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2014

第186国会 参議院 外交防衛委員会 2014年6月19日


○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。よろしくお願いいたします。
通常国会も閉会を目の前にして、こうやって審議ができるのも、ひょっとすると最終盤かもしれません。両大臣におかれましては、本当に御苦労さまでございました。また、委員長におかれましては、非常に公平な委員会の運営をしていただいたことについて、野党としても一言お礼を申し上げておきたいと思います。
それでは、質問に入らせていただきたいと思います。
まず、冒頭でございますが、石原環境大臣の発言についてでございます。
小野寺防衛大臣は、福島ではありませんが、震災で大変被害に遭われた宮城県です。私、当時、官房副長官をやっておりまして、このノートを持ってきたんですけど、小野寺さんから三月十一日に電話があって、気仙沼が、非常に地域が孤立している、海上で火災が起こっていると電話をいただいて、与野党を超えて連絡をいただいて、私は小野寺大臣とやり取りさせていただいたことを覚えていますし、岸田大臣におかれましては、この間もNPDI、広島でやっていただいて、私も、三・一一の後、広島の原爆の慰霊祭に出席したときに、福島からの住民の方が広島にたくさん来られていて、原爆で被爆をした広島の方が福島の方に、自分たちもこうやって長生きしているんだから福島の皆さんも希望を持って生きなさいと、福島の皆さんに広島の住民の皆さんが励ましている姿を見て、私はもう、何とも言葉が詰まったような場面がありました。
確かに、大臣の発言ですから、時には不規則な発言もあるかもしれません。しかし、中間貯蔵という大変厳しいことをお願いをしているときに、実は、私も副長官を辞める最後の場面に福島に行って、知事に中間貯蔵のお願いをした人間でございます。
金目でしょというのが、あれは音も入っています。どういう態度で、どういう状況で言ったかというのは、音を聞けば雰囲気は分かります。
もうあちこちで言われていますが、福島第一原発を第一サティアンと言ったり、中間貯蔵施設について福島県の皆さんが自ら行動って、どうやって中間貯蔵の問題を福島県の皆さんが行動できるんですか。そして、脱原発に至っては、脱原発は集団ヒステリーだと。これは不注意とかで済まない問題で、佐藤筆頭は福島の御出身で、何度も福島にお入りをいただきました。これも私は存じ上げています。与野党を超えて、許せるものと許せないものがある。
私は、普通、こういったときにこんな言葉尻をつかまえて大臣に聞くようなことは余りしたくない人間ですが、防衛大臣と外務大臣、この石原大臣の発言について、知らないとか聞いていないとか、そんなことは通用しないです。是非、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(小野寺五典君) まず、福山委員には、東日本震災のときに直接被災地の声を聞いていただきました。今でも、そのとき官房副長官でいらっしゃった委員に様々な状況をお願いをしたこと、また、官邸に行ってお願いしたときにも非常に積極的に対応していただいたこと、改めて感謝を申し上げたいと思っています。
今回の石原大臣の発言でありますが、やはり同じ被災地の出身の者として、非常に、被災者の気持ちに寄り添うべき私ども全ての閣僚でありますが、そのことがしっかりとした形で地元の皆さんに伝わっていない。報道を見れば、やはり地元の皆さんがかなりこの発言ではお怒りであるということ、これは私どもも重く受け止めていく必要があると思っております。
石原大臣におきましては、早速、このことについては言葉が足りなかったということで、発言の真意について説明をし、誤解を招いたことについてはおわびをされていると承知をしておりますが、私ども、内閣の一員として、私も含めて、発言一つ一つに今後とも注意をしてまいりたいと思います。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、今回の石原大臣の発言につきましては、石原大臣自身が、言葉が足りなかった、そして誤解を招いたということについてまずおわびを申し上げ、そして、その真意について説明をしていると承知をしております。
委員御指摘のように、福島における厳しい状況、そして、福島におられる方々のお気持ちですとか環境、お立場を考えましたときに、大臣の発言、これは慎重の上にも慎重でなければならないと考えます。是非、石原大臣には、自らしっかりとその真意について説明する努力をしていただかなければならないと思います。
いずれにしましても、被災地の方々の心に寄り添って、復興を最優先に考え、努力をするというのが今の内閣の方針であります。閣僚一人一人がこのことを肝に銘じ、そして、今後とも、しっかりと私自身も含めて対応していきたいと考えます。

