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2016

第190国会 参議院 外交防衛委員会 2016年5月10日


○福山哲郎君 福山でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
 防衛大臣とは安保法案以来でございまして、なかなか質問するのも、どういう立場で質問するか難しいなと思いながら今立たせていただいておりますが、北朝鮮情勢が、三十六年ぶりに党大会が開催されたと。金正恩氏が責任ある核保有国を明言した、自衛的な核戦力を質的、量的に強化をしていくと強調したと。これは国際社会、特にNPT、核不拡散に対する非常に大きな挑戦で、僕は大問題だというふうに思っておりまして、一方で、核拡散防止義務を誠実に履行して世界の非核化を実現するため努力すると、よく言ったものだなというふうに考えております。
 外交防衛委員会でございますから、直近、この発言等について、防衛大臣、そして外務大臣の見解をまず御披瀝をいただければと思います。
○国務大臣(中谷元君) 今月六日に、第七回の朝鮮労働党大会において、核保有について大きく三つのことを言いました。まず一つは、経済建設と核武力の建設の並進路線、これは一時的な対応策ではなくて恒久的に堅持すべき戦略的路線であるということ、第二に、北朝鮮は責任ある核保有国であるということ、第三に、自衛的な核武力を質量共に更に強化していくという一方的な主張、これを行ったものと承知をしております。
 北朝鮮は、二〇〇三年にNPTを脱退をしまして、これまで四回核実験をし、憲法においても自ら核保有国である旨を明記をし、そして国際社会に自ら核保有国としての地位を認知させるための動きを繰り返しておりまして、こうした一連の動向につきましては、安保理決議の違反、また六者協議の共同声明を遵守することなく、自らの核兵器開発を今後とも継続をする意思を示したものでありまして、我が国としては到底受け止めることはできないと考えております。
 また、北朝鮮のこのような核兵器の開発の進展は、ミサイルの増強と相まちまして、我が国及び地域の安全に対する重大かつ差し迫った脅威と認識をしておりまして、我が国としましては、北朝鮮がこのように一方的に主張を行う前に、安保理決議を遵守をして、自らの非核化、これを実現する必要があるというふうに考えております。
○国務大臣(岸田文雄君) 五月の六日から九日にかけて開催されました朝鮮労働党の第七回党大会ですが、大会の全体、さらには詳細については今引き続き情報収集をし、分析をしているところです。
 ただ、委員御指摘のこの発言につきましては、こうした核開発、そしてミサイル開発、これを続けるということでありますので、これは累次の安保理決議、六者会合声明、そして日朝平壌宣言、こうしたものに反するものであり、これは断じて容認することはできないと考えます。
 また、あわせて、朝鮮半島に対する再侵略野望というような、日本に対する全く根拠のない発言も行われたという報道を聞いております。こうした発言も全く受け入れることができない、このように考えます。
○福山哲郎君 お二人の大臣の御答弁は本当にごもっともだと思います。
 岸田大臣が重要なことを言われまして、これは日朝平壌宣言に明確に違反するというのが日本国政府の立場でよろしいんですね。先ほど反するとおっしゃったので。
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げましたように、核開発あるいはミサイル開発、これは日朝平壌宣言に反すると考えます。
○福山哲郎君 引き続き、北朝鮮の動向については注視をしていただいて、先ほど大臣言われました分析も含めて、よろしくお願いしたいと思います。
 続いて、これは岸田外務大臣と関心が僕はずっと共通しているというふうに思っておりまして、これは応援も含めての質疑でございますが、グローバルファンドについてでございます。
 二〇〇〇年に我が国の沖縄サミットで小渕総理、また森総理に引き継がれてできたグローバルファンドがエイズ、結核、マラリアの三大感染症について非常に大きな貢献をこの十五年余りしてきました。約千七百万人の命をこの三大感染症から救済をしてくれました。
 私が官房副長官のときに当時国連で第三次のプレッジ会合が開かれまして、五年間で総額八億ドルの増資の表明をし、菅当時の総理に演説をしていただきました。その演説の草稿を私も検討させていただいたことも含めて、このグローバルファンドについてはずっと注視をしていき、政治家としてはずっと与野党関係なく応援をしていきたいと考えてきています。
