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2016

第192国会 参議院 予算委員会 2016年10月5日


○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。
 今年、参議院選挙がございまして、私も何とか、厳しい戦いでございましたが、京都府民の皆さんの信託を得てここに戻ってくることができました。本当に心から感謝したいと思います。
 まず、稲田大臣、先ほど民主党政権は日米関係ぼろぼろだとおっしゃられましたけど、根拠は何ですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 先ほど、私の「正論」の対談、平成二十三年三月号でございます。私は、鳩山政権になって、選挙でお約束されていた辺野古の問題、最低でも県外、国外と言われて、かなり混乱をいたしました。そういったことや、また、尖閣でも中国漁船が衝突をして、そしてその船長が帰されて、Vサインをして中国に帰っていった、そういった様々な状況の中で、日米同盟はかなり危機的な、先ほどの背景を申し上げた中で、日米同盟も非常に今のように強いものではなく壊れかけていたという私自身の認識を申し上げたところでございます。
○福山哲郎君 防衛大臣、尖閣を含めた接続水域それから領海侵犯、民主党政権と安倍政権、どっちの方が数が多いですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 私は、そういった尖閣での民主党政権でのその対応、それから、尖閣を国有化されてからかなり多くの公船が、そして中国の艦艇が入ってきたということでございます。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 稲田防衛大臣。
○国務大臣(稲田朋美君) 尖閣を国有化してから大変多くの公船が入ってくるようになり、二〇一六年六月、海軍の戦闘艦艇が初めて尖閣諸島周辺、我が国接続水域に入域するなど、緊張した状況になっているというふうに思います。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 稲田防衛大臣。
○国務大臣(稲田朋美君) 国有化してから数は増えております。そして、最近では毎日、接続水域に三、四隻が入域をいたしております。
○福山哲郎君 じゃ、安倍政権になってからの比較で答えてください。数で答えてください。
○国務大臣(稲田朋美君) 毎日、接続水域に三、四隻が入域をいたしております。
 何度も申し上げますが、民主党政権下で尖閣国有化してから非常に多くなっているということを指摘をしたいと思います。
○福山哲郎君 安倍政権になってからと民主党政権の三年三か月とで、接続水域と領海侵犯の数をお答えください。
○国務大臣(稲田朋美君) まず、尖閣国有化以前、平成二十年から平成二十四年七月までに五回。そして、尖閣国有化以降、平成二十四年八月から十二月二十回、平成二十五年五十二回、平成二十六年三十二回、平成二十七年三十五回、平成二十八年一月から八月二十六回でございます。
○福山哲郎君 増えていますね。
 尖閣の日米安保五条適用を公に言っていただいたのは当時のクリントン国務長官です。前原外務大臣との会談で言っていただきました。そのとき私は総理と日中韓の首脳会談にも出ていました。根拠のないことを言うのはやめてください、イメージだけで。今、尖閣の本当に接続水域や領海侵犯の数は圧倒的に安倍政権になってからの方が増えていますから、緊張感高まっていますから。
 総理、伊方原発の再稼働に当たって国が万が一のときには責任持つと総理が言われて、東京オリンピックの招致では福島がアンダーコントロールだと言われましたが、現在もその認識は変わりませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 原発については、いかなる事情よりも安全性を最優先し、高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針であります。
 その上で、万が一事故が起きた場合、国民の生命、身体及び財産を守ることは政府の重大な責務であります。関係法令に基づき責任を持って対処していきます。
○福山哲郎君 規制委員会は、技術に対する規制基準に適合しているかどうかを審査をされて、安全かどうかを審査するところではありません。これは、二年前に私と安倍総理の議論の中で田中委員長が明言をされています。
 じゃ、避難計画はどこが作成し、どこが責任を持つことになっているか、総理、お答えください。
○国務大臣(山本公一君) 避難計画は策定する主体は自治体となっておりますが、そういうことでよろしいでしょうか。
○福山哲郎君 IAEAの深層防護の考え方は、やっぱり避難はできれば国が関与するべきだと。我々民進党は、原発事故が起こった際の避難計画を安全で確実なものにするために国がやっぱり責任を持つと、そして自治体と一体となって計画を策定するという議員立法を提出をしています。今日もそのことも含めて提案をさせていただきたいと思います。
 補正予算です。今回の補正予算に百億計上されている原発周辺地域における防災対策の充実強化事業があります。この補正の事業は平成二十四年から始まっています。
 平成二十六年、行政事業レビューにかけられています。これは民主党政権の成果です。これを自民党政権が、安倍政権が継続していただいていることは多とします。二十六年の行政事業レビューでこの補正の原発周辺地域の防災対策の充実強化はどのような結論に至っているか、お答えください。
○政府参考人(山本哲也君) 御指摘の平成二十六年度に実施されました行政事業レビューでございます。これは、内閣府の原子力災害対策に必要な経費、特に放射線防護対策について有識者から幾つかの指摘をいただいております。
 特に、指摘内容につきましては、どういう場合にこういう設備が必要なのだという基準そのものが地方に任されていないというような様々な指摘がありまして、政府としましても、そういう指摘も十分踏まえる必要があるだろうというふうに答弁をさせていただいているところでございます。
 それで、このレビューの結論でございますけれども、平成二十六年のこの行政レビューにおきましては、現在のまま事業を進めることについては、自治体との関係、施設の内容への疑問等から一旦は廃止すべきとの結論をいただいたものでございます。ただし、委員の意見が分かれておりまして、こんな事業はやるべきではないということを考えている委員は一人もおられないということを踏まえまして、緊急性の高い施策と認識しているので早急に再調整をして対処されるよう指摘をいただいているところでございます。
 したがいまして、内閣府としましては、御指摘いただきました耐震性とか耐津波性などの放射線防護対策の施設の選定の考え方、それから放射線防護対策として必要な技術的な考え方、これらを整理をいたしまして、要件を厳しく精査した上で再開したところでございます。
○福山哲郎君 そのことは委員に確認しましたか。
○政府参考人(山本哲也君) 行政レビューの委員の先生方には直接説明は行ってございません。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 山本大臣官房審議官。
○政府参考人(山本哲也君) 説明は行ってございません。
○福山哲郎君 これ、廃止なんですよ、二十六年。廃止と決まったのが二十七年も二十八年も付いているんです。なぜですか。
○政府参考人(山本哲也君) この行政事務レビューにおきましては、放射線防護対策に関する技術的な要件あるいは施設の選定の考え方、これが明確になっていないということがありましたので、一旦廃止した上で、再度緊急性がある施策について再度調整して対処されるようと、こういう御指摘をいただいた上で、先ほど申し上げましたような耐震性や施設の要件、それから放射線防護対策の技術的要件を定めて再開したものでございます。
○福山哲郎君 じゃ、この行政事業レビューの九ページの石堂先生のコメントを、申し訳ありません、お手数ですが読んでいただけますか。時間がもったいないのでお許しください。(資料提示)
○政府参考人(山本哲也君) 石堂先生の、今お手元の資料にもあるかと思いますけれども……(発言する者あり)はい。
 国自身もその基準を理解してやっているのかというのがあるのかどうかというのが非常に気になりますと、こういう趣旨のことを……(発言する者あり)はい。
