2007 年 資 料

 

日付 国会 会議名 内容
2007/12/25 168 環境 地球温暖化問題(COP13、目標達成計画見直し)
2007/12/10 168 決算 肝炎問題、防衛省水増し問題、地球温暖化問題
2007/10/16 168 予算 肝炎問題、随意契約、緑資源、地球温暖化問題
2007/6/28 166 厚生労働 社会保険庁改革関連法案、「消えた年金」問題
2007/6/21 166 厚生労働 社会保険庁改革関連法案、「消えた年金」問題
2007/6/19 166 環境 ミツバチ失踪問題、環境省広告費問題
2007/6/7 166 厚生労働 社会保険庁改革関連法案、「消えた年金」問題
2007/6/5 166 環境 食品リサイクル法案
2007/5/31 166 環境 食品リサイクル法案(参考人質疑)
2007/5/15 166 衆・環境 環境配慮契約法案(答弁)
2007/5/10 166 環境 自動車NOx・PM法案、地球温暖化問題
2007/5/8 166 環境 自動車NOx・PM法案(参考人質疑)
2007/4/25 166 本会議 地球温暖化問題、自動車NOx・PM法案
2007/3/20 166 環境 豊洲土壌汚染問題、志賀原発事故隠し、温暖化問題

 

第168国会  参議院  環境委員会 2007年12月25日

地球温暖化問題(COP13、目標達成計画見直し)


○福山哲郎君 民主党・新緑風会・日本の福山哲郎でございます。
 今日は、質問の時間を委員長を始め岡崎理事、また与党側の理事の皆さんにも大変御理解をいただきまして、ずらしていただきましたことを心から感謝とおわびを申し上げます。
 大変、懸案になっております肝炎対策の問題で、今日、肝炎の原告団の皆様、弁護団の皆様との協議の場がございまして、私も少なからずかかわっておりましたもので、わがまま申し上げました。本当におわびを申し上げます。
 それでは、早速質問させていただきたいと思います。
 鴨下大臣、どうも、バリは御苦労さまでございました。強行軍ながら、大変いろんなところで御活躍を拝見をしておりました。私は、COPは基本的には毎年行きたいと思っておりまして、今年は国会が延長になったおかげで行けませんでした。ホテルまで予約をしておったわけですが、大変残念に思っています。
 実は、行く前も非常に残念だったんですが、やっぱり終わって帰ってきて、その残念さ具合が更に強まっています。やはり現場の空気を感じていないこと、それから例えば鴨下大臣のステートメント、演説を聞けなかったこと、その中での交渉の過程で日本政府がどのようなことを本会議等で発言をされたか等について、やっぱり又聞きなのとその場にいたのでは全然やっぱりリアリティーが違いまして、やっぱり何としても行きたかったなと今非常に残念に思っているところでございますが、一応、形としては、バリ・ロードマップが合意をされたという状況でございます。
 日本のメディアは、削減の数値目標がバリ・ロードマップの中に入るか、入らないかということに大変注目というか、非常に大きな報道の主たる目的があったように感じていますが、現実問題としては、残念ながら、交渉の結果、バリ・ロードマップの前文の中の議長提案でありました一九九〇年度比で先進国二五から四〇%削減という文言は削除をされました。
 日本政府としては、この削除の議論について、どのように交渉を行われたか、また結果として明記しないこととなったことの評価も含めて、御披瀝をいただければと思います。
○国務大臣(鴨下一郎君) 今回のバリ会合では、我々も当初から申し上げていますようにすべての主要国が参加し実効ある枠組みの構築、このための交渉の場を立ち上げると、こういうようなことが最重要課題だと、こういうふうに認識をしておりました。したがいまして、それぞれ御批判もございましたけれども、何とかバリ・ロードマップが合意ができたということについては、私はそれなりに大きな前進があったんだろうというふうに思っております。
 加えまして、数値目標につきましては、今回の会議で二年後に合意されるべき目標の議論、こういうようなことを先取りして議論するべきでないと、こういうようなことをおっしゃっている国もあったわけでございまして、そういう意味では、今回、すべての国が参加をするというバリ・ロードマップが合意ができたということで、今後、交渉が進んでいくものだと、こういうふうに考えているわけでありまして、是非、これからの議論に注目をいただきたいというふうに思います。
○福山哲郎君 今、大臣、私の質問にお答えいただいてないんですが、日本としては数値目標を明記する、しない、この議長のドラフトに対してどのように交渉のポジションを取られたのか、お答えをいただけますか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 数値目標については、ですから、今回の議論の中では、我々は、すべての国が参加をする新たな交渉の場を立ち上げる、こういうようなことを最優先しましたので、EU等からは数値目標を掲げるべきというようなこともお話しありました。しかし、私たちの立場としては、前提条件が合意、バリ・ロードマップを合意するということでございましたので、それぞれの国、特に数値目標に対して極めて否定的な国もありましたので、我々は、まとめると、こういうようなことのためにあえて数値目標はこの段階では取り上げないと、こういうような立場を取らせていただきました。
○福山哲郎君 そのポジションの評価は、是非はいろいろあると思います。
 私が非常に残念だったのは、NGO等が日本について、非常にネガティブな会議のブレーキ役になったということで化石賞を何回も取られたと。そのことの批判はさておき、私非常に残念だったのは、大臣は私との予算委員会の質問においても、年内に日本の国内の削減目標をつくりたいとおっしゃいました。新聞のインタビューにも、大臣は全体の合意ができると、できた前提で日本の国内の削減目標もつくりたいとおっしゃっていました。福田総理は、実は二度、決算委員会と予算委員会で私に国内の削減目標をつくると御明言をいただきました。残念ながらこの鴨下環境大臣の向こうでの演説原稿を拝見をいたしますと、我が国としてのそういう決意が実は全く書かれていないんですね。なぜ国内の、国会の場で言明をされたことが国際社会の会議に行ったときにこのステートメントに入らないのかと。
 じゃ、逆に言うと、全体の合意が要るというのは私も認めます。それはもう具体的に申し上げれば、中国やアメリカやインドが入ってこなければ京都の二の舞になるという、私はその意味合いは分かっているつもりです。しかしながら、全体の合意は必要だけれども、日本としてはもう国会で国内の削減目標を設定することは環境大臣も総理大臣も言っているので、なぜ国際会議の場では、演説の場でそのことを表明ができないのか、私にとっては非常に不思議な気持ちがいたしました。そのことに対して大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 私は、福山議員の質問にお答えしたときに、今申し上げたように、前提がしっかりと固まった上で年内にも可能性があればと、こういうようなことで申し上げたわけでありまして、私も自分の言った答弁何度も何度も読み返しましたけれども、きちんとそういう前提条件を付けた上で申し上げています。そういう意味では、私は本来のそういうような立場で交渉をしたつもりであります。
 ただ、先生がおっしゃるように、具体的に、例えばEUあるいはNGOの皆さんからは日本はなぜ数値目標を掲げないのか、あるいは日本がそういうようなバリ・ロードマップの前進に対してブレーキ役になっていると、こういうような御意見もあったことは承知しておりますけれども、是非、それはすべての国が入るということはもうこれ最後のぎりぎりの、土曜日の本会議の中での議論を見ていただければ十分御理解いただけるんだろうというふうに思いますけれども、私としては更にこれを前進させるためにこれからも努力をさせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 いや、私はだから、すべての国が合意ができることは重要だと思う、私も否定をいたしません。
 しかしながら、日本のポジションを、特に日本の国会で表明をしているポジションをなぜ国際会議の場で言えないのかということについて質問をさせていただいています。そのことに関しては実は今大臣のお答えをいただいていないので、余りこれで引っ張ってもほかに確認しなければいけないこと一杯ありますので、一言だけお答えいただけますか。大臣はよくお分かりだと思いますが、言いにくいこともあると思いますが、お答えください。
○国務大臣(鴨下一郎君) ですから、我々は環境省の立場というようなことで申し上げればきちんとした目標を掲げてやるべきだろうと思いますが、安倍前総理のクールアース50の中にもありますけれども環境と経済の両立と、こういうようなことを日本は掲げておりますので、今の段階では全体的な合意に至っていないと、こういうようなこともあるわけで、特に一部の産業界からは数値目標は全く容認できないと、こういうような御意見もあったわけで、私はステートメントを発表するという立場ではこれはなかなか難しかったというのが現状でございます。
○福山哲郎君 随分正直にお答えをいただきましてありがとうございます。
 要は国内での合意ができなかったということで、日本のポジションは相変わらず、環境大臣と総理が、総理が国内の排出目標を作ると言明をしたにもかかわらず国内の合意ができなかったというのは、私は非常に問題だと思っています。現実に、バリの会議ではすべての国が参加できるということが合意ができたわけです。これは、合意ができたことはこれは政府も認めているはずですが、この状況に至ったら次は国内の排出削減目標についてはっきりとさせられるという条件は整ったという認識でよろしいですね、大臣。
○国務大臣(鴨下一郎君) 誠にそのとおりでございます。
○福山哲郎君 そのことは非常に心強い限りですので、もう一個だけ大臣、厳しいようですが、いつぐらいまでに国内の排出目標を固められるおつもりなのかお答えください。
○国務大臣(鴨下一郎君) 環境大臣としては鋭意努力をさせていただきます。
○福山哲郎君 経産省もそれでよろしいですか。
○政府参考人(伊藤元君) その問題につきましては、政府全体として判断をしていくということであると承知しております。
○福山哲郎君 事務方に答えをこれ求めるのは厳しいですけど、総理が削減目標を設定をすると発言された事実は理解をされていますね。
○政府参考人(伊藤元君) 総理の御答弁は承知しております。
○福山哲郎君 その答弁を経産省としては尊重して対応されることは、これは総理の発言ですから間違いないですね。
○政府参考人(伊藤元君) 国会における総理の答弁を尊重することは当然であると考えております。
○福山哲郎君 鴨下環境大臣は国内の削減目標を早急にやりたいと、バリで各国が参加することは合意したと、総理が国会で発言をしたと、その総理の発言について尊重をすると経産省も言っていただいたということは、これは国内の排出削減目標については早急に我が国としては作っていただけるものだと私は判断をして、次に行きたいと思います。
 削減目標の話は、バリのロードマップのところに僕はスポットライトが浴び過ぎたと思っていまして、実はマスコミの報道も含めて若干ミスリードがあるのではないかと思っています。
 御案内のように、アドホック・ワーキング・グループが二つ、ツートラックで動くことになりました。一つはバリ・ロードマップ、一つは今までどおりの京都議定書の枠組みでございます。実は、そのAWGのロードマップの方から数値目標、先進国の数値目標が削られたというのは報道はよくあったんですが、一つ重要なポイントがありまして、我々は京都議定書の批准国として、批准国としてAWGの、これまでの従来のAWGには加わっております。そのことのこれからの検討項目の中に、先進国二五%から四〇%の削減目標が検討項目に加えられたことは事実としてはお認めいただけますね。
○政府参考人(谷津龍太郎君) お答え申し上げます。
 これまでの京都議定書に基づきます特別作業部会の第四回会合がバリで開かれたわけでございますけれども、その結論文書の中に以下に述べさせていただきますような文章が含まれております。
 まず、最初でございますけれども、AWGはIPCCの第四次評価報告書第三作業部会の成果に言及されている削減幅、これはレインジズとなっておりますが、複数で示されておりますけれども、この削減幅が有用であること。同報告書が地球の温室効果ガスは今後十年から十五年で頭打ちになって、その後非常に低い水準に抑制される必要があり、IPCCがこれまでに示したシナリオの中で最も低い水準で大気中の濃度を安定化させるためには、二十一世紀半ばに二〇〇〇年比で半減以上とする必要があることに留意したという表現が一か所でございます。
 もう一か所ございます。AWGはIPCC第四次評価報告書第三作業部会で評価されたものの中で、最も低い水準を達成するためと、潜在的損失を限定するためには、附属書T国が全体として排出を各自可能な手段で二〇二〇年までに二五から四〇%という幅で削減することが必要であることを認識した、こういう文章がございます。
○福山哲郎君 認識したということは、それは検討項目として入るという意味合いで谷津さん、よろしいんですね。
○政府参考人(谷津龍太郎君) こういう認識の下で今後の交渉が進んでいくというふうに理解しております。
○福山哲郎君 実は、バリ・ロードマップの中では、数値目標が落ちたということがよく議論されているんですけど、我々が元々参加をしている京都議定書のアドホックグループの中では、この数値目標はこういう形で明記をされています。
 それからもう一点、さはさりながら、バリ・ロードマップの最後の合意文書でございますが、合意文書の条約の下での新しくできた交渉プロセスでの扱い、つまりAWGでの扱いの中の一のbの一というところでございますが、ここにはこういう文章が、日本語です、申し上げますが、書いてあります。
 すべての先進国に対し、各国の事情を考慮しつつ、排出削減抑制数値目標を含む測定、報告、検証可能な当該国にとって適当な約束若しくは行動と書いてあります。つまり、バリ・ロードマップの中に、具体的な二五から四〇という数値目標はないけれども、すべての先進国に対し排出削減抑制数値目標を含むという言葉が入っていることの事実はもうお認めになられますね。
○政府参考人(谷津龍太郎君) 英語で言いますと、インクルーディングという言葉の後に排出の抑制及び削減に関する数量化された目標というような表現がございます。
○福山哲郎君 つまり、これ重要なことなんですけど、これまでも京都議定書の枠組み、これはもちろんアメリカは入っておりませんが、この枠組みの中には、二五から四〇の数値目標で先進国が検討すると、先ほど谷津さんがお認めになったものが入っています。
 抜けた、抜けたと言われているバリ・ロードマップの中にも具体的に、すべての先進国に対し排出削減抑制数値目標を含むという表現が出ています。ということは、これ、済みません、二つのAWGは最終的にどのように収れんをさせていく予定ですか。
○政府参考人(谷津龍太郎君) お答え申し上げます。
 二つの作業部会は、役割分担を明らかにしながら今後交渉を進めていくということになろうかと思います。終期はそれぞれ二〇〇九年ということで一致しておりますので、最終的には全体が一体化されたような形で交渉がまとまるというふうに理解をしております。
○国務大臣(鴨下一郎君) 先生御指摘のところは非常に重要なことでありまして、特にいわゆる京都議定書の締約国でのAWG、オールドAWGでありますけれども、そこには最終的に数値への言及はされておりませんけれども、脚注でIPCCレポートの該当するページを引用すると、こういうようなことになったわけでありますが、いやいや、それはニューAWGで、オールドAWGにおいては、先生御指摘のように決定文書においてはIPCCの第四次評価報告書を引用する形で一連の数値が明記されたと、こういうことの解釈を我々はしています。そして、今回の決定文書においてはIPCC報告書の三種類の数値、こういうようなこと、二五―四〇、それから五〇の五〇、それから一〇の一五ですね、この三つの数字については盛り込まれておりますから、日本としてはこの決定文書に合意していると、こういうような認識でございます。
○福山哲郎君 随分思い切った答弁を大臣にいただきましたが、経産省もその認識でよろしいですね。
○政府参考人(伊藤元君) 今般のCOP13における各種の決定文に書かれる内容につきましては、先ほど谷津審議官、環境省の方から御説明があったとおりの文章ということだと思います。決定文章につきましては、英文が原本でございますので、その解釈ということに帰着する問題であると認識しております。
○福山哲郎君 それから、もう一つお伺いしたいことがあります。
 これは私も不確定なので確認としてお願いをしたいんですが、いわゆるブッシュ大統領が呼び掛けで始まった主要排出国会議、十五か国でやられている会議ですが、これMEMというのかメムというのかよく分かりませんが、このことの開催を洞爺湖サミットに向けて日本が準備をしているということを、これは僕は未確認なので確認をさせていただきたいんですが、これは環境省としては把握をされていることでしょうか。
○政府参考人(谷津龍太郎君) 私どもとしては承知しておりません。
 一点付け加えてお答え申し上げますと、バリにおきまして、アメリカ側からは第二回の主要経済国会合を一月の三十日と三十一日にハワイで開催したいというお話はございました。
○福山哲郎君 そのことに関しては、三十と三十一日にハワイでやられることに関してはほぼ合意という形になっているんですか、各国。
○政府参考人(谷津龍太郎君) これは主催国がアメリカでございますので、適切なタイミングで正式な招待状がアメリカから送られてくるというふうに理解しております。
○福山哲郎君 ということは、このこととサミットにおいて主要排出国会議が行われるということは今のところはリンクはしていないという認識でよろしいんですか。
○政府参考人(谷津龍太郎君) これはアメリカ政府が主催する会議でございますので、私どもとしては、今後のアメリカ政府がこの主要経済国会合をどのように進めようとしているのかということをよく把握しながら対応していきたいと考えております。
○福山哲郎君 日米間でこの主要排出国会合について議論がこれまで、どのレベルでも結構ですが、やられたことはありますか。
○政府参考人(谷津龍太郎君) 例えばバリにおきましては、米国政府の関係者、それと日本政府の関係者、いろんな機会に意見交換しておりますけれども、そういう中で今私が申し上げましたような第二回の開催という情報も入手したところでございます。
○福山哲郎君 経産省もそういう認識でよろしいですか。
○政府参考人(伊藤元君) 同じ認識でございます。
○福山哲郎君 ということは、この主要排出国会議がバリとどのようにリンクするかはまだよく分からないということだけは確認をさせていただきました。
 実はもっと聞きたいことたくさんあるんですが、もうあと七分ぐらいになってしまいましたので、目達計画の最終案のことについてもちょっと言及をしたいと思います。
 京都議定書の目達計画の最終報告が十二月に出ました。これはこれから、私の認識が間違っていなければ、パブコメ等をされると聞いておりますが、今後のこの目達計画の運びについて言及いただけますか。
○政府参考人(南川秀樹君) 目達計画につきましては、中環審、産構審、両審議会の最終報告案というものが間もなくパブコメになると思います。現在、様々な、先日の議論で様々な意見がございまして、それを座長が預かるということで今調整をされております。間もなくパブコメにかかりまして、約一か月間パブコメを経た後、報告が出ます。それを踏まえまして、年度内に政府として目達計画を改定したいと考えております。
○福山哲郎君 今、最後の部分で、南川さん、非常に重要なことを言われたんですけど、私、聞こうと思ったんですけど、これはまだ改定の余地はあるんですね。
○政府参考人(南川秀樹君) 今回の両審議会での議論を踏まえまして、政府の責任において改定するものでございます。
○福山哲郎君 ということは、パブリックコメントの意見等や例えば国会の中の意見等が取り入れられる可能性はあるという認識でよろしいですか。
○政府参考人(南川秀樹君) もちろん審議会の意見を踏まえて改定するものでございますけれども、当然ながら、パブコメ、それから様々な意見ございますので、政府の責任において最終的には決定をするものでございます。
○福山哲郎君 これ、大臣はもう全部端から端までごらんいただいていると思いますが、最終案の割には具体的なことがやっぱり大分欠けていると私は思っていますし、例えば国民運動の例の一キログラムの話も、どうやったら一キログラム削減できるか、ちょっと余り読んでもよく分からないんです。国民運動の削減量もこれ一体何を積算するとこれだけ計算できるのか、ちょっと私自身は理解に苦しむとか。我々の党として議論を積極的にしている再生可能エネルギーの問題や排出権取引の問題も実はほとんど言及これされてないというか、言及はされているんですが、具体的な政策措置としては全く今回はまないたにのっていないんですね。
 本当にこの目達計画で約束が達成できるのかということと、それからそれこそバリ・ロードマップができたわけですが、二〇〇九年までに日本がより削減これだけしましたよということを各国に主張できるようなものがあるのかというと、済みません、これはいろんな評価が分かれるので、私の考えが正しいとは思いませんが、一面に。私はやっぱり具体性にかなり欠けると思っていまして、閣議決定までまだ時間もありますので、これは国会の意見やそれぞれのパブコメの意見を真摯にやはり受け止めていただいて、まだまだ改善の余地はあるんだという認識を、済みません、大臣いただけないかと思いますが。
○国務大臣(鴨下一郎君) 今の段階では、その目達計画の改訂版についてはそれぞれ各省、それから産業界も含めて大変な努力をして深掘りをしていただいたわけでありますから、私どもはそれに沿って粛々と進めていくと、こういうようなことが原則であります。
 ただ、今委員おっしゃったようなこと、あるいはジャーナリズムも含めて御批判もあることも重々分かっておりますし、それから両論併記でペンディングになっている項目もございます。
 こういうようなことも含めて、我々は今この環境省の中では少し進んでうまくいかなければもう一度更に見直そうと、こういうようなことでアセスメントとチェックと、そしてフィードバックをする、こういうような仕組みをいかに早め早めにやっていくかと、こういうようなことをこの中に入れられないかと、こういうことも考えておりますので、今せっかくまとめてくださったところでこれからパブコメにかけるところでありますから、いろんな意見は伺いたいと思いますけれども、現在のところで一応それなりに目達計画を達成できるというところまで積算はされているわけでありますから、これを更に実効あるものにしていくのが私たちの役目だと、こういうふうに思っております。
○福山哲郎君 できればパブコメを、非常に言葉は悪いですが、アリバイづくりではなく、ちゃんとそのパブコメを真摯に受け止めていただいて、少しでも改定なり、実効性の上がるように今大臣がおっしゃられたように御努力をいただきたいと、また国会の審議等も積極的に受け入れていただけるようにお願いをしたいと思います。
 もうわずか二分になりましたので、もう鴨下大臣よくお分かりのとおり、世界は動いています。規制的手法がすべて経済をマイナスにするわけではありません。逆に、規制的手法のおかげでアクスになることもたくさんあります。アメリカも徐々に動き出しまして、御案内のように十一月には法律がまあ一部ですが通りました。オーストラリアも状況が変わりました。アメリカの大統領選挙が来年一年間ずっと続く中で、この温暖化の問題は非常に大きな争点になります。
 この目達計画の中の排出権取引市場の創設に関してみると、この目達計画の状況を十分踏まえた上で検討していくみたいな話で、この状況をまた見た後、その後検討なんていったら一体いつになるのかよく分からない。その間にひょっとしたらヨーロッパもアメリカもマーケットができて、中国もコミットする、オーストラリアもコミットするみたいな話が出てくる可能性も僕は十分あると思っています。
 経済界が自主行動計画で頑張っていただいているのも分かるけれども、それでは削減量足りないことも事実でございます。そのことも含めて、やっぱりこれは与野党超えて非常にこれからの二十一世紀の国益と人類益と生態系を守るということを、いろんなこと含めて重要な問題ですので、是非大臣には奮闘していただいて、頑張っていただいているのは重々承知をしておりますが、更に政府内で声を上げていただきたいことをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。

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第168国会  参議院  決算委員会 2007年12月10日

肝炎問題、防衛省水増し問題、地球温暖化問題


○委員長(小川敏夫君) 関連質疑を許します。福山哲郎君。
○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会・日本の福山哲郎でございます。
 本日は、各大臣におかれましては御苦労さまでございます。また、地元のことで恐縮ですが、若林農水大臣におかれましては、先日京都で卸売市場の八十周年の式典がありまして、京都までお越しいただきましてありがとうございます。市場関係者、大変喜んでおりました。
 時間が今日はありませんから、突然本題に入らせていただきます。
 十月の十六日、本院、参議院の予算委員会におきまして、四百十八名の肝炎の患者のリストを国が持ってそのときはいなかったという答弁だったんですが、持っていたことから端を発しまして、舛添厚労大臣も積極的にこの問題の解決に乗り出していただきました。また、福田総理も国の責任に言及をいただいて、実は和解も含めて大分前に進んでいます。このことに関しては心から敬意を表したいと思いますが、まだまだ詰めの段階が残っておりまして、そのことについて今日は質問をさせていただきたいと思います。
 まず一つ、済みません、どうしても決着をしていただかないと納得ができない問題があります。ちょっとパネルを出していただけますか。(資料提示)
 十月の十六日、私が、個々の四百十名のリストが国にあったはずだと、これは薬品会社、メーカーは名前も住所も持っていたはずだと言ったら、舛添大臣は、国としては、そのリストを特定、だれだれだという個人名を特定できる情報を持っていないのでと答弁されました。それから、個々の四百十八名というのがどなたであるかというのは確定できませんからと、実はこれは三度同じことを言われました。
 そして、実はこれ笑い話みたいな話でございますが、それから三日後、十月の十九日でございますが、厚労省の地下倉庫から実はマスキングなしの資料、マスキングというのは黒塗りです、つまり個人が特定できる情報を、実は倉庫にあったということが判明をいたしました。三日後です。何なんだ、これはと。薬害エイズのときも郡司ファイルというのが出てきたとか出てこないという話がありましたけれども、この体質たるや私はもうけしからぬと思っていまして、実はその後、調査を、これは舛添大臣頑張っていただいてやっていただいていますが、残念ながら四百十八名、国が何も告知をせずにほったらかした方々のうちのもう五十一名の方が亡くなられていました。
 これ、国会での答弁も含めて、大臣、お答えいただけますか。
○国務大臣(舛添要一君) 今御指摘のとおりで、この十月十六日の参議院の予算委員会の答弁の準備過程で担当官からそういう情報はないという報告を受けましたので、私はそれをこの国会の場でお答えいたしました。しかし、これは今委員御指摘のように、きちんと後から出てきたわけですから、本当にこれは大変申し訳ない。重ねてここで陳謝を申し上げたいと思います。
 そこで、二度とこういうことが起こらないように、その情報管理、私はその後申し上げましたけれども、文書管理についてそういうことが行われる、組織としての体を成していないと、これは徹底的に、これは問題であるということを申し上げました。そして、その文書管理をきちんとやらなかった責任者を処分すると、そういうことでございます。
 重ねて、十月十六日の参議院の予算委員会のこの私の答弁について深く陳謝を申し上げます。
○福山哲郎君 これ、国会の答弁だけの問題じゃないんですよ。過去五年間、裁判の間ずうっと国は、特定できる情報は持ってないんだ、持ってないんだと、確たる証拠はないからこの患者は救済の必要はないと主張し続けたんです。文書管理の問題じゃないんです。いいですか。
 これ、じゃ何で出てきたんですか。ああ、マスキングなしの資料があったかもしれないと思って、ある方が倉庫に行ったら出てきた。何ですか、これ。おかしいじゃない。これ意図的に隠ぺいしたと言われても仕方ないでしょう、大臣。違いますか。
○国務大臣(舛添要一君) 私が調査した限り、例えば五年前にこの件を調査したチームがだれであるか、どういうメンバーから成っているかということすら記録が残っていない。これは組織として論外でありますから、こういうことをきちんと立て直す。
 そういう中で、今の具体的な状況について申し上げますと、この議論をしているときにたまたま末席にいた職員が若干かかわってきたことがあって、その記憶をたどると、たしかどこかにあったはずだということで探してみたら出てきたという誠にお粗末なことでございますから、二度とこういうことが起こらないようにきちんと体制を整えたいと思っております。
○福山哲郎君 この話も実は隠ぺいなんですよ。だって、末席にいた人間がたまたまあったかもしれないと思って出てきたと。だって、その後の我々のヒアリングのときに厚労省は何と言いました。複数の人間がそのことの存在について知っていたと言っていますよ。
 更に言えば、情報公開請求があって裁判が始まったときには、そのマスキングなしの資料を知っていた人間がいたというのが正に厚労省のこの間出た報告書に書いてあるじゃないですか。裁判が始まるときにマスキングなしの資料が含まれているということを知っていた人間がいると書いてあるのに、裁判の最中ずうっとその情報を持っていないと強弁をし続けたんです。そして、国会の答弁でも確定できないと言い続けた。これ大変な問題じゃないですか。
○国務大臣(舛添要一君) そういうような体質そのものをきちんと改める。そして、その調査の結果、ヒアリングをやる。そういう人間がいて、先ほど申し上げましたように、五年前の調査したメンバーすら分からないというのは組織の体を成していない。しかし、これをきちんと五年前の状況を再現して、じゃ、なぜ例えば知っている人間がそこできちんと告知をしなかったのか。
 私が常に申し上げているのは、五年前の状況を再現したいと、その過程において、きちんとこれは今後二度とそういうことが起こらないような体制を整えたいということで今努力をしている最中でございます。
○福山哲郎君 病気は進行しています。裁判も起こっていたんです。それなのに、厚労省の職員はだれもこの資料の存在を進言もせずに、裁判ではないと言い続けた。やっとこれ、その後報告書が出てきました。次のパネルを見てください。(資料提示)
 厚労大臣は、当時の状況を再現する、一九八七年以降の対応も早急に洗い出す、刑事告発も含めてきちんと対応する、当初の威勢は大変良かった。しかしながら、結果、何だったか。国の責任は認めず、追加調査はもう要らない、告知義務はなかった、文書管理を怠った責任だけで全く、二人だけ処分されましたけれども、下から二番目の注意でしたが、これが結果ですよ、大臣。
 あなた、刑事告発も含めてきちんと対応すると言ったんですよ。そうしたら、いきなり、出てきたら、国は責任ありませんでした、あるのは文書管理のみでしたと。どういうことですか。
○国務大臣(舛添要一君) きちんと状況を再現する、それからその背景についても調べる、そして、法的責任があるとすれば、それは刑事告発も含めてきちんとやると、これは今も全く変わっておりません。そして、例えば、そのときのヒアリングをやり、しかもこれは外部の弁護士も入れる、それから西川副大臣をヘッドとし、政務官にも入ってもらう、つまり我々の同僚である政治家がそこに加わる、外部の弁護士も加わる、そういう形で議論をしてもらったところであります。
 そして、その上で、例えば副作用報告書というのが医療機関、お医者さんからメーカーに上がってくる。これはきちんと上げてもらわないと、ある薬にどれだけ副作用があるか、これを調べないといけない。そのときに、そこはマスキングというかイニシアルで、実名で書かないことになっている。それで、そのときの、五年前の厚生労働省の認識としては、当然医療機関が、ないしお医者さんが副作用報告を上げる以上は患者さんにお知らせしているはずだという、そういう認識で行われていたということでありまして、それで、外部の弁護士の先生方にも、これは法的責任はどうだと、いろんな法律を検討していただきましたけれども、法的責任を問うことはできないということでありました。
 しかし、私は、やはり命にかかわること、それでこの今のような状況があるにしても、患者さんの立場に立って何とかできないかと、こういうことをきちんとやらなかったことは厳に反省すべきであり、そこが問題であるという指摘を私は今もしております。
○福山哲郎君 医者が告知をしたはずだという認識だったから告知はしなかったと、薬事法上もそこまでは国に求めていないと、それが国の今の立場ですよね。この報告書にもそう書いてあります。薬事法は、いいですか、第一条の目的規定からしても患者の救済を図ろうとするものではないことは明らかであるから、よくこんなの報告書に書きましたね、これ、大臣。薬事法が患者の救済を目的としないんだったら何を目的とするんですか。よくこんな報告書認めましたね。これは書いてあるんです、明らかに。患者の救済を図ろうとするものではないことは明らかであると。本当に明らかですか、大臣。いいですか。──いいです、いいです。
 大臣、実は薬害エイズの問題があって、九七年、反省から、厚労省は厚生労働省健康危機管理基本指針というのを作っている。医薬品等健康危機管理実施要綱というのを作っている。これ、役人から聞きましたか、報告。多分聞いていないでしょう。こういうものを多分厚労省は伝えていないんだ、大臣に。
 お手元に抜粋をお配りしました。定義、大臣に読んでもらいましょうか。厚労大臣、読んでください。第一節の一項、大臣、読んでみてください。
○国務大臣(舛添要一君) 第一節定義、一項、この指針において健康危機管理とは、医薬品、食中毒、感染症、飲料水その他何らかの原因により生じる国民の生命、健康の安全を脅かす事態に対して行われる健康被害の発生予防、拡大防止、治療等に関する業務であって、厚生労働省の所管に属するものをいう。以上でございます。
○福山哲郎君 第五節も。
○国務大臣(舛添要一君) 第五節の二でいいですね。
○福山哲郎君 はい。
○国務大臣(舛添要一君) 健康危機管理担当部局は、健康危機管理に係る国内外の情報について、適宜、報道機関、政府広報、高度情報通信等を通じて広く国民に提供するとともに、医療関係団体等を通じて関係者への提供を図るものとする。以上です。
○福山哲郎君 どこに患者の救済を目的としないと薬事法に書いてあるんですか。
 これ、厚労省が作ったんですよ。健康の安全を脅かす事態に対しては、健康被害の発生予防、拡大防止、治療等に関する業務だと書いてあるんです。健康危険情報の提供は、いいですか、広く国民に提供するとともに、医療関係団体等を通じて関係者への提供を図るものとすると書いてあります。先ほどの大臣の答弁は、医師がやっていたはずだから何にもしないでいいとおっしゃったんですよ。百歩譲って、医師が告知をするものだとしたら、医療機関に対して提供を図らなきゃいけないんじゃないですか、厚労省は。
 更に言えば、この基本指針の下に実施要領があります。この実施要領の目的は、健康被害の発生を未然に防止し、及び発生した健康被害の拡大を防止することを目的としてと書いてあります。その下、医薬品等における危機管理の基本的心得のところでございます。二行目、健康被害の発生、拡大を防止するため、常に総合的な安全対策の立案、実施に努めるものとする。二、因果関係が不明である場合又は入手した安全性情報が不確実なため健康被害の発生のおそれの有無が直ちに判断できない場合には、常に、次です、最悪の事態を想定して、安全対策の立案、実施に努めるものとする。
 そして、一番問題なのは、この実施要領の目的でございます。この実施要領は、厚生労働省健康危機管理基本指針に基づき、いいですか、薬事法に規定する厚生労働大臣の権限及びこれに関連する必要な行政措置に関する事務を的確、かつ迅速に行うことによりと書いてあるんです。どこに薬事法に患者を救済する必要がないと書いてあるんですか。これ全部薬事法を基に作っているんじゃないですか、大臣。
○国務大臣(舛添要一君) この薬事法に限らず、厚生労働省の仕事は国民の生命を守る、それが大基本であります。そういう中で、いろんな薬害の問題が起こってきたにもかかわらず、さらに今回また、フィブリノゲンというこの薬剤についてまた薬害を起こした、そういうことは広くこれは反省をしなければいけない。
 そして、こういう指針がきちんとある。そのときに、ただ先ほど申し上げましたように、例えば副作用報告書、こういうものをどういうふうに活用するのか、この件について少し早急に私は議論をまとめたいと思っていますのは、せっかく副作用報告書が上がってきた、しかし先ほどの五年前の認識のときに、それは当然お医者さんが患者さんにお伝えしているはずだというふうな認識であったにもかかわらず、あったんですけれども、現実に知らないと、一度も聞いていない、ただあなたは肝炎だと言われただけである、したがって原因が分からないで、もう非常に周りの人から白い目で見られたと、いろんなことを原告の皆様方からもお伺いをしております。
 したがって、例えば、これをせっかくお医者さんが副作用報告書を、これはメーカーに出すわけですけれども、これを何とか今のような形で告知できないか。それは正に今委員が御指摘したこのラインに沿うわけでございますが、他方、なぜそこに実名を書くなということを書いてあるかというと、この副作用報告書ですけれども、それは、そのことによってお医者さんが副作用報告を上げることをためらうと、そういうような状況があることも確かであって、それは今後の薬害対策の基本ですから、そういうことがあってはいけない。
 したがって、この副作用報告書というもの、これは一例でございますけれども、これを何とか患者さんの命を守っていくためにどう活用するか、こういうことに具体的に手を打ちたいというふうに私は今考えていろいろ検討を進めているところでございます。
○福山哲郎君 舛添大臣は頭のいい大臣ですから、今副作用報告書の将来の課題について述べられました。私が言っているのは、二〇〇二年のときにこの実施要領に基づいて何もしなかったことの責任はないのかと問うている。今はその話を問うているのに、何で今、副作用報告書の将来の活用について、そうやって逃げの答弁をされるのか。おかしいじゃないですか。
 それじゃ、この報告書の、今書いてあった、薬事法は救済を図ろうとするものではないということが明らかだということは、これ大臣、否定されるんですね。それでいいんですね。
○国務大臣(舛添要一君) 一般的な肝炎対策については、これはきちんと今のこの指針の観点から話しております。しかし、例えばクリスマシンについて個々にやりながら、今委員の御指摘にあるようなフィブリノゲンについてそこまできちんとやらなかった。
 そうすると、これはなぜかと。それはもう数が多いからだと、そういう答えしか返ってきませんので、そういうことではなくて、やはり国民の生命ということをきちんと考えてやるべきであったというように、したがって患者さんの視線で物を考える点が欠けていたと、こういうことを先ほど来申し上げているわけでございます。
○福山哲郎君 それは責任があるということですよね、大臣。告知はしなければいけなかったと今おっしゃったんですよね。
 もっと言います。クリスマシンの方は告知されているんです。四百十八名、手元に来たものに対してほったらかしたことに対しては不作為責任があるということを認められているのに、ここには認めないと書いてある。どういうことなんです、これは。全く矛盾しているんですね、総理。
 これ、この報告書と今の大臣の答弁はずれているんです。私は、この報告書で役人の責任を問うことが実は委員会の趣旨ではありません。要は患者をどう救うかが趣旨ですから、余りこのことに時間を取られるのは嫌なんですが、こういう実施要綱が実態あるにもかかわらず、この報告書では薬事法上責任がないと言い切って逃れようとしているという事実だけは、総理、御存じいただきたい。これがまず第一段階です。
 二つ目。実は今和解の協議が大詰めを迎えています。七日に和解勧告があるはずが十三日に延期になりました。実は今国が言っている和解の条件は、東京地裁の救済範囲で救済をするという議論を国は和解の場でしています。(資料提示)これはお手元、数字が小さいから見にくいと思いますが、青に色が塗られているのが実はその東京地裁の中で救済の範囲の方です。黒に塗られている方が、残念ながら今の国の和解案では救済をされません。なぜこの薬害について救済される方と救済されない方と二つに分かれなければいけないのか。これが今大変な問題になっています。
 実は、四百十八名のリストがこの間出てきました。十一月の六日ですよ。十月の十六日に私が質問して十一月の六日、この四百十八名のリストが特定できるような状況になって、十一月の六日に病院から、あなたは、肝炎は実はこの原因ですよと言われた加地さんという方がいらっしゃいます。この方がやっと自分は、ああ、こういう原因で肝炎になったんだと、今実は肝硬変の手前で本当に厳しい症状ですが、この方が実名を出して今回提訴をされました。この方は残念ながらこの黒塗りの部分に当たります。四百十八名ちゃんと告知をされていれば、ひょっとしたらもっと早く治療が受けられたのかもしれないのに、つい一月前にしか彼女は知られなかったと。
 この方は、次の表を見てください。(資料提示)これ、総理、すごく重要な問題なので見てください。フィブリノゲン製剤をめぐる時系列という表をお手元にお配りをいたしました。実は加地さんがフィブリノゲン投与されたのは、ごらんいただいているように一九九一年の三月、下でございます。実は、加地さんが投与されたフィブリノゲン製剤のF023HTというのは、八八年の十月に製造されています。これがいわゆる三年後に加地さんに投与された。これは実は肝炎発生の報告のあるロット番号の付いている製剤でした。これは製薬会社も国も、回収する必要があったにもかかわらず回収をしないで三年後加地さんに投与されました。そして、更に言えば、スクリーニングが始まって、もう安全性情報が流れてスクリーニングが始まった後、九一年一月、まだメーカーはスクリーニングをしないで製造を続けたF024HTというのを製造してこれも投与をし続けました。
 次のこのペーパーを見てください。前回もお見せした四百十八名のリストの一部でございますが、星マークの付いている389Aというのが今申し上げた加地さんです。見ていただいたらお分かりのように、ロット番号023HTと書いてあります。見ていただきますと、023HTって何人もいらっしゃいます。そして、さっき言った製薬会社がスクリーニングをしないで製造を続けた024HTという方も四角に囲んでいらっしゃいます。この方々が東京地裁の範囲だと全部外れるんです。なぜかというと、東京地裁の範囲は、もう一回表出していただけますか。(資料提示)最初に出た判決のときの東京地裁の範囲は、東京地裁のこのこちら側の黒よりも向こう側の方しか原告団がいなかったからです。原告団がいないので、当然地裁の判決の範囲はそこまでに区切られました。
 しかし、新たに四百十八名のリストが出てきて、現実問題として、今申し上げたようにスクリーニングをしなければいけないのに回収命令もしない、回収もしなかった、スクリーニングもしなかった製剤が世の中に出て投与をされました。そして、発症した人が今やっと告知をされて提訴を、十一月の六日に病院に言われて提訴をしています。今、このままの国のスタンスの和解の状況ならば、この人たちが救われません。四百十八名のうち今何人いるかというと、二十九名いらっしゃいます。これ、総理、こんなふうに救済を区別をすることが合理的な判断でしょうか。先ほど大臣が言われた不作為責任、告知をしなかったことも含めて。
 もう一個だけ余計なことを言わしてください。実は二年後、厚労省は医療機関を広報して告知しているかどうかの調査を全部しました。これは二分冊あります。これを全部見たらほとんど告知してないんです、医者が。二年後、百歩譲って二年後、あっ、お医者さんは何にも告知していないんだと厚労省は分かっていたんです。さっき厚労大臣はおっしゃられましたけど、告知をしているものだと思っていたと。冗談じゃない、二年後のこの調査報告書を見たらみんな告知してないと出ているんだ。それでもほったらかした。
 総理、ここは、舛添大臣は頑張っていただきました。勢いは良かった。しかし、だんだんだんだん厚生労働省に押されてしりすぼみになっていった。この報告書もさっき言ったとおりです。これは十三日に和解の勧告が地裁から出ると言われています。これはもう政治決断しかないんです。本当にこれを、この患者さんを区別をして国は救済をしないという立場を取られるのか。福田総理が内閣の責任者として、国の責任者として、この状況の中で一律救済をするべきだと。
 一律救済すると被害者が際限なく広がると恐らく厚労省は説明していると思います。残念ながら、実はカルテが一九九〇年代のことですから残ってないんです。これ、原告になるにはやっぱり立証責任が要るんです。残念ながら、今これ多分テレビを見ながらでも、私もあのときそうだったかもしれないといいながら病院へ行ってもカルテが残ってない方がほとんどなんです。だからこそ幅広い医療費の救済が必要だということで我々は法案を出したし、そして自民党さんもそれに乗ってくれて今日から協議が始まります。それは必要です。しかし、これだけ明らかに立証責任ができた、そして四百十八名の中でも、国が告知をしてもらわなかったリストの中にも出てきた患者さんに関しては、そんなに際限なく広がるわけではありません。
 一律救済をするというのが国としての、総理、責任ではないでしょうか。是非、総理の政治決断をこの場でお願いをしたいと思います。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 今までの委員とそれから厚生労働大臣のやり取り伺っておりまして、確かにいろいろ問題あったと思います。特に厚生労働省というのは命を預かる役所であるということでありますから、その自覚を持って事に当たっていなければいけないというのは当然のことでございまして、そういうことについて問題があったんじゃないかなというような感じがいたします。
 しかし、今御指摘のことにつきまして大阪高裁でもって裁判を行っておるわけでございます。これまでに和解の協議が進められてきておりまして、厚生労働大臣もこの間随分丁寧に応対してこられたと思いますよ。そして、苦労して今この問題処理に当たっているというように理解しておりますけれども、もうじき、今週和解案が提示されるというように伺っておりますので、私としては、この和解案が出て、そしてその段階において、これはもう厚生労働省だけの問題では済みませんので、関係省庁と協議して迅速に対応策を出したいと、このように考えておるところでございます。
○福山哲郎君 総理、申し訳ないけど、失望しました。そんな役人答弁は要りません。もう事ここに及んでいます。
 法務大臣、これは一律救済ですよね。私は、法務大臣はいろいろ今世間をにぎわしておられますが、非常に優しい方だと思っています。チョウチョウの収集もされ、環境問題も一生懸命やられ、私は法務大臣とは長いお付き合いですので優しい方だということも分かっておりますが、この問題は際限なく広がらないのは法務大臣もよくお分かりいただいている、一律救済も排除しない、選択肢として、法務大臣、お答えください。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私は、優しい気持ちを持っている人間だと自分で思っておりますけれども、しかしながら、これ個別具体の案件、事件でございまして、いろいろ感想を持つことはありますが、法務大臣というものは国が裁判するときには、この肝炎訴訟も一応私が国の代表格という形で扱われるわけでございまして、大阪高裁が和解案を今用意しているんだろうと思いますが、そうした事柄について私の立場で論評することは、実は今は差し控えなければならないんです。申し訳ありません。
○福山哲郎君 これが福田内閣ですわ。いいですか、だれも判断しないんだ。
 いいですか、僕は、申し上げたように、法務大臣のおっしゃることも福田総理のおっしゃることも分かる。しかしながら、今排除されようとしている人たちは東京地裁の判決のときには原告団にいなかった。なぜいないか。国が告知していないからなんです。いないんだから、判決の中ではそこから先の判決は出ないんですよ、原告にいないんだから。それを東京地裁の判決の基準だと言ったら、この人たちは排除されるわけじゃないですか。それは理屈としておかしいでしょうと。そうなったら政治判断しかないじゃないですか。そして、際限なく広がると言っているんじゃない、私が言ったように。カルテはもうほとんど残っていない、残念ながら。
 だから、総理、舛添大臣はこう言っています。国の責任を述べた福田首相の命に従えない役人は直ちに辞表を出してほしい。つまり、舛添大臣の権限ではもう限界があるんだ、舛添大臣がそれを一番よく分かっている。だから、こんな報告書しか出てこない。だから、舛添大臣はメッセージとして福田総理の政治決断しかないとおっしゃっている。そして、総理に来たら、総理が今みたいな答弁だったら、患者の方救われないじゃないですか。
 総理、一律救済も排除しないと、それは選択肢の一つだで結構です。別にやると言われなくても結構。一律救済は排除しないと、選択肢の一つだとは思うとお述べいただけませんか。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 私もこの訴訟について詳細承知しているわけじゃないんです。ですから、政治判断を今しろというのは、これはちょっと無理なんですね。もしそういうことであるならば、であるならば、私も政治判断ができるような状況をよく調査した上で、そして私の考えとしてやらせていただきたいというふうに思います。
○福山哲郎君 ごめんなさい、大変総理には失礼ですが、これだけの問題になっているものを委細、詳細を総理が知らない、そして判断できない、これから調査をするとおっしゃるんだったら、私、この委員会これ以上質疑続けられません。そんなばかな話ないでしょう。
○国務大臣(舛添要一君) ちょっと事実関係御説明をさせていただきます。
○福山哲郎君 そんなのもう要らない。そんなこと聞いていない。聞いていない。
○国務大臣(舛添要一君) いや、五つの判決が今出ております。東京地裁だけの判決が判決ではありません。例えば、名古屋地裁はもっと幅広く国の責任やメーカーの責任を認めています。仙台地裁に至っては国の責任ないと言っている。しかし、この五つの司法のこの御決定というものは念頭に置いて行動しないといけない。そういう中で今大阪高裁が何とかいい和解案をまとめようとしてくださっているところであります。
 我々はもとより、私は既に申し上げましたように、これは薬害である、きちんと責任を認め償うべきは償わないといけない、二度とこういうことを起こしてはいけない。それで、今委員もおっしゃったように、総合的な肝炎対策含めてきちんとやります、訴訟についてもこれは全面解決を目指します、そしてできるだけ広くこの患者の方々を御支援申し上げる、そういう立場で私は今精力的に大阪高裁に対して国の考え方を述べ、そしてまた原告の皆さん方もそれぞれのお考えを述べておるところでございまして、何とか今週この和解案がいい形で出ることを、そのために努力は続けておりますが、大阪高裁の裁判長から、そのプロセスについて一切公表するな、言明してはいけないという厳しい命を受けておりますので、どうかそこのところは御承知いただきたいというふうに思います。
 そして、私も基本的なところは総理に御説明申し上げておりますし、その大阪高裁の判決が……
○福山哲郎君 委細知らないとおっしゃっているんですよ。
○国務大臣(舛添要一君) いやいや、基本的な……
○福山哲郎君 知らないとおっしゃっているんですよ。
○国務大臣(舛添要一君) いやいや、そうではなく、基本的なところはちゃんと御説明申し上げておりますし、私がそのために厚生労働大臣でいて、詳細なところは私がやることが仕事ですから、全力を挙げてやっております。そして、その大阪高裁の判決が十三日に出るということでございますので、それまでも努力を続ける。そして、それが出た上で、これは私だけではなく総理と御相談して、国としてどういう立場を取るのか、それをきちんとやりたい。しかし、そこは広く御支援申し上げて助けるべきである。
 そして、私がもう一つ付け加えるならば、私どもが総理の御指示の下に決断することについて、国民の皆様から広く支持を受けられないようなそういう決断は私は下すべきではないと、そういうふうに考えております。
○福山哲郎君 今のは排除しないとお答えいただいたということでいいですね、大臣、いいですね。一律救済は排除しないと、そのことも選択肢の一つだと厚労大臣がおっしゃられたということでいいですね。
○国務大臣(舛添要一君) まずは、十三日に出されるであろう大阪高裁の和解案、これを待ちたいと思います。そして、その上であらゆる可能性について総理と御相談を申し上げながら、つまり原告がいて、原告の方々が主張される、被告側も主張される。どういう形でいいかはこれは大阪高裁のリーダーシップですから、その上であらゆる可能性について総理の御指示を仰ぎながら決断を下したい、そういうことでございます。
○福山哲郎君 あらゆる可能性ともう御表明いただいたので、私はそう受け止めたいと思います。
 総理はハンセン病のときに小泉内閣の官房長官をやられて決断をされた官房長官です。私らみたいな野党の議員の質問のときにその答えをしにくいのもよく分かります。政治決断をしていただきたいと私は思っています。別に十三日の前、どこの時点でも結構です。やはり一律救済をしたいんだと、今大きくうなずいていただければもうそれで十分でございますが、要はこの場で表明、まあ野党の議員につつかれて表明するのもなかなかあれでしょうから、それは結構でございますが、ただ、一つだけお願いをしたいと思います。
 和解協議、今の状況ですと原告団の方は拒否だとおっしゃっています。それはなぜか。余り大きな声で言っちゃいけないのかもしれませんが、一人一人の例えば補償が少なくなっても、みんなで闘ってきて、みんなで薬害で苦しんできたから、部分だけで助けられるようなのはのめないと皆さんおっしゃっています。そのことの思いを、どうぞ舛添大臣も福田総理もしっかりと受け止めていただいて決断をいただきたい。これ、和解が決裂すると判決まで行きます。そうすると、新しい提訴者が出てきていますから、もう一回裁判が長引くんです。いつも申し上げているように、肝硬変、肝がん手前の方がたくさんいらっしゃる、その状況で一日、一刻を争う、そのことも含めて、国は一律救済を排除しないという立場でこの問題については対処いただきたい。
 総理、先ほどの、委細、詳細は知らない、それはちょっと勘弁していただいて、ちょっと撤回していただいて、前向きな答弁をいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 私も、今この場で政治判断をすぐしなさいと、こういうふうに言われるから、それは、であるならば、改めてそういう判断ができるようなことは承知していなきゃいかぬでしょう。そんないい加減なことを私はしたいと思っておりません、無責任なことはできないということでありまして、そのように答弁しましたけれども。
 これは十三日に和解勧告出るわけですね。ですから、先ほど舛添大臣も答弁したとおり、それを見て直ちに舛添大臣、関係大臣と相談をし、協議をして、そして、何しろ早く処理をするということが大事なんでしょう、この措置をするということが大事なんですから、そのことに専心したいと思っております。
○福山哲郎君 総理は十分御理解をいただいていると私は判断をして、次の質問に移りたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。
 防衛省の水増し請求の問題がいろいろ出てきています。石破大臣、今日、額賀大臣もいらっしゃいますが、額賀大臣が平成十年に水増し請求の問題でお辞めになられました。大変な事件になって、参議院で問責が可決をされて大臣がお辞めになったという事件でございますが、それ以降ですけれども、防衛省の中で水増し請求の事案が何件あって、総額が幾らかお答えください。
○国務大臣(石破茂君) 額賀財務大臣が防衛庁長官をお辞めになりました平成十年十一月以降これまでの間に過大請求事案は十二件発覚をいたしております。これらの事案のうちで今回の山田洋行の件を含みます二件は調査中で過払い額は確定をしておりませんが、それ以外の十件に関しましては、違約金三十七億円を除きました損害賠償金額五百九十七億円となっております。これら十二件のうち半数は防衛庁の調査により判明をしたものでございます。
○福山哲郎君 これ、国民の皆さん、見てください。(資料提示)今、山田洋行と実は富士インダストリーズというところが問題になっているんですが、額賀大臣がお辞めになられた平成十年から以降も総額五百九十七億円の水増し請求が行われて、延々とこれ続いているんです。これ、笑い話みたいな話なんですけれども、額賀大臣がお辞めになっている最中もやっているんですよ。額賀大臣がお辞めになったのが平成十年十一月。それを反省して調達改革の具体的措置というのが平成十一年四月。これを見ていただきますと、過払い額返還対象期間と、正に大臣がお辞めになっている瞬間、そして調達の具体的措置が行われている瞬間にもずっと水増しやっているんです。
 石破大臣、恐縮ですが、石破大臣の前任のとき、前にやられたとき、平成十四年九月から平成十五年十一月、実は平成十四年から十五年の十一月まで大臣がやられている最中も、この表における四つ、下から四つです、富士と、以外のこの四つ、これ実は大臣の就任中に水増し請求をやられているんです。
 実は、これ山田洋行が問題になっているんですけど、防衛省における水増し請求は全然普通のこと、ましてや額賀大臣がお辞めになられた時期を挟んでまでやっている。これは防衛省として、横行している、当たり前になっている、反省していない、こんなばかな話はないと思いますが、大臣、どうお考えですか。
○国務大臣(石破茂君) どうすれば抑止効果が出るかということで、委員も倍返しという制度を入れたということは御案内のとおりです。そしてまた、停止期間についても違約金がきちんと払われるまでということですから、通常の公共事業よりもはるかに長い期間停止をしております。
 しかしながら、ばれなきゃいいんだというのがまだある。だとするならば、一体どうしてこれをきちんと見るかということで、これは累次私も答弁をしておりますが、例えば今度のチャフ・フレア・ディスペンサーにしても、この金額はおかしくないかということがきちんと見抜けると、当たり前の話ですが、そうでなければならぬだろう。それから、先ほどの御質問の、先ほどの前の質問者のお話で、私がお恥ずかしいことながらこの見積書は本当ですかというふうに確認せざるを得ないというふうに申し上げました。本来の商売でこの見積書本当ですかといって聞かなきゃいけないこと自体信じられないような話なんだけれども、そこまでやらなきゃ駄目なんだということになってしまったんだというふうに思っております。
 ですから、これは本当に適正な金額であるのか、水増しじゃないのかということが見抜けるだけの能力と見抜けるだけの人員をそういうところに投入していかないと、ある種、一種性悪説的に物事を考えていかなければ仕方がないということだと思います。
○福山哲郎君 これ今、石破大臣が違約金は倍返しにするという話をされました。私も実はそう防衛省から聞いていたんです。ところが、これ見てください。下から四つ、違約金制度ができてからですが、百二十三億円水増し請求していたところが違約金十七億、二十七・五億のところが八・一億、二百三十一億円のところは十一億、二十四億円水増ししていたところが〇・七億です。全然倍返しじゃないんですよ、大臣。
 それで、もう一個言います。これ取引停止期間があっても、特殊な企業群ですからまあしようがないとはいいながら、取引停止が終わったらすぐに戻るんです。で、違約金と返還は何を返還するかというと、水増しした分だけですよ。分かります。つまり、最初の収益のもうかった分は全然返さないでいいんです。水増ししておかしいことをやった分だけ返して、なおかつ違約金はこの程度。大体平均すると多分二、三%から五%。この程度の違約金なら、取引停止期間じっとしていて、新たに防衛省ともう一回商売し出したらすぐにこんなの回収できますよ。痛くもかゆくもない、こんなのは。もっと言えば、違約金を取ったのは最近で、その前までは、ずっと水増しした分をごめんなさいと返したらそれで許されたんです。これはやり得、ばれなければオーケー。
 そして、さっき大臣おっしゃったように、これ、何でばれたか、何で分かったか。半分が防衛省の調査、半分は全部マスコミや内部告発なんです。本当に自浄作用がない。自浄作用がない。要は、この状況で額賀大臣、額賀大臣、自らの出処進退に懸かった水増しの後、ずっとこれが行われていたということを大臣、どう思われます。
○国務大臣(額賀福志郎君) 九八年でしたね。当時、調達本部の事件が起こりまして過大請求案件があったんだけれども、私もこれはしっかりと調査をさせたんです。しかし、そのときやっぱり証拠隠滅といって書類を燃やしたり隠したりとかそういうことがあって、防衛省としては調達実施の機構を全部解体をして、それから、発注する側とそれから装備の積算根拠をするものを分離させてチェック体制をきちっとした上で機構を改革したりしたんですけれども、昨年の施設庁事件と併せてこういう体質が改善されていないということについては大きなショックを受けておりますし、国民の皆さん方にどう説明していいのか、本当に分からないぐらい。
 これは、今政府でそういう機構とかチェック体制だとか透明性をめぐって新しい体制を考えておられるということでありますから、しっかりと新しい省にふさわしい、政策官庁としてふさわしい、そういう体制をつくり直していってもらいたいというふうに思います。
○福山哲郎君 いや、もう証拠隠滅の話が大臣から出てびっくりしたんですが。要は、さっきの厚労大臣、倉庫に隠れていた資料と同じじゃないですか、体質は、防衛省も。
 石破大臣、これ、どうしたらいいんですか、これ。どうぞ。短めに。大臣、短めにしてください。
○国務大臣(石破茂君) 自浄作用というお話がありました。
 で、いいですか。結局のところ商社が水増しをした、それが見抜けなかったということで、つまり何が一番悪いのかといえば、それは、過大請求をし水増しをし、ちゃんとしたまともな商売をしなかったところが一番悪いに決まっているんです、それは。
 だとするならば、当省として、それがきちんと見抜けるだけの能力、人員、本当はそれも国民の税金でやることなんですよね。それは委員も御案内かもしれませんが、このチャフ・フレア・ディスペンサーの事案を見ていて、本当にアメリカの契約制度がどうなっているか、法制度がどうなっているか。向こうも向こうで弁護士を出してきて、損害賠償請求するぞと脅かしてくるわけですね。だとするならば、こっちが同じだけの装備品に対する知識、契約に対する知識、交渉術、装備に対する認識、それも全部国民の税金を使ってやっていかねばならぬ。つまり、商社に今までそれをお願いしてきた。商社がきちんとした商売をする、民間企業でもそうでしょう。そう思ってきたのは全部やめ、当省として、全部その能力も人も国民の税金を使ってやる。
 ですから、性悪説に立たなきゃ駄目なんだというお話がありました。しかし、日本の行政はすべて性悪説にのっとってやるべきものかといえば、必ずしもそうでもないかもしれない。しかし、このようなことになってくれば、そういうことも検討せざるを得ないということだと私は思います。
○福山哲郎君 今話題になっている、じゃ富士インダストリーズ、行きます。
 富士インダストリーズが水増し請求していたのは、平成十四年以降五年間の間で、件数は何件で、一体どのぐらいの総額があったか、大臣お答えいただけますか。短めにお願いします。
○国務大臣(石破茂君) 御指摘の平成十四年から十八年度におけます防衛省と富士インダストリーズの間の契約は三百三十七件、契約総額八億円でございます。
○福山哲郎君 五年間で三百三十八件、五年間で三百三十八件水増しが行われているというのは、これもう常にやられているということですからね。これが富士インダストリーズの実態です。
 では、もう一件行きます。
 問題の山田洋行でございますが、山田洋行の契約が何件あって、そのうち今判明しているだけで水増し請求は何件ありましたか。
○国務大臣(石破茂君) 平成十四年度から十八年度の間、防衛省と山田洋行の契約件数は、中央調達で百十七件、地方調達で五百五十件でございます。今遡及できます限りすべての契約を対象に全件徹底的な調査を行っているところでございますが、中央調達分につきましては、十九年度に、本年度ですね、契約したものも含め、契約時に山田洋行から防衛省に対し外国メーカーの見積書の写しが提出されていた全件、つまり百二十三件中百十六件ですが、につきまして、十一月二十七日までに外国メーカー二十九社に対しまして当該見積りの写しを送付し、その真正性を確認をいたしているところでございます。
 現在、八社三十九件について回答がございました。既に過大請求事案として公表した二件のほかに五件についてそのような疑いがあるというふうに考えております。そのほかの件も含めまして、現在真正性を確認をいたしておるところでございます。現在、そういう進捗状況であります。
○福山哲郎君 今話が出た中で、この間ドイツのメーカーが、三十一件、取引について山田洋行からの見積りが怪しいということになりましたが、この三十一件はまだ含まれていませんね、今の数に、大臣。短めにね、短めに。
○政府参考人(小川秀樹君) お答え申し上げます。
 御指摘のドイツメーカーの件でございますけれども、これも全数調査の中で調査をしておるところでございます。契約件数は、十三年度から十九年度までで三十五件関連の契約があるわけでございますけれども、そのうちで、現在のところ十三年度分の契約四件について過大請求が行われた可能性が高いと考えておりまして、最終的な確認を急いでおるところでございます。
○福山哲郎君 今の数を聞いていただいてもお分かりのように、要は、山田洋行はそれぞれ部分的にいろんなところで水増し請求をしていたということは明らかだと思いますので、そのことの詳細は追って防衛省は報告をしていただきたいと思いますが、問題はチャフ・フレアの問題でございます。
 次、ちょっと見てください。(資料提示)チャフ・フレアのヘリの問題でございますが、これ見ていただきますと分かりますが、実は相手の会社が山田洋行が危ないと、見積りをおかしくしているというのを実は防衛省の職員がメーカーに問い合わせをしました。メーカーから山田洋行はおかしいという書簡が届いたのが二〇〇二年の二月の五日でございます。山田洋行を通じて、メーカーから山田洋行の作為的水増しは違うんだということの書簡が届いたのが三月二十日でございます。この書簡が、実は今防衛省は偽造だという議論をされています。
 そして、その後、旧防衛庁のロサンゼルス駐在員から、メーカーが謝罪したとの報告書が本省に提出されます。そして、二〇〇二年五月、本庁から調査のための職員が派遣をされて、二〇〇二年五月二十二日、調査結果が報告をされて、水増し請求は山田洋行はなかったということで減額をして契約をされています。
 問題は、幾つかあるんですが、この五月の調査報告書、大臣、皆さんのお手元にもお配りをしました、ごらんください。これが防衛省が山田洋行は問題はないといった、見積りに水増しはないですよといった調査報告書なんです。二つ問題があります。
 一つ、これ見ていただけますか。二ページ目の(2)、調査の概要ですが、あえて防衛省の職員の個人的な名前は申し上げません。調査概要のところに、BAE社が二種類のコーテーションを発出したことに関して、五月十四日から十五日の間、防衛省の職員が製造メーカーの所在地である現地に出張し調査を行ったと書いてあるんです。これ、だれに会ったかも、どういう経緯で何をしゃべったかも実は全然書いていない。分かります、だれに会ったか全然書いていないんです。こんな報告書ないんですよ、実は。
 それともう一つ。山田洋行の説明によればといって、山田洋行はこのときに、三ページから四ページにずっと書いてあるんですが、技術支援費というものを見積りに載せたんだというふうに防衛省は書いているんです。技術支援費は役務の提供です。製品費と役務の提供は普通見積りでは別です。
 これ、大臣、山田洋行の過去も今も含めて、技術支援費と製品費を一緒に見積りを出した例は一件としてもありますか。何件ありますか。大臣、短く答えてください、時間ないので。もう結論だけで結構です。
○国務大臣(石破茂君) 普通、そのようなことはございません。
○福山哲郎君 そうなんです。このときに山田洋行をかばうためにだと思いますが、契約を続行するためにだと思いますが、あえて技術支援費というものを入れて見積りを間違えましたという言い訳をつくって、このまま契約を続行します。調査をした相手方の名前も書いていない。これ、ここに守屋被告が、被告でいいのかな、守屋さんが介在をしたという話も出ていますが、私が言っているのは、これは守屋さんの、簡単に言うと一人の責任に全部なすり付けてはいけないと思いますよ。これは防衛省全体としてもこういうことを恒常的にやっていたのではないか。
 石破大臣、この報告書に書いてあります、この報告書、行った出張ですが、五月の出張と三月の二十日の出張があるんですけれども、この出張、防衛省の職員と山田洋行の職員が一緒に随行しているという事実はありますか、お答えください。
○国務大臣(石破茂君) 山田洋行の職員が同行しておったというふうに承知をいたしております。
○福山哲郎君 これ、山田洋行の見積りがおかしいとメーカーから来て調査を入っているのに、山田洋行の人間が随行して、防衛省の人間がこういう報告書を出して、初めて技術支援費という言葉を使って、その見積りは正常でしたといって山田洋行と契約を続行しているんです。こんな調査はないでしょう、大臣。
○国務大臣(石破茂君) 結局、先ほど私がアメリカの契約と申し上げましたのはそういうことを含んで申し上げました。
 つまり、防衛省があって、商社たる山田洋行があって、BAEという会社がある。これを甲乙丙というふうに申し上げましょう。我々が、防衛省を甲とします、そして、丙との間に接触する場合に、乙たる山田洋行あるいはヤマダインターナショナル、これの同意というものが必要であるというようなことが契約条項にあるとするならば、そういうことが結局起こるわけでございます。つまり、そういう者が同行しなくても我々とBAEの間でそういうことができる、そういう関係をきちんとつくっていかねばならないだろうということだと思っております。つまり、そういうような我々とBAEの間で直接そういう話ができるという形にしておかなければ、商社がある意味、アメリカの契約はこうなっていますよみたいな言を左右にする、そういうことでこういうことがあるとすれば、それはもみ消し以前の問題であって、そういうことがあってはならないことだと。
 そういうような契約が可能かどうかということは、これから先アメリカの契約体系も含めてきちんと我々として確立していかねばならないことだと思っております。
○福山哲郎君 この一連の作業はまだまだ疑惑がありますので、防衛省も今調査をされていると聞いていますので、詳細に調査を早く出していただきたいと思いますが、まあ山田洋行が随行していること自身おかしいと思っています。
 もう時間がなくなったので、総理、今バリで京都議定書に関するCOP13が行われています。大変、二〇〇九年にポスト京都の枠組みを作る重要な会議で、今日の午後から鴨下環境大臣がバリに行かれると承っています。実は、議長提案で、二〇二〇年までに先進国は二五から四〇%削減をしろという議長提案が出てまいりました。
 総理は、十月の十六日の私の質問で、国内の排出目標を作るべきかと言ったら、当然そのとおりだと思いますと、大変御勇断をいただきました。あのときは私は政治決断をいただいたと思って大変意を強くしたんですが、あのときの総理のお気持ちは変わらず、国内の排出削減目標を作るということで変わらずということでよろしいですね、確認をさせてください。
○内閣総理大臣(福田康夫君) ただいまバリで会議しておりますけれども、すべての主要国が参加して実効ある二三年以降の枠組み構築のため行う、その交渉を行う場を立ち上げると、それは我が国としてはとても大事なことであると、最重要課題というように考えておりますので、そういう観点から……(発言する者あり)ええ、そういう観点から今会議で交渉しているところでございますけれども、我が国の交渉目標、目標と申しますか削減目標と申しますか、これはいろいろな状況ありますので、私がさきに申しましたように、これは削減目標を作るんですよ、作らなきゃ動きません、動くように作っていかなければいけない。じゃ、いつ作るかとかいったような具体的なことについて、これからだんだんと徐々に明らかにしてまいりたいと思っております。
○福山哲郎君 もう終わりますが、作ると御明言いただいたのと、環境大臣は実はこの間の委員会の質問で年内とおっしゃったんですが、年内全然動いていません。早急に国内の排出削減目標を作っていただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。

