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2017

第195国会 参議院 外交防衛委員会 2017年12月5日


○福山哲郎君 御苦労さまでございます。立憲民主党の新米幹事長、福山でございます。
新しい政党になりまして、今参議院では一人ということでこの場からの質問になりますが、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
北朝鮮が先月二十九日にICBMを発射し、本当に断固容認できないということで衆参共に決議が行われました。両大臣におかれましては大変日々御尽力をいただいていると思いますし、各省庁の面々も本当に緊張感のある仕事をされているところだというふうに思います。本当に御苦労さまでございます。
八月の十七日に日米の2プラス2があって、さらには十一月上旬にトランプ大統領の訪日などがありました。それぞれ外務大臣、防衛大臣は出席をされて、かなり綿密な議論をされていると私なりには思っております。
御答弁いただけるかどうか分かりませんが、例えば2プラス2、そして十一月のトランプ大統領の訪問、さらにはそれぞれの電話会談等、度重なる議論の中でアメリカから北朝鮮に対する何らかの軍事オプションの可能性についての言及は実際にあるのか。また、そういった仮定の話は、もちろんその場合には日米の協力が相手からは求められると思いますので議論がないとは思わないんですが、あるのかどうか、お答えできる範囲で、外務大臣、防衛大臣、お答えいただけますでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 2プラス2でかなり北朝鮮情勢に関して突っ込んだ議論をやらせていただきました。また、トランプ大統領がいらっしゃったときには、日米の首脳間で十分な時間を掛けて北朝鮮の情勢に関する意見交換というのが行われました。
我が国は、全ての選択肢がテーブルの上にあるというトランプ大統領の立場を一貫して支持しております。中身について公の場で申し上げることは様々支障がありますので申し上げるわけにはいきませんが、現在、日米間、方向性について意見の一致をしているということは申し上げてよろしいかと思います。
○国務大臣(小野寺五典君) 防衛当局としても、2プラス2において、あるいは電話会談等、あるいは海外における防衛大臣会議におきまして、日米双方が能力向上に取り組むとともに、ガイドラインの実効性確保の取組を進め、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化していくことで一致をしております。
相手国との関係がありますので、これ以上の詳細は差し控えさせていただきたいと思いますが、もとより、政府として他の国・地域の体制を力により転換することを目標として掲げたことはありません。
今後とも、日米間で北朝鮮問題への対応については緊密に連携していきたいと思っております。
○福山哲郎君 外務大臣も防衛大臣も、言えないことがあるのは分かりながら、今、かなり私はニュアンスとしては踏み込んでいただいたと思っています。
外務大臣は、全ての選択肢があることに対して一致をして、そこにかなり突っ込んだ議論があると。全ての選択肢の中には、当然、軍事的オプションについてもあるというふうに考えるのが一般的なものですし、そのことに対して突っ込んだ議論をしたということでございます。
私は、少なくとも軍事的オプションは今の段階で取るべきではないと思っていますし、戦争は避けなければいけないと考えています。そして、よく圧力か対話かという議論があるんですが、圧力か対話は二者択一ではなくて、圧力はあくまでも対話に引き出すための圧力だという状況の中で御尽力をいただきたいと切に思います。
全ての選択肢に対して支持をしているから軍事的オプションを取ってもいいということではないということだけは、是非、共通の理解としてお願いしたいと思いますが、外務大臣、いかがですか。
○国務大臣(河野太郎君) お考えとそう違うところはないんだろうと思います。
北朝鮮がかなり一方的に国際社会を挑発をしている。韓国、日本、身近なところにいるこの両国が万が一北朝鮮の脅威にさらされるようなことがあれば、米国は持っている抑止力の全てを使う用意があるということを、繰り返し米国が北朝鮮に対して発信をしております。
我々は、北朝鮮に対して圧力を掛けようとしておりますが、それは北朝鮮が対話に出てくるために圧力を掛けているわけでございます。ただし、米朝枠組み合意や六者会合を振り返ってみれば、対話をしましょうといって対話をしているだけでは核やミサイルは止まりませんので、核、ミサイルを放棄をするという明白な意思表明があり、確固たるそれに向けたプロセスが始まったときに国際社会は北朝鮮と対話をする用意がある。勤勉な労働力があり、豊富な資源がある北朝鮮ですから、国際社会の協力を得られれば経済的な繁栄をすることも可能になるんだろうと思います。
