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2020

第203国会 参議院 本会議 2020年10月29日 所信表明演説への代表質問


○福山哲郎君 議運の取決めにより、マスクを外させていただきました。
立憲民主党の福山哲郎です。
菅総理、内閣総理大臣御就任おめでとうございます。二世、三世でもなく、派閥なしから日本のリーダーになられたのは、近年の自民党では希有な存在であり、まずは祝意を表したいと存じます。
さて、安倍長期政権が終えんし、一つの時代が終わりを告げました。菅内閣が発足し、時を同じくして衆参百五十名の仲間とともに新立憲民主党を結党させていただいたことは、まさに時代の要請だと感じています。私たちは、ウイズコロナの時代に即した新しい綱領を作り、スタートしました。
一つには、一人一人の日常の暮らしと働く現場の声に立脚した、多様性を認め合い、差別のないお互いさまに支え合う社会をつくること。
二つには、過度な自己責任論に陥らず、目先の効率性だけにとらわれず、格差を解消し、一人一人が幸せを実感できる社会をつくること。
三つには、公文書管理と情報公開を徹底し、透明で公正な信頼される政府をつくること。また、コロナ下において不要だったアベノマスク、給付金の遅れ、PCR検査が増えなかったことなど、行政の劣化が露呈する中で、実行力のある機能する政府をつくること。
強い決意でこれらを具現化し、国民の命と暮らしを守るとともに、もちろん、立憲主義を重んじることは言うまでもありません。
さて、一九四九年の日本学術会議の発会式において、当時の吉田茂内閣総理大臣は、祝辞で、日本学術会議はもちろん国の機関ではありますが、その使命達成のためには、時々の政治的便宜のための制肘を受けることのないよう、高度の自主性が与えられておるのでありますと述べられています。
また、八三年、当時の中曽根内閣総理大臣は、独立性を重んじていくという政府の態度はいささかも変わるものではございません、政府が行うのは形式的任命にすぎないと答弁されています。
国立公文書館に出向いた我が党の小西洋之議員の調査によれば、一九八三年の法案審議の際の想定問答には、独立性の強い機関であり、内閣総理大臣は学術会議の職務に対し指揮監督権を持っていないとされています。
今般、六人を任命しなかった行為は吉田総理の言うまさに制肘を加えんとする行為であり、甚だ遺憾です。制肘とは、干渉した相手の自由な行動を妨げるという意味です。
総理、まずは、六人を排除したことに対する吉田、中曽根両元総理の言葉を凌駕するような明確な根拠をお聞かせください。また、解釈は変更されたのでしょうか。加えて、六人それぞれ排除した理由もお聞かせください。
ましてや、総理はリストを見なかったと発言されています。昨日の答弁で、御自身が判断したと述べられました。リストを見ずにどのように判断されたのでしょうか。偏りについても、大西元会長は明確に否定されています。人事の問題だからこそ、理由の説明が必要です。一連の六人を排除したことは違法だと考えますが、総理の認識をお答えください。
総理は、所信表明演説で、アベノミクスは今後も継承し、更なる改革を進めていくと述べられました。
安倍前総理は、二〇一三年にGDPを平均で名目三%、実質二%程度成長させる目標を提示しましたが、結果として実質GDPは一・一%にとどまりました。二%の物価安定目標も達成できていません。企業の内部留保は四百六十三兆円に拡大するも、労働分配率は七二%から六六%に低下をしております。実質賃金は上がらず、個人消費も回復していません。増えた働き手の六五%は非正規労働者でした。その多くは中高年、七割が女性です。貯蓄ゼロ世帯は何と三割を超えています。この実態がコロナ下での国民生活に大きな影を落としています。総理はアベノミクスの何を継承し、何を改革していくおつもりですか。お答えください。
そんな中、今年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大が世界中を襲いました。今年の四―六の実質GDPは戦後最悪の年率二八・一%減、個人消費も前期比二八・二%減で、大幅に落ち込みました。緊急事態宣言、自粛、休業要請の中で、働きたくても働けない、商売したくても商売ができない、そんな労働者や企業があふれ返りました。その結果、日雇、派遣、契約、アルバイトなどの非正規労働者などの脆弱な生活基盤の人により大きなダメージが生じています。
緊急小口資金等の特例貸付けは累計支給件数約百二十万件、あの東日本大震災の二〇一一年度でも一年間で約七万件にすぎず、いかに今年が激増しているか、御理解いただけると思います。また、住宅確保給付金は申請が現在十万件を超えました。昨年は全国で一か月四百人程度の利用でした。
そして、野党側から一日当たりの上限額の引上げ等を要望し実現した雇用調整助成金の特例措置は現在約百七十万件の申請があり、支給決定額は一兆九千億にも上っています。緊急小口資金特例は十二月末まで、住宅確保給付金は期限が九か月、雇用調整助成金の特例措置は十二月末までに終了する予定になっています。
これらの支援メニューは年末から年度末にかけて期限を迎えます。支援メニューによってぎりぎりの生活をしている人たちがたくさんいます。これらの支援が切れると生活困窮者や失業者が一気に増えるおそれがあります。言わばセーフティーネットに大きな穴が空くことになります。
