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2006

第165国会 参議院 教育基本法に関する特別委員会 2006年11月24日


「不当な支配」、タウンミーティング

○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
 諸大臣におかれましては、御苦労さまでございます。特に伊吹大臣におかれましては、さきの衆議院の審議も非常に長い時間だったと承っておりますし、地元の先輩議員として、私、衆議院の実は議事録をほとんど拝読をさせていただきました。非常に丁寧で、御自身のお言葉で、誠意を持って答えておられることに感銘をいたしました。今日も是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。
 まず冒頭でございますが、昨日、ニュースで、山形県で高二の女子生徒の方がやはり自殺をされたというニュースが飛び込んでまいりました。国会で教育基本法の審議をしている最中に、そのことのメッセージが届かなくてこうやって自殺をされる子供たちがいることを非常に悲しく思いますし、残念に思いますし、是非、御冥福をお祈りするとともに、全国の子供たちに、自殺はとにかくやめておけと、やめろと、いいこともあるからということをまず申し上げたいというふうに思います。
 時間がないので、実はそもそもの話も私いろいろしたかったんですけれども、この委員会、長時間にわたってやると思いますし、また質問に立つと思いますので、そのときにしまして、まず重要な問題について。
 改正法案の十六条、いわゆる不当な支配の問題について、前回、伊吹大臣が、非常に私的に言うと伊吹大臣らしからぬお言葉が幾つかございまして、ちょっと確認をしておかなければいけないなと。
 まず、北岡委員に対する質問に対して、都道府県知事の政治的思想、イズムによって国民全体の判断とは違う教育が当該地域で行われるということは、この法律があることによって防止できると思うと。これ、都道府県知事の政治的思想、イズムによってというのは、これ非常に問題があるのではないかと。
 知事というのは選挙で選ばれるわけでございます。それに対して、国がこの法律で本当に防止ができるような法律だったら実は大変な問題になるわけでございまして、これ、知事に対してこういう御発言をされたということに対してはまず私は撤回をしていただきたいと思っておりまして、大臣の御所見をいただければと思います。
○国務大臣(伊吹文明君) まず、自殺の問題について先生から言及がありまして、私もいじめをしている子、子供、そしていじめを受けている子供、それからその兆候を早く見付けていただかなければならない保護者、学校の先生等についてのアピールを出しております。今日、御党の羽田議員から本会議でもああいう御発言がありましたので、このことについてはまず党派を超えて、日本の将来のために可能性のある子供の命を守っていくために協力をいたしたいと思います。
 それから、この改正法十六条の問題について御質問がありましたので、これは明確にしておかなければならないと思います。
 現行法においても、日本の法律の仕組みは、もう今さら申し上げることもありませんが、憲法上、国民の民意を反映した国会によって議決をされます。これが国の意思であります。そして、この国の意思に従っていろいろなこの行政が行われるわけですが、この行政が行われた場合に、例えば特定のイズムあるいは特定の考えを持ってこの国の国会で決められた国民の意思と違うことを画策する、違うことを行うということは、これはこの法律に言うところの不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであって、国と地方自治体との適切な配分云々ということを書いているわけですから、今の先生の言で言えば、例えば国がお示しした学習指導要領によってそのとおりおやりになっているところと、そうじゃないことが現場に起こっているところがあるわけですね。あるから一部地域のところについて司法の判断を、法律に従って正しいか正しくないかということが争われているわけですよ。
 だから、例えばこの学習指導要領によって、旭川の学力テストについての最高裁の判例をそのとおりここで読みますと、不当な支配はその主体のいかんを問うところではなく、その主体のいかんを問うところではなく、論理的には、教育行政機関が行う行政でも、国でもですよ、不当な支配に当たる場合があり得ると最高裁は判示しているが、同時に、憲法に適合する有効な他の法律の命ずるところをそのまま執行する教育行政機関の行為については不当な支配となり得ないことは明らかであると、こう述べているわけですよ。
 ですから、同じその指導要領を出しても、都道府県によって違う現実が指導として起こり得る可能性があるわけですね。あるから、東京都についてはそのことについて、どうも私の考えでは法律に適応しないじゃないかと思われる方がおられたから、この前は日の丸・君が代のことについて司法の判断を仰がれたわけでしょう。そして、その司法の判断は、まあ下級審ですよ、これはね。しかし、最高裁の判断は今申し上げたような判断を示しているということです。
 だから、国であろうと、例えば一部の政党を陥れようとか、一部の宗教的、その考えをもって国が教育行政を行うということになれば、それは不当な支配になる可能性があるということは言っているわけですよ。ましてや都道府県知事においてはですよ、それは当然のことじゃないですか。
○福山哲郎君 じゃ、なぜそのときに知事だけを特定したのかが僕はよく分からないんですが、ただ、改正案の第三項は、「地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。」ということで、この地方公共団体の責任者はもちろん知事なわけですね。ということは、この不法な支配に服することなくという言葉は、一項も二項も三項も四項も、これ全部掛かるということですか。
○国務大臣(伊吹文明君) 今おっしゃった地方の実情に合わせてやるということは、例えば財政が非常に潤沢な自治体においては三十人学級をやるとか、あるいは学習指導要領の運用においてこういう運用のやり方でやるとか、しかしそれはどうも法律でお願いしていることと違うということがあるわけでしょう。
 だから、地方の実情に沿ってということは正にそういうことを言っているわけであって、国民の意思というのは国会で決めるわけですから、これは、これを否定したら日本国憲法の根底が崩れてしまうわけですから、だから国会で決められた法律に従ってやっていただくと。そして、国会で決める法律の有権解釈権は、これは当然のこととして内閣にあるわけですよ。しかし、内閣にある有権解釈権が常に正しいとは限らないんですよ。限らないから司法の判断を仰げるように日本はきちっと三権分立の建前上やっているわけですね。
 ですから、地方と国とはお互いに役割分担をしながらやっていくわけです。そして、地方は地方の実情に合わせておやりになったらいいわけです。しかし、国で決めた法律については、国民の意思なんですから、これが全体の意思なんです。これと違うことを特定のイズムや特定の思想的背景をもって、あるいは宗教的背景をもってやるということを禁止しているというのがこの条項ですから、都道府県知事の自主性だとか選挙で選ばれたということとは何ら抵触しないと思いますよ。
○福山哲郎君 そうしたら、ちょっと聞き方を変えます。今、国ですらある種の拘束を受けるんだと大臣がおっしゃいましたので、もう一回確認だけさせてください、これは非常に肝なので。
 この不当な支配の中には、行使、不当な支配を行使する可能性のある主体として、つまり不当な行使、例えば大臣の言葉で言えば、ある種の思想勢力であったり、全体、国民全体の意思とは違う勢力であるという言い方をされますが、その不当な支配を行使する可能性のある主体としては、今大臣の言われた種々の社会的な勢力ありますね、それに加えて、行政権力も政治権力も含まれるということで確認してよろしいですね。
○国務大臣(伊吹文明君) それは当然のことです。しかし、大切なことは、国民の意思というものは憲法上国会で決めるということが我が国の憲法でしょう。そのために選挙をしているわけでしょう。そして、国会で決めた意思、これが、まずこれに従って国は動くんですね。そして、その法律の有権解釈権は内閣にあるんですよ。しかし、内閣が常に正しいことをしているとは限らないと。あるいは、その人その人の価値観、その人の立場によって法律の解釈は違ってくるわけですよ。そこは最終的に司法に判断してもらうと。