 十ページのところは、後になってみるとこんなもの造るのではなかったということになっても困る、前後が逆になっているのではないかというような御指摘。
 十一ページについてでありますが、こういう施設の判断基準というのは一体誰が下したのですかと、建物の構造物の専門家が下した判断と考えてよろしいのですかと。それに対しまして説明者としては、構造物の専門家と相談して決めたということではございません。それは判断にならないではないかと私は思いますというふうに御指摘いただいておるところでございます。
○福山哲郎君 総理、聞いておいてくださいね、後で振りますから。これ、大切なことですから。
 これ、これだけいろんな御意見が出ているにもかかわらず、この専門家にも行政レビューの人にも確認も取らないで、いつの間にかゾンビのように復活したと。じゃ、この専門家の判断基準それから国自身の基準、作られましたか。
○政府参考人(山本哲也君) この行政事務レビューの結果を踏まえまして、平成二十六年の八月に私ども内閣府の方で放射線防護対策に係る基本的な考え方についてというペーパーをまとめまして、施設の整備すべき対象地域でありますとか、それから対象施設として病院あるいは医療、介護施設等の施設を対象とするようなこと、それから技術的な要件としましては、気密性の確保、特に陽圧化をして対応するようなこと、それから放射性物質の影響緩和としましては、HEPAフィルターとか活性炭フィルターなどによりまして放射性物質を一定程度除去する等々の基準を具体的に示しまして、これに則して現在整備を行っているところでございます。
○福山哲郎君 これ、テレビを御覧いただいている皆さんは分かりにくいと思うので、見てください。
 原発の近くに介護施設だとか学校だとか公民館があって、万が一事故が起こったときには、一旦、今屋内退避という方向になっています。私はこれはいささか問題だと思っていますが。しかし、屋内退避になるということは、一旦ここの施設に皆さんが逃げるわけです。逃げるからには、ここの中の気密性、簡単に言うと圧力を高く置いておかないと、隙間とか窓とかいろんなところから実は放射性物質が全部入ってくるんですね。
 ですから、この空間の圧力を高くしなければ、どんどんどんどん実は風通しで入ってきてしまうということがあるんですが、この圧力について、じゃ具体的な指示は出しましたか。
○政府参考人(山本哲也君) 先ほどの平成二十六年八月に定めました基本的な考え方の中で、施設の要件としまして、差圧の設定については、最低限、年間を通じた平均風速に耐え得ることが必要であると考えられるということで、そういう技術的な考え方を示しているところでございます。
○福山哲郎君 これは規制委員会も了解の下ですか、内閣府。
○政府参考人(山本哲也君) そもそもこの放射線防護施設といいますのは、早期の困難な住民の方々が一時的に退避できる施設ということで、病院、学校の施設などを対象にしてございます。こういう早期の避難が困難な方に対してこういう施設の整備をしていくという考え方は、規制委員会の原子力災害対策指針にも示されているところでございます。
 それを踏まえて私ども内閣府の方ではこの予算事業を実施してございますが、この予算事業の具体的要件として今申し上げた基準を定めたところでございます。
 規制委員会にこの具体的な数字について聞いたものではございません。
○福山哲郎君 じゃ、この補正の事業で、二十五年―二十七年度で百三十六か所、施設に防護措置を施していると思いますが、この圧力、どういう分布状況でできていますか。
○政府参考人(山本哲也君) 二十五年、二十六年度で実施しました対象施設は百三十六施設ございます。この陽圧の分布、圧力をパスカルの単位で申し上げますと、二十パスカル未満が十六、二十から四十までが二十八、四十から六十が二十四、六十から八十が十、八十から百が三、百から百二十までが三十六、百二十パスカル以上が十七というふうになっているところでございます。
○福山哲郎君 ばらばらなんです。
 福島第一原発のときに東京電力の社員の方が何とか作業が続けられたのは、免震重要棟があったからです。皆さん御案内のとおりだと思います。免震重要棟の陽圧値は幾つで設定をされていますか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 免震重要棟というのは俗称で、私どもは緊急時対策所と呼んでおります。
 この緊急時対策所の役割ですけれども、重大事故が発生して大気中に大量の放射性物質が放出された場合においてもそこの従業員はそこにとどまって応急対策を講じられるよう、遮蔽設計とか換気設計を行うことを要求しております。判断基準としては、要員が室内に一週間とどまった場合でも百ミリシーベルトを超えないようにするということを規制上求めております。
 現在、先生が御質問の陽圧を幾ら、要するに、建物の中の圧力を幾らにするかということについては規制上は求めておりません。したがって、事業者はこの緊急時対策所の今までの設計においては、百パスカル程度のところもありますし、二十パスカル程度にしているところもあります。
 いずれにしても、一週間百ミリシーベルトを超えないような施設であるということが私どもの求めている条件であります。
○福山哲郎君 私は伊方も見ましたし、設置のあれを見ましたけど、全部百パスカルになっていますよ。
 代替緊急時対策所の目標差圧が二十パスカルのところがありますか、本当に、委員長。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 高浜三、四号炉は二十パスカルになっております。
○福山哲郎君 海外の事例を見ていただければと思います。ちょっと御覧ください。
 日本は、免震重要棟内は伊方も含めて百パスカルです。イスラエルは、一般のビル、住宅、これはさっき田中委員長が言われたように、免震重要棟だけではありません、緊急避難区画も最低百パスカルです。スイスも一般住宅、緊急避難区域が五十パスカルです。NATO軍の施設は百パスカル、アメリカの高付加価値施設は七十五パスカル、シンガポールの緊急時避難施設は何と二百四十と三百です。
 これはなぜかというと、この避難所に住民の皆さんが一旦避難します。風が吹いたりして、強い風が吹くと、そこが結局放射性物質が入り込んで被曝をするからです。だから陽圧の差を高くして、それが入ってこないようにしなければいけません。
 さっき、免震重要棟で二十パスカルというのは、専門的な話でいえばエアロックで遮断をされているからという可能性があると私は考えています。
 これ、先ほど申し上げたように、各地域でこれだけばらばらな状況です。このばらばらな状況の中で、住民がここに一旦避難しなさいと自治体に指導されて避難をしたら、強風が吹いたら、安全だと思って避難しているのにみんな大量被曝すると、こういう可能性が出てくると思いますが、内閣府、どうですか。
○政府参考人(山本哲也君) まず、陽圧設定の考え方で、私どもの基準としては年間の風圧を設定しているところでございます。この基準を満たすように各施設が今整備されておりまして、私ども、その基準が作られる前からの施設も併せて調査したところ、現在のこの基準を全て上回っているということが確認ができているところでございます。
 それで、今先生御紹介の諸外国の事例、これは私どももよく検討する必要あろうかと思っておりますが、やはり、その施設の目的、用途、場合によっては、これは核シェルターがもしかしたら含まれているのかもしれません。
 私どものこの防護施設というのは、長期間とどまることを想定しているのではなくて、避難に時間を要する方、病院とか施設に入っておられる方々、あるいは自然災害などで孤立された方々が、避難の開始までの期間、おおむね一週間程度を想定してございますけれども、長期間ではなくて、そういう一定の期間とどまっていくための対策というものでございますので、やはり、その用途とか目的に応じてそれぞれの対策の水準ができているというふうに理解してございます。
 いずれにしましても、海外の事例いろいろ御指摘いただいておりますので、私どもとしてもよく検討してみたいと思ってございます。
○福山哲郎君 これ大問題ですよ。一週間避難しているんでしょう。その間に、先ほど平均風速でやるとおっしゃいましたね。平均風速なんかとんでもないですよ。だって、福島で飯舘や川俣に放射性物質が、三十キロ圏を超えて放射性物質が降り注いだのは、そのときの風向きと、風が強かったからですよ。誰が平均で吹いてくれるんですか。その避難場所が何か万が一があったときに、ある地点については強風が吹いたら、こんな陽圧差だったらみんな室内で、避難所で被曝するじゃないですか。