 昨年来、SDGsへとMDGsが変化していく中で、グローバルファンドも四月の理事会でユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、つまり全ての人に必要な医療を、我々の日本は、ずっと保健、特に母子保健等について大変な貢献を国際的にしてきたわけですが、グローバルファンドも今後五年間、このユニバーサル・ヘルス・カバレッジを一つの柱にしていただいています。
 これは、安倍政権でも我々民主党政権でも同様のことを国際社会に訴えてきたはずでございますが、今年の九月に再度のプレッジ会合があります。G7の外相会議で岸田外務大臣は引き続き支援していくと合意をされましたが、伊勢志摩サミットではこのグローバルファンドへの支援の位置付けはどうなるのか、何らかのコミットを発出する予定があるのか、そして増資会合についてどのような決意で臨まれるのか、大臣の御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、本年の伊勢志摩サミットにおきましては、かの感染症対策やこのユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進を含む保健分野を優先アジェンダの一つとしてしっかり光を当てる、こうした考えでおります。
 そして、グローバルファンドとの関係ですが、具体的に次回プレッジに向けたコミット等については引き続き今調整を続けておりますし、どういった内容にするのかまだ調整中でありますが、しかし議長国として日本はしっかりと議論をリードしていかなければならない、このように考えております。
 我が国はこのグローバルファンド設立に際してリード役を務めたということを自負しております。言わば生みの親であり、引き続き相当の貢献を行っていくべきであるという考えの下、前向きに取り組んでいきたいと考えます。
○福山哲郎君 前向きな御答弁ありがとうございます。
 実は、九日、カナダのトリュード首相が記者会見を行っておりまして、本年の九月の増資会合をケベックで行うということを発表し、カナダとしては三年間のプレッジとして七億八千五百万カナダ・ドル、プレッジ額としては二一%増やす、これは増資会合を開催する国としての責任を果たすというような類いの発言を九日、つい最近されたところでございます。
 日本も、今大臣言われたようにサミットの議長国でございますし、グローバルファンドの生みの親でございます。確かに国内の財政状況は厳しいですが、だけれども、やっぱりしっかりこの分野については日本は責任を果たしていくんだという強い意思表示を大臣にお願いしたいと思いますし、日本のこれまでの貢献に対して国際社会も大変評価をしていただいておりまして、ビル・ゲイツ、サミュエル・エトー、これは元カメルーン代表のサッカー選手ですし、エルトン・ジョン、こういった歌手とかも含めてこのグローバルファンドについての期待感が表されていますので、是非大臣、もう一言、金額の面も含めて頑張るとおっしゃっていただければ有り難いと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) グローバルファンドにつきましては、委員が御指摘のように国際社会からもこれは評価されていると思っておりますし、我が国としてもしっかり取り組まなければならないものであると思っています。
 確かに財政など様々な課題は存在いたしますが、新規プレッジの額あるいは対応、こういったものについて国際的な三大感染症対策に対してしかるべき貢献を行う、こうした思いで前向きに取り組んでいきたいと私は考えます。
○福山哲郎君 それ以上答弁しにくいと思いますので、これ以上申し上げません。
 ただ、もう一個、実は課題が残っています。
 前回、大臣がコミットしていただいた八億ドルのコミットメント、三年間の増資ですが、本年の二〇一六年十二月が期限となっているのですが、日本はコミットした八億ドルのうち一億四千二百万ドルがまだ未払の状況です。残っています。残っている状況で増資会合があります。
