておりますから簡単に。
○福山哲郎君 江口参考人、済みません、もう一つお伺いしたかったんですが、時間が来ましたので、済みません、お許しいただきたいと思います。
 これで終わります。

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第162国会  参議院  予算委員会  2005年3月3日

農水相発言、年金特別会計、郵政改革について


○委員長(中曽根弘文君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成十七年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。
 関連質疑を許します。福山哲郎君。
○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。午前中の同僚議員に続きまして質問させていただきます。よろしくお願い申し上げます。
 まず、済みません、事前通告ありませんでしたが、午前中の議論を聞かしていただいていまして、総理、民主党の岡田代表と、年金の一元化の先行協議でも構わないと、この間おっしゃっていただきました。一元化にはこれまで総理はいろんな問題があるという御答弁が多かったわけですが、あの場面で岡田代表に協議をしていこうと言われたということは、そのいろんな問題があることは承知の上で、それを乗り越えて民主党と協議をしていこうという決意の表れだと承らしていただいていいのかどうか、お答えをいただけますでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、年金一元化の問題を先に議論することに対して、全く今までも異論を申し上げていたつもりはございません。ただ、いろいろ質問聞かれますから、年金一元化の問題はこういう問題がありますよということを述べたわけであります。協議をすれば、同じテーブルに着いて協議をすればより分かりやすくなるんじゃないですかと、問題点が、ということで申し上げたわけでございます。
○福山哲郎君 我々は、参議院選挙のときに一元化を国民の皆さんに約束をして選挙をやりまして、勝たしていただきました。是非そこは、これまでの同様の答弁ではなく踏み込んだ形で、今後また両党の幹部の議論の行方を見守りたいと思います。
 では、次に移らしていただきます。
 島村農水大臣にお伺いします。
 先月の二十五日、衆議院の予算委員会で農水大臣はけしからぬ発言をされました。BSEについての全頭検査は世界の非常識と、安全、安心に縛られていると。なぜBSEの問題について、今食品安全委員会で議論されているのに、安心、安全で縛られちゃいけないのか。国民にとっては食の安全というのは大変大きな問題だと思っていますが、この発言の真意をお答えいただけますか。
○国務大臣(島村宜伸君) 真意ということですから申し上げますが、まず、言わば全頭検査というものを実施している国をほかに御存じでしょうか。(発言する者あり)日本だけなんですよね。私は、その際に、要するに世界の常識というわけではありませんよと、全頭検査が。だから、全頭検査は常識にあらずということから、言葉を反すうしながら非常識という言葉を使ったんです。
 ただ、非常識という言葉が言わば刺激が強いとか余り感心しないというんならば、この言葉にこだわる気は毛頭ありませんが、たまたま与党の赤羽議員の御質問でしたし、お考え方は非常に論旨明快で、いろんな説明があったので、私は善意に取っていただけるものとして、あえて非常識という言葉を訂正しませんでした。
 しかし、この言葉がただ独り躍ると、なるほど角が立つんであれば、この言葉を収めることに異議はありません。しかし、御承知のように、我が国が、今農林水産省と厚生労働省が言わば共同で諮問しているのは、二十か月未満の牛についてはともかく、二十一か月以上の牛については言わばこれからも全頭検査を実施していくということです。
 そういう意味では、国際的な比較において、例えば、御承知のように、EUなどは三十か月ですから。EUの中にも例外はあります、なるほど。フランスと、言わばスペインとイタリーと、そしてドイツでしたね。ところが、フランスは、御承知のように、EUの三十か月に合わせて、昨年の七月から三十か月以上に改めました。そういう事ごと照らしますと、日本からも数多くの人がヨーロッパを訪問し、あるいはアメリカを訪問する。そういう場合に、向こうでは肉を食することが危険だということになってしまうわけですから、私はやはり、そういう事ごとは世界の常識、どの国だって安全管理には心を砕いているわけですから、そういう中で通用することも一応配慮に入れる必要はあるんではないか。
 ただし、いろいろ御質問のあった、食品安全委員会に対する私が圧力を掛けるということは全くございませんので、申し添えます。
○福山哲郎君 いや、ほかの国は全頭検査をしてないんだったら、そう言われればいい。世界の非常識だということを公の予算委員会の場で言われて、その真意は、常識にあらずということを言いたかった、こんなもの通用するわけないじゃないですか。
 日本が、今牛肉について、国民の皆さんが国産牛に関して安心して食べれるようになっているのは、全頭検査をやって信頼感が高まったからじゃないんですか。日本はそれを分かった上で全頭検査に踏み切られたんじゃないんですか。お答えください。
○国務大臣(島村宜伸君) 昨日も御党の佐々木委員から衆議院予算委員会で御質問がありました。
 その際に、全頭検査というのは世界どこもやっているわけではないが、あの平成十三年の九月にBSEが発生し、翌月から全頭検査を実施したんですが、当時の言わば消費者の、まあ恐れおののきといいましょうか、大変なパニックに陥るような状態で、肉屋さんでも牛肉ばかりかほかの肉まで姿を消すぐらい厳しい状況でしたから、私はあれは、全頭検査をしたことは英断であったと、あえてそう申したところです。
 しかしながら、その後三年四か月余を経過していますね。しかもその間には、私、昨日は三百五十万頭を超えるというような話をたしかしたように思いますが、全部調べてみましたら、もう四百二十万頭を超えるわけです。そういう中で二十か月未満には一切そういうものが出ていない。それで、二十一か月以上についても疑わしいという面は、指摘された面がありますから、これらについてはそれらを含めてこれからも検査を続けるということで我々は諮問しているわけですから、私はおかしな言い訳をしているつもりはありません。
○福山哲郎君 今大臣が言われたことを協議をしているのが食品安全委員会なんです。そこに大臣は、自らおっしゃられましたが、諮問をされているんです。諮問をされて審査をしている最中に、その諮問をしている人間が非常識だなんと言ったら、食品安全委員会、どうやって審議するんですか。お答えください。
○国務大臣(島村宜伸君) まず私の最初の発言についてよくお調べいただいたら御理解がいただけるんだろうと思いますが、非常識という言葉だけを抜き出して云々と言えばあれですし、また同時に、食品安全委員会に向かって非常識めいた話は一切いたしておりませんので、そこの方を混同しないでいただきたい。
○福山哲郎君 いいですか、国会の予算委員会の場で言われたことなんですよ。別に安全委員会の委員に向かって非常識だと言わなくたって十分圧力になるじゃないですか。
 もう一つお伺いします。
 アメリカのジョハンス農務長官から島村農務大臣、農水大臣は書簡を受け取っていらっしゃるかどうか、お答えください。
○国務大臣(島村宜伸君) 実は、そういう報道があったのでいろいろ調べてみたんですが、今までのところ全然見当たりませんので、受け取っていないというふうに申し上げるべきでしょう。
○福山哲郎君 これ、アメリカで書簡を送ったという委員が議会で証言をしていまして、これ真偽のほどを一度調べていただけますでしょうか。
○国務大臣(島村宜伸君) 調べてみたいと思います。
○福山哲郎君 そうすると、アメリカからの最近いろいろな形での日米協議、日米構造協議も含めていろんな提案が出ていますが、アメリカの通商報告で日本を厳しく批判をしたと。それに呼応するようにジョハンズ農務長官から書簡を送ったという報道もあります。このことについて大臣はどのようにお考えですか。
○国務大臣(島村宜伸君) それぞれの国にはそれぞれの文化もあれば国民性というのもありますから、物の考え方にもいろんな差異があることは当然だろうと思います。
 アメリカの立場で考えれば、一体いつになったら結論が出るのか、本気でやってくれているのか、こんなような話は実は私はいろんな角度から随分聞かされています。政治家もそうですし、報道関係者もそうですし、学者も、たくさんの友人が海外で活躍して、アメリカにもいるわけですから、アメリカの情報として、日本の真意をかなり疑う向きがありますよという御指摘は再三いただいているところでありますが、私どもは私どものルールでやっていただくというかねての主張どおりに私はこれをそのまま収め、聞き収めていると、こういうことです。
○福山哲郎君 もう一度非常識発言に戻りますが、あの非常識発言は、じゃ撤回はされないんですね。
○国務大臣(島村宜伸君) よくお聞きいただいていれば、私が、非常識という言葉が適当でなくて適切でないとおっしゃるならば、このことに、言葉にこだわる気はありませんと。
 ただ、私が非常識と申したのは、申し上げ掛けて、常識ではないと、常識にあらず、すなわち非常識と思ったからいいかなと思って用いたのがあのときの非常識を使った言葉である、そういうことは先ほど申し上げたとおりであります。
○福山哲郎君 私の質問に答えていただいていない。撤回していただけますかと聞いているんです。
○国務大臣(島村宜伸君) そのとおり受け止めていただいて結構でございます。
○福山哲郎君 分かりました。撤回されたということですね。ということは、自分の非を認められたと。
 アメリカが通商報告で日本の対応を厳しく批判をしたり、さらには農務長官から書簡を送ってきたりという状況の中で、正にその時期に農水大臣が自分が諮問しているにもかかわらず非常識だという発言をしたと。これ大問題だと私は思うわけです。まるであれじゃないですか、あなたは圧力の増幅装置じゃないですか。アメリカ側の圧力を大きく拡大、拡声しているだけじゃないですか。
 今、安全委、食品安全委員会は政府からの独立機関としてしっかりと審議をしていただいているわけですし、更に言えば、二月に変異型のヤコブ病の日本人で初めて死亡も出たという状況なんです。そういう状況の中ですから、慎重にこれからは御答弁をいただきたいということをもう一度確認させてください。