 規制委員会田中委員長、元々文科省が発電用原子炉施設の安全解析に関する気象指針についてというのを作っておられました。これは規制委員会が引き継いでおられると思いますが、想定事故時における気象要件の部分があると思いますが、これを読み上げていただいていいですか、委員長。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 指針作成の考え方でよろしいでしょうか。
 想定事故時における安全解析は、想定事故期間中の線量当量を評価するものであるので、この場合には、想定事故が任意の時刻に起こること及び実効的な放出継続時間が短いことを考慮して、平均的な気象条件よりむしろ出現頻度から見てめったに遭遇しないと思われる厳しい気象条件を用いる必要がある。このため、指針では、気象観測資料を基に出現確率的観点から想定事故期間中の相対濃度を解析し云々でよろしいですか。
○福山哲郎君 安全委員会の、規制委員会の、ごめんなさい、安全委員会じゃない、規制委員会の気象指針には、平均的な気象条件よりむしろ出現頻度から見てめったに遭遇しないと思われる厳しい気象条件を用いる必要があると明確に言われているんです。平均じゃ駄目なんです、風が強く吹くんだから。どこで吹くか分からないんだから。一週間滞在しているときに風がここに吹いてこないとか強い風が吹かない保証がどこにできるんですか。
 じゃ、聞きます。三月十二日、水素爆発があったときの飯舘の平均風速と最大瞬間風速をお答えください。
○政府参考人(山本哲也君) 気象観測所の観測結果で申し上げます。三月十二日の飯舘村でございます。まず、平均風速は秒速二・二メートル、それで最大風速は秒速で五・三メートルとなってございます。(発言する者あり)済みません、今持っておりますのが、ちょっと手元にありますのが最大風速、瞬間ではありませんで、最大風速が秒速五・三メートルというふうに把握しておるところでございます。
○福山哲郎君 最大瞬間風速が十二・一なんです。平均風速が二・二なんです。これ十二・一がどこで吹くか分からないんですよ。吹いたら、こんな小さいパスカルだったら全部中通すじゃないですか。
 これ、内閣府、どうするんですか。安全委員会の確認を取っていないということは、この安全規制委員会が、ごめんなさい、安全委員会じゃない、規制委員会がずっとここに書いてある想定気象要件は考慮に入れていないということですね。
○政府参考人(山本哲也君) ただいま規制委員会の田中委員長から御説明あった気象に関する指針でありますけれども、これの用います目的は、想定事故時の気象条件での放射性物質の大気拡散予測に用いるものであるというものでありまして、室内の正圧化を何か評価するためのものではないというふうに承知してございます。
○福山哲郎君 じゃ、福島の三月十五日、四号機が爆発して大量に放射性物質が放出されたときの平均の風速と最大瞬間風速を答えてください。
○政府参考人(山本哲也君) 三月十五日でございます。手元には飯舘村と福島市のデータがございます。ちょっと申し訳ございません、最大瞬間ではなくて最大風速で申し上げますと、飯舘で秒速二・〇メートル、福島市で秒速三・一メートル、それで平均風速は、飯舘村で秒速〇・八メートル、福島市で二・四メートルというふうに承知してございます。
○福山哲郎君 何で小さい方の数字しか持ってこないんですか、こっちが最大瞬間風速と言っているのに。
 福島は三月十五日は平均が二・四で、最大瞬間風速は八・〇です。四倍です。これ、いつ風が強く吹くか分からないんです。みんなここは安全だと思って逃げるんです。それが、風が吹いたら一気に、安全だと思って逃げている人は大量被曝ですよ。
 これ、何でこうなるか分かりますか。内閣府が、国が何にも責任を持っていなくて、規制委員会にも相談していなくて、こんな指針を勝手に言うからですよ。
 元々、じゃ、二十五年、二十六年、二年間、先ほどの平均風速以外も含めて何か指針ありましたか、具体的な数字の。
○政府参考人(山本哲也君) この当該二十五年度から実施をしています補正予算でございますので、まずは指針を踏まえて緊急に整備すべきものということで予算措置を実施したものでございます。したがいまして、制度創設当初は、最初申し上げましたような具体的な考え方、あるいはそういったものが必ずしも明確になっていなかったという状況でございました。
○福山哲郎君 最初の二年間は明確にはなっていなかった。で、廃止になった。そしたら、いつの間にかゾンビのように生き返ったら平均風速で対応しろということになった。結果は自治体がこうやってばらばらの施設を造っています、陽圧差で。
 これ全然避難になりませんよ。ここに避難したらみんな大量被曝しますよ、百パスカル以下のところは。これ、どうします、環境大臣。
○国務大臣(山本公一君) 私も現地に行きまして施設を見てまいりました。当然、伊方も行ってまいりました。
 今、福山委員の御指摘の点は分からないではございませんけれども、分からないではございませんけれども、極めて気密性を確保した上で、室内を陽圧化して出入口や隙間等に室内から室外に向けて向かう風を人工的につくることで汚染物質の侵入を防ぐことも、そのような手当てにもなっております。
 万一の緊急時において、要配慮者等が放射線防護施設で屋内退避を行いながら安全を確保しつつ、自治体等や国が避難に必要な輸送手段や人員の準備を行いたいと思っております。放射線防護施設内に放射線測定器も設置をいたしております。その線量の値も参考にしながら、準備完了後に順次避難を実施をいたしたいと。
 なお、放射線防護施設の差圧設定は、最低限、年間を通じた平均風速に耐えることと、耐えることということを基準としており、これまで放射線防護対策を講じた施設はいずれもこの基準を上回る能力があるというふうに思います。
 以上を踏まえまして、要配慮者等の避難の準備時間を稼ぐという観点からは、防護施設の差圧設定は十分に機能するものと考えております。
○福山哲郎君 田中委員長、良識を持って答えてください。平均風速で大丈夫ですか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 平均風速のお話に答える前に、まず、私どもは防災指針を作らせていただいていますので、その趣旨ですけれども、国際的にもそうですけれども、被曝による確定的影響を防ぐというのが原則です。で、確率的影響をできるだけ少なくするということです。
 福島第一事故の反省として、確定的影響は、敷地内、敷地外に大勢の方がおられましたけれども、出ておりません。確率的影響はまだ分かりません。
 ここで反省しなきゃいけないのは、非常に緊急の避難をされた方の中で大勢の犠牲者が出たということです。いろんな統計があるんですけれども、四月末ぐらいでもう百五十人という福島県からの発表もありました。それで、今まで関連死ということであると既にもう千人を超えているということもあります。
 そういったことも踏まえまして、私どもが指針を作るときには、まず必要な避難をすることが原則ですけれども、まずそのために、屋内に退避して過剰な要するに確率的影響も含めまして被曝をしないようなこと、それを原則にしております。屋内に退避するということで、特に老人ホームとかそういったところを無理に動かすと、いろいろ今は経験がありますので、そういうところについていわゆる屋内退避をしても放射能が入ってこないようにということでお願いしてあります。
 それで、先ほど外国の例が出ていましたけど、外国の例は、あれ、ほとんど私の知る限りにおいては核シェルターで、要するに原爆とかそういったものに対する防護施設です。
 原発の場合出てくるのは、早期に屋内退避が必要だというところは、希ガスとかヨウ素、大体限られております。希ガスというのは空気が、風があればすっと抜けていくものですし、ヨウ素もそうですけれども、そういったことで、ヨウ素剤の服用とかも含めましてそういった防護手段を取っていただく、そこの中の一つとして屋内退避。屋内退避をする場合の屋内は、できるだけ目張りをするなり、陽圧をできるだけ保つということをする。
 大量に被曝することは私はないと思います。そういった希ガスとかヨウ素、ヨウ素剤を服用すればヨウ素の影響は余りありませんし、希ガスはすっと抜けていきますから、大量に中にいて被曝することはないというふうに考えております。風が強ければどんどん流れていきますので、そういうことはないと思います。
 できるだけいい防災・避難計画、施設を造るということは非常に国民にとっても大事だと思いますので、その努力はしていきたいと、そういうふうに私どもも求めていきたいと思います。
