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2016

第192国会 参議院 外交防衛委員会 2016年10月27日


○委員長(宇都隆史君) パリ協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。よろしくお願いいたします。
今日は余り時間がありませんので、もう早速議題に入りたいと思いますが、まず、議題に入る前に、一昨日お願いをした、理事会の協議をお願いをした憲法解釈関係の答弁例集でございますが、早速理事会で委員長お計らいいただいて各委員に配っていただけるということで、迅速な対応をいただいたことに心から感謝申し上げます。
それでは、本題に入ります。
まず、核兵器禁止条約決議案への対応についてということで一昨日も岸田外務大臣にお伺いをしました。その中で、岸田外務大臣は我が国の出されている決議案について御説明があったんですが、私も少し失念をしている部分があってよくなかったんですけれども、あの大臣の言われた決議案、我が国の決議案というのは毎年我が国が決議として出している決議案のことでよろしいんですよね。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国は毎年決議案を提出しておりますが、今年も決議案を用意しております。その決議案について申し上げました。
○福山哲郎君 私も、当時外務副大臣で、この決議案のお願いもしたし、それからNPTの運用検討会議にも出させていただいたので、この決議案は極めて今の現状について、前回も外務大臣が御説明をいただいた、非常に日本の立場を明確にする決議案だと思っております。
ただ、今回の核兵器禁止条約の決議案にこれは対抗するものでもこれに合わせて出しているものでもないので、日本の決議案に賛成をいただくこととこの核兵器の禁止条約決議案に我が国がどういう対応をすることというのは、これは全く、済みません、別の次元の話だと思いますが、それはそういう位置付けで構いませんよね。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の提出した決議案は、先日答弁させていただいたような内容がポイントでありますが、世界の指導者の被爆地への訪問など、我が国が独自に訴えてきた五つほど原則がありますが、そういったものもしっかり盛り込んだ内容となっております。それに対して一国でも多く共同提案国、そして賛同国を増やすべく努力をしています。
その駆け引きが今現在も行われているわけですが、それをまず行った上で、そしてその状況の中で他の決議に対しても判断していくということを答弁させていただきました。
○福山哲郎君 いや、私は核兵器の禁止条約の決議案について前回も大臣に日本の政府の立場についてお伺いをしたところ、日本はこういう決議を出していますという御説明をされたので、私も少し失念した部分があって大変失礼だったんですが、逆に言うと、我が国の決議案に各国が賛同いただくのは毎年当然で、さらには各国の要人に、オバマ大統領の広島訪問を奇貨として各国の要人が広島、長崎に訪問いただくというのは、一昨日も申し上げたように、核兵器の非人道性を世界に発信する我が国としては私は当然のことだと思いますが、この核兵器の禁止条約の決議案、これは、基本的には来年から核兵器禁止条約の交渉をする会議をしようという決議案でございますので、私は、是非日本にはできる限り賛成に回っていただきたいと思いますし、よもや反対ではないというふうに信じたいと考えています。
昨日、我が党の、民進党の非核議連の総会を開きました。会長は我が党の前代表の岡田会長で、岡田さんは外務大臣もやられていて、NPDIの創設にも尽力をされました。そのことは岸田外務大臣もよくお分かりだと思いますが、岡田元外務大臣も含めて、我々、昨日、非核議連でこの核兵器禁止条約決議案についての対応を協議しました。
その中で、我々としては、今回の決議の内容は法的措置を交渉するための国連会議を開催するというものであり、直ちに核兵器を禁止するというものではなく、我が国の立場と矛盾するものではない、また、度重なる北朝鮮による核実験、弾道ミサイル発射に対して国際社会は断じて認めないという強い意思を表明するためにもこの決議案は有用であるという立場をまとめまして、できる限り我が国としては賛成するべきであり、ましてや反対という選択肢はあり得ないということを我々としてはまとめさせていただきました。