 だから、知事さんが教育をおやりになるとか、知事さんが地方の実情に合わせて教育権を行使される、教育権という言葉が適当かどうか分かりませんが、今教育委員会が持っているもろもろの権限をお使いになるということは何ら禁止をしているわけじゃないんですよ、そのことは。しかし、国においても、あるいは選挙で選ばれた、選挙で選ばれた国会議員から成り立っている内閣においてすら、ましてや地方自治体の長においてすら、もし個別の政治的なイズムあるいは宗教的背景によってだれか国会で決められた全体の法律に基づいて行われている国民の意思と違うことをしようとした場合は、それは当然なんですよ。
 だから、一昨日ですか、ここで総理も出席してその答弁をされたときに、教育委員会は選挙によって選ばれませんね、今は、教育委員は。しかし、知事は選挙によって選ばれますね。これは、特定の政党が公認したりなんかすることはあります。だから、同じ学習指導要領でも、県によってその学習指導要領の今度は運用が違ってくるわけですよ。その運用が法律に合致しているか合致してないかは、これは日本の憲法下の仕組みでは、一応、第一次有権解釈権は内閣にあるんです。それがしかしおかしいと思う場合は司法で争って、国が間違っている場合は正していかなければ、これは行政権を持った者の独裁になるんですよ。だから、これは当然、国にはそういう救済制度があるんです。そのことを内閣においてもきちっと、地方においてもきちっと担保していただくのが本来は私は地方議会の役割だと思いますよ。
○福山哲郎君 これ、実は伊吹大臣のおっしゃられることは至極当たり前のことをおっしゃっておられることでして、あえてここに不当な支配に服することなくと入れられた、じゃ理由は何なんですか。
○国務大臣(伊吹文明君) それは当たり前のことであるけれども、それじゃ、なぜ東京都と同じ訴訟が全国で起こらないんですか。ある県ではなるほどと思う考えの人もいる、しかし、そうじゃないと思う考えの人もいる。あるいは、そうだと思っておられる自治体の長もおられるし、そうじゃない自治体の長もおられると。しかし、その最後は、その法律というか、ここで我々が責任を持つんであって、そういう特定の思想、特定の宗教的背景を持っておやりになるということは駄目ですよという規範、規律を書いているということです。
○福山哲郎君 私の申し上げたことには全く答えていただいていないんですが、僕は大臣のおっしゃることを決して否定しているわけではありません。しかし、昨日大臣は、例えば、むしろ問題は、学習指導要領に書かれていることと政治信条、思想等によって違うことは、これは日本全体の法律の枠の中でやっていただかないと困りますという発言があるんです。政治信条と思想によって違うことはという、政治信条や思想という言葉まで実は入っているんですね。
 それから、もう一点申し上げると、大臣が言われる国会の多数、国民多数の意思だという、国会が決めることはとおっしゃること、僕もそれは当然だと思います。そのことは全く否定しません。しかし、大臣が引用を先ほどからずっとされている判決にはこういう言葉があるんです。
 政党政治の下で多数決原理によってされる国政上の意思決定は、様々な政治的要因によって左右されるものであるから、本来人間の内面的価値に関する文化的な営みとしての党派的な政治的観念や利害によって支配されるべきではない教育にそのような政治的影響が深く入り込む危険があることを考えるときは、教育内容に対する右のごとき国家的介入についてはできるだけ抑制的であることが要請されると書いてあるわけです。
 ということは、この抑制的であるということに対しても大臣は、何というか、お認めになられるわけですね。
○国務大臣(伊吹文明君) 福山先生、やっぱり判決文はすべてを読まないと、自分に都合のいいところだけ読むと困ります、それは。
 私が申し上げますと、(発言する者あり)いいですか、まず、第十条が教育に対する権力的介入、特に行政権力によるそれを警戒し、これに対して抑制的態度を表明したものと解することは、それなりの合理性を有するけれども、このことから、教育内容に対する行政の権力的介入が一切排除されているとの結論を導き出すことは早計であり、憲法上、国は、適切な教育政策を樹立、実施する権能を有し、国会は、国の立法機関として、教育の内容及び方法についても、法律により、直接又は行政機関に授権した必要かつ合理的な規制を有する権限を有するものとしているというのが、これ判決文です。
○福山哲郎君 いや、おっしゃるとおりでございます。だから僕は、伊吹大臣が昨日自ら、伊吹大臣が要は法律の範囲内でという話、この裁判を引っ張り出されてきたので、私はあえてこういう議論もあるよと申し上げたわけです。
 だから、僕が確認したいのは、要はですね、簡単に言うと、国家的介入についてはできるだけ抑制的であることが必要だということについては大臣は了解をされているのか、御認識があるのかないのかということをお答えいただければいいんです。
○国務大臣(伊吹文明君) これは、国家的介入というのは、例えば福山先生のお立場の国家的介入と我々の考える国家的介入と違いますよ。例えば、我々が自民党の時代に教えていただいた大先輩である西岡先生は、義務教育の教員はすべて国家公務員であるべしということを我々は最初に教えていただきましたよ。だから、それは人それぞれによって違うんです。ですから、お互いに、特に教育の分野というのは価値観が入ってはいけない、できるだけ価値観が入らないようにしていく、私はそれは常に心しております。だから、お互いにそれは謙虚にやっていくということは当然のことなんですよ、政党政治である限りは。
 ところが、自分たちの価値観と違うことをやれば抑制的じゃないぞと言っちゃえば、これは非常に傲慢な態度になるということを申し上げているんです。
○福山哲郎君 いや、おっしゃるとおりでございます。だから、抑制的になるということに対しては、大臣は御認識をそのとおりお認めいただけるんですかと申し上げているんです。
○国務大臣(伊吹文明君) 福山先生のおっしゃっている抑制的という意味はよく分かりません。私、あなたの心の中や思想信条は分かりませんから。私は私の良心に従って、それは抑制的というのか、政党的な配慮はできるだけないように動かすということは、これは当たり前のことでございます。
○福山哲郎君 抑制的な配慮があるようにですよね。今、抑制的な配慮がないようにとおっしゃったので。
○国務大臣(伊吹文明君) そういう、今私が申し上げたのは、政党政治でございますから、お互いの政治的イズムをできるだけ抑制しながら対応するということを申し上げているわけです。
○福山哲郎君 いや、私は全く大臣の言っていることを否定しているわけではありませんです。正に、大臣がさっきおっしゃられたこと、この判決はそうなんです。多数決原理によってされる国政上の意思決定は様々な政治的事情によって左右されるからお互いが抑制的に行動しなければいけないということですから、私は大臣の言っていることを全く否定してないので、じゃ、確認だけしておきます。
 教育行政や政治権力も不法な支配をする主体としては含まれるということを大臣は認められたということですね。それが一つです、先ほどの答弁で。それと、もう一つは、お互いが国家的介入については抑制的であるべきだということも、その抑制の範囲はそれぞれがみんな違うとは言いながら、そこに対しては大臣もお認めをいただいたという、この二点についてはよろしいですか。
○国務大臣(伊吹文明君) 何が不当な介入であるかということについては、日本の仕組みではこれは法律の一次的解釈権は内閣にあります。内閣が不法な支配だと思うことはやりません。これは当然やりません。しかし、内閣が不法な支配だと思わずにやったことで、福山先生が不法な支配だと思われること、不当な支配だと思われることは、これは見解の相違ですから、司法の場で争うというのが日本の仕組みです。
○福山哲郎君 いや、だから、先ほど認められたことを認めると言っていただければ結構です。
○国務大臣(伊吹文明君) 私の申し上げていることをよく理解したとおっしゃっていただければ、それで結構です。
○福山哲郎君 いや、簡単です。だから、先ほど言われたように、第一次的な解釈権は内閣にあるというのは分かります。その後は司法へ行くということも私は理解した上で、大臣がさっき言った不当な支配を行使する可能性のある主体は、大臣の言われた種々の社会的な勢力、それはひょっとしたらいろんな政治的なイズムのあるところかもしれませんが、その中に行政権力や政治権力も含まれることを先ほど認められたので、それをもう一回確認をさせていただいただけでございます。
