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2017

第193国会 参議院 外交防衛委員会 2017年5月18日


○福山哲郎君 おはようございます。民進党の福山でございます。よろしくお願い申し上げます。
まずは、今日、与党の委員の先生方が質問をなされないというので、私から御質問をさせていただきたいと思います。
五月十五日、陸上自衛隊の北部方面航空隊所属の連絡偵察機LR2が墜落をし、搭乗されていた四名の隊員が亡くなられるという痛ましい事故が起きました。隊員の皆様に本当に御冥福をお祈りするとともに、御遺族の方々にお悔やみを申し上げたいと思います。外交防衛委員会は、委員長も佐藤先生も自衛隊の御出身でありますし、お心がいかがかと思います。
人命救助に出動した方々がこういう状況になったということで、本当に心からお悔やみを申し上げたいと思います。四名の方々、まだお若い方もいらっしゃって、御家族もあるというふうに承っております。是非、防衛省、政府におかれましては、しっかりとした丁寧な御対応をお願いしたいと思います。
事故が痛ましい事故であったことは別にして、再発の防止には努めていただかなければいけません。改めて、今般の事故の概要を防衛大臣から御説明いただけますか。
○国務大臣(稲田朋美君) 五月十五日に消息不明となった陸上自衛隊の連絡偵察機LR2については、十六日、機体の破片、搭乗者四名を発見し、四名の死亡が確認をされました。亡くなられた四名の隊員に対し、心より御冥福をお祈りするとともに、乗員の御家族また関係者の皆様に対し、心よりお悔やみを申し上げます。かけがえのない隊員の命が失われたことは、防衛大臣として痛恨の極みでございます。また、地元の方々にも御心配をお掛けしたことについておわびを申し上げます。
当該機は丘珠駐屯地、札幌市にございますが、に所在する北部方面航空隊所属の航空機で、五月十五日午前十時四十八分に北海道知事から緊急患者空輸に係る災害派遣の要請を受け、函館空港に向け飛行中、十一時四十七分頃の交信を最後に函館空港の西約三十三キロメートル付近において管制官との連絡が途絶え、十一時四十八分頃、航空自衛隊のレーダーから消失したことを確認をいたしました。その後、夜を徹して捜索救助活動を継続していたところ、翌十六日に機体の破片、そして搭乗員四名を発見し、その後、隊員の死亡が確認されたところでございます。
今後は、機体の残骸、現場の状況を確認した上で、陸上幕僚長が設置をいたしました事故調査委員会において今般の事故の原因究明をし、今委員からも御指摘のありましたように、再発防止に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 是非よろしくお願いします。
大臣言われましたように、地元の皆さんの捜索活動も大変だったと思います。患者さんをお迎えに行かれて到着できなかったということで、患者さんがどうだったのかということも気にしておりましたら、陸上搬送で無事に病院に届けられたということも聞いております。
報道によればですが、フライトレコーダーが搭載されていなかったということになっております。その理由を御説明いただけますか。
○政府参考人(辰己昌良君) 今回の事故機でございますけれども、航空機の運航の状況を記録するための装置でありますフライトデータレコーダー、これを搭載できるタイプの航空機ではございました。事故前日の十四日でございますけれども、この点検を行ったところ、正常に作動しなかったということで、部隊におきましては、点検、修理のため、その当日搭載をしていなかったという報告を受けております。
○福山哲郎君 私、これで余り突っ込んだ議論をするつもりはないんですが、こういう事故が起こってフライトレコーダーが搭載されていなかったという報道が起きると、事故の原因究明に対して消極的になっているのではないかという印象を与えます。
それから、フライトレコーダーが前日の点検で作動しなかった、そうしたら、もうそれは外して載せない、別のものを載せるということはできなかったのかというのは、やっぱり単純にそう考えます。そのことについてはどのように今評価されていますでしょうか。
○政府参考人(辰己昌良君) これ、フライトレコーダーを一回積載をして、前日のことでございますけれども、コックピットの表示画面にデータレコーダーの電源が入っていない警報灯が出ましたものですから、それについては、これは正常に作動しないということで、この点検、修理が必要だということでございました。それで、当日におきましては、そういう意味で、これは搭載せず、点検、修理をするということで行ったとは聞いております。