ですから、北朝鮮の今の体制が、今北朝鮮が取っているコースは間違いであるということを認識をし、それを、核、ミサイルを放棄し、拉致問題を解決するという意思を明確にすることによって方向性を変えるんだという明確な意思を表明してくれれば、国際社会は北朝鮮としっかり対話をし、北朝鮮が経済的な繁栄に向けて歩み出す後押しをする用意があるということは申し上げてよろしいのではないかと思います。
○福山哲郎君 これもまた随分突っ込んでお話をいただきまして、もう是非、本当に重ねて御尽力を期待したいと思います。
私がなぜ軍事的オプションについて議論したかということを聞いたかといえば、九四年の御案内のペリー・プロセスのときには、九四年の六月に、結果、カーター元大統領の平壌訪問があったわけですが、その四か月前の二月に日米の首脳会談があって、当時の石原官房副長官の言葉によれば、ほとんど実は日米首脳会談は軍事的オプションについての状況についての話合いだったと。そして、当時のペリー国務長官もそのような類いのことを言っていて、まさにこれだけ緊張が高まっている中での日米首脳会談や2プラス2の中でその話が出ないわけはないと私は思ったのであえてお伺いしまして、ニュアンスとしては非常に突っ込んだニュアンスで外務大臣がお答えをいただいたと私は受け止めさせていただきました。
当時のペリー・プロセスでも、百万人以上の韓国人と十万人以上のアメリカ人犠牲者が出ると米国の政府内では議論されました。今回も、アメリカ議会の調査局の報告書では、少なくとも十万人のアメリカ国民を含む二千五百万人程度に影響があると。そして、逆に通常兵器の配備は当時よりもはるかに北朝鮮は、配備が充実しているというのは言葉として嫌ですね、配備が強くなっているので、日本にも非常にリスクは当時よりも高まっていると。こういった報告書が出ていることに対して、一方で、アメリカの攻撃力が非常にこれまた近代化しているので一気にせん滅ができるから、北朝鮮からの反撃は最小限度で済むんだという議論もあります。
こういったシミュレーションや両論について、外務大臣、防衛大臣は今どのように認識をされておられるか、お答えをいただけますでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 米国議会調査局ですか、この報告書は米国政府を代表しているものではないという認識をしておりますし、また、このほかにも様々なシミュレーションがあるようでございますが、福山委員今おっしゃったとおり、明るいシミュレーションというのはないわけでございます。
そういう中で、この北朝鮮の有事に際しての被害がどうなるかという仮定についてお答えをすることは差し控えたいと思いますが、世界中のどの国もここで紛争を起こそうとは思っていない、起こしたいとも思っていない、そして、どの国もこの北朝鮮の体制を変えようと発言をしているわけではないわけでありますので、軍事的な、何というんでしょうか、ことにしたいと思っている国はない。
そういう中にありながら、この北朝鮮がこれまでこうした対応を取る中で、我々は全ての選択肢がテーブルにある、テーブルの上にあるというアメリカ政府の立場を支持してきておりますが、福山委員と私と思いは変わらないのではないかというふうに思っております。
○国務大臣(小野寺五典君) 北朝鮮による核・弾道ミサイル開発がこれまでにない重大かつ差し迫った脅威となっている中、朝鮮半島情勢をめぐる今後の動向について様々な議論が行われていることは承知をしております。
具体的には、朝鮮半島で紛争が生起した場合の被害想定や、米軍による軍事行動の可能性、それに対する北朝鮮の対応についての議論などが行われているものと承知をしていますが、大切なのはそのような紛争を起こさせないこと、そのためには抑止力を高めること、これが大切だと思っております。
防衛省・自衛隊としては、引き続きいかなる事態にも対応ができるよう緊張感を持って万全な対応をしてまいります。
○福山哲郎君 全ての選択肢、アメリカの全ての選択肢を支持するということについて言えば、私は、河野外務大臣とは若干、そこまで言っていいのかなという懸念はありますが、紛争が起こらないように最善を尽くすということは同じ考えだと思いますので、本当に重ねてよろしくお願いしたいと思います。
先ほどアントニオ猪木委員からお話がありました木造船の漂着ですが、済みません、海上保安庁、生存者を確認した木造船の件数は、二十七、二十八、二十九、事実だけ明確にお答えください。
○政府参考人(奥島高弘君) お答えをいたします。
海上保安庁では、朝鮮半島のものからと思料されます漂流・漂着船等の件数、それと生存者の数でございますけれども、まず、漂着あるいは漂流していたものが二十七年には四十五件、二十八年に六十六件、本年は現在まで六十四件を確認しております。このうち御遺体を確認いたしました件数及び御遺体の数でございますけれども、二十八年には八件二十七遺体、二十八年には二件十一遺体、本年は五件十八遺体を確認しております。一方、生存者を確認した件数でございますけれども、二十七年には一件一名、二十八年はございません。本年は五件四十二名を確認しております。
以上です。