また、現状を踏まえて、先日も申し上げましたが、アメリカとのコミュニケーションを通じて我が国の立場を丁寧に説明をして、我が国の核保有国と非保有国との間の協力を得るための建設的な貢献を引き続き日本政府に果たしていただきたいということをまとめさせていただきましたので、是非、外務大臣におかれましては、ニューヨークでの採決が状況によっては明日という話も聞いておりますので、今の状況の政府の検討状況と外務大臣のお考えを承れれば有り難いと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、福山委員は十分実態は御理解いただいている、そして承知いただいていることを前提として申し上げますが、まず、我が国の決議、賛成してもらうのは当然ではないかとおっしゃいました。
我が国としましては、内容においては本当に多くの国々に賛同していただけるというふうに思っておりますが、ただ、現実は、核兵器国と非核兵器国の対立、誠に厳しいものがあり、状況はますます悪化しています。事実、我が国の決議であっても、昨年、核兵器国で一国も賛成に回ってもらえなかったと、こういった厳しい現実があります。
我が国の決議であっても、核兵器国により多く賛同してもらう、こうした核兵器国の協力と非核兵器国の協力、これが合わさらなければ結果につながらないという思いで、我が国の決議の採択においても我々はもうぎりぎりまで努力を続けなければいけない、こういった厳しい状況にあるというように感じております。
そして、それを行った上で他の決議について判断するわけですが、今申し上げましたように、厳しい現実の中で核兵器国と非核兵器国が協力する状況をつくらなければ具体的な結果につながらないという観点から、我が国としてどうあるべきなのか、唯一の戦争被爆国として核兵器国と非核兵器国の橋渡しとしてどうあるべきなのか、そういった視点からぎりぎりの判断をしていきたいと考えております。
○福山哲郎君 僕は、我が国の決議でもたやすい交渉を我が国の外務省の皆さんが、外務大臣も含めてやられていると申し上げたつもりはないので、そういうふうに取られた場合には、私の表現の仕方がまずかったと思います。
ただし、外務大臣言われたように、NPT体制の強化、CTBTの発効促進、FMCTの早期交渉開始、我が国の主張していることが実はまさに今外務大臣が言われたように厳しい局面に立たされていると。なかなかNPT体制が動かない、実効性が上がらないことに対して、非核保有国がこの核禁止条約というものを作ることによって動かしたいという、そういう国際社会の動きもある中での状況だと私は認識しているんですね。
だから、私は我が国の決議の在り方について別に批判をしているわけではないし、その御努力については多としたいと思いますし、是非その中で日本の決議が賛成が多くなること、核保有国であれ賛成していただけることについて私も御努力していただきたいと思っていますが、それとは別のところで、そこに限界を感じて、もう二十年待っているじゃないか、動かないじゃないかという声が非核保有国の中である中でこの核兵器の禁止条約の議論があって、それも、中身というよりかは来年から会議をスタートしましょうということだったということなので、日本の政府のポジションは非常に重要ではありませんかと申し上げているので、そこのところについては、私は実は外務大臣とそんなに変わった、ポジションが違うと実は余り思っていないんですけれども、是非そこは御努力をいただきたいと思いますし、アメリカとの信頼関係の問題も私は一定理解をしますが、そこは、オバマ大統領が今年広島に来られた年にこの核兵器禁止条約に日本が反対をするという選択肢はないのではないかと思うので、くどいようですが、こうやってお願いをしている次第でございます。
もう一言いただいて、次の議題に移りたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) ただいまの福山委員の御発言、そして先ほど御紹介いただきました民進党の党内での御議論、大変重たいものがあると思いますし、そうした思い、私も十分理解させていただきたいと思います。
そしてその上で、今、まさに今日の、日本時間でいいますと夜中になると思いますが、早速各国の決議の採択が始まります。今ぎりぎりの状況の中で、一国でも共同提案国を増やそう、一国でも賛同国を増やそう、ぎりぎりの調整をニューヨークにおいて続けています。
