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2018

第196国会 参議院 外交防衛委員会 2018年4月17日


○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。よろしくお願いします。
外務大臣、防衛大臣におかれましては、足下いろんな課題がある中で御苦労さまでございます。
シリア情勢について外務大臣にお伺いします。
米英仏による武力攻撃について決意を支持すると総理は表明をされました。外務大臣は五日ほど前、まだ武力攻撃が行われる直前だと思いますが、私とのやり取りの中で、状況が分かり次第、我が国としても対応方針をしっかり固めてまいりたいというふうに思っているところでございますと。で、支持をされました。状況はかなり具体的に理解をしたという判断でしょうか。NSCも開催されたと聞いておりますので、どのような状況を把握されたのか、お伝えいただけますか。
○国務大臣(河野太郎君) 我が国として、アサド政権は化学兵器を使用する能力を有していると認識をしておりまして、米国等の措置は化学兵器使用の可能性を低下させるための措置であったというふうに認識をしております。
アサド政権はこれまでも化学兵器を使用してきたことが確認されており、例えば、二〇一四年四月のイドリブ県のタルメネス、あるいは二〇一五年三月の同じイドリブ県のサルミン及びクメナス、そして二〇一七年四月のハーン・シェイフーンではサリンを使用してきたということがOPCW及び国連によって委任された共同調査メカニズム、JIMの調査により客観的に確認をされているところでございます。
そういう意味で、今回の米国、イギリス、フランス、この化学兵器の使用を許さないという決意、そしてその措置を理解するというのが日本政府の方針でございます。
○福山哲郎君 今の大臣の表現、非常に微妙な表現なんですけど、化学兵器の使用の能力を有する可能性を低減させるという御理解だということは、その今回のダマスカス近郊での化学兵器使用の疑惑についての攻撃という認識ではないということですね。
○国務大臣(河野太郎君) アサド政権が化学兵器をこれまで使用してきた、そして使用する能力を有している、それに対して、アメリカ、イギリス、フランスの措置は、化学兵器使用の可能性を低下させるための措置であったと認識をしております。
○福山哲郎君 それ、結構重要なんじゃないですか。
ということは、化学兵器の使用の事実関係について確認をしているわけではなくて、化学兵器使用の能力があるということと可能性を低減するための攻撃だということについて支持をしたということですね。イエスかノーかでお答えください。
○国務大臣(河野太郎君) アメリカ、イギリス、フランスの化学兵器を使用を断じて容認しないという決意を支持したわけでございます。
○福山哲郎君 いや、少し驚きなんですね。
やはり、ダマスカスで化学兵器を使用されたと、で、市民も大きな被害に遭ったという人道的な議論で、そこの事実関係を確認して支持するということなら分かります。
ということは、大臣、あのときに、実はその十二日のやり取りの中で、アメリカの軍事行動については、具体的にアメリカの軍事行動云々について今ここで申し上げるようなものはございませんということで、何もない、材料はないというふうに明確に私に答弁をいただいたんですけど、現時点においては、アメリカから何らかの化学兵器使用の根拠についての連絡も証拠の提示もないと。
答えられないというのは、僕は、まあ一定理解するとは言いにくいんですけど、一定理解するんですが、一般的には、NSCで議論する中で、アメリカからこういう提示とこういう具体的な根拠があったという議論の中で支持するかしないかと議論するのが普通の話で、化学兵器使用の能力があるから支持します、それに対しての、低減するために支持しますというのは、ちょっとNSCの議論として言うと、僕はちょっと余り例を見ないんじゃないかと思うんですけど。
ということは、現時点について、アメリカからは何らの根拠も、具体的にアメリカの軍事行動云々についても連絡はないということですか。
○国務大臣(河野太郎君) シリア情勢について、アメリカあるいはイギリス、フランスと様々なやり取りをしておりますが、具体的にそのやり取りの詳細について公の場で申し上げるのは控えたいと思います。