 ですから、この残っている増資の分も含めてどういう議論になるのか。もちろん、熊本の震災もあり、補正予算を組まなければいけないということで財政的に厳しいのは重々よく分かっておりますが、それは国際社会への約束も含めて、この残っているものについて、大臣、今どういう見解でいらっしゃるのか、御答弁いただければ有り難いと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、残っている分ですが、我が国は二〇一三年十二月に当面八億ドルの拠出をプレッジしましたが、これは当面の間については拠出の年限は区切っていないというのが基本的な考え方であります。残り一・四億ドルほどの金額になるわけでありますが、それも一応念頭に置きながら、新規のプレッジについても、様々な条件はありますが、しっかりと前向きに検討していきたいと考えます。
○福山哲郎君 もう前向きに御答弁いただいていると受け止めて、是非、調整大変だと思いますし、財務省との交渉も大変だと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。これで救われている本当に多くの三大感染症の方々がたくさんいらっしゃいます、僕は現場も見に行っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 もう一つ、日本人の戦没者の遺骨の収集についてお伺いします。
 太平洋戦争で亡くなった戦没者の遺骨収集を加速する法律が先月四月一日から施行されました。これは良かったと思っております。いまだにまだ百十三万人もの遺骨が収容されておりません。御遺族の高齢化も進んでいて、一日も早く一人でも多くの御遺骨をお返ししていかなければいけないということだというふうに思っております。
 戦没者遺骨収集推進法では国の責務でこのことを行うことを明記しておりまして、厚生労働省は、海外の事業で相手政府との関係もありますし、外務省との協力が欠かせないというふうに考えておりまして、厚生労働省も御苦労いただいていると思います。
 そのうち、フィリピンは、何と百十三万人のうち三十七万人の御遺骨がフィリピンにあると見られています。残念ながら、フィリピンにおける遺骨収集をめぐっては、二〇一〇年十月、我々が政権を担わしていただいているときでございますが、NHKで、いわゆるこれは日本人の遺骨ですよという宣誓供述書の内容が虚偽であるとか、他の国の遺骨が混じっているのではないかというようなNHKの報道があって、それ以来、若干これ止まっている部分がありますが、結果として検証が行われました。検証結果について御報告いただけますでしょうか。
○大臣政務官(太田房江君) 今委員御指摘のようなことに基づきまして、私ども二〇一一年十月にその検証を行った報告書を出しております。この中では、持ち帰った御遺骨の方に日本人以外の御遺骨が混入しているという事実は認められなかったわけでございますが、このときに遺骨収集事業を中断をいたしましたので、これを進めるためには、このフィリピンにおける遺骨収集事業の在り方を再検討する必要があるということで、その方向性についてもこの中で触れております。
 大きなところで申し上げますと、一つは、遺骨の収集はフィリピン国立博物館職員の同行の下でのみ実施するとともに骨学等の研修を受けた当省の職員を現場に派遣すること、それから、遺骨の鑑定はフィリピン側専門家と日本側関係者が合同で実施することなどの改善策を取りまとめました。
 そして、この改善策を外交ルートを通じてフィリピン政府の方に今提示しております。覚書の締結に向けて協議を行っているところでありまして、できるだけ早期に遺骨収集事業を再開したいと考えております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 宣誓供述書の内容も虚偽であることは確認されなかったし、先ほど太田政務官が言われたとおりだったと思います。ただ、このことでフィリピンの遺骨帰還事業が止まっています。
 先ほど、見直しをして覚書を締結と言われていますが、実はこのときに、報道されて止まって、フィリピンの国立博物館にはまだ日本に送られず一時保管されたままの御遺骨があります。一体どのぐらいの数ありますか。
○委員長(佐藤正久君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(佐藤正久君) 速記を起こしてください。
○大臣政務官(太田房江君) 失礼いたしました。
 今、フィリピン国立博物館で一時保管していただいております御遺骨は二百四十八箱、柱の数は不明でございますけれども、箱の数で二百四十六ということでございます。
○福山哲郎君 これ、二百四十箱の、ある意味箱にずっと保管をされています。普通、このレベルでいうと、柱の数は一般的にはどの程度になりますか、政務官。