○国務大臣(島村宜伸君) 私が御答弁していることはテレビを通じて国民の皆さんもお聞きになっているわけですから、私が言っていることを片言隻句でいろいろおっしゃるのはいいですけれども、全体をとらえたときは、今までのわずかな時間の答弁でも、私は決しておかしな言い方をしていない。あなたに対しても失礼な言い方をしていない。安全、安心に関してこれからもその姿勢で臨むことを私たちは今でも大前提にしていることを申し上げたい。
○福山哲郎君 これも変な話で、安全、安心に縛られているとついこの間発言した農水大臣とは思えないと思います。私たちは本当はあなたにはもうすぐ辞めていただくべきだと思っているんですけれども、もう一つだけ申し上げます。
 この二十か月の問題は決してその問題だけではありません。日本の場合には、えさの規制、屠畜方法、危険部位の除去、いろんなものを総合的に判断するからこそ安全委員会が慎重に審議をされているんです。そのことを理解せずに、アメリカの圧力でこういった非常識発言するということは資質を疑いますが、とにかくこの問題については猛省を促したいというふうに思います。
 じゃ、次に行かせていただきます。
 ちょっと話がずれましたが、私、実はスマトラ沖地震の現場、スリランカに実は二月に行ってまいりました。私は、全部政府のやったことを批判しようと思っているわけではありません。スリランカに行って、これがそのときの様子でございますが、まだ五十日たっても瓦れきの山があちこちにあります。(資料提示)
 外務省、地震の後、すぐどのような対応を取られたか、日本政府の対応についてお聞かせください。
○国務大臣(町村信孝君) 外務省におきましては、被害発生の報を受けて直ちにまず領事局内に連絡室を立ち上げました。その後、被害の甚大さ等々を勘案して二十八日に、朝、私を長とする緊急対策本部を設けたところであります。
 災害発生当日ですが、現場の方では二十六日、タイ及びスリランカの各大使館は大使を本部長とする対策本部を設置して、例えばタイの大使館におきましては、同日直ちに被災地のプーケットに大使館職員を陸路及び空路で派遣をいたしまして、二十七日未明には臨時領事相談室を立ち上げたところであります。また、スリランカ大使館におきましても、南部被災地域及びモルディブにそれぞれ大使館職員を派遣をいたしまして、安否の確認及び援護業務を行いました。
 また、インドネシアにおきましても、災害発生後直ちにジャカルタの大使館及び最寄りのメダン総領事館において対策本部を設置し、さらに被災現場でありますバンダアチェには、現在、臨時事務所を設置をいたしまして、この事務所には本省及び近隣公館から現在でも五名の者が常時派遣をされるという形で活動をやっております。
 そのほか、具体の支援活動の決定については、一月一日の朝に、朝というか、一月一日中に概要を小泉総理の御裁断もいただいて決定して、六日のジャカルタの津波サミットで五億ドルの救援の総額の発表をいたしました。そして、二国間経由につきましては一月十九日に、国際機関経由では一月二十一日にすべて全額を先方政府あるいは機関に支出済みでございます。
 また、人的貢献の面では、ちょっと長くなって大変恐縮でございますけれども、十二月三十日にスリランカに対する国際緊急援助隊の医療チームの派遣を皮切りにいたしまして、医師、看護師から成る医療チーム、警察、消防、海上保安庁等から構成される救助チーム、DNA鑑定の専門家チーム等を累次派遣をしております。
 また、十二月二十八日から一月一日の間、プーケット沖で、これは海上自衛隊によりましてシンガポールから急遽回ってもらって捜索救助活動を行うとともに、陸海空自衛隊によりましてインドネシアにおいて一月十日から十九日、十日から物資輸送を始め、十九日からアチェにおける医療・防疫活動を実施をしております。
 それから、知見の面では、十八日から二十二日、国連防災世界会議が折しも開かれていたわけでございまして、これに向けてインド洋津波早期警戒システムの構築に最大限貢献をする等々、私どもとしては可能な限りの対応をできるだけ早くにしたつもりでございます。
○福山哲郎君 私は今回の日本政府の対応は大変評価できると思っています。スリランカ行っても、大使館員の方も一生懸命仕事をされていました。また、スリランカの関係者も本当に喜ばれていましたし、町村外務大臣言われましたが、スリランカに至っては八十億円をキャッシュでもう振り込まれたのは我が国だけだと。対応の早さも含めて私も大変評価をさせていただきたいと思います。
 その八十億円、例えばスリランカですが、どのように使われる御予定になっているか、お聞かせいただけますか。
○国務大臣(町村信孝君) 各国共通して、発電機であるとか、テントでありますとか、あるいは浄水機等々でございますけれども、特にスリランカに関しては、例えば横浜市から提供がありました中古バキュームカー九台、これを日本からスリランカまでの輸送費用というものを無償資金で拠出をするということで、近々到着をする予定でございまして、このほかにも、給水車でありますとか建設用の重機を購入をする予定ということで、既に調達手続を開始をしていると。もちろん、あと、緊急に必要な医薬品でありますとか、あるいはそうした物資の購入、あるいは緊急に直さなければならない施設とか道路の補修等にもこれらのお金が使われることになっております。
○福山哲郎君 この点についても私は大変評価をしているんですが、これ見ていただきますと、まだ瓦れきの山でございます。(資料提示)実は私、あの被災地も行ってまいりましたし、被災民の方とも話をしてきました。
 実は、今重機の道具というような話も外務大臣お答えいただきましたが、実は現場へ行くと家がもちろん全部流されているんです。まずは私有地の特定ができないんです。要は、この土地がだれかという特定ができないんですね。それから二つ目は、家を造りたいというから、先ほどの重機の話があるんですが、実は大工さんがみんなその村で亡くなっているんですね。子供たちの教育を何とかしたいと被災民は思っているんですが、学校を造っても実は学校の先生がみんな亡くなっているんですね。そのぐらい村が全滅なんです。そのときに、例えば重機、家を造る機械だけ渡しても、これは役に立たないわけです、大工さんがいないわけですから。
 つまり、この八十億円の使い道については、そういった現場のことをしっかりと対応して、ウオッチングをして、そして継続的な事業になるように。ともすれば、スリランカ政府は大変貧しい国ですから、はっきり言って、八十億円キャッシュが来たわけです。どう使うかということに対しては、やっぱりそこは内政干渉にならない範囲で、実はあそこは内戦もしていたので、和平交渉のこともあります。そういったことを総合的に細かく、外務大臣、対応いただくように、少し前向きな答弁をいただけませんでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 今回の津波災害、スリランカではそうした内戦状態もあり、同じようにインドネシア・バンダアチェでもまたアチェ独立運動というものがあり、なかなかこの複雑な地域を今回の津波が襲ったんだな、地震が襲ったんだなということでございます。
 それぞれの国の主権に属する話でもありますから、余り確かに内政干渉にわたってはと思いつつ、しかし、さはさりながら、私どももこれだけの資金をお出しし、またできるだけ人々の役に立ちたいと、こういう思いでございますから、これはまず日本としても、JICAあるいはJBIC、国際協力銀行ですね、こういったものを送って、調査団を既に送っております。
 そういう形で、すぐに役立つ、あるいは中長期的な復興に役立つ、どういうことをやったらいいか。もちろん現地に大使館もおります。また、大使館の方々は現地にいる民間の方々のお力、あるいはNGOの知恵もかりながら、何が今一番必要なのかということを見極める作業、それを先方政府と、あるいは国際機関からも随分いろんな人たちが入ってきておりますから、そういう国際機関の人たちともよく相談をしながら、万が一にも違う方向にそれが使われてしまったり、あるいは使われずにただ単に、どういうんでしょうか、その国の財政支援だけに終わってしまったということがないように、きちんと調査結果とその具体の作業といいましょうか、復興支援活動というものが直結するように十二分に注意を払っていきたいと、かように考えております。
○福山哲郎君 前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 そして一方で、大使館員の方、大変だったと思います、初めての例で。例えば、私もお伺いしたんですが、たくさんの遺体が上がっている中で、アジア人が出たというと、日本人か中国人か韓国人か分からないといって、大使館員の方は何十キロも何百キロも車で走って検視に行かれる、安否を確認に行かれる。そうすると、それは何百体とある遺体の中で見付ける、その死臭、情景。そしてそれが日本人ではなかったときの何とも言えない、だからといって日本人じゃなければそれでいいのかというとそうでもない、喜んでいいのか悲しんでいいのか分からない。
 そういった思いの中で、実は各国の大使館の方、御苦労されたと私は思っているんです。ただ、業務だからといってそこにずっと置いておくということではなくて、精神的なケアも含めて、それから人員の補充も含めて、ああいう異常事態のときには是非本省の方で人員をチェンジをするなり、更には精神的なケア、フォローをするなり、そういったことの配慮をしていただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 委員の御指摘、誠にごもっともでありますし、また温かい御配慮と受け止めて感謝を申し上げます。
 例えばこれはタイでございますけれども、被災現場に約六十名の館員をこれ交代交代でローテーションをつくって派遣をすると。一人の者がずっといないようにといっても、それでもどうしても長くなりがちである面はございましたが、余り極度に長くならないようにというようなこともやっておりまして、こうした現場の対応を支えるために、本省とそれから近隣の十二の在外公館から計三十名近くの職員をタイとスリランカには派遣をいたしました。
 インドネシアの場合は、さっき申し上げましたように、バンダアチェに常時五名派遣をして、大体二週間をめどに人員交代をするということで、インドネシアの方には既に延べ五十名が交代交代で現地に、バンダアチェの方に行くというようなことをしております。
 また、メンタルヘルスの面も大変重要でございまして、大使館それから本省の医務官が連絡を取りながら、個々の職員と面談をしながらそのケアに当たるというようなことで、この面でもきめ細やかな対応を取っているつもりではございます。
 私もインドネシアの大使館あるいはタイの大使館の諸君と話をいたしましたけれども、本当にまだ学校を出て間もない若い女性の館員が、もうそれこそ修羅場のようなところを髪振り乱して本当に一生懸命働いているという現場も私もかいま見まして、ああ一生懸命やってくれているな、ありがとうといってお礼を言っておきましたが、本当にみんなよくやってくれたなと思って感謝をしております。