総理、リーマン・ショック時よりはるかに国民生活への衝撃は大きく、自助、共助で生活できる範囲を超えているとは思われませんか。彼らは自助努力を怠っているわけではありません。自分でできることはまず自分でやってみろと政府が突き放すような状況なのでしょうか。逆に、今こそ政治が必要とされているのではないでしょうか。まさに公助の出番です。総理の認識を伺います。
また、雇用調整助成金の特例措置の延長は中小企業に限りません。大企業でも、系列会社や子会社等で雇用調整助成金を活用しているところが存在します。延長は頼みの綱です。一日も早く延長を決めて、年末にかけてそれぞれが安心できるような状況をつくっていただきたい、強く延長を求めたいと思います。総理の御決意を求めます。
次に、休業支援金について、十月中旬現在、五千億円の予算で僅か五%に満たない程度しか支給されておらず、利用が進んでいません。
申請には事業主による確認が必要とされていますが、私の地元の京都では、ホテル、旅館、観光産業で働く日々雇用、アルバイトの学生、バスガイドの皆さん等がこの確認が取れず立ち往生しています。また、大企業で働く非正規雇用労働者にも活用できればと考えています。
休業支援金の支給状況に対する現状の評価及び必要な方に届くよう申請対象及び申請方法を見直す必要性について、総理の認識を伺います。
家賃支援給付金についてお尋ねします。
今年度第二次補正における二兆二百四十二億円の予算にもかかわらず、十月九日現在の支給額は僅か二千五百億円程度、一〇%強にとどまっています。なぜこのような事態になっているのか、経産大臣、お答えください。
また、五十八万件の申請に対し、なぜ約半分の三十万件の給付にすぎないのでしょうか。二十八万件の未給付の部分について、なぜ給付が遅れているのか、原因についてどう分析し、今後どのような改善を考えているのか、経産大臣の見解を伺います。
経済との両立のための検査の充実は不可欠です。立憲民主党は、例えば、医療、介護、保育、教育で働く方々が希望すれば公費でPCR検査を受けれるようにすべきと提案をしています。総理の見解を伺います。
今後、季節性インフルエンザが流行する時期を迎え、検査体制の大幅な拡充が必要となります。感染ピーク時にそれぞれの検査特性に合わせた検査数の確保、人員や防護体制の確保をどのように行っていくつもりなのか、またPCR検査等の低廉化も必要であると考えますが、併せて総理の認識をお聞かせください。
さらに、新型コロナの患者を受け入れた医療機関だけでなく、全ての経営悪化医療機関等を支える新たな給付金の創設を求めますが、総理の見解を伺います。
予備費についても伺います。
今年度第一次及び第二次補正予算において、新型コロナウイルス感染症対策予備費は合わせて異例の十一兆五千億円計上されました。現時点で七兆二千七百八十億円についていまだ使途が決まっていません。
最近の報道等では、年明け、第三次補正予算案が検討されていると仄聞します。なぜ予備費が七兆円も残っているのに補正予算を組むという話になるのでしょうか。新型コロナウイルス感染症対策であれば、この予備費の残額から使用していくべきです。第三次補正予算は、総理、一体何を想定しているのでしょうか。補正予算を組む判断はいつ頃、どんな観点で指示をされるのか、総理に伺います。
その七兆円の予備費の活用について、提案があります。
一人親世帯の多くは平時でさえ苦しい生活状況でありますが、認定NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの調査では、おむつを頻繁に替えない、職場のウオーターサーバーのお湯が朝食だという母親がたくさんいます。深刻な状況が明らかになっています。
一人親は多くの人が非正規労働で働いています。その結果、雇い止めに遭ったり、休業手当が出ないなど、新型コロナの影響を最も受けていると言っても過言ではありません。
総理は、所信表明演説で、一人親家庭への支援など、子供の貧困対策に社会全体で取り組みますと明言されました。年内に、低所得の一人親世帯への臨時特別給付金の二度目の支給を、予備費を活用して実施してはいかがでしょうか。総理の見解を求めます。
公共交通や物流は、国民生活や経済活動等を支える重要な社会インフラであり、緊急事態宣言下においても、大きく減便することなく、通常の輸送を維持することが求められてきました。全ての公共交通が深刻なダメージを受けています。
厳しいのは中小事業者だけではなく、大手民鉄やJRなどの大手の事業者も同様です。
例えば、二〇二一年三月期までにANAはグループ全体で過去最大の五千百億円の赤字。JR東日本は四千百八十億円、JR西日本は二千四百億円の赤字で、これも過去最大。尋常な数字ではありません。地方では地域公共交通の維持、存続も危ぶまれます。
感染リスクを抱える中で安全輸送を担っている彼らを、総理は、エッセンシャルワーカーであると認識されていますか。また、交通崩壊を防ぐため、公共交通の維持のための資金繰り対策に資するような支援策、ここでも雇用調整助成金の延長、感染症収束後における需要喚起策等が必要であると考えますが、総理の認識を伺います。
スポーツ界も深刻な危機に直面しています。
二月以降、プロ、アマを含めてスポーツ大会やイベントが中止、延期となりました。スポーツ施設も閉鎖され、練習や運動の機会が失われました。
プロスポーツへの影響も甚大です。例えばBリーグは、B1、B2全三十六クラブのうち八割が赤字、五割が緊急融資を受ける事態となりました。今月、選手等へのPCR検査の実施等、様々な予防措置を講じながら新たなシーズンが開幕しましたが、入場者数の制限もあり、四割程度の入場者にとどまっています。到底、損益分岐点に達しません。
