05/15

2007

第166国会 衆議院 環境委員会 2007年5月15日


環境配慮契約法案

○末松委員 民主党の末松でございます。
 きょうは、参議院の議員の皆様方がおまとめいただいたこの環境配慮契約法ですか、それについて審議をするということで、まとめていただいた御労苦に対しまして改めて敬意を表します。
 民主党の方でも、脱温暖化、温暖化防止ということで、そこにおられます福山哲朗議員が中心となりまして、民主党の脱温暖化基本戦略というものをこの間まとめたばかりでございます。そういった意味から、一つ一つやれるところから脱温暖化を進めていくということが極めて重要だと思っております。その趣旨で、この法律は非常に意味があるというふうに私も考えております。まず隗より初めよということで、公的なセクターからしっかりとやっていくということが、時代の雰囲気を、またムードをつくっていく上でも非常にいいですし、それを実態として確保していくんだろうと思います。
 では、私の方は、順次この法案について質問させていただきます。
 まず、先ほども議論がございましたけれども、グリーン購入法というものとそれから今回提案されておりますこの法律の違いといいますか、むしろ、ちょっと対象範囲が広いのかなという御説明もございましたけれども、その辺のところから御説明をいただきたいと思います。
○福山参議院議員 末松委員にお答えいたします。
 この法案は、大きな目的でいえば、官庁のCO2排出量を削減すること、それから、国民の税金を結果として無駄遣いに終わらせないようにすること、それから、安かろう悪かろうという製品やサービスの横行を防止していくこと、このことが大きな目的としてあります。この場合の安かろう悪かろうの悪かろうというのは、もちろんCO2の排出係数が高いということでございます。
 こういった観点から、本法案は、国等による環境負荷、いわゆる温室効果ガスの排出等を削減するために、国等が結ぶ契約について、競争を促しつつ、価格等をも含め総合的に評価をして、そして最善の環境性能を有する物品やサービスを供給するものと契約をしていこうという仕組みをつくるものでございます。ですから、本法案は、国等が行う契約行為を対象とさせていただいています。
 しかし一方で、グリーン購入法は、契約を対象としているのではなくて、いわゆる製品でございまして、具体的に申し上げれば、紙類や文具類やいす、OA機器、家電製品、そして、例えば制服、作業服、インテリア等の大量生産された製品を中心として、そのことを最低満たすべき環境性能を規定していまして、要は、その環境性能に届いていない物品は購入をしないという形になっておりまして、まず、先ほど委員がおっしゃられましたように、対象が全く異なっているということでございます。
○末松委員 そうしますと、具体的にはどういうふうな事例といいますか、適用の範囲というのは、どういうふうな範囲の契約を含むというふうに考えればよろしいでしょうか。
○福山参議院議員 お答えいたします。
 この場合には、今申し上げましたように、排出の効果を考えながら、物品等の価格だけではなくて、温室効果ガス等の排出コストもあわせて現実には評価をして、そして、総合評価方式という形の中で契約の相手側を決定する、それを導入するということになります。
○末松委員 そうすると、そういう排出ガスのコストとか、それから、そういう総合評価をする際に、コストを算出するためのいろいろな前提がまた必要になってきますが、そういうことで社会のCO2の排出の意識というものを高めていこう、そういう趣旨でございますか。
○福山参議院議員 御指摘のとおりでございます。
○末松委員 本法案の対象となる、「国等」というふうなことが書いてございますし、また、「独立行政法人等」と書いてございます。この「等」、エトセトラについてなんですが、これにはどういうものが含まれることになりますでしょうか。
○福山参議院議員 お答えいたします。
 今御質問にありました「国等」には、この法案の第二条第二項に定義をされていますように、国、それから独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を指します。そして、そのうちの「独立行政法人等」というのは、やはり同条第三項に定義をされていますとおり、「独立行政法人又は特殊法人のうち、その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によって得ている法人であって、」具体的には政令で定めることとしております。
 また、国等の公的機関は環境保全の取り組みについて率先垂範が求められることから、国や公共性の高い独立行政法人、特殊法人等を本法案の対象としたものでございまして、ちなみに、グリーン購入法等の政令で定める独立行政法人等の中には、例えば、独立行政法人国立環境研究所や国際協力銀行なども含まれておりまして、グリーン購入法の範囲によれば二百の法人が今定められておるところでございます。
○末松委員 そういう対象とした理由についてもお聞かせいただけますか。
○福山参議院議員 済みません。今のはちょっと先に答えてしまったんですけれども、要は、国など公的機関はとにかく率先垂範をしなければいけない。先ほど末松委員が言われたように、まず国や地方公共団体や独立行政法人等がやるということによって、広く民間や国民にも示していきたいという思いで対象といたしまして、地方公共団体については、国に準じて、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に努めるよう、この場合、努力規定になっていますが、それは公共団体の自主性を尊重し、この法案では一応努力規定ということにさせていただいています。
