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2017

第193国会 参議院 外交防衛委員会 2017年5月9日


○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。よろしくお願いいたします。
今日は時間がありませんので、もう早速行かせていただきます。
防衛大臣、事前通告させていただいていないんですが、自衛隊は合憲か違憲か、お答えいただけますか。
○国務大臣(稲田朋美君) 政府統一見解として、自衛隊は合憲だと考えております。
○福山哲郎君 私も合憲だと思っておりますし、ほとんどの委員の方は合憲だと思っているはずです。
総理が憲法改正の議論をされて、何か自衛隊の合憲化が使命だという見出しが躍っています。合憲化が使命だと言われてしまうと、今違憲なのかという誤解を逆に与える。もっと言えば、総理は最高指揮官でいらっしゃいますし、理由が、憲法学者が違憲だと言っている人がまだいるからだと、これは理由にしては余りにもお粗末。憲法学者が圧倒的に違憲だと言っているんだったら、安保法制はもう今すぐ廃止してもらわなきゃいけない。どうも言っていることとやっていることがダブルスタンダードで、もうちぐはぐだと。ましてや、自衛隊の皆さんから見れば、今更総理が合憲化とか言われると、えっ、合憲でしょう。合憲化へなどと言えば、余計今は違憲状態なのかということを国民に逆に、総理のお好きな言葉で言うと、印象操作をしてしまうと。
僕は、非常にこの問題提起はまあ随分荒っぽい議論だなと思っております。防衛大臣も今合憲だと言われておりますので、まずそのことについて提起をさせていただいて、次の質問に行きたいと思います。
外務大臣、御苦労さまでした。四月二十七から五月一日まで、アメリカ、トルクメニスタン、オーストリアを訪問されて、特に、僕、安保理閣僚級会合で北朝鮮の問題について御議論いただいたのは非常に良かったと思っておりますし、ティラソン国務長官を始め、各国の外務大臣とこの北朝鮮問題を中心に会談を持たれたことも私は非常に良かったと思っております。総理もロシア、イギリスを訪問されました。
僕は一定評価をしているんですが、昨年、実は北朝鮮は一連の軍の記念日等々のイベントが終わった後の四月の二十八日に弾道ミサイル二発発射しています。私、防衛省の方に、一連のイベントが終わったとしても、去年の例を見れば逆にミサイルの発射の可能性はあるよねと言ったら、それはもうよく分かりませんと答えられました。外務大臣は当然そのことをお分かりいただいていたと思います。現実には、二十九日にミサイルが発射されました。このときに総理も外務大臣もいらっしゃいませんでした。防衛大臣がいたからいいんだという議論は、それは成り立つかもしれませんが、これだけ緊迫している中で総理も外務大臣もいなかった。そのことを僕、実は、そうですね、声高に批判をするつもりはありません。外務大臣の、私は国連での閣僚級会合等は評価しています。
ただ、総理と外務大臣が一時期に国内にいらっしゃらなかったということは一定の何らかの根拠があったかどうかをお伺いしたいんです。何らかの暴発、アメリカもあれだけ緊迫している状況の中で、衝突事案や暴発、それから北朝鮮の挑発等はほぼないという、蓋然性がほとんどないという判断をされたからお二人いらっしゃらなかったんだと思うんです。その根拠についてもしお聞かせいただければと思います。
もちろん、朝鮮半島、韓国では、在留アメリカ人の退避勧告が出ているわけではありませんし、空母もカール・ビンソン一隻だけで、集結しているわけではありませんし、韓国の大統領選挙がまさに投票されている、今日から始まっているわけですが、そういった外的な要因でいえば蓋然性は低かったという判断があったのかもしれませんが、しかしながら、片方で防衛大臣は外遊をやめられました。
総理と外務大臣が一度に国内にいらっしゃらなかったという判断をしたことについて、何らかの根拠があった、そしてどうそのことを、そして現実に四月二十九日にミサイルが発射された、失敗だったかどうかは別の次元です、そのことについて外務大臣はどうお考えになっているか、お聞かせいただけますか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、昨今の北朝鮮の動向を見る中で、我が国として国民の命や暮らしを守るために、もう絶えずいかなるときも緊張感を持って万全の態勢を整えておかなければならない、まずこれが基本だと思います。