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第168国会  参議院  予算委員会 2007年10月16日

肝炎問題、随意契約、緑資源、地球温暖化問題


○委員長(鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 予算の執行状況に関する調査を議題とし、昨日に引き続き、質疑を行います。
 関連質疑を許します。福山哲郎君。
○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会・日本の政審会長をやらせていただいております福山哲郎でございます。今日はよろしくお願いします。
 まず冒頭、総理、総理御就任おめでとうございます。このような多難な時期に総理に御就任されて、多分、恐らく心労も多々あると思いますが、是非、日本国のために御奮闘をいただきたいと思いますし、いろんなところで総理の決断が要る場面があると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 参議院で野党が過半数を取って、日本の政治史上何回か例はありますが、現実に二院の意思が異なるということで新しい状況が起きてきています。総理が野党と協力、議論をと繰り返し言われていることに関して、私は一面では評価もしますし理解もします。しかし、その分、福田総理の意思がなかなか国民に見えにくい部分があるのではないかということも私は感じています。
 また、昨日の自民党の予算委員会でも我々の案の一部を取り上げて批判をすると、欠席裁判みたいなことが行われるわけで、与党の姿勢としてはいかがなものかなと私はいささか思っています。
 こういった状況の中で、総理が議論だ、姿勢を示して協力をと言われてもなかなか理解できないんですが、この参議院の状況も含めて、総理は一体どのようにお考えいただいているのか、お答えをいただけますでしょうか。
○内閣総理大臣(福田康夫君) こういう状況になりまして、苦労ばっかりでございます。しかし、この苦労の中から何か新しいものを生み出したいなと、こういう気持ちも実は持っておるところでございます。
 それは、与野党、意見は異なるところは多々あるのはこれ当然でございます。ですから、そういうことにつきまして、国会を中心に論戦を闘わす、これはもう大変いいことではないかと思います。ただ、お互いにお互いの欠陥をあげつらうということだけでなくて、より建設的な方向で議論が行われるということが私は大事なのではなかろうかと思います。
 こういう機会というのはそうめったにあることではないんでありますけれども、しかし、場合によってはこういう状況が長く続くかもしれぬということを考えますと、これからの国会の在り方ということも含めまして、何を目指してやるのかということをお互いに考えていきたいと、そういうふうに思っているところでございます。
○福山哲郎君 私は、国会の緊張感が非常に増したと。
 さきの通常国会、安倍政権のときは、問答無用とばかりに与党は強行採決を繰り返しました。これ見ていただきますと、(資料提示)我々はこの参議院に既に四本法案を出していますけれども、ほとんどが自民党が強行採決をされてきたものでございます。若しくは被災者支援、地震や台風の被災者支援に関しては、我々が主張してもほとんどはもう無視、相手にされなかった法案でございます。
 我々のこの四本について、総理、今どのように評価をされているか、お答えをいただけますでしょうか。
○内閣総理大臣(福田康夫君) さきの国会のことに言及されましたけれども、国会でございますから、そのときの状況に応じていろいろなことはあると思います。我々として、強行採決をしたのかと言われて、そういう認識というのが余りなかったということがあったのも、これも事実だというふうに率直に申し上げます。
 ですから、そういうことが本当によかったのかどうか、皆さん方野党の方々がおっしゃるとおりなのか、そのところは私もにわかに判定し難いところでありますけれども、いずれにしましても、いずれにしましてもよく話し合って納得ずくでやる姿勢というものは、これは欠かすことはできないと、こう思っております。
○福山哲郎君 国民の皆さん、ひょっとすると誤解をされているかもしれませんが、国会には普通百本ぐらい通常国会では法案が出てきます。野党も、国民のためと思うものは六割とか七割賛成をしているわけです。全部が全部反対をしているわけではなくて、我々としては理念が違うとかここはおかしいというものに対して実は反対をしている、若しくは意見を闘わせている。我々のこの四本について、もし構わないんだったら、やはり与党側も賛成をしていただくと、その姿勢が重要だと思いますが、総理、四本について言及をいただけますでしょうか。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 個々の法案につきまして今申し上げるのは、これはちょっとよく一つ一つ見てみたいと思いますけれども、全般的に言って、良いところは取り入れていきたいと、こういうふうに思っております。
○福山哲郎君 是非そのお言葉を信用したいと思います。
 次、行きます。
 肝炎の問題がいろいろ動いていますが、二〇〇二年七月の二十六日に厚労省の命令書を受けて、八月の九日、当時の三菱ウェルファーマから報告がありました。この中に、実は三菱ウェルファーマが投与をした四百十八名の症例があって、その表紙と四百十八名のうちの何名かの抜粋を持ってきましたが、この報告書が出てから厚労省は一体何をされましたか。
○国務大臣(舛添要一君) 今御指摘になりましたこの三菱ウェルファーマが二〇〇二年の八月九日にそのような報告書を出しました。これに対しまして、厚生労働省としては、国民に対する普及啓発、相談指導の普及、それから肝炎ウイルス検査の実施、予防、治療方法の研究開発と診療体制の整備、予防や感染経路の遮断などを柱とするC型肝炎緊急総合対策を同年度に開始したということでございます。
 四百十八人についても今お答え……
○福山哲郎君 まだ。
○国務大臣(舛添要一君) まだいいですか。はい。
○福山哲郎君 厚労大臣は気が早いみたいでございまして。
 啓発、啓蒙したのはよく分かりますが、じゃ、この四百十八名の症例の方々について厚労省は何をされましたか。
○国務大臣(舛添要一君) 今先生お持ちのこの四百十八人について症例の一覧表がございます。名前はもちろん症例何番という形で、個人の情報ですから姓名は明らかにしてありません。
 この実は症例の一覧表は、平成十四年の調査の際に、旧ミドリ十字社がフィブリノゲン製剤の投与に関連する肝炎の発症例についてどれぐらい情報を把握していたかというのを会社なりにそこにまとめたものです。個人が、どなたがだれだと、何の何さんだというのが分からないという状況ですから、厚生労働省としては、その個々の方々というよりも、一般的に肝炎ウイルス検査を皆さん是非受診してくださいよと、そういう呼び掛けをやったということであります。
○福山哲郎君 今、大阪高裁で公判中なんですけれども、政府が提出されたというか、政府に提出されたこの四百十八名の中の原告十六番の方が実はいらっしゃったんですが、原告十六番の方に関して、国は実は準備、この法律上の公判の準備書面でちょっと発言をされているんですが、厚労大臣、この国の発言をお読みいただけますか。
○国務大臣(舛添要一君) 今のは、この訴訟の準備書面で原告番号十六番ですね、について主張すると。まあ、これ訴訟の準備書面なんで、ちょっと固いというか、非常にきつい表現になっていますが……
○福山哲郎君 いいです。そのまま読み上げてください。
○国務大臣(舛添要一君) いいですか、そのままで。はい。じゃ、ちょっとそのまま御要望ですので読みます。
 さらに、原告番号十六については、後記三のとおり、フィブリノゲン製剤の適応があったとは言えないことがうかがわれ、その投与を推認させるような事情は見当たらない。以上のとおり、上記製剤使用証明書の記載は、信用できない。また、他に原告番号十六にフィブリノゲン製剤投与が使用された事実を立証する証拠はない。したがって、原告番号十六にフィブリノゲン製剤が投与された事実は認められず、フィブリノゲン製剤の投与によってC型肝炎ウイルスに感染したとは言えない。
 以上であります。
○福山哲郎君 国は、この原告十六番について、明らかに証拠不十分だと言ってこれだけの強い表現をしました。四百十八名の中に原告十六番はいらっしゃったんですね、大臣。
○国務大臣(舛添要一君) これは、私が聞いたところによると、名前がそこには明らかでないですから、こういう症例だ、こういう症例だということを聞かれた人が、ひょっとしたらこれは私のことではないかなと、こういうような問い合わせもしたというふうに聞いています。ただ、その準備書面を提出した段階ではその個人についての情報が得れませんから、しかもその企業が、そのときの旧ミドリ十字がその個人についての情報をしっかりと持っているよということも十分承知をしていなかったと。
 したがって、そういうことでありますけれども、今先生御指摘のように、新たな情報が出てきましたから、私としては、きちんとその情報を基に、何か対応できることがあれば対応したいというふうに考えています。
○福山哲郎君 四百十八名の症例が出てきた当時、もう一回聞きますね、先ほど私は質問をしていないので、厚労省は何かされましたか。
○国務大臣(舛添要一君) 先ほど申し上げましたように、個々の四百十八名というのがどなたであるかというのは確定できませんですから、したがって一般的な肝炎対策について指示をしたと。それ以上のことはやっていません。
○福山哲郎君 特定しようとはされましたか。
○国務大臣(舛添要一君) 要するに、そのデータ、個人情報の特定ができるかどうかということについて、これは企業が情報を持っているかどうかと。そこにあることについて言うと、個人情報でありますから名前が出てません。したがって、これは企業に対して出しなさいという命令が法的にできるのかどうなのか。その後、そういう問題はありますけれども、結論からいえば、個人の症例はだれがどういう症例であるかという特定はしていないと。
○福山哲郎君 いいですか、これ実は三菱ウェルファーマは住所も氏名も持っていたんです。四百十八名、確実にフィブリノゲン製剤で感染をしたことが分かったんです。それは国に報告書が出されたんです。そのときも大問題になっていたんです、肝炎の問題が。それを、実は四百十八名出てきたにもかかわらず、国は、特定をして、その人たちに対してあなたは感染をしましたよという告知もせずに、四百十八名ほったらかしたんです。ここに実は一月後に出ている調査書があります。私、これ全部読みました、一言一句。四百十八名に対して何の言及もない。
 それで、実はこの後、提訴をされて、五年裁判をやって、国は四敗ですよ。この間、仙台で辛うじていろんな国の主張が取り入れられた判決があったけれども、四敗。それで、やっと昨日、和解の意見の聴取に応じる。
 四百十八名はほったらかされたんです。この人たちは感染をして、症状が出て、どこで感染したかも分からない、どうやって治療されたかも分からない。この原告十六番はもう肝硬変になられています。このほったらかした責任をどうお考えですか。
○国務大臣(舛添要一君) まず、そこの一覧表は、フィブリノゲン製剤の投与後肝炎発症の一例ということで、要するに、輸血の併用ということもある、また製剤の投与によって感染したかどうかということが正確に一〇〇%確定していないという、まあ、これは一つの事実として申し上げておきたいと思います。
 それで、これらの方々を含めて、平成十六年十二月にメーカーがフィブリノゲン製剤を納入した医療機関名を公表して、投与の可能性のある方々に対して、その医療機関に掛かった方々、これは是非受診してくださいと呼び掛けているわけであります。
 国としては、そのリストを特定、だれだという個人名を特定できる情報を持っていないので、これが企業に対してリストの、製薬メーカーに対してそのデータを出しなさいということが国として可能であるかどうか、これを、可能であり、またそういうことの要請をきちんとやれればやりたいと、今からでもやりたいと私は思っております。ただ、そういう法的なことができるかどうか、そのことの一つのクリアはあります。
○福山哲郎君 今からやりたいって、どういうことですか。病気は進行しているんですよ。このときもう既に薬害だという話が出ているんですよ。
 我々の党の家西議員は薬害エイズで今も議員活動頑張って、このことを一生懸命やってきました。肝炎対策だと言ってもほとんど見向きもしなかった、裁判中だ、裁判中だと。そして、今この状況になって、やっと今から特定できると。これ、四百十八名の患者さん、今どのように考えていると思いますか。厚労大臣、余りにも役人答弁過ぎませんか、それは。
○国務大臣(舛添要一君) いや、今申し上げましたように、きちんとそのときにメーカーに要請し、そういうことが特定するという努力は十分やったかどうかで、ということですね。それは私はやっていないということを申し上げているんです。
 したがって、ただ、今からでもできることはやろうということで、今いろんな面で対応しているということです。
○福山哲郎君 じゃ、その当時の国の責任、不作為責任はお認めになるということでいいんですね。
○国務大臣(舛添要一君) メーカーに対して、メーカーに対してですよ、そこにある個々の人はどういう名前ですかということを要求しなかったということが不作為責任になるかどうかというのは、これは私は、役人的な答弁とかそういうことではなくて、法的にそういうことが可能かどうかということを検証してみたいということを申し上げているわけです。
○福山哲郎君 要求もせず、四百十八名に対して報告書で何の言及もせずほったらかした。そして、裁判ずっと長引いて皆さんが、本当に肝硬変までなられている方がたくさんいらっしゃる。この期に及んで、やっと昨日だ、和解の協議、和解の聴取に応じると。
 じゃ、聴取に応じた和解協議の内容、明らかにしてください。
○国務大臣(舛添要一君) まず過去のことについては、私は完璧に十分国が行ったかというと、必ずしもそうでないという認識を持っております。
 そして、今おっしゃられた大阪高裁に対してはきちんと、これは大阪高裁の求めに応じて、事情聴取をしていいですかということなんで国の考え方について述べたと。しかし、これは大阪高裁の方針もありまして、その中身については公表できませんと。
○福山哲郎君 今大臣は間接的に責任をお認めになりましたが、それでよろしいんですね。
○国務大臣(舛添要一君) 必ずしも十分な対応ではなかったと。ただ、法的な責任があるかどうかということについて言うと、個人情報の問題でありますから、そこは、(発言する者あり)そこは全体として十分な、十分な対応ではなかったと。
○福山哲郎君 総理、今の話を聞かれて、国の責任どうお考えですか。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 今のやり取り伺っておりまして、正直申しまして私がいいの悪いのと、こういうふうに言うのはなかなか難しい。難しいんですが、しかし、結果としてこういう事態が生じたということについては、これはよく考えていかなければいけない問題だというふうに私は思っております。
○福山哲郎君 冬柴大臣、公明党はホームページでこの肝炎を二十一世紀の国民病と名付けて我々とほとんど同じ主張をされています。一日も早い救済をということを主張されています。
 このやり取りを聞かれて、冬柴大臣はどのように思われますか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 肝炎で苦しんでいられる方がたくさんいらっしゃるということは認識をいたしておりますし、その人たちに取り得る手段を早く取らなければならないという認識も持っておりますけれども、私は今、公明党の議員ではありますけれども、大臣という立場で、しかも所管外の問題でもあります。所掌によって、つかさつかさで賢明に判断をされることを期待をいたしているところでございます。
○福山哲郎君 総理はなかなか表現しにくいと言い、冬柴大臣は所掌が違うと。こんな役人みたいな答弁していていいんですか。患者は今三百五十万人いると言われているんですよ。
 これ実は昨日、医療費の議論が我が櫻井議員からもありましたけれども、これ肝炎から肝硬変なり肝がんなりに皆さん症状が変わっていくんです。そうすると、医療費も上がる。そして、インターフェロン治療を早目にすればこの肝炎は完治するんです。しかしながら、この治療は一人当たり二百何十万とか三百万掛かるんです、二百八十万掛かるんです。自己負担が余りにも大きい。だから、早く医療援助をしよう、医療助成をしようと我々は主張している。
 そのための法案を先ほど冒頭申し上げました。この国会で出しました。早くこの法案を通していただきたい、賛成をしていただきたい。総理、いかがですか。
○国務大臣(舛添要一君) 私は、全く問題意識を福山先生と一にしておりまして、先般、民主党の議員団のこの問題をやられている方々とも十分に協議を尽くさせていただきました。
 まず、三百五十万人、この方を一日も早く支援してお救い申し上げたいと。今おっしゃったように、インターフェロンという特効薬があるわけですから、これがやっぱり財政的に、金銭的に非常に負担になる。
 したがいまして、この点について与党も今PTで精力的に議論をし、私は何とか年内に支援策、これを決めたい、与党の検討を待って。そして、もちろん民主党の皆さん方とも精力的に協議を進めております。そういう形ですが、最終的には国会で、議員立法でありますから、与党、野党を含めて十分議論をして、一日も早くこの命を助けると、その観点からおまとめいただきたいと思います。
○福山哲郎君 いや、与党PTの議論もいいけど、我々は法案出しているんだ。さっき申し上げたように、我々だって政府の法案を六割、七割は賛成をしているんです。今、考えが一だと大臣おっしゃられたじゃないですか。じゃ、我々の法案、早く参議院で通して賛成をしていただきたい。もう一度、じゃ、御答弁をお願いします。
○国務大臣(舛添要一君) これは、法律案を可決するか否決するかは立法府の仕事でありますから、是非しっかりと議論をしていただきたい。ただ、ただ、従来の延長線上ではない新たな対策を組むということであります。そして、民主党の法案にもいい点がたくさんある。しかし、例えば一月まで間に合うのかなとか、そういう点もありますから、これは立法府で十分議論して、更にもっとすばらしい法案の形でまとめられると、我々も一生懸命その法案に従って政策を整えていきたい、そういうように思っています。
○福山哲郎君 とにかく一日も早い法案の成立と、裁判での和解協議に素早く応じていただくことを望みます。
 次に行きます。テロ特措法についてお伺いします。
 テロ特措法の海上阻止活動について、無線照会十四万件、立入検査一万一千回とされていますが、この立入検査一万一千回は何か国の船にそれぞれ何回立入検査をしたのか、お答えください。
○国務大臣(高村正彦君) 何か国の船に何回立入検査したということは日本政府としては承知をしておりません。いろいろ照会しておりますが、作戦上のことということで、きっちりした答えが返ってきておりません。
○福山哲郎君 その作戦上は何の作戦上ですか、大臣。
○国務大臣(高村正彦君) 何か国の船にということでしょう。だから、それについては明らかにしていないと、こういうことでございます。
○福山哲郎君 何の作戦上ですか。
○国務大臣(高村正彦君) 相手国が作戦上のことであるから明らかにできないと、こういうことを言っているということです。
○福山哲郎君 何で。
○国務大臣(高村正彦君) 考えていただきたいんですが、相手国は、我々みんなのために、我々みんなのために海上阻止活動をやってくださっているんですよ。そのことについて、彼らは作戦上のことだから公にできないと、こういうことを答えているわけでありますから、それについて何か具体的な問題点でもあれば別ですけれども、そういうことがないのに、しつこく何だ何だと、こういうことを聞くということは、作戦上のことだと、こう答えている中でそういうことについて聞くことというのは、国際場裏に私は反していると思います。
○福山哲郎君 石破防衛大臣は衆議院の予算委員会で、この海上阻止活動は警察的行為であると、非常に微妙な言い回しをされましたね。軍事活動ではないということですよね。どうぞお答えください。
○国務大臣(石破茂君) おっしゃるとおり、そういう言い回しをいたしました。警察権というのは基本的に国内において作用するものでございます。したがいまして、警察権という言葉を使いませんでした。警察的と申し上げましたのは、そういうことによるものでございます。
○国務大臣(高村正彦君) 警察的行為と軍事的活動ということは必ずしも矛盾するものでないということは御理解いただきたいと思います。
○福山哲郎君 矛盾はしていないけど、作戦上の機密性はかなり違うんじゃないですか、大臣。
○国務大臣(高村正彦君) 警察的行為であっても軍隊がやる行為について、それは作戦上の秘密というのは当然あり得ます。
○福山哲郎君 まず、一万一千回の船に立入検査をしたと声高に防衛省なり外務省が言われていることの、どの国に何回やったのかは全く分からないことが今明らかになりました。
 二つ目。立入検査とは臨検と同じ意味合いでよろしいですか、大臣。
○国務大臣(高村正彦君) 立入検査と臨検は違います。立入検査というのは、一般的に相手の同意を得て立入検査をする場合も含まれますけれども、臨検というのは、国連海洋法条約に定められている臨検の権利というのがあって、相手が拒否してもできる、その場合を臨検と普通言っております。
○福山哲郎君 相手が拒否してもできるのが臨検。本当にそれでいいのか、政府委員、答弁ください。
○委員長(鴻池祥肇君) だれ。自分で名のって答弁してください。
○政府参考人(小松一郎君) 外務省の国際法局長でございます。
 今大臣が御答弁になったとおりでございまして、国連海洋法条約第百十条、例えば海賊行為を行っている、奴隷取引を行っている、それから無国籍船であるというような場合に、同意なしにいかなる国の軍艦、公船も取締りを行うことができるというふうに規定してございます。
○福山哲郎君 さっきの大臣言われた立入検査と臨検の違いを、じゃ、もう一度お答えください。
○委員長(鴻池祥肇君) はい、どうぞ。登録していないんだ。
○政府参考人(小松一郎君) 船舶に、公海とか排他的経済水域におきましては、一般論といたしまして、その国の、所属をしてございます国の排他的管轄権が適用されると、こういう旗国主義の原則というものがございますので、一般論としてはその同意、旗国の同意なしに立入りをすることはできないわけでございます。他方、今申しましたように、国連海洋法条約が定めております臨検の権利というのがございますので、その臨検の権利の条件を満たす場合には旗国の同意なしに立ち入ることもできる。
 したがって、立入検査というものは、臨検による立入りの検査の場合と旗国の同意による場合と両方を含んで一般的に使っている言葉であるというふうに理解してございます。
○福山哲郎君 今のは簡単な話を難しく言っているだけなんですよ。臨検は同意に基づく立入検査と同意に基づかない立入検査が二つあるということですよね。
○国務大臣(高村正彦君) 法律の世界では立入検査の方が広いんですよ。同意に基づかない場合でも臨検の権利があると、こう定められております。ですから、同意に基づく場合を臨検とは法律の世界では普通言わないと、こういうことです。
○福山哲郎君 違いますよね、政府委員。同意に基づかない場合、臨検って言わないんですか。
○国務大臣(高村正彦君) 同意に基づかないで、特別、国連海洋法条約に定められているときを臨検というんです。そして、一般の旗国の同意に基づいてやる場合は、一般には同意と言わないんです、法律的には。よく全部ひっくるめて臨検、臨検と言う方がいますけれども、そうではない、法律的にはそうではないということだけ申し上げておきます。
○福山哲郎君 そうすると、先ほど高村大臣が言われた立入検査ということは、これは同意に基づいているということですね。
○国務大臣(高村正彦君) ほとんどが同意に基づいている行為であります。ただし、臨検の場合もあると思います。
○福山哲郎君 両方あるんじゃない。両方あるのは認めますか。
○国務大臣(高村正彦君) 両方あり得ると思います。
○福山哲郎君 いいですか。同意があるかないか、両方あると今おっしゃられましたよね。皆さん、委員の皆さん、聞かれていますね。ところが、最初何て答えられましたか。どの国に何回立入検査したか、詳細に把握していないとおっしゃったんですよ。
 詳細に把握していないのに、両方あって、同意があったかどうか何で判断できるのか、お答えください。
○国務大臣(高村正彦君) 例えばアメリカの場合は、幾つかの国の、こういうありそうな国に対して、あらかじめ同意を得るべき協定を結んでおります。そういう協定の中で、もう協定があるわけですから、同意を得て当然やっていると思われます。そして、無国籍船の場合は同意がなくてできると、こういうことであります。
○福山哲郎君 一万一千件がアメリカが同意をしている国と無国籍船と二つ、二種類しかないというのは何で判断できるんですか。だって把握していないんでしょう、外務省は。
○国務大臣(高村正彦君) アメリカに限らず、今この活動に参加している国は無法国家でも何でもないんですよ。そういう国が適法にやっていると言っているときに、具体的におかしいじゃないかといったら、それは問題提起もできますけれどもね、彼らが我々みんなのためにやってくれていることに、それは一々全部それを適法であることを証明しろなんて、そんなこと言うのが国際場裏で通用すると思われます。
○福山哲郎君 じゃ、今把握をしている、把握をしている具体的成果の例は何件ありますか、外務省が把握をしている具体的成果の例は。大臣。
○国務大臣(高村正彦君) たしか防衛省がまとめて、私の記憶では九件ぐらい出したと思っています。
○福山哲郎君 言っていただいていいですよ。政府委員、お答えください。
○委員長(鴻池祥肇君) 福山委員にちょっと私の方から申し上げたいんですが、政府委員に対しての質疑の申入れ、いわゆる事前の予告が、ルール上、ありませんので、これ以上の政府委員の答弁は控えていただきたいと思います。
○福山哲郎君 分かりました。
 じゃ、大臣でいいです。はい。
 高村大臣がおっしゃられたのは九件なんです。この九件ですが、ダウ船に、拘束をした、ダウ船から発見をしたと。このダウ船の国籍をお答えください。
○国務大臣(高村正彦君) ですから、先ほどから承知していないと、こういうことを申し上げているんです。
○福山哲郎君 おかしいんですよ。外務省は九件把握していると。九件把握していることで、そのダウ船の国籍すら把握していなくて、立入検査がちゃんと法に基づいて同意を得たかどうかも確認をしないなんということはあり得ないんですよ、こんなことは。
 で、一万一千件のうち外務省が把握しているのがたった九件。そして、問題になった、臨検をした船がどこの国の船かも理解しなくて、どうやってこれ、国際法上適法か違法か判断するんですか。
○国務大臣(高村正彦君) 国際法というのは一つの主権国家の中みたいに法律がはっきり確立しているわけでもなくて、刑事と民事の区別さえないぐらいのところで、国際法が問題になるのは、例えばそれで侵害を受けた国が問題を提起して初めて問題になるということが大体の実態なんですよ。
 そういう中で、今まで臨検を受けて、旗国が、自分の国は勝手に同意もしていないのに受けたという、そういう問題提起した件が私は一件も知らないわけであります。
○福山哲郎君 これ、多分、石破防衛大臣はお詳しいと思いますが、これ必要ですよね、相手国の同意はね。同意は必要だけど、今我が国の政府は、一万一千回もやっているにもかかわらず、同意があったかどうかの確認すらしていないということでよろしいですよね。
○国務大臣(高村正彦君) 一件一件に確認していないということと、全体的同意を受けて法に従ってやっていますよという確認はしているわけであります。
○福山哲郎君 一万一千のうち九件しか分かっていない、それは〇・〇八%。そして、その九件臨検をしたところの船の国籍すら分かっていない。そしたら、同意ができたかどうかどうやって確認しているんですか、これ。
○国務大臣(高村正彦君) 無法国家でも何でもない一般の国が、アメリカだけじゃないですよ、我々はきちっと国際法に従ってやっていますと答えを出している。そこに具体的な、おかしいじゃないですか、違うじゃないですかという案件でもあれば、それはしつこく聞くことできますよ。そうじゃなくて、普通の国が我々は国際法にやっていますと言えば、それは何で、何を根拠に疑うんですか。
○福山哲郎君 じゃ、大臣、お伺いします。イランとアメリカは国交断絶されていますよね、今。
○国務大臣(高村正彦君) 国交断絶されていると承知しています。
○福山哲郎君 いいですか、テロを阻止するのに海上阻止活動をすると、イラン国籍の船が麻薬や武器弾薬をアフガンに運ぶ可能性というのは十分考えられるわけです。そのときに、イランとアメリカは国交断絶しているのにイランの国籍の船を立入検査を、例えばこの一万一千件のうちの何隻かをイランの国をやるとしたら、これ同意が絶対必要なのに同意しているかどうか分からないんです。これ、どう思われますか。
○国務大臣(高村正彦君) イランがきっちりと旗を掲げて、イランの船がですよ、そしてそれを同意なしでやったら国際法違反です。
○福山哲郎君 ということですよね。現実に公海中、公海というのは公の海です、公海中は港に入らない限りは船というのは実は旗は掲げません、公海中はね。ほら、石破大臣がよくうなずいておられる。
 つまり、公海中ではその船を見た瞬間はどの国籍か分からないんです。だから、無線照会をして国を確認をして、そこで更に不審だったらその国に同意を取って臨検をするんです。このプロセスを経ているか経ていないのかを外務省はさっきからのやり取りでは全く把握をしていないのに、合法だとかちゃんとやっていると言っているわけですよ。これ、何にも根拠ないじゃないですか。これ、違法の疑い十分あるんですよ。
○国務大臣(高村正彦君) 無法国家でも何でもない国が、私たちは国際法に従ってやっていますと言っているんですよ。それじゃ、一つでも疑わしいこういうことがあったというのを出してくださいよ。そうしたら、そういうものが出てくれば、私もそれへ対してしつこくどうなんだと聞きますよ。
○福山哲郎君 説明責任は政府にあるんです。政府が執行しているんです。だから、それが適法なら適法だという証明を下さいと私は申し上げているんだ。当たり前の話。何が、こちらに違法なら違法の例を出せ、冗談言うな。それは確実に政府の責任でしょう、今テロ特措法の問題になっているんだから。これが違法でやられているかどうかの説明は政府にあるじゃないですか。
○国務大臣(高村正彦君) 無法国家でも何でもない国が、ちゃんと私たちは適法にやっていますよと、こう言っているんですよね。
 例えば、警察官が職務質問しますよね。そういうときに、どういうときが問題あるかといったら、それは警察官職務執行法に違反した疑いがあるときに初めて問題をするんですよ。一般の一件一件について、おまえ、適法だと説明しろなんて、そんなこと言わないでしょう。主権国家の中ですらそうなんですよ、主権国家の中ですらそうなんですよ。国際場裏において旗国が旗を掲げて、所属の国がこういう問題がありますよと、こういうことを国際場裏に出してきて初めて国際法の問題になるというのが国際法の一般なんですよ。それは国内でもそういうこと、国内の職務質問の場合でもそんなことがないようなことを国際法の中で、国際関係の中で言ったら、それは私は国際常識に反すると、こういうふうに思います。
○福山哲郎君 だから、疑いがあるから国として、じゃ一万一千件のうちの何件かでも結構です。この国とこの国とこの国の船に対して臨検をしたと、同意を取ったということを示してください。
○国務大臣(高村正彦君) 何度も言いますが、同意を取ったら臨検じゃありません。同意を取ったら……
○福山哲郎君 同意を取っているか取ってないかが分からない。
○国務大臣(高村正彦君) いや、そして、同意を取ったかどうかその一々のことについて、今のところ作戦上のことだから明らかにしないと相手国は言っていると、こういうことです。
○福山哲郎君 そしたら、もし臨検を受けて、これは国際法上同意を取っていないのに臨検をされたという事例があった場合には国は認めるということですね。
○国務大臣(高村正彦君) 例えば、さっきはっきり申し上げました。例えばイランの国が、イランの船だとはっきりしているのに同意なくして乗船検査を強引にやったら、これは国際法違反です。さっきはっきり申し上げた。
○福山哲郎君 つまり、私が言いたいのは、一万一千件のうち九件把握をしている、わずか九件です。それも実はどの国の船かも把握していない。そして、適法だと相手が言っているので適法ではないかと。適法だと言ったら適法なんというんだったら裁判所も何にも要らないじゃないですか。こんないい加減な話はないわけです。
 ですから、逆に原油の話もそうです、転用の話もそうですし、国際法上違反している疑惑があるということだけは申し上げておきますが、次行きます。(発言する者あり)これ重要ですよ。これ本当に重要です。もしイランとかほかの国から、要は臨検をした国に対する抗議とかが出ていたら大問題ですからね。実は、私今調査をしているんですが間に合わなかったんですけれども、私は、出ているという話を実は仄聞はしていますが、しっかりと証拠を取ってからと思っていますが、それに対して政府が今どう答えられるのかを確認をしたかったので、高村大臣から答弁をいただいたので結構でございます。
 次、石破大臣にお伺いします。
 例の八十万ガロン、二十万ガロンの話ですが、石破大臣は事務的なEメールの集計ミスであったとおっしゃいました。その根拠をお示しください。
○国務大臣(石破茂君) 事実関係でございますので資料を読みます。お許しをいただきたいと思います。
 今般、私どもの方として給油量を訂正をいたしました。民間団体ピースデポとおっしゃる方々でありますが、二〇〇三年二月二十五日の海上自衛隊補給艦からアメリカの補給艦への給油量についての指摘がなされましたことを踏まえまして、防衛省内で事実関係の調査を行いましたところ、当時現地から送られてきました給油量に関するデータ、これを海上幕僚監部において集計作業を行った際に、担当者がアメリカの補給艦への給油量を同じ日に給油したほかの艦艇への給油量と取り違えて数字を入れてしまったということが判明をしたものです。
 これを具体的に申し上げれば、当時現地におきまして、これはインド洋のことでございますが、我が国補給艦が他国の艦艇に給油した量に関しましては、日ごとの報告の一部といたしまして、ほかの報告と併せ電報で派遣部隊指揮官、これはインド洋方面派遣部隊派遣海上支援部隊指揮官とこう言うわけでございますが、現場の指揮官から海上幕僚長に報告がなされますとともに、相手の船、この場合には相手の補給艦です、相手の船から受領した燃料の受領証が、証明書、これだけもらいました、サインもあります、この受領証が電子メールで海上幕僚監部に送付をされていると、こういう流れになっておるわけでございます。電報が来ます、そして受領証がEメールで送られてくると、こういう形になっておるわけでございます。これを受けました海上幕僚監部では、これらの資料を各担当部局でエクセル、パソコンソフトを用いまして目的に応じまして集計表に取りまとめるという作業をやるわけです。ですから、電報とEメール、それを見ながらパソコンを使って集計作業をする、こういう流れになっておるわけでございます。
 さて、問題の二月二十五日でございますが、これも以上のような手順に基づき作業がなされたわけでございます。そして、それに基づき報告が上がってきたわけですが、その後、その後、これを運用担当部局、オペレーションの部分でございますが、これで集計表に転記をいたすという作業をやっておりました。海上幕僚監部の中に運用のセクションがありますが、これをその表に転記をする際に、二月二十五日に「ときわ」がアメリカに対して実施しました二件の補給、すなわちアメリカの補給艦ペコス、そして駆逐艦ポール・ハミルトンにつきまして、この数量をひっくり返して集計表に転記をしてしまったということが判明をいたしております。
 今回取り違えが生じました際に参照いたしました資料は、今申し上げました二種類の現地からの資料のうち、つまりEメールと電報ですが、この二種類の資料が来ているわけですが、電報を見ながら書き写し損じたというところがございます。
 これ、この後どういうことになるか、私も、どうしてこういうミスが起こったのかということは徹底的に検証しておるところでございますが、この電報を全部出せば、これ、なるほどそうかということになるのだろうと思っております。つまり、電報にきちんとしたことが書かれている、しかしながらそれを写し間違えちゃったということになるのだろうというふうに思って、これの、電報のどれだけ出せるかということでございます。
 この電報には、先生御案内のとおりでございますが、船の具体的位置、東経何度、北緯何度というような具体的な位置、あるいはこの後行動する予定、あるいはどこの港に寄るか、あるいはどれだけの人がこれに従事したか等々、明らかにすることによりまして、私どもの作戦遂行能力あるいは艦艇の能力、これが明らかになるということがございますので、これとこれとこれは出せないが、しかし、事実関係において現地からは正しい報告がなされておりましたと、それを転記ミスをいたしましたということをきちんと御説明するだけの公表をやるべく、今鋭意準備を進めておるところでございます。準備が整い次第、明らかにさせていただきます。
○福山哲郎君 大変御丁寧に説明いただいて、ありがとうございます。
 それで、これ、福田総理は、官房長官当時、これアメリカにまで確認したけれどもという発言をされているんですが、石破大臣、今のは国内の事務上のミスです。アメリカまで確認をしたけれどもと官房長官が言われていて、委員会の答弁で、つまり、そのときに、アメリカへの確認をしたにもかかわらず事務上のミスの方を優先をして官房長官は発言をされてしまったのかどうかということが非常に疑問なんです。
 ですから、この間の衆議院の予算委員会で石破防衛大臣は処分をするとおっしゃいました、厳しくと。処分よりも、今のことをちゃんと、物を示して、今エクセルとかおっしゃいましたが、物を示して、このプロセスで、この電報で、そしてさらに、官房長官が会見のときに確認をしたときのプロセスまで全部明らかにしていただかないと、処分をするのが問題ではありません。これはシビリアンコントロールの根幹の問題で、これは大臣がよくお分かりだと思いますが、もし官房長官が発言するなり防衛大臣が発言をするときに何らかの形で事務方で操作があったとすれば、これは大変な問題です。
 昨日、自民党の議員が枝葉末節などというけしからぬ発言をしました。私はとんでもないと思う。これは本当にシビリアンコントロールの根幹にかかわる問題なので、そこのことを明らかにしていただかない限りは実はこのテロ特措法の疑惑は決して晴れないと、私はそう思っていますが、大臣、どうお考えですか。
○国務大臣(石破茂君) これは私の言い方があるいは適切でなかったのかもしれませんが、処分ありきというふうには考えておりません。もちろん、私どもの中で処分をしますときは、事実関係がきちんと明らかになり、そして、人権というものにもきちんと配慮をした上で処分というものをなすことになります。
 私が申し上げましたのは、こういうことをうやむやにしてはならないという意味で処分ということを申し上げました。どうしても内輪でかばい合うということがあったのではないだろうか。委員おっしゃるように、仮にそんなことがあるとすれば、部内で、我々のあずかり知らないところで操作がなされた。こんなものは言語道断で、こんなものは絶対あってはならない。しかしながら、単にミスをしましたということで済ませていいのか。それが、内部のチェック体制がどうなっていたのかということまできちんと調べた上で、これは文民統制が確保されているかどうか見ていかねばならないことでございます。
 したがって、処分ありきということを申し上げるのではない。事実関係をきちんと明らかにした上で処分をするならしましょうと、そして、再発を防止するためにはどうすればいいか、そういうことについても私どもとして考えを申し上げ、また御指摘をいただいて、より良いものを目指していきたいと、このように思っている次第でございます。
○福山哲郎君 石破防衛大臣はよくお分かりいただいているので、私はそのとおりだと思います。
 しかし、もう一個問題があります。その時点で、例えば、政府の言っていることを、百歩譲って、ミスがあったとします。しかし、官房長官に上げて、官房長官の発言がそのままテロ特措法の延長につながっていったわけです。
 じゃ、どこかでそのミスは分かっていたはずなんだ。その分かっていたミスをここまで、NGOが発表するまでどこにも訂正の発表をしなかったことの責任は実は別の意味ででかいんです。ですよね、大臣。ここの問題についての、そのときのプロセスを明らかにすることはもちろんだけど、今、正に大臣がおっしゃられたように、なれ合いの中で、表に出ないんだったらいいといって今の今まで放置をし続けたことの責任はあると私はお考えですが、そこはいかがですか。
○国務大臣(石破茂君) おっしゃるとおりだと思います。
 私も、中において指示をいたしておりますのはまさしく委員御指摘のとおりであって、何でこういうことが起こったのか、そしてなぜ今まで分からなかったのかということについては徹底して解明をしなきゃいかぬと思っています。もし、今委員がおっしゃいますように、分からなかっただけではないと、どこかに何らかの意図が働いたのではないかという推論も、それは推論としては当然成り立つことなのであって、そういうことが絶対に行われることがないような仕組みは何なんだ、今回そういうことが本当に行われなかったのか、これは両方明らかにしていかねばならないと思います。
 文民統制につきまして、それは委員と私と恐らく同じ認識を持っているのだろうと思いますが、そこにおいてどうすれば実効が図られるかということは、今回更に精緻なものにしたいと思っています。
 私どもとしてこういうふうに今後改めたいということは申し上げますが、足らざるところがあれば御指摘をいただいて、これはどこが政権を取るとか取らないとか、そういうことと関係ないんですね、文民統制をきちんと図らなきゃいかぬということは。より良いものをつくっていきたい、また御教示を賜りたいと存じます。
○福山哲郎君 大臣、その調査の結果はいつぐらいまでにはっきりと、その時点だけではありません、なぜ今まで引っ張られたのか等も含めて、いつの時点まで明らかにしていただくんでしょうか。
 要は、この臨時国会は非常に重要な臨時国会なんです。新法を今用意されている。明日、閣議決定だと聞かれていますが、その中にひょっとすると、私は中身、まだあしたの閣議決定まで分からないですが、例えば国会承認を外すという議論もある。今、文民統制というのは非常に議論になっている中で、私は、大臣は文民統制は非常に重要だと思っておられる大臣だと思うからあえて言うんですが、この新法の議論が出ているこの臨時国会中に今の話をきっちり表に出していただかないと、到底国民は納得しないと思います。
○国務大臣(石破茂君) この新法の議論が始まりますまでに何とかこれについてのきちんとした解明がなされないかということで、私、実は着任してすぐそのように指示を出して作業を行わせているところでございます。
 ただ、問題は、別に逃げるわけでも何でもないんですよ、これが一番大事だということも私もよく分かっているし、このことの解明というものが文民統制の根幹にかかわるものであるということもよく分かっています。しかしながら、それが当然、服務上の処分というものを伴うものであらばこそ、そこにおいてもきちんとした厳正さは担保されねばならないということになるわけですよね、これが身分にかかわることになってまいりますので。
 そこのところを見ながら、この国会の審議において、まずなぜ間違いが起こったのかという段階までは少なくともこれは明らかにしたい。その後、なぜ気が付かなかったのか、チェック体制がどうなのかということについても、なろうことならば御審議があるまでにきちんとした結果を出したいと思いますが、仮に遅れることがありとすれば、それは人権上の問題ということで、これもきちんと重んじなければ法治国家としての、あるいは人権を重んじるという意味での実効を成し得ないことでございます。
 この両方を配慮しながら最大限加速をしてまいりますが、状況につきましてできる限り明らかにしてまいりたいと思っております。
○福山哲郎君 このテロ特措法の問題は非常に問題があります。先ほどの臨検の話も私は重要だと思っていますし、今の話も根幹にかかわると思います。新法が明日、閣議決定だと言われておりますが、今後も今の話は一日も早く明らかにしていただいて、議論をしていきたいと思います。
 その次に行きます。
 年金、問題になっています。社会保険庁、国民の信用は全く失墜をしています。国民年金の保険料の支払はとうとう、保険料の払込みは五〇%を切りました。五〇%を切った年金制度がいかに持続可能なものかどうか、私は大変疑問に思っています。
 しかし、今日はそのことについてよりももっと姿勢の問題にお伺いします。
 通常国会で、これまた強行採決を与党がした社会保険庁の後に代わる機構です。後に代わる日本年金機構の設立は一体いつですか。
○国務大臣(舛添要一君) 日本年金機構は、平成二十二年一月に設立いたします。
○福山哲郎君 法律に明記された日本年金機構の基本計画はいつ策定されますか。
○国務大臣(舛添要一君) この基本計画は、来年の六月に策定する予定であります。
 今、その前段階の作業として内閣官房の下に年金業務・組織再生会議というものを置きまして、ここで議論を賜っていまして、例えば職員の採用はどういう基準でやるのか、それから民間への業務の振り分けはどうするのか、こういうことを議論をしております。そして、その議論を来年の五月ぐらいまでに最終的に整理をして、そして六月に基本計画を確定したいと、そういう予定であります。
○福山哲郎君 今年三月、情報システムに係る基本調達の基本指針というのが総務省の行政管理局から出されたと思いますが、この内容について、総務大臣、お示しいただけますか。
○国務大臣(増田寛也君) お答え申し上げます。
 今年の三月一日の連絡会議の決定でございますけれども、情報システムに係る政府調達につきまして、会計法等の法令に基づき、原則として一般競争入札による調達手続を行うよう留意をすることとしている、そういった内容でございます。
○福山哲郎君 ところが、このけしからぬ社会保険庁は、三月のこの総務省の基本調達の基本指針があったにもかかわらず、七月、日本年金機構業務システムの基盤製品の一部選定業務三億円、随意契約をしています。厚労大臣、事実ですね。
○国務大臣(舛添要一君) 少し説明を、背景を、させていただいてよろしゅうございますか。
 まず、これ、今私が何度も申し上げていますように、社会保険庁のコンピューターのシステムが非常にレガシーシステムで古い、それで新しいものを作りたいという形で、まず、基本設計工程ということをまずやります。これは実は昨年八月に一般競争入札でやりました。基盤をやって、その上に四つの分野についてやると。これは複数の会社が一般競争入札で、落札をしております。それがまず第一点。
 それで、その上に、今回、今先生が御指摘になった今年七月の契約は、それの追加作業としてやるものについて行ったわけであります。したがいまして、そちらの方は基本設計を担当した企業がやることが一番これは効率的であるし、中身はそうじゃないと分からない。仮にそれを一般競争入札にしても、ほぼそこの企業が落札するだろうと思いますが、これはあくまで追加作業であるということでありますので、今一部の、これは先般、十月四日の朝日新聞にこの「社保庁、三億円随意契約」という記事が出ています。そして、今総務大臣から説明ありました、一・三億円以上については一般競争入札しなさいということなんですが、今私が申し上げましたように、この基本設計については基本方針とは全くそごを来していないと、そういうことでございます。
○福山哲郎君 いや、簡単に言うと、基本設計は一般競争入札やりました、その続きの付随はもういいや、随意契約しましたよということでしょう。ところが、総務省の基本指針については無視しましたと。簡単に言うと、総務省は例外規定があります。国民の生命安全及び財産の確保のために明らかに急を要する調達については、本指針の対象としないものとする。
 この例外規定に当てはまるものだと総務大臣はお考えですか。
○国務大臣(増田寛也君) 今回のこの契約については、今議員の方から御指摘がございました明らかに急を要する調達といったような内容ではないと、それには当たらないと、こういうふうに思っております。
○福山哲郎君 大臣、一言どうぞ。
○国務大臣(舛添要一君) 今のくだりの急を要する云々ということではなくて、私が申し上げているのは、会計法の第二十九条の三の第四項にありますように、あくまでも追加作業で、基本設計があって、だからそれでいいやじゃないんですよ。基本設計がありますから、それの追加作業は随意契約になることに何の要するに問題もありません。それを申し上げているんです。
○福山哲郎君 じゃ、この随意契約は正当だと強弁されるわけですか。
○国務大臣(舛添要一君) 強弁ではなくて、合理的に考えてそう判断しています。これは私の判断です。
○福山哲郎君 これ、実は問題なんです。
 七月の二日に随意契約をしていますが、例の社会保険庁の問題が出ました、五千万件も含めて。年金業務・社会保険庁監視等委員会が閣議決定されています。これはいつでしたか、大臣。
○国務大臣(舛添要一君) ちょっと質問、もう一度よろしいですか。
○福山哲郎君 年金業務・社会保険庁監視等委員会が閣議決定されています。これはいつ閣議決定されていますか、設置が。
○国務大臣(舛添要一君) それ総務大臣の担当ですよ、それは。
○福山哲郎君 総務省でいいです。
○国務大臣(増田寛也君) 閣議決定日は本年の七月二十日でございます。
○福山哲郎君 いいですか。あれだけ問題になっている社会保険庁に対して、これは業務を見直すべきだと。その委員会の報告書は、大臣、出ていましたっけ。総務大臣。
○国務大臣(増田寛也君) 既に出ていると承知しております。
○福山哲郎君 これ議論されているんです。議論されて、これから社会保険の業務に対して議論されて始まろうと、見直しだと、業務の、という状況が七月の二十日。そして、七月の二日に駆け込みで随意契約で三億やっているんです。
 冒頭聞きました。この日本年金機構の設立は二十二年の一月なんですよ。いいですか。基本計画は来年の六月にできるんです。日本年金機構の業務の基本計画が来年の六月にできる。今やっている最中。設立が二十二年の一月。ところが、日本年金機構のシステムの発注だけは駆け込みでやって、七月の二十日の業務等見直し委員会が出る直前に随意契約をしている。これ、問題あるでしょう。だってね、業務が決まってない、基本計画も決まってないのに、何でシステムが発注できるんですか。こんなばかな話ないでしょう、大臣。
○国務大臣(舛添要一君) その点はきちんと反論させていただきますけれども、一刻も早くシステムを改善しないと話にならないわけです。そして、要するに駆け込みでやった云々の問題は、もしおっしゃるならば、昨年八月の基本設計をやるときに一般競争入札をやらないで今までのような、今まで我々がずっと問題にしてきたような随意契約でやるんだったら、それは私は駄目だということを申し上げますけど、そのときは完全に一般競争でやりまして、日本の企業だけじゃなくて外国の企業までそこに入れて、一番能力のあるのに基盤設計をやらせると、そういうことをやっていますから、その点について御指摘なら私はそれはよろしくないということを申し上げます。
 それから、要するに今社会保険庁があって、これはいろんな問題がありますから二分割して、新しい年金機構としてこの年金を担当する組織をつくろうということなんですけれども、完璧に仕事が全部変わるわけでなくて、今基本的な計画を作っているのは、それは職員の採用をどうするか、民間の業務委託をどうするか、そういうことを決めているんですけど、年金の記録の管理というのは、新しい組織はつくったから、社保庁があった記録を全部捨ててということでなくて、やっぱり継続性はあるわけです。
