06/02

2015

第189国会 参議院 厚生労働委員会 2015年6月2日


○福山哲郎君 おはようございます。
民主党・新緑風会の福山でございます。厚生労働委員会での質疑は恐らくもう八年ぶりぐらいになると思います。このような機会をいただきました、それぞれの筆頭、また我が党の津田理事にも心から感謝を申し上げたいと思います。
〔委員長退席、理事羽生田俊君着席〕
また、今日、決議が御検討されていると承っております。厚生労働委員会の委員の先生方におかれましては、この決議に向けて御尽力いただいていることも心から感謝を申し上げます。
なぜ私が質問に立たせていただくかというと、私、尾辻先生を会長とする自殺対策を推進する議員の会の副会長をやらせていただいていることと、民主党政権時代に自殺総合対策大綱の改定に向けて党内の社会的包摂プロジェクトチームの座長をやらせていただきました。また、政権のときには、社会的包摂チームというチームを官邸内につくりまして、清水参考人にもお力添えをいただく中で、各省庁に本当に御尽力をいただいて、この自殺対策についてお世話になりました。そんな経緯があるので、今日立たせていただくこと、本当に感謝申し上げます。
時間がないので、行かせていただきます。
実は、政権時代に自殺対策として、よりそいホットラインという、二十四時間三百六十五日、誰でもどこでも全国から相談できる、言わば命と暮らしの一一〇番のようなものをつくらせていただきました。これは、本当にNGOの皆さんや国の協力等々があって成り立ったところでございますが、このよりそいホットラインが現在どういった相談をどのぐらい数受けているのか、短めで結構ですので、活用状況について、厚労省、お答えください。

○政府参考人(鈴木俊彦君) お答えを申し上げます。
今御指摘のありました、よりそいホットラインでございますけれども、無料電話相談の中で、相談内容を特定しない一般ライン、これについては約十五万件の相談を受けております。それから、自殺予防ラインにつきまして三・二万件、そして、セクシュアルマイノリティーラインについて三・八万件、DV・性暴力ラインにつきまして二・七万件、こういったものを含めまして、二十六年度全体で約二十九万件の相談を受けている、こういう状況でございます。

○福山哲郎君 一年間で二十九万件と、先生方、多いと思われるか少ないと思われるかは別にして、これ、実は接続している数が二十九万件ですよね。接続率は今どのぐらいになっていますか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 全体で約二%でございます。

○福山哲郎君 先生方、驚かれるかもしれませんが、二十九万件は実際相談を受けた数です、一年間で。しかし、接続できているのは二%です。つまり、そのぐらい数の多い電話が鳴っていて、現実問題として、よりそいホットラインの例えば電話の台数だとか、それからNGO、NPOも含めたサポート体制の問題も含めて接続がまだまだ足りていないというのが現状でございまして、実は、よりそいホットラインの電話相談の現場に行くと、本当に社会は壊れているのではないかというぐらい、いろんな人の複合的な相談の中身が寄せられます。
しかし、一方で、自殺対策のよりそいホットラインが果たした役割もそれなりに僕はあると思っておりまして、厚労省、内閣府、そして自殺対策の現場で現実にお力添えをいただいた清水代表、どういうふうに今評価をいただいているか、お答えいただけますでしょうか。短めでお願いします。

○参考人(清水康之君) これ、非常に大きいと思います。自殺対策に取り組む全国の民間団体も、生活相談や女性向けの相談あるいはセクシュアルマイノリティーの方々への相談を行っているほかの様々な分野の民間団体と一緒によりそいホットラインに関わらせていただいているわけですけれども、それぞれが培ってきた知見や経験を生かしてこの相談業務に当たっていて、相談員を対象としたアンケートを見ても、よりそいホットライン、こうした相談対応が自殺対策に役に立っているというふうに答える人が圧倒的に多いという状況です。

○福山哲郎君 厚生労働省と内閣府にも。

○政府参考人(鈴木俊彦君) よりそいホットラインでございますけれども、様々な困難に直面している方につきまして、まず電話相談を受け、必要に応じて面談あるいは同行ということで、非常に自殺防止対策も含めて生活に悩んでいる方々のお役に立っているというふうに評価をいたしております。

