06/07

2005

第162国会 参議院 環境委員会 2005年6月7日


地球温暖化対策推進法改正案参考人質疑

○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。
 本日は、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。座らせていただきます。よろしくお願いいたします。
 先生方のお話を伺っておりまして、ある種共通をしていたことがあると思います。浅野先生は、国内の意思形成を急ぐべきだと、国際交渉の場で受け身の立場にならないようにと。浅岡参考人は、シグナルを送るべきだという、国民に対してというお話をされました。また早川参考人は、長期的な展望をというような話、長期的な目標へという話がありました。
 今年、京都議定書が発効して、サミットがあり、そして冬にはCOPMOP1が始まります。実はそのときには、アメリカ、EU、中国、インド、途上国、諸島連合、いろんなところで激烈な、先行き、COPMOP1以降どうするのかという議論と、今の第一約束期間達成、どのぐらい先進国はするんだというような国益のぶつかり合いの状況がこれから起こるわけですが、その重要な国内の意思形成に対して、浅野参考人、浅岡参考人、早川参考人は、日本はどのような意思を持って国際交渉に臨むべきだと思われているか、この点について一点。
 それから、浅野参考人は中環審の部会長でいらっしゃいますから言いにくいとは思いますが、本当にこれで第一約束期間、六%達成できると浅野参考人はお考えかどうか、その二点について。
 まずお三方、お答えをいただきたいというふうに思います。
○委員長(郡司彰君) それでは、ちょっと浅野参考人は二つございますから、こちらから。早川参考人。
○参考人(早川光俊君) 私は国際交渉を十年間付き合ってきたんですけれども、やはり日本がきちっと自分の意思を示すということが余りなかったと思っています。やはり日本は、温暖化対策をきちっと進めるんだという意思をきちっと踏まえて、そしてまず国際交渉に臨んでほしい。
 日本は一九九〇年に地球温暖化防止行動計画を作って、そのときは非常に評価されたわけでありますけれども、それがうやむやになってしまう過程でやはりきちっとした交渉ができなくなってしまった。私は、自分が削減しないで人に削減しよう、削減する計画を立てようといったってなかなか無理があるので、まず国内対策できちっと削減する方策を立てるのが一つ。先ほど申しましたけれども、やはり長期的に目標を持って日本は削減していくんだという政治的な意思をきちっと示すことだというふうに思っています。その二つを踏まえれば、浅野先生が言われたような国際交渉で後れを取るようなことはなくなるだろうと思っています。
 以上です。
○参考人(浅岡美恵君) こうした将来枠組みの交渉におきまして日本のポジションがどこにあるのかということは今大変重要になっていると思います。その重要性が、米国の離脱宣言以降、今後もなかなか変わらないであろうという見通しの中でその重要性が高まっていると思います。
 EUはいろいろな努力をしておりますし、途上国もそれなりにそれぞれが必要だと。非常に被害も直面するような状況にあるという中で理解の基盤はあるわけでありますけれども、この発効要件、議定書の発効要件に、日本又はカナダとEU、ロシアが批准することが発効の要件でありましたように、日本、カナダという国がやはり温暖化のために、脱温暖化へのために持続的、継続的、将来とも京都議定書の基本枠組みを先進国を中心として取っていきつつ、全体の温暖化政策を途上国等についても進めるという姿勢が示されることは国際的な市場に対する大変大きなシグナルになります。
 そのことによって、日本の主たる企業は国際市場の中で動いているわけですし、国内の競争もそうですが、企業の取り組むべき方針というものが、せっかく動き出しています企業の取組がとんざすることなくというか、様子見になることなく、更にしっかりした取組に進んでいくことによって、将来的な国際経済における日本の企業のといいましょうか、日本の経済の将来発展というものもまた得られてくるわけでありますし、そうしたことに併せて国際交渉の中に非常に重要な役割を占めることができると思います。
 ただ、現在の、先ほど早川参考人からお話もありましたように、経済産業省あるいは一部の産業界の皆様から京都議定書の第二約束期間がもうないかのごとく、あるいは非常に、枠組み期間、タイムスパンとか目標の設定も絶対量ではなく、指数化、指標化されたようなものになり、連続性がないかのごとくアナウンスされる面があるわけですね。こうしますと、企業は今せっかく例えばCDMなどをやろうとしていましても、それがどうなるのか分からない、やめようというようなことにもなります。国内での削減もまあ適当でいいかとなるわけですね。この違いは大変、第一約束期間の目標達成にも悪影響を及ぼすと、あらゆる点で悪影響を及ぼすという意味で、早く日本の長期的な目標をしっかりと定めていただきたいと思っています。
