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2013

第185国会 参議院 国家安全保障に関する特別委員会 2013年12月4日


特定秘密保護法案

○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
まず、冒頭でございますが、この特別委員会における政府・与党側の横暴な委員会運営に対して、国民の皆様にお知らせするとともに、強く抗議をしたいと思います。総理もよくお聞きください。
今日のこの委員会も、昨日夕方の理事会で、野党の理事に一言も発言をさせずに、委員長が、手を挙げて挙手をしても、発言を一度もさせずに日程を決めるという暴挙がありました。
昨日だけではありません。この特定秘密保護法案の審議に入った直後から、委員長は何度も何度も委員長職権を濫用し、強引に理事会を運営してきました。例えば質問者が座ってないのに勝手に委員会を始めて質問時間を奪ったり、今までの議会ルール、慣習、お構いなしでございます。出てこなければそれでも構わないと言わんばかりの対応を最初からされていました。
国民の皆さんに、これは国会内の話ですから分かりにくいと思いますので、あえて申し上げれば、ボクシングを始めた、ボクシングを始めたら、与党側だけは手だけではなくて足とかも使ってけり出した。あれは反則だと我々が言ったら、何とレフリーである委員長が、与党だけはいいんだと言って、足を使ってけることをオーケーしてもらう。そして、挙げ句の果てには、公平公正であるべきな委員長が、その与党の足を使って、殴ったりけったりしている与党の皆さんとともに委員長が一緒になって手を出してきた。まさにこういう状況が今行われています。
また、今週の月曜日でございますが、私ども野党が官房長官の答弁をお願いしたいと言ったときに、自民党の理事から驚くべき発言がありました。政府・与党が見る限り、福山委員の質問には森大臣が答えるべきで、官房長官は答える必要はないという判断をしました。なぜ、私の質問、ほかの野党の質問を与党が事前にチェックをして大臣の選定までされるのか。私は十六年国会にいますが、こんなことは初めてです。野党の先生方も、全員が怒りを禁じ得ませんでした。
なぜ我々が毎日毎日国会で声を荒げているかといえば、こんな委員会運営が当たり前のようになされれば、議会のルールはなくなるからです。この発言は、自民党の幹事長である石破幹事長のテロとデモを同列に扱ったものと全く同じ発想だと言わざるを得ません。
この法案の審議は、国民の不安が高まる中で行われています。我々は、誤解をしないでいただきたい、審議拒否をするつもりは全くありません。更に言えば、今日は修正提案者も来られていますが、修正提案者である維新やみんなの党の皆さんも、こぞってこの委員会運営には強く怒り、抗議をされています。
総理は、政府・与党連絡会議で、あの石破幹事長の発言の後で、国民の不安や懸念を払拭するよう丁寧に説明を尽くすと述べられたようですが、政府・与党連絡会議という身内の会ではなくて、国民の前で、もう一度、国民の不安や懸念を払拭するよう丁寧に説明を尽くすと、どうかこの委員会の席上でお約束をいただいて、よもや、あと二日後に迫った会期末までに強行採決をするようなことはないということをお約束ください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに丁寧に説明しなければならないと、このように思っております。ですから、先ほども佐藤委員の質問に対して私も分かりやすくお答えをしようとしていたわけでございますが、皆さんのやじや怒号でかなりの部分がかき消されてしまったことは大変残念であります。まさに、静かな中において冷静な論理的な議論を深めていくことこそが国民に求められているだろうと私は思うわけでございます。
その中におきまして、この委員会におきましても、この法案についての審議の前に、NSC法案のときにもこの特定秘密についての質問を随分私は受けました。福山委員からの質問もほとんどそれに集中をしていたんだろうと、このように思うわけでありますが、また、あるいは決算委員会においてもこの特定秘密の法律についての質問を随分受けたわけでありますが、その場その場において……(発言する者あり)ですから、今私が説明をしているんですから、丁寧な説明をしろと言っておいてやじや怒号でかき消すのはやめてくださいよ。それじゃ、ちゃんと説明できないですよ。静かにしていただかなければお答えできないじゃないですか。(発言する者あり)ああやって場外からもやじを飛ばすのはやめていただきたいですよ。それではなかなか説明がしにくいんですよ。平静な雰囲気の中で、それはもうずっと芝さんだってやじをし続けているじゃないですか。ですから、ちゃんと質問をさせて……(発言する者あり)小野さんももういいかげんにやじはやめてくださいよ。質問の時間があるんですから、そのときにちゃんと質問をしてください。(発言する者あり)