こうした状況を受けて、超党派の議員連盟において、いわゆるtoto法について、感染症が発生した場合における支援等を新たに助成対象とする改正法案を取りまとめ、今国会での提出に向けて取り組んでいるところです。政府においても、苦境にあるスポーツ界に対して一層の支援策を講じるべきと考えますが、総理の見解を求めます。
ライブエンターテインメントも深刻さも変わりません。
大型イベントの自粛要請等の影響により、音楽コンサートを始めとするライブエンターテインメント業界は大きな経済的な損失を被っています。来年一月までの損失額は、音楽コンサートで約三千五百億円、演劇、ステージ系で約千五百億円にも上る見込みと試算されています。また、九三%のライブハウスが一か月から一年もつか分からないという調査すらあります。
一万人以上のイベントには五〇%制限があり、本格的な開催には程遠い状況です。先行きに好転材料が見当たらず、プロダクションやアーティストには絶望感も広がっており、廃業や活動停止なども続いています。この業界は、一見華やかに見えますが、映画、音響等々、関係者の裾野が広い分、生活が脅かされている人々も少なくありません。
今回のコロナで明らかになったことは、スポーツ、文化、芸術がどれほど一人一人の国民に必要であったものかという再発見です。立憲民主党は綱領に文化芸術の振興を高く掲げました。
文化芸術活動の継続支援補助金の延長と、申請の簡略化、再申請の受入れを求めたいと考えますが、総理の見解をお聞かせください。
菅新政権の外交方針における菅カラーとは一体何なのでしょうか、お伺いします。
安倍前総理は、日中関係は完全に正常な軌道に戻ったと述べ、習近平国家主席を国賓として招くことを予定していました。本当でしょうか。
尖閣諸島周辺では、中国が接続水域に連日公船を航行させ、月に数度、我が国領海に侵入するという状況が常態化、挑発行為をエスカレートさせています。海上保安庁の巡視船が中国公船の間に割って入り、漁船をガードするなど、非常に高度な任務を遂行しています。海上保安庁並びに連日の警戒監視等の任務に当たっている自衛隊の皆様に心からの敬意を表します。中国のこのような行為を今後エスカレートさせないため、どのような外交努力をされるつもりか、お答えください。
香港の一国二制度を実質的に骨抜きにするなど、国際社会の懸念も広がっています。菅総理は、就任後の日中首脳電話会談において様々な懸念を伝えたとのことですが、そもそも習近平国家主席を国賓として招く考えに変わりはないのか、お伺いします。
菅総理は、総理就任以来、拉致問題について、これを政権の最重要課題とし、解決に全力を傾けると表明されています。安倍前総理も、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との条件なしの対話を提案してきましたが、先方から全く反応が見られませんでした。菅総理は、北朝鮮との首脳会談が実現しなかった理由をどう考えているのでしょうか。また、一刻も早い拉致被害者の帰国に向けて、総理は具体的にどのような手だてを講じようと考えているのでしょうか。お聞かせください。
安倍前総理は、ロシアとの共同経済活動を進めつつ、日ソ共同宣言をベースに二島先行返還を実現するという姿勢を示し、北方領土問題に取り組まれました。その間、北方四島について日本固有の領土と公に発言するのを控え、外交青書からも消えました。
今年六月にプーチン大統領は領土の割譲を禁止する憲法改正を行うなど、領土問題は全く進展しませんでした。これまでの交渉はロシアに誤ったメッセージを伝えてきたのではないでしょうか。
改めて、北方領土は日本固有の領土だという認識に立って交渉を再構築するべきではありませんか。総理には、北方領土は日本の固有の領土であると明言をいただいた上で、お答えをいただきたいと思います。
従来、政府は、防衛大綱にも中期防になかったイージス・アショアについて、国民の命を守り抜くため導入はどうしても必要だと説明をしてきました。しかし、突然配備を断念し、今度は前のめりに敵基地攻撃能力の保有に関する議論を進めようとしています。場当たり的であると言わざるを得ません。
これまで我が国は、日本国憲法の下、専守防衛に徹し、敵基地攻撃は法理的には可能だが保有しない、また日米安保条約に従い、自衛隊は盾の役割を、在日米軍は矛の役割を担い、他国の領域内を攻撃する能力は整備してきませんでした。敵基地攻撃能力の保有の検討を始めるのであれば、安保政策の歴史的転換となります。
専守防衛との整合性、必要最小限とはどういったものなのか、外交・安全保障への総合的な影響など丁寧な議論が必要です。敵基地攻撃能力の保有について、総理自身の見解をお答えください。
総理は、これまで基地負担軽減担当大臣として、基地問題と沖縄振興がリンクする旨を言及してこられました。沖縄振興は、太平洋戦争における戦禍やその後の米軍統治といった歴史的な事情を踏まえ、国の責務としてなされてきたものであります。沖縄振興予算や沖縄振興一括交付金を減額する政府のやり方は、沖縄の自主性を尊重し、自立的発展、豊かな住民生活の実現を目的とする沖振法の趣旨に反します。
改めて、国が自らの責務として沖縄振興に取り組むそもそもの意義に立ち返り、基地問題とは切り離し、沖縄振興を進めるべきだと考えますが、総理の認識を伺います。
さらに、辺野古移設について、軟弱地盤の影響で工期は短くても十二年、最低でも九千三百億円掛かるという試算が出されました。また、想定を上回る地盤沈下の可能性も指摘されています。与党内ですら、元防衛大臣経験者等から辺野古移設の見直しは検討に値するという声があります。軟弱地盤という新たな障害が出てきました。イージス・アショアの断念と同様、埋立てを中止し、辺野古への移設計画を見直すつもりはありませんか。総理のお考えをお聞かせください。