 それで、もう何度も申し上げていますけれども、余りにひどいコンピューターシステムですから一日も早くやりたい。そのことによって、私は早くやれば一年間に三百億円のお金をこれはセーブすることが、節約することができる。こういうことからやっておりますから、少なくとも、要するに合間を縫って早く随意契約をやりたいために、みんなの監視の目をくぐってやったということではなくて、私は一日も早くいいシステムをつくりたいと、そういう意味で発注したと、そういうことでございます。
○福山哲郎君 実は、ハードの設計はまだできてないんですよ。いいですか、基本業務も基本計画もできてない、機構も立ち上がっていない、そしてこの随意契約だけは駆け込みで七月の二日に行われているわけですよ。
 この三億円は社会保険料か税金か、どっちから出るんですか、大臣。
○国務大臣(舛添要一君) そのお答えをする前にちょっと今の、さきの点で追加をいたしますと、情報システムに係る基本調達の基本指針が先ほど申し上げましたように十九年七月一日からの適用であるわけですけれども、基本指針を尊重してやったということは先ほど来申し上げているとおりでありまして、追加採用というのは随意契約だと、このことをもう一遍申し上げておきます。
 それで、これは、どこからお金が出るかというのは、年金の保険料からです。
○福山哲郎君 つまり、今の大臣のお話を聞くと、これは基本設計があったから、後は流れで随意契約でやりました。ただ、これはたまたま三億です。これは、これからほかの役所の問題でいえば十億、二十億、百億のことだって、そういう流れでいえば全部随意契約が認められることになる。じゃ、何のために指針を作ったのかという話が一点。
 それから、こういう駆け込みで、なおかつ法案が出て、法案審議されているところで、法案が通ったところで、すぐにこういう状況が社会保険庁では行われるわけです。社会保険庁に対する不信感がこれだけ頂点に達している中で、こういう手続はちゃんとやることが実はある種筋なんじゃないですか、大臣。
 これ、今大臣の答弁は、みんな厚労省、社会保険庁の役人が自分らの正当性を高めるために書いたものをあなたは読んでいるわけです。それじゃ、どこに社会保険庁の業務がしっかりと変わったと、適正かと言えるような状況になるのか、お伝えください。
○国務大臣(舛添要一君) 今までの社会保険庁の悪いところは抜本的に改める、そういう方針で私は就任以来全力を挙げてやってきました。
 何度も申し上げているように、意図的に随意契約をやっているとかいうことではなくって……
○福山哲郎君 随意契約というのは意図的だから随意契約なんです。
○国務大臣(舛添要一君) 基本設計についてはきちんとやっていますよと。じゃ、仮に百歩譲って、随意契約にしないで一般競札にしてみたらどうですかと。それは、それはそういう企業が取るわけですよ、基本的には。
 しかし、それからもう一点、おっしゃりたいことは、三億円というのは、要するに、この積算は相当いい加減でもっと安くできたんではないかということが恐らく先生のおっしゃりたいことの一つにあるのかもしれません。しかし、これはきちんと一つ一つ積み上げて策定をしていった上であって、相当にコストダウンをやることを命じておりますから、その点はどうか御信用いただきたいというふうに思います。
 それで、要するに、社会保険庁を解体して徹底的に変えますということを今一生懸命やっているわけですから、私はそれを、役人が書いたものであったって何だって、私がそれを採用するかどうかは、私が処理してやるわけですから、私は自分の言葉でしゃべっています。
○福山哲郎君 いいですか、業務の内容も、どういう配置でやるのかも、何をするのかも決まってなくて今議論中のものを、システムだけ発注するなんて、訳分からぬじゃないですか。こんなことあり得るわけないじゃないか。
 それから、もう一個言います。もし一般競争入札をしたら、どうせこの業者が入札で勝つんだからみたいな話だったら、全部一般競争入札は要らなくなるじゃないですか。意図的ではないとおっしゃいますが、随意契約というのは意図的だから随意契約と言うんじゃないですか。
 実は随意契約の問題は、今の厚労省の問題だけではありません。国土交通省の問題もあるので、そこで言って、後でまたその舛添大臣の話にしたいと思います。
 昨年六月、ここにありますが、「公益法人等との随意契約の適正化について」という関係省庁の連絡会議が発表した資料があります。これは、公益法人に対する随意契約が余りにも大きいという世論の批判を受けてでき上がったものです。ここに国民の皆さんにお伝えしたいので、中身について抜粋をしてお伝えをします。
 一つは、随意契約は例外です、会計法上。先ほどの総務大臣のおっしゃられたとおり、例外です。それから、見直し対象は所管の公益法人、独立行政法人、特殊法人、天下りのいる民間法人です。一般競争入札や企画競争、公募に移行することで競争性、透明性を確保するということが書かれています。
 国土交通省は、随意契約見直し計画ということで二〇〇六年十月以降順次実施すると書いています。そして、公募手続の導入及び企画競争の本格的な導入と書かれていまして、地方支分部局等における見直しの徹底ということが表記をされています。ちょうど一年前でございます。
 で、お伺いをします。私、これ全国の数を調べようと思ったら、国土交通省から時間がありませんといって出していただけませんでした。今分かっている範囲で言います。九州地方整備局本局における参加者の有無を確認する公募手続の実施状況、昨年の十月から今年の七月まで一体契約済みで何件あったか、大臣、お答えください。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 御指摘の期間には二十二件ありました。
○福山哲郎君 そのうち複数の応募者があった件数は何件ですか、お答えください。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 複数の応募はありませんでした。一社のみです。
○福山哲郎君 これ見てください。お手元の資料にもあると思います。これ九州の地方整備局の公募手続の実施状況ですが、黒塗りにしているのは唯一の民間ですが、二十二のうち全部一つのところしか応募していません。そして、二十二のうち二十一がすべて先ほど申し上げた公益法人等でございます。
 これひどい話で、私、実はこれの公示、どういう公募をされているのかを全部見ました。実は九州だけではなくて関東も含めて全部見たんですが、お手元にお配りをしている資料が実はその抜粋でございます。公募に何と書いてあるか。これ、例えば例を挙げますが、公共事業の入札契約制度等に関する検討業務でございますが、ずうっとここ書いてあって、途中でこういうことが出てきます。財団法人国土技術研究センター、以下、特定公益法人等という、を契約の相手方とする契約手続を行う予定としているが、と公募の手続に書いてあるんですよ。もうここに予定としてあるがと書いてあるんですよ。
 実は、さっきの二十二件ですが、これ全部調べました。全部予定をしているところしか応募していません。分かります。これ笑い話みたいな話でしょう。公募にここと契約をする予定ですよと書いてあるんです。こんな公募ありますか。極め付けは資格のところです。資格のここの、国民の皆さん、見ていただきたい。赤字。再委託による業務の実績は含まない。再委託による業務の実績は含まないというのは、分かりやすく言うと、要は下請の実績は入れないということです。元請しか入れないということです。しかし、先ほど言ったように、適正化の指針が出たときに全部今まで随意契約でやってきたから変えましょうと言ったんです。つまり、ここの公益法人しか元請ないんですよ。ここしか実績、元請ないのに再委託は認めない。つまり、元請をしてきたところはここの法人しかないんです。で、ここの法人を契約の予定としている公募をするわけです。そうしたら、結果は二十二分の二十二です。
 これ本当に公募と言えるんですか。一般競争入札というか複数の公募と言えるんでしょうか、大臣、お答えください。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 十八年六月十三日に、そのように入札に対する見直しが省庁の間で申し合わされたわけですが、八月二十五日、その二か月後でございますが、財務大臣からこんな通達が出ております。公募というものについての定義でございます。従来、研究開発等を委託する場合に特殊な技術又は設備等が不可欠であるとして、発注者の判断により、特定の者と契約していたようなものについて、当該技術又は設備等を有している者がほかにいる場合がないとは言い切れないことから、必要な技術又は設備等を明示した上で参加者を募るものである。
 すなわち、こういうところと、例えば今そこに黒塗りにされた株式会社、黒塗りですから私も名前は言いませんけれども、その作業というのは毒ガスの処理でございまして、特殊な技術と特殊な設備がなければできない技術です。したがいまして、その株式会社に従来もやっていただいていたわけですけれども、そういうものについてもほかに、ここで財務大臣の通達では、ほかにいる場合がないとは言い切れない、したがって、そういう場合にも、その株式会社の名前、そういう人と契約をすることにしているけれども、もしそういうことを、いや、笑い事じゃないですよ、必要な技術とか、いいですか、必要な技術とか設備を持っていられて、それに参加する意思がある方があれば参加してくださいという、そういうことを公募という、公募というその定義なんです。したがって、それに従ってこれを行っているわけです。
 もう一つ目の質問がありました。
 それにしても、余りにも、今まで元請で経験がなければいけないとか、条件が厳し過ぎるんではないかという指摘は私も正当だと思います。したがいまして、我が方で全般的な見直しをして今年中に結論を出し、そしてそのような厳しい条件にならないようにいたします。
 しかしながら、ここで挙げられたもの、非常に特殊な技術を必要とする作業であることは福山議員もお認めであるというふうに思います。
○福山哲郎君 財務大臣、この「適正化について」を出されたとき、財務大臣は今のような公募を想定されていたかどうか、お答えください。私は昨日お伺いしていますから。
○国務大臣(額賀福志郎君) 今、冬柴大臣がおっしゃるように、私どもは、公募手続にいたしましては、特定の技術又は設備等が必要であるためにこれまでの随意契約によってできたものについても、この特定の技術等を有している者が他にいることを否定できないことから、透明性及び公正性を確保するため、必要な技術等を明示した上で参加者を募るものであるということは申し伝えてあるわけであります。元々これは会計法上、所管の大臣が責任を持って透明性を持って仕事をするということになっておるわけでございます。
 しかし、今議論になっているような厳しい実績を条件とする要件は、これは随意契約の見直しの趣旨に沿っているとは思っておりません。
○福山哲郎君 総理、どうですか、これ二十二件のうち二十二件が今言われたように特殊な技術と限りますか。これ実は各地方支分局の事務所以外のトータルでこの公募が何件やられたか、お答えください。ああそうか、政府委員は登録されていない。じゃ、国土交通大臣、何件やられたか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) ちょっと済みません。通告がありませんので、後にお知らせいたします。
○福山哲郎君 私も今そのメモが見当たらないので、これ国土交通省に聞きましたけど、多分千数百件あるんです。これが全部特殊な技術を要すると私は到底思えません。で、恐らくですが、その結果は、ほぼ全部特定の個々に決まったところにしか応募していないと。だって、数字全然出てこないんですから。
 これ、総理、笑い話みたいでしょう。ここを契約手続を行う予定としているがと、こういうことが、随意契約を見直す適正化方針が出て、これ去年ですよ。なおかつ、国土交通省が自らの見直し計画に変えると言っていてこの状況ですよ。
 総理、どう思われますか。
○内閣総理大臣(福田康夫君) これ、一つ一つこの表で見ていますと、特殊なことであるかもしれません。ですから、こういうことはあるのかもしれませんけれども、しかし、これもやっぱり工夫する必要あると思いますよ。情報公開を相当手前に出して、そしてこういう業務もあるんだということを周知徹底するような、そういう仕組みも考えていくというようなことは私は努力する価値は十分にあると思います。
○福山哲郎君 いいですか。国は公益法人等の随意契約を見直しますと声高に発表しているんです。国民はみんな、これで変わったと思っているんです。一年たったら、全く変わってないんですよ。こんな、国民をだましている以外何物でもないんじゃないですか。だって、結果責任でしょう、これ。何にも変わってないですよ。だって、そこしか応募できないように仕組みができているんだから。どうですか、これ。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 国土交通省の発注件数は五万件ぐらいあります。そのうちの一部ですよ。全部という……(発言する者あり)ちょっと待ってください、そういう、それ全部と言われたら、それはね、いや、そういう特殊……(発言する者あり)ちょっと待ってください、特殊な、いいですか、特殊な経験とか機械とか機材とかを持たないとすることが非常に難しいという案件についてです。いいですか。今、先ほど財務大臣がおっしゃったような公募という形で、私どもは今までもこういう理由からこういうことをやっております。しかしながら、これについて応募する方があれば手を挙げてほしいという招請をしているわけで、それはインターネットでずっときっちり情報は流した上で、そしてその公募を求めているわけでございまして、それは数万件の中のこういうものでありまして、全部改めてないと言われるのは、それはちょっと言い過ぎではないかというふうに思います。
○福山哲郎君 私は数万件と申し上げていません。この参加者有無の確認公募、公益法人に対する確認公募はどうだったんですかと申し上げているんです。それが恐らく千数百件あったと。それがほとんど変わってないと。
 じゃ、ここに書かなきゃいいじゃないですか、見直し計画に。書いてあるんですよ、見直し計画に、そのことが重要だと。地方支分部局における見直しの徹底と書いてあるんですよ。いいですか、もう少し素直に読まなきゃ。発注者が特定した公益法人等の参加者の有無を確認すると書いてあるんですよ、ちゃんと。全然増えてないじゃないですか。これ、だましている以外何物でもないでしょう。これ全部報道されているんですよ。国民はみんな随意契約は改まったと思っているわけです。ところが、結果はこういう状況だと。
 先ほど大臣は技術だ技術だとおっしゃいましたけれども、さっきの元請、再委託の問題です。元請しか認めないと言っていて、元請はそこしかやったことないんですよ。そうしたら、そこしか応募できないじゃないですか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) したがいまして、それについての付けた条件については、私は、総理もおっしゃったように、いろいろ工夫しなきゃならない、こういうことで、今、内部でそれを見直しをしようということで今鋭意努めているところでございまして、年内に結論を出します。
○福山哲郎君 じゃ、この元請になったこの二十二、大臣、是非調べていただきたいんですけれども、全部ね、全国のね。ここから下請に投げていることはないんですね。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 調査をいたします。
○福山哲郎君 これはあるかないか、私が確認したら、実ははっきりと答えがまだ返ってきていません。つまり、ここからもう一度下請出していたら大問題ですよ、大臣。今の答弁は確実に覆りますよ。どうですか、大臣。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 調査をいたします。
○福山哲郎君 総理、これ、見直しって去年だったんです、これ去年。去年の六月に見直して、国土交通省も六月に出したんです。で、十月からスタートすると言って、一年たってこの有様です。それで、今、国土交通大臣がもう一度見直しますと、年内にと。これはおかしいですよね。これはやっぱり責任あるんじゃないんですか、総理、政府として。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 政府は、昨年の六月の政府の随意契約の見直し方針に沿って、より競争性、透明性を高めるという趣旨の適正化を図っている最中でございます。しかしながら、競争性を高めるというその趣旨に照らして十分でない運用につきましては、これは適切に見直しを行っていくことが必要と考えておりますので、各省庁においてきちんと確認をしていただきたい、そして鋭意この課題に取り組んでいただきたいと、こう思っております。
○福山哲郎君 是非、総理、委員会のやり取り聞いて、もう少しやっぱり前向きな発言をしていただかないと、国民は変わるとは感じないですよ、今みたいな発言なら。これだけおかしなことを示しているのに、総理がもう少し突っ込んでいただかないとやっぱりいけないと思うんですが、もう少し勇気のある御発言いただけませんでしょうか。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 今、国土交通大臣からもh説明がございましたけれども、まだ更に調査をするという部分があるようでございますから、そういう調査を見て判断をしたいと思っております。
 しかし、随意契約でもってこの趣旨、競争性をもっと高めてほしいということは、これは私ども常々考えているところでございますから、これがきちんと行われていないということであれば、しっかりと指示をしてまいりたいと思っております。
○福山哲郎君 国民に指摘をした先ほどの財団も、御多分に漏れず理事長は天下り、国土交通省の天下りでございました。ここにいろんなところの公募の公示、公告、全部持っていますが、すべてどこどこを予定としていると書かれています。調査と言いますが、これはもう確信犯的にやっている話でございますから、随意契約の見直しには全くなっていないと私は思っています。
 随意契約の問題は、先ほどの厚労大臣の話も、こうやって役人がいろんなことで手を回して随意契約をどんどん進めていくわけです。すべてこうやって事実を積み重ねていって税金の無駄遣いが使われると。国の調査の結果です、国の調査の結果なので我々が作った数字ではありませんが、この見直し計画の中に随意契約だけでも二兆三千億円あります。そのうち二割が随意ではなくて一般競争入札になれば安くなると言われていまして、それだけで四千億から五千億でございます。
 私たちは、自民党はよく我々の議論について財源が財源がとおっしゃいますが、まず税金の無駄遣いを徹底的になくすことが重要だと思っておりまして、この構造を変えないことには実は財源も全部捻出できないと私は思っています。
 実は随意契約はまだましでございまして、次は談合、これはれっきとした犯罪でございます。
 少しこのパネルを見てください。
 これも去年の十月でございますが、緑資源機構をめぐる談合が発覚をいたしました。十月の三十一日、ちょうど一年前に公取が立入調査をしました。立入調査をして、これ小さい文字で恐縮ですが、六法人、これまた公益法人でございます。この公益法人に実は公取が立入調査をしました。
 この六法人の理事長及び会長がどこの出身か、お答えください。
○国務大臣(若林正俊君) 委員御指摘の十月三十一日に公正取引委員会が立入調査を実施した林野庁所管の公益法人は、財団法人林野弘済会、社団法人日本森林技術協会、財団法人森公弘済会、財団法人水利科学研究所、財団法人林業土木コンサルタンツ及び財団法人林業土木施設研究所ですけれども、当時、それぞれの法人の会長又は理事長はいずれも林野庁出身者でありました。
○福山哲郎君 すべて林野庁出身でございます。
 このうちの二法人が起訴されました。起訴された二法人の、緑資源機構からの天下りも含めて、総職員に占める数をお答えください。
○国務大臣(若林正俊君) 立入調査を受けた六つの公益法人についてまず申し上げますと、十八年四月時点で常勤の役職員は六百三十八名でありますが、うち国家公務員の退職者が百九十名、緑資源機構退職者が十六名でございます。それでよろしいですか。
○福山哲郎君 それは六法人。二法人、被告の二法人です。
○国務大臣(若林正俊君) 林業土木コンサルタンツ、退職者が三十四名、全職員は二百二十名です。林業土木……
○福山哲郎君 それから、森公弘済会です。
○国務大臣(若林正俊君) 森公弘済会は、全役職員十九名中、国家公務員二名、緑資源機構退職者が十六名でございます。
○福山哲郎君 森公弘済会は十九人中十六名が緑資源のOBなんですね。これ、全部天下り先を抱えている。六法人に至っては約三分の一が天下りでございます。
 現実に、実はこの談合事件が発覚する前、二〇〇一年に林野庁は東北の森林管理局で談合が摘発をされています。この談合が摘発されていたのは、この立入調査された六法人のうち何法人ですか。
○国務大臣(若林正俊君) 四法人でございます。
○福山哲郎君 いいですか、二〇〇一年に談合で摘発された四法人が延々とまだ談合を繰り返して、この緑資源機構では起訴されています。
 農水大臣、これは農水省、農水大臣の歴代の責任は問われませんか。
○国務大臣(若林正俊君) 二〇〇一年の東北森林管理局青森分局の談合で公正取引委員会から排除勧告を受けた公益法人、この法人が再び談合を行っていたということは誠に遺憾でございます。
 今回の事案は発注者側である緑資源機構が深く関与していたいわゆる官製談合でありまして、これはもうあってはならないことと考えているわけでございます。
 このために、農林水産省においては再発防止のための抜本策を検討するということで、第三者委員会を設置いたしました。本年度限りで緑資源機構は廃止するということを決めたり、また緑資源の幹線林道事業については地方公共団体に移管することなどを内容といたしました農林水産省の包括的な基本姿勢をまとめ、これを示したところでございます。この基本姿勢を受けまして、第三者委員会は七月二十六日に中間取りまとめを行っているところでございます。
 これを受けまして、七月三十一日付けで省内に談合再発防止関連措置実行本部を設置いたしまして、談合の再発防止に努めているところでございます。
 今後、農林水産省として再発防止措置を的確に実行していくことによりまして、国民の信頼を一刻も早く回復していく所存でございます。
○福山哲郎君 もう抜本改革は先ほどの適正化委員会も含めて余り信用していないんですが、大臣、この起訴された二法人はどのような対応を取られましたか。
○国務大臣(若林正俊君) 起訴された二公益法人についての措置でございますか。
○福山哲郎君 はい。
○国務大臣(若林正俊君) 起訴された二公益法人につきましては、中間取りまとめにおきまして設立の許可を取り消すということにされておりまして、その旨指導しているところでございます。
○福山哲郎君 そうなんです。起訴された二法人は設立許可取消しですが、残りの四法人でございますが、自主解散か撤退かということの選択を迫られていますが、どうなられましたか。
○国務大臣(若林正俊君) 委員御承知のとおりでございますが、第三者委員会に農林水産省が示しました包括的な基本姿勢の中で、測量・建設コンサルタント業務からの撤退又は自主解散のいずれかを選択するよう指導するということにされておりまして、このことは第三者委員会においても了承されております。
 このことを受けまして、八月の九日付けで林野庁長官から四公益法人に対しまして、自主解散又は測量・建設コンサルタント業務からの撤退を選択するよう指導文書を発出したところでございます。
 四公益法人は、指導に従って、同日以降、測量・建設コンサルタント業務について新たな受注は行っておりませんけれども、同日以前に契約した業務が終了次第、測量・建設コンサルタント業務から撤退するということに決めております。
○福山哲郎君 解散はせずに一応撤退をすることなんですが、現実にこの法人が自主解散しないでいいのかという議論はあると思います。
 大臣、大変お手数を掛けて恐縮なんですが、私時間がないので、申し訳ありません、この中間取りまとめの第一項の二項を読んでいただけますか、私が読むと時間が経過をしてしまいますので。
○国務大臣(若林正俊君) 御指摘がありましたこの第三者委員会中間取りまとめの中の「緑資源機構の組織・業務・人事について」というくだりの括弧二でございます。
 談合事案として公正取引委員会が告発した内容は、幹線林道事業の調査・コンサルタント業務という限られた分野でのものであるが、本委員会に示された緑資源機構が発注した事業の入札調書を見ると、他の事業についても談合があった可能性が否定できないと考えられる。したがって、農林水産省及び林野庁は緑資源機構の全事業について調査を行って実態を明らかにするとともに、緑資源機構が廃止された後も、これらの事業を継承して実施する法人において再発防止策を講ずる必要があるというものでございます。
○福山哲郎君 この報告書はよくできておりまして、緑資源機構はほかにも談合があった可能性が否定できないと言われているんです。
 全事業の調査を、実態を明らかにしろと書いてあるんですが、この作業は、農水大臣、やられていますか。
○国務大臣(若林正俊君) 緑資源機構の全事業にかかわる調査でございます。
 現在それを実施中でございますが、まず機構自らが姿勢を正す、事業主体として適切な対応を行う必要があるということから、現在、機構において調査を行っているところであります。
 具体的には、入札談合の再発防止策を検討するために緑資源機構に設置した入札談合再発防止対策等委員会の指導の下で、過去五年間、機構に在職した役員及び職員を対象として、緑資源幹線林道事業以外の事業も含め、機構の役員又は職員が関与して行われた談合の有無を把握するための調査を実施しているところであります。また、受注法人に対する調査も併せ行う予定であると承知いたしております。
 農林水産省におきましては、これら機構による調査の結果を踏まえて更に所要の調査を行うことといたしているところでございます。
○福山哲郎君 談合の中心であった緑資源機構の機構内において調査をすると。それじゃ駄目だから実は第三者委員会をつくったんじゃないんですか、大臣。つまり、ここがお手盛りなんです。
 これ、いつまでに、じゃ大臣、調査の結果を報告いただけますか。
○国務大臣(若林正俊君) お言葉ではございますけれども、緑資源機構の全事業にわたってその役員、職員が関与したもののすべてについてこれを調査をいたしているわけでありまして、大変膨大な調査でございます。
 この調査について、先ほど申しました入札談合再発防止対策等委員会、この委員会の委員は、法律的な観点からは、大森先生、弁護士さんでございます。また、高田先生、弁護士さんでございますが、山口先生は公認会計事務所の公認会計士でございます。そして、有川先生が日本大学の教授ということで、この四人の学識経験者をこの委員として選んで、第三者機関でやっております。これは談合防止の方です。第三者委員会は別でございます。
 第三者委員会について言えば……
○福山哲郎君 調査はいつまでに……
○国務大臣(若林正俊君) 調査は、この今年末までを目途に調査をして報告が出ることにしております。
○福山哲郎君 実はこの中間報告、すごくいいまとめです。松岡大臣が亡くなられて、実はこれは置き土産として本当にいい僕はまとめをやられたと思っています。
 何て書いてあるか。先ほどから出ている公益法人です。租税の減免を受ける公益法人が公共事業として民間営利企業と入札で競争することの妥当性には疑問があり、そもそも公正競争が成り立たないからそのような公益事業は整理されるべきである。発注者又はその監督官庁から受注法人に対する天下りは、競争入札の健全な運営が損なわれる可能性を否定できず、そのような再就職の在り方を根本的に再検討し直すものであると。
 これ、実は先ほどの国土交通省の話も、それからこの農水省の話も全部つながるんです。この構造をなくさない限りは、この国の税金の無駄遣いは終わらないと私は思っていますが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(福田康夫君) いろいろな問題も指摘されておりますけれども、そういうことに適正に対応していかなければいけないと思います。
○福山哲郎君 じゃ、もう一つだけ、もう余りしつこくやるのは本当は嫌なんですが。
 これ、今の緑資源機構の談合ですが、見ていただければお分かりのように、何とこの天下り先を提供し官製談合による発注をしていた団体は、これが起訴されたり立入調査を受けました。しかし、そこと同じ事務所に特森懇話会という政治団体があって、調査が入った次の次の月に解散をしています。この協議会は何と調査が入った翌月に解散をしています。そして、この政治団体から、実は松岡大臣やばんそうこうの赤城大臣や、そして現職の若林大臣のパー券を買っています。私はパー券を買うことが違法だとは申し上げません。そんなことは申し上げません。しかし、絵にかいたような、絵にかいているんですけどね、絵にかいたような天下りと業界団体と政治の関係なんじゃないですか。
 もっと言います。この政治団体の事務担当者、これはちゃんと公表されていますから名前を出しましたが、池永寛敏さんは緑資源機構でどんな役職をされていました。
○国務大臣(若林正俊君) 御質問の池永さんは、ちょっと……
○福山哲郎君 読まなくても知っているんじゃないの。
○国務大臣(若林正俊君) いえいえ、知りません。
 ちょっと失礼します。資料を確認しますから。
 この池永寛敏さんは、緑資源機構の前身であります緑資源公団を平成十三年四月一日に退職をされ、最終職歴は同公団の森林業務部長であったと承知いたしております。
○福山哲郎君 いいですか、この池永さんは緑資源の森林業務部長です。そして、何とここで起訴された林業土木コンサルタンツの非常勤の監事までやられています。もう見事でしょう、これ。こういうことをやり続けていてはいけないんですよ、これ、総理。やっぱりこれは早急に改善しなきゃいけない。どう思われますか。
○内閣総理大臣(福田康夫君) こういうような疑惑を招くこと、疑惑……
○福山哲郎君 疑惑じゃない、疑惑じゃないですよ。もう捕まっている。捕まっているのは事実なんです、捕まっていますから。
○内閣総理大臣(福田康夫君) もう事実、事実ですね、そういう。一般論としてちょっと申し上げているんですけれどもね。
○福山哲郎君 疑惑ではありません。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 要するに、疑惑を招くようなことがないように気を付けなければいけないということでありまして、このことについて相当強い指摘がされておるわけですから、こういうことに対してきちんとしていかなければいけないというのは、これは政治の我々の使命だと思っております。
○福山哲郎君 我々は、今行革関連の法案を準備をしようとしています。この特殊法人や独立行政法人を一度全部見直すと。で、この随意契約のもとになったり談合のもとになっているものをやっぱり天下りの問題も含めて総合的に考える法律を準備をしています。その整理をしない限りはなかなか税金の無駄遣いがなくならないと。是非この法案を提出した際は、まあ中身は明らかではないので、これから明らかにしていきますので、コメントはできないと思いますけれども、是非これは、この国の構造改革というのは実はこういうことではないかと私は思っておりまして、これは与野党を問わず直していかなければいけないと。
 私は、実はキャリアの官僚もノンキャリの官僚もこんなことに手を染めるために志を持って役人になったわけではないと思っています。しかし、そのことが自民党も含めた長い政権の中で、なれ合いの中で、これをやらないと自分の役所の中の立場や、これはずっとやるものだという上からの流れの中でいや応なく手を染めている役人も一杯いると思います。こんなことは役人にとっても不幸な出来事で、このことを変えて税金の無駄遣いをなくさない限りはこの国は決して良くならない。こんなことに手をかしていても役人のモチベーションが上がるわけではない。
 つまり、本当に、先ほどから言い訳言うのは結構です。舛添大臣、国土交通大臣もいろんな理由はその場であるでしょう。それは役人が弁解を書くからですから。でも、そのことを正すのが政治の役割ではないか、私はそう思っています。総理大臣、どうですか。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 御指摘のとおりだと思います。公務員も正におっしゃるように、そのことのために仕事をしているつもりはないと思います。ですから、そういうような不幸にして状況があったということであるならば、それはもうどんどん改めていかなければいけないということであります。ですから、そのことは公務員制度改革との関係もございますけれども、やはり公務員がモラルを高くして仕事ができるような環境を提供すると、こういうことも併せて考えていかなければ片手落ちになってしまうというように思います。
 いずれにしましても、まあこういう……(発言する者あり)ごめんなさい、片手落ちは訂正をさせていただきます。
 これは適切なことにはならないと、全体を考えてどうするかということを将来的な課題として今から真剣に取り組んでいかなければいけないと思っております。
○福山哲郎君 ちょっと時間がなくなってきましたので、次に行きます。
 私は、地球温暖化問題に十年以上取り組んでまいりました。今年の八月だけでも、実は世界の異常気象はこのような状況で起こっています。これは気象庁の発表です。
 そして、この間、ノーベル平和賞にゴア前副大統領とIPCCが受賞されました。
 九月の主要経済国会合で、ブッシュ大統領はこれまでとは打って変わって、二〇〇九年に各国のポスト京都議定書の中身をまとめようという発言をされました。このことについて総理はどのようにお考えですか。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 米国が九月に主催しました会合におきまして、ブッシュ大統領は、来年夏までに排出削減に関する長期目標などにつき合意したいと、こういうふうに述べております。御指摘のあった点も含めまして、各国にこの目標達成に向けた対応を呼び掛けたというように承知をしているところでございます。
 したがいまして、我が国としましても今年のサミットにおいて美しい星50ということを提案をいたしました。世界全体の温室効果ガス排出量を現状に比して二〇五〇年までに半減するという長期目標を世界共通の目標とするということなどを提案したわけでございまして、多くの国も賛同が得られるような働き掛けを今いたしております。こういう努力を通じまして、今後、国連の下での議論を主導してまいりたいというふうに思っております。ブッシュ大統領の提案も、目標の設定、主要排出国の取り込みなど、我が国の考え方と軌を一にするところも多いと受け止めております。
 いずれにいたしましても、大統領がこのような提案を行ったということは、本件の問題に関しまして国際社会の関心を更に高めて国連の下での議論を前進させる契機になるというふうに考えておりまして、引き続き米国との間でも緊密な意見交換を行ってまいりたいと思っております。
○福山哲郎君 我が国は二〇五〇年に世界で半減という議論をしていますが、当然、国内としても総量目標を設定するという考えで、総理、よろしいですね。いや、総理。その後、鴨下大臣。
○内閣総理大臣(福田康夫君) 当然そういうことでございます。
○福山哲郎君 総理が国内として総量目標を設定すると答えていただいたので意を強くしましたが、環境大臣もそれでよろしいですか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 先生も極めて環境に関心を持っていただいているわけでありますけれども、今総理がお話しになりましたように、我が国のクールアース50、この提案につきましては国際社会である意味で一定の評価をいただいているわけでありますけれども、それを今度は実現していく段階で、様々な今度は短中期目標というようなこともございますし、加えて産業界、あるいは業務、そして一般の国民の皆様の生活、こういうようなものの協力をいただかないと達成できないわけでありますので、そういうような意味では、この二〇五〇年まで半減、こういうような長期目標を掲げつつ足下を見直していくと、こういうようなことを今環境省、精力的にやってまいりたいと、こういうふうに思っております。
○福山哲郎君 総理、さっきおっしゃられた国内の総量目標ですが、これはいつぐらいまでに、来年洞爺湖サミットがありますが、いつぐらいまでに出されるおつもりでしょうか。総理に答えてほしい。
○国務大臣(鴨下一郎君) 今申し上げましたように、洞爺湖サミットが七月にあります。そして、さかのぼれば五月にG8の環境大臣会合がございます。そして本年の十二月にCOP13があります。そしてその手前に、この月末にはボゴールでこのCOP13の準備会合があると。
 こういうような道筋の中で、私たちは、さきにも申し上げましたけれども、洞爺湖サミット、ホスト国でありますから、何が何でもこのクールアース50のすべての国が入っていただく枠組み、そして京都議定書を超える言ってみれば枠組み、こういうものをつくるためにホスト国として何ができるか、こういうようなことを最重要な課題として今取り組んでいるわけでありますけれども、先生がおっしゃるように、そのためにじゃ日本はその目標を掲げないでいいのかということについては、これはいずれのタイミングで掲げないといけないと思っております。
 ただ、それは、例えばEUそしてアメリカ、それから新興国である中国、インド、ブラジル、こういうようなところの様々な思惑の中で、我々はホスト国としてすべての国が入っていただく、こういう枠組みをつくると、こういうようなことで、今の段階では申し上げられないというのが現状でございます。
○福山哲郎君 今のは微妙な表現なんですが、洞爺湖サミットまでに総量目標を作るということなのか、次の枠組みが見えないと総量目標は作れないということなのか、はっきりお答えいただけますか。
○国務大臣(鴨下一郎君) 総量目標はできるだけ年内にも打ち出したいというふうに思っておりますが、ただ、先ほど申し上げましたように、洞爺湖サミットで私たちはホスト国でありますから、この段階でほかの国が言わば脱落するような目標を立てても意味がありません。ですから、そういう意味で、慎重に進めながら、なおかつ、先生がおっしゃるように我々はそれなりに高めの目標を立てていきたいと、こういうふうに考えております。
○福山哲郎君 大変思い切った発言をいただいて大変意を強くしておりますが、日本の中で京都議定書の議論がいろいろあります。例えば、この間、資源エネルギー庁長官が雑誌の論文の中で、京都議定書の有効性がないというような発言をされました。この間、実は経産の事務次官が環境税などは要らないといって、鴨下大臣と実は今いろいろ言い合いをされています、議論になっています。
 これ、京都議定書はもう約束期間が来年から始まります。我が党は国会で決議をし、そして批准をしました。そのことに対して云々ということが本当に的確なのか。京都議定書は国際的に公約として約束をいたしました。もうこのことの議論ではなくて未来についての議論をしないといけないと私は思っていますが、これは甘利大臣、どう思われますか。
○国務大臣(甘利明君) 経済産業省と環境省は産構審と中環審の合同審議を行っておりまして、かつてないくらいこの地球温暖化対策に対して協力体制はしいております。ただ、その中で、今御指摘の次官発言でありますけれども、環境税に関してですね、これ、環境税というのは検討課題の一つとして議論をしていこうと、ただ、もちろん克服すべき課題もありますよと、こういう問題点があるということを少し強めに提示をしたんだというふうに思っております。
 具体的に何かと言えば、環境税は実施するとするとどうしてもやっぱり産業界中心にならざるを得ないと思うんですね。現状では、工場の排出を中心とする産業界というのは、目標に達成に向かって相当な実績を上げてこれをクリアすると。課題は運輸とか民生が課題になっています。つまり、頑張っているところに更に賦課を掛けて、頑張らないところが取り残されるおそれがあるという指摘とか、あるいは環境税というのは、世界全体で同時進行をすれば競争力と関係ないんですが、日本だけ行うとすると、日本の製品は環境税賦課をされていて国際市場で戦わなきゃならない。だから、例えば消費税みたいなものですと、内の市場で戦うときには外から来るのにも同じ賦課が掛かると、外に出るときには内の賦課は外されるということで、競争条件が平等になります。そういう点等を指摘したんだと思います。
 それから、資エ庁長官の発言は、これからポスト京都の枠組みをつくるときに反省すべき点は何かと。ポスト京都が一番うまくいかなかったのは、結局……
○福山哲郎君 うまくいかないってだれも決めていない。
○国務大臣(甘利明君) いやいやいやいや、うまくいかなかった点ですよ。点というのは、みんなに呼び掛けたけれども、参加したのは三割の人で、つまり逆に言えば、三割の国で、三割のメンバーで、逆に言えば七割はそんなの関係ないということになっちゃうと、それじゃまずいと。だから、次の枠組みは少なくとも大排出国は全部参加すると、そこのところをしっかり一番大事な点で見なきゃならないですよということを強調したんだと思います。
○福山哲郎君 大臣自身は京都議定書は評価されるんですね。いろんな問題はあるとしても、京都議定書は評価するし、我が国は批准しているんですから、達成しなければいけないということは間違いないですね。
○国務大臣(甘利明君) 全力を挙げて達成しなきゃならぬと思っています。
○福山哲郎君 実は、我が国の温暖化対策は、国内排出権取引市場はありません。再生可能エネルギーはまだ水力抜いて一%台です。カーボンディスクロージャーの制度もありません。環境税もありません。ヨーロッパもアメリカも動いています。しかし、我が国は現状では七・八%増でどうするんだと。国際公約も含めてどうするのかと。さらには、次の対策をどうしていくのかということが全く実は見えないんですね。
 私は、去年、環境委員長としてアメリカへ行って、アメリカの上院、下院のそれぞれのエネルギー・資源委員長にも懇談をしてきました。それから、アメリカのシンクタンクも行ってきました。アメリカは確実に変化をしています。今年は、BPやデュポンやGEやリーマンというアメリカの名立たる企業が規制的な枠組みをつくれと言っています。それから、再生可能エネルギーについて言えば、再生可能エネルギーについてはアメリカで相当高い目標値を掲げようと今動いています。
 つまり、アメリカは京都議定書から離脱をしていますが、ポスト京都は必ずコミットしてくる。そのときに日本がどう国際社会でやっていくのか。温暖化の問題というのは異常気象が第一義的な問題、しかし二番目は、国際炭素市場というのは大きくこれからでき上がってくると。そのときに、省エネの技術があり、そして今まで太陽エネルギーや再生可能エネルギーの技術を持っている日本がどうアドバンテージを取るかなんです。今までのように、環境省と経産省がいつも何か意見を言い合ってまとまらない状況では、この国際的な流れに乗り遅れると私は思っていまして、是非総理の御決意というか、国内排出権取引市場なり再生可能エネルギーなり、新たな政策の導入への御決意をいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(福田康夫君) この温暖化対策というのは、これは待ったなしの状況になったと思います。そういう認識が今世界じゅうに広まりつつある、アメリカもそういう方向に真剣に取り組む、そういう姿勢になってきている。そしてまた、中国も今開かれている会議でも取り上げられているということでありますので、機運は国際的に高まってきたと、いい機会になってきたと思います。
 しかし、それほど深刻な将来の問題を抱えているということですから、これに対して日本はやはりしっかりとした取組をしなければいけない。ほかの国がやるからということでなくて、日本がせっかく環境技術とか環境に対する認識を随分前から持って努力をしてきているわけですから、その持てるノウハウを十分に発揮する、そして世界をむしろリードしていくというぐらいな気構えを持つ必要があるんじゃないかというように思います。
 この点については委員は大変御熱心だというふうに思いますので、この点は一緒にやっていきたいと、こう思っております。どうぞよろしくお願いします。
○福山哲郎君 これ、我が国が非常に技術力の高かった太陽光なんですが、あっという間にドイツに抜かれました。今、中国の太陽光の会社はニューヨーク市場に上場して、もう破竹の勢いで日本を抜こうとしています。ところが、日本は太陽光の住宅に対する補助金を二〇〇五年に打ち切りました。見てください、日本は頭打ち、世界じゅうは太陽光の新しい技術でどんどんマーケットを広げています。
 経産大臣、この技術的な遅れも含めて、日本の現状どう思われますか。
○国務大臣(甘利明君) 太陽光の技術は日本は世界に冠たるものがあると思います。確かにおっしゃるようにドイツに近年抜かれました。これは、ドイツは補助政策が加速をさしていると。買入れ価格を一キロワット……
○福山哲郎君 事実関係でどう思われるかだけ聞いてください。
○国務大臣(甘利明君) これは補助金がべらぼうに、固定で二十年間払うんですね。それについてどう思うかということなんです。
○福山哲郎君 いや違う、太陽光がもう現実に抜かれている事実を聞いているんです。
○国務大臣(甘利明君) だから、それはそういう原因で抜かれているということなんです。七十五円ぐらい払っています、日本は二十三円ですから。これは、市場原理でちゃんといくということが大事ですから、無理やりにそういう原理をはるかに超えた金額で買い取るということについては、当然その技術開発力をなえさせるということにもなるでしょうし、消費者負担が増えるということもありますから、そういう点も検証していかなきゃならない。つまり、市場に乗らないときには補助金を付ける、市場価格に乗ったらそれに、市場に任せるというのが本来の姿だと思います。
○福山哲郎君 ごめんなさい、補助金付けるから技術開発が遅れるというのはおかしいですよ、これだけ技術開発からして世界に評価されているわけですから。それから、日本も実は〇五年まで補助金政策していたわけだから、していたのを何で打ち切ってこうやって頭打ちなのかと言っているわけです。
○国務大臣(甘利明君) 当初は半分ぐらい補助していました。それは、半分補助すれば残りの半分は二十年間ぐらい電気料金と換算すると相殺ができるということで導入が進むと。近年は極めて安くなりました。電気料で換算すると十分に導入するメリットがあるというふうに判断をしたからであります。
○福山哲郎君 でも、マーケットは小さくなっています。
 自然エネルギーは、実は二〇一〇年までに再生可能エネルギー、新エネルギー千九百十万キロリットルが目標ですが、今達成は千百五十八万キロリットルです。あと二年後、三年後にこれをどのような方法で大臣は達成するおつもりですか。
○国務大臣(甘利明君) 御指摘のとおり、二〇一〇年度に原油換算で千九百十万キロリットルを達成をするということになっております。現状は千百五十万でありますから、かなり頑張らなければならないわけであります。
 これには、技術開発だとか導入支援、それから太陽光発電の実証実験、あるいはRPSで導入義務の割合を高めました。これらを推進をしていって何としても達成したいと思っております。
○福山哲郎君 全く具体性がありません。もう結構です。
 実は、再生可能エネルギーの目標は、各国でこんなに、それぞれが二〇三〇年、二〇一〇年で目標を掲げています。日本はまだはっきりとした目標を掲げていません。
 EUでできたEUETS、EU排出権取引市場の参加企業者数と参加市場規模を、環境大臣お答えください。
○国務大臣(鴨下一郎君) EU域内の排出量取引制度、EUETSでありますけれども、施設ベースでは一万一千五百か所の参加であります。そして、EUETSの排出枠の取引市場の規模は、世銀の調査によりますと、二〇〇六年一年間の取引量は約十一億トンCO2ですね。取引総額は約二百四十億ドルと、こういうようなことになっているようであります。
○福山哲郎君 一万一千五百か所のマーケットに参加をし、二兆円規模のマーケットができています。
 アメリカでは、実はマケイン・リーバーマン法案というのが今年に出ました。それ以外六本、規制のこの排出権の枠の市場をつくろうという法律が出ています。マケイン・リーバーマン、マケインは御案内のように共和党の大統領候補です。これに対して、実は民主党のオバマ、クリントン候補も賛同の意を表しています。そして、状況的にいえば、それを更に良くしたリーバーマン、済みません、少しど忘れをしましたが、別の法律が今新たにできようとしています。これ、大統領選挙、アメリカの、恐らく大変な争点になってきます。
 EUは二兆円規模のマーケットができている。アメリカはカリフォルニアを中心にマーケットをつくろうとしている。恐らく中国もオーストラリアも参入をしてくる。日本は省エネの技術があり、これまで本当に実績がある中で、なぜこのマーケットをつくって、外へ買いに行ってお金を出すぐらいなら国内のマーケットをつくって国内産業の技術開発を進めればいいのではないかと私は思います。そのために再生可能エネルギーとかビルの省エネ施設というのは非常に有効であるにもかかわらず、日本は先ほど言ったように、排出権取引市場も再生可能エネルギーもそして環境税も、すべてないない尽くしでございます。
 私は、この温暖化の問題、与野党関係ありません、地球全体の問題です。生態系を守るということと、国際的なマーケットが出てきて、この国がどうこれからの国益を守っていくのか、大変重要な課題です。
 実は、二〇五〇年までに半減するためには、二〇二〇年にピークアウトしなければ二酸化炭素は減っていきません。是非この二〇一〇年までに早期の対策を取っていただきたいということと、最後に総理、二酸化炭素は汚染物質であり原因物質であるということをお認めいただけるかどうかお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(鴻池祥肇君) 鴨下環境大臣。
○福山哲郎君 総理、総理。
 じゃ、大臣答えた後、総理も一言。
○委員長(鴻池祥肇君) 鴨下環境大臣の後、福田総理大臣に御答弁をいただきます。
○国務大臣(鴨下一郎君) 環境省の基本的なスタンスだけ申し上げさせていただきますけれども、国内の特に排出量取引については、一つは排出量の確実な削減、そして削減への経済的なインセンティブ、あるいは排出削減コストの最小化と、こういうようなことで、市場メカニズムを活用した極めて有効な政策手段の一つだと、こういうふうに考えているわけであります。
 それから、炭酸ガスについての御質問でありますけれども、基本的には、日本の場合には、温暖化対策の中で明らかに地球温暖化のための温室効果ガスと、こういうような位置付けになっておりまして、いわゆるアメリカのクリーン・エア・アクトとはまたおのずと違う位置付けなんだろうというふうに思っておりますが、先生おっしゃるのは、そういう中で多分、CO2も汚染物質の一つとして数えて、より規制を厳しくしろと、こういうようなお話なのかも分かりませんけれども、それについては、私たちもその一つの考え方として検討はさせていただきますけれども、アメリカと日本、法体系違いますので、現時点では汚染物質という位置付けではございません。
○内閣総理大臣(福田康夫君) いろいろ御議論ございましたけれども、いずれにしても、目指すものは持続可能社会を実現すると、このことに尽きるんだろうというふうに思います。そういう観点から、CO2がどういう立場になるかということも含めて考えていくべきものと考えております。
○福山哲郎君 ありがとうございました。