 内閣防災とも随時いろんな連絡を取って進めさせていただいておりますので……(発言する者あり)はい。
 平均風速か最大風速かと。施設の設計とかのときに、今私ども、放出基準としてどれくらいということで求めております。そういったときに利用するものでありまして、今、避難、一時退避施設に対する基準ではないということだけはお話しさせていただきたいと思います。
 要するに、病院とか老人ホームというのは既存の施設ですので、そこに避難をしていても被曝量ができるだけ大きくならないようにするというための手だてでありますので、先ほど申し上げましたように、平均風速であるか、風が強いかというよりも、どちらかというと、私ども心配していますのは、無風状態でいつまでもそこに放射性物質がとどまるということの方が一番気になります。
 そういうことですので、今の状況で福島の事故を踏まえれば、私どもとしては屋内退避というのをうまく活用していくことがとても大事だというふうに考えております。
○福山哲郎君 詳しく御説明いただいて、私は、ごもっともの点、たくさんあるんですが、結局平均風速でいいかどうかのお答えはなかったんですね。
 それで、でも、ちゃんと百パスカル以上にしている施設もちゃんとあるんですよ、それぞれの自治体の御努力で。これ、何にも最初の二年間指針もなかったんです。基準もなかったんです。だから廃止の事業になったんです。後になってからまずいというので、低いパスカルのところに合わすために平均風速でやらざるを得なくなったんです。順番が逆なんです。これ、新たな安全神話なんです。
 そうしたら、いろいろ理由付けを言うんです。理由付けを言うんです。でも、いいじゃないですか、百パスカル以上のところがこれだけあるんだから。ほかの低いところも百パスカル以上になるように努力すると言えばいいじゃないですか。何で下のままでいいと言うんですか。強い風が吹いたらいきなり被曝するじゃないですか。どうですか、内閣府。
○政府参考人(山本哲也君) 御指摘の点もごもっともな点があると思っております。
 私どもの防災対策の基本的な考え方は、一旦整備したら終わりではなくて、常に改善を継続的に進めていくということでございます。御指摘の点も十分検討、研究しながら、どういう対策があり得るかということも検討してまいりたいと思ってございます。
○国務大臣(山本公一君) 原子力災害への備えそのものは私は終わりや完璧はないというふうに承知をいたしております。
 したがいまして、避難施設の放射線防護対策に関しましても、様々な知見を取り入れた上で引き続き充実強化を図るべきだと、かように思っております。
○福山哲郎君 これ、政権のメンツとかそんな話じゃないんです。
 だから、今環境大臣も前向きに答弁いただきました。内閣府もごもっともだと思いますと言われました。そうしたら、早く、もう今造ったところにだって改修しろという指示を出してもらわなきゃいけないんです。今の状況のままだったら、今年の補正予算、みんな平均風速でやりますよ。そうしたら、みんな低いパスカルになりますよ。そうですよね、今の構造なら。それは良くないと言うんだったら、そこは早急に改善すると約束してください。
○政府参考人(山本哲也君) いずれにしましても、技術的な検討を十分加えて、どういうものが適切かどうかということをよく検討して対応していきたいと考えてございます。
○福山哲郎君 いいですか。専門家に言われて廃止と決まった事業はいつの間にか専門家に確認も取らずに生き残っている。最初指針も何も出さないでできたやつは、低いパスカルのままだったらそれを後で正当化するために低い平均風速にする。そして、結果としては大量被曝の可能性が高まる。これ全然安全防護対策じゃないですよ。逆行ですよ、これ。
 総理、だから自治体任せじゃ駄目だと言っているんです。いいですか。国が責任を持たなきゃいけないところを中途半端な指導でやっているからこういう状況になるんです。どうです、国が責任持ちましょうよ、避難計画も。どうですか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 避難計画については、住民の状況や具体的な避難経路、避難先など地域の実情を熟知している地元の自治体が中心となって策定するのが適切であると、これは従来から答弁しているとおりであります。
 しかし、それは、地元の自治体任せにするということではもちろんないわけでありまして、我が国では福島第一原発事故の教訓を踏まえて、初期段階から国がきめ細かく関与をし、地域原子力防災協議会において議論しながら関係自治体と一体となって避難計画を策定する仕組みとしています。
 こうして策定した避難計画に沿って、国と自治体が連携をして、川内原発、伊方原発、高浜原発等において住民参加の下、避難訓練を実施をして計画の実効性を検証しているところであります。避難計画の実効性を検証しつつ、今後とも国がしっかりと関与をしながら自治体とともに避難計画の継続的な充実強化を図っていく考えであります。
○福山哲郎君 聞いたことに答えてください。
 もう一回、悪いですけど、内閣府、レビューの十一ページの先生のあれ、読んでください、もう一回、赤字。総理、聞いておいてください。
○政府参考人(山本哲也君) 十一ページのところでございます。ポイントだけ申し上げます。
 まず、有識者の先生、石堂先生の方からは、そういう判断基準というのは一体誰が下したんですかと。説明者はそれに対して、自治体との間で個別に相談をさせていただいているところでございますと回答し、また、有識者、石堂先生の方からは、建物の構造の専門家が下した判断と考えてよろしいのですかと言うと、説明者の方からは、そういう構造物の専門家と相談して決めたということではございませんと。それに対し、石堂先生の方が、それでは判断にならないのではないかというふうに私は思いますという御指摘をいただいたところでございます。
○福山哲郎君 総理、分かりますか。さっきの話もそう、これ、誰も責任取らない体制になっているんですよ。そうしたら、いつの間にか四百億ぐらいの補正予算使ってこんなふうにばらばらの陽圧の施設がいっぱいできて、ここに避難しなさいという指示が全国で出されるんです。これ、まずくないですか、総理。国がやっぱりやろうってなぜ言えないんですか。だって、言っているじゃないですか、いつも、国が責任を持つ、アンダーコントロールだって。どうぞ。
○国務大臣(山本公一君) 一義的には、避難計画その他、地元の御意見を聞きながら、協議会をつくっていただいて、そこで一つの避難計画なんかは作成をされるわけです。その際に、国は責任を持ってそれに関与をしていくという態度で我々はやってきております。
 国が、国がやっぱり主体ではないけれども、一番詳しいのは自治体じゃないかと。どういう経路を取って、どういうふうに避難するのが一番合理的であるかということを知っているのはやっぱり地元なんです。(発言する者あり)いやいや、そういうこと等々を踏まえた上で国が責任を持ってそれをサポートしますという体制で今……(発言する者あり)そうでしょう。だから、要するに、国は責任を持って、主体的に、主体的にやるのは自治体なんですけれども、そういうことを申し上げたいわけです。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 山本公一原子力防災担当大臣。
○国務大臣(山本公一君) 申し訳ございません。
 施設等々についても、先ほど申し上げましたように、我々の考えている防災政策というのは完璧なものはない、終わりはないという姿勢で臨んでおりますので、新しい知見が様々出てまいりましたら、それに適応してそれぞれ対応していきたいと、かように思っております。新しい知見がどんどん出てくる、そのときに柔軟に対応できる姿勢を国としては持っておきたいなと思っているんです、施設も含めて。
○福山哲郎君 大臣、前向きにお答えいただいているつもりなんでしょうけど、新しい知見じゃないんです、当たり前のことをちゃんとやってくださいと申し上げているんです。それで、今、判断誰もしない体制になっているから、自治体はせっかくお金使って造っているのにこんな状況で、ここに避難した住民はみんな被曝する可能性がありますよと申し上げているんです。これじゃ避難できないじゃないですか。
 とにかく、前向きに、この補正予算、いいですか、執行するときに平均風速なんかやめてくださいね。誰とも相談していなくて、構造物の専門家でもなくて、規制委員会にもお伺いしていない、そして廃止になっているものがいつの間にかゾンビのように生き返っている。こんなの、とにかく、とにかく、いいですか、メンツとか関係ないんですよ。いかに安全を確保するかが重要なので、よろしくお願いしたいと思います。