○大臣政務官(太田房江君) 正確にお答えしなくてはならないので、現時点では分からないというふうにお答えしておきたいと思います。
○福山哲郎君 これ、一般的に言うと、推定三千柱なんですね。
 これ一体、じゃ、何年間もう国立博物館に保管をお願いしていますか。
○大臣政務官(太田房江君) 一度中断をいたしましたのが、今御指摘のように二〇一〇年でございます。
 そして、現在、二十八年三月現在で先ほど申し上げたような数字でございます。(発言する者あり)
○委員長(佐藤正久君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(佐藤正久君) 速記を起こしてください。
○大臣政務官(太田房江君) 失礼をいたしました。
 先ほどお答え申し上げましたように、二十二年十月にフィリピンでの遺骨収集帰還事業を中断し、その後、フィリピン国立博物館の方に一時保管をしていただいている御遺骨が、先ほど申し上げた二百四十六箱でございます。
 この保管につきましては毎年更新をいたしまして、現在に至っているということでございます。
○福山哲郎君 これね、中断したときはしようがないんです、検証しなきゃいけないから。でも、検証は二〇一一年の十月に行われているんです。それから実はもう五年以上たっています。何で五年以上国立博物館にこの遺骨が保管をされたまま、ある意味でいうとほったらかしなんでしょうか。先ほど覚書の締結という話がありましたが、覚書の締結は一体どこで誰が交渉していたんでしょうか。そして今後、この覚書の締結は誰がどこでやるんでしょうか。
 法律が施行、四月、されました。他の国にもある遺骨収集をやることも重要だと思いますが、まず目の前に、ここに保管されたまま放置されている国立博物館のこの遺骨があります。これも誤報だということ、先ほど政務官認めていただきました。メディアの誤報によって止まって、検証したけれどもそのまま放置されている。
 このことは早くやるべきだと思いますし、これ外務省がどの程度協力できているのか僕よく分かりませんが、これはやっぱり外務省と厚生労働省の連携をしっかりやってフィリピン政府と早急に覚書を交わして、この二百四十箱の遺骨のまずだびに付することをしっかりやらないと、これ放置したままでは、遺族も含めて、遺骨来ているのに、そこ置いたまま五年ほったらかしですよ。このことについて政務官、大臣、いかがですか。
○大臣政務官(太田房江君) 先ほども申し上げましたように、こちらから既に改善策を提示し、覚書の締結に向けて協議を行っている最中でございますが、この点については外務省の御協力を是非お願いしたいと思っております。
 さらに、この間どうして放置したのかと、こういう御指摘ごもっともでございますけれども、実は私どもが一度提示をいたしましたのが平成二十三年でございましたけれども、その後、フィリピンの政府の側からフィリピンの国内の事情、すなわち我が国のみならず世界各国から、アメリカを始めとして、あると言われている御遺骨に対して、その遺骨収集事業についてのガイドラインの策定をしたいという申出もございましたので、この中断が続いたということであり、現在鋭意早期再開に向けて努力をしておるというふうに御理解いただきたいと存じます。
○国務大臣(岸田文雄君) 覚書の方について答弁させていただきます。
 まず、覚書は、我が国の厚生労働省と先方の関係当局との間で結ぶものでありますが、外務省としてもしっかり支援しなければならないということで、日本側としましては今年三月に覚書の案文を提示いたしました。これを基にフィリピン側と今鋭意協議を進めております。
 そして、総理親書の発出あるいは外相会談等での申入れを通じましてフィリピン側にこの協議の加速化、これを申し入れているということであります。一日も早く、これ作業を進めたいと考えます。
○福山哲郎君 私は早くやっていただきたいので、詰めはしません。じゃ、この五年間、交渉本当に何回、誰がフィリピン政府側に言って、本当にフィリピン政府側に交渉が進むように促したのかとこれ詰めていったら、ほとんど何もやっていない。今の御答弁ですと、フィリピン側が何か理由があって止めていたように見えますが、じゃ日本側から何かの働きかけをしたのかと。ましてや、その分、一年一年更新して、実はこれ保管料を支払っています。別に保管料の多寡を言っているわけではありません。その都度ちゃんと交渉できる余地はあったはずです。そのことは僕は詰めませんが、とにかく早くこのことは、日本に遺骨を御帰還いただいて、御遺族にお渡しするなり、しっかりだびに付すというようなことが必要だと思いますので、早急に交渉を進めていただくことをお願いしたいと思います。