○末松委員 今地方公共団体の話が出ましたけれども、この法案のように、二酸化炭素の排出量を考慮して契約が既に行われている、そういった全国の事例というのはございますでしょうか。
○福山参議院議員 現在、横浜市、東京都、愛知県などで二酸化炭素の排出量等を考慮した電力購入契約が実施または実施予定であると承知をしています。
 ちなみに、その具体的な内容は、入札参加資格として排出係数の数値の上限を定めるなどの、いわゆるすそ切り方式で導入しているものがありまして、特に、例えば例を挙げますと、横浜市などでは、二酸化炭素の排出係数や新エネの導入状況や、それから未利用エネルギーの活用状況や、その他の環境配慮事項の合計値が一定以上のものに対して、入札参加資格を与えるというような工夫を凝らしているというふうに承知をしています。
○末松委員 今、電力購入契約ですそ切り方式というのですか、そういうお話の例が出ましたけれども、この法律が適用された場合には、みんながそういったすそ切り方式という話になるんでしょうか。それとも、何か別途新たな方式というものがまた採用されることに予定されているんでしょうか。
○福山参議院議員 先ほども申し上げましたように、この法案においては、地方公共団体については、その自主性を尊重して、基本方針の策定などは努力義務としていますが、この法案が成立をし、施行した後においては、国において環境に配慮した電力の入札が行われるということで、既に取り組みが行われている地方公共団体以外でも同様の取り組みが行われるというふうに、すそ切り方式も含めて、総合評価方式というようなものがそれぞれの公共団体で工夫をされて導入されるように期待をしているところでございます。
○末松委員 できれば、この法律がある程度普及、ある程度じゃなくて普及をしっかりとして、その第二段階として、地方公共団体でも、努力義務ではなくて、そういったことをまたきちんとやっていただくような段階が来るのかもしれません。そういったところまで地方の自助努力というものをウオッチしながら、国から、新たな基準を設定するとか、あるいは、そういったものを押しつけるという言い方じゃないけれども、参考にしていただくような基準を定めるとか、そういうところまではお考えになられてはおられないでしょうか。
○福山参議院議員 今のところは努力規定ということで、そこまでの考えはありません。
○末松委員 もうちょっと具体的にお話をさせていただきますと、例えば建築設計の契約相手方を決めるのに、プロポーザル方式というのとコンペ方式、こういう方式があると聞いているんですけれども、その辺の違いと、このCO2削減という意味において、どちらがより望ましいと思われるのか、その点についてもお伺いしたいと思います。
○福山参議院議員 これは、私も建築の専門家ではありませんので、うまく説明できるかどうかよくわかりませんが、プロポーザル方式というのは、建築物の基本設計を提案させて、企画というような形で技術力やノウハウや知恵をそれぞれの設計者に競わせて、現実にまずスタートする。その後、実施設計を行わせる者を選定していきます。しかしながら、コンペ方式ですと、設計図を含む実施設計を提案させて、建築物の設計そのものを競わせるので、選定された設計に沿って実際に工事も行われていくということになります。
 そうすると、例えばコンペ方式では、完成された設定図を求められるので、当初応募する設計者側の負担やリスクというのが非常に大きくなります。そういう点をかんがみて、新築の官公庁の施設の工事に対しての設計については、最近は原則としてプロポーザル方式を導入しています。
 このプロポーザル方式を導入しているということを前提にして、この法案に盛り込まれた例の基本方針の中に、環境配慮を仕様書に詳細に規定をしていくとか、価格競争ではなくてプロポーザル方式で建築設計者に環境配慮を求めていくというようなことが、我々としては期待をしているところでございます。
 一方、先ほど末松委員からお話がありました自治体の問題でございますが、地方の自治体の場合には、まだ建築物の設計業務の大部分はほとんどが価格競争入札方式になっています。そうすると、環境保全上の環境評価というものがなかなか評価として受けにくい形になっていますので、この法案を受けて、先ほどの話と同様になるんですが、より環境保全上の取り組みを評価することが組み込まれたプロポーザル方式を地方自治体においても実施されることを強く期待しているところでございます。
○末松委員 この環境配慮契約法案が実施をされて、そして、先ほど契約でも何でも、脱CO2マインドですか、それが企業人の頭の中にしっかりと根づく、あるいは国民の間に根づいていく、こういうことを推進する上で、この法律は私もきちんと推進すべき法律だと思っております。
 そういったことを、さらにこれがまた起点となって一層のCO2削減に資することを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

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