○国務大臣(伊吹文明君) 何度も申し上げているように、日本国憲法の下においては、作られた法律は……
○福山哲郎君 いや、イエスかノーかで結構です。イエスかノーかで結構です。
○国務大臣(伊吹文明君) 作られた法律の解釈権は内閣にあります。したがって、内閣の解釈として不当な介入に当たることはしないというのは当たり前のことです。
 しかし、私にそれだけの御質問をなさる限りは、このことは選挙で選ばれた都道府県知事においても当てはまるということを認めていただかなければなりませんよ。
○福山哲郎君 今、全然分からないです、何を言っているのか。認めるかどうか。さっき、最初認めたことをもう一回認めていただければそれでいいんです。
 要は、不当な支配を行使する可能性のある主体は、社会の諸勢力も含めて、その中には行政権力も政治権力も含まれるということをさっき認められたんだから、もう一回認めていただければそれでいいんです。
○国務大臣(伊吹文明君) お互いに言葉を慎んでお話をしたいと思いますが……
○福山哲郎君 僕は全然普通に言っているじゃないですか。
○国務大臣(伊吹文明君) いや、普通じゃないです。御発言は、どうぞ委員長の御指名でやってください、京都はお互いに心を大切にしてやっておりますから。
 申し上げたいことは、有権解釈権は内閣にありますから、内閣が不当と認めるようなことはいたしませんと申し上げているわけです。
○福山哲郎君 それは分からない。だって、分からないから大臣は、最終的にはそれは価値判断がいろいろあるから司法の場に持っていくこともあると大臣がおっしゃったんじゃないですか。その大臣が内閣は不当なことをしないと言ったら、全然先ほどの前提崩れるじゃないですか。
○国務大臣(伊吹文明君) 何度も同じことを申し上げているわけですからお分かりいただいたらいいと思いますが、私が不当だと思うことはいたしませんと、だから、不当な介入になるようなことはいたしませんと申し上げているわけですから、有権解釈を持っている者が。そして、それについては、それについては、不当だと思われればどうぞ司法で判断していただきたいと。だから、少なくとも私が内閣の構成員である限りは先生がおっしゃっているようなことが起こり得ないということを私は言っているわけです。(発言する者あり)
○委員長(中曽根弘文君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
○福山哲郎君 済みません。じゃ、もう一度丁寧にお伺いします。大臣が先ほどお答えをいただいたことをもう一度確認をさせていただきたいと思います。
 この不法な支配を行使する可能性のある主体としては、大臣の言われた特定の政治イズムやある団体があるかもしれません。昨日はオウム真理教ということをおっしゃられました。そういうことも含めて行政権力や政治権力も含まれるということをお認めいただけますねとお伺いしています。
○国務大臣(伊吹文明君) それは、先ほど来、旭川の最高裁の、司法の最高の場での判決をそのまま私お読みしてお答えしているわけですよ、それは。その主体のいかんを問うところではなくと言っているわけですから。だから、そのことを御質問になるのには、私は、その最高裁の判決は、その主体のいかんを問うところではなく、論理的には教育行政機関が行う行政でも不当な支配に当たり得る場合がある、あるということを先ほど答えたじゃないですか。
 だけど、しかし、しかしですよ、しかし同時に、私は福山さんに申し上げたいのは、知事については、私の言ったことは問題だとおっしゃるけれども、これ、この判決を読む限りは、行政、国家行政についてこういうことがあるのと同時に、地方行政についても同じことがあるということを認めていただかないと困ります、それは。
○福山哲郎君 それは重々認められると思いますよ。
 もっと具体的に申し上げれば、大臣の言われた学習指導要領を逸脱をしたことで不法な支配が行われる可能性があるみたいな話をされましたが、例えばでいえば、今回、僕言いたくないんですが、未履修の問題は学習指導要領を逸脱していますよね。これ、不法な支配なんでしょうか、不当な支配なんでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) それは全く私が答弁したことを昨日から聞いていただいてない御質問ですよ。私が申し上げているのは、特定の政治思想や宗教的背景を持って教育に介入するということを言っているわけですよ、不当な支配というのは。今度の場合は、何か特定の政治思想だとか宗教的背景を持って学習指導要領に介入しているんですか。むしろ入試に有利なために規範意識を失っている人たちの集合的な行為が、もちろんそれは大学の入試の内容がどうだとか高校の指導要領の内容がどうだということはありますよ。それは、やはりこれはテレビ中継もしていますから、もう少しやっぱり私の申し上げていることを理解してください。
○福山哲郎君 いや、実は、そこ難しくて、特定の政治勢力とか特定の政治思想とおっしゃいますが、自由民主党も民主党、我々民主党も特定の政治勢力なんですよ。例えば、先ほどの未履修の問題が、ひょっとすると大臣の言われた受験のために規範意識が薄くなって、もうこれは落としてもいいということだって、ある種の特定の思想だといえば特定の思想なわけですよ。これは難しい話なんですよ、判断は。だから、この問題は非常に難しい問題だということを申し上げているんです。
 で、もう一つ申し上げます。じゃ、例えば、その特定の政治勢力や思想みたいなものを今のうちから特定をすることは国として適当なことかどうか、お教えいただけますでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) 今、事態が起こっていないときに特定はできないでしょう。
○福山哲郎君 いや、実は、国が指定をするのはよくないとおっしゃいまして、僕は大臣の……
○国務大臣(伊吹文明君) よくないというか、できない。正確に言ってください。
○福山哲郎君 よくないというか、できないとおっしゃいましたよね。ということは、政党ももちろんできませんよね、その特定はできないですよね。
○国務大臣(伊吹文明君) これがその不当な介入であるかどうかというのは、国会で議決をした法律、その他に反する教育の執行があるかどうかということによって判断していかなければいけないでしょう、それは。だから、今あらかじめどうだこうだということは言えないですよ。そして、反するかどうかというのは一義的には、先ほど来申し上げているように、法律の所管をしている内閣にあります。しかし、内閣も政党政治だから行き過ぎることあるんですよ、何度も申し上げているように。だから、日本では最高裁を含めて司法の場でそれに訴えて救済を得る道が開かれているということによって、これはもう大学でお習いになった憲法論や行政論のイロハに書いてあるように、三権分立の下での行政の独走を抑えるための仕組みが憲法に組み込まれているということなんですよ。
○福山哲郎君 そこは理解します。
 僕はもう言葉じり余りとらえると先ほどみたいに怒られるのは嫌なので言いたくないですが、今大臣が内閣も行き過ぎたことがあるとおっしゃいました。その前には、内閣は不当な支配はしないと言い切られました。この矛盾はどう説明されるんですか。
○国務大臣(伊吹文明君) それは当然のことを私申し上げているわけですよ。内閣というものは、(発言する者あり)いや、内閣というものは、内閣の解釈としてですよ、逸脱したことはしないと、しかしこの内閣の解釈がおかしいということがあり得るということを言っているわけですよ。それが、おかしいことがあり得た場合は、それは内閣の解釈がおかしいよと、法律解釈がおかしいよということを司法の場で救済してもらう制度があるんで、我々は内閣の判断の中でそののりを越えるような政党の我は通さないということを言っているわけです。
○福山哲郎君 行き過ぎたことをするかもしれないから司法の場があって、そうかといえば内閣は不当な支配はしないとおっしゃったりですね、答弁があちこち行っているんですが、前に進まないのでもう次行きます。
 どういうことが不当な支配かということについては、実例が出てこないと判断できないと大臣はおっしゃいました。特定するのは国としてもできないとおっしゃいました、先ほどね。
 実は、これ自民党のホームページなんですが、不当な支配に服することなくという規定が残ったのはなぜですかというところで、実は一部の教職員団体とか教師のみとかですね、一部の教職員団体によりとかですね、こう具体的にいろいろ出ているんですね。これは政党のホームページとして、先ほど大臣が言われたように、はっきりとした事実が分からないにもかかわらず、大臣が判断できないと言っているにもかかわらず、こういうホームページに、教育基本法のQアンドAで自民党が書かれていること自身は国民をミスリードすることにはなりませんか。