○福山哲郎君 私は、大臣、揚げ足を取るわけではないですが、やられたことではなくて、よりこれからもちゃんと前向きにそういったことにケアをしてくださいとお願いをさせていただきましたので、よろしくお願いしたいと思います。
 さはさりながら、済みません、嫌なことも言わしていただきます。じゃ、生存者に対して、運良く生存された方に対して大使館がどう対応したか。また、亡くなられた方の御家族がその現地に行かれたときにどういう対応だったか。これはいろんな手記とか、いろんなところで問題も起こっています。
 例えば、運良く生存されたスリランカの方は、大使館に行ったらパスポートの再発行は一万円掛かるから金を払えと。その方は全部流されて、命からがら一日半掛けてコロンボの大使館に来たら、お金も何にも持っていない、着のみ着のままだったら、お金を出せと言われたとか、外のロビーに何時間も待たされて悔しくて涙がぽろぽろ出たとか、更に申し上げれば、プーケットのデスクに行ったら、ある行方不明者の家族の方が名前と住所と年齢をその行方不明の方のを聞かれたと。名前と住所と年齢を聞いたって遺体はそんなもの付けてないわけです。何の探し出す手だてにもならないのにそれだけ聞かれてほうっておかれたとか、タイの大使館は二十六日に災害があったにもかかわらず二十七日の昼前まで電話がテープだったと、休日用のテープだったというようなことも伝わっています。
 つまり、大使館員の皆さんの仕事は、大使館の仕事は、確かに亡くなられた方の安否は第一次でしょう。しかし、その次には生存者、邦人保護という大変大きな仕事があるわけです。そのことについて、そんな批判も上がっているので、そこについては、外務大臣、どのようにお考えかお答えいただけますか。
○国務大臣(町村信孝君) 幾ら一生懸命やっても、やはりああいう極限状態の中でございますから、決してそれは、すべての方々に対して一〇〇%十分な対応ができたかどうかと言われれば、それは振り返ってみて反省すべき点もあったであろうと、もうそれは率直に認めなければならないと、こう思っております。
 まず安否の確認ということを最優先をしておりました。したがって、お元気な方は多少待っていただいたとか、一人一人お話を聞いていたら多少待っていただく時間長くなったという、理由を挙げればそれはそういうケースもあったかもしらぬ。しかし、そこを個々を言ってもしようがないと思います。現実に不快感を持たれた方々もいらっしゃったことも私も耳にいたしております。そういう方々にはおわびを申し上げながら、今後とも十分最大限の対応ができるように日々、私どもも一応邦人保護のマニュアルというものもできておりまして、そういったものによく勉強しながらしっかりやっていきたい。
 ただ、たまたまですが、これは二月二十三日の日の夕方に、宮下一郎衆議院議員が、別に親戚ということではなかったらしいんですけれども、プーケット日本人会会長の宮下さん、山口事務局長さんほかをお連れになられました。私もこの宮下日本人会会長には現地でお目に掛かったんですが、何で急に来られたのかなと思いましたら、一つは、観光客が激減しているので、何とか観光客が戻ってくるように外務省も応援してもらいたいというお話と、もう一つ、外務省の皆さん、大使館の皆さんにお礼を言いたいと。本当にプーケットでよくやってくれたということを、これはもう現地日本人会の一致した意見だから、このことを大臣にお伝えをしたいといって、わざわざ立ち寄ってくださったという一幕もあったことを蛇足ながら付け加えさせていただきます。
○福山哲郎君 私もすべてが悪かったと申し上げているわけではありません。
 しかし、外務省に実はこの間、この質問をしたくてお呼びしたときに、邦人保護のマニュアルはあるのかと言われたら、その事務方の方は勘違いをされたんだと思いますが、ないとまず第一に答えられました。そんなばかな話はないだろうと言ったら、何とかお持ちしますと言われました。そして、私のところにファクスに入ったのが、私がレクを受けたその日の日付でたった二枚の邦人保護マニュアルが来ました。こんなマニュアルでは間違いなく、地震だ、災害だ、そして今はひょっとするとテロもあるかもしれないような状況に対応できるようなマニュアルではないんです。
 これは、今大臣がマニュアルがあるとおっしゃられましたけれども、本当にどのぐらいしっかりとしたマニュアルがあるかどうか、大臣、お答えいただけますか。
○国務大臣(町村信孝君) これがマニュアル本体であります。
 ただ、これにはいろいろな、電話が書いてあったり、例えばここにあるのはスリランカ大使館のマニュアルなんでありますが、いろいろなことが書いてあったりするもので、多分このエッセンスを委員の方にはお持ちしたのではないかと。
 別に、これ本体を丸々お見せしても別に何か困ることが書いてあるわけじゃないので、それは本来お見せすべきであったと思いますし、そうでなかったこともおわびを申し上げますが、これにはかなり、例えば緊急事態が発生した際の措置、対応一、二、三、四、五とかですね、それから緊急事態が発生するおそれが高くなった折とかですね、かなりいろいろなケース分けをしてきめ細やかに、どう対応するか、先方政府との対応に、それから来られた日本人、邦人の方々への対応等々、ちょっと何ページかというと、ここにはページ数が書いてありませんが、三、四十ページのものになるんでしょうか、そうしたものが、それぞれの大使館のまた独自性も加味しながらだと思います、全館すべて完全に同じではないのかもしれませんが、そういったものも持ってやっているところでございます。
○福山哲郎君 つまり、そこがやっぱりけしからぬと思うんですね。
 私は、別に批判をしようと思ってマニュアルをお願いしたんではないんです。邦人保護というのは非常に重要だからといってお願いしたら、これ二枚ですよ。項目が書いてあるだけですよ。これじゃ建設的な質疑もできないじゃないですか。そして、大臣がこの予算委員会に出てこられて、いや、実はあるんですと言われたら、これ審議できないじゃないですか、大臣。これ、けしからぬと思いませんか、この外務省の体質。
○国務大臣(町村信孝君) 急ぎエッセンスをお持ちしたんだろうと思います。次回から十分気を付けたいと思います。
○福山哲郎君 是非これは徹底をしていただきたい。そして、議員にもやっぱりこういった状況で邦人保護のマニュアルがあるんだということを周知していただきたいと思うんですね。議員もやはり外に出ていることも多いと思います。そんな状況の中で、やっぱり今みたいな大使館の中だけは治外法権みたいな状況ですと、ロビーに待たされる被害者も出て、被災者も出てくるわけですから、是非そこは前向きに対応していただきたいと思います。
 もう一点、このスマトラ沖地震の関係でいうと、自衛隊の皆さんにも御活躍をいただきましたが、残念なことに、二月の二十七日、この地震の災害の救援に行かれていた航空自衛隊の隊員の方が宿泊先のホテルから落下をされて亡くなられている事件が起こっています。このことについて分かっていることをお知らせいただけますか。
○政府参考人(西川徹矢君) お答え申し上げます。
 本事案でございますが、二月の十六日にインドネシア国際緊急援助隊のこれは第二次隊でございますが、第二次隊という形で派遣されました隊員でございます。三等空曹、三十五歳の男性でございますが、二十七日に、先生が御指摘の二十七日の日曜日、タイ王国のパタヤ、これ、うちの部隊が行っておりますウタパオという基地がございますが、そこから約二、三十キロメートル離れたところ、ここが宿泊先になっております。そこのホテルから落下したということで、その後直ちに現地の病院へ搬送されましたが、同日の日本時間十九時四十分、これは現地では十七時、約六時ごろでございますが、死亡が確認されたと。要するに、これ、落下いたしましたのが十五時五十分でございますので、おおむね四時間ぐらいで亡くなられたと、こういうことでございます。
 現在、詳細等については、こっち、日本の方からも人をやりまして、向こうの者と一緒に、これは現地ではタイ警察の方が主体になってやっていただいておりますが、現在調査中でございまして、本人の勤務状態だとか、あるいはその当日その周辺にどういう方がおられたとか、そういうことも含めて、そしてまた、直接原因はどういうものかというものを含めて、ちょっとまだ、結論的なことをまだ御披露できる段階には至っておりませんが、今現在調査中ということでございます。
○福山哲郎君 この隊員はどのぐらい現地にいらっしゃったんですか。
○政府参考人(西川徹矢君) 十六日に出まして十七日の日に、十六日に日本を出まして十七日に着いておりますので、おおむね十日ちょっとでございます、はい。
○福山哲郎君 何の事故で亡くなられたか原因がまだ分からないということですからこれ以上は申し上げませんが、ひょっとすると災害地の非常な状況を見て精神的に何かあったのかもしれませんし、別のことがあったのかもしれませんし、そこは調査をしっかりしていただきたいと思います。
 で、私が申し上げたいのは、大臣が私たちはちゃんとやりましたと、いろいろ大変でしたけれども頑張りましたと言われれば、次の進歩がないわけですけれども、まず邦人保護についてきっちりと外務省なり、内部なり大使館でもう一度確認をしてください。こんなに大きい災害が出たり、地震も起こっているわけですから、再度御確認をいただきたいと思います。邦人保護のマニュアルを徹底すること、そしてそれに対するケアをちゃんと大使館員の方に徹底していただくこと。
 それから二点目は、そういった状況が起こったときの現地の大使館員や若しくは派遣をされた自衛隊員等に向けたケアについて。日本にいれば想像付かないようなことがたくさんあります。僕、言いたいこと一杯あるんですけど、時間がないから言いませんが、そのことを是非御考慮に入れて、前向きに邦人保護についてもっと積極的にやっていくということを、御決意をいただきたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 言うまでもないことでございます。邦人保護は外務省、日本国政府の最も重要な仕事でございます。
 したがいまして、こういう異常な事故、事件のときでなくとも、平時からそのことに心掛けているつもりでございますが、特にこうした大災害等の折には時間が限られ、その成果、日ごろのまあ訓練といいましょうか勉強といいましょうか、あるいは事前の準備、そういったものが問われる、そういう瞬間であろうと思います。そういう折に、万が一にも本当に失敗がないように、きちんと対応できるように、今後更に一層努力をしてまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 済みません、よろしくお願いします。