国内外において気候変動による影響は大きく、記録的な高温や豪雨、台風の強大化、森林火災、洪水などが頻繁に起きています。数十年に一度という言葉を一年に何回も耳にし、異常が日常となっています。
かねてより立憲民主党は、二〇三〇年、四五から五〇%削減、二〇五〇年に実質ゼロという国連事務総長の呼びかけに我が国も一刻も早く応えるべきであると主張してまいりました。前政権下では一顧だにされませんでしたが、今回、実質ゼロを表明されたことは一歩前進と受け止めています。早急に二〇五〇年温室効果ガス排出実質ゼロと整合的な目標を国連に再提出するべきです。削減目標、NDCをいつまでに政府内で取りまとめ、国連に提出するのでしょうか。総理の見解を伺います。
あわせて、前政権で昨年六月に決定されたパリ協定に基づく長期戦略では、二〇五〇年実質ゼロ目標は定められていません。所信演説で表明するだけではなく、長期戦略の変更と二〇五〇年実質ゼロを法定化することも必要だと考えますが、総理の見解を伺います。
当然、将来のエネルギーミックスについても改定する必要が生じます。現状の二〇三〇年の原発の割合は二〇から二二%となっており、三十基程度の再稼働が必要な計算になります。これは、福島第一原発事故前と同水準です。あの事故の反省が全く生かされていません。私たちは、原発の再稼働、新増設はリアリティーがないと考えますが、一昨日も、驚くべきことに、早速自民党の幹部が原発の新設に関する言及をされました。カーボンニュートラルを根拠に、まさか原発の割合を引き上げ、原発の維持、推進をしていくおつもりですか。総理の明快な答弁を求めます。
また、高効率であっても石炭火力発電所はカーボンニュートラルとは逆行します。笑い話にもなりません。未来に対して責任を果たすために、一日も早く脱石炭にかじを切るべきと考えます。総理の認識を伺います。
核兵器禁止条約が年明けに発効する見込みとなりました。歓迎すべきことであり、広島、長崎の被爆者や御遺族の皆さん、ICANなどの世界のNGO、市民社会の運動の成果であり、心から敬意を表したいと思います。我が国をめぐる安全保障環境に鑑み、我が国としても中長期的に批准に向けてあらゆる努力をしなければならないと考えますが、当面は締約国会議にオブザーバーとして参加するべきではないでしょうか。総理の見解を伺います。
東京電力福島第一原発の敷地内にたまり続けるALPS処理水について、政府内で処分方針を決定しようとされています。コロナ禍にあって、地元福島県民や国民の皆様への説明の場や意見を広く聞く機会が十分に設けられておらず、福島の漁協、農協を始めとする団体や多くの市町村議会からも反対の声が上がっています。拙速に進めるべきではありません。国民に対する説明と十分な議論を経てから決定されることを求めます。総理の答弁を求めます。
今年二月、いわゆるALPS小委員会の報告書では、年間どれだけ放出して、何年で終わらせるのかという点について曖昧なままで、具体的な道筋が全く見えていません。また、これまでの風評対策はどれだけの成果があったのかも不明確です。これまでの風評対策の実効性の検証や数値目標を含めた具体策の設定が必要です。処理水の放出及び風評対策について総理の見解を求めます。
前政権下、森友、加計学園や桜を見る会をめぐる問題が噴出をしましたが、何も説明されないまま残っています。官房長官として追認してきた菅総理の責任も極めて重いと考えます。
森友学園では、公文書改ざんを強いられ自ら命を絶った近畿財務局職員の御遺族は、経緯の再調査や公務災害認定に関する情報の開示を求めておられますが、政府は一向に応じようとしません。まずは、菅政権として、赤木氏の公務災害認定に関する資料について、速やかに黒塗りを外して開示することと再調査を求めますが、総理の見解を伺います。
また、それぞれ逮捕、起訴されたあきもと司議員、河井克行、あんり両議員がいまだに説明責任を果たさないまま議員を続けています。甚だ遺憾です。総理の所見を求めます。
次に、報道によれば、神奈川県の公有地の売却について、随意契約、土地の再鑑定、無断転売等がなされた案件で、当事者である企業と総理との関係が指摘をされています。当該企業の経営者と面識はあるか、献金を受けた事実はあるか、あるとすればその金額は幾らか、当該企業の所有するビルに総理の事務所が入っていたことがあるか、神奈川県や横浜市とこの案件について総理の事務所関係者が関与した事実はあるか、お答えください。
選択的夫婦別姓は言わば岩盤規制の象徴です。菅総理御自身も、二〇〇六年の新聞で別姓制度導入に理解を示されています。
二〇一八年の通常国会に私たちは選択的夫婦別姓法案を国会に提出しましたが、与党が一切審議に応じません。継続審議となっています。橋本大臣は、選択的夫婦別姓の実現に向けて検討を進める方針を次期男女共同参画基本計画に盛り込みたいと発言されました。一定評価をしますが、そんなことは実は必要ありません。私たちが提出している選択的夫婦別姓法案を一日も早く審議して成立をさせればいいのです。総理の見解を伺います。
一人十万円の特別定額給付金を個人でなく世帯主を受給権者としたことが、世帯主ではなく個人に支給してというハッシュタグがSNS上で拡散され、大きな問題となりました。
先般の特別定額給付金に限らず、今後、様々な制度設計を考える際には、世帯単位から個人単位へと変更するべきだと考えますが、御答弁をお願いします。