そして、四月の終わりの時点での北朝鮮の動向についてどのように見ていたのかという質問でありますが、北朝鮮の動向については平素から高い関心を持って情報収集、分析に当たっているわけですが、具体的な中身については、当然のことながら、事柄の性質上控えなければならないと思っています。
ただ、この四月の終わり、御指摘の総理と私が海外出張をするに当たりまして、総理、そして私としても、臨時代理を指定し、いかなる事態にも対応できるよう態勢を整えて対応に万全を期すとともに、出張先においても危機管理上適切な態勢を確保した上で、総理は北朝鮮に大きな影響力を持つロシアとの首脳会談に臨み、私もニューヨークにおける北朝鮮の非核化に関する安保理閣僚会議に出席をした、こうした対応を取った次第であります。
引き続きまして、この北朝鮮の状況を見ますときに、いかなる事態においても国民の命や財産を守るべく高度な警戒監視態勢を維持し、緊張感を持って万全の態勢を整え続けていかなければならない、このように認識をしております。
○福山哲郎君 いかなる事態においても万全の措置をとるのは当然です、これだけ緊迫しているわけですから。臨時代理を置くのもこれも当たり前の話です。そのことは当然やられていることだし、そのことについてはもう私は対応されていると思います。
しかし、それでも、総理大臣と外務大臣が国内にいらっしゃらなかったということについては、具体的なことがあったかどうかは明言できないとおっしゃったのはそのとおりだと僕も思っています。しかし、何らかの暴発なり衝突なりが起こる蓋然性は低いという判断があったから海外に行かれたということでよろしいんですね。
つまり、その判断もないのに、なかったらいいな、ないだろうな、ロシアとの首脳会談の予定も入っている、閣僚級会合も入っている、まあ行った方がいいなということでまさか海外出られたと私は思えないので、そのことについてどうでしたかとお伺いしているので、お答えできないことはお答えしていただかなくて結構ですが、そういう蓋然性が低いという判断はあったということでよろしいわけですね。
○国務大臣(岸田文雄君) 情報収集、分析については万全を期して努力を続けております。そしてその上で、政府としては総合的な判断の下に、政府として、総理は日ロ首脳会談に出かけ、私は安保理の閣僚会合に出席をしたということであります。
北朝鮮問題を解決するために我が国として何をしなければならないのか、これを総合的に判断した上で行動を決定したということであります。
○福山哲郎君 でも、現実には四月二十九日にミサイルを発射されたんです。これは失敗に終わったのか、実は意図的に爆破したという説もあって、発射されているんです、総理と外務大臣が現実に不在のときに。だから、何らかの蓋然性はあったのかとお伺いしたんです。特に、外務省は認証官三人が三日間不在でした。これは何らかの根拠がなければ、なかったらいいなというようなレベルで本当にいらっしゃらなかったとしたら問題だと思うので、まあ一応これも提起をさせていただきます、お答えしにくいと思いますので。
四月二十九日のミサイル発射の際はJアラートが流されませんでした。なぜか、お答えいただけますか。
○内閣官房副長官(野上浩太郎君) 国民の生命、財産を守り抜くためには国民に対して迅速かつ適切に情報伝達を行うことは極めて重要でありまして、政府としては、ミサイルが我が国に飛来する可能性がある場合にはJアラート等を活用し、直ちに国民に情報を伝達することといたしております。
今般の事案では、発射されたミサイルが我が国に飛来する可能性がなかったことからJアラートなどを使用しなかったものであります。
○福山哲郎君 我が国に飛来する可能性がなかった判断は何を根拠にされましたか。
○内閣官房副長官(野上浩太郎君) 事柄の性質上、詳細についてはコメントを差し控えたいと思いますが、防衛省からの情報に基づきまして、ミサイルが我が国に飛来する可能性のある場合にはJアラートを活用して直ちに国民に情報伝達することといたしております。
○福山哲郎君 防衛省は何を根拠に我が国に飛来する可能性がないことを察知したのか、答えられる範囲でお答えください。