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第166国会  参議院  厚生労働委員会 2007年6月28日

社会保険庁改革関連法案、年金問題


○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。三たび厚労委員会で質疑をさしていただきます。
 もう時間がないので単刀直入にまず行きます。
 大臣、私ちょっとしつこいので、もう一回聞きます。実は、虚偽答弁虚偽答弁という議論が出てますが、本日、自民党のホームページを本日確認いたしました。まだあのビラが残っておりまして、国民に向かって「政府・与党は今後一年間で全ての統合を完了させます。」というふうに、まだ自民党のホームページにビラが残っています。私は、この間、大臣に、これは統合ではないという御答弁をいただき、強く自民党に訂正を求めました。これは国民をミスリードするものであって、これは正に違うことを言っていると。だから、この第二弾はおかしいということを申し上げたんですが、今朝の時点でまだ自民党のホームページにはこのビラが残っております。大臣、これですね、ここに「政府・与党は」と書いてありますので、しつこいようでございますが、政府と与党でこれ共通見解を出してください。そして、速やかに自民党のホームページの訂正を求めますが、大臣、いかがですか。
   〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、片方には「名寄せ」と書いてあったかと思います。片方には「統合」と書いてあって、いずれにせよ、これが一致してないといけないわけでありまして、その意味では、私からも広報本部長に早速、この本日の審議が終わり次第、伝えなければならないと、このように思います。
○福山哲郎君 自民党の提案者も来られておると思いますが、これは統合ではなくて名寄せ若しくは突合だと認識をしておりますし、厚労大臣もそう認めておられますが、自民党の提案者もそれはお認めになりますよね。
○衆議院議員(石崎岳君) そのとおりだと思います。
○福山哲郎君 そうしたら、もう速やかに自民党のホームページの訂正を求めたいと思います。
 じゃ、次に行きます。ちょっと、余り長く引っ張っても時間がありませんので。
 それから、私は、この委員会で三回目の質問になります。ずうっと主張をしていただいて、大臣にも理解をいただいたのは、全国の社会保険事務所、三百九の事務所にどの程度の紙台帳とマイクロフィルムが残っていて、それをいち早くオンライン上の記録とを突合することが優先順位だと。どのぐらい紙台帳が残って、マイクロフィルムが残っているかが分からない状況では、もう一度同じことをやらなきゃいけなくなるということを主張さしていただいておりました。で、何度もこの委員会で、紙台帳はどのぐらい残っているんですかと、マイクロはどのぐらい残っているんですかと。たった三百九か所だからお答えをいただけるだろうと言っても、いつも調査中だといってお答えをいただけませんでした。
 今日、もう一度お伺いします。全国の三百九の社会保険事務所でどの程度の紙台帳、マイクロフィルムが残っているか、お答えください。
○政府参考人(青柳親房君) 度重なるお尋ねで大変恐縮をいたしておりますが、社会保険事務所で管理しておりますマイクロフィルムそれから紙台帳の保管状況については、五月三十一日提出期限ということで調査を行っておるところでございますが、現在取りまとめ作業中というところでございまして、まとまり次第、結果をお知らせしたいと、御容赦をいただきたいと存じます。
○福山哲郎君 大臣、お手元にもう資料配っていただいていますね。
 お手元の資料の二枚目を見てください。これが、地方の社会保険事務局長あてに社会保険庁から出した被保険者台帳等のマイクロフィルムの保管状況等についての依頼文でございます。五月の十七日に出しています。最後の末尾を見てください。二の台帳の有無というのは、紙台帳の有無についてですが、何と十七日に出して十八日、翌日に紙台帳の有無は連絡をしろと書いてあるんです、これ。すべてのものに対しても、マイクロフィルムやそれ以外の各種資料の保管状況についても五月三十一日までに願いますと書いてあるんです。
 何で、社会保険庁が各社会保険、地方の事務局長に、次の日や、わずか二週間後に答えを持ってこいと言っているものに対して、国会でこれだけ求められて、一番重要な紙台帳の保管状況、マイクロの保管状況についていまだに今の青柳さんの答弁なんですか。これ、出す気ないんですか、この国会中。青柳さん、答えてください。
○政府参考人(青柳親房君) それらの回答についての、例えば確認できる台帳は他にないかということを含めた全体についての確認照会中という状況でございますので、いましばらくお時間をちょうだいしたいと存じます。
○福山哲郎君 これ実は私、三千サンプルのときもこのことを申し上げました。各保険、地方の事務所の一覧がずっとあって、そこに表があって、数を出しなさいといって、三千サンプルがようやく出てきました。実はその三千サンプルもふざけた話だったんです。この委員会の理事会に提出する前に、実はマスコミにリークされたんです。本当に失礼なやり方だ。
 今日あえて資料には付けていませんが、実は私は持っています。同じように三百九事務所のそれぞれに、マイクロフィルムの被保険者台帳、紙台帳、それ以外の、こういう表を作れという、表に書いて出せといって、あるわけですよ。
 じゃ、この一覧表見せてください。もう一度、照会していると言うんだったらこの一覧表があるはずです。それぞれの三百九の地方の社会保険事務局長から来ているこの一覧表を出せば、あなたたちが精査をしなくても国会の場でそのことを精査しなければいけない。今どのぐらい紙台帳が残っているのかが一番の問題なんだ。それをいまだに出しもしないで一月もたって、そしてこういう、もうフォーマットができているじゃないか。これは返ってきているはずでしょう。返ってきているか返ってきていないか、青柳さん、答えなさいよ。
○政府参考人(青柳親房君) 返ってきた内容について精査をしておるというふうに承知をしておりますので、いましばらくお時間をちょうだいしたいと存じます。
○福山哲郎君 返ってきているんだから、今の話では返ってきているんだから、じゃ、この紙、全部、一覧表をこの委員会に今出してください。
○理事(阿部正俊君) どうですか。答弁できますか。(発言する者あり)
 じゃ、速記止めてください。
   〔午後四時三十三分速記中止〕
   〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕
   〔午後四時五十一分速記開始〕
○委員長(鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
 理事の皆さんと協議の結果、約一時間、五時四十分まで休憩といたします。
   午後四時五十二分休憩
     ─────・─────
   午後五時四十分開会
○委員長(鶴保庸介君) ただいまより厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、日本年金機構法案外二案を一括して議題とし、質疑を行います。
○福山哲郎君 休憩をいただきまして、委員長の御勇断に感謝を申し上げたいと思います。
 ただし、これ出てきたのを見ましてちょっとびっくりしたんですけど、何でこれ出せなかったんですか。これ、こんな、ちゃんと、問題の紙台帳の残り、それからマイクロフィルムの数、これだけ一覧表があって何で今まで出せなかったんですかね、青柳さん。
○政府参考人(青柳親房君) 大変遅くなりまして申し訳ございません。
 先ほども申し上げましたように、この中の数字についての精査が必要ということで、現在もまだこれ実は進行形のものでございますので、完成版ではないという御理解を賜りたいと思います。特に、備考欄に様々、保管状況等について記載のある事務所もあろうかと存じますが、これらの中身について、私どもどういう中身であるのか、それから書きぶりについても、同じ意味なのか違う意味なのか、こういったことを一つ一つに聞きながら精査をしておるという状況でございますので、御理解賜りたいと存じます。
○福山哲郎君 もう一事が万事この状況でございまして、これ一応、全体の集計をした数でございますが、もう一度お願いをしたいのは、このそれぞれが、五月の三十一日の期日で来ている生データのこの一覧をまたもう一度出していただければと希望を申し上げたいと思います。
 ただ、厳しいのは、今出てきて今これ見て質問しろというのもなかなか厳しい話なんですけど、でも大臣、これすごく重要なデータがやっと出てきました。紙台帳がどのぐらい廃棄命令が出ていたにもかかわらず残っているのかとかマイクロフィルムがどのぐらい残っているのかというのが非常に大きな争点で、これの突合を先にすることが自民党のおっしゃるプログラムをつくって一年掛かって突合するよりも優先じゃないかと我々は言ってきたんですが、大臣、この数字、大臣も初めてなのかどうかも含めて、少しお答えいただけますか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私自身、今日これ初めて見ました。そういうものでございまして、これまでにも何回も私自身、報告をするようにということを申しておりましたけれども、今日までそれがまだ集計中ということで、私自身が報告を受けないままにこの委員会で福山委員の御質疑を契機にこうして見たと、こういうことでございます。
 ただ、あえて申しますと、いろんな感想というか、これが頭に浮かぶわけですけれども、例えば国年で始めの方から三つ、四つぐらいのところで特殊台帳と特殊台帳以外が分かれていないというようなことがございます。そういうものについては、逆に非常に正直で、何というか、これの方が場合によっては当てになるのかななんというような感じも率直に言って私は持つわけであります。
 いずれにいたしましても、非常に私はこれ、ちょっと正直申して、今連絡室でこの原稿を見まして、私自身の目で、本当に特殊台帳のマイクロが残っているか厚生年金のマイクロが残っているかというところでざっと見まして、空欄のところももちろんありますけれども、それらは大体分割された事務所であるということが判明いたしまして、きちっと特殊台帳と厚生年金のマイクロは残っている。しかも、ざっと見たところ、厚生年金については紙台帳がかなりの数で残っていると。マイクロの上に紙台帳も残っているということを見付けまして、いろいろな意味でこれは有用な資料が残されているという感じがいたしております。
 その上で、委員の言われるまず記録とマイクロ、今の、失礼、オンラインとの記録の照合をすべきではないかということでございますけれども、もう一つ実は資料があり得るわけで、それは市町村に残っている名簿というものでございます。
 それについては、これはまあ相手が非常に多数に上りますのでまだ集計中ということを私も信ずるわけでございますけれども、いずれにしても、そういうものが残っているということは非常に有り難いことだというふうに考えるわけでございます。
 そういうことでございますが、午前、小池委員の質問にもお答えしたわけですけれども、私どもとしてもこの上で全数というか、今の受給者、それからまた被保険者、これに全員我々の記録をお送りしながらその確認を求めるということもいたすつもりでございますが、その順序立てといたしましては、私ども、五千万件のこの統合されていない記録というものについて、これを受給権の発生する世代とそれから被保険者の世代に分けまして、至急に突合をした上で、その情報とともに今言った年金記録をお送りする、それからその上でまたこの重要な資料と我々のオンライン記録の照合をすると、こういう二重三重のチェックをいたしてこの年金記録の正確性というものを確保してまいりたいと、このように考えております。
○福山哲郎君 大変誠実な御答弁をいただいたと思います。決して我々はただ単に揚げ足取りをしたいと思って資料を出せと言っているわけではありません。これが出てくることによって、例えば紙台帳がなくなっている地域の方はそれだけ訂正要求をしても訂正されない確率が高くなるわけです。そうすると、その地域でなくなっている方の訂正要求が、確率が高くなればなるほど、そこに対してこれからの第三者委員会に対してだって判断がしやすくなるわけですね。これは非常に僕はそういう面でいうと大臣がおっしゃるように重要な資料ですし、先ほど大臣がおっしゃっていただいたみたいに、確かにプログラム上の突合も重要なんですが、現物の生の突合できる材料はこれだけあると。これだけあるというのは実はひょっとしたら救いかもしれません。これを本当に同時並行的に、我々はこの突合作業をしながら、どうせプログラムを開発するのに一年掛かると言っているわけですから、その間にでもできることから、この紙台帳、マイクロの突合作業を今のオンラインと早急にやっていただいて、いち早く統合ができるように御努力をいただきたいと思うんですが、大臣、どうですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私どももこのいわゆる基データですね、オンラインの基データとオンラインの記録、これの照合をいたしたいというように考えております。ただ、今の見込みですとやはりかなりの人日と申しますか、マンパワー、時期というものを要するということでありまして、それをやってから突合の作業をするということよりも、やっぱり私どもとしては受給者のまずデータだけでも早く手掛けたいと、このように考えているということでございます。
○福山哲郎君 私もこれを精査しなければいけませんし、これからも精査をしてしっかりと今後の国民の不安を取り除くために努力をしていきたいと思いますが、ほかにも言いたいことがあるので、次に移ります。
 お手元にお配りをした資料の今度は一枚目を見ていただきたいと思います。実は、私はこの六月の七日の審議の中で、社会保険庁から再就職、いわゆる天下った人のリストを全部挙げてくださいと、数を挙げてくださいとお願いをしました。そうすると、社会保険庁から出てきた最初の数字が上の数字です。次の数字が下の数字でございます。これも実は社会保険庁のある種の隠ぺい体質というのがよく現れているんですが、私はすべてを出してくださいと言ったのに、実は、上を見ていただきますと、勝手に再就職先別役員への就職状況ということで、役員に限定をして数字を出してきました。役員とは言っていないだろうと、全部出せと言ってやっと出てきたのが昨日でございまして、じゃないや、今朝だ、今朝でございまして、それが実は下でございます。
 見ていただいたらお分かりのように、最初の段階では三十五名、役員という限定ですから三十五名だったんですが、下を見ていただきますと合計で百一名。社会保険庁から少なくとも平成十一年から十八年までの間に天下っている人が百一名いらっしゃいます。先ほど櫻井同僚の委員から、厚労省からいろんなところに天下っている年金関係で四百名弱という話がありましたけれども、これは社会保険庁、純然たる社会保険庁からの天下りの数でございます。
 何でこれが気付いたかというと、実は社会保険庁の長官で直近の、これは真野さんと読むのかな、真野さんという方の実は資料がこの数字から抜けていたんです。彼はある保険会社の顧問に天下っているんですが、顧問は役員ではないからといって実はこの数字から抜けていました。
 つまり、実はこの数字は今後の年金機構を考える上で重要です。自民党の天下り人材バンク法案は、日本年金機構に変わった場合にはノーチェックになります。ということは、この社会保険庁から今百一人天下っているんですが、全部ノーチェックで実は天下り先に行けるような仕組みになろうとしています。正に私は、ここがノーチェックになることは、国民の今の社会保険庁への不信感からいうと納得できないのではないかというふうに思っているわけでございます。
 ちなみに申し上げます。お伺いします。独立行政法人と特殊法人の役職員の給与と退職金についてお伺いをしたいんですが、例えば独立行政法人と特殊法人の常勤役員の平均報酬額は幾らと幾らか、お答えいただけますか。
○政府参考人(石田直裕君) お答えいたします。
 平成十七年度の独立行政法人の常勤役員の年間平均報酬額は、法人の長は一千八百四十万九千円、理事が一千六万四千、九千円、監事が一千三百八十九万二千円となっております。
 一方、特殊法人等の常勤役員の年間平均報酬額は、法人の長が二千二百七十六万四千円、理事が一千八百六十九万四千円、監事が一千四百八十六万四千円になっているものと承知しております。
○福山哲郎君 御丁寧に答えていただいてありがとうございます。
 実はこれ一々聞こうと思ったんですが、今日は時間がないと思いましたので、やはり三枚目のプリントを用意をしました。皆さん、ごらんをいただきたいと思います。
 今お答えをいただいたものの数字があります。これは我が党の衆議院議員細野さんとともに、細野さんが中心になって作られた資料でございますが、見ていただいたように、独立行政法人と特殊法人を見ていただくと、特殊法人の方が平均報酬額はずっと上回っております。その下を見ていただきますと、職員の給与水準ですが、これも見ていただきますと、事務・技術職員、研究職員、ともに独立行政法人よりも特殊法人の方が上回っております。その下、対国家公務員に対する指数で見ても、実は独立行政法人は事務・技術職員でいうと一二八・九です、そして研究職員は一三七・〇ということで、それぞれの独立法人よりもずっと高い実は給与をもらっていることになります。
 今回、この日本年金機構というのは特殊法人になります。つまり、見ていただいて分かりますように、独立行政法人、特殊法人、見ていただきますと、確実に特殊法人の方が報酬も退職金も高い。右側のページを見ていただきますと、役員の退職金に係る業績勘案率、これはいわゆる業績の評価率ですが、これも特殊法人はほぼ一・五、独立行政法人はほぼ一・〇ということで、約〇・五、一・五倍特殊法人の方が高くなっています。
 私は、今回これだけの騒動を起こし、これだけ国民に不安をあおり立てているにもかかわらず、日本年金機構、特殊法人にこの社会保険庁を変えるということは、焼け太り、隠ぺい、それ以外何物でもないというふうに思っている。そして、先ほど申し上げたように、今でさえ百一人の天下りがいるにもかかわらず、ここがすべてノーチェックになります。
 こういう日本年金機構をつくることについて、大臣、どのようにお考えですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) まず第一に、特殊法人と独立行政法人ですけれども、余り長くしゃべっては申し訳ないんでつづめて申しますけれども、特殊法人というのは、率直に言って総務省のくちばしが入るということを嫌って、従来型の主務官庁というか、業務に関連する官庁の傘下にいようと、こういうような独立行政法人であります。
 特殊法人が独立行政法人、ちょっと福山委員も驚かれると思うんですが、独立行政法人というのは普通名詞でもありまして、独立行政法人というのは必ずしも固有名詞ではありません。で、普通名詞を使わせていただきますと、特殊法人も独立行政法人であると、こういうことです。ただ、今申したように、上にいる人が一般的な独立行政法人の横並びでの評価をする総務省か、そうではない、個々に対応した、一対一で対応したようなそういう役所であるかということの違いでございます。
 私どもの今度の日本年金機構も基本的には独立行政法人なんですけれども、年金の仕事というのは厚生労働省の本来の仕事でございまして、それをやらせるということからいって、いわゆる固有名詞としての一般独立行政法人という形態を取れなかったと、こういうことでございます。しかし、その精神はほとんど我々はこの法案の中に盛り込んでいるつもりでございまして、例えば中期目標を立てる、それから基本計画を立てる、年度計画を立てるというような手法というものはほとんど独立行政法人、固有名詞としての独立行政法人を踏襲しているということを御理解いただきたいと、このように思います。
 それで、もう一つちょっと申し上げますと、私は、午前中も御答弁申し上げたのでございますけれども、この幹部職員の退職後の就職ということにつきましても、私は、そういう土壌は少ないということをまず御理解いただきたい。まず、早期退職の慣行はこの法人についてはないということ、それからまた、これから機構の発注については原則競争入札にするということから、ほとんど企業側にとってはメリットがないような、そういう土壌をつくるということもございますが、加えまして、私は、現行の公務員並みの規制、これについては、私はこれは必ず採用しなければいけないと、このように思います。
 そういうこと、この私の答弁も今後に残る答弁でございますけれども、加えまして、この法案の第二十八条には被保険者等の意見の反映という、そういう条項がありまして、機構はこの第二条第一項の趣旨、仕事のやり方の趣旨を踏まえて、被保険者、事業主、年金給付の受給権者その他の関係者の意見を機構の業務運営に反映させるため必要な措置を講じなければならないと、こういうような規定もここに入れさせていただいております。
 そういうようなことからまいりまして、私は、業務運営ということのみならず、こういう組織としてのありようについても十分この方たちがチェックをしていただく、そういう措置が講じられるはずだと、このように考えている次第でございまして、これが単に、今委員がいろいろ、給与水準であるとか退職金の水準であるとかというようなことで固有名詞としての独立行政法人と特殊法人を比較された、それがそのまま我々の日本年金機構に投影されるというようなことは私はないということで是非御理解を賜りたいと思います。
○福山哲郎君 つまり、そこは大臣の意気やよしですが、今までの社会保険庁の体質や厚生労働省の下にある中で本当に不信感が高まっているわけです。現実に特殊法人というのはもうNHKとJRAしか残らないんです。小泉政権下、ずっと、いいか悪いかは別に、特殊法人は独立行政法人、民営化を選択をしてきたわけです。
 今回、この日本年金機構を特殊法人化するというのは、先ほど言った天下りを丸々ノーチェックにすることや、給与水準はこれを高いことも含めて、私は正に逆行しているのではないかと、安倍政権の、まあ逆行というか、後ろ向きなことが正に象徴されているのがこの年金機構法案だというふうに思っています。
 もう時間が三分しかありません。実は、第三者委員会のことをいろいろお伺いしたいことがたくさんありました。
 今議論になっている実は社会保険庁の年金記録審査チームで、二百八十四件の再調査が出てきています。二百八十四件、要は訂正されない方がもう一回再調査を社会保険庁の中でお願いをしているんですが、これを第三者委員会に移管をするということを今議論されていると思いますが、この二百八十四件のうち何件回答されたかお答えください。
○政府参考人(青柳親房君) 年金記録相談の特別強化体制の中で、私どもただいまお話ございましたように、六月一日時点で二百八十四件の再調査依頼を受けております。このうち三十四件につきまして再調査依頼の調査、審査を終了しております。
○福山哲郎君 その三十四件回答したもののうち訂正をされたものは何件かお答えください。
○政府参考人(青柳親房君) この三十四件のうち訂正をいたしたものはございません。
○福山哲郎君 つまり、二百八十四件、去年の八月から再調査を受け付けているにもかかわらず、回答したのがわずか三十四件。もう一年近くたっています。その三十四件で訂正をしたのがゼロでございます。
 実は、私調べたら、この年金記録審査チームというのは非常に細かなマニュアルを作っています。調査もヒアリングも含めてマニュアルを作ってやっています。これを第三者委員会に移行して、第三者委員会が今からガイドラインを作るという話ですが、本当にこれでどう救うのか。今三十四件回答してゼロなんです。
 このことについては、実は本当に第三者委員会の在り方、職員の体制、それからガイドラインの中身、いつスタートするのか、どのぐらいの申請があることを予期しているのか、こういったこと、一切明らかになっていないまま今この議論をやっています。この第三者委員会についてはもっともっと詰めなければいけないということを強く申し上げますが、これは大臣、いかがお考えですか。総務省の方がいいかな。じゃ、総務省。
○副大臣(田村憲久君) 今、委員からお話ございましたとおり、六月の二十五日に中央委員会、第三者委員会立ち上がりました。そういう中において、基本的に二十五日はまだ立ち上がった状況でございますから、これからどういうことを決めていくのかということ、大まかな骨格を決めてきたわけでありますけれども、これから早急に今の判断基準も含めてこれを詰めていかなければならぬというふうに思っております。
 もちろん、おっしゃられましたとおり、今までの年金記録審査チーム、こちらの方もマニュアルがかなり細かくあるというのは我々も存じておりますが、あくまでもこれは社会保険庁において、内部機関でございますから、内部の調査体制でありますので、社会保険庁が判断し得る基準という中において多分いろいろと審査されたものだと思います。
 第三者委員会はあくまでも申請者の立場に立ってという話でございますから、新たなる基準というものをこの中でこれから早急に検討して決定をしてまいりながら皆様方の申請を受け付けていきたい、このように思っております。
○福山哲郎君 もう時間がありませんが、とにかく新たな資料も今日出てまいりました。第三者委員会についても課題がたくさんあります。これは単に時間延ばしのために審議を要求するということではなくて、国民の不安をより払拭をしていくためにまだまだ十分審議も資料も必要だということを申し述べて、私の質問を終わりたいと思います。


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第166国会  参議院  厚生労働委員会 2007年6月21日

社会保険庁改革関連法案、年金問題


○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
 私も、峰崎委員に引き続きまして、六月六日以来、質問をさせていただきます。
 冒頭、少し残念なことだけ申し上げます。
 私、六月六日にここで質問をさせていただきました。実は、三千件のサンプルの調査も含めて結果を出してくださいと言ったのは、まあ順次ですが出てまいりましたが、あの時点から二週間たってもいまだに私の求めた資料が出てきていないものが幾つかございます。そのことについては速やかに出していただきたいということをまず冒頭お願いをして、スタートしたいと思います。
 我が党の委員の高尚な質問が続いたんですが、済みません、私はちょっと、若干下品でございまして、こだわっていることが幾つかあります。
 この間も柳澤大臣と、統合か突合かの議論をさせていただきました。自民党が名寄せをやる、一年以内にやると。大臣は明確に私に、名寄せというのはある種突き合わせることだから突合だとお答えをいただいて、その後に通知をして、違う場合には返答をしていただいてだから、統合は一年以上掛かるという御答弁を私はいただいたというふうに思っております。そのことの確認は、大臣、よろしいですね。
○国務大臣(柳澤伯夫君) そのとおりでございまして、私どもは、いわゆる今委員の言葉で言いますと突合、名寄せですね、別の言葉で言えば名寄せ、これを来年の五月一杯で終えて、そして六月からお知らせをしてという段取りでございます。
 しかし、それが長々と掛かるかといえば、六月から八月にかけて私どもお知らせをいたしますけれども、今日における国民の皆さんの関心の高さ、それからまた我々の方も前回の基礎年金の番号の導入時と比べてより多くの情報を差し上げることになりますから、もっと的確な回答が迅速に返ってくるのではないかと、このように強く期待をいたしております。
○福山哲郎君 まあそれは早い方がいいと私も思いますが。
 実は、安倍内閣というか、最近、自民党がいろんなことを国民に伝えるときに随分誇大広告みたいなことが多うございまして、例えば障害者自立支援法、これも厚労省でしたけれども、自立支援だと言いながら、今年、方向性を実質的に変えるとか、今回の公務員制度でも、天下りを根絶すると行革大臣は大きい声で言われるんですが、いつの間にか総理の本会議の答弁は、押し付け的な天下りは根絶すると何か留保が付いてしまうとか、非常に事実とは少し異なることがあるのではないかと思っているんですが。
 お手元に実は自民党のパンフレット、年金の問題に対するパンフレットのコピーを送らせていただきました。これは第二弾でございまして、いわゆる菅直人前の厚生労働大臣に批判をしたことが大変評判が悪くてやめられて、第二弾を出されたんですが、ちょっと見ていただければと思います。
 まず、右側のポイント一というのを見ていただきたいと思うんですが、右側のポイント一は実は第一弾と同じことが書いてあります。第一弾と同じことで、見ていただきますと、「五千万口すべての名寄せを完了させます。」と書いてあります。これは、厚労大臣の先ほどの答弁と同じでございます。
 しかしながら、第二弾で新しく加わった文字が左側にあります。真ん中見てください、「消えたのではありません。」「基礎年金番号への統合が済んでいない件数なのです。」。次です、「政府・与党は今後一年間で全ての統合を完了させます。」。これね、自民党じゃないんですよ。「政府・与党は」と書いてあるということは、大臣、大臣も含まれているんですよ。
 先ほど大臣は、一年間では統合ではなくて突合だとはっきり私に御答弁をいただきました。やっぱりここは国民にとって確実にうそを伝えている。これは、第二弾もこれ、実は修正が必要なんですよ。つまり、第三弾、これが本当ですよというものが必要で、こういうことをするからこの年金の救済、いろんなことに対して国民の信用はなくなるし、安倍政権の支持率が、まあ変な話ですけど、落ち続けると。やっぱりこういうことは良くないと私は思います。何かどさくさに紛れて、言葉だからいいんだとかいって、いい加減なことをするからいけなくて。
 大臣、実は出ておられないので御存じないと思いますが、文教科学委員会がおとといありまして、総理が出席をされたんです。このときに、我が党の蓮舫議員に、この統合、突合の話を総理が聞かれて、総理は何て答えられたかというと、これは突合という言葉が分かりにくいということでございますので、基本的に、これは統合と突合ということについては意味が違うというのは我々もよく承知をしておりますが、意味が違うというのは承知しておりますが、国民の皆様にとっては、言わばこれは番号を突き合わせるという意味で、その方が表現が分かりやすいということを党が判断をしたのかもしれないと、このように思っているわけでありますと。つまり、意味が違うとは分かっているけれども、簡単に言えば、国民は分かんないんだから分かりやすい表現ならいいじゃないかということなんですよ。これ総理の、これ、とんでもない発言なんです。
 私は、本当はこういうのは予算委員会か何かで、総理も大臣も横にいていただいて、どっちが正しいかはっきりしてくれと言いたいんですが、今日はなかなか総理いらっしゃらないから、これ大臣に確認をするんです。この総理の答弁は間違っている、そして、この自民党の第二弾は、まあ菅さんで評判が悪かった第一弾に続き、これも間違っていると、このことを明確に大臣にはお認めをいただきたいと思っていますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) どちらのお話を申し上げていいのかあれですけれども、まず、総理は十分その区別が付いているということは今の委員の御発言でも私は裏付けられていると思います。
 このチラシと申すんでしょうか、これにつきましては、これは私は、今も委員もお認めになられたように、両方書いてあるわけですよね、結局。ですから、私は、この名寄せを完了させますという方を考えれば、そんなに大きな誤解と申しますか、そういうようなことにはならないんではないかと、こういうように思うわけでございますが、できればこれは同じ言葉を使った方がいいというふうには考えます。
○福山哲郎君 ごめんなさい、大臣、これ両方書いてあるからいいという、そんな単純な問題じゃないですよ。国民はこんなに不安なのに、こんな国民をミスリードするようなことを書いちゃいけませんし、同じ言葉を使った方がいいと大臣がおっしゃられたということは、どちらの言葉で同じ言葉を使った方がいいとお思いなんですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 完了ということを言っておるわけでございますから、私たちは、名寄せあるいは突合ということが選択されればより有り難かったと思います。
○福山哲郎君 ということは、大臣はこのビラは間違いで、訂正をするべきだとお考えだというふうに受け取ってよろしいですね。
○国務大臣(柳澤伯夫君) こうしたものでございますから、これは故意に間違えるということではなくて、片方、完全に名寄せを完了させますと言っておるわけでございますから、先ほど来申すように、私としては同じ言葉遣いであった方がより良かったのではないかと、このように思います。
○福山哲郎君 これ、大問題なんですよ。言葉だからどうでもいいという話じゃないんですよ。一事が万事、こういうことが今の自民党政権では行われているんですよ。安倍内閣では行われているんですよ。これ、第二弾も強く訂正を求めます。今厚労大臣がこれは違うんだとお認めになったのですから、国民にこのことを示しては、自民党、これは国民にうそをつくことになります。ましてやこれは、政府・与党はと、政府という言葉が入っていますので、私は強くこのことについては訂正を求めます。
 もう一点、もう一点。実は麻生外務大臣が、またこれとんでもない発言をされているんですね。今もらっている人は関係ない、これ今の年金受給者です、今もらっている人は関係ないので、おたくらはまず電話しないでください。つまり、今の受給者に対しては、相談の電話をしないでくださいと麻生外務大臣が言われているそうです。年金もらっている人と、ある会場で挙手をして、聞きたい人が聞けなくなってしまう、なぜかというと、今もらっている人が電話をどんどんするとと。とんでもないですよね。政府は、だって、今の年金受給者から優先的に早く突合作業をすると言っているんですよね。この麻生外務大臣の発言も間違いだと柳澤大臣はお認めをいただけますね。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私は、麻生大臣の御発言がどういうところで行われたかということをつまびらかにいたしておりません。したがいまして、伝聞の形で委員が私に教えていただいたことについてコメントをするということはやっぱり差し控えるべきだろうと、このように思います。
○福山哲郎君 じゃ、分かりました。麻生大臣が言ったかどうかについては、事実関係もありますから伝聞では答えにくいと思いますが、今年金の受給者の方に電話をしないでくださいというメッセージは間違っていますよね。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 電話が非常にふくそうしていることは事実であったというふうに思いますが、最近におきましては、十八日で五〇%近く行きましたし、十九日では五〇%を優に超えるというようなことになってございます。したがいまして、電話について麻生大臣がいろいろ御心配をいただいていたわけでございますが、そういう御心配はだんだん必要なくなっていると、このように認識をいたしております。(発言する者あり)
○委員長(鶴保庸介君) 福山哲郎君。
○福山哲郎君 委員長、委員長。えっ、指名していただいた。
○委員長(鶴保庸介君) もう指名しましたので。
○福山哲郎君 ああ、済みません。(発言する者あり)
 いや、大臣、私は、麻生さんが、麻生大臣が心配されたことを答えていただきたいわけではなくて、一般論として、今、年金を受給されている方が電話相談をされることについて、今はしないでくださいと言っていることは間違っていますよねと、そのことを確認したかったんです。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 実情は、私どもは年金の裁定というものは、本当にありとあらゆる情報をできる限り集めて裁定をさせていただいておると、こういうことでございまして、基本的にこの裁定を受けられている方については、その面で御本人も一応この裁定の基礎になっていることについては、だれかに、代理人に頼んだと、それで至急にもらいたいという動きに出られた方以外はまず大丈夫というふうな考え方を持っておりましたが、実際に五千万件の未統合の記録の中で年齢階層別に見ますと、受給をされている方の中にもそういう方々がいらっしゃる懸念があるということで、私どもとしては、今そこのところをまず手掛けたいと、このように考えているということはかねて申し上げているとおりでございます。
○福山哲郎君 いや、まず手掛けたいということは、今電話をしないでくださいということは、そういう発言自身は間違っていますねということをイエスかノーかでお答えください。
○国務大臣(柳澤伯夫君) いや、それはそれぞれのお考えで言われている、そういう考え方で、裁定の基礎というものに対しては信頼が置けるではないかと考えることもあり得ると思うんですが、我々としては、今五千万件の年齢階層別のこの統計の結果から、そこから手掛けたいと、このように思っているわけでございます。
○福山哲郎君 僕ね、こんな言葉のやり取りやりたくないんですけど、でも、実はこれね……(発言する者あり)とんでもないですよ。やめろって、何言ってんだ。
 内閣が最重要、国民をこれほど不安に陥れている問題に対して、まず自民党のビラは第二弾も実はうそを書いている。内閣の一員の大臣が、今受給している方に対して優先的に突合しようと言っている最中に、あなたたちは電話で相談をしてもらっちゃ困るんだと言われている。そして、総理は、いいですか、突合と統合という意味が違うことは分かってるけど、国民にとっては、まあ突き合わせるという意味で、その方が表現が分かりやすいということが、党が判断したのかもしれないと、こんな無責任な答弁をしているんですよ。安倍内閣は一体これみんな何考えているんですか。
 これ、大臣、実際どう思われます。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 先ほど来お答え申し上げておりますように、麻生大臣の御発言について私はコメントを差し控えたいと思います。
 私どもは、裁定を受けられた方については、本当に御本人もよく御理解の上でそうした手続を進められたというふうに考えておりましたけれども、五千万件の実情ということから、それを最初に手掛けたいと、こういうように思っているということを重ねて申し上げる次第でございます。
○福山哲郎君 内閣の中で、やはりさすがにこの問題についての意思統一ぐらいはしといていただかないと、こんな発言があちこちで出たら国民は本当に混乱の極みですし、ましてや、政党からこんなビラが第一弾だ、第二弾だといって出てきたら、一体国民は何を信じたらいいんですか。で、先ほど、日経に出た今日の記事は事実ではないと言っているわけでしょう。もう何を国民としては出てくる情報を信じていいのか分からないじゃないですか。
 こんなことをぐちゃぐちゃ言っていてもしようがないので次行きますけれども、本当にこのビラについては、済みません、第一弾、第二弾に引き続きまして訂正を求めますので、自民党の皆さん、よろしくお願い申し上げます。
 社会保険事務所の中にある被保険者名簿等の保管状況についてですが、今年の五月の二日、地方社会保険事務局長あてに社会保険庁の運営部年金保険課長から、公印省略で公文書として調査をしろというのが出ました。その結果が現実に出てきているわけですが、少しお答えをいただきたいというふうに思います。
 各市町村で被保険者名簿の調査、保管があった市町村は幾つですか。
○政府参考人(青柳親房君) ただいまお尋ねのございました五月時点での国民年金の被保険者名簿の保管状況に関する調査の結果でございますが、現在、最終的には公文書による回答を求めておりますが、それに先立ちまして、電子メールによりまして提出のあった回答を取り急ぎ集計した結果を御報告いたしますと、保管があると回答いたしましたものが一千六百三十六市町村、全体の九〇%、そして保管なしと回答したものが百九十一市町村、全体の一〇%となっております。
 また、実際の名簿の保管件数につきましては、紙の媒体のままでの保管件数という回答は約三千五百七十万件、マイクロフィルムによる保管ということで回答あったものが約二千三百十三万件、それから磁気媒体による保管件数という回答があったものが約三千六百六十万件となっております。これらにつきましては、先ほど申し上げました公文書による回答を現在求めているところでございますので、その内容を精査した結果変わり得るものであることを御了解賜りたいと存じます。
○福山哲郎君 市町村の中で今、保管をしていなくて廃棄をしたのが百九十一市町村だと。じゃ、そこはないと。次にある可能性があるとしたら、御案内のように社会保険事務所なわけです。
 社会保険事務所内に残っている市町村分の被保険者名簿で、残っているものが各三百九の社会保険事務所である数が分かっていればお答えをください。
○政府参考人(青柳親房君) 社会保険事務所に残っている可能性のある記録といたしましては、被保険者台帳という形の記録でございます。
 これは、御承知のように、オンラインによって記録の一元化を図りました際に、いわゆる特殊台帳という形のもの、すなわち、特例納付の記録のあるものや前納という形で保険料を納めた記録のもの、あるいは一つの年度の中で納付のみならず未納あるいは免除等の情報が入り交じっているもの、こういうものは特殊台帳という形ですべてマイクロフィルムに保存するということにしたわけでございますが、それ以外の、言わば一般の台帳については原則廃棄という扱いを当時させていただきました。
 その点につきまして、ただ、その中にも結果的に廃棄の指示に従わずに台帳が残っているものがあるのではないだろうかということで、五月三十日までの回答期限ということで事務所から回答を受けておりますが、再度その内容について照会を行っている部分がございまして、現時点では、大変恐縮でございますが、何件という御報告ができないことをお許し賜りたいと存じます。
○福山哲郎君 青柳さん、答えた方がいい。持っているはずだから。
○委員長(鶴保庸介君) 速記をお止めください。
   〔速記中止〕
○委員長(鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(青柳親房君) 大変恐縮でございますが、ちょっと、私ども今のお尋ねは、そういうことで、本来廃棄すべきものが残っているのはどうなっているかというお尋ねかと存じますが、もし仮に先生からのお尋ねが、市町村から社会保険事務所に移管された被保険者名簿がどうなっているかというもしお尋ねであるとすれば、私ども、つまり本来市町村にあるべきもので、それが社会保険事務所に移管されているものはどうかというお尋ねであれば、紙によってそういった被保険者名簿が二十九市町村分、それから磁気媒体によりまして一市町村分が、本来市町村にあるべきものが社会保険事務所に保管されているものというのは確認をしておるところでございます。
○福山哲郎君 大臣、これ実は重要な数字なんです。初めて社会保険事務所から、市町村から移管されているものとはいいながら、紙であれ磁気であれ、二十九市町村と磁気のものが社会保険事務所に保管されている数が出てきたんです。この間、その前には、原則廃棄ですから、今調査中だってずっと答え続けているわけですよ。これ実は五月に調査をしているんです、五月に。二十九と一はすぐ数字出てきているんです。分かります。
 社会保険事務所の中に、市町村からの移管の名簿ということでは二十九市町村の紙と、それから磁気が出てきていると、今これ数字出してもらったんです。つまりそれは、社会保険事務所の中に紙媒体も含めてどのぐらい残っているかって、すぐやっぱり調査できるということなんですよ。分かります。
 青柳さんが最初私に勘違いをしたと言って答えなかったのは、三百九の社会保険事務所にあるいわゆる紙台帳やいろんなものは原則廃棄だから、どこの倉庫に何があるか分からないと。だから、それは調査は掛かっていますと、調査掛かっていて、時間掛かり過ぎていますと言っている話です。しかしながら、今、市町村から移管された紙の台帳と磁気についてはこんなすぐ分かるわけです。同じ社会保険事務所内ですよ、保管されているのは。
 いいですか、大臣。つまり、実は紙台帳がどのぐらい、廃棄されている前提かもしれないけれども、残っているのかとか、今マイクロ、どのぐらい数があるのか、本当は社会保険事務所は分かっているはずなんです。それを何で答えないのか。
 青柳さん、何で答えないの。
○政府参考人(青柳親房君) 私の今までの説明が不十分であればおわびを申し上げなければならないところでありますが、被保険者名簿と申しますのは、本来市町村がこれ保管をすべきものということで平成十四年まで市町村が完全に持っておりました。それと別に、正に今問題になっております台帳というふうに申すものは、これは社会保険事務所が保管をするものでございまして、市町村の持つ名簿と事務所の持つ台帳と、こういう言わば二重の形でこの記録を持つということになっておりました。
 一番最初にお尋ねをいたしました市町村の名簿についての数字は、そういうことで市町村が本来持つべきもの、十四年まで管理をするべきものであったものの数ということでございまして、今移管ということで出ました数字も、そういうことで本来市町村が保管しておくべきものが、一部社会保険事務所に来ているものが把握している限りで今のような数字であるとお答えをしたつもりでございます。
 また、時間が掛かっているということでおしかりを受けているものについては、台帳という形で本来事務所が持っているべきもののマイクロフィルムあるいは紙の実態が全体を把握できていないというおわびを申し上げたつもりでございますので、もし区別が十分でなかったとするならば、私の説明の不十分さをおわび申し上げたいと思います。
○福山哲郎君 私は区別しているつもりですよ。でも、市町村から移管をされて残っているものだって、社会保険事務所が廃棄を前提としても現実として台帳として残っているものだって、同じ事務所内に残っているものでは変わらないでしょう。変わらないですよね、青柳さん。
○政府参考人(青柳親房君) それは、はっきり申し上げまして、特殊台帳というのは当然マイクロで全部残すということが前提になっておりますし、これは、例えばそういう記録の照会等があった場合に当然活用されることを前提に保管がされているものでございますので、この特殊台帳の言わば保管状況については、その意味ではニチジ的に管理をしながら持っているものであるというふうに、私、認識しております。
 一方、一般の台帳については廃棄をすることが大前提でございましたので、私どももそういう意味では、日常的にこういうものがどの事務所にどういう形で残っているかということを承知する立場に残念ながらございませんでした。
 したがいまして、これを全国的にどういう形で残っているかということを改めて把握をさせていただいているという状況の違いを是非とも御理解賜りたいと存じます。
○福山哲郎君 今、正におっしゃられたんです。廃棄を前提なんだから、ないところはないって答えりゃしまいじゃないですか。残っているところは探して残っていますって答えりゃしまいなのに、何でそんな時間掛かるんだって何回も言っているわけ。
 だって、市町村から移管している被保険者名簿に関してはこんなにすぐ答え出てきているわけじゃない。紙台帳として残っているかどうかについては、廃棄が前提なんでしょう。廃棄しましたというところは廃棄しましたってことで答えを寄せりゃいい。紙台帳として残っているところは、自分のところの紙台帳、残っているものをこのぐらい残っているって出せばいい話が、何でそんなに時間掛かるのかって言っているの、だから。
○委員長(鶴保庸介君) お答えください。青柳運営部長。
 速記をお止めください。
   〔速記中止〕
○委員長(鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(青柳親房君) 大変失礼いたしました。
 先ほどのお答えをいたしました市町村からの移管分については、正に市町村から、これだけのものという形で数も含めて移管の状況をはっきり、移管されていますので、数も少ないし把握も容易であると。一方、社会保険事務所自身が持っているマイクロフィルムにつきましては、要するに、どういうものがどのくらい残っているかということを事務所自身も必ずしも明確に把握しない状態で保管がされておったということのようでございますので、まずそこからやらなければならなかったということで、私どもは単純に足し算をすればそれで済むという状態ではなかったというふうに承知をしております。
○福山哲郎君 その紙は、紙って言ったじゃない。紙を。
○政府参考人(青柳親房君) 紙についても同様に、そのように理解をしております。
○福山哲郎君 これは、どうしてもやっぱり出したくないんだね、やっぱり何かあるんですよ、これ。どうしても出したくない。まあ、これやっていると、もう出さないんであれなんで。
 さっきの二十九と一で、さっきの社会保険事務所に残っている紙媒体とかを出さないことを前提に、じゃ話を進めますと、今、百九十一市町村でもう廃棄をされています。この移管をしてしまって社会保険事務所に来ている二十九市町村の紙と磁気の一、三十市町村はこの百九十一とある種重なり合うんでしょうか。
○政府参考人(青柳親房君) これは重なっている可能性が高いだろうと思います。
○福山哲郎君 そうすると、もう廃棄しているのが百九十一です、大臣。今、たまたま社会保険事務所に移管されて残っているのが三十です。だから、百九十一から三十引けば、百六十一市町村の被保険者名簿は捨てられています。今の社会保険庁が社会保険事務所にある紙台帳とかその数を言わない限りは、百六十一市町村の被保険者名簿はもう今廃棄されて、ないということです。これは完全に宙に、宙にじゃない、消えてしまう可能性の蓋然性が非常に高くなるということです。これは間違いないとお認めいただけますよね。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 福山委員が本当に御熱心にこの記録の所在というものについて御質疑をいただいていることは分かるんですけれども、要するに、青柳部長の言うことは、廃棄、台帳の廃棄です。社会保険事務所の台帳の廃棄というのは六十年なんですね、昭和六十年。片っ方、この年金について市町村からの業務を、もう必要なくなったのは平成の十四年ということになるわけでございますので、その市町村の名簿の移管というのは平成十四年以降なんですね。他方、台帳が本当に廃棄されたか廃棄されないかというのは、今からほぼ二十年前の昭和六十年の話なんですね。
 ですから、今、私も社会保険事務所を訪ねることがありますけれども、担当者というのは、そんなに古い方がずっといるというような感じではなくて、やっぱり人事異動で入れ替わったりしておりますので、昭和六十年の紙の処理がどうなったかということと、平成十四年からの市町村から預かったというか移管されたものがどうなったかという、その情報について、どっちがちゃんとされているかということについてはやっぱり平成十四年だろうと、こういうことは容易に想像できるかと思います。
 ただ、じゃ、昭和六十年のものがどこかに大量に残っているというようなことがあれば、倉庫の場所も相当取るわけですから私は割と分かりいいんじゃないかと思いますが、いろいろどこかに頼んでやっているとかということになると、今の多忙さの中でそれをすぐに調べてということがどこまで可能になっているのかなと。私は社会保険事務所の雰囲気からいってそういう感じがいたします。それはそれで理解をしてやっていただきたい。
 そして、百九十一から三十を引いて百六十一の市町村については失われてしまったんではないかと、こういうことでございますが、もう少し私は台帳の方をしっかり調べてお答えした方がよろしいんではないかと、このように考えるわけでございます。
 しかし、引き算をすればそうだということは、これはもう自明だと思っております。
○福山哲郎君 そうなんですよ。今大臣は、結構今の答弁の中では正直にいろいろ答えていただいたんですよね、台帳は大量に残っているかもしれないけれどもと。そのとおりなんです。
 平成十四年から移管の話がありますから、そうすると新しい情報の方が大切だと。そうすると百九十一はもう完全に廃棄されていると。なおかつ三十残っているから百六十一だと。なおかつ、台帳はどれだけ残っているか分からない、もう廃棄は前提だというと、この百六十の市町村の被保険者名簿の方々は、実は履歴が飛んでいるときに幾ら突合から統合にお願いをしたとしても、可能性としては、認定されない、訂正されない可能性がより高くなるということです。
 それは間違いないですよね、大臣。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私は今、福山委員が詰められるところで、台帳がないということを前提にしたお話でございますので、答えるのに逡巡しますけれども、この算数みたいな話でいえば、おっしゃることはそのとおりかと思います。
○福山哲郎君 これは僕は、自分で今発言をこれからすることは自分なりにはちょっとまだ迷っているんですが。ただ、百六十の市町村は被保険者名簿がなくなりましたということを言えば、自分の履歴がひょっとしたらなかなか統合がうまくいかないんじゃないかということで、被保険者が自分なりに自覚をして、それこそ第三者委員会とか、領収書を捜すことにより一生懸命やられたりとか、自分なりにも自分の年金をちゃんともらえるようにするためのある種の自己防衛というか、守ることができやすくなるんじゃないかなと私は思うんです。
 これ、百六十の市町村の方は自分がだれか分からないわけです。一方的に社会保険事務所に行って統合してくださいと言っても、今の段階でいえば、いや、ありません、ありません、ありませんという方がたくさん出てきているはずなんです。
 そうすると、例えばこの百六十の廃棄されてしまっている市町村を公にするというのは、大臣どうでしょうか。僕は今、自分で発言していて、実はこれが本当に不安をあおるのかどうかは非常に迷いながら実は大臣にお答えを求めているんですが、しかしそこの市町村にいる国民は、本当に統合されない可能性がより高くなるわけですよ、今の社会保険庁の対応を見ていると。
 これを公にするという考えは、どうお考えになります。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、まず幾つか前提があるわけですね。まず、厚生年金の人たちはちゃんとその町の人たちでもマイクロフィルムに残っています。それから、特殊台帳の人たちも、仮にそういうことであったとしてもまだマイクロフィルムに残っている。したがって、それとまた台帳というものが本当に失われたものかどうかということはまだ確認できていないということでございます。
 したがいまして、私は今の段階で役所の責任者として、福山委員もちゅうちょを感じつつというお話でございますけれども、私としてはどうこうするということ、その問題提起自体に今の言ったような三つありますよね。まず、厚生年金は除外です。特殊台帳も除外ですと。それからまた台帳についてはまだ確認できていない、こういうようなことでもございますので、もう少し事態がはっきりしたときにお答えするのが、その問題提起そのものについても私はそうすべきだというふうに考えるわけでございます。
○福山哲郎君 僕は大臣が非常に真摯にお答えをいただいたと思っているので、ある意味感謝をしますが、それならやっぱり、さっきの話が出ている台帳がどのぐらい残っているのかは早急に出すべきでしょう。そこをなぜためらっているのか。そこは、大臣が今おっしゃったからには早く出せと。そこが明らかにならないことには、結局ここで何にも前へ進まないですよ。そこが全部の実は肝なんですよ、今。それを徹底的に隠しているんですよ。
 実は、僕はさっきから何回も言っているけど、そんなのはそんなに時間掛からないと思う。大臣もさっき何となくそういう雰囲気でおっしゃったけど。大臣、どうですか、これ。台帳を早く、社会保険事務所に残っているかどうか、廃棄を前提だけれども、そこを確認できないことには前へ進まないじゃないですか。大臣、もう一回お答えください。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今社会保険事務所は、率直に言って私は、先ほど労働組合の話もありましたけれども、もう本当に、それは自分たちの不始末ですから、これはやむを得ないというふうには思いますけれども、しかしもう本当に大変なことになっているわけでございます。
 そういうようなことで、もちろん大事な事務処理のためには台帳の行方をはっきりさせるということは非常に大事だということはよく分かりますけれども、私も督励はいたします。しかし、どういうことかということを分かるだけに、督励をいたしますということで私の気持ちを分かっていただければと思います。督励はいたします。
○福山哲郎君 優先順位として私は非常に高いと思っておりますので、大臣、是非よろしくお願いします。
 実はまだ半分も行っていません。三分の一ぐらいなんですが、もうあと十五分ぐらいしかなくなっていますが、もう一点だけ。
 名簿の状況についてなんですが、これ、今市町村に保管をされている千六百三十六市町村のものを社会保険庁に移管をする意思があるかないかと聞いていて、平成十九年とか二十年、今十九年ですが、二十年ぐらいまでに移管しろというこれ話になっているんですけど、これ移管は早急にした方がいいんじゃないですか。一括で管理した方がいいんじゃないですか、大臣。というか、これは青柳さんでもいいけど。
○政府参考人(青柳親房君) 先ほど申し上げましたように、紙なりマイクロフィルムなりあるいは磁気媒体という様々な形態でこれが保管されているわけでございます。私どもも、正直に申し上げて、市町村の方で移管の御意思があるならば私どもの方へ移管していただくということがこの記録をきちんと保管するという意味でも一番良い方法ではないかというふうには思っておりますが、ただ、市区町村によってはこの記録が住民票の記録と言わば一体の形で記録されているというようなものもあるやに伺っておりますので、その場合に例えばそういうものを市区町村として国の方へ移管できるのかどうかという問題もあるようでございます。
 したがいまして、現在行っております詳細調査の中では、どういうものならば移管ができるのか、あるいは移管ができない場合にはどういう利用の方法が今後あるのかということを少し詳しく調べたいと思っております。移管をするという方向性、できるものをするという方向性については私どもも同様というようにお考えいただいてよろしいかと存じます。
○福山哲郎君 もし移管されるなら、それは速やかにやられた方がいいと思いますので、よろしくお願いします。
 時間がないので、済みません、ちょっと飛ばしまして、総務省お願いします。
 いわゆる第三者委員会でございますが、先ほど津田委員からも幾つか御指摘ありましたが、私もお伺いします。
 まず、第三者委員会があっせんをするというふうに、苦情の申入れについての必要なあっせんに当たっての基本方針、その他年金記録に係る苦情のあっせんに関する重要事項を審議するというふうに、年金記録確認中央第三者委員会というのがあるわけですが、あっせんというのは法律的にはどういうことを言って、今回の政令の場合、あっせんはだれからだれへのあっせんになるのか、お答えいただけますか。
○政府参考人(熊谷敏君) 総務省が行っております苦情のあっせんというのは、苦情の申出人と関係行政機関との間に立って苦情の原因を除去し、苦情が解決されるように促進する行為というふうに理解しているところでございます。
 今回のあっせんでございますが、総務大臣から社会保険庁長官に対してあっせんを行うということでございます。
○福山哲郎君 当たり前の話ですが、拘束力はございますか。拘束力はございますか。
○政府参考人(熊谷敏君) あっせんにつきましては拘束力、強制力は伴わないというふうに理解しておりますが、最大限尊重されるというふうに理解いたしているところでございます。
○福山哲郎君 第三者委員会はあっせんする場合、どういう形でのあっせんになりますか。あっせんの例えば種類というか、例えばあっせんでも段階が例えばあるのかとかですね、そういうことについてお答えいただけますか。
○政府参考人(熊谷敏君) 申出人の申立てをこれを容認するという場合の文書といいますか、文字の形につきましては今後検討することになりますが、イメージとして申し上げれば、申立人の主張どおり記録訂正を行うべきといった内容のあっせん内容というふうに考えているところでございます。
○福山哲郎君 大臣にお答え願います。
 この、今、話がありましたが、総務大臣から社会保険庁長官にあっせんがあった場合、厚労省、社会保険庁はそのあっせんを、前の直嶋委員との答弁でいえば、そのまま受け入れたいというような意向が表明がありましたが、そのことについてもう一度確認をさせていただきたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 第三者委員会のあっせんがありましたときには、その内容を尊重をするということで、実質的にはそのあっせんに沿った裁定を社会保険庁長官に行わせるようにいたしたいと、このように思います。
○福山哲郎君 社会保険庁には社会保険審査会というのがあって、そこで現実に不服の申立てに対して容認するか棄却するかというのが現実に行われています。これは、今ある状況でいえば、申立人が社会保険審査会に訂正をしてくれと、年金記録を訂正してくれと言って申立てをして、その結果です。今、第三者機関がやっていることと非常に似たというふうに言うと法律的に問題があるかもしれませんが、行為としては同じこと、同じようなことをやっておられます。
 平成十六年度、再審査請求の件数と容認件数をお答えください。
○政府参考人(水田邦雄君) 年金納付記録の訂正に関しまして、社会保険審査会にあった再審査請求についてのお尋ねでございますけれども、平成十六年度におきましては受付件数十件でございますが、容認はございませんで、棄却が十件となってございます。
○福山哲郎君 十件しかなくて、容認ゼロです。
 平成十七年度、お答えください。
○政府参考人(水田邦雄君) 十七年度について申し上げますと、受付が八件で、うち容認が二件、棄却が六件でございます。
○福山哲郎君 平成十八年度、お答えください。
○政府参考人(水田邦雄君) 平成十八年度につきましては、受付が八件、うち容認は一件、棄却は七件となってございます。
○福山哲郎君 社会保険審査会においては、再審査請求二十六件、十六、十七、十八年度で件数があって、容認はわずか三件でございます。
 この一件当たりの審査に掛かった期間をお伝えください。
○政府参考人(水田邦雄君) ただいま申し上げました案件につきまして、再審査請求の受付の日から裁決の日までの期間の単純平均でお答え申し上げますと、平成十六年度が十四・二月、十七年度が十二・七か月、十八年度が五・六か月となってございます。
 ただ、社会保険審査会におきましては常に多数の案件を並行して審査してございますので、今申し上げました期間は、専ら一件の審査に実際に要した期間を意味するものではないということに御留意をいただきたいと思います。
○福山哲郎君 いいですか、驚くべき数字ですよね。一件につき十四・二か月、一年以上掛かっている。十七年度が十二・七か月、これも一年以上、平成十八年度は若干早まっていますが六か月、数は十件、八件、八件。
 これ、第三者委員会は、これ膨大な数が来ると私は思っているんですが、第三者委員会は今、第三者委員会の例えば地方も中央も含めてどのぐらいの数を今想定をしておられますか。
○政府参考人(熊谷敏君) どのぐらいの案件が申し立てられるかということにつきましては、今現在、具体的に申し上げられる段階にはございません。
○福山哲郎君 そうすると、例えばこれ第三者委員会、地方でも中央でもいいんですが、それぞれの委員が裁定を下すときに、何人の事務所のスタッフで、じゃ、やるつもりなんですか。どうぞ。
○政府参考人(熊谷敏君) 中央の場合の委員会の事務局の体制でございますが、今のところ、五、六十人程度を想定いたしておるところでございます。
○福山哲郎君 地方は。
○政府参考人(熊谷敏君) 地方につきましては、委員の定数が地方によって五人のところもございますし、あるいは十人のところ、十人以内ということになっておりますので、そこは一律には申し上げられませんけれども、委員の数の二倍程度は少なくとも必要というふうに考えております。
○福山哲郎君 僕、このことについては一杯聞きたいことがあるので、ちょっと時間がないので、重要なことだけ絞って聞きますね。
 先ほど申し上げた社会保険審査会において、例えば、棄却をされています。平成十六年度、例えば十件棄却をされています。この棄却をされた方が第三者委員会に持ち込んだ場合、あっせんされたとします。これ、決定はだれが下すことになりますか。
○政府参考人(青柳親房君) 最終的に裁定をいたしますのは、あるいは決定をいたしますのは社会保険庁でございますので、第三者委員会からのあっせんに基づき決定をするということになろうかと存じます。
○福山哲郎君 そのときに、社会保険審査会で棄却をされたものと、あっせんされてきたものと、どう優先を付けるんですか。
○政府参考人(青柳親房君) 社会保険審査会の裁決については、棄却、却下された裁決は拘束力を持たないというのが一応判例になっておりますので、第三者委員会の方で、例えばこれを容認をするというあっせん案が来た場合には、これを尊重して容認をするという決定が下されることになろうかと存じます。
○福山哲郎君 これ、実は大問題なんですよ。社会保険審査会は法律に基づいているんですよ、社会保険審査官及び社会保険審査会法。この審査官は全部国会同意人事なんですよ。事務局もあって、実は審理のための処分といって、何に審理をしてどういうことをやるのか、全部これ法律事項で決まっているんです。
 その状況で棄却をしたものを、法律で、国会で同意人事もない、総務大臣が指名をして、委員で、そして証拠も実はどうやって取っていいのか分からない、そこに出てくる案件はみんな領収書とかがない人ばかりです。そこであっせんが来たからといって、この法律事項で国会同意人事で委員が決めて裁定をしたものを、あっせんが来ましたからといってすっと容認することが、これは法律上許されるんでしょうか。
○政府参考人(青柳親房君) これは、第三者委員会の機能と社会保険審査会の機能を少し区別して御整理をいただければと存じます。
 そもそも、いわゆる年金記録確認第三者委員会というのは、記録訂正を認めるという言わば事実関係に係る判断を行うということが専らの機能でございまして、その意味では、行政処分の前提となる事実認定を行うということがこの第三者委員会の機能であると、こういうふうにまずお考えいただきたいと思います。
 一方、社会保険庁長官の行政処分そのものの違法性あるいは不当性について審査を行うというのが社会保険審査会制度の役割でございますので、事実認定に言わば係ることが仮に社会保険審査会の裁決と異なったという事例があったということのみをもって社会保険審査会の重要性が否定されたというような判断にはならないのではないかと認識をしておる次第でございます。
○福山哲郎君 だって、事実認定がされないから棄却されているんでしょう。違うんですか、青柳さん。
○政府参考人(青柳親房君) 繰り返す部分があるかもしれませんが、社会保険審査会はいわゆる訴訟の前置機関として、先ほど申し上げましたように、社会保険庁長官の行政処分そのものの違法性又は不当性について審査を行うという機能を持たされているわけでございます。
 一方、第三者機関については、もちろん処分に係るものについても第三者委員会で御判断いただくことはあろうかと存じますが、年金の記録については、それが直ちに行政処分に反映しないような、例えば被保険者の方の記録というのは、直ちにこれ行政処分には結び付いてまいりません。そういったものを速やかに事実認定をしていただくということがこの機能でございますので、おのずと社会保険審査会とその機能が役割分担ができるものというふうに受け止めております。
○福山哲郎君 私は、社会保険審査会全体の話を聞いたんじゃなくて、年金納付記録の訂正にかかわる再審査請求の件を聞いたんです。そうしたら、ここで十のゼロだったんです。ここは事実認定がだって否定されたわけでしょう。それは、青柳さん、どうしたってこれ事実認定が否定されたから棄却されたわけでしょう。
 じゃ、いいです。第三者機関は、第三者委員会はどういう調査をするおつもりですか、申出があった場合。
○政府参考人(熊谷敏君) いろんなケースによって、本人から直接お聞きする場合もございますし、本人から提出された資料の吟味あるいはそれ以外の関連資料、いろいろそういうものを基に調査審議するということでございます。
○福山哲郎君 済みません、大臣聞いてくださいね。
 これ、社会保険審査会法ですわ。審理、今おっしゃられたとおりです。「審査請求人又は参考人の出頭を求めて審問し、又はこれらの者から意見若しくは報告を徴すること。」。今、ヒアリングするとおっしゃいましたね。「文書その他の物件の所有者、所持者若しくは保管者に対し、当該物件の提出を命じ、又は提出物件を留め置くこと。」。「鑑定人に鑑定させること。」。「事件に関係のある事業所その他の場所に立ち入つて、事業主、従業員その他の関係人に質問し、又は帳簿、書類その他の物件を検査すること。」。こういうことを審理した上で判定しているんです。
 今第三者委員会が何をやるかという話はほとんどここに含まれます。下手したら、笑い話なんですけど、第三者委員会は、社会保険庁に、この申立人の記録はあるかといって聞くことがあり得るわけです。同じことがもう一回行われる可能性があるということです。そうでしょう。だって、だれに聞きようがないんだから、証拠持っている可能性があるのは社会保険庁しかないんだから。
 第三者委員会が、同じことをもう一回社会保険庁にブーメランで返ってくれば、ブーメランで返ってきた社会保険庁は、その申立人に棄却をした情報しか与えないということですか。それ以外の情報をどうやって第三者委員会は取るおつもりなんですか。
○政府参考人(熊谷敏君) まず、あれですね、午前中御議論ございましたが、基本方針、ここにおきまして、この中におきまして委員会としての判断基準、これを策定するということで、それに当てはまると、そのまま当てはまるというものについてはあえてヒアリング等のあれは必要ないんではないかというふうに考えております。
 ですから、先ほど申し上げたとおり、ケース・バイ・ケースでいろいろ調査審議するということでございますが、一言申し上げておきますと、第三者委員会に持ち込む以前に、まず御本人が社会保険事務所で自分の記録の確認の有無をしていただくと。既にそれが終わっているというんであれば直接第三者委員会においでいただいてもよろしいわけですけれども、まず、いずれにしても社会保険事務所で、社会保険庁でその記録の有無の確認というのが大前提というふうに考えております。
○福山哲郎君 今の判断は全く、何か今の御答弁はちょっともうあきれるばかりですが、そんなの当たり前の話じゃないですか。それで訂正されないから第三者委員会にみんな行くんじゃないですか。その後どうするのかという話じゃないですか。
 実はこれ、もっとほかにいろんな問題があるんです。先ほどあっせんだと、あっせんは法的拘束力がないとおっしゃったのに受け入れると言われたと。じゃ、この社会保険審査会の決定の法的な効力と一体どう違うんだと。さっき言った審理の話もそうなんですけど、この第三者委員会についてはもうたくさんたくさん問題がありますので、そのことについてはまた今後機会を見て質問したいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。


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第166国会  参議院  環境委員会 2007年6月19日