 総理、パリ協定は、G7の伊勢志摩の首脳宣言で、二〇一六年中の発効という目標に向けて取り組みつつ、同協定の可能な限りの早期の批准、受諾又は承認を得るような必要な措置をすることをコミットすると言われました。
 実は、インドが批准をして、EUが批准をして、もう発効要件が整いつつあります、世界は。日本はまだ実は国会にも提出されていません。なぜですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、自民党も含めて与党の手続を行っているという状況だというふうに承知をしております。
○福山哲郎君 いつ出される予定ですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国としましては、条約の署名が開放した当日に署名するなど、早期発効を重視し、取組を行ってきました。国内における様々な対応の担保に関する政府内の調整等を続けてきましたが、こうした調整、完了次第、国会で御審議をお願いしたいと考えています。
○福山哲郎君 だから、いつですか。
 十一月七日からもう気候変動枠組条約のCOPが始まります。これは発効をしたら、締約した、批准をした国だけでルール作りが始まります。十一月七日ですよ、もう一月しかありませんよ。それに間に合わせるために、インドもEUも、そして中国とアメリカは九月の三日に同時に批准を発表しました。日本だけ置いてきぼりじゃないですか。外務大臣、これでいいんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、発効いたしますと、締約国による会議が発足するというふうに認識をしています。ただ、現状の議論を見ておりますと、協定の実施指針策定に係る交渉、これは現在、国連気候変動枠組条約の全締約国の参加を得て行われています。この協定の実施指針策定に係る交渉はこうした形で続けられると認識をしています。
 ただ、いずれにしましても、我が国としましても、一日も早く締約国となり、締約国会議においてしっかりとした責任を果たすべく努力をしなければならない、このように認識をしております。
○国務大臣(山本公一君) 福山先生は、私どもと長く環境問題、取り組んでいただいておりまして、ありがとうございます。
 その上で、今回のパリ協定は、我々にとりましてはまさに待望の協定ができたという思いが強うございます。したがいまして、早期に発効できるように我々も今日まで頑張ってまいりました。
 中国や、そしてEUが参加したりインドが参加したりして、日本が遅れているという御指摘に対しては、私もそのようなことは重々承知をいたしておりますが、とにかく早期に、国会が御審議いただく話でございますので、国会の方でやっていただきたい。
 一つだけ申し上げておきたいのは、今回のモロッコのマラケシュで行われるCOP22においてパリ協定締約国会合が、締約国として参加できるのは十月十九日までに締結手続を完了した国ということになっております。十月十九日というのは会期終了日の三十日前ということに相なろうかと思っております。三十日前に締約をした、手続を完了した国のみがパリ協定締約国会合に参加できるということに相なっておりますが、我が国は締約国として参加できないわけでございますけれども、パリ協定の指針の策定に係る主要な交渉は既に我が国を含む形で行われているということは是非御承知おきいただきたいなと思っております。
○福山哲郎君 環境大臣、今、私、聞き間違えたのか、締約国会議に出られないことはもう覚悟されているということですか。
○国務大臣(山本公一君) 日程的にという話なんです。要するに、十一月例えば七日までに国会で審議を了したとしても、発効までにはそれから三十日掛かるわけです、三十日。いわゆる提案をしまして、提出をしまして、それから三十日掛かると。そういうのを逆算していくと今みたいな話になってくるわけでございまして、例えば今日、今日国会が一つの意思を衆参両院でお示しを願えれば、これから三十日後です。
 さっき申し上げた十月十九日です、十月十九日、これがいわゆるモロッコの世界の最終日に相なってくるわけです。だから、今日、今日という世界が可能かどうかということに相なるわけです。
○福山哲郎君 だって、まだ閣議決定も、国会にも出てきていないんですよ。それは国会のせいじゃないじゃないですか。それは政府の、それは政府の責任でしょう、それは、大臣、総理。
 総理、伊勢志摩サミットで宣言しているんですよ。議長だったんでしょう。
○国務大臣(山本公一君) 総理の伊勢志摩サミットでのある意味で御決断は非常に重いものだと、かように思っております。ただ、国会の日程は国会がお決めになることでございますので、私どもがとやかく言える、ではないかというふうに思っております。
○福山哲郎君 まだ国会に出ていないんですよ、総理。どうですか、これ。どうします。やらないんですね、じゃ。どうぞ。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) やらないということではもちろんないわけでありますが、これは閣議の日程については、臨時国会開会後の予算審議の見込みやその他の法案等の状況を踏まえて、十月中旬にこれを行うこととした次第であります。
 政府は署名の開放日当日である四月二十二日に即座に署名を行い、政府としては署名を行っています。同時に、パリ協定の国内実施の担保に係る政府部内での検討を迅速に進める等、一日も早い締結を目指して作業、調整を行っているわけであります。引き続き、与野党の協力も得つつ、一日も早い締結に向けて全力を尽くすわけでございます。
 やるかやらないかというのは、このパリ協定について批准をするかということについては、とにかくこれは国会で批准をしたいと政府としては考えているわけでありますし、野党の皆様にも御協力をいただきたいと考えております。
 同時に、同時に、このパリ協定の指針の策定に係ることについて、これは全くそこに、指針に書かれないではないかという趣旨の御発言がありましたから、大臣から、主要な交渉は既に我が国を含む形でこれは行われているわけでありまして、私たちもしっかりとこの指針に私たちの考え方を反映をさせているということは御了解をいただきたいと、こう思っている次第でございます。
○福山哲郎君 だから総理の所信表明演説にはパリ協定について言及なかったんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これについては、既にこの全ての締約国、全ての国が参加をする公平な仕組みをつくっていくということは第一次安倍政権のハイリゲンダムのサミットにおいて私が主導したものでございまして、この考え方にのっとって今回パリ協定に至ったわけでありますから、我々もしっかりとこの批准を行い発効させていきたいと、こう考えているところでございますし、我が国も貢献していきたい、事実貢献をしているということでございます。
○福山哲郎君 いや、びっくりしました。締約国会議にはもう無理だとおっしゃる。そして、所信表明にはなく、だけど伊勢志摩サミットで、承認を得るような必要な措置をとることにコミットすると、総理、議長として言われたんですよ。TPP特別委員会へ回す前にパリ協定やろうじゃないですか、国会で。我々は協力しますよ。早く国会へ出してください。どうですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 早く提出をすべく、今、自民党、与党において調整を行っているところでございます。
○福山哲郎君 何でそんなに時間が掛かっているんですか。だって、こんなの承認する手続が始まるのは分かっているじゃないですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 今、準備、調整作業を全力で進めております。そして、政府内としましては、来週十一日の閣議を目標に努力を続けていると承知をしております。
○福山哲郎君 本当に驚きです。COPに環境大臣が行かれるのか外務大臣が行かれるのか分かりませんが、締約国として行っていただきたかったと私は思います。それが京都議定書を作った日本の責任でもありますし、パリ協定にやはりコミットした日本の責任だと思います。非常に今の消極的な発言に残念に思います。
 日銀総裁来られているので、幾つかだけ確認させていただきます。結論は出なくても結構です。
