05/21

2008

第169国会 参議院 本会議 2008年5月21日


地球温暖化対策推進法改正案

○福山哲郎君 私は、民主党・新緑風会・国民新・日本の福山哲郎でございます。
 ただいま提案のありました、いわゆる温暖化対策推進法の改正案につきまして質問をさせていただきます。
 現在、地球温暖化問題における国際情勢は激しく変化をしています。今年一月、京都議定書第一約束期間が始まりました。それに先立つ十二月、インドネシア・バリにおいて、二〇一三年以降の世界の取組についてバリ・ロードマップが合意され、ポスト京都議定書に向けて大きく動き出しました。
 世界では、CO2を始めとする温室効果ガスの増加があちこちで異常気象をもたらし、今世紀半ばまでに大幅な削減が必要との認識が共有をされています。昨年、ゴア元アメリカ副大統領とともにノーベル平和賞を受賞したIPCCの第四次評価報告書では、地球温暖化の影響は既に現れており、温度上昇も加速していることが明らかにされています。さらに、温暖化の原因が人為的なものと断定し、不確実論争に決着を付けました。
 イギリスは、二〇〇五年のEU―ETS市場の開設、グレンイーグルズG8サミットでの対話の開始、スターン報告の発表等、温暖化問題における指導的役割を担っており、議会では気候変動法案が提出をされています。また、EUも欧州閣僚理事会で、二〇二〇年までに温室効果ガスの排出量を一九九〇年度比二〇%削減することで合意をしています。
 一方、二〇〇二年に京都議定書を離脱したアメリカでも、ハリケーン・カトリーナによる被害、映画「不都合な真実」のヒット、ガソリン代の高騰等、明らかに世論は変化をし、数々の議員立法の動きが加速をしていましたが、予想以上に早く、昨年の十二月、排出量取引制度導入を求めるリーバーマン・ウォーナー法案が上院環境公共事業委員会で可決、本年の六月にも本会議での質疑が始まろうとしています。また、フォード、GM、デュポン、シェルなどの三十三の企業、NGOが参加するUSCAPを始め、経済界からも温室効果ガスの排出規制政策の早期導入を求める声も上がっています。
 そんな中、本年七月に洞爺湖サミットが開催をされます。サミットの議長国としてどのような決意で臨むのか、具体的にサミットでの成果目標についても、官房長官及び環境大臣からお聞かせください。
 サミットの議長国としてリーダーシップを発揮する上では、自国の取組方針を明らかにした上で他国に働きかけるのが不可欠であると考えます。ところが、政府はいまだに、二〇五〇年世界で半減としか語らず、中長期の国内排出削減目標を公表していません。これで議長国としての責任が果たせるのでしょうか。
 昨年の十月に福田総理と鴨下環境大臣は、私に対する予算委員会の答弁で数値目標を年内に打ち出したいと明言をされたにもかかわらず、いまだに明らかにされていません。いつまでぐずぐずしているのでしょうか。
 官房長官が先ごろ講演された中には、長期目標六〇から八〇%削減と述べられたと報道されています。これは決定した数字なのでしょうか。この数値目標はいつ公表されるのでしょうか。また、六〇から八〇%とすると、この数値目標についての評価を環境大臣、経済産業大臣にお伺いをいたします。
 また、政府内には中期目標は提示をしないという意見もあるようですが、中期目標は設定するのでしょうか。また、設定するとすればどの程度の水準を考えているのでしょうか。環境大臣の見解をお伺いいたします。
 政府は目標の設定について、セクター別効率目標による積み上げ方式を提案をされています。私もこのセクター別アプローチを否定をするわけではありません。しかし、一方で環境大臣は、G20会合において、セクター別アプローチは国別総量目標に取って代わるものではないと言明をされています。この方針は変わらないのでしょうか。また、変わらないとすれば、セクター別アプローチと中期目標との関係はどのようになっているのか、環境大臣にお伺いをいたします。
 また、三月に発表されました長期エネルギー需給見通しでは、CO2など温室効果ガスの排出予測を試算をしています。日本は今後、何と五十二兆円を投じて省エネ等に努めても、二〇二〇年の段階で一九九〇年比三%しか排出を削減できないとの内容でございます。まさか、このサミットで中期目標をこの見通しに書かれた三%と言って交渉することはないと思いますが、この長期エネルギー需給見通しと中期目標とは、また長期目標とはどのような関係にあるのか、経済産業大臣、お答えください。