 スリランカだけが大変ではありませんでした。インドネシアだけが大変なのではありませんでした。我が国は新潟中越地震、それから台風二十三号の災害がありました。実は、まあ一瞬落ち着きを今取り戻している、新潟はまだしんどい状況だと思いますが、その中で今問題になっているのは実は廃棄物の問題です。(資料提示)
 これを見ていただきますと、これ、私の地元の大江町という京都の町の廃棄物の一時集積所の状況です。それからもう一枚は、私も財務大臣も地元であります舞鶴の一時集積所の写真です。
 例えば、環境省お答えください、台風被害に遭った豊岡、さらには新潟小千谷市はどのぐらいの廃棄物が出て、それは毎年出る廃棄物の何年分だったかお答えいただけますか。
○国務大臣(小池百合子君) お答えいたします。
 兵庫県豊岡、これは、台風及び水害というその被害でございますけれども、その破棄物は浸水した畳であるとか家具などの家財道具を中心といたしまして、当初二年分ぐらいかなと言われておりましたけれども、精査いたしまして、約一・四、一年四か月分、分量にしますと約三万二千トンになります。
 それから、新潟の小千谷市でございますけれども、こちらは中越地震で、壊れた家財道具などのほか、これから解体される家屋そのものですね、これも含めまして、最終的には平常時の約十四年分に相当いたします約二十二万トンの災害廃棄物が発生するというふうに見込まれております。
 ちなみに、今週末、私、三宅島に参りますけれども、あそこ人口が小さいということもありますけれども、約七千トンという大変大きな数字の廃棄物が出ているというのが実態でございます。
○福山哲郎君 そうなんですね。小千谷市は何と十四年分出ているんですね、一回の地震で。豊岡市は一・四年分です、たった一日の台風で。そして、先ほど申し上げた大江町は四年分、舞鶴市は被害が一部だったので二か月分なんですが、これは大変な量なんです。これが全部各家々から出ると道路が一遍に通行止めになるんです。車が動けなくなるんです。これも災害の後現場に行くとその状況は分かります。そうすると、その自治体は、そのにおいも出てきますから、その一時出てきた、道路に出てきたごみをどこに一回集積をするかというのが大変その自治体にとっては課題になります。
 ちなみに、今の豊岡、小千谷はどこに一時集積されたか、大臣お答えいただけますか。
○国務大臣(小池百合子君) 豊岡の場合は仮置場が二か所、一つが工業団地内の未分譲地、売れ残っている部分のスペース、それから県営空港の駐車場を使いました。
 それから、新潟、小千谷でございますが、こちらは三か所、山林の中の空き地とか市民広場、市営公園などの駐車場を使っておられました。
 それから、新潟県三条市の方は旧三条競馬場の跡地であるとか市所有の空き地、最終処分場の敷地内ということでございます。
 ということでございます。
○福山哲郎君 そうなんです。各自治体、非常に悩まれたんです。
 そんなところで、例えば先ほど申し上げた大江町は近くの町有地。そして、実は舞鶴市ですが、大臣、舞鶴はごみの集積場が一瞬見付からなかったんです。でも、出てくるのでしようがないと言って実は学校のグラウンドに一時集積をしたんです。市長の英断でした。で、これすごい勇気が要ったんですね。次から子供がそこで遊ぶかもしれない、親も多少抵抗が出てくるかもしれないと思いながら、市長の英断で一時ごみをそこに集めました。おかげさまで、父兄からも教育委員会からもいろんな抗議とかは出なかったんですけれども。
 実は、その一回グラウンドに置いたごみを別の場所に移動するときにそのグラウンド、そのままではもう学校再開できないですよね。だってガラスの破片が落ちているかもしれないし、化学物質があるかもしれない。それを実は掘り起こして土を埋めなきゃ子供ができないといったときに、災害の査定のときに舞鶴市は十センチ土を掘らしていただいて、掘りたいと言ったんです。そうしたら財務省は、十センチは認めないから三センチ分なら出してやると言って三センチしか出さなかったんです。
 これ、せこいような話ですけれども、実はこんなことまで国が口出しちゃいけないと僕は思うんです。これ、市長がグラウンドにごみを一時集積させたというのはよっぽどの決断なんですよ。それを、実は十センチと三センチの違いって、たった千三百万と六百万ですよ。これを財務省が一々口出して、三センチなら出すと言ったんです。僕はこの予算委員会でやるには細か過ぎる話かと思ったんだけれども、こういうことが僕は一事が万事、地方分権ができないし、地域の自由がない私は証拠だと思ってます。
 そして、その理屈が、災害ではないんだと、ごみが出て移動したことはもう災害のことではないんだという理屈だと言うんです。これはどう考えたって災害じゃないですか。大臣、どうお考えですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今おっしゃった大江町それから舞鶴は福山先生の選挙区でもございますが、この委員会の中にはあそこにおられる二之湯議員も選挙区でございますし、私、衆議院では私の選挙区でございますので甚だお答えしにくいんでございますが、こういう災害復旧事業の場合、これは岡田中学校、あるいは岡田下小学校でしたか、一番災害のきつかったところですから、この場合でいえば舞鶴から、そして学校は文部科学省ですから、文部科学省に申請をして、その主務省、文部科学省から査定官が行かれるわけですね。で、私ども近畿財務局から立会い、立会と言っておりますが、立会官を出してその制度の適切な運用を図るということで立ち会わせていただいて、今、財務省とおっしゃいました。基本的にはまず文部省、文部科学省でやっていただくわけです。
 それで、その立会をしますときに、やっぱり一つは査定基準というものを守らなければいけないと、法に定められた査定基準を守らなきゃいけないと思うんです。ただ、個別具体の被災状況に応じて、一番難しいのは、どうやったらもう少し効率的に、せっかくお金を使うんなら効率的にやっていくためには多少改良みたいなことを、復旧だけじゃない、改良みたいなこともやれないかというのは常にある問題でして、どこに、弾力的に運用するとしてもどこまで弾力的にするかというのは非常に難しい問題だと思います。
 で、確かに委員の言われたように、金額的に言えばあと少し積み増せばいいじゃないかということは確かにございました。ただ、制度、ここから先は財務大臣として言ってるよりもむしろ地元の代議士として言っているのかもしれませんが、制度そのものとしていえば、今環境大臣がお答えになりましたけれども、環境省の、復旧を超えてやっていくということになりますと環境省の方でやるわけですが、これでいくと地元はその費用を自分で負担しなければならない。そこで、ここにヘドロ等が流れ込んできておりますから災害復旧事業でやれば国がある程度出せるということで舞鶴市は申請をされたわけですね。
 それで、ただ、これ厳格に、言い過ぎます、言い過ぎるといけませんが、厳格にいけば、災害復旧事業としてはヘドロを元に戻すところまでで、そこから先、その土砂をどうするかというところはできない。そこを、要するにこの舞鶴市と文部科学省がどう話し合われたかということは、やっぱりヘドロを元に戻すんでも、やっぱりそこは重機なんか入れるから、どうしたってそこに、何というんでしょうか、地面傷んだりすると。それを回復するということで三センチメートルは認めようということになったわけでございまして、私は文部科学省としてはかなり柔軟に判断をしていただいた面があるんではないかと思います。
 そこで、あとわずかだから積めということになりますと、制度の建前とその折り合いをどう付けていくかという非常にこの災害復旧のときの難しい問題になると。私も自分の地元のことだけに、非常に思いは千々に乱れながら答弁をさせていただいているわけでございます。
○福山哲郎君 いや、でも、結論は今のだからしようがないという話なんです。つまり、こういう制度設計していること自身が私は間違っていると思っていまして、その制度設計を変えていくために分権が必要だと我々は主張しているんですね。
 小泉総理も一応建前はそう言っておられるわけでございますが、実際はこんなばかげた話があるということでございまして、一つの例として申し上げさせていただきましたが、是非弾力的に運用できるようにお願いしたいと思います。
 次、行きます。
 次ですね、年金の問題でいくと、厚生保険特別会計というのがあります。これは、もちろん厚生年金を保険料を預かって積み立てていただくものです。これが実はその予算書でございまして、全く本当に分厚い予算書でございます。(資料提示)
 ここに、お手元にお配りをしたペーパーと、ここにあれが、実は厚生保険特別会計の積立金明細表というのが今年の予算書から加わりました。これは画期的なことでございまして、積立金の明細表が今まで付いていなかったんですが、我が党の郡司参議院議員が長年このことについて明細表を出すべきだと主張されて、今年からようやく明細表が付くようになりました。私はこれは画期的だったと思っていますが、これを見ていると、実はびっくりしたことがありました。
 この積立金、厚生保険です。もちろん、厚生保険の保険料を払っていただいている方の積立金が百三十七兆円、平成十六年度あったんですが、ごらんいただきますと百三十二兆円に減っています。百三十七兆が百三十二兆円に実は取り崩されているわけです。この取り崩されたものに去年の残高というものが加わって、六兆五千三百億円が年金勘定に加わっているところでございます。
 私、この年金勘定をもう一度見ました。そうしたら、ここには何とこの六兆数千億円の、六兆五千億円の金が保険給付費等の財源に充てるための積立金からの受入れ見込みを計上と書いてあるんです。保険給付費等と書いてありますが、この保険給付費については言及がありませんでした。保険給付費は幾らなんでしょうか。
○政府参考人(青柳親房君) お答え申し上げます。
 保険給付費等という形で予算書に書かさせていただいているものをもうちょっと細かく申し上げますと、まず厚生年金保険の給付費という形で出しているものが二十二・五兆円の規模、それからこれに加えまして、基礎年金の拠出金という形で、厚生年金として徴収したものの中から基礎年金の方に拠出金という形で繰り入れるものが十一・三兆ございます。また、これ以外に、年金の給付に充てられるものといたしまして、厚生年金基金等の過去に補助金を出しておりました給付費等がございますので、これらを合わせたものが広い意味で給付に充てられるものということになっております。
○福山哲郎君 だから、この六兆五千三百億円、年金積立金取り崩してから、これが給付に充てられるのは幾らかと聞いているんです。