○参考人(浅野直人君) お二方の御意見に重ねるような形になりますが、まず御質問は、国内でこれからどうやって論議をまとめていくべきかということだと理解をいたしまして、その点について、やや抽象的で書生っぽい議論だという、自分でも思うんですが、申し上げたいのは、やはり長期的に考えなきゃいけない、地球温暖化の問題というのは大変長いスパンで考えなきゃいけない問題であるわけです。そのことをまずしっかり踏まえた上で、さらに、やっぱり短期的に我が国の国益が重大に損じるようなことはまずいということがあるわけです。この辺りのところが、恐らく中央環境審議会的発想は長期的な視野でいきますし、産業構造審議会的な発想は比較的短期間のところで何とかしなきゃいけないと考えているわけですから、双方決して矛盾をしているわけじゃないのに、マスコミの皆さんはお互いにけんかしているような言い方ばっかりされるわけですね。そうではない、両方足し合わせたところに実はちゃんと正解があるはずだろうと思うわけです。
 つまり、地球益というようなことを仮に言葉に出したとしても、将来的にはそれが完全に国益になるという認識がやや欠けている発言と、それから、ともすれば地球益の方に走り過ぎてしまって、議論して、当面の取りあえずのシナリオのところにはやや目が行き届かないという議論が続いている限りなかなか国内の考え方はまとまっていかない。これは、だからお互いにちゃんとそこは分かって悟ってしまえば、十分にどうすればいいんだという議論はできるはずなんですが、これは恐らくいや応なしにこれからやらざるを得ませんし、できるだろうと思っています。現に、ほかの分野では審議会が合同会議を開いて実質的な議論ができるという雰囲気ができていますから、この問題も必ずそういうふうになっていくだろうと期待をしております。ちょっと抽象的で申し訳ございませんでした。
 それから、六%が達成できるかという御質問でございますけれども、私は今度の目標達成計画に関しては、やはり森林のところと、それから京都メカニズムに頼っているということをはっきり国民あるいはまあ産業界、すべての方々がどこまで認識できるかが勝負だと思っています。
 つまり、絶対にそれ以外のところは確実に達成できない限りひどいことになるよということがもし分かって、言われていることを精一杯やっても、なお森林と京メカで埋めなきゃ六%にはなりませんということが十分に徹底して、そこが十分にできればあとは、京メカに関してはなお努力が要りますし、森林についても努力が要りますが、これは国際交渉事もあるわけで、どこまでをシンク等の中で評価してもらえるかというのは、まだまだ我が国は腰だめみたいなところがあるわけですね。そこは、やれることだけ全部やっておいて交渉するということをやれば可能だと思います。しかし、森林吸収源と京メカ以外のところが全く駄目だという状態が出てしまいますとこれはお手上げでありますので、私は達成できるかと言われたら、それはともかく今言ったところ以外が達成できれば達成できる。この部分は、少なくともこれまでの努力に更に重ねるということを忘れちゃいけないんですよ。
 あれを見ると、大綱でやったことはそのまま実施した上で更にこれだけと言っているんですが、もう忘れっぽいものですから、前のことを忘れてこれだけやりゃいいと思ってしまうと、結局、前の大綱文のところが穴空き部分ができますから困ってしまいます。ここは要は、関係各省、それから特に本部がしっかり国民各層にその辺の数字の意味をPRしていただいて、それが理解が徹底すれば達成できると思っています。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 実は今回の法案、私は企業の公表・報告制度は評価をさせていただいています。しかし、実は、目標達成計画にもありますように、環境税の問題や排出権取引の問題、省エネの更なる普及の問題やサマータイム、それから再生エネルギーの普及と、メニューはたくさんあるわけですが、それをどう担保するかということは今回の法案になくて、どちらかというとこの企業の公表・報告制度にある種特化をしてしまったと。私は、メニューとしては実は非常に物足りなく感じている者の一人でございます。
 そこで、ちょっと山口参考人にお伺いをしたいと思います。
 私は経団連が自主行動計画で頑張っていただいているのは理解をしているつもりでございますが、先ほど言われました省エネの推進の話、一体どうしたら省エネ推進ができるのか、私はもっと実はインセンティブを与えるべきだと思うんです。プリウスが普及したように、国がある種、省エネ技術を使った住宅や、さらにはビルやいろんなものを造れば、これだけの、例えば補助金制度がいいかどうかは別にして、もっとインセンティブをつくるべきですが、実は普及、普及と何か威勢はいいんですが、実態としては、そこはコストが高くなると、消費者、そこ、マーケットできないわけですよね。
