2006 年 資 料

 

日付 国会 会議名 内容
2006/11/30 165 教育特 復党問題、いじめ、タウンミーティング
2006/11/24 165 教育特 「不当な支配」、タウンミーティング
2006/10/26 165 環境 地球温暖化問題、鳥獣保護
2006/6/15 164 環境 長期的気候安定化をめざす決議採択
2006/6/9 164 本会議 容器リサイクル法案審議 委員長報告
2006/6/2 164 本会議 フロン回収破壊法案審議 委員長報告
2006/5/31 164 本会議 地球温暖化対策推進法案審議 委員長報告
2006/5/10 164 本会議 鳥獣保護法案審議 委員長報告
2006/3/31 164 本会議 国立環境研究所法案審議 委員長報告
2006/2/3 164 本会議 アスベスト関連法案審議 委員長報告

 

第165国会  参議院  教育基本法に関する特別委員会 2006年11月30日

復党問題、いじめ、タウンミーティング


○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。
 今日は安倍総理にお入りいただいての審議ということで、大臣の皆様も含めて御苦労さまでございます。
 先ほど鈴木委員も言われましたけれども、総理、本当に、別に参議院が衆議院と比べてというつもりはありませんが、参議院のこの特別委員会の審議、非常に中身の濃い審議をさせていただいています。伊吹大臣は本当に自分の言葉で語られて、我が党の案も非常に理解をしていただき、また教育の現状についての非常にバランスの取れた御発言をいただいておりまして、私も文科大臣としてこの時期に伊吹先生がいらっしゃること本当によかったなと率直に思っているところでございまして、安倍総理におかれましても今日は真摯にお答えをいただきたいとまずお願いを申し上げまして、スタートしていきたいと思います。
 タウンミーティングのけしからぬ話は後で私も少しさせていただきますが、まず、せっかく安倍総理がお出ましをいただいておりますので、国民の大変関心の高いことを一つ二つだけお伺いしたいと思います。
 昨年の郵政の選挙で、十二名の方が、無所属議員が、自民党を離党された方で当選組がいらっしゃった。そのうちの十一名が、一昨日ですか、復党を決めて、総理も了承されたということが報道で伝わっています。総理は当時、幹事長代理でもいらっしゃいましたし、あの選挙で全国を飛び回って選挙をやられました。総理としては、この復党を了解をされたことは、一体だれのための何の目的で復党を了解をされたのか、国民に御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もちろん、この判断はまずは自由民主党の総裁としての判断でございますが、今回、私が総理に、そしてまた総裁に就任し、そして総理に就任をいたしました。
 日本は、戦後六十年を超えて、ある意味では、戦後この六十年というのは還暦を超えたという、一つの世代が替わるわけであります。そして、新しい時代に向けて私は国づくりをスタートしなければならない。二十一世紀にふさわしい、新しい日本にふさわしいこれは国づくりを始めていきたい。そして、そのためには、基本となる、例えば今ここで御審議をいただいている教育の基本理念、原則を定めていく教育基本法の改正をしっかりと国会で成立をさせていただきたいと。そしてまた、例えば他方、防衛庁の省昇格法案についても御議論をいただいています。そして、中期的には憲法の改正についても更にこの政治的なスケジュールにおいて議論をしていただきたい。こういう大きな国づくりを進めていく上において、一人でも多くの方々に協力をしていただきたいというのが私の基本的な考え方であります。
 そして、それと同時に、やはり昨年の総選挙は、改革を進めるか否かを問うた選挙でありまして、その代表的な、これは正に我々この改革を進めていくかどうかのシンボルとして郵政民営化、是か否かを問うたわけでございます。まずは私、先ほど申し上げましたように、担い手を一人でも多く増やしていきたいという中において、私の基本的な考え方を聞いておられるから私もこうして述べているわけでありまして、多少の時間は掛かるわけでありますから、おかしをいただきたいと思います、大切なことですから。
 そして、その中で、やはり今申し上げましたように、昨年のこの総選挙の意味は重たいわけでありますから、この郵政の民営化について、これはやはり賛成ということは明確にしていただかなければならない。昨年の我々が国民の皆様にお約束をした政権公約について、これはやはりすべて賛同していただく、その中には郵政の民営化も入っているわけであります。そして、当然、私がこの政権において出しました基本的な考え方、所信表明についても当然すべて賛同していただく。そしてまた、それはやはり、これはある意味では書面でそれを提出をしていただく。それはやり過ぎではないかと言う方もいるわけでありますが、しかし、昨年の総選挙の意味は大きいわけでございましたので、そういうことをお願いをいたし、そして、それに賛同した方々においては、これは基本的に仲間として新しい国づくりに参加をしていただきたいという判断をしたわけでございます。
○福山哲郎君 総理がおっしゃるように、昨年の衆議院選挙の意味合いが大きいからこそ国民は、刺客、造反に関しては離党勧告をし、そこに刺客を立てるということをもって自民党に対する信頼感が醸成され、あの選挙、民主党は残念ながら敗北をしたわけです。まだ一年と二か月しかたっておりません。総理が言われた六十年云々という話は、実は去年も余り変わっておりません。
 この状況の中で、総理、じゃ、昨年の郵政選挙の、自民党が離党勧告をし、刺客を立てて、候補者を立てて戦ったというやり方自身が誤りだったというふうにはお認めになりますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、新しい国づくりをスタートしたい。つまり、この九月二十六日に私の内閣がスタートしたわけでございます。そして、私の内閣において新しい国づくりの方向を示した、それが私の所信表明であります。そしてまた、私の首班指名に対して、私を支持したい、そしてこの所信表明を支持をしていただく。当然その中には、郵政の民営化についてもこれは賛成をしていただかなければ、当然この郵政の民営化を進めていくということも書いてあるわけでありますから、当然それも含めて同意をしていただく方ということに限ったわけであります。
 ですから、昨年反対をされた方々は、選挙の結果を受けて、やはり郵政の民営化を進めていこうという考え方に至ったわけであります。その中において、政党でありますから、郵政の民営化の問題だけではなくて、あらゆることにこれは政党は取り組んでいくわけでありますし、私の政策も当然これ多岐にわたっているわけであります。それについて御賛同をいただき、一緒に汗を流していただく、こういう覚悟を決めてもらったわけでありますし、そしてまた、昨年この方々が議場において反対をしたこの郵政の民営化の問題についても賛成をするということをはっきりと示された、これは大きなことだと思いますよ。その判断を、政治家としてそれぞれの方々が決断されたわけでありますから、当然今後は我々一緒になって新しい国づくりに汗を流していきたいと、このように考えています。
○福山哲郎君 正に今、安倍総理が言われた郵政の民営化だけではなく、政党というのはいろんな政策を議論します、国民に訴えます。それを、郵政の民営化一点で自民党はその復党された方々を排除して、そして刺客を立て、戦われたわけです。もし安倍総理の言われるように、自分が総理になって新しい国づくりをやりたいというなら、この郵政民営化の方々を再入党、復党させると、もう一度審判を仰ぎたいというのが安倍総理としての憲政の常道なのではありませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは福山委員のお考えであって、私はこれから、正に内閣を組織したばかりであって、この国会で御議論をいただいている様々な重要な法案があります。来年度の予算編成があります。しっかりと仕事をしながら成果を出していく、それが私は当然先ではないかと。そのためにも、そのためにも、多くの仲間に一緒に協力をしてもらいたい、その気持ちで今回判断をしたわけであります。
 いずれにせよ、そうした判断を含め、いつの日にかは国民の皆様に審判を仰ぐ、これは当然のことであります。
○福山哲郎君 もう一点お伺いします。
 教育基本法、今審議を、本当に充実した審議をさせていただいておりますが、総理が外遊をされるというふうに承っております。十一日から十三日までASEANの首脳会議に出掛けられると。それは首相の外交として重要な仕事だと思いますが、この外交日程に合わせてこの教育基本法の採決等の影響されるようなことはないように、総理として、これだけいい審議をしておりますので、総理として是非それは指示を出していただきたいし、その外交日程には審議は関係ないというふうに総理にお認めをいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 委員会の運営は、委員会で是非御判断をいただきたいと思います。
○福山哲郎君 分かりました。じゃ、委員会の運営は委員会で御判断ということで、総理の指示等は出ないということでございますね。外交日程にも影響されないということを認めさせていただきたいと思います。
 それでは、本当は私、いじめの問題とかやりたいんですが、これはタウンミーティングの話があるのでちょっとやらなきゃいけないんですが、少しだけ聞いてください。
 伊吹大臣、いじめの問題、昨日も再生会議で提言が出ました。私は、早い対応だったと思いますし、再生会議がこういう具体的なものを出されるというのは、国民に意識を喚起する上においても大変重要なことだと思っています。
 いじめの場合に、よくいじめる側の、加害者側の議論がよく出ます。基本的には登校停止のようなことは昨日、提言の中に出てきませんでした。私は実は伊吹大臣とほとんど同じ考えでございまして、一体登校停止をすることに対する厳しい処分がいいのか悪いのかというのは非常に微妙なことがあると私は思っています。
 いじめというのは、今文科省のいじめの定義は、何回もこの委員会で議論されていますが、弱い者、弱い立場の者だというのが定義にあります。しかし、「自分より弱いものに対して一方的に、」とか、「身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、」とか、「相手が深刻な苦痛を感じている」というのが基本的にいじめの定義なんですが、これ実は、自分の意見をしっかり言えて、強い子ほどいじめられるようなことも今現場では散見をされています。例えば、帰国子女という方は自分の意見がはっきり言えると、それで、あの人ははっきり言えるからといっていじめの対象になる。それから、よく言われるように、学力や体力や発言力が相対的に弱いからいじめられるとは限らない。これもよく議論出ていますが、あの子はメールの返事が遅いからいじめようと言った瞬間に実はいじめの対象が変わる。つまり、学校の中でだれがどの瞬間にいじめる側になるのか、いじめられる側になるのかが非常に不確定な状況になっていて、我々が子供のころ餓鬼大将がいてみたいな状況では実は今の状況違うんですね。そこが非常にこのいじめの問題の複雑さを表しています。
 じゃ、傍観者がいけないと、いじめはみんな止めようよと言いますが、例えばみんながいじめに入っているときに、たった一人だけいじめるななんて言った瞬間にその子が今度は瞬間的にいじめられる側になります。いじめを傍観をしている子供たちが嫌な思いをしているかしていないかというと、これ多分みんな嫌な思いをしているんです。しかし、自分がいじめられる側になることに対する恐れの中で、非常にぎすぎすしたというか、非常にある種のストレスの中に子供たちがいていじめが展開をされていると。勇気を持っていじめを止めろと言うのはたやすいですが、なかなかそうはいかないと。
 もっと言えば、大臣、これは大臣がよく言われることで、私は本当に同意しているんですが、学校側もそうなんです。校長先生は声高に、いじめはあってはならないと言います。いじめはあってはならないのは当たり前なんですが、あってはならないイコール自分の学校ではいじめはないはずだという話になります。あってはならないと言っている限りは、自分の学校でいじめがあったら報告するの嫌になりますよね。報告したら自分の評価が下がるんじゃないか、これも大臣も認められていることです。つまり、基本的にはこういうぐるぐる回りの中でいじめが起こっています。
 加害者側の問題です。加害者は確かに悪い。私は、いじめる方は悪いと思います。しかしながら、そのいじめる側の子供たちもどういう状況に今置かれているのかをよく見なければいけません。厳罰に処すからいじめちゃいけないなんと言うだけで変わるかというと、そうではない。
 例えば、父親とか母親から虐待を受けている子供は、どちらかというといじめる側に回ります。それは、自分のストレス、抑圧されているものを学校へ行ってある種、晴らす。更に言えば、いじめることによって集団で一体感ができます、この子をいじめることによる。つまり、いじめによるある種の見掛けの団結みたいなことがあって、そこに子供たちがある種の安心感みたいなのを感じたりすることもあります。いじめによる、もちろん家での虐待等の気晴らし等があって、実は複雑な状況がたくさんあって、特に中学ぐらいの、知識が高くなればなるほど、教師が命を大切にとかいじめが悪いと非常に単純化して言えば言うほど、何を言っているんだという気持ちに、子供たちが反発することも今の現場ではあると思っています。
 つまり、そういう、よく安倍総理も言われますが、規範意識、規範意識と言いますが、規範意識を持て持てと押し付けて子供たちが実際持つのか、そうじゃないと私は思っています。それは、持たなければいけないのは分かりますが、例えば、元気に、笑顔に、大きな声で、それはいい子の見本でしょう。でも、子供たちによっては元気な声を出せない内向的な子もいます。そういう状況の中でいじめが行われていると。
 私は、今処方せんをここで提示をして、例えば総理や大臣に答弁をもらおうと思っているわけではありません。しかしながら、一方的に、例えば加害者を厳罰化をすればいいのではないかというような議論には私はくみする気はありませんし、非常に複雑な社会現象の病理として加害者側にも被害者側にもいじめという現象が現れているということについて、御認識というかお認めをいただきたい、若しくは私の今日の発言について何か御発言をいただければと思います。総理、大臣、両方からいただければと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このいじめの問題については、実は我々が子供のころからそんな単純な問題ではないんだろうと、こう思うんですね。いじめている方がいじめられる方に替わることもありますし、また、いわゆるちょっとしたからかいが、それがエスカレートしていくということもあるんだろうと、このように思います。そしてまた、いじめの中心になっている子供も様々であろうと、このように思いますから、もちろん単純化はできないんですが、しかし今起こっているこの現象を何とか食い止めなければならないと、このように思います。
 そこで、例えば、では先生が子供たちにいじめはやめようということを言ったって、そう簡単には止まらないかもしれない。しかし、先生がそれを、そういう問い掛けを子供たちにするということは、私は影響が、子供たちに対して効果がある場合もあると私は思っています。私の経験からいっても、例えば小学校段階、中学校でも、中学校一年生段階では先生の言うことに耳を傾けて、これは先生にもよるんだろうと思うんですが、実際にいじめがあって、君たちもうやめようよということを先生が指導する、これはやはり私は大切なことだと思いますから、それは直ちにやってもらいたいと思っています。
 また、規範意識の問題ですが、規範意識を持てというのはこれは当たり前のことですから、これは、規範意識を持てと言っても、すぐに、そう簡単にはいかないというのはそうだと思いますが、しかしそれはやはり、規範意識というのは大切であって、これが軽視されてきたからこそ私が今あえてこう申し上げているわけであって、どういう規範意識の大切さを教えていくかについては、これはやはりその現場現場での工夫、先生の工夫と、やはり先生が御自身の正に教師としての人格をもって教えていくことになるんだろうと、こう思うわけでありますが、確かに単純ではありませんが、しかし、例えばいじめた子に対する対応の問題でありますが、再生会議でもいろんな議論があったと聞いています。しかし、それは確かに、単にいじめた子を排除するということではなくて、それはもう何回も何回も注意してそれでもなおというときには、そのことも可能にするということも検討してみようではないかという議論があったというふうに私は聞いています。それもめったに使わないことではありますが、そうなるかもしれないというぐらいのことをやっているんですよということを認識させるという意味においては効果があるのではないか。
 だから、議論が何かとても単純なことを言っているかのごとくの報道が私はなされているのではないかと思います。現場においてこのいろいろな経験を積んだ上で、悩んだ上でのいろんな御議論があり、いろんな御意見があり、それを基に再生会議で議論をしている。
 また先ほど、学校現場でいじめはあってはならない。これ、あってはならないというのは、いじめというのはなくさなければいけないという意味であって、しかしどこでも起こる可能性があって、この起こっていたことを恥じるのではなくて、それに対応しなかったことを恥じるべきだということを我々も再三申し上げているわけでありまして、それにすぐに対応することが私は大切ではないか。隠ぺいするのではなくていかに対応したか、そして対応してもしうまくいったのであれば、その例をみんなで共有していくことも私は有意義ではないかと思います。
○福山哲郎君 大臣、重ねてお答えいただきたいんですが、そのいじめの定義の再検討は委員会でもう検討していると、池坊副大臣の下の有識者会議でやっていると伺っているんですが、再生会議はあんなに早く出てきたんです。実は副大臣の下の有識者会議は二回しかまだ会議しておられないみたいで、是非このいじめの定義の再検討について、年限を切って早く文科省から、こういうふうにいじめの定義変えたよ、こういうのがいじめだよということのメッセージを出していただきたいと。これは大臣に対する要望でございますが、重ねてお答えいただければと思います。