○政府参考人(青柳親房君) 六兆五千億円の使途という意味でお答えを申し上げますと、このお金につきましては、厚生保険特別会計の年金勘定における取扱いといたしまして、厚生保険特別会計法の第八条の第四項という規定によりまして、年金勘定の歳入に不足が生じる分を受け入れるという形になっております。したがいまして、年金給付のみならず、これにかかわる歳出に一般的に充てる、すなわち使途を限定せずに充当するという考え方が取られております。
○福山哲郎君 だから、いいから幾ら、じゃ使途を限定しないのは幾らだったんだと聞いているんです。
○政府参考人(青柳親房君) 繰り返しの御説明になりますが、厚生保険特別会計の年金勘定の中で平成十七年度に歳出として予定されているものが総計で三十八兆五千九百二十四億ございます。これに対しまして、歳入として予定されているものに不足が生じ、その不足相当分に当たる六兆五千億が積立金より受け入れられているという形になっております。
○福山哲郎君 じゃ、なぜ歳入が、何が原因で歳入が不足したんですか。
○政府参考人(青柳親房君) 歳入不足につきましては、一つには、歳出の中で、申し上げましたように、先ほど申し上げましたものが主な歳出として項目ございますが、そのほかに、大きな項目で申しますと福祉施設等業務勘定への繰入れということでございまして、特にこの中でも年金住宅融資事業等の廃止に伴う財政融資資金からの借入金の繰上償還に充てるものが四・二兆円ほどございますが、こういったものを含む業務勘定への繰入れというものが歳出の増加要因となっております。
○福山哲郎君 ここに保険給付費等って書いてあるから、この保険給付費は幾らかと聞いているんですよ。
○政府参考人(青柳親房君) 繰り返して申し訳ございませんが、保険給付費に充てるものは、歳出規模、先ほど申し上げましたように二十二・五兆になっております。
○福山哲郎君 六兆五千三百億円の中で幾らかと聞いているんだ。
○政府参考人(青柳親房君) 繰り返して申し訳ございませんが、六・五兆は何か特定の用途に充てるために歳出をするというものではなく、先ほど申し上げました、歳出すべての項目を合計した額が歳入額との間で不足が生じた場合に繰り入れるということでございますので、何に充てるということはないというふうにお考えいただきたいと思います。
○福山哲郎君 だって、保険給付費等に充てるって、給付費って入っているじゃないか。だから、これは幾ら充てたのかって聞いているんですよ。ここで特定しているじゃないか。
○政府参考人(青柳親房君) 保険給付費及び基礎年金拠出金、あるいは先ほど申し上げました年金住宅融資事業等の廃止に伴う財政融資資金からの繰入金の繰上償還等資金財源を含む業務勘定への繰入れ、これらすべてがこの六・五兆の充当対象ということになるわけでございます。
○福山哲郎君 保険給付費に充てているんですよね。充てているのか充てていないのか、じゃお答えいただけますか。
○国務大臣(尾辻秀久君) 部長からいろいろお答えしておりますけれども、私が理解しておるところを申し上げたいと思います。
 例えで申し上げます。百万円の支出がどうしても必要である。九十万円の収入がある。そうすると十万円どうしても足さなきゃいけない。で、その十万円どこからか持ってきました。その十万円をこの百万円のうちのどこに使うかという説明は、百万全体のどこかに使いますので、百万円の支出の中の一番大きなものを挙げて、こんなものに使いますという説明をしておると、こういう今説明をしておるところであります。
 で、おっしゃるように、そうしたらよく分からぬじゃないか、不透明じゃないかと、こうおっしゃるから、この百万円の方の支出だけはもうきれいに全部挙げていきますと。そうすると、この不透明な部分はこの支出の方で見てくださいと。これはもう一つ残らずきれいに挙げますからと。そのどこかに入っているんですと。ただ、この十万円どこに使うかと言われると、この百万円のうちの一番大きなのを挙げて、これ以下これらに使いますと、こういうふうに会計上説明を申し上げているんだということを説明をしておるんだと私は理解しております。
 その後、それがまたどういう、いいか悪いかとかいろんな御議論にはなるんだろうと思いますが、取りあえず私からそこまでお答えを申し上げます。
○福山哲郎君 じゃ、さっき言われた年金住宅融資、グリーンピアの後処理のための繰上償還にかかわる費用というのは幾らなんですか。
○政府参考人(青柳親房君) 四兆一千八百億円余になっております。
○福山哲郎君 六兆のうちの四兆円がこれからで、保険給付費等が二兆、残りだとしたら、保険給付費の方が低いじゃないですか。今一番大きなものを載せるって大臣言われたじゃないですか。どうなんですか。
○政府参考人(青柳親房君) 先ほど大臣の方からもお答えをさせていただきましたように、使途を特に限定をしてこの積立金を充てるという考え方になっておりませんので、歳出項目の中で最大の規模のものが、先ほど申し上げましたように、保険給付費二十二・五兆円でございますので、これを例示させていただいているところでございます。
○福山哲郎君 では、保険給付費の二十二兆円のうち、じゃ、ここの積立金を取り崩して充てたのは幾らかと聞いているんです。
○政府参考人(青柳親房君) 繰り返しになりますが、六・五兆は使途を限定して何かに充てるというやり方になっておりませんので、幾ら充てたかというのにはお答えできませんが、機械的にこの六・五兆の中から四・二兆を差し引けば二兆三千億余が出てまいりますので、これ、機械的に計算すれば二兆円余になるというふうにお答えができるかと思います。
○福山哲郎君 それを保険給付費に充てたんですね、じゃ。
○政府参考人(青柳親房君) 特別会計のお金の使い方という意味では、先ほど来繰り返しておりますように、六・五兆を使途を限定してどこに充てるというやり方をしておりませんので、正確な意味では、その二兆円を給付費に充てたという言い方は当たらないかと存じます。
○福山哲郎君 ちょっと待ってください。じゃ、二兆三千億円全部が保険給付費とは限らないけれども、大宗は保険給付費に充てたということでいいんですね。
○政府参考人(青柳親房君) 予備費等が中に含まれておりますが、大宗は保険給付費ということでございます。
○福山哲郎君 そうしたら最初からそう答えりゃいいじゃないですか。
 そして、いいですか、国民の皆さん、国民の皆さんの大切な厚生保険が取り崩されたんです。(発言する者あり)六兆円も取り崩されて、そのうち保険給付等の「等」が四兆円なんですよ。
○委員長(中曽根弘文君) 福山君、質問をしてください。
○福山哲郎君 いいですか、これ。これ、大臣、こういう予算書の表記の仕方でいいんですか。
○国務大臣(尾辻秀久君) 私どもは隠すつもりも何にもありませんし、やましいことがましてあるわけでもございません。
 今、繰入れの、業務勘定へ繰上償還等資金に充てるということでございますけれども、これが四・二兆円、言っておられるように充てますけれども、これは住宅融資で融資しているものを一括して返すだけの話で、今後その融資をしている先からは集まってくるわけでありますから、これが今の計算では五・八兆円ぐらい集まってくるんです。だから、今回四・二兆円使うけれども、五・八兆円返ってくるわけで、それを戻す勘定でありますから、決して妙なお金を使うわけでも何でもない、その方がただいいと判断しただけでやっていることでありますから、隠そうとかなんとかという意図も全くないということは御理解いただきたいと思います。ただ会計上の処理をそうしたというだけのことであります。
○福山哲郎君 大臣が今説明されたこと、この「等」から分かるんですか。今大臣が説明されたこと、この「等」からそれだけ読み取れますか、予算書読んで。
○国務大臣(尾辻秀久君) ですから、「等」は、こっちの支出の方の一番大きなものを挙げて「等」と言っていますから、そこは、支出の方をずっと見ていただくと、業務勘定の中に今私が御説明申し上げているものも支出の中に出てまいります。したがって、そこで読めるということになると考えます。
○福山哲郎君 先ほど言われた給付、保険給付に充てた大宗の二兆数千億はなぜ入れなきゃいけなくなったんですか。
○政府参考人(青柳親房君) 御存じのように、厚生年金の財政につきましては、十年近くの期間にわたりまして保険料の引上げというものが行われてこなかったためにその間の財政バランスが崩れておったと。これについては、昨年の通常国会で成立をさせていただきました年金法によりまして、今後段階的に保険料を引き上げるということで将来に向かって解消していくということになっております。
○福山哲郎君 ということは、保険料が給付より足りなくなったんで二兆数千億埋めたということですね。
○政府参考人(青柳親房君) 御質問のとおりでございます。
○福山哲郎君 積立金がこのような金額取り崩されたのは初めてのことと判断していいんですね。
○政府参考人(青柳親房君) 実質的な収支は平成十五年度においても赤字でございましたが、これは、御存じのように、年金の一元化に伴うところの農林年金の積立金の移換等の特殊な事情がございまして年金の収支上は赤字が顕在しなかった。しかし、既に構造的には赤字が発生しておったというふうに御理解いただきたいと存じます。
○福山哲郎君 僕は、やっぱりこの厚労省の了見が気に食わないんです。
 やっぱり、これどう見ても給付が足りなくなっているのに明確な記載ないんです。「等」で四兆数千億のお金を積立金崩して入れているのに、中身が記載がないんです。これ、いわゆる悪評高かったグリーンピア等に使われているお金なんですよ。これ、やっぱり予算書、僕どこ見たってこれ分かんないんですよ。こういう予算書の書き方、財務大臣どう思われますか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 要するに、この支出先として一番の大宗である保険給付費を代表して書いて表記してあるというのは、私は、先ほど厚労大臣の御説明のとおりで、それはそれでいいんだろうと思います。
 問題は、その後、やはりこの予算が何に使われているかというようなことは、これは国会で我々は十分お答えをしなきゃいかぬのだろうと思います。
○福山哲郎君 総理、実はこの話は結構重要なことで、例の強行採決された年金の改革法案の後、実は出生率の一・二九も厚労省から出てきました、終わってから。今回も、これ七兆円も、六兆数千億円も積立金取り崩すんです。そして、そのうちの四兆幾らを住宅融資とか、それからグリーンピアのものに一応繰上償還で入れるんです。その中身をこういう表記の仕方でやっていること自身が年金に対する不信感を増幅させているもとだと、総理思いませんか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 後で厚労大臣に答弁させます。