○政府参考人(安田貴彦君) お答えします。
自殺総合対策大綱におきましては、相談体制の充実など、社会的な取組で自殺を防ぐことを当面の重点課題の一つと掲げております。その中で、悩みを抱える人がいつでもどこでも相談でき、適切な支援を迅速に受けられるためのよりどころとして、二十四時間三百六十五日の無料電話相談を実施する体制を整備するということにつきましても盛り込まれているところでございます。
そうした中、厚生労働省において実施をされているよりそいホットラインにつきましては、大綱の当該項目に該当する事業であると考えております。このような取組を含めまして、自殺の危険性が高まっている人々に対して社会的な支援の手を差し伸べるための取組の推進が重要であると認識をしております。
〔理事羽生田俊君退席、委員長着席〕

○福山哲郎君 ありがとうございます、評価をいただいて。逆に、もっと積極的に進めていただければと思います。
その中で、先ほど厚労省言われましたけれども、実はこれは電話を受けるだけではありません。同行支援とか相談の窓口を紹介したりとか、非常に有機的な形で、それぞれの相談者の方が積極的に、そして本当に寄り添って対応していただいています。
問題は次の段階で、例えば地域の自殺対策、今、何とか基金をしっかりと予算化してほしいと私は思っておりますが、地域の自殺対策とよりそいホットラインをどう連動させるかとか、それから例の生活困窮者自立支援事業、これも今、全国でスタートしておりますが、これをよりそいホットラインとどう連動させるかによって、自殺対策だけではなくて生活支援だとか、そういった総合的な形でこのことが活用できるのではないかと私は今考えておりまして、内閣府におかれましては自殺対策との連動、それから厚労省に関しては生活困窮者自立支援との連動についてどうお考えになっているか、お答えいただけますでしょうか。

○政府参考人(安田貴彦君) 内閣府におきましては、国と地方公共団体に対する連携の促進、そして地方公共団体間における取組の実例の共有等を目的に、定期的に全国の主管課長等を集めた会議などを行っております。
よりそいホットライン等に関しまして申し上げますと、これを始めといたします国の自殺対策の取組については、こうした会議などで枠組みを活用して情報提供を行うことによりまして、地域における取組の更なる連携を促進をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

○福山哲郎君 あと厚労省。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 生活困窮者の自立支援制度との連携でございますけれども、これは、早期の相談対応から自立まで切れ目のない支援を行っていく上で非常に大事だと思っております。具体的には、電話相談によりますよりそいホットラインと、それから対面で相談に応じた後、包括的な支援を行う生活困窮者の自立支援制度、これがうまくつながっていくことが非常に効果的な支援の上で大事だと思っております。
そのために、この四月から始まっております自立支援制度の施行に先立ちまして、よりそいホットラインと新制度の相談窓口との連携、これを図っていただくように通知を発出しております。
その結果、各地でこういった連携が進んでおりまして、地域によりましては、例えば新制度の相談窓口が終了した後の夜間時間帯にこのよりそいホットラインにつなぐといったようなガイダンスを流す取組もやっているということでございまして、今後とも、両取組がうまく組み合わさって効果的な支援が行われるようにしてまいりたいというふうに考えております。

○福山哲郎君 非常に有機的につなげていただける御努力をいただいていること、本当に心から感謝を申し上げます。是非よろしくお願いします。
その中で、先ほど厚労省から通知というのがありました。これ、例えば自殺と生活困窮者等々について、各自治体等の主管課長とかに、やはり例えば研修等でよりそいホットラインの紹介等で認識を深めていただくとか、それぞれの自治体の自殺対策の中で、例えばモデルケースのように自治体に例の基金を使って積極的にやっていただくような、そういうプロジェクトなりモデルがあると全国的に広がるような気がしますが、そのことについては、厚労省、どのように考えていただけますでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 今御指摘ございましたように、具体的な好事例の展開というものが大事だと思っております。
私ども、自治体によりそいホットラインの事業が生活困窮の取組の中で十分に御活用いただけるように、これはよく御認識いただく必要があると思っておりまして、具体的には、自治体の職員もさることながら、生活困窮者の自立支援の中で実際にその自立相談支援に当たります従事者、この方々の養成研修の中で、よりそいホットラインの取組の紹介でございますとか、あるいはよりそいホットラインの関係者に講師として出ていただいていろいろな認識を深めていただく取組を展開している、こういうことでございまして、今後ともこの取組につきましては力を入れてまいりたいと思っております。