○委員長(中川雅治君) 静粛にお願いいたします。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) いいですか。(発言する者あり)いや、でもね、あなたはいいんですが、周りからどんどんやじられたら、これは答えにくいんですよ。ですから、答えやすい雰囲気をつくっていただきたいと、こう申し上げているわけでありまして、その中でしっかりと議論を深めていくことは極めて重要だろうと、このように思うわけであります。
そうした議論の中において、十二の論点につきましては、維新の会あるいはみんなの党の皆さんとともに、その論点について我々は修正をしたわけでございます。これは、建設的な議論の成果、修正に至ったと、このように理解をしているわけでございます。
まだ会期が残っているわけでありますから、しっかりと議論を尽くして結論を得ていただきたいと、このように考えているところでございます。

○福山哲郎君 余りやじに対応して時間を使わないでください。
与党による修正案は衆議院では二時間しかやっていません。それから、先ほど総理、私の前の質疑とおっしゃいましたが、私の前の質疑は、NSCの四大臣会合でしっかりと議事録を出してくれというお話をしました。特定秘密の話ばかりをしたわけではありません。事実と違うことはおっしゃらないでいただきたいと思います。
現実問題としては、衆議院では四十一時間審議をしました。私は時間は余りとらわれる必要はないと思っておりますが、参議院ではまだその半分もいっておりません。あと二日しかありません。だから逆に強引に委員会を打ち切って強行採決することはないんですねとお尋ねしたのに、全くお答えいただいていないので、長くお話しいただかなくて結構です、結論だけ言ってください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに、今まで様々な課題について、論点について議論が行われてきたと、このように思うわけでありますが、しっかりとこの委員会において、静穏な雰囲気の中において冷静に論理的に議論を深めていただきたいと、このように思うところでございます。

○福山哲郎君 私が先ほど申し上げたこの委員会の運営は、静穏に静かな雰囲気の中でできるような委員会運営ではありません。これは、全部、自民党、与党の理事の皆さんがむちゃくちゃな横暴な運営をされています。それは自民党の総裁としてはどのようにお感じですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど私が答弁しているときにやじに反応するなと言ったんですが、私の答弁がちゃんと伝わらないぐらい大きな声でやじられたら、それは私も答弁ができないということを申し上げたわけであります。だから……(発言する者あり)そんなことをと言っても、私の発言に対してまた福山さんがそういう反論をされたから私は更に反論をしているわけでありまして。
大切なことは、大切なことは、この法案について、なぜそれが大切なんだ、そして問題点はどこか、そして問題点についてはどういう議論がなされ、政党間で議論がなされ、そして修正がなされたかということを国民の皆様にも伝えていきたいと思っているわけでありますし、そして、全ての法案がそうですが、どこかの段階では審議は終局を迎え、そして結論を得なければならないわけでありまして、そこがどこかということについてはまさにこの委員会で御判断をいただきたいと、こう思っているところでございます。

○福山哲郎君 じゃ、説明を尽くしていただけるのなら、これからの委員会、全て総理出てきてください、今はっきりそうおっしゃったんだから。おっしゃったんだから、おっしゃったからには出てきてください、お願いします。だって、説明を尽くしたいとおっしゃったんだから、出てきてください。
それから、余りやじの問題についてはごちゃごちゃ言わないでいただきたい。逆に言えば、時間がもったいないんです。この間も私の質問のときにやじだやじだと言って時間を無駄に使われましたので、よろしくお願いします。
もう一つ、本日午後から、国民の声を聴くという地方公聴会がこれまた強引に決められました。
地方公聴会は、先生方も御案内のように、地方から広く公述人と傍聴者を募って意見を拝受するものです。前日の昨日です。午後六時に強行されて地方公聴会が開会を、決まりました。こんなことは前代未聞です。憲政史上初めての暴挙です。
この十年間の地方公聴会の状況を見れば、準備日数はおよそ四日から七日、当たり前です、公述人をお願いをし、傍聴者を募るわけですから。そんな状況でこの今日の地方公聴会をまた我々の発言を許さずに開いたということは、本当に許せないことだと私は思っています。野党の先生方も、この地方公聴会については、まさにこの国会で悪い前例をつくってはいけないという認識で一致をしました。
是非、今日の午後の公聴会は中止をして、改めてしっかりとした手続の中で、四日、五日、これまでのルールのとおり、まさに総理がいつも言うルールのとおり地方公聴会を開催していただきたいと強く求めたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
実は、地方公聴会を前の日に突然決めて次の日にやるというのは、本来は国会の審議について自分らも意見を言いたいとか国会の状況を聞きたいという国民のこれまた知る権利を侵していることになります。だからこそ我々はこういった地方公聴会の開催については断固抗議をしますし、このことについては中止をしていただきたいと思います。
実は、一昨日の夜八時ぐらいに自民党の理事からこの公聴会についての電話がありました。電話があって、第一声、私、忘れもしません、大宮で会場が取れました、私は何のことかさっぱり分かりませんでした。それまで自民党からは何も申出がない。野党も与党も含めて場所を決め、そして公聴会というのは日程を決めていきます。一昨日に、強行採決をする前にアリバイづくりのように、それも、大宮で場所が取れました、誰が大宮でやることを決めたんだと。いいですか。居酒屋で会合をやるわけじゃないんですよ。何が大宮で場所が取れただと、私は本当に失礼な運営だと思います。そのことについては強く抗議をしたいと思います。
本論に入ります。
森大臣、この法案の所管大臣は誰ですか。