 ですから、山口参考人、先ほどやっぱり普及するべきだとおっしゃいましたが、そこをどう考えられているかということと、それから、今回、公表・報告制度が一つ第一歩になった流れの中で、排出権取引の問題です。
 やっぱり企業が、大手の百社辺りがやっぱりCO2の排出量、温室効果ガスの排出量が大きいというこれは実態です。いいとか悪いとかの問題ではありません。実態の中で、排出量取引の導入について企業としてどのようなスタンスで臨まれるのか。そこの二点について、山口参考人、お答えいただけますでしょうか。
○参考人(山口耕二君) まず、二番目の国内におけるということを前提にちょっとお話しさせてもらいたいんですけれども、国内における排出量取引制度、これは自主的な参加ということで環境省さんがおやりでございますけれども、これにつきましては、やはり対費用効果を考えながら、企業や行政の削減努力を促し、また地球規模的に温暖ガスを削減させるという方法でございますので、経済的手法と自主的な手法がうまく融合した一つの方法ではないかなと。したがって、総合的に検討することは必要だとは思っております。
 しかし、具体的に国内で排出量取引をする場合には、例えばそのベースとなる基準量をどうやって決めるんだとかですね、さらにCO2にどうやって値段を付けるんだとか、国際的にはマーケットができております。国内においてはそこら辺をまず検討する必要があるのかなと。
 具体的には、基準値の設定につきましては、これまでさんざん努力してきた人はもうかなり限界点に近いような省エネ努力をされているわけですね。そこを基準年にする場合と、今までほとんど、言葉は悪うございますけれども余りやってないところに対してその基準年を設けるのと、そういう不公平感も出てまいりますし、やはり基本はやっぱり自主的な努力を認める中で公平感が保てるのかどうか、そういう検討も必要だと思っております。
 それから、そういう二つの方法につきましては、基本的には国際的なリンケージがないとまずいもので、京都メカニズムの理事会等のルールもうまく活用すべきなのかなと。そもそも排出権取引の目的はエネルギーの使用量を減らすことが目的でございますので、制度としても長く続かないと、かつ継続的な効果ができないと、花火のようにぽっと一回やって終わりとか二年間で終わりとか、そういうものでもまずいわけでございます。
 どちらにいたしましても、経理の処理方法等々もいろいろと総合的に検討を進めていく必要はあると思っております。
 ただ、漏れ聞くところによりますと、将来的に国内のキャップ・アンド・トレード、要するにエネルギーの使用に枠を掛けよと、そういうものにつながるような声も聞こえておりますので、これは正に我々の自由経済を国の制度として制約掛かるということでございますので、これは十分に留意していただきたいなと思っております。
 それから、最初の質問の普及策でございますけれども、非常に難しいわけではございますけれども、まずは、まだまだ我々の情報の提供の仕方がまだ分かりにくいのかなと。先ほど早川参考人の方から京都市の例でトリプルA、AAとかありましたけれども、ただ、あれができるのは実は電気製品でも冷蔵庫とエアコンしかできないんです。ほかのものはああいう方式だと評価ができないんですね。というのは、機能が別のところにございますから。そういうことで、もっともっと普及促進させるために、まず我々産業界、企業としては分かりやすい情報をあらゆる手段を使って消費者の方にお伝えするということをやる必要があると思います。
 それから、インセンティブにつきましては、これも継続性の問題ございまして、例えば電気製品ですと大体平均買換え年数が十年以上なんですね。すると、そこにどうやってそのインセンティブを付けるのかなと。また、逆に所得の高い人だけにインセンティブ働いても困りまして、そういう意味では、インセンティブの在り方はもうまだ我々も解がなくて困っておるんですけれども、何かそういうことを議論する国民的な議論の場があるといいなと。
 と申しますのは、我々とお客様というのは非常に言いにくいことも中にはございますし、我々にとってみればお客様は神様でございますし、消費者にとってみれば、我々買っている人よと。そういう利害関係のある人たちではなくて、もっと広い立場で、普及をいかにすべきかということを大いに議論さしていただきたいと思いますし、そういう場があれば我々も積極的に参加していきたいと思っております。
 ただ、間違いなく、お手元のこのパンフレットの中にも、普及すれば必ず民生分野のCO2は削減できます。したがって、大いに知恵を絞って普及策を検討さしていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○福山哲郎君 今、山口参考人から、排出量取引についても検討に値するとおっしゃられたのは非常に心強いと思いますが、だからこそ、正におっしゃられたとおり、国際的にリンケージをしていくからこそ、早目にマーケットの主導を握る方が日本の企業としては僕はアドバンテージではないかと思っているわけです。