自民党の杉田水脈議員が性暴力被害者支援を議論する党の会合で女性は幾らでもうそをつけると発言したことについて、菅総理の率直な感想をお聞かせください。
私たちは性暴力被害者支援法案についても一昨年の通常国会に提出しましたが、この法案も全く審議されていません。法案についての総理の見解を伺います。
また、この杉田議員は、以前、LGBTについても生産性がないと月刊誌に寄稿しました。先般、足立区が滅びるなどという暴言を発した自民党議員もいました。明らかに人権侵害、差別発言であり、言語道断です。自民党はこれらの方々に全くおとがめがないのでしょうか。
これも、国会にLGBT差別解消法案及び婚姻の平等を実現する民法改正案を提出しています。性的指向、性自認による差別及びこれらの法案に対する総理の認識を伺います。
今回、立憲民主党に参加した議員のうち、総理や官房長官、大臣から政務官まで、六十三名の議員が政府で行政経験を積んでいます。枝野代表も、菅総理と同様、内閣官房長官経験者であり、片や原発事故、片やコロナ危機に対応してこられました。言わば、次の総選挙は、支え合いの社会か自助かを選択する元官房長官対決です。日本全国で二百名を優に超える候補者を擁立し、敢然と菅内閣に挑戦していく決意です。
おぼろげながら、国民に問う争点らしきものも見えてまいりました。私たちは、年収一千万円程度までの中間層の所得税の時限的免除、消費税の時限的減税、一人月一万円程度の困窮者への定額給付、この三つをハイブリッドに組み合わせて、冷え込んだ経済を立て直していきたいと考えています。また、消費減税については与野党で協議をするべきだと表明をしています。
一方、菅総理は、消費税はそのまま、アベノミクスを継承し、このコロナ禍にもかかわらず中小企業を再編しようとしています。エネルギーについても、原発に依存しない社会から原発を維持推進する社会かという構図になるでしょう。選択的夫婦別姓やLGBTの尊厳に関しても、積極的か否か、姿勢の違いが明らかになってまいりました。
緊張感のある政治を日本に取り戻してほしい、多くの国民の声に押されて私たちは立憲民主党を結党いたしました。今こそ、立憲民主党は、政権選択をしていただけるよう、国民の信頼に足る政党として、一人一人のあなたの現場の声に寄り添い、命と暮らしを守る、あなたのための政治を実現していく、その決意を申し上げ、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(菅義偉君) 福山哲郎議員にお答えをいたします。
日本学術会議についてお尋ねがありました。
両元首相の発言、答弁との関係ですが、憲法第十五条第一項は公務員の選定は国民固有の権利と規定しており、この憲法の規定に基づき、日本学術会議法では会員を総理が任命することとされていることから、この任命に当たっては必ず推薦のとおりに任命しなければならないわけではないという点については、内閣法制局の了解を経た政府としての一貫した考え方であり、今回の任命も日本学術会議法に沿って行ったものであり、日本学術会議法の解釈変更ではない旨は国会において内閣法制局からも答弁しているとおりであります。
私が日本学術会議について申し上げてきたのは、まず、年間十億円の予算を使って活動している政府の機関であり、任命された会員は公務員となるので国民に理解される存在であるべきということです。
個々人の任命の理由については、人事に関することであり、お答えを差し控えますが、任命を行う際には、総合的、俯瞰的な活動、すなわち専門分野の枠にとらわれない広い視野に立ってバランスの取れた活動を行い、国の予算を投じる機関として国民に理解される存在であるべきということ、更に言えば、例えば民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りが見られることも踏まえ、多様性が大事であるということを念頭に私が任命権者として判断を行ったものであります。
アベノミクスの継承についてお尋ねがありました。
八年前の政権交代以来、一貫して経済の再生に取り組んできました。今後も、金融緩和、財政出動、成長戦略の三本を柱とするアベノミクスを継承し、更なる改革を進めてまいります。その際、ポストコロナの課題であるデジタル化、グリーン社会の実現などについて規制改革を進め、必要な投資を行い、再び強い経済を取り戻します。
自助、共助、公助についてお尋ねがありました。
自助、共助、公助、そして絆という考えは、まず自分でやってみる、そして家族や地域で助け合う、その上で、政府がセーフティーネットでお守りをするという目指すべき社会像について述べたものであります。
他方で、現在は新型コロナウイルスの影響により、経済が戦後最大の落ち込みを記録するなど、まさに国難のさなかにあり、政府としては、これまでも事業規模二百三十兆円を超える対策を講じてきたところです。この中で、生活に困窮されている方々に対しても、住居確保給付金の支給、返済免除も可能な緊急小口資金等の特例貸付け、こうした重層的なセーフティーネットを用意しているところです。その上で、今後ともちゅうちょなく必要な対策を講じてまいります。
雇用調整助成金の特例措置についてお尋ねがありました。
従業員の雇用を守るべく実施している雇用調整助成金については、これまでに例のない特例措置を講じてきたところであり、八月にはその期間を本年十二月末まで延長したところです。この特例措置の取扱いについては、今後の雇用情勢などを踏まえ、適切に判断していきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症対策休業支援金給付についてお尋ねがありました。