○福山哲郎君 もうそれ以上御答弁できないと思いますのでこれ以上申し上げませんが、この大臣は、中間貯蔵の住民説明会十六回、一度も出席していません。寄り添うどころの話ではありません。先ほど、真意が伝わっていなくて誤解をと言われましたが、真意は十分に伝わっているんです。真意が伝わっているから怒っているんです、みんな。
もっと申し上げれば、誤解を招いたという発言を大臣がしたら、我々の政権のときに自民党さんは何を言ったかというと、誤解をした方が悪いというのかと。何だ、誤解を招いたとすればということは、誤解をしているのはこっち側が悪いのかといって、さんざん私は、委員会でそういう批判をされている自民党の委員の方の発言を聞きました。
同じことは繰り返しませんが、やっぱりこういった問題は、福島の問題は私たちにも責任がありますので、少し、少しじゃないな、厳重に、慎重に対応していただきたいと思いますし、福島との信頼関係が崩れている限りは、申し訳ありませんけど、私は大臣としての資格はないと思っておりますので、そのことだけは付言をさせていただきたいと思います。
中身に、急いでいますので入ります。
今年春に障害者権利条約が批准になりました。岸田大臣に大変お力添えをいただいたことも感謝申し上げます。昨年の年末、私、岸田大臣とこの障害者権利条約の質疑をやらせていただいて、大変前向きな御答弁をいただきました。
現実に、この条約の促進とか条約がどの程度実施されているかについて監視の役割を担うというのは、障害者政策委員会で行われるということを昨年十二月の審議でお認めをいただいたというか、そういう御答弁をいただきましたが、内閣府に設置されているこの障害者政策委員会が監視の役割を担う、このことについて何ら変化がないのか、このことは間違いないのかについてお答えいただけますでしょうか。

○政府参考人(山田滝雄君) 委員御指摘のとおり、障害者権利条約第三十三条二は、締約国が自国の法律上、行政上の制度に従って条約の実施を監視するための枠組みを設置することを求めております。この規定を踏まえまして、我が国におきましては、障害者基本計画の実施状況の監視を通じて障害者政策委員会が条約の実施の監視を行うこととされております。

○福山哲郎君 この障害者政策委員会の委員は五月二十日で任期が切れております。今、任期が切れている状況で、この条約の実施の監視はどこが行っているのでしょうか。

○政府参考人(山田滝雄君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、我が国におきまして条約の実施の監視を担う機関は障害者政策委員会でございます。現状、御指摘のとおり、委員の任期は切れておりますが、同委員会は本年だけでもう既に三回行われており、また現在、鋭意委員の任命に向けた調整が行われておると承知しておるところでございます。

○福山哲郎君 この障害者政策委員会が任務を全うできるように、とにかく委員を早く任命をしていただきたい。これは、官邸が普通任命をします。現実の問題として、悪いですけど、集団的自衛権の議論も重要だと思いますが、こういった個別のきちっとした条約の案件について、委員を任命をして、実施状況について監視をしていっていただくと。
与党におかれましては、公明党もいらっしゃいます。まさに、障害者の問題は、公明党も一緒になってこの障害者権利条約の問題について対応していただきました。こういったことを空白のままに置いておくというのは、まさに、しっかりやらなければいけないことをやっていないという指摘をされても仕方がないと思いますので、是非、一日も早く、それも衆人が、お友達ではなく、障害者施策にしっかりと対応できる専門家をこの委員に任命をしていただきたいということを強く申し上げたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。

○政府参考人(岩渕豊君) 障害者権利条約の国内実施状況の監視につきましては、障害者基本計画の監視を担う障害者政策委員会によって行われるものでございます。
現在、内閣府におきまして障害者政策委員会の委員の任命に向けて調整を行っているところでございまして、障害者権利条約の国内実施状況の監視に支障が生じないように、速やかに手続を進めてまいりたいと存じます。

○福山哲郎君 是非よろしくお願いします。
外務大臣、内閣府が所掌になっていますが、外務省も、これは権利条約のことですので、重要ですので、そこについては事務方の、是非、叱咤激励、早くやれと指示を出していただきますようにお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、障害者権利条約の重要性を考えますときに、この条約がしっかりと実施されているかどうか、これを監視する委員会が御指摘のような状況にあるということが、その実施の状況に疑念を差し挟むということになってはなりません。是非、しっかりとこの体制を整えていくべく、私の立場からも働きかけていきたいと考えます。