いずれにせよ、これにつきましては、事故調査委員会においては事故究明を、徹底的に解明したいと考えておりまして、その上で我々として適切な対応を取りたいと思っています。
○福山哲郎君 原因究明がこれからなされるということですので、そのことも含めて、是非今後の対応についてよろしくお願いしたいと思います。
現状ですが、今般の事故の原因、どのように考えているのか、調査委員会が立ち上がっていると聞いておりますが、御報告いただけますか。
○政府参考人(辰己昌良君) 今回の事故原因については、五月十六日でございますけれども、陸上幕僚長が設置をした陸上幕僚副長を委員長とする事故調査委員会、これにおきまして、機体の残骸や現場の状況、それからレーダー航跡等を確認をした上で原因を究明していきたいと考えております。
したがって、現時点において事故原因について予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますし、速やかにこの事故調査委員会の調査を行って調査報告を行い、その上で再発防止に全力を尽くしていきたい、このように考えております。
○福山哲郎君 是非、再発防止よろしくお願い申し上げます。そこをきっちりやっていただいて、やっぱり隊員の恐らく士気も、というか、かなり心情を考えると、そういう再発防止しっかりやっていただいて、隊員の士気が落ちないようにもよろしくお願い申し上げます。
じゃ、話題を変えます。
先般の私、質問のときに、四月の二十九日のミサイル発射のときにJアラートが、東京メトロその他で止まったという話をさせていただいて、野上副長官に、国交省と関係省庁との協議を進めてくれと、JRや大手民鉄の方も含めて事業者にお任せするのはちょっと余りにも酷だという話をさせていただきました。
現実に五月の十四日に弾道ミサイルがまた発射をされて、Jアラートが作動というか、鳴らなかった事態だったわけですが、その状況のときに今回はどのような対応をされたのかについてまずお答えください、各事業者が。
○政府参考人(東井芳隆君) お答え申し上げます。
委員御指摘の五月十四日の件でございます。北朝鮮より再び弾道ミサイルが発射されましたが、Jアラート、エムネットによる情報は発出されませんでした。JR並びに大手民鉄各社はJアラート又はエムネットの情報に基づいて運行の抑止の判断をするということに統一されておりまして、その旨再確認もさせていただいておるところでございまして、各鉄道事業者とも運行を抑止することなく、全て通常運行を継続したところでございます。
○福山哲郎君 いやいや、それは、四月二十九日の時点では統一的なものが確認されていなかったからばらばらな対応だったわけですよね。
じゃ、国交省、お伺いします。それは言っていただいていいんですが、JR六社、大手民鉄十六社を始めとして、統一の見解をするためにどのようなことをされたのか、御説明ください。
○政府参考人(東井芳隆君) お答え申し上げます。
国土交通省では、五月九日、Jアラートのメッセージ変更というのが内閣官房より説明を受けました。直ちにJR並びに大手民鉄に対して情報提供を行いますとともに、同日からJアラートのメッセージの変更がされた旨、社内の関係部署に迅速に周知するよう注意喚起いたしました。
さらに、五月の十二日でございますけれども、内閣官房の御協力をいただいて、JR並びに大手民鉄各社が参加する鉄道事業者との意見交換会を開催させていただきました。この意見交換会におきまして、JR並びに大手民鉄各社がJアラート又はエムネットの情報に基づいて運行の抑止を判断することに統一されたことを再確認させていただいたということでございます。
また、その席上でございますけれども、参加した各社より、Jアラートの警報範囲の考え方ですとか、Jアラートのメッセージ内容の変更、あるいはJアラートが鳴ってから実際にミサイルが飛来するまでの時間はどの程度かというような質問が寄せられ、内閣官房より丁寧に回答を行う中で、各鉄道事業者が問題意識を共有し、更に理解を深めることができました。参加した鉄道事業者からも、極めて有意義な内容であったとの声が寄せられております。
