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2018

第197国会 参議院 予算委員会 2018年11月26日


○福山哲郎君 立憲民主党の福山でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
先般、大阪万博の開催が決定いたしました。関係者の皆さんの御尽力に心から敬意を表したいと思います。私も京都でございますので、このことが関西全般の活気につながればいいと願っております。
さて、今年の通常国会は、財務省の文書改ざん、虚偽答弁、加計問題、防衛省の日報隠しなど、前代未聞の異常事態が続きました。衆議院の大島議長から、立法府と行政府の関係に対して異例の所感が発せられました。にもかかわらず、安倍政権と与党は、反省のかけらも見られない国会運営をこの臨時国会でもしています。
先週は、法務委員会で衆議院が強行で定例日以外に立てられました。参議院でも、対決法案でもない給与法の審議が議運や対象委員会で強行に立てられ、定時定刻でなく開会されました。野党などいてもいなくても構わない、審議させなくてもいいと言わんばかりの問答無用の姿勢だと思います。
参議院事務総長、参議院で国会序盤に全会一致法案でこんな事例が少なくともここ十年ありましたか。
○事務総長(郷原悟君) お答えいたします。
会期末でない時期におきまして、給与法案について、衆議院から送付されて議運委員会の採決により付託が決定され、さらに付託先の委員会で趣旨説明が行われたという例でございますけれども、この十年、お調べいたしましたが、ございませんでした。
○福山哲郎君 もう国会序盤からこういう事例のない乱暴な国会が続いています。非常に遺憾に思います。大島議長の所感に対して丁寧に真摯にと、いつも総理は口だけで言いますが、実際は全く別です。このことについては、日本の議会制民主主義の問題だと思いますので、国民の皆さん、よく知っておいていただきたいと思います。
総理、二十九日に日本を出発して、アルゼンチンでG20に出席されると聞いています。どうぞ行っていただきたいと思います。
その後、どこの国に何の目的で外遊されるのか決まりましたか。先週の末、極論すると今週の、今日の午前中まで外務省に問い合わせましたが、何も答えてくれません。総理、国対ベースでは七日までと外遊聞いておりますが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この外遊の日程についてでございますが、G20が開かれるアルゼンチン以外の国等については、国会日程等もございまして、また当該国との調整もございまして、現在調整中だということでございます。
○福山哲郎君 総理、国会の委員会の審議ですよ。だって、もう国対には日程、十二月四日までって紙配られていますよ。ここで答えられないって、どういうことですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、政府はそんな紙配っておりません。(発言する者あり)
○委員長(金子原二郎君) じゃ、速記止めてください。
〔午後一時三十三分速記中止〕
〔午後一時四十六分速記開始〕
○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。
ただいまの件につきまして、その取扱いを理事会で協議いたしますので、暫時休憩いたします。
午後一時四十六分休憩
─────・─────
午後二時十四分開会
○委員長(金子原二郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
この際、河野外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。河野外務大臣。
○国務大臣(河野太郎君) 事実関係を確認いたしましたところ、まだ確定していないものを外務省の早とちりで会派に御説明に回ったようでございまして、大変申し訳なく思っております。
外務省といたしましては、先方政府と調整の上、十二月四日ということで官邸にお諮りをした後、議運に明日かけさせていただくことにしておりましたが、確定をする前に誤って御説明に上がってしまったこと、また、そうした情報が外に流出したことについて、大変申し訳なく、おわびをいたします。
今後このようなことがないように、しっかり対応させたいと思います。申し訳ございません。
─────────────
○委員長(金子原二郎君) 予算の執行状況に関する調査を議題とし、内外の諸情勢に関する集中審議を行います。
休憩前に引き続き質疑を行います。福山哲郎君。
○福山哲郎君 お疲れさまでございました。
今、外務大臣から真摯に御答弁がありましたので、こういうことがあってはならないと思いますが、官邸と外務省の間、それから国対との間での調整が不行き届きだったというふうに受け止めます。