○福山哲郎君 さらに、前回の質疑の中で外務大臣は、OPCWの調査が行われ、事実解明に向けてそうした調査等が行われておりますので、早急な真相究明を期待したいという御答弁をいただいています。私も早急な真相究明を期待したいと思っておりますが、残念ながら、OPCW調査団は、本来なら調査が始まるべきところを、アサド政権とロシア側のいろんな理由によって調査チームの立入りは認められない状況だと。
先ほども別の委員の方の質疑で河野大臣は、このOPCWの調査に期待するというような発言がありましたが、現状、この調査のチームが立入りが認められずに調査ができていないという事実については、今どのような事実関係の認識と、どういうふうに対応するというふうにお考えですか。
○国務大臣(河野太郎君) OPCWの調査団がシリア入りしたというところは確認ができていると思いますが、実際の現場に入れるかどうか、これは今、様々なやり取りがまだ行われている段階ではないかというふうに思います。
○福山哲郎君 ということは、日本政府の認識よりもう報道の方が早いということですね。
逆に言うと、OPCWの調査の事実関係を確認して、先ほどまさに大臣が私にこのやり取りの中で御紹介いただいた、何回もアサド政権が化学兵器を使用しているということの事実があると、まさに事実関係をもって、OPCWの調査の事実関係をもって我が国は軍事行動への支持をし、逆に言うと表明してもよかったということではないんですか。
○国務大臣(河野太郎君) これまでシリアの中における化学兵器の使用の確認をしたのは、OPCWと国連の共同調査メカニズム、JIMでございますが、残念ながら、JIMのマンデートの延長を日本は安保理で提案をいたしましたが、安保理で否決をされております。OPCWの調査は、使用された兵器の種類の特定はできるかもしれませんが、そこまでというのが認識でございます。
いずれにしましても、今回の米国等の措置は化学兵器使用の可能性を低下させるための措置であり、こうした化学兵器が今後使用されることを許さないというこのアメリカ、イギリス、フランスの決意は日本として支持したいと思います。
○福山哲郎君 ということは、予防措置のために武力攻撃をしたということになります。そのことが本当に国際法上どういう議論になるのかというのは、少し私も研究しなければいけませんので、余り軽々にこの場では申し上げにくいと思っておりますが、今後事態の展開もあると思いますし、いずれにしろ化学兵器の使用は許せないことだと思いますが、次に参りたいと思います。
少し、くだらないけど重要なことを申し上げます。河野大臣、日米首脳会談、結局ゴルフを安倍総理とトランプ大統領やられるというふうに今日官房長官は言われたそうですが、外務大臣はその事実は、予定を把握されていますか。
○政府参考人(船越健裕君) 日米首脳会談につきましては、安倍総理は本日から二十日まで、米、アメリカのフロリダ州のマーラ・ラゴを訪問いたします。二日間にわたりじっくりと日米首脳会談を行う予定でございます。その間、北朝鮮問題等について話をするとともに、また夕食会やゴルフなどくつろいだ雰囲気の中で話し合うことで、両首脳の信頼関係を一層強固なものにしていく、したいと考えているところでございます。
○福山哲郎君 いや、済みません、ゴルフの予定はありますか、確認させてください。
○政府参考人(船越健裕君) 夕食会やゴルフを含めてくつろいだ雰囲気の中で話し合うということを予定しておるところでございます。
○福山哲郎君 ということは予定があるということですね。外務大臣はこのことについてはもう了として総理に訪米いただいたということですか。
○国務大臣(河野太郎君) ゴルフをやっている時間、安倍総理、トランプ大統領、極めて親密に長い時間共有するわけですし、そのさなかで様々なことも話合いができる、これは今までアメリカでも日本でもそういうことをやっておりましたので、そういうこともこういう状況ですからよろしいかと思います。
○福山哲郎君 シリア情勢は緊迫して、国連も緊迫しております。国内では、柳瀬さんの証人喚問の議論も含めて非常に国会情勢も緊迫しております。防衛省は日報の問題で本当に課題がたくさんあります。私はゴルフ自身をとやかく言うつもりはありません。ゴルフはれっきとしたスポーツですが、別に親密な関係ならば会議室でもできるはずです。そういう姿を、逆に言うと、空爆をした直後のトランプ政権と、かなり国内では政治情勢厳しい安倍総理がゴルフをやると。別に会談も中身もいろんな形ではできるはずで、なぜゴルフかということについて言えば、済みません、私は少し理解しかねるというふうに申し上げなければいけないと思います。なぜ今ゴルフをやって会談をしなければいけないのか、国民が理解すると私は思いません。