 大臣、もしよければ御決意だけお願いします。
○国務大臣(岸田文雄君) これは一日も早く覚書の締結に向けて努力しなければならないと考えておりますし、結果として一日も早い事業再開に結び付けなければなりません。外務省としましても、しっかり厚生労働省を支援して作業を加速化させます。
○福山哲郎君 続いて、もう非常に気分の悪い質疑をしたいと思います。
 藤丸政務官の佐賀の講演の発言についてでございます。
 私も出回っている藤丸政務官の発言録を拝見しました。まあ政務官という立場でよくこれだけのことをお話しになられましたね。これ、各委員会の議事録も全部拝見しました。皆さん、これ、この中身を伝えるのをちゅうちょされているんです。なぜか。この中にひょっとしたら、特定秘密が入っていたら、この委員会で追及した自分が逮捕されるんじゃないかと思うからです。そのぐらい本当にいろんなことを言われましたよ。これ一個一個やっていったら、私、多分二時間ぐらいできると思います。
 これ、申し訳ありませんけど、政務官、あなた防衛省の政務官ですよ。あなた、自衛隊のナンバースリーですよ。どこに自覚があるんですか。国会の審議では、不徳の致すところだとか、間違っていましたとか、政務でしたからと。じゃ、大臣が自分の地域やほか全国行って発言したものを、大臣が政務でしたと言って通用するんですか。そんな使い分けが通用するんですか、本当に。
 一個だけ焦点絞ってお伺いします。
 あなたは、北朝鮮のミサイルの発射について、私、言いません、これ、どういう秘密の類いか分からないから。○時○分に撃ったんですが、○分後の○時○分の段階では何とかのレーダーが捉えるんですという発言があります。
 これ、お伺いします。藤丸政務官、この発言はなぜ秘密に当たらないんですか。
○大臣政務官(藤丸敏君) お答えさせていただきます。
 佐賀県での講演において、私は、我が国防衛、周辺の、国周辺の安全保障環境の厳しさと自衛隊の活動を紹介する中で、北朝鮮における発射の対応について言及いたしました。
 その発言の、その防衛省の公式の説明を行おうとしたものの、その発言中の表現や数値が必ずしも正確ではなくて、間違えて発言してしまったことでありまして、これが不適切な発言であったと大変反省しているところであります。
 具体的に、北朝鮮によるミサイル発射への自衛隊の対応に関する私の発言については、公になっても運用に、若しくは、公にしておりまして運用に支障のない情報であり、例えば特定秘密等に該当するような情報は含まれておりません。ただし、正確さを欠く表現や数値が発言されたことについては、間違いであったとしても誤解を招きかねませんので、不適切であったと思っております。
 国会議員として行う政務の一環とはいえ、関係者の方々をいたずらに混乱させたことは極めて遺憾であります。既に防衛大臣から私に対して、今後、公の場における言動を慎むよう厳しく注意を受けたところでございます。
○福山哲郎君 じゃ、防衛大臣、お伺いします。
 日本のレーダーが、SEW情報じゃありませんよ、日本のレーダーが北朝鮮の発射についていつ捕捉したのか、ここでお答えできますか。今、政務官は、自分の発言は一切防衛の秘密には関わらないから大丈夫だと、公表したものだとおっしゃったので、あえて大臣にお伺いします。大臣、お答えください。
○国務大臣(中谷元君) 発言につきまして、レーダーで捉えた時間を言ったような気がすると述べておりますが、公表では、二月の七日午前九時三十一分、北朝鮮西岸の東倉里付近から南方に向け人工衛星と称する弾道ミサイルが発射され、防衛省としては、九時三十三分頃にレーダー情報を入手をし官邸の危機管理センターに連絡したと公表をいたしております。
 このように、防衛省としては、秘密保全には非常に厳に大事な問題として捉えているわけでありますが、その一方で、国民等に与える情報につきまして、必要なものにつきましては自衛隊の部隊の運用に支障のない範囲で公表する一方で、手のうちを明らかにする場合は秘密に指定をいたしておりますが、このレーダーの情報につきましては、当時の状況等に鑑みまして、九時三十三分頃にレーダー情報を入手をして危機管理センターに連絡したというふうに公表しております。
○福山哲郎君 大臣、ごまかしちゃ駄目ですよ。