○福山哲郎君 是非よろしくお願いします。
あわせて、よりそいホットラインには、例えば女性差別、それからLGBTも含めセクシュアルマイノリティー向け、それから外国人に対しての相談の電話もあって、これも今、よりそいホットラインではいろんな知見が蓄積されています。こういったことをいかに有効に活用していただくかというのが重要なので、是非厚生労働省におかれましては内閣府とともにこのことについてしっかりと対応いただきたいと思いますし、塩崎大臣、やり取りを聞いていただいて、このよりそいホットライン、結構重要なので、どうか大切にしていただきたいと思いますし。
もう一個申し上げると、実はアルコール依存対策も、今アルコール障害対策基本法というのが議員立法でできまして、これも超党派で私やらせていただいたんですけど、これも実はアルコールによる精神的な問題というのが自殺に行くということが非常に可能性として高まっています。自殺防止のためにも、地域の中で是非この飲酒問題の対応も含めて考えていただきたいと思っているので、二つ併せて、塩崎大臣、お答えいただければ有り難いと思います。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど来やり取りを聞かせていただいて、改めて、電話相談に限らず様々な支援につながるネットワークになっているということがとても意味があるなというふうに私も感じたところでございます。
潜在的に自殺を考えていらっしゃる方々の背景にはいろんなものがあって、今の飲酒の問題なども含めて、やはりしっかりと受け止められる体制というものを持っていないといけないので、そういう意味では、ネットワークでホットラインが機能していただくということは大変大事なので、厚労省としてもしっかり応援をしていかなきゃいけないというふうに思います。

○福山哲郎君 アルコールの問題については、内閣府、一言だけ答えていただけますか、短めに。

○政府参考人(安田貴彦君) 自殺総合対策大綱におきましても、適切な精神医療を受けられることにすることを重点施策として掲げている中で、アルコール依存症を始めとするうつ病以外の精神疾患等に関するハイリスク者対策の推進についても盛り込んでおるところでございます。また、アルコール健康障害対策基本法に基づいて内閣府に設置されているアルコール健康障害対策関係者会議におきましては、二十八年五月までの基本計画の策定を目指して検討が行われているところでございます。
引き続き、具体的なアルコール依存症対策事業を実施をしておられます厚生労働省等とも連携の上、アルコール依存症を始めとするうつ病以外の精神疾患等に対するハイリスク者対策も推進してまいりたいと思います。

○福山哲郎君 是非いろんな連携をお願いします。
せっかく厚生労働委員会に来させていただきましたので、あと二問だけ、もう一遍に聞きますので、お答えいただきたいと思います。
実は、院内感染がいろんなところで広がっています。最近の国際的な知見や情報や技術をしっかり日本も取り入れて各医療機関で実践をしていくことが重要だと思っています。実は、私事ですが、私の母も入院中、外科の手術で入院したのに院内感染になって内臓疾患になり、そして歩けなくなって、今要介護五になりました。これ、院内感染です。やっぱり非常にこれ、今後の対策、重要だと思っておりまして、今国際的には、例えば手すりや取っ手、テーブル等に患者が触れるところで銅を使った感染経路の遮断や菌の繁殖抑制等の考え方が出てきています。
こういったものについて厚労省は今どう考えておられているか。こういったものに対する支援、基準づくりは考えられないかということと、診療報酬上、例えば院内感染防止のために看護師の配置が要件となっているわけですが、看護師にハード、ソフト両面でのいろんな最新の知見を反映するような研修レベルを上げるために、診療報酬上そういったことの後押しをすることがこれから要検討だと思っておりますが、厚生労働省、どのように考えているか、お答えいただけますでしょうか。

○委員長(丸川珠代君) 時間ですので、簡潔にお願いします。

○政府参考人(二川一男君) 厚生労働省におきましては、これまで院内感染対策といたしまして、医療法に基づきまして指針の策定、委員会の開催等を義務付けているところでございますし、また、感染対策マニュアルの作成の手引も医療機関に配付をしているところでございます。
御指摘の銅による院内感染防止対策についてでございますけれども、給湯設備などで繁殖するレジオネラについては銅の利用に効果があるといった研究成果が得られていると承知をしているところでございます。銅によるこういった院内感染防止対策の効果につきましては、引き続き関連学会等による研究等を通じまして、まずは知見の集積に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○政府参考人(唐澤剛君) 診療報酬でございますけれども、診療報酬上、医療安全の院内感染防止対策加算として評価をしておりまして、これは看護師さんにはかなり高い要件を求めております。六百時間以上の研修などを求めておりますが、その内容につきましても、改定のたびごとにレベルの高い要件を求めてきておりますので、今後とも、私ども、高齢化の進展で院内感染防止対策はますます重要になってまいりますので、この診療報酬につきましても適切な評価に努めてまいりたいと考えております。