○国務大臣(稲田朋美君) 防衛省としては、ミサイルが発射された場合には、一般に、早期警戒情報及び自衛隊の各種レーダー情報等により入手したミサイル関連情報、発射時刻、発射場所、発射方向等を内閣官房に逐次伝達をしているところでございます。
四月二十九日の北朝鮮による弾道ミサイル発射においては、各種レーダー情報も踏まえ、弾道ミサイルが我が国領域に飛来するおそれはないことを確認をして、その旨を内閣官房に伝達をしているところです。
○福山哲郎君 ありがとうございます。ということは、我が国に飛来する可能性はなかったと。
これは責めているわけではありません。しかしながら、一部の交通事業者は運行を休止しました。それも、根拠としては、報道の後に休止をして、電車が止まりました。
国交省にお伺いします。Jアラートは流されませんでしたが、一部の交通事業者で運行を休止した、この対応についてはどう評価されていますか。
○大臣政務官(大野泰正君) お答え申し上げます。
四月二十九日、Jアラート及びエムネットによる緊急情報発信はありませんでしたが、今御指摘のとおり、弾道ミサイルの発射の報道を確認して、東京メトロ、東武鉄道及びJR西日本は運行を抑止し、十分後に運転を再開した事象が発生いたしました。
Jアラート及びエムネットの緊急情報発信に関する仕組みにつきましては、当該事項の所管省庁において、鉄道事業者を含む指定公共機関に対し、これまでも説明会や情報伝達訓練を実施し、周知してきたところであります。今回の北朝鮮ミサイル発射事案を受けて、国土交通省としても、改めてJアラート及びエムネットの情報発信の仕組み等について各事業者に周知したところであります。
国土交通省としては、JR及び大手民鉄についてJアラート又はエムネットの情報に基づいて運行抑止を判断することを確認しており、各事業者においては、情勢の変化を踏まえ、より一層旅客の安全確保を最優先に対応を取っていただきたいと考えております。
一つだけ申し上げますと、テレビの報道によっての判断というのは、本来この事業者の中には入っておりません。今回はあくまでも事業者が独自にやったということであります。それだけは御理解ください。
○福山哲郎君 じゃ、何の報道で事業者は判断したんですか。
○大臣政務官(大野泰正君) 本来、事業者は、先ほど申し上げましたJアラート又はエムネットによってこの判断をすることになっております。しかしながら、今回、五時半の発射というところでありますが、六時に聯合ニュースによってその発射が伝えられ、それを六時六分、NHKのニュースのテロップによって各事業者が確認し、それによってその三つの事業者につきましては自主的に判断をされたということでございます。
○福山哲郎君 さっきテレビの報道で判断したんじゃないと言われたんじゃなかったの。だから根拠、じゃ何で事業者は判断したのと聞いたんですよ。だから、テレビの報道で判断したんでしょう、事業者は。でしょう。
○大臣政務官(大野泰正君) 済みません、ちょっと言い方が悪かったのかもしれませんが、これはテレビの報道によって判断をしたということでございます。
○福山哲郎君 いや、さっきと逆の御答弁だよ。テレビの報道で判断されたんでしょう、事業者は。ですよね。
だから、私申し上げたように報道で判断しているんですけど、五時半に発射されて六時七分とか八分のNHKの報道で止めたって、現実に我が国に飛来するとしたらもう間に合わないんですよ。もう逆に言うと飛来しているんですよ。Jアラートが鳴っていないのに止めたということは、事業者はより安全にしたいという思いですから。そこを僕は、だからさっきから言っているように責めていないんですが、そういうことの徹底を国交省はどうしているのかと昨日も聞いたんですけど、実は一向にはっきりしない。説明会をやっている、説明会をやっているけど、今回の対応はばらばらなわけです、簡単に言えば。
で、現実の問題としては、じゃ、Jアラートで止めてくださいというのは、基本的には、私鉄にしても民鉄でも何でもそうですけど、一応止めたら財産上の損害が出るわけです。だけど、今の方向だとそれぞれの業者がばらばらの対応をしている、事業者が。これでは徹底できないし、国民も安心できないし、今回のようにNHKのテレビ報道が流れた瞬間にいろんなところが止まって、どこに飛来するかも分からないのに全国で止まったら、たまたま今回関東地方でしたけど、全国で止まったらどうなるんだという話をしたら、いやまあ簡単に言うと、国交省さん、全然そこのところをはっきりされなかったので、この事業者が止めたことの評価と今後どうするのかということを今日確認したかったわけです。