 次に、現在、国際公約のマイナス六%に比べて、二〇〇六年の日本は六・二%も排出量が増加をしています。京都議定書の約束を果たすためには、この増加分も合わせて一二%余りもの削減をする必要があります。こういった事態に至った反省と、その理由を環境大臣にお伺いをいたします。
 さて、本法案の衆議院の審議において、民主党はCO2の見える化の推進、再生エネルギーの普及を促すための措置の充実、京都議定書目標達成計画における検討内容の国会への報告、白熱灯の蛍光灯への切替え、ライフスタイル、ワークスタイルの見直しの五項目の修正を求めました。
 与野党協議の結果、三項目は実現をいたしましたが、そのうちのCO2の見える化について、我々は義務化を主張しましたが、与党は努力義務ということで折り合いが付きませんでした。我々は義務化をすることで、逆に政令等において中小企業等の零細事業者に過度の負担を掛けないよう免除規定を設ける方が混乱をより回避できるという判断でしたが、この義務化についての環境大臣の意見をお伺いをいたします。
 さて、民主党は今年一月、地球温暖化対策本部を設置し、各部門と連携し、地球温暖化対策基本法の制定を目指しています。今国会に提出をさせていただく予定です。
 その内容は、地球温暖化対策に関し基本理念を定め、中期目標として二〇二〇年までに二五%、長期目標として二〇五〇年までの早い時期に六〇%を超えるとする排出削減目標を設定し、その達成を目指して国内における排出量取引制度及び地球温暖化対策税の創設、再生可能エネルギーの普及と革新的技術の開発等によって経済システムの中に環境を内部化し、国際社会に先駆けて豊かな国民生活の実現を図り、併せて地球環境の保全に寄与することを目的としています。
 EUでは、二〇〇五年に導入されたEU―ETS市場があっという間に三兆円の規模に膨れ上がっています。アメリカでも、さきに述べたリーバーマン・ウォーナー法案に大統領候補のマケイン氏、ヒラリー氏、オバマ氏の三者とも賛同の意を表しており、プレジデント法案とも呼ばれています。オーストラリア、カナダ、ニュージーランドでも導入を検討しており、世界は国際炭素市場のルールづくりの競争に入っています。
 一昨日まで、ブリュッセルにおいて、排出量取引の国際市場の確立を目指すICAP、国際炭素行動パートナーシップの公式会合が開催され、包括的な国際市場の実現は可能との見方で一致しました。日本は、御存じのようにトップレベルの省エネ技術を有しており、乗り遅れることのないようにこの国内排出量取引制度の導入が不可欠と思われます。国内排出量取引制度の導入の必要性について端的にお答えください。外務大臣、環境大臣、経済産業大臣にお伺いします。
 また、政府は、相も変わらずの縦割りのまま、官邸、環境省、経済産業省、それぞれでこの排出量取引を始めとする経済的措置に関する検討会が開かれています。いつごろまでに、どのようにまとめていくのでしょうか。このまま縦割りで続けて、またたなざらしなのでしょうか。官房長官、環境大臣にお伺いします。
 さらに、これまで国内排出量取引制度の導入に政府が消極的であったことに関し、報道によれば、二〇〇二年の京都議定書批准の際に、経済産業省と経団連の間で、政府として京都議定書は批准するが国内排出量取引制度を始めとする強制的措置は産業界に課さないという密約があったとされています。このようなことは実際にあったのでしょうか。あったとすれば大いに憂慮すべき問題であると考えますが、経済産業大臣、お答えください。
 次に、太陽光、風力、バイオマス等の新エネルギーの現状と将来についてお伺いします。
 二〇〇五年度における一次エネルギー供給に占める新エネルギーの割合はわずか三%にとどまっており、その普及促進が進んでいるとは言えません。例えば、日本は太陽電池の生産量で長く世界一を誇ってきましたが、二〇〇七年にとうとうトップの座を明け渡しました。世界市場が急拡大する中で、逆行するように、二〇〇五年に日本では住宅用太陽光パネルの設置への補助金を廃止したことが大きく影響をしています。
 さきに述べました民主党の法案では、二〇二〇年に一次エネルギー供給量に占める新エネルギーの割合を一〇%にする予定です。新エネルギーの割合を大幅に引き上げるために、現行のRPS法の見直しを含む財政上又は税制上の措置の見直しを図るべきではありませんか。経済産業大臣、環境大臣にお伺いいたします。
 また、さきの長期エネルギー需給見通しによれば、太陽光パネルの普及を進めるとして、現在の設置住宅約三十二万戸に対し、二〇二〇年に約三百二十万戸を達成することとしていますが、その根拠はどこにあるのでしょうか。この十倍は具体的にどのような手法で実現をされるのでしょうか。経済産業大臣、お答えください。
