08/11

2012

「脱原発8原則」


みなさん、こんにちは。
今週は、何度か著書『原発危機 官邸からの証言』(ちくま新書)のご紹介をしていますが、第3章に記した「脱原発に向けた8原則」についてご紹介します。

先月から、エネルギー政策のあり方をめぐって国民的議論が続いていますが、震災後、国民の意識が大きく変わる中で、政府が提示している3つの選択肢を考えるに当たって、個人的な見解として、以下のような「8原則」を提示しました。

(1)2025年度までに、原発の稼働をゼロとし、「脱原発」を実現する。
(2)2025年度までに、2010年度と比較して、省電力20%かつ再生可能エネルギー電力30%を実現する。
(3)原発に関しては、最長でも40年で廃炉とする。
(4)原発の再稼働に当たっては、より厳しい新安全基準、原子炉施設の経年劣化の状況、地域の電力需給逼迫度、活断層の状況、地方自治体の理解などを総合的に評価し、国民に公開する。そのうえで再稼働は最小限にとどめる。
(5)使用済み核燃料の貯蔵制約を考慮に入れる。再処理方式の全面的な見直しを検討する。その際、9電力会社の経営形態にも留意する。
(6)経済成長に伴ってエネルギー消費が拡大するという古いパラダイムから脱却し、経済成長とエネルギー消費のデカップリング(切り離し)と、再生可能エネルギー拡大によるCO2削減を進める。
(7)情報通信技術を活用することによって、スマートグリッドを全国に導入する。季節に応じた電力需要の増大に備えるため、より柔軟に需給の変動に対応したピークカット対策を講じる。
(8)日本全国で電力の融通を行えるよう、地域間の系統連系に取り組む。経営の合理化、発送電分離、化石燃料の合理的な調達などを進め、電力コストの安易な価格転嫁を抑制する。

原発を「ゼロ」と決めることで、企業も将来の、経営戦略や投資計画が立てられ、技術革新も促し、次のエネルギーライフスタイルの設計図を描くことができます。「2025年に原発ゼロ」を前提に、電力需給や代替エネルギーのあり方を議論するほうが圧倒的に速く転換は進むはずです。

若干の補足をします。
(4)の原発再稼働の基準ですが、原発の経年劣化の状況などについて、新設の原子力規制委員会による、より厳しい安全基準で判定するなどして、現在50基ある原発の「通知票」をつくります。順位の低い10基ほどはすぐに廃炉とし、再稼働させる場合は、総合評価で優先順位の高いものから最小限に動かしていきます。それらを国民にしっかりと公開します。そのとき、まさに専門家の合意形成が必要になります。いま再稼働を主張する人たちは原発すべての稼働を主張していますが、一定の原則をつくらずに、単に再稼働に賛成か反対かという議論は、新たな安全神話をつくるだけで、建設的ではありません。
(7)については、節電のためのいわゆるネガワット(使われなかった電力)取引やピーク価格設定、デマンドレスポンス(電力需給の状況に応じて需要者の電力消費を制御する方式)対策も含めて、ピークカット対策を徹底的に講じます。
また、(8)では、各電力会社の合理化や送配電分離を含む電力融通システムの構築が不可欠です。

この8原則を前提としてエネルギー政策を推進すれば、おそらく制度改革、規制緩和、研究開発・技術開発の税制優遇や短期の償却制度の導入、立地補助金を含めて、エネルギーライフスタイルは著しく変化し、脱原発は一気に加速すると私は考えています。意思決定をして動き出せば、日本の社会、エネルギーライフスタイルは急速に変化します。そして、世界にこのパッケージを輸出していくことで人類に貢献することも可能になります。

もう資源エネルギー庁も、電力会社、電事連も原子力ムラの面々も、再生可能エネルギーを推進できない理由を並べ立てるのはやめるべきです。どうすれば、エネルギー転換が進み、新たな未来の社会をつくれるのか、できる方策を考えていく時期にきています。

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