当初、総理の外遊は七日までと国対ベースでずっと承っておりました。今、河野大臣から、四日までということで調整をして官邸にお諮りをするということでしたが、四日だと七日までとは大分状況が違います。
実は、二十九日から七日まで、ほとんどこの臨時国会の会期末まで総理がいないということで、自民党の国対は入管法を衆議院で早く上げてしまいたいと、入管法の採決を衆議院で、巷間聞き及ぶところによれば、あしたやるというような話まで出ています。これ、実質まだ七時間しかやっていません。実は、法案の中身もまだはっきりしないし、データも間違い、いまだに個票も公開されていません。
総理、決まっていない外遊で採決はないと私は元々思っていたんですけど、四日までというふうに今もうある程度方向が見えたと、総理も会期中帰ってこられるということで、入管法の審議きちっとやると、あしたこんな状況で採決するなんということはないということは、総理、それでよろしいですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国会の運営については、まさに国会で、委員会でお決めになることだろうと、このように考えております。
○福山哲郎君 いや、総理の外遊日程に合わせて国対が言ってくるから、我々は、国会で決めるというのは理屈、建前は分かりますが、実際は官邸に意向を確認しながらやるのがこれ常ですから、それは建前の議論としては分かるけれども、総理の外遊日程が変わったと、会期内に総理は帰ってこられるということならば、入管法の審議をきちっとやると、それは基本的には法案の審議の要請をされている政府側ですから、慎重に審議をやってくださいと、丁寧に審議をやってくださいということで、総理、いいですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いずれにせよ、当然きちっと審議をやれることになるんだろうと、このように思いますが、いずれにいたしましても日程等については私は口を出す立場ではございませんので、委員会から求められれば当然答弁、誠実に答弁をしていきたいと、こう考えております。
○福山哲郎君 まあ、そういうことだと思います。
一方、例の技能実習生の個票のデータが結局公開を、法務大臣、していただけません。総理は、衆議院の本会議で、刑事訴追のおそれがあると明確に答弁をされています。個票は二千八百七十人、平成二十九年度分でございますが、刑事訴追を、刑事事件、別の刑事事件ではなくて、これらの失踪技能実習生が刑事訴追された例はありますか、お答えください。
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
それぞれの事件の、個々の事件につきましては、個別の事情によるところでございますので、答弁は差し控えさせていただきます。
○福山哲郎君 誰も個別の事件なんか一切聞いておりません。答弁、質問変えないでください。
二千八百七十人のいわゆる失踪者が、別の刑事事件ですよ、例えば物を盗んだとか暴力事件を起こしたとかではなく、刑事訴追された例はありますか。
○国務大臣(山下貴司君) お答えいたします。
まず冒頭、御指摘の法務省におけるデータの誤り、あるいは表現ぶりに誤解を招く点があった点について、これ、心からおわびを申し上げます。これは、集計時における表現ぶりを漫然と使ったり、作業ミスを、主な原因であって、故意に改変を行ったものではないということでございます。
そして、先ほどの個票の中身につきましては、これは、この中身につきましては、様々な今後の調査あるいは捜査につながる情報が含まれております。そして、それに基づいてどのような捜査活動、調査活動が行われたかということにつきましては、これについては、これは個々の事件に関する調査活動に関する事柄でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○福山哲郎君 刑事訴追された例はあるかと聞いているから、あるかないかだけ答えてもらえれば結構です。イエスかノーかでお答えください。
○国務大臣(山下貴司君) 技能実習生の稼働状況に関しまして、刑事訴追になった例はあったというふうに把握をしております。しかしながら、網羅的な把握はしておりません。そして、その訴追において、具体的にどの証拠をどういうふうに、あるいはどういう経緯でということに関しましては、個別具体的な捜査活動あるいは調査活動の詳細に関わることでございますので、法務大臣としては答弁は差し控えさせていただきます。
○福山哲郎君 あったとは聞いておりますが網羅的には把握をしておりませんって、意味が分かりません。誰から、じゃ、報告を受けたんですか。誰から聞いたんですか。
○国務大臣(山下貴司君) 例えば、技能実習生に関わる関係で、労働基準法違反であるとか、そういった労働法違反、これで訴追をされた例はございます。ただ、その個別の事案について、どのような調査あるいは帳票が利用されたかということについては、お答えを差し控えなければならないということでございます。