 途上国支援についてお伺いします。
 中国、インドなどの多排出国を含め、途上国をポスト京都の国際的枠組みへ参加を促すことは最も重要な課題であることは認識を共有をしています。しかしながら、ハンガリーからの排出枠購入二百億円、途上国への支援五年間で一兆円実施、さらにはODA資金でインドからのCO2の排出枠を購入などという度重なる報道を見ると、若干の懸念もわいてきます。これだけの資金の財源は、一体どこから捻出をされるのか。他国へ資金をつぎ込むより、国内投資の方が新たな技術革新や経済効果を生じるのではないでしょうか。また、途上国への技術援助は知的財産権の整備が急務であり、この件について政府はどのように考えているのでしょうか。是非、財源と知財の整備について外務大臣お答えください。
 私は、京都議定書締結の翌年に当たる九八年、初当選をさせていただきました。以来、ずっとこの地球温暖化問題に取り組んでまいりました。生態系の破壊を食い止めながら経済成長あるいは豊かなライフスタイルを求めるという、大変困難な、そして新たな挑戦に人類は直面をしています。
 民主党は決して経済をないがしろにした温暖化対策を求めません。経済システムの中にどう環境を取り入れていくかの各国の競争が始まっています。かつて、排出ガス規制によって技術開発がなされ、日本の自動車産業が世界を席巻したように、また、石油ショック以来のエネルギー効率を高めてきた日本のトップランナー方式が世界の標準となっているように、日本は温暖化対策でも世界のモデルになれる大きな可能性を持っている、私はそう信じております。自民党政権ではこの大きな可能性を失ってしまうのではないかという危惧を私は今禁じ得ません。
 未来の子供たちにどんな地球を引き継いでいくのか、既に温暖化の影響は現実のものとなりつつあります。食料問題やエネルギー安全保障とも深くかかわっている地球温暖化との長い戦いはまだ始まったばかりでございます。もはやIPCCを始めとする科学は温暖化に対してほぼ結論を出した、あとは政治の決断だけだ、温暖化の国際会議のたびに語られる、世界の政治指導者に求められているこの言葉を紹介して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣鴨下一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(鴨下一郎君) 福山議員にお答えいたします。
 洞爺湖サミットに向けた意気込みについてお尋ねがありました。
 洞爺湖サミットにおいては、福田総理がダボス会議で発表されたクールアース推進構想について各国の共通理解を得て、国連での交渉を加速することが求められています。私としては、G8洞爺湖サミットを成功させるため、今週末の二十四日から二十六日に神戸で開催されるG8環境大臣会合に臨みたいと思っております。同会合では、議長として、各国の環境大臣等との議論を進めることにより、サミットに向けて適切にインプットできるよう努力していく所存でございます。
 我が国の温室効果ガス排出量に関する長期目標の設定についてお尋ねがありました。
 我が国は、二〇五〇年までに世界全体で排出量半減を呼びかけている以上、先進国としてそれ以上の削減目標を掲げることは当然と考えており、六〇%から八〇%という数値はその範囲にあるものと考えております。ただし、これを決定した数値とするのではなく、現在は具体的な数字に言及すべきかどうかを含め、本年のG8議長国としての立場も考慮に入れながら、政府部内で鋭意検討を進めているところでございます。
 我が国の温室効果ガス排出量に関する中期目標の設定についてお尋ねがありました。
 福田総理は、ダボス会議において我が国が国別総量削減目標を掲げることを宣言しており、中期目標は当然必要と考えています。しかしながら、目標の具体的数字やいつ提示するかについては、二〇〇九年末の合意を目指して進めている次期枠組み交渉そのものにかかわることであり、各国の動向も見詰めつつ慎重に対応していくことが必要であります。
 政府としては、国内で必要な作業を加速しつつ、すべての主要排出国の参加や公平性の確保を念頭に、全体を取りまとめるサミット議長国としての立場も考慮しながら判断していきたいと考えております。
 セクター別アプローチと中期目標の関係についてのお尋ねがありました。