○国務大臣(伊吹文明君) 再生会議は提言をしておられますが、文部科学省はそれよりずっと早く、私もアピールを出しておりますし、各教育委員会にあれと同じ内容の通知をいたしております。
 ですから、再生委員会は別にいじめの定義をなさったわけじゃないんですよ。これは、先生がおっしゃっているようなお立場で、このいじめている者、いじめられている者、双方を考える方もおられます。しかし、ここで御質問の中では、いじめている方が一方的に悪いという立場に立って物事を運ばないと駄目だよという御意見もあったことは、ずっと御出席になっているから聞いておられると思います。千差万別なんですよ。先生はもうどう思っておられるか分からないけど、私は非常に弱い立場として御質問を受けているなと私は感じているわけですよ。ですから、これはやはりその現場現場の教師あるいはその御家庭、地域社会、その人たちがみんなやる気を出して子供をこのいじめから救っていくと。
 だから、定義もこれは非常にやっぱり難しいです。それは今度新しい定義を作ったって、またそれについて違うよっていうのは出てきますよ。けんかなのかいじめなのか分からないんですよ。強い立場の者がいじめられるとおっしゃるけれども、いじめられている者は弱い立場だという前提で考えませんと、どんなにけんかが強くたっていじめられている者はやっぱり弱い立場だということじゃないでしょうか。
○福山哲郎君 大臣は御理解いただいていると思いますが、定義については見直しをしていただいて、なるべく早く作業していただきたいと思います。
 タウンミーティングに行きます。
 お手元にお配りをいたしました。どうぞ配ってください。
   〔資料配付〕
○福山哲郎君 お手元にお配りをした資料は、実はタウンミーティングのまあいろんなことが全部凝縮されたものでございます。まだお手元に行ってないかもしれませんが。最初は、実は山形のタウンミーティングでございますが、これはいわゆる動員の要請の問題でございます。私は文科省に、内閣府にも同様ですが、動員の要請についていろんなことしたんだったらそれを持ってこいと言ったら、ありませんと答えたのに、昨日、理事会にこれが出てまいりました。このことも含めて私はちょっとけしからぬと思っておるんですが。
 まず一番上が動員でございます。山形の場合には内閣府から県の総務部政策企画課に依頼があって、七十名の動員をお願いをしたというのが一枚目。
 二枚目、見ていただけますでしょうか。二枚目はいわゆる座席指定でございますが、大分の場合の座席指定、いわゆるやらせ質問をする人間に対する座席指定でございますが、裏をめくっていただきますと、何と御丁寧に座席表まで付いて、そして番号まで振ってあるという至れり尽くせりの状況でタウンミーティングの環境がつくられています。
 三枚目を見ていただきますと、これは実は大問題でございます、総理。広く国民の意見を聞くと言われてタウンミーティングが存在をしたと。更に申し上げれば、さきの国会では、前の大臣は何度も、タウンミーティングがあったので、国民の声を聞いたのでこの教育基本法を提出をしたという答弁が何回もありました。
 これ見てください。わざわざタウンミーティング島根の参加者が内閣府まで来訪して、当日に発言をしたいとお願いをされたと。その方は、実は、他の発言者との公平を期すため特別扱いはできないので、当たるかどうか確証はできませんというふうに本人に説明はしてあります。なお、今回は特に発言者の振り付けは行っていません。
 要は、内閣府の感覚でいうと、やらせの質問は振り付けをしている感覚なわけですよ。内閣府に直接行っている方が発言をしたいと言っているのに、この方には公平を期すため特別扱いをしていないと。やらせの答弁をした人は不公平じゃないんですか。
 総理、これどう思います。当時総理は官房長官でいらっしゃいました。責任者でいらっしゃいました。この対応をどうお考えになられるか、御発言をいただけますでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この二〇〇五年のこの三月二日の件でございましょうか。二〇〇五年三月二日の時点では私は官房長官ではございませんが、いずれにいたしましても、こうした問題も含めて、先ほど来答弁をいたしておりますように、しっかりと、今までどういう問題があったか、すべてのタウンミーティングについて調査を行い、国民の皆様に明らかにしていきたいと思っております。
○福山哲郎君 官房長官であったという発言は訂正をさせていただきます。失礼をいたしました。
 もう一点、これ答えてくださいね。この人は結局タウンミーティングで発言できましたか。
○政府参考人(山本信一郎君) 現時点で確認が取れておりません。分かりません。
○福山哲郎君 もう一回聞きます。発言されましたか。
○政府参考人(山本信一郎君) 現時点で確認取れておりません。
○福山哲郎君 昨日私が確認をしたら、発言していないと答えられたんですけれども、文科省は。何で答弁変わったんですか。
○政府参考人(山本信一郎君) 私、内閣府の官房長でございますが、私、現時点では確認、私自身は確認しておりません。
○福山哲郎君 じゃ、文科省、どうですか。
○政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。
 このメールにつきましては、私ども、一般的に申しまして、参加を申し込まれた方からあらかじめ質問をいただいたようなときに、想定を準備することがございますものですから、こういったメールがあるのかどうか、また準備をしたのかどうか、関係の者に確認をいたしましたのでございますけれども、当事者の記憶がはっきりいたしませんで確認ができなかったというのが実情でございます。
○福山哲郎君 昨日、内閣府が私に、この方は答弁していないと、発言していなかったと答えられたんですが、今、二者違うんですが、答え。
 ちょっと、このことについてちょっと確認してもらえますか。どっちでもいいです。内閣府、どうぞ。
○政府参考人(山本信一郎君) 申し訳ありませんが、私、質問取りに行った者から今福山委員の御指摘の点については、私自身はちょっと承知をしておりません。聞いておりません。
○福山哲郎君 文科省はいかがですか。
○政府参考人(金森越哉君) 私どもの方では、このメールに児童生徒課の方で想定を用意して対応することになりましたと、こうございましたものですから、そういったことについて確認をしたのでございますが、当日、その発言したかどうかというところについては、私どもでは確認をいたしておりません。
○福山哲郎君 昨日、私の部屋にどう答えられました。
○政府参考人(山本信一郎君) 調べまして御報告します。(発言する者あり)
○福山哲郎君 いいです、もうこんなことで引っ張っていてもしようがないですから。
 これ、発言していないんです、されていないんです、結局、と答えられたんです、昨日は。要は、当たるかどうかは不公平だと言って結局発言もしていない。発言の振り付けは行っていませんという言及があること自身、これはやっぱりひどいんですよ。なおかつ、この方が内閣府までわざわざ来たことに対して、「事前意見などを参考にして、当たった場合に備えて児童生徒課のほうで、想定を用意して対応することになりました。」とまで書いてあるわけです。これ、広く国民に聞くというような話では全くないです。
 いいですか、これ何で幾つかのものが全部今日の資料に含まれているかというと、動員をしています、参加者はちゃんと事前にチェックをしています、やらせ質問のお願いをしています、そしてなおかつ、発言をしたいということに対する言論の封殺もしています。これが一体、何が国民に開かれたタウンミーティングなんでしょうか。完全に全部でき上がったものではないんですか。
 総理、どういうふうに思われます、この状況を見て。調査をして答える、遺憾だというのは分かりますが、このことを前提に、教育基本法は国民に広く意見を聞いたからという発言が何度も前国会では出ているんです。さすがに伊吹大臣はそのことは、この委員会ではおっしゃいませんが。どう思われますか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、この教育基本法については、中教審においても長い間議論がなされました。いろいろな関係の団体からの意見の聴取も行っています。また、もちろんこれは与党のことでありますが、与党内において相当な議論が行われてきたのも事実であって、そしてこの国会において、衆議院において百時間を超える議論がなされているわけでありまして、そういう意味では国民的な議論が私はなされていると、こう思います。
 その例としてタウンミーティングの例を挙げたと、こういうことでございますが、しかし、そのタウンミーティングにおいてあらかじめ質問を依頼をしたりという問題があったことは、大変これは遺憾なことであり、そのために、現在、すべてのタウンミーティングについて調査を行っているわけであります。
 また、動員等について言えば、例えば、出席者が少なければ、それはもう出席者が少ないというのがその事柄についての国民の関心の度合いというふうにこれは受け止めなければならないわけであって、あえて私は、当然、動員等はする必要はないのであろうと、このように思うわけでありますが、恐らく、これは役所側の方として、何とかこれは、せっかくやるからには人は埋めておこうと、こういうことであったのだろうと、このように思います。
 また、他方、言論の封殺というのは、そこまでは私はないと、このように思いますし、かなりの議論がなされたタウンミーティングもあります。出席者、大臣と相当の激しい議論がなされたタウンミーティングもございますよ、これは、幾つかのタウンミーティングにおいては。
 ですから、そういう意味で、すべて全くこれは出来レースであったということではなくて、例えば、活発な議論をしてもらおう、あるいはこういう事柄については特別に関心を持って行ってきた人たちには積極的な発言をしてもらおうと、そういう意図もあったのかもしれないと、こう推察するところもあるわけでありますが、いずれにいたしましても、このタウンミーティングは、国民との双方向の、正に国民へのこれは説明、対話の重要な場である、窓口であるという立場から、私は、今までの問題点は問題点としてしっかりと事実関係を把握していく、そのためには調査を行い、そして国民の皆様に明らかにし、本来の趣旨にのっとったタウンミーティングとして再開をしていかなければならないと考えております。
○福山哲郎君 それは、議論があったところはあるでしょう、議論がなければおかしいわけですし。
 更に言えば、私が申し上げているのは、その全体像がすべて仕組まれた話だったということを申し上げているわけです。動員の話もそう、さっきの入札の話もそう。なおかつ、こういう形で、発言をしたいという人に対しても公平性があるからみたいなことを言って、逆に言うと、やらせの質問は幾らでもオーケーをしていると。これは全体として全く信頼性に欠けるのではないかということを申し上げているわけでございます。
 私、実は、それぞれの教育委員会、全部ヒアリングをさせていただきました。学校政策課から主に学校関係者などに参加呼び掛けをさせていただいて取りまとめも行ったとか、七十名を集めたとか、市総合政策課から教育委員会に電話で要請をしたと、いろんなことをやって実は現場は苦労しています。
 そんな中で、これ八戸の市教委でタウンミーティングにかかわった方の処分が発表されました。これ、伊吹大臣が未履修の問題の処分が発表された佐賀のことについても、これはちょっと考えなきゃいけないということを記者会見で言われていると思うんですが、これタウンミーティングで処分をされたと。
 これ、けど、内閣府が各県の教育委員会にこんなお願いをして、無理やり走り回って結局この現場は処分をされているんですよ。こんなかわいそうな話ないじゃないですか。彼ら一生懸命言われたとおりやって動員をして、だれか探してくれと言われてやらせ質問の人探して、その人たちがみんなこれ処分されている。何なんだ、これはと。それで、内閣府は何をやっているかといったら、こんな何かでたらめな資料ばっかり出してきていると。これやっぱり大問題だと私は思うんですが、これ総理どう思われます。残念ながら官房長官いらっしゃらないので。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この問題については、ですから、どこにどういう責任があったかということについては明確にしなければならないわけでありますが、しかしそれは、この上司の指示あるいはそういう上からの指示で動いた人たちと、実際にこういうことをしなければならないと考えた人というのは、これはまたそれぞれどのような責任かということについては、まずは実態をよく把握してから判断をしなければならないと思います。
○福山哲郎君 全く答えていないですよ。
 上司の意思でどうなったかということで、彼らは内閣府や文科省から言われて一生懸命動いたんだ。これが実はこの教育基本法の肝の問題なんですよ。実態としては、こうやって教育委員会も学校現場も文科省から言われれば動くんだ。でも、大臣言われるように責任の所在ははっきりしない。だから、現場では処分が行われているけれども、文科省も内閣府も何も処分行われないじゃないですか。
○国務大臣(伊吹文明君) まず、福山先生、それはやはり何も行われていないということは公の話でおっしゃるのは不適当で、今までは行われていないんですよ。しかし、行わないとは言っておりませんよ。そして、八戸は私たちが処分権も何もない、人事権者の判断としてなされている。
 そして、塩崎官房長官がいれば官房長官がお答えするのが適当だと思いますが、文部科学省では既に、今総理がおっしゃったように、これはやった人間だけを処分しちゃ、これ大変なことになるんですよ。官僚機構というものはそうじゃないんですから。だれが了解をして、だれが指示したかということをきっちりと把握をさせています。そして、しかも、これは当時の担当者が替わっているわけだから、伝聞だけで人の処分を決めるわけにいきませんからね。みんなきちっと裏を取っているわけですよ。
 そして、それを今、塩崎さんのところですべてまとめておりますから、それが出た段階で私は私の判断をするということは再三ここで申し上げておるわけでしょう。だから、何か中央の役人は左うちわにしてて、現場で汗かいた人間だけが中央が処分をしたというような印象を持たれるということは非常に不本意ですね。
○福山哲郎君 その件については議論の余地はあると思いますが、現場ではこうやって内閣府や文科省から言われたことによって処分が行われている事実があるということだけはお認めをいただきたいと思います。
 それから、この間申し上げた、先ほどの藤本委員の議論に続きますが、入札の予定価格、この間、私には財務省の予定価格の事後公表においてのルールがあるから答えられないと内閣府はお答えになりましたけれども、財務省、このことについてちょっと御説明をいただけますでしょうか。
○政府参考人(松元崇君) お答えいたします。
 予定価格の事後公表についての御質問ということと伺っておりますが、これにつきまして、財務省といたしましては、平成九年の行政改革委員会最終意見におきまして、当面は予定価格の事後公表を積極的に推進していくべきであるという御提言がなされたことを踏まえまして、各省庁に対しまして、予定価格の事後公表の積極的推進についてという通知を行っております。その通知におきまして、他の契約の予定価格を類推させるおそれがないと認められる場合、事務事業に支障を生ずるおそれがないと認められる場合について、各省庁の判断により事後公表をしない取扱いをすることができるということにいたしておりますが、それは予定価格を公表することによりまして競争性が損なわれるようなものにつきましては留意が必要である、こういった趣旨で申し上げているところでございます。
○福山哲郎君 どうですか、内閣府。これ、財務省こう言っていますけれども、さっきの藤本委員の話によると、四百二十万の入札価格に結局一千万使われていて、その中身もむちゃくちゃだというのは分かりましたよね。類推もくそもないですよね、虚偽なんだから。これ、予定価格公表していただけませんか。積極的に予定価格、事後の予定価格の公表について推進していくべきという中で出てきた話で、これ、前提全部崩れているわけですから。これ、出すか出さないかはだれの判断かというと、財務省の判断じゃないんです、内閣府の判断なんです。内閣府の判断がなぜ出せないのかということを明確にしてください。この間は財務省のルールに基づいて出せないとおっしゃった。財務省は違うんです。これは内閣府の判断だと言っている。なぜ出せないかを言ってください。
○政府参考人(山本信一郎君) 先般、委員の御質問にお答えしたわけでございますけれども、財務省の方から、今主計局次長から説明がありました通知がなされております。それに照らして、もちろん内閣府の方で、我々の契約でございますので、私どもがその考え方に照らしてどうすべきであるという答弁をいたしております、という趣旨でお答えをしております。
○福山哲郎君 違う、違う。
○政府参考人(山本信一郎君) しております。
 それで、予定価格を明らかにすべしという再度のお話でございます。今、先ほど来のお話の中で、運営経費全体を見直していく、総量をやっていく必要があるという所存でございますが、国会の御審議ですとかあるいは調査委員会の調査を踏まえて検討していく必要があると思っております。
 そういったようなこれから検討していくという段階でございますので、現時点でこの予定価格を公表するというのは、やはり類推される可能性があるということからなかなか困難であるという具合に我々としては判断をしているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○福山哲郎君 全く理解できないんですが、内閣府の判断の根拠をちゃんと照らしていただいて予定価格を出していただかないと、先ほどの藤本委員のことも含めて全くここは明らかにされません。もうとにかくこのタウンミーティング、むちゃくちゃでございますので、総理、まだまだこの問題については議論を深めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 質問を終わります。ありがとうございました。