○福山哲郎君 ありがとうございました。終わります。


06/02

2015

厚生労働委員会で質問


参議院厚生労働委員会で質問に立ちました。
自殺総合対策に関する質疑で、「よりそいホットライン」の更なる充実や他施策との連携、アルコール依存症対策などの精神保健分野の強化を求めました。
質疑終了後、「自殺総合対策の更なる推進を求める決議」を議決しました。今日の決議を新たなスタートとして、「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現」をめざします。


06/02

2015

第189国会 参議院 外交防衛委員会 2015年6月2日


○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。
外務大臣、防衛大臣におかれましては、連日の衆議院での特別委員会の審議、本当に御苦労さまでございます。大変厳しい審議が続いていると思いますが、当然のことだと思いますし、防衛大臣におかれましては、その間を縫ってシャングリラ・ダイアログにも行かれて多くの会談をこなされたというふうに承っておりまして、中国が今までより、より踏み込んだ発言もされて、これも緊張感の高かったダイアログだったというふうに承っておりますので、本当に防衛大臣、外務大臣におかれましては御苦労さまですと、まずは敬意を表したいと思います。
今、佐藤委員が非常に重要な御指摘をいただいたと僕は思っています。隊員の安全については、リスクが高まるかどうかも含めて国会で本当に一つの争点になってきていますが、まず佐藤先生の言われたことをちょっと受けて言わせていただきますと、隊員の任務が増える、それから活動地域が増えるとおっしゃいまして、大臣もそれを認められました。しかし、リスクは変わらないと、ここの具体的な理由がよく分からないと。
それから、処遇の問題も私、大切だと思いますし、高い士気と誇りを持って精励いただかなければいけないことも私はそのとおりだと思っておりますが、高い士気と誇りを持っていただくためにも、まずしっかりとリスクが高まるということを認め、国民にそのことも理解をいただいた上で、まあ法案通っておりませんが、自衛隊の皆さんにはそのことを説明をしないと、そこは一定、何度も申し上げているように、私は政治の怠慢だというふうに思っておりますし、もっと言えば、国会の審議がちゃんと尽くされることというのは自衛隊員の皆さんにとっても非常に重要な点だというふうに思いますので、重ねてそのことを指摘したいと思います。
もう一個だけ、佐藤委員の審議、非常に重要なんですけど、防衛大臣言われました、柔軟な活動を行うと、いわゆる後方支援の地域で。それは現に戦闘行為が行われている現場ではない場所だとおっしゃいました。そこで、安全な場所を確保するということになると、私、今の議論を聞いていると、二つしかないと思うんです。一つは、柔軟に対応するということは、実施区域を際限なく広げるか、もう一つ可能性があるとすれば、実施区域を頻繁に変えていくか。
今までは、期間的なものも含めて、非戦闘地域、その非戦闘地域もいろんなことがあったと佐藤委員おっしゃられましたけれども、非戦闘地域というのが一定あったんですが、今回、柔軟に活動を行う、現に戦闘行為が行われている現場ではないとなると、今申し上げたように、実施区域を際限なく広げていくか、実施区域をその場その場に応じて変えていくかの二種類しかないと思うんですが、そういう認識で、大臣、よろしいんでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) 当然、派遣する前は基本計画を作成をいたしまして、これでそれを添えまして必ず事前に国会承認をいただくということになります。その際、実施区域を防衛大臣が指定をされるわけでございますが、防衛大臣は自衛隊の部隊が活動を円滑かつ安全に実施することができるようにということで法律で明記をされておりまして、そういった安全かつ円滑にという部分と、かつ活動の具体的内容に即した形で機動的に活動を実施する区域を指定をするということになります。
したがいまして、新たな仕組みにおきましても、常に情勢を踏まえた判断が行われまして安全確保が図られるとともに、柔軟な活動が可能となると考えております。国会承認につきまして、重要影響事態等もございますが、こちらは原則事前、緊急時には事後ということになっております。

○福山哲郎君 いやいや、別にそれはもう何回も国会で答弁されていることなので、私も一応理解はしておるつもりですが、いや、違います。
今の佐藤委員のお話でいって、まさに今も大臣答弁いただきましたけど、円滑で安全、情勢を踏まえた上で柔軟な活動をするとおっしゃったということは、これまでの非戦闘地域の概念よりかはもっと実施区域を際限なく広げておくか、実施区域はまさに情勢を踏まえた判断ですから、何回も何回も実施区域を頻繁に変更するかの二つの可能性が考えられると思っていますがどうですかとお伺いしているので、もう一度お答えいただけますか。