今後とも、内閣官房の御協力をいただきながら、旅客の安全確保を最優先とする鉄道事業者による取組を支援してまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 五月の十二日にやられたということで、各社からは良かったということなんですけど、この間、五月九日の質疑で私申し上げたように、それをそれまでやっていなかったことが私は実は大問題だと思っておりまして、今回、五月の十二日にやっていただいて、今のような対応で、北朝鮮のミサイル発射は言語道断ですが、十四日の問題については、事業者が各社そろった対応をしていただいたことについては国交省の御努力を多としたいと思います。
ただ、Jアラートで、今Jアラートが鳴ると屋内退避だということでございますが、これは、国民各層への周知徹底はどのように考えているのか。これは官房副長官かな。
○内閣官房副長官(野上浩太郎君) 国民の生命、財産を守り抜くためには、国民に対して迅速かつ適切に情報伝達を行うことは極めて重要でありまして、政府としては、ミサイルが我が国に飛来する可能性がある場合には、Jアラートを活用して直ちに国民に情報を伝達することとしております。
今般、Jアラートにより伝達するメッセージの内容を、国民の皆様が身を守るために取るべき行動という観点からより分かりやすいものとするためにメッセージの変更等を行ったところであります。具体的には、ミサイル発射情報伝達の時点で避難を呼びかけることに変更すること、また、避難の呼びかけについて避難先を具体的に呼びかけることに変更することなどを行ったところであります。
御指摘の周知につきましては、このメッセージの変更については、内閣官房のホームページに掲載をし、記者会見を行いましたほか、都道府県向けの説明会を開催をして、地方公共団体を通じての住民への広報を要請しますとともに、指定行政機関向けの説明会も併せて実施をしまして、指定行政機関から指定公共機関等への周知を要請をしたところであります。
また、所管省庁に対して申出のあった指定公共機関と意見交換を開催することといたしておりまして、これまで鉄道事業者、放送事業者に対してJアラートのメッセージ等について説明をし、意見交換を行ったところであります。
今後とも、Jアラートによる緊急情報の伝達等について、国民の皆様の理解が進むように様々な手段を通じて広報に取り組んでまいりたいというふうに思います。
○福山哲郎君 それが周知徹底できるかどうかはよく分かりませんが、御努力いただいていることは多としたいと思います。
ただ、官邸のホームページをみんなが見てくださるわけではないので、国民からすればほんの一部ですから、そこにあるから伝えていましたみたいな、そういう状況には多分ならないので、どうやって告知するかについては、よりしっかりと対応していただきたいと思います。
ちょっと与党みたいな質問が続きましたので、副長官がいらっしゃる間に少し嫌なことも言いたいと思います。
これは安倍政権だとか安倍総理だから申し上げているわけではありませんが、先般の五月の十四日のミサイル発射の時点で、ミサイル発射が五時二十八分でございます。総理が官邸に入られたのが六時四十一分です。報道があったのが六時七分とか八分です。私、たまたまそのとき起きておりまして、報道があって、あっ、ミサイル発射だと。で、ずっと報道を見ていたら、総理がぶら下がっておられたと、記者団の前に。それが六時四十何分で、これはどう見ても官邸に入った時間だなと思ったんですね。つまり、官邸にいて出てこられたんじゃなくて、官邸に私邸から入られた時間が六時四十分前後なんだなと思いまして。
総理は対応できるといつも言われているんですけれども、これ別に安倍総理だから僕は言っているわけではなくて、五時二十八分に発射されて、官邸着が六時四十一分、もっと言うと私邸を出られたのが六時半なんですね。
私は、たまたまこれは日本に着弾をしなかったので、この時間的な余裕は、何もなく問題なかったと思います。しかし、例えば首都圏直下の大地震とかあったら、車列が本当に官邸までたどり着けるような状況、道路の状況はどうなっているか分かりません。もちろん緊急車両ですから万難を排して向かうのはよく分かりますが、副長官にお伺いしたいんですが、総理車列はずっと私邸に二十四時間待機していつでも出られる状況になっているのか、総理を迎えに行かれる状況になっているのか、どちらですか。
○内閣官房副長官(野上浩太郎君) お尋ねの車列の問題ですとか参集方法についてでありますが、これは内閣総理大臣の警護に関することでもあるため、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 万全を期しておられると思うんですが、実はそれは私邸にいるから、そのことの危機管理上警察の対応は表明できないという話になるわけです。公邸にいればそんな必要全くないわけです。