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第165国会  参議院  教育基本法に関する特別委員会  2006年11月24日

「不当な支配」、タウンミーティング


○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
 諸大臣におかれましては、御苦労さまでございます。特に伊吹大臣におかれましては、さきの衆議院の審議も非常に長い時間だったと承っておりますし、地元の先輩議員として、私、衆議院の実は議事録をほとんど拝読をさせていただきました。非常に丁寧で、御自身のお言葉で、誠意を持って答えておられることに感銘をいたしました。今日も是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。
 まず冒頭でございますが、昨日、ニュースで、山形県で高二の女子生徒の方がやはり自殺をされたというニュースが飛び込んでまいりました。国会で教育基本法の審議をしている最中に、そのことのメッセージが届かなくてこうやって自殺をされる子供たちがいることを非常に悲しく思いますし、残念に思いますし、是非、御冥福をお祈りするとともに、全国の子供たちに、自殺はとにかくやめておけと、やめろと、いいこともあるからということをまず申し上げたいというふうに思います。
 時間がないので、実はそもそもの話も私いろいろしたかったんですけれども、この委員会、長時間にわたってやると思いますし、また質問に立つと思いますので、そのときにしまして、まず重要な問題について。
 改正法案の十六条、いわゆる不当な支配の問題について、前回、伊吹大臣が、非常に私的に言うと伊吹大臣らしからぬお言葉が幾つかございまして、ちょっと確認をしておかなければいけないなと。
 まず、北岡委員に対する質問に対して、都道府県知事の政治的思想、イズムによって国民全体の判断とは違う教育が当該地域で行われるということは、この法律があることによって防止できると思うと。これ、都道府県知事の政治的思想、イズムによってというのは、これ非常に問題があるのではないかと。
 知事というのは選挙で選ばれるわけでございます。それに対して、国がこの法律で本当に防止ができるような法律だったら実は大変な問題になるわけでございまして、これ、知事に対してこういう御発言をされたということに対してはまず私は撤回をしていただきたいと思っておりまして、大臣の御所見をいただければと思います。
○国務大臣(伊吹文明君) まず、自殺の問題について先生から言及がありまして、私もいじめをしている子、子供、そしていじめを受けている子供、それからその兆候を早く見付けていただかなければならない保護者、学校の先生等についてのアピールを出しております。今日、御党の羽田議員から本会議でもああいう御発言がありましたので、このことについてはまず党派を超えて、日本の将来のために可能性のある子供の命を守っていくために協力をいたしたいと思います。
 それから、この改正法十六条の問題について御質問がありましたので、これは明確にしておかなければならないと思います。
 現行法においても、日本の法律の仕組みは、もう今さら申し上げることもありませんが、憲法上、国民の民意を反映した国会によって議決をされます。これが国の意思であります。そして、この国の意思に従っていろいろなこの行政が行われるわけですが、この行政が行われた場合に、例えば特定のイズムあるいは特定の考えを持ってこの国の国会で決められた国民の意思と違うことを画策する、違うことを行うということは、これはこの法律に言うところの不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであって、国と地方自治体との適切な配分云々ということを書いているわけですから、今の先生の言で言えば、例えば国がお示しした学習指導要領によってそのとおりおやりになっているところと、そうじゃないことが現場に起こっているところがあるわけですね。あるから一部地域のところについて司法の判断を、法律に従って正しいか正しくないかということが争われているわけですよ。
 だから、例えばこの学習指導要領によって、旭川の学力テストについての最高裁の判例をそのとおりここで読みますと、不当な支配はその主体のいかんを問うところではなく、その主体のいかんを問うところではなく、論理的には、教育行政機関が行う行政でも、国でもですよ、不当な支配に当たる場合があり得ると最高裁は判示しているが、同時に、憲法に適合する有効な他の法律の命ずるところをそのまま執行する教育行政機関の行為については不当な支配となり得ないことは明らかであると、こう述べているわけですよ。
 ですから、同じその指導要領を出しても、都道府県によって違う現実が指導として起こり得る可能性があるわけですね。あるから、東京都についてはそのことについて、どうも私の考えでは法律に適応しないじゃないかと思われる方がおられたから、この前は日の丸・君が代のことについて司法の判断を仰がれたわけでしょう。そして、その司法の判断は、まあ下級審ですよ、これはね。しかし、最高裁の判断は今申し上げたような判断を示しているということです。
 だから、国であろうと、例えば一部の政党を陥れようとか、一部の宗教的、その考えをもって国が教育行政を行うということになれば、それは不当な支配になる可能性があるということは言っているわけですよ。ましてや都道府県知事においてはですよ、それは当然のことじゃないですか。
○福山哲郎君 じゃ、なぜそのときに知事だけを特定したのかが僕はよく分からないんですが、ただ、改正案の第三項は、「地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。」ということで、この地方公共団体の責任者はもちろん知事なわけですね。ということは、この不法な支配に服することなくという言葉は、一項も二項も三項も四項も、これ全部掛かるということですか。
○国務大臣(伊吹文明君) 今おっしゃった地方の実情に合わせてやるということは、例えば財政が非常に潤沢な自治体においては三十人学級をやるとか、あるいは学習指導要領の運用においてこういう運用のやり方でやるとか、しかしそれはどうも法律でお願いしていることと違うということがあるわけでしょう。
 だから、地方の実情に沿ってということは正にそういうことを言っているわけであって、国民の意思というのは国会で決めるわけですから、これは、これを否定したら日本国憲法の根底が崩れてしまうわけですから、だから国会で決められた法律に従ってやっていただくと。そして、国会で決める法律の有権解釈権は、これは当然のこととして内閣にあるわけですよ。しかし、内閣にある有権解釈権が常に正しいとは限らないんですよ。限らないから司法の判断を仰げるように日本はきちっと三権分立の建前上やっているわけですね。
 ですから、地方と国とはお互いに役割分担をしながらやっていくわけです。そして、地方は地方の実情に合わせておやりになったらいいわけです。しかし、国で決めた法律については、国民の意思なんですから、これが全体の意思なんです。これと違うことを特定のイズムや特定の思想的背景をもって、あるいは宗教的背景をもってやるということを禁止しているというのがこの条項ですから、都道府県知事の自主性だとか選挙で選ばれたということとは何ら抵触しないと思いますよ。
○福山哲郎君 そうしたら、ちょっと聞き方を変えます。今、国ですらある種の拘束を受けるんだと大臣がおっしゃいましたので、もう一回確認だけさせてください、これは非常に肝なので。
 この不当な支配の中には、行使、不当な支配を行使する可能性のある主体として、つまり不当な行使、例えば大臣の言葉で言えば、ある種の思想勢力であったり、全体、国民全体の意思とは違う勢力であるという言い方をされますが、その不当な支配を行使する可能性のある主体としては、今大臣の言われた種々の社会的な勢力ありますね、それに加えて、行政権力も政治権力も含まれるということで確認してよろしいですね。
○国務大臣(伊吹文明君) それは当然のことです。しかし、大切なことは、国民の意思というものは憲法上国会で決めるということが我が国の憲法でしょう。そのために選挙をしているわけでしょう。そして、国会で決めた意思、これが、まずこれに従って国は動くんですね。そして、その法律の有権解釈権は内閣にあるんですよ。しかし、内閣が常に正しいことをしているとは限らないと。あるいは、その人その人の価値観、その人の立場によって法律の解釈は違ってくるわけですよ。そこは最終的に司法に判断してもらうと。
 だから、知事さんが教育をおやりになるとか、知事さんが地方の実情に合わせて教育権を行使される、教育権という言葉が適当かどうか分かりませんが、今教育委員会が持っているもろもろの権限をお使いになるということは何ら禁止をしているわけじゃないんですよ、そのことは。しかし、国においても、あるいは選挙で選ばれた、選挙で選ばれた国会議員から成り立っている内閣においてすら、ましてや地方自治体の長においてすら、もし個別の政治的なイズムあるいは宗教的背景によってだれか国会で決められた全体の法律に基づいて行われている国民の意思と違うことをしようとした場合は、それは当然なんですよ。
 だから、一昨日ですか、ここで総理も出席してその答弁をされたときに、教育委員会は選挙によって選ばれませんね、今は、教育委員は。しかし、知事は選挙によって選ばれますね。これは、特定の政党が公認したりなんかすることはあります。だから、同じ学習指導要領でも、県によってその学習指導要領の今度は運用が違ってくるわけですよ。その運用が法律に合致しているか合致してないかは、これは日本の憲法下の仕組みでは、一応、第一次有権解釈権は内閣にあるんです。それがしかしおかしいと思う場合は司法で争って、国が間違っている場合は正していかなければ、これは行政権を持った者の独裁になるんですよ。だから、これは当然、国にはそういう救済制度があるんです。そのことを内閣においてもきちっと、地方においてもきちっと担保していただくのが本来は私は地方議会の役割だと思いますよ。
○福山哲郎君 これ、実は伊吹大臣のおっしゃられることは至極当たり前のことをおっしゃっておられることでして、あえてここに不当な支配に服することなくと入れられた、じゃ理由は何なんですか。
○国務大臣(伊吹文明君) それは当たり前のことであるけれども、それじゃ、なぜ東京都と同じ訴訟が全国で起こらないんですか。ある県ではなるほどと思う考えの人もいる、しかし、そうじゃないと思う考えの人もいる。あるいは、そうだと思っておられる自治体の長もおられるし、そうじゃない自治体の長もおられると。しかし、その最後は、その法律というか、ここで我々が責任を持つんであって、そういう特定の思想、特定の宗教的背景を持っておやりになるということは駄目ですよという規範、規律を書いているということです。
○福山哲郎君 私の申し上げたことには全く答えていただいていないんですが、僕は大臣のおっしゃることを決して否定しているわけではありません。しかし、昨日大臣は、例えば、むしろ問題は、学習指導要領に書かれていることと政治信条、思想等によって違うことは、これは日本全体の法律の枠の中でやっていただかないと困りますという発言があるんです。政治信条と思想によって違うことはという、政治信条や思想という言葉まで実は入っているんですね。
 それから、もう一点申し上げると、大臣が言われる国会の多数、国民多数の意思だという、国会が決めることはとおっしゃること、僕もそれは当然だと思います。そのことは全く否定しません。しかし、大臣が引用を先ほどからずっとされている判決にはこういう言葉があるんです。
 政党政治の下で多数決原理によってされる国政上の意思決定は、様々な政治的要因によって左右されるものであるから、本来人間の内面的価値に関する文化的な営みとしての党派的な政治的観念や利害によって支配されるべきではない教育にそのような政治的影響が深く入り込む危険があることを考えるときは、教育内容に対する右のごとき国家的介入についてはできるだけ抑制的であることが要請されると書いてあるわけです。
 ということは、この抑制的であるということに対しても大臣は、何というか、お認めになられるわけですね。
○国務大臣(伊吹文明君) 福山先生、やっぱり判決文はすべてを読まないと、自分に都合のいいところだけ読むと困ります、それは。
 私が申し上げますと、(発言する者あり)いいですか、まず、第十条が教育に対する権力的介入、特に行政権力によるそれを警戒し、これに対して抑制的態度を表明したものと解することは、それなりの合理性を有するけれども、このことから、教育内容に対する行政の権力的介入が一切排除されているとの結論を導き出すことは早計であり、憲法上、国は、適切な教育政策を樹立、実施する権能を有し、国会は、国の立法機関として、教育の内容及び方法についても、法律により、直接又は行政機関に授権した必要かつ合理的な規制を有する権限を有するものとしているというのが、これ判決文です。
○福山哲郎君 いや、おっしゃるとおりでございます。だから僕は、伊吹大臣が昨日自ら、伊吹大臣が要は法律の範囲内でという話、この裁判を引っ張り出されてきたので、私はあえてこういう議論もあるよと申し上げたわけです。
 だから、僕が確認したいのは、要はですね、簡単に言うと、国家的介入についてはできるだけ抑制的であることが必要だということについては大臣は了解をされているのか、御認識があるのかないのかということをお答えいただければいいんです。
○国務大臣(伊吹文明君) これは、国家的介入というのは、例えば福山先生のお立場の国家的介入と我々の考える国家的介入と違いますよ。例えば、我々が自民党の時代に教えていただいた大先輩である西岡先生は、義務教育の教員はすべて国家公務員であるべしということを我々は最初に教えていただきましたよ。だから、それは人それぞれによって違うんです。ですから、お互いに、特に教育の分野というのは価値観が入ってはいけない、できるだけ価値観が入らないようにしていく、私はそれは常に心しております。だから、お互いにそれは謙虚にやっていくということは当然のことなんですよ、政党政治である限りは。
 ところが、自分たちの価値観と違うことをやれば抑制的じゃないぞと言っちゃえば、これは非常に傲慢な態度になるということを申し上げているんです。
○福山哲郎君 いや、おっしゃるとおりでございます。だから、抑制的になるということに対しては、大臣は御認識をそのとおりお認めいただけるんですかと申し上げているんです。
○国務大臣(伊吹文明君) 福山先生のおっしゃっている抑制的という意味はよく分かりません。私、あなたの心の中や思想信条は分かりませんから。私は私の良心に従って、それは抑制的というのか、政党的な配慮はできるだけないように動かすということは、これは当たり前のことでございます。
○福山哲郎君 抑制的な配慮があるようにですよね。今、抑制的な配慮がないようにとおっしゃったので。
○国務大臣(伊吹文明君) そういう、今私が申し上げたのは、政党政治でございますから、お互いの政治的イズムをできるだけ抑制しながら対応するということを申し上げているわけです。
○福山哲郎君 いや、私は全く大臣の言っていることを否定しているわけではありませんです。正に、大臣がさっきおっしゃられたこと、この判決はそうなんです。多数決原理によってされる国政上の意思決定は様々な政治的事情によって左右されるからお互いが抑制的に行動しなければいけないということですから、私は大臣の言っていることを全く否定してないので、じゃ、確認だけしておきます。
 教育行政や政治権力も不法な支配をする主体としては含まれるということを大臣は認められたということですね。それが一つです、先ほどの答弁で。それと、もう一つは、お互いが国家的介入については抑制的であるべきだということも、その抑制の範囲はそれぞれがみんな違うとは言いながら、そこに対しては大臣もお認めをいただいたという、この二点についてはよろしいですか。
○国務大臣(伊吹文明君) 何が不当な介入であるかということについては、日本の仕組みではこれは法律の一次的解釈権は内閣にあります。内閣が不法な支配だと思うことはやりません。これは当然やりません。しかし、内閣が不法な支配だと思わずにやったことで、福山先生が不法な支配だと思われること、不当な支配だと思われることは、これは見解の相違ですから、司法の場で争うというのが日本の仕組みです。
○福山哲郎君 いや、だから、先ほど認められたことを認めると言っていただければ結構です。
○国務大臣(伊吹文明君) 私の申し上げていることをよく理解したとおっしゃっていただければ、それで結構です。
○福山哲郎君 いや、簡単です。だから、先ほど言われたように、第一次的な解釈権は内閣にあるというのは分かります。その後は司法へ行くということも私は理解した上で、大臣がさっき言った不当な支配を行使する可能性のある主体は、大臣の言われた種々の社会的な勢力、それはひょっとしたらいろんな政治的なイズムのあるところかもしれませんが、その中に行政権力や政治権力も含まれることを先ほど認められたので、それをもう一回確認をさせていただいただけでございます。
○国務大臣(伊吹文明君) 何度も申し上げているように、日本国憲法の下においては、作られた法律は……
○福山哲郎君 いや、イエスかノーかで結構です。イエスかノーかで結構です。
○国務大臣(伊吹文明君) 作られた法律の解釈権は内閣にあります。したがって、内閣の解釈として不当な介入に当たることはしないというのは当たり前のことです。
 しかし、私にそれだけの御質問をなさる限りは、このことは選挙で選ばれた都道府県知事においても当てはまるということを認めていただかなければなりませんよ。
○福山哲郎君 今、全然分からないです、何を言っているのか。認めるかどうか。さっき、最初認めたことをもう一回認めていただければそれでいいんです。
 要は、不当な支配を行使する可能性のある主体は、社会の諸勢力も含めて、その中には行政権力も政治権力も含まれるということをさっき認められたんだから、もう一回認めていただければそれでいいんです。
○国務大臣(伊吹文明君) お互いに言葉を慎んでお話をしたいと思いますが……
○福山哲郎君 僕は全然普通に言っているじゃないですか。
○国務大臣(伊吹文明君) いや、普通じゃないです。御発言は、どうぞ委員長の御指名でやってください、京都はお互いに心を大切にしてやっておりますから。
 申し上げたいことは、有権解釈権は内閣にありますから、内閣が不当と認めるようなことはいたしませんと申し上げているわけです。
○福山哲郎君 それは分からない。だって、分からないから大臣は、最終的にはそれは価値判断がいろいろあるから司法の場に持っていくこともあると大臣がおっしゃったんじゃないですか。その大臣が内閣は不当なことをしないと言ったら、全然先ほどの前提崩れるじゃないですか。
○国務大臣(伊吹文明君) 何度も同じことを申し上げているわけですからお分かりいただいたらいいと思いますが、私が不当だと思うことはいたしませんと、だから、不当な介入になるようなことはいたしませんと申し上げているわけですから、有権解釈を持っている者が。そして、それについては、それについては、不当だと思われればどうぞ司法で判断していただきたいと。だから、少なくとも私が内閣の構成員である限りは先生がおっしゃっているようなことが起こり得ないということを私は言っているわけです。(発言する者あり)
○委員長(中曽根弘文君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
○福山哲郎君 済みません。じゃ、もう一度丁寧にお伺いします。大臣が先ほどお答えをいただいたことをもう一度確認をさせていただきたいと思います。
 この不法な支配を行使する可能性のある主体としては、大臣の言われた特定の政治イズムやある団体があるかもしれません。昨日はオウム真理教ということをおっしゃられました。そういうことも含めて行政権力や政治権力も含まれるということをお認めいただけますねとお伺いしています。
○国務大臣(伊吹文明君) それは、先ほど来、旭川の最高裁の、司法の最高の場での判決をそのまま私お読みしてお答えしているわけですよ、それは。その主体のいかんを問うところではなくと言っているわけですから。だから、そのことを御質問になるのには、私は、その最高裁の判決は、その主体のいかんを問うところではなく、論理的には教育行政機関が行う行政でも不当な支配に当たり得る場合がある、あるということを先ほど答えたじゃないですか。
 だけど、しかし、しかしですよ、しかし同時に、私は福山さんに申し上げたいのは、知事については、私の言ったことは問題だとおっしゃるけれども、これ、この判決を読む限りは、行政、国家行政についてこういうことがあるのと同時に、地方行政についても同じことがあるということを認めていただかないと困ります、それは。
○福山哲郎君 それは重々認められると思いますよ。
 もっと具体的に申し上げれば、大臣の言われた学習指導要領を逸脱をしたことで不法な支配が行われる可能性があるみたいな話をされましたが、例えばでいえば、今回、僕言いたくないんですが、未履修の問題は学習指導要領を逸脱していますよね。これ、不法な支配なんでしょうか、不当な支配なんでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) それは全く私が答弁したことを昨日から聞いていただいてない御質問ですよ。私が申し上げているのは、特定の政治思想や宗教的背景を持って教育に介入するということを言っているわけですよ、不当な支配というのは。今度の場合は、何か特定の政治思想だとか宗教的背景を持って学習指導要領に介入しているんですか。むしろ入試に有利なために規範意識を失っている人たちの集合的な行為が、もちろんそれは大学の入試の内容がどうだとか高校の指導要領の内容がどうだということはありますよ。それは、やはりこれはテレビ中継もしていますから、もう少しやっぱり私の申し上げていることを理解してください。
○福山哲郎君 いや、実は、そこ難しくて、特定の政治勢力とか特定の政治思想とおっしゃいますが、自由民主党も民主党、我々民主党も特定の政治勢力なんですよ。例えば、先ほどの未履修の問題が、ひょっとすると大臣の言われた受験のために規範意識が薄くなって、もうこれは落としてもいいということだって、ある種の特定の思想だといえば特定の思想なわけですよ。これは難しい話なんですよ、判断は。だから、この問題は非常に難しい問題だということを申し上げているんです。
 で、もう一つ申し上げます。じゃ、例えば、その特定の政治勢力や思想みたいなものを今のうちから特定をすることは国として適当なことかどうか、お教えいただけますでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) 今、事態が起こっていないときに特定はできないでしょう。