 まずは、日銀総裁の前に石原大臣にお伺いします。
 月例経済報告というのがいつもあるんですが、何と三十七か月連続、月例経済報告は緩やかな回復基調が続いているという表現になっています、まあ前後ありますがね。三十七か月連続して緩やかな回復基調が続いているんだったら、もっと成長しているであろうし、もっと景気良くなっているんじゃないんですか。
○国務大臣(石原伸晃君) 御承知のとおり、様々な細かい指標については、個人消費がこの夏以降若干盛り返している、その一方で設備投資が落ちてきたものが上がってくる、経済ですから循環しておりますので、総じて緩やかな回復基調が続いているという表現を取らせていただいております。
 三十七か月ということでございますが、安倍内閣になりまして三年九か月たったわけでございますが、その間、これは総理がいつも申しておりますように、経済は間違いなく好転しております。名目GDPでいうならば三十三兆円、パーセントにすれば一・九、税収にしても二十一兆円、国、地方合わせて増えている、そんな中で雇用環境が改善して賃金も三年間増えている。こういうもの全体を眺めて、緩やかな回復基調にある。毎月微妙に判断は、中のものは変わっているということは御理解いただきたいと思います。
○福山哲郎君 これは、毎月毎月どこを基点に緩やかな回復基調というふうに、どこを基点に言われているんですか。
○国務大臣(石原伸晃君) 先ほど設備投資の話、個人消費の話、いろいろさせていただきましたが、様々な指標が、今全部を御紹介するには時間が掛かりますので割愛させていただきますが、そういうものを総合的に判断して緩やかな回復基調にある。GDPがこの三年九か月間で名目三十三兆円拡大したということは、間違いなく経済が緩やかに回復しているということを示している最大の数字ではないかと思っております。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 石原経済再生担当大臣。
○国務大臣(石原伸晃君) 基点という意味を私はどういう指標を基に判断しているのかということでああいう御答弁をさせていただきましたが、今資料を確認しましたら、緩やかな回復基調になったというのは二〇一三年の九月からでございます。
○福山哲郎君 月例経済報告というのは毎月毎月出ているんです、コメントが。毎月毎月緩やかな回復基調が続いているんです。毎月緩やかな回復基調が続いているということは、複利でいったらすごく経済は良くなっているはずじゃないですか。そうでしょう、毎月緩やかな回復基調なんだから。
 三十七か月緩やかな回復基調が続いているというのに、なぜこういう経済なんですかと聞いているんです。どこを基点、前月を基点に言っているのか、何を基点に緩やかな回復基調だと言っているのかと聞いているんです。
○国務大臣(石原伸晃君) 基点という意味の解釈でそごがあったということであるならば訂正をさせていただきたいと思うんでございますが、これは要するに二〇一三年の九月から、委員が御指摘なされたとおりこの緩やかな回復基調、対前年同月比、あるいは前月比、これに比べて、様々な指標は月によって変化するわけであります、個人消費も変化する、設備投資も変化する、それを総合的に判断してその月々の景気判断というものを示させていただいているのが月例経済報告の性格でございます。
○福山哲郎君 だって、回復というのはどこかと比較して回復なんでしょう、回復しているんだから。そこはどういうふうに御説明されるんですか。
○国務大臣(石原伸晃君) 基点ということで先ほど二〇一三年の九月ということをお示しさせていただきましたけれども、そのときから同じ表現を使わせていただいております。ということは、その前月、二〇一三年の八月の状況は九月のときに比べて悪かった、そういう意味で、福山委員が御指摘されている基点というものはそういうことを指すのではないかと考えております。
○福山哲郎君 前年同月比という意味合いですか、これ。
○国務大臣(石原伸晃君) 様々な指標を前年同月比で見る、また、月例経済でございますので、前の月に比べてどう変わったか、その時々の指標を総合的に判断して、基点というのは、三十数か月という数字を示されましたので、二〇一三年の九月ということを示させていただきましたが、その前の月の八月に比べれば総合的に判断して緩やかな回復基調になったというふうに御理解をいただきたいと思います。
○福山哲郎君 私の基点という聞き方が間違っていました。申し訳ありません。
 まさに今大臣言われたとおりに、前月に比べて緩やかな回復基調が三十七か月続いていたら、景気、むちゃくちゃ良くなっているはずじゃないですか。
○国務大臣(石原伸晃君) 良くなったということを言うと自慢をしちゃいかぬというふうな話をされましたが、この期間の間にどういうことが起こったかと言えば……(発言する者あり)二〇一三年の八月と九月にこの景況判断というものを変更させていただきました。その間に何が起こったかということを総じて今お話をさせていただいているんですけれども、もう一つ指標を取らせていただくのであるならば、就業者数で見れば雇用環境が良くなるということは景況感が上がるということの一つのメルクマールでございます。生産年齢人口が三百万人減っている中で百万人以上就業者が増える、これも一つ景況判断が好転する材料でございます。
 こういうことを総合的に判断をいたしまして、今委員が御指摘のとおり、この月例経済でこういう報告をして、これは積み上げていくものではございません、その月々の景況判断をお示しさせていただいているものでございまして、そうであるならば、GDPが名目でどれだけ増えたのか、あるいは実質でどれだけ増えたのか、賃金がどれだけ上昇したのか、こういうことが経済の実態の姿であると認識をしております。
○福山哲郎君 前月比だと言ったり、トータルだと言ったり、指標がそれぞれだと言ったり、よく分からないんですけど、少なくとも三十七か月緩やかな回復基調が続いていると言われているということは、相当景気がいいはずですよ。
 この月例経済報告、何でかよく分からないんですけれども、これやっていると切りがないので、済みません、黒田総裁来ていただいて、お忙しい中ありがとうございました。
 この間の政策決定会合で、長期金利を日銀がコントロールできると判断されたのはなぜですか。これ、衆議院でも議論ありましたけれども、元々短期金利は一定の調整が利くだろうというのはありましたが、長期金利は日銀のコントロールの及ばないところだというのがこれまでだったと思うんですが、総裁、なぜこれができるように判断されたんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、伝統的に中央銀行は金利操作について、短期金利は操作できると、ほぼ完全にコントロールできると、しかし長期金利のコントロールというのは難しいというふうに考えられてきました。ただ、御案内のとおり、リーマン・ショック後、日本銀行のみならずFRBにしてもECBにしてもみんなゼロ金利制約に直面して、長期国債その他長期資産を大量に買い込んで長期金利に直接影響を与えるという政策を取ってまいりました。そして、それが実際にも長期金利の引下げに効果があったということでございます。
 したがいまして、特に日本銀行としては、三年半の量的・質的金融緩和、そしてこの半年のマイナス金利の導入と、こういったことを組み合わせて長期金利にかなりの程度影響を与えることができるということが分かりましたので、さらにこの二つの組合せに加えて、日本銀行が指定する利回りによる国債の買入れ、いわゆる指し値オペといったものも加えまして、このような長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入したということでございます。
○福山哲郎君 総裁、ありがとうございます。
 要は、日銀がたくさん国債を買い込んでいるから長期金利もコントロールできるようになったと。それがいいことか悪いことかよく分かりませんが。
 一方で、総裁、インフレ目標二%はまだ堅持されているということは、インフレ目標二%、本当にこのまま総裁や総理が言われるように行ったとしたら、一般的に言うと長期金利はどの程度になるものですか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおりの長短金利操作付き量的・質的金融緩和を前回の金融政策決定会合で導入いたしましたが、その際の長短金利操作の目標としては、当面、短期金利についてはマイナス〇・一%、そして十年物国債の金利についてはゼロ%程度ということでこのイールドカーブを特定したわけでございます。