 こういう質疑というのは予算委員会らしくていいと思いますね。これがやっぱり予算を審議するということで国会の役割だと思うんです。
 これを私もかつて厚生大臣のときに、何でこの厚生年金福祉事業団なんか必要なのかと、厚生年金というのは、こういう年金の住宅融資とかグリーンピア造るよりも、保険者の立場に立ってみれば、できるだけ給付は厚く、保険料負担は安く、これが最大のサービスじゃないかと。だから、年金福祉事業団なんか廃止しろと言ったんですよ。
 しかし、今やっと分かってきて廃止してくれて、過去のこれ繰上償還ですよ。あのグリーンピア、みんな喜んだ。ああ、過疎地にこんないい保養地ができてくれればいい、リゾートがいい、年金住宅で融資受ける人、民間の金融機関で借りるよりもこの保険料積立金を使って、住宅融資使ってくれれば民間よりも安いからいい。しかし、これ、その安い分は赤字になったら保険料の負担で見るわけでしょう。だから、私は、こういう余計なことはするなということをやって、しかし、そういうのを廃止して今こうやって結果が出てきたんです。だから、こういう審議は私はいいことだと思いますよ。
○福山哲郎君 いいことはいいんですけれども、どう思いますかと、これが年金不信を助長していることになりませんかと、また若しくは、こういう予算書の書き方自身がおかしいとは思われませんかと申し上げているんです。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は前からおかしいと思っているから、余計なことやらないで行政改革をやりなさいと、民間でできることは民間で、やらないでしょう、やりなさいと、特別会計もよく整理しなさいと、特殊法人も統廃合、民間委託、民営化を含めて見直しなさいと、これが小泉内閣の行政改革、財政改革の趣旨であります。郵政民営化もその本旨にのっとっておるわけであります。
○福山哲郎君 今の総理が、さも自分はやるんだと言われるような顔しておられますが、これをずっとやってこられたのは、グリーンピアの事業も必要なくなった住宅の融資についてやってこられたのも、全部政府・自民党です。今、この場に、この場にあって、この場にあって何か我々は改革をしているんだというような、改革をしているんだというようなことは私はおかしいと思います。
 これ全部、実は保険料を払っている人たちにしわ寄せが寄っているんです。そして、しわ寄せが寄っているにもかかわらず、こういう表記で予算書を書いてくる。私は本当にひどい話だと思っています。そんな状況の中で、あっ、厚労大臣、話されます。どうぞ。
○国務大臣(尾辻秀久君) 一つだけは答えさせておいていただきたいと思います。
 今のお話ですが、歳出の方では私どもきっちり述べております。したがって、歳出見ていただくとこう出るんだなというのは分かるはずであります。
 歳出の業務勘定の項の十六という財政融資資金繰上償還等資金というところでどういうふうに述べているかというと、説明の方をあえて読ましていただきますけれども、年金積立金管理運用独立行政法人法附則第二条第二項の規定による、年金資金運用基金が行う大規模年金保養基地事業、これが正にグリーンピアであります、及び年金加入者住宅等融資に係る財政融資資金からの長期借入金の繰上償還に伴う補償金に要する資金に充てるための同基金に対する交付金、これまたもう一つ二で立ててまして、資金に充てるための、同じことを書いてまして、その資金に充てるための同基金に対する出資、要するにそのことに使うということを出の方で述べておるわけでありますから、別に隠しているわけでも何でもないということだけは是非御理解いただきたいと思って、あえて答弁をさせていただきました。
○福山哲郎君 僕は、大臣そう言われると思っていました。しかし、年金勘定に繰り入れたときに何も書かれてないんです。で、業務勘定に移してあえてそのことを書くわけです。二重三重に実は移して書くところに、まあお役人さんのずる賢いところがあると私は思っているんですが。
 ちなみに、村田大臣、私を指さされましたけど、何か御用でしょうか。
○国務大臣(村田吉隆君) いや、当時、私が理財局で、今のようなグリーンピアとか住宅貸付けを、総理が正におっしゃったことを言って反対していたわけです。
 当時、住宅貸付けをする保証協会というのを、労働組合の幹部が天下って保証をしていたわけですね。だから、そういう意味では、その当時はグリーンピアを造るようなことについても野党の皆さん方も賛成していた。それで、みんなで当時はいいいいってやっていたわけです。
 私は、今総理がおっしゃったようなことを当時は査定官として反対をしていたということを、私は、だからおたくも関係あるよということを今質問されたから私は言っているわけでございます。(発言する者あり)
○委員長(中曽根弘文君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
 福山哲郎君、質問を続けてください。
○福山哲郎君 先ほどのグリーンピアに至っては、去年までの、あっ、おととしまでの段階ですが、外郭団体が百三十七、更に言えば厚労省の出身者が百九十九人も役人に、役員に入り、さらには三兆九千億円も年金保険料が投入されているというような状況だったわけです。そして、今回、それのある意味でいうと整理をすると。その結果は、やっぱり僕は、政権与党に帰属すると私は思っているので、そこのことは強く申し上げたいと思います。
 次に、郵政の改革について申し上げます。
 皆さんも、国民の皆さんも見られたと思いますし、委員の皆さんも見られていると思いますが、竹中大臣がテリー伊藤さんやいろんな人と懇談をしたり、新聞やいろんなところに広告を出されています。この政府広報、費用は幾ら、幾ら掛かっているのか、お答えいただけますか。
○政府参考人(林幹雄君) お答えいたします。
 郵政民営化は現内閣の最重要課題としまして、これに関します広報につきましては、郵政民営化準備室と内閣官房、それから内閣府の広報部局が連携してタスクフォースを設けまして、そこでトータルプランを作成して実施しておりますが、その費用でございますけれども、郵政民営化に関します広報のうち、これまでに内閣府の政府広報室として実施いたしました新聞・雑誌広告等の経費は総額で約四億六千万円となっております。
 なお、このほかに、昨年十二月から本年二月にかけまして放送しました地方テレビ局の特別番組につきましては、現在、金額を精査中でございますが、約一億円から二億円、一億五千万円程度になると見込んでおります。
○福山哲郎君 その費用はどこから出ているんですか。
○政府参考人(林幹雄君) これは、既存の政府広報予算の中で啓発広報費という、そういう新聞、テレビ等に対して出す予算がございます。その啓発広報費の枠内で賄われております。
○福山哲郎君 これまで法案成立、法案成立以前に広報をこのような形で内閣でした例はありますか。
○政府参考人(林幹雄君) 何件かございますが、例えばその事例といたしましては、司法制度改革、十五年度から十六年度にかけてでございますが、それから中小企業等貸し渋り対策、それからやや古いものでございますが、消費税導入のときなどがございます。
○福山哲郎君 実は、三例しかないんですね、過去。それも、じゃ、法案提出以前にやった例はありますか。
○政府参考人(林幹雄君) 法案提出前に広報した例としては、司法制度改革、今申し上げました中の司法制度改革、それから消費税導入の際でございます。
○福山哲郎君 そうすると、法案提出前じゃないですよね。──法案提出前じゃないですよね。
○委員長(中曽根弘文君) それは質問ですか。
○福山哲郎君 はい、質問です。
○政府参考人(林幹雄君) はい、お答えいたします。
 ですから、法案提出前に広報いたしましたのが、司法制度改革、それから消費税導入でございます。
○福山哲郎君 昨日、私が聞いたら、法案成立前はあるけれども、法案提出前はよく分からないと答えられましたよ。
○政府参考人(林幹雄君) ああそうですか。──いや、申し訳ございません。(発言する者あり)申し訳ございません。
 今言いましたように、法案成立前に政府広報いたしましたのは、今回の郵政改革、それから司法制度改革、消費税導入でございます。そのほか……(発言する者あり)済みません、済みません。法案提出前がその三つでございます。
 法案成立前は、そのほかに中小企業等貸し渋り対策、それから私どもの、もう少し細かく申しますと、総合経済対策とか国際平和協力、PKO、その法律とかがございます。
○福山哲郎君 昨日、私が事前にレクしたらよく分からないという答えが来て、一応最初の三つ、法案成立前の話は来ましたが、法案提出前の話は全然ありませんでした。
 私は、六億円掛けて、法案もまだ提出していない、自民党と政府がまだいろいろ調整をしている段階でこのような広報をすることは、やはり僕はひどいことだと思っていまして、国会を冒涜していますよね、法案もまだ提出もしていないんですよ。このことについて財務大臣、どう思われますか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
 いろんな御意見あろうかと思いますが、この郵政民営化の広報につきましては、九月十日に閣議決定されました基本方針等につきまして政府は説明不足だと、説明不足であるからしっかり説明しろというような御指摘をこれまでたくさんいただいてまいりました。それを踏まえて、国民に対する説明責任を果たすために、やはり私たち政府の説明責任の一環としてしっかり実施しなければいけないというふうに考えたところでございます。
 福山委員、国会との関係、これは当然重要でございます。現在行っている広報活動はあくまでも政府としての今の方針をお知らせするためのものであります。立法府を含めた国全体としての方針が決まったというような誤解を国民に与えることのないように配慮しているところでございます。
 念のために、政府では現在法律案を検討しており、現段階での政府の考え方を説明すると、そういった趣旨、郵政民営化についての現在の広報の趣旨を新聞広告で周知徹底する等、いろんな措置をとっているところでございます。
○福山哲郎君 じゃ、もし例えば自民党と政府の間で中身が調整が付かなくて変わったり、変化をしたり、国会の審議の過程で例えば修正が入ったりしたら、この広報は訂正出されるんですか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 私たちとしては、あくまでも政府としての説明責任を果たすという観点から行わなければいけないと思っております。
 したがって、そこはまあどういうことを想定して福山委員がお尋ねかよく分かりませんが、これは必要に応じて、その制度を踏まえて広報を行っていく必要があるというふうに思っております。