この制度は、雇用調整助成金の活用もままならない中小企業の労働者を早期に支援するために創設したものであり、支援が必要な対象者の方にしっかりと行き届くように取り組むことが重要だと思います。
事業主の協力がいただけずに申請、支給に至らないケースがあると報告を受けていますが、こうした場合には、労働局で労働者からの申請を一旦受け付けた上で、事業主に対して調査を行うという運用にしております。こうした運用、制度の対象者について、分かりやすく周知徹底を行ってまいります。
新型コロナウイルス感染症に係る検査体制の確保及び医療機関への支援についてお尋ねがありました。
政府としては、医療機関や高齢者施設等で働く方々に対し、感染者が多数発生している地域等においては、症状がない方も含めて、一斉、定期的な検査を行政検査として公費により実施することを既に各自治体にお願いをいたしています。
また、この冬の季節性インフルエンザの流行期に備え、地域の医療機関で一日平均二十万件の検査能力の確保に向け、検査キットの製造メーカーに増産を要請するとともに、地方自治体において、地域における診療体制、検査体制の整備に向けて準備を進めていただいております。なお、この検査は行政検査として公費により実施されるため、患者の方々には検査費用の負担はないと承知しています。
医療機関への支援については、これまで約三兆円の支援を実施してきており、まずはこれらの支援を医療現場の皆様に速やかにお届けするとともに、今後とも地域医療の確保に向けて必要な取組や支援を検討してまいります。
第三次補正予算についてお尋ねがありました。
依然厳しい経済状況の中で引き続き第一次、第二次補正予算を着実に執行し、雇用を守り、事業が継続できるように、最大二百万円の持続化給付金、最大四千万円の無利子、無担保融資などの措置が行き渡るようにしてまいります。
その上で、今後とも、新型コロナウイルスが経済に与える影響を始め内外の経済動向を注視しながら、ちゅうちょなく予算上の措置も含め必要な対策を講じてまいります。
一人親家庭への支援についてお尋ねがありました。
新型コロナウイルスの影響を踏まえ、第二次補正予算により、低所得者の一人親世帯への臨時特別給付金の支給を実施しております。
今後とも、新型コロナウイルスによる一人親家庭の所得状況や生活実態、社会経済状況の変化を踏まえつつ、一人親世帯に対する関係施策の充実に向けた検討を行ってまいります。
公共交通についてお尋ねがありました。
さきの緊急事態宣言下にあっても、公共交通は、国民生活や経済活動を支える不可欠なサービスとして機能を維持してきました。これらのサービスを支える皆様には、まさにエッセンシャルワーカーであり、改めて敬意と感謝を申し上げたいと思います。
これら公共交通の機能を確保するため、落ち込んだ需要の回復に資するよう、GoToトラベル事業を実施しています。また、事業者の資金繰りについては、これまで雇用調整助成金や持続化給付金、日本政策投資銀行の危機対応融資の活用などの支援を行ってきています。今後も、必要な事業者にこうした措置が行き渡るように取り組んでまいります。
スポーツ界に対する支援についてもお尋ねがありました。
政府としては、スポーツイベントが円滑かつ本格的に実施されるよう、全国規模のスポーツリーグ又は大会を開催する主催者に対し、感染対策や継続的な集客への支援などを行っております。引き続き、苦境にあるスポーツ界に対し、必要な支援策の検討を行ってまいります。
文化芸術活動の継続支援事業の延長とその見直しについてお尋ねがありました。
政府としては、文化芸術活動の継続支援事業の対象となる期間や申請期間の延長についての要望をいただいていることを踏まえ、申請期間を延長することにしました。
申請の簡略化などの詳細については、現在検討しています。
菅政権の外交方針の特徴についてお尋ねがありました。
厳しい安全保障環境の中、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことは政府の最も重大な責務です。日米同盟を基軸としつつ、基本的価値を共有する国々とも協力し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組の戦略的な推進に力を入れてまいります。
また、中国、ロシアを含む近隣諸国との安定的な関係を築いてまいります。
同時に、新型ウイルスによって人間の安全保障が脅かされ、国際連携の強化が一層求められる中、日本は多国間主義を推進していきます。
尖閣諸島周辺の領海侵入等についてお尋ねがありました。
尖閣諸島周辺海域において中国公船による接続水域の航行及び領海侵入が継続していることは極めて遺憾です。こうした活動に対しては、外交ルートを通じ、繰り返し厳重に抗議してきています。
今後とも、日本の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、冷静かつ毅然と対応していきます。
習近平国家主席の国賓訪日についてお尋ねがありました。
中国との安定した関係は、二国間だけでなく、地域、国際社会のために極めて重要です。
中国の間には御指摘の点も含め様々な懸案が存在していますが、引き続き、ハイレベルの機会を活用して、主張すべき点はしっかり主張し、中国側の前向きな対応を強く求めていきます。その上で、まずは新型コロナウイルスの収束に専念すべきであり、習主席の国賓訪日については、今は具体的な日程調整をする段階ではありません。