 ただ、御質問にありましたように、二%の物価安定目標がきちっと達成された暁に長期金利がゼロ%程度でとどまるということは考えられないわけでありまして、今後必要に応じて、当然のことながら、更に緩和の必要があれば金利を下げるということもありますし、他方で、物価安定目標が達成されるという状況になれば当然金利は上がっていくということになると思います。
○福山哲郎君 ということは、物価安定目標二%に向かう中で長期金利が上がることについては、無理やりゼロ%には抑えないということでいいんですか。
○参考人(黒田東彦君) そこは、今申し上げましたとおり、今回の決定は基本的には次回の金融政策決定会合までの金融政策調節方針でございますので、毎回の政策決定会合において議論をして、そして適切なイールドカーブというものを定めていくということになりますので、今すぐ二%の物価安定目標が達成されて金利が上がっていくということにはならないと思いますし、当面、金融緩和を続け、あるいは必要によっては強化するという必要があると思いますので、直ちに金利が上がるとか上げるということにはならないと思いますが、二%の物価安定目標が達成された暁には金利は上昇していくということは十分あり得るし、それは認めるということになると思います。
○福山哲郎君 あと、総裁、もうこれで午前中は終わりますが、総裁は、インフレにならなかったことが、二%の目標が行かなかったのは原油安と消費増税と新興国の経済マイナスだと言われていますが、あっ、そうか、もう時間ですか。
 時間だということで、じゃ、午前中はここで終わります。済みません。
○委員長(山本一太君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(山本一太君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成二十八年度第二次補正予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。福山哲郎君。
○福山哲郎君 午前中に引き続き、よろしくお願いいたします。
 日銀総裁を余りお時間いただくのもと思ったので、もうお引き取りをいただきましたので別の話題にさせていただきたいと思います。
 お手元にお配りの資料は、陸上自衛隊研究本部、南スーダン派遣施設隊第五次要員に係る教訓要報というものです。
 この七月に二百五十人、二百七十人から千人と言われる死者が出て、そして四万人にも及ぶ避難民が出たと言われていて、実は、今年の今現在、非常に南スーダンは混乱をしているというふうに報道ではあります。そして、相手側の反政府勢力のトップのマーシャル前第一副大統領は武力抵抗を表明をされています。
 実は、この第五次教訓要報には、お手元にあるように、このような表記があります。南スーダン北部に位置するベンティウ、マラカル、三つの都市があって、それは州都になっていて、SPLA、これは政府軍ですが、SPLA/io、これは非政府です、まあこれが何と呼ぶかは別ですが、ベンティウ、マラカルをそれぞれ奪取した。ボルについては一時SPLAが奪回したが、数千規模の武装したヌエル族の若者が戦闘に加入した結果、一月一日にSPLA/ioがボルを再奪取したと書かれています。
 総理や外務大臣にはもう当たり前の話だと思いますが、国準の定義の中に、系統立った組織性がないということと、それから支配が確立されるに至った領域がないというのがあるんですが、これ、自衛隊の教訓要報で、奪回をお互いある州都に対してやり合っています。そして、若者が戦闘に加わって実は戦闘行為が行われています。
 これは平成二十五年ですから現状ではありませんが、この時点でもこのSPLA/ioは国準ではないという判断ですか。防衛大臣、お答えいただけますか。
○国務大臣(稲田朋美君) 平成二十五年十二月、キール大統領派と当時のマーシャル前副大統領派との間で衝突が発生し治安が悪化したのは事実ですが、首都ジュバの状況は数日で平穏化し、派遣施設隊からも自衛宿営地の安全確保にも問題はなかったとの報告を受けております。
 当時の現地の状況や現地の日本大使館、国連からの情報等を総合的に勘案いたしますと、当時においても南スーダンPKOの活動地域において我が国のPKO法における武力紛争が発生していたとは考えておらず、五原則も維持されていたと考えられます。
 今委員の質問に関しましては、国準とは言えないということでございます。
○福山哲郎君 国準と言えない根拠は何ですか。
○国務大臣(稲田朋美君) マーシャル前第一副大統領派が系統立った組織性を有し、同派による支配が確立されるに至った領域があるとは認識をしていないということでございます。
○福山哲郎君 これは防衛省が出している報告書で、州都が三つあって、取って、そして数千人規模の武装した者が戦闘に加入し再奪取したといって領域をやり取りしているんです、取り合いをしているんです、戦闘行為の中で。
 だから、なぜこれが国準じゃないのか、根拠をもう一回言ってください、そうしたら。
○国務大臣(稲田朋美君) 最初にお答えをいたしましたように、治安が悪化したのは事実ですが、首都ジュバの状況は数日で平穏化し、派遣施設隊からも自衛隊宿営地の安全確保にも問題はなかった、支配が確立したとは言えないということでございます。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 稲田防衛大臣。
○国務大臣(稲田朋美君) 散発的、偶発的な衝突が発生をしておりましたが、マーシャル前第一副大統領派が系統立った組織性を有し、同派による支配が確立されるに至った領域があるとは認識していないということでございます。
○福山哲郎君 だけど、先ほどからジュバの話されますが、これ、地方ではそれなりの地方を支配して領域を奪取しているんじゃないんですか、大臣。
○国務大臣(稲田朋美君) 南スーダン各地において散発的、偶発的な衝突が発生していることは把握しておりますけれども、マーシャル前第一、マシャール前第一副大統領派が系統立った組織性を有し、支配が確立をされた領域があるとまでは認識をしていないということでございます。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) もう一度、福山君。
○福山哲郎君 だって、偶発的、散発的なんて書いてないよ、ここには。奪取したって書いてあるんですよ。
○国務大臣(稲田朋美君) 散発的、偶発的に発生することはあっても、支配が安定的に確立するとは言えない、国準と言えるほどの組織性があるとは言えないということでございます。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) よろしいですか。
 稲田防衛大臣。
○国務大臣(稲田朋美君) 一時的に奪取されても、取り返し、安定的な支配が確立した領域があったとは言えないということでございます。
○福山哲郎君 ということは、領域があったけど安定的ではないということが国準か国準でないかの境目だということですね、今の防衛大臣の御説明ですと。
○国務大臣(稲田朋美君) 奪取しても、取り返せばそこは安定的な領域ではないということでございます。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) つまり、稲田大臣が答弁しておりますのは、支配が確立されるに至った領域ではないと言っているわけでありまして、では、支配が確立されるに至った領域とは何かということについてでありますが、それは、支配地域のまず規模ですね、そして支配する期間、規模をしっかりと、ある意味マシャール側がその規模を大きく取って、そしてその期間を長く取って支配の実効性が確保されたということの要素があるかないかを総合的に見ているわけでありまして、それがないというのが、今、稲田大臣の答弁であります。
○福山哲郎君 いや、だって、政府側は単独では対処できなかったんですよ。だから、他国にまで要請をしてマーシャル側に、あっ、マシャール側に対抗したんですよ。これは政府が単独では対抗できないぐらい強固だったから他国にも要請したんじゃないんですか、大臣。
○国務大臣(稲田朋美君) 取ったり取られたりということで、それは系統立った組織性を有し、同派による支配が確立されるに至った領域があるというわけではないということでございますので、これは国準ではないということでございます。