ミツバチ失踪問題、環境省広告費問題


○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
 先ほど、大野委員から議員最後の質問だという重たい御発言がありまして、この環境委員会の運営にも大変御尽力をいただきまして、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 大臣に、今日は農水省にも来ていただいておりますが、農水省のお役人さんもお詳しいと思いますが、農水政策は大臣もお詳しくいらっしゃいますので、いろいろ逆にお伺いしたいと思います。
 まずは、ちょっと済みません、突拍子もないことをお伺いするようですが、結構重要な問題だと私は認識しておりますので、農水省共々お答えをいただきたいと。
 昨年の秋、ペンシルベニア、ジョージア、フロリダ州で発生して以来、アメリカ全土でミツバチが巣箱から集団で失踪するいわゆるCCD、コロニー・コラプス・ディスオーダーが広がっていると。
 ある新聞によりますと、元気だったハチが翌朝に巣箱に戻らないまま数匹を残して消える現象は昨年の十月辺りから報告され始めたと。二十七日付け、これは二月でございますが、ニューヨーク・タイムズは、この集団失踪が既にカリフォルニア、フロリダ州など二十四州で確認されたと報じたと。実は、これ二十四州だけではなくて、三十州を超えてきて確認をされています。ハチの失踪数に見合うだけの、次が問題なんですが、死骸は行動圏で確認されないケースが多く、失踪か死んだのかも完全には特定できない状態だというような報道が出ています。成虫の働きバチが数週間以内に巣箱から姿を消して、後には女王バチと幼虫、ごく少数の若い働きバチだけが残されるといった現象が起こっていると。
 ミツバチだけの問題ではこれはとどまりません。アメリカでは約百種類の植物がミツバチによる受粉に頼っていると。アルファルファ、リンゴ、アーモンド、かんきつ類、タマネギ、ニンジン、これはミツバチの受粉で農作物となっているわけですが、これが年間約百五十億ドル、約一兆八千億円の生産量になっていると。実際にハチに依存する農作物のこれから開花期を迎えるわけですが、どういう状況が起こるかはまだまだ分からないというような状況だということでございまして、アメリカでは、連邦議会の方では、造園・有機農業小委員会では公聴会も開かれたと。過去、十九世紀にもこういった現象はあったらしいんですが、今回のような状況は規模としては例がない、もう圧倒的に今回は規模が大きいと。スイスでも実は四〇%のミツバチの死骸、失踪が記録されているらしいですし、スペイン、ポルトガル、イタリア、ギリシア、ブラジル、カナダ、イギリスでも同様な被害が報告されていると。
 原因について後でお伺いをしますが、いろんな説が出ていてよく分からないというのが報道レベルの話でございます。例えば、病気、カビ、ダニ、農薬、ストレス、携帯電話の電磁波の影響、いろんな原因が言われているんですが、よう分からぬというような状況だそうです。
 もう海外だけではなくて、一部の報道によれば、日本でも宮崎の椎葉村というところで女王バチができるどころか、親バチ、働きバチも次第に減り始めていると。熊本、福岡、佐賀、長崎などでも若干報告があると。私の知り合いの岡山県の方も最近ミツバチが減っているという話を聞いたというふうに承りました。
 あえて私は不安や風評被害を起こす気も全然ないですが、現実にこれだけの報道が出ていて、大変な失踪が起こっていると。ミツバチのみならず、他の農作物にも影響を与えそうだという報道をされている中で、国内外における現状把握、農水省はどの程度把握をしているのかについて。また、農水省に聞く前に、大臣はこのことを御存じだったかどうか。別に御存じないと言われても、私は別に責める気は今日は全然全くありませんので、まず大臣、ちょっと御答弁をいただければと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 実は、新聞報道で知るまではこういう現象は知りませんでした。九州で起こった話は、これまた承知はいたしておりますが、そういう現象というのはこんなに大量に、かつ広範に発生している現象につながるものだとは思ってもみなかったわけでございます。果たして、九州で発生したものがこういう欧米においてかねて歴史的に、十九世紀からと聞いていますけれども、発生したこのような現象と同じようなことになるのかならないのか、その辺も明らかでございませんが、委員がおっしゃられますように、これは単に花からミツを取る、そしてそれを非常に有効なミツの産物として我々がそれを享受しているということができないだけじゃなくて、委員がおっしゃるように受粉を通じて農業生産に大変大きな影響を及ぼすわけでございますから、今、原因不明と、こう言われておりますけれども、これらが欧米で起こっておりますこのような現象、これ自身も原因不明だそうですが、それらの知見を基にしながら、日本でミツバチが減少してきている、あるいは地域によっては大量に一時一斉にいなくなるといったような現象が起こっているとすれば、それらの調査を十分した上で原因を究明をしていかなければならないと、こう思うところでございます。
○福山哲郎君 じゃ、農水省、お答えください。
○政府参考人(本川一善君) お答え申し上げます。
 先ほど委員が御指摘のあったような、アメリカでそのような事態が起こっているという報道を私どもも承知をしておりまして、その報道があったときに、国内の養蜂生産者の団体、国内で四千八百程度の方々が養蜂業、南から北まで花を追い掛けてハチを放してハチミツを集めるという仕事をやっておられますが、その方々が大体半分程度加入しておられる団体がございまして、そこを通じて我が国に類似の現象が生じているか否かの情報収集を行いました。ただ、今のところは国内ではそういう方々からは類似の状況は報告されていないということであります。
 それから、九州でも報道があったことは承知しておりまして、このときにも生産者団体に聞き取ったわけでございますが、会員からの報告はないということと、それからニホンミツバチはミツ源となる花が少ない場合には間々巣を捨てることもあるということでございますので、必ずしも現在のところそのCCDとの関係は明らかになっておらないという状況でございます。
 ただ、いずれにしましても、先ほど大臣がおっしゃったように、もしいろんな原因で生じているとすれば重大なことでございますので、私どもとして、今後とも生産者団体と連携して、国内外での大量失踪の発生動向について重大な関心を持って注視してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○福山哲郎君 大臣、今もこれからも注意をしていきたいと農水省、いただきましたし、大臣も情報収集して知見を集めて今後の対策をというようなお話がありましたが、これ実際、今の話を聞いていると、生産者側から報告が上がってくるまでは余り積極的にやるという空気はないような感じを私は受け取ったんですが、農水省さん、いかがですか。
○政府参考人(本川一善君) いずれにしても、ハチを取り扱っておられる方というのは全国四千八百おられて、その半分の方が組織しておられる、それからハチの数にしてみれば六割強が入っておるというふうな団体でございますので、いずれにしてもそれをなりわいとしてやっておられる方々が大量失踪すれば一番身近で把握をできる立場にあるというふうに私ども思っておりまして、やはりその方々から実際に被害、そういう大量失踪の被害があるということが御報告をいただければ、それが一番のやはり警鐘ではないかなと考えておりますので、その辺、言いっ放しでほうっているわけではなくて、常にそういう報告があれば直ちに御報告くださいということで団体にも願いしておりますし、我々としても引き続きそういう注視をもっとしていきたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 農水省として、海外で起こっていることに対する知見を集めたりというような、アメリカの政府や州政府等との情報交換等については何かやられていることはあるんですか。
○政府参考人(本川一善君) 今のところまだ、公聴会が行われたとかそういう事情については把握しておりますけれども、そもそもまだ我が国内での発生がないということと、それから米国におきましても必ずしも原因究明なり原因の特定がなされる段階には至っていないということで、まだその程度の情報収集にとどまっているのが正直なところでございます。
○福山哲郎君 これ、大臣、農水省の管轄だと思いますので、環境省が何かできるという状況ではないと思いますが、昨日も環境省の役人の皆さんとお話をさせていただいて、どこかね、環境省で言えばという話があって非常に悩ましかったんですね。自然環境局か何か、どこかなというような話があったんですが。
 ただ、これ今の農水省の話も結構受け身の話でございまして、だからといって、あえて何ができるか僕もよく分からないですけれども、大臣、是非、環境省内でもウオッチングはしておけというような指示は出していただいて、農水省との連携も含めて、これ、実際日本でいろんなことが起こってから起こりましたといってそこから原因みたいな話でまた後手後手になる可能性もあって、だからといって対策が取れるかどうかも僕はよく分からないので、逆に今日は私は問題提起というか、こういうことが起こっているので農水省や環境省の省内の中にもしっかりとある程度のウオッチングをする意識を持っていただきたいということの今日は質問の趣旨でございますので、大臣、もし趣旨をお酌み取りをいただきまして、御答弁いただければと思うんですが。
○国務大臣(若林正俊君) 福山委員からの御指摘をしっかり受け止めて、環境省内においても、自然環境局でございますが、動物を所管をいたしておりますし、動物の生態などについて知見のある職員あるいは関係の研究所もございますから、そういうところともよく連絡を取り合うと同時に、これは産業動物として農林水産省が所管をいたしておりますから、農林水産省の方とお互いその情報交換をし、それぞれ協力し合ってこれらの実態把握に努めてまいりたいと、このように思います。
○福山哲郎君 どうも大臣、前向きな御答弁ありがとうございました。
 もう言わずもがなでございますが、これは先ほど言ったようにいろんな農作物との関係があると、状況によってはまた穀物と同じように値段が高騰するような話も可能性としてはなくはないということもありますので、農水省も是非そこはしっかりとウオッチングをしていただきたいというふうに思いますので、強く要望をさせていただいて、次に行きたいと思います。
 次は、ちょっと後ろ向きな話でございまして、ちょっと資料をお配りいただけますでしょうか。
   〔資料配付〕
○福山哲郎君 私、この環境委員会では余りこういう話題はやりたくなくて、ずっと余りしてこなかったんですが、ちょっといろんな形で出てきてしまいましたので、やむなく少し環境省にいろいろ問いたださなければいけない問題が出てまいりました。
 皆さんももう御案内のように、これが六月の五日の安倍総理が、電球から日本を明るくしようという、奥様と一緒に出た広告でございまして、皆さんももうごらんいただいたとおりだと思います。選挙のちょうど一月前、選挙、今延長含みで延びるかもしれないと言われていますが、選挙のちょうど一月前でございまして、これが本当に政治利用で正しかったのかどうかという議論が実は衆議院側で起こりました。
 実はこの新聞広告だけではなくて、もう皆さん御案内だったと思いますが、六月の四日から十日まで新宿の駅で、新宿駅の柱に大きく安倍総理の、いろんなたくさん人通りのしているところに安倍総理の等身大みたいな写真がべたべたとポスターが張られていると。大手町の駅でも六月の四日から十七日まで、JRの大阪駅でも六月の四日から十日まで、阪急の梅田駅でも六月の一日から七日まで、丸の内ビルディングでも六月の一日から八日までこういう形でポスターが張られたと。さらには、六月の五日にこの新聞広告が出て、選挙を分かっている、日程が分かっているにもかかわらず、このことが妥当かどうかという議論が衆議院で起こりました。
 そのときに、やはり政治的中立性も重要だから、もうこれ以上の予定はないのかと言ったら六月の十二日にまだ予定があって、衆議院でいろいろ紛糾をしていたにもかかわらず、実は日経に両面刷りで安倍総理が登場するという広告が、全部ではないんですが、企業の経営者の方との広告が出されました。
 衆議院側で、国会でかなりいろんな議論が起こっている最中に、六月の十二日に出て、これはもう確実に選挙よりも一月以内ということでございまして、私としても遺憾に思っているところでございまして、これまでも環境の日だから小泉総理が出たり小池環境大臣が出たりということはよくよくありましたが、選挙の前だということと、ほかのモデルを使われて、タレントさんとかを使われた例もこれまで多々あるにもかかわらず、この参議院選挙の日程がほぼ確定をしている中でこういった形でやられたことについて非常に私は残念に思いますし、遺憾に思っているところでございまして、大臣にまずそのことについて何らかの御答弁をいただければと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 経過は委員が今御説明、御指摘にあったとおりでございますが、我々は、御承知のようにこの地球環境、とりわけ地球温暖化問題は世界的な大きな課題になっております。それを深刻に受け止めて、我が国も京都議定書を確実に達成するための京都議定書目標達成計画というものを定めたわけでありまして、その目標を達成するために、国民運動を強力に展開するということを閣議で決めました京都議定書目標達成計画の中で決めているわけでございます。
 そういう国民運動の展開の母体として地球温暖化対策推進本部というのを内閣に作っておりまして、その本部長を、安倍総理自身が本部長になって陣頭指揮を取っているわけでございます。様々な広報活動もその下で行われているわけでありまして、チーム・マイナス六%の活動というのもその中心の活動になっております。このチーム・マイナス六%のチームリーダーは安倍総理がチームリーダーでございまして、私がチームサブリーダーという立場でございます。
 政府の断固とした決意というものを表していくということが国民のこのことについての取組、理解に有効であるというふうに考えておりまして、その意味で、省エネルギー製品の選択の問題と併せて温度を二十八度で設定をしていく、そのことによってクーラー、冷房のエネルギーを減少をさせる大きな効果があるわけでございます。そのためには、やはりそこで働いている人たちの服装が、例えばネクタイを締めると体感温度が、締めるのと外すのでは体感温度が二度違うと言われておりますけれども、そういうことを広く働き掛けていくと。
 それで、クールビズというのはその一つの大きな手段でございます。そのことを国民に直接訴えるために総理、そのリーダーである総理とサブリーダーである私が政府の姿勢の強さというものをしっかりと見せていく、民間での取組を促すというような効果があるという判断をいたしまして行ったものでございます。
 これは今年だけではなくて、実は昨年も行っております。このクールビズの運動というのも三年目を迎えていてかなり普及をしてきておりますけれども、これをしっかりと定着をして、ライフスタイルを変えていくというところまで持っていかないといけないという認識でございます。
 その意味で、私の判断として、これは全く選挙と関係がなく、政治的な中立性を損なうようなことはないということを御説明も申し上げ、衆議院においてもそのように私の考え方を申し上げてきたところでございまして、この六月十二日の日経新聞におきます広告につきましても、その時点で既にそういう計画を持っているということを申し上げていたつもりでございます。
○福山哲郎君 政治的中立性が保たれたかどうかという議論はもう水掛け論になりますが、ただ、もう何回も話が出ていますけど、小池環境大臣が、前の郵政選挙の直前にこの状況が起こったときに、衆議院は解散があるから時期は特定できないんだと、環境の日は六月にあるんだから、それは衆議院は解散だから、それは想定できない、だけど選挙中は配慮しなければいけないという発言をいただきました。
 確かに六月の五日とか十二日は選挙中ではありません。しかし、ここの委員会にも改選の議員がたくさんいらっしゃいます。そうはいっても安倍総理は自民党の総裁でいらっしゃいまして、だれが見たって自民党の選挙戦うリーダーであることも間違いない。確かにチーム・マイナス六%のリーダーであることも間違いないんですが、それだったら、百歩譲って、例えば本当に国民的な運動にしたいんだったら野党の党首も全部寄って新聞広告載せたらいいじゃないですか、みんなでクールビズで載せたらいいじゃないですか。国民全部でやるんだったら与野党関係ないじゃないですか。
 そこが私は、ある種の矜持というか、残念ながら今の安倍政権にはそこら辺の何というか配慮というか、政治家としての、何とも言えない、まあいいか、やっちゃえというような空気を感じるわけです。やっぱり、いつも総理が出ているんだったらまだしも、ほかのモデルを使うこともあればイメージ広告使うこともあって、選挙の前にそんなことをすること自身が本当にいいのかどうかと。ましてや一億六千万も新聞広告ではお金が掛かったわけです。
 実際に、じゃ、この一億六千万以外にどんな経費がこのチーム・マイナス六%に掛かるんだと。逆に言うと、大きく問題はこのことによって広がりつつあって、お手元に委員の先生方にお配りをいたしました、簡単に私が作成いたしました一覧が、平成十七年度、十八年度、十九年度のこの国民運動の費用、業務委託費用でございます。ほとんどが二十七億円、二十八億円ということで、委託で丸投げという状況になっているところでございます。
 ただし、大臣、私はチーム・マイナス六%やクールビズが浸透したことに対して駄目だと言っているわけではありません。先ほど大臣がおっしゃられた国全体でライフスタイルを変えること、クールビズも、この三年間で圧倒的に小池大臣のある種のリーダーシップと小泉総理のリーダーシップでクールビズも浸透しました。そのことに関して私はよかったと思っています。だからこそ、実は何でこういうことを選挙前にするんだと。逆に言うと、国民にとって、何だ、安倍さんはこれでまた宣伝しているのか、税金を使ってと。逆に言うと、この運動自身が、そういう政治的に、自民党に有利に働くとか働かないだけではなくて、国民から見てもそういうふうに取られることに対して私は非常に残念に思っているというのが私の今の本音でございます。
 さらに申し上げれば、じゃ、この二十七億の使い方が具体的に正当だったのかどうかと。これは特別会計からお金が出ているわけですから、いわゆる特別会計の別の財布だから、何でもいいや、使っちまえというような意味合いがなかったかどうかも含めてやっぱり議論をしていかなければいけないんじゃないかなと思います。
 まずは、余り細かいこと、私、こういうのもうすごく嫌なんですけど、大変な人件費が掛かっているわけです。二十七億のうちの、これ上見ていただければ人件費で、単価が一日当たり七万五千円の人が三年間、百七十二人日、二百人日、二百九十二人日という状況で、こうやって使われているわけです。単価が六万四千円の人、これ一日の単価です、大臣。こういう形で人件費が計上されるわけです。
 まず簡単な話からお伺いしますが、平成十七年度、十八年度に比べると、今年は例えば日当七万六千三百円と七万五千円の方が二百人日から二百九十二人日に増えています。平成十七年度から見れば百七十二人日から二百九十二人日に約百二十人日増えているわけですが、これ何で一気に十九年度これだけ、ほかの方もそうなんですけれども、人件費が膨張、膨れ上がったのかお答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 人件費の御質問でございます。
 まず私ども、済みません、最初にちょっとこういう契約を結んだことだけ話させていただきますと、私ども自身は、これは企画書で競争いたしておりまして、外部の方にたくさん入っていただいてまず業者を選定しております。その上で中身をまたさらに打ち合わせておるわけでございますが、もちろんそのときに人件費の件も全部点検をしております。
 今年度につきましては、十八年度まで取り組んできたクールビズ等の重点事項にエコドライブなど様々な実践を加えました。もう一つは、そういう項目を加えたこと、またこの運動の賛同者につきましてもこれからまだ百万人以上追加したいと、そういったことでの運動を増やすということもございます。そして、こういった運動をするに当たりまして各関係の企業に対して個別の働き掛け、さらにテレビ、新聞、ラジオといったメディア、あるいはイベントなどを通じて働き掛けるということから、昨年度に比べまして一・三倍の人件費を計上しておるところでございます。
○福山哲郎君 これ例えば平成十八年の精算済で結構なんですけれども、七万六千三百円の方が何人従事されたんですか。二百人日ということですから、何人従事されたかよく分からないんですが、何人この方たちはこの運動にはかかわられたのかお答えいただけますか。
○政府参考人(南川秀樹君) まずプロジェクトリーダーの方でございますが、人数としては六名でございます。六名の方でございまして、この方たちは経験年数が三十年前後ということで一部役員のクラスの方を含んでおるということで、具体的には全体の企画また個別企業の幹部との調整、そういったことが主でございます。
○福山哲郎君 この六人の方は別に常勤されているわけではないですよね、このプロジェクトに。そこはお答え確認いただけますか。
○政府参考人(南川秀樹君) 六人の方は私の把握しておるところでは博報堂の職員の方でございます。ただし、この仕事だけやっておるわけではございませんので、全体として六人の方で百十四日ということで、そのある仕事の相当部分をこれに費やしておるということでございます。
○福山哲郎君 ということは、日当ですが、常勤しているわけではない、それで一日当たり七万六千円が支払われると、これはまあ妥当だと判断したということですね。
○政府参考人(南川秀樹君) 私どもしてはこの人件費については妥当だと考えております。人件費の議論、いろいろございます。ございますが、大手の広告代理店の場合につきましては、その総括するリーダーの方としては妥当な金額だというふうに考えております。
○福山哲郎君 じゃ、例えば、七万六千円が高いか安いかという議論はあるんですが、六万四千円の方は九百九人日、平成十八年ですか、この方は何人従事されているんですか。
○政府参考人(南川秀樹君) 人数にしまして十四名と承知をしております。
○福山哲郎君 そうすると、この人たちは九百九人日ということは、平均すると約五十日とか五十五日ぐらい働いていることになるんですが、それも多分常勤しているわけではないので、これ朝の九時半から五時までみたいな計算働かないわけで、これは時給とかいう計算もできないぐらい丸々ぽんと渡しているという話になるわけです。
 今、日当八万円なんという人はそうめったにいないわけですし、六万円という人もそうめったにいないわけで、こういう人件費を払った上で、下の方を見ていただきますと、事務局運営業務というのが平成十八年の真ん中のところで約三千五百万円、月間でいうと約三百万円近くのお金が払われています。この三百万円近くのお金は何に使われているかお答えください。
○政府参考人(南川秀樹君) この外注費でございます事務局運営業務費でございますが、御指摘のように約、月にしまして三百万円ほど支出をしております。これにつきましては主にその業務を、オペレーター等でございまして、実際にそのチーム六%の方からの連絡を受けてその様々なアドバイスをしたりとか、あるいは企業の登録事務をすると、そういったことでございまして、例えば電算機のオペレーター、それから電話、メールでの受付のオペレーター、それからさらに、それを総轄する方ということでございます。人数的にも六、七名の方がこれに当たっているということでございます。
○福山哲郎君 大臣、これね、上の人件費すごい金額ですよね。この人件費の方は常勤してないんですよ。常駐してなくて、さらになおかつ事務局の運営費として今御説明いただいた年間、平成十八年度、真ん中のやつでいうと、三千五百万円ぐらい、七人から六名の別の人の人件費がまた掛かっているわけです。平成十七年度でいえば、八千三百万円のまた別の人の人件費が掛かっているわけですね。上の人は一体何をやっているのか僕はよう分からぬのですが、それにプラス事務局の人件費がまた掛かっていると。
 じゃ、報道対応業務、これも実は平成十八年度は二千四百万、平成十七年度は三千五百万、これも月間でいうと約二百万から三百万のお金が掛かっているんですが、この報道対応業務は何人でどういう業務をしているんですか。
○国務大臣(若林正俊君) 私はそういう何人でどういうことをやっているかというのを、私、答弁できないですね。
○福山哲郎君 いや、大臣じゃない。大臣じゃないです。
○政府参考人(南川秀樹君) まず内容でございますけれども、報道対応業務の中ではマスメディアを相手にした業務でございます。その企画作成、それからリスト作成、メンテナンス、これは具体的に呼び掛けますメディアのリストを作成し、これはスポーツ新聞とか雑誌とか業界紙ございますけれども、こういったものを作成してそことの連絡を常に取るということ、またその広報事務局でマスコミからの問い合わせへの対応、それからニュースレターの作成、あとはテレビ、新聞、雑誌等のモニター、そのほかいろいろバイク便の手配費などもございます。この人数でございますけれども、まずその企画作成業務につきましては二名の人が従事をしております。それからリストの作成、メンテナンス業務についても二名、それから広報事務局については二名ということでございます。
○福山哲郎君 これもリストを作成したりマスコミの対応をしたり記者会見の案内をしたりという話なんですけれども、それで二名、二名、二名、六名ですが、これまた人件費掛かっているわけです。
 じゃ、上の人は一体何をやっているんですかと。上の日当七万円とか日当六万円の人は何の仕事をしているんだと。それはみんなで指導しているのかもしれない、みんなで企画を練っているのかもしれない。でも、これまた報道対応業務も事務局運営業務も別の人件費が掛かっているわけですよ。これちょっとよく分からぬのですわ。やっぱりここは本当にこれが対応としていいのかどうか。例えばリスト作成とかマスコミの問い合わせとかモニターとかなんていうのは、ある一定のパターンができりゃルーチンの業務になるわけですよね。これが本当に該当するのかどうか。
 さらに言うと、その下、やはり書いてありますが、事業評価調査、これ事業評価調査といって月また四百万掛かっているんですね。年間五千万ぐらいずつ掛かっているんです。この事業評価調査を環境省のホームページで見ると、ほんのわずか、ここに何月分の調査結果の公表というのが何ページかにこう書かれているわけですけれども、これもコンピューターのモニターでやっている調査ですから、ある種のプログラムさえできればあとはモニターにチェックをして答えてもらえば自動的に集計できるわけですね。これも月五百万ぐらい、四百万から五百万掛かって、年間約五千万ぐらい掛かっているんです。これ、ホームページでいうと本当これだけです、大臣。副大臣も政務官も見ていただきたい。
 じゃ、逆に言うと、この事業調査はその事務局の運営業務や報道対応業務ではできないのかとか、そう考えるともう何か、一個一個見ていくとこれ切りないんですけどね。これ、一応、事業評価調査、お答えになられます。
○政府参考人(南川秀樹君) これにつきましては、御指摘のとおり、約、月額にしまして三百五十万程度の調査費を計上しております。中身としては、調査票の企画作成とか調査実施、それから回答の結果の集計とか解析、それから分析をして、それを報告すると。また、もちろん非常に安い謝礼もございますし、またその集積、分析に使う機器の使用費もございます。
 私ども、当然ながら、言い訳っぽく聞こえるかもしれませんけれども、各費用につきましては、それを精査いたしまして、必要なものについて当然ながら精算してお支払いするという姿勢については徹底してやらせていただいているつもりでございます。
○福山哲郎君 こういうことの結果が総理の六月のこの新聞広告になって、そしてこれは政治的に中立性を侵すのではないかということを僕らは非常に残念に思いながらこうやって指摘をしているわけです。私ももう時間がないのであれですけれども、非常に残念に思いますし、私、この委員会で温暖化のこととかサミットのことやりたかったので、こういう後ろ向きなことをやるのは非常に残念なんですけど、大臣、この数字を見て率直にどう思われるか、お答えいただけますか。
○国務大臣(若林正俊君) 広報活動というのは本当に、物をつくるとか、あるいはある物理的に物を動かすといったようなものと違ってつかみにくい分野ですよね。その費用対効果といってもなかなか分かりにくい分野だと思います。それだけにやっぱり専門性が高いわけで、その世界でテレビから新聞から雑誌から、それらの媒体を使ってもう大変な広報活動をやっている専門集団というのがあるわけですね。
 そういう専門集団の皆さん方が、激しい競争があると聞いておりますが、そういう競争の中で批判を受けながらもしのぎを削って営業をやっているわけですから、私はそれは、うちの担当者は透明性あるいは客観性、そういうものを持たせるべく、もうこの事業を始めて以来、大変に優秀な職員がチェックをしながら、ほかの業界の人たちの水準だとかそういうことも聞きながら精査をしているというふうに私は報告を受けていますし、非常に分かりにくいことであるだけに、そういう業界内部から起こってくる批判や何かにも耐えられるだけのことはきちっとするようにと言ってまいったところでございまして、こういう場面で、こういうやり取りで、言葉だけで説明がなかなかしにくい分野であることを御理解いただきながら、私どもはその担当職員が非常に苦労しながらチェックをし、その客観性を確保するように努力をしていると、そこは私は申し上げられると思うんです。
 私たちは、そういう部下のやっていることを信頼をして、この事業がしっかりと批判を受けることがないように執行されることを今後とも注意をして指導していきたいと、こう思っておりますが、このこと自身については、こういう世界があって、こういう世界の他の企業者の方においてもこの水準で行っているものと聞いているわけでございます。
○福山哲郎君 大臣はかばわれるのは、それはそれ、大臣のお立場だと思いますが、しかし、それなら税金を使ってこういう状況の中で、さっき言った政治的な中立性ぐらいのことは最低限やっぱり守っていただかなければいけないというふうに思いますし、これが妥当かどうかの判断は、それは国民がしていただけるものだというふうに思いますが、やはりこういったことの無駄遣いの精査はしっかりとチェックをしてもらわなきゃいけないし、二十八億円予算が取れたから丸投げで使いましょうと。私から見ると、これ全部数字は二十八億を基に後から積算して出てきた数字だというふうに、そういううがった見方もできなくはないので、そのことも含めて非常に残念な六月のこの広告の一件だった。こういうことに対しては、これからはできれば配慮をしてしっかりと対応していただくことを強く求めて、私の質問を終わりたいと思います。


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第166国会  参議院  厚生労働委員会 2007年6月7日

社会保険庁改革関連法案、「消えた年金」問題


○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。初めて厚労委員会で質疑に立ちます。よろしくお願いいたします。
 二問だけ、今日午前中に峰崎委員から御指摘のありましたコムスンの問題について質問させていただきます。
 厚労省がコムスンの事業所の新規指定や更新を認めない方針を決めて、それを都道府県に通知をしたと。そして、今問題になっているのは、そのコムスンが事業を日本シルバーサービスに譲渡することを言ったと。これ、日本シルバーサービスから各都道府県に事業の指定申請が行われたときに都道府県が当惑をし、判断ができなくて厚労省にどうしたらいいのかと問い合わせが来たときには、厚労省、どう判断するんですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) コムスンの、今のちょっと委員のこのお話が私十分のみ込めませんでしたけど、コムスンの事務所から相談が来たときということでございますか。
○福山哲郎君 違います。その譲渡した先の日本シルバーサービスから申請が来たときに、各都道府県は対応に多分苦慮すると思うんですね。そのときにはどう判断、厚労省に問い合わせが来たときにどう判断するんですかとお伺いしたんです。
○国務大臣(柳澤伯夫君) ちょっと委員の御質問が私どものスピードに比べましてかなりスピーディーでございまして、私ども今、シルバーサービスへの譲渡ということについては直接当事者から伺っていないわけでございまして、そういう意味で、この問題についてそれが、譲渡があったということを既定の事実としてこれに対してお答えするのは、ちょっとそのまだ段階に至っていませんので、御容赦を賜りたいと思います。
○福山哲郎君 ということは、あれですか、コムスンとか、この日本シルバーサービスからその譲渡についての報告か何かがあれば、そのときに対応、もう一回協議し直すということですか。それ、協議し直すということですか、厚労省は。
○国務大臣(柳澤伯夫君) いずれにしても、この事業譲渡をした先については新たな指定ということが必要でございますので、その指定を前提にして、それぞれ全国のまた事業所からのというようなお話には、ちょっとまだ私どもそこの段階にまで至っていないということでございます。
○福山哲郎君 そこまで想定していないということでございますね。ですから、その場合には、これ大変各都道府県で混乱が起こると思います。現実にはコムスンの問題は、その地域にいるお年寄りも含めた、その介護事業をどう継続していくかという地域の問題にもかかわってきます。ですから、これは相当慎重に対応していただかなければいけないと思いますし、これで、もう一問だけ。
 厚生労働省が教育訓練給付でニチイ学館というところに百六十二億円給付をしているんですが、このニチイ学館は非常にコムスンという会社と連携をしている会社でございますし、そういったことは理解をした上で、そしてこの今回の処分を決めたのかどうか、その事実関係だけ教えてください。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今回のコムスンに対する通知と申しますか措置でございますけれども、これはコムスン社の不正事実が確認されたという事実に基づきまして行われているものでございまして、その他の事情について何か勘案がされたかということは、そのような事実はございません。
○福山哲郎君 私は、コムスンのいろんな不正受給について大変怒りと憤りと、介護事業に対する信頼を失ったと思っておりますが、その対応を厚労省がどうするかによっては、これ地域で本当に混乱が起こりますので、今後早急にやっぱりこの対応、譲渡の判断も含めてお願いをしたいと思います。
 それでは、年金に移らせていただきます。
 私は、世間はひょっとすると、永田町で考えるよりもずっと大きく国民は揺れているような気がします。昨日、おとといと、ちょっと地元にも帰ってまいりましたが、実は会う方会う方、年金の話が飛び交います。それも、怒りも含めて、大変不安が増大をしています。
 この束を見ていただければと思いますが、民主党の消えた年金記録一一〇番というものに来ているメールや手紙、自らの年金手帳のコピーまで送って、どうにかしてくださいと。要は、先ほど峰崎委員が言われました申請主義も含めて、門前払いを食らった方の、国民の本当に怒りも悲しみも含めて、たくさんのお便りやメールが来ているわけです。
 私は、この厚労委員会というのは、まず一つ第一の目的は、国民の不安を取り除くことがこの委員会の目的だと思います。政府や安倍総理がいろんな形で救済をすると。私は救済という言葉自身がもうけしからぬと思っておりますが、何で社会保険庁のでたらめな仕事ぶりで不利益を被った国民が救済されるようなことを言われなきゃいけないんだと、もうその了見からして私はおかしいと思っているんですけれども。要は、政府や安倍総理が言われる救済策、助かるというような話がいかに実効性があるかどうか、そのことがこの委員会の大変な目的だと思っていますし、その実効性が上がらなければもらえるはずの年金をもらえない国民がたくさんこれからも存在し続けることになるわけでございます。
 ですから私は、まずそのためには、情報と実態解明が第一の私は条件だと思っています。今の厚労省や社会保険庁のスタンスは全く理解に苦しみますし、全く信頼に足るものではありません。今日の委員会の冒頭で柳澤大臣が言われたことに対しては僕は後で質疑の中でいろいろ明らかにしていこうと思いますが、もっと情報は出せるものは速やかに出していただきたい、それが国民に本当に年金は大丈夫なのかどうかを示す最大の私は方法だというふうに思っておりますので、まずは冒頭そのことを申し上げたいと思います。
 二つ目は、じゃ、こんなでたらめな仕事をした社会保険庁どうしてくれるんだと、これがやっぱり国民の思いなんです。何でのほほんとしているんだと。現実の自民党の社会保険庁の解体か分割かよく分からない法案では、実はこの年金機構の後に幾らでも民間に天下り自由にできるような法律、状況になりつつあるわけです、公務員制度改革とセットで考えると。そのことも含めて、私はこの委員会でちょっといろんなことを議論していきたいと思います。
 まず冒頭申し上げます。
 お手元にお配りをしている資料、何枚かございますが、一枚目の資料をごらんください。もう皆さん周知の事実かもしれませんが、あえて用意をいたしました。昭和六十年のいわゆる元帳を廃棄しろといって命令を出した正木長官以降の十二人についての前職、社会保険庁長官の前職とその後の再就職先の一覧表になっています。これを見ていただければお分かりのように、いかに厚労省の中で社会保険庁長官というのが恵まれたポストなのか、事務次官になられた方もなられなかった方もいらっしゃいますけれども、要は官僚の出世競争の中でこれだけのわたりの天下り先まで用意をされているポストが社会保険庁長官だったということは明らかなわけでございます。
 その中で、例えばでございますが、正木元長官のこの一、二、三、四か所、四か所の退職金推定額、お答えいただけますか。
○政府参考人(宮島俊彦君) ちょっとお待ちください。済みません。
○委員長(鶴保庸介君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(宮島俊彦君) 再就職先の退職金額ですけれども、厚生省の方では情報を持っておりません。それで、また個人情報の公開ということですと、その情報を所有する団体が本人の同意を得る必要があるのではないかというふうに考えておりまして、我々としては持っていないということでございます。
○福山哲郎君 私は昨日の事前通告、おとといも含めて申し上げたはずです。現状、これらの特殊法人のいろんな給与規程を見れば退職金規程も書かれているわけですから推定できると。本人にもらった金額ではなくてもいいから、現状推定できる金額は、給料だって明らかですし退職金規程も明らかなので、当然推定できるはずだからその推定金額を出してくださいと私は申し上げたはずです。それが出せない場合には前職全員本人に当たれと、本人に当たって聞いてきなさい、これだけ国民に迷惑を掛けているんだからと私は申し上げたはずですが、そのことについてどちらで、じゃ、お答えいただけるんですか。今、いろんな規程が公になっているもので推定でお答えになるのか、本人一人一人当たって聞いてくるのか、どちらか、明確にお答えください。
○政府参考人(宮島俊彦君) 役員等の退職手当、推定というお話ですが、今の法人の持っている現行の規程と、その方が退職した退職時の規程で異なる場合があるということ、あるいは規程の中には業績を勘案して退職手当を出すという要素を、業績勘案がありますので、役所ではそのような要素について評価しようがありませんので、推定するというのは困難であります。
○福山哲郎君 ごめんなさい。ここにそれぞれの支給規程あるんですよ。例えば、理事長は月額給料が幾らで、退職手当は退職の日における給料月額掛ける〇・一二五掛ける在任期間の月数とちゃんと書いてあるわけですよ。これ、計算すれば推定で出るじゃないですか。なぜ出せないんですか。
 もう一度、明快にお答えください。僕は昨日はっきり申し上げたわけです。推定でもし出せないんだったら本人に聞いてきてください、これだけ国民に迷惑を掛けているんだからと私は申し上げましたが、はっきりしてください、どちらで出すのか。出せないんだったら、委員長、これ審議できませんから。
○政府参考人(宮島俊彦君) 今お答えしましたように、そういう報酬月額の百分の十二・五に相当する額に在職月額を乗じてというのもありますが、それにさらに業績に応じて決定する業績勘案率というようなものもありまして、これについては各個人の業績勘案ということですので、推定は困難ということで申し上げております。
○福山哲郎君 私は、そのことについても昨日申し上げました。そのことについては、じゃ、百歩譲って、一番低い額でいいと、一番低い額でいいから推定額を出してくれ、そうでないと国民が納得しないと申し上げましたが、それでも出せないとおっしゃいますか。
○委員長(鶴保庸介君) 宮島審議官、お答えください。
○政府参考人(宮島俊彦君) そういう業績勘案ということもあるということと同時に、退職した、役所を離れた人間の個人の情報というか、そういうものにかかわることですので、それを出すのは予断を与えるという意味で適切であるのかどうかということで考えております。
○委員長(鶴保庸介君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(宮島俊彦君) お答えいたします。
 業績勘案をどういうふうに勘案するかということもありますが、そこについても一定の推定を置いた上で、その規程に基づきまして、それぞれの団体の規程に基づいて推計したものを次回までに準備させていただきたいと思います。(発言する者あり)
○委員長(鶴保庸介君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(宮島俊彦君) ただいまは数字持っておりませんが、本日の委員会の審議中に、今から計算いたしまして、一定の仮定の下にお示しすることとさせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 出せるなら早く出してください。冒頭申し上げたとおりでございます。
 じゃ、この歴代社会保険庁長官が、こう再就職先がずっとあるんですが、この再就職先の中の退職金で保険料を原資とするような状況があった団体があればお答えください。
○政府参考人(青柳親房君) ただいまのお尋ねが保険料原資というふうにお尋ねをいただきましたが、お金は、私どもこれらの関係団体に、例えば委託費その他の事業でお出しをしております。したがいまして、直接にその退職金を補てんしているということにはならないかもしれませんが、委託費という形でこれらの団体にお金が回っているものでよろしければお答えができますが、よろしゅうございますでしょうか。
○福山哲郎君 結構です。
○政府参考人(青柳親房君) それでは、お答えをさせていただきます。
 ただいまお示しをいただきました歴代長官の再就職先とされている団体の中で、社会保険庁が所管している法人でございます全国社会保険協会連合会、それから財団法人の厚生年金事業振興団、それから財団法人の社会保険健康事業財団につきましては、平成十六年度までは厚生年金の保険料、国民年金の保険料を財源といたしました委託費等が支出されておりますが、十七年度以降は支出はございません。
 なお、社会保険庁が所管する法人以外の団体につきましては、私もちょっとつまびらかに承知をしておりませんので、お許しをいただきたいと存じます。
○福山哲郎君 お金には名前が付いておりませんが、いわゆる保険料からこちらに委託料が出て、そこは退職金として払われているということだと思いますが、実はこれ、先ほども申し上げましたように自民党の提出している、総理がどうしても法案を通したいと言われている公務員制度改革の天下りの人材バンクとも絡んでまいります。今の人材バンクの法案でいうと、この法案にかかっている年金機構から民間へは天下り自由自在になってきます。
 現実問題として、この社会保険庁が年金機構に今回移行するという状況の中で、今現状、社会保険庁がどのぐらい、この社会保険庁長官だけではなくて、ほかの職員も含め、天下り先に移動しているのかというのは、大変重要な今回の公務員制度改革も含めてポイントでございまして、その社会保険庁からの天下りの一覧を是非、この一両日中に出していただきたいと求めますが、委員長、どうかお諮りをいただきたいと思います。
○委員長(鶴保庸介君) 後刻、理事会にて協議をいたしたいと思います。
○福山哲郎君 どうかよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、二点目行きます。
 もう先ほどから我が党の委員の先生方とも議論が柳澤大臣の間でたくさんあるんですが、やはり名寄せ、五千万件の名寄せなのか、統合して結合するまでなのかというのは非常に重要なポイントでございまして、大臣、これは統合、結合までを含めて五千万件は一年以内なのかどうか、明確にお答えください。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、私どもが申し上げておりますのは、このコンピューター上の名寄せと、要するに発送前までが五月末と、こういうことでございます。それを年金の履歴と一緒に、同一人の可能性がある方が見付かっていますよと、これはいろいろまた工夫をするわけですが、そういうことを知らせながら確認を求めると、こういうことが必要でございまして、それは言わば相手の、国民の皆さん方の対応ということもどうなるかということに係ってくるわけでございまして、それは、国民の皆さんの対応が早ければその確認は時間的にははかどりますし、それからまた、それだけではありませんけれども、少しお遅れになるというようなことだとそれに随伴して時間が掛かると、こういうようなことになるわけでございます。
○福山哲郎君 そうすると、自民党のチラシ若しくは対策にあります、年金の未払いが判明した場合は時効によって過去五年分しか受けなかったのを全額支給するようにしますということと、それから、第三者委員会で判断してもらって年金受給権を認めますという話は、全部名寄せが終わってからですから一年以内には行われないわけですよね、大臣。
○国務大臣(柳澤伯夫君) もちろん、こういうことの、何というか、集団的な手続でございますと、先ほども申したように、私どもが主としてコンピューター上の作業プラスアルファというようなことで、来年五月末までに名寄せを終了するということになりますが、その後は資料を発送すると。そうすると、国民の皆さんの対応ということにも係ってまいりますので、そういうようなことで、一年以内に終わりますのは名寄せという段階ということになるわけでございますが、そういうことで、我が方だけでできることについて申しているということでございます。
○福山哲郎君 つまり、今はっきり申し上げられたと思うんですけど、名寄せをやるということは結合、統合ではないということははっきり柳澤大臣お認めいただけますね。結合、統合ができないことには、実は現実の国民は救われないわけです、名寄せの段階ではまだ。そして、そこで不服があっても、そこから先、証拠があるのかどうかという議論が出てきて、領収書を持ってこい、領収書がなければその後第三者委員会という状況になりますから、一年以内には全くできないと。結合、統合ではないということはもうお認めいただいたと思っていいですね。
○国務大臣(柳澤伯夫君) ちょっといろいろ議論が混乱したかと思いますが、この統合というのは、これはある意味で番号ベースで申しているわけでございます。基礎年金番号に同一化されるということを統合ということになるわけでございますが、それによって確認をすればそれで訂正が行われるということでありまして、この段階では領収書云々ということは関係ありません。これはもう名簿上のことを主に考えて、私どもとしてはそれを御確認すれば、これ統合するということになるわけでございまして、領収書が要るというこの話というのと、この五千万件のコンピューター上の統合というのはちょっと切り離してお考えいただければ幸いでございます。
○福山哲郎君 安倍総理の一年以内にすべての記録と突合することをお話しさせていただきたいというのは、柳澤大臣で言う突合と統合はどう違いますか。
 つまり、安倍総理の言う突合というのは、恐らく領収書を含めて全部の、国民がすべて、浮いたものが統合していく結果を一年以内だというふうに私は安倍総理は答えられていると思うんですが、今の柳澤大臣の話では違いますよね。そこはずれがあるということはお認めいただけますか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 突合ということは、文字どおり突き合わせるということでございますので、それを名寄せという言葉で言ってもそんな間違いではないんじゃないかと私は考えております。
○福山哲郎君 今のポイントはすごく重要なんです。ずっと名寄せ、名寄せ、名寄せで、名寄せというある種の抽象的な議論で逃げられてきたんですが、今突合と名寄せが一緒だとおっしゃった。ということは、現実の基礎年金番号に統一して、統合が、一人の例えば基礎年金を付番していただいて、その付番したものが全部統合されてしっかりとした年金を受給できるまでには一年以内には至らないということを柳澤大臣はお認めになったということでいいんですね。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、先ほども申し上げましたように、御通知をさせていただいて、それに対して国民の皆さんがどういう御返答を、御回答をいただけるかということにも期間の問題が掛かりますので、そういうことを勘案しますと、私どもだけでできることについては期限を設定できますが、国民の皆さんの取組が絡んでまいりますと、やはり我々だけで期限を設定するということはやはりできかねるというところでございます。
○福山哲郎君 もう明快でした。要は一年以内に名寄せはすると、名寄せをしてから通知をするから、そこから統合作業が入るということは、一年以内に今の不安に思っている国民は救われないということは明らかになりました。
 そこだけははっきりしたのは、実は非常に僕は重要な御答弁だったというふうに思いますので、そこは柳澤大臣、お認めになられますよね。
○政府参考人(青柳親房君) 申し訳ございません、一言補足をさせていただきます。
 不安をお持ちの方は、事務所の方にお申出をいただけますれば、一日でも早くその統合のための作業をさせていただきますので、もし御不安のある方には是非ともそのようにお勧めをさせていただきたいと存じます。
○福山哲郎君 今のは非常に重要なポイントだったというふうに思っております。つまり、一年以内には統合はできないというふうにお認めいただいたということだと思っています。
 ただ、いろいろその名寄せの問題でも、大臣、昨日長妻委員とも質疑やられたと思いますが、元々二億件を、基礎年金番号を付番してない二億件をぐるっとコンピューターで回して、氏名と年齢と生年月日でやって、二億がどんどん減って今五千万になっているわけでしょう。その作業と実は今同じ作業をされようとしているわけですよね、現実には。ですよね。
 村瀬長官が多分今手を挙げられたということは、いや違うと、今までコンピューターでぐるっと名寄せの作業をしてなかった基礎年金番号を付与されている一億も一緒にやりますよということを多分言っているので違うと思うんですけど……(発言する者あり)じゃ、長官、どうぞ。
○政府参考人(村瀬清司君) 辻委員のときにも御説明申し上げましたけれども、基礎年金番号の名寄せのときには、先ほど言いました被保険者については平成九年度の段階でやっておりますけれども、今回、受給者の皆さん方にも基礎年金番号と名寄せをするということ、これが一つ大きな違いでございます。
 それからもう一点大きな違いは、年金を裁定していただいた方々に対して裁定時の記録をきちっとお送り申し上げると、これが一番違うところだと思います。
 そうしますと、受給者の皆さん方にとってみれば自分がどういう記録で裁定されたかというのが分かりますので、その中にもし仮に少しでも穴が空いているのであれば、それが何だったのかということが確認できると。また、すべてがきれいに期間がそろっているということであればもう心配はないと。こういう形で対応のあれが違ってくるんだろうと思います。
 それから、先ほど青柳が言いましたように、八月から特別強化月間を開いておりまして、その中で十二月まで、八月から十二月まで二百十五万の方がお見えになりまして、その中で百八十三万の方が実はそれこそ突合が終わってございまして、基礎年金番号にその方々については既存の番号が変わっていっているということでございますので、そういう点でも、両方からやはりきちっと国民の皆様にお知らせをして、しっかり基礎年金番号に記録を一体化していくと、これが非常に大事なことなんだろうというふうに思っております。
○福山哲郎君 元々氏名と生年月日と性別で突き合わせできなかったものがあったわけですが、これ、元々はそのプログラムがあったんですが、今回、今新たに受給者もやると言われましたけれども、それで、あれなんですか、プログラムの開発に一年も掛かるんですか。だって、元々あったんでしょう。元々二億はやったわけですよね、それは。
○政府参考人(村瀬清司君) 今回、プログラム上で一番期間が掛かるのは何かといいますと、裁定記録をどういう期間でもってやったかということをきちっと調べ上げてつくり上げる、これが一つ大きな違いでございます。
 それからもう一点、実は基礎年金番号の記録と受給者の場合の記録というのは、先ほど会社の名前出ておりましたけれども、記録はNTTデータが開発したものでございます。一方、給付の方は日立さんが開発しておられたと。これを一緒にしなきゃいかぬという、これの名寄せをするわけでございまして、ここの名寄せの部分が新たなプログラムを開発してやらなきゃいかぬと、ここに若干時間が掛かると、こういう形でお考えいただければよろしいんじゃなかろうかと思います。
○福山哲郎君 そのプログラムの開発をする、できる期間はどのぐらいなんですか。だって、一年以内に名寄せ完了するんでしょう。プログラムを開発をして、その後コンピューターを回す期間があって名寄せができるわけですから、そのプログラムを開発するのがどのぐらいの期間を今想定されているんですか。
○政府参考人(青柳親房君) 現在までのところは、プログラムを開発をいたしまして、そして名寄せまで終えるということで来年の五月までの期間を想定しておりますので、これをそれ以上言わば詳細にまだ展開していないというのが現時点でございます。お許しいただきたいと存じます。
○福山哲郎君 だって、それじゃあれじゃないですか、全然、全く説得力ないじゃないですか。だって、そのプログラムを作って名寄せするんでしょう。そのプログラムができるのはいつですかと聞いているんですよ。
○政府参考人(青柳親房君) プログラムを作りまして、そしてこれを名寄せするまでの一連の作業として私ども現在までこのスケジュールを組み立てさせていただいております。したがいまして、現時点で申し上げることができますのは、来年の五月までにこの一連の作業を終えるということで現在検討、詳細を詰めておるという点を御理解いただきたいと存じます。
○福山哲郎君 全く実は理解できないんですが、でもその一年間の間にプログラムで名寄せをする作業がまあまあ、百歩譲ってそれを作業していただくとして、じゃ、長妻委員を始め我が党が言っている、今どこに埋もれているか分からない紙台帳やマイクロフィルムや、そういったものも一緒にそこにはめ込んで突合する作業をすれば、その名寄せはより統合する可能性が早くなるんじゃないんですか。我々はその話をしているわけです。
 今、だってマイクロを探しに行ったり、どこに段ボールで隠れているか分からない、社会保険事務所や市町村に隠れている紙台帳を一々一々探して、ある、ないと言って作業して時間が掛かっているわけでしょう。それを全部合わせてコンピューター上に載せて、そして今言われた作業をすれば、統合したものがすぐに分かるじゃないですか。今の話だと、もう一回通知をして、それでも駄目でしたといって返ってきたら、またどこに入っているか分からない紙台帳やマイクロをもう一回作業しなきゃいけないんですよ。どう考えたって不合理じゃないですか。どうですか。
○政府参考人(青柳親房君) 紙台帳あるいはマイクロフィルムという形で様々に各社会保険事務局、あるいは国民年金の場合には市町村に被保険者名簿という形で散在をしております。
 したがいまして、これらが全体どうなっているかということを現在調査を一生懸命進めておりまして、その全容を今把握しようとしておるわけでございますが、その全容が分からない段階で、ただいまお話しのような手順で進めるよりは、私どもといたしましては、一応機械の上にデータの載っておりますもの同士を名寄せをいたしまして、一日も早く受給者の方々あるいは被保険者の方々にお届けをするという方法を、方途を選択させていただいているという次第でございます。
○福山哲郎君 今の話は正にそうなんです。散在をしているとおっしゃいました。社会保険事務所や各市町村に紙台帳やマイクロが散在をしていると。
 自民党の先生方もよくお分かりでしょうけれども、そうしたら、社会保険事務所や市町村に余っていたり今あるマイクロフィルムを一か所に集めてくれと、それを全部集めて、どこかに一か所に集めて、それを今抜けているコンピューター上に入れてから先ほど言われたプログラムをする方がよっぽど合理的だと自民党の先生は思われませんか。散在しているのを認めたんでしょう。調査しているんだったら、それ全部持ってこいって言えばいいじゃないですか。何でそれをそのままキープしたまま、散在をしたのをキープしたまま、維持したまま、またプログラムを作ってお金を掛けて、そこで一回名寄せをした後もう一回国民に、あなたの合っていますかって今やっている作業をやるんですよ。で、もう一回そのマイクロ探しに行くんですよ。どっちが正当性あるか考えてみてください、自民党の先生方。どうですか、これ。
○政府参考人(青柳親房君) 例示を例えば市町村にございます被保険者名簿に取らせていただきますと、被保険者名簿というのはあくまでも市町村がこの国民年金の仕事をやっておりましたときの言わば控えとして持っております書類でございます。したがいまして、それ自身の保管を今後どうするかということは私どもだけで決定できる話ではございません。また、市町村さんはこの書類を、この情報を既に電子化して、御自分の言わばシステムの中に組み込んでおられる市町村もあるやに聞いております。
 したがいまして、そういったことを言わば全体像として把握する前に、ただいまお話のありましたような御提案をちょっと実現することは私どもとしては難しいかと考えている次第でございます。
○福山哲郎君 非常事態だぞ。何言ってるんだ。国民これだけ不安に思っているんですよ。捜してもないとかいって、領収書を持ってこいと言われてもないのをどうしたらいいのかって国民がみんな不安に思っている状況で、今散在しているって認めたじゃないですか。それ市町村に行って集めてくださいと、マイクロも集めてください。それを一応全部集めて、今の不備のあるオンライン情報に全部載せて統合します、やってみますと、それからプログラムをして、国民一人一人が統合しているかどうかもう一回確認しますという方がよっぽど合理的じゃないですか。今やったやつやったって、もう一回同じ作業するんですよ。青柳さん、違いますか。
○政府参考人(青柳親房君) 私どもは基本的に、先ほど申し上げましたように、オンラインに載っている、機械上に載っている情報同士の名寄せを行うことの方が、時間的に見ても早期に確実に実行できるであろうということをまず選択をいたしましたので、御提案のようなやり方についても確かに一つのやり方とは存じますけれども、私どもとしてはそのような形で選択をさせて、これから動かさせていただきたいと考えている次第でございます。
○福山哲郎君 今のデータは欠落していることばっかりがあるんでしょう。だからこういう状況が起こっているんでしょう。その欠落している情報同士突き合わせるよりかは、何で欠落しているのかといったら、そのマイクロや市町村にある紙台帳が合わさってないからなんでしょう。その欠落したもの同士をもう一回統合して、そこで外に散らばっている、散在しているやつを入れなかったら同じことが起こるじゃないですか。違いますか、青柳さん。分かっているはずでしょう、あなたは。
○政府参考人(青柳親房君) 重ね重ねの答弁で大変恐縮でございますけれども、おっしゃるような方法論というのも確かにあろうかと存じますが、それをいたしますためには、正に散在と私申しましたけれども、そのような状態にあります各種の情報の全体像をつかみ、これを整理するという作業が必須になってまいります。
 その作業をいたしておりますと、先ほど来申し上げております機械の中での名寄せの作業自身に支障が生じてまいりますので、まずはこの機械の中にある情報から早く着手をさせていただき、一日も早くお手元に加入履歴を届けさせていただきたいという気持ちで取り組ませていただいております。
○福山哲郎君 もう簡単にお答えください。
 市町村では紙台帳を保管しているかしてないかの調査はされましたよね。それは分かっていますよね。イエスかノーかで答えてください。
○政府参考人(青柳親房君) 取りあえず、大変簡易な方法で被保険者名簿を所持しているかどうかということについての言わばアンケート調査をさせていただきました。
○福山哲郎君 社会保険事務所では紙台帳が残っているかどうかの調査をしていますか。
○政府参考人(青柳親房君) 社会保険事務所に保有しておりますのは、正確に申しますとマイクロフィルムという形で、昔の紙台帳をそのような形で保管しているわけでございますが、これについても、現在、全国でどのような保存状態になっているかと、またマイクロフィルムだけでなく場合によっては紙の昔の台帳が残っているものもあるのではないかということで、全体調査は現在進行しているところでございます。
○福山哲郎君 済みません、大臣、この私のお配りをしたペーパー、ちょっと一枚飛ばしてください。
 昨年の八月の十五日に事務連絡ということで、地方の社会保険事務局長あてに年金事業室長補佐から、市町村における被保険者に関する記録の確認依頼というのがあって、もう細かいことは言いません、一番、下の@見てください。市町村に被保険者名簿が現存する場合、保存期限にかかわらず廃棄等の処理を行わないよう記録保全の措置を講ずるよう依頼する。二番、現存しない場合は、廃棄等を行った時期と方法について確認する。三番です、これが重要なんです。既に社会保険事務所等に移管している場合は、その時期と、次です、社会保険事務所等における現在の状況を報告すると書いてあるわけです。一番下見てください。五、一から四の結果については平成十八年八月三十一日までに別紙様式により、年金保険課メール特殊アドレスまで回答願いますという、調査して答え来ているじゃないか。青柳さん、どうなんですか。
○政府参考人(青柳親房君) ただいまございましたことでございますが、いずれにいたしましても、それぞれ市町村のものは、国民年金のものはもちろん市町村に元々ありまして、それをこのような形で確認をしておりますが、これとは別に、今厚生年金の関係のマイクロフィルムその他の記録がまた社会保険事務所等にございます。
 したがいまして、そういった全体像を現在集約中ということで御理解を賜りたいと存じます。
○福山哲郎君 これ、不誠実なんですよ。市町村についてはさっき調査やったと言った。社会保険事務所については調査中だと言ったと。ここに一個出ているんです、結果はもう既に。厚生年金も多分並行してやっているんですよ。これね、やっぱりこういうことを出さないと国民は本当に信用しないですよ。
 これ、本当に社会保険事務所に紙台帳とかがあるかないかって何でそんなに時間掛かるんですか。これいつか分かりますか、皆さん。八月の十五日にいつまで結果よこせと社会保険庁が言っているかというと、八月三十一日まで。たった二週間で結果をよこせと言っているんですよ。それはそうですよ。社会保険事務所とか市町村にどのぐらい物が残っているかなんて二週間もあれば、家捜しすれば出てくるに決まっているんだ。八か月も九か月も掛かって調査中だなんて絶対うそなんだ、やる気があれば。どういうことですか、これ、大臣。
○国務大臣(柳澤伯夫君) この前お話をした中で、今市町村の数が千八百少しでしょうか、ある中で、まだこの回答がないというかそういうところもありますし、また市町村合併が行われたものですから、仮に回答があったとしてもその実態、つまり二つの町が合併していったときにそれぞれが被保険者名簿を持っていたわけですが、それが合併して、合併したところに我々はその調査をお願いした、その調査も言わば官印のない調査で、簡易な調査をさせていただいたということで、ありますという返事があったとしても、そのあるという意味がこの二町村分すべてあるというのか、そのうちの一町村が、一町があるというのかということが分からないということで、最近において公文書でもってこれを正規のお願いということでやっているということが現状でございます。
○福山哲郎君 そしたら、余っているもの全部どこかに一か所に寄せてみんなチェックしたらいいじゃないですか。八月の三十一日までに二週間で寄せてこいと言っているぐらい早くできる話でしょう、こんなもの。だって社会保険事務所と市町村にあるマイクロと紙台帳を全部集めなさいと、それを全部社会保険庁の職員が徹夜でもいいからやると、それで合わせると、国民に申し訳ないからやると、当たり前じゃないか、そんなこと。大臣の今の答弁は申し訳ないけど全く理由になっていない。
 もう一つ言います。
 今日問題になった三千人のサンプルの調査ですよ。最後のペーパー見てください、ちょっと順番飛びますが。
 これは、今日問題になった、冒頭、三千人の調査に対しての四月の二十七日に社会保険事務局から、事務局長から社会保険業務センターに出した業務の依頼書です。で、現実に突合作業をしろということはそのとおりでございますけれども、これ見てください。平成十九年の五月の二日までに社会保険庁電子メールにより回答していただきますようよろしくお願いしますと。二十七日に依頼をして、五月の二日、これ何日ですか、二十七、二十八、二十九、三十、三十一、一、二、一週間。(発言する者あり)ない。六日間。六日間で答えをよこせと言っているんです。だって三千名ということは三百十二の事務所でしょう。一か所、十人でしょう、十件でしょう。十件の突合で一体、一月掛かっていて、どうやって五千万の突合を一年でやるんですか。十件なんですよ、一事務所。それでたった六日で回答をよこせと言っているということは、六日でできると社会保険庁自身が認識しているから六日で回答よこせと言っているんでしょう。で、今日の段階ではまだ調査中だと。
 とんでもないよ、こんな答弁は。こんなんで委員長、悪いけど質疑できません。今日の朝の大臣の答弁も含めて、ちょっともう一回理事会で協議してください。
○委員長(鶴保庸介君) 答弁ございますか。(発言する者あり)ちょっと待ってください。答弁を聞いてから、まずは御答弁を聞いてから。
 青柳運営部長。
○政府参考人(青柳親房君) 作業についての指示は、ただいま委員から御指摘のとおりでございますが、実はこうやって各社会保険事務所から戻ってきました情報そのものが非常に分かりにくい形で私どものところに報告が参りました。これは無理もないことでございまして、言わば時点が違います。すなわち特殊台帳をオンライン化した時点から、オンラインの記録の方には、その後新しい情報が当然のことながら追加がされているわけでございます。したがいまして、オンラインの記録を当時のところまでさかのぼらせて突合し、その異動の理由を一つ一つつまびらかにするという作業がこの間必要でございました。
 したがいまして、現実には手戻りの作業を何度も事務所と私どもの間でせざるを得なかったという事情がございますので、その点は是非御拝察をいただきたいと存じます。
○福山哲郎君 ごめんなさいね。僕、ちゃんと、どういう回答表を送れと言ったかの指示の回答表まで持っているの。すごい簡単なの。
 じゃ、これ全部出して。これを、要は各事務所から来ているんでしょう。それを見たら、大変今ややこしかったから時間掛かっているとおっしゃるんだったら、この回答表が三百十二事務所から全部来ているはずですから、この三百十二枚を全部この委員会で提出をしてください。委員長、お願いします。
○委員長(鶴保庸介君) 後刻、理事会にて協議をさせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 それを見て、本当に今、青柳さんが言った、時間が掛かっているとか、大臣が冒頭おっしゃったことが正当なのかどうかは国民が判断することだと僕は思いますよ。
 そういう形で情報を出さない、相手側には六日ぐらいでよこせと言いながら、一月たっても国会にも出さないような状況で、何で信頼ができるんですか。何で国民の年金が本当に救われるか国民が理解できるんですか。全く私には理解できないので、本当に注意をしていただきたいと思いますし、本当に早急に指示を出してください。
 次に行きます。
 お手元にお配りをした資料の中の二枚目です。これもさんざん社会保険庁に言って、ようやく出てきて、現物はこれです。社会保険庁が頼りにしている五十八歳通知。五十八歳通知というのは、これでいいですかということを送って、さっき柳澤大臣が正におっしゃいました名寄せをした後送りますと。それを送って、それに対して国民が回答してくれる、正に大臣がおっしゃられた作業が五十八歳の方には平成十六年の三月から行われています。私は、何とかこの十八年九、十、十一、十二月末の五十八歳通知の結果を手に入れました。これ見ていただいたらお分かりなんですが、例えば平成十八年十二月末見てください。四百六十六万八百九十九人の方に、延べで言うと郵送していると。はがきとして国民から返ってきているのが三百三十一。そのうち、要は、これは駄目ですよと、この社会保険庁から来たのでは自分の履歴とは合っていませんと、おかしいからもう一回調査してくださいと言っている方が四十一万二千五百十八名いるということになります。そのうち、社会保険庁が調べて、そして回答したのが三十四万六千四百九十七名かな、これは七人。そして、調査をまだしていますと言って、恐らくこの調査は、マイクロやなくなっているかもしれない紙台帳を当たっている数が六万六千あるというのが今のこれ現状でございます。
 これはすごく重要な情報が入っておりまして、御案内のように、右を見ていただければ、月平均十七万人の方に通知を送っています。つまり、誕生日ごとに送りますから、五十八歳の何月生まれの方に十七万人ぐらい平均して送っていると。そうすると、毎月回答が十一万返ってきていると、約六割。そして、そのうちの、おれは違うよと、社会保険庁が言っていたコンピューターのオンラインのデータとは違うよと言ってくれる方が約一万五千と。これ、見事に毎月、(c)割る(a)、つまり返ってきた数の中でそれは違うと言ってきた方の比率が八・九%前後でございます。
 青柳さん、基礎年金番号を付与されて、今一億四百万人ですが、大体何人ぐらいの方が実際に自分の履歴が欠落をしていたり、統合していない人が何人ぐらいいらっしゃるんでしょうかね。その数は把握していますか。
○政府参考人(青柳親房君) 直接に今お尋ねのような数をちょっと把握する手段がないので、残念ながら持ち合わせておりません。
○福山哲郎君 この回答一点張りなんですね。でも、推計できるんですよ。
 現実には、基礎年金番号を付与されている方が約一億四百万人。三十歳未満の方は二十歳の時点で、もうその時点で基礎年金番号を付与されていますから、その方々は問題ないとして約千五百万人引きます。約八千九百万人の中で、実は三千万人の受給者も統合されていない、欠落している人もいる。そして、残りの人たち、被保険者は、五十八歳通知の状況を見ると、約八・九%ぐらいが自分は違うと言ってきているんです。そうすると、推計すると、八千九百万人のうち八・九%を掛けると約七百九十二万人。
 で、現実に集中月間がありましたね。集中月間のときに、社会保険庁とは違うと、コンピューターのオンラインのデータとは違うからもう一回調査をしてくれと言われた方の比率が約一四%。強化月間だから、問題意識のある人、ひょっとして自分は欠落しているんじゃないかという人がどんどんどんどん窓口に運びます。
 この五十八歳通知はそういう方ばかりではありません。全然、年金のこととか忘れている人のところにも来ます。だから、百三十万人の方が平均してはがきも回答してくれません。強化月間はそれだけ問題意識があるから、一四%で比率が上がるのは当たり前。そうすると、大体九%から一四%の間で、基礎年金番号が付与されていたとしても欠落をして統合できていない五千万件と合わせなきゃいけない人が、それぐらいの数がいるというのが推計できるわけです。そうすると、私なりに言うと、多分、最低で八百万人以上、それ以上の方が要は自分の持っている年金履歴がコンピューターと自分とがずれていると。
 私のこの推論、推論として成り立つかどうか、青柳さん、お答えいただけますか。
○政府参考人(青柳親房君) 推論そのものについてちょっとコメントをするのは差し控えたいと存じますが、ただ、一言だけ私どもの方から申し上げさせていただきますと、五十八歳通知というのは、正に今委員が御指摘になりましたように、年金の裁定前に記録を確認をしてその誤りなきを期すということが本来の目的でございました。
 したがいまして、基礎年金番号統合時にも、その基礎年金番号統合のために様々な、いわゆる千八百万件と呼ばれます調査、それからこちらの名寄せでお便りをして統合を図ったものをやったわけですが、それ以外にもこの年金裁定時に統合されていくものは当然あるということは念頭に置いておりました。それをより徹底するために、五十八歳という、年金裁定よりも早い段階でこういう作業をさせていただいておりますので、私どもとしては、この五十八歳通知というのが所期の言わば成果を出しているということの証左をこの数字は示しているものと承知しております。
○福山哲郎君 大臣、重要なのは次の数字なんです。
 この五十八歳通知の状況で、実は回答しているのが三十四万六千四百九十七あるわけです。その下の六万六千二十一がこれ調査中なんですが、この三十四万六千四百九十七が本当に被保険者にとって正しいかどうか分からないんです。この三十四万件で、被保険者からの依頼どおりに社会保険庁が、そうですねと、あなたの依頼どおりにあなたの履歴はここにありましたから統合しましたよという数と、依頼者、被保険者から来て、いや、あなたのは履歴がありませんでしたと、コンピューターにもありませんでしたと、マイクロにもありませんでしたと、紙台帳にもありませんでした。ひょっとしたらなくなっているかもしれないわけですから。だから、あなたのこの履歴の変更届は履歴が違うということは駄目ですよと言って拒否をした方、この三十四万六千四百九十七のうち受け入れた人と拒否をした方の数字というのは、これから先裁定を行っていくためにすごく重要な数字なんです。この三十四万六千四百九十七が、拒否をした数と、その被保険者の申出どおりにちゃんと厚労省が変更した数、出してくれと言っても全然出してくれません。これ早急に、材料として重要な材料です。だって、これからどんどん欠落をしている人、統合できてない人が、自分で気付いてどうしようと思うわけですから。
 この三十四万六千四百九十七の今申し上げた拒否か受け入れたかの数について、早急に数を出していただけるように、大臣、御答弁いただけませんでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) この点は同様の趣旨の質疑が既にございまして、それに対して私からだったと思うんですが答弁をさせていただいておりまして、これは調査をさせていただいて出すわけですが、大変恐縮ですがかなりの期間が掛かるということを御答弁させていただきました。具体的には二年程度ということをそのとき言わせていただいたわけでございます。
○福山哲郎君 三十四万件のもう結果をした人たちが、拒否をされたか受け入れられたかについて二年掛かると。さっき、五千万の名寄せだとおっしゃいました。あれは確実に名寄せだったんです、大臣がおっしゃるように。それからまた通知を出してこれと同じ作業をする。つまり、五十八歳通知と同じ作業をすると言っていて、この三十四万件がどうだったかというのが今二年掛かると。
 じゃ大臣、この六万六千二十一、こっちがもっと問題なんです。これ調査中なんですね。これ多分、相当混乱しているはずです、この六万六千は。物がないとか領収書がないとか。この六万六千の今の状況はどういう状況か、つまびらかにできますでしょうか。
○委員長(鶴保庸介君) 速記をちょっと止めてくれますか。
   〔速記中止〕
○委員長(鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(青柳親房君) 大変失礼いたしました。
 通常の場合でありますと、こうして調査未済という形である時点で調べたものにつきましても、およそ一年ぐらいたてば最終的にその回答はさせていただいているというふうに今確認をいたしました。
○福山哲郎君 いや、一年は分かるって、それは回答は分かりますよ。回答の結果はどう分かるんですかと、我々にと。
 じゃ、一年程度で回答した、今どのぐらい回答しているか分からない、回答の比率。要は、社会保険庁が訂正を受け入れたか拒否をしたかの比率を、もう今ある段階でいいですよ。要は、平成十六年の三月からこれ、五十八歳通知ずっとしているわけでしょう。この調査をした結果で、受け入れたか拒否したか、それはすごく重要なんですよ。だって、この救済法案では、訂正して初めて時効があれなんですから。訂正されて初めて救われるんですからね。そのすごい重要なサンプルがここにあるわけです。そのことについて、青柳さん答えていただけますよね。
○政府参考人(青柳親房君) ただいまのお尋ねの意味が六万六千というよりは、要するに全体としての、最終的には四十一万二千五百十八がどうなったかという意味で理解をさせていただきましたが、この点については先ほど大臣から申し上げましたように、いわゆる予備的調査の際にも、これらの分析をするのには大変申し訳ございませんが二年程度の時間が必要だということで回答させていただいておりますので、これは同じ回答だというふうに御理解いただきたいと存じます。
○福山哲郎君 ごめんなさい、何で二年掛かるか教えてください、それじゃ。
○政府参考人(青柳親房君) この回答につきましては、要するに言わば原票に当たるような原書類というものを業務センターという私どもの組織のところで保管をしているわけでございますが、それを一つ一つ言わばその原議にさかのぼって確認をしていくということが必要でありまして、機械で何か処理ができないという、つまり人海戦術でなければ処理ができないという事情があって二年という日時を回答させていただいたと承知しております。
○福山哲郎君 でも、被保険者には回答しているわけでしょう。被保険者に回答している記録は全然残ってないわけですか。
○政府参考人(青柳親房君) 正に被保険者に回答させていただいておりますが、既に回答済みのものも言わばさかのぼって全部探し出して処理をしなければいけないということで日時が掛かるということですので、逆に原議があるので調べることができるという言い方もできようかと存じます。
○福山哲郎君 大臣、でも、これすごい重要な情報なんですよ。大臣、これは早急にね、二年っておかしいでしょう。
 そしたら、分かりました、平成十六年の三月から五十八歳通知が始まっています。その一月の、最初の一月で結構ですからその結果を教えてください。こういう特定の仕方だったらやりやすいですよね。
○政府参考人(青柳親房君) ただいまのお尋ねのような前提でどこまで何が作業できるか、にわかにはお答えできませんが、特定の期間を絞って原議を探してみるというやり方について少し、どこまで何ができるかということについて検討させていただきたいと存じます。
○福山哲郎君 検討させていただくということは、やるというのか、やらないというのか、どっちなんですか。
○政府参考人(青柳親房君) 要するに、どのような形でできるかということについて検討させていただくということですので、やらないという結論を持って検討するわけではないというふうにお受け止めいただければと存じます。
○福山哲郎君 大臣、やってもらえますよね。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは私は、今の福山委員のお話を聞きながら、ちょっとこの五十八歳通知ですともう過去のものになりまして今のような答弁になりますが、これは五十八歳通知というのは毎月やっているわけでございますから、これからやることについてやると、こう言うと、またこれが返ってくるのとか、またそれが時期がまた相手次第みたいなところがあって、それをまた調べるとなると非常に困難なんですが、適切な時期を選んで、一か月を仮に選びますとね、そうするとそれが返ってきていると、四十一万として返ってきて、申出があって、それに対して三十四万何がしのものがこの回答したというようなことで完結している月があれば非常にこれはとらえやすいと思いますが、検討させます。
○福山哲郎君 大臣、ちょっとさっき大臣に確認するの忘れたんですけど、青柳さんには確認しましたが、さっき私が言った推計、八千九百万、二十歳から三十の方はいいとして、約九千万人の受給者と被保険者の中でこの五十八歳通知でいうと約九%から一〇%、相談窓口には一四%ですけれども、延べでいえばやっぱり一割前後の方が基礎年金番号を付与されている方でももう欠落をしていると。そうすると、最低限で八百万人から九百万人、ひょっとすると一千万人の大台を超えるかもしれないという推計についてはどのようにお考えをいただけますか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私は、率直に申して、今委員がお示しになられたこの(a)分の(c)というものが、非常にまあ乖離の少ない幅でというか、三つはもう同じでございますから、並んでいるということに大変大きな関心を持ちました。
○福山哲郎君 ほぼ今のは認めていただいたと思いますが、とにかくそのぐらい、要は八百万、九百万から一千万のオーダーで、基礎年金番号を今付与されている一億四百万人のうちの一千万近くの人がもう実は統合されてない可能性があるんだと。これはやっぱり大事件ですので、そのことはよく認識をしていただきたいと思います。
 もう時間がないので、実は基礎年金番号が付与されずに五千万人の中に紛れてしまった別の数字について確認をしたいと思います。平成九年の不在者登録をされている方の人数をお答えください。
○政府参考人(青柳親房君) 失礼しました。
 平成九年の基礎年金番号付番時の国民年金の不在者の人数、約百十万人と把握しております。
○福山哲郎君 この百十万人には基礎年金番号は付与されましたか。
○政府参考人(青柳親房君) 基礎年金番号の導入時に不在者として登録をされていた方には、基礎年金番号をその当時は付番をしておりません。しかし、その後、居所が判明した時点で速やかに基礎年金番号を付番させていただいております。
○福山哲郎君 その数は把握をしていますか。
○政府参考人(青柳親房君) 現在、基礎年金番号を付番されている方がかつて不在者であったかどうかという形の記録を持ち合わせておりませんので、申し訳ございませんが把握しておりません。
○福山哲郎君 これは、住所が例えばもう一回明らかになったり移転をしたりして被保険者本人が言ってこない限りは基礎年金番号は付与されませんよね。
○政府参考人(青柳親房君) 平成十四年にこの国民年金の仕事が市町村から国に移る前は、実は住民票の事務とこの国民年金の適用の事務は一体でございました。したがいまして、その際に例えば住所が明らかになる、すなわち、あるところに移転をされて住民票を起こすということになりますと、市町村の窓口で確認をした上で手続を取り、基礎年金番号が付番されるというのが一般的であったと承知しております。
○福山哲郎君 つまり、このときに百十万の人が不在者登録をされていて、基礎年金番号が付与されていないわけです。実は、その方たちには一切通知が行かないわけですから分からないわけですね。これは、要は五千万件の中に含まれていたと思っていいわけですね。もちろん、順次御本人が気付かれたりして自ら基礎年金番号を付与していただくような方があったのは分かっていますが、自らが気付かない限りはそのまま放置され続けてきて、五千万件の中に含まれていると思っていいわけですね。
○政府参考人(青柳親房君) これは、その方が例えば他の手帳の記号番号をお持ちであるということを前提にしてよろしいと思うわけでありますが、いずれにいたしましても、可能性として、五千万件の中に含まれている可能性はあろうかと存じます。
○福山哲郎君 つまり、これもそのときに不在者登録をたまたましていただけで百十万の方の何割かはそこで復帰をされている方がいらっしゃると思いますけれども、実は五千万の中に含まれているような状況が放置をされています。これに対して、不在者ですから社会保険庁が何かできるかというとなかなか厳しいと思いますが、しかし市町村に問い合わせるなり、今言われた平成十四年からやられてきたことも含めて積極的にやらないと、つまりそこを放置してきた事実は間違いないわけですが、そのことに対する責任はどうお考えですか。
○政府参考人(青柳親房君) 国民年金の不在者登録につきましては、甚だ不面目ではございますが、昨年の不適正免除問題の際にこれがかなり不適切に運用されているということが顕在化いたしました。
 したがいまして、私どもは、現在この不在者で登録されている方について一件一件を市町村に御協力をいただきながら言わば消し込みをすると、すなわち本当に不在であるかどうかということの消し込みをしていくという作業をしておりますので、その作業の過程で、ただいまお尋ねのあったような、例えば基礎年金番号がいまだに付番されていない方の解消も徐々に図られるかなというふうに考えておる次第でございます。
○福山哲郎君 私が言おうと思ったことを青柳さんわざわざ言っていただいたわけですが、昨年の不適切な処理のときに、要は納付率を上げるために、分母を減らすために、大臣、不在者登録を勝手にしていたんですよ。去年、不在者登録十万件していたんですよ。これが過去においてもやっていたかやらないか、それはつまびらかではありません。しかし、少なくともさっき申し上げた基礎年金番号を付番したときの百十万人の方は、先ほど言われましたけど、不適切なことがあってから市町村で一個一個いわゆる確認するようにしていくようになったとおっしゃられましたけど、要はずっと、平成九年からですから、九年間社会保険庁は放置し続けたんですよ。その百十万人の中でどれほどが社会保険庁が不適切な、勝手に不在者登録をしてきたかまでは、私はそこは問うつもりはありません。しかし、少なくとも百十万の方が基礎年金、付番をされなくて五千万件の中に含まれていたという実態があって、やっと改善されたのは、自分たちが十万人も一年間に不在者を勝手に登録した結果反省を踏まえてと、これやっぱりお粗末過ぎませんか、大臣。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これはもう全く不適切極まる事務処理でございまして、そういうことで、この不適正処理については直ちに元に戻しまして、それで改めてまた確認をしながら、本来の不在の方について、本当に一軒一軒戸別訪問して確認しながら適切な処理の方に戻しているという状況でございます。
 いずれにしても、厳しく反省しないといけないと、このように思います。
○福山哲郎君 つまり、当時の不在者の百万人も実は五千万件の中に入っているんですよ。それを一つ一つ統合していく形で、先ほど確認ができたので、もうしつこく言いませんが、一年でそれが全部できる統合ではないということは明らかなんです。ただの名寄せなんです。それでは国民は救われないんです。そのことを申し上げて、時間になりました、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。