車列がもし、迎えに行くような状況は僕はないと思いますが、迎えに行くとしたら、迎えに行くことに対してのリスクが、震災や何らかの形ではリスクがある。もし車列が二十四時間待機していたとしても、その車列が官邸までの動線で、先ほど申し上げたように万難を排して通る道をチェックをしながら来られると思いますが、それでも通常とは違う時間が掛かるかもしれない。ミサイルの話も日本に着弾をしていないから何もなかったわけで。私は、これ先ほどから何回も申し上げた、安倍総理だから言っているんじゃないです。国家の危機管理として本当に、総理、一時間掛かって私邸出ているわけですよ、これが本当にいいのかということです。
状況によっては、公邸や官邸に寝泊まりをしていただかなきゃいけない事態が起こる可能性だってあるわけです。別に私がどうのこうの言っているわけではないですが、震災のときは、四日ほど私はずっと官邸のソファーに寝泊まりしていました。前田さんもほとんどそういう状況だったと思います。当時は、総理も実は公邸にも行きませんでした。官邸の執務室のソファーで総理は震災のときにずっと仮眠を取っておられました。
やっぱり、物理的な距離と、車列を動かすというリスクと、そして道路がどういう状況になっているか分からないというリスクは、これは誰が総理であろうが、安倍総理が数を持っていようが議席が多かろうが関係ありません、そんなことは。
このことについては、私は今回特に感じました。発射されてから一時間十分後に官邸に入ったと。もちろん、代わりの危機管理監や、対策室が立ち上がっていることも百も承知です。でも、このことについては、副長官、やはり一回官邸内で、そんたくして遠慮しないで、リスクじゃないかという話はどこかでしていただきたいと思います、何かあってからでは遅いので。そこについては、副長官、いかがですか。
○内閣官房副長官(野上浩太郎君) まず申し上げなければならないのは、内閣総理大臣は、所在場所にかかわらず、常に緊急事態に対応できるように危機管理の態勢をしいております。大切なことは、危機に際してリーダーが適時適切な判断を行って事態をマネージできるかどうかでありまして、どこに所在するかということではないというふうに思っております。
その上で、今回の弾道ミサイルの発射への対応について申し上げますと、総理は、発射後、直ちに秘書官から第一報を受け必要な指示を行うとともに、逐次報告を受けて国家安全保障会議を開催をして対応するなど、一連の政府の対応は全く問題はなかったものと考えております。
○福山哲郎君 そういう開き直りが問題だと思いますよ。
じゃ、必要な指示を出せればいい、どこに所在するかは関係ない。必要な指示を出した、指示、言ってください、中身。
○内閣官房副長官(野上浩太郎君) 三点の指示であります。一つは、情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して迅速、的確な情報提供を行うこと、二つ目は、航空機、船舶等の安全確認を徹底すること、三つ目が、不測の事態に備え、万全の態勢を取ることであります。
○福山哲郎君 そんな指示、どの総理大臣でも出しますよ、第一報をもらったら。当たり前の話じゃないですか、そんなこと。そうでしょう。
じゃ、どこに所在するか関係ないんですね。今、国会で明言しましたよ。国家の最高責任者であり危機管理の責任者がどこに所在するか関係ないんですね、連絡が入って指示があれば。本当ですか。
外務大臣、どう思われますか。僕、前田さんにも聞きますからね。前田さんは総理大臣秘書官だったんだ。本当にそうですか。
私、あえてここで言わなかったけど、今みたいに開き直りの答弁が出たら言わざるを得ない。延坪島の砲撃事案のときに、北と韓国が砲撃し合ったとき、公邸にいて連絡を受けて、そして官邸に入った当時の総理が公邸にいたのはけしからぬといってさんざん国会で批判をしたのはどこの党ですか。僕はそのことをあえて言わないけど、時間が掛かり過ぎじゃないかと。
いいですか。公邸にいて逐一連絡が取れて、公邸から官邸の距離がどのぐらいかは皆さんお分かりのとおりだと思う。それでも公邸にいたのはけしからぬと言い続けたんですよ、当時の自民党は。
いいんですね、どこに所在するかは。関係ないんですね、本当に。副長官。