北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
日朝首脳会談については、現時点で決まっていませんが、政府としては、これまでも、条件を付けずに金正恩委員長と向き合う決意の下、北朝鮮に対して働きかけを行ってきています。ただし、その詳細については今後のやり取りに影響を及ぼすおそれがあるために差し控えます。
拉致問題は私の内閣の最重要課題です。拉致被害者の御家族が御高齢となる中、拉致問題の解決には一刻の猶予もありません。米国を始めとする各国と緊密に連携し、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力を尽くしてまいります。
北方領土問題についてお尋ねがありました。
北方領土は我が国が主権を有する島々であります。政府としてはこの立場に変わりはなく、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題であるというのが日本側の一貫した立場です。ロシアに誤ったメッセージを伝えたとの指摘は全く当たりません。
北方領土問題については、次の世代に先送りすることなく終止符を打つべく、領土問題を解決して平和条約を締結するという方針に変わりはありません。
九月の日ロ首脳電話会談では、プーチン大統領から、この平和条約締結問題も含め、二国間のあらゆる問題に関する対話を継続していく意向である旨の発言があり、私から、共にしっかり取り組んでいきたい旨申し上げました。その上で、二年前のシンガポールでの首脳会談で、一九五六年宣言を基礎として平和条約交渉を継続させる、このことで合意したことを改めて確認をしました。その際のやり取りについてはしっかり引き継いでおり、これまでの両国間の諸合意を踏まえ、交渉を進めてまいります。
敵基地攻撃についてお尋ねがありました。
先月公表の総理談話で述べた問題意識の下に、抑止力を強化するため、ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針について検討しているところであり、現時点で御指摘の諸点についてお答えすることは困難です。
沖縄振興についてお尋ねがありました。
政府として、沖縄の発展のため、特に、基地負担の軽減を始めとする基地問題の対応と、返還された基地の跡地利用を含む沖縄振興策の推進を重要な政策課題と位置付け、総合的に取り組んできています。引き続き、地元の声をしっかり伺いながら、観光の再生、層の厚い各種産業の振興、基地跡地の利用を含め、国家戦略として沖縄振興策を総合的、積極的に進めてまいります。
普天間飛行場の辺野古移設についてお尋ねがありました。
御指摘の地盤改良工事については、沖縄防衛局において、有識者の助言を得つつ検討を行った結果として、十分に安定した護岸等の施工が可能であることが確認されています。一日も早い普天間飛行場の返還に向け、計画に従い工事を着実に進めていく考えです。
二〇三〇年の削減目標等についてお尋ねがありました。大変失礼しました。
二〇五〇年の削減目標についてお尋ねがありました。
本年九月から地球温暖化対策計画の見直し、また十月からエネルギーミックスの扱いを含むエネルギー基本計画の見直し、それぞれの議論を開始しています。
政府としては、二〇五〇年までに排出実質ゼロという新たな目標を踏まえた二〇三〇年に向けた我が国の取組について議論を進め、来年十一月のCOP26までに国連に通報することを目指します。
二〇五〇年までの排出実質ゼロ目標についてお尋ねがありました。
この目標の位置付けについて、長期戦略の見直しとともに、その実施方法を検討します。
原子力政策と石炭政策についてお尋ねがありました。
二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するため、内閣全体でしっかりと体制を組み、取り組んでまいります。特に、温室効果ガスの八割以上を占めるエネルギー分野の取組が重要であり、再エネのみならず、原子力や石炭を含め、あらゆる選択肢を追求していきます。
徹底した省エネ、再エネの最大限の導入に取り組み、原発依存度を可能な限り低減をする政府の方針に変更はありません。また、石炭火力にしても、カーボンニュートラルに貢献するようなイノベーションを追求していく必要があります。
今後、原子力や石炭を含め、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すエネルギー政策については、結論ありきではなく、梶山経済産業大臣が中心となって集中的に議論してまいります。
核兵器禁止条約についてお尋ねがありました。
我が国は唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードする使命を有しており、核兵器禁止条約が目指す核廃絶というゴールは共有をしています。
一方で、核兵器のない世界を実現するためには、核兵器国を巻き込んで核軍縮を進めていくことがこれは不可欠です。現状では、同条約は米国を含む核兵器国の支持が得られていません。さらに、カナダ、ドイツなど多くの非核兵器国からも支持を得られていません。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、抑止力の維持強化を含めて、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、地道に、現実的に核軍縮を前進させる道筋を追求していくことが適切であると考えます。