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第166国会  参議院  環境委員会 2007年6月5日

食品リサイクル法案、東京大気汚染訴訟


○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。よろしくお願いいたします。
 今日は食品リサイクル法の改正の質疑でございますが、幾つかいろんな動きが国の方でありましたので、環境大臣もお出ましなので、その点についていろいろお伺いしたいと思います。
 まず、東京大気汚染訴訟の問題についてお伺いをしたいと思います。
 ずっと、この国会でもNOx・PM法案の改正をし、九六年の第一次提訴から始まって、被害者、患者さんのぜんそくの苦しみをもってこの大気汚染訴訟が始まったわけでございますけれども、国としての御決断をいただいて一応大きく前進をしたというのが三十日ありました。石原都知事に安倍総理が面会をされて、東京都に六十億円拠出することを決められたと。この経緯について、環境大臣からまずは御披瀝をいただけませんでしょうか。
○国務大臣(若林正俊君) 東京大気汚染の公害訴訟については、委員御承知のとおり、東京高裁におきまして長い間掛かってきた本件事案について関係者間において和解で解決する道はないかといったような意向が示されまして、この和解について関係者間で協議を続けてきたわけでございます。
 この和解については、三つが争点になっておりました。一つは、大気汚染対策を更に一層充実しなきゃいかぬということの原告側の要請がございまして、これにどうこたえるかということであります。二点目は、医療費の助成制度について、ぜんそくの患者に対する医療費助成をどうするかということが二番目でございます。三番目は、原告側からしますと、長い間このことに苦しめられてきたということの決着を図るにはやはり一時金の支払が求められるということでございまして、これらが争点になっていたものと承知しております。
 国としては、大気汚染対策については、委員がお話ございましたように、先般、自動車NOx・PM法の改正法を今国会で成立をさせていただいたところでございまして、またこの審議の経過を通じまして、PM二・五に関して国として検討をするための検討委員会を発足させるということを私お約束をしたわけでございますが、これも立ち上げたというようなことがございまして、一応の問題について誠意を示したというふうに考えているわけでございます。
 そして、医療費助成の制度に関して言えば、法律的にいろいろ難しい問題もあるわけでございますが、東京都がこの問題の解決に非常に積極的な意向を示しておられたわけでございまして、この東京都との調整が課題になっていたところであります。
 そこで、先月の三十日に総理が石原都知事と面談をされまして、そこで両者間の合意がございました。既に発表されたとおり、総理は、大変長い間ぜんそくに苦しんでこられた方々のことを思い、訴訟の早期解決を図るという見地に立って、これまでの公害健康被害予防基金を活用をしまして東京都に六十億円を拠出するという決断をすると。このことを石原都知事も高く評価をされまして、そういう国の意向というものを受け止めて、東京都としてもこの問題の解決に更に一層知恵を絞っていくということでございました。
 環境省としては、このような総理の御決断を受け止めまして、その具体化を進めていくということは当然のこととして考えているわけでございまして、原告側も和解に向けて大きな前進であるというふうに評価していただいていると認識をしております。
 この上は、関係者間の協議が進み、一日も早い和解の成立がもたらされるように期待をしているところでございます。
○福山哲郎君 丁寧に御説明いただいてありがとうございます。
 私も、和解に向けて一定の前進だと思いますし、これまで費用の拠出について頑としてかたくなな態度だった国が六十億円予防基金から取り崩してということについては、大変その政治決断には評価をしたいと思っています。
 ただ、やっぱり幾つか確認をしなければいけないことは、大臣、あると思います。
 一つは、あちこちで言われていると思いますが、元々大気汚染とぜんそくの因果関係について国はずっと否定をしてこられました。そして、医療費助成に対してのお金は出せないんだという主張をされてきました。今回も直接医療費助成に出されるわけではないというふうに私も理解をしていますが、しかしながら、今回のことで、この大気汚染とぜんそくの因果関係について、国としてはそこを認められたのか、また国の責任についても認めたのかと、そのことはまず明確に御答弁をいただいておきたいというふうに思います。
○国務大臣(若林正俊君) 国としては、因果関係がなお判明していないという認識でございまして、責任を認めて医療費を直接負担するということはできないという立場に変わりはございませんけれども、そのことを踏まえた上での総理の決断があったと考えております。すなわち、医療費の直接負担はできないけれども、訴訟の早期解決を図るという見地に立って、これまでの公害健康被害予防基金を活用して東京都に六十億円を拠出するということを決断をしたものでございまして、あくまで予防事業として国は拠出するものでありまして、これによりまして、医療費助成制度を含む東京都のぜんそく患者対策、これが軌道に乗ってくるものと考えているところでございます。
○福山哲郎君 国としてはそういう判断しかないんだと思います。
 私は、別に今回の決断を、先ほどから何回も言っているように、あえて批判のための批判をしようとは思いません。やはり大気汚染訴訟和解に向けての政治決断だというふうに思っておりますので、そこは大変、逆に言うと有り難いなと思いますし、私も原告の弁護団の先生ともお話をしました。なかなか手放しでは喜べないけれども、やはりこの決断については了としたいし、和解に向けてより前進していきたいというふうなこともおっしゃっておられましたし、その気持ちも、また患者さん側の気持ちも僕も理解をしておるつもりなので、余り批判めいたことを言うつもりはないんですが、お金には名前が付いているわけではありません。東京都に拠出をする、六十億円と。東京都が医療費助成制度を提案をしたときの国の拠出の分担が約六十億円と。名前が違ったけれども、東京都に拠出をして、東京都はそれで医療費を助成をするということになるんだと思いますから、政治的な知恵といえば知恵かもしれませんが、そこは気分としては、素直に医療費助成として出してあげた方がよかったかなというのが一点思うのと、こういう決断ができるなら、患者さんは十年以上しんどい思いをし続けたわけですから、もっと早く決断できることがあったのではないかなというのは少し残念に思っています。
 ただ、さはさりながら、決めていただいたことに関しては、何回も申し上げたように、感謝しなければいけないと思いますが、この六十億円ですけれども、具体的に申し上げます。東京都は毎年毎年国に約十三億円ずつぐらい拠出をしてくれというようなイメージがあったんですが、今回はここに直接、医療費助成に出すということではないということなので、確認をしたいんですが、どういう形で六十億円は東京都に拠出をされるのか、お答えをいただけますか。
○政府参考人(西尾哲茂君) この今お話に出ております予防事業でございますけれども、これは公害健康被害補償法に基づきまして五百億円の予防基金が積み上がっておりまして、その運用益により自治体が行う予防事業などにお金を拠出すると、こういうことで今まで運用してきました。
 しかしながら、この基金ができたときには、一方で積み上げ途上にあります、片方で仕事はしなきゃいけないということでございますので、運用益だけでは十分な予防事業費を確保できないということが予想されましたので、公害健康被害補償法におきまして、環境庁長官の認可を受けて基金の一部を事業費に充当することができると、こういうふうになっておりました。
 今回は早期和解に向けての解決策として拠出するということで、事情の異なる面があるわけでございます。しかし、公健法上の手続としては同様の手続を講じるということで、環境大臣の認可を受けて基金の一部を取り崩し、予防事業費として六十億円を東京都に拠出するということができると思っておりますので、そのようなことにつきまして手続を精査して実現をしたいと、こう考えております。
○福山哲郎君 西尾局長、その答えは有り難いんですが、質問しようと思ったことより多分後か前の質問なんですが、要は、六十億円一括で出すのか、分割して出すのか、お答えください。
○政府参考人(西尾哲茂君) 取り崩して拠出するということでございますので、一括して拠出するという方向で検討いたしております。
○福山哲郎君 これ、いろんな訴訟が起こっています。西淀川もありましたし、川崎もありましたし、尼崎もありましたし、名古屋もありました。東京都にだけ健康被害の予防事業として六十億円基金を取り崩して拠出をする、これの根拠は一体どこに見いだすんでしょうか。
○政府参考人(西尾哲茂君) 公害健康被害予防事業につきましては、それぞれの地域の実情に応じて、それぞれの必要に応じて今までもいろいろな事業について交付をしてまいりました。
 今回の対応は、公健法の旧第一種地域における一連の大気汚染に係る訴訟で、争い事という中で唯一残っている東京大気汚染公害訴訟に対して国としてできるぎりぎりの対応を行うという趣旨で和解による解決を図ると、こういう政治決断でございます。そういうことで、予防事業として拠出するということでございます。
 他の地域につきましては、既に裁判の和解が行われているというような地域もあります。それぞれ各地域における対応が行われてきたわけでございますので、これ、それぞれの実情に応じてそれぞれの予防事業が行われると、こういうことで対処してまいりたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 今の答えは納得できそうで納得できなくて、それぞれの地域は和解に努めて、もう進んでいると。東京は進んでいなくて、今回の裁判も含めて和解が進めるような話が出たと。そこで、五百億円の基金でしたっけ、そのうちの六十億を取り崩すと、東京都に入れると。これはやっぱり相当バランス的には欠いた話だと思いますが、そこは局長、もう少し詳しくお話しいただけませんか。
○政府参考人(西尾哲茂君) 公害健康被害予防事業をどこにどのように講じていくかというのは、それぞれの実情に応じて行っていくということでございますので、あらかじめ決まった率とか決まった額ということがあるというわけではないと思っております。
 全体五百億円でございますけれども、この五百億円の基金を積み上げましたときの経緯からいたしますと、大体百億円が自動車大気汚染対策というような考えで積み上がっております。その百億円のうちの六十億円が東京都ということのバランスがどうかということでございますが、これは、そういう面では、厳密な計数的なバランスということを求めると、それはなかなか、これはそういう計数があるわけではございません。そこは説明が、そういう計数的説明はないということも、今まで、総理の決断を待ってやっと動けるということの一つのポイントだと思っておりますけれども。
 しかしながら、百億の中で六十億ということでございまして、東京都におきます患者さんのいる状況、あるいは未認定の方がいろいろ苦しんでおられる状況、今において訴訟というような形で紛争が残っているような状況、そういうことを勘案いたしますれば、それも一つのバランスとして御理解いただけるのではないかというふうに考えている次第でございます。
○福山哲郎君 これ、公害健康被害予防事業というのは、基本的には事業に要する費用は運用益によって賄うこととなっていると思うんですが、そのことについてはクリアされているんでしょうか。
○政府参考人(西尾哲茂君) 公害健康被害予防事業は、基本的には公害健康被害予防基金の運用益によって賄うということでございます。しかしながら、公害健康被害補償法上、環境大臣の認可を受けて一部を事業費に充当することができると、こういう規定になっております。そういうことでございますので、前後の事情を勘案して、そういうことはどうしても必要だという場合には取り崩して交付することができると、このように解しております。
○福山哲郎君 私もあえてこれ以上はもう申し上げませんが、出し方がいいか悪いかは別にして、決めていただいたことを多とするしかないなというふうに思っています。
 ただ、さはさりながら、これで物事が終わったわけではありません。大臣おっしゃられましたように、今後の対策、今回のNOx・PM法案の改正の状況でどのように、要は環境基準未達成の地域がより改善をしていくのかとか、先ほど大臣言及をいただきましたが、PM二・五の新たな基準の策定に向けていかに早急に対応していくかとか、それから例の一時金の支払等も含めて、まだ患者さんも御苦労されていることもたくさんありますので、そういった課題は幾つも幾つも残っているところでございまして、そのことに対してもしっかりと対応していただきたいということはお願いをしたいと思います。
 昨日、メーカーの解決金の話が出て、若干小規模だということでいろんな批判が出たり、メーカーから対応が出てきているわけでございますが、このことに対して、今大臣としてはどのように評価をしているのかということについて御答弁いただけますか。
○国務大臣(若林正俊君) 現在、和解に向けて関係者間で協議がなされている最中でございますので、個々の交渉やそのやり取りについて今申し上げるのは適当ではないというふうに考えております。
 いずれにしても、関係者間の協議が進みまして、一日も早い和解の成立がもたらされることを期待をしながら見守っているという状況でございます。
○福山哲郎君 これは環境省の立場も含めて大臣にお伺いをしたいんですが、これまで環境省はずっと因果関係を否定してきた、金銭的なものは出せないと言ってきた。確かに政治決断は重要ですから安倍総理の御勇断は評価をしますが、報道によれば、環境省は石原知事をお呼びになられたときのことを全然知らなくて慌てたみたいな報道も出ているんですが、大臣はこのことに対しては、安倍総理と十分御吟味をいただいた上でこういう決断をされたというふうに思っていいわけですよね。
○国務大臣(若林正俊君) 安倍総理との間では、あらゆる可能性について、私の方から過去の経緯、そして現状、これから予想される各種の問題など御説明をし、協議をしていたということはございます。しかし、しばしば私が当委員会においても申し上げてまいりましたように、因果関係が明確にされていない又は明確にされていないものも含めた対応ということになりますと非常に困難だという私の立場というものは総理にもお話をしてまいったところでありますが、そういうことを全部のみ込んだ上で総理が、しかし、長い間の経過の中で訴訟当事者、原告の皆さんが大変苦しんでおられるという状況を政治的な判断をされ、かつまた石原都知事との話の中で、都知事がこの問題に対する積極的な意向と、そしてまた国と協力しながら問題の解決を図ろうとする御意向が示されたこともあって、総理が決断をされたものと思います。私はその場に立ち会っておりませんので、結論をいただいたということでございます。
○福山哲郎君 六十億円取り崩しました。予防基金の方は五百億が六十億なくなるわけですが、運用益で賄ってきた今後の事業への影響はどのぐらい最小限に食い止めようとされているのか、お答えいただけますか。
○国務大臣(若林正俊君) 委員が御指摘のように、基金の五百億の運用益の中で予防事業を行ってきているということからしますと、原資になっております五百億円の中から六十億円が取り崩されるわけでありますから、今までのような運用の状況でありますと、運用益自身はそれ相応に減額になるわけでございます。
 しかしながら、これまでもぜんそく患者などのニーズを踏まえまして対応をしてきている、これが主たる事業の目的でございますので、基金の運用益で賄っていくという、そしてそのことによって引き続き充実をした公害健康被害予防事業が実施できますように、運用の改善、あるいはまた、その運用益を利用しての事業には幅があります、その事業の中でも特にこの予防事業に障害がないように、そこを優先的に認識をした上で事業実施をしてまいりたいと、このように考えております。
○福山哲郎君 これで正真正銘この問題は最後にします。先ほど大臣ももう言及されましたが、もう一度しつこく聞きます。
 政治決断で前進をしましたが、この問題の本質的な解決はまだまだ課題がたくさんあります。先ほど申し上げたように、PM二・五の環境基準の設定や検討の更に推進や科学的な因果関係を解明することも含めて課題がありますし、患者への対応が医療費助成だけでいいのかという点もあります。このことに対して、よりこれからも停滞することなく御努力をいただけるということを是非言明をいただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(若林正俊君) 一日も早いこの和解の成立というのを期待をいたしておりますけれども、東京の大気汚染訴訟の和解が成立したからといってこの大気汚染の問題が解決するわけではないのは当然でございまして、そのようなNOx・PM法の適正な運用、さらにこういう被害予防につきます諸事業について精力的に取り組んで、問題の解決に全力を挙げてまいりたいと、このように考えております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
 では、食品リサイクル法案の改正案について御質問をさせていただきます。
 平成十三年に食品リサイクル法が施行されて以降、いわゆる食品循環資源の再生利用の実施率は、先ほど議論もありましたが、食品関連業界全体では三七%から平成十七年度五二%、非常に向上はしていると思いますが、ただ、本質的な問題でいう食品廃棄物の発生が減ってないんですよね。要は、元々の出す発生抑制が非常に根本的に重要だと思っているんですが、なぜこの施行から今まで発生抑制が進まなかったのか。ちなみに、平成十三年では千九十二万トンですが、平成十七年度は千百三十六万トンといって増えていると。この発生抑制が進まない理由は一体何だと思っているのか。それから、この発生を抑制するために一体どんな有効な方策をとっていくことが必要だと考えているのか。もちろん今回の改正一番の、何というか、目玉なんでしょうけれども、そのことについてまずは言及いただけますでしょうか。
○政府参考人(由田秀人君) 発生抑制は、現行制度におきましても再生利用等の取組の中で最優先に取り組まれるべき行為として定義されてございます。
 しかしながら、農林水産省の調査によりますと、食品廃棄物等の発生量は、先ほどお話がございましたように、十三年度の一千九十二万トンであったものがその後徐々に増加いたしまして、十七年度には一千百三十六万トンとなっており、この間に四%増となっているわけであります。この傾向は業種の違いにかかわらず食品関連事業者全体にほぼ共通して見られておりまして、発生抑制が進んでいると判断できる特段の成果は見いだし難いのが現状であります。
 このように発生抑制が進まない原因といたしましては、農林水産省、環境省の合同の審議会におきまして幾つかの指摘がなされております。まず、食品リサイクル法の発生抑制の把握の方法や推進の方法が食品関連事業者の業種や業態の特徴を踏まえた発生抑制の促進には不十分であることが挙げられております。また、我が国の高い所得水準を背景といたしました飽食、いわゆる食べ残しとか買い過ぎなどでありますが、こういう飽食や、あるいは食品関連業界の見込み生産などが指摘されております。
 今後、発生抑制の推進に向けまして、食品関連事業者や消費者などの食の意識改革に関する啓発を行いまして、また食品関連事業者が取り組むべき発生抑制の目標を業種や業態の特性に踏まえて設定をいたしまして、取組の一層の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 もうおっしゃられたとおりでございまして、食べ残し、買い過ぎ、見込み生産、飽食、おっしゃられました。大臣も、それから副大臣も政務官も政治家でいらっしゃいますから、ホテルでのパーティーって僕らよく出ていきますが、見事に残っていますよね。一応環境委員会に属する者としては、いつもあれを見ながら後ろ髪引かれる思いで、これごみになるのかなと思いながら後にするのが結構あるんですけれども、それはまあ一つの例にすぎませんが、要はどう抑制をするか。
 今、由田部長おっしゃっていただきましたけれども、食意識の改革とか啓発といっても、じゃどう啓発していくのか。まさかホテルの食べ残しみんな持って帰るわけにいかないですしね。足りなければ足りないでお客さん怒りますしね。別にホテルに合わせて言うわけではない、そればっかり言うわけではないんですが、一つの分かりやすいイメージとしてはどうしていくのかとか、今、由田部長おっしゃいました業種や業態に踏まえた効果的な取組ということがあるんですが、例えば、具体的にその踏まえた取組ってどんなことをお考えになっているんでしょうかね。何かあればちょっと御示唆をいただければと。
○政府参考人(由田秀人君) 今回の改正案におきましてリサイクルループを構築することといたしまして、これはリサイクルの推進を図るということでありますが、このような取組の中、あるいはその報告を定期的に求めるところとしておりますが、こういう中で特に優良な取組に関しまして、これを消費者向けに対しましても情報を発信をいたしまして、そのような取組をしている、排出抑制を含めましてこういう取組をしているところを消費者にまずは理解をしていただくということを通じまして、この食品事業者の取組を消費者の方に啓発をしていくというふうなことによりまして消費者の行動を促していく。それによりまして、更に食品事業者の方のこの取組が促進されるような基本的な啓発の在り方を様々な大臣表彰なども使いまして有効にやっていきたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 業種別の再生利用の実施率を見ると結構差がありまして、食品製造業では八一%ですが、食品卸売業では六一%。食品小売業では三一%とがくんと下がります。外食産業では二一%と、これも低くなっています。
 先ほど正に部長がおっしゃられたみたいに、業種、業態で変化がというか差が激しい。これの特徴をやっぱりもっと環境省さんも研究をされるべきだと思います。一体何に対して一番多く出ているのかとか、それに対して発生抑制する一番いい有効な手だてはこういうものかというのは、やっぱりそれこそ業種、業態にヒアリングなりもしていただいて少し研究をされればいいのではないかなと、もうやっておられると思いますが、私はちょっと考えております。
 今回、制度見直しに対してこの再生利用の実施率の目標ですけれども、恐らく上がるんだと思いますが、一体どのぐらいの目標に上げていかれるおつもりなのか、お答えいただけますか。
○政府参考人(由田秀人君) 農林水産省と環境省の合同審議会報告の食品リサイクル制度の見直しについての取りまとめにおきましては、新たな実施目標につきまして、食品関連事業者の再生利用等の取組を基に自己目標を算出させるというふうなこと、それから業種の特性等を考慮した上で業種別の実施率に関する目標を定めることとされております。
 具体的な目標の在り方、数字に関しましては、今後法施行時までに審議会で、ただいまお話のございました、関係のいろいろ取り組んでいらっしゃる業界の関係者等々の御意見も聞きながら検討をしていくこととしておりますが、現時点におきましては、現行の全業種あるいは事業者の一律の実施目標ではなく、各事業者ごとに毎年度の基準となる目標値を設定しまして、これに即した取組を促していきたいということ、それから、すべての事業者が目標どおりに取組を行った場合に達成されるであろう業種別に定める業種全体の中間的な目標の設定を行いたいと、このように考えております。
○福山哲郎君 今、各事業所で目標値設定するというふうにおっしゃいました。これは、済みません、だれが設定することになるんでしょうか。
○政府参考人(由田秀人君) これに関しましては、食品事業者が自ら自己目標も立てていただきたいと、このようなことでございます。
○福山哲郎君 自らが自己目標を立てるとなると、低めに設定したところは逆に言うと到達するのがたやすくなりますし、高めに設定したところはなかなか厳しくなりますし、そこはどのように監督をしていくというか、管理をしていくつもりなんでしょう。
○政府参考人(由田秀人君) 基本方針の中では、まず業界、それぞれ業種、業態ごとの目標を設定していくこととしておりますが、それぞれの業種ごとに、事業者のそれぞれごとにも目標を算出していただこうと思っております。
 これは、各報告徴収などを取りまして、それを、報告徴収などの結果、具体的に解析などいたしまして、今の取組のレベルでありますとか、当然優良な取組が分かるわけでありますけれども、そういうレベルと比較して余りにも著しく自己目標が低いというふうな場合にはもっと目標を高くするようにとか指導をしていくとか、こういうふうなことも当然視野に入れて考えているわけであります。
○福山哲郎君 現在の実施率を二〇%に向上させるということは現在の目標値でしたっけ、ちょっと確認ですが。
○政府参考人(由田秀人君) 現在は二〇%というのは一律にしておるわけでありますが、これまでも既にお話がございましたように、製造業などにおきましては相当の再生利用率を達成しているものの、川下のところではそれがなかなか達成していないということがありまして、この一律のものをまず業種、業態ごとにこれを今後設定をすることをやっていこうということであります。
 それから、個別の事業者ごとの目標率といいますのは、それぞれのこれまでの再生利用等の実績を基に毎年各段階的にこの取組を進めるための事業者ごとの実施率目標ということを定めていただこうと、こういうことであります。したがいまして、この業種の特性を考慮しました業種別の実施率目標との二本立てで目標を定めていくことを考えております。
○福山哲郎君 そうすると、確認で言うと、全体でいうと二〇%を目標にするけれども、更に上げていこうと、そこの個別の事業所に関してはそれぞれ自主目標を持っていこうという二段構えというふうに考えていいんですか。
○政府参考人(由田秀人君) 現状は二〇%ということなんですが、これを全体一律というのを変えまして、業種、業態ごとにそれぞれの目標値を設定していこうということであります。
 それからもう一つ、もう一点は、それぞれの事業者ごとにこれまでの再生利用などの実績を基に毎年段階的に取組を進めていただくための事業者ごとの目標も立てていただこうと、こういう二段構えということでございます。
○福山哲郎君 そうすると、その業態の最初におっしゃられた実施率というのも自主行動というか、自己目標になるわけですか。
○政府参考人(由田秀人君) 個々の目標、事業者ごとの実施率の目標というのを定めていただきますが、当然業種ごとのそれぞれは、今二〇%一律ですが、製造業は当然今の状況より高くなることになると思いますし、それから小売などは、川下のところは今の状態よりは少し高いレベルで持っていこうと、それで中間的ないわゆる業種全体の中期的な目標の設定を行っていこうと、このように考えております。
○福山哲郎君 そうすると、基本方針にはそれぞれの業種、業態別の目標率が書かれるということですね。それを確認してとにかくそれぞれの業種、業態は、簡単に言うと努力を始めると、今のような一律二〇ではないという形になるというふうに理解をしていいわけですね。
○政府参考人(由田秀人君) そのとおりでございます。
○福山哲郎君 そうすると、今よりかはかなりそれぞれにターゲットを絞った形の目標値が設定されるということだと思いますので、是非そこは期待をさせていただきたいと思います。
 どのような場合に、そしたら、次ですが、勧告、公表の対象になるのか。今おっしゃられたそれぞれ業種、業態ではそれぞれに合わせて目標があると。更に言えば、事業所に対して言えばそれぞれ自己目標も含めて年々こう毎年やっていくということになりますが、その勧告、公表の対象になるのはどのような状況なのかということをお知らせください。
○政府参考人(由田秀人君) 法七条一項に定めます事業者の判断の基準となるべき事項、例えば発生抑制のために売れ残りを減少させるための仕入れ、販売の工夫を行うなどを勘案しまして、取組が不足している場合に指導、助言を行うこととなりますが、食品関連事業者が再生利用の方法等に関しまして十分な情報を持たず再生利用の実施に着手できないでいるような場合はまずこの指導を行うこととしております。
 しかしながら、判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認められた場合には勧告を行いまして、当該勧告に従わなかった場合に公表し、それでも対応がなかった場合、審議会の意見を聴いて命令を行うこととなります。
 勧告の対象となり得るケースとしましては、全く再生利用等の取組を行っておらず、近い将来にこれを実施する具体的な計画もない場合、あるいは当該事業者と同じ地域、同じ業種に属する同規模の事業者の取組の程度と比べて著しくその取組の程度が劣っているような場合などが考えられるところであります。
○福山哲郎君 勧告や公表の対象の業種や事業所についてはよく分かりましたが、そうすると、何というんですか、基本方針に定められた目標値に達成していないからイコール公表や勧告になるわけではないということだと思うんですが、そのときにその実効性みたいなのはどう担保されるんでしょうか。
○政府参考人(由田秀人君) これに関しましては、まず定期報告等の制度がございますが、指導、助言等によってまず臨む、その上でどうしてもなかなか進まないというふうな場合に、先ほど申し上げましたように勧告というような手順に進んでいくということになろうかと思います。
○福山哲郎君 食品リサイクル法では、食品関連事業者に対する指導監督は、今正に部長おっしゃいましたように国が行うこととしていますが、でも、現実に地域で事業をやっておられるわけですよね。地方公共団体もやはり非常に近いところで重要な役割を担うはずだと思うんですが、地方自治体の役割については、今環境省はどのように考えておられますでしょうか。
○政府参考人(由田秀人君) 食品リサイクル法は、食品関連事業者によります食品循環資源の再生利用等の実施に関しまして、個々の事業場単位ではなくていわゆる事業者の単位で取組を求めるものであります。また、地方公共団体の区域を越えて事業を展開するケースもありまして、都道府県や市町村が事業者の取組を評価し、的確な指導、助言、勧告、命令を実施することは困難と考えられるために主務大臣が実施することとしておるわけであります。
 他方、地方公共団体は、廃棄物関連法令に基づきます排出事業者などに対する指導監督のほか、家畜排せつ物の適正処理やあるいは環境保全型農業の推進など、食品廃棄物等の主要な仕入先であります肥料、飼料などと密接な農林水産関係の事務、政策を担っているわけであります。
 このため、食品循環資源の再生利用等と密接に関連した役割を有している地方公共団体との連携を密にしつつ、食品循環資源の再生利用などについて的確な指導が行われるように努めてまいりたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 今丁寧に御答弁いただいたのは非常に有り難いんですが、今回のリサイクルループなんかも正に自治体もひょっとすると絡んでくる可能性もありますが、その密接に連携しつつという具体的なイメージが、これで本当に地方公共団体が何らかの形でこの食品リサイクル行政についてしっかりと対応していただけるのかということが実は私よく見えない部分がありまして、そこは密接に連携しつつという、ある種の抽象的な話になるわけですけれども、何か具体的には環境省としてはイメージは持たれているんでしょうか。
○政府参考人(由田秀人君) 直接いわゆる排出事業者としての食品事業者を指導監督しておりますのは、現行法におきまして、廃棄物処理法に基づいて都道府県等がやっておるわけであります。その意味で、その監督関係におきまして連携を図れるものというふうに考えております。
 それからもう一つは、実は実際に食品リサイクル、今回の制度のリサイクルループなどを形成しますと、それぞれいわゆるこの一般廃棄物であります食品残渣を収集運搬するような業者が広域的に対応しますので、いわゆる主務大臣の認定ということになります。これは、市町村の許可を外れまして主務大臣が認定するということでありますが、この情報に関しては市町村に提供をすることを考えております。
 市町村は、一方で、その一般廃棄物処理計画におきまして全体の一般廃棄物を管理する立場にありますので、この情報を市町村の方に提供することによりまして市町村も把握しながら、国との連携をしながら市町村もこれに取り組んでいくと、このようにやれるのではないかというふうに考えております。
○福山哲郎君 食品関連事業者が冒頭申し上げました発生抑制を進めるに当たって、今度は逆に消費者側の協力も不可欠だと思うんですね。その消費者側の意識の変革とか購買行動については、今環境省がどの程度考えてできるのか分かりませんが、どのように今お考えでしょうか。
○政府参考人(由田秀人君) 消費者は、食品小売業や外食産業などの食品関連事業者からの商品等の購入を選択することを通じまして、これらの事業者の店舗における売れ残り、食べ残しなどを左右するということに加えまして、家庭生活などに伴いまして自らも食品廃棄物などを排出しておるわけであります。食品循環資源の再生利用等を推進していく上で、食品関連事業者の取組に対する消費者の理解の増進や消費者の自らの取組は極めて重要というふうに考えております。
 このため、国と地方公共団体が、食育を含めまして様々な情報伝達、広報手段を通じて、再生利用等に熱心な食品関連事業者の製品、店舗の積極的な利用を促すとともに、必要量以上に食品を購入、注文しないような消費行動、消費期限、賞味期限に対する理解の醸成や、食品廃棄物をなるべく出さない調理方法、献立の工夫を求めるというふうなことで、もったいないという心を育てまして、意識啓発や意識転換を図っていくように努めてまいりたいというふうに思っております。
○福山哲郎君 もったいないという意識転換をするというのもなかなか難しいですよね。さっきのホテルの例でも、御飯が足りないと絶対怒りますしね。だけど、余るぐらいじゃないとなかなか。大臣、我々よく経験していますよね。どんなふうにお考えですか、消費者に対してとか、どうでしょうか。別に固い話じゃなくて結構ですので。
○国務大臣(若林正俊君) それぞれの人の食に対する意識の変革というのは大変難しいですね。ただ、最近の消費者は大変に賢くなってきているように思うんですね。
 一つは、やはり生活防衛というそういう視点をそれぞれの方が持っておられると思います。購買行動として、スーパーなどで生鮮食料品を購入する際に、余って結局捨ててしまうというようなことがないように小口の買物をするとか、そういうような購買行動にも変化が表れているというふうに関係業界の人からも私自身は聞いているところでございます。今部長がお話ししましたが、そういうことと加えてやはり食育の意識の徹底と、もったいないというそういう気持ちを、家庭教育あるいは学校教育、いろいろな場面を通じて食生活の在り方というふうなものをやはり繰り返し訴えていくということが基本だと思うんですね。
 ホテルなどで、本当にそれこそもったいないなと思うような場合があります。非常に格の高いホテルなんかではなかなかできないんですが、身内で私などいろいろな会合がありますと、もう必ず、残り物をタッパーもらいましてそこに入れさしてくれというふうに頼みますと、それは中毒なんかの心配があるものですからちゅうちょする場合があります。しかし、二次会で食べるんだというような話をしますと、分かりました、いいでしょうというようなことで、火の通ったものはそのまま持ち帰るというようなことを私はかなり率直にお話ししているんですね。
 そういう言わば消費者側の積極的な働き掛けというふうなものも、ホテル側とすればやはりサービス業ですからそういうことが気になるわけで、もったいないと、ここは多いじゃないかと、そうすると値段をもっと下げてもらってもいいじゃないかといったような、そういう生活防衛的な視点というふうなものをもっともっと遠慮なく言っていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに私は思うんですね。あとは幹事の知恵の出しどころ、工夫のしどころで、足りなくなってきたときはドライフーズみたいなものを追加的に出すようなことをホテル側とあらかじめ相談をしておくとかね、やっているんですよ。
 そういうような、婚礼とかそうなると難しいんですけどね、いろんな場面場面で工夫をしていく、そういうアプローチというのはやっぱり消費者側がやるように働き掛けていきたいなというふうに思いますね。そして、最後こんなにも廃棄物になっているんだといったようなことは、行政側としてももっと積極的に情報提供していかなきゃいけないと思うんですね。
 同じ食品などの生ごみの廃棄物の半分は家庭ごみですからね。事業者系のものと家庭系のものというふうに見ますと、家庭系のものが約半分あるわけですね。そういう意味では、家庭系の生ごみを、こんなにも出ているものがそのまま焼却あるいは埋立てになっているというのはもったいないですね、それは結局税金で処理することになっているんですよといったようなアピールを自治体を通じて一般御家庭にもっともっとしていかなきゃいけない、そんな思いがするわけでございます。
○福山哲郎君 私は大臣に事前通告してないにもかかわらず、大臣は私の次に言いたいことをもう早速言っていただきまして、ありがとうございます。そうなんです、消費者の購買行動や意識改革の後で、家庭の生ごみの話を実はしたいと思っていたんです。
 大臣おっしゃるとおりでございまして、これまでやっぱり家庭の生ごみについては焼却処理が主流としては選択をされてきた。一部の地域では本当に堆肥化で努力をされているところもありまして、その話は後でしますが、やっぱり焼却で税金も使いエネルギーも使うと。しかし、生ごみを堆肥化することによって別の活用ができるというような話と、こう上と下違うわけですよね。
 やっぱり、その意識の問題も含めてこの生ごみの焼却、なぜ焼却処理が選択されてきたのかということについて、まず御答弁いただけますでしょうか。
○政府参考人(由田秀人君) 生ごみが我が国で焼却、市町村におきまして焼却処理が基本となっております。これは、特に我が国古来、衛生的な見地を大変重要にしてきたという国民性があろうかと思うのでありますが、家庭から出てまいります生ごみ、特に腐りやすい、腐敗しやすいということがございまして、特に蚊やハエの発生源になり、それが伝染病を媒介すると、こういうことになるわけでありまして、まずは、最も衛生的な環境をつくりますためには、し尿の方の衛生的な処理あるいはそのリサイクルに加えまして、生ごみの速やかな衛生的な処理ということが必要というふうに考えられてきたという経緯がございます。
 それによりまして、各市町村におきまして、特に生ごみの処理を中心としまして、焼却処理をしまして衛生的な安全な形にするということを多用してきたわけであります。加えまして、この焼却処理といいますのは、量にしまして大体一割から二割ということになるわけでありまして、我が国の土地の狭いということもございましてなかなか最終処分場の確保が困難であると、こういうふうなことも背景となりましてこの焼却処理というものが多用されてきたと、このようなことではないかというふうに考えております。
○福山哲郎君 経緯としては私分かりますが、やっぱり先ほど大臣のお話にもありましたように、消費者の意識も向上していると。やはりもったいないという気持ちもどんどん広めていかなければいけないと。税金で焼却を、生ごみ、するのはやっぱりもったいな過ぎると。大臣は農水省でいらっしゃいますからよりお詳しいと思いますが。
 そんな中で、おっしゃったように、今回の食品リサイクル法は、食品関係の産業をある種ターゲットにして発生抑制をしていこうと。しかしながら、四千万を超える世帯から毎日のように生ごみが出て、量でいえばほとんど産業系と変わらないわけですから、このことについての対策もやっぱり講じなければいけないと思うんですけれども、環境省としては今どのように考えておられるのか、お答えいただけますでしょうか。
○国務大臣(若林正俊君) 委員がいみじくもおっしゃられましたように、産業系、企業系のこの生ごみ処理というものを今回の食品リサイクル法で管理をしながら指導していく手法を導入させていただこうとしているわけでございますが、結局そのことをチェックしていくのは行政だけでは難しいんですね。これはやはり消費者側がそれをウオッチングしていくというような、そういう体制というものを何としてもつくっていきたい。それには、やっぱり消費者自身がこの生ごみの処理について認識をしっかり持ってもらうということだと思います。
 生ごみの処理は諸外国と比べて実は日本は遅れていると言われております。この生ごみの処理の一番のネックは分別なんですね。家庭で生ごみの部分をしっかりと分別していただくと。いろいろな分別収集というのは進んできました。瓶だとか缶だとか紙だとか、いろいろ進んできておりますが、この生ごみのところで、出すときに生ごみの分別ということをしっかりやっていただければ、自治体はその生ごみを集めてきて、それを再利用するためのいろんな施設整備も可能になってくるわけですね。
 今まで包装容器の方に重点を置いてここまで進めてきましたが、これからはやはり廃棄物行政の中では生ごみに重点を置きまして、自治体と連携を密にしながらこれを、この生ごみから、それを有効に利用するための、メタン発酵して電力のもとにするとか、あるいは生ごみ自身の熱を利用するとか、あるいはエタノール化、発酵させてエタノール化していくとか、そういう施設の体制整備、施設整備についてもこれも交付金の対象たり得るわけですから、そちらの方に重点をだんだんシフトしていって、生ごみ処理体制というようなものを国、自治体一緒になって取り組んでいくと、これが次の重点の対策ではないかなというふうに考えております。
○福山哲郎君 もう大臣おっしゃるとおりでございまして、容器包装リサイクル法で施行一年目の平成九年と平成十八年、九年経て、家庭ごみのうち平均的にどのぐらい容器包装が分別収集されるようになったか、お答えいただけますか。
○政府参考人(由田秀人君) 容器包装リサイクル法によりまして家庭ごみの中の容器包装廃棄物の分別収集は着実に進展しておりまして、平成九年度に全国で百二十五万トンの容器包装が分別収集されておりましたものが、平成十七年度には二百七十三万トンと二倍以上に増加をしております。
 家庭ごみの組成は、重量比で、約二二%が容器包装廃棄物、約三二%が生ごみ、残りは容器包装廃棄物以外の紙類だとか不燃ごみというふうになっております。
 市町村ごとでその取組の内容が大きく異なるわけでありますが、全体としては二二%を占める容器包装のうち、分別収集されているものの割合はその三分の一程度というレベルになっております。例えば、先進的に容器包装廃棄物の分別収集を行っている名古屋市や柏市では、家庭ごみ中の容器包装廃棄物のうち七割から九割五分ぐらいの割合のものが分別収集されているという実績でございます。
○福山哲郎君 今紹介がありましたように、容器包装の分別収集が進めばそれだけ、さっき大臣言われたように、生ごみの収集しやすくなるわけですね。
 地域の中でいろんな取組が行われています。例えば、今日総務省来ていただいていますが、取手市というのは、EM、いわゆる有用微生物群を使った生ごみを堆肥化するモデル事業で実は総務大臣賞を受賞されています。
 ここは、取手市は十数年前からやっているんですが、二〇〇一年からは取手市のモデル事業として生ごみリサイクルをやっています。約九百五世帯、週二回、週二日回収をして、実は自宅で専用の容器に生ごみを入れて、それにEMぼかしであえます。それを回収用のプラスチックペールに入れておきます。その集められたものをその日のうちにシルバー人材センターの方々、要はお年寄りの方で元気な方が熟成をする。そして更に言えば、その使うEMぼかしは、障害者のデイサービスセンターのところで実はEMぼかしを作る作業をしている。つまり、地域でボランティアの方、お年寄り、それから障害者の方、そして家庭から出た生ごみが全部ぐるっと回って堆肥化されるというような事業ができていまして、総務大臣賞を受賞されているんですが、総務省さん、この受賞理由をお答えいただけますか。
○政府参考人(久保信保君) 地域づくり総務大臣表彰でございますけれども、この制度は、地域の個性豊かな発想を生かして魅力ある地域づくりを積極的に推進することによりまして顕著な功績のあった市区町村や地域づくり団体などを表彰するものでございます。
 委員御指摘のように、平成十五年度の表彰では、取手市のNPO緑の会が生ごみ堆肥化モデル事業で受賞されておられます。当該団体によります生ごみの回収、計量、運搬でありますとか、堆肥場においての粉砕などの活動が市民レベルの環境保全活動として高く評価されたものでございます。
 私ども総務省といたしましては、この事例のような身近な環境対策は住民参加による地域活性化の手段として有効な方策の一つではないかと、そのように考えております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 また、岐阜県の岐阜市では、地元のNPOと組んで、八年間で市内を九ブロックに分けて千百四十世帯で予算を二千二百万円付けて実はこれもごみを堆肥化をしている、これもEMを使ってやっているというような例もありますし、別に今日は小林先生がいらっしゃるから言うわけではありませんが、やはり茨城の牛久では、学校給食のゼロエミッション化ということで、やはり学校給食で出た生ごみを子供たちがEMを使って堆肥化をしていく作業をして、なおかつ学校をきれいにしていくというような作業をしていて、それぞれの地域でいろんな努力がされています。
 ただ、懸念をするのは、生ごみを堆肥化するのというのは、なかなかそうはいかなくて失敗も多い。失敗をするとにおいとかも出てきちゃって嫌になるようなことがあって長続きしないようなことがあるんですが、今いろんなところでの技術援助や技術開発や、今例に挙げたEMを使ってというのはかなりいろんなところでされていることがあって、先ほど大臣が言われましたように、こういった取組を市町村が技術的とか財政的に支援をしていって、やはり生ごみのリサイクルを家庭でも行っていくというようなことを環境省としては進めていただきたいと私は思っているんですが、いかがでございますでしょうか。
○国務大臣(若林正俊君) 実は、循環型社会形成推進交付金というのがございます。これは、いわゆる廃棄物のスリーRを総合的に推進するために、市町村が自主性と創意工夫を生かしながら広域的かつ総合的に廃棄物処理・リサイクル施設の整備を推進をしていくということの目的で設けられているわけでございまして、市町村あるいはその一部事務組合を含みます自治体が循環型社会形成を進めるための幅広い施設を対象にしていまして、例えばリサイクルセンターとかストックヤードなどのマテリアルリサイクルの推進施設を整備する。あるいは、エネルギーの回収推進施設として、メタン化施設とかごみ燃料化施設など、焼却施設もそうですが、エネルギー回収推進施設とか、あるいは有機性の廃棄物をリサイクルするという意味で、汚泥の再生処理あるいは堆肥化の施設、そして、し尿に関してですが、浄化槽なんかもその中に入っておりますし、最終処分場もその対象でございます。そして、施設整備に関するいろいろの計画を作ったりする支援事業もその対象になっているわけでございます。
 実は、エタノールのような形の利用というのはまだこの中に入れておりませんけれども、これらが技術的に見通しが明確になり、そういう需要が見込まれる場合にはこのメニューの中にこれらも追加をするというようなことを通じまして、やはり生ごみの有効な再利用ということが大変に自治体にとって財政的にも負担の軽減になるし、今総務省の方でお答えいただきましたが、地域づくりの言わば最も生活に密着した部分での協力体制をつくっていく意味でも非常に大事なことでもありますので、そういうようなことを自治体との連携を取りながらこれから重点を置いて普及をしていく、御理解をいただくように力を入れていくということが大事なことだと、こんなふうに認識いたしております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 昨年でしたか、議員立法でできました有機農業の推進に関する法律の第四条の二項にも、国及び地方公共団体は農業者その他の関係者及び消費者の協力を得つつ有機農業を推進するものとするとか、政府は有機農業の推進に関する施策を実施するために法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならないとかいう条文がありまして、やはり生ごみの堆肥化をしていろんな形で活用していくことは僕重要だと思いますので、そこは、大臣は農水行政にも精通をしておられますので、是非、更に推進をいただきたいというふうに思っています。
 ちょっと食品リサイクルに戻りますが、定期報告制度を導入されました。定期報告制度でもちゃんと実態として内容が上がってこないと意味がなくなるわけでございますが、この定期報告制度の中身について御答弁をいただけますでしょうか。
○政府参考人(岡島正明君) 定期報告につきましては、法施行後、平成二十年度からの実績につきまして、これは年一回報告していただくことを想定しておりますけれども、内容といたしましては、一点目として、まず事業活動に伴いまして生じた食品廃棄物などの発生量及び当該発生量を相関の高い売上高でございますとかあるいは製造数量などで除した単位当たりの発生量、いわゆる原単位を報告していただこう、それから、発生抑制の具体的な取組内容でございますとか、あるいは食品廃棄物の適切な分別など、判断基準省令に規定されている事項の遵守状況のほか、再生利用などの促進のために実施した措置の具体的な取組内容など、そういったことを報告していただこうということを想定しております。
○福山哲郎君 その定期報告された内容については、どう情報公開をし、情報発信に取り組むのか、基本的な方針をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(由田秀人君) 事業者から報告された内容には、食品廃棄物などの発生抑制や再生利用などの促進に当たって他の事業者の参考となる優良な事例や、これらの取組の全般的な評価を行っていく上で役に立つものが含まれております。このような報告の内容を公表することは、食品リサイクルに対する理解を深めることに役に立つとともに、優れた取組が積極的に評価されることにもつながるなど、食品廃棄物の発生抑制及びリサイクルの一層の推進に対しまして大変有益であるというふうに考えております。
 定期報告の内容につきましては、特段の企業秘密にかかわること以外につきましては積極的に公表していくこととしてまいりたいと考えておりますが、具体的な方法につきましては今後検討してまいりたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 想定していた質問が三分の一ぐらい残っておりまして、申し訳ありません。
 リサイクルループについては、参考人からも、実際にやっておられるユニーという会社に来ていただいて、聞いて大変参考になりましたし、あれはやっぱり消費者教育には一番私はいいと思いますし、これの発展というか普及については、農水省、環境省含めて協力して、頑張って挙げてやっていただきたいと思いますし、若林大臣におかれましては、私は、政府が最近出している地球温暖化対策について、「美しい星へのいざない」でしたっけ、これについて若干幾つかこれは批判的なことを申し上げようと思っていたんですが、時間がなくなりましたので次の機会ということで、是非、この食品リサイクル法、実効性上げることを御検討いただきますことをお願いしまして、私の質問を終わらしていただきます。
 ありがとうございました。