○福山哲郎君 是非よろしくお願いを申し上げます。
実は、今日、私、時間がないので、イラク情勢等についても外務大臣と御議論したかったんです。
今朝の報道等によりますと、アメリカの議会等でヘーゲル国防長官がマリキ政権を批判をしたり、一方で、イラク外相からアメリカに対して空爆の要請があったり、一番私が気になっているのは、石油精製施設がいわゆるISIS等々に占拠され出している状況があったりとか、スンニ派、クルド人、シーア派、さらにISISが非常に複雑な状況になっているので、これは、石油価格の問題、中東の情勢の問題も含めて注視していかなければいけないので外務大臣の見解をいただきたかったんですが、もう私、七分しか残っていません。このことは問題意識として申し上げます。
恐らく、こういった状況でいろんな変化があれば、この委員会、また閉中といいながらも開いていただかなければいけないと思いますので、外務大臣におかれましては、一言、この問題に対してしっかり対応するという決意だけ述べていただければと思います。よろしくお願いします。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、イラクの情勢については、事態が緊迫化しており、そして、今現在も戦闘が続いております。我が国としましては、こうした事態を憂慮しております。
是非こうした事態に対して、テロとの戦いにおいてどう対応していくのか。また、多くの国内避難民も発生をしております。人道的な見地から我が国としてどう対応していくのか。こういった点につきまして、我が国としてもしっかり対応を考えていかなければならないと思いますし、何よりも邦人の安全について万全を期さなければならない、このように認識をしております。

○福山哲郎君 邦人の安全についても、是非、今大臣御指摘のとおり、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、ちょっと残された時間は短いですが、横畠法制局長官、お尋ねをします。
前、私この委員会で御質問したときに、今与党側で協議しているからといって具体的に答弁をいただけなかった問題について、与党側でも具体的な議論が出ていますのでお伺いします。
私のお配りしたペーパーを御覧をいただければと思いますが、これまでの憲法解釈は、いわゆる武力行使の三要件は、左側にありますように、我が国への武力攻撃があります。武力攻撃があるから国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される急迫不正の事態です。そして、このときに個別的自衛権だけ行使可能です。これも、必要最小限で例外的です。そして、海外での武力行使は許されないというのがこの四十年間の憲法九条を含めた我が国の在り方だったと思います。
今与党で協議されている議論は、我が国への武力攻撃がなくて、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される、これは微妙に左側と似ているんですが、覆されるおそれがあって、その下の二要件は一緒です。我が国に攻撃がなくて、我が国の存立が脅かされて、次です、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される状況というのはどういった状況を法制局は想定されているのか、法制局長官、お答えください。

○政府特別補佐人(横畠裕介君) いわゆる限定的な場合における集団的自衛権の行使の問題につきましては、現在、与党協議が進められているところであると承知しておりまして、当局として、現時点で予断的なことを申し上げることは差し控えたいと思います。
お尋ねの問題につきましては、これ自身まさに議論されていることでありましょうし、また、それ自体は法制上の問題というよりも事実認識の問題かとも思われます。そういう意味で、現時点で当局からお答えするということは困難でございます。

○福山哲郎君 おかしいですよ。だって、政府が説明しているんでしょう。NSCも含めてメンバーが来て、与党側にペーパーを出しているんでしょう。政府側は、法制局長官は基本的にはそこに関わっているじゃないですか。事前に意見するでしょう。
じゃ、この今議論されている、与党協議に出されているペーパーは政府は一切関知していないわけですか、長官。

○政府特別補佐人(横畠裕介君) 政府側から与党協議に必要な資料等を提供しているものがございます。それにつきましては、当局においてもあらかじめいただいているものもございますし、事後的にいただいているものもございます。まさに与党協議の材料という理解でございます。

○福山哲郎君 長官、じゃ、もう一個本質的な話を聞きます。
このおそれというのは、じゃ、一般論でいいです、おそれというのは、現実の問題として言えばどういう状況を想定される、おそれというのの範囲というのはどのように法律上は解釈されるのか、教えていただけますか。