○福山哲郎君 もうよくいろんな話が出て、午前中も出ていますが、いわゆる民営化した後の新勘定、旧勘定、郵貯銀行の話でございますが、今、郵貯と簡保で約二四%の国債を保有しています。官から民へお金が流れるということを竹中大臣は言われていますが、この国債管理政策への影響をどう考えているか、お答えください。いや、竹中大臣。
○国務大臣(竹中平蔵君) 国債管理政策の御担当の財務大臣から別途御答弁があるかもしれませんが、基本的には、今新勘定と旧勘定というふうにもう既に御紹介、福山委員してくださいましたですけれども、既に政府保証が付いている勘定につきましては、これは安全資産に運用が限定されるということでございます。それについては正に旧債務、旧勘定として、実態的に公的な機関が持つような形で整理をしようと。これは、まあバランスシートの中でいいますと、しっかりと政府が保証を付いた債務で、預金で国債等々に運用していく。これについては、したがって、公的なといいますか関与が続くような形になります。
 問題は、じゃ新勘定がどのようになるかと。これは、新勘定についてはこれは政府の保証は付かないわけでございます。つまり、民営化された後の勘定については政府保証は付かないわけでありますが、これは民間の金融機関としてきちっとした資産負債の管理が求められます。よく言われるALMが求められますので、その中でしっかりとした運用計画が図られるということになります。
 同時に、これは国債管理という観点からいいますと、その国債等々のその資産の運用に対して、しかるべき情報開示をするとか、その市場に対するショックが生じないように様々な工夫をするということ、これを基本方針の中に明記をさせていただいております。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今委員が言われましたように、大体国債の四分の一ぐらいを郵貯、簡保で持っていただいているわけですから、明日からそれ全部民営化せよと言われても私も対応し切れないわけでございまして、やはり移行期というものを適切につくっていただく必要があると思っております。
 それで、今度の基本方針では国債、移行期の在り方として、国債市場への影響を考慮した適切な資産運用を行うと。それから、大量の国債を保有していることを踏まえて、市場関係者の予測可能性を高めるため適切な配慮を行うと。だから、それに対応した今制度設計をいろいろ議論をしているところでございます。
 それで、本当に完全民営化になった後は、やはりそこの主体において、責任において、マーケットの動向も考えながらこれは資産運用をしていただくということでありますけれども、そこまで持っていくのに、じゃ今度我々の側で何が必要かということになれば、これは先ほども御答弁したことでありますけれども、国債管理政策を適切にやっていく必要がある。その国債管理政策の更に前提になるのは財政規律だというふうに私どもは思っております。
 それは、大きな方針でいいますと、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを回復するということがその目標でございますけれども、それに向かってその努力をすると。その後は、後は、要するにマーケットの実情をよく見極め、マーケットとも対話しながら新商品の開発であるとか保有者層の多様化を行っていくということを今やっているところでございます。
○福山哲郎君 大臣が丁寧に答えられましたが、有り難かったんですが、その適切な国債管理政策というのは、何かが見えないから我々は今この民営化が分からなくなっているんではないでしょうか。
 竹中大臣は、民間に流れるんだと言ってこの広報にも出される、国会でも答弁される。大臣は、谷垣大臣は、そういうのはちょっと困ると、我々もそこまでの自信がないと、今突然自由だと言われたら困ると、適切なと言われた。その適切の中身を大臣お答えください。
○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的に、この三百五十兆円の重要な資産が次第に民間に流れていくというような姿を私たちは想定をしております。これがいきなり、これが国債に投資されたものがいきなり民間資金になると、そういうようなことを想定しておりませんし、それはやっぱり市場に対してショックがあると。この点は財務大臣もしっかりと御答弁をしておられるわけでございます。
 しかし、これは基本的には、これは一つは国債管理政策を財務省でしっかりやっていかれるということに加えて、例えばこれ一つの例として、あくまでこれ一つの例としてお聞きいただきたいですけれども、これは今後、郵貯の、郵政の窓口で、二万四千展開された郵政の窓口で新しいタイプの、例えば個人国債等々をしっかりと販売をしていく。これは国民の貯蓄が、例えばそれだけ新しい、その新商品に向くということでありますし、国債もあれば国債等々を集めた信託のようなものもある。公社債信託のようなものの商品開発も期待できるであろうと。そこには、新たにそれを介在する民のマーケットが介在してくるわけでございます。そういうものを、例えば郵政に関してはそれを窓口で売ってフィーを、今度は料金をしっかりと稼いで郵政の財政を支えていく。これはあくまで一つの例として申し上げておりますけれども、そういうことが、いろんな多様なルートが可能になるということを私たちは申し上げているわけでございます。
 これを実現するのが正に郵政の民営化であり、これは同時に経済の活性化と国債管理政策の強化と金融の市場のシステムの強化と、これは正に様々な改革を整合的にしっかりやっていく中で今申し上げたような姿を実現していきたいというふうに申し上げているところでございます。
○福山哲郎君 今のは本当に根拠が乏しいと私は思うんですが、先ほど午前中もちょっと言われたんですが、要は新勘定はリスクマネーに変わるということを大臣やっぱりはっきり言われるべきだと思いますよ。この広報にはそんなこと一切なくて、民間に流れる、流れる、そしたら活力が付くと書いてあるけれども、要は新勘定になるものはリスクマネーに変わるんだということをちゃんと国民に伝えないと、それは僕はミスリードだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 一般の方々にお話をするときに、リスクマネーというその言葉がどのぐらい御理解いただけるかという問題もあろうかと思います。これはいろんな局面で、これはもちろん、当然、御専門家に話すときは、これはリスクマネーに流れ得るんです、今は安全資産ですと、こういうことを申し上げているわけでございますけれども、これはやはりそのメディアによって、正に場所によって、メディアによっていろんな形でできるだけ分かりやすい御説明をさせていただかなければいけないと思っております。そういうリスクマネーになり得るというような説明もさせていただいております。
○福山哲郎君 そのリスクは結局どこに帰属するんですか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 銀行業というのは、そもそもリスクをマネージする仕事でございます。これが今、民間の機関ではありませんけれども、民間の金融機関になっていくということは、ノウハウをしっかり身に付けて、正にリスクを管理できる民間の金融機関になっていっていただくということです。
 その過程で、今は安全資産でしか運用できませんけれども、いろんな資産に運用することも可能であるわけですし、我々民間人は全員リスクを持っていますから、リスクのない、市場経済の中でリスクを取らないというのはあり得ないわけでございますから、それが市場の中に入って、その市場の中の主体としてしかるべく、もちろんこれは経営ノウハウに合わせて、次第にですけれども、そういうリスクを取っていっていただく、当然そういうことになると思います。
○福山哲郎君 だから、リスクはだれが取るのかと聞いているんです。
○国務大臣(竹中平蔵君) 今の御説明は、郵政について、郵政民営化について御説明しておりますので、民営化された郵政の主体、具体的には、今で言うと郵貯バンクといいますか郵貯の、郵貯を分割して銀行になった、それは銀行として、これは銀行というのはリスク管理業ですから、この銀行業が、銀行の会社がリスクを取るということに当然なります。
○福山哲郎君 預金者じゃないんですか、リスクを取るのは。
○国務大臣(竹中平蔵君) リスクというのは、これは全員が市場経済の中では取るわけでありますから、当然、銀行は銀行としての、主体としてのリスクを取ります。我々だって今銀行にお金を預けている。預金者は預金者としてのリスクを当然に取るわけです。出資者は出資者としてのリスクを取ります。したがって、市場経済の中にあるということは、これは銀行なのか預金者なのか出資者なのか、これは全員がそれなりの市場経済の中のルールにのっとったリスクを取るということになります。
○福山哲郎君 そうなんですよ。郵便貯金銀行もリスクを取り、そして預金者もリスクを取るんです。リスクマネーに変わるんです。それで、なおかつ適切な国債管理政策をしなければいけないと財務大臣は言われているんです。ここの明確な道筋が見えないから、この民営化よく分からないんです。財務大臣、どうですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) その点は確かに、今制度設計の最中でございますから、どういう制度設計をして、移行期に具体的にどういう形であって、そうしてどういうふうに我々が運営していくことができるのか、もう少し明らかにならなければ恐らくなるほどと得心はしていただけないかもしれません。
 しかし、今私どもの国債も、これは、それは賛否両論あると思いますが、かなり民間でも持っていただいております。それから、それを国外や何かにも今広げようとしてIRをしております。それから、個人の引き受けていただく新商品を出しまして、これは現在のところ極めて好調に販売をされております。
 そういうようなことを考えますと、今いろいろな、これは当然、そのリスクマネーといっても、リスクを取りながら、どういうそれぞれがポートフォリオをつくっていただくかというのは、それぞれの言わば金融機関なら金融機関、そういうところで主体的にお考えになると思いますが、私どもは、今のようなことを前提といたしますと、そういうリスクマネーと国債の消化というものが矛盾するというふうには考えておりません。
○福山哲郎君 竹中大臣、竹中大臣はよく、郵便貯金の預け入れ限度額は一千万で、民間になっても預金保険機構で一千万は守ってもらえるという発言をされていますが、それは正しいですか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 一千万円以下の小口と言ってよいかどうか分かりませんけれども、通常の預金者の場合は、これは今民間の銀行に預け入れても一千万円まで預金保険機構で守られます。そういう意味でこれは正にセーフティーネットとして存在しているわけですが、これは民間、民営化された郵貯の銀行は預金保険機構に入っていただきますから、当然そういう保護が適用されます。