○国務大臣(森まさこ君) 私がこの法案の担当大臣でございます。

○福山哲郎君 所管大臣は誰ですか。

○国務大臣(森まさこ君) 特別機密、特別保護法の法案の担当大臣は私でございますけれども、法律が成立した後は内閣総理大臣が所管の大臣となります。

○福山哲郎君 官房長官はまだ決まっていないとこの間記者会見で言われていますが、それはどうですか。

○国務大臣(森まさこ君) 内閣総理大臣の下で実際に担務を行う大臣は、成立から施行までは私が任命を受けております。施行の後はまだ決まっておりません。

○福山哲郎君 施行の後はまだ誰も決まっていないんですよ。
じゃ、森大臣、お伺いしますが、あなたが成立から施行までやりなさいと指示を受けたのはいつですか。

○国務大臣(森まさこ君) 御通告ございませんので、正確な日付を今調べてお答えをいたします。

○福山哲郎君 私がお答えしましょう。
森大臣がこの大切な法律の成立から施行まで、実は施行後はまだ決まっていないんですよ、誰が大臣か、成立から施行までの大臣をやれと、担当をやれと言われたのは何と十一月の二十七日。いいですか、十一月の二十七日ですよ。これ、衆議院の提案者の方、特に維新の皆さん、衆議院の審議のときには森大臣は成立から施行までの担当大臣ではなかったんです。衆議院の審議の中で、やれ第三者機関に法的な措置が必要だ何とかと答弁されていますけど、その話は森大臣には権限も何もないんです。あの答弁は一体何を意味するのか。
いいですか。更に言えば、これだけ重要な法律に対して、施行した後も誰が大臣かも決まっていないんです。そうしたら、運用がこれだけ国民の不安をあおり、指定がどうやって恣意的に行われないかチェックしなきゃいけない、まあチェックしようがないんですけどね、この法律は。そういったことに対して、あらゆることに対して実は今責任を持てる人がいないんです。そして、衆議院の答弁のときには、森大臣は実は担当大臣ではなかったんですね、成立以降。こんなひどい大臣の置き方ってないと私は思いますよ。
だって、あなたが、十一月二十七日に私が成立から施行までの大臣を総理大臣から指示を受けましたと答弁をしています。間違いありませんね。

○国務大臣(森まさこ君) まず、法案を提出し、成立させるまでの担当大臣であることは指示を受けております。今調べましたけど、それは九月の十七日でございます。前政権のときにも、成立するまでその成立の後の大臣が決まっていないことはありました。
この法案を御審議いただいて、この法律の内容をきちっと御説明をする、その責任を負っているのは私でございます、これは成立後の施行まで。それから、施行の後の執行、これは内閣総理大臣がしっかりと責任を持って決めていくということでありますから、この法案の審議に当たって何ら支障はないというふうに思っております。

