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2017

第193国会 参議院 予算委員会 2017年1月31日


○委員長(山本一太君) これより締めくくり質疑に入ります。福山哲郎君。
○福山哲郎君 福山でございます。連日になりますが、よろしくお願いを申し上げます。今日はもう六分しかないので、早々に質問を始めたいと思います。
まず、安倍総理にお伺いをします。
トランプ大統領が、テロリストの入国阻止というため、理由で中東、アフリカ七か国からの入国を一時禁止する大統領令について世界中で波紋が広がっています。七か国の出身者はアメリカ内のテロに関与したケースがないにもかかわらずこういう大統領令を出したので、憲法に違反するのではないかとか、排外主義、差別主義との批判の声が上がっています。ドイツやカナダ、イギリスの首脳、首相からも批判がされています。
昨日、安倍総理は、米国政府の考え方を示したものでコメントする立場にないと言われました。しかし、例えば今回入国禁止になったソマリア、イエメンは、我々はアデン湾で海賊の対処として自衛隊を派遣しています。そして、イエメンでは、テロをイエメンで育てないようにということで、日本はイエメンに関する国際会議で復興支援をしています。
実は、入国の禁止や排外的なものは他国ばかりではありません。日本も御案内のように、戦前、一九〇五年、有名なサンフランシスコ学童隔離事件がありました。これはもう総理御案内だと思います。アメリカの公立学校に通学する日本人の学童を隔離することを決めました。この一九〇五年から一九二四年の排日移民法、日本人を排除する排日移民法までずっと排日の運動がアメリカには起こり、そして結果としてその後戦争に突入することになりました。
人類は、第二次世界大戦後の知恵の中で、自由主義が経済に資するんだと、特に西側がそういう主張をし、日本はその中で成長し豊かな国になってまいりました。それは自民党政権が歴代やられてきたことも私は評価をしています。
そういう状況の中で、先ほど申し上げた戦前の一九二四年の排日移民法が成立する中で、当時何とアメリカ人が言っていたかというと、日本人の移民は低賃金で長時間労働をいとわないと、だから白人労働者の仕事を取ってしまう、なくすと言われています。今は安い海外製品が米国に流入し、雇用を奪っているという主張をトランプ大統領がされ、一九四〇年にアメリカは米国第一主義を掲げました。今回のトランプ大統領も米国第一主義を掲げています。
これは、総理が言われた、日米は、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値で結ばれているというのは、私は全く異論はありません。日米同盟が不変かどうかは分かりません、それは七十年前、我々は戦争したわけですから。しかし、普遍的な価値で結ばれている不変の同盟、日米同盟が基軸だと言われれば、僕は、普遍的な価値で結ばれているんだったら、その言葉については同意をします。しかし、残念ながらその自由が今危うくなりそうな感じがあります。人権もまさにそうです。法の支配も、今日、この移民の問題、七か国に対して入国を禁止した問題に対して異論を唱えた司法長官代理に解任をされたそうです。
総理、十日に日米首脳会談やられるそうですが、EUも中東やアジアの国も、日本の総理が、日米同盟基軸は私は分かりますが、こういった価値がひょっとしたら揺らぐんじゃないかと、アメリカはということに対して、アメリカの政策だからコメントする立場にないと日本の総理が言ったら、本当に世界中は失望すると思いますよ。本当に、昨日国会で言われた、アメリカの政策だからコメントする立場にないという立場を総理は日本国の総理大臣として、自由や民主主義や人権や法の支配を標榜する国の、価値を体現する国の総理として、本当にそういう発言をされるんですか。この今のトランプ大統領の、日米同盟基軸は私は否定しません。そのことについて、どのように総理、本当にお考えなのか、どうか御披瀝ください。よろしくお願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 各国の入国管理政策は基本的には内政事項であり、委員御指摘の大統領令については米国内においても様々な意見があると承知をしておりますが、言わば難民に対してどのように対応していくか、あるいは移民についてはどのような姿勢を取っていくか、出入国管理はどのようにやっていくかというのはその国が判断することであろうと、このように思うわけでありますし、日本は日本としての出入国管理を行っておりますし、難民に対する対応を行っているということであります。
その中で、言わば国際社会としてこうした難民が出ている状況に対して、米国を含めて世界が対応していくべきだというのはこれは当然のことであろうと、こういうことでございまして、その中において、米国の移民政策に関する大統領令の実施状況について日本政府としても関心を持って見守っていきたいと、このように思うわけでありますが、繰り返しになりますが、日本としては、こうした難民が出てくるという状況を根絶をするために、その中で世界が協力をしていかなければいけないと、日本も大きな役割を担っていかなければならないと考えております。
○福山哲郎君 総理、ごまかさないでください。私は難民と言っていません。国を指定して、その国からの入国を今阻止していることについてどう思っているかと聞いているんです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) つまり、米国がこれは出入国管理について行っているわけでございまして、出入国の、これは米国がどのような管理を行っていくかということについては、我々は注視しておりますが、今その政策について直ちにコメントすることは差し控えたいと思います。
○福山哲郎君 首脳会談のときもそう言われるわけですか、そのことに対してノーコメントだと。そのときに、日米同盟は先ほど申し上げたような自由や人権や法の支配であり、日米同盟を確認したというコメントを出したら、世界中から日本はどう思われるか考えてみてください。
私は、この国会で言われないのは、まあ一定政治的な問題もあると思いますから理解はしますが、しかし、大変世界が、日本の総理が首脳会談でこのトランプ大統領の政策についてどういうコメントを出すのか世界中が注目されていますし、日本は、日米同盟は基軸ですが、日米二か国だけで生きているわけではありません。世界中の国とともに生きています。そして、日本には普遍的な価値があると私は思っています。
どうか安倍総理のどうか思い切った決断をいただきますことをお願いして、今日は話すことばかりになりましたが、私の質問を終わります。
○委員長(山本一太君) 以上で福山哲郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)

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