だから、これは法的な根拠も含めて非常に重要なんですね。だから、Jアラートの瞬間に一旦止める、しかしながら、飛来情報が先に来てもどこに落ちるか分からなくて、その次は多分都道府県の情報が来るんですけれども、その時点でなのか、どこの時点で事業者は判断したらいいのかみたいなことをきちっとやっぱり国交省が事態対処室と防衛省等と協議してガイドライン等を作らないと、これ全部事業者の判断じゃ事業者気の毒ですよ。そのことをちょっと申し上げているので、副大臣、どうですか。あっ、政務官か。ごめんなさい。
○大臣政務官(大野泰正君) 先ほど来、本当に御指摘いただきましてありがとうございます。
今委員からもございましたが、これ国民保護に関わる重要な問題であります。しっかりと官邸また防衛省と対応を協議させていただきたいと思っておりますし、先ほども一言申し上げましたが、あくまでも情報の変化というのを、今あるわけでありますので、それを一層重要に考えて、我々として今後、より一層の対処をしていきたいと思っています。
○福山哲郎君 内閣官房副長官来られていますね。これ、ちょっと早急にやらなきゃ駄目ですよ。検討を重ねますじゃ駄目ですよ。北朝鮮から挑発的なことはこれから起こる可能性幾らでもあるんだから、そのたびにJアラートで止めるのか、報道で止めてしまうような状況が起こるのかと、徹底していかないと、本当に事業者混乱するし、乗っている乗客にも迷惑掛けますから、そこをちょっと、本当に昨日、僕、事前にレク受けていて曖昧だったんでちょっと驚いたので、ちょっと副長官、官邸主導でちゃんと関係省庁を集めてやってください。
○内閣官房副長官(野上浩太郎君) 国交省等関係省庁と協議してまいりたいと思います。
○福山哲郎君 よろしくお願いします。
次に、米艦防護に、お伺いします。
防衛大臣にお伺いします。五月一日から三日まで米軍の補給艦とともに日本の自衛隊の船が航行しました。これは、米艦防護の新任務なのか、新任務を付与されたことなのか、共同訓練だったのか、どちらか二者択一でお答えください。
○国務大臣(稲田朋美君) 今委員が御指摘になった護衛艦「いずも」と「さざなみ」が五月一日から三日までの間、米軍の補給艦一隻と共同訓練、戦術運動や通信訓練等を行ったところでございます。
お尋ねの自衛隊法九十五条の二に基づく米軍等の警護については、様々な報道が行われていたことは承知はいたしておりますけれども、米軍等の活動への影響や相手方との関係もあり、その実施の有無についてお答えすることは差し控えさせていただきます。
○福山哲郎君 共同訓練はした、米艦防護の新任務は付与したかどうかについては答えられないということですね。付与していないということではないですね、答えられないということですね。はっきりお答えいただけますか。
○国務大臣(稲田朋美君) お答えすることは差し控えたいと思います。
○福山哲郎君 答えていただけなくてしようがないんですけど、運用指針においては、米艦防護のときにはアメリカからの要請がある、必要な要件になっています。アメリカからの要請はあったかなかったか、お答えください。
○国務大臣(稲田朋美君) その点についても差し控えたいと思います。
○福山哲郎君 米艦防護の新任務を付与するに当たってNSCの開催が必要ですが、当時、先ほど申し上げたように、アメリカの要請も答えられない。NSCの開催はありましたか、お答えください。
○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。
米軍等の武器等の防護について一般論として申し上げますと、法律上は、警護の実施は防衛大臣が判断することとされておりますが、御指摘のとおり、昨年十二月に策定した自衛隊法第九十五条の二の運用に関する指針において、米軍等から初めて要請があった場合など重要なケースにつきましては国家安全保障会議、NSCで審議することとしております。他方、個別具体的な警護の要請、実施の状況等に関わる内容については、NSCにおける審議の有無を含め、事柄の性質上お答えを差し控えさせていただきます。