 SEW情報を入手して、どのアセットで入手したかは明確にしなくて、公表情報は官邸からの公表情報しか出ていなくて、そこには、防衛省からレーダーによる情報を入手なんです。何のレーダーか、何かについて、どこが主体としてレーダーで捕捉したかは何の公表情報には出ていないんです。今防衛大臣は微妙な表現をしましたが、微妙な表現をしましたが、それ絶対に違うんです。
 ましてや、二〇一二年、我々の政権のときも同じことがありました。あのときも、我々はどのレーダーで何で捕捉したかは一切外には出していません。今回の公表情報にも一切出てきません。SEW情報から入手したという一般論としては公表していますが、どこで捕捉したかは何も発表していないんです。
 ところが、僕がさっき申し上げたとおり、政務官の発言はそれがしっかり言われている。これは問題じゃないですかと。さっき、そのことは秘密だと大臣おっしゃった。だけれども、今までは秘密じゃないとか省秘じゃないと委員会で答弁されている。これどういうことですか、大臣。
○政府参考人(辰己昌良君) この日に、二月七日に公表している情報の中には、九時三十三分頃、防衛省からレーダーによる情報を入手というのも公表しておりますので、そのことを政務官は間違えて説明したということでございます。
○福山哲郎君 そんなの通じるわけないじゃないか。時間も違うんだよ。ましてや、防衛省からという話だって言っていないんですよ、政務官は。大臣は見事に、今回の記者会見、発射直後の記者会見で、自衛隊の各レーダーによりまして必要な情報収集も行っておりましてと言っているんですが、それ以上のことは言われていないんです。どのアセットで探知したのかにつきましては、具体的な探知状況については、我が方の手のうちを明らかにするおそれがあることによって、お答えの方は差し控えさせていただきますと言っているんですよ。ところが、政務官は言っているんですよ。
 もしそれが情報じゃないというんだったら、いいですよ、我々は何が特定秘密かどうか分からないんだから、どこのレーダーでどういう形で探知したものか、特定秘密かどうか、二〇一二年、我々のときにはもう秘密指定しているはずですから、情報審査会を開いて秘密かどうかを確認しましょう。
 委員長にお願いします。理事会において、情報審査会を開会して、この問題について特定秘密かどうかについて確認するように理事会で協議いただきたいと思います。
○委員長(佐藤正久君) 後刻理事会で協議をいたします。
○福山哲郎君 という話を詰めていくと、政務官、駄目なんです、これ、アウト。アウトなんですよ。
 それで、実は防衛省の中に、情報管理者等義務違反についてのちゃんとあれがあるんですよ、処罰規定があるんです。これ、実は三役じゃないんです、管理者、つまり官僚の皆さんです。官僚の皆さんが、部下が秘密漏えいしたときには、みんなそれを隠蔽したりそれを隠そうとしたら、当然免職処分なんです。
 いいですか。特定秘密保護法案を安倍政権が強硬に作った。管理もそして開示も曖昧でまずいと我々は主張したけれども、作った。それを最初に公で漏らしたのが防衛大臣政務官なんて、笑い話にもなりませんよ。
 いや、認識がなかった、それが問題なんですよ、あなた。じゃ、何か反論できるなら反論してみてください、政務官。
○大臣政務官(藤丸敏君) 私が言ったことは、四月の二十一日の衆議院の総務委員会においてもお話ししましたが、公表して、二月の七日午前、三十一分頃に北朝鮮西岸の東倉里付近から南方に向けて人工衛星と称する弾道ミサイルが発射された、防衛省としては九時三十三分頃にレーダー情報を入手しております。官邸危機管理センターに連絡したと公表しております。したがいまして、私は、講演の場で表現や時間を、三十二分と言っていますが、間違えて発言していたと思います。そういうふうな答弁をしております。
○福山哲郎君 誰が国会であなたが弁解した答弁を教えてくれと言ったんですか。だって、あなたが間違えたかもしれないと言っているけれども、間違いかどうか証明できないんですよ、委員会では。
 じゃ、あなた、その講演の場でどういう発言したか、御自身で、ここで委員の皆さんに私はこう言いましたと、それが今のあなたの抗弁とどう違うか、委員の皆さんに御披瀝ください、あなたがどういう発言をしたのか。
○大臣政務官(藤丸敏君) 私自身、録音しておりませんので正確には分かりませんが、いろんなもので三十二分と言ったと、多分三十二分と言ったという思い起こしはあります。