○内閣官房副長官(野上浩太郎君) 今申し上げたとおり、大切なことは危機に際して適時適切な判断を行う、そして事態をマネージすることができるかどうかということだというふうに思っています。
○福山哲郎君 いいですか、マネージできるかどうかは結果なんです。事が起こったときに、マネージしたときに適時適切かなんか分かんないじゃないですか。そもそも適時適切にやるという前提であること自身が、そもそも危機管理上はそういう発想では危機管理できないと思いますよ、僕は。
さっきの指示、そんなものはどの内閣総理大臣だって、歴代だって、一報を受けたら出す指示じゃないですか。違いますか、副長官。どの内閣総理大臣でもその指示は出すでしょう。
○内閣官房副長官(野上浩太郎君) この総理指示、三点の指示は、あの当日出されたものでありますが、この危機管理対応について常に万全を期していくということが重要でありまして、その態勢を今しっかり取っていると、常に万全の態勢を取っているということであります。
○福山哲郎君 万全の態勢を取るなんて当たり前の話じゃないですか。じゃ、どこにいても、所在がどこでも万全だという理屈はどこにあるんですか。
○内閣官房副長官(野上浩太郎君) 先ほど申し上げましたとおり、今般の弾道ミサイルの発射の対応についても、総理は、発射後直ちに秘書官から第一報を受けて必要な指示を行っております。また、逐次報告を受けてNSC等を開催して対応しております。こういう対応について問題はないというふうに思っております。
○福山哲郎君 そんなのはさっきの答弁ですよ。第一報受けるなんて、誰でも総理は受けるんですよ。第一報なんか受けなかったら大問題じゃないですか。指示出すのだって、さっき言った誰でも出す指示を出しているんじゃないですか。安倍内閣が特別の指示を出していますか、第一報で。何を言っているんだ、こっちが少し遠慮がちに質疑したら。そんな傲慢な答弁がありますか。
前田さん、総理の秘書官でしたよね。あのときにさんざん公邸にいたことで当時の自民党が批判をされたことも御記憶あると思いますよ。そのことをどうのこうの言わない。だけど、防衛省、危機管理の問題として、本当に総理が、何かあったときに移動する距離があること、車列の問題については、福島の1Fに電源車が行くかどうか、道路がどこで寸断されているかどうか、必死になって対応しましたよね、だって到着できないことがあり得るんだから。
そのことについて、万全の態勢を取っている、どこに所在するかは関係ない。本当にそうですか。どこに所在するかどうか、最高責任者がどこに所在するかどうか、連絡さえ取れればそれでいいと前田さんはお考えですか。答えにくいのは分かる。別にあなたが私の今の質疑に対して、私のことに了解してほしいとは思わない。でも、少なくともそういった発想はまずいと僕は思いますけど、前田さん、どう思われます。
○政府参考人(前田哲君) 私の立場で御質問にお答えすべきなのかよく分からないところもございますけれども、危機管理のときのその本質というのは、先ほど野上副長官御答弁になられましたけれども、その機に際して適時適切な判断を、これはいろんなところに、総理、また我々の防衛大臣もそうですけれども、おられるときがございますので、どこにいても適時適切な情報を入手をして判断をする、その態勢を整えること、それが本質なんだというふうに思っております。
したがって、どこにいるかという所在の場所だけが問題ではないのではないかというふうに私は考える次第でございます。
○福山哲郎君 そのとおりです。本質はきちっと対応する、総理がどこにいるか分からないわけですから。しかし、なるべく危機が起こらないように万全の態勢を取る、リスクに対して最小化することが私は重要だと思いますよ。ましてや北朝鮮の問題がこれだけ緊迫しているような状況で、今の副長官の発言は、答弁は私は全く納得できない。
もう一回だけ確認しますね、これから先のことがあるから。どこに所在するかは関係ないんですね、それを本当に官邸が言っていいんですね。
○内閣官房副長官(野上浩太郎君) 公邸に居住するか否かにかかわらず、政府の危機管理については遺漏のないよう万全を期しているということであります。
○福山哲郎君 答えなきゃ。自分が言った答弁なんだから。
○委員長(宇都隆史君) もう一度答弁を求めますか。
野上内閣官房副長官。
○内閣官房副長官(野上浩太郎君) 先ほども申し上げましたが、緊急事態に対応できるように万全の態勢をしいているわけでありますが、大切なことは、適時適切な判断を行って事態をマネージできるかどうかであり、どこに所在するかということではございません。(発言する者あり)