○福山哲郎君 いや、実は、国が指定をするのはよくないとおっしゃいまして、僕は大臣の……
○国務大臣(伊吹文明君) よくないというか、できない。正確に言ってください。
○福山哲郎君 よくないというか、できないとおっしゃいましたよね。ということは、政党ももちろんできませんよね、その特定はできないですよね。
○国務大臣(伊吹文明君) これがその不当な介入であるかどうかというのは、国会で議決をした法律、その他に反する教育の執行があるかどうかということによって判断していかなければいけないでしょう、それは。だから、今あらかじめどうだこうだということは言えないですよ。そして、反するかどうかというのは一義的には、先ほど来申し上げているように、法律の所管をしている内閣にあります。しかし、内閣も政党政治だから行き過ぎることあるんですよ、何度も申し上げているように。だから、日本では最高裁を含めて司法の場でそれに訴えて救済を得る道が開かれているということによって、これはもう大学でお習いになった憲法論や行政論のイロハに書いてあるように、三権分立の下での行政の独走を抑えるための仕組みが憲法に組み込まれているということなんですよ。
○福山哲郎君 そこは理解します。
 僕はもう言葉じり余りとらえると先ほどみたいに怒られるのは嫌なので言いたくないですが、今大臣が内閣も行き過ぎたことがあるとおっしゃいました。その前には、内閣は不当な支配はしないと言い切られました。この矛盾はどう説明されるんですか。
○国務大臣(伊吹文明君) それは当然のことを私申し上げているわけですよ。内閣というものは、(発言する者あり)いや、内閣というものは、内閣の解釈としてですよ、逸脱したことはしないと、しかしこの内閣の解釈がおかしいということがあり得るということを言っているわけですよ。それが、おかしいことがあり得た場合は、それは内閣の解釈がおかしいよと、法律解釈がおかしいよということを司法の場で救済してもらう制度があるんで、我々は内閣の判断の中でそののりを越えるような政党の我は通さないということを言っているわけです。
○福山哲郎君 行き過ぎたことをするかもしれないから司法の場があって、そうかといえば内閣は不当な支配はしないとおっしゃったりですね、答弁があちこち行っているんですが、前に進まないのでもう次行きます。
 どういうことが不当な支配かということについては、実例が出てこないと判断できないと大臣はおっしゃいました。特定するのは国としてもできないとおっしゃいました、先ほどね。
 実は、これ自民党のホームページなんですが、不当な支配に服することなくという規定が残ったのはなぜですかというところで、実は一部の教職員団体とか教師のみとかですね、一部の教職員団体によりとかですね、こう具体的にいろいろ出ているんですね。これは政党のホームページとして、先ほど大臣が言われたように、はっきりとした事実が分からないにもかかわらず、大臣が判断できないと言っているにもかかわらず、こういうホームページに、教育基本法のQアンドAで自民党が書かれていること自身は国民をミスリードすることにはなりませんか。
○国務大臣(伊吹文明君) どうなんでしょう、過去に、今私が申し上げたような憲法の仕組みによって救済を申し出た、司法の場に救済を申し出たケースがあるわけですね。そして、私は、最高裁の判例を出す場合にも、最高裁の判事というのは、やはり自分の価値観がある程度ありますから、できるだけ謙虚に、客観的にやるべきだとは私は思いますよ。しかし、日本の、だから、私個人で言えば、裁判がこうなっているからといって、それを金科玉条のように私は振り回さないように私の人生歩んできたつもりなんですよ。
 ただし、ただし、日本の仕組みとしては、ここにいるのは、公人として私は御答弁しているわけですから、日本の仕組みとしては最高裁の判例が最終決定であるという仕組みで日本は動いているわけですよ。
 ですから、例えば、旭川のこの学力テストではこういう判断をしているわけですよ、今申し上げたような、るるやり取りをしたような。先ほど来申し上げた、憲法上、国は、適切な教育政策を樹立、実施する権能を有し、国会は、国の立法機関として教育の内容及び方法について、法律により、直接又は行政機関に授権して必要かつ合理的な規制を施す権限を有すると。
 だから、この権限を、結果的に旭川の事案は、判決では、この権限に服してもらわなければいけないということを判決をされたと、そういうことを参考にして作ったんじゃないかと思いますが、私は、自民党がどういう意図でそれを作ったか、率直に言って存じません、私は今、行政の立場でお話ししていますから。だけど、私が文部科学大臣を拝命している限りは、あらかじめ予見を持って、どの団体がどうだとか、何が介入だとかいうことを事前に私はやるつもりはありません。
○福山哲郎君 大変明快な御答弁をいただいたと思います。私はそのとおりだと思います。是非、行政の人間、大臣であるとともに、自民党の大幹部でいらっしゃいます伊吹先生ですから、このQアンドAについては訂正をお願いをしたいと思います。(発言する者あり)訂正をしていただきたいと思います。
○国務大臣(伊吹文明君) 率直に申し上げて、私はその作成にもかかわっておりませんし、内容については今初めて伺ったというのが正直なところです。
 しかし、文部科学行政を預かっている私としては、あらかじめ、どの団体がどうだとか、何が、こういう事案が不当な支配だとかということは事案を見なければ分からないから、あらかじめそんなことを決めたり云々したりする立場には私はありませんと申し上げている。
○福山哲郎君 ということは、大臣はそのことは認めていただいた上で、自民党のホームページを訂正するかどうかは自民党の良識の問題でございますから、私も他党に介入するつもりはございませんが、こういう表現があったということだけは報告をしておきます。
 誤解を招くといけません。私は実は教職員組合とは全く関係のない人間でございますので、そのことだけは申し上げておきたいと思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 実は、どっちに行こうかな、あっ、こちらですね、済みません。次ですが、民主党案、民主党案は、国が最終責任を有するという話、それから知事に権限を渡すという話が今の非常に不安定な文部行政の中で一定の役割を果たすという認識の下に民主党案は作られていると思いますが、そのことについて、民主党案の真意というか、思いをお述べをいただけますでしょうか。
○西岡武夫君 お答えいたします。
 私ども民主党の日本国教育基本法案におきましては、国が最終的に普通教育についての責任を負うということを明記をいたしております。ここが実は、まあ伊吹大臣とは、今の御議論とかその他、若干違うところもありますけれども、おおむね、多分本音は同じお考えではないかなと私は思っているんですけれども、残念ながら、伊吹大臣は前の内閣の提出された政府の教育基本法案をひっ提げて、まあ心ならずもひっ提げて御答弁になっておられるんで、大変ある意味ではお気の毒だなと思っているんでございますけれども、そこが民主党の私どもの案と政府案と大きく異なるところでありまして、確かに言葉の上では国と地方とがそれぞれ役割分担をしてと、それは言葉としてはちょっと美しく聞こえます。しかし、いろいろな問題が起こったときにだれが最終責任を持つのかということになりますと、全く現行法においては、教育基本法はもとより、関連の教育関係法案においては全部不鮮明になっている。これを明確にするということが、私どもが今回、日本国教育基本法案の中で国が最終責任を負うということを明記した最大の理由でありまして、是非この点につきましては政府におかれてももう一度検討をし直していただきたいという最大の問題点でございます。
 それと、立たせていただきましたついでに申し上げますけれども、先ほどの不当な支配ということにつきましても、先ほどの委員と大臣との議論をお聞きしておりましても、こういうある意味では幾ら議論してもなかなか通じ合わない不毛な議論のような感じを私は受けたわけでありまして、私ども民主党案におきまして不当の支配ということをあえて削除いたしましたのは、第一に、教育という大変日本の将来を決定する重要な問題、そして子供たちの未来を決定する基本的な問題について、不当な支配という言葉が教育基本法の中になじんだ言葉だろうかという、そういう感じもありまして、まずなくしました。
 それともう一つは、不当な支配という場合の不当ということについての解釈ですけれども、どこから見たらどれが不当なのか、これがなかなか分からないわけですね。こういうことで教育現場が混乱するということが長いこと、昭和三十年代、四十年代、五十年代にかけて続いたわけであります。その経緯を私自身はずっと体験をしておりますので、ここは明快に国の責任と、そして日常の教育行政の責任と、そして学校現場における学校の理事会制度を創設して日常の学校の運営についての責任を明確にし、また、地方の教育行政については教育監査委員会というものを設けてという仕組みをつくることによって、不当な支配というような文言は不必要であって、最終的には選挙によって選ばれる国会議員また首長の皆様の責任が取られると、このように考えて日本国教育基本法案は構成されていると御理解をいただきたいと思います。
○鈴木寛君 第二点目の知事に権限が移るという云々の議論についてお答えを申し上げたいと思います。
 伊吹大臣少し誤解をされているところもありますので、提案者の方から民主党案をきちっと御説明申し上げたいと思いますが、水曜日の御答弁でも申し上げましたように、今現在は、小学校、中学校におきまして、そこで教えておられる教員の人事権は県の、県の教育委員会に所属をいたしております。私どもの案では、小学校、中学校につきましては、これは市立あるいは区立、町立でございますから、それは知事にではなくて、市長さん、区長さん、町長さん、ここに移すということを言っておりますので、まずその点はきちっと明確にさせていただきたいというふうに思います。それで、県立高等学校につきましては、これは県立でございますから知事さんが行われると、こういうふうになるということはまず御理解をいただきたいというふうに思います。
 それで、そもそも一九五六年の以前と、そして、すなわち一九五六年というのは地方教育行政法が作られて、要するに教育委員会法が廃止されたと、そういう年でございますが、それ以降で、元々の日本に教育委員会を導入した精神あるいはその精神を実現をするための制度、担保するための制度論というのはもう本質的に変わっているわけですね。
 六十年ぶりにこの教育基本法をきちっと議論をし直して現場にきちっと対応し得る教育行政制度をつくるという観点に立ち返りますと、そもそも、ここに私ども、教育基本法ができたときのそのコンメンタール持ち合わせておりますが、住民を広く教育行政に参加させると、これが重要なんだということであります。それから、従来の官僚的な画一主義、形式主義の是正、あるいは公正な民意の尊重、教育の自主性の確保、教育行政の地方分権云々、これが教育刷新委員会でもきちっと大綱としてまとめられております。
 このことをきちっと現状において実現をされるためには、正に教育現場そのものに学校理事会ということで、正に住民をレーマンコントロールの観点から参加をさせて、そして、まず自主性と民意の尊重ということを行っていくと。
 今はもう事実上、完全な官僚による画一的な支配が行われているわけでありまして、ここをどういうふうに正していくのかという観点で申し上げると、正に今、現状においては、正に民意によって選出をされている、そして一番教育現場に近い基礎自治体の首長さんに人事権を付与して、そして現にいじめの問題などで保護者の皆さんがどこに行っていいか分からないと、門前払いを食らってしまう、たらい回しにされてしまうと、こうしたときに、きちっと市長、区長に直接事態の改善を求めるような制度にすることによってワークするだろうと。
 そして、もちろん区長、市長が法律に基づいて適正なことを行うことは、これは当然でありますけれども、万が一この政党、党派的な介入があってはこれはいけませんから、教育委員会を教育監査委員会ということに発展的に改組をして、そしてこの教育監査委員会は私どもがこの参議院に提出をさせていただきました地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律、正に新地方教育行政法と言ってもいいと思いますが、ここの中で、選挙管理委員と同じように地域の議会でこの人選は行っていくということで、完全に民意を反映した民主的な組織、そもそもの教育委員会を導入したときの教育刷新委員会の大綱の正に基本に立ち返った制度設計をさせていただいているということで御理解をいただきたいと思います。
○福山哲郎君 いや、もう長いから。
○国務大臣(伊吹文明君) いやいや、ちょっと。
 私の名前を今民主党の提案者がおっしゃいましたので、私は何ら誤解はいたしておりません。小中についての設置者である市町村長にその人事権を県から付与せられるというのはそれで結構でございます。
 西岡先生が御答弁になりましたように、最終的な権限は国にあるわけですよ、民主党案も。(発言する者あり)責任は、失礼。そしたら、その責任を果たせない、例えば今回の未履修のような学校教育法に基づく学習要領が実行されなかった場合の国の担保をどのように取るのかということを明確に示していただいて、そこで初めて案になるんです。それから、民主党の、例えば京都の前原さんと私が衆議院でやり取りしたときは、理事会のその理事の選び方、これはよほどやはり注意をしないと、地方の、地域のボスだとか何かの人が人事権にまで関与できるという理事会の中へ入ってきた場合の学校教育の在り方をどう正していくのかとかね。
 やはり、私は民主党案をすべて否定しているわけじゃないんですよ、西岡先生にそれこそ教育を受けた者ですから。ですから、ただ、今のところをきれいに総論だけ述べるんではなくて、各論で担保していくというようなお話をやはり現場で少し詰めていただくと国民のためにいいことになるんじゃないかと思っているわけです。
○福山哲郎君 今、民主党の案は非常に明快に理解をいたしましたし、伊吹大臣も本音でお語りをいただいたと思います。伊吹大臣も国会の議論の中でも、いろんな、るる、今の国のやり方について私たちが口出しできないということの部分は非常に残念というかもどかしいというような話とか、教育再生会議の中でも、教育委員会が無責任な取組を行った場合、国がどのように関与をするのかも含め、この会議で議論いただきたいとおっしゃっているわけですから、それは、先ほど西岡委員がおっしゃったように、自民党の教育基本法の改正案の中で非常に抜け落ちている部分を、我々ももう少し詳細を詰めなきゃいけないことは認めますが、そこについて伊吹大臣が評価をしていただいていることも分かっているつもりですので、そこは我々は国民のために建設的な議論を闘わせればいいと思いますし、子供たちのために闘わせればいいと思います。
 じゃ、次に行きたいと思います。
 報道によりますと、例のタウンミーティングでございますが、松山でもタウンミーティングがあったときに、四百三十一人のうちの約百人動員要請があったと。それも、文科省から県教委にタウンミーティング参加者の動員要請があって、それに対してこたえて百人が動員されたと。このことは事実かどうか、端的にお答えください。短く短く。
○政府参考人(田中壮一郎君) お答えを申し上げます。
 タウンミーティングにおきます、あらかじめ質疑者を選んで、その方に質問項目を参考までにお渡しするということに関しましては既に御報告をいたしておるところでございますけれども、それ以上の中身につきましては、現在、文部科学省におきましても、大臣の御指示の下に、総括審議官の下で具体的な中身を調査しておるところでございます。
○福山哲郎君 だって、こんなの報道が出ているんだから、調べて担当者に聞けば終わりじゃない、やったか、やらないか。どうですか、お答えください。調べているじゃなしに、こんなの聞けば分かる話じゃない、すぐに。電話一本で分かりますよ。
○政府参考人(田中壮一郎君) ただいま総括審議官の下で詳しい調査をしておるところでございます。
○福山哲郎君 だから、動員があったかどうかだけお答えください。
○政府参考人(田中壮一郎君) ただいま調査をしておるところでございます。(発言する者あり)
○福山哲郎君 ちょっと止めて、止めてください。
○委員長(中曽根弘文君) 速記止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
○福山哲郎君 じゃ、簡潔にお答えください。
 松山でのタウンミーティングでは動員要請があったのか、なかったのか、分かっている範囲でできるだけお答えください。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今日、そういう報道があって、おまけに私の地元だということで非常に胸が痛いわけでありますが、そういった問題は実はほかのタウンミーティングでも指摘をされているようなところもこれあり、これを含めて、林副大臣の下に調査委員会をつくって、今タウンミーティングすべて百七十四について調べております。
 したがって、それをどういうふうに出すかということは、御案内のように、今日、中間報告が出る出ないの話もまだございますし、それ、いつまでに最終報告を出すのかということもお問い合わせをいただいているわけでございますので、その辺は統一的にこの調査委員会で発表をしていきたいというふうに、調査をして、その上で出していきたいと、こういうふうに思っております。(発言する者あり)
○委員長(中曽根弘文君) 速記止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
○福山哲郎君 じゃ、再度お伺いさしていただきます。
 松山で二〇〇四年五月十五日に開かれたタウンミーティングにおいては、新聞報道によりますと、百人ほどをめどに動員要請があったというふうに承っておりますが、事実として動員要請があったかどうかお答えください。
○国務大臣(伊吹文明君) タウンミーティングは内閣府が所管しておりますので、内閣府から調査をするように各省に指示が来ております。私が当時のラインに乗っていない者を責任者として調査を指示しておりますので、今分かっていることだけ私から申し上げます。
 いろいろな過去の例から見ると、動員を掛けて会場を占拠されるケースがかなりあるんです、率直に言って。そのために、当時の、当時の、当時のこの担当者が人員を確保してくださいということを言った記憶があるということは、私にこの記事について報告がありました。それはお答えをしたいと思います。
 しかし、そのときに、だれが責任、だれがそのことを了解して、そしてどの担当者が向こうのだれに頼んだかということは、これは将来のその人の処分にかかわってくることなんで、そのことについては、今まだ一人一人の裏を取らなければいけませんから、そこまでの調査はできてないんで、官房長官の方にはまだ御報告ができてないという状況です。
○福山哲郎君 じゃ、政府委員、もう一回お答えください。
 動員要請はあって、今調査をしているから、それは近々その報告書と一緒に官房長官に報告が上がるということでいいんですね。
○政府参考人(田中壮一郎君) ただいま大臣がお答えされましたように、私どもが関係者から聞いておりますところは、そういう、(発言する者あり)はい、そのタウンミーティングに関しまして、一定の人員を確保していただくように教育委員会にお願いをした記憶はあるということでございます。
○福山哲郎君 それなぜ最初から言えないんですか、それが。なぜ最初から言えないんですか。
 官房長官、お伺いします。官房長官、これね、やっぱりタウンミーティングの問題は、やはり教育基本法の審議の中で、やはり前の国会では、大臣が、前大臣ですよ、伊吹大臣と言うと誤解を与えますから、前大臣が、何回も何回もタウンミーティングをやった上で、国民の声を聞いてこの法律を出したと議論いただいているんですね。これもう何回も言われていますからもう嫌でしょうけど、やっぱり前提崩れているんですよ。国民の中でやっぱり不信感もあるんです。
 これ、いつまでに報告書を出されて、この国会で報告書を基に議論できるようになるのか、官房長官、明確にお答えいただけませんか。
○国務大臣(塩崎恭久君) タウンミーティングの、何というか、趣旨に反するようなことが起きたということは、もう本当に残念なことで、二度と起きてはならないと思っていますし、二度と起きないようにするために今全数調査、百七十四タウンミーティングについてやっているわけでございます。
 その調査がいつまでにできるのかと、こういう話でありますが、これは先ほど申し上げたように、林副大臣の下に調査委員会をつくって、外の識者を交えて──聞いていただいていますか。外の識者の手も煩わせて今職員挙げて全部これ調べているわけであります。したがって、それはもうできるだけ早く御報告ができるようにということで、今土日も返上してやっている、休みも返上してやっているわけでございますが、まだいつまでということは具体的には言える段階には至っておりません。
 今日、中間的なまとめがまとまるということでありますけれども、これは林副大臣が申し述べたように、どの範囲まで、どういう形で公表するのかというのは林副大臣のところで今御検討のはずでございます。
○福山哲郎君 実は僕は、官房長官、本当にいろいろな形で本当に尊敬をしておりまして、いつも歯切れのいい答弁で、私は結構あこがれている政治家なんですけれども、ちょっとやっぱり歯切れ悪いですよね、官房長官、珍しくね、珍しくね。林副大臣も私は大変信頼しているんですが、内閣府でやったことを内閣府の副大臣が調査するのはいかがなものかなと私は思っているんですね。
 もう一個申し上げれば、これ、安倍内閣が最重要課題だと言われている教育基本法の審議をして、その中でやらせが見付かったんです。この教育関係の八回のうち五回やらせ質問があった。この八回分だけの調査でも早急に調査をして出すのが審議をするに当たっての最低限の私は条件だと思うんですが、官房長官、いかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 教育の関係については、衆議院の教育特の方に八回分すべてについて御報告をもう既にいたしております。