○福山哲郎君 いいですか、ごまかしちゃ駄目ですよ。僕は時間のことを言っていないでしょう、さっきから。時間のことを言っているわけじゃないでしょう。だから、私、ここでしゃべれないんですよ、ひょっとしたら特定秘密かもしれないから。いいですか、申し訳ないけど、あなたはまだ当選回数も若い、これからまだ先がある、こんなことでもう居続けちゃ駄目。
 防衛大臣、これもう防衛省の官僚みんな、この人には情報を上げられないと思っていますよ、絶対。それは、ガス田の話にしてもアメリカとの関係の話にしても、防衛大臣政務官として呼ばれた講演会でこんな、僕、ほかにもいっぱいありますよ、言いたいこと。ひょっとしたらほかにも特定秘密に関わりそうなこと幾つかあります。しかし、これはもうあなた、防衛大臣政務官として、官僚の皆さん、信用してあなたに情報を上げない、仕事にならない、日本の国防に対して大問題です。
 防衛大臣、彼の先のことを考えても、ここはすっと引いた方がいいと僕は思いますよ。じゃないとこれ延々と続きますよ。こんなのは、本当に情報監視審査会開いて、特定秘密かどうか確認して、特定秘密だなんといったらこれ大騒ぎになりますよ、ひっくり返って。大臣の責任問題にもなりますよ。こんなもの口頭注意で済まないですよ。
 私、こんなのは本当は余りやりたくないんだけど、ちょっと余りにもひどいので、これを政務だと、政務ですと言って通用したら、悪いけど、政務三役、外で何言ったって通用しますよ。これは国家の機密ですよ。
 今日、北朝鮮が核を保有するみたいな発言をしたとか、その話の最中にこれですよ。ましてや、僕はたまたま、今日、本当に遺骨収集の話をしていました。あなたは古賀先生の後継でしょう。古賀先生は、遺族会に寄り添い、本当に日本のリベラルの旗頭としてやってこられたわけじゃないですか。どんな自覚を持ってあなたは政務官やっているんですか。
 防衛大臣、これは本当、引いた方がいい、引かせた方がいい。それの方が政権のためにもなるし、そこは、別に首を取るとか取らないじゃなくて、まずいですよ、これ。だって、官僚みんな信頼しないもの、もう。日本の本当に安全保障についてすごく大きな問題になりますよ。大臣、いかがですか。
○国務大臣(中谷元君) 防衛省といたしましては様々な情報に接するわけでありまして、その中で、我が国の防衛、手のうちに関わることにつきましては、これは厳に秘匿をすべき情報でありますが、逆に、いち早く国民に知らせなければならない情報もございまして、このミサイルの情報につきましては、防衛省として九時三十三分頃にレーダー情報を入手して、危機管理センターに連絡した上で、それで官邸からいろいろとアラートなどが伝達されたということでございます。
 したがいまして、この当時の本人の発言につきましては、九時三十三分にデータ情報を入手したということは、これはもう公にしたことでございますので、この点につきまして法に触れるような情報漏れがあったとは認識をいたしておりません。
 ただし、この表現の中の数字が正確ではなくて間違えて発言をしてしまったということは本人も認めておりまして、これは不適切な発言であったと認識をいたしておりまして、私の方からも直後に本人に対して注意をし、また、その後の会見でこれを正確に国民の皆様にお伝えをしたところでございまして、こういった面におきまして非常に本人の注意力が欠けていたということにつきましては非常に遺憾であると考えているわけでございますが、今後、公の場における発言を厳に慎むように私の方から注意をさせていただいたということでございます。
○福山哲郎君 もう時間ですから残念ながらやめますが、さっきの答弁だってある意味ごまかしているのは明確なんですからね。これは、議事録精査すればすぐ分かりますよ。
 それから、私、時間のことばかり言っているんじゃありませんよ。大臣、これは大臣にだから今回は詰めないけど、時間もないから。三十三分に情報を入手したじゃないでしょう。防衛省から三十三分に官邸に報告したんでしょう。それ、違うじゃないですか。公表情報と違うことを国会で答弁して、大臣まで一緒になってごまかしてどうするんですか。
 これは結構微妙なんですけど、大切なことが、いっぱい国防の機微に触れることがあるんです。本当に情報審査会まで行ったら大変になりますよ。二〇一二年にちゃんと例があるんだから、もう秘密多分指定されているはずですから。そういったことも含めて、ちょっと身の処し方を、政治家なんですから御自身で考えていただくことをお願いして、質問を終わります。

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