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第166国会  参議院  環境委員会 2007年5月31日

食品リサイクル法案 参考人質疑


○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
 本日は、参考人の皆様におかれましては、大変お忙しいところありがとうございました。今、意見陳述を拝聴させていただきまして、大変参考になり、興味深いお話をたくさんいただきまして、心からまず冒頭感謝を申し上げたいというふうに思います。
 時間がありませんので、私の時間十五分しかありませんから、もう早速行きたいというふうに思います。
 今回の法案の改正の一つの大きな目玉としては、やはりリサイクルループの問題があるというふうに思います。
 まず冒頭、百瀬参考人にお伺いをしたいと思います。
 ユニーの取組、御社の取組に対しては大変敬意を表したいと思いますし、こういった形の取組が全国に広がることを願っているわけでございますが、実際、現場として食品循環資源の分別の際の品質管理をどのように確保しているのかということと、それに対して従業員からこんな面倒くさいことをやるのかというような話が、先ほどのお話でいうとかなりの数の百七十店舗というふうにおっしゃっておられましたので、従業員の方からどのような反応があって、それに対してどう教育をされているのかということも含めて、まず冒頭お話をいただけませんでしょうか。
○参考人(百瀬則子君) 百瀬でございます。
 まず一番目の課題でございますが、分別と品質の管理ということでございます。
 今画面にも出ておりますが、当社では十九分類に廃棄物を分けております。食品廃棄物に関しましては、ここにも出ておりますけれども、魚のあら、そして食品残渣、いわゆる生ごみ、天かす、それから食用廃油、その四種類でございます。
 今御質問にありましたのは多分生ごみという部分だと思いますが、当社では作業場の中にきちんと分別できるようなごみ箱を置きまして、そこの前で分別しておりますけれども、従業員はさほど苦に思っておりません。どうしてかと申し上げますと、私たち主婦がパートさんとして働いております。ですから、家庭での分別がかなり進んでおりますので、当社の作業場の中では分別に対して困ったというお話は聞いておりませんし、また、それを売場ごとに全部量っております。そうしますと、私の体重もそうなんですけれども、量ると抑制につながります。先月五十キロ、ちょっと多いなと思った、今月は何とか五%減らしましょうという形で。
 特に分別が厳しいのは、売れ残ったパッケージに入った商品だと思うんですね。それに関しましては、作るときの計画ですとか、それから天候や気温に合わせましてきちっとした計画の下に作っておりますが、分けるときにはそういった私たち主婦は手慣れたもので、きちんと分けております。
 また、品質の管理ですけれども、これらは廃棄物庫は冷蔵庫でございます。当社の廃棄物庫は温度が五度から十度の間に管理されておりますので腐敗するということはございませんので、そのまま肥料や飼料の原料として出すことができます。
 そういったところでよろしかったでしょうか。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 先ほどお話もいただきましたが、そのリサイクルループでいろんな形で商品が戻ってくると。それで、それに対して消費者の反応は、いい、良質なものだから売れたのではないかというふうに先ほど参考人おっしゃられましたけれども、情報発信というか、こういう形でリサイクルして物が戻ってきていますよということをどのような形で消費者に伝えられているのか。
 それから、例えば先ほどもコストをなるべく掛けないで継続性をということを言われましたが、ほかのチェーンストアさんとの比較でいうと、お客様の反応も含めて、どんな状況かお知らせいただけますでしょうか。
○参考人(百瀬則子君) まず、こちらの画面でもございますが、売場の方にはリサイクルして作った堆肥を使って栽培した方たちの顔写真付きで並べております。まずはお客様方は、商品がおいしそう、新鮮、また買ってみたら本当においしかったということで人気が出ております。ぱっと見ますと、リサイクルですよという看板ですとか、だれだれが作りましたというような表示がされています。そのことによってお客様方は、非常に安全で安心であって、リサイクルという無駄を省くというような、そういった観点からも有効であるということを分かっていただいております。また、これらはホームページですとか環境レポートの方で発表しております。
 ただ、このリサイクルループを作っている地域というのはたくさんではありません。ですから、これから先法律の見直しがなされて幾つかのループができてくると、たくさんのお店に広まってくると思います。
 また、コストの面でございますけれども、先ほど参考人の方もおっしゃっていましたけれども、私どもは廃棄物に関して、公共の処理場に出したとしても焼却のコストが掛かります。また、それを配送するための配送コストも掛かります。それらが、例えば名古屋市の場合は一キロ当たり焼却コストが二十円、一キロ二十円です。運搬費が十五円から十七円です。そうしますと、三十五円から三十七円ぐらいのコストが掛かっているわけです。それよりも掛からないコストで対応できれば問題はないのですけれども。現在のところ、食品残渣というのは有価物として売ることができます。堆肥の材料として買ってもらっています。また、その堆肥は、堆肥を作る方が買ってもらっています。そして、その堆肥を使って作られた作物を全部買い取るということで、経済の輪がきちっと回っています。経済の輪がきちっと回っていれば、どこも負担をすることなく、またお客様にも喜んでいただくということで、売れ残りがございませんので、コストの面では非常に良い状況で回っております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 次に、もっとお伺いしたいんですが時間がないので、酒井参考人にお伺いをしたいと思います。
 今回改正されるわけですけれども、前回の食品リサイクル法が施行されたときが平成十三年度、年間発生量が千九十二万トン、平成十七年度は千百三十六万トンと、食品リサイクル法が施行されても実は微増で、減っていないんですね。
 先ほど先生がおっしゃいましたけれども、やはり発生抑制というのが非常に重要な観点だと思うんですが、先ほどの先生の御説明もいただきましたが、先生がお考えになる一番重要な発生抑制の今後のポイントというものがあれば御示唆をいただければ有り難いなと思います。
○参考人(酒井伸一君) 具体的な発生抑制の目標ということに関しては、今現状でつかめているデータがどの程度かということに関しては、これは経験的にはやはり極めて乏しい状況にあるんだろうと思います。
 そういった中で、今おっしゃいましたこの五年間の実績として結果的に増えているという方向でいけば、やり方としては、やはり報告を出していただきながら、それで一体それがどういう努力でどう減ったのかということを積み重ねていきながら今後物を考えていかなければならないんではないかというふうに認識をしております。今こういうことをやれば、こう簡単にぱっとそれぞれの食品事業者から減るんではないかというふうに打ち出の小づち的な対応は恐らくはなくて、そこは少し議論の中でも注意したポイントは、かえって、海外からもうともかく調理済みのものばっかりを買ってくるというような、そういう状況にするとこれまた本末転倒だというところもうまく合わせながら、やはりそれぞれの工夫を社会に蓄積していくような仕組み、そういったところがやはり発生抑制に対しては一番のポイントではないかなというふうには思っております。
○福山哲郎君 今回、定期報告制度が導入されて、そこがじわじわと効いてくるのではないかという今先生のお話だと思いますが、では、その中で、中小零細企業にどうそれを広げていって実効性を上げていくのか、この課題は僕はずっとまだ残っていると思うんですが、このことについては先生、どのようにお考えでしょうか。
○参考人(酒井伸一君) 極めて難しいポイントをお考えいただいているということを理解さしていただきました。
 基本的には、やはり大手で取り組めることと、それと、極めて商店的な中小で取り組めること、ここにある種の濃淡が出てくることはやむを得ないというふうに思っております。
 そういう中で、当面、中小対策としてのやはり公共の在り方ということもそういう意味では頭に入れながら、いわゆる事業系ごみをその地域でどううまく活用して、結果として地域としてどのようにうまくエネルギーを回収し、あるいは堆肥を作り、あるいは炭酸ガスを抑制していくかという、いわゆる地域のそういう意味ではそこは計画というところが非常に重要になっていくんだろうと思います。それで、それをやりながら、同時に抑制のことも忘れずにお願いをしますというような、そういうちょっとバランスのいい政策の展開を期待をしたいというふうに思っております。
○福山哲郎君 ありがとうございました。
 石井参考人にお伺いをしたいと思います。
 大変御努力をされていますし、石井参考人の会社のこの標準のごみ質から、このような形で選別し、破砕をして分別ができて、なおかつエネルギーに変わるということで、未来も感じて楽しみなんですが、先ほどのお話でいうと、三百キロワット毎時でしたっけ。
○参考人(石井邦夫君) 今現在ですね。
○福山哲郎君 今現在、三百キロワット毎時売電の方に回しているというお話があったんですが、実際、得られた電気を売電することによる収入が、リサイクル料金などを含んだ全収入のうちどの程度の割合を占めるのか。それから、それが実際にビジネスとしてこれからいろんなところへ広げていくための工夫は、どのような形ならばマーケットメカニズムに乗っていく可能性があるのかということで、何か課題とかアイデアとか、今問題意識をお持ちになられればお知らせをいただければなと思うんですけれども。
○参考人(石井邦夫君) 私どもの現在の施設で、売電収入は、施設がフル活動しても年間三千万程度と考えております。それでありますので、製造原価を引き下げることには寄与しますが、事業収支の基本はあくまでも処理料金をいただくということから成り立ってこの事業は営んでおります。
 それと、食品リサイクル法、いろんな御承知のようにバリエーションがあります。私どもも処理業者でありますので、お客さんのニーズに従いまして、要するに、えさ化を進めてください、若しくは堆肥化を当社の廃棄物は進めてほしいということで私どもは承っておりますけれども、最終的にその方法ができないようなやつについてはガス化を進めるというところであります。
 それで、私ども当然、東京二十三区内に立地しておりますので、その施設の土地代、またいろいろ経費が掛かりますので、やはり一番の競争相手は市町村の処理料金ということになろうかと思います。
○福山哲郎君 最後に鈴木参考人に、もう簡潔にお答えをいただきたいと思うんですが、今回、廃棄物処理法との関係でいうと、ある種の規制緩和が進みました。自治体と、例えばリサイクルループの関係でいうと、どのような形での連携や地域での取組、先ほど酒井参考人からも中小零細もやっぱり地域での取組が必要だということがあったわけですが、そのことについて何か言及をしていただければ。本当に時間がなくなって恐縮なんですが、短く簡潔にお答えください。
○参考人(鈴木満君) 自治体は一般市民の生活ごみが処理責任として中心になるわけです。しかし、食品リサイクル法では百トン以上という対象事業者と。そういう中で、百トン以下であってもやはり相当の食品廃棄物は出るわけですから、そこがやっぱり自治体の役割だというふうに思います。民間のノウハウをかりながら、やっぱり自治体の中に堆肥化施設等を造って、市民ごみとともに再利用への道を、方針を取った方がいいかというふうに思っています。
○福山哲郎君 ありがとうございました。


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第166国会  衆議院  環境委員会 2007年5月15日

環境配慮契約法案


○末松委員 民主党の末松でございます。
 きょうは、参議院の議員の皆様方がおまとめいただいたこの環境配慮契約法ですか、それについて審議をするということで、まとめていただいた御労苦に対しまして改めて敬意を表します。
 民主党の方でも、脱温暖化、温暖化防止ということで、そこにおられます福山哲朗議員が中心となりまして、民主党の脱温暖化基本戦略というものをこの間まとめたばかりでございます。そういった意味から、一つ一つやれるところから脱温暖化を進めていくということが極めて重要だと思っております。その趣旨で、この法律は非常に意味があるというふうに私も考えております。まず隗より初めよということで、公的なセクターからしっかりとやっていくということが、時代の雰囲気を、またムードをつくっていく上でも非常にいいですし、それを実態として確保していくんだろうと思います。
 では、私の方は、順次この法案について質問させていただきます。
 まず、先ほども議論がございましたけれども、グリーン購入法というものとそれから今回提案されておりますこの法律の違いといいますか、むしろ、ちょっと対象範囲が広いのかなという御説明もございましたけれども、その辺のところから御説明をいただきたいと思います。
○福山参議院議員 末松委員にお答えいたします。
 この法案は、大きな目的でいえば、官庁のCO2排出量を削減すること、それから、国民の税金を結果として無駄遣いに終わらせないようにすること、それから、安かろう悪かろうという製品やサービスの横行を防止していくこと、このことが大きな目的としてあります。この場合の安かろう悪かろうの悪かろうというのは、もちろんCO2の排出係数が高いということでございます。
 こういった観点から、本法案は、国等による環境負荷、いわゆる温室効果ガスの排出等を削減するために、国等が結ぶ契約について、競争を促しつつ、価格等をも含め総合的に評価をして、そして最善の環境性能を有する物品やサービスを供給するものと契約をしていこうという仕組みをつくるものでございます。ですから、本法案は、国等が行う契約行為を対象とさせていただいています。
 しかし一方で、グリーン購入法は、契約を対象としているのではなくて、いわゆる製品でございまして、具体的に申し上げれば、紙類や文具類やいす、OA機器、家電製品、そして、例えば制服、作業服、インテリア等の大量生産された製品を中心として、そのことを最低満たすべき環境性能を規定していまして、要は、その環境性能に届いていない物品は購入をしないという形になっておりまして、まず、先ほど委員がおっしゃられましたように、対象が全く異なっているということでございます。
○末松委員 そうしますと、具体的にはどういうふうな事例といいますか、適用の範囲というのは、どういうふうな範囲の契約を含むというふうに考えればよろしいでしょうか。
○福山参議院議員 お答えいたします。
 この場合には、今申し上げましたように、排出の効果を考えながら、物品等の価格だけではなくて、温室効果ガス等の排出コストもあわせて現実には評価をして、そして、総合評価方式という形の中で契約の相手側を決定する、それを導入するということになります。
○末松委員 そうすると、そういう排出ガスのコストとか、それから、そういう総合評価をする際に、コストを算出するためのいろいろな前提がまた必要になってきますが、そういうことで社会のCO2の排出の意識というものを高めていこう、そういう趣旨でございますか。
○福山参議院議員 御指摘のとおりでございます。
○末松委員 本法案の対象となる、「国等」というふうなことが書いてございますし、また、「独立行政法人等」と書いてございます。この「等」、エトセトラについてなんですが、これにはどういうものが含まれることになりますでしょうか。
○福山参議院議員 お答えいたします。
 今御質問にありました「国等」には、この法案の第二条第二項に定義をされていますように、国、それから独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を指します。そして、そのうちの「独立行政法人等」というのは、やはり同条第三項に定義をされていますとおり、「独立行政法人又は特殊法人のうち、その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によって得ている法人であって、」具体的には政令で定めることとしております。
 また、国等の公的機関は環境保全の取り組みについて率先垂範が求められることから、国や公共性の高い独立行政法人、特殊法人等を本法案の対象としたものでございまして、ちなみに、グリーン購入法等の政令で定める独立行政法人等の中には、例えば、独立行政法人国立環境研究所や国際協力銀行なども含まれておりまして、グリーン購入法の範囲によれば二百の法人が今定められておるところでございます。
○末松委員 そういう対象とした理由についてもお聞かせいただけますか。
○福山参議院議員 済みません。今のはちょっと先に答えてしまったんですけれども、要は、国など公的機関はとにかく率先垂範をしなければいけない。先ほど末松委員が言われたように、まず国や地方公共団体や独立行政法人等がやるということによって、広く民間や国民にも示していきたいという思いで対象といたしまして、地方公共団体については、国に準じて、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に努めるよう、この場合、努力規定になっていますが、それは公共団体の自主性を尊重し、この法案では一応努力規定ということにさせていただいています。
○末松委員 今地方公共団体の話が出ましたけれども、この法案のように、二酸化炭素の排出量を考慮して契約が既に行われている、そういった全国の事例というのはございますでしょうか。
○福山参議院議員 現在、横浜市、東京都、愛知県などで二酸化炭素の排出量等を考慮した電力購入契約が実施または実施予定であると承知をしています。
 ちなみに、その具体的な内容は、入札参加資格として排出係数の数値の上限を定めるなどの、いわゆるすそ切り方式で導入しているものがありまして、特に、例えば例を挙げますと、横浜市などでは、二酸化炭素の排出係数や新エネの導入状況や、それから未利用エネルギーの活用状況や、その他の環境配慮事項の合計値が一定以上のものに対して、入札参加資格を与えるというような工夫を凝らしているというふうに承知をしています。
○末松委員 今、電力購入契約ですそ切り方式というのですか、そういうお話の例が出ましたけれども、この法律が適用された場合には、みんながそういったすそ切り方式という話になるんでしょうか。それとも、何か別途新たな方式というものがまた採用されることに予定されているんでしょうか。
○福山参議院議員 先ほども申し上げましたように、この法案においては、地方公共団体については、その自主性を尊重して、基本方針の策定などは努力義務としていますが、この法案が成立をし、施行した後においては、国において環境に配慮した電力の入札が行われるということで、既に取り組みが行われている地方公共団体以外でも同様の取り組みが行われるというふうに、すそ切り方式も含めて、総合評価方式というようなものがそれぞれの公共団体で工夫をされて導入されるように期待をしているところでございます。
○末松委員 できれば、この法律がある程度普及、ある程度じゃなくて普及をしっかりとして、その第二段階として、地方公共団体でも、努力義務ではなくて、そういったことをまたきちんとやっていただくような段階が来るのかもしれません。そういったところまで地方の自助努力というものをウオッチしながら、国から、新たな基準を設定するとか、あるいは、そういったものを押しつけるという言い方じゃないけれども、参考にしていただくような基準を定めるとか、そういうところまではお考えになられてはおられないでしょうか。
○福山参議院議員 今のところは努力規定ということで、そこまでの考えはありません。
○末松委員 もうちょっと具体的にお話をさせていただきますと、例えば建築設計の契約相手方を決めるのに、プロポーザル方式というのとコンペ方式、こういう方式があると聞いているんですけれども、その辺の違いと、このCO2削減という意味において、どちらがより望ましいと思われるのか、その点についてもお伺いしたいと思います。
○福山参議院議員 これは、私も建築の専門家ではありませんので、うまく説明できるかどうかよくわかりませんが、プロポーザル方式というのは、建築物の基本設計を提案させて、企画というような形で技術力やノウハウや知恵をそれぞれの設計者に競わせて、現実にまずスタートする。その後、実施設計を行わせる者を選定していきます。しかしながら、コンペ方式ですと、設計図を含む実施設計を提案させて、建築物の設計そのものを競わせるので、選定された設計に沿って実際に工事も行われていくということになります。
 そうすると、例えばコンペ方式では、完成された設定図を求められるので、当初応募する設計者側の負担やリスクというのが非常に大きくなります。そういう点をかんがみて、新築の官公庁の施設の工事に対しての設計については、最近は原則としてプロポーザル方式を導入しています。
 このプロポーザル方式を導入しているということを前提にして、この法案に盛り込まれた例の基本方針の中に、環境配慮を仕様書に詳細に規定をしていくとか、価格競争ではなくてプロポーザル方式で建築設計者に環境配慮を求めていくというようなことが、我々としては期待をしているところでございます。
 一方、先ほど末松委員からお話がありました自治体の問題でございますが、地方の自治体の場合には、まだ建築物の設計業務の大部分はほとんどが価格競争入札方式になっています。そうすると、環境保全上の環境評価というものがなかなか評価として受けにくい形になっていますので、この法案を受けて、先ほどの話と同様になるんですが、より環境保全上の取り組みを評価することが組み込まれたプロポーザル方式を地方自治体においても実施されることを強く期待しているところでございます。
○末松委員 この環境配慮契約法案が実施をされて、そして、先ほど契約でも何でも、脱CO2マインドですか、それが企業人の頭の中にしっかりと根づく、あるいは国民の間に根づいていく、こういうことを推進する上で、この法律は私もきちんと推進すべき法律だと思っております。
 そういったことを、さらにこれがまた起点となって一層のCO2削減に資することを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。


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第166国会  参議院  環境委員会 2007年5月10日

自動車NOx・PM法案、地球温暖化問題


○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。小林委員に引き続きまして質問をさしていただきます。
 まず、NOx・PM法の改正案についてでございますが、東京大気汚染訴訟の和解協議について、裁判所が異例の和解をして早期な解決を図りたいとしたことに対しまして、東京都やメーカー側は医療費の助成について前向きな姿勢を示しているにもかかわらず、国がこの問題について拒否をしていると。本当に十数年続いたこの状況について、最後の最後まで国が拒否をしているような状況が本当にいいのかどうか、大変悩ましいところでございます。
 そんな折、本会議の質問でもさしていただきましたが、総理が誠意を持って対応しなければいけないと答えられ、また環境大臣も次の日に、金銭的な負担を伴うことも含め和解に向けた追加策を用意する考えを示されています。
 現実問題として、この医療費助成について今どのようにお考えなのか、大臣の率直なお気持ちをいただきたいと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 委員がお話がございましたような経過を踏みまして、現在、裁判所側からの話合いによる決着の可能性を求めるという趣旨で和解を勧められたことでございました。
 この和解の話合いでございますけれども、今原告側とどういうような事柄につきまして話をしているかは、いよいよ和解の協議も私自身は大詰めになってきているというふうに認識をいたしておりますので、中身についてお話は申し上げられませんけれども、総理が言われておりますように、この訴訟の解決に向けて原告の方々の意見をよく聞いて、国としてできること、できないことがありますが、できるだけ誠意を持ってできることを織り込んで和解を進めていきたいと、このように考えているところでございます。
 特に、大気汚染に係る健康被害についての助成については、因果関係などの問題ございますけれども、自動車排ガス対策の一層の推進を図るとか、あるいは健康相談など、被害者、原告側のニーズがいろいろございますニーズを踏まえて、それらを充実させて、できるだけ幅広く対応策が取れますように東京都とも協議をいたしておりますが、和解でお互い解決を図ろうという機運が今盛り上がっておりますので、何とかここで決着を付けたいと、こんな思いでございます。
○福山哲郎君 大臣もなかなか難しい答弁の仕方をされておられまして、それだけ和解の中身が厳しい状況なんだろうなというのは推察いたしますが、最後の方におっしゃられました医療相談とかそういう話に持っていくことなく、やはり医療助成制度のことについても前向きに考えていただきたいと思いますし、やっぱり肉体的にぜんそくでしんどいことも含めて、前回の参考人質疑でも被害者の生活の様子、失業、そして転職、そして実はもう動けなくなる、人生後半、非常に厳しい状況になるような例も参考人から披瀝もありまして、長年この問題、時間も掛かっていることも含めて、是非、若林大臣におかれましては安倍総理を説得をして、若林大臣主導で和解に向けて、医療費助成制度創設に向けて御尽力をいただきたいことを重ねてお願いをさしていただきます。
 さらには、これもずっと懸案になっておりますPM二・五の環境基準の設定でございますが、一体いつできるんだと。この間も私、実は参考人の審議で申し上げたんですけれども、私、実は平成十三年の審議もこれかかわっているんですね。そのときも同じ議論をしているんです。あれからもう何年たっているんだ、六年たっているのか、要は、一体いつになったらできるんだと。そして、ようやく環境基準が設定してから、その後、いわゆる規制の政策の議論になるわけでございまして、これはやっぱりスピード感としては遅過ぎると思っておりまして、そのことについて、一体いつをめどにしているのかということについてお答えをいただければと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 環境省としてはいつごろまでに結論を出すかというお話でございます。
 確かに、基準の設定に時間が掛かっていることは委員御指摘のとおりでございますけれども、その理由としてあります長期にわたる疫学調査が必要であるというようなことから、検討に着手をいたしましたのは平成十一年の調査研究の開始以来でございます。今までどのような検討で時間が掛かってきたかということについては私からはるる申し上げませんけれども、私は既にその気持ちを明らかにしたところですけれども、このPM二・五の基準設定に関しまして近く検討会を立ち上げるという腹構えでございまして、学識経験者から構成されます検討会を立ち上げまして、その調査結果、さらに諸外国の知見も踏まえながら、微小粒子状物質に係る健康影響についての評価の専門的な検討を進めたいと、このように考えているところでございまして、現時点で直ちに今いつまでに設定するというふうに申し上げる状況ではございませんけれども、まずはPM二・五に係る健康影響評価の検討の作業を急ぎたいと、そのように考えているところでございます。
○福山哲郎君 竹本大気環境局長、何かありますか。
○政府参考人(竹本和彦君) 先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたとおり、このPM二・五に係る調査につきましては、平成十一年度より開始をしてきたところでございます。とりわけ、福山委員御指摘がありましたとおり、十三年度の、前回のこの法律改正の議論の中でも御指摘があったところでございます。ちょうどこの平成十三年から、また新たに長期疫学調査、五年間の計画で取り組んできておるところでございます。ちょうど十八年度までの継続的に実施をする必要がありまして、この調査結果の早期の取りまとめに向けて鋭意作業を現在行っておるところでございます。
 先ほど大臣の方からも申し上げましたとおり、こういった内外の成果、知見の集約をこの検討会、専門家から成る検討会にも御報告をして、専門的な立場からの検討を進めていただきたいと思っているところでございます。
○福山哲郎君 もう何度もこの間議論がありましたので、もうしつこく申し上げませんが、欧米はもう環境基準作っているわけです。要は、何でできないんだという話なわけですよ。欧米ができて、それに対する措置もできているのに、平成十三年から今年にかけていつまでも調査をやって、環境基準すら設定できないと。措置についてはその次の段階にあると。要は、分からないわけですよね。明確な説明になってないわけです、調査をしている、調査をしていると。いつまでの調査かというのを区切って、それはある種、大臣、政治決断も含めて、ここまでにやれと言ったら私はできるものだというふうに思っておりまして、そこは環境省としては、やっぱり環境省の信頼も含めて、しっかりとやっていただきたいと本当に切にお願いを申し上げたいと思います。
 私、あと実は十分しかないので、次に行きます。
 小林委員からもお話がありました。昨日、新聞報道の、削減目標を二〇五〇年までに半減という話がありまして、これは政府はということが各新聞の主語になっているわけですが、先ほど、大臣の答弁によりますと、政府として方向を固めた事実はありませんと。また、塩崎官房長官もそのような発言をされています。
 ということは、これは一体どこから出て、どういう経路でこういう報道がなされたと大臣はお考えですか。
○国務大臣(若林正俊君) さっぱり分かりません。
○福山哲郎君 では、大臣としてはこの方向性についてはよしとお考えなのかどうか、お答えください。
○国務大臣(若林正俊君) 先ほど小林委員にお答えを申し上げておりますが、基本的には、温暖化をストップするためには、今の排出量を半減をすると、そのことによって吸収量とバランスを取るということがなければストップ掛けられないという認識でおります。そのことをいろいろの場で私は説得に努めてきているわけでございますが、問題は、いつまでにそれを達成するかということに懸かっていると思います。延ばせば延ばすほど温暖化は進んでいくわけでございます。
 どの辺までが耐えられる温度上昇であるのかといったようなことについてはいろいろな考え方がございまして、さきの国連のIPCCの第三委員会における報告も幅広く問題を出しておられるわけですね。ですから、私どもは、アメリカも、そして中国、インドも納得の上で削減に一緒になって努力をするという基盤をつくっていくためには、EUが言うような早い時期での目標達成ということだと、うまく説得ができないおそれもございます。
 そんなことを考慮しながら、中国あるいはアメリカとの関係も、いろいろ意見交換をしている段階でございますので、私ども日本国の政府として、報道されるように、二〇五〇年ということをここで政府として決めることが適当であるのかどうか、効果的であるのかどうか、目的を達成することになるのかどうか、その辺については今慎重に検討しているところでございまして、今私として申し上げる段階にないと、こういうことでございます。
○福山哲郎君 そうすると、この報道は一体どこが、だれがどういう意図で出したか、非常に不可思議な問題でございまして、私は方向性としてはいいというふうに思っております。
 実はもう一点あります。
 今日の新聞でございまして、日本は、日本のエネルギー効率の高いシステムを各国が採用すれば世界じゅうでCO2を年間二十億トン削減できると、このような文書を国連気候変動枠組条約事務局に政府が提出していたことが分かったという報道がありますが、こういった内容の文書を提出していた事実は本当にあったのかなかったのか、お答えいただけますか。
○政府参考人(南川秀樹君) 私、今日の新聞紙は見ておりませんので、今の福山委員の質問にぴったり当てはまるかどうか分かりませんが、私の承知する限りで答えさしていただきます。
 日本は、国連の気候変動枠組条約の中にAWGというグループがございます。これは、具体的に京都議定書による削減の義務をかぶっている国の集まりでございます。その国に対しまして、国連事務局の方から、今後の、何年先とは言わないけれども、今後どんな削減のポテンシャルがあるだろうかと、それについて日本政府としての、各国政府としての見解を出してほしい、そういった依頼がございました。
 それにつきまして、我が国としまして、例えばでございますけれども、仮に日本並みのエネルギー効率というものをもし多くの国が採用すれば相当程度の削減ができるということを幾つか試算をしまして、それを付けて提出をしております。恐らくそれが引用されたと思います。
○福山哲郎君 アドホックグループの中でその議論が出たんだというふうに思いますが、この文書、提出されたものをもし出せるんだったら出していただきたいと思います。
 私は、温暖化の議論がいろいろ出てきておるのはいいことだと思っています。こういう政府が削減目標提案へという話が出たのも悪いことではないと思いますが、問題は、例えば選挙向けやサミット向けのプロパガンダであったりパフォーマンスであれば意味がないわけで、現実に削減目標を大きくするなら、二〇五〇年、五〇%削減するんだったら、ちゃんとロードマップを示さなければ説得力がありませんし、現実に、我が国は第一約束期間の約束が守れるかどうかまだ危ういところなわけですね。
 今後、やっぱり国際的な中で主導的な役割を果たしていくために、やはり具体的な政策のメニューの中でこうやって削減をするんだというロードマップを私は示していくべきだというふうに思いますし、大臣が全くあずかり知らないところでこういう報道が出ること自身、環境省としては実は問題意識を持っていただきたいと私は思っておりますし、安倍総理は環境を争点にしたいとおっしゃっておられるみたいですので、そのことも含めて、本当に温暖化については積極的な対応を環境省としては、大臣、頑張っていただいておりますが、若干最近元気もないし、前は排出権取引については前向きに考えていただいていますと言っていただいていたと思ったんですが、最近ちょっと元気もないし、消極的な発言も目立つようなので、よろしくお願いしたいと思います。
 ちなみに、民主党は昨日、脱地球温暖化戦略というのを党でまとめました。これには二〇五〇年に五〇%削減の方向性だということも明記をいたしましたし、更に言えば、木の文化の再評価を含め、脱炭素社会へ向けたライフスタイルの転換を地域や学校やいろんな分野でやっていくということもまとめました。いろんな御批判もあるかもしれませんが、国内排出権取引制度の導入についても早期に導入をするべきだと、そして国際炭素市場に向けて、ルール作りに向けて、日本は主導権を果たすべきだということもまとめさしていただきました。
 我々は残念ながら今野党でございますので、なかなかそこがすぐに実現というわけではありませんが、多分、恐らくですが、温暖化に対して日本が積極的に対応しなければいけないとか、それから地球上の生態系の問題を考えても、温暖化に対応、日本が主導的な役割を果たさなければいけないとか、国際マーケットの中でEU、アメリカに日本が乗り遅れてはいけないし、技術のある日本の企業がちゃんと国際競争力も保つようにしなければいけないというような問題は、恐らくそんなに環境大臣と私は見解が違わないと思っておりますし、そのことも含めて積極的に、大臣、頑張っていただきたいと。
 御感想を、私もエールも送らしていただきましたので、お答えも含めてちょっと御答弁いただいて、私の質問、今日は終わりたいと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 今、福山委員から、民主党としてこの法案を策定をされたというお話を伺って……
○福山哲郎君 基本方針です。
○国務大臣(若林正俊君) 基本方針ですか、大変心強く思っておりますので、我々もそのことをよく御説明もまた伺って、参考にできることは参考にしながら、この地球温暖化、気候変動枠組みの安全保障につきまして、日本として世界に貢献できるようにしてまいりたいと思います。
 ただ、私が、先ほど大変腰を引いてきているんではないかという御心配のお話がございました。それは、日本が本当に精一杯汗をかき、国民の皆さんの御理解をいただいて、日本としてこの削減をいたしましても、あるいはまたEUも一緒になってやるといいましても、地球の温暖化を進めていくこの排出量の中で二割程度のものにすぎないわけですから、そういう意味では、日本が用意があるという意味でしっかりとした準備をしていくことは、お互い議論をし、検討して進めなきゃなりませんけれども、それを外に発表して、日本はこれでいくんだということを言うことについては、先ほど来るるお話し申し上げていますけれども、やはり大きな排出国でありますアメリカや中国、インドなどの主要排出国も抱き込んで、巻き込んでいけると、それぞれの国にはそれぞれの国の事情がございますので、それらの国の皆さん方も納得をさせていくための責任もやはり日本はあると、こう考えているわけでございます。
 そういう意味で、いろいろな意見をいただきながら、そういう工夫を凝らして我々も対応をしていきたい、このように考えているところでございます。
○福山哲郎君 終わります。


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第166国会  参議院  環境委員会 2007年5月8日

自動車NOx・PM法案 参考人質疑


○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎と申します。
 参考人の皆様方におかれましては大変御多用の中、今日は貴重な御意見を賜りまして、心から御礼申し上げる次第でございます。座らせていただきながら質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 私も先生方と同様というか、先生方よりかはそれはかかわりは薄いんですけれども、平成十三年の法案の改正にもかかわりましたし、板橋区の大変汚染の厳しい交差点も現場を見に行きましたし、被害者の方にもお話を伺った経緯がございます。
 今回の改正で多少の、何というか、環境基準に達しない局地的汚染地域が若干残っているとはいいながら、全体として改善の方向に見えていることに対しては評価をしたいと思いますが、しかしながら、先ほどお話がありましたように、やはり一番重要な肝であった流入車対策について具体的な規制の枠組みが提示をされなかったということは非常に残念に思っています。特に、猿田参考人や大聖参考人が参加をしていただいているところの中環審の中では、規制の案は六案ぐらい具体的にメニューとしてあったはずだったにもかかわらず努力義務になったということについては非常に残念に思っています。
 そのことに対しては参考人の方々のほぼ共通した御意見だったと認識していますのでもう質問はしませんが、そんな中で、実はこの問題は二十年にも及ぶ問題になっていまして、ずっと国会の中でも、また裁判の中でもいわゆる科学的知見の問題についてちゃんと調査研究をやれと、さらには被害救済の方途を検討することというのが国会の中でもずっと附帯決議で言われてきたわけです。先ほど大江参考人からもありましたPM二・五の環境基準の設定についてもまだ行われていないわけです。
 つまり、因果関係の調査、それから被害者救済の方途、道筋の問題、それからPM二・五の環境基準の問題等について私は政府の不作為をやはり感じざるを得ない状況でございまして、このことについて、各参考人、どのようにお考えなのか、簡単で結構でございますので御陳述をいただければと思います。
○参考人(猿田勝美君) 今までいろいろな対策は講じられてきたわけでございまして、PM一〇から始まって、PM二・五、あるいはナノ粒子等についていろいろな御意見もというか、知見も得られてきておるわけでございます。
 今問題になっております粒子状物質等の問題としては、今後、どのような影響、いろいろな今検討会は設置されまして、あるいは各医学系の研究も進んできているところでございますけれども、最終的なサーベイランス等を見てまいりましても最終的なまだ報告が出されておりませんので、こうすべきである、こういう影響があるということを私自身申し上げる段階にはございませんけれども、ただ、微小粒子であるということは肺の奥まで侵入して何らかの健康に対する影響を及ぼすだろうというようなことを言われているわけでございますから、そういうことを中心にしたいわゆる微小粒子に関する知見を更に深めていくことがまず最優先されるべきだと。その上で、環境基準とか規制基準がそれぞれ整備されなければならないだろうというように私は考えております。
○参考人(除本理史君) 今先生がおっしゃった幾つかのポイントの中で、被害者の救済の問題について若干述べさせていただきたいと思います。これについては、先ほど申し上げたように調査した経験がございますので。
 今私が医療費の助成を行うことによって何らかの対策を取るべきだと申したのは、先ほども意見陳述の中で述べましたように、現在、悪循環と申し上げたようなある種の二次被害というか、健康被害から制度問題が絡み合って新たな被害に移行しつつあるという部分の進行過程を少なくとも止める必要があるのではないかということについては、これはある種の不作為と言われても仕方ないような事態があるんではないかというふうに考えているわけです。
 公害健康被害補償法自体は固定発生源中心の大気汚染の被害者を救済するという制度でしたから、新たに自動車排ガスで被害が出ているということをもし認めるのであれば、それに対して何らかの救済措置を講じるべきであるし、今の因果関係の視点を別にしても、現に今申し上げたような悪循環があるということを例えば福祉的な観点でも止めなくてはいけないと。環境と福祉の両方の観点を入れた制度というのがつくられていいのではないかなというふうに考えております。
 以上でございます。
○参考人(大聖泰弘君) 一つはPM二・五の関連でありますけれども、これに関しては国内でも幾つかの地点で観測が既に行われておりますし、それとPM一〇との関連も一部で明確になりつつあるというふうに思っております。
 そのPM二・五以下に含まれる成分の中で、ディーゼルからの粒子状物質が多くを占めているということもある程度はっきりしつつあると思っております。また、それに対する健康への影響についてもまだ調査を進めている段階だというふうに思いますので、今すぐ規制という形には少し時期が早いのではないかなというふうに思います。
 その一方で、御案内のとおり、新長期規制あるいはポスト新長期規制になりますと、未規制の当時からもう数十分の一に削減されますので、これはほとんど新車に関しては大気への影響、あるいは健康への影響はもう完全に払拭されるであろうというふうに思っております。したがって、再三申しておりますように、いかに新車への代替をうまく進めるかということが必要なんだろうというふうに確信しております。
 それから、流入車対策でありますけれども、規制の一方で、この地域内に流入する事業者あるいは荷主、そういった者への報告ですとか計画書を作らせて、それを管理するというやり方というのも私は規制を補完する意味で非常にこれからのやり方としては有効なんだろうというふうに思います。
 すべて規制でごりごりやるというよりも、大体、環境基準の達成がもう目前に迫っているわけですから、それを補完するという意味でこういう取組が行われるということも適切ではないかなと思いますし、その過程でやはり業者が、自分が、各社がそれぞれどれだけの汚染物を出しているんだ、それを減らすためにどうしたら、どういう対策を講じたらいいかということを自ら管理していくという立場はこれからは世の中の趨勢ではないかなというふうに思っておりますので、こういう取組が行く行くは二〇一〇年の環境基準の達成を超えて、例えばCO2対策とかそういったものにもつながる、まあ改正省エネ法というのが一方でございますけれども、そういった取組にも整合するものであるというふうに我々思っております。
 以上です。
○参考人(大江京子君) 不作為という点で二点申し上げたいと思います。
 私がかかわっております公害の関係で特に感じますのは、例えば浮遊粒子状物質の環境基準物質として定められたのが七二年、それで、自動車排ガスについてPM規制が始まったのが先ほど申し上げたとおり九三年、その間三十年近い間が空いていると。その点で、やはり今回のPM二・五も同様でございます。
 国は非常に慎重な調査研究を行うということで十年、二十年、ともすれば大変な膨大な調査を行います。今もう、現在も二十二年までのそらプロジェクトを行っておりますが、やはり被害者が現に生まれているということ、あるいは外国などの知見で現に危険性がもう言われているという時点で一〇〇%、一二〇%因果関係が明確になるということはあり得ないと、私、そういう立場で。そこで初めて規制ではなく、やはりかなりの蓋然性があると。事、人の生命、身体にかかわる、健康にかかわることでございますので、一〇〇%明らかになったところで初めて規制をするというスタンスではなく、是非前もった事前の防止策、そういう観点から積極的な作為を講じていただきたいと。その点は、特に規制の点で。
 あるいは、被害者対策についてもそうでございます。いまだに因果関係が明確でないということでなかなか対策、救済策が進まない。現に苦しんでおられる方がたくさん、除本先生がおっしゃったとおり、おられる。やはりそこから出発していただく。その観点が、是非積極的な作為を講じていただきたいと、そこはそういうふうに印象を持っております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 除本参考人にお伺いをしたいと思います。
 先生は、先ほどお話がありましたように、未認定患者の皆様の実態把握をされて、私も論文を幾つか拝見をさせていただきました。具体的な事例を拝見をするとやはり、何というか、リアリティーがありますので、非常に胸にぐっとくることもありまして、先生の論文に出てきた六十歳代から七十歳代の女性の方などは、仕事が終わってこれから五十代、六十代、第二の人生をどう生きようかといったときに実は患者になられて、非常に家族にも気を遣い、お金のことも考え、さらには自分の人生のやりたいことを全部断念をするような状況が幾つか出てきているというふうに考えますが。
 先生、この実態調査でございますが、調査の対象者についてはどのように把握をされて調査をされたのか、お答えをいただけますでしょうか。
○参考人(除本理史君) 調査対象者でありますけれども、残念ながら今、未認定患者というか大気汚染公害の被害者の方を把握しようとすると、例えば認定患者については国が認定していますので把握をされているわけなんですが、それ以外の例えば自動車排ガスで被害を受けた、病気になってしまった方というのはどこにどれだけいるのかというのは恐らくつかまれていないと思います。
 したがいまして、私ども、調査対象をどこに絞るかということで非常に苦労したわけなんですけれども、もう仕方なく次善の策といたしまして、東京大気汚染公害裁判の原告団の中で未認定の方々、四割ぐらいいらっしゃるので、そこの回答可能な方に調査を掛けたということであります。
 先ほど、医療費助成制度なんかをつくって、基礎的な作業として、まず被害実態をきちんと把握するということを是非行政がやっていただきたいというふうに思っています。これがないと議論のそもそもの土台ができないということですので、その点を希望したいと思います。
 以上でございます。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 大聖参考人に簡単にお伺いしたいんですが、大聖参考人は、自動車排出ガス小委員会の委員長であると同時に、交通政策審議会の委員でもいらっしゃいます。
 先ほど温暖化対策の話もされておられましたが、やはり基本的には大気汚染も温暖化対策も、交通需要管理や公共交通機関の整備は僕は非常に重要だと思っておりまして、いわゆる渋滞対策という名目で我が国は道路の拡幅をしたりバイパスを造ったりして、それが逆に大気汚染を助長をしてきたというような歴史的な私は経緯があると思っていますので、環境ロードプライシングとか交通需要管理政策とかいうこと、これからの町づくりに対して非常に重要な要素だと思いますが、それをこの国の政策に当てはめていくときに、やっぱり縦割りの弊害みたいのがたくさん出てくるわけですね。このことを克服することについて、何か先生の御意見があればお聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(大聖泰弘君) この対策では、私一つのかぎを握っているのは今後の情報通信技術だと思っています、技術的な観点から申し上げますと。皆さん最近、Suicaでバスも地下鉄も私鉄も乗れるというようなことがありますけれども、ああいう技術を使いますと、そういう交通流の円滑化ですとか渋滞の解消、それから行く行くはロードプライシングのようなものを導入する場合にもそれが不可欠になってまいります。また、それを我々がうまく使いこなすような土壌ができつつあると思いますので、そういう情報通信を使う上で、国土交通省、環境省、それから経産省、警察庁、総務省ですね、そういったところが是非協力していただいて、私、IT交通といいますかITモビリティーのようなやり方を進めていただきたいと思います。
 それから、道路インフラを整備していくということももちろん大事ですし、都市構造の改善というのも必要なんですけれども、これにはかなりの投資と時間が掛かります。そのような長期的な計画ももちろん推進していただきたいわけですけれども、それをサポートする、あるいはそれを克服する上でも、そういった情報通信技術、交通需要マネジメントも含めて、あるいは公共交通機関の利用のしやすさといいますか、そういったものを提供する上でも非常に重要なポイントではないかなと。これは日本の国としても是非推進していただきたい。これは実は大都市の環境対策にもなりますし温暖化対策にもなりますので、一挙両得といいますか、そういう側面があるということを御理解いただいて推進していただければというふうに思っております。
○福山哲郎君 ありがとうございました。
 時間が参りましたので、終わります。