○国務大臣(伊吹文明君) どうなんでしょう、過去に、今私が申し上げたような憲法の仕組みによって救済を申し出た、司法の場に救済を申し出たケースがあるわけですね。そして、私は、最高裁の判例を出す場合にも、最高裁の判事というのは、やはり自分の価値観がある程度ありますから、できるだけ謙虚に、客観的にやるべきだとは私は思いますよ。しかし、日本の、だから、私個人で言えば、裁判がこうなっているからといって、それを金科玉条のように私は振り回さないように私の人生歩んできたつもりなんですよ。
 ただし、ただし、日本の仕組みとしては、ここにいるのは、公人として私は御答弁しているわけですから、日本の仕組みとしては最高裁の判例が最終決定であるという仕組みで日本は動いているわけですよ。
 ですから、例えば、旭川のこの学力テストではこういう判断をしているわけですよ、今申し上げたような、るるやり取りをしたような。先ほど来申し上げた、憲法上、国は、適切な教育政策を樹立、実施する権能を有し、国会は、国の立法機関として教育の内容及び方法について、法律により、直接又は行政機関に授権して必要かつ合理的な規制を施す権限を有すると。
 だから、この権限を、結果的に旭川の事案は、判決では、この権限に服してもらわなければいけないということを判決をされたと、そういうことを参考にして作ったんじゃないかと思いますが、私は、自民党がどういう意図でそれを作ったか、率直に言って存じません、私は今、行政の立場でお話ししていますから。だけど、私が文部科学大臣を拝命している限りは、あらかじめ予見を持って、どの団体がどうだとか、何が介入だとかいうことを事前に私はやるつもりはありません。
○福山哲郎君 大変明快な御答弁をいただいたと思います。私はそのとおりだと思います。是非、行政の人間、大臣であるとともに、自民党の大幹部でいらっしゃいます伊吹先生ですから、このQアンドAについては訂正をお願いをしたいと思います。(発言する者あり)訂正をしていただきたいと思います。
○国務大臣(伊吹文明君) 率直に申し上げて、私はその作成にもかかわっておりませんし、内容については今初めて伺ったというのが正直なところです。
 しかし、文部科学行政を預かっている私としては、あらかじめ、どの団体がどうだとか、何が、こういう事案が不当な支配だとかということは事案を見なければ分からないから、あらかじめそんなことを決めたり云々したりする立場には私はありませんと申し上げている。
○福山哲郎君 ということは、大臣はそのことは認めていただいた上で、自民党のホームページを訂正するかどうかは自民党の良識の問題でございますから、私も他党に介入するつもりはございませんが、こういう表現があったということだけは報告をしておきます。
 誤解を招くといけません。私は実は教職員組合とは全く関係のない人間でございますので、そのことだけは申し上げておきたいと思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 実は、どっちに行こうかな、あっ、こちらですね、済みません。次ですが、民主党案、民主党案は、国が最終責任を有するという話、それから知事に権限を渡すという話が今の非常に不安定な文部行政の中で一定の役割を果たすという認識の下に民主党案は作られていると思いますが、そのことについて、民主党案の真意というか、思いをお述べをいただけますでしょうか。
○西岡武夫君 お答えいたします。
 私ども民主党の日本国教育基本法案におきましては、国が最終的に普通教育についての責任を負うということを明記をいたしております。ここが実は、まあ伊吹大臣とは、今の御議論とかその他、若干違うところもありますけれども、おおむね、多分本音は同じお考えではないかなと私は思っているんですけれども、残念ながら、伊吹大臣は前の内閣の提出された政府の教育基本法案をひっ提げて、まあ心ならずもひっ提げて御答弁になっておられるんで、大変ある意味ではお気の毒だなと思っているんでございますけれども、そこが民主党の私どもの案と政府案と大きく異なるところでありまして、確かに言葉の上では国と地方とがそれぞれ役割分担をしてと、それは言葉としてはちょっと美しく聞こえます。しかし、いろいろな問題が起こったときにだれが最終責任を持つのかということになりますと、全く現行法においては、教育基本法はもとより、関連の教育関係法案においては全部不鮮明になっている。これを明確にするということが、私どもが今回、日本国教育基本法案の中で国が最終責任を負うということを明記した最大の理由でありまして、是非この点につきましては政府におかれてももう一度検討をし直していただきたいという最大の問題点でございます。
 それと、立たせていただきましたついでに申し上げますけれども、先ほどの不当な支配ということにつきましても、先ほどの委員と大臣との議論をお聞きしておりましても、こういうある意味では幾ら議論してもなかなか通じ合わない不毛な議論のような感じを私は受けたわけでありまして、私ども民主党案におきまして不当の支配ということをあえて削除いたしましたのは、第一に、教育という大変日本の将来を決定する重要な問題、そして子供たちの未来を決定する基本的な問題について、不当な支配という言葉が教育基本法の中になじんだ言葉だろうかという、そういう感じもありまして、まずなくしました。
 それともう一つは、不当な支配という場合の不当ということについての解釈ですけれども、どこから見たらどれが不当なのか、これがなかなか分からないわけですね。こういうことで教育現場が混乱するということが長いこと、昭和三十年代、四十年代、五十年代にかけて続いたわけであります。その経緯を私自身はずっと体験をしておりますので、ここは明快に国の責任と、そして日常の教育行政の責任と、そして学校現場における学校の理事会制度を創設して日常の学校の運営についての責任を明確にし、また、地方の教育行政については教育監査委員会というものを設けてという仕組みをつくることによって、不当な支配というような文言は不必要であって、最終的には選挙によって選ばれる国会議員また首長の皆様の責任が取られると、このように考えて日本国教育基本法案は構成されていると御理解をいただきたいと思います。
○鈴木寛君 第二点目の知事に権限が移るという云々の議論についてお答えを申し上げたいと思います。
 伊吹大臣少し誤解をされているところもありますので、提案者の方から民主党案をきちっと御説明申し上げたいと思いますが、水曜日の御答弁でも申し上げましたように、今現在は、小学校、中学校におきまして、そこで教えておられる教員の人事権は県の、県の教育委員会に所属をいたしております。私どもの案では、小学校、中学校につきましては、これは市立あるいは区立、町立でございますから、それは知事にではなくて、市長さん、区長さん、町長さん、ここに移すということを言っておりますので、まずその点はきちっと明確にさせていただきたいというふうに思います。それで、県立高等学校につきましては、これは県立でございますから知事さんが行われると、こういうふうになるということはまず御理解をいただきたいというふうに思います。
 それで、そもそも一九五六年の以前と、そして、すなわち一九五六年というのは地方教育行政法が作られて、要するに教育委員会法が廃止されたと、そういう年でございますが、それ以降で、元々の日本に教育委員会を導入した精神あるいはその精神を実現をするための制度、担保するための制度論というのはもう本質的に変わっているわけですね。
 六十年ぶりにこの教育基本法をきちっと議論をし直して現場にきちっと対応し得る教育行政制度をつくるという観点に立ち返りますと、そもそも、ここに私ども、教育基本法ができたときのそのコンメンタール持ち合わせておりますが、住民を広く教育行政に参加させると、これが重要なんだということであります。それから、従来の官僚的な画一主義、形式主義の是正、あるいは公正な民意の尊重、教育の自主性の確保、教育行政の地方分権云々、これが教育刷新委員会でもきちっと大綱としてまとめられております。
 このことをきちっと現状において実現をされるためには、正に教育現場そのものに学校理事会ということで、正に住民をレーマンコントロールの観点から参加をさせて、そして、まず自主性と民意の尊重ということを行っていくと。