○福山哲郎君 まさに、今、森大臣が言ったとおりなんですよ。九月に森大臣が所掌を決められたときは閣法の担当者なんです。いいですか、閣法の担当者なんです。今審議我々しているのは四党修正案なんです。その四党修正案の質疑のときに、森大臣は、全く自分の権限がない状況の中で答弁をしているんです。全くナンセンスだと私は思いますよ。
そして、法律が施行後、まさに法律が運用されていく方向の中で、官房長官は、誰もまだ決まっていないという話をしています。こんな無責任な大臣だからこそ逆にぶれまくるんだと私は思っています。まず、この大臣の対応については非常に私は遺憾に思っています。
二つ目、ばらばらな話。
先ほど、まさにいみじくも総理言われました。総理、さっきから何回も佐藤委員の質問に答えて、統一のルールがない、統一のルールがないとおっしゃいました。実は、森大臣も衆議院でずっとこう言っていました。(資料提示)今現状でも特管秘、つまり特別管理秘密という秘密はございますけれども、これは省庁ごとにそれぞれ別の基準に定められてばらばらに管理されておりと、これ、衆議院でずっと答弁をしています。
しかしながら、日本政府はしっかりと特別管理秘密の政府統一基準というのを平成十九年の八月の九日に決定をしています。まさに、ここにある統一基準は、統一管理基準と政府機関の情報セキュリティーのための統一技術基準という厳格な適用等を行うとともに、人的管理として、秘密取扱適格性確認制度、管理責任体制等々についてあるということを言っています。
森大臣は、この衆議院の答弁の早々から、先ほど申し上げたように、ばらばらに省庁別に管理されておりと言っているんですが、現実の問題として基準はあります。これは重要な立法事実です。この重要な立法事実についてまさに虚偽の答弁をして、必要だというような誤解を国民に与えた、これは私は大問題だと思いますが、これはいかがですか。

○国務大臣(森まさこ君) 今御指摘になりました衆議院の議事録も、それから前回の福山委員の議事録も、国民の皆様、よく御覧になっていただければと思います。インターネットでも御覧になれます。
私、衆議院の当初から民主党の後藤委員等に御質問をいただいて御説明をしているのは、この今パネルに出ておりますカウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針、これも引用して答弁をしております。この基本方針に基づいて、その一部の第二部というところに政府統一基準という言葉はあります。しかし、それに従って各省で作っているそれぞれの基準、これがばらばらになっているんです。これが現行の問題なんです。
例えば、特別管理秘密という現行の秘密があります。これの管理責任者もレベルが別々、局長がやるところもあれば課長級がやるところもある、部長級がやるところもあるわけです。適性管理者のランクも別々、外務省では外務大臣が適性管理者ですが、ところが、ほかの省にいくと局長とか、そのランクがばらばら。それぞれ省庁が持っている基準がばらばらなんです。これを統一をしていく。
つまり、単に言葉がある、紙の中の一項目に統一基準という言葉があることではなくて、その実態をきちんと着目して、今現行の制度に不完全なものがあるならばこれをきちっと法制度化していく、このことで国民の命と国家の存立を守っていく、これが立法事実でございます。

○福山哲郎君 先日私が質問したときよりかは、うろたえた状況ではなく、自信満々に答えられましたが、現実には、最高情報セキュリティー責任者の設置というのが、文書だけではありません、しっかりとれっきとしたこういうもので統一基準があります。
そして、先ほど外務省の話を例に出されましたが、当たり前なんです。例えば、小さい途上国の領事館は領事官だって秘密を扱います。大使館は大使も秘密を扱います。小さい例えば途上国の領事は、それはレベルは別々ですけど、そこに全部に、じゃ、特定秘密を指定する人間が要るからといって、全部に大臣レベルを置くんですか。そんなもの運用じゃないですか。それぞれの省庁によって、各省庁によってそれぞれ、今回の法案にだってそう書いてあるんですよ。そこを全部一律になるなんて無理なんですよ。
自衛隊だって、それぞれの駐屯地にそれぞれのランクの人がいて、それぞれが秘密を扱う。だけれども、そこに対してはきっちり秘密を管理するということが重要であって、それがばらばらなんだといったら、全部が大臣で、全部が局長で、どこかの駐屯地だってそういう局長がやらなきゃいけなくなる。今の話は全く現実に統一基準があることに対する反論にはなり得ません。
現実の問題として申し上げれば、そのばらばらだと言っていたことで国民は誤解をしていた経緯があります。大問題だと思います。基準はれっきとしてありますので、そのことに対しては強く私は主張したいと思いますし、総理も二言目には統一のルール、統一のルール。統一のルールはしっかりれっきとしてここにあるんです。
ですから、この問題で、じゃ今の運用で何が問題なのかを具体的に言っていただければいいですが、それは全く出てきません。なぜかというと、特定管理秘密、実は漏えい事件、ほとんどありません。めったにありません。私は実は、今回、政府から出てきている特定管理秘密の漏えいについては、特別管理秘密については、事象の例示を受けていません。
つまり、特別管理秘密というのは今の統一基準で十分守られている。十分守られているにもかかわらず、日本の官僚はそんなにいいかげんなことはしません、だからこそ守られている、しっかりこの基準は運用されているのに、統一基準がないといって審議をしたことについては、私は大問題だと思っております。虚偽答弁だと思います。
もう一点、総理、配慮規定が報道関係者に入ったと、だから報道関係者は大丈夫だというのが二十二条にあります。「報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。」、総理、配慮しなければならない、これ条文二十二条なんですけど、主語は誰ですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) こういう逐条ごとの質問については質問通告してくださいよ。だって、質問通告していればちゃんと答えますよ。これは行政……(発言する者あり)いや、普通は、私が質問者であれば、当然質問通告をしてより深い議論をしようと思いますが、全く質問通告がなかったということはまず申し上げたいと思います。
その上でお答えをすれば、それは行政機関です。そして、先ほど森大臣が言ったことは、まさに今まで法定でルールがなかったんですよ。皆さんも法定で作れ、法定で作れとずっと言ってきたじゃないですか。ですから……(発言する者あり)今主語はもう申し上げました。皆さんのやじがうるさいから聞こえなかったんです。時間がもったいないからもう一回答えませんよ。でも、あえて答えれば、行政機関です。行政機関だというふうにお答えをしているわけであります。