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第166国会  参議院  本会議 2007年4月25日

地球温暖化問題、自動車NOx・PM法案


○福山哲郎君 私は、ただいま議題となりました法律案、いわゆる自動車NOx・PM法の改正案について、民主党・新緑風会を代表して質問をいたします。
 まずは、我が国の温室効果ガスの排出量が増加していることにかんがみ、昨今国際的な動きが活発化している地球温暖化問題について、関係大臣に質問をいたします。
 京都議定書が締結されて今年で十年。思い起こせば、六年前の四月、私はこの同じ壇上から米国の京都議定書離脱を批判するとともに、我が国の早期批准を求めました。その米国に大きな変化が生じています。そして、いよいよ来年、二〇〇八年に京都議定書の第一約束期間の開始が迫っています。
 IPCCの第四次評価報告書によれば、過去百年間で世界の平均気温が〇・七四度上昇し、温暖化の影響が地球規模で深刻化していることが明らかにされるとともに、科学的に九〇%以上の確率で温暖化の原因が化石燃料の消費などの人為的活動によるものであるとして、懐疑論争に決着を付けました。また、このまま温室効果ガスを増加し続ければ、今世紀末までに最大六・四度の上昇、平均海面水位が最大五十九センチ上昇すると予測され、極端な高温や熱波、大雨の頻度が更に増加する可能性が指摘されています。
 こうした中、地球の生態系を守るという観点以外に、地球温暖化問題を舞台とした新たなグローバルスタンダードをめぐる主導権争いが始まっています。世界の温暖化対策は急速に動き出しています。
 EUは、二〇〇五年から排出権取引制度を導入するなど、かねてより非常に前向きな姿勢を取っていますが、さきの閣僚理事会では、二〇二〇年までに温室効果ガスを二〇%削減すること、再生可能エネルギーの比率を二〇%に向上させることで合意しました。
 特に英国は、二〇〇五年グレンイーグルズ・サミットで対話の開始、昨年のスターン・レビューの発表と、戦略的に指導的役割を担ってきています。スターン・レビューでは、地球温暖化に対して何の対策も取らなければ、世界全体で毎年GDPの五%以上の被害が生じる可能性があると指摘する一方で、今から対策を行えばGDPの一%の費用で被害を食い止めることができるとしています。
 一方、温暖化問題に消極的とされてきた米国でも、映画「不都合な真実」のヒット、カトリーナによる被害、ガソリン代の高騰等を経て、国内議論が盛り上がっています。
 連邦議会では、昨年の中間選挙での民主党の躍進を受け、目標年次を定めたキャップ・アンド・トレードの導入によって排出削減を目指す何本かの議員立法が提出されています。中には、マケイン、ヒラリー、オバマ氏など民主、共和両党の有力大統領候補がそろって賛同しているプレジデント法案と呼ばれるものさえあり、州レベルにおいても、西部と東部でそれぞれ域内排出権取引制度が構想されるなど、二十八の州で温室効果ガス削減へ向けた行動計画が策定されています。また、十二の州が独自の排出削減目標を掲げています。また、GEやデュポンなど大手十社からも規制政策の早期導入を求める声が上がっています。
 さらに、米連邦裁判所は、今月、気候変動の被害が深刻なことは広く知られているとして、二酸化炭素を始めとする温室効果ガスを大気汚染物質と判断し、その規制を強く促す判決を下しました。
 こうした世界的な動きの中で、現在、地球温暖化問題については、京都議定書、G8プロセス、アジア太平洋パートナーシップという三つの国際的枠組みが同時並行的に動いており、これらすべてのトラックに参加しているのは日本、我が国だけでございます。
 また、来年のG8サミットが我が国で開催されることもあり、その対応に注目が集まっていますが、我が国のポジションは明確ではなく、その取組は遅れていると言わざるを得ません。
 二〇〇五年度の我が国の温室効果ガス排出量は一九九〇年度比八・一%の増加となっており、今のままでは目標である六%削減を達成できず、ポスト京都議定書の議論についてもイニシアチブを発揮することが難しい状況になっています。
 地球温暖化対策は、現時点において想定し得るあらゆる施策を排除することなく検討し、京都議定書の目標達成はもちろん、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させるという究極の目標に向けた対応を即刻進めていかなければなりません。安定化させるためには、世界全体の排出量を早期に現在の半分以下にまで削減することが求められています。
 我が国も早急に長期目標を定め、必要な施策を実施し、世界を主導していかなければならないと考えますが、環境大臣及び経済産業大臣の認識をお伺いします。
 また、EUのETS市場、米国の議員立法、中国での市場開設など、世界各地で起こりつつある排出権取引市場創設の動きは、途上国の参加も視野に入れた本格的な世界炭素市場の出現に向けて一気に加速する可能性もあります。
 そんな中で、我が国には排出権取引市場がまだありません。排出権取引制度の導入に対して国内の一部に強い抵抗がありますが、経済システムに環境をいかに内部化させるかが二十一世紀の大きな課題となります。我が国が世界の流れに乗り遅れないためには早急にキャップ・アンド・トレード型の排出権取引制度の創設を図る必要があると考えますが、環境大臣及び経済産業大臣の見解をお伺いします。
 重ねて、現在一%にも満たない再生可能エネルギーの導入割合を現状よりも大きく引き上げることが必要であると考えますが、両大臣の認識をお伺いします。
 温暖化問題に対する世界の対応は大きく変化しつつあります。この五年が転機となると思います。目先の利益にとらわれることなく、与野党を超えて脱温暖化社会の設計を行っていくべきです。脱温暖化社会の実現を国家目標に据え、更なる温室効果ガスの削減を実行することにより、現在、そして未来の子供たちと地球全体への責任を果たすことが私たち政治家の使命であると考えます。
 さて、自動車排気ガスによる大気汚染の問題は一九七〇年代以降深刻さを増しました。その対策のために、一九九二年、現在の自動車NOx・PM法の前身である自動車NOx法が制定されました。しかしながら、自来十五年、いまだに大気環境が環境基準に達しない局地的汚染地域が数多く存在します。この間、沿道住民はぜんそくなどの健康被害に苦しみ続けています。司法の場でも、西淀川判決以来、国は五連敗でその責任を認容されています。総務省の政策評価においても、局地汚染対策、交通量対策等の検討、実施が強く求められています。
 長年にわたり、国はなぜ有効な対策を講じ得なかったのでしょうか。これまでの経過とその責任の所在について環境大臣の答弁を求めます。
 局地汚染と健康被害の因果関係については、国は科学的知見が十分でないと裁判等の場で否定してきました。
 しかしながら、二十年も前の一九八七年から何度となく衆参両院で公害健康被害補償法改正案の附帯決議に示されてきた、科学的知見が十分でないことにかんがみ調査研究を早急に推進することと被害救済の方途を検討することの文言は、一体いつどのように実施されてきたのでしょうか。国会の意思をどのように受け止めてきたのでしょうか。
 驚くことに、これらぜんそくの発症と沿道での自動車排出ガスの暴露との因果関係についての疫学的評価のための調査は、つい最近の二〇〇五年度になってやっと開始されたのです。これでは不作為と言われても仕方ありません。国は、局地汚染と健康被害の因果関係について、調査が終了する二〇一〇年度には新たに判断を行うものと考えてよいのでしょうか。
 重ねて、東京大気汚染公害訴訟の和解協議をめぐっては、原告団が総理官邸を訪ね、東京が提案しているぜんそく患者への医療費助成制度に国も資金負担するよう要望されたことを受けて、総理は誠意を持って対応していかなければいけないと答えました。また、環境大臣も翌日、金銭的な負担を伴うことも含め、和解に向けた追加策を用意する考えを示しています。この具体的な中身はどのようなものでしょうか。併せて官房長官の認識をお尋ねします。
 他方で、健康被害者の肉体的、精神的苦労を考えれば、因果関係や責任の問題とは切り離して、一時的にも被害者を救済する制度を創設すべきだと考えますが、官房長官、更にお答えください。
 本改正案の目玉である重点対策地区の指定に当たり、都道府県知事は都道府県公安委員会や国土交通省など関係道路管理者と協議することとされています。重点対策地区の局地汚染対策は主に国や地方の様々な関係機関が主体となって実施することとなっていますが、その実効性はどのように確保されるのでしょうか。また、局地汚染の関係者、特に都市構造や道路構造の改善の面から国土交通省の協力が十分担保されるべきだと考えます。環境大臣及び国土交通副大臣の所見をお伺いします。
 中央環境審議会では、流入車対策として、対策地域内の非適合車の走行禁止や車種規制等の全国への適応拡大など六案が検討されましたが、改正案ではトラックなどの使用台数などにより事業者を限定した上での自主的取組によるものと後退した内容となっています。しかし、汚染者負担原則や事業者間の公平性、さらには一部の都道府県で施行されている非適合車走行禁止条例を参考に、流入車対策の一層の強化を行うべきと考えますが、環境大臣の見解はいかがでしょうか。
 環境基本法に基づき定められる環境基準は、科学的知見の充実とともに見直されるべきものと考えられますが、現行の粒子状物質の大気環境基準は一九七三年の設定以降何ら変更されていません。また、ディーゼル車からの黒煙など微小粒子状物質PM二・五については、米国など諸外国では既に対策が進められているにもかかわらず、我が国では環境基準すら設定されていません。
 東京大気汚染訴訟の和解に向けた対応も含め、PM二・五の基準設定や常時観測体制の整備を始め、粒子状物質に関する大気環境基準について全般的に見直すべき時期にあると考えますが、併せて環境大臣の見解をお伺いします。
 大気汚染対策、地球温暖化対策の双方に共通して重要な政策は、やはり交通需要管理や公共交通機関の整備ではないでしょうか。我が国では、渋滞対策という名目で道路の拡幅やバイパスの建設などが行われ、それがかえって大都市部における自動車流入を招き、交通量を増加させ、更なる大気汚染を引き起こしてきたとの指摘もあります。環境ロードプライシングなど大都市における交通量そのものを抑制する交通需要管理を積極的に行うべきと考えます。
 また、今後、高齢社会が進み、自動車を運転できない人々の増加、高齢者が加害者となる事故の増加が懸念され、コンパクトシティーなどの歩いて暮らせるまちづくりや公共交通機関の充実が望まれます。
 これらを踏まえると、今後、我が国の交通政策は、道路、鉄道等を一体に考えた総合交通体系の構築が必要であり、道路整備から公共交通機関の整備へシフトさせることも検討すべきだと考えますが、環境大臣及び国土交通副大臣のお考えをお伺いをしたいというふうに思います。
 これで、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣若林正俊君登壇、拍手〕
○国務大臣(若林正俊君) 福山議員から八問御質問をいただきました。
 まず、地球温暖化対策において世界を主導すべきではないかとのお尋ねがございました。
 気候変動枠組条約の究極目的である温室効果ガス濃度の安定化の実現に向けた長期目標を検討するに当たっては、まずは世界全体で必要となる削減量について各国の間で共通認識を形成する必要があると考えております。来年には我が国がG8議長国となることなども踏まえ、国際的な議論の進展に主導的な役割を果たしてまいります。
 次に、キャップ・アンド・トレード型の排出量取引制度の創設についてお尋ねがございました。
 国内排出量取引は市場メカニズムを活用した有効な政策手段の一つと考えており、現在、政府や産業界で構成される調査団をEUに派遣しております。今後、この結果や環境省が実施している自主参加型排出量取引における知見の蓄積を踏まえて、関係者間の理解を得つつ検討してまいりたいと思います。
 次に、再生可能エネルギーの導入についてお尋ねがございました。
 京都議定書目標達成計画において、太陽光などの新エネルギーについては二〇一〇年度までに原油換算千九百十万キロリットルの導入を行うこととしており、その達成に向けて着実に導入割合を高めていくことが必要と認識いたしております。さらに、新たな技術開発にも取り組んでまいります。
 次に、自動車排出ガス対策の経過及びその責任についてお尋ねがございました。
 大気汚染状況については、自動車NOx・PM法に基づく各種対策と自治体による努力などの結果、全体としては改善傾向にあることから、これまでの対策の効果はあったと考えております。
 しかしながら、御指摘のとおり、一部の局地においては依然として環境基準が未達成の状況が継続しているため、自動車NOx・PM法を改正して局地汚染対策を強化することとしたものであります。
 また、局地汚染対策の実効性の確保と関係者の協力の担保についてお尋ねがございました。
 局地汚染対策の実施に当たっては、その実効性を上げるため、重点対策計画の策定に向けて、国が定める総量削減基本方針において、局地汚染対策が関係機関の連携の下、推進されるよう明確に示してまいりたいと思います。また、個々の対策の円滑な実施に向け、国土交通省を始めとする関係行政機関に対して積極的に働き掛けを行ってまいります。
 流入車対策の一層の強化を行うべきではないかとのお尋ねがございました。
 中央環境審議会の意見具申を踏まえ、本改正案に盛り込んだ流入車対策は、適正運転の実施から車両の積載効率の向上まで、幅広い措置に及ぶ自主的な取組を事業者に促すため、大気環境の一層の改善に効果を上げるものと考えております。
 いずれにせよ、大気環境の改善は本法による措置と自治体の取組とが相まって効果的に進められるものと考えております。
 なお、PM二・五の基準設定等についてお尋ねがございました。
 現時点ではPM二・五の環境基準を直ちに設定する状況にはありませんが、検討会を設置し、PM二・五に関する健康影響評価の検討について取り組んでまいりたいと思います。PM二・五の常時観測体制は、モニタリング地点を増設する方向で検討をしてまいります。浮遊粒子状物質の環境基準は、今直ちに見直しを行う状況にはありませんが、科学的知見の収集に努めてまいります。
 最後に、道路、鉄道等を一体に考えた総合交通体系の構築が必要ではないかとのお尋ねがありました。
 現行自動車NOx・PM法においては、公共交通機関の利用促進などの自動車交通量を抑制するための対策を講じてきているところでございます。京都議定書目標達成計画においてもこのような対策が位置付けられており、環境省としては、関係省庁とも連携して、環境に優しい交通体系の構築に向けて努力してまいります。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
○国務大臣(甘利明君) 福山議員の質問にお答えさせていただきます。
 まず、地球温暖化対策において世界を主導すべきではないかというお尋ねであります。
 気候変動枠組条約の究極目的である温室効果ガス濃度の安定化の実現に向け、地球全体として排出量が削減できる実効性ある枠組みとすることが最も重要だと思っております。このために、次期枠組みにつきましては、すべての主要排出国が参加をし、最大限の排出削減に取り組む枠組みの構築が不可欠でありまして、我が国といたしましては、京都議定書締約国会合などにおきまして主導的な役割を果たしてまいります。
 次に、キャップ・アンド・トレード型の排出権取引制度の創設についてのお尋ねであります。
 この制度は、自国の排出量を直接規制できるという一方で、個々の企業への排出枠の割当てが前提となるものでありまして、その公平な実施が困難ではないかとか、あるいは企業の海外流出を招くおそれがないか等の指摘があります。このような点を踏まえまして、今後、その効果、産業活動や国民経済に与える影響等の幅広い論点につきまして、総合的に検討してまいります。
 次に、再生可能エネルギーの導入についてのお尋ねであります。
 再生可能エネルギーは、エネルギー源の多様化や地球環境対策の観点から重要であります。しかし、現時点では、経済性や供給安定性などの面での課題があることも事実であります。このため、コスト削減のための技術開発、導入支援、RPS法の的確な運用等によりまして、着実な導入を図ってまいります。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 福山議員にお答えをいたします。
 三点ございました。
 まず、局地的大気汚染と健康被害の因果関係についてのお尋ねがございました。
 局地的大気汚染と健康影響に関する調査につきましては、附帯決議のあった一九八七年度から直ちに検討に着手し、大気汚染物質への個人暴露量の調査手法等の検討を行い、さらに疫学調査の具体的な設計に取り組み、二〇〇五年度から大規模疫学調査を開始したところであります。この調査については、二〇一〇年度に結果の取りまとめを行うことといたしており、局地的大気汚染と健康影響の因果関係について評価を行い、それを踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。
 次に、東京大気汚染公害訴訟の和解に向けた対応についてお尋ねがございました。
 総理や環境大臣が言われたように、本訴訟の解決に向け、原告の方々の意見をよく聞きながら、国としてできることを誠意を持って検討するとの方針に基づいて、具体的には、自動車排ガス対策の一層の推進や健康相談等のニーズを踏まえた充実等、国としてできることを検討してまいりたいと思っております。
 次に、被害者救済制度についてのお尋ねがございました。
 大気汚染による健康被害に対する救済に関しては、因果関係を明らかにすることが基本であります。現時点では因果関係が明らかではないことから、国として対応することが困難であります。まずは、調査研究を推進していくことが必要であると考えているところでございます。(拍手)
   〔副大臣渡辺具能君登壇、拍手〕
○副大臣(渡辺具能君) 重点対策地区での局地汚染対策に向けた国土交通省の取組姿勢についてお尋ねがありました。
 国土交通省はこれまで、自動車排出ガス規制の強化や低公害車の開発普及、環状道路等の幹線道路ネットワークの整備等の環境対策を積極的に取り組んでいるところであります。しかしながら、大都市圏において環境基準を長年達成できていないような厳しい箇所が残されており、このような箇所の環境改善に向けた対策が重要であると認識いたしております。
 このため、道路管理者としても、NOx・PM法の改正を受け、重点対策地区において関係機関と連携し、交差点改良、道路緑化、環境施設帯の整備等の道路環境対策の立案、実施等を通じて積極的な協力を行ってまいる所存であります。
 道路整備から公共交通機関の整備へ予算をシフトさせることについてお尋ねがありました。
 良好な交通環境を構築するためには、各交通機関の整備及び相互の連携を確保、改善し、効率的な交通体系を形成することが重要と認識いたしております。このため、国土交通省といたしましては、地域の公共交通の活性化、再生のために実施する取組を総合的に支援する法律案を今国会に提出しているところであります。
 また、道路事業におきましても、公共交通機関へのアクセス道路の整備や交通結節点整備、連続立体交差事業のほか、地下鉄、LRT、次世代型路面電車の整備やバス走行空間の改善事業などを通して、これまでも公共交通の利用促進に努めてきたところであります。
 なお、自動車の走行速度が向上すれば自動車から排出されるNOx、PMが減少することから、バイパス整備などの交通円滑化事業も道路環境改善に効果があると考えております。
 道路整備と公共交通整備はいずれも重要であることから、今後とも道路と公共交通機関それぞれの整備及び相互の連携を図りつつ、利用者にとって利便性の高い交通体系の形成に向けた取組を積極的に推進するための予算を確保してまいりたいと考えております。(拍手)
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。


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第166国会  参議院  環境委員会 2007年3月20日

豊洲土壌汚染問題、志賀原発事故隠し、温暖化問題


○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
 大臣におかれましては、G8環境大臣会合、お疲れさまでございました。大臣と今年、ゴア副大統領の「不都合な真実」についていろんな議論をさせていただきましたけれども、今年は正に温暖化イヤーで、あちこちで温暖化の問題が起きていると思ったら、暖冬だと言ったら最近は寒くなったり、よく分からない気候ですが、そんな中で本当に御苦労さまでございました。
 私、今日、最初は豊洲の土壌汚染の問題聞こうと思ったんですが、午前中の大臣の各委員との御答弁もお伺いをして、ちょっと今日質問が多いので、冒頭幾つかだけ、事前通告ない件なんですけれども、大臣お答えいただけると思うので、ちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。
 一つつまらないことを言いますと、例の「不都合な真実」でございますが、当初、二十劇場で封切られたんですが、一時期四十三劇場まで増えまして、一月ほど前、十万人の方がごらんになったというふうに私は連絡を受けたんですけれども、今日、問い合わせますと、四月以降五十六劇場にまた拡大をして、現状、恐らく二十五万人以上の方がごらんをいただいているということになっていまして、ドキュメンタリー映画としては大ヒットだということで、それだけ温暖化に対する関心が高まっていると思います。
 その中で、先ほど加藤委員や岡崎委員や荒井委員、それぞれ温暖化の議論が出ました。少し気になったのは、大臣が排出権取引市場についての有効性について若干御答弁の中で疑問を呈されました。
 実は大臣、私との昨年の十月の二十六日の委員会の質疑の中で、排出権取引については政府委員が、義務型を含めた排出量取引全般について準備をしてまいりたいと考えますと、これ南川委員がお答えをいただいて、それを受けて、実は大臣が、大変大事な課題だと、そして、そういう世界の中でみんなで排出を抑制するという経済環境をつくんなきゃいけないと、それにイニシアチブが取れるよう、もっと積極的な取組を学界あるいは経済界にも更に求めていきたいと思っておりますという御答弁をいただいて、私は実はこの御答弁に非常に評価をすると、いい大臣に御就任をいただいたと申し上げたこと、大臣も御記憶があるかもしれませんが、今日は若干有効性に疑問だという話になりまして、ちょっと後退されているかなという気がいたしておりまして、いや、後退じゃないんだと、いろんなことをかんがみて、重大性は分かっているし、やりたいと思っているけれども、有効性を検証しなきゃいけないぐらいならまだ私も納得はしますが、ちょっと後退されているかなと懸念をしましたので、御答弁いただければと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 福山委員には、この地球環境問題について大変積極的な御関心をお持ちいただき、御検討をいただいて、種々御指導をいただいておりますことを、まず敬意を表しながら御礼を申し上げたいと思います。
 今、委員が御指摘になりましたこの排出権取引について、その有効性に今疑義があるかのような私の答弁、受け止め方をされておられますが、この排出権取引自身が地球温暖化を抑止していくために有効な手段であるということにつきましては、私もいささかもその考え方を変えているものではございません。
 しかし、実際に排出権取引をいたしますには、それぞれ、国別で言えば国別のキャップを掛けなきゃいけませんし、そして国別に掛けられたその国は、それぞれの排出事業所ごとに、分野ごとにそのキャップを掛けていかなきゃいけないわけでございます。その事業所で見ますと、鉄鋼や電力、あるいはセメント事業から始まって各種のセクターがそれぞれCO2排出についての構造上の問題を抱えておりますから、これが果たして均衡あるキャップを掛けられるのか、どのような形でそれを掛けていくのか、掛けた後の取引市場というのが言わば炭素価格として本当に妥当な水準を決めることができるものなのかということについては大変に、初めてのケースでございますから、いろいろ問題が一杯あると思っております。
 我が国では、そういうことを、知見を得るためにキャップをまだ掛けておりませんけれども、それぞれの企業が自主的にこれに取り組んでいただくということで、自主参加型の排出権取引の制度を発足させてスタートさせてきているわけでございます。企業の側も各種のいろんな業種にわたっておりまして、それらの業種の方々がこの自主参加型の取引制度に参加をしてきていただいております。まだ実績は出ておりませんけれども、それらの皆さん方の努力、あるいはその実績、効果といったようなものはまだまだはっきりしない状況にあるわけでございまして、更にこういう知見を積み重ねていかなければならないなと、こういうふうに考えているところでございます。
 一方、EUは先行的にこの排出権取引、各国別にキャップを掛け、国がその事業に対して、それぞれの排出事業者に対して、すべてではありませんけれども、主要な排出事業者にキャップを掛けて、その取引を始めているわけでございます。イギリスが最も進んでおりまして、イギリスもそのような取引制度を充実させるべく大変な努力をしておられます。しかし、実際これを実施している状況を承知する限り、なかなか、公平にキャップが掛けられるのか、その排出権の価格形成がうまくいっているのかといいますと、いろいろ問題を持っているということが分かってまいります。
 その意味で、私は、やはりこれは強制的に公権的にキャップを掛けて取引を進めるとなりますと、形を変えた言わば税制のような負担をかぶせることになるわけですから、あくまでこれは公平でなければならない、公正でなければならない。同時に、その効果も国民の皆さん方にも納得できるような効果が説明できなきゃいけない。その辺のところをきちっと詰めていかないといけないなと、こういう意味でございまして、先ほどのG8プラス5の大臣会合においても、非公式な会合を通じてEUの委員長ともお話をいたしました。
 イギリスの大臣ともその点の意見交換をしたわけでございますが、私の方から少し調査をさせてもらいたいという申出をいたしましたら、快く、是非来てくれと、EUの委員会としても、あるいはイギリスとしても、日本の側からその専門的な立場で担当者が来ていろいろと意見交換をし調査をするということについては大歓迎だと、こういうお話をいただいておりますので、なるべく早い機会に日本から関係者が伺いまして調査をしてくる、調査をして意見交換をしながら、どのような形の排出権の設定及び取引を行ったら有効かということについて更に詰めたい、こんな思いでお話を申し上げたところでございます。
○福山哲郎君 今のお話を伺うと、非常によく理解をいたしますし、是非、日本の調査というのは積極的に、また早く実現をしていただきたいと思います。
 私も排出権取引市場の中で、各それぞれのセクターにどうキャップを掛けるかという、仕組みの問題として難しいことは承知をしております。しかしながら、日本の自主的な取組が今参加社が八十九社、EUETSは現実にもう一万社がコミットしています。もう大臣は御案内だと思いますが、アメリカでは、GEやアルミのアルコア、それから化学のデュポン、それから金融のリーマン・ブラザーズなどの企業十社の大手の経営者は、削減の義務を負う仕組みをアメリカに導入するべきだという議論をアメリカで始めています。更に言えば、御案内のように、大統領選挙がアメリカございますが、民主党側の大統領候補であるクリントン、それからオバマ氏、そして共和党側の大統領候補の一人であるマケイン氏が、みんなある排出権取引というかキャップ・アンド・トレードの法律について、実は大統領法案と言われているような法案にみんな収れんをしていって、今議論をしています。
 そうすると、アメリカの大手の企業もこういう声が上がった、議会では法案が通る可能性がある、EUはもうできていると。実はアメリカの言っていることとEUの言っていることはだんだん共有化してくるのではないかと。先ほど加藤委員もおっしゃっておられましたが、やはりそこの中で日本が乗り遅れないでおくことが私は非常に重要だと思っておりまして、前のこの委員会でも申し上げましたが、生態系を守る、人類の生存を守る、地球の生存を守るということのもちろん温暖化対策は重要でございますけれども、グローバリゼーションの中でだれが勝者になるかというと、グローバルルールをつくった者です。
 今僕は、排出権取引も含めて温暖化というものをテーマにして、アジェンダにして、私はグローバルルールをどこの、EUなのかアメリカなのか、もちろん途上国も含めてですが、どういうふうにグローバルルールをつくっていくかという競争が間違いなく始まっているというふうに思っておりまして、是非そこは日本は積極的にコミットしていただきたいと思いますし、先ほどの有効性の議論も、実は環境税も有効性かどうか分からないと言っている間に原油が値上がりして、環境税の掛ける以上にガソリンの値段が上がりました。それはいろんなこと言っていると現実には前に進みません。
 もっと申し上げれば、じゃ、六%削減の目標に対してまだ八・数%日本は排出をしている中で、目標達成計画自身の有効性自身が問われるわけです。それは排出権取引市場の有効性ももちろん重要ですが、目達計画の有効性は一体どうなんだという議論がもちろん出てくるわけで、そういう点も含めて、大臣は実は分かった上で、いろんな日本のポジション難しいところでお答えをいただいていると思いますけれども、もし何か御意見があれば御答弁をいただければと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 排出権取引という手法が有効性を持っているというふうに考えていることにつきましては、委員の認識とそう大きく違わないと思っております。しかし、これをキャップを強制し、取引を言わば規制の中で行わせるというシステムをつくるとすれば、これは本当にまかり間違って失敗しますと全部崩れてしまうんですよね。その意味で、関係者がこの公平公正について信頼を持てるような説明を政府としては、私どもとしてはしないと、これを押し切ってそのまま実施に踏み切っていくというわけにはいきませんので、今実施過程に入っておりますEUについて更に知見を深めるためにまた意見交換をして、これならいけるんだというような判断をする基礎を、材料を欲しいと思っております。
 アメリカでいろいろな動きのあることも承知いたしておりますが、しかし、アメリカの仕組みというのはもちろん州によっても違うわけですけれども、大企業がそのようにおっしゃっておられましても、大企業と中小企業との間の経営構造の差、あるいはその技術の差によってその排出の程度も違っておりますし、それらを本当に中小企業も含めすべての主要な企業にこれを適用するためには、かなりの準備期間がないとそのようなことができないと思うんですね。
 そういう意味で、日本の場合は自主的な計画を立てて今日まで進めてきておりますから、その自主計画でどこまでできるか、それを一生懸命取り組んでいる皆さん方にそれを更に加速させてしっかりやってもらうということを求めつつ、排出権取引を導入した場合にどんなような姿になるのかということをお示ししなければならないと、こう思っておりまして、国際ルールについてどちらが先にやってどういうルールをつくるかということで競争的な関係に必ずしも日本は入っていかなきゃならないというふうには考えていないわけでありまして、ヨーロッパあるいはアメリカの検討の状況も常に注意をして、情報収集をし、協議をして、それでスタートを切って、国際社会の中で排出権取引が支配的な仕組みとして動いていくときには、そのときには日本も日本なりのシステムで対応できるようにしていかなきゃいけないと、このように考えております。
○福山哲郎君 日本が自動車の排出ガス規制で、実は各産業、自動車セクターも厳しい思いをした中で、実は排出ガスの規制で、実は省エネの車も含めて、公害対策も含めて、技術的に大分、技術的にかなり私は進歩したという歴史的な経緯もあると。
 実は、安倍総理は片仮名のお言葉がお好きなようで、イノベーションイノベーションとおっしゃっておられますけれども、現実問題として、ハーバード大学のポーター教授というのは、いわゆるポーター仮説というのを今唱えておられまして、環境規制が強いとそれだけ国際競争力の強い企業、国際競争力が高まるというような仮説を今唱えておられます。要は、脱炭素技術をどう世界のマーケットの中で我が国が優位に立てるかというところも私は重要な観点だというふうに思っておりまして、環境を守ること、温暖化に対して対策をすることはイコール経済にはマイナスではないんだという仕組みをいち早く仕組みとしてつくっていく国がこれから先やはり国際競争力上も優位に立つ。
 現実にはトヨタという自動車会社もそういった観点で世界で非常に今売上げを伸ばしているということもあるわけでございますから、規制をすることに対して確かに慎重にならなければいけませんし、ある一部分のセクターだけを集中的に弱まらせるようなことをすることも私はやってはいけないと思いますから、それぞれのセクター、産業の合意形成は大臣がおっしゃるように必要だと思いますけれども、そこは規制に対して余り消極的になり過ぎないように、EUもアメリカもそのような動きがあるということを是非政府としても御認識をいただいて、温暖化対策については積極的に、来年のG8もあることでございますから、よろしくお願いしたいと思っています。
 これ言い出すと私ほとんど終わってしまいますので、ちょっとこれで次のテーマに一応移ります。
 豊洲の土壌汚染問題でございます。
 東京がいわゆる市場を新しいところに移すということで、最近話題になっております。そこが移転計画をめぐって水産の仲卸業者の方々から反対運動が起きていまして、現実問題として、この間の予算委員会でも議論になりましたように、環境基準を大幅に上回る有害物質、鉛、砒素、六価クロム、シアン、ベンゼン、水銀で土壌が汚染されていることも公表されています。
 問題は、この土壌汚染が食べ物を扱うところだということが大変な、非常に重要なポイントになっているわけでございますが、環境省がこの土壌汚染を確認したのはいつですか。
○政府参考人(寺田達志君) 御説明申し上げます。
 まず、豊洲の土壌汚染問題でございますけれども、これは私どもの所管しております土壌汚染対策法の対象ではございません。そういう意味では、これまで法律に基づくいわゆる公文等での届出というものはないということでございます。また、土壌汚染対策法施行以前に明らかとなった事例でございますので、なかなか過去の記録というものも見いだし難いところはございます。
 実際は、平成十三年一月に東京ガスが豊洲地区の土壌汚染状況を自主的に公表しておりますので、この時点で何らかの形で情報を得ていたという可能性はありますけれども、そこまでは確認はできておりません。私どもが確認できる範囲では、平成十四年三月には本件についての情報は得ていたということを確認しております。
○福山哲郎君 情報を得た後、何か環境省、対応されましたか。
○政府参考人(寺田達志君) 先ほど御答弁申し上げました話と若干重複はいたしますけれども、平成十四年三月の前の時点で、既に十三年一月に東京ガスが調査結果を公表いたしまして、対策を実施するということを表明しております。また、十四年の六月には東京ガスから東京都の条例に基づく届出書が東京都に提出されている、すなわち対策の実行段階に入ったということだと思っております。それ以降、環境省といたしましては東京都から適宜情報の提供をいただいているところでございます。
○福山哲郎君 土壌汚染対策法の施行前だという議論が、もちろん僕は理屈としては分かるんですが、土壌汚染対策法の公布はいつでしたっけ。
○政府参考人(寺田達志君) 公布は平成十四年の五月でございます。
○福山哲郎君 二〇〇二年三月、つまり平成十四年の三月には承知をしておったと。その二〇〇二年の五月に公布をされている中でこの土壌汚染対策法をまたこれ審議しているわけですよ、国会の中で。これ知っているわけでしょう。
 確かに施行は翌年の二月ですよ。それは対象外なのかもしれませんが、それは全く、これ今、審議をして公布している年に、これだけ巨大な土地の汚染を、更に言えば食べ物に関するものに対して知っていて何もしていないというのは、それはなかなかやっぱり通りにくいんじゃないですかね、環境省さん。
○政府参考人(寺田達志君) 実際に、先ほど申しましたように平成十四年の三月というのは正にこの土壌汚染対策法の審議をしている時点でございまして、そこでの、国会で御質問をちょうだいしたということから我々がその時点で承知していたということが確認できたというものでございます。
 ただ、実際に法律そのものは、先ほど先生からもお話ございましたように、十四年の五月に公布され、さらに十五年に入ってから施行されているということでございまして、その時点以降の対応ということにはならないというふうに考えております。
○福山哲郎君 いや、それこそ正に役人答弁でございまして、土壌汚染対策法の審議をしている最中にこのことを知って、これは公布後だからこれに対して何も対応していませんなんというのは、大臣、これやっぱりなかなか通りにくいですよね。どうですか、なかなか答弁しにくいと思いますけど。
○国務大臣(若林正俊君) まず、当該豊洲の地区、所有は東京ガス所有でございました。この東京ガス所有の土地をどう利用するかというようなことは、これを卸売市場に利用するというようなことは、卸売市場を所管しております農林水産省が卸売市場整備計画の中で位置付けて、そして卸売市場整備計画に従ってこれが適正に供用されるかどうかというようなことを十分にチェックをする立場にあるわけでございまして、卸売市場の開設の認可権者は農林水産大臣でございます。そして、それを、卸売市場整備計画の変更をいたしまして計画に基づいて卸売市場として認めるというのはこれからの段階になっておりまして、当時の十四年の段階では、これを生鮮食料品の取引を含む卸売市場に供用するというようなことは公には何も明らかになっていたわけではございません。
 ですから、その意味で、そういう情報が入りました段階で、言わば公権力的に環境省がこの東京ガスを相手に、その調査の実施に当たって行政指導するという特別の立場を持っていたわけでは実はないわけでありまして、法律に基づいて、そういう権限に基づいてやるということはできなかったということだと思います。
○福山哲郎君 じゃ、今大臣が言われた、卸売市場になるのは表になっていないと。なってから法律に基づいて、表になってから、法律に基づいてやれないとしても、環境省としては何らかの取組なり何らかの対応はされたことはあるんですか。
○政府参考人(寺田達志君) 先ほど申し上げましたとおり、本件につきましては、所有者である東京ガス、さらには東京都において様々な調査検討が進められておるところでございまして、環境省といたしましては、そうした状況につきまして逐一情報の御提供をいただいたというところでございます。
○福山哲郎君 今回問題になっているこの事業は、今御答弁ありましたように、土壌汚染対策法の施行前に廃止されているんですね、元々の東京ガスの事業所自身が。だから、環境省が法律上の権限を持って直接これを指揮、検査することはできないと。だから、東京都から情報を得て、報告を受けているしかできないという話なんですが、環境大臣自身も、生鮮魚類の取引という点から、万全の上にも万全を期するという意味で、これで安全だというふうに私どもとしても言い切れる状況ではないというふうに考えておりますと、この間、衆議院の予算委員会で答弁をされています。
 これ元々、土壌汚染対策法、私も実は相当審議にかかわりました、当時。このときにどんな話になったかというと、土壌汚染になっているところに基本的には、これそのときの議論でもあったんですが、要は公園とか住宅で何らかの健康被害が及ぼしてはいけないという議論が前提であったわけです。現実に、実際には大阪の方でマンションができて問題になったりしているわけですが、しかしながら、公園とか住宅でも問題だと言っていたんですが、これやっぱり食品、生鮮品を扱う市場なわけですから、そもそも土壌汚染対策法の中にすらこの市場までは想定していないんじゃないかと思うんですが、それはどうなんでしょうか。
○政府参考人(寺田達志君) 土壌汚染対策法でございますけれども、この法律につきましては、委員御存じのとおり、水質汚濁防止法の特定施設が廃止された段階で対象足り得るということでございます。ただし、同法の第四条によれば、先ほど申しました水質汚濁防止法の対象施設が廃止されるということ以外にも、多数の方々が居住をするとか不特定多数の方が出入りをする、あるいは近傍で地下水飲用の事実がある等々の事例がある場合には、そこで人の健康に危害が及ぶということがある程度予想される場合には、都道府県知事はこの法対象にすべく調査を命ずることができるということになっておりまして、そこは用途を特別に特定しているわけではなくて、あくまで健康被害の蓋然性というところで判断をするということでございます。
○福山哲郎君 今、東京ガスがやっている調査その他、東京都がやっているものに対しては、この土壌汚染対策法に想定されている調査に匹敵するものをやっているという認識ですか、環境省は。
○政府参考人(寺田達志君) 東京ガス等が行っております調査あるいは対策については、必ずしも土壌汚染対策法で規定されているものと同一というわけではございません。また、私ども自身が土壌汚染対策法に基づいて本件事案につきまして個別具体に審査をしているということでもございませんので、確定的なことはなかなか申し訳ないことながら申し上げにくい状況にございます。
 ただ、対策レベルからいいますと、一般論としては、土壌汚染対策法で要請されているレベルに匹敵ないしそれ以上のものだというふうに認識はしております。
○福山哲郎君 例えば土壌汚染対策法の中では、この調査は指定調査機関、環境大臣が指定したところが調査をすることになっていますが、東京ガスの土壌汚染状況調査をした業者、調査機関はどこか、環境省は把握していますか。
○政府参考人(寺田達志君) そこまでは把握しておりません。
○福山哲郎君 つまり、土壌汚染対策法は国の指定調査機関が調査報告をすることになっているわけです。これ東京ガスが調査をしているという前提で東京都も今いろんな報告を出したりして安全だと言っているんですが、その調査機関がどういう調査機関かも実は環境省は把握をしてないわけですね。じゃ、安全かどうか言い切れるかというと、そこも、先ほど環境大臣の予算委員会での答弁でも安全と言い切れるかどうか分からないという議論になっておりまして、これ農水省は今どういう御認識なんでしょうか、お答えいただけますでしょうか。
○政府参考人(佐藤和彦君) お答えいたします。
 豊洲を含めまして卸売市場につきましては、食品の流通の拠点となるということから、食の安全、安心が確保されることが大前提であると、そういう認識をまず基本的に持っております。その上で、私どもも東京都の方から情報を取ったりしておるわけでございまして、東京都からは豊洲につきまして環境規制を十分にクリアした対策を実施するなどの説明聞いておるわけでございますが、さらに、今スタートしております、東京都が行っております環境影響評価、こういったこともしっかり確認していきたいと思っておる次第でございます。
○福山哲郎君 今の答弁は予算委員会の農水大臣の答弁とほとんど一緒で、松岡農水大臣も、東京都とはしっかりと連携を取りながら、環境影響評価が行われておりますので、これもまたしっかり確認してまいりたいと思いますというふうに大臣答えられております。今もそのように答えました。
 じゃ、ちょっとお伺いします。都による環境影響評価には食品安全に関する事項は含まれていますか。政務官、答えていただけますよね。寺田さんですか、審議官ですか、政務官ではなくて。じゃ審議官。
○政府参考人(寺田達志君) ただいま御指摘のございました環境影響評価、これは東京都の環境影響評価条例に基づいて行われているものと承知しております。その中での項目でございますけれども、十一の項目について評価が行われております。十一の項目と申しますのは、典型七公害から地盤沈下を除いた六項目、さらに生物・生態系、日影、風環境、景観、廃棄物及び温室効果ガスでございます。
○福山哲郎君 農水省、食品の安全含まれてないじゃない、環境影響評価に。食品の安全含まれてないのに、どうやって食品の安全を、環境評価をしっかりと踏まえて東京都と連携して安全を守っていけるのよ。農水省、ちょっとお答えください。
○政府参考人(佐藤和彦君) 卸売市場を造るという前提での環境影響評価であるというふうに認識しておりますが、したがいまして、これ農林水産省の方からということがいいのかどうかよく分かりませんけれども、直接に出てないにいたしましても、当然その食の安全ということが前提として環境影響評価がなされている。これは都民、何といいますか、住民の意見も聞くプロセスも入ってございます。
 私どもといたしましては、何せ食生活に大変に影響を持つ問題であるということから、しっかりとした食の安全性、信頼確保をされるような市場建設がなされると、そういうことが、そのための対策を講じるということと併せて、その辺りで、その関係者、消費者含めて、関係者からの理解を得るということが非常に重要であると思っておりまして、先ほど申し上げましたのもそういった趣旨でございますけれども、私どもとしては、東京都に対してはその点対策を講ずるということと、関係者、消費者の理解を得るということを強く求めていきたいと考えておる次第でございます。
○福山哲郎君 今の説明で理解なんか得られるわけないじゃないですか。条例には含まれてないんでしょう。そして、あなた、直接表現をされてないかもしれませんけどと言っていたけど、今、環境省はさっき何て言っていたんですか。土壌汚染対策法では施行前だから無理でしたと、だけど東京都は条例に沿ってやってますからと言っているわけですよ。全部東京都の条例に今ゆだねているわけでしょう、国は。
 それで、農水省は、大臣も含めて今あなたが、環境影響評価が行われておりますので、東京都と連携をしてやって、確認してまいりたいとあなたさっき答弁したじゃないですか。その環境影響評価に食品の安全含まれてないんですよ。条例に書かれてないんじゃないですか。どうやって、表現されてないけれども、じゃその食品の安全担保できるんですか。農水省、お答えください。
○政府参考人(佐藤和彦君) 東京都の中央卸売市場の整備につきましては、まず第一義的には東京都が責任を持ってやるというのが前提であろうかと思います。そして、卸売市場を整備するという観点からの手続が取られている、その中には食の安全ということも当然に含まれ、東京都において適切に対応されるものと考えております。
○福山哲郎君 寺田審議官、何かあるんだったらどうぞ。
○政府参考人(寺田達志君) 若干先ほどの答弁を補足させていただきますけれども、冒頭、私の方で東京都が条例に基づく対策を実行していると申し上げましたけれども、この条例は環境確保条例でございまして、環境影響評価条例ではございません。
 さらに、先ほどの答弁若干補足させていただきますけれども、当然、環境影響評価では環境への影響というものを評価するわけでございますけれども、その中では環境起因の人に対する健康影響、その中には食品にかかわる部分というのも概念的には含まれるものと考えております。
○福山哲郎君 概念的に含まれるなんて当たり前の話じゃないですか、そんなものは。でも、現実問題としては、国会の答弁で農水大臣が環境影響評価をしているからそれに基づいて東京と連携しているって、そこに食の安全が入ってないんじゃないですか、項目として。概念的に含まれるなんて当たり前の話ですよ、そんなのは。市場で、なおかつ生鮮品で、人の健康にだって影響あるに決まっているじゃないですか。
 これ、どうやって新市場の安全性を、農水省さん、担保するんですか。これどうやって、逆に言うと市場の安全性を国民に理解する。だって、築地の市場って、全国に出ていきますよ。農水省さんは一体どういう認識なんでしょうかね。
○政府参考人(佐藤和彦君) 先ほど委員も先月の予算委員会での松岡大臣の答弁を引用されました。そこでも私どもの大臣は、直接の開設者である東京都、それから環境省とも連携を取りながら対処してまいりたいというふうに答弁申し上げたところでございます。
○福山哲郎君 じゃ、環境省と農水省と東京都、連携を取りながら確認してまいりたいと言われた農水省の答弁ですが、じゃ、まず環境省と農水省の間でどのような協議を実際行っているのか、環境省さん、お答えをいただけますか。
○政府参考人(寺田達志君) お答えいたします。
 これまで両省の間では、現在行われております土壌汚染対策と土壌汚染対策法に基づく対策との比較について情報提供をし、また豊洲新市場の構想や今後の整備スケジュール等について情報提供を受けるなど、情報交換を行ってきたところでございます。
 今後とも、必要に応じ農林水産省と情報交換を行ってまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 情報交換を行うだけでは全然安全は担保できないんですよ。その後をどうするのかというのが重要なんですよ。
 現実には、潮位変動や汚染地下水の上昇で、処理をした後にも土壌再汚染の可能性だってあります。それから、ベンゼンやシアン等は、ガス化によっていろんな塗装の割れ目とかの、漏れてくる可能性だって指摘をされています。土壌の入替えやアスファルトでは不十分だという指摘もあります。更に言えば、直接の被害も可能性としては否定できないかもしれませんが、風評被害という問題も出てくるというふうに思います。
 これ、やっぱり土壌汚染対策法で東京都にカバーできないとなると、何らかの形で考えないと、検討していかないと、食の安全という点でいうと大変問題だと私は思っているんですが、大臣、どうですかね。
○国務大臣(若林正俊君) 豊洲地区で東京都の中央卸売市場を開設をするということは、慎重の上にも慎重な判断をしなければならないというのを基本に考えております。
 その上で申し上げるわけですが、土壌汚染法上の法体系上の、東京都知事、これが第一義的には土壌汚染の責任を負っているわけでございます。と同時に、実はここを卸売市場として利用するということになりますと、開設者は東京都知事でございます。東京都知事が東京都の施設として卸売市場をここで開設をするということでございまして、その開設をすることについての適否は農林水産大臣の認可を必要とすると、こういう仕掛けになっているわけでありますから、土壌汚染法上の法的な措置あるいは指導に加えて、食品を取り扱う卸売市場の在り方として東京都が開設者たる責任をまず一義的に負わなきゃいけませんし、同時に、そのことが安全であるという、卸売市場として安全であるというそういう状況判断を、農林水産大臣に認可を得るに当たって、そのことを明らかにした上で農林水産大臣の認可を受けなければならないというのは、これは卸売市場制度の枠組みの中で当然のことだと考えているわけでございます。
 その意味で、農林水産大臣が開設者たる東京都に対して厳格な開設上の指導を行うと同時に、その開設が間違いなく安全であるという認識がなければ卸売市場の開設の認可はできないものと、すべきでないものというふうに私は思うわけでございまして、その過程で、農林水産省の方からこういうような土壌の状況で専門的な立場でどうだというような協議が資料を添えて出てくれば、当然、一般法の土壌汚染対策を所管する環境省としてこれにアドバイスをし、あるいは意見をしっかり申し述べると、こういう手順になっていくと思うんですね。
 開設者たる東京都知事が、そこで市場を開設することについて安全であるということの資料を添えての申請といいますか、協議を農林水産大臣にまだしていない状況にあるというふうに私は理解をしておりまして、そこのところをしっかりと、安全を基本にして卸売市場としての当否をしっかりと判断をするということがなければならないというふうに思うのでございます。
 実は私は、農林水産省時代に卸売市場課長を三年ほどやっておりまして、そのときに、築地市場の移転をどうするかというのは当時からの重大な課題でございました。衛生管理の問題あるいは物流の問題、いろいろな問題を考えながら、築地市場をどうするのかというのは当時から取り組んできた課題でありますし、これを大田市場の方に移転をするか、あるいはその他の地域に移転するかという場合も、当然移転先における食品安全の視点というのは整備計画上も欠かせない最重要課題だというふうに認識しておりましたし、そのような認識は今農林水産省も変わっていないというふうに思うのでございます。
○福山哲郎君 さすが農水省出身の大臣でいらっしゃいまして、皮肉ではなくて、農水大臣のような御答弁をいただきまして、ありがとうございます。農水省の方、松岡大臣にちゃんと今の答弁をお伝えをいただきたいと思います。
 ただ、これは冗談は抜きでやっぱり非常に重要な問題でございまして、そこは慎重にも慎重を期していただきたいと思いますし、ある時点で法改正が必要なら法改正が必要なことも含めて御検討いただきたいと思いますし、実はこの問題、もう一つ裏の問題として、この土地を一部はもう既に東京都が先行取得をしているようですが、今後取得をするときに、一体どういう取得価格で取得をするんだという議論が出てきます。その汚染状況の評価によってその土地の価格の評価が変わるわけですよね。つまり、最終的には卸売市場が買うのかもしれませんが、東京都が取得するときに、それは税金で取得するわけですから、その価格を一体どういうふうに評価するんだと。これはもちろんちゃんと適切な審議会をもってやるんでしょうけれども、そういったことも含めてこの問題は二重にも三重にも課題を抱えておりまして、もう本当に安全の問題ですから余り軽々な議論で進めないように是非農水省さんにも、そして土壌汚染対策にかかわっておられます環境省さんにもお願いをしたいというふうに思います。
 次の質問に移ります。余り楽しいことではありません。
 三月の十五日に北陸電力は、志賀原発で、一号機で一九九九年六月十八日に起こった臨界事故を国に報告せず、隠ぺいがあったと発表した。このことについて政府は今、実態どのような把握をして、評価をどのようにされているのか、お答えいただけますか。
○政府参考人(青山伸君) この北陸電力での臨界の事故でございますけれども、昨年十一月三十日に、全電力会社に対しましてデータ改ざんなどがないかという点検を指示していた中で明らかになった事柄でございまして、今御紹介ございましたように、平成十一年六月十八日に北陸電力の志賀原子力発電所一号機で、原子炉の停止機能の強化工事において機能の確認試験の準備として制御棒関連の弁を操作していたところ、三本の制御棒が部分的に引き抜き状態になったということで臨界状態になったことでございます。
 この事故につきまして、原子力安全・保安院といたしましては、まず臨界事故という重大な事故を発生させたということ、それからその事故の報告を怠ったということ、それから重大な臨界事故にもかかわらずその後の原因究明や再発防止に取り組まなかったことなどを重大な問題と受け止めており、厳正に対処しなければならないと考えております。このため、北陸電力には原子炉を停止して安全対策の総点検を求めるとともに、改めて臨界事故の徹底的な原因究明と再発防止に取り組むように指示したところでございます。
 今後、北陸電力からの報告を受けてこの臨界事故について徹底的な調査を行い、原因究明と再発防止策を含め、国民に説明責任を果たしてまいるところでございます。
○福山哲郎君 説明責任をそもそも果たしていなかったわけですけれどもね。今ごろ、もうはっきり言って七年も八年も前のことを今さら説明されてもという感じなんですけれども。
 これ、今回発覚した臨界事故の数日前に、定期点検中に、この志賀原発ですが、非常用発電機の部品にひびが入っていて、実はこのことがあったので、その直後にこの臨界事故ですから、隠そうという、組織的なそういう何とも言えない思いが働いたんじゃないかということもある種推測できるんですが、この辺については今国としてはどのように評価していますか。
○政府参考人(青山伸君) 御指摘のように、志賀の原子力発電所一号機におきましては、定期検査中の平成十一年の六月十四日、非常用ディーゼル発電機にひびが発見されたということを当時の通商産業省に報告しております。この事象がその後発生いたしました今回の報告のあった臨界事故の隠ぺいに影響を与えたか否かにつきましては、現在、三月三十日までに事業者から提出される原因究明に係る報告、これを踏まえて検討していくことといたします。
○福山哲郎君 実はこの志賀原発では、二〇〇六年ですが、タービン損傷の際に、安全であるとして運転を続けて、国からの指示があって初めて運転を停止をして損傷が見付かったという事案もあるわけですね。
 これ、組織として問題なんじゃないですか。国は今どう考えていますか、これ。
○政府参考人(青山伸君) 志賀の二号機についてでございますけれども、同じ形の蒸気タービンを有しております浜岡の五号機におきまして蒸気タービンの損傷が複数確認されたということを踏まえまして、原子力安全・保安院では点検を指示したものでございます。
 事業者である北陸電力におきましては、この指示を受けて直ちに点検計画を策定し、速やかに原子炉を停止したものと考えております。
○福山哲郎君 いや、だから組織として問題があったんじゃないかと聞いているんですが、どうですか。
○政府参考人(青山伸君) この蒸気タービンでございますけれども、当然ながら、経験を踏まえながらも新しい技術も導入すると、こういう形で進められてきているものでございます。これについて、他の発電所で損傷が複数確認されたことを踏まえて停止して確認をしたということでございます。ということでございますので、対応を取られたというふうに理解をしております。
○福山哲郎君 それはさっき聞きましたよ。組織として問題があったんじゃないかと聞いているんです。
○政府参考人(青山伸君) このタービンの損傷でございますけれども、設計時に考慮が十分になされるような取組のない技術的な部分に基づくものとしての事柄でございましたので、これを基に、現在、タービンの事故のあった部分の複数を取り外して運転に至るような作業が進められているということでございますので、そのような対応ということでなされているということでございますので、対策において適切にその理解を進めて対応されてきているというふうに考えております。
○福山哲郎君 何が適切に対応しているのかよく分からぬですね。まあいいですわ。
 例えば、じゃ、元に戻ります。この一九九九年の臨界事故ですが、今、年四回、通常は保安検査が行われています。八年間、なぜ今までこのことが明らかにならなかったんでしょうか。
○政府参考人(青山伸君) 一つは、この事故が発生しました平成十一年でございますけれども、六月十七日から十八日にかけての深夜に発生した事柄でございました。事業者は運転日誌あるいは引継ぎ日誌に正しい事実を記録しなかった、さらには、平成十一年当時の通商産業省の運転管理専門官という者がおりましたけれども、現在の私どもの保安検査官に与えられているような権限がなく、詳細な記録の確認を行える状態ではありませんでした。当時の体制ではこのような事故を把握することは難しかったとまず考えております。
 その後、平成十一年のJCOの事故の後、平成十二年に保安規定の遵守状況を検査するという保安検査の制度を導入する、それから保安検査官を現地に配置するということで強化を行ってございます。それから、さらには、平成十四年の東京電力の不正問題の後、平成十五年に事業者の自主点検を定期事業者検査として法定化し、記録の保存を義務付け、また罰則を大幅に強化するなど段階的な規制制度の強化によりまして、検査の強化、それから不正を抑制する仕組みの導入を図ってきているところでございます。
 なお、保安検査、現在私どもが行っているものでございますけれども、保安規定の遵守状況を確認するための検査でございまして、過去の処理の適、不適正の確認を目的としているものではございません。
○福山哲郎君 それは分かりますよ。だから、いろんな検査やいろんな報告の導入をいろいろされてきたわけでしょう、いろんな不祥事のたんびに。でも、八年間出てこなくて、何でじゃここで出てきたんですか。若しくは、八年間なぜ、今出てこなかった理由は、そうやっていたけど分かりませんでしたというんでしょう。じゃ、今回なぜ出てきたんですか。
○政府参考人(青山伸君) 電力会社におきまして、そのデータの改ざん等がないかという総点検を行うという指示を昨年の十一月三十日にしているわけでございますけれども、そういう中で、各電力会社がそれぞれ、資料のみの確認ではできないような事柄について、例えばインタビューとかアンケートを取るなどの措置により、これまで明らかになっていなかったことが報告されるようになってきたと理解しております。
○福山哲郎君 そうすると、いろんな不祥事が出てきて、ずっと検査だとか報告とか改善をしてきたけれども、そこは余り機能してこなかったということは認めるわけですね。
○政府参考人(青山伸君) お答えをいたします。
 この原子力の安全の推進でございますけれども、やはり個々の事故あるいはトラブルについての適切に原因究明を行うということ、それから再発防止対策を講ずるということ、さらにはその情報を共有するということが大切でございまして、そういうことについてこれまでの規制の改善の取組は役割を果たしてきているということで、だんだん良くなってきているというふうに理解をしております。
○福山哲郎君 あなたの言っていること何言っているか分かんないんですよ。だって、出てこなかったんでしょう。それは至らなかったってさっき答弁したじゃないですか、そこは、見付けられませんでしたと。ということは、それはこの九九年の臨界事故を発見するなり、ちゃんと表に出すのには、それまでの仕組みは機能しなかったということですねって聞いているんですよ。それはそうなんでしょう。
○政府参考人(青山伸君) 三月十五日にこういう報告を受けたという点で、そのとおりでございます。
○福山哲郎君 じゃ、今回はなぜ分かったんですか。正直に答えてください。
○政府参考人(青山伸君) 先ほども申し上げましたけれども、データの改ざん等の不正がないかという調査の中で、インタビューあるいはアンケートというふうな形で、従来資料に残っていなかったことも、記憶に残っているかいないかというようなことも含めて調査を進めてきた結果だというふうに理解をしております。
○福山哲郎君 ということは、内部でこんな問題が起こっていたんだよということを新たに表面化した方がいたということですね。
○政府参考人(青山伸君) さように理解をいたしております。
○福山哲郎君 つまり、そういう内部告発者がいなければ表に出てこないような仕組みというのは、やっぱり機能していないんですよ、今まで。これ問題なんですよ、やっぱりそこは。
 私は実は技術的には全く素人でございますが、今日、手元に、委員の方に保安院から御説明をいただいた資料をお持ちをいたしました。
 これ、下のところでございますが、誤った手順によりF101弁を閉めたために矢印に圧力が掛かって制御棒が想定外に引き抜かれたと。この真ん中にあるF101というのが閉まっていたので水が移動して制御棒が抜かれたということなんですね。
 その下なんですけど、原子炉が臨界状態となり原子炉自動停止信号が発生したが、F101弁が閉まっていたこと、及びなんですよ、及び水圧制御アキュムレーターに圧力が充てんされていなかったため、直ちに制御棒が挿入されなかったってこれ説明を受けたんですね。
 これ、実は二重に起こってはいけないことが起こっているんですよ。本来ならばちゃんと安全弁としてあるはずのこの水圧制御アキュムレーターも機能していないということになります。
 それから、制御棒というのは、普通、一本抜かれる分には安全にできていると思いますが、それはいかがですか。
○政府参考人(青山伸君) 御指摘のとおり、制御棒は最大の価値を持つ、最大の制御能力を持つものが一本抜けても臨界には至らないというふうにできております。
○福山哲郎君 これ何で三本も一遍に抜けたんですかね。
○政府参考人(青山伸君) 委員御配付の資料のその下の方に、原子炉戻りラインへというところで、下の方に抜ける弁とそれから配管の図がございます。こちらが閉まっていた中で、F101という先ほどの弁が閉じられているという中で、八十九本の制御棒があるうち八十七本目の制御棒に作業をしたところ、F102の方の、上の方に流れている矢印の方ですが、これの圧力がこの制御棒を引き下げるだけの力を有するに至って三本引き抜きの方向に動いたというふうに今は理解をいたしております。
○福山哲郎君 仮定の話は言いたくありませんが、これ三本でじゃとどまった理由は何ですか。
○政府参考人(青山伸君) これは三月三十日に提出される報告も踏まえて十分に技術的に検討しなくてはいけないところでございますけれども、この下の方に、実はこれには記載をしてございませんけれども、こういう制御棒の駆動のための水を流す装置は大本は一本、一つのシステムでございまして、それが制御棒の数だけ分岐をするという中での操作になりましたので、最後の方に至ってこの制御棒が下の方の、抜けるような力が加わるようなものに足し上げられていったというふうに考えております。
○福山哲郎君 それは偶然なんですか。つまり、三本のことも偶然であり、今の話もある種の偶然なのか、人為的にちゃんと制御するための、人為的な操作は働いていたのか、そこはどうなんですか。
○政府参考人(青山伸君) 当然ながら、制御棒の操作に関する事柄でございますので、慎重に手順を踏んで進めると。その際の手順のルールというものを確立して進めているというふうに理解をいたしておりますけれども、そのどこが間違っていたのか、手順書が間違っていたのか作業員が間違えているのかということも含めて、詳細を正確に把握をしてまいります。
○福山哲郎君 私が申し上げたいのは、要は人為的な操作の中で起こっているわけです。すべてが機械化されている場合にはそれは設計の問題だとかいろいろ出てくるでしょうけど、これ人が介しているわけですよね。人が介している中で、本当は一本までなら大丈夫なのに三本抜けたと。それに対してどう制御したかということに対しても、どうそれを止めに掛かったということについても、実は僕はある種の人為的な操作をされたんだと思いますが、それが三本でとどまらないでもっと抜けていたときのその臨界のスピードだとかそういうことも含めて、先ほど僕が委員に説明をした二点のことも含めて、逆に人為的なことによる事故だから僕は実は余計怖いと思うんですね。
 つまり、どこでもあり得べしことなんじゃないかと。それがもし、その手順書が間違っているなんと言ったら、最初から問題じゃないですか。それを実は隠ぺいをしていて、八年間も放置をしていたということは、それから先の事故に対する、何というかな、蓋然性みたいなのは非常に高いわけですよ。
 私は、これを隠していたことというのは非常に大きな問題だと思いますし、この作業自身も問題で、実は私、技術的なことは先ほどから申し上げているように専門ではないんですが、保安院に聞くと、もし臨界に達しても硼酸を入れることによってそこは最悪の状況は回避できるんだというふうに私は説明をいただきましたが、それは間違いないですか。
○政府参考人(青山伸君) 間違いございません。
○福山哲郎君 実はそこでも気になったんですよね。つまり、作業にかかわっている方々は、そういうもし臨界が起こっているような状況で自分の想定外のことが起こって、手順書どおりにやっているのに違うようなことが起こったときに、本当に最後の硼酸をということの作業まで冷静にできるかどうかということに対して、僕は、最後硼酸をやれば大丈夫だと言っていただいたからこそ余計、そこに居合わせている、作業されている方々のその精神的な動揺やパニックも含めて大丈夫なのかなというのが僕にとってはやっぱり非常に不安だったんですね。
 私は、事故があったことはもちろん責めなきゃいけないし、隠ぺいがあったことも責めなければいけないし、これは大変重要な問題だというふうに思いますが、原子力政策自身に対するやっぱり不信感が本当に広がると。温暖化の問題があって、原子力はやはり温暖化に対してはきれいなエネルギーだという議論ももちろんある中で、こういう状況があることは非常に私は遺憾ですし、厳正に対処してもらわなければいけないし、やっぱり処分するところは処分ちゃんとしなければいけないと。もう徹底的に原因を究明してもらわないと、これやっぱり良くないと思うんですよね。
 どうですか、実際にそのときの作業をされている方々のもちろん安全ももちろんあるわけですけれども、その方たちが冷静な判断で次の作業へ行けるかどうかということも含めて、どうお考えですか。
○政府参考人(青山伸君) 先生御指摘のとおり、その発電所の運転に当たって、当然ながら安全の確保が譲ることのない大前提なわけでございまして、そういう点で今回の事故につきましては原因究明、それから再発防止対策ということが取られていなかったということも含めて、安全対策の総点検を原子炉を止めて確認をするようにということで進めてきているわけでございますけれども、私ども原子力安全・保安院では、常に国民の安全を第一に考える任務を行うという使命感、それから科学的知見に基づいて合理的な判断、それから日々の業務執行状況の透明性、あるいは産業の利益追求をおもんぱかって判断しない中立性・公正性という四つの行動規範に基づいて行動を行ってきているところでございます。
 今回の事故につきまして、それから各電力会社に求めております点検の結果は三月末までに報告されるわけでございますけれども、データ改ざんということは国民の信頼を失うことに、損なうことでございます。誠に遺憾でございます。特に、この事故については極めて遺憾であり、厳正に対処してまいります。
○福山哲郎君 もう時間もありませんし、またその報告書が出てから細かいことも含めてどういうふうに今後の対応をされるのか、国民の信頼を回復していくのか、従業員の皆さんの安全を確保していくのか等について、やっぱり地域の皆さんも不安で一杯だと思いますから、そこについては今後も議論をしていきたいというふうに思っています。
 もうあと二分なので言いっ放しでやめようと思います。
 予算の委嘱審査でございますが、京都議定書の目達計画関係予算案というのがあって、全項目のリストを見ると、いろんなリストが上がっています。これが本当に温暖化に資するのかどうかという訳の分からぬ予算項目があるんですが、済みません、法務省、嫌らしいようで恐縮でございますが、法務省の国籍及び戸籍事務等処理に必要な経費、渉外戸籍・国籍事務処理対策経費が何で京都議定書六%削減約束に直接の効果のあるものに含まれているのか、ちょっと説明していただけますか。
○政府参考人(後藤博君) 渉外戸籍・国籍事務処理対策経費には、法務局において帰化事件等の調査を行うための乗用車の購入経費が含まれております。これは、外国人から日本国籍の取得を希望するための帰化の許可申請がされた場合に、法務局において、その申請者が国籍法の定める帰化条件を満たしているかどうかを調査する必要がございます。その中には申請者の自宅、近隣、勤務先等に法務局の職員が赴いて行う調査も含まれております。これを機動的、効率的に行うために乗用車が必要でございますけれども、乗用車を購入するに当たっては、CO2削減に寄与するため低公害車の予算措置を求めているものでございます。
○福山哲郎君 別に僕これ、この中ね、実は温暖化に資する予算項目案って一杯項目があるんですよ、各省庁。ちょっと怪しいの一杯あるんですけれども、今一番分かりやすいのを私は申し上げたんですが。
 そのもう一つに、登記の審査等事務に必要な経費で、これ温暖化に非常に効果のあるもののリストになっていまして、これ両方合わせてさっきので一億五千万ぐらい計上されているんですね。確かに省エネの自動車を買うのなのかもしれませんが、やっぱりこれを京都議定書六%削減約束に直接の効果があるものの予算の中に含まれるのは私はいかがなものかなと思っておりまして。
 こういう項目はたくさんありまして、二年か三年前の予算書では法務省は実は刑務所の整備費が温暖化に資する経費に入ってたりしてるんですが、それ言い出すともうほかのもあるんで切りがないんですが、やっぱりこういうことは私は予算の策定上はやめていただきたいなと思っておりまして、これはもう環境省の問題ではありませんが、温暖化の対策だといえば予算が付くみたいな話はやっぱり余り良くないので、そこは本当に温室効果ガス削減のために純粋に効果のあるものをちゃんと吟味してやっぱり予算の項目に入れるように各省庁御努力をいただきたいと思います。
 それだけ申し上げまして、今日の質問を終わります。どうもありがとうございました。



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