 そこは、様子を見ていれば、実はヨーロッパで、EUでは御案内のようにマーケットができつつあると。それから、アメリカもシカゴを中心にできつつあると。そこが動いているからこそ、日本の企業もアドバンテージを取るために前に進むことも重要ではないかなというふうにある意味思っておりまして、そこは御検討を更にいただければ有り難いと思います。
 それで、ちょっと細かい話になります。
 先ほど実はこの法律、それぞれの参考人の皆さんは評価をされました。私も評価をしているんですが、二つに分かれたのは、例の公表の在り方の問題でございます。
 二十一条の三項による、その正当な利益が害されるおそれがあるとする場合には公表をある種抑えるみたいな話なんですが、ここは先ほど山口参考人が韓国との半導体の競争の話をされました。
 浅野参考人、例えばそこの要件は一体どうなんでしょうか。要は、これが恣意的に行われるのは私、非常に良くないと思っているんです。
 つまり、ある一定のルールがあって、これは企業機密に値するよというものがあればいいんですが、これ残念ながら経産省と企業との間で決められるわけですね。出されて、そこで決められた時点で、我々としては見たくても、いやそこは経産省とその企業が決めましたよと言ったら、もう我々は入れなくなるわけです。
 しかし、そこの一体どこが企業機密で利益が侵されるのかどうかというところが見えないと、恣意的にこの企業は出さないけれどもこの企業は出したと、そしたらある種出さないという、フリーライドするところがたくさん増えるようなことになると、実はこのせっかくいいと言われている仕組みが、良さが担保できなくなるわけですね。
 そのことについて、例えば、浅野参考人と浅岡参考人と山口参考人、どうお考えなのか。ちょっと、短くていいです、もう終わりなので短く一言ずつお答えいただければと思います。
○参考人(浅野直人君) これは当然、余り広く広げられることは適当ではないというのはおっしゃるとおりだと思います。
 例えば、既に環境報告書で特定の企業が出しているというような場合、同一業種が同じような情報がなぜここで言う権利利益に該当するかということはほとんど説得力がないと思われます。
 ですから、そういったような、過去にある事例の積み重ねのようなものの中から既にガイドラインができつつあると思いますので、それを十分に考えるべきだと思いますし、恐らく産構審、中環審などでもこれについてはしっかりガイドラインの議論やるべきだろうと私は考えております。
○参考人(浅岡美恵君) 法律的には余り判例はありませんが、平成六年の東京地裁の判例によりますと、こうした保護される秘密は、当該情報が事業活動上の機密事項や生産技術上の秘密に属する内容であって、その有している競争上の地位が当該情報の開示によって具体的に侵害されることが客観的に明白な場合に限られると解釈をされております。その立証責任は事業者側にあるわけです。それを逆転するように読めなくもない条項が二十一条の八号でありますので、これはもう少し詰めていただく必要がある、そのようにされないことが必要だと思います。
 代替フロンにつきましても、例えば、私の聞きますところでは、ある除去装置を付けますと九〇%ほど除去が可能であると。付けている事業所と付けていない事業所が個別事業所単位で報告されると明確に出てくると、こういう面もあるわけです。
 そういう意味で、この点につきましては運用をどのようにされるのか、今後の審議の中でも先生方によろしく詰めていただきたいと思います。
○参考人(山口耕二君) 私が先ほど半導体と液晶の事例を出したんですけれども、やはりこれは物によって全然違うと思います。したがって、やはり我々としては、機密があるとするならば、ちゃんと社外に対して説明責任を果たせるようなルールを外部に公表するということだと認識しております。
 したがって、ただ半導体とか液晶がなぜ機密かということは、やはりその事業の中身、競争の状況、国際競争の状況を知っている方でないとなかなか分かりにくいと。そういう意味では、私は、事業所管大臣とルール作りをするということは私は正しいと思っております。ただ、それを公表さえすれば、外の目に触れるようにしておけば、何ら我々やましいところはないと思っております。
 それから、環境報告書でほとんどのメーカーが出しております。ただ出すにも随分と機密が漏れないような状況で出しておりますので、そこら辺の我々の努力、機密は漏らさないけれども情報は公開すると、そこら辺の努力を見ていただければ、確かに機密なんだなということが御理解いただけるのかなと、このように思っております。
○福山哲郎君 ありがとうございます。


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