○福山哲郎君 実は、生存者の数が異常に増えているんですね。それで、十一月に入ってからも、もう時間がないので私が申し上げれば、十一月の十五、十六、二十三、二十四、二十五、二十八、二十八、十二月の二日、四日、四日、これぐらい事案が起こっていて、そのうち生存されているのが四件あります。
私は、確かに海が荒れている時期だと思いますが、例えば由利本荘の事案です。二か月ほど前から出航して漂流したという話を聞いておりますが、じゃ、何でこのぼろ木造船で二か月間漂流できる食料や水を確保できているのか。例えば、由利本荘の場合に、本当に上陸できるような港だったのか。港に着岸できるような船だったのか。本当に上陸させたことは問題なかったのか。
私は、実は問題意識をかなり持っています。いたずらに不安をあおるつもりはありません。しかし、この時期はICBMの発射の時期と重なります。万が一工作員だった場合に、何らかの軍事オプションが行われるときに、こういった人たちが日本に上陸をしていることに対するリスクはどう考えるのか。私は、不安をあおるつもりがないし、今も海上保安庁の皆さんが御努力をされていることも多とするし、本当に大変な思いをされていると思いますが、上陸をしたと、さらには生存者が非常に増えてきていると。なぜそんなに一か月も二か月も食料を積んでいるんだということを考えたときに、少し嫌な感じがしています。
このことについて海上保安庁は今どういう認識なのか、警察もどういう認識なのか、もしお答えいただければお答えください。
○政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。
その前に、先ほど御答弁申し上げました御遺体の件数のときに、八件二十七名というのを二十八年と申し上げましたが、二十七年の間違いでございます。まず訂正させていただきたいと思います。
続きまして、今の御質問でございますけれども、一か月もの間漂流していて食料があるのかということでございますが、これまでも例を見ましても、一か月以上の長期にわたって漂流していたという事例がございます。恐らくそういった食料あるいは漁獲物を食べながらということではなかろうかというふうに思っております。
また、委員御指摘の、上陸をされているということにつきましては、しっかりと監視警戒を強化しなければならないということで、海上保安庁もそういった事実を踏まえて今後しっかり領海警備をやってまいりたいと、このように思っております。
○福山哲郎君 私は、海上保安庁が、例えば何か任務を、おかしな任務をしているんじゃないかということを全く申し上げたいわけではありません。しっかりもう今もやっていただいている中でこれだけの事案が起きていると。相手側の意図が何かあるのではないかということも含めて、これ外務省、総理は、外務大臣、本会議で毅然とした対応を取ると言ったんですけど、外務省は、今北朝鮮にこのことについて抗議をする手だて、ないですよね。
○国務大臣(河野太郎君) 現時点で北朝鮮に対して抗議すべき事案であるとは認識をしておりません。しかし、委員おっしゃるように、様々なことが起こり得るということを想定して対応することは必要だというふうに思っております。
抗議をするルートはございます。必要ならば抗議を行いますが、現時点でそういう事案であるというふうにはまだ認識をしておりません。
○福山哲郎君 防衛大臣、どうですか。
○国務大臣(小野寺五典君) 防衛省・自衛隊でありますが、一般的に申し上げれば、国内の治安維持については警察機関が一義的な対応の責任を有しており、自衛隊は、一般の警察力をもっては治安を維持することができない緊急事態が発生した場合等には、治安出動等の発令を受け、警察機関と緊密に連携して対処することとしております。
こうした事態に備え、これまでも自衛隊は、警察、海上保安庁との共同訓練を実施し、事態対処における互いの連携要領についての確認を行っております。様々な事態に備えて、事態を想定して備えてまいりたいと思います。
○福山哲郎君 由利本荘の事案では、実は、漂着した木造船は結局どこかへ流れていき、捜査できなかったんですよね。
先ほどから同じことを申し上げていますが、別にいたずらに不安をあおるつもりはありません。しかし、相手側に意図があるとすると、これだけの数、これだけ海の状態が悪いのを分かっているにもかかわらず流されてきている、生存者はこれだけいると。
今のところは抗議する事案でもないし、恐らく、外務大臣の答弁によれば、まあそんなに心配する人物ではないということが取調べの結果分かっているということだというふうに私は推察をしますが、しかしながら、相手が相手ですし、ましてやICBMの発射の時期と重なっていることも含めて、これは、漁船の不安、それから地域、上陸もうしていますから地域の方の不安も含めて、警察、海上保安庁、外務省、防衛省におかれましては緊張感のある対応をしていただければ、万全の措置をしていただきたいと思っておりますが、最後に誰に聞いて終わりましょうか。じゃ、外務大臣。
○国務大臣(河野太郎君) 委員おっしゃることはよく理解ができます。緊張感を持って、万が一ということがないように備えてまいりたいと思います。
○福山哲郎君 終わります。

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