是非全力を尽くしたいと思いますし、そして、各国の決議への対応につきましても、核兵器国と非核兵器国が協力することによって、大きな目標であります核兵器のない世界をつくるために国際世論を前進させるため、我が国として取るべき判断をしっかりと責任を持って行いたいと考えます。
○福山哲郎君 外務大臣に厳しい選択の中で今のような御答弁をいただいたこと、心から感謝を申し上げます。是非御健闘いただければと思います。この健闘は、考えろではなくて頑張ってくれの健闘でございます。
では、パリ協定について行かせていただきます。
パリ協定、我々基本的には早くやれという立場ですから、もう批判的なことではなく前向きな話にしたいと思います。
外務大臣、例のCOPの政府代表団に経済界、労働組合、国際NGO、参加をいただくということで、外務大臣は本会議でオブザーバーとして出席をいただいていると言われましたが、実は、これまでの国際会議、例えば五月のボン会議では二週間のうち二回しか、オブザーバーとして出席できる会議は二週間のうち二回しかなかった、また、行ったらキャンセルだった、それから、それぞれが個々の省庁別で議論しているので、現実の問題としてこのオブザーバー参加は余り実質的な意味がなかったという議論も出ております。
この間の本会議でも前向きな検討をしたいという御答弁をいただきましたが、実際にもうCOP22が目の前でございますので、外務大臣の御答弁をいただければと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、気候変動分野における議論において、NGOを始めとする市民代表の皆様方の御意見、そして果たす役割、これは大変大きいものがあると認識をしています。そして、実態について委員の方から御紹介いただきましたが、要は、政府代表団としての会議にも、その準備のための会議にもNGOを始めとする市民団体の皆様方には御参加をいただき、意見交換をさせていただき、その上で会議に臨む、こういった対応も行わさせていただいてきました。
そして今後ですが、残念ながら、この間本会議で答弁させていただいた段階も含めて、今現在、今の現段階においては既にCOP22の代表団の登録が終わっておりますので、今新たにこの代表団に加わってくることはできませんが、先ほど申し上げましたように、こうしたNGOを始めとする市民代表の皆様方の役割の大きさを考えますときに、是非、この次のCOPも含めて、代表団に加わっていただく可能性も含めて参加の在り方を検討させていただきたいということを本会議においても答弁させていただいた次第です。
そうした市民代表の皆様方の御意向も踏まえて、どういった形で御参加いただけるのか、是非前向きに検討をしていきたいと私は思っておりますし、政府としてもそのように取り組んでいきたいと考えます。
○福山哲郎君 前向きに検討が実現するように願っております。
我々のときには、各省庁の反対がもちろんありました。ありましたけれども、国際的な潮流を受けて実は意思決定をした。それが実はもう一度、残念ながら安倍政権になって逆戻りをしましたので、是非よろしくお願いしたいと思います。
外務大臣に事実関係だけお伺いします。
ODAその他の公的支援における再生可能エネルギー関連事業への支援額と石炭、天然ガス等の化石燃料によるエネルギー事業への支援額はそれぞれ幾らか、お答えいただけますでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 二〇一三年から一四年、計二年間に行った途上国支援に係る実績、公的資金ですが、再エネ関連事業への支援額が約二千四百億円、化石燃料関連事業への支援額約四千九百億円となっております。
○福山哲郎君 化石燃料が約倍ということになります。
これは、やっぱり国際的な脱化石、特にパリ協定は脱化石を宣言をしたというのが一般的に国際社会で言われていることで、日本のODA並びに公的支援が化石燃料の方が再生可能エネルギーの倍だというのはいささか少し方向性としては逆方向ではないかなと思っておりまして、このことについて今後どういう方向で考えていくのか、外務大臣、お答えいただけますか。
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほど、再エネ関連とそして化石燃料関連のそれぞれの支援額、申し上げました。