 今はもう事実上、完全な官僚による画一的な支配が行われているわけでありまして、ここをどういうふうに正していくのかという観点で申し上げると、正に今、現状においては、正に民意によって選出をされている、そして一番教育現場に近い基礎自治体の首長さんに人事権を付与して、そして現にいじめの問題などで保護者の皆さんがどこに行っていいか分からないと、門前払いを食らってしまう、たらい回しにされてしまうと、こうしたときに、きちっと市長、区長に直接事態の改善を求めるような制度にすることによってワークするだろうと。
 そして、もちろん区長、市長が法律に基づいて適正なことを行うことは、これは当然でありますけれども、万が一この政党、党派的な介入があってはこれはいけませんから、教育委員会を教育監査委員会ということに発展的に改組をして、そしてこの教育監査委員会は私どもがこの参議院に提出をさせていただきました地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律、正に新地方教育行政法と言ってもいいと思いますが、ここの中で、選挙管理委員と同じように地域の議会でこの人選は行っていくということで、完全に民意を反映した民主的な組織、そもそもの教育委員会を導入したときの教育刷新委員会の大綱の正に基本に立ち返った制度設計をさせていただいているということで御理解をいただきたいと思います。
○福山哲郎君 いや、もう長いから。
○国務大臣(伊吹文明君) いやいや、ちょっと。
 私の名前を今民主党の提案者がおっしゃいましたので、私は何ら誤解はいたしておりません。小中についての設置者である市町村長にその人事権を県から付与せられるというのはそれで結構でございます。
 西岡先生が御答弁になりましたように、最終的な権限は国にあるわけですよ、民主党案も。(発言する者あり)責任は、失礼。そしたら、その責任を果たせない、例えば今回の未履修のような学校教育法に基づく学習要領が実行されなかった場合の国の担保をどのように取るのかということを明確に示していただいて、そこで初めて案になるんです。それから、民主党の、例えば京都の前原さんと私が衆議院でやり取りしたときは、理事会のその理事の選び方、これはよほどやはり注意をしないと、地方の、地域のボスだとか何かの人が人事権にまで関与できるという理事会の中へ入ってきた場合の学校教育の在り方をどう正していくのかとかね。
 やはり、私は民主党案をすべて否定しているわけじゃないんですよ、西岡先生にそれこそ教育を受けた者ですから。ですから、ただ、今のところをきれいに総論だけ述べるんではなくて、各論で担保していくというようなお話をやはり現場で少し詰めていただくと国民のためにいいことになるんじゃないかと思っているわけです。
○福山哲郎君 今、民主党の案は非常に明快に理解をいたしましたし、伊吹大臣も本音でお語りをいただいたと思います。伊吹大臣も国会の議論の中でも、いろんな、るる、今の国のやり方について私たちが口出しできないということの部分は非常に残念というかもどかしいというような話とか、教育再生会議の中でも、教育委員会が無責任な取組を行った場合、国がどのように関与をするのかも含め、この会議で議論いただきたいとおっしゃっているわけですから、それは、先ほど西岡委員がおっしゃったように、自民党の教育基本法の改正案の中で非常に抜け落ちている部分を、我々ももう少し詳細を詰めなきゃいけないことは認めますが、そこについて伊吹大臣が評価をしていただいていることも分かっているつもりですので、そこは我々は国民のために建設的な議論を闘わせればいいと思いますし、子供たちのために闘わせればいいと思います。
 じゃ、次に行きたいと思います。
 報道によりますと、例のタウンミーティングでございますが、松山でもタウンミーティングがあったときに、四百三十一人のうちの約百人動員要請があったと。それも、文科省から県教委にタウンミーティング参加者の動員要請があって、それに対してこたえて百人が動員されたと。このことは事実かどうか、端的にお答えください。短く短く。
○政府参考人(田中壮一郎君) お答えを申し上げます。
 タウンミーティングにおきます、あらかじめ質疑者を選んで、その方に質問項目を参考までにお渡しするということに関しましては既に御報告をいたしておるところでございますけれども、それ以上の中身につきましては、現在、文部科学省におきましても、大臣の御指示の下に、総括審議官の下で具体的な中身を調査しておるところでございます。
○福山哲郎君 だって、こんなの報道が出ているんだから、調べて担当者に聞けば終わりじゃない、やったか、やらないか。どうですか、お答えください。調べているじゃなしに、こんなの聞けば分かる話じゃない、すぐに。電話一本で分かりますよ。
○政府参考人(田中壮一郎君) ただいま総括審議官の下で詳しい調査をしておるところでございます。
○福山哲郎君 だから、動員があったかどうかだけお答えください。
○政府参考人(田中壮一郎君) ただいま調査をしておるところでございます。(発言する者あり)
○福山哲郎君 ちょっと止めて、止めてください。
○委員長(中曽根弘文君) 速記止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
○福山哲郎君 じゃ、簡潔にお答えください。
 松山でのタウンミーティングでは動員要請があったのか、なかったのか、分かっている範囲でできるだけお答えください。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今日、そういう報道があって、おまけに私の地元だということで非常に胸が痛いわけでありますが、そういった問題は実はほかのタウンミーティングでも指摘をされているようなところもこれあり、これを含めて、林副大臣の下に調査委員会をつくって、今タウンミーティングすべて百七十四について調べております。
 したがって、それをどういうふうに出すかということは、御案内のように、今日、中間報告が出る出ないの話もまだございますし、それ、いつまでに最終報告を出すのかということもお問い合わせをいただいているわけでございますので、その辺は統一的にこの調査委員会で発表をしていきたいというふうに、調査をして、その上で出していきたいと、こういうふうに思っております。(発言する者あり)
○委員長(中曽根弘文君) 速記止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
○福山哲郎君 じゃ、再度お伺いさしていただきます。
 松山で二〇〇四年五月十五日に開かれたタウンミーティングにおいては、新聞報道によりますと、百人ほどをめどに動員要請があったというふうに承っておりますが、事実として動員要請があったかどうかお答えください。
○国務大臣(伊吹文明君) タウンミーティングは内閣府が所管しておりますので、内閣府から調査をするように各省に指示が来ております。私が当時のラインに乗っていない者を責任者として調査を指示しておりますので、今分かっていることだけ私から申し上げます。
 いろいろな過去の例から見ると、動員を掛けて会場を占拠されるケースがかなりあるんです、率直に言って。そのために、当時の、当時の、当時のこの担当者が人員を確保してくださいということを言った記憶があるということは、私にこの記事について報告がありました。それはお答えをしたいと思います。
 しかし、そのときに、だれが責任、だれがそのことを了解して、そしてどの担当者が向こうのだれに頼んだかということは、これは将来のその人の処分にかかわってくることなんで、そのことについては、今まだ一人一人の裏を取らなければいけませんから、そこまでの調査はできてないんで、官房長官の方にはまだ御報告ができてないという状況です。
○福山哲郎君 じゃ、政府委員、もう一回お答えください。
 動員要請はあって、今調査をしているから、それは近々その報告書と一緒に官房長官に報告が上がるということでいいんですね。
○政府参考人(田中壮一郎君) ただいま大臣がお答えされましたように、私どもが関係者から聞いておりますところは、そういう、(発言する者あり)はい、そのタウンミーティングに関しまして、一定の人員を確保していただくように教育委員会にお願いをした記憶はあるということでございます。
○福山哲郎君 それなぜ最初から言えないんですか、それが。なぜ最初から言えないんですか。
 官房長官、お伺いします。官房長官、これね、やっぱりタウンミーティングの問題は、やはり教育基本法の審議の中で、やはり前の国会では、大臣が、前大臣ですよ、伊吹大臣と言うと誤解を与えますから、前大臣が、何回も何回もタウンミーティングをやった上で、国民の声を聞いてこの法律を出したと議論いただいているんですね。これもう何回も言われていますからもう嫌でしょうけど、やっぱり前提崩れているんですよ。国民の中でやっぱり不信感もあるんです。
