04/26

2005

第162国会 参議院 環境委員会 2005年4月26日


廃棄物処理法改正案参考人質疑

○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。
 今日は参考人の皆様には本当にお忙しいところ、ありがとうございます。貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。
 実は、不法投棄とは違うんですが、私、昨日、地震の災害に遭われました新潟県に行ってまいりまして、小千谷市の災害廃棄物、長岡市の災害廃棄物、それから震源地に近いと言われる川口町の災害廃棄物の現場に行ってまいりました。長岡市ではほぼ二・八年分の災害廃棄物が一遍に出ましたし、小千谷市では何と十年分以上ではないかと言われるような廃棄物が出ておりました。
 それで、新潟は実は雪が深くて、つい一週間か二週間ほど前まで雪が残っていたのでなかなか処理ができなくて、実はこれから九割から八割方残っている瓦れきも含めて災害廃棄物の処理に入るということで、現場を見てまいりまして暗たんたる思いで帰ってまいりました。
 実は、私、三年前の、あっ、三年前、二年前か、平成十五年のこの審議でも参考人の質問立たしていただいておりまして、大橋参考人にはまた質問させていただくことになりますし、岩手、青森の現場も実際見に行きました。そんな状況の中で、まあ十五、十六、十七年と立て続けに、昔の流行歌のように改正が行われているわけですが、なかなか不法投棄がなくならないという状況の中で、少し御質問をさせていただきたいと思います。
 一つ、酒井参考人にお伺いしたいと思います。
 先生のいただいた資料を引用させていただきますが、最初のページに、千百五十件、九百三十四件というふうに不法投棄が若干減っているというコメントも先生からいただきました。しかし、私、そもそもこの不法投棄の件数のカウントの仕方がちょっと問題ではないかと思っておりまして、実はこれ、毎年毎年、千件平均で見付かるわけですね。これ新たに毎年毎年見付かるわけです。ということは、不法投棄というのはある種長期的にわたってやられている場合が多くて、毎年千件ずつ出てくるというのは、実は根っこではいかに多くのものがあるのかということを考えると実はぞっとするわけですが、これ実は都道府県とか保健所から把握した数で毎年毎年やられています。
 実態としてのこの廃掃法と産廃の不法投棄の、何というか、現状と法が予定をしている実務が随分僕は乖離があって改善されないのではないかという問題意識があるんですが、酒井参考人はどのようにお考えでしょうか。
○参考人(酒井伸一君) ここは不法投棄件数というよりは、正確にはやはり不法投棄が顕在化した件数という、こういうふうに表記すべきそもそもの数字であろうというふうに思っております。
 それで、その水面下にはどの程度あるのかということに関しては、個々、現場に明るい方々の御判断というようなことで、例えば首都圏の中で不法投棄件数の多い千葉あるいは茨城辺りを考えると、どうも現在見付かっている量の十倍量程度はあるんではないかというような、明るい方からのそのコメントというのも耳にすることございますので、そういった意味で、こういう統計量の表し方というものに関して少し今後も留意していくべきという御指摘に関しては、御指摘のとおりかというふうに思います。
○福山哲郎君 それに関連して大橋参考人にお伺いしたいんですが、大橋参考人が二年前、実態調査の把握がやっぱり甘いのではないかというような御発言を当時いただいたと思っております。現状でもそのような認識なのかということと、もう一度お伺いしたいんですが、じゃ実態把握をするには、まあ環境省も努力はされていると私は思っているんですけれども、どういう形で実態把握をすればいいと大橋参考人はお考えか、もし何かあれば御教示いただけますでしょうか。
○参考人(大橋光雄君) 私が産廃特措法ができるときに恐れていたことがもう去年から出てしまって、当時予定した事業費がもう底をつく寸前へ来て、これから続々と問題が拡大するわけです。
 実態調査は非常に今日までの日本の産廃行政施策の中では重要性の高いもので、なぜ環境省がもっと資金を投入して、都道府県に単なるアンケート調査するというようなそういうことではなくて、もっとしっかりした仕組みをつくって、それから私こういうことも言うんですが、忘れ去られていく産廃の山、谷、これが怖いんですね。年間幾らで何万トンと言っているだけじゃ済まない。先ほども言っていたような累積というものがすごくあって、その中には、忘れられないものはまだいいとして、どんどん草が生えたり木が生えて忘れられていく。そういうものがいつかはカウントには入ってこなくなっちゃうと。
 こういったことで、古老の人たちから聞くとか、地域に入って、都道府県なり市町村がですね。だから、市町村にも協力求めなきゃ、これは、若干求めているはずですけれど、相当深い形で組織化して実態調査、数年掛けてしっかりやれば、その後の調査はずっと楽になって正確度を高めることもできるわけですから。
 私は、具体的な方法論まで今おっしゃるような形での御返事できませんけれど、市町村、都道府県を組まして、国が予算の手当てを付けて、そして方法論をちゃんと審議会なりなんなりで検討されてやっていくと。それで、それは継続的な調査としての仕組みにするべきだというふうに思います。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 では、高杉参考人にお伺いをいたします。
 高杉参考人は現場をよくごらんになられまして、著書を拝読させていただいても非常にリアルなことがたくさん書いてありまして、大変参考にさせていただいているわけですが、現行廃棄物処理法では対応本当に可能なのかという問題提起をされています。高杉参考人の言われる排出者責任を取ってもらうというときに、どういう仕組みで可能なのかということについて、もし何かアイデアがあればお答えをいただきたいということ。