時間ももうないので、防衛大臣、イラクの日報について幾つかだけお伺いします。
今までイラクの日報が出てこなかったことは非常に遺憾なんですけれども、これ、イラクの日報、先ほど井上議員も少し言われましたが、非常にロケットとか迫撃砲が宿営地近辺等々に飛んできている状況の実は日報は存在していないんですね。今回出てきていないんです。非常に迫撃砲、ロケットが出てきているのは、自衛隊の活動行動史の中にちゃんとそれがあるわけですけど、日報出てきていません。
それで、実は二〇〇四年から二〇〇五年にかけてイラク特措法の延長をしておりまして、基本計画を二〇〇四年の十二月九日に延長して、そして基本計画をもう一回作り直しています。イラク特措法の実施要項だと、活動を実施している場所の近傍において戦闘行為が行われるに至った場合等はと、一時休止や避難の問題、それから実施区域の変更及び活動の中断に関する事項、それから派遣の終了等について防衛庁の長官に状況を報告しろということが実施要項に書かれています。
誤解をしないでいただきたいのは、私は、この数年間にわたって陸自と航空自衛隊がイラクの復興活動に貢献をいただいたこと、危険の中でやられたことについては、私は本当に御苦労さまで、そのことについては心から敬意と感謝を申し上げたいと思いますが、そのことをシビリアンコントロールでマネジメントする前提の日報でございますが、これ例えば二〇〇四年にこうやって延長する際に、当時の防衛庁長官等にこの日報の中身は上がった上でこの延長はちゃんと議論されているんでしょうね。その事実関係はどうお考えですか。
○政府参考人(鈴木敦夫君) 日報につきましては、基本的に派遣された部隊が上級部隊に対して報告するものでございますが、当然その中の、日報そのものではないかもしれませんけれども、その中の非常に重要な要素、つまり防衛庁、当時は防衛庁長官でございますけれども、そうした政治指導者も含めて、上層部に必要な情報についてはきちっと御報告申し上げたということでございます。
○福山哲郎君 必要な情報等と言われますが、その必要な情報等が何なのか、日報の中身のうちの何を伝えた上でこれを延長したのか、これ当然基本計画の中には、何らかの戦闘行為が行われた場合には撤退も含めて議論するとあるわけですから、そこに、ちゃんと議論に、俎上にこの日報の存在と内容の存在が上がっているのかどうかというのが、シビリアンコントロール上も、隊員の安全確保上も、それから法的にちゃんと活動しているかについても非常に私は重要な要素だというふうに思っているんですけど、今非常に鈴木さんは微妙な表現をされました。必要なものは上がっているはずだと。
残念ながら、この二〇〇四年、二〇〇五年の延長のときに、この二〇〇四年の実は日報は今回出てきておりません。どちらかというと、迫撃砲とかロケット砲の飛んできた飛んでこないということについては日報が出てきていない傾向が強いんですね。このことについては、二〇〇四年の日報も、是非、探せる場合には出していただきたいと思っていますし、今申し上げた、当時の延長のときにちゃんと防衛大臣、当時は防衛庁長官でしょうか、長官まで一体どのレベルの報告が上がってきたのかというのは、シビリアンコントロールの私は肝だと思っておりますので、防衛大臣、是非、日報を出していただくことと、今の政策決定、意思決定のプロセスについてどういう情報が大臣に上がっていたかというのは重要なことだと思いますので、是非、そこについて御検討いただき、前向きに対応いただきたいと思いますが、その答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(三宅伸吾君) 時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○国務大臣(小野寺五典君) 今回の日報、イラクの日報が、開示させていただきましたが、やはり現場の部隊がこれは緊張感を持ってしっかり対応していたという貴重な一次資料だと思っております。
今、日報等について統幕に一元化の作業をしております。また、自衛隊にあれば速やかに上げて、そして開示、不開示の作業をした上でまた公開するという作業をこのイラクの日報について行っておりますので、また私どもとして確認できればその時点で速やかに公表できるような作業をしていきたいと思っております。
○委員長(三宅伸吾君) 福山君、終わりですか。
○福山哲郎君 もう終わります。今の答弁、若干不満ですが、終わります。

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