○福山哲郎君 帳票が利用されたとか利用されないなんか聞いていないじゃないですか。失踪の技能実習生が刑事訴追された例はあるかないか聞いているんです。それが答えられないんですか。
ちなみに、和田さん、あれですよね、失踪者の刑事訴追については把握していないですよね。統計取っていないですよね。事実関係で答えてくださいね。イエスかノーか。
○政府参考人(和田雅樹君) 刑事訴追に関しましては入国管理局の所管ではございませんので、私どもでは把握しておりません。
○福山哲郎君 じゃ、どこなら把握しているんですか。
○政府参考人(和田雅樹君) 刑事訴追に関する所掌は刑事局になろうかと思います。
○福山哲郎君 じゃ、事前通告しています失踪技能実習生が刑事訴追された例はあるかと聞いたら、法務省が、人数については統計を取っていないため把握していないと答えています。何でそのことをちゃんと正直に言わないの、法務大臣。法務大臣、人の質問を聞いていますか。
○国務大臣(山下貴司君) 網羅的に把握していないということにつきましては、統計上明らかでないということから、そういうふうに申し上げたということでございます。
○福山哲郎君 結局、把握していないんじゃないですか。刑事訴追された例はあるかないかも把握していないんですよ。
この二千八百七十人は、もう既に国外退去処分で帰国しているはずです。これ、行政処分です。刑事訴追ではありません。私、調べました。失踪者は、四十八時間以内に入国審査官に引き渡されて、その後、数日後に送還されます。つまり、二千八百七十人は国外退去処分になっているので、悪いけど刑事訴追されるおそれありません。法務大臣、どうですか。
○国務大臣(山下貴司君) ちょっと誤解があるようなので、整理してお答えします。
まず、この聴取票につきましては、これは入管法違反でありますオーバーステイなどの技能実習生から聴取したものということで、この技能実習生自体は刑事訴追を行われるおそれがございます。そして、これは任意に調査したものでございまして、公表を前提に聴取したものではないというわけでございます。
そうしたことから、一般的な公開については非常に慎重に取り扱わなければならないところ、この聴取票の中身については、技能実習生のみならず関係先、すなわち技能実習実施機関であるとか、そういったことに対する調査やあるいは刑事訴追に関わる情報が含まれているわけでございます。
そうしたことから、これが調査あるいは捜査、これは技能実習生に限られません、そうした情報を含んでいるがゆえに、これを公にするということについては極めて慎重に考えるべきだということを法務大臣として申し上げているわけでございます。
○福山哲郎君 総理、総理は本会議のときに今みたいな答弁していないんですよ。いわゆる失踪者だけが刑事訴追を受けるおそれがあるから駄目だと本会議で言っているんです。これ、どんどんどんどん後から法務大臣いろんなことを付け足しているんですけど、法務大臣、じゃ、逆に言うと、受入れ機関等に刑事訴追を行った例はあるんですか。
○国務大臣(山下貴司君) 技能実習生の実習先を労働関係法令違反で訴追した例はございます。ただ、それについて、いかなる証拠で、あるいはいかなる経緯で入手した情報に基づいて行ったかということをつまびらかにすることは、これは法務大臣としては差し控えたいということでございます。
○福山哲郎君 技能実習の失踪の件についてどうですか。
○国務大臣(山下貴司君) 済みません、ちょっと今質問の意味が正確に把握しているか分かりませんが、少なくともその技能実習生の実習先を労働関係法令違反で訴追した例はあるということでございますが、私のちょっと受け取り方があれであれば、もう一度いただければと思います。
○福山哲郎君 つまり、さっきの答弁と矛盾しているんですよ。当初の本会議のときに、刑事訴追が、おそれがあるというのは失踪者について言ったんです。それがあるかと言うと、答えられないと言ったんです。今、受入れ機関はあるかと言ったら、明確にあると言っているわけですよ。
何でさっきのはあると答えられなくて、今はあると答えられるんですか。
○国務大臣(山下貴司君) この聴取自体は、先ほど申し上げたように、入管法違反ということでございます。失踪した技能実習生から任意に聴取した情報であります。このときの立場であります、この技能実習生の立場は、これは刑事訴追を受けるおそれがあるわけでございます。
そして、この聴取票の中身を公にしないのは、そうした者から聴取したものであるということが一つと、もう一つは、内容において、プライバシーであるとか、あるいは今後の調査あるいは捜査に関わる情報が含まれているということでございます。
そして、本来であれば個別のことについて申し上げるのは、なかなか、差し控えるべきなんですが、今申し上げられるのは、技能実習生の実習先を労働関係法令違反で訴追した例があるということでございまして、これ以上の詳細については法務大臣として差し控えさせていただきたいということでございます。