○国務大臣(中谷元君) 活動の具体的内容に即した形で機動的に活動を実施する区域を指定することになるわけでございます。状況というのは絶えず動いているわけでありますが、そういう中で安全かつ円滑に実施する地域というものを指定することになるわけでございます。

○福山哲郎君 ということは、今の答弁だと、実施区域については頻繁に変更して柔軟に対応すると。しかし、これは普通、防衛大臣が決められるわけですが、これは相当現場の判断に依拠しなければいけなくなるというふうに思うんですが。
今日はこのことの審議ではないので余りしつこくは申し上げませんが、今の答弁も非常に重要な答弁だと思いますし、佐藤先生の指摘によれば、ファーストラインの問題やセカンドラインの問題で、どういう形で実施区域が広がるかということも多分これから先争点になっていくだろうというふうに思います。
今、この話から入りましたので、あえて防衛大臣にもう一問お伺いをしたいと思います。
昨日、我が党の細野委員との議論の中で、いわゆるISILの問題についての質問がありました。日本が後方支援をするかしないかということで、中谷防衛大臣は、法律的には国連憲章の目的に従って共同で対処していくことと、もう一つは、国連決議を前提に、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があると認められる、これを満たしているかどうかでございますと言って、もう一度確認しますが、ISILに対して国際社会が行動する場合に、今の基準に該当して法的には派遣が可能になる、そういう可能性があるということですねという質問に対して、はい、法律に定められました国際社会とか国連決議ですね、それに基づいて判断するということで、法律的にはあり得るということでございますと答えられました。
これ非常に明確に答えていただいたわけですが、この答弁はもうこのとおりでいいということでよろしいでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) これ、誤解を招いたら困りますが、もう既に安倍総理は、ISILに関しましては軍事的な活動には参画をいたしませんともう既に述べられております。
その上で法律の議論になるわけでありますが、ある事態に際して、国際平和支援法に基づいて我が国が後方支援を行うかは、要件となる国連決議があるか否かのみで決まるわけではございません。その上で申し上げれば、いずれの国連決議が国際平和支援法に定める要件を満たすかについては、実際に運用に際して個別具体的なケースに即して精査されるべきものであると、これは法律の話でございます。
このISILにおいても決議が出ておりますが、これについて、安保理決議第二一七〇号及び二一九九号は、ISILを国際の平和及び安全に対する脅威であると認識する旨の言及があり、かつ加盟国に対してISILに対する措置をとることを求めていることから、これらの安保理決議は同法の三条一項一号のロに規定する決議に該当し得るということでございます。
他方、国際平和支援法の下で我が国が対応措置を実施するためには、要件となる国連決議の存在のみならず、国際社会の平和及び安全を脅かす事態に関しまして、まず、その脅威に対して国際社会が国連憲章の目的に従い共同して対処していること、そして、国連決議の存在を前提に、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があると認められることの要件を共に満たす必要がありまして、いずれにしましても、我が国は、政策判断として難民・避難民支援や周辺国に対する人道支援などの軍事的貢献でない形で可能な限りの支援、協力を行っていくという考えでありまして、軍事的な有志連合国の空爆等の後方支援を行うことは考えていないということは既に申し上げたところでございます。

○福山哲郎君 今、やれると言ったりやれないと言ったり、政策判断だと言ったり有志連合はと言ったり法律はと言ったり、これ、実は大問題ですよ。
大臣は私の質疑を前に先回りして言われたんですけど、総理は、御案内のように、法律を閣議決定したときの記者会見で、記者の質問、ISIL、イスラム国の掃討作戦がアメリカを含む有志連合によって行われていますが、これの後方支援を行うようなことは考えておられるのでしょうかということに対して、ISILに関しては我々がここで後方支援するということはありません、これははっきり申し上げておきたいと思いますとおっしゃいました。
昨日の中谷大臣は、法理上は支援をすることはあり得ると、法律上はと言われました。そして、国連決議の中身も今御丁寧に説明をいただきました。今の現状の国連決議だと、法律の要件には当たるけれども、今の判断では後方支援をしないという答弁だったと私は承っています。
これ、ISILの問題というのはオンゴーイングの状況です。新たな国連決議が出てくるかもしれない、新たな国際社会が要請が出てくるかもしれない。今、空爆ということを大臣はあえておっしゃいましたけれども、空爆ではない形の状況も起こり得るかもしれない。
そのときに、今回総理が法律を閣議決定したときに国民に対して、ISILに関しては我々がここで後方支援をすることはありません、これははっきり申し上げておきたいと申し上げますというのは、全くもってこれは国民を私は欺く答弁だと思いますよ。今大臣自身が、法理上は後方支援できると、一方で、今は政策判断だと。しかし、政策判断というのは、これから国連決議が新しく出るかもしれないので、このことについてははっきりとお認めになって、ISILに関しても状況に応じては法理上は行けるんだということを昨日言われましたが、そのとおりで、防衛大臣、よろしいんですね。
もう一度お答えください。