いずれにせよ、法令に従いまして厳格な運用を確保してまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 じゃ、新任務なのか共同訓練かよく分かりませんが、この前にNSCは開かれていますか。議題としてこの新任務か共同訓練も含めてNSCは開かれていますか。
○政府参考人(増田和夫君) 米軍等の武器等の防護に関する個別具体的な警護の要請、実施の状況等に関わる内容については、NSCにおける審議の有無を含め、事柄の性質上お答えを差し控えさせていただきたいと考えておりますということは先ほど御答弁したとおりでございますが、その上で申し上げますと、本年四月以降に開催されました国家安全保障会議四大臣会合のうち、四月五日、四月十三日、四月十七日、四月二十九日の会合におきましては、北朝鮮情勢等について議論が行われております。
それ以上の議論の詳細につきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと思っております。
○福山哲郎君 NSCは開かれているけど、要は、新任務について、米艦防護について議論されたかどうかについては答えられないという答弁ですね。要は、さっきから何も答えないということですわ。ということは、いつ米艦防護に自衛隊が任務を付与されて、どういう状況で航行されて、どういう任務が果たされているか、これから先も含めて全然見えないということです。
この問題については今日は時間がないので今後に譲りたいと思いますが、これ国民からは全く見えません。新聞には新任務と躍ります。この新任務は、もし新任務だとしたら、じゃ、仮の話で結構です、防衛大臣、これは特定秘密ですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 特定秘密に当たる、若しくは省秘に当たるということでございます。
○福山哲郎君 特定秘密に当たるって、こんなに報道出ているんだよ、どうなっているの、これ。これみんなあれだよ、全紙出ていますよ。これ誰が漏らしたの、そうしたら。これ特定秘密に当たるんだったら大問題だよ。これ今特定秘密に当たると防衛大臣言われたのは大問題なので、何だっけ、何の委員会、情報監視審査会の大野委員にこの後お任せしたいと思いますが、これ実際特定秘密だとしたら、こんなに新聞に出ているの大問題ですよ、誰がリークしたか分かりませんが。そのことも問題提起しておきたいと思います。
時間がなくなりました。
本日の協定書に関しては、我が党は全て賛成したいと考えております。特に名古屋議定書は、二〇一〇年、我が国が議長を務めました。当時、我々政権でした。松本龍環境大臣が議長として本当に各国の難しい交渉をまとめていただきました。私は、外務副大臣としてこの事前交渉に当たり、官房副長官として名古屋の状況を逐一連絡をいただきながら、そこに座っている外務省の職員の皆さんにも本当に御協力をいただきました。それが残念ながら、二年前に発効したにもかかわらず、三年前か、二〇一四年に発効したにもかかわらず、我が国がまだ批准をしていないことは非常に残念に思っています。
時間が掛かった理由は先ほど自民党の委員から質問があったのでもう申し上げませんが、世界最大の遺伝資源の利用国であるアメリカが、実は親条約である生物多様性条約すら締約国ではありませんし、この議定書の締約国にもなっていません。オブザーバーでは名古屋には来ていただきました。
このアメリカ国内の動向はどうなっているのか。日本としては、やはりこの生物多様性及び名古屋議定書にアメリカの参加を促すことをするおつもりはないのか。外務大臣、外務大臣会合とかこれまで多分安倍政権になってずっとあったと思いますが、この名古屋議定書、生物多様性条約にアメリカの参加を促すようなことの発言をされたのか、このことについてお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず最初の質問が米国の現状、状況についての御質問ですが、米国では、一九九四年に生物多様性条約の締結に向けた連邦議会での審議を開始し、上院外交委員会は通過したものの、上院本会議において可決に至らなかったと承知をしております。この議会での審議当時から、米国内では、同条約の締結により自国の関連産業等が影響を受けるのではないかという強い懸念が存在しておりました。そのため、同条約また同条約に基づき遺伝資源の利益配分に関する国際ルールを具体化する名古屋議定書を米国が締結する見通しは立っていないと認識をしております。これが米国の状況であります。