○福山哲郎君 だから、二千八百七十人は、悪いけど、聴取票のやつは平成二十九年度です。ほとんどもう行政処分の対象になっているはずです。でしょう、いないでしょう、もうこの国内に。何で刑事訴追のおそれがあるんですか。行政処分の対象に、一旦処分受けているでしょう、この二千八百七十人は。受けていますよね。
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
この二千八百七十名は、確かに入管法違反の嫌疑が掛かって退去強制の手続の中に入った者であるということは事実でございますが、その者が全て現実に出国したのかどうかということについては今手元に資料がございませんのでお答えできませんが、全てが出国するという関係に立つものでもございません。場合によって、本人が様々な手続を取ることによって国内にとどまっているということもあろうかと思います。
○福山哲郎君 いやいや、だから、行政処分して国外退去になる可能性が高くて、なおかつ本人が国に帰りたくない場合には、最大六十日間の入国者収容所とかに入るわけですよね。その期間を超えると入国管理センターに移されるわけですよね。それも一つの行政処分ですよね。
その人たちがあえて、じゃ、刑事訴追される可能性はあるんですか。二千八百七十人の何人かは分からないけど、一部は国内に残っている、それは僕は認めますよ。その方が刑事訴追される可能性はあるんですか。
○政府参考人(和田雅樹君) 論理的にはあろうかと思います。
○福山哲郎君 だから、二千八百七十人は出しても、もう個票を出しても問題ないんですよ。今の分かりますか。和田さん、論理的にはあり得ると言っているけど、現実には国内に残りたいという人は全部入国者収容所とかに、国が管理するわけでしょう。何言っているんですか。何で刑事訴追のおそれがあるんですか、みんな国外退去させているのに。一部じゃないですか、そんなの。
じゃ、二千八百七十人のうち何人国内に残っているんですか。
○政府参考人(和田雅樹君) 申し訳ございません、現在手元に数字を持っておりません。
○福山哲郎君 まず刑事訴追のおそれはないんです。だって、平成二十九年なんだから。ほとんど帰しているんです、行政処分で。何でこれで刑事訴追が、おそれがあると言って個票を出せないんですか、法務大臣。
○国務大臣(山下貴司君) ですから、個票を出せない理由は、二つに分けて申し上げますと、一つは、これは刑事訴追のおそれのある者からこの情報を要するに任意で、そして公表をすることを前提とせずに聴取した内容であり、これを公開するということは、今後そういった調査に応じられなくなるおそれがある、これが一つでございます。
二つ目は、この聴取した内容自体に、これは様々な関係先あるいは本人、そういったものの刑事訴追や調査の対象となり得る情報が含まれている。実際、私も、今回の平成二十九年の失踪技能実習者に関して、違法状況が認められるのであれば徹底的に調査をするようにということは入管局長に指示を改めてしております。そうしたところで、これは調査の対象にもなり得る。それが更に進んで、一般論等ではございますが、刑事訴追につながることもあり得るわけでございます。
そうした情報を含むがゆえに、これを公表するということは非常に良くないのではないかというふうに考えております。
○福山哲郎君 それでも委員会に出して、今、衆参の国会議員が全部手書きで個票を書いているんですよ。それを外へ出しているんですよ、コピーして。
個票を手書きで書いたらよくて、法務省が今駄目なのは理由は何ですか、じゃ。
○国務大臣(山下貴司君) これにつきましては、国会の委員会、理事会の御決定でございます。それに対して法務省として、これは非開示措置についてもしっかりと御検討いただけるということで、ごく例外的に応じさせていただいたものでございます。
法務省といたしまして、この個票について、これは公にすべきでないということに関しましては是非御理解を賜りたいというふうに考えております。
○福山哲郎君 委員の皆さんにお配りしている、それからパネルの三枚目、御覧ください。(資料提示)
これ実は、建設省が外国人建設就労者受入事業に係る制度推進事業というのをやっていまして、これはオリパラについて、より外国人労働者が必要だということで緊急に入れました。緊急に入れていただいて、これは特定活動の扱いなんですけれども、技能実習からの受入れもしています。
この状況で、実はそれぞれの受入れ状況についてちゃんと、建設省は、この国際建設技能振興機構というところが調査をしていまして、これ公開情報に出ているんです。国籍と受入れの企業は黒塗りですけど、あとは、見てください、特定活動、技能実習、技能実習、中には住宅が狭いとか休日に休日手当が付かなかったとか、これ全部出ていますよ。その横にもいろんな振興機構の対応についても出ていますよ。