 ただ、その後の問題もあるし、それから、他のもうこの際タウンミーティング、これは安倍政権になってやったことではなく、安倍政権の前の政権のときに百七十四回やったタウンミーティングについてすべてこれを見直していこうと。その上で、新たに安倍政権としてタウンミーティングやるときにどういうやり方がいいのかというのは、今回の調査で出てくるであろう様々な問題点を克服する形で新しいやり方をつくり出してやりましょうと。こういうことになっておるわけでありまして、で、歯切れが悪いということで福山先生に失望されてしまうのは残念でありますが、別に歯切れが悪いわけではなくて、ばらばらばらばら出して何のことやら分かんないよりは、全部を調べて統一的に皆様方に御説明ができて、その上で、何が悪かったのか、どこに責任があったのかということを明らかにするということをした上で、新しいやり方をつくってスタートを新たにしましょうということを言っているわけでありますので、その点については御理解を賜りたいなというふうに思うわけでございます。
○福山哲郎君 実は、先ほど私がお伺いした松山の話は教育に関するタウンミーティングの問題です。もう御案内のとおりでございます。
 衆議院に先ほど出されたとおっしゃいますが、それでは全く足りないのでこうやって聞いているわけです。それは全体終わるまで待ってくれということでは余りにも不誠実だから、教育の問題に関しては今分かっている分だけでもいいから明らかにしてほしいと私はお願いをしています、本当に前提が崩れていますので。じゃないと、なかなか委員会の審議が進みません。
 そこは非常に、我々としても、こんなタウンミーティングみたいな議論をしていることが教育基本法の本旨かと、趣旨かというと、違うと私は思っているんですね。だからこそ、早くこの八回分に関してはより詳細な報告書をそれこそ官房長官の責任で出すと、委員会に出すと、今日言っていただければそれでいいんですが、官房長官、どうですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) いや、もうそれについては調査委員会で調べているとしか言いようがございません。で、後は、委員会のお話であれば、それは委員会で御議論を賜って、理事間で御討論をいただければと思います。(発言する者あり)
○委員長(中曽根弘文君) 速記止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
○福山哲郎君 速やかに教育関係、タウンミーティングの教育関係に関する資料を、早急に報告、資料を提出をいただきたいと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(山本信一郎君) お答えいたします。
 教育改革タウンミーティング、八回につきまして私ども調査をいたしました。その調査報告書、それからそれに、それからこれまでいろいろ、種々公開してまいりました契約書、請求書、こういったものを添えて、直ちに御報告をする所存でございます。
○福山哲郎君 今のは、おとといの、一昨日の蓮舫委員の発言の領収書等も含むのと、それから今私が申し上げた動員関係の資料ももちろん含まれると考えてよろしいですね。
○政府参考人(山本信一郎君) お答えします。
 蓮舫委員からお話がございましたあの件につきましては、社内経費でございますので領収書はありません。
 それから、二点目の動員関係でございますけれども、これについては現在私ども調査中、全数調査中でございますので、これは全部今洗っておるところでございますので、直ちにはお出しできません。(発言する者あり)
○委員長(中曽根弘文君) 速記止めてください。
   〔午後二時二十六分速記中止〕
   〔午後二時四十二分速記開始〕
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
○福山哲郎君 それでは、官房長官に要求をさせていただきたいと思います。
 まず三点。一つは、今議論になりました松山の百人教員が動員をされた件について、詳細について早急に資料を提出を願いたいこと。二点目は、衆議院で今八回のタウンミーティングの分について資料が出てきましたが、それでは足らない分が、不足分がたくさんございますので、それについてのより詳細な資料を御提出をいただきたい。それから三点目は、一昨日の蓮舫委員の事前調整費に関するより詳細な請求書も含めての資料提出をお願いしたいと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今の御質問、御要望の中にも必ずしも具体性が十分なものではないものもございますので、是非、理事会で詰めていただいて、理事会で御協議をいただいた上で調査委員会と接触をしていただいて、そこで答えを出せるかどうかを御議論、お話をしていただきたいというふうに思います。
○福山哲郎君 では、委員長、理事会の方で今の三点の要求について真摯に御議論いただきますようによろしくお願い申し上げます。
○委員長(中曽根弘文君) ただいまの件は後刻理事会で協議をしたいと思います。
○福山哲郎君 では、質問を続けさせていただきます。
 今の松山の動員のことについては、より詳細な資料をいただけるということで、それを待つことにしますが、一言だけ申し上げておきますと、そのころには文科省が県の教育委員会にタウンミーティングの参加者の取りまとめを依頼をして、呼び掛けて百人が応じたと。住所、氏名、電話番号などの個人情報を記載した応募リストを国に提出したというふうに報道にはあります。私は事実関係が分からないので、事実関係を知りたくてお伺いします。このことについても重ねて答えが、答弁ができるように早急に準備をいただきたいと思います。
 では、次に行かせていただきます。問題のタウンミーティングでございますが、塩崎官房長官にお伺いをします。
 官房長官がいつも最近答弁で言われています、司会者が、タウンミーティングを活性化するために最初の会議の中でまず御意見を壇上で言っていただくと、そういうことに謝礼金を使ったと、やらせだけに使ったのではないと、(発言する者あり)やらせは使っていないんですか。やらせには使っていないとおっしゃっておられますが、この壇上にお上がりいただいて、それで質問のスタートにしていただいた方の謝礼金はお幾らだったんでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) もう一回申し上げますと、これは十六年度以前にあったというふうに聞いているわけでありますが、したがって、今年度、昨年度はないわけでありますけれども、この十六年度以前にあったのは、今お話があったように、司会者から例えばどこどこの観光協会の会長さんに是非地域おこしについてまず御発言をいただきたいと思いますと言って壇上ないしは自分の席で発言をしていただくと、こういう場合に五千円お支払をしたというふうに聞いているところでございまして、五千円というのが私たちが聞いている支払った額だというふうに思っております。
○福山哲郎君 実は、ここははっきりしておきたいんですが、その平成十六年度の仕様書、この仕様書は内閣府が作成をして、当該依頼をした広告代理店にこういう形でやりなさいといって出した仕様書で間違いないですね。
○政府参考人(山本信一郎君) 委員御指摘のとおり、仕様書というものを入札の前に内閣府で作成をいたして、それに基づいて業者の方に入札をしていただく、こういうものでございます。
○福山哲郎君 まず、おとといの、一昨日の蓮舫委員の質問に多少補足をさせていただきますと、この仕様書の中に実はエレベーター手動二名、エレベーターから控室までの誘導二名、それから会場出入口にお迎えとかですね、こういうものが全部実は仕様書に書いてあります。この間、政府委員は、それは単価はもちろん広告代理店が、業者が出したものだとおっしゃいましたが、それの指示を項目別にしているのは実は内閣府が出していますから、出された仕様書に沿って単価を入れるのは実は当たり前の話でございまして、まず内閣府がエレベーターのボタンを押す人を二人で、こういうことをちゃんと指導していたということだけははっきりしておきたいと思います。それで入札が落ちているということは、先ほどの人件費の金額も含めて、蓮舫委員が言われたみたいに非常に高額の人件費で、まあ簡単に言うと、エレベーターのボタンが一回四千円でしたっけ、五千円でしたっけ、四万円、まあとにかく、詳細はもう結構ですが、そういった仕様書に基づいて広告代理店は作ったということだけははっきり申し上げておきます。
 その仕様書を見ると、官房長官、細かいこと言うようで恐縮なんですが、官房長官の言われた登壇をして依頼をして口火を切っていただく方とほかの協力者とは分かれているんです。仕様書、これ、お手元にお配りをしました仕様書でございます。
 配ってください、資料。
   〔資料配付〕
○福山哲郎君 今、内閣府が作ったということは内閣府は今お認めになられました。その仕様書があって、仕様書を今、僕、抜粋をしています。それもやらせがあったと言われている平成十六年度の仕様書でございますが、これ見ていただきますと、仕様書の中にちゃんと書いてあるんです。一回当たり実施事務、@からDを民間人有識者等へ支払い。@民間人有識者謝礼金。これは講演をいただく方みたいです。それから、民間人有識者交通費。これは御講演いただくから移動があるんでしょう。これは問題ないです。その次、これが官房長官の言われている依頼登壇者謝礼金等、そして四番目、その他の協力者謝礼金等ってあるんです。
 実は、先ほど官房長官の言われた五千円はCなんです。下見てください。実は仕様書に指定単価まで書いてあるんです。Cのその他協力者謝礼金等が五千円。そして、Bの官房長官の言われた依頼をして登壇者の謝礼金というのはB、二万円になっているんですよ。これ、官房長官、先ほどの答弁と違うんですよ。
 これは一体どういうことなのか、官房長官、ちょっと御説明をいただくか、官房長官はひょっとしたら報告を受けておられないかもしれない。それだったら政府委員でも結構でございます。
○政府参考人(山本信一郎君) お答えいたします。
 今の福山委員御指摘のここの項目でございますが、@の有識者謝礼金、これは正に有識者としてパネルに入っていただく方。それから、Bの依頼登壇者謝礼金、これは指定単価で二万円といたしておりますが、これにつきましては、タウンミーティングをスタートしましてからしばらくの間、地元の代表的な方に、閣僚や民間有識者とともに初めから、もうスタートから登壇をしていただいて議論に加わっていただく例がございまして、この方々に二万円の謝礼金をお支払をするという具合に整理をした項目でございます。
 それから、Cのその他協力者謝礼金等、これは単価五千円でございますが、この方々につきましては、会場の方を司会者があらかじめ指名をして御紹介をして口火を切っていただく、その方の中に指名をされた後登壇されて発言された例もございますと、こういうことでございまして、この二万円の例と五千円の例はそういう具合に明らかに異なっているので、御理解いただきたいと思います。
○福山哲郎君 官房長官、ずっと委員会の中で答弁されていますよね。問題については御意見を壇上で言っていただきますと。地元の方の有識者みたいな方に答弁をいただくとさっきもおっしゃいましたよね。これ、ずれているんですよ、答弁が。はい、官房長官、どうぞ。
○国務大臣(塩崎恭久君) さっき申し上げたように、いや、その有識者という言葉がどこまで入るのかというのは問題ありますが、例えばPTA会長でもいいんです。それから、観光協会の、地元の道後温泉の旅館組合の組合長でもいいんですが、そういう方に席にいていただいて、それでお願いをしておいて、この話題になったときにまずしゃべってくださいと言って紹介をして、壇上ないしは、まあ自席の方が多いようですが、こういう五千円ケースはですね、自席が多いようですけど、そこで問題提起をしてもらうと、発言をしてもらって、それでその謝礼に五千円を昔払っていた、こういう話です。
 今の二万円のケースは、初めから壇上にパネリストとして上がってもらって、国会議員や大臣や他の東京辺りから来たいわゆる有識者と並んでやっていただく方について二万円をお礼でお支払をしていたということで、決して変わっていないというふうに思います。
○福山哲郎君 実はそれが三万円なんですよ。そうなんですよ。それは民間人有識者三万円なんですよ。政府委員。
○政府参考人(山本信一郎君) 今のお話でございますけれども、閣僚と有識者、ケースによって違いますけれども、例えば総合規制改革会議の会長とかそういった方が、中央からの有識者、三万円、いろいろな方がおられます。
 それから、それに加えて、初めのタウンミーティングをスタートしたしばらくの間は、地元の有識者の方を初めから壇上に、そういう方と一緒に並んで、ネームプレートを付けて座っていただいて発言していただいております。この方が二万円でございます。
 五千円というのは、会場におられる方をあらかじめ指名をして御紹介をして口火を切っていただくということでお願いをしていると、これが五千円という具合に整理がされております。
○福山哲郎君 もう一回二万円を御説明ください。もう一回二万円を御説明ください。
○政府参考人(山本信一郎君) 済みません。
 閣僚と有識者という方がおられます。それにプラスしてタウンミーティングを始めたしばらくの間は地元のそういった代表的な方、有識者の方を初めからその壇上に座っていただいて、閣僚と有識者の方と共々パネリストとして議論していただいた、最近はこれはございませんけれども、初めはそういうことがあって、それがこの二万円の方でございます。
 以上です。
○福山哲郎君 いや、昨日官房長官の答弁は、司会者が、どこどこのどういうお仕事で、どういう頑張り方をしている方に、どういう問題についてまず御意見を壇上で言っていただきますと、これ先ほど言われた地域の有識者ですよね。
○国務大臣(塩崎恭久君) 蓮舫議員の御質問のときに、壇上ないしは会場でというふうに私言ったと思います。で、改めて聞いてみますと、どちらかというと壇上でやるよりは自席で立ち上がって今のような紹介を受けて、今日はここのどこどこのだれだれさんにまず代表して問題提起をしてもらいますとか、そういう形で言っていた。それが五千円をお支払をしていた、かつて支払っていた相手だということで、さっき言ったように、同じ地元の人でも初めからパネラーと、パネリストとして座って議論をしていただく方に二万円を払っていたと。で、東京辺りから来ていただいたりとかいう、そういう方々にはたしか三万円をお支払をしていたというふうに私は聞いております。
○福山哲郎君 そしたら、各タウンミーティングの会場で何人の方に三万円を支払って、何人の方に二万円を支払って、何人の方に五千円を支払ったのか、教育関係の八回についてで結構でございますから、これはもちろん相手から領収書をもらっているはずですので、それを全部出してください。そしたら、人数符合すればそれが正しいかどうか分かるはずですから。で、その五千円の中に、官房長官、やらせの質問をお願いした人はいらっしゃらないと今はおっしゃっているんですね。確認だけさせてください。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたように、ちゃんと御紹介をして、そしてキックオフ的な問題提起をしていただくというような方々に五千円をお支払いしていたというふうに、かつて慣行としてやっていたということで、いわゆる質問を作ってこれしゃべってくださいと言ってやった人ではないというふうに私は聞いております。
○福山哲郎君 つまり、質問を作ってこれやってくださいという人にはお金を渡してないということですね。
○国務大臣(塩崎恭久君) そのとおりであります。
○福山哲郎君 分かりました。
 じゃ、先ほど申し上げた八回の会場で何人分、どの金額で何人渡したか、それは符合すぐできると思いますので、お示しください。
○政府参考人(山本信一郎君) 八回の教育改革タウンミーティングにつきましては、このいわゆる五千円の支払をしたことはございません。ありませんでした。
○福山哲郎君 その次、実は問題になっている平成十六年、十七年は同じ広告代理店がずっと入札をしています。で、これ入札状況を見ているんですが、全部実は、私のところに実は入札状況調書が出てきました。資料あるんですよ。出そうと思えば出せるんですよ。これはやっぱり出せるものは出していただいた方がいいと思うんですが、これ実は三回の入札、十六年、十七年、十八年、入札全部同じ会社が入札をしているんですけれども、これの入札予定価格、平成十六年、平成十七年、平成十八年、それぞれの入札予定価格をお示しいただけますか。
○政府参考人(山本信一郎君) お答えいたします。
 お渡ししております入札状況調書というもので、各社が幾ら入れて、どこが一番安くて、どこが取ったという資料の中で、今、福山委員御指摘のように、予定価格というものを我々セットをしてこの入札をするわけでございますけれども、この予定価格を公表すべしという御質問でございますけれども、他の契約の予定価格を類推させるおそれがないと認められるものに限り公表することとしているわけでございまして、このタウンミーティングにつきましては、同じようなものを年二十回とか二十五回とかやるものを毎年やっているということでございますんで、本契約のように、同様あるいは類似の事業が繰り返されるものにつきましては、この予定価格を事後的であっても公表することは適当でないという具合に考えておるところでございます。
○福山哲郎君 ごめんなさい。今、これ大問題になっているんですよ。で、代理店、三回、三年間同じ業者が落としているんですよ。それで、類似のタウンミーティングがあるかもしれないし、類似の何かがあるかもしれないとおっしゃるけど、先ほどのいろんな大臣の誘導の話やエレベーターのボタンを押すのが何千円という話も含めて、やり方自身が今問われているんですよ。類似のがあるから出せないというのは全く理由にならないじゃないですか。だってこれ、この議論をしているんだから。それじゃ全然明確な理由にならないと思うんですが、もう一回お答えください。
 平成十六年、平成十七年、平成十八年の入札の基準価格、予定価格について御答弁ください。
○政府参考人(山本信一郎君) タウンミーティングをより簡素に、もっと厳しく節約していくということできっちりとやっていきたい。それも調査委員会で種々調査をしていただくということになっておりますが、今の委員の御指摘自体につきましては、「国の契約に係る予定価格の事後公表について」ということで、これ財務省の方から示されております一般的なルールでございますので、これについては御理解を賜りたいと思います。
○福山哲郎君 ごめんなさい、一般的なルール、じゃ説明してください。さっきは類似のがあるから駄目だという、違うじゃないの、御答弁が。
○政府参考人(山本信一郎君) お答えします。
 一般的なルールの中に、他の契約の予定価格を類推させるおそれがないと認められるものについては公表すべしという具合に書かれておりまして、この我々の場合は、この類推させるおそれがあるという具合に判断しておるものでございます。(発言する者あり)失礼しました。その財務省から示されておりますものは、平成十年三月三十一日付けの大蔵省主計局長から各省庁会計課長あての通知でございます。
○福山哲郎君 いや、それならそうと、昨日、事前通告のときに言ってくれないと。そうしたら僕、財務省呼びましたよ、今日。そのこと言わないから、今日、財務省呼べないじゃない。でしょう。それ、おかしいでしょう。
 類推すると言うけど、今これもう完全に問われているんですよ、お金の使い方も含めて。これと同じように、また同じようなものをやるおつもりなんですか。
○政府参考人(山本信一郎君) タウンミーティングの経費の在り方についてもしっかりと厳しく見直していきたい、いかなければいけないとは私ども考えております。
 しかし、今の予定価格の公表につきましては、今申し上げましたとおり、一般ルールの中で我々としては処理せざるを得ませんので、御理解いただきたいと思います。
○福山哲郎君 見直すつもりがあると今おっしゃったじゃない。見直すということは関係ないじゃないですか、今までの過去の類推の話とは。これは国民の税金ですよ。これからはこういう形でやらない前提で今やっているんでしょう。これ、類推できるわけないじゃないですか。これを類推してものをつくるわけないじゃないですか。(発言する者あり)
 予定価格、これ、何で出ないんですか。ちょっと、もう一回。
○政府参考人(山本信一郎君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、予定価格につきましては他の契約の予定、類推させるおそれがあるということで、ルールとして出せません。
○福山哲郎君 ちょっと止めてください。
○委員長(中曽根弘文君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
○福山哲郎君 済みません。なかなか予定価格出していただけないみたいなんですが、これ類推が、なぜ類推されるのかがちょっと説明が不十分だと思うんですが、これ例えばタウンミーティングをやり続けるにしたって、この仕様書はもう一回全面的に見直すんですよね、当然、当たり前のように。
○政府参考人(山本信一郎君) 節約もしないといけませんし、厳しく見直しをしていきたいという具合に思っておりますし、委員会でも、調査委員会でもそのような調査がなされるものという具合に考えております。
○福山哲郎君 つまり、仕様書を出して、それに対して見積りを取って入札をするわけですよ。その仕様書を今もう一回前提全部変えると言っているんだから、類推なんかできないじゃないですか。そうしたら、その先ほどの一般の、何でしたっけ、入札の公表の制限というのは当てはまらないんだから、予定価格出してもいいんじゃないですか。
○政府参考人(山本信一郎君) そういう具合に見直していく必要があるという具合に考えておりますが、これはこれからの作業でございます。したがいまして、現時点でやっぱり類推されるということで出すのは適当でないと、このように考えております。
○福山哲郎君 私は、全く理解ができないし、納得もできないんですが、もう切りがないので、理事会で委員長、協議をもう一度いただけませんでしょうか。
○委員長(中曽根弘文君) ただいまの件は後刻理事会で協議をいたします。
○福山哲郎君 実は私、本当はいじめのこととか学校内暴力のこととか、教育基本法にかかわることをたくさんやりたかったんですけど、なかなか明快な御答弁いただけなかったので、次回に移したいと思いますが、とにかくこのタウンミーティングは、これ例えば教育基本法がどんな形であれ、やっぱり国民に信頼され得るものでなければいけないと私は思っているんです。こんな前提で、こんなに資料も出てこなくて、不信の中で教育基本法がやっぱり議論されること自身子供たちにとって不幸だと思いますし、とにかく真摯な資料提出と真摯な審議を与党側に、政府側に求めまして、私の質問取りあえず終わりたいと思います。
 どうもお騒がせしました。ありがとうございました。