○委員長(宇都隆史君) ちょっと速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(宇都隆史君) 速記を起こしてください。
○内閣官房副長官(野上浩太郎君) 今ほども申し上げましたが、内閣総理大臣は所在場所にかかわらず常に緊急事態に対応できるように危機管理の態勢をしいておりまして、大切なことは、リーダーが適時適切な判断を行って事態をマネージできることだということであります。
○福山哲郎君 さっきの答弁と若干トーンが違うんですが、しかしながら、この問題は私、問題あると思いますよ。そのことだけは申し上げておきますし、今の非常に私は危機管理に対して謙虚さのない答弁だと思いますので、そのことについては指摘をさせていただきたいと思います。
報道によれば、北朝鮮が具体的な日時を、あっ、副長官、どうぞ御退席ください。
○委員長(宇都隆史君) 野上内閣官房副長官、御退席いただいて結構でございます。
○福山哲郎君 先月の十八日、報道によれば、ある種の外交筋でございますが、北朝鮮が具体的な日付を示して核実験を行うと中国に通告していたと。具体的には、二十日に行うということを二日前の十八日に中国に通告していたというものがあります。
これは非常に重要な情報でして、いわゆる核実験をするかしないかということで非常に緊迫をしていた。そして、中国とトランプ大統領との間の会談も断続的に行われていた。そのときに北が核実験を行うということを通告していたということでございますが、このことについて、外務大臣、防衛大臣はその情報を、今把握しているのか、事実として受け止めているのか、当時はどうだったのかお答えください。まず外務大臣から。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、報道については承知しております。
その上で、その情報について、そのとき知っていたのか、今知っていたのか等御質問がありましたが、そもそも関係国におけるこうした情報のやり取りについては明らかにしないというのがあるべき対応であると考えます。
当然のことながら、米国、中国、韓国を始めとする関係国との間において緊密に連携し、情報収集、分析に当たっているわけですが、その詳細について具体的に明らかにすることは控えなければならないと考えます。
○委員長(宇都隆史君) 防衛大臣まだよろしいですか。
○福山哲郎君 防衛大臣、同様の答弁ですよね。まあ一応どうぞ。
○国務大臣(稲田朋美君) 報道は承知をいたしておりますが、核兵器開発の状況、北朝鮮の動向については防衛省として平素から情報収集、分析に努めておりますが、個々の具体的な情報について、事柄の性質上、お答えすることを差し控えたいと思います。
○福山哲郎君 報道では、中国はその情報を、通告されてきた情報をアメリカに伝えたということですが、まあ、そのことについてもお答えいただけないと思いますのであえて申し上げると、アメリカはその情報を日本にも伝えた、そして日本も警戒態勢が取られたと。緊張感が恐らく、かなり日米、中国、そして韓国とも恐らく走ったんだと思いますが。まあ一応聞きます。真偽のほどはいかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の点、情報収集、分析のありようを明らかにすることにもなりますし、そもそも第三国間のやり取りも含む話でありますので、我が国としてこうした公の場で明らかにすることは控えなければならないと考えます。
○福山哲郎君 当時、四月の二十日に核実験を行うという通告だったということなんですが、四月の十四日には北朝鮮の外務次官が、最高指導部が決断したとき、決断した場所で核実験は行われるだろうと言っておりますし、核実験の場所でいろんな動きがあったという報道もありました。
それに対して中国は、通告を受けて、核実験を強行すれば国境封鎖をするということを伝えたということも報道で流れています。これは中国にとってはかなり大きな決断だというふうに承りますし、その前後に、トランプ大統領、二十一日です、二十日だと言われたのが結局核実験は行われなくて二十一日、トランプ大統領のツイッターでは、習国家主席は一生懸命取り組んでくれると確信している、中国は、二十一日、同様です、中国は北朝鮮にとって命綱だ、だから、もしそうしたければ中国は北朝鮮の問題を解決するだろうというふうに、中国を高く評価をする発言がトランプ大統領から出ます。その後、北朝鮮が中国側に対して非常に批判的な、何というか、報道なり発言が繰り返されるのはもう御案内のとおりでございます。