 これ、いつまでに報告書を出されて、この国会で報告書を基に議論できるようになるのか、官房長官、明確にお答えいただけませんか。
○国務大臣(塩崎恭久君) タウンミーティングの、何というか、趣旨に反するようなことが起きたということは、もう本当に残念なことで、二度と起きてはならないと思っていますし、二度と起きないようにするために今全数調査、百七十四タウンミーティングについてやっているわけでございます。
 その調査がいつまでにできるのかと、こういう話でありますが、これは先ほど申し上げたように、林副大臣の下に調査委員会をつくって、外の識者を交えて──聞いていただいていますか。外の識者の手も煩わせて今職員挙げて全部これ調べているわけであります。したがって、それはもうできるだけ早く御報告ができるようにということで、今土日も返上してやっている、休みも返上してやっているわけでございますが、まだいつまでということは具体的には言える段階には至っておりません。
 今日、中間的なまとめがまとまるということでありますけれども、これは林副大臣が申し述べたように、どの範囲まで、どういう形で公表するのかというのは林副大臣のところで今御検討のはずでございます。
○福山哲郎君 実は僕は、官房長官、本当にいろいろな形で本当に尊敬をしておりまして、いつも歯切れのいい答弁で、私は結構あこがれている政治家なんですけれども、ちょっとやっぱり歯切れ悪いですよね、官房長官、珍しくね、珍しくね。林副大臣も私は大変信頼しているんですが、内閣府でやったことを内閣府の副大臣が調査するのはいかがなものかなと私は思っているんですね。
 もう一個申し上げれば、これ、安倍内閣が最重要課題だと言われている教育基本法の審議をして、その中でやらせが見付かったんです。この教育関係の八回のうち五回やらせ質問があった。この八回分だけの調査でも早急に調査をして出すのが審議をするに当たっての最低限の私は条件だと思うんですが、官房長官、いかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 教育の関係については、衆議院の教育特の方に八回分すべてについて御報告をもう既にいたしております。
 ただ、その後の問題もあるし、それから、他のもうこの際タウンミーティング、これは安倍政権になってやったことではなく、安倍政権の前の政権のときに百七十四回やったタウンミーティングについてすべてこれを見直していこうと。その上で、新たに安倍政権としてタウンミーティングやるときにどういうやり方がいいのかというのは、今回の調査で出てくるであろう様々な問題点を克服する形で新しいやり方をつくり出してやりましょうと。こういうことになっておるわけでありまして、で、歯切れが悪いということで福山先生に失望されてしまうのは残念でありますが、別に歯切れが悪いわけではなくて、ばらばらばらばら出して何のことやら分かんないよりは、全部を調べて統一的に皆様方に御説明ができて、その上で、何が悪かったのか、どこに責任があったのかということを明らかにするということをした上で、新しいやり方をつくってスタートを新たにしましょうということを言っているわけでありますので、その点については御理解を賜りたいなというふうに思うわけでございます。
○福山哲郎君 実は、先ほど私がお伺いした松山の話は教育に関するタウンミーティングの問題です。もう御案内のとおりでございます。
 衆議院に先ほど出されたとおっしゃいますが、それでは全く足りないのでこうやって聞いているわけです。それは全体終わるまで待ってくれということでは余りにも不誠実だから、教育の問題に関しては今分かっている分だけでもいいから明らかにしてほしいと私はお願いをしています、本当に前提が崩れていますので。じゃないと、なかなか委員会の審議が進みません。
 そこは非常に、我々としても、こんなタウンミーティングみたいな議論をしていることが教育基本法の本旨かと、趣旨かというと、違うと私は思っているんですね。だからこそ、早くこの八回分に関してはより詳細な報告書をそれこそ官房長官の責任で出すと、委員会に出すと、今日言っていただければそれでいいんですが、官房長官、どうですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) いや、もうそれについては調査委員会で調べているとしか言いようがございません。で、後は、委員会のお話であれば、それは委員会で御議論を賜って、理事間で御討論をいただければと思います。(発言する者あり)
○委員長(中曽根弘文君) 速記止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
○福山哲郎君 速やかに教育関係、タウンミーティングの教育関係に関する資料を、早急に報告、資料を提出をいただきたいと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(山本信一郎君) お答えいたします。
 教育改革タウンミーティング、八回につきまして私ども調査をいたしました。その調査報告書、それからそれに、それからこれまでいろいろ、種々公開してまいりました契約書、請求書、こういったものを添えて、直ちに御報告をする所存でございます。
○福山哲郎君 今のは、おとといの、一昨日の蓮舫委員の発言の領収書等も含むのと、それから今私が申し上げた動員関係の資料ももちろん含まれると考えてよろしいですね。
○政府参考人(山本信一郎君) お答えします。
 蓮舫委員からお話がございましたあの件につきましては、社内経費でございますので領収書はありません。
 それから、二点目の動員関係でございますけれども、これについては現在私ども調査中、全数調査中でございますので、これは全部今洗っておるところでございますので、直ちにはお出しできません。(発言する者あり)
○委員長(中曽根弘文君) 速記止めてください。
   〔午後二時二十六分速記中止〕
   〔午後二時四十二分速記開始〕
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
○福山哲郎君 それでは、官房長官に要求をさせていただきたいと思います。
 まず三点。一つは、今議論になりました松山の百人教員が動員をされた件について、詳細について早急に資料を提出を願いたいこと。二点目は、衆議院で今八回のタウンミーティングの分について資料が出てきましたが、それでは足らない分が、不足分がたくさんございますので、それについてのより詳細な資料を御提出をいただきたい。それから三点目は、一昨日の蓮舫委員の事前調整費に関するより詳細な請求書も含めての資料提出をお願いしたいと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今の御質問、御要望の中にも必ずしも具体性が十分なものではないものもございますので、是非、理事会で詰めていただいて、理事会で御協議をいただいた上で調査委員会と接触をしていただいて、そこで答えを出せるかどうかを御議論、お話をしていただきたいというふうに思います。
○福山哲郎君 では、委員長、理事会の方で今の三点の要求について真摯に御議論いただきますようによろしくお願い申し上げます。
○委員長(中曽根弘文君) ただいまの件は後刻理事会で協議をしたいと思います。
○福山哲郎君 では、質問を続けさせていただきます。
 今の松山の動員のことについては、より詳細な資料をいただけるということで、それを待つことにしますが、一言だけ申し上げておきますと、そのころには文科省が県の教育委員会にタウンミーティングの参加者の取りまとめを依頼をして、呼び掛けて百人が応じたと。住所、氏名、電話番号などの個人情報を記載した応募リストを国に提出したというふうに報道にはあります。私は事実関係が分からないので、事実関係を知りたくてお伺いします。このことについても重ねて答えが、答弁ができるように早急に準備をいただきたいと思います。
 では、次に行かせていただきます。問題のタウンミーティングでございますが、塩崎官房長官にお伺いをします。