○福山哲郎君 いや、今いみじくもおっしゃったんですけれども、行政機関が報道陣に配慮する、何で表現の自由や報道の自由や取材の自由は行政機関が配慮するんですか。何で配慮されなきゃいけないんですか、取材される側は。これ国民の権利ですよ、表現の自由も報道の自由も取材の自由も。
配慮規定が入ったからマスコミ陣は大丈夫だ、とんでもない。逆に、この配慮をするという言葉を入れたことによって、なぜ行政機関がそのことを配慮しなきゃいけないのか。何で、逆に言うと、取材側は、ああ、これだったら、これだったら行政機関が配慮してくれる、自分は捕まらないで済むな、これでちゃんと我々は捜査を受けないで済むな、この状況なら配慮しないで済むなという取材をするような萎縮効果を生むような、配慮をするなんて、何で元々持っている取材の自由、表現の自由、報道の自由が制限されるんですか。
これがこの法案の根本の問題なんですよ。どうですか、森大臣。

○国務大臣(森まさこ君) この法案の提出に当たっていろいろな皆様から御意見をいただきました。私も大臣室で報道機関の皆様やその他の皆様にお会いをしました。そのときに、国民の知る権利に奉仕をする報道の自由、取材の自由、これはどうなるんですかという、それは御懸念があったんです。ですから、これについてはしっかり配慮するという規定を設けました。
これは、例えば、特定秘密ができたから、これまで取材してきたことに答えてもらえないんじゃないか、何が何でも秘密です、秘密ですと言って公開されなくなるんではないかと、そういうようなことが、声が寄せられたんです。そういったことは一切ないですということを、これは、特定秘密をしっかり保全をするということと知る権利を守るということは、どちらも国民を守る大切な権利でございます。このことを明文上しっかりと明示をしたということでございます。