この報道が真実かどうか、事実かどうかについては明らかにできないというのは私は一定理解をしますが、こういったことがあったかもしれないということは非常に、やっぱり北朝鮮の情勢についてはいまだに予断を許さないというふうに思うしかないと思っておりますので、緊密に、特に韓国の新政権が北側に融和的な可能性があるということも含めて、外務大臣におかれましては、GSOMIAの延長問題や今後の連携の問題やTHAADの配備の問題、若干今までの、大統領選挙のこれまでの経緯を見ると、今の文在寅政権、若干、いささか、どっちへ転ぶか分からないと思っておりますので、これは日中韓、アメリカも含めて、外務大臣、この間も外相会談されたと思いますが、外相は前の政権の外相ですから、新政権になっても外務大臣に御努力をいただきたいと思っておりますが、それはいかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、北朝鮮をめぐる情勢につきましては、これからも大きな関心を持って情報収集、分析に当たっていかなければなりません。加えて、我が国政府としましては、いかなる事態にも対応できるように緊張感を持ってこの対応を考えていかなければなりません。
そして、その上で、今委員の方から御指摘がありましたように、この問題において、日韓、そして日米韓、こうした国との安全保障面における協力、極めて重要であります。韓国との間においても、GSOMIAを始めとする情報共有など、様々な安全保障上の協力をしっかりと確認していかなければならない、このように考えます。
○福山哲郎君 そこは是非御努力をお願いしたいと思います。
最近、報道では、我が国のイージス搭載のSM3若しくはPAC3の二段構えの迎撃体制では能力的にロフテッド軌道のミサイルは迎撃が難しいなどという報道が出ています。佐藤委員からはそのことに対する危機感の問題も出ておりますが、稲田防衛大臣は、現時点でイージス・アショアといった新たな装備品について導入に向けた具体的な検討を行っているわけではありませんけれども、種々の検討をしたいというお話をされています。
それはそれで必要なことだと思うんですけれども、一方で、これは迎撃できないんじゃないかみたいな話が報道でどんどん出て、一方で、新たな装備の検討といっても、新たな装備なんてすぐできるわけではないわけですね。予算措置、で、今は現実には中期防が動いているわけです。SM3ブロックⅡAも今共同開発の最中で、別にあした配備されるわけではないわけです。
こういった状況でそういった報道が出たり、防衛大臣が迎撃できないみたいなものを所与とするようなものとして発言をされるのはいかがかなと。まあ現実ですから、専門家から見れば明らかなのでそんなこと言っても言わなくても一緒だと言われれば一緒なんですが、別にすぐに新たな能力の高い装備が配備されるわけではないので、国民も不安になりますし、そういった問題について、今の状況、それから新しい新型のミサイルと言われているものの能力等について防衛大臣はどういうふうに今お考えか、お聞かせいただけますか。
○国務大臣(稲田朋美君) ロフテッド軌道を含め、弾道ミサイル攻撃に対する迎撃可能性については、飛来する弾道ミサイルの性能、発射地点、着弾場所等の様々な要因によって変化するものであることから一概にお答えすることは困難ですが、現行の迎撃ミサイルであるSM3ブロックⅠA、PAC3の個別具体的な性能についても我が国の手のうちを明かすことになるのでお答えは差し控えさせていただいておりますが、その上で、弾道ミサイル防衛システムについては、迎撃ミサイルを組み合わせた多層防衛により我が国に飛来する弾道ミサイルへの対処能力を有しておりますが、一般に、ロフテッド軌道を取ることにより迎撃を回避することを企図して発射された弾道ミサイルについては迎撃はより困難になるというふうに考えております。
先ほど委員も御指摘になったように、今現在、防護範囲を拡大をし、ロフテッド軌道を取るものも含めた弾道ミサイル攻撃への対処能力を向上させるSM3ブロックⅡA、PAC3MSEの導入を進めており、引き続きこれに全力を挙げて取り組むことによってBMDシステムの着実な能力の強化を図ってまいりたいと考えております。