 福田総理は、クールアース推進構想に基づき、国別総量目標を掲げる決意を示しており、この方針は変わりません。また、この国別総量目標の設定に当たっては、公平性を確保する観点から、セクター別に削減可能量を積み上げて、国別総量目標の相場観を形成する方法を提案しています。このようにして形成される目標の相場観を踏まえ、今後、国際交渉を通じて、二〇五〇年までに世界全体の排出量を半減することや、今後十年から二十年でピークアウトすることを実現する適切な目標が設定されるものと考えております。
 二〇〇六年の国内総排出量が基準年比で六・二%上回っていることについてのお尋ねがありました。
 その内訳としては、業務、家庭、運輸部門において基準年比でそれぞれ二から四割増加しており、六%削減目標の達成は依然として厳しい状況であります。このため、三月には京都議定書目標達成計画を改定し、また、今国会に提出している地球温暖化対策推進法改正案においても、排出抑制等の指針の策定や地方公共団体実行計画の拡充などの措置も盛り込んでおります。
 今後、目標達成計画を着実に実施するとともに、進捗状況の厳格な点検と機動的な見直しを行うことにより、六%削減目標を確実に達成してまいりたいと思います。
 CO2の見える化の推進、すなわち、エネルギー供給事業者の一般消費者への二酸化炭素の排出量の通知等についてのお尋ねがありました。
 御指摘の中小事業者への負担の軽減も配慮して、衆議院において努力義務規定とする修正がなされたと承知しております。政府としては、その趣旨を十分に尊重して努力をしてまいります。
 国内排出量取引制度の導入の必要性についてのお尋ねがありました。
 国内排出量取引制度は、排出枠の設定を行い確実な排出削減を進めるとともに、炭素に価格を付けることにより社会全体の対策費用を最小化できるものであり、今後の温暖化対策の有効な選択肢の一つであると確信しております。環境省では、二〇〇五年から自主参加型の国内制度を実施して知見や経験の蓄積を進めてきたところでございます。
 政府部内における経済的措置等に関する検討会の取りまとめについてのお尋ねがありました。
 環境省では、本年初頭より国内排出量取引制度検討会を設置し、具体的な制度設計の在り方について掘り下げて検討を行い、今般、中間取りまとめを公表したところであります。今回の中間まとめが各方面における議論のたたき台として活用されることを期待しております。
 環境省としては、今後、我が国の実情に合った国内排出量取引制度の具体的な制度設計の在り方について検討を加速し、官邸での政府全体としての検討にも貢献してまいりたいと考えます。
 再生可能エネルギーの促進策についてのお尋ねがありました。
 京都議定書目標達成計画に定める再生可能エネルギーの導入目標達成のためには、その拡大に向けた対策の加速化が不可欠と考えております。そのため、環境省では、再生可能エネルギーについて民間企業等が行う新たな技術開発、設備整備に対する財政、税制上の支援などの様々な導入拡大施策について取り組んでいるところであります。また、改正された京都議定書目標達成計画においても、再生可能エネルギーの導入促進に向けた抜本的な対策強化について検討を行うこととしております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣町村信孝君登壇、拍手〕
○国務大臣(町村信孝君) 福山議員にお答えいたします。
 まず、北海道洞爺湖サミットへ向けた取組についてのお尋ねがございました。
 地球温暖化問題の解決には、世界全体としての排出削減を実現すべく、すべての主要排出国が責任ある形で参加する実効性のある枠組みを構築することが何より重要であります。
 こうした認識の下、福田総理は去る一月、クールアース推進構想を示されました。そして、我が国の考え方や取組について各国の理解と支持が得られますように、先般の日中首脳レベルが一つの例でございますが、こうした二国間会談あるいは国際会議での場を活用いたしまして、各国への積極的な働きかけを行っているところであります。
 我が国としては、七月の北海道洞爺湖サミットに向けて、議長国として積極的なリーダーシップを発揮して、建設的に議論を進めてまいります。そのため、我が国としての長期目標の設定、革新的技術開発、低炭素社会の実現、途上国の温暖化対策支援のための資金メカニズムの創設等について万全の準備を進めていきたいと考えております。
 次に、国内排出量取引制度の導入についてお尋ねがありました。
 ただいま環境大臣からの御答弁もございましたけれども、内閣としては、本年の二月に地球温暖化問題に関する懇談会を設置し、国内排出量取引制度についても、排出削減を進めるための有効な政策手段の一つとして総合的に検討を進めているところでございます。