○政府特別補佐人(横畠裕介君) いわゆる報道されておりますたたき台で用いられているそのおそれそのものについて御説明する立場にはございませんが、一般的に法令で用いられているそのおそれという言葉、大変多数用いられておりますけれども、例えば憲法第八十二条第二項には、「公の秩序又は善良の風俗を害する虞がある」というような例も見られます。
一般的に申し上げれば、何か好ましくない事柄について、それが必ずしも確かではないが今後発生する可能性がある、そういうものを指す言葉であろうと理解しております。

○福山哲郎君 必ずしも確かではないと。左側を見てください。今までの憲法解釈は、我が国に武力攻撃があるんです、あるということは、間違いなく国民の生命、財産に影響があるという状況のみだったんですね。今のように、不確かな状況の中のおそれでなぜ限定的に集団的自衛権が行使できるのかどうか、私は理解できません。
もう一点、もう時間がありませんから、長官、お伺いします。
長官は何度も、これまでの解釈も含めて、集団的自衛権というのは量的概念ではないと、限定的な議論と、先ほど前提にとおっしゃいましたが、この限定的な議論が今まかり通っている根拠は一体何ですか。

○政府特別補佐人(横畠裕介君) 先ほどもお答えしたとおりでございまして、いわゆる限定的な場合における集団的自衛権の行使の問題、御指摘のそのおそれという表記の問題につきましても、まさに現在与党協議が進められているところでありまして、現時点で予断的なことを申し上げることは差し控えたいと思います。

○福山哲郎君 それじゃ全然審議深まらないじゃないですか。量的な概念ではないんです。今、長官がいわゆるとおっしゃったけど、いわゆるなんという共通認識は、国民も含めて、我々も含めて何にもありません。限定的ななんて、だって、量的概念ではないんですよ、そもそも。どうやって量的概念という議論が出てくるんですか。
今、与党協議の中で出てきている昭和四十七年見解は、結論として、結果として集団的自衛権の行使は憲法上許されないという結論を出しているんです。それが何で同じ見解を根拠にして量的概念が可能になり、おそれという、先ほど長官が言われたようなある種の抽象的な不確実な要素の中で武力行使が可能になるのか。長官として、今、じゃ、この与党の協議の議論についてどうお考えになるのか、お答えください。

○政府特別補佐人(横畠裕介君) まさに与党において協議中でございますので、その内容について具体的に意見を申し上げることは差し控えますけれども、総理は、五月十五日の記者会見において、憲法前文、そして憲法十三条の趣旨を踏まえれば、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとることは禁じられていない、そのための必要最小限度の武力の行使は許容される、こうした従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方について、今後更に研究を進めていきたいと述べておるところでございます。
その基本的方向性を踏まえて、現在、与党協議が行われているところであると理解しており、その与党協議においても、そのような従来の政府の基本的な立場との整合性を保つことにも留意しつつ議論が行われているのではないか、そのように理解しております。

○福山哲郎君 水掛け論ですから答えられないと思いますが、その必要最小限と総理が言われた議論がぎりぎり個別的自衛権の行使だったんです。何でいつの間に広がるんですか。それを、法制局長官がそんな答弁でどうするんですか。あなた方が四十年間この解釈を言ってきたんでしょう。
国会の中でこういう議論をしているときに、それは与党協議だと与党協議に委ねてどうするんですか。政府の判断は政府の判断で今あるべきでしょう。じゃ、今政府の判断は空白ですか。政府の判断は今あるはずですよ。
安保法制懇をやっているときは安保法制懇の議論を待つ、与党協議をやっているときは与党協議の議論を待つ、結果だけ出てきて国民にのめと言うんですか。国会の場でも、議論を全部こうやって、ある意味でいうと議論ができない環境にして。私は、非常に問題だと思いますよ。
時間がありませんからもうこれでやめますけれども、どうもこういった量的概念ではないという憲法解釈とか、それから、武力攻撃があって我々の急迫不正の事態なのに、武力攻撃がない状況でのおそれってどういう状況かの説明も何もないままで、こういったことが非常に状況対応的に、状況追認型で進むことに対して、私は、法治国家として、民主主義の国家として非常に懸念を持っているということを申し上げて、何らかの動きがあれば、閉会中とはいえども、この委員会、是非議論をさせていただく場をつくっていただきたいとお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。

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