○福山哲郎君 相手の実験に合わせて、そんなわけではないんでしょうけど、こちらが強化をしていく。でも、こちらがそれに対して強化をしたら、このままの状況でいけば、圧力を幾ら加えても相手は着々と開発を進めてきたと、これが今のこれまでの歴史的な経緯だと思います。ですから、新しい能力を向上させたいと努力をして予算を掛けて、それが駄目だと言っているわけではありません、しかし、数年後にようやく配備されましたと言っているときに相手側がどういう状況の開発をしているのかということになると、これはある意味でいうと、エスカレーションと防衛費の限りない、何というか、増えていく状況があって、これが実はリスクを余計高めるということが国際政治の中ではよく言われる話です。いわゆる囚人のジレンマの問題です。ですから、このことに対して何らかの形の状況を変えていかなければいけない。
そんな中で二階幹事長が、厳重に対処しますとか、よく言われる、国連安保理決議に明確に違反している、断固容認できないみたいな、まあ公式発言はよく分かるんですけど、二階幹事長が、こんなことばっかり言っている、同じことを言っていて、こんなことでよいのかと思うと。毎日毎日同じコメントをしているだけで、やっぱり日本としてどうあるべきかということをすぐに述べられなければ、今から協議する必要がある、私はそれくらい思っていますと。これ対話しろということだと思うんですけれども、これ二階幹事長が言われているんです。これは別に、済みません、党と政府が一致していないみたいなことで言っているわけではなくて、こういう考え方も自民党の幹事長から出ていると。
このことについて、私もそちら側に座ったことがあるので公式の発言しかできないこともよく分かっているつもりですが、今、逆に言うと、文在寅大統領、それからトランプ大統領も条件が整えば北朝鮮と対話をする用意があると言っている状況の中で、その条件って一体何なんだと。いや、もちろん核開発の放棄とか、それはもちろんありますが、そういったことについての動きもそろそろ必要な段階に入ってきているのではないかなと。
外務大臣の言われる対話のための対話は意味がないというのは私もそう思いますが、そこは、今、日本が外交関係がない状況の中で、日本としての対処の問題とかも難しいとは思いますが、今、外務大臣、どのようにお考えになっているのか。
今日実は、僕、ほかに質問したいことがいっぱいあって、条約関係で今日お越しいただいている方、本当に座っていただいたのを申し訳なく思っているんですけど、ちょっと野上副長官の答弁が余りにも不誠実だったので時間が取られちゃいまして、ですから、最後は、済みません、外務大臣に、今の私の問題意識について少し御意見を披瀝いただければと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、今委員と防衛大臣との間において北朝鮮の安全保障上の能力についてのやり取りがありました。北朝鮮のこうした様々な能力、核やミサイル開発における能力の向上を見ましても、まず現実的には北朝鮮の外貨収入を閉ざす、外貨収入を抑えていく、これがまず現実的に求められているということを強く感じます。
一方で、委員の方から対話について話がありました。対話のための対話であってはならない、要は、北朝鮮の核開発を認めるというようなことがあってはならないということから、今はまずは圧力を掛けることが重要であるということで、外貨収入を抑えるなど、様々な取組が国際社会全体として行われています。
こういったことから、今は米国を始め関係国と一致する中で圧力を掛けるべきだという対応を取っているわけですが、こうした核、ミサイル、さらには、我が国は拉致問題という今の政権にとって最重要課題の一つと位置付けている重大な問題があります。こういった問題を解決するに当たって、対話という要素、これはどうしても必要になる要素ではあると思いますが、この対話と圧力のバランスなりタイミングなり使い方、これを間違えてはならないということを改めて感じています。
これからも我が国は、対話と圧力、行動対行動の方針の下で、国際社会、関係国ともしっかり連携をしながら北朝鮮に対して効果的なメッセージを送っていかなければならないと思いますし、北朝鮮の具体的な反応を見て最も効果的な対応は何なのかを絶えず不断に考えていく、こういった態度で対応をこれから検討していかなければならない、このように考えます。
○福山哲郎君 終わります。ありがとうございました。

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