 それから、先ほどから話が出ているんですが、GPSの導入も僕は大変いいと思うんですが、まずマニフェストの電子化の普及だと思うんですが、それに対して、例えば電子化の普及をするために、今だと二%です。実は、二年前審議したとき一%ですから、一年に一%ずつしか増えない、あっ、そうか、一%ずつしか増えないんですね。そうすると、七〇%電子マニフェストが普及するまでに七十年も掛かっているとどうなるのかなと冗談みたいな話ですが思ってしまいまして、マニフェストを普及させるために高杉参考人はどのような方法がいいと思われているかと。
 それから三つ目は、実は、この産廃の不法投棄には暴力団が関与しているということがよく言われています。そのことについても高杉参考人、何か言及されることがあれば、御教示をいただければと思います。
○参考人(高杉晋吾君) まず一つ、排出者責任という問題であります。
 排出者責任というのは決して、出してしまって、出されたものについてうまく処理をする、そのためにお金を出しなさいというものが排出者責任であるかのごとく受け取られているというふうに思うんですが、要するに、原状復帰資金を出すか出さないかという論議があるように、私は、それは一つの結果であって、まず何よりも排出することのない、いわゆるゼロエミッション的な生産の在り方、生産の在り方が根本問題でありますから、生産の在り方に関して一体どうなのかというモデルを明快にしていくべきだというふうに思います。
 つまり、決して排出者責任を取っていないという企業ばかりではなくて、排出者責任をきちっと取って、生産の在り方に関してもきちっとやっているという企業があるわけですから、そこら辺のモデル性というのは一体どういうものなのかということをきちっとまとめて、こういう形の生産の在り方にしなさいよと、そういう生産の在り方に対しては政治的にはインセンティブを与えていきますよと。そして最終的に排出するだけ、それで排出するだけで、あるいは焼却するだけというふうなものに対しては、やはり環境税というものに対してきちっと対策を取っていくべきだろうというふうに思うわけです。
 しかし、それにしても、おれのところから出したこの焼却灰はおれのところから出した廃棄物であるということをおまえどうやって証明するんだというふうに居直られたときに、行政マン諸君はいかに一生懸命やったところで、それを、排出者のところに行って立ち入って、おまえ、この焼却灰は絶対おまえのところで出したなんて、そんなことを百遍繰り返して言っても駄目ですね。
 第一、その一つの証拠として言えるのは、青森、岩手における、一万社以上ですね、排出したのが。ところが、現に、それから事件発覚以来もう十年以上たっているのに、わずかに十七、八社だ。一万社のうち十七、八社、つまり〇・二%です、〇・二%、限りなくゼロに近い。それから、措置命令で撤去された産廃は五百八十五立米です。五百八十五立米というのは、八十七万立米のうち五百八十五、〇・〇七%ですかね。そういう限りなくゼロに近い排出者責任、これあなた、首都圏の一万社がのうのうとしていますわな、一七、八社以外は、のうのうとしています。
 そういう在り方ではいけませんから、いかにして証拠を持って追跡できるシステムをきちっとすべきではないかということで、GPSというシステムはある程度評価さるべきであろうと。ただし、そのGPSシステムを普及するのに一体何年掛かるのかというふうに言われますと、それは困りますけれども、実態として、モデルとして具体的に力のある地域、力のある企業、それを中心にしてそのモデルが形成されていくならば、それは拡大する上で大きな力になっていくだろうというふうに私は思っておりますので、そのモデルとして北九州を宣伝しておりますけれども、北九州だけではなくて、東京、豊田、そして北海道は室蘭、それから中部ですね、大阪、そういうところでそういう広がりが見れるということになれば、そういうものに対する、モデルに対する優先政策を私は取るべきだろうというふうに思うんです。
 どこもかしこも同じことやっていても、各県ごとにやりなさいなんといったら、これはもう、高度な技術、高度な資金、これはもうできません。そういうことでできないだろうというふうに思います。
 それから、暴力団云々ですね。暴力団云々について、私、回答できない、正直言って。暴力団云々について回答できませんけれども、一体、日本の廃棄物処理政策というのはどういう形でやってきたのか。正直申して、背中に紙くずを、かごをしょって、そして積んでいった、そこら辺から出発しているんじゃありませんでしょうか。そして、そういう貧しい人々が日本には非常に多くおられたという問題があるんじゃないでしょうか。そして、それらの人々がモータリゼーションであるとかそういうふうな形の中で若干資金を得て、そして発展してきたという形があるんじゃないでしょうか。だとすれば、非常に底の底には貧困という問題が深くあるだろうというふうに私は思います。
 そういう貧困なる状況に対して、巨大企業が今度は不景気の中で産業廃棄物に対してかかわってくるということになると、おい、おまえらどけという話になっていきます。そうではなくて、それは国の政策の問題であろうと。彼らに対してどういう支援を行っていくのかという、そういう問題であろうと。それをやってこないで、そういう福祉政策なり、それも含めた環境と産業政策、これもなしに彼らは暴力団が含まれていると、それからいろいろ含まれているというふうなことを先立って言うべきじゃないだろうというふうに私は思います。
○福山哲郎君 マニフェスト。
○参考人(高杉晋吾君) マニフェスト。マニフェストに関して言えば、これは偽マニフェストが横行するような、そのような仕組みの下にあるマニフェスト制度は、はっきり言って、これは犯罪の上に犯罪を重ねるような、そういう仕組みの一部になってしまっているということであればこれはいかぬということが、これが一つと、もう一つは、住民がそれを見ることができない、行政とせいぜい処理業者とそれから企業と、それがお互いにブラックボックスみたいに見ることができるというふうな、そんな仕組みはやめなさいというふうに私は考えております。住民が見れるようにしなさいということです。
○委員長(郡司彰君) 時間が来ておりますから簡単に。
○福山哲郎君 江口参考人、済みません、もう一つお伺いしたかったんですが、時間が来ましたので、済みません、お許しいただきたいと思います。
 これで終わります。

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