○福山哲郎君 しかし、新しい新勘定に入る郵貯銀行は一千万円が限度額ではなくなるわけですね。
○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的にどういうその限度額で出発するかということに関してもいろいろな御議論があろうかと思います。これは完全、十年たって完全民営化になればこの限度額は外されるというふうに考えますが、それまでは徐々に、現状出発して徐々に拡大するなり、現状を見ながら、民業を圧迫しないような範囲でできるだけ自由度を持っていただくというのが基本的な方向だと思っております。
○福山哲郎君 これも国民に誤解を与えるんですよ。預金保険機構が一千万円まで見てくれると、万が一のときがあってもと。しかし、それをよく言われるんだけれども、新しい郵貯銀行は一千万以上の預金が預け入れられるようになるのが当たり前なんです、イコールフッティングからすれば。そうすりゃ、一千万以上預けていたら、その先のお金は全部リスクマネーに変わるんです。こういうことをきっちり伝えていかないと、この広報では確実に誤解を招く。
 もう一つ言います。
 今皆さんに、お手元にお配りをした郵貯のイメージ図があります。(資料提示)これ政府の言われているとおりです。ある郵便局が郵便事業会社、それから郵便貯金会社、それから郵便保険会社、そして行政サービス、小売、コンビニ、チケット、住宅、旅行代理店、これができるというのがある種イメージです。本当にこんなことできるんでしょうか。
 私は、ユニバーサルサービスでクエスチョンマークを郵貯会社と郵便保険会社に付けています。なぜかというと、自民党は郵貯も郵便保険もユニバーサルサービスを義務付けろと言っているからです。その条件として今議論が出ているのは、株式の売却益を基金にして補助金を入れましょうという話になっています、ここに。要は、不採算部門に対しては補助金を入れてユニバーサルサービスを確保するんだと。そうしたら、全然民営化会社じゃないじゃないですか。違いますか、大臣。
○国務大臣(竹中平蔵君) 具体的なその仕組みにつきまして今政府と与党でいろんな議論を真摯に重ねているところでございますが、一つ、今委員が御指摘になった中で、基金のようなものを設けていろんな社会的な貢献をできるようにしようではないかという議論は、方向としてはしております。
 しかし、是非誤解のないようにしていただきたいですが、これは補助金ではございません。これは郵政の中のお金でありますから、郵政に対して外から、具体的には国からお金が入るわけではありません。これは、郵政の中にある資金をきちっと社会貢献等々に充てていただく仕組みとして考えているものでありますので、補助金という御指摘は当たらないと思います。
○福山哲郎君 何で民営化した会社が、自分のところの株式の売却益を基金をつくってほかへ入れろみたいなことを国から指定されなきゃいけないんですか。これまた矛盾しているじゃないですか。
○国務大臣(竹中平蔵君) ここは非常に重要なポイントだと思いますので、是非、福山委員には御理解をいただきたいと思うんですが、民営化して株式会社になって、しかしそれが公的な役割を担う例というのは世の中にはたくさんあります。これ電力会社が正に分かりやすい例でありますし、民営化してもその法律の枠組みの中で公的な役割を担うというのは、これは現実にはあるわけです。これはもう世の中にたくさんあります。
 で、要するに、民営化、国というのはゼロか一か、オフかオンかというようなデジタルな世界ではなくて、その中間に幾つかのタイプがあり、そうした中で、その民営化の会社の中で公的な役割を担わせてやっていこう。これ具体的に、例えばドイツでもオランダでも、民営化された郵政の会社はちゃんとユニバーサルサービス義務を果たしているわけです。
 これはきちっとした役割を果たせるわけですから、それはもう仕組みのつくり方であって、私たちは民間の活力を生かしながら、しかし必要な社会的機能はきっちりと果たせるような、そういう民営化を行いたいというふうに思っています。
○福山哲郎君 じゃ、例えば郵便貯金会社ですが、今、竹中大臣は上場させると言っていますが、どのぐらいの資本金で上場させる御予定ですか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 郵便貯金会社についてお尋ねでございますか。これは、上場するように、民営化する以上はIPO、上場するようになっていただきたいというのは、これは当然の期待でございます。
 しかし、それがどのぐらいの規模になるかどうか、これはまずこれからの資本政策、制度設計をどのようにするかということに懸かっておりますし、その後の事業規模をどのようにするか、これは経営者の判断でございますので、今の時点で具体的に申し上げられる段階ではないと思います。
○福山哲郎君 これは重要です。
 実は、この間、試算が出ました。新しい郵便貯金銀行の貸出し三十五兆円が想定されていました。三十五兆円貸し出ししているということは、四%のBIS規制から考えても、はっきり申し上げると十二兆円の資本金がなければいけません。分かります。そうすると、十二兆円の資本金を今立てられるような状態が今の郵政公社にあるかどうか、大臣よく御存じのはずです。(発言する者あり)
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと計算間違いがあったように思われますけれども、基本的には、具体的にどのような事業を行ってどのような規模の貸付けにするのか、どのような資産規模にするかというのは、これは経営判断です。これは新しい民営化された郵政を経営してくださる経営者が決めるべき問題であります。今、そうした意味で我々がお示ししている試算というのは、あくまで可能性としてこういうことが考えられるという可能性、しかしこれはあくまでも可能性でございますから、そのときに当然、資本政策として今後これが問題ないのかというようなより細かい制度の議論はこれから更に協議をして煮詰めていこうと思っているところでございます。
○福山哲郎君 つまり、全部つまみ食いなんですね。貸出しは三十五兆円しているという前提で採算の積算をしているわけです。貸出し三十五兆円。冗談じゃないですよ。この五年間で我が国の貸出しは百五十兆円減っているんですよ。それを無理やり郵貯が三十五兆円どこに貸出しの需要があるんですか。そして、三十五兆円貸出ししようと思えば、それだけ資本を積まなきゃいけないのに、そこに対しては制度設計中だという、全部必要なところはつまみ食いをしていてこんな広報を出していること自身、私はけしからぬと思いますよ。
○国務大臣(竹中平蔵君) 資料をよくお読みいただきたいと思いますが、資料お手元に恐らくあるんだと思いますのでお読みいただきたいと思いますが、貸付けを三十五兆円というようなことは特に想定しているわけではありません。私たちがその場で申し上げておりますのは、正に委員が先ほど言われたリスクマネーといいますか、安全資産ではなくて、いわゆる信用リスク、一%程度の信用リスクを取れるようなことを三十五兆円ぐらいと想定したらどうであるか。貸付けは分かりやすい一つの例でありますけれども、ほかにも、シンジケートローンもあれば、私募債もあればABS等々ありますから、貸付けを三十五兆円にするというようなことを別に具体的に想定しているわけではありませんし、正に先ほど委員がおっしゃったリスクマネーだと。そういうことを、いろんな形、それはいろんな形がありますから、可能性として一定の規模を想定しての試算を示しているわけでございます。
○福山哲郎君 ここに貸出し、貸付け等残高三十五兆円と書いてあるじゃないですか。
 そして、もう一個だけ、これで終わります。(資料提示)このイメージで実は郵貯が地域にでき上がるとどうなるか、自民党の先生方も考えてみてください。旅行代理店が出てきたり、保険の代理店が出てきたり、コンビニが例えば郵便局に出てきたりしたら、これ実は地域を活性化するどころではありません。地域の経済を全部破壊をします。田舎の例えば八百屋さんがみんなつぶれていきます。田舎でずっと、例えば地方で保険代理店をやっていた会社がここに全部吸収されていきます。もしここの目の前に農協や地銀があった場合に、農協や地銀はどうするんですか。これが地域経済を本当に発展させるのか、ここに全部集中して地域経済ががたがたになるのか、よく冷静に考えていただければお分かりだと思います。
 そして、もう一個、最後にこれだけ。これでもし農協や地方銀行が同じことをやりたいと言った場合に、これだけのサービスを全部農協も地方銀行も今の銀行法でできるんですか。大臣、お答えください。
○国務大臣(竹中平蔵君) 常に私たちは両方の方からの批判をいただきます。一つは、地域のコンビニ、地域の郵政が、郵便局が全く成り立たなくなって消えてなくなるのではないかという御批判。もう一方は、今の福山委員のような御批判、地域の郵便局が物すごくいろんなことをやって、とてつもなく強く大きくなってしまうのではないかという御批判。答えは、しかしその中間を是非私たちは実現したいということに尽きると思います。これしか方法はありません。
 もう一つ、地域の、例えば地域の農協とか信用組合とかがやりたいと言ったらどうするのかという御批判ですが、ちょっと委員、済みませんが、混同があるように思うんですが、これはいわゆる窓口会社の話です。局の話です。局の話です。これは一方で、銀行というのは別にあるわけですね。比べるべきは、この銀行と農協等とを比べていただくんだったら分かりますけれども、これと窓口と比べるというのはいかがでしょうか。この窓口の中で、完全に民営化されたら地元の農協の預金を置いていただく、地元の信用金庫の預金を取り扱っていただく、これは正に競争で自由でありますから、これは地域の金融機関にとっても、この郵便局の窓口がいろんなことをできるということは実は非常に大きなビジネスチャンスになるというふうに私は考えております。
○福山哲郎君 今、中間を行くということが先ほどの適切にということと全く同じ答えだと私は思っておりまして、この民営化のスキーム、私は今反対も賛成も言っておりませんが、余りにも分からないことが多過ぎます。そして、余りにも国民をミスリードする可能性があるということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

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