おっしゃるように、支援額比べますと化石燃料関連事業の支援額が大変大きくなっているわけですが、ただ、こうした再エネ関連事業というのは、内容との関連において一件当たりの支援額が化石燃料関連事業と比べて小さいという傾向にあります。ですから、実施案件の数で比べますと、再エネ関連事業が七十件、そして化石燃料関連事業が二十件と、件数でいきますと逆転しまして三倍多いということも事実であります。
しかし、いずれにしましても、政府としましては、これは途上国支援でありますので、まずは先方、被支援国のニーズ、これをしっかり踏まえなければなりませんし、しっかり協議をしていかなければなりません。
ただ、その際に、是非、気候変動対策の観点、こういった観点を我が国としてもしっかりと取り入れて、途上国のニーズをしっかり把握していきたいと考えております。
○福山哲郎君 ニーズを途上国とどのように調整するかも外務省なりJICAなりそれぞれの皆さんの御努力でございますので、是非こういった国際社会の潮流と逆行するようなことは方向性としては何とか抑えていただきたい、将来的にはと思います。
一方で、OECDでは輸出信用機関に関して、今の日本政府の対応とは全く逆なんですが、低効率の石炭火力が規制されることになりました。つまり信用供与が付かないということでございます。OECDで決まったことですから、政府はこれを輸出の信用機関に対してだけ適用するのか、それとも円借款を含む公的資金による支援にも将来的に適用していくつもりがあるのかどうか、ここについてもお答えいただけますでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) OECD輸出信用作業部会における低効率の石炭火力案件に関する議論、これは公的輸出信用供与の在り方に関するものであります。すなわちODA以外のものであります。そして、政府としては、こうした議論も勘案しつつ、ODAに関しては引き続き被支援国政府と緊密に協議しながら、被支援国の実情に合った支援を実施していくことを考えていきたいと思います。
こうしたODAの供与についても、我が国として、今後、国際社会における議論も踏まえつつ、環境あるいは社会への影響、これは十分配慮していかなければならないと考えます。
○福山哲郎君 被支援国の実情に合った供与をするというのは当然のことで、問題は、マクロで見たときのこのパリ協定を含めた国際社会の考え方に日本の援助なり公的資金をどのようなコンセプトで出すかということに懸かってくると思いますので、そのことについても是非方向性を脱化石に向かっていくようにお願いしたいと思います。
もう結びになりました。環境省さんと経産省さんには、お越しをいただいたんですが、もう時間がないのでお許しをいただいて、最後に外務大臣にこのことを聞いて、質問を終わりたいと思います。
気候変動リスクは、実は資源、食料、異常気象、その被害も大きいんですが、食料や異常気象により難民などの問題も出てきております。アメリカの国防総省はQDRで、気候変動がアメリカの安全保障に与える影響を分析し、今後の行動計画をまとめ出しています。
外務省として、この気候変動が我が国の安全保障上にリスクがどのようにあると考えておられるのか、また、このことについての分析、リスク評価等について今後どういう対応をしていただくつもりなのか。中東のいろんな内戦、混乱も、いろんなところでこの気候変動も要因の一つだという議論も世界の中にはあります。そのことについて外務省の将来的なポジション、対応についてお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
○委員長(宇都隆史君) 時間ですので、簡潔に答弁願います。
○国務大臣(岸田文雄君) はい。
御指摘のように、気候変動が各国の安全保障に影響を与えるという考え方については、我が国としましても気候変動と脆弱性という課題であると認識をし、重要視しています。
そして、昨年四月、ドイツ・リューベックでG7の外相会合が行われましたが、その際に、G7の気候変動と脆弱性の作業部会、これ立ち上がっております。私も、このG7の外相会合出席させていただきましたのでこうした作業部会の立ち上がりに立ち会ったわけですが、引き続き、我が国としましては、生活安定化あるいは移民など幅広い事項についてG7各国とともに気候変動と脆弱性について検討、議論を行っていきたいと考えています。是非議論を深めたいと考えます。

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