○国務大臣(中谷元君) ISILにつきましては昨日私が述べたとおりで、法律上はそのような内容でございます。
ただし、政策決定としては、度々総理が申し上げておりますけれども、難民・避難民支援や周辺国に対する人道支援などの軍事的貢献でない形で可能な限りの支援、協力を行っていくというのが政府の判断でございます。

○福山哲郎君 いや、つまり、実は、去年からずっと法律が閣議決定されるまで、国会に提出されるまでいろんな審議ありました。ISILとか後方支援は行きませんとか、イラク戦争とかアフガン戦争に参加することがないとか、いろんなことを言われました。しかし、結果としては、法理上は全然可能なわけです。可能なわけです。
実は、衆議院の審議の中で、新三要件満たせば他国の領土、領海に対して自衛隊は行って武力行使できるんだなどということに対しても、ある意味、中谷防衛大臣は誠実にそうだとお答えになっています。しかし、総理はすぐに、一般にとか、武力行使を目的としては行きませんとか、留保条件を幾つもつくって、行かないというような話をされるんです。これは間違いなく国民に対して私はミスリードしているというふうに思っておりまして、答弁が僅か一週間しかたっていないのに本当にころころころころ変化をします。
岸田外務大臣、実はNPTのことでお伺いしようと思っていたんですが、ちょっと事態が本当にいろいろ変化をしております。我が党の後藤祐一議員に対して、二十八日、いわゆる平成十年の外務省北米局長の答弁に対して、いわゆる軍事的な波及というものが日本にない場合は周辺事態には該当しないということでございますという答弁に対して、岸田外務大臣は、現状は法律は変わっておりませんので、現法律の下でこの答弁は維持されていると考えますとお答えになられました。そして、御案内のように金曜日に答弁を変更されて、委員会が中断し、散会をするに至りました。さすがにマスコミもこのときは、野党が審議拒否という報道はなく、退席というふうに普通にしっかりと事実に基づいて報道をしてくれました。そして、昨日の段階では、政府のもう統一的な見解は、政府の見解は維持していると、平成十一年の問題だというふうに岸田外務大臣はおっしゃられていました。
ただ、平成十一年の政府の統一見解とこの局長の答弁は間違いなく内容は異なっています。異なっている中身について外務大臣が、現状は法律は変わっておりませんので、現法律の下で維持されていると考えていますという答弁がありました。維持されていないという趣旨が多分昨日の答弁だと思います。
これ、外務大臣の答弁は変わったので、先週の木曜日の二十八日の答弁は撤回をされるおつもりですか。昨日の審議では撤回しないとおっしゃっているんですけれども、その趣旨について、なぜ撤回をされないのか、間違った答弁をされているんだったら撤回をするべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、その発言についてですが、私の発言、二十八日の御指摘になられた発言についてですが、是非、二十八日の審議全体を是非見ていただきたいと思っています。二十八日、平成十年の高野政府委員のこの答弁について、事前通告なしに突然これについてどうかという御質問をいただきました。私自身として、まず現在適用されている法律は周辺事態法であるという確認が行われて、この答弁が、高野政府委員の答弁が指摘をされたわけですが、この答弁について、現法律において行われた、前提として行われた答弁については踏襲している、これは当然のことである、こういった発言をさせていただきました。そして、その時点でその答弁の位置付けについて確認すればよかったのかもしれませんが、その後確認いたしましたところ、この答弁は周辺事態法が国会に提出される前の発言でありました。私の二十八日の発言とその高野答弁との関係については今申し上げたとおりであります。
そして、その上で、平成十年のこの高野政府委員の答弁につきましては、やはりそのときに、当時、質問者は岡田代表でいらっしゃいました。岡田委員と高野政府委員との間で様々なやり取りが行われました。そして、御指摘の高野政府委員の答弁が行われた後、岡田委員の方から、どうも論理的に理解できないと、もう一度外務大臣にこの答弁の趣旨を確認したいという趣旨の発言があり、当時の小渕外務大臣が整理をしてその政府の見解をまとめました。このやり取りは様々なことがありましたが、結論として小渕外務大臣が閣僚として、政府代表としてまとめた結論、これを今日まで引き継いでいる、こういった趣旨を申し上げさせていただきました。
この平成十年のやり取りの後、平成十一年に政府統一見解を行って、そのことを更にしっかりと確認した上で今日まで引き継いでいる、こういった経緯について御説明をさせていただいた次第であります。