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第165国会  参議院  環境委員会  2006年10月26日

地球温暖化問題、鳥獣保護


○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
 まず冒頭、若林環境大臣、それから土屋副大臣、そして北川政務官におかれましては、御就任おめでとうございます。若林大臣におかれましては、同じ参議院ということでございますし、政治家としても大先輩でいらっしゃいますし、私は予算委員会のときに大変御指導いただいたこともありまして、また農業政策については大変専門家ということで、大変今、日本の環境行政、期待が高まっておりますので、私も御期待をまず申し上げたいというふうに思います。どうかよろしくお願い申し上げます。
 また、私のことで恐縮でございますが、この国会の冒頭で委員長を辞させていただきました。各委員の皆様方におかれましては、委員長時代は本当に御協力いただいたことも重ねて御礼を申し上げたいというふうに思います。本当にお世話になりました。ありがとうございました。
 時間もありませんので、早速行きたいと思います。
 まず、温暖化の問題について大臣に少しお伺いしたいと思います。
 昨年、二〇〇五年というのは、温暖化にとっては大変転機を迎えた年だと私自身は思っておりまして、まずEUで排出権取引の市場がスタートしました。それから、余り正式な場面ではないですが、ダボス会議で異常気象というのが議題になりました。そして、グレンイーグルズ・サミットで温暖化がテーマになって対話がスタートいたしました。何よりも二月には京都議定書が発効した。日本でいえば、アメリカも含めてAPP、アジア太平洋パートナーシップがスタートしてCOPMOP1が始まった。いろんなトピックがあったわけです。
 その中で、やはり冒頭に申し上げましたように、ダボス会議にしてもグレンイーグルズ・サミットにしても、やっぱりイギリスの果たした影響というのは非常に大きかったと私は思っておりまして、先般イギリスのプレスコット副首相が来られました。大臣はプレスコット副首相と会談をされたというふうに承っておりますが、なかなか報道等では伝わってきません。非常に温暖化について重要なイギリスとの関係でございますので、まず、就任早々大臣がプレスコット副首相とどのようなお話をされたのか、もし御披瀝をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(若林正俊君) 福山委員は委員長をお務めなされましたなど、この環境問題に対して非常に積極的な取組をされ、御理解をいただいておりますことに敬意を表し、また感謝を申し上げるところでございます。
 御質問の英国のプレスコット副首相が訪日されまして面談をいたしました。最終的には総理とも会っていただきまして、これからの地球環境の問題、気象変動枠組条約京都議定書の達成、さらにポスト京都議定書と申しますか、一三年以降どういう枠組みでやったらいいかなどにつきまして意見交換をさせていただいたところでございます。
 二人の間では、今申し上げましたように、今後の対応として二〇一三年以降の次期枠組み等についてお互い忌憚のない情報・意見交換を行ったところでありますが、中でも次期枠組みについては、中国やインドなどをどのようにして巻き込んでいくか、それらの戦略といいましょうか検討が重要な課題であるということ。
 また、二〇〇八年に我が国が主催しますG8サミットにおきまして、気候変動問題に対する国際交渉の進展に資する成果が発信できるように日英ともに協力していこうということを確認をしたところでありますが、特にグレンイーグルズ・サミットにおいて日本イニシアティブでスリーRを始めとする具体的な取組の提言をいたしまして、さらに中国やインドその他の諸国も入っていただいて、これを成功させていくということについて動きがございます。二〇〇八年の我が国におきますG8サミットにおきまして英国からその後の報告を受けることになっております。それらを基にして更に次なる発展を図っていこうということをお互い確認いたしました。
 また、アメリカでございますが、アメリカにつきましても、この参加、枠組条約の規制に入っていないわけですけれども、一般的にはアメリカ国内におきましても大変に深刻な気象変動などを通じまして地球温暖化についての認識がかなり深まっていると承知いたしておりまして、ゴアが大変熱心な活動をしておりますが、「不都合な真実」という映画も作成をして、世界的にもその必要性をアピールしておられますけれども、カリフォルニアのシュワルツェネッガー知事も州法として、この温室効果ガスを州として規制できる根拠法を制定するなど、地域地域によりましてかなり積極的な取組が進んでおりますので、こういうような取組を更に拡大をし、連携をしていくような努力をいたしまして、日本としてもイニシアティブを取ってこの枠組条約の更なる発展を期してまいりたい、このように考えております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 イギリスのプレスコット副首相や、恐らくその前か後にダーウェントDEFRA、向こうの環境・食糧・農村地域省の気候・エネルギー担当者やアシュトン気候変動問題特別代表とも大臣はお目に掛かったと思います。
 私も実は日本に来られたとき、この間ちょっと懇談をさせていただきまして、イギリスに今年の夏私行ってきたんですけれども、そのときにダーウェントにアポイントを取ったんですが、彼急な出張で駄目になりまして、その部下六、七人とちょっと懇談もしてきた経緯もあって、いろんな議論をしてまいりました。大臣が就任直後にこのイギリスの気候変動担当者とこうやって御議論いただいたというのは我が国にとって非常に重要なことだと思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
 また、今大臣の御発言を聞いてちょっとびっくりしたんですが、アメリカが気候変動に多少積極的に乗り出したというようなことを余りはっきりこれまでの大臣は認められたくなかったんですね。なかなかやっぱり認めにくい空気があったようで、大臣がもう今はっきりそのようなアメリカの空気の変化も感じておられるということも私自身は重要な御指摘だと思いますし、そのことを後でお話をさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
 ちょっと国内の話になりますが、安倍総理ですが、所信表明承っても余り環境問題に熱心だとは思えないと。著書を拝見しても、私も読ましていただきましたが、余り環境問題言及がないんですね。大臣は、新聞見ると経済と環境を一緒にやってくれというような御下命を受けたというような話がありますが、大臣としては、安倍総理に是非積極的に環境は重要だよと大臣からも御指摘をいただきたいと思いますし、安倍総理と大臣就任の際にどんな会話もあったのかも含めて、できる範囲で御披瀝いただければと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 今お話がございましたように、安倍総理は美しい国づくりというのを掲げての自らの政策の披瀝をしているわけであります。美しい国づくり自身というのは、当然前提として豊かなこの自然、美しい自然と共生する人間社会というようなことを前提にしているものと、そのことについての言及がさほどありませんけれども、それはもう言わば前提であるというふうに私は読み取っているわけでございます。
 環境大臣の就任に当たりまして、総理からは、地球温暖化対策などの地球環境問題について、またスリーR政策などについて、環境の保護と経済成長との両立を図っていくように積極的に取り組んでもらいたいという一般的なお話がありました。具体的には実はメモがありまして、メモで具体的に、更に具体的にはこういうことを進めてもらいたいというのがございまして、その中に京都議定書の目標達成計画の着実な推進に努力を願いたい、それから大規模不法投棄をゼロにするということを目指した廃棄物対策を積極的に進めてもらいたい、そして生物多様性の保全など自然との共生について国際社会と協力して取り組んでいってもらいたいといったようなメモを併せいただいておりまして、国民が大変高い関心を環境に寄せていただいておりますので、そういう国民の意識を更に共有しながら環境行政に全力で取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 是非、先ほど申し上げたように安倍総理を後ろから叱咤激励して、環境行政前へ進むように大臣には頑張っていただきたいと思います。
 実は、先ほどの大臣の御答弁の中で若干御指摘をもういただいたのかもしれませんが、京都議定書の第一約束期間が始まる二〇〇八年に実は日本でG8サミットがございます。我が京都はG8サミットを是非京都へというふうに運動を展開しておりまして、それもここでは一応主張はしておきたいというふうに思いますが、京都でサミットやっていただければいいなと思いながらも、実は、先ほど話をしたことと実はつながります。
 イギリスは、イギリスのサミットのときにG8の対話も含めてその前にダボス会議で異常気象というテーマを設定をし、もちろん御案内のようにイギリスがダボス会議、中心にやります。ブレア首相はある種の戦略性を持って京都議定書の発効、ダボス会議、そしてEUでの排出権取引市場のスタート、で、このサミット。なおかつ、アメリカを京都議定書とは別の枠組みで入れていくんだと。EUがある種の主導権を握るんだということを、これ明確に僕は戦略的にやられたと思います。それがいいか悪いか評価は別ですが、そのような形でサミットに臨まれたと。
 二〇〇八年というのは約束期間が始まる年であるとともに、先ほど大臣からお話があったように、ある種のG8対話の報告がこのG8でされることになります。そのときに日本がどういう、イギリスほどの絵をかいていただければそれにこしたことないんですが、どういう形の戦略でこのG8サミットに臨むのかというのは、これは非常に重要だと思っているんですね。そのときの日本の果たすメッセージ、役割。例えば、そのときに、先ほど大野委員からも出ましたけれども、日本は約束が達成できない状況ですと、済みません、遵守がありますが、何とかそれに関しては軟らかい罰則でお願いしますみたいな立場なら、全くイギリスのようなイニシアチブは取れないわけですね。国際的にも全く説得力を欠くわけです。
 ですから、ここの二年間というか、もう二〇〇八年まで二年、サミットまで二年もありません、この一年数か月が非常に重要な時期だと思っておりまして、その御決意を是非大臣にいただきたいなと。もし何かイメージがあったりスケジュール的に何かお考えいただいていることがあれば、それも御答弁いただければ有り難いと思います。
○国務大臣(若林正俊君) おっしゃられますように、イギリスが大変主導的な立場、そしてまた世界的な視野の中でのイギリスの責任感といったようなことで大変熱心にこの問題に取り組んでいただいておりますが、我が国もイギリスと共同で国際的な政策形成に貢献するということを目指しまして、低炭素社会の実現に向けた脱温暖化二〇五〇プロジェクトを立ち上げるといったようなことで英国との協力を進めてきているところでございます。
 それで、二〇〇八年のG8サミットは大変大きな意味を持っているわけでございますが、先般も副首相との話の中で、どうしても二〇一三年以降の長期的な展望というものを描かないと地球全体の多くの国々の参加、協力が得られないと。そういう意味で更に幅を、枠組み、幅を広げた共感が得られるような努力をお互いにしていこうと。同時に、やはり長期的に、一応二〇五〇年というのを念頭に置きながら地球におきます人類の共通の危機というようなものを明確にした上でそれをアピールしていかなきゃいけないだろうと、こんなふうに考えているところでございまして、国際的な、今年も実は十一月にケニアで会議がございます。議会の皆さん方の御理解が得られれば私自身もそこに出席させていただいて、世界各国の責任者の皆さん方とそのような地球が直面しております危機的課題についてどのような協力関係をつくることができるかということを率直に話し合っていきたいと思いますし、アジアの面でいいますと、十二月には日中韓の環境担当大臣の会合が予定されております。アジアはアジアとしての立場でその重要な役割を果たさなければならない、日本、韓国、中国との間の環境問題におきます共通の認識を得るようにしっかりとしていくことが大事ではないかというふうに考えております。
 また、二〇〇八年のG8サミット、そのときが正に第一約束期間がスタートするという大事な年でもございます。もう目の前に来ているわけでございますから、先ほども申し上げましたように、もう今年からこの京都議定書の目標達成のために我が国の中で各部門別に取るべき対策というものを作り上げているわけでございますが、それを更に見直す総点検をして、二〇〇八年の段階で後ろめたいような思いで、肩身の狭い思いでこの会議に臨むことがないように関係方面を叱咤激励し、お互いに協力し合ってその実現が図れるように頑張っていきたいと、このように考えております。
○政府参考人(南川秀樹君) 若干補足させていただきます。
 まず、イギリスとの関係でございます。イギリス、大変熱心でございますし、この問題で福山委員御指摘のとおり強いイニシアティブを国際的に取ろうとされております。先日のプレスコット副首相の来日もその一環でございますし、御指摘のように、その前にアシュトン氏とダーウェント氏が日本を訪れたということもそうだと思います。
 具体的には、去年の七月の英国でのG8、グレンイーグルズ・サミットを受けまして、その気候変動問題についてG8プラス20、この20には中国、インド、ブラジル、メキシコなどが入っておりますけれども、その対話が始まっております。既に二回大きな対話が行われまして、その結果を二〇〇八年の日本でのG8サミットに報告するということになっておりまして、既にスケジュールもそこまではでき上がっておるわけでございます。また、アシュトン氏以下には、小島地球審議官がお会いしたわけでございますけれども、その中でも、イギリスとしては気候変動も安全保障問題の一つとしてとらえる気候セキュリティー、クライメートセキュリティーという概念をしっかり打ち出して、非常に強い政治メッセージを世界に発していきたいというようなお話もあったところでございます。
 私ども、大変大きな国際的に影響を持つ、かつ戦略的にも優れたノウハウを持つイギリスと協力しながら国際的な枠組みづくりに参加していくということは大きな方法だと思います。それ以外にもちろん国内対策をしっかりやり、かつアメリカなどとの対話も欠かさず、いかにして二〇〇八年の日本でのサミットでこの問題に一つの方向性を出させるか、また二〇一三年以降の枠組みについても、イギリスはできれば二〇〇九年には枠組みを決めたいと言っておりますけれども、そういったことも含めながら、しっかりした貢献ができるようにしていきたいと考えております。
○福山哲郎君 今の大臣の御答弁も、それから局長の御答弁も大変前向きなことで、私はちょっと元気が出てきました。大臣御就任以来最初の委員会でこのように前向きに御発言をいただくというのは非常に有り難いことだと思いますので、是非本当にその決意が各省庁の抵抗に遭って元気がなくならないように頑張っていただきたいなと思います。
 そういう頑張ると宣言をしていただいている大臣に大変厳しいんですが、先ほど大野委員からもお話ありました、八・一%の増が速報値で出てきました。もうこれが何で理由かとかいうのはもう聞きません。聞いてもいつものような同じような答えが出てくるだけですから、余り意味がない。
 ただ、大臣がさっきおっしゃられたように、一体これまでの目標達成計画で何がまずくてできていないのか総括をしないことには、なかなかこれ新たな見直し論議をしても同じことを繰り返すだけになるんですね。これ見直しのときに、実際昨日経産省は産構審がスタートしました。二十七日からは環境省の中環審でもこの見直しの議論がスタートすると思っています。これ両方スタートするわけですが、やっぱり今まで何が悪かったのかということをちゃんと総括をしてこの議論を始めていただかないといけないと思いますので、そのことについての具体的な見直し作業について何か御言及いただければ、言及いただければと思いますが、よろしくお願いします。
○政府参考人(南川秀樹君) 私ども二十七日から、あしたからでございますけれども、見直しを始めます。その中では、去年の春にまとまったばかりでございますけれども、その目標達成計画ございまして、これ自身をしっかり点検をまずしたいと思います。各省のしりもたたいて、少なくともマイナス五%が達成できるような図はかいたわけでございます。
 ただ、これに至るにつきまして、その道筋、具体的にはロードマップとか、それからそのための方法論ということについて、当然ながらそこまでまとめる、まとめ切る、詰め切る時間がなかったということもございますし、取りあえずどうする、どういうルートで、どういう方法でやらしていくかということについて積み上げたということだと思います。
 それはその時点においては大作業であったというふうに聞いておりますけれども、それではなかなか現実に、今年の数字もそうでございます、新しい数字もそうでございますけれども、具体的な削減に結び付かないということもございますので、逐次点検、数字を点検し、その方法論といったものもきちんと詰めていきたいと考えております。当然ながら、その中では、各関係の業界からも具体的な話を聞き、数字を出してもらい、どこまで深堀りできるか、そのために何が必要かという方法論まできちんと詰めていきたいと考えております。
○大臣政務官(北川知克君) 福山委員には、前委員長として、そして常日ごろから環境問題に熱心に取り組んでいただいておりますことに敬意を表しながら、まず冒頭に、我々に御祝意を賜りましたことを感謝申し上げる次第であります。
 今、南川局長の方からお答えをさしていただきましたように、今後の中央環境審議会においてそのような工程で議論をしていただくものと思っております。しかし、この京都議定書の目標達成計画、大変厳しいということは先ほど大臣も申し述べられました。それと、この一九九〇年という基準年になっている年と十六年たった今現在の日本の、特に民生部門や運輸部門が増えている中で、国民の皆様方の生活サイクルや、そして様々な生活の様式とどのように変わってきたのか、こういうことの検証も必要であろうと思っておりまして、この地球環境問題はやはり国民の皆様方の理解と協力が不可欠であろうと思いますし、各委員の先生方のまた深い御理解と御協力をいただきまして、目標達成計画の達成に全力で取り組んでいきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○福山哲郎君 そこはお願いしたいんですが、お願いばっかりずっとしておりまして、いつまでたってもなかなか減らないというのが現実でございます。
 実は、事前通告していません、ごめんなさい、今朝の新聞を見たもので。これ今日の朝日新聞なんですけれども、昨日の産構審の目標達成見直しの表が出ていました。済みません、もう口頭でしか申し上げません。この間の環境省が出した速報値の数字も私持っています。実は例によって例のごとくなんですけれども、環境省の速報値のところの業務部門では、商業やビルやとか書いてあるわけです、ちゃんと。これ経産省の見ると、業務部門は学校、劇場、旅館、スーパーと書いてあるんです。これ四二・二%増なんですね。ちゃんと環境省の方はオフィスビルとか商業施設とかと書いてあるわけですね。
 これ、今政務官が答弁いただいたのは有り難いんですが、漠然と概念として民生部門が増えている、運輸部門が増えているという議論は駄目だということは僕この委員会でずっと申し上げていまして、これ実は誤解を与えるんです。これ見ると、学校、劇場、旅館、スーパーが業務部門と書いてあって四二・二ということは、オフィスビルが今これだけ東京とか愛知とかがんがん建っていることに対することとかがこれ抜け落ちるんですね、これ見ると。相変わらず経産省と環境省でそういう表記が違うんです。ここの認識をちゃんとそろえないことには同じ土俵に立った議論ができませんよと私はずっと申し上げているんですが、ここは大臣、本当にどっちがいいとか悪いという話をしているのではありません。でも、同じベースに立たないと、何か増えているところを、あれが民生が悪いんだ、運輸が悪いんだ、いや業務だけど業務は、商業ビルはこっちは書いていないけど、こっちは何か劇場だとか旅館だとかって書いてあって、何か誤解を招くような話で産構審と中環審が並行して話が進むというのは僕は余りいい傾向ではないと思うんですね。これは国民に対しての啓蒙と北川政務官はおっしゃいましたけど、国民に対する啓蒙啓発についても余りいい傾向ではないと思うんです。
 そこはやっぱり合わせていただくように、大臣、これはお願い、要望でございます。もういつも言っているんですが、そこら辺は努力をいただくように是非お願いしたいと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 今、福山委員が指摘されました問題というのは重要な問題だと思っております。これから始めます具体的な見直し作業の中においては、部門もできるだけ細分化して、目達計画に対しますどのような工程表をもってそれを達成していくかというのをそれぞれについて提出をいただいておりますが、その実証を通じて個別具体的に、抽象的ではなくて、しっかりと詰めていきたいと思います。
 やはりこの問題の所在というものを、共通の認識を持たなければならないという点についてはもう御指摘のとおりだというふうに受け止めております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。本当に前向きな答弁をいただいて、本当にそういうふうに進めばいいなと思いますので、よろしくお願いします。
 実は、さっき大臣からアメリカの様子をお話をいただきました。少し私もお話をさせていただきますと、私、この閉会中、アメリカとスウェーデンとイギリスでずっと、温暖化の担当者とか、それからシンクタンクとか、それから自然保護団体とかとずっと協議をというか会談というか意見交換をしてまいりました。アメリカではシエラクラブとか、CCAPという、一九九〇年にSOxの排出権取引のアイデアを出したシンクタンクがありまして、これが京都議定書の実はアイデアの基だと言われていて、いろんなシンクタンクがもちろんかかわっているんですが、京都議定書の、京都メカニズムのベースになるようなアイデアをアメリカのSOxの対策で作ったところがこのCCAPというところで、そこの代表とも、そうですね、一時間半ぐらいいろんな意見交換をしてまいりました。
 また、アメリカの議会はもうすぐ中間選挙でございますが、ドメニチさんといういわゆる共和党の保守の大変大物の、エネルギー環境委員会の委員長かな、そこは、要は排出権取引も含めてアメリカはもう少し温暖化にコミットしようという決議なりを何回か作っては否決をされているところの委員会の委員長とも議論をしてまいりました。先ほどカリフォルニアのシュワルツェネッガーのお話されましたが、共和党の中でも多少動きが出ています。
 それから、州政府は大臣の仰せのとおりでございまして、いろんな州政府で脱温暖化社会を目指そうという動きが出ています。
 この議会の中での例えば法案や決議が通るか通らないかというのは中間選挙の結果にもすごく影響すると思いますので、あえてその決議が通る、法案が通る時期が一年以内なのか二年以内なのかというのは余り大きな問題ではなくて、大臣おっしゃられたように、そういう機運はすごく高まっているんですね。
 その中で、大臣御指摘いただいた、これゴア前副大統領の作られた「不都合な真実」という映画が、私がアメリカに行ったときもう封切りをされていました。封切りをされていて、私、映画館にチケット買いに行ったら、チケットもう売り切れなんですね、私が行こうと思った時間は。その次の時間にしようがないから入ったんですが、なぜ売り切れかというと、その映画館の劇場にゴア副大統領自ら来られて、映画が終わった後、その観客と、まあ三十分ぐらいですかね、意見交換のコミュニケーションをするんですよ。私はその場に、映画館にいたのでちょうどその現場に居合わせたんですけれども、大変なそんな動きになっていて、来年の一月の二十日からこの映画が日本語版で封切られます。大臣ごらんになられたんですよね。そのもし御感想をいただければと思いまして。
○国務大臣(若林正俊君) 地球温暖化のもたらす人類あるいは地球生物に対する種々なるこの悪影響というのはいろんなところで言われておりますし、一般の国民、市民の側から見ても何か肌で感ずるところがあるんですね。にもかかわらず、科学的にそれがこの地球温暖化との間の因果関係というものがどうであるのか、本当にそうなのかということについて、そのパーツを担っている各科学者はそうだろうと思いながらも確証を証明的にできないというようなこともあってややちゅうちょしている部分があったと思うんです。
 科学的な姿勢としてはそれも大事なことではありますが、そういうようなことを、そういう知見を我々政治家はしっかり受け止めまして、大きな間違いがない限りは、やはり方向はこういう方向なんだということを明確に訴えてこの問題意識を高めていくという努力がなければ、科学的に原因が分かったときにはもう遅いというようなことを前々から心配をいたしておりましたが、このゴアさんのあの行動あるいはこの映画によって広くアピールをされています。その映画自身を見せていただきながら、その勇気といいますか、その行動力、政治家としての責任感といったものに私自身は大変感銘を受けたところでございます。
○福山哲郎君 私も同様の感想を持ちました。
 実は映画だけじゃなかったんですね。私が行っているアメリカでは、タイムがネイチャーズ・エクストリームスといって、これは温暖化の特集の号が本屋で並んでいまして、ニューズウイークはザ・ニューグリーニング・オブ・アメリカ、アメリカの緑化という形で、ライフスタイルを変えましょうみたいな話が、これアメリカでは雑誌が売っていまして、先ほどの話ですが、各州政府がいろんな取組を始めたり、もちろんカトリーナの被害というのは大変大きなインパクトだったことも事実ですし、原油が上がってガソリンの値段が上がっていることも大変生活に影響しているということで、これアメリカがあるときひょっとしたら変わるかもしれないと、私はそういう感じを持ってきました。それはいつかは分かりません。ひょっとしたら長いのかもしれないですが、ただ、中間選挙があり大統領選挙があって、今までの日本はアメリカが京都議定書から離脱をしましたのでというので非常に微妙な立場だったと思います。
 しかし、これ突然アメリカが変わってEUの排出権取引市場にコミットすると。今もうシカゴでも実際行われているわけですね。こういうことになったときに、日本が国際的に出遅れたり、実は排出権取引の市場というのは日本というのはイニシアチブが取れる可能性というのはたくさんあるわけです。ところが、残念ながらそこも、環境省の御努力はありますが、少し中途半端な形になっている。もちろん、経団連やいろんな財界からのいろんな御意見もあるのも私も承知の上ですが、しかし、これはアメリカが変わってからでは遅いと。やっぱりその排出権の取引の市場にどのぐらい日本がコミットするのか、キャップ・アンド・トレードも含めてですね、やっぱりちょっと真摯に前向きに考えていかないといけないのではないかと思っておりまして、そこに関して是非大臣の御意見をいただければなと思います。