そして、働きかけについての御質問でございますが、我が国としましては、この生物多様性、重視をしております。米国を含め非締約国もオブザーバーとして参加する生物多様性条約又は名古屋議定書の締約国会議の場等において、世界の生物多様性の確保を図るためには国際的に協調して対応することが重要であると訴えてきております。
そして、私自身がこの会議において具体的にこの条約を挙げて米国に働きかけたかという御質問でありましたが、具体的なこの条約に対するやり取りは少なくともティラソン国務長官とはやってはおりませんが、が、ただ、米国に対しましては様々なレベルを通じてこの条約の重要性については働きかけを行っております。
今後とも、生物多様性の保全の重要性については積極的に発信をしていきたい、このように考えております。
○福山哲郎君 ティラソン国務長官はまだ在任期間短いですから、ましてや気候変動もトランプ政権は非常に消極的ですから、どちらかというと、やっぱり前のオバマ政権のときにいかにやっぱり働きかけをしていただいておきたかったという感じがあるので、そこは、そうはいっても、よろしくお願いしたいと思います。
名古屋・クアラルンプール補足議定書も、世界最大の遺伝子組換え農作物の作付け国はアメリカですし、オーストラリア、カナダ、アルゼンチンが遺伝子組換え農作物の輸出国ですが、これが参加していません。この実効性も上げなければいけないので、これについても働きかけを重ねてお願いをしたいと思います。
もう時間がないので最後の質問にしたいと思います。
違法漁業防止寄港措置協定でございますが、これ、実はやはり七年以上国会提出まで掛かっています。国内法の関係をずっと吟味を外務省が真面目にしていただいていたと思うんですけれども、どのようなプロセスで国会提出に至ったのか、お答えいただけますでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、IUU漁業は海洋生物資源の保存と持続可能な利用に対する大きな脅威となっており、我が国は責任ある漁業国としてIUU漁業対策の重要性を強く認識しております。
実際、我が国は、このIUU漁業対策のための国内措置の整備、地域漁業管理機関における保存管理措置の作成や実施、そしてIUU漁業対策の重要性を強調するG7外相声明の発出を主導するなど、取組を行ってきました。それに加えて、寄港国措置に主眼を置いたIUU漁業対策のための初の多数国間条約である本協定の交渉過程においても積極的に議論に参加してきました。
採択後も、早期締結に向け、国内法令の改正の要否も含め検討を進めてきましたが、本協定の義務を国内で過不足なく実施するためには他国による本協定の解釈や国内実施措置を見極める必要が生じました。
本協定採択後数年間、これ締約国の数が極めて伸び悩んだために、こうした今申し上げたような見極め、大変困難でありましたが、二〇一五年から一六年にかけて締約数が急増いたしました。こうしたことから、これらの国による協定の解釈あるいは国内実施措置の確認、精査をし、我が国は既存の国内法により対応可能であることがようやく確認できました。そして、今回協定を国会に提出するに至った。これが今日までの経緯であります。
○福山哲郎君 済みません、もう終わりますが、時間なので。
今大臣言われたこと非常に重要で、日本の国内法で担保できるので、実は外務省、今大臣言われなかったですが、これ各国に照会をして、日本の国内法でいいかどうかを確認してオーケーをもらったので、今回、国内法を措置せずに実はこの協定、批准に至っています。
それはそれで判断でいいんですが、実は今、共謀罪の議論は、今の国内法でいいという議論があるにもかかわらず共謀罪を設定して条約を批准しようとしていて、対応にこれずれがあるので、これ条約の国内法の担保の照会の仕方、確認の仕方等についてはこれ条約によってかなり外務省の対応が変わっているので、そのことを御指摘申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。

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