 この懇談会では、環境省、経済産業省における検討を参考にしつつ、我が国としての検討を加速し、六月に予定をされております懇談会の中間取りまとめにおきましてこの議論の成果が示されることを期待をしているところであります。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
○国務大臣(甘利明君) 福山議員にお答えをいたします。
 まず、我が国の長期目標についてのお尋ねがありました。
 世界全体の長期目標については、我が国は二〇五〇年までに温室効果ガス半減を提唱しておりまして、責任ある対応が必要だと考えております。この提唱を前に進めていく観点から、大幅な排出削減を可能とする革新的技術開発などを進めるとともに、我が国自身の長期目標についても、その内容と発表の適切なタイミングを検討していくべきと考えております。
 次に、長期エネルギー需給見通しについてのお尋ねがありました。
 長期エネルギー需給見通しは、産業、民生、運輸などの部門ごとに、最先端の省エネ技術による削減可能量を積み上げまして、CO2の削減量を算出するとともに、削減に向けた具体的かつ実践的な道筋を示したものであります。
 二〇二〇年の温室効果ガスの排出量は、森林吸収源の取扱いやその効果が変わらないとした場合、より公正な指標となる二〇〇五年比ではマイナス一四%となりまして、欧州と遜色のない削減見通しとなっております。今後、この見通しを重要な検討材料として、我が国の国別総量目標に関する政府全体としての検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、二〇五〇年に世界全体で温室効果ガスの排出を半減するためには、先ほども申し述べましたとおり、革新的技術の投入が不可欠でありまして、先般、そのためのロードマップも示したところであります。政府を挙げてクールアース50の実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、国内排出量取引制度の導入の必要性についてのお尋ねであります。
 国内排出量取引制度は、自国の排出量を直接規制できるという一方で、個々の企業への排出枠の割当てを公平に行うことが困難ではないかとか、企業の海外流出を招くおそれはないかとか等の指摘があることも事実であります。このような点を踏まえまして、今後、その効果、産業活動や国民経済に与える影響等の幅広い論点につきまして総合的に検討していくことが必要であろうと思います。
 次に、京都議定書の批准時のやり取りについてのお尋ねでありますが、報道されているような密約の存在は承知しておりません。
 再生可能エネルギーについてのお尋ねでありますが、再生可能エネルギーの導入促進は地球温暖化対策の観点から有効でありまして、その経済性や供給安定性等の課題を解決をし、普及を拡大するべく、技術開発や導入支援、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法、いわゆるRPS法でありますが、の着実な推進等に取り組んでいます。
 また、現在、総合資源エネルギー調査会で新エネルギー対策の抜本的強化についての御議論を行っていただいておりまして、長期エネルギー需給見通しの実現に向けた太陽光発電の抜本的普及対策等について速やかに総合的な検討を行ってまいります。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕
○国務大臣(高村正彦君) 国内排出量取引制度導入の必要性についてのお尋ねでありますが、この制度につきましては、二月に総理が設置された地球温暖化問題に関する懇談会において、排出削減を進めるための有効な政策手法の一つとして総合的に検討を進めるというところと承知をしております。我が国としては、検討を加速し、国際的なルールづくりに積極的に関与していくべきと考えております。
 地球温暖化に係る途上国支援についてのお尋ねでありますが、福田総理は一月、排出削減と経済成長を両立させようとする途上国を支援するため、百億ドル規模のクールアース・パートナーシップを構築する旨発表いたしました。今後五年間にわたり、ODAやその他の公的資金により途上国を支援してまいります。
 投資により途上国への技術移転等が円滑に行われるよう、我が国は、知的財産権の保護を含め、途上国の投資環境整備を引き続き支援してまいります。(拍手)

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