○政府参考人(南川秀樹君) 現在の取組状況を御説明させていただきますけれども、御指摘のとおり、アメリカにおいてはシカゴの気候取引所というものが既に始まって約三年になっております。また、それ以外にも、北部七州、近々八州になりますけれども、そこで発電所を対象としたその排出量取引の試みが始まっているということでございます。
 我が国におきましても、当然ながらこの排出量の削減コストを最小化するための方法論ということで、その排出量取引制度、優れた制度だと考えております。十七年度からでございますけれども、環境省が中心になりまして自主参加型の国内排出量取引制度というものを実施しまして、約九十の企業に御参加いただきまして環境省の登録簿上において一部取引が始まっておるところでございます。
 今後、義務型につきましては、目達、目標達成計画上はその他の手法との比較、その効果などの幅広い論点について総合的に検討していくべきとなっておりますけれども、私どもとしては、自主参加型制度の知見の集積も踏まえまして、義務型を含めた排出量取引全般について準備をしてまいりたいと考えております。
○国務大臣(若林正俊君) ただいま排出権取引についての取組の現況、状況を御説明をさせていただいたわけでございますが、大変大事な課題だと思います。
 特に、日本は環境ビジネス、環境技術の開発にかけては大変学習効果が出ておりまして非常に高い水準でございますから、これを、我が国の後れた分野はもちろんでありますけれども、世界に対しましてそういう環境技術・ビジネスというようなものをしっかりと訴えながら、そういう世界の中でみんなで排出を抑制するという経済環境をつくんなきゃいけない、それにイニシアティブが取れるようにもっと積極的な取組を学界あるいは経済界にも更に求めていきたいと思っております。
○福山哲郎君 もう大臣おっしゃるとおりでございまして、安倍総理が大臣に御下命をされた、経済と環境の両立のやっぱり最初のスタートは、この排出権取引で日本の技術の高い経済や企業がどうコミットして世界のマーケットである種のイニシアチブやモデルをつくるかというのは、私、大事だと思うんですね。
 これアメリカが突然コミットしてきて、今まで最後尾を走っていたのに突然先頭に立つみたいな話になったとき、日本はアメリカと一緒に走ってたら、気が付いたら本当は能力が高かったのにみたいな話は、非常にこれから先の、さっき大臣が言われた二〇五〇年に向けて大変大きな日本にとっての損失だと思いますので、そこは是非排出権取引の市場の整備に向けてもっと大きくお願いしたいと思います。
 余り長くお話ししているともうあれなんで、ほかのこともあるんですが、私は、実はその後、アメリカの後、スウェーデンとイギリスに行ってまいりました。スウェーデンは、実は九〇年度比GDP二五%増えているんですね。二酸化炭素は減ってるんですよね。GDPが二五%九〇年比で増えて二酸化炭素は減っていると。これはやっぱりなかなか、それは人口の問題、GDPの大きさの問題、それは理由を挙げればいろいろあると思います。しかし、それはやっぱり僕は評価ができると思います。
 ヨーロッパの諸国を見てみると、環境税、排出権取引、それからいわゆる自然エネルギーの固定価格の導入、この三つがある程度柱として存在をしています。日本はこの三つが残念ながら三つとも中途半端です。環境税はこの秋、環境省頑張っていただけると思いますが、それでも残念ながら、原油が値上がりをして、環境税を導入例えばできたとしても、その抑制効果に対しては、これだけガソリンが値上がりしても余り効果がないような状況になっておりまして、僕はちょっと遅かったかなと思いますが、それでもやらないよりかはやった方がましと。
 だから、そういう政策のある種のポリシーミックスみたいな議論を、これは経産省とも本当に環境省頑張って議論していただきたいと思っておりまして、それが実は先ほどお話があった二〇〇八年のサミットや目標達成計画で一体何を政策として導入していくかの、僕、肝だと思っておりまして、そこは私もう別に言いっ放しで構わないんですが、是非環境税の導入も含めて、今みたいな議論を是非各省庁挙げて提起をしていただくように、大臣、お願いしたいんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(若林正俊君) 大変深刻な事態を迎えているというふうな危機感を共有いたしております。その意味では、いろいろな手法があるんでしょうけれども、これを支えるやっぱり国民の生活意識といいましょうか、国民のいわゆるもったいないということに象徴されるような生活意識の改革というものを最終的には力にして進めていかなければ、本当の、今後、削減効果というのは出てこないんではないかというふうに思います。
 そういう省エネルギーの、削減に対します、CO2削減に対しますその国民の危機意識、あるいはやる気を起こしていくということのインパクトをどう与えるかという意味で、今後、環境税の問題などもこれ何とか導入を図れないものかという意味で、私も今まで環境税については二回にわたって提案をして実らないでいたわけでありますけれども、環境税の創設については党内でも積極的に対応をしてきたつもりでございます。同じ手法でいけるかどうかというのは大変疑問があるんですけれども、いずれにしても、こういうインパクトが必要な事態になっているということについて広く理解を得て何とか実現を図っていきたいと、このように思っております。
○福山哲郎君 強い決意を表明いただいてありがとうございます。
 これは先ほど大臣がおっしゃられたことと重なるんですが、実はさきの通常国会の終盤に、私が委員長のときに、お隣にいらっしゃる加藤先生にも大変御指導をいただいて委員長決議をさせていただきました。そのときに、やはり先ほど大臣おっしゃられた、二〇五〇年から逆算をして、やっぱりマイナス二度を目標にしていろんなことをやろうではないかというような決議をつくらせていただいたわけですが、委員の皆さんに御賛同いただいたわけですが、先ほど言われた二〇五〇年プロジェクト、脱温暖化プロジェクトの立ち上げというのは大変重要なことだと思いますし、やっぱり長期的な目標を持ってやるということが私は将来的にも意味があると思っておりますので、この問題について、それこそ若林大臣が新聞のインタビューにも答えられているように、経済界の皆さんとのコミュニケーションもされながら、経済界、それから一般の国民も含めて、やっぱり二〇五〇年に向けてやっていこうやないかという機運を高めていただきたいというふうに思っておりますので、そのことについてもよろしくお願いします。
 あと二つ、温暖化関係でいうと、今環境省が財務省に要望されています、いわゆるバイオディーゼルも含めたバイオマスへの優遇税制の話でございます。
 実は京都市、私の地元でございますが、てんぷら油の廃油を回収をいたしまして、市のごみの収集車や市バスの燃料としてそのてんぷら油のバイオディーゼルをガソリンと混合して、年間約百五十万リットルのバイオディーゼル燃料を利用しています。
 その精製工場には、今年の一月、環境委員会の皆さんにも御視察をいただきました。実際に市バスやごみの収集車がバイオディーゼル燃料で走っているところを市民が見、その燃料は自分の家から出しているてんぷら油の廃油だということを実感をしています。そのときに、いわゆる軽油引取税、一リットル三十二円、これが非常に負担になっておりまして、御案内のように、ドイツやイタリア、オーストリアとかでやっぱりバイオディーゼルに対する軽油引取税の免税等が行われておりますし、今回、環境省が財務省に要望している税制要望の問題にもこの問題は入っております。
 是非このことについて実現に向けて御決意をいただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
○政府参考人(南川秀樹君) 御指摘のとおり、バイオディーゼルを自動車燃料として一〇〇%用いれば税金は掛からないわけでございますけれども、軽油と混合するとバイオディーゼル分にも軽油引取税が課されるということで、それが一つその大きな経済面のネックになっているということでございます。
 私どもとしては、この部分は地方税でございます、総務省でございますけれども、農水省と共同で、税制改正で、このバイオディーゼルに係る軽油引取税の非課税措置というもので今一生懸命理解を求めているということでございます。
 地方自治体の意見も聞きながら、各省と協力して、是非実現するように努力したいと考えております。
○福山哲郎君 もう一つ、バイオディーゼルの燃料について言うと、各自治体はそれぞれ頑張っています。京都市だけではありません。いろんな自治体がいろんな方法でそのことを実現をしようと思っていますが、私の知る限り、私が不勉強ならば申し訳ありませんが、そういったバイオディーゼル燃料を利用していろんな形に使おうとしている自治体同士が、例えばお互いの問題点を共有し合ったり、それを環境省や各省庁に問題を投げ掛けて、もっとそのバイオディーゼルが普及をするようにとか広がるようにというような、一堂に会するような場が私は余りないと思っています。やっぱりそこの横の連絡というのは非常にこれからの普及について重要だと思いますし、恐らくどこどこのやり方は自分の自治体よりも効率的だみたいなことがたくさんあるんだと思うんですね。そういうのを是非環境省が旗を振って、ちょっとバイオディーゼル燃料を利用している自治体集まれと、お互いの問題点を披瀝し合って何らかの建設的なことをやっていこうやみたいなことの音頭を環境省がやっていただけるといいのではないかと、これは思い付きの領域なんですが、考えておりまして、その辺について、今現状どうなっているかも含めて御答弁いただけますでしょうか。
○政府参考人(南川秀樹君) 現状はそういった形での意見交換会しておりません。やはり幾つかの自治体で積極的にやりたいと、取り組みたいという声も聞いておりますので、私ども、農水省、経産省にも働き掛けまして、是非、自治体を含めた関係者の意見交換、情報共有ができるような場をつくっていきたいと考えております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 大臣、温暖化に関していえば余り与野党関係ないと僕は思っています。地球的な規模の問題ですし、国際的な問題もあります。ですから、今日は前向きに御答弁をいただいたこと、本当に僕は感謝をしておりますし、是非これからもいろんな形で御指導いただければと思いますので、最後に、大臣、一言、温暖化のことについて何か御答弁をいただいて、次の課題に移りたいと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 福山委員からいろいろなことを示唆され、御指導もいただき、質疑を通じて委員の基本的なお考えも理解したわけでございます。
 基本的に問題意識を共有いたしておりまして、これは地球、人類全体の問題として深刻に受け止めなければいけないし、その場合に、やはり経済先進国としての日本が、経済成長に伴っていろいろな環境汚染について知見を持っております、学習もしてきておりますし、研究もしてきたわけでありますから、こういうことを通じて世界の共通の課題に貢献していけるようにという取組が必要だと思っております。その場合には、もちろん、お話ございましたように、与野党といったような次元の話ではなく、この地球環境問題についてはお互いに率直な意見交換を通じ前向きな行動に入っていくべきだと、こう考えておりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げます。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 次は、さきの通常国会で鳥獣保護法改正されましたが、その改正に伴って、今、実は基本指針の見直し作業が行われています。ちょっとこれは温暖化の話と打って変わって細かい議論になりますが、実は、先ほどから議論がありますように、クマの被害も含めていろんなところでこの問題も出ております。岡崎委員の地元の宮城でも相当クマの被害が出ていると承っておりますし、そのことも含めて、実はこの基本指針の見直しというのが私、重要なところだと思います。時間もありませんので、とにかく一個一個詰めていきたいと思います。
 まず、事前質問になかったことですが、簡単なことなのでお答えいただきたいと思います。
 まず、鳥獣保護管理、これ基本的な指針が今パブコメにかけられています。その基本的な指針は全部ワーキンググループでの議論を踏まえて基本指針が出て、そしてこれが今パブリックコメントにかけられているわけですが、この指針の鳥獣保護管理の中にイノシシ、シカ、猿、カワウについては種名が明記されているんですが、クマ、カモシカは触れてないんですね。これ実は、クマの記述、これ全然、特定鳥獣の中でクマの記述が余り出てこない。カモシカも実は一か所しか出てこないんですね。
 実は、クマとかカモシカって結構最近重要だと思っているんですが、これ何で言及がないのか。それから、国際的な取組の状況というのが、これも基本指針の中にあるんですが、これ、鯨やジュゴンに関する記述がされてないんですね。ジュゴンは鳥獣法の対象種として挙げられているんですが、ジュゴンの種名自体が基本指針の中には全く明記されていません。このことについて何か理由や根拠があればお答えいただければと思いますし、もしそれがないんだったら、やはりこれは、クマにしてもジュゴンにしてもカモシカにしてもやっぱり記述として入れるべきではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(冨岡悟君) 現在パブリックコメントをお願いしております基本指針についてのお尋ねについてお答え申し上げます。
 まず、クマについてでございますけれども、カワウにつきましては広域計画を作るという部分におきまして例示として出しておりますが、その場合、カワウ等としておりまして、広域的な計画を策定する場合、ツキノワグマ、こういったものは私ども含まれると考えておりまして、そういう意味で、クマを念頭に置いてないという意味ではございません。それからもう一つ、ツキノワグマに関しましては、捕獲の許可基準といった分野でも実は触れておるところがございます。
 それからもう一点でございますが、ジュゴンについてのお尋ねにつきましては、実は国際的な取組の状況の記述の中で、その中で現在実施しております渡り鳥につきまして記述してございますが、ジュゴンにつきましては現状で国際的な取組を実施している状況ではないために、そのような記述はございません。
 ただし、鳥獣の特性に応じた保護管理の考え方の項目の中におきまして、鳥獣保護法の対象となります海生哺乳類、これジュゴンを含むものでございますが、海生哺乳類につきまして必要な保護管理方策を検討するということで記述しているところでございます。
○福山哲郎君 その海生哺乳類の中にジュゴンが含まれているのも当たり前で、そこはもう分かり切った話だから入ってないということでいいんですか。
○政府参考人(冨岡悟君) この保護の重要性につきましては私ども十分認識しておりますが、分かり切った話という趣旨ではなくて、全体としてこの海生哺乳類について記述しておるということでございます。
○福山哲郎君 ジュゴンについても記述をいただきたいなと思っておりますので、今後の見直しについて御検討いただければと思います。
 それから、区分選定の仕組みの問題についてお伺いします。
 種の保存法や外来種対策法では学識経験者がどの種を対象にするのか審議するんです。ところが、この鳥獣保護法については希少鳥獣や狩猟鳥獣や外来鳥獣や一般鳥獣の四区分に選定されているんですが、別に学識経験者が選定する仕組みになってないんですね。これ、学識経験者が審議するような仕組みにした方が、この四つの分類も含めて、より、何というか、合理的なというか、正当性が高まると思いますし、種の保存や外来種対策法はそういう形になっているので、この鳥獣保護法についてもそういう仕組みにはできないのかどうか、お答えいただけますか。
○政府参考人(冨岡悟君) 先生の御指摘は、希少鳥獣につきましては環境省のレッドリストに該当するものを対象としており、その選定に当たっては専門家の意見が反映されている、外来鳥獣については集積された専門的知見から科学的に判断されている、これに対して狩猟鳥獣については必ずしも比較するとそうではないんじゃないかという御指摘かと思われます。
 狩猟鳥獣につきましては、今般の基本指針の案におきまして、資源的価値や農林水産業への被害等のほか、生息状況、繁殖力、地域個体群の長期的な動向などを総合的に勘案して選定し、基本指針を五年ごとに作成する際見直しを行うという旨記述しております。
 この方針を踏まえまして、今後可能な限り客観的なデータを基に中央環境審議会において御審議いただき、狩猟鳥獣の見直しを行ってまいりたいと、そういうことで先生御指摘の趣旨も十分勘案してまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 冨岡局長、御丁寧に答弁いただいているのは有り難いんですが、もう少しスピードアップをしていただけますでしょうか。ちょっと時間がありませんので。
 次、先般の国会審議でも議論があったんですが、自然環境保全基礎調査として「生息状況や生息環境の把握に努める」という表記はあるんですが、実は個体数の把握については書かれていません。ところが、この基本指針の最初ではやっぱり「鳥獣の個体数管理、」という文章がちゃんとあるんですけれども、この個体数の把握に努めるということにもう少し突っ込んだ明記が必要ではないかと思っているんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(冨岡悟君) 個体数の把握につきましては、御案内のように、自然界におきまして鳥獣の正確な生息数を把握することはなかなか難しい問題がございます。そういうことから、一定の区域の個体数から全体を推測する方法、ふんの数から推測する方法など、様々な手法によって個体数を推測し、これに基づいてある程度の仮定を置いたりして対策を講じております。そして、こういった対策を講ずる中で、個体数の状況についてモニタリングを行って、変動があれば必要な措置を講ずるという、状況の変化に順応的に管理を進めると、そのような手法を実は取っているところでございます。
 個体数の把握につきましては実際問題としてなかなか難しいという側面があるものですから、こういった努力を重ねまして適切な保護に努めてまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 そうそう、だからそういった努力を重ねておられるんですよね、局長。だから、個体数の管理に努めるという言葉は入れても全然問題ないんじゃないですかと申し上げているんです。
 今局長がおっしゃったとおりなんです。難しいけれども、いろんな推測とかの方法で個体数の管理に努めておられるんですよね、頑張ろうと。だから、その文章は全然入っていてもおかしくないんじゃないですかと申し上げているんです。正に努力されているとおっしゃったんだから、だから基本指針考えるときに個体数の管理に努めるという言葉を入れるというのは、今答弁いただいたので入れてください。お願いいたします。
 次、科学委員会と広域協議会の関係ですが、広域協議会の中には自然保護団体の参加が明記されているんですが、科学委員会にはその記述がないんです。これ、何か意図があったりするのか、科学委員会に自然保護団体の方が有識者として入るのは問題ないのか、そのことについてお答えいただけますか。ちょっとスピードアップしてください。
○政府参考人(冨岡悟君) 広域協議会は、関係行政機関、利害関係者、自然保護団体等の連携の下で広域指針を作成するために設置するものでありまして、言わば全体の協議会でございます。科学委員会は、この中で専門的知見による科学的な評価、検討に基づき広域指針の作成について広域協議会に助言する機関として設置するものでございます。
 そういう趣旨でございますので、科学委員会の構成員については専門的知識を有するか否かという観点から記述しているものでございまして、団体の方を排除するという趣旨では毛頭ございません。
○福山哲郎君 排除する意思ではないということは、自然保護団体の中で有識者で科学的に専門家だと認められれば排除されないということでいいんですね。
○政府参考人(冨岡悟君) 専門的な知見を有するかどうかで判断しますので、排除されないということでございます。
○福山哲郎君 その次でございます。
 国の役割のところでございますが、実は国の役割で、地方環境事務所、環境省が今一生懸命対応している地方環境事務所についての役割が明確になっていません。国の役割について言及があるんですが、この地方環境事務所はどのような役割を担う予定なのか、担わせるつもりなのか、御答弁いただけますでしょうか。
○政府参考人(冨岡悟君) 地方環境事務所は国の組織でございますので特に書き分けてはないわけでございますけれども、この広域計画の策定といった場面におきましては極めて重要な役割を果たすべき組織だと認識しております。そういうことで、今後ともこういった策定に当たりましては、地方環境事務所の関与、協力につきまして督励してまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 実は、国の中に地方環境事務所が含まれることは私も分かっているつもりです。しかし、その地方環境事務所がどういう役割を地域で果たしていくのかについて実はあいまいな部分、見えてきません。
 環境大臣の実は所信にも、「地方環境事務所では、それぞれの地域のあらゆる方々とのパートナーシップを強化しつつあります。」とあります。実は、この役割は非常にこれから大きくなります。特にこの鳥獣保護法上の管理上では大きくなるので、もう少しこの地方環境事務所の具体的な役割について今後基本指針において言及をしていただくように御努力いただけませんでしょうか。
○政府参考人(冨岡悟君) 地方環境事務所の役割につきましては私どもも極めて重要と考えておりまして、その具体的な役割をどうするかについて、なお検討してまいりたいと考えます。
○福山哲郎君 それから問題は、例の地域での人材養成でございますが、人材養成について、国がやっぱりある種のイニシアチブを持って、こういう形で人材をつくっていくんだという指針みたいなものがないと、都道府県任せではなかなか人材というのは養成されないと思うんです。非常にこれは専門的な問題なので、それについて環境省の今のスタンスは、どうも人材データの収集、把握のみで、具体的な仕組みは都道府県だというようなスタンスで、私はこれではなかなか人材養成はできないと思っているんですが、このことについてはどうお考えですか。
○国務大臣(若林正俊君) このたびの基本指針案を検討するに当たりましては、御指摘がありましたような人材育成に関する分科会を設置をいたしておりまして、積極的にこの問題に取り組むように努力をしているところでございます。
 今回の基本指針案では、人材育成確保にかかわる内容につきまして、具体的には、専門的な知識や技術を有する人材を確保するためのシステム、仕組みをつくる、研修による人材を育成をしてその水準を高めていく、狩猟者の資質の向上を図る、鳥獣保護員の充実をするなどについて盛り込んでいるわけであります。
 特に、広く専門人材を確保する仕組みとして、行政関係者のみならず狩猟者や農林水産業関係者も対象として、鳥獣保護管理に関する専門的知識及び技術などを有する人材を登録をいたしまして、地方自治体等がこの登録されたる人材を活用できるような仕組みを検討をいたしているところでございまして、登録をいたしました人材については研修などによりまして更に資質の向上を図っていくというようなこととしているところでございまして、このような取組を通じまして、広く専門的な人材を確保、育成し、有効に活用するような仕組みを考えていってはどうかと、こう思っています。
○福山哲郎君 人材を養成するというんではなくて仕組みを考えるという御答弁いただいたので、そこはよろしくお願いします。
 あと二つ聞いて終わります。
 一つ、岡崎委員が前国会でも主張されましたとらばさみを含めた危険なわなの禁止ですが、ワーキンググループでもこれはやっぱり禁止していく方向で考えた方がいいというような話が出ています。このことについて、やはり基本指針でもう禁止すべきであると思いますが、そのことについてお答えください。
 それからもう一個、愛玩飼養についてメジロ一種だけは認めるとしています。メジロだけ一種だけ認めるのは何でなんだと。愛玩飼養は鳥獣のワーキンググループでも全廃すべきだという議論がありますし、このメジロは、実は密猟の取締りで押収野鳥の中で一番多いのがこのメジロでございます。このメジロだけ一種だけ愛玩で認めるのは実はおかしくて、全廃にするべきだという意見が強いんですが、この二点についてお答えをいただいて、済みません、最後は駆け足で細かくなりましたが、私の質問を終わります。どうかよろしくお願いします。
○政府参考人(冨岡悟君) まず、とらばさみについてお答え申し上げます。
 とらばさみにつきましては、ワーキンググループの検討の中で全廃すべきとの意見があったというふうに報告書に記されておりますが、基本指針への記載への方向性としては、「鳥獣保護の観点から、現行においても危険な構造のとらばさみについては使用禁止としているが、今後、さらに登録狩猟においては使用禁止とする。」と、かようにワーキンググループの報告書でございました。そういうことで、この基本指針におきましては、とらばさみについては狩猟では禁止することといたしております。
 それから、それに加えまして、とらばさみの技術的な内容につきましては、ゴムを装着し衝撃を緩和できる構造を有するものであるとするような方針も出しております。
 次に、メジロでございますが、実は先生御案内のように大変長い歴史があるわけでございまして、昭和三十二年の鳥獣審議会に始まりまして、それから五十三年の自然環境保全審議会答申、こういったものでこういうものは廃止に向けてというふうな意見が出されておるところでございます。こういうことを考慮しまして、昭和二十五年には七種類認められておりましたが、五十四年には五種、そして五十五年には四種類、そして平成十一年には二種類まで減らしてきたところでございます。
 今回は、自然環境保全基礎調査におきましてホオジロの生息分布域が三十年間で変化が見られないのに対し、メジロは若干拡大しているといったような傾向がございました。それから、愛玩飼養目的の年間捕獲数がホオジロはメジロと比較して少ないといったこと、これを勘案しまして、今回ホオジロを愛玩飼養のための捕獲対象種から外すことといたしました。
○福山哲郎君 簡単にしましょう。
○委員長(大石正光君) もっと端的にお答えください。
○政府参考人(冨岡悟君) はい。
 それで、なお、メジロにつきましては、通常国会におきます法律改正を受けまして輸入者に足輪の装着を義務付けまして、これにより国内での違法捕獲を防止することが図られることになります。
 今後、こういうふうな対策を講じながら、愛玩飼養につきましてはメジロの保護に好ましくない影響を与えることがないよう、メジロの生息状況及び飼育状況を注意深く見守りまして対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。