これ、何で建設省が出せるものが法務省は出せないんですか。これ、出せるじゃないですか。だって、今の法務省の個票だってマスキングしてあるでしょう、最低限のプライベートは守るんだと言って。マスキングしてあるものを、今、一生懸命一生懸命、国会議員がこれ手書きで写しているんですよ。これ、だって、建設省、ちゃんとこうやって……(発言する者あり)ああ、国交省、国交省、ちゃんとこうやって、あれじゃないですか、出しているじゃないですか。何でこれが出せて、法務省は出せないんですか。
○国務大臣(山下貴司君) 法務省といたしましては、これはもう具体的に調査、要するに違法がうかがわれるものについては調査をするようにというふうな指示もございます。また、これについて、例えば法務省というのは訴追機関、これも持っているところでございます。そうした中において、こうしたものについて情報の取扱い、これについては慎重に法務省としては判断しているところでございます。
国土交通省がどのような御判断でこういうふうな公開をされるかということについては、これはやはり他省庁に関する事柄でございますので、私は答弁は差し控えさせていただきます。
○福山哲郎君 この国交省の緊急事業でも、状況によっては失踪者が出るんです。そうしたら、その失踪者は、法務省にひょっとしたら身柄を拘束されたら、入国警備官は聴取するんです。国交省のやつは出て、何で法務省のやつは出せないんですか。
それから、先ほど言っているように、刑事訴追される可能性ないんですよ、失踪者は。だって、いないんだから、行政処分受けるんだから、すぐに。そうでしょう。あなたの言っていること、説得力ありそうなんですけど、全然ないんですよ。いない者を刑事訴追する、いない者も刑事訴追すると言っている。
これで、国交省がこうやってマスキングして出しているのに、法務省は出せないと言う。だけど、この中にひょっとして失踪者が出たら、これ技能実習の方もいるんだから、技能実習の方が失踪したら法務省へ行くんですよ。これ、国交省出しているじゃないですか。
法務省、法務大臣、全然説得力ないんですよ、説得力ありそうに見えるけど。
○国務大臣(山下貴司君) これ、国交省がどのような御判断で出したかにつきましては、ちょっと私としても判断しかねる部分がございます。
ただ、その失踪者につきまして、そもそも聴取の手続自体がこの刑事訴追のおそれのある者から聴取している、それを非公開でということ、そういったことでこれが一般的に広がるということになれば、例えば、この失踪技能実習生については、後にいろいろ報復されるのではないかとか、様々なことを考える者もおります。そうしたことから、これを一般に公開するというのは適当ではないというふうに考えております。
そしてまた、情報について、関係実施機関も含めたこの調査あるいは刑事訴追の可能性があり得るということ、本人、本人も含めてでございますが、そういったことはこれまで御説明したとおりでございます。
○福山哲郎君 全く説得力ない。同じ答弁繰り返しているだけだもの。いないんだもの、だって、失踪者は。刑事訴追の対象者いないんだもの。
更に言えば、申し訳ないですけど、じゃ、平成二十六年の千二百四十四人から、二十七、二十八、二十九年全部合わせて約一万人います。この方々の紙は、じゃ、委員会には提出いただけるんですね、先ほど言われたように、こっちが写すなら。
つまり、なぜかというと、この技能実習が今回の入管法の新しい在留資格に少なくとも法務省の言い分でも四五%、業種によっては一〇〇%近く移行するんです。この技能実習がほとんど接続するんです。だから、この技能実習の中身をしっかり確認しなきゃいけないから、この失踪者の状況を確認したいと我々は言っているんです。ところが、出せない出せないの一点張り。その理由は、全く今の話で説得力ありません。
じゃ、その一万人分のやつは国会には出してもらえるんですね。
○国務大臣(山下貴司君) 提出できない理由につきましては、この聴取票の性質によります。そして、その前年、前年以前のものにつきましては、実はこれは技能実習法が新たにできる前の、施行前の技能実習生でございます。
そして、この技能実習法につきましては、二十八年十一月に、当時、福山委員もおられました民進党の賛成も得て、与野党の幅広い議論の中でこれは成立しておる。そして、それが昨年の十一月、これ施行されているということでございます。(発言する者あり)
○委員長(金子原二郎君) 御静粛に。
○国務大臣(山下貴司君) そして、技能実習全体につきましては、成立は二十一年でございますが、施行自体は、この技能実習のこの在留資格は二十二年七月に始まったものでございまして、これは与野党を超えてこれ取り組んできたものがある、そしてそれが二十八年の技能実習法につながったものと考えております。(発言する者あり)
○委員長(金子原二郎君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(山下貴司君) 結論から申し上げると、この聴取票の性質上、出すことは適当ではないのではないかというふうに法務省としては考えております。その結果につきましては、この新たな技能実習法に反映されている、それは与野党通じて、まあ野党の大半の方の御賛成をいただいて成立した法案に反映されているのではないかと考えております。