○福山哲郎君 いやいや、経緯は昨日の答弁で御説明いただいたのは私も議事録拝見しておりますので存じ上げていますが、しかし、二十八日の時点での外務大臣の答弁は、位置付けを確認すればよかったとおっしゃっているように、外務大臣の答弁をこちらがそんたくして申し上げれば、維持しているだろうなと思ったけれども、実は維持されていなかったわけですよね。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、二十八日の答弁と高野政府委員の答弁、平成十年の答弁との関係について、まず先ほど前半説明をさせていただきました。
二十八日、突然その高野政府委員の答弁について質問を受けました。そして、この現行法において維持されている答弁であればそれは今日まで維持をされている、これは当然のことでありますと、こういった趣旨の答弁をさせていただきました。その前に何度かやり取りがありまして、私としても、こういった趣旨でありますという今申し上げたような趣旨を確認をさせていただいた、これが二十八日のやり取りでありました。そして、突然の御質問だったので、その答弁の後に確認いたしましたところ、その高野答弁は、この現行法、周辺事態法が国会に提出する前の答弁であった、こういったことが確認をされました。これが二十八日の私の答弁と高野政府委員答弁との関係であります。
そして、先ほど後半は、平成十年のやり取りが行われたその経緯について説明をさせていただきました。国会におきまして、高野政府委員、そして当時の岡田委員との間で様々なやり取りが行われました。そして、それでも十分理解できないので、当時の小渕外務大臣にしっかりと政府の考え方を整理しろという質問があり、その整理が行われました。こうした国会におきまして様々なやり取りが行われて、その答弁が拡充され、あるいは不明な点が明らかになりというこのやり取り、これは大変重要なことであります。しかし、こういった重要なやり取りが行われて、結果としてどういった結論に至ったか、これが大事な点でありますという御説明をさせていただいた次第であります。

○福山哲郎君 先ほどとほぼ同じ答弁でよく分からないんですが。後藤委員は、ちゃんと当時の岡田委員と高野政府委員とのやり取りを紹介した上で、これは維持されているんですねと聞かれたら、外務大臣は維持しているというふうにお答えになったわけです。
ところが、御案内のように、昨日、一昨日と答弁が変わったと。ということは、二十八日の答弁は、外務大臣としては、いや、これは、先ほどから、外務大臣は誠実な方ですので、自分としては突然の質問だったから、そう確認すればよかったとおっしゃっていますが、外務大臣はこの答弁については、逆に、高野さんの答弁はもう維持されていないという判断なのだったらこの答弁は撤回されればいいんじゃないかと思うのに、なぜ撤回をしないのかという明確な理由が分からないのでお答えいただきたいということです。
短くお答えください。僕、もう一問ぐらい言いたいので。

○国務大臣(岸田文雄君) 二十八日のやり取りは、質問を受けて、現行法において行われたこの答弁については維持されているものだと私の考え方を申し上げました。
それで、その後に、後藤委員の方から、これはもう一度確認したいと、その趣旨について確認したいという質問がありました。その質問に対して、私として、現行法において行われた答弁、現行法を前提として、現行法の下において行われた答弁、これが今日まで維持をされている、これは当然のことであります、こうした私の考え方を改めて申し上げさせていただいたわけであります。
そして、もう一度、再び確認しましたところ、この現行法、周辺事態法が国会に提出する前のやり取りであったということが確認された、こういったことであります。