 官房長官がいつも最近答弁で言われています、司会者が、タウンミーティングを活性化するために最初の会議の中でまず御意見を壇上で言っていただくと、そういうことに謝礼金を使ったと、やらせだけに使ったのではないと、(発言する者あり)やらせは使っていないんですか。やらせには使っていないとおっしゃっておられますが、この壇上にお上がりいただいて、それで質問のスタートにしていただいた方の謝礼金はお幾らだったんでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) もう一回申し上げますと、これは十六年度以前にあったというふうに聞いているわけでありますが、したがって、今年度、昨年度はないわけでありますけれども、この十六年度以前にあったのは、今お話があったように、司会者から例えばどこどこの観光協会の会長さんに是非地域おこしについてまず御発言をいただきたいと思いますと言って壇上ないしは自分の席で発言をしていただくと、こういう場合に五千円お支払をしたというふうに聞いているところでございまして、五千円というのが私たちが聞いている支払った額だというふうに思っております。
○福山哲郎君 実は、ここははっきりしておきたいんですが、その平成十六年度の仕様書、この仕様書は内閣府が作成をして、当該依頼をした広告代理店にこういう形でやりなさいといって出した仕様書で間違いないですね。
○政府参考人(山本信一郎君) 委員御指摘のとおり、仕様書というものを入札の前に内閣府で作成をいたして、それに基づいて業者の方に入札をしていただく、こういうものでございます。
○福山哲郎君 まず、おとといの、一昨日の蓮舫委員の質問に多少補足をさせていただきますと、この仕様書の中に実はエレベーター手動二名、エレベーターから控室までの誘導二名、それから会場出入口にお迎えとかですね、こういうものが全部実は仕様書に書いてあります。この間、政府委員は、それは単価はもちろん広告代理店が、業者が出したものだとおっしゃいましたが、それの指示を項目別にしているのは実は内閣府が出していますから、出された仕様書に沿って単価を入れるのは実は当たり前の話でございまして、まず内閣府がエレベーターのボタンを押す人を二人で、こういうことをちゃんと指導していたということだけははっきりしておきたいと思います。それで入札が落ちているということは、先ほどの人件費の金額も含めて、蓮舫委員が言われたみたいに非常に高額の人件費で、まあ簡単に言うと、エレベーターのボタンが一回四千円でしたっけ、五千円でしたっけ、四万円、まあとにかく、詳細はもう結構ですが、そういった仕様書に基づいて広告代理店は作ったということだけははっきり申し上げておきます。
 その仕様書を見ると、官房長官、細かいこと言うようで恐縮なんですが、官房長官の言われた登壇をして依頼をして口火を切っていただく方とほかの協力者とは分かれているんです。仕様書、これ、お手元にお配りをしました仕様書でございます。
 配ってください、資料。
   〔資料配付〕
○福山哲郎君 今、内閣府が作ったということは内閣府は今お認めになられました。その仕様書があって、仕様書を今、僕、抜粋をしています。それもやらせがあったと言われている平成十六年度の仕様書でございますが、これ見ていただきますと、仕様書の中にちゃんと書いてあるんです。一回当たり実施事務、①から⑤を民間人有識者等へ支払い。①民間人有識者謝礼金。これは講演をいただく方みたいです。それから、民間人有識者交通費。これは御講演いただくから移動があるんでしょう。これは問題ないです。その次、これが官房長官の言われている依頼登壇者謝礼金等、そして四番目、その他の協力者謝礼金等ってあるんです。
 実は、先ほど官房長官の言われた五千円は④なんです。下見てください。実は仕様書に指定単価まで書いてあるんです。④のその他協力者謝礼金等が五千円。そして、③の官房長官の言われた依頼をして登壇者の謝礼金というのは③、二万円になっているんですよ。これ、官房長官、先ほどの答弁と違うんですよ。
 これは一体どういうことなのか、官房長官、ちょっと御説明をいただくか、官房長官はひょっとしたら報告を受けておられないかもしれない。それだったら政府委員でも結構でございます。
○政府参考人(山本信一郎君) お答えいたします。
 今の福山委員御指摘のここの項目でございますが、①の有識者謝礼金、これは正に有識者としてパネルに入っていただく方。それから、③の依頼登壇者謝礼金、これは指定単価で二万円といたしておりますが、これにつきましては、タウンミーティングをスタートしましてからしばらくの間、地元の代表的な方に、閣僚や民間有識者とともに初めから、もうスタートから登壇をしていただいて議論に加わっていただく例がございまして、この方々に二万円の謝礼金をお支払をするという具合に整理をした項目でございます。
 それから、④のその他協力者謝礼金等、これは単価五千円でございますが、この方々につきましては、会場の方を司会者があらかじめ指名をして御紹介をして口火を切っていただく、その方の中に指名をされた後登壇されて発言された例もございますと、こういうことでございまして、この二万円の例と五千円の例はそういう具合に明らかに異なっているので、御理解いただきたいと思います。
○福山哲郎君 官房長官、ずっと委員会の中で答弁されていますよね。問題については御意見を壇上で言っていただきますと。地元の方の有識者みたいな方に答弁をいただくとさっきもおっしゃいましたよね。これ、ずれているんですよ、答弁が。はい、官房長官、どうぞ。
○国務大臣(塩崎恭久君) さっき申し上げたように、いや、その有識者という言葉がどこまで入るのかというのは問題ありますが、例えばPTA会長でもいいんです。それから、観光協会の、地元の道後温泉の旅館組合の組合長でもいいんですが、そういう方に席にいていただいて、それでお願いをしておいて、この話題になったときにまずしゃべってくださいと言って紹介をして、壇上ないしは、まあ自席の方が多いようですが、こういう五千円ケースはですね、自席が多いようですけど、そこで問題提起をしてもらうと、発言をしてもらって、それでその謝礼に五千円を昔払っていた、こういう話です。
 今の二万円のケースは、初めから壇上にパネリストとして上がってもらって、国会議員や大臣や他の東京辺りから来たいわゆる有識者と並んでやっていただく方について二万円をお礼でお支払をしていたということで、決して変わっていないというふうに思います。
○福山哲郎君 実はそれが三万円なんですよ。そうなんですよ。それは民間人有識者三万円なんですよ。政府委員。
○政府参考人(山本信一郎君) 今のお話でございますけれども、閣僚と有識者、ケースによって違いますけれども、例えば総合規制改革会議の会長とかそういった方が、中央からの有識者、三万円、いろいろな方がおられます。
 それから、それに加えて、初めのタウンミーティングをスタートしたしばらくの間は、地元の有識者の方を初めから壇上に、そういう方と一緒に並んで、ネームプレートを付けて座っていただいて発言していただいております。この方が二万円でございます。
 五千円というのは、会場におられる方をあらかじめ指名をして御紹介をして口火を切っていただくということでお願いをしていると、これが五千円という具合に整理がされております。
○福山哲郎君 もう一回二万円を御説明ください。もう一回二万円を御説明ください。
○政府参考人(山本信一郎君) 済みません。
 閣僚と有識者という方がおられます。それにプラスしてタウンミーティングを始めたしばらくの間は地元のそういった代表的な方、有識者の方を初めからその壇上に座っていただいて、閣僚と有識者の方と共々パネリストとして議論していただいた、最近はこれはございませんけれども、初めはそういうことがあって、それがこの二万円の方でございます。
 以上です。
○福山哲郎君 いや、昨日官房長官の答弁は、司会者が、どこどこのどういうお仕事で、どういう頑張り方をしている方に、どういう問題についてまず御意見を壇上で言っていただきますと、これ先ほど言われた地域の有識者ですよね。
○国務大臣(塩崎恭久君) 蓮舫議員の御質問のときに、壇上ないしは会場でというふうに私言ったと思います。で、改めて聞いてみますと、どちらかというと壇上でやるよりは自席で立ち上がって今のような紹介を受けて、今日はここのどこどこのだれだれさんにまず代表して問題提起をしてもらいますとか、そういう形で言っていた。それが五千円をお支払をしていた、かつて支払っていた相手だということで、さっき言ったように、同じ地元の人でも初めからパネラーと、パネリストとして座って議論をしていただく方に二万円を払っていたと。で、東京辺りから来ていただいたりとかいう、そういう方々にはたしか三万円をお支払をしていたというふうに私は聞いております。