○福山哲郎君 二十九年度を出して過去にあるやつを出せない、国会に出せない理由はありません。
委員長、理事会で協議してください。
○委員長(金子原二郎君) 後刻理事会で協議をいたします。
○福山哲郎君 じゃ、法施行後の失踪者は何人程度いるんですか。
○政府参考人(和田雅樹君) 失礼いたしました。
平成三十年上半期の失踪者数が、速報値でございますが、四千二百七十九人となっております。ただ、このうち、新法施行後の技能実習生がどのぐらいかということは把握しておりません。
○福山哲郎君 四千二百七十九名、非常に、上半期だけですけど、現実問題としては新法施行後でも全然減っていません。
実際に、もう失踪者が四千二百七十九いるんだから、この中でどのぐらいの人数が個票を作成されていますか。
○政府参考人(和田雅樹君) 四千二百七十九のうち、その後、入管当局において捕捉した者について個票を、このような聴取票を作成するという関係になります。したがって、その数については、現在把握をしておりませんが、精査中でございます。
○福山哲郎君 これ、私が法務省から聞いたところによると、千や二千は今あるとおっしゃっています。でも、国会ではこうやって表に出しません。もう全く不誠実。この大臣の答弁も、本当に言っているのは、まともそうに聞こえるから、全然答えていないんです。
それで、これ、個票が出たら即座に出してもらえますね、精査中の個票。だって、新制度の元は我々も賛成したんだから、我々確認する権利ありますよね。いつ精査できるんですか。
○国務大臣(山下貴司君) この新制度につきましては、これは個票のみで判断するのではなくて、今、例えば三千七百か所についてちょうど実地調査を入っておったり、あるいは、例えばその悪質ブローカーを排除するために、二国間合意、これを十か国締結する、そういった総合的なところから検証していく必要があると考えております。
そういった総合的なところの検証について、これは大臣政務官をヘッドとするプロジェクトチームを設けまして、それでしっかりと検討してもらい、運用状況について、また、等々検討していただくということにしております。
○福山哲郎君 間違っています、あなたの考え方は。行政の執行状況を監視するのは国会の役割なんです。あなたたちが政務官つくって勝手にやるのは勝手にやっていただいたら結構だ。我々は我々として、国会として必要があるからやろうとしているんだ。そのことに対して、何でもデータは出さない、出したくないと言って、あとは我々がやりますって、国会の機能を何だと思っているんですか。あなた、元検事だから分かっているでしょう、そのぐらい。
○国務大臣(山下貴司君) 誠に申し訳ございません。
ただ、なぜ個票を出すことが法務省として適当でないかと考えると、先ほど申し上げたように、個票というのは、それは聴取時点で公表を前提としていない、そしてその中に様々な調査、刑事訴追につながり得るものがあるということで、法務省としては提出すべきでないという立場であるということを是非御理解賜ればと思います。
○福山哲郎君 ここに国交省、こうやって出しているじゃないですか。技能実習の実態を把握しなければいけないからと言っているんです。
総理、これ、この技能実習の状況を把握しないでこの法案採決するなんてあり得ないですよ。データは出さない、状況が分からない。総理、いかが思いますか、今の議論。だって、刑事訴追のおそれないんだから、今のお話聞いていて。総理のこれ本会議の答弁が、実は法務省の書いた答弁はおかしいんですからね。
総理、これ、本当にこのデータ、だって建設省出しているんだから、国交省が。これ、現実の問題として、出さないと、これ採決なんてあり得ないですよ。何にも分からないまんま、ただやみくもに採決しろと言うんですか。そんなのあり得ないじゃないですか。総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 審議が終結した段階で採決はされるんだろうと思いますが、その御判断はまさに委員会がお決めになることだろうと、こう思っております。
個票をなぜ出せないかということについては、先ほど来、法務大臣からるる御説明しているとおりでございます。
○委員長(金子原二郎君) 福山君、時間が来ております。
○福山哲郎君 全く法務大臣の答弁は説得力はないと、このまんまでは採決どころか全く入管法については不明確なまんま、審議も全く進んでいないということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
○委員長(金子原二郎君) 以上で福山哲郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)

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