御指摘のオブザーバー参加については、こうした我が国の立場に照らし、慎重に見極める必要があると考えています。
東京電力福島第一原発におけるALPS処理水の取扱いについてお尋ねがありました。
本年二月に科学的根拠に基づく報告書をまとめて以降、自治体や農林水産業の団体との意見交換などを通じ、広く国民の皆様から貴重な意見をいただきつつ議論を積み上げてきています。
敷地が逼迫する中、いつまでも方針を決めず先送りすることはできません。更に政府内での検討を深め、今後、適切な時期に政府として責任を持って処分方針を決めてまいります。また、これまでに実施した風評被害対策のうち効果が大きいと考えられる事例を参考にするなど、関係省庁において具体的な風評対策の議論を深めていきます。
森友学園問題の公務災害認定に関する資料の開示についてお尋ねがありました。
近畿財務局の職員の方がお亡くなりになられたことについては、残された御遺族の皆さんのお気持ちを思うと言葉もなく、静かに謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。
公務災害認定資料を含め、個人情報開示請求については、各省庁において法令に従って適切に対応しているものと承知しています。
あきもと司議員らについての所見についてお尋ねがありました。
我が党所属であった現職の国会議員が逮捕、起訴されたことは誠に残念です。公判中の事件に関する事柄であり、公判に影響を与える可能性があることから、これ以上の答えは差し控えさせていただきます。
本日発売の週刊誌の報道についてお尋ねがありました。
お尋ねの週刊誌報道に指摘されている企業経営者については、面識を持った方です。事務所に確認したところ、私が代表を務める自由民主党神奈川県第二選挙区支部などにおいて、当該企業からは、二〇〇七年を最後に寄附は受けておりませんが、当時はおおむね毎月二万五千円の寄附をいただいていたと報告を受けています。また、二〇〇八年から二〇一一年までの間、当該企業が所有する物件を事務所として賃借しておりました。しかしながら、週刊誌報道で指摘されている案件について、私や事務所が、関係者が関与した事実はありません。
選択的夫婦別氏制度についてお尋ねありました。
夫婦の氏問題は、我が国の家族の在り方に関わる深い問題であり、国民の皆様に様々な御意見があることから、引き続き国民各層の意見を幅広く聞くとともに、国会における議論の動向を注視しながら対応を検討してまいります。
給付金などを個人単位とすることについてお尋ねがありました。
今回の特別定額給付金は、迅速かつ的確に家計への支援を行うという趣旨を踏まえ、市区町村の事務負担等を考慮し、世帯を単位として給付を行うこととしました。
これ以外のそれぞれの制度における取扱いについては、制度の趣旨や実務面などを踏まえ、定められるべきものと考えます。
性犯罪・性暴力対策に関連し、自民党議員の発言及び性暴力被害者支援法案についてお尋ねがありました。
政府の立場で個別の国会議員の発言等についてコメントは差し控えたいと考えております。他方、一般論で申し上げれば、政治家はその発言に責任を持ち、有権者から信頼を得られるよう、自ら襟を正すべきと考えます。
また、国会における法案の取扱いについては国会がお決めになることと考えております。
なお、性犯罪、性暴力は、被害者の尊厳を著しく傷つける重大な人権侵害であり、決して許されるものではありません。
政府としては、引き続き、性犯罪・性暴力被害者支援の充実にしっかりと取り組んでまいります。
性自認における差別についてお尋ねがありました。
性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないと考えております。政府としては、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現にしっかりと取り組んでまいります。
他方で、現行憲法の下では、同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されておりません。
いずれにしても、御指摘の両法案については、その取扱いも含め、国会において御議論いただくものと考えます。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕
○国務大臣(梶山弘志君) 福山議員からの御質問にお答えをいたします。
家賃支援給付金についてのお尋ねがありました。
十月二十八日時点で約六十四万件の申請をいただいておりますが、予算計上時の想定よりも少ない状況となっています。これは、他人から土地や建物を借りて賃料を払っている事業者が想定よりも少ないことなどが原因であると考えております。また、同日時点で、申請の約七割に当たる約四十三万件、約三千七百億円が給付済みとなっております。
給付に当たっては迅速な給付を心掛けていますが、不正受給を防止する観点から、賃貸借契約等をしっかりと確認をする必要があります。契約期間の自動更新条項により、現在も有効であるか直ちに分からない契約もあります。また、一社で数十件もの物件を借りている申請等がある状況で、審査に時間を要しております。
厳しい経営状況にある事業者の皆様に速やかに給付金をお届けすることが重要であると考えており、これまで、審査の状況を確認をしながら、審査担当やコールセンターなどの体制増強を行ってまいりました。
引き続き、審査効率の向上を図り、給付の迅速化を進めてまいります。(拍手)

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