○福山哲郎君 分からないです。分からないですが、現行法の下でこの答弁は維持されていると考えますと大臣は明確にお答えになっているので、二十八日、これ何で撤回をされないのかが少しよく分からないんです。
何で実は冒頭この話をしたかというと、今日、設置法の審議で、僕、用意をしていました。今般の安全保障法制関連法案によれば、武力攻撃事態や存立危機事態の際は対処基本方針、重要影響事態や国際平和共同対処事態の際は基本計画、PKOの際は実施計画がそれぞれ策定されるわけです。これらの計画の起案のプロセスが、今回、状況変わるんですよ、この設置法が改正されることによって。このことがどのように影響を及ぼすのか、先ほど佐藤委員の中にあった実施計画みたいなものにどのように影響を及ぼすのか。それから、そのときの内局と制服との関係がどういう形で変質をするのか。
歴史的に踏まえれば、私はこの間も申し上げましたように、各総理がいわゆる文官統制という言葉を使っていますが、それは今の政府の統一答弁にあります指揮命令をするような概念で使われていないということは、私は、訓令を見ても明らかです。今日、訓令、皆さんにお手元お配りをしていますけれども。そういったことについて、これからまさにこの安全保障法制で重要な計画が作られるかもしれない。我々は、この法案、何としても時間を掛けて審議したいと思っているので、そういう事態は起こり得ないことを望みますけれども、そういう状態のときにこの防衛省の設置法は非常に大きく事態を変えることになります。日本の政策決定のプロセスを変えることになります。
だからこそ今みたいな話をさせていただいているのに、防衛大臣の答弁と総理の答弁は異なった答弁をする。片方は法理上はできると言い、片方は政策的にやらないと言い、岸田外務大臣は、自分の答弁が、違っていた答弁をしているのに、そこを撤回もされないで何かこだわってずっと言われると。それから、先ほど法律を提出される前と提出後の話がありましたけれども、まさに法律の提出される前に、我々はここで何度も、前の防衛大臣も含めて、法制局長官も含めて何度もやり合った審議が、じゃ、この法律を提出されてからどのぐらい変わっているのか、変わらないのか、これも非常に重要な論点なので、今日は冒頭、衆議院の審議を受けて少し質問をさせていただきました。
設置法の問題、まだまだ課題があると思いますので、審議をより継続していただきますことをお願い申し上げて、時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。


06/02

2015

外交防衛委員会で質問


参議院外交防衛委員会で質問に立ちました。
衆院特別委員会での議論を踏まえて、防衛大臣や外務大臣を追及しました。これまで「行わない」としてきた様々な事案について、結局、歯止めがないことが次々と明らかになっています。


06/02

2015

「2委員会で質疑。年金情報流出事案顕在化。」


こんばんは。

日本年金機構から125万件を超える年金受給者の個人情報が流出したことが明らかになりました。老後の暮らしの不安につながりかねない、極めて重大な問題です。
民主党として「漏れた年金情報調査対策本部」を設置し、事実関係の調査と今後の対策を検討することとしました。国会においても直ちに、真相究明と再発防止策について、審議を求めていかなくてはなりません。

さて、昨朝も地元での街宣活動から始まり、午後に東京往復で党の会議に出席し、夜は京都での会合に出席して、昨夜のうちに再び上京。
そして今日は、午前中に2つの委員会で質問に立ちました。

外交防衛委員会では、衆議院の特別委員会での昨日までの議論を受けて、防衛大臣、外務大臣を質しました。
安保法案閣議決定時の記者会見で総理は記者の質問に、「ISILの掃討作戦への後方支援はあり得ない」と明確に発言しています。ところが、昨日、防衛大臣は法理上はあり得ることを認めました。改めて、委員会で防衛大臣に確認しました。これまで「行わない」としてきた様々な事案について、結局は歯止めがないことが次々と明らかになっています。
先週の審議での外務大臣の答弁修正についても質しました。

また、8年ぶりに質問に立った厚生労働委員会では、自殺総合対策に関する集中的な質疑が行われました。
自殺対策は、私自身が、政権時に自殺対策大綱の改定に関わり、官邸では「一人ひとりを包摂する社会」特命チームの座長として様々な施策を講じました。今も超党派の自殺対策議連の副会長をさせていただいています。
そんな関係で質問に立たせていただき、官邸時に構想し、実現した「よりそいホットライン」について、更なる充実、他施策との連携の必要性を訴えました。あわせて、アルコール依存症の対策などの精神保健分野の強化も求めました。

委員会の最後に、「自殺総合対策の更なる推進を求める決議」を厚労委員会として議決しました。
2005年の委員会決議から10年。
自殺対策基本法が成立し、民主党政権下で自殺総合対策大綱の改定が行われ、自殺者数は5年連続で減少しています。自殺は対策を講じることによって確実に減らすことができるということが証明されました。
しかし、まだ1日平均83人が自殺で亡くなっています。今日の決議を新たなスタートとして、「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現」をめざしていきたいと思います。


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