○福山哲郎君 まさに行政側が配慮するかしないかという議論の中で、森大臣は、報道と公務員の倫理規程みたいなのを作るとか作らないとかを言われているわけです。倫理規程を作るということは、要は、報道陣に対して、取材をする側に対して、ここまではいいよ、駄目だよというガイドラインを作るということです。逆に言うと、そんなものを作れば、逆に公務員側は、漏らしたらひょっとしたら自分は罪になるんじゃないか、漏らしたら駄目なんじゃないかと、そういう状況の公務員の萎縮効果が出てまいります。
昨日、実際に参考人の新聞記者を現場でやられている方が、自然に取材対象者である公務員もそういった形で物を出さなくなる、そして、逆に報道取材側も、まさにこういう状況の中で、この法律は何が特定秘密か特定秘密でないか分からないわけですから、取材をしに行ったらひょっとしたら知らないうちに特定秘密にぶち当たるかもしれない、そういった状況がこの法案の不安をあおっていると言うんです。そのことに対しては、全く国民からは不安の払拭という声は上がっていません。逆に、不安は広がる一方でございます。
そんな中で、国家安全保障担当総理補佐官に就任すると言われている礒崎首相補佐官は、自らのツイッターで、テレビの報道をめぐって、いいですか、こういう法案にファイティングポーズを取らなければならないということなのだろうが、放送の中立性を侵せば放送法違反だと言ったんですね。これ、何に対して言ったかというと、キャスターが廃案にさせなければならないと明確に言ったことに対して、放送の中立性を侵せば放送法違反だと。何でですか。キャスターはテレビの番組でこの法案について自分はこう思うということを言ったら放送法違反なんですか。こんなことを総理の補佐官が言ったら、間違いなく放送者は、キャスターは、報道者は萎縮しませんか。
これは、石破幹事長の、デモはテロと同じだと。デモはれっきとした国民の意思表示の手段です。我々政治家だって選挙のときには大音量で絶叫してお願いをしています。これは自らの意思や政治信条を訴えていることです。そういったことに対して無自覚過ぎる。国民は国会で議論できるわけではない。だからこそ、選挙も何年に一遍あるか分からない状況の中で、国民は自分の意思表示の手段としてデモという手段があります。これは一つの表現の自由の手段です。それをれっきとした犯罪行為であるテロ行為と同列に並べた。私はけしからぬと思いますよ。
そして、この補佐官は、テレビのキャスターが廃案にさせなければならないと言ったことに対して放送法違反だと言った。何なんだこれはと。言論統制以外の何物でもないじゃないですか。これ、総理、どう思われますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は礒崎補佐官のその発言について詳細を承知をしているわけではございませんが、基本的に、報道というのは、しっかりとした独立性を持って厳しく政府の態度等について、様々な事実について報道し、そして批判すべきものは批判していく、それは当然のことなんだろうと思うわけであります。と同時に、放送法によって、これは政治的な公平ということについて常に留意するというのはそれは当然のことではないかと、こう思うわけでございます。
それと、先ほど福山委員がおっしゃっておられましたが、言わば公務員が萎縮する、公務員が萎縮するということではなくて、これは今までもそうなんですが、特別管理秘密だってこれは出してはいけないんですよ。出してはいけないものはちゃんと出してはいけないという認識を持って仕事をするということになるわけでありますし、今の特別管理秘密の九割はこれは衛星写真でありまして、あと暗号等があるわけでありますし、それと、あとほかの多くは、例えば、戦車の装甲は何ミリで、あるいは砲弾の飛ぶ距離はどれぐらい、こういうことが全部秘密になっているわけでありまして、果たしてこういうことを報道されれば例えば我が国の安全保障には大きな打撃があるわけでありまして、それを秘密にするのはこれは当たり前のことでありますし、外国はそれを取ろうとしているわけですから、それに加担してはいけませんよというのがこの度の法律であります。つまり、それは当然のことであろう。
ですから、我々は、その上において、さらに法案に報道に対する配慮をしっかりと書き込んだわけであります。

○福山哲郎君 私は、官邸におりましたので、特定管理秘密の九割はちゃんと必要だと分かっていますよ。それも漏れていないとさっき言ったじゃないですか。漏れないんですよ。
ちょっとこれを見てください。
この法案の問題は、秘密の特定がいつ誰によって、実はこの間、森大臣は恐ろしい答弁をしたんです、過去にも遡及すると。そうすると、三十年前の秘密も実はもう一回そこで特定秘密にしたら九十年消えるわけですよ。極端な話で言うと、役人さんが漏えいさせるのが問題ではなくて、実は、秘密が隠れることが問題なんです。日米の核の密約にしても、薬害エイズにしても、「もんじゅ」のナトリウムにしても、東京電力の損傷隠し事件にしても、これ、みんな実は官僚が隠してきたものです。隠してきたものを、それこそ一部の心ある官僚さんと報道陣とかが懸命になって正義を表に出すということで実はいろんな事件が明るみになっているんです。
今のように、チェックはできない、特定秘密に禁止する事項は明らかになっていない、そして、いつ誰がどこで特定秘密にしたのか分からない、そういった状況の中でこの法案が今議論されています。
有識者会議の基準には実は何の権限もありません。総理が第三者的に実はチェックをするという話も全く権限が明らかになっていません。四党修正案の第三者機関も、それぞれが違う、異なる意見を言っています。まだまだ課題がいっぱいありますので、この法案を六日の閉会日までに無理やり強行採決するようなことはよもやないということを強く強く申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。

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