○福山哲郎君 そしたら、各タウンミーティングの会場で何人の方に三万円を支払って、何人の方に二万円を支払って、何人の方に五千円を支払ったのか、教育関係の八回についてで結構でございますから、これはもちろん相手から領収書をもらっているはずですので、それを全部出してください。そしたら、人数符合すればそれが正しいかどうか分かるはずですから。で、その五千円の中に、官房長官、やらせの質問をお願いした人はいらっしゃらないと今はおっしゃっているんですね。確認だけさせてください。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたように、ちゃんと御紹介をして、そしてキックオフ的な問題提起をしていただくというような方々に五千円をお支払いしていたというふうに、かつて慣行としてやっていたということで、いわゆる質問を作ってこれしゃべってくださいと言ってやった人ではないというふうに私は聞いております。
○福山哲郎君 つまり、質問を作ってこれやってくださいという人にはお金を渡してないということですね。
○国務大臣(塩崎恭久君) そのとおりであります。
○福山哲郎君 分かりました。
 じゃ、先ほど申し上げた八回の会場で何人分、どの金額で何人渡したか、それは符合すぐできると思いますので、お示しください。
○政府参考人(山本信一郎君) 八回の教育改革タウンミーティングにつきましては、このいわゆる五千円の支払をしたことはございません。ありませんでした。
○福山哲郎君 その次、実は問題になっている平成十六年、十七年は同じ広告代理店がずっと入札をしています。で、これ入札状況を見ているんですが、全部実は、私のところに実は入札状況調書が出てきました。資料あるんですよ。出そうと思えば出せるんですよ。これはやっぱり出せるものは出していただいた方がいいと思うんですが、これ実は三回の入札、十六年、十七年、十八年、入札全部同じ会社が入札をしているんですけれども、これの入札予定価格、平成十六年、平成十七年、平成十八年、それぞれの入札予定価格をお示しいただけますか。
○政府参考人(山本信一郎君) お答えいたします。
 お渡ししております入札状況調書というもので、各社が幾ら入れて、どこが一番安くて、どこが取ったという資料の中で、今、福山委員御指摘のように、予定価格というものを我々セットをしてこの入札をするわけでございますけれども、この予定価格を公表すべしという御質問でございますけれども、他の契約の予定価格を類推させるおそれがないと認められるものに限り公表することとしているわけでございまして、このタウンミーティングにつきましては、同じようなものを年二十回とか二十五回とかやるものを毎年やっているということでございますんで、本契約のように、同様あるいは類似の事業が繰り返されるものにつきましては、この予定価格を事後的であっても公表することは適当でないという具合に考えておるところでございます。
○福山哲郎君 ごめんなさい。今、これ大問題になっているんですよ。で、代理店、三回、三年間同じ業者が落としているんですよ。それで、類似のタウンミーティングがあるかもしれないし、類似の何かがあるかもしれないとおっしゃるけど、先ほどのいろんな大臣の誘導の話やエレベーターのボタンを押すのが何千円という話も含めて、やり方自身が今問われているんですよ。類似のがあるから出せないというのは全く理由にならないじゃないですか。だってこれ、この議論をしているんだから。それじゃ全然明確な理由にならないと思うんですが、もう一回お答えください。
 平成十六年、平成十七年、平成十八年の入札の基準価格、予定価格について御答弁ください。
○政府参考人(山本信一郎君) タウンミーティングをより簡素に、もっと厳しく節約していくということできっちりとやっていきたい。それも調査委員会で種々調査をしていただくということになっておりますが、今の委員の御指摘自体につきましては、「国の契約に係る予定価格の事後公表について」ということで、これ財務省の方から示されております一般的なルールでございますので、これについては御理解を賜りたいと思います。
○福山哲郎君 ごめんなさい、一般的なルール、じゃ説明してください。さっきは類似のがあるから駄目だという、違うじゃないの、御答弁が。
○政府参考人(山本信一郎君) お答えします。
 一般的なルールの中に、他の契約の予定価格を類推させるおそれがないと認められるものについては公表すべしという具合に書かれておりまして、この我々の場合は、この類推させるおそれがあるという具合に判断しておるものでございます。(発言する者あり)失礼しました。その財務省から示されておりますものは、平成十年三月三十一日付けの大蔵省主計局長から各省庁会計課長あての通知でございます。
○福山哲郎君 いや、それならそうと、昨日、事前通告のときに言ってくれないと。そうしたら僕、財務省呼びましたよ、今日。そのこと言わないから、今日、財務省呼べないじゃない。でしょう。それ、おかしいでしょう。
 類推すると言うけど、今これもう完全に問われているんですよ、お金の使い方も含めて。これと同じように、また同じようなものをやるおつもりなんですか。
○政府参考人(山本信一郎君) タウンミーティングの経費の在り方についてもしっかりと厳しく見直していきたい、いかなければいけないとは私ども考えております。
 しかし、今の予定価格の公表につきましては、今申し上げましたとおり、一般ルールの中で我々としては処理せざるを得ませんので、御理解いただきたいと思います。
○福山哲郎君 見直すつもりがあると今おっしゃったじゃない。見直すということは関係ないじゃないですか、今までの過去の類推の話とは。これは国民の税金ですよ。これからはこういう形でやらない前提で今やっているんでしょう。これ、類推できるわけないじゃないですか。これを類推してものをつくるわけないじゃないですか。(発言する者あり)
 予定価格、これ、何で出ないんですか。ちょっと、もう一回。
○政府参考人(山本信一郎君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、予定価格につきましては他の契約の予定、類推させるおそれがあるということで、ルールとして出せません。
○福山哲郎君 ちょっと止めてください。
○委員長(中曽根弘文君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
○福山哲郎君 済みません。なかなか予定価格出していただけないみたいなんですが、これ類推が、なぜ類推されるのかがちょっと説明が不十分だと思うんですが、これ例えばタウンミーティングをやり続けるにしたって、この仕様書はもう一回全面的に見直すんですよね、当然、当たり前のように。
○政府参考人(山本信一郎君) 節約もしないといけませんし、厳しく見直しをしていきたいという具合に思っておりますし、委員会でも、調査委員会でもそのような調査がなされるものという具合に考えております。
○福山哲郎君 つまり、仕様書を出して、それに対して見積りを取って入札をするわけですよ。その仕様書を今もう一回前提全部変えると言っているんだから、類推なんかできないじゃないですか。そうしたら、その先ほどの一般の、何でしたっけ、入札の公表の制限というのは当てはまらないんだから、予定価格出してもいいんじゃないですか。
○政府参考人(山本信一郎君) そういう具合に見直していく必要があるという具合に考えておりますが、これはこれからの作業でございます。したがいまして、現時点でやっぱり類推されるということで出すのは適当でないと、このように考えております。
○福山哲郎君 私は、全く理解ができないし、納得もできないんですが、もう切りがないので、理事会で委員長、協議をもう一度いただけませんでしょうか。
○委員長(中曽根弘文君) ただいまの件は後刻理事会で協議をいたします。
○福山哲郎君 実は私、本当はいじめのこととか学校内暴力のこととか、教育基本法にかかわることをたくさんやりたかったんですけど、なかなか明快な御答弁いただけなかったので、次回に移したいと思いますが、とにかくこのタウンミーティングは、これ例えば教育基本法がどんな形であれ、やっぱり国民に信頼され得るものでなければいけないと私は思っているんです。こんな前提で、こんなに資料も出てこなくて、不信の中で教育基本法がやっぱり議論されること自身子供たちにとって不幸だと思いますし、とにかく真摯な資料提出と真摯な審議を与党側に、政府側に求めまして、私の質問取りあえず終わりたいと思います。
 どうもお騒がせしました。ありがとうございました。

2006年11月
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