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第164国会  参議院  環境委員会  2006年6月15日

長期的気候安定化をめざす決議 採択


○委員長(福山哲郎君)
 環境及び公害問題に関する調査を議題といたします。
 この際、便宜私から、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び国民新党・新党日本の会の各派共同提案による長期的な気候安定化を目指した取組の強化・拡充に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。

   長期的な気候安定化を目指した取組の強化・拡充に関する決議(案)

 地球の平均温度は、既に産業革命前と比べて二〇〇〇年に〇・六℃上昇しており、ハリケーンや大型台風の猛威、集中豪雨、海面上昇や高潮被害、熱波、感染症の拡大、砂漠化、生態系の異変など地球温暖化による影響が顕著になりつつあり、事態は深刻である。
 我が国においては、地球温暖化対策推進法の三度目の改正が行われ、一段と強化されつつあるが、一方、国際的には、二〇〇七年にIPCC第四次報告があり、さらに二〇〇八年にはG8日本サミットが開催されるなど、日本の役割はますます高まっており、気候変動枠組条約の究極の目的を達成するための研究及び諸政策の緊急性を再確認することである。
 EUは首脳会議において地球の平均表面温度の上昇を産業革命以前に比べ二℃を超えるべきではないとしている。政府は、超長期的視点からの抑制目標について機敏な情報収集と精査を行い、できる限り早期に一定の見解を示すことが期待されていることを認識し、と同時に二〇五〇年の将来像から現在の対策を考える政策研究等の展開により、有益な情報を得ること、さらに関連の国内政策についての検討に努めることである。
 我々、現世代、特に議会人は、列国議会同盟(IPU)の決議「環境管理及び地球環境悪化との闘いにおける議会の役割」を認識し、持続可能な社会形成に取り組みつつ、かけがえのない地球を将来世代に譲り渡すことができるように行動しなければならない。
   右決議する。

以上でございます。
 本決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(福山哲郎君)
 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、小池環境大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
○国務大臣(小池百合子君)
 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力する所存でございます。


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第164国会  参議院  本会議  2006年6月9日

容器リサイクル法案審議 委員長報告


○議長
容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。環境委員長福山哲郎君。
○福山哲郎君
ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、容器包装廃棄物に係る排出の抑制及び再商品化の合理化を促進するため、容器包装利用事業者による排出の抑制を促進するよう必要な指導、助言、勧告等の措置を導入するとともに、容器包装廃棄物の分別収集に当たり、再商品化の合理化に寄与した市町村に対して特定事業者が金銭を支払う仕組みを創設するなどの措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、容器包装廃棄物の削減目標、レジ袋の排出削減に向けた具体策、デポジット制度導入の是非、拡大生産者責任を踏まえた市町村及び事業者の役割分担の在り方、事業者の資金拠出制度導入により市町村の負担が増大する可能性等について質疑が行われたほか、参考人からの意見聴取を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了いたしましたところ、本法律案に対し、日本共産党の市田委員より、事業者の責務に発生抑制及び再使用の取組を追加する等を内容とする修正案が提出されました。
順次採決の結果、修正案は否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。


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第164国会  参議院  本会議  2006年6月2日

フロン回収破壊法案審議 委員長報告


○議長
特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。環境委員長福山哲郎君。
○福山哲郎君
ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
オゾン層保護及び地球温暖化防止の観点から、フロン類の大気中への放出を抑制するため、フロン回収破壊法により、業務用冷凍空調機器等からのフロン類の回収及び破壊が進められております。
しかし、現在のところ、これらの機器の廃棄時における回収率が三割程度で推移していることから、本法律案は、その向上を目指し、廃棄又は整備時におけるフロン類の回収がより確実に行われるよう、フロン類の引渡しを書面で捕捉し管理する制度の導入などの措置を講ずるものであります。
委員会におきましては、ノンフロン化のための技術開発への支援とノンフロン製品の購入促進、フロン類の回収のための費用負担方法の見直し、途上国の脱フロン化を支援するための国際的な資金調達メカニズムの拡充等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。

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第164国会  参議院  本会議  2006年5月31日

地球温暖化対策推進法案審議 委員長報告


○議長
地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。環境委員長福山哲郎君。
○福山哲郎君
ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、京都議定書に基づく温室効果ガスの六%削減約束の達成に向けて、京都議定書目標達成計画において京都メカニズムの活用に関する事項を定めるとともに、政府及び国内の法人が京都メカニズムを活用する際の基盤となる割当量口座簿を法制化しようとするものであります。
委員会におきましては、六%削減約束の達成の可能性、温室効果ガス削減の中長期目標設定の必要性、持続可能な開発への貢献を重視した京都メカニズム活用の推進、京都メカニズムへのODA活用の是非、京都議定書以降の枠組み構築に向けての対処方針等について質疑が行われたほか、参考人からの意見聴取を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。

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第164国会  参議院  本会議  2006年5月10日

鳥獣保護法案審議 委員長報告


○議長
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。環境委員長福山哲郎君。
○福山哲郎君
ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、近年、シカやイノシシなどの鳥獣が地域的に増加し、農林水産業や生態系に深刻な被害を与えている一方、鳥獣の生息環境の悪化などにより地域的に鳥獣の個体数が減少している事例や、国内で違法捕獲された鳥獣を輸入鳥獣と偽って飼養する例等が見られるため、狩猟規制を見直し、狩猟を活用した鳥獣の適切な保護管理を進め、鳥獣の保護施策の一層の推進を図ろうとするものであります。
委員会におきましては、鳥獣による農林水産業被害の現状、とらばさみなど危険なわなの規制の在り方、鳥獣保護管理に関する専門家の育成等について質疑が行われたほか、参考人からの意見聴取を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了いたしましたところ、本法律案に対し、民主党・新緑風会の岡崎理事より、くくりわな及びとらばさみの禁止等を内容とする修正案が提出されました。
次いで、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して大石委員より、原案に反対、修正案に賛成する旨の意見が述べられました。
討論を終わり、順次採決の結果、修正案は否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。

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第164国会  参議院  本会議  2006年3月31日

国立環境研究所法案審議 委員長報告


○議長
独立行政法人国立環境研究所法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。環境委員長福山哲郎君。
○福山哲郎君
ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、民間を含めた内外の研究機関との研究・人事交流のより一層の促進等を通じて、独立行政法人国立環境研究所の改革を推進するため、役職員が国家公務員の身分を有する特定独立行政法人から非公務員型の独立行政法人へ移行しようとするものであります。
委員会におきましては、国立環境研究所の非公務員化の是非、業務運営の効率化の推進と研究基盤低下への懸念、研究員の人事交流における問題点等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会の足立委員、日本共産党の市田委員より、それぞれ本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。

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第164国会  参議院  本会議  2006年2月3日

アスベスト関連法案審議 委員長報告


○議長
この際、日程に追加して、石綿による健康被害の救済に関する法律案、石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律案以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
○議長
御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。環境委員長福山哲郎君。
○福山哲郎君
ただいま議題となりました両法律案につきまして、環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、石綿による健康被害の救済に関する法律案は、石綿による健康被害が多数発生している一方で、長期にわたる潜伏期間があり、因果関係の特定が難しく現状では救済が困難であるという特殊性にかんがみ、労災補償等による救済の対象とならない健康被害を受けた者及び遺族に対し、その迅速な救済を図るため、医療費等を支給するための措置を講じようとするものであります。
次に、石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律案は、石綿の飛散等による人の健康又は生活環境に係る被害を防止するため、工作物の解体等の作業による石綿の飛散の防止、石綿を添加した建築材料の使用の制限、石綿が含まれる廃棄物の無害化処理の促進等の所要の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、両法案を一括して議題とし、石綿による健康被害の拡大に対する国の責任、労災補償とバランスの取れた救済の在り方、指定疾病の範囲の拡大、アスベスト廃棄物の不法投棄対策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
両法律案について質疑を終了いたしましたところ、石綿被害救済法案に対し、民主党・新緑風会の小林委員より、療養手当について、特別な事情のある場合には、政令で定める額を加算して支給すること等を内容とする修正案が提出されました。次いで、日本共産党の小池委員より、指定疾病に石綿肺、びまん性胸膜肥厚及び良性石綿胸水を追加すること等を内容とする修正案が提出されました。
両修正案は予算を伴うものでありますので、内閣の意見を聴取いたしましたところ、小池環境大臣より両修正案に反対である旨の発言がありました。
次いで、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して足立委員より、石綿被害救済法案について、原案に反対、民主党・新緑風会提出の修正案に賛成、日本共産党提出の修正案に反対、石綿被害防止一括法案に賛成する旨の意見が述べられました。次に、日本共産党を代表して小池委員より、石綿被害救済法案について、原案に反対、日本共産党提出の修正案及び民主党・新緑風会提出の修正案に賛成する旨の意見が述べられました。
討論を終わり、順次採決の結果、石綿被害救済法案については、両修正案がいずれも否決された後、多数をもって、石綿被害防止一括法案については全会一致で、それぞれ原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、両法律案に対し、附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。

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