○福山哲郎君 取ったり取られたりがそもそも戦争なんじゃないんですか。それは停戦の合意がそもそも崩れているということじゃないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは言わば、そもそも七月の段階では一時的にそうした衝突があったのは事実でございますが、そもそも、マシャール氏は南スーダン国外にもう逃亡し、現在はダバン・デン氏が反政府勢力側を代表して第一副大統領を務めているという状況になっているわけでございますから、先ほど申し上げましたように、一定の支配期間ということには至っていないわけでございますから、支配が確立されるには至っていないということで、これは国準ではないというふうに大臣が先ほどから答弁しているとおりでございます。
○福山哲郎君 僕は今のことを聞いているんじゃないんです。この時点のことを聞いているんです。取ったり取られたりが何で停戦なんですか。
 それで、次のページ見ていただくと、この真っ最中に、あれなんですよ、緊急撤収計画をCRFの司令官と幕僚で見直しを決めているんですよ。当然ですよ。これ、ひょっとしたら撤収しなきゃいけない事態かもしれないと思うからこの準備を始めたんじゃないんですか。ごくごく隊員の安全確保のためには至極真っ当な状況だったんじゃないんですか。
 じゃ、この時点で撤収しなかった理由は何ですか。
○国務大臣(稲田朋美君) PKO五原則が維持をされて……(発言する者あり)PKO五原則が維持をされて、隊員の安全を確保しながら有意義な活動ができると判断したからでございます。
○福山哲郎君 じゃ、何でCRFと部隊は撤収計画を見直しをしようとしたんですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 南スーダンに派遣された部隊が情勢悪化に備えて部隊の撤収に要する期間、撤収の要領等について検討、作成を行うことは当然だと思っております。
○福山哲郎君 今、事態の悪化に備えてとおっしゃいましたね。
 これ、撤収計画を決裁したのが一月八日、さっき申し上げた大臣の言葉で言う取ったり取られたりが十二月の二十日から一月十四日、この間に取ったり取られたりなんですよ。これが事態の悪化に備える話なんですか、大臣。
○国務大臣(稲田朋美君) 緊急撤収計画自体はあって、それ自体を見直したということでございます。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 稲田防衛大臣。
○国務大臣(稲田朋美君) 事態が急変した際の部隊の撤収に要する期間や部隊の撤収要領等について定めたものを状況が悪化することに備えて具体化する、見直すということは当然だと思います。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 福山君、もう一度質問してください。
○福山哲郎君 だから、備えてじゃなくて、この事態の状況を見て撤収計画を作ったんじゃないですかと聞いているんですよ。
○国務大臣(稲田朋美君) 撤収計画自体は以前からあって、そして、十二月に衝突が生じたことは事実であり、事態の悪化に備えて撤収計画見直したということでございます。
○福山哲郎君 大臣は、自分の国を守るためには血を流す覚悟をしなければならないのです、決死の覚悟なくしてこの国は守れませんと。エリートの条件は、いざというときに祖国のために命をささげる覚悟があるということと言っていると。そういう真のエリートを育てる教育をしなければならない。これは今も変わりませんか。
○国務大臣(稲田朋美君) 私自身は、自分の心構えとして命を懸けてこの国の国益を守っていきたいという思いを持っております。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 福山哲郎君、質問してください。
○福山哲郎君 私たち一人一人や国民の一人一人がと言っておられるんです。それから、エリートの条件はと言っておられるんです。大臣の個人的な今お気持ちを聞いているわけではありません。
○国務大臣(稲田朋美君) 今、私の心構えを申し上げました。また、過去の議員個人としての発言等に対して個人的な見解を述べるべきではないと思います。
○福山哲郎君 私が何を懸念するかというと、これからも南スーダンの状況は悪化する可能性があるわけです。そのときにこういう、大臣が、何を言っても国準じゃありません、何を言っても落ち着いていますというような状況になって、万が一犠牲者が出て、犠牲者が出ました撤収しますみたいなことになることを私は恐れているんです。だって、自衛隊の報告書の中に州都を取ったり取られたりと、まさに大臣が言われた話になっているわけです。
 ここで撤収計画をCRFが指示をしたのは国準と思ったからなんじゃないんですか。そういう判断をしたからこそ撤収計画をこの場合作ったんじゃないんですか。それが先の悪化に備えての撤収計画なんですか。今がまさにそうだからこそ撤収計画の見直しを指示したんじゃないんですか、大臣。
○国務大臣(稲田朋美君) 国、国準は、PKOの五原則が要件が満たしているかどうかの問題でございます。そして、PKO五原則が満たされていたとしても、自衛隊員の安全が確保され、そして意義ある活動ができなければ撤収ということはあり得ます。
 また、撤収計画は常にあって、それは、まさかのときに備えて撤収計画を作っているというのは私は当然のことでありますし、委員が御指摘なのは二十六年一月八日の撤収計画の決裁のことでございますが、その時点において、既にある撤収計画を、状況が悪化することに備えて検証をし、見直したということでございます。
○福山哲郎君 私たちの政権は、ゴラン高原で長年にわたって意義のある活動をしていたPKOを治安情勢の悪化を受けて撤収しました。PKO五原則は維持されたと思います。
 だからこそ、きちっとした、自衛隊の報告にこういう状況があるのを、いつまでも同じような教条的な話ばかりしていいのかと、自衛隊員の安全確保が大事なんじゃないかと申し上げているんです。そして、現実にこの七月には、先ほど申し上げたように一万人規模の避難者が出ています。
 こういう状況で、防衛大臣、行かれるんですね。行って何を御覧いただくんですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 南スーダンからは毎日報告を受けております。昨日も報告を受けました。その際には、自衛隊の安全を確保しつつ意義ある活動を行っているとの報告を受けました。私自身も実際に南スーダンに行ってその状況等を視察してまいりたいと思っております。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 質問してください。もう一回質問してください、短くてもいいから。
○福山哲郎君 何を視察に行かれるんですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 現地で、南スーダン派遣施設隊の活動状況の確認や隊員の激励、また現地情勢の確認をしたいと思っております。
○福山哲郎君 六時間ちょっとの滞在です。行って、頑張ってきてください、頑張りなさいと激励をして帰ってくるのは本当の意味の視察ではありません。本当に治安状況がどういう状況なのか、自衛隊員がどういう状況で職務に精励されているのか見てきていただいて、あるときには英断も必要です。そのことについての決意をお伺いしたいと思います。
○委員長(山本一太君) それでは、短くお願いします。
○国務大臣(稲田朋美君) 活動状況、そして先ほど申し上げましたように、自衛隊の皆さんが安全を確保しながら有意義な活動ができる状況かどうか、しっかりと見てまいりたいと思います。
○委員長(山本一太君) 福山君、最後に簡潔にお願いします。
○福山哲郎君 はい、簡潔にします。
 自衛隊員の方々が意味のある活動をしているのは間違いありません。そして、彼らは下令をされればいつでも我々は頑張りますと言います。それをちゃんと配慮して決断を下すのが政治の役割です。いろんな言い訳をし、いろんな教条的な、まあある種の言葉を使って、PKO五原則が守られているとか今は大丈夫だとか言って万が一犠牲が出るようなことのないように、御勇断と御英断をしっかり視察の場で果たしていただくことをお願いして、私の質問を終わります。
○委員